(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】ホースクランプ用仮保持ホルダー
(51)【国際特許分類】
F16L 33/03 20060101AFI20230928BHJP
F16L 33/10 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
F16L33/03
F16L33/10
(21)【出願番号】P 2019023937
(22)【出願日】2019-02-13
【審査請求日】2022-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100086689
【氏名又は名称】松井 茂
(72)【発明者】
【氏名】服部 龍
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-076760(JP,A)
【文献】特開2003-222284(JP,A)
【文献】特開2009-002452(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102004060753(DE,A1)
【文献】特開2007-187307(JP,A)
【文献】特開2011-002045(JP,A)
【文献】特開2004-232828(JP,A)
【文献】米国特許第05820166(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0159255(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0273590(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 33/03
F16L 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホースクランプに装着され、前記ホースクランプをホースに対して仮保持する、ホースクランプ用仮保持ホルダーであって、
前記ホースクランプは、環状に湾曲された金属板からなり、
前記ホースの外周に配置されるリング状本体と、該リング状本体の周方向の両端部に
設けられた一対のツマミ片
とを有し、前記一対のツマミ片は自由状態では離反して前記
リング状本体が縮径状態をなし、前記一対のツマミ片を近接させた状態でタブが装着されて、前記
リング状本体が拡径状態に保持されるように構成されており、
ホースクランプ用仮保持ホルダーは、
前記ホースの軸方向に所定長さで延びる基部と、
前記リング状本体の外側に配置され、前記基部の所定位置から
前記リング状本体の外周に沿って延びる一対のアーム部と、
前記基部から、前記ホースの外径方向に向けて突出して設けられ、前記タブの少なくとも一部を収容する収容部と、
前記基部の、前記一対のアーム部に対して軸方向に離間した位置から、前記ホースの外周に沿って延び、前記ホースを把持する一対の弾性保持片とを有しており、
前記一対の弾性保持片の内面からは、前記ホースの外周に押圧される爪部が突設されており、前記収容部には、前記タブに対して前記ホースの径方向に係合可能な係合部が設けられており、
前記一対のアーム部の、延出方向の先端側の内面は、互いに平行な平行面とされており、これらの平行面どうしの間隔は、前記ホースクランプの拡径状態における外径よりも大きくなるように設けられていることを特徴とするホースクランプ用仮保持ホルダー。
【請求項2】
前記基部の内面と、前記一対のアーム部の、前記基部側の内面とで、前記ホースクランプの外周に沿った湾曲面が形成されており、この湾曲面は、前記ホースクランプの拡径状態における外周に対して離間するように設けられている請求項1記載のホースクランプ用仮保持ホルダー。
【請求項3】
ホースクランプに装着され、前記ホースクランプをホースに対して仮保持する、ホースクランプ用仮保持ホルダーであって、
前記ホースクランプは、環状に湾曲された金属板からなり、
前記ホースの外周に配置されるリング状本体と、該リング状本体の周方向の両端部に
設けられた一対のツマミ片
とを有し、前記一対のツマミ片は自由状態では離反して前記
リング状本体が縮径状態をなし、前記一対のツマミ片を近接させた状態でタブが装着されて、前記
リング状本体が拡径状態に保持されるように構成されており、
ホースクランプ用仮保持ホルダーは、
前記ホースの軸方向に所定長さで延びる基部と、
前記リング状本体の外側に配置され、前記基部の所定位置から
前記リング状本体の外周に沿って延びる一対のアーム部と、
前記基部から、前記ホースの外径方向に向けて突出して設けられ、前記タブの少なくとも一部を収容する収容部と、
前記基部の、前記一対のアーム部に対して軸方向に離間した位置から、前記ホースの外周に沿って延び、前記ホースを把持する一対の弾性保持片とを有しており、
前記一対の弾性保持片の内面からは、前記ホースの外周に押圧される爪部が突設されており、前記収容部には、前記タブに対して前記ホースの径方向に係合可能な係合部が設けられており、
前記一対の弾性保持片の内面には、前記ホースの外周に対して離間し、前記ホースの傾き時に、同ホースの外周に当接可能な傾き防止突起が突設されていることを特徴とするホースクランプ用仮保持ホルダー。
【請求項4】
前記爪部は、前記一対の弾性保持片の内面から複数突設されており、
前記一対の弾性保持片の内面であって、前記爪部と前記爪部との間から、前記ホースの傾き時に、同ホースの外周に当接可能な傾き防止突起が突設されており、
前記傾き防止突起の、突出方向の先端面は、前記爪部の突出方向の先端面よりも、前記弾性保持片の周方向において幅広に形成されている請求項1~3のいずれか1つに記載のホースクランプ用仮保持ホルダー。
【請求項5】
前記一対のアーム部の、前記弾性保持片に対して反対側の端部には、前記平行面及び前記湾曲面に連続して形成され、前記ホースの端部に当接可能な、位置規制部が設けられている請求項2記載のホースクランプ用仮保持ホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホースに対してホースクランプを仮保持する、ホースクランプ用仮保持ホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の配管どうしを、ホースを用いて接続する際には、パイプ状をなす配管の端部外周に可撓性のホースを被せ、このホース外周を更にホースクランプによって締付けることで、配管にホースを固定する方法が広く用いられている。前記ホースクランプは、ホース外周に被せる際に拡径させる必要があるため、予め拡径した状態に保持するためのホルダーを装着したものが用いられることがあった。そして、この拡径状態のホースクランプをホースの軸方向所定位置に位置決めした後、配管を挿入するのであるが、その作業工程中や、作業前のホース設置中において、ホースクランプが位置ずれしてしまうことが多々あった。そのため、ホースクランプをホースに仮保持する構造が用いられている。
【0003】
上記構造として、例えば、下記特許文献1には、周方向両端に第1起立片,第2起立片を有するクリップ本体、及び、クリップ本体を拡径状態に保持する略U字枠状のホルダーからなる、ホースクリップ(ホースクランプ)と、クリップ本体を外周側から抱持するクリップ保持部、ホース外周面に食い込み状に係止する回り止め部、及び、ホース端面に係止して軸方向へのずれ止めを行う引掛け部を一体に備えた位置決め具とからなる、位置決め具付きホースクリップが記載されている。前記クリップ保持部は、略半円形の枠状をなしており、その内周には、フック状の係止突部が突設されている。また、前記回り止め部は略円環状をなし、クリップ保持部に連設されており、その内周には、複数の食い込み突部が突設されている。
【0004】
そして、クリップ本体が拡径した状態で、第1起立片,第2起立片にホルダーを外装し、クリップ本体に形成された三角窓に、クリップ保持部の係止突部を係止させることで、位置決め具にホースクリップが位置決め固定されるようになっている。その後、位置決め具をホース外周に配置して、回り止め部の食い込み部をホース外周に食い込ませることで、回り止め部を介して位置決め具が回転規制され、その状態でホースにパイプを挿入する。そして、ホルダーをクリップ本体の第1起立片,第2起立片から外すことで、クリップ本体が縮径して、ホースとパイプが締付け固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の発明においては、上述したように、ホースとパイプを締め付け固定する際に、ホルダーがクリップ本体の第1起立片,第2起立片から外れるようになっているが、位置決め具自体は、ホースから取外されるものではなく、ホース外周に残されたままとなる。すなわち、ホースとパイプとを締め付け固定すべく、クリップ本体を縮径させる際に、ホルダーと位置決め具を一緒に取外すことができない。この場合、設置スペースが狭い箇所では適用できない、等といった不都合が生じる。
【0007】
したがって、本発明の目的は、ホースとパイプとを締め付け固定すべく、ホースクランプからタブを取外す際に、一緒に取外すことができる、ホースクランプ用仮保持ホルダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、ホースクランプに装着され、前記ホースクランプをホースに対して仮保持する、ホースクランプ用仮保持ホルダーであって、前記ホースクランプは、環状に湾曲された金属板からなり、周方向の両端部に一対のツマミ片を有し、前記一対のツマミ片は自由状態では離反して前記ホースクランプが縮径状態をなし、前記一対のツマミ片を近接させた状態でタブが装着されて、前記ホースクランプが拡径状態に保持されるように構成されており、ホースクランプ用仮保持ホルダーは、前記ホースの軸方向に所定長さで延びる基部と、前記基部の所定位置から前記ホースクランプの外周に沿って延びる一対のアーム部と、前記基部から、前記ホースの外径方向に向けて突出して設けられ、前記タブの少なくとも一部を収容する収容部と、前記基部の、前記一対のアーム部に対して軸方向に離間した位置から、前記ホースの外周に沿って延び、前記ホースを把持する一対の弾性保持片とを有しており、前記一対の弾性保持片の内面からは、前記ホースの外周に押圧される爪部が突設されており、前記タブに対して前記ホースの径方向に係合可能な係合部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のホースクランプ用仮保持ホルダーによれば、ホースにパイプ等の配管を挿入した後、仮保持ホルダー及びタブを、ホース及びホースクランプから取外すべく、収容部又はタブを摘んで、ホースの外径方向に向けて引っ張ると、弾性保持片が撓んで仮保持ホルダーがホースから外れると共に、タブに対して径方向に係合した係合部を介して、タブと収容部を有する仮保持ホルダーとが一緒に引っ張られるので、一対のツマミ片からタブが外れて、ホースクランプが縮径してホースを締め付けて配管に強固に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係るホースクランプ用仮保持ホルダーの一実施形態を示しており、同ホルダー、及び、ホースクランプとタブの斜視図である。
【
図2】同仮保持ホルダーの、
図1とは異なる方向から見た場合の斜視図である。
【
図4】同仮保持ホルダーを装着したホースクランプをホースに仮保持し、かつ、同ホースに配管を挿入した状態における横断面図である。
【
図5】同仮保持ホルダーを装着したホースクランプに、ホースを挿入した状態の縦断面図である。
【
図6】
図5の状態から、更にホースに配管を挿入した状態の縦断面図である。
【
図8】仮保持ホルダーをタブと一緒に、ホースクランプから外した状態の斜視図である。
【
図9】同仮保持ホルダーに用いられるタブの他形状を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明に係るホースクランプ用仮保持ホルダーの、一実施形態について説明する。
【0012】
図8に示すように、本発明のホースクランプ用仮保持ホルダー10(以下、単に「仮保持ホルダー10」ともいう)は、パイプ状をなす配管5の一端部に被せられたホース1の外周を締め付けて、配管5にホース1を固定するために用いられるホースクランプ60に装着されて、同ホースクランプ60をホース1に対して仮保持するためのものである。
【0013】
まず、この実施形態におけるホースクランプ60(以下、単に「クランプ60」ともいう)について説明する。このクランプ60は、ステンレスやバネ鋼材等からなる金属板材を環状に湾曲されてなるものであって、ホース1の外周を囲むようにして、ホース外周に配置されるリング状本体61と、その周方向両端部に設けられた一対のツマミ片62,63とを有している。また、リング状本体61の周方向の一端部には、周方向に沿って延びるスリット64が所定長さで形成されており、このスリット64が形成された部分の周方向先端側を、リング状本体61の外径方向に向けて屈曲させることで、リング状本体61の外径方向に突出し、かつ、アーチ状(門形状)をなした、ツマミ片62が設けられている。
【0014】
一方、リング状本体61の周方向の他端部には、前記スリット64内に差し込まれると共に、リング状本体61が拡径又は縮径したときに、スリット64内を周方向にスライドする差込片65が形成されている。この差込片65の先端側を、リング状本体61の外径方向に向けて屈曲させることで、リング状本体61の外径方向に突出し、かつ、前記ツマミ片62に対向して配置される、ツマミ片63が設けられている。
【0015】
そして、クランプ60は、一対のツマミ片62,63は自由状態では離反していて、リング状本体61が縮径した状態となり(
図8参照)、一対のツマミ片62,63を近接させたときに、その弾性力に抗してリング状本体61が拡径するように構成されている(
図1参照)。
【0016】
なお、ホースクランプの形状としては、上記態様に限定されるものではなく、環状をなし、周方向の両端部に一対のツマミ片を有し、一対のツマミ片が離反した状態で縮径し、一対のツマミ片が近接した状態で拡径する構成であればよい。
【0017】
上記構成のクランプ60には、一対のツマミ片62,63が近接した状態で、タブ70が装着されて、このタブ70によって、クランプ60が拡径状態に保持されるように構成されている。
図1に示すように、この実施形態におけるタブ70は、クランプ60の軸方向(ホース1の軸方向に沿った方向)に沿って延びる長板状をなすと共に、互いに平行に配置された一対の側壁71,71と、該一対の側壁71,71の一端部どうしを連結する連結壁72とからなり、軸方向両側が開口すると共に、連結壁72の反対側も開口する、略U字枠状をなしている。そして、
図1に示すように、クランプ60の一対のツマミ片62,63を近接させた状態で、タブ70の一対の側壁71,71で挟み込むようにして、タブ70を配置する。すると、リング状本体61の弾性復元力により、一対のツマミ片62,63が離反して、それらの外面が一対の側壁71,71の内面にそれぞれ当接して摩擦力が作用するので、リング状本体61が拡径状態に保持されて、クランプ60にタブ70が装着されるようになっている(
図4参照)。また、各側壁71の幅方向中央には、タブ70の内方に向けて、かつ、前記連結壁72とは反対側に向けて、係合突部73が切起こし状にそれぞれ形成されている。
【0018】
なお、この実施形態におけるタブ70は、例えば、ステンレスやバネ鋼材等の金属材料で形成されているが、樹脂材料で形成されていてもよい。また、タブとしては、ホースクランプの一対のツマミ片を近接させた状態に維持して、ホースクランプが拡径状態に保持される構成であればよく、その形状は特に限定されない。なお、この実施形態のタブ70は、その外周全部が、仮保持ホルダー10の後述する収容部40内に収容可能となっているが、一部が収容部40から突出する形状であってもよい。すなわち、
図9に示すように、タブ70の、一方の側壁71や連結壁72に、切欠き75aを設けて、この切欠き75aを介して、他方の側壁71の軸方向中央から、ツマミ部75を突出させたような形状としてもよい。
【0019】
そして、本発明における仮保持ホルダー10は、ホース1の軸方向に所定長さで延びる基部20と、この基部20の所定位置からクランプ60の外周に沿って延びる一対のアーム部30,30と、基部20の、アーム部30寄りの位置から、ホース1の外径方向に向けて突出して設けられ、タブ70の少なくとも一部を収容する収容部40と、基部20の、一対のアーム部30,30に対して軸方向に離間した位置から、ホース1の外周に沿って延び、ホース1を把持する一対の弾性保持片50,50とを有している。
【0020】
なお、以下の説明において、上記の基部や、アーム部、収容部、弾性保持片における「軸方向」とはホース1の軸方向に沿った方向を意味し、「幅方向」とは、ホース1の周方向に沿った方向を意味し、「外面」とは、ホース1とは反対側の面を意味し、「内面」とは、ホース1側に向く面を意味する。
【0021】
まず、基部20について説明する。この基部20は、ホース1の周方向に沿って所定幅で、かつ、ホース1の軸方向に沿って所定長さで延びており、その延出方向の一端部21は、段部21aを介して縮径した形状(一回り小さい形状)をなしている。なお、
図3に示すように、仮保持ホルダー10の、二点鎖線で囲まれた部分が、基部20をなしている。また、
図3に示すように、基部20の所定箇所には、軸方向に長く延びる長方形状をなしたツマミ挿通孔22が形成されている。
【0022】
また、基部20は、その外面及び内面23(
図2参照)が、円弧状に屈曲した形状となっている。更に
図2に示すように、基部20の、延出方向の他端部であって、その内面23側には、ホース1の外周に押圧される、爪部25が突設されている。この爪部25は、軸方向他端側の面が、基部20の延出方向一端部側に向けて次第に高さが高くなるように傾斜したテーパ面25aをなしていると共に、同爪部25の突出方向の先端面25bの幅が、ホース1の内径方向に向けて次第に幅狭となる形状となっている(
図2参照)。
【0023】
なお、基部としては、ホース1の軸方向に所定長さで延びる形状であればよく、例えば、内面が円弧状ではなくとも、平坦面状をなしていてもよい。
【0024】
次にアーム部30について説明する。
図4に示すように、この一対のアーム部30,30は、クランプ60のリング状本体61の外側に配置されて、同リング状本体61の外周の所定範囲をカバーして、リング状本体61を、衝撃力等の不測の外力から保護するためのものである。この実施形態における一対のアーム部30,30は、前記基部20の軸方向の所定位置(ここでは軸方向の一端部21寄りの位置)であって、その幅方向の両側からそれぞれ延設されている。また、前記基部20の一端部21と同様に、各アーム部30の、延出方向の一端部31は、段部31aを介して縮径した形状(一回り小さい形状)をなしている。更に、各アーム部30の、基部20側の基端部32は、その外面及び内面32a(
図2参照)が円弧状をなしている。そして、
図2に示すように、前記基部20の内面23と、アーム部30の、基部20側の内面32aとで、クランプ60の外周に沿った湾曲面35が形成されるようになっている。また、
図4に示すように、この湾曲面35は、クランプ60の拡径状態における外周に対して離間するように設けられている。なお、湾曲面35は、ホース1やクランプ60のリング状本体61の周方向半分を覆うような、半円形状となっている。また、アーム部30における段部31aと、前記基部20における段部21aとは、クランプ60のリング状本体61が拡径した状態で、その軸方向の一端が係合可能となっており(
図3及び
図7参照)、仮保持ホルダー10内におけるクランプ60の位置決めをなすようになっている。
【0025】
更に、一対のアーム部30,30の、基端部32,32の延出方向先端からは、先端部33,33がそれぞれ延出している。
図4に示すように、先端部33,33の内面は、互いに平行な平行面33a,33aをなっている。なお、各先端部33の外面も、内面側の平行面33aと平行な平面となっている。
【0026】
また、一対のアーム部30,30の先端部33,33の最先端どうしは、連結されておらず所定間隔を空けて離間しており、
図1に示すように、一対のアーム部30,30の間の、軸方向に直交する開口(以下、「径方向開口」ともいう)から、クランプ60を挿入可能となっていると共に、
図8に示すように、一対のアーム部30,30の径方向開口からクランプ60を抜き出し可能ともなっている。更に、一対のアーム部30,30の間の、軸方向に沿った開口(以下、「軸方向開口」ともいう)から、パイプ等の配管5を挿入可能となっている。
【0027】
また、
図1や
図2に示すように、一対のアーム部30,30の延出方向の一端部31,31と、前記基部20の延出方向の一端部21とは、周方向に連続して形成されており、略U字枠状をなしている。この略U字枠状をなした部分の内面(前記基部20の一端部21の内面23、各アーム部30の内面32a及び平行面33a)は、仮保持ホルダー10の軸方向一端側に向けて次第に幅狭となるように傾斜するテーパ面をなしており(
図2及び
図3参照)、一対の弾性保持片50,50の間から挿入したホース1を、一対のアーム部30,30の奥側(一端部31側)に挿入する際のガイドとなっている。
【0028】
更に
図4に示すように、平行面33a,33aどうしの間隔Kは、クランプ60の拡径状態(拡径状態とされたリング状本体61)における外径Dよりも大きくなるように設けられている。
【0029】
また、一対のアーム部30,30の、弾性保持片50に対して反対側の端部には、平行面33a及び湾曲面35に連続して形成され、ホース1の端部1aに当接可能な、位置規制部37が設けられている。この実施形態の位置規制部37は、一対のアーム部30,30の延出方向の一端部31,31と、基部20の延出方向の一端部21とからなる、前述した略U字枠状をなした部分の内面(平行面33a及び湾曲面35)であって、軸方向最先端から、内方に向けて突設した、略U字形の薄肉フランジ状をなしている。
【0030】
なお、一対のアーム部は、上記態様に限定されるものではない。例えば、基部の幅方向両側から、直線状に延びる一対のアーム部としてもよく、一対のアーム部の間の径方向開口から、クランプ60を挿入可能で、かつ、一対のアーム部の径方向開口からクランプ60を抜き出し可能で、更に、一対のアーム部の軸方向開口から配管5を挿入可能な形状であればよい。
【0031】
次に収容部40について説明する。この実施形態における収容部40は、基部20に形成された略長方形状をなしたツマミ挿通孔22の外面側周縁から、ホース1の外径方向に向けて突出し、内部に収容空間45を設けた枠状をなしている。
【0032】
具体的には、基部20の、ツマミ挿通孔22の軸方向に沿った両側(長辺側の両側)から立設した一対の側壁41,41と、同ツマミ挿通孔22の幅方向に沿った両側(短辺側の両側)から立設し、前記一対の側壁41,41どうしを連結する連結壁43,43と、各壁の立設方向先端に配置された天井壁44とから構成されており、内部に収容空間45が画成されている。また、前記天井壁44には、一対のタブ突出孔44a,44aが形成されている。その結果、収容部40の収容空間45には、
図4に示すように、前記タブ70の全部が収容されるか、又は、
図9に示すタブ70のツマミ部75が前記タブ突出孔44aから突出するように、タブ70の一部(ツマミ部75以外の部分)が収容されるようになっている。
【0033】
また、収容部40には、同収容部40を摘んで仮保持ホルダー10をホース1の外径方向に引っ張ったとき、又は、収容部40の外部に突出したタブ70の一部(ここではツマミ部75)を把持して仮保持ホルダー10をホース1の外径方向に向けて引っ張ったときに、タブ70に対してホース5の径方向に係合可能な係合部が設けられている。具体的には、
図4に示すように、収容部40の一対の側壁41,41の内面側であって、前記ツマミ挿通孔22の周縁に、係合部47,47が、収容空間45の内方に向けてそれぞれ突設されている。更に
図3に示すように、各係合部47は、収容部40の各側壁41の軸方向中央に配置されている。更に
図4に示すように、各係合部47,47の、天井壁44側に向く面は、側壁41の内面に対して直角な段状をなした係合面47a,47aとなっている。また、各係合部47は、ツマミ挿通孔22の内周縁から連続して形成されており、
図4に示すように、その対向面47b,47bどうしは、基部20の内面23側から外面側に向けて次第に幅狭となるテーパ状をなしており、基部20の内面23側から、タブ70及びクランプ60の一対のツマミ片62,63を挿入する際に、挿入しやすくなっている。
【0034】
そして、収容部40の収容空間45内にタブ70が収容された状態では、タブ70の一対の側壁71,71の端面71a,71aが、係合部47,47の係合面47a,47aに対向して配置されるようになっている(
図4参照)。そのため、
図4の矢印Aに示すように、仮保持ホルダー10をホース1の外径方向に向けて引っ張ると、タブ70の側壁71,71の、連結壁72とは反対側の端面71a,71aに、収容部40の係合部47,47の係合面47a,47aが径方向(ここでは外径方向)に係合するようになっている。すなわち、この場合は、タブ70に対してホース5の外径方向に係合部47が係合することとなる。
【0035】
また、
図9に示すタブ70を収容部20内に収容し、そのツマミ部75を、天井壁44のタブ突出孔44aから突出させた状態では、タブ70の連結壁72の外面が、天井壁44を構成する天井壁44の内面に対向して配置される(
図4参照)。そのため、この状態から
図4の矢印Aに示すように、ツマミ部75を摘んで、タブ70自体をホース1の外径方向に向けて引っ張ると、タブ70の連結壁72の外面に対して径方向に収容部40の天井壁44の内面が係合するようになっている。すなわち、この場合には、前記天井壁44が本発明における「係合部」をなしている。また、この場合は、タブ70に対してホース5の内径方向に、係合部をなす天井壁44が係合することとなる。
【0036】
なお、仮保持ホルダー20の収容部40内にタブ70が収容された状態で、タブ70がホース1の内径方向に移動して、基部20のツマミ挿通孔22から抜け出ようとしても、タブ70の一対の側壁71,71の端面71a,71aが、係合部47,47の係合面47a,47aに係合するため、収容部40からのタブ70の脱落が防止されるようになっている。
【0037】
更に、「係合部」としては、次のような構成でもよい。例えば、収容部の側壁内面の所定箇所、又は、タブの外面の、いずれか一方に凸部を設けておき、また、いずれか他方に、前記凸部が入り込む凹部を形成しておく。すると、タブ又は収容部を摘んでホース外径方向に引っ張ったときに、凹部内面に凸部が係合することになる。この場合、収容部内面の凸部又は凹部が、本発明における「係合部」をなすことになる。
【0038】
また、
図1に示すように、一対の側壁41,41の外面側には、その軸方向に沿って、複数の突条48が延設されている。これらの突条48は、図示しないプライヤーやペンチ等の工具や、手で摘む際に、滑りにくくして摘みやすくさせるものである。
【0039】
なお、収容部としては、タブの少なくとも一部を収容可能で、かつ、タブに径方向に係合可能な係合部を有するものであれば、その形状は特に限定されない。
【0040】
次に弾性保持片50について説明する。この実施形態における一対の弾性保持片50,50は、基部20の、一対のアーム部30,30の軸方向他端部側(一端部31とは反対側)に、周方向に沿って延びる一対のスリット55,55を介して、軸方向に離間しており、この離間した位置から、ホース1の外周に沿って延出している。各弾性保持片50は、円弧状をなすように湾曲しており、ホース1やクランプ60のリング状本体61の周方向半分を超えて、前記一対のアーム部30,30の先端部33,33よりも長く延びている。
【0041】
なお、一対の弾性保持片50,50は、その延出方向先端どうしは連結されておらず、所定間隔を空けて離間しており、それぞれが独立して撓み変形可能となっており、一対の弾性保持片50,50の間の、軸方向に沿った開口(以下、「軸方向開口」ともいう)から、ホース1を挿入可能となっている。
【0042】
また、一対の弾性保持片50,50の内面50a,50aであって、延出方向先端からは、ホース1の外周に押圧される爪部51,51がそれぞれ突設されている。
図2に示すように、各爪部51は、軸方向他端側の面が、弾性保持片50の軸方向一端側(アーム部30側)に向けて次第に高さが高くなるように傾斜したテーパ面51aをなしていると共に、同爪部51の突出方向の先端面51bの幅が、ホース1の内径方向に向けて次第に幅狭となる形状となっている。
【0043】
そして、一対の弾性保持片50,50の間の軸方向開口他端側からホース1を挿入することで、爪部51の先端面51bが、ホース1の外周に押圧されて、弾性保持片50が外方に撓むようになっている。また、それに伴って弾性保持片50が弾性復帰しようとするので、爪部51の先端面51bがホース1の外周を押圧して、いわば食い込むように係止することとなり、その結果、ホース1を把持して、仮保持ホルダー10を軸方向に移動しないように、かつ、周方向にも回転しないように、仮保持するようになっている。なお、各爪部51のテーパ面51aによって、一対の弾性保持片50,50の軸方向開口からホース1を挿入する際のガイド性を高め、また、各爪部51の幅狭の先端面51bによって、ホース1の外周に食い込みやすくさせている。
【0044】
更に
図2や
図4に示すように、一対の弾性保持片50,50の内面50a,50aであって、弾性保持片50の周方向における爪部51と爪部51との間からは、ホース1の外周に対して離間し、ホース1の傾き時に、ホース外周に当接可能な傾き防止突起53が突設されている。この実施形態では、各弾性保持片50の内面50aであって、そのほぼ中央から、傾き防止突起53が突設されている。各傾き防止突起53は、前記爪部51と同様に、軸方向他端側の面が、弾性保持片50の軸方向一端側(アーム部30側)に向けて次第に高さが低くなるように傾斜したテーパ面53aをなしており、その突出方向の先端面53bの幅が、ホース1の内径方向に向けて次第に幅狭となる形状となっているが、先端面53bの幅は、爪部51の先端面51bよりも、弾性保持片50の周方向において幅広に形成されている。
【0045】
なお、
図4に示すように、一対の弾性保持片50,50は、仮保持ホルダー10をクランプ60に装着して、クランプ60をホース1に対して仮保持した状態で、弾性保持片50の内面50aに設けた爪部51が、一対のアーム部30,30の延出方向の先端部33,33の最先端と、クランプ60の拡径状態のリング状本体61の外径との、接線Sよりも、ホース1の内径方向側に位置するように設けることが好ましい。
【0046】
また、弾性保持片としては、例えば、基部の幅方向両側から、直線状に延びる形状としてもよく、ホースを把持して仮保持可能であって、一対の弾性保持片の軸方向開口からホース1を挿入可能な形状であればよい。更に、弾性保持片内面に設けた爪部や傾き防止突起の、個数や形状等も特に限定されない。なお、一対の弾性保持片の延出長さとしては、ホース1やクランプ60のリング状本体61の周方向半分よりも長いことが好ましい。
【0047】
また、この仮保持ホルダー10においては、弾性保持片50に設けた爪部51の、ホース1に対する押圧力(係止力)をF1、タブ70の、一対のツマミ片62,63に対する摩擦力(タブ70の一対の側壁71,71の内面と、一対のツマミ片62,63の外面との摩擦力)をF2、収容部40内に設けた係合部47の、タブ70に対する係合力(一対の係合部47,47の係合面47a,47aと、タブ70の一対の側壁71,71の端面71a,71a)をF3としたとき、F1<F2<F3となるように構成されている。
【0048】
上記構成をなした仮保持ホルダー10は、合成樹脂材料から一体形成されるが、この合成樹脂材料としては、例えば、ポリアセタール(POM)や、ポリアミド(PA)、フッ素樹脂、ポリブチレンテレフタート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂や、これらの合成樹脂に、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等を含有させて補強した合成樹脂を挙げることができる。
【0049】
次に、上記構成からなる仮保持ホルダー10を用いて、クランプ60をホース1に対して仮保持すると共に、ゴム等の材質からなる可撓性のホース1を、パイプ等の配管5に締め付け固定する際の手順について説明する。
【0050】
すなわち、一対のツマミ片62,63が互いに離反して、クランプ60のリング状本体61が縮径した状態(
図8参照)から、一対のツマミ片62,63をプライヤやペンチ等の工具によって摘んで、リング状本体61の弾性力に抗して、一対のツマミ片62,63を近接させて、リング状本体61を拡径させる。その状態を維持しつつ、近接配置された一対のツマミ片62,63を、一対の側壁71,71で挟み込むようにして、一対のツマミ片62,63の外側にタブ70を装着することで、クランプ60のリング状本体61を拡径した状態に保持する。
【0051】
そして、タブ70を収容部40に向けて、一対のアーム部30,30の径方向開口から、クランプ60を挿入していく。すると、基部20のツマミ挿通孔22にタブ70が挿入されていき、収容部40内の一対の係合部47,47の間を、タブ70が通過することで、収容部40の収容空間45内にタブ70が収容されると共に、タブ70の一対の側壁71,71の端面71a,71aが、係合部47,47の係合面47a,47aに対向して配置されて、仮保持ホルダー10の、ホース1の外径方向への移動時に、タブ70の側壁71,71の端面71a,71aに、係合部47,47の係合面47a,47aが径方向に係合可能となり、その結果、クランプ60にタブ70を介して仮保持ホルダー10を装着することができる。
【0052】
また、この状態では
図4に示すように、基部20の内面23及び一対のアーム部30,30の基端部32,32の内面32a,32aからなる湾曲面35が、クランプ60の外周に対して離間し、かつ、一対のアーム部30,30の先端部33,33の平行面33a,33aが、クランプ60の外周に対して離間するように配置されて、クランプ60が保持される。
【0053】
上記のように、クランプ60にタブ70を介して仮保持ホルダー10が装着されて、リング状本体61が拡径した状態のクランプ60に、ホース1を一対の弾性保持片50,50の軸方向開口側から挿入していく。すると、ホース1が、基部20の爪部25のテーパ面25aや、弾性保持片50の爪部51のテーパ面51aによりガイドされつつ挿入されると共に、ホース1の外周によって爪部51が押圧されて、一対の弾性保持片50,50を外方に撓み変形させる。更にホース1が挿入されると、クランプ60の拡径したリング状本体61を通過して、
図5に示すように、位置規制部37にホース1の端部1aが当接して、それ以上のホース1の挿入が規制される。また、撓み変形した一対の弾性保持片50,50が弾性復帰して、爪部51の先端面51bがホース1の外周を押圧して食い込むように係止するので、その結果、一対の弾性保持片50,50によってホース1を把持して、仮保持ホルダー10を軸方向に移動しないように、かつ、周方向にも回転しないように仮保持することができる。
【0054】
上記のように、この実施形態においては、一対のアーム部30,30の、弾性保持片50に対して反対側の端部には、平行面33a及び湾曲面35に連続して形成され、ホース1の端部1aに当接可能な、位置規制部37が設けられているので、ホース1の端部1aに仮保持ホルダー10を位置規制して配置することができ、ホース1に対するクランプ60の仮保持がよりしっかりとなされる。また、ホース1の端部1aから軸方向に所定距離だけ離れた位置に、クランプ6を配置させることができる。更に、一対のアーム部30,30の剛性を高めることができるので、不測の外力が作用した場合に、クランプ60の保持状態をより維持しやすくなる。
【0055】
上記のように、仮保持ホルダー10を介して、ホース1にクランプ60を仮保持した後、ホース1の端部1aに、パイプ等の配管5を挿入していく。すなわち、一対のアーム部30,30の軸方向開口側から、配管5をホース1の端部1aの内周に挿入する(
図6及び
図7参照)。
【0056】
そして、仮保持ホルダー10及びタブ70を、ホース1及びクランプ60から取外すべく、収容部40又はタブ70のツマミ部75(タブの一部)をプライヤやペンチ等の工具で摘んで、
図4の矢印Aに示すように、ホース1の外径方向に向けて引っ張る。すると、ホース外周により爪部51,51が押圧されて、一対の弾性保持片50,50が外方に撓み変形して、ホース外周を摺接しつつ、一対の弾性保持片50,50の径方向開口から、ホース1が抜き出されて、仮保持ホルダー10がホース1から外れていく。それと共に、タブ70の側壁71,71の端面71a,71aに、収容部40の係合部47,47の係合面47a,47aが径方向に係合するか(収容部40を摘んで引っ張った場合)、又は、タブ70の連結壁72の外面に、収容部40の、係合部をなす天井壁44の内面が係合し(タブ70のツマミ部75を摘んで引っ張った場合)、タブ70と収容部40を有する仮保持ホルダー10が一緒に引っ張られて、その一対の側壁71,71の間から、一対のツマミ片62,63が徐々に抜き出されて、一対のツマミ片62,63からタブ70が外れていく。このように、この仮保持ホルダー10においては、収容部40の内部には、タブ70に対して径方向に係合可能な係合部47が設けられているので、収容部40又はタブ70のツマミ部75を摘んでホース1の外径方向に向けて引っ張ることで、クランプ60から、仮保持ホルダー10とタブ70とを一緒に取外すことができる。そして、一対のツマミ片62,63が基部20のツマミ挿通孔22を通って、収容部40の収容空間45から完全に抜き出されると、クランプ60のリング状本体61が縮径するので、ホース1が締め付けられて、ホース1の端部1aと配管5とを強固に接続することができる。
【0057】
また、この仮保持ホルダー10においては、上述したように、爪部51の、ホース1に対する押圧力をF1、タブ70の、一対のツマミ片62,63に対する摩擦力をF2、係合部47の、タブ70に対する係合力をF3としたとき、F1<F2<F3となるように構成されている。そのため、上述したように、仮保持ホルダー10をクランプ60に装着して、クランプ60をホース1に対して仮保持した状態で、
図4の矢印Aに示すように、収容部40又はタブ70のツマミ部75を摘んでホース1の外径方向に向けて引っ張ると、タブ70と、収容部40の係合部47又は係合部をなす天井壁44との、係合状態が維持されたまま、爪部51とホース1との押圧による保持状態(係止状態)が解除された後、タブ70から一対のツマミ片62,63が外れる、という工程がより確実になされるため、クランプ60から、仮保持ホルダー10とタブ70とを、確実に一緒に取外すことができるようになっている。
【0058】
更に、収容部40は、基部20の、アーム部30寄りの位置から突出し、一対の弾性保持片50,50は、一対のアーム部30,30に対して軸方向に離間しているので、仮保持ホルダー10をホース1から取外すべく、収容部40又はタブ70のツマミ部75を摘んでホース1の外径方向に引っ張るときに、その摘みの影響を受けにくくすることができ、一対の弾性保持片50,50を撓みやすくして、ホース1から仮保持ホルダー10を外しやすい。
【0059】
また、この実施形態においては、一対のアーム部30,30の、延出方向の先端側(先端部33)の内面は、互いに平行な平行面33a,33aとされており、これらの平行面33a,33aどうしの間隔Kは、クランプ60のリング状本体61の拡径状態における外径Dよりも大きくなるように設けられている。そのため、クランプ60に仮保持ホルダー10を装着すべく、拡径状態のリング状本体61を、一対のアーム部30,30の間の径方向開口から挿入する際や、仮保持ホルダー10及びタブ70を一緒にクランプ60から取外すべく、収容部40又はタブ70のツマミ部75を摘んでホース外径方向に引っ張る際に、一対のアーム部30,30に設けた平行面33a,33aによって、クランプ60をガイドしつつ、一対のアーム部30,30の間にクランプ60を挿入しやすくすることができ、また、一対のアーム部30,30の間からクランプ60を抜き出しやすくすることができ、仮保持ホルダー10の装着作業性や取外し作業性を高めることができる。
【0060】
更に、この実施形態においては、一対のアーム部30,30の、延出方向の先端側の内面が、互いに平行な平行面33a,33aとされているので、クランプ60が仮保持ホルダー10に装着された状態では、
図4に示すように、一対のアーム部30,30の平行面33a,33aと、クランプ60のリング状本体61の外周面との間に、隙間を生じさせることができると共に、クランプ60の外周(リング状本体61の外周)を広く覆って保護することができ、不測の外力が作用した場合に、その外力が一対のアーム部30,30を介して、クランプ60のリング状本体61に作用しにくくなり、クランプ60の保持状態を維持しやすくなる。
【0061】
また、この実施形態においては、
図4に示すように、基部20の内面23と、アーム部30の、基部20側の内面32aとで、クランプ60の外周に沿った湾曲面35が形成されており、この湾曲面35は、クランプ60の拡径状態における外周に対して離間するように設けられている。そのため、仮保持ホルダー10をクランプ60に装着する際に、一対のアーム部30,30の径方向開口から、拡径状態のクランプ60を挿入しやすくすることができ、また、ホース1から仮保持ホルダー10を取外す際に、一対のアーム部30,30の径方向開口からホースクランプをより取外しやすくなる。
【0062】
更に、クランプ60の外径にバラツキが生じても対応することができる。また、異なるサイズのホースクランプでも対応することができ、仮保持ホルダーの共用化を図ることができ、仮保持ホルダーの汎用性を高めることができる。
【0063】
更にこの実施形態においては、
図2や
図4に示すように、一対の弾性保持片50,50の内面50a,50aであって、爪部51と爪部51との間からは、ホース1の外周に対して離間し、ホース1の傾き時に、ホース外周に当接可能な傾き防止突起53が突設されており、各傾き防止突起53の、突出方向の先端面53bの幅が、爪部51の先端面51bよりも、弾性保持片50の周方向において幅広に形成されている。
【0064】
そのため、ホース1が傾いたときに、ホース1の外周に傾き防止突起53の先端面53bが当接するので、ホース1の傾きを抑制することができる。なお、ホース1の傾きとは、ホースクランプ60の軸心C2と、ホース1の軸心C1が一致せず、傾くことを意味する。また、複数の爪部51と爪部51との間に傾き防止突起53を設けたことにより、複数の爪部51を、一対の弾性保持片50,50の内面50a,50aに、ある程度の距離をあけて設けることができるので、複数の爪部51をホース外周に比較的バランス良く係止させることができる。
【0065】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
10 ホースクランプ用仮保持ホルダー(仮保持ホルダー)
20 基部
30 アーム部
33a 平行面
35 湾曲面
37 位置規制部
40 収容部
47 係合部
50 弾性保持片
51 爪部
53 傾き防止突起
60 ホースクランプ
70 タブ