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特許7356807損傷又は異常を可視化するためのレーザ超音波スキャニング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】損傷又は異常を可視化するためのレーザ超音波スキャニング
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/24 20060101AFI20230928BHJP
   G01N 29/14 20060101ALI20230928BHJP
   B64F 5/60 20170101ALN20230928BHJP
【FI】
G01N29/24
G01N29/14
B64F5/60
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019030296
(22)【出願日】2019-02-22
(65)【公開番号】P2019197040
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】15/904,114
(32)【優先日】2018-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-ボム イン
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー イー.ジョージソン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ポール モッツァー
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-009415(JP,A)
【文献】特開2002-228642(JP,A)
【文献】特開2012-231878(JP,A)
【文献】特開昭63-083630(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0291465(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00-29/52
B64F 5/60
G01N 3/00-3/62
G01H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験体を試験する方法であって、
前記試験体に対して固定された固定非破壊検査(NDI)センサによって前記試験体を監視し、前記固定NDIセンサは、前記試験体における損傷の兆候を監視するように構成されているとともに、前記試験体に関連する固定センサデータを作成するように構成されており、
レーザ超音波装置を用いて前記試験体の少なくとも一部をスキャニングすることにより、前記試験体における応力影響についての第1のレーザ超音波スキャン情報を作成し、前記レーザ超音波装置は、前記試験体から離間して配置されており、
前記第1のレーザ超音波スキャン情報を保存し、
前記試験体を機械的に試験し、
前記試験体を機械的に試験している間に、前記試験体における応力影響の以降の複数回のレーザ超音波スキャニングを行い、
前記以降の試験体のレーザ超音波スキャン情報の其々を保存し、
前記以降の試験体のレーザ超音波スキャン情報の其々を、前記試験体の以前の対応するレーザ超音波スキャン情報と比較し、
前記第1のレーザ超音波スキャン情報からのスキャンデータを、前記固定NDIセンサからの前記固定センサデータと統合する、方法。
【請求項2】
前記試験体の前記少なくとも一部をスキャニングすることにより前記第1のレーザ超音波スキャン情報を作成することは、前記試験体の実質的に全体をスキャニングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スキャンデータと固定センサデータとを統合することは、前記スキャンデータ及び前記固定センサデータに応じて、中止することなく前記機械的試験を試験条件を変更して行うことを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記以降の複数回のレーザ超音波スキャニングを行うことは、前記試験体の複数の部分をスキャニングすることを含む、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
1つ以上の緊急の関心対象領域を決定することをさらに含み、
前記以降の複数回のレーザ超音波スキャニングを行うことは、緊急の関心対象領域の其々に対応する前記試験体の一部をスキャニングすることを含む、請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の緊急の関心対象領域に対して、以前のレーザ超音波スキャンの解像度よりも高解像度レーザ超音波スキャンを行うことをさらに含み、前記高解像度レーザ超音波スキャンは、全波形スキャンの密度を増加させることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記試験体の前記少なくとも一部をスキャニングすることにより前記第1のレーザ超音波スキャン情報を作成することは、第1の解像度で行われ、前記1つ以上の緊急の関心対象領域の前記高解像度レーザ超音波スキャンを行うことは、第2の解像度で行われ、前記第2の解像度は、前記第1の解像度よりも大きい、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の緊急の関心対象領域を決定することは、1つ以上の固定NDIセンサからのデータに基づいて三角測量を行うことを含む、請求項5~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記試験体の前記少なくとも一部をスキャニングすること、及び、前記以降の複数回のレーザ超音波スキャニングを行うことは、前記試験体の深さ全体にわたって損傷の発生及び進行を検出することを含む、請求項5~8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
機械的試験に対する前記試験体の反応をマッピングすることをさらに含む、請求項1~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
前記レーザ超音波装置を用いて前記試験体の少なくとも一部をスキャニングすることは、パルスレーザビームを発生させて前記試験体に照射することにより、前記試験体内に局所的な熱膨張領域を形成し、これにより超音波を発生させることを含む、請求項1~10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記レーザ超音波装置から検出レーザビームを出射することと、
前記試験体の面に前記検出レーザビームを投射することと、
前記超音波に起因する前記検出レーザビームの変化を測定することと、をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記以降の複数回のレーザ超音波スキャニングを行うこと、及び、前記以降のレーザ超音波スキャン情報の其々を比較することは、リアルタイムで行われる、請求項1~12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
前記固定NDIセンサを取り付けることをさらに含み、
前記固定NDIセンサを取り付けることは、前記試験体の面に、複数の固定NDIセンサを互いに離間させて取り付けることを含む、請求項1~13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
前記固定NDIセンサは、前記試験体内にAスキャン、板波、及び、表面波のうちの1つ以上を発生させる超音波トランスデューサを含み、前記方法は、さらに、
前記固定NDIセンサを用いて、前記試験体を内部的に調べるための音波を発生させることと、
前記音波の周波数を制御することと、をさらに含む、請求項1~14のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、試験体における応力影響、損傷、及び/又は異常を可視化するために、レーザ超音波スキャン及び固定非破壊検査センサを用いて、当該試験体を試験及び/又は検査するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合構造体は、その設計及び/又は製造中、ならびに、使用が開始されてからも、構造的検査を受けることが多い。例えば、複合構造体を機械的に試験するには、機械装置を用いて、複合構造体を屈曲させたり、複合構造体を周期的に曲げたり、複合構造体に限界負荷をかけたりする。場合によっては、このような作業は、複合構造体の設計及び製造中に行われ、これにより、複合構造体中の疲労欠陥の発生及び進行が分析される。
【0003】
固定の非破壊検査(NDI)センサを試験片又は試験体(例えば試験対象の複合構造体)に取り付けることにより、応力又は損傷の兆候を、試験中に検出することができる。有限要素解析によって試験体における最も効果的であると判断された部分に、一点型の超音波トランスデューサ(single point ultrasonic transducers)が取り付けられることが多い。しかしながら、これらの固定センサは、センサの下の領域のデータのみを収集する傾向にあり、従って、複合構造体全体を監視することはできない。非想定箇所に損傷などの兆候があったとしても、そのような想定外箇所に関するデータは、密度が低かったり、存在しなかったりする場合がある。想定外の損傷の兆候があった場合、技術者は、試験を中止して、構造体の別の箇所からデータを取得するために、固定センサを配置し直す必要がある。このことにより、試験全体が無効になる(従って最初からやり直す必要が生じる)ことがしばしばある。これは、例えば、固定センサを安全に取り外して、複合構造体に付与している試験応力を解除せずに再配置することができない場合などである。
【0004】
また、例えば光学試験、IRサーモグラフィ、及び、デジタル画像相関などの、現在の非接触試験法は、到達深さが限られており、十分な情報を与えることができない場合が多い。マイクロ波及びレーダーによる試験法などの他の方法では、しばしば、解像度が低いために限界がある。X線による試験法では高解像度を実現しうるが、複合構造体、特に、大型の複合部品にはあまり好適ではない。さらに、これらの従来の試験システムは、大型で、移動が難しい傾向にある。
【0005】
レーザ超音波非破壊検査システムを用いて、複合材料の構造的完全性(structural integrity)を確認することも行われている。このプロセスでは、パルス発生レーザが試験体の面に照射され、材料の浅い部分(例えば試験体の表面側の10~100ミクロン)にビームが吸収される。パルスレーザエネルギーの急激な吸収により局所的な加熱が起こり、これにより材料が膨張して(熱弾性膨張)、応力波が発生する。これらの波は、試験体の内部又は面における関心対象部分を通った後に、検出レーザビームの表面位置へと伝播する。この結果としての表面変位が、レーザ超音波受信機で測定される。次に、測定信号が処理されることにより、所望の情報が取得され、表示される。しかしながら、これらの従来のレーザ検査システムは、解像度に限界があるため、構造的完全性の監視及び損傷の判定をリアルタイムで行うには能力的な限界があり、試験片に対する直接の見通し線(direct line of sight)が必要であったり、レーザ検査システムでスキャニングできる厚みに限界があったりする。
【発明の概要】
【0006】
本開示のシステム及び方法は、構造体における損傷の兆候を、構造試験中にリアルタイムで(例えば損傷が進行している間に)測定、特定、及び観測するように構成されうる。このようなシステム及び方法では、例えば、構造体に取り付けられた1つ以上の非破壊検査(NDI)センサからのデータと、レーザ超音波装置(構造体に対して非接触である)によって実行されたレーザ超音波スキャンによるデータとを用いる(例えば統合する)。いくつかのシステムにおいて、構造体は、構造体の1つの側のみにアクセスして検査される。このようなシステム及び方法を用いて、例えば、使用中(組み付け状態)の部品を、元の製造プロセス中に取得した完成時記録と比較することができる。
【0007】
試験体(例えば複合構造体)を試験するための開示の方法は、試験体に対して固定されたNDIセンサによって前記試験体を監視すること、レーザ超音波装置を用いて前記試験体の少なくとも一部をスキャニングすること、第1のレーザ超音波スキャン情報を保存すること、及び、前記試験体を機械的に試験すること、を含みうる。前記試験体を機械的に試験している間に、前記試験体における応力影響の以降の複数回のレーザ超音波スキャニングを行い、前記以降の試験体のレーザ超音波スキャン情報の其々を、前記試験体の以前の対応するレーザ超音波スキャン情報と比較するために、前記以降の試験体のレーザ超音波スキャン情報の其々を保存する。開示の方法において、固定NDIセンサは、前記試験体における損傷の兆候を監視するように構成することができ、さらに、試験体に関連する固定センサデータを作成するように構成することができる。レーザ超音波装置が複合構造体をスキャンする度に、試験体における応力影響についてのレーザ超音波スキャン情報が作成され、このようなスキャン情報からのデータを固定NDIセンサからの固定センサデータと統合することにより、複合構造体における損傷を監視及び/又は判定する。固定NDIセンサは、概して複合構造体の面に配置される一方、レーザ超音波装置は、概して、複合構造体から離間している(例えば非接触である)。開示の方法によれば、機械的試験中に複合構造体の試験プランを再構成することにより、開示のシステム及び方法によって検知された、応力分析で予測されなかった領域における突然の損傷又は応力の兆候に、対応することが可能である。
【0008】
試験体を試験するための本開示のシステムは、前記試験体と、前記試験体から離間して配置されたレーザ超音波装置と、前記試験体に対して固定された(例えば、前記試験体の面上で互いに離間している)複数の固定NDIセンサと、プロセッサとを含む。前記レーザ超音波装置は、レーザビームを発生させて前記試験体に照射することにより、前記試験体に複数の超音波を発生させるように構成することができる。レーザ超音波装置は、さらに、検出レーザビームを発生させるとともに、前記複数の超音波に起因する前記検出レーザビームの変化を測定するように構成することができる。前記レーザ超音波装置は、さらに、前記試験体の機械的試験中に、周期的に前記試験体の少なくとも一部をスキャンして、前記試験体における応力影響についてのレーザ超音波スキャン情報を作成するように構成することができる。各固定NDIセンサは、当該固定NDIセンサの位置に対応する試験体の箇所に関連する固定センサデータを作成するように構成することができる。プロセッサは、前記試験体の機械的試験中に前記試験体を監視及び検査するために、前記複数のNDIセンサからのデータと、前記レーザ超音波装置によって作成された前記レーザ超音波スキャン情報からのデータとを統合するように構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】1つ以上の複合部品を含む航空機の一例の概略図である。
図2】本開示による、複合構造体を試験するためのシステムの例示的な実施例の概略図である。
図3】本開示による複合構造体を試験するためのシステムを含む試験環境のブロック図である。
図4】本開示の方法による、試験体の面を調べるための様々な音波を示す概略図である。
図5】本開示による、複合構造体を試験するための方法の概略フローチャート図である。
図6】航空機の製造及び保守方法を示すブロック図である。
図7】航空機を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、1つ以上の複合構造体10が、装置12に含まれうる。複合構造体10は、航空宇宙産業、自動車産業、電子産業、建設業、軍事産業、娯楽産業、及び/又は、モータースポーツ産業などの、多くの様々な産業及び分野で用いられうる。図1において、一般的に1つ以上の複合構造体10を含む装置12の一例が、航空機14の形態で示されている。航空機14は、民間航空機、軍用航空機、又は任意の他の適当な航空機を含め、任意の適当な形態のものであってよい。図1は、固定翼機の形態の航空機14を示しているが、他の種類及び形態の航空機も本開示による航空機14の範囲内であり、これには、(限定するものではないが)回転翼機及びヘリコプターも含まれる。
【0011】
装置12(例えば航空機14)は、1つ以上の複合構造体を含みうる。例示的且つ非排他的な例として、複合構造体10は、主翼16、胴体18、水平尾翼20、頭上荷物棚22、垂直安定板24、及び、エンジンハウジング26などの航空機構造体に用いることができる。ただし、これに加えて又は代えて、航空機14の他のコンポーネントも、複合構造体10を含みうる。航空機14における複合構造体10の他の用途としては、床パネル、内壁、食品調理室アセンブリ、翼制御面、乗客用収納ラック、推力偏向装置アセンブリ、カプセルパネル、ノーズコーン(nose cone)用アブレーティブシールド(ablative shields)、計器エンクロージャ(enclosure)及びシェルフ、ならびに、隔壁パネルがある。他の産業において、(1つ以上の複合構造体10を含む)装置12は、例えば、宇宙衛星、電子レードーム構造、輸送車両、輸送コンテナ、シェルター、大型アンテナ又は円板反射体、冷凍パネル、高速輸送フロアパネル、船上電子デッキシェルター、貨物パレット、自動車車体、建築カーテンウォール、パーティション、分割パネル、拡張可能病院シェルター、及び/又は、アセンブリの内部構造を含むか、又はその一部であってもよい。
【0012】
図2は、本開示による、複合構造体10などの試験体30を試験するためのシステム28を概略的に示している。例えば、試験体30は、装置12での使用が意図された複合構造体10である。(例えば、複合構造体10は、試験体30の一例である。)本開示によれば、試験体30は、設計段階、製造段階、及び/又は、使用段階において、試験することができる。概して、図において、所与の実施例におそらく含まれる要素は、実線で示しており、所与の実施例において任意である要素は、破線で示している。ただし、実線で示した要素が本開示のすべての実施例に必須というわけではなく、本開示の範囲から逸脱することなく、実線で示した要素を所与の実施例から省くこともできる。
【0013】
システム28は、概して、試験体30、1つ以上の非破壊検査(NDI)センサ32と、レーザ超音波装置31(これは、試験体30とは離間して配置されうる)と、レーザ超音波装置31及びNDIセンサ32からのデータを受信、監視、統合、処理、及び/又は分析するように構成されたプロセッサ34と、を含む。プロセッサ34は、本明細書において、制御ユニット34と称される場合もある。NDIセンサ32は、試験体30に対して固定されている。例えば、1つ以上のNDIセンサ32は、任意の適当な留め具、接着剤、及び/又はその他の結合手段によって、試験体30に装着、連結、固定、又は固着されうる。これに加えて又はこれに代えて、1つ以上のNDIセンサ32は、試験体30から離間した位置に固定されうる。(例えば、NDIセンサ32のうちの1つ以上は、離隔型の広角センサ36(stand-off wide-field sensor)である。)NDIセンサ32は、試験体30における損傷の兆候を監視又は検出するとともに、試験体30に関連した対応する固定センサデータを作成するように構成されている。NDIセンサ32は、概して、試験体30の面38における様々な箇所に、互いに離間して設けられている。いくつかの実施例において、NDIセンサ32は、試験体30の複数の異なる面38に配置されうる。いくつかの実施例において、NDIセンサ32は、例えば有限要素解析によって予測された箇所などの、試験体30における、試験中及び/又は使用中に最も大きい応力及び/又は損傷を受けると予想された領域に配置される。
【0014】
レーザ超音波装置31は、レーザビーム(例えばパルスレーザビーム40)を発生させて試験体30に照射することにより、試験体30内に複数の超音波を発生させるように構成されている。レーザ超音波装置31は、さらに、検出レーザビームを発生させるとともに、レーザビーム40によって試験体30に発生した複数の超音波に起因する当該検出レーザビームの変化を、測定するように構成されている。レーザ超音波装置31は、試験体30の少なくとも一部をスキャンするとともに、試験体30に付与された応力に起因する、試験体30における損傷及び/又は応力影響についての空間レーザ超音波スキャン情報を作成するように構成されている。
【0015】
レーザ超音波装置31は、試験体30から少なくとも0.5メートル離間、少なくとも1メートル離間、少なくとも2メートル離間、少なくとも3メートル離間、及び/又は、少なくとも5メートル離間するなど、試験体30から離間した位置に配置されうる。これに加えて又はこれに代えて、レーザ超音波装置31は、試験体30における、試験対象の部分の外部に配置されうる。例えば、試験体30の第1部分46がシステム28によって試験される場合、レーザ超音波装置31は、試験体30の第2部分48内に配置されるか、あるいは、試験体30から離間して配置される。他の実施例において、レーザ超音波装置31は、試験体30における試験対象部分に配置してもよい。いくつかのシステム28において、レーザ超音波装置31は、レーザビーム40を試験体30の所望の箇所に位置合わせ及び投射するように構成されたアラインメントシステム50を含む。これに加えて又はこれに代えて、レーザ超音波装置31は、試験体に発生した超音波に起因する検出レーザビームの変化を検出するように構成された検出システム52を含みうる。
【0016】
いくつかのシステム28において、試験体30は、機械的試験及び/又は検査を受ける。例えば、試験体30は、機械式応力固定具42を用いて、機械的に試験される(例えば負荷又は応力を与えられる)。機械式応力固定具42は、いくつかのシステム28において、試験体30を試験用に支持及び配置するように構成されている。例えば、機械式応力固定具42は、試験体30のうちのいくつか又はすべてを、特定の位置及び/又は配向に維持するように構成される。いくつかの実施例において、機械式応力固定具42は、航空機の翼の曲げ翼試験を行うこと、試験体30を周期的に曲げること、試験体30を1回以上の疲労サイクルにかけること、試験体30を限界負荷まで屈曲させること、試験体30に静荷重を付与すること、試験体30に外部負荷を付与すること、試験体30を加圧すること、試験体30を内部的に調べること、機械的試験中に試験体30を配置すること、及び/又は、試験体30の機械的試験中に試験体30を移動させること、を行うように構成されている。いくつかの試験法は、試験体30の構造破損を引き起こすおそれがある。レーザ超音波装置31の使用は、そのような場合に有利である。レーザ超音波スキャンは、非接触スキャンである(すなわち、試験体30との物理的接触は一般的に必要でない)ため、試験体30に構造破損がある場合でも、レーザ超音波装置31に対する損傷のリスクが少ないからである。また、試験体の試験を行うオペレータ又は技術者は、応力がかかった試験体30から離れた位置に居ることができ、安全である。
【0017】
使用においては、NDIセンサ32が監視され、試験体30が、レーザ超音波装置31を用いてスキャンされる。通常、試験体30の面38の実質的に全体が、試験の開始時又は開始前にスキャンされるが、他の実施例において、試験体30の面38の一部のみを、試験の開始時又は開始前にスキャンしてもよい。試験体30の面38の一部又は全体がレーザ超音波装置31によってスキャンされる度に、試験体30における応力影響についてのレーザ超音波スキャン情報が作成される。これらのレーザ超音波スキャン情報は、試験体30の面38に関する応力影響、既存状態、製造欠陥、及び/又は損傷を、空間的にマッピングしたものである。応力影響とは、試験体30に対するあらゆる応力影響及び/又は損傷を含み、例えば、試験体30における層剥離、空隙(例えば表面下の空隙)、結合破壊、亀裂、微小亀裂、表面損傷、衝撃による損傷、水分、腐食、疲労欠陥、及び/又は、歪み欠陥(skewed defects)が含まれる。レーザ超音波スキャン情報は、試験体30に関する追加の情報も与える構成とすることができ、このような情報には、例えば、厚み測定値、材料特性、及び/又は、疲労欠陥の発生/進行などがある。
【0018】
機械的試験中において、レーザ超音波装置31は、試験体30のスキャンを複数回行い、これは、例えば、試験体30の面38の少なくとも実質的に全体のスキャン、及び/又は、試験体30の面38の一部のスキャンである。いくつかの実施例において、試験体30の面38のできるだけ多くの部分をスキャンするための処置を講じることができる。例えば、ガイド波を用いて、試験体におけるNDIセンサ32が固定された領域及び/又は関心対象領域の周囲に、波動伝播をガイド又は「誘導」してもよい。このようなガイド波は、例えば、レーザ超音波装置31から面38に向けて送信されるレーザビームとは干渉しないように配置された、離隔型のトランスデューサによって送信してもよい。これに加えて又はこれに代えて、NDIセンサ32を、可能な限りレーザ超音波装置31と面38との間の見通し線を遮らないように、面38に配置してもよい。例えば、NDIセンサ32を、試験体30の周辺領域、及び/又は、試験体30における、レーザ超音波装置31によってスキャンされる面38から遠い側あるいは後方側に配置してもよい。これに加えて又はこれに代えて、レーザ超音波装置31は、各NDIセンサ32の第1の側で、面38の所与の領域に照射することができるガイド波又は構造波を発生させた後、当該NDIセンサ32の第2の側で、面38の領域内で得られる信号をピックアップするように構成してもよい。これに加えて又はこれに代えて、あるNDIセンサ32があるために面38の特定の領域のレーザ超音波スキャンデータが不明瞭になっている場合、当該NDIセンサ32からのデータを用いて、面38の当該領域についての情報を提供し、そのデータを統合させて、面38の当該領域のレーザ超音波スキャン情報を効果的に完成させることができる。
【0019】
いくつかの実施例において、レーザ超音波装置31は、試験中に、試験体30のうちの一部又はすべての周期的なスキャンを行う。いくつかの実施例において、以下により詳しく説明するように、レーザ超音波装置31は、試験体30のターゲット領域のスキャンを行う。ターゲット領域は、固定されたNDIセンサ32からのデータによって示唆される関心対象領域や、以前のスキャンに検出された変化に基づいてデータによって示唆される関心対象領域である。各レーザ超音波スキャン情報は、(例えば制御ユニット34によって)保存され、これにより、各レーザ超音波スキャン情報を、これに対応する以前の超音波スキャン情報と比較して、試験体30における変化を監視することができる。
【0020】
システム28は、NDIセンサ32からの固定センサデータを、1つ以上のレーザ超音波スキャン情報からのデータと統合するように構成されている。従って、システム28は、例えば、試験体30の機械的試験(例えばサブスケール又はフルスケールの機械的試験)、試験体30の分析検証、試験体30の検査、及び/又は、試験体30の使用中検査(例えば、使用中(組み付け状態)の部品を元の製造プロセス中に取得した完成時(as-built)記録と比較すること)に用いることができる。本明細書に記載のように、NDIセンサ32と組み合わせたレーザ超音波装置31の使用を好適に構成することにより、大型の試験体30や試験体30の最適領域を、効率的に監視することができる。
【0021】
いくつかのシステム28は、レーザ超音波装置31による、試験体30の複数回のレーザ超音波スキャンの実行を自動化するように構成されたクローラシステム44を含む。例えば、レーザ超音波装置31を、クローラシステム44に収容したり、支持させたり、取り付けたりすることができ、クローラシステムは、例えば、試験体30に対してレーザ超音波装置31を移動及び配置するように構成された移動システムである。従って、クローラシステム44は、例えば、試験体30の複数の異なる箇所又は部分のレーザ超音波スキャンを行えるよう、レーザ超音波装置31を、複数の異なる位置に配置するように構成される。例えば、クローラシステム44は、試験体30の第1部分46のレーザ超音波スキャンを行うために、試験環境45内の第1位置にレーザ超音波装置31を配置し、次に、クローラシステム44は、試験体30の第2部分48のレーザ超音波スキャン行うために、試験環境45内の第2位置に、レーザ超音波装置31を移動させる。これに加えて又はこれに代えて、クローラシステム44は、試験体30の面(例えば面38)上を移動するように構成することができる。他の例において、レーザ超音波装置31を、別の移動プラットフォーム(例えば、カート又はトラックもしくはボートなどのビークル)、あるいは、システムタワー、ガントリー、または三脚などの固定構造体に、取り付け、連結、支持、及び/又は収容してもよい。
【0022】
試験体30は、任意の適当な試験体であってよい。いくつかの実施例において、試験体30は、航空機での使用が意図されているか、あるいは、既に航空機に使用されている複合構造体(例えば図1の航空機14の複合構造体10)であってよい。いくつかの実施例において、試験体30は、複雑な三次元輪郭を有する複合構造体である。いくつかの実施例において、試験体30は、大型構造体(例えば航空機の大型胴体セクション)であったり、アクセスが困難な小さい半径の領域を含むものであったりする。例えば、試験体30は、航空機の胴体ストリンガーであってもよい。いくつかの実施例において、試験体30は、危険及び/又はアクセス不可能もしくはアクセスが困難なコンポーネント又は構造体である。試験体30は、開発中(例えば設計段階)の試験品であってもよく、機械的試験によって、当該試験体の設計が評価される。他の例において、試験体30は、製造されている試験品であり、機械的試験によって、製造中又は製造後の部品を検査及び/又は認定する。他の例において、試験体30は、既に使用中の試験品であり、機械的試験によって、修理が必要な損傷や、使用中の部品の取り外し及び交換が求められる損傷がないか、検査する。試験体30は、サブスケールの複合構造体、ミッドスケールの複合構造体、及び/又はフルスケールの複合構造体でありうる。いくつかの実施例において、試験体30は、金属材料及び/又は他の材料によって形成されている。
【0023】
NDIセンサ32は、試験体30をほとんどあるいは全く損傷させずに、試験体30の性能又は状態についての情報を提供することができる、任意の適当なNDIセンサであってよい。いくつかのシステム28において、NDIセンサ32のうちの少なくとも1つは、例えば、アコースティックエミッションセンサ、PZTトランスデューサ、NDIセンサ、超音波トランスデューサ、接着PZTセンサ、光ファイバーセンサ、離隔型サーモグラフィシステム、応力ゲージ、使用中部品のオンボードセンサ、及び/又は、歪みゲージである。システム28は、通常、複数のNDIセンサ32を含むが、実施例によっては、1つのNDIセンサ32を用いる場合もある。システム28は、複数種類のNDIセンサ32を含んでもよいし、1種類のみのNDIセンサ32を含んでもよい。いくつかの実施例において、システム28は、異なる種類の波動を試験体30に発生させる超音波トランスデューサの形態のNDIセンサ32を含む。例えば、システム28は、試験体30にAスキャンを発生させる1つ以上のNDIセンサ32、板波を発生させる1つ以上のNDIセンサ32、及び/又は、表面波を発生させる1つ以上のNDIセンサ32を含みうる。これに加えて又はこれに代えて、システム28は、試験体30の接合ラインを調べるように構成された界面波(例えばストンリー波)を発生させる構成の1つ以上のNDIセンサ32、試験体30の微小亀裂及び/又は表面損傷を調べるように構成された表面波(例えばレイリー波)を発生させる構成の1つ以上のNDIセンサ32、試験体30における衝撃による層剥離、結合破壊、及び/又は亀裂を調べるように構成されたラム波を発生させる構成の1つ以上のNDIセンサ32、及び/又は、試験体30における歪み欠陥を調べるように構成されたせん断垂直波(shear vertical waves)を発生させる構成の1つ以上のNDIセンサ32を含みうる。
【0024】
図3は、(レーザ超音波装置31の一例である)レーザ超音波装置54を用いて試験体30又はその部分を検査する試験環境45の一例のブロック図である。図示のように、レーザ超音波装置54は、レーザシステム56、投射システム58、及び、検出システム52を含む。レーザシステム56は、発生レーザシステム60、検出レーザシステム62、及び、場合によっては伝送システム64を含みうる。
【0025】
使用においては、レーザシステム56の発生レーザシステム60が、(レーザビーム40の一例である)レーザビーム66を発生させる。レーザビーム66は、例えば、パルスレーザビーム68の形態である。パルスレーザビーム68は、レーザエネルギーのパルスによって形成される。換言すれば、パルスレーザビーム68は、ビームの形で出射される光のパルスによって形成されている。同様に、検出レーザシステム62は、検出レーザビーム70を発生させる。検出レーザビーム70は、例えば、パルス検出レーザビーム72の形態をとりうる。
【0026】
例示的な一実施例において、発生レーザシステム60及び検出レーザシステム62は、二酸化炭素(CO2)レーザシステムを用いて実施されうる。別の例示的な一実施例において、発生レーザシステム60及び検出レーザシステム62は、イッテルビウム添加ファイバーレーザシステム又は他の種類のレーザシステムを用いて実施されうる。もちろん、他の例示的な一実施例において、発生レーザシステム60及び検出レーザシステム62は、他の種類のレーザシステムを用いて実施することもできる。
【0027】
レーザビーム66及び検出レーザビーム70は、出力74において、レーザシステム56から出射される。出力74は、レーザビーム66及び検出レーザビーム70が自由空間又は空気中に入る点である。いくつかの例示的な実施例において、レーザビーム66及び検出レーザビーム70は、伝送システム64を用いて、出力74から出射されうる。伝送システム64は、レーザビーム66及び検出レーザビーム70を、其々、発生レーザシステム60及び検出レーザシステム62から、出力74に誘導するように構成することができる。伝送システム64は、多くの様々な形態を取ることができる。例示的な一実施例において、伝送システム64は、例えば、限定するものではないが、導波管、連結された一連の導波管、光ファイバーシステム、又は他の何らかの種類の構造体の形態をとる。伝送システム64が用いられる場合、レーザシステム56の出力74が、伝送システム64の出力である。
【0028】
レーザシステム56は、レーザシステム56の出力74が、複合構造体10の領域76にアクセスできる位置にくるように、試験体30(例えば複合構造体10)に対して配置されうる。いくつかの実施例において、領域76は、アクセスが制限される領域である。例えば、領域76は、複合構造体10における、ベイ(bay)、区画部分、中空部、キャビティ、又は他の何らかの種類のアクセス制限領域である。他の例において、領域76は、アクセスが制限されていない領域であってもよく、これに加えて又は代えて、領域76は、単に、複合構造体10の一部又は全体のレーザ超音波スキャンを行うための開始位置に相当しうる。図1の複合構造体10における第1部分46及び第2部分48は、領域76の例である。
【0029】
レーザ超音波装置54は、例えばレーザ超音波装置54の大きさに対する領域76の相対的な大きさ及び構成に応じて、領域76の外部に配置してもよいし、領域76内に配置してもよい。いくつかの実施例において、レーザ超音波装置54の一部を領域76の外部に配置する一方、レーザ超音波装置54の別の部分を領域76内に配置してもよい。例えば、領域76は、航空機の翼のウィングボックス内のベイである。例えば、レーザシステム56は、このようなベイに進入することができないものの、レーザ超音波装置54の移動プラットフォーム78は、当該領域76内に進入又は配置することができる。移動プラットフォーム78は、移動が可能な任意の種類のプラットフォームであってよい。例示的な一実施例において、移動プラットフォーム78は、クローラシステム44などのロボットビークルの形態を取りうる。いくつかの実施例において、投射システム58は、移動プラットフォーム78と関連付けられうる(例えば移動プラットフォームに連結又は配置される)。いくつかの実施例において、レーザシステム56は、移動プラットフォーム78と関連付けられうる。
【0030】
レーザシステム56は、移動プラットフォーム78に配置されるかどうかに関わらず、レーザビーム66及び検出レーザビーム70が領域76に照射されるようにレーザシステム56の出力74が領域76に対して位置づけられるよう、配置される。投射システム58は、レーザビーム66及び検出レーザビーム70を受信するように構成されうる。また、投射システム58は、レーザビーム66及び検出レーザビーム70を、領域76内の複合構造体10の面38に投射するように構成されうる。いくつかの実施例において、投射システム58は、レーザビーム66及び検出レーザビーム70を、面38における同じ箇所に投射する。他の実施例において、レーザビーム66と検出レーザビーム70とを、面38における異なる箇所に投射してもよい。投射システム58は、多くの様々な方法で実施することができる。例えば、投射システム58は、ミラー、プリズム、レンズ、回転回折格子、ミラージンバルシステム(mirror-based gimbal system)、ビームディレクタ(beam-director)ユニット、ガルバノメーター、ミラーガルバノメーター、ガルバノメータースキャナ、又は他の何らかの種類の装置のうちの少なくとも1つを用いて、実施することができる。
【0031】
いくつかの例示的な実施例において、レーザ超音波装置54は、アラインメントシステム50を含み、当該アラインメントシステムは、出力74から出射されたレーザビーム66及び検出レーザビーム70を投射システム58で確実に受信させるように、構成することができる。換言すれば、アラインメントシステム50は、レーザビーム66及び検出レーザビーム70を、投射システム58に位置合わせするように構成することができる。この種のアラインメントは、例えば、レーザビーム66及び/又は検出レーザビーム70の経路方向を1回以上変化させることを必要する。これに加えて又はこれに代えて、アラインメントシステム50は、レーザビーム66及び検出レーザビーム70を面38における所望の箇所に確実に投射させるように、構成することができる。アラインメントシステム50は、多くの様々な方法で実施することができる。例えば、アラインメントシステム50は、ミラー、プリズム、レンズ、回転回折格子、ミラージンバルシステム、ビームディレクタユニット、ガルバノメーター、ミラーガルバノメーター、ガルバノメータースキャナ、検出器、クアドラントセル検出器(quadrant cell detector)、及び/又は、他の何らかの種類の装置のうちの少なくとも1つを含みうる。いくつかの実施例において、アラインメントシステム50の少なくとも一部は、移動プラットフォーム78と関連付けられうる。いくつかの実施例において、アラインメントシステム50の少なくとも一部は、領域76内に位置する別のプラットフォームと関連付けられうる。この別のプラットフォームは、複合構造体10の検査又は試験中に、領域76内に固定される構成のものでもよいし、領域76内で移動可能なものであってもよい。
【0032】
レーザビーム66が面38に当たると、複数の超音波82又は応力波82が、複合構造体10内に形成される。超音波82は、検出システム52及び検出レーザビーム70を用いて、検出することができる。例えば、検出レーザビーム70が少なくとも1つの超音波82に当たると、検出レーザビーム70が変化する。この変化は、検出レーザビーム70の経路、強度、位相、周波数、又は他の何らかの特性の変化を含みうる。検出レーザビーム70のあらゆる変化が、検出システム52によって検出されうる。検出システム52は、試験体30の面38における1つ以上の検出ポイントからの信号83を検出するように構成することができ、当該信号は、所定の各箇所における変化した検出レーザビーム70に対応するものである。いくつかのシステム28において、情報(例えば信号83)は、例えば反射又は透過法(through-transmission)によって、1つ以上の検出ポイントで収集される。例示的な一実施例において、検出システム52は、干渉法による検出システムの形態をとる。
【0033】
いくつかの実施例において、検出システム52の少なくとも一部を、移動プラットフォーム78と関連付けてもよい。いくつかの実施例において、検出システム52の少なくとも一部を、領域76内に位置する別のプラットフォームと関連付けてもよい。この別のプラットフォームは、複合構造体10の検査又は試験中に、領域76内に固定される構成のものでもよいし、領域76内で移動可能なものであってもよい。いくつかの実施例において、レーザシステム56及び検出システム52を、複合構造体10の領域76に対する遠隔位置に設けられたプラットフォームと関連付けてもよい。
【0034】
検出システム52は、検出レーザビーム70を検出すると(例えば信号83などの情報に応えて)、データ84を生成する。データ84を用いて、複合構造体10についての情報を特定することができる。例えば、制御ユニット34は、検出システム52からデータ84を受信した後、複合構造体10についての情報をフィルタリング、処理、保存、及び/又は表示するように構成することができる。このような情報は、例えば、限定するものではないが、複合構造体10の厚み、複合構造体10の材料組成、複合構造体10に何らかの欠陥があるかどうかの兆候、及び/又は、その他の種類の情報を含む。
【0035】
レーザシステム56、投射システム58、検出システム52、及び/又は、アラインメントシステム50は、制御ユニット34を用いて制御することができる。制御ユニット34は、ハードウェア、ソフトウェア、又はこれら2つの組み合わせによって、実現することができる。例示的な一実施例において、制御ユニット34は、1つ以上のコンピュータを含むコンピュータシステム内で、実現することができる。コンピュータシステム内に複数のコンピュータが存在する場合、これらのコンピュータは、互いに通信しうる。別の例示的な実施例において、制御ユニット34は、実施態様に応じて、1つ以上のプロセッサ、マルチプロセッサコア、及び/又は、その他の種類のプロセッサを用いて実現されうる。これに加えて又はこれに代えて、制御ユニット34は、回路システム、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス、又はその他の適当な種類のハードウェアユニットを用いて実現されうる。制御ユニット34の一部は、いくつかの実施例において、レーザシステム56と関連付けられる。これに加えて又はこれに代えて、制御ユニット34の一部を、移動プラットフォーム78と関連付けてもよい。例えば、制御ユニット34の一部を、ロボットビークル80のコントローラに組み込んでもよい。いくつかの実施例において、制御ユニット34の少なくとも一部は、レーザシステム56、移動プラットフォーム78、投射システム58、及び/又は、検出システム52とは独立して実現される。このような実施例では、レーザシステム56、移動プラットフォーム78、投射システム58、及び/又は検出システム52は、複数の通信リンクを用いて、制御ユニット34からのコマンドの受信及び/又は制御ユニットへのデータの送信を行うように構成されうる。このような通信リンクは、例えば、限定するものではないが、複数の有線通信リンク、複数の無線通信リンク、複数の光通信リンク、及び/又は他の種類の通信リンクを含みうる。
【0036】
制御ユニット34は、移動プラットフォーム78の領域76内での移動あるいは領域76に対する移動などの、移動プラットフォーム78の移動を制御するように構成することができる。制御ユニット34は、例えば、限定するものではないが、複合構造体10の画像、スキャン情報、コンピュータ支援設計(CAD)モデル、及び/又は他の種類のデータを用いて、移動プラットフォーム78を誘導するためのコマンドを生成する。いくつかの場合において、制御ユニット34は、測位システム86から受信したデータを用いて、移動プラットフォーム78及び/又はレーザ超音波装置54の他のコンポーネントの移動を、誘導及び/又は指示することができる。例示的な一実施例において、測位システム86の少なくとも一部は、移動プラットフォーム78と関連付けられる。測位システム86は、例えば、限定するものではないが、レーザ装置、撮像システム、モーションキャプチャシステム、レーザ検出システム、及び/又は、領域76及び/又は複合構造体10に対する移動プラットフォーム78の位置を監視するために用いられるその他の種類のシステム又は装置を含む。このようにして、任意の時点における、移動プラットフォーム78(又はレーザ超音波装置54の他の実施態様)の領域76内での位置又は複合構造体10に対する位置を利用して、領域76内又は複合構造体10に対する次の位置に、移動プラットフォーム78を誘導することができる。いくつかの実施例において、レーザシステム56は、複合構造体10の外に移動することにより、レーザビーム66及び/又は検出レーザビーム70が領域76に入射する方向を変更するように、構成することができる。場合によっては、アラインメントシステム50を用いて、レーザビーム66及び検出レーザビーム70が領域76内に照射される方向を変更してもよい。
【0037】
制御ユニット34は、本明細書に記載の制御ユニット又はプロセッサの機能を実行するように構成された任意の適当な装置であってよい。例えば、制御ユニットは、電子制御装置、専用の制御装置、特殊用途制御装置、パーソナルコンピュータ、特殊用途コンピュータ、ディスプレイ装置、ロジック・デバイス、メモリ装置、及び/又は、本開示によるシステム及び/又は方法の態様を実施するためのコンピュータ実行可能命令を格納するのに適したコンピュータ可読媒体を有するメモリ装置のうちの1つ以上を含みうる。
【0038】
試験環境45は、図2図3に示したものに加えて又は代えて、他のコンポーネントを含みうる。図示のコンポーネントのいくつかは、任意である。また、図2図3に示したブロックは、いくつかの機能的なコンポーネントを表しているが、例示的な実施例においてこれらのブロック実施する際は、1つ又は複数を組み合わせたり、分割したり、組み合わせてから異なるブロックに分割したりすることができる。
【0039】
次に図4を参照すると、システム28は、例えば試験体30に連結された1つ以上のNDIセンサ32を含み、これらは、試験体30における特定の種類の欠陥又は応力影響を調べるための音波を発生させるように構成されたものである。例えば、1つ以上のNDIセンサ32は、例えば試験体30の部分90が面38に接着されている接合ライン92などの接合ライン92を調べるための界面波88(例えばストンリー波)を発生させるように構成することができる。これに加えて又はこれに代えて、1つ以上のNDIセンサ32は、試験体30における衝撃による層剥離、結合破壊、及び/又は亀裂を調べるためのラム波94を発生させるように構成することができる。これに加えて又はこれに代えて、1つ以上のNDIセンサ32は、試験体30における歪み欠陥を調べるためのせん断垂直波96を発生させるように構成することができる。これに加えて又はこれに代えて、1つ以上のNDIセンサ32は、試験体30の微小亀裂及び/又はその他の表面損傷を調べるための表面波98(例えばレイリー波)を発生させるように構成することができる。様々な実施例において、1つ以上のNDIセンサ32によって、所望の様々な周波数の波動を発生させることができる。いくつかの実施例において、各NDIセンサ32によって発生させる周波数を、試験体30の機械的試験又は検査の最中に変更してもよい。いくつかの実施例において、所与のNDIセンサ32を、試験体の機械的試験又は検査中のある特定の時間にだけ音波を発生させる構成としてもよい。いくつかの実施例において、1つ以上の各NDIセンサ32が、試験体の試験中に、試験体30の1つ以上の選択された箇所又は領域で、選択的に音波を発生させるように、システム28を構成してもよい。例えば、応力影響又は損傷が検出された際に、試験体30における、そのような損傷又は応力影響が検出された領域内又はその近傍に位置する1つ以上の各NDIセンサ32が、選択的に音波を発生させる構成とすることにより、そのような応力影響又は損傷をさらに調査又は判定することができる。
【0040】
図5は、本開示による、試験体を試験及び/又は検査するための方法100の例示的且つ非排他的な例を表す概略フローチャートである。図5において、破線のボックスで示している工程があるが、これは、このような工程が任意のものであるか、或いは、本開示による方法の任意の態様に対応するものであることを示している。ただし、本開示によるすべての方法が、実線のボックスで示した工程を必ずしも含む必要はない。本明細書における説明から理解されるように、図5に示した方法及び工程は、限定的なものではなく、図示の工程数より多い工程又は少ない工程を有する方法も含め、他の方法及び工程も、本開示の範囲内である。
【0041】
試験体(例えば試験体30)を試験及び/又は検査するための方法100は、概括的に、102において試験体を監視すること、104においてレーザ超音波装置(例えばレーザ超音波装置31)を用いて試験体の少なくとも一部をスキャニングし、これにより試験体における応力影響についてのレーザ超音波スキャン情報を生成すること、106においてレーザ超音波スキャン情報を保存すること、及び、108において、レーザ超音波スキャン情報からのスキャンデータを、試験体に対して固定された1つ以上のNDIセンサ(例えばNDIセンサ32)からの固定センサデータと統合すること、を含む。本明細書において、レーザ超音波スキャン情報からのスキャンデータを1つ以上のNDIセンサからの固定センサデータと「統合する」とは、試験体を監視及び/又は検査するために、レーザ超音波スキャン情報とNDIセンサとの両方からのデータを、使用、分析、処理、フィルタリング、及び/又は保存することを意味する。これにより得られる統合スキャン情報又は画像は、すべてのソースからのデータ(例えばスキャンデータ及び固定センサデータ)を組み込んでおり、従って、複数のソースからのデータを1つのまとまった完全体に統合したものである。本開示の方法100によれば、試験体は、損傷がないかどうか、リアルタイムで監視される。
【0042】
102において試験体を監視することは、概して、試験体に対して固定された1つ以上のNDIセンサからの固定センサデータを監視することを含む。NDIセンサは、試験体における損傷の兆候を監視するように構成されており、さらに、試験体に関連する固定センサデータを作成するように構成されている。1つ以上の固定NDIセンサは、試験体自体に取り付けてもよい。これに加えて又はこれに代えて、1つ以上の固定NDIセンサを、試験体から離間した位置で、試験体に対して固定してもよい。換言すれば、固定NDIセンサは、例えば1つ以上の広角の離隔型センサを含んでもよく、これには、特に、サーモグラフィセンサ、X線センサ、PZTトランスデューサ、フェーズドアレイセンサ、及び/又は、アコースティックエミッションセンサが含まれうる。いくつかの方法100は、110において、1つ以上のNDIセンサを試験体に取り付けることを含む。いくつかの実施例では、110において、固定NDIセンサは、試験体における、試験体が応力付与されたり使用されたりした際に、最も大きな応力を受けると予測される箇所、及び/又は最も大きな損傷を受けると予測される箇所に、取り付けられる。いくつかの方法は、112においてこのような予測箇所を判定することを含み、この工程は、実施例によっては、110においてNDIセンサを取り付ける前に行われうる。110においてNDIセンサを取り付けることは、いくつかの方法100において、複数の異なる種類のNDIセンサを取り付ける又は固定することを含みうる。一般的に、このように102においてNDIセンサを監視することは、試験体の機械的試験の間中、行われる。
【0043】
104において試験体の少なくとも一部をスキャニングすることは、114において試験体の基準線スキャンを行うことと、116において試験体を周期的にスキャニングすることの両方を含みうる。一般的に、114において基準線スキャンを行うことは、118において試験体の機械的試験又は検査を開始することの前に行われる。(例えば、いくつかの実施例において、114における基準線スキャンは、試験体に応力又は負荷が付与されていない状態で行われうる。)114において基準線スキャンを行うことは、一般的に、レーザ超音波装置を用いて試験体全体をスキャニングすることを含むが、実施例によっては、114における基準線スキャンにおいて、試験体の一部のみをスキャンする場合もある。118において試験体の機械的試験又は検査を開始した後に、116における周期的スキャンが、通常、試験体の一部のみに対して行われるが、周期的スキャンの一部又は全体を、機械的試験中に、試験体全体に対して行ってもよい。116における周期的スキャンは、いくつかの方法100において、最大の応力を受けることが予測されるか、あるいは損傷のリスクが最も高い試験体の箇所に集中して、行われうる。これに加えて又はこれに代えて、116における周期的スキャンは、試験体の試験又は検査中に(120において)判定された緊急の関心対象領域に対応する箇所に集中して行うこともできる。いくつかの方法100において、116における周期的レーザ超音波スキャンは、自動化してもよいし、試験体の所定の領域又は部分から取得したり、試験体の試験又は検査中に特定された領域から取得したりしてもよい。例えば、116において周期的レーザ超音波スキャンを行うことは、クローラシステム(例えばクローラシステム44)及び/又は移動プラットフォーム(例えば移動プラットフォーム78)を適宜設定することにより、レーザ超音波装置を、116において試験体の周期的レーザ超音波スキャンを行うための適所に位置させることを含みうる。
【0044】
116においてレーザ超音波スキャンが行われるたびに、対応するレーザ超音波スキャン情報が作成され、これが106において保存される。これらのスキャン情報が、試験体の様々な箇所における応力影響を表す空間情報を提供する。レーザ超音波スキャンは、116において、試験体の機械的試験又は検査の間中、周期的に行ってもよい。
【0045】
118において試験体を機械的に試験することは、任意の適当な試験方法で試験体を試験することを含みうる。例えば、118において試験体を機械的に試験することは、試験体に機械的に応力又は負荷を付与すること、航空機の翼の曲げ翼試験を行うこと、試験体を周期的に曲げること、試験体を1回以上の疲労サイクルにかけること、試験体を限界負荷まで屈曲させること、静荷重を付与すること、疲労荷重試験、試験体に外部負荷を付与すること、試験体を加圧すること、及び/又は、試験体を内部的に調べること(例えば、試験体に固定された1つ以上のオンボードトランスデューサを用いて低周波負荷を発生させること)を含みうる。いくつかの方法100は、121において試験体を応力固定具(例えば機械式応力固定具42)又は他の試験固定具に装着することを含み、応力固定具は、118における試験体の機械的試験中に、試験体を配置及び/又は移動させるように構成されている。いくつかの実施例において、試験体は、118における機械的試験中は、静止状態に保たれる。118において試験体を試験することは、(例えば分析検証のための)フルスケール、ミッドスケール、及び/又はサブスケールの機械的試験、製造時検査、及び/又は、使用中検査を含みうる。
【0046】
102において試験体を監視することは、固定NDIセンサからの固定センサデータを監視することを含みうる。例えば、102において試験体を監視することは、固定センサデータを収集すること、固定センサデータをフィルタリングすること、固定センサデータを処理すること、固定センサデータを保存すること、及び/又は、固定センサデータを表示することを含みうる。いくつかの方法100において、102において試験体及び固定NDIセンサを監視することは、試験体の非想定領域からのアコースティックエミッション事象がないか監視すること、試験体の非想定領域での亀裂を示す板波又は表面波がないか監視すること、サーモグラフィ画像を監視すること、試験体の表面損傷のビデオ画像を監視すること、デジタル画像相関を行うこと、及び/又は、試験体の表面下損傷の兆候がないか、全視野ひずみ画像(full-field strain image)を監視すること、を含む。このような損傷の兆候は、リアルタイムで測定、特定、及び/又は観測することができる。これに加えて又はこれに代えて、102において試験体及び固定NDIセンサを監視することは、予測とは異なる信号や、最も大きい応力影響があると予測していなかった領域の信号がないか、1つ以上の離隔型の広角センサを監視することを含みうる。
【0047】
118における試験体の機械的試験中に、122においてレーザ超音波スキャン情報同士が比較され、124においてNDIセンサからの固定センサデータがこれらのセンサによる予測値と比較される。例えば、122においてレーザ超音波スキャン情報同士を比較することは、各レーザ超音波スキャン情報を、それより前の1つ以上のレーザ超音波スキャン情報と比較することにより、応力影響による試験体の変化に相当する、スキャン情報間の相違を求めることを含む。いくつかの方法100において、122においてレーザ超音波スキャン情報を比較することは、画像減算を含む。これに加えて又はこれに代えて、122においてレーザ超音波スキャン情報同士を比較することは、試験体の構造が経時的に変化している領域を特定すること(例えば、122においてレーザ超音波スキャン情報を比較することによって特定された変化に対応する、試験体の箇所を特定すること)を含みうる。122においてレーザ超音波スキャン情報同士を比較することは、リアルタイムで行うことができる。いくつかの実施例において、122においてレーザ超音波スキャン情報同士を比較することは、試験体における、欠陥の兆候であるかもしれない異形領域、及び/又は、周囲領域と比べて深さが不釣り合いな領域がないか、レーザ超音波スキャン情報を監視及び/又は調査することを含みうる。
【0048】
102において試験体及び関連する固定NDIセンサを監視することは、124において固定センサデータを予測値と比較することにより、予測信号値と異なる(例えば予測信号値を超えるか、これより低い)固定NDIセンサからの固定センサデータに対応する、試験体の箇所を特定することを含みうる。いくつかの方法100において、このような比較により、試験体における、予測よりも高い応力影響を受けている非想定領域(例えば、応力分析によって予測されなかった領域)を位置特定することができ、このような非想定領域も、本明細書では緊急の関心対象領域と称される。102において試験体及びセンサを監視すること、124において固定センサデータを予測値と比較すること、及び/又は、122においてレーザ超音波スキャン情報同士を比較することは、いくつかの方法100において、自動化又は半自動化される。いくつかの方法100において、このような固定NDIセンサによる予測値及び予測応力箇所を、112において判定してもよい。
【0049】
緊急の関心対象領域は、122においてレーザ超音波スキャン情報同士を比較することにより得られたデータに基づいて、例えば、レーザ超音波スキャン情報が、試験体における非予測領域での損傷の伝播や、予測応力影響よりも高い影響を示している場合に、120において決定することができる。同様に、緊急の関心対象領域は、124において固定NDIセンサからのデータを予測値と比較することにより、例えば試験体の所与の箇所についての固定センサデータが予測値よりも高い場合に、120において決定することができる。いくつかの実施例において、124において固定センサデータを予測値と比較することは、固定NDIセンサを用いて、様々な種類の損傷又は応力影響について試験体を調べるように設定された、特定の種類の(例えばある周波数の)音波を発生させることを含みうる。例えば、124において固定センサデータを予測値と比較することは、試験体の接合ラインを調べるための界面波(例えばストンリー波)を発生させること、試験体の微小亀裂及び/又は表面損傷を調べるための表面波(例えばレイリー波)を発生させること、試験体における衝撃による層剥離、結合破壊、及び/又は亀裂を調べるためのラム波を発生させること、及び/又は、試験体における歪み欠陥を調べるためのせん断垂直波を発生させることを含みうる。いくつかの方法100において、120において緊急の関心対象領域を決定することは、122においてレーザ超音波スキャン情報同士を比較することにより得られるデータと、124において固定センサデータを予測値と比較することにより得られるデータとの両方に基づいて行ってもよく、このようにして、試験体を監視するために、108において、レーザ超音波スキャン情報からのデータと固定NDIセンサからのデータとが統合される。
【0050】
いくつかの方法において、120において1つ以上の緊急の関心対象領域を決定することは、複数の固定NDIセンサからのデータに基づいた三角測量によって、緊急の関心対象領域を決定することを含みうる。これに加えて又はこれに代えて、120において1つ以上の緊急の関心対象領域を決定することは、第1のレーザ超音波スキャン情報と、当該試験体に対して第1のレーザ超音波スキャンの前又は後に行われた、対応する第2のレーザ超音波スキャンによる情報との、1つ以上の相違を特定することを含みうる。
【0051】
一般的に、104において試験体をスキャニングすることは、レーザビームを発生させて(例えば出射して)、これを試験体に(例えば緊急の関心対象領域及び/又は欠陥又は応力影響が予測される領域に向けて)照射することにより、試験体内に局所的な熱膨張領域を形成し、これにより、試験体の面を通過する超音波を発生させることを含む。また、104において試験体をスキャニングすることは、一般的に、(例えばレーザ超音波装置から)検出レーザビームを発生させる(例えば出射する)こと、当該検出レーザビームを試験体の面に投射又は照射すること、及び、超音波に起因する、試験体における検出レーザビームの変化を検出すること、も含む。いくつかの実施例において、104において試験体をスキャニングすることは、パルスエコーレーザ超音波スキャニングを行うことを含む。いくつかの方法100において、104において試験体をスキャニングすることは、試験体の少なくとも一部に対し、1回以上の高密度の全波形スキャニングを行うことを含みうる。104において試験体をスキャニングすることは、試験体の所望の箇所にレーザビームが照射されるように、アラインメントシステムを用いてレーザビームを位置合わせすることを含みうる。
【0052】
本開示によるシステム28は、102、118において試験体を監視及び検査するために、108においてレーザ超音波スキャンによるデータとNDIセンサからのデータとを統合する。108においてレーザ超音波スキャン情報からのデータと固定NDIセンサからのデータとを統合すること(例えば、104において試験体をスキャニングすること、122においてスキャン情報同士を比較すること、102においてセンサを監視すること、124において固定センサデータを予測値と比較すること、及び/又は、120において緊急の関心対象領域を決定すること)は、試験体における損傷の発生及び/又は進行を検出及び監視することを含みうる。いくつかのシステム28は、時間のかかる機械的試験の中止あるいはNDIセンサ32の移動を行うことなく、全体的な損傷成長の形態を判定するように構成される。いくつかの実施例において、108においてレーザ超音波スキャン情報からのデータと固定NDIセンサからのデータとを統合することは、試験体の全深さにわたって損傷を検出することを含みうる。これに加えて又はこれに代えて、108においてレーザ超音波スキャン情報からのデータと固定NDIセンサからのデータとを統合することは、試験体の深さの一部のみ、及び/又は、試験体の表面における損傷を検出することを含みうる。本開示の方法100のいくつかにおいて、108においてレーザ超音波スキャン情報からのデータと固定NDIセンサからのデータとを統合することは、マイクロスケール及び/又はマクロスケールで損傷又は欠陥を検出することを含みうる。いくつかの実施例において、108においてレーザ超音波スキャン情報からのデータと固定NDIセンサからのデータとを統合することは、固定NDIセンサからのデータを用いて、試験体におけるおおよその応力影響領域を特定し、次に、機械的試験を中止することなく、このおおよその領域のレーザ超音波スキャン情報を用いて、より正確に応力影響を位置特定することを含みうる。
【0053】
いくつかの実施例において、104において試験体をスキャニングすることは、126において、1つ以上の緊急の関心対象領域の高解像度の超音波スキャニングを行うことを含む。いくつかの方法において、例えば、114において基準線のレーザ超音波スキャンを行うことは、高解像度スキャンを含み、これに加えて又はこれに代えて、116において行われる周期的スキャンのうちの1つ以上は、高解像スキャンである。いくつかの方法において、104、114、116、及び/又は126で行われるレーザ超音波スキャンのうちの1つ以上は、本開示の方法で行われるレーザ超音波スキャンのうちの他の1つ以上よりも、低解像度又は高解像度で行われうる。換言すれば、方法100は、所与の機械的試験又は検査中に行われるレーザ超音波スキャンの解像度を変更することを含みうる。例えば、116で行われる周期的スキャンのうちの1つ以上は、126における緊急の関心対象領域の高解像度スキャンのうちの1つ以上よりも、低解像度で行われる。本明細書において、「高解像度」とは、80ミル(0.08インチ(in)すなわち2.03ミリメートル(mm))未満、70ミル(0.070in;1.778mm)未満、60ミル(0.060in;1.524mm)未満、50ミル(0.050in;1.27mm)未満、40ミル(0.040in;1.016mm)未満、30ミル(0.030in;0.762mm)未満、20ミル(0.020in;0.508mm)未満、10ミル(0.010in;0.254mm)未満、及び/又は、5ミル(0.005in;0.127mm)未満の空間分解能を有するレーザ超音波スキャンのことをいう。各高解像度スキャンは、126における緊急の関心対象領域の高解像度スキャンも含め、将来のアクセス及び/又は分析用に、保存することができる。126において、緊急の関心対象領域の高解像度スキャンを行うことは、108において固定NDIセンサからのデータとレーザ超音波スキャンによるデータとを統合することの別の例である。
【0054】
固定NDIセンサからのデータとレーザ超音波スキャンによるデータとを統合することのさらなる例として、いくつかの方法100は、128において機械的試験を再構成すること、130において進行形態を判定すること、132においてモデルの開発及び/又は検証を行うこと、及び/又は、134において機械的試験に対する(例えば応力付与に対する)試験体の全体的な反応をマッピングすること、を含みうる。いくつかの方法100において、130では、試験体の機械的試験の中断及び/又は固定NDIセンサの移動(これらは、時間がかかったり、試験を無効にしたりする可能性がある)を行うことなく、損傷の全体的な進行形態が、判定される。例えば、108において固定NDIセンサからのデータとレーザ超音波スキャンによるデータとを統合することにより、試験体における損傷の兆候を特定すること、及び、以降に行われる1回以上のレーザ超音波スキャンを、特定された損傷領域に集中させて、さらなる監視を行うことが可能になる。レーザ超音波装置は、非接触である(例えば、一般的にレーザ超音波装置は試験体に固定されない)ため、試験体の機械的試験に影響を与えることなく、レーザ超音波装置を別の位置に移動又は指向することができる。いくつかの実施例において、128において試験体の機械的試験を再構成又は変更することにより、試験を中断することなく、試験体における突然の損傷の兆候に対応することができる。例えば、試験中に行われるレーザ超音波スキャンの周波数、解像度、及び/又は領域を、変更することができる。これに加えて又はこれに代えて、128において機械的試験を再構成することは、緊急の損傷の兆候に応じて、異なる態様の試験体を調べることができるように、オンボードトランスデューサ(例えば固定NDIセンサのうちの1つ以上)によって発生される音波の周波数を変更すること、及び/又は、NDIセンサ32の配置形状を変更することを含みうる。
【0055】
方法100は、製造プロセスにおける任意の段階で行うことができる。例えば、方法100を用いて、製造欠陥がないか、試験体を試験及び/又は検査することができる。方法100を用いて、使用中(例えば組み付け状態)の部品を、元の製造プロセス中に取得した完成時記録と比較する(例えば使用中部品を検査する)ことができる。
【0056】
本開示の例示的な実施形態は、図6に示した航空機の製造及び保守方法1000に関連させて、また、図7に示した航空機1100(航空機14の一例である)に関連させて、説明することができる。まず、図6を参照すると、同図は、例示的な一実施形態による航空機の製造及び保守方法をブロック図で示している。生産開始前の工程として、航空機の製造及び保守方法1000は、図7の航空機1100の仕様決定及び設計1002及び材料調達1004を含む。生産中は、図7の航空機1100の部品及び小組立品の製造1006及びシステム統合1008が行われる。その後、図7の航空機1100は、例えば認可及び納品1010を経て使用1012に入る。顧客による使用1012の期間中は、図7の航空機1100は、定例の整備及び保守1014のスケジュールに組み込まれ、これは、改良、再構成、改修、及び他の整備又は保守を含みうる。
【0057】
航空機の製造及び保守方法1000の各工程は、システムインテグレータ、第三者、及び/又は、オペレータによって実行又は実施することができる。これらの例において、オペレータは顧客であってもよい。なお、システムインテグレータは、限定するものではないが、航空機メーカ及び主要システム下請業者をいくつ含んでもよい。第三者は、限定するものではないが、売主、下請業者、供給業者をいくつ含んでもよい。オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス組織等であってもよい。
【0058】
まず、図7を参照すると、同図は、例示的な一実施形態を実施しうる航空機をブロック図で示している。この例において、航空機1100は、図6に示した航空機の製造及び保守方法1000によって生産され、複数のシステム1104及び内装1106を備えた機体1102を含みうる。複数のシステム1104は、例えば、推進系1108、電気系1110、油圧系1112、および環境系1114のうちの1つ以上を含む。また、その他のシステムをいくつ含んでもよい。また、航空宇宙産業に用いた場合を例として説明したが、種々の例示的な実施形態を、例えば自動車産業等の他の産業に適用してもよい。
【0059】
本明細書において具現化されているシステム及び方法は、図6の航空機の製造及び保守方法1000の段階のうちの少なくとも1つにおいて採用することができる。例えば、図2のレーザ超音波装置31などのレーザ超音波試験システムを用いて、図6の航空機の製造及び保守方法1000の段階のうちの1つ以上において、航空機1100の様々なコンポーネントを検査することができる。具体的には、レーザ超音波装置31を用いて、航空機の製造及び保守方法1000における部品及び小組立品の製造1006、システム統合1008、認可及び納品1010、使用1012、定期的な整備及び保守1014、及び/又は、いくつかの他の段階において、航空機1100のコンポーネントを検査することができる。
【0060】
例示的な一実施例において、図6の部品及び小組立品の製造工程1006で作製される部品又は小組立品は、図6に示す航空機1100の使用1012中に作製される部品又は小組立品と同様に作製することができる。さらに別の例として、開示の1つ以上のシステム、方法、又はこれらの組合せを、図6に示す部品及び小組立品の製造1006及びシステム統合1008などの生産段階において用いてもよい。これに加えて又はこれに代えて、開示の1つ以上のシステム、方法、又はこれらの組合せを、図6に示す航空機1100の使用1012、及び/又は、整備及び保守1014の段階で用いてもよい。様々な例示的な実施例を用いることによって、いくつかの例において、実質的に、航空機1100の組み立て速度を速めたり、コストを削減したりすることが可能となる。
【0061】
上述の様々な実施例におけるフローチャート及びブロック図は、例示的な実施例による装置や方法について可能ないくつかの実施態様の構造、機能及び処理を示している。この点に関し、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、モジュール、セグメント、機能及び/又は操作や工程の一部を表す場合もある。例えば、ブロックのうちの1つ又は複数を、プログラムコードとして実現してもよいし、ハードウェアで実現してもよいし、プログラムコードとハードウェアの組み合わせで実現してもよい。例示的な実施例の代替の実施態様によっては、ブロックで示した1つ又は複数の機能は、図に示した順とは異なる順で実行されてもよい。例えば、場合によっては、連続して示されている2つのブロックを、関連する機能に応じて、実質的に同時に実行してもよいし、逆の順序で実行してもよい。また、フローチャート又はブロック図に示されたブロックに対して、さらに他のブロックを追加してもよい。
【0062】
様々な例示的な実施例の説明は、例示及び説明のために提示したものであり、すべてを網羅することや、開示した形態での実施例に限定することを意図するものではない。当業者には、多くの改変や変更が明らかであろう。さらに、様々な例示的な実施例は、他の好ましい実施例とは異なる特徴をもたらす場合がある。選択した1つ又は複数の実施例は、実施例の原理及び実際の用途を最も的確に説明するために、且つ、想定した特定の用途に合わせて種々の改変を加えた様々な実施例の開示を当業者が理解できるようにするために、選択且つ記載したものである。
【0063】
本明細書において、「選択的」又は「選択的に」という用語が、装置の1つもしくは複数のコンポーネント又は要素の、動作、動き、構成、又は他の働きを修飾している場合は、そのような特定の動作、動き、構成又は他の働きが、装置の態様又は1つ以上のコンポーネントをユーザーが操作したことの直接又は間接的な結果であることを意味する。
【0064】
本開示による発明の要旨の例示的且つ非排他的な例は、以下に列記の付記に記載されている。
【0065】
A1. 試験体を試験及び/又は検査する方法であって、
前記試験体に対して固定された固定非破壊検査(NDI)センサによって前記試験体を監視し、前記NDIセンサは、前記試験体における損傷の兆候を監視するように構成されており、前記NDIセンサは、前記試験体に関連する固定センサデータを作成するように構成されており、
レーザ超音波装置を用いて前記試験体の少なくとも一部をスキャニングし、これにより、前記試験体における応力影響についての第1のレーザ超音波スキャン情報を作成し、
前記第1のレーザ超音波スキャン情報を保存し、
前記第1のレーザ超音波スキャン情報からのスキャンデータを、前記NDIセンサからの前記固定センサデータと統合する、方法。
【0066】
A1.1. 前記レーザ超音波装置は、前記試験体から離間して配置される、付記A1に記載の方法。
【0067】
A1.2. 前記レーザ超音波装置は、前記試験体における、少なくとも前記スキャニングされる一部の外部に配置されている、付記A1又はA1.1に記載の方法。
【0068】
A1.3. 前記NDIセンサを前記試験体に取り付けることをさらに含む、付記A1~A1.2のいずれかに記載の方法。
【0069】
A1.4. 複数のNDIセンサを前記試験体に取り付けることを含む、付記A1~A1.3のいずれかに記載の方法。
【0070】
A2. 前記スキャニングは、前記試験体を機械的に試験する前に少なくとも1回行われる、付記A1~A1.4のいずれかに記載の方法。
【0071】
A3. 前記スキャニングは複数回行われ、これにより、対応する複数のレーザ超音波スキャン情報を作成する、付記A1~A2のいずれかに記載の方法。
【0072】
A4. 前記スキャニングは、前記試験体を機械的に試験する前と、前記試験体を機械的に試験している最中の少なくとも1回との両方行われる、付記A3に記載の方法。
【0073】
A4.1. 前記スキャニングは、前記試験体を機械的に試験している間に周期的に行われる、付記A3に記載の方法。
【0074】
A5. 前記第1のレーザ超音波スキャン情報は、前記試験体を機械的に試験する前に前記スキャニングを行うことによって作成される基準線スキャン情報であり、以降の前記スキャニングの実行により、以降の対応するレーザ超音波スキャン情報が其々作成される、付記A3~A4.1のいずれかに記載の方法。
【0075】
A5.1. 前記第1のレーザ超音波スキャン情報を保存することは、前記基準線スキャン情報を保存すること、及び、以降の各レーザ超音波スキャン情報を保存することを含む、付記A5に記載の方法。
【0076】
A6. 前記スキャニングのうちの少なくとも1回は、前記試験体の全体をスキャニングすることを含む、付記A1~A5.1のいずれかに記載の方法。
【0077】
A7. 前記スキャニングのうちの少なくとも1回は、予測された応力箇所に対応する前記試験体の第1部分をスキャニングすることを含む、付記A1~A6のいずれかに記載の方法。
【0078】
A8. 前記スキャニングのうちの少なくとも1回は、緊急の関心対象領域に対応する前記試験体の第2部分をスキャニングすることを含む、付記A1~A7のいずれかに記載の方法。
【0079】
A9. 前記緊急の関心対象領域は、前記スキャニングの実行によって作成された第1のレーザ超音波スキャン情報を、以降の前記スキャニングの実行によって作成された、対応する第2のレーザ超音波スキャン情報と比較することによって決定される、付記A8に記載の方法。
【0080】
A10. 前記スキャニングは、高密度の全波形スキャン情報を作成することを含む、付記A1~A9のいずれかに記載の方法。
【0081】
A11. 機械的試験に対する前記試験体の反応をマッピングすることをさらに含む、付記A1~A10のいずれかに記載の方法。
【0082】
A12. 1つ以上の緊急の関心対象領域を決定することをさらに含む、付記A1~A11のいずれかに記載の方法。
【0083】
A13. 前記1つ以上の緊急の関心対象領域を決定することは、1つ以上のNDIセンサからのデータに基づいて三角測量を行うことを含む、付記A12に記載の方法。
【0084】
A14. 前記スキャニングは、1回目のスキャニングを行うことによって対応する前記第1のレーザ超音波スキャン情報を作成することと、前記1回目より後の2回目のスキャニングを行うことによって、対応する前記第2のレーザ超音波スキャン情報を作成することとを含み、
前記1つ以上の緊急の関心対象領域を決定することは、前記第1のレーザ超音波スキャン情報と前記第2のレーザ超音波スキャン情報とを比較することにより、前記第1のレーザ超音波スキャン情報と前記第2のレーザ超音波スキャン情報との差異を求めることを含む、付記A12又はA13に記載の方法。
【0085】
A15. 前記スキャニングを複数回繰り返すことにより、対応する複数のレーザ超音波スキャン情報を作成し、前記比較することを複数回繰り返すことにより、前記複数のレーザ超音波スキャン情報の其々を、以前の1つ以上の対応するレーザ超音波スキャン情報と比較することを含む、付記A14に記載の方法。
【0086】
A16. 前記第1のレーザ超音波スキャン情報を保存することは、前記複数のレーザ超音波スキャン情報の其々を保存することを含む、付記A15に記載の方法。
【0087】
A17. 前記比較することは、画像減算を含む、付記A14~A16のいずれかに記載の方法。
【0088】
A18. 前記比較することは、前記試験体の構造が変化している領域を特定することを含む、付記A14~A17のいずれかに記載の方法。
【0089】
A19. 前記1つ以上の緊急の関心対象領域の其々に対する高解像度レーザ超音波スキャンを行うことをさらに含む、付記A12~A18のいずれかに記載の方法。
【0090】
A20. 前記1つ以上の緊急の関心対象領域の其々の前記高解像度レーザ超音波スキャンの結果を保存することをさらに含む、付記A19に記載の方法。
【0091】
A21. 前記第1のレーザ超音波スキャン情報を作成するための前記スキャニングは、第1の解像度で行われ、前記1つ以上の緊急の関心対象領域の其々の前記高解像度レーザ超音波スキャンは、第2の解像度で行われ、前記第2の解像度は、前記第1の解像度よりも大きい、付記A19又はA20に記載の方法。
【0092】
A22. 前記第2の解像度は、少なくとも100ミル、少なくとも90ミル、少なくとも80ミル、少なくとも70ミル、少なくとも60ミル、少なくとも50ミル、少なくとも40ミル、少なくとも30ミル、少なくとも20ミル、及び/又は、少なくとも10ミルである、付記A21に記載の方法。
【0093】
A23. 前記高解像度レーザ超音波スキャンを行うことは、全波形のパルスエコー超音波スキャンを行うことを含む、A19~A22のいずれかに記載の方法。
【0094】
A24. 前記レーザ超音波装置を用いて前記スキャニングを行うこと、及び/又は、1つ以上の緊急の関心対象領域の高解像度レーザ超音波スキャンを行うことは、前記試験体に局所的な熱膨張領域を形成し、これにより超音波を発生させることを含む、付記A1~A23のいずれかに記載の方法。
【0095】
A25. 前記レーザ超音波装置を用いて前記スキャニングを行うこと、及び/又は、1つ以上の緊急の関心対象領域の高解像度レーザ超音波スキャンを行うことは、前記試験体が静止状態に保たれている状態で行われる、付記A1~A24のいずれかに記載の方法。
【0096】
A26. 前記レーザ超音波装置を用いて前記スキャニングを行うこと、及び/又は、1つ以上の緊急の関心対象領域の高解像度レーザ超音波スキャンを行うことは、前記試験体に接触することなく行われる、付記A1~A25のいずれかに記載の方法。
【0097】
A27. 前記レーザ超音波装置を用いた前記スキャニング、及び/又は、1つ以上の緊急の関心対象領域の高解像度レーザ超音波スキャンが行われ、前記複数のレーザ超音波スキャンの其々は、リアルタイムで分析及び比較される、付記A1~A26のいずれかに記載の方法。
【0098】
A28. 前記試験体を機械的に試験する間、前記試験体の少なくとも一部及び/又は1つ以上の緊急の関心対象領域の自動のレーザ超音波スキャンを行うように、クローラシステムを構成することをさらに含む、A1~A27のいずれかに記載の方法。
【0099】
A29. 前記レーザ超音波装置を用いて前記スキャニングを行うこと、及び/又は、1つ以上の緊急の関心対象領域の高解像度レーザ超音波スキャンを行うことは、
前記レーザ超音波装置から検出レーザビームを出射することと、
前記検出レーザビームを前記試験体の面に投射することと、
前記スキャニング及び/又は前記高解像度レーザ超音波スキャンを行うことによって前記試験体に発生した複数の超音波に起因する前記検出レーザビームの変化を検出することと、を含む、付記A1~A28のいずれかに記載の方法。
【0100】
A30. 前記検出レーザビームを投射することは、前記試験体における1つ以上の緊急の関心対象領域に前記検出レーザビームを投射することを含む、付記A29に記載の方法。
【0101】
A31. 前記複数の超音波を検出することは、前記レーザ超音波装置を用いて行われる、付記A29又はA30に記載の方法。
【0102】
A32. 前記レーザ超音波装置を用いて前記スキャニングを行うこと、及び/又は、1つ以上の緊急の関心対象領域の高解像度レーザ超音波スキャンを行うことは、前記試験体の全深さにわたって損傷の発生及び/又は進行を検出することを含む、付記A1~A31のいずれかに記載の方法。
【0103】
A33. 前記レーザ超音波装置を用いて前記スキャニングを行うこと、及び/又は、1つ以上の緊急の関心対象領域の高解像度レーザ超音波スキャンを行うことは、マイクロスケール及びマクロスケールで損傷又は欠陥を検出することを含む、付記A1~A32のいずれかに記載の方法。
【0104】
A34. 前記試験体は、サブスケールの複合構造体、ミッドスケールの複合構造体、及び/又はフルスケールの複合構造体である、付記A1~A33のいずれかに記載の方法。
【0105】
A35. 前記NDIセンサは、アコースティックエミッションセンサ、PZTトランスデューサ、NDIセンサ、超音波トランスデューサ、接着PZTセンサ、光ファイバーセンサ、離隔型サーモグラフィシステム、応力ゲージ、及び/又は、歪みゲージである、付記A1~A34のいずれかに記載の方法。
【0106】
A36. 前記NDIセンサは、前記試験体の面に互いに離間して設けられた複数のNDIセンサを含む、付記A1~A35のいずれかに記載の方法。
【0107】
A37. 前記複数のNDIセンサの其々は、前記試験体の使用中及び/又は前記試験体の機械的試験中に最も高い応力を受ける可能性が最も高いと予測される、前記試験体の領域の其々に配置される、付記A36に記載の方法。
【0108】
A38. 前記NDIセンサは、前記試験体内にAスキャン、板波、及び/又は、表面波を発生させる超音波トランスデューサを含む、付記A1~A37のいずれかに記載の方法。
【0109】
A39. 前記NDIセンサは、複数の異なる種類のセンサを含む、付記A1~A38のいずれかに記載の方法。
【0110】
A40. 前記試験体は、使用中の部品を含む、付記A1~A39のいずれかに記載の方法。
【0111】
A40.1. 前記使用中の部品を検査することをさらに含む、付記A40に記載の方法。
【0112】
A41. 前記NDIセンサは、使用中の部品のオンボードセンサを含む、付記A1~A40.1のいずれかに記載の方法。
【0113】
A42. 前記NDIセンサによって、前記試験体の接合ラインを調べるように設定されたストンリー波などの界面波を発生させることをさらに含む、付記A1~A41のいずれかに記載の方法。
【0114】
A43. 前記固定NDIセンサによって、前記試験体の微小亀裂及び/又は表面損傷を調べるように設定されたレイリー波などの表面波を発生させることをさらに含む、付記A1~A42のいずれかに記載の方法。
【0115】
A44. 前記固定NDIセンサによってラム波を発生させることをさらに含み、前記ラム波は、前記試験体における衝撃による層剥離、結合破壊、及び/又は亀裂を調べるように設定される、付記A1~A43のいずれかに記載の方法。
【0116】
A45. 前記固定NDIセンサによってせん断垂直波を発生させることをさらに含み、前記せん断垂直波は、前記試験体における歪み欠陥を調べるように設定される、付記A1~A44のいずれかに記載の方法。
【0117】
A46. 前記NDIセンサを用いて音波を発生させることと、
前記音波の周波数を制御することと、をさらに含む、付記A1~A41のいずれかに記載の方法。
【0118】
A47. 1つ以上の試験方法で前記試験体を機械的に試験することをさらに含む、付記A1~A46のいずれかに記載の方法。
【0119】
A47.1 前記試験体を機械的に試験することは、前記試験体に機械的に応力又は負荷を付与することを含む、付記A47に記載の方法。
【0120】
A48. 前記試験体を機械的に試験することは、航空機の翼の曲げ翼試験を含む、A47~A47.1のいずれかに記載の方法。
【0121】
A49. 前記試験体を機械的に試験することは、前記試験体を周期的に曲げることを含む、付記A47~A48のいずれかに記載の方法。
【0122】
A50. 前記試験体を機械的に試験することは、前記試験体を1回以上の疲労サイクルにかけることを含む、付記A47~A49のいずれかに記載の方法。
【0123】
A51. 前記試験体を機械的に試験することは、前記試験体を限界負荷まで屈曲させることを含む、付記A47~A50のいずれかに記載の方法。
【0124】
A52. 前記試験体を機械的に試験することは、静荷重を付与することを含む、付記A47~A51のいずれかに記載の方法。
【0125】
A53. 前記試験体を機械的に試験することは、疲労荷重試験を含む、付記A47~A52のいずれかに記載の方法。
【0126】
A54. 前記試験体を機械的に試験することは、前記試験体に外部負荷を付与すること、及び/又は、前記試験体を加圧することを含む、付記A47~A53のいずれかに記載の方法。
【0127】
A55. 前記試験体を機械的に試験することは、前記試験体を内部的に調べることを含む、付記A47~A54のいずれかに記載の方法。
【0128】
A56. 前記試験体を内部的に調べることは、前記試験体に固定された1つ以上のオンボードトランスデューサを用いて低周波負荷を発生させることを含む、付記A55に記載の方法。
【0129】
A57. 前記試験体を機械式応力固定具に装着することをさらに含み、前記機械式応力固定具は、前記試験体の機械的試験中に、前記試験体を配置及び/又は移動させるように構成されている、付記A1~A56のいずれかに記載の方法。
【0130】
A58. 前記試験体を試験することは、分析検証のためのフルスケールの機械的試験、製造時検査、及び/又は、使用中検査を含む、付記A1~A57のいずれかに記載の方法。
【0131】
A59. 前記固定センサデータを収集すること、前記固定センサデータをフィルタリングすること、前記固定センサデータを処理すること、前記固定センサデータを保存すること、及び/又は、前記固定センサデータを表示すること、をさらに含む、A1~A58のいずれかに記載の方法。
【0132】
A60. 前記試験体の前記試験中に前記固定センサデータを監視することをさらに含む、付記A1~A59のいずれかに記載の方法。
【0133】
A61. 前記監視することは、前記固定センサデータを予測信号値と比較すること、及び、予測信号値と異なる固定NDIセンサからの固定センサデータに対応する、前記試験体の箇所を特定することを含む、付記A60に記載の方法。
【0134】
A62. 前記監視することは、前記試験体の非想定領域において、予測とは異なる固定センサデータがないか監視することを含む、付記A60又はA61に記載の方法。
【0135】
A63. 前記監視は、自動で行われる、付記A60~A62のいずれかに記載の方法。
【0136】
A64. 前記監視することは、非想定領域からのアコースティックエミッション事象がないか監視すること、非想定領域での亀裂を示す板波又は表面波がないか監視すること、サーモグラフィ画像を監視すること、表面損傷のビデオ画像を監視すること、デジタル画像相関を行うこと、及び/又は、表面下損傷の兆候がないか、全視野ひずみ画像を監視すること、を含む、付記A60~A62のいずれかに記載の方法。
【0137】
A65. 予測とは異なる信号、又は、応力箇所であると予測されていない領域における信号がないかどうか、1つ以上の離隔型の広角センサを監視することをさらに含む、A1~A64のいずれかに記載の方法。
【0138】
A66. 前記試験体における損傷の兆候を、リアルタイムで測定、特定、及び/又は観測することをさらに含む、A1~A65のいずれかに記載の方法。
【0139】
A67. 前記試験体を、製造欠陥がないか、試験及び/又は検査することをさらに含む、付記A1~A65のいずれかに記載の方法。
【0140】
A68. 前記試験を中断すること又は前記NDIセンサを移動させることなく、大型複合構造体の試験体の全体における欠陥の進行形態を判定することをさらに含む、付記A1~A67のいずれかに記載の方法。
【0141】
A69. 前記1つ以上の試験方法を再構成又は変更することにより、前記試験体における突然の損傷の兆候に対応することをさらに含む、A1~A68のいずれかに記載の方法。
【0142】
A70. 前記突然の損傷の兆候は、前記試験体における、応力分析によって予測されなかった領域に位置するものである、付記A60に記載の方法。
【0143】
A71. 前記NDIセンサの信号予測値及び前記試験体内の予測応力箇所を求めることをさらに含む、付記A1~A70のいずれかに記載の方法。
【0144】
A72. 前記試験体の前記固定センサデータ、前記第1のレーザ超音波スキャン情報、及び、以降の任意のレーザ超音波スキャン情報を用いて、モデルの開発及び検証を行うことをさらに含む、付記A1~A71のいずれかに記載の方法。
【0145】
A73. 前記レーザ超音波装置を用いてレーザビームを発生させることと、
前記レーザビームを前記試験体に照射することとをさらに含み、前記レーザビームは、前記試験体に複数の超音波を発生させる、付記A1~A72のいずれかに記載の方法。
【0146】
A74. 前記レーザビームを前記試験体に照射することは、前記レーザビームを、前記試験体における1つ以上の緊急の関心対象領域に照射することを含む、付記A73に記載の方法。
【0147】
A75. 前記レーザビームが前記試験体の所望の箇所に照射されるように、アラインメントシステムを用いて前記レーザビームを位置合わせすることをさらに含む、付記A73~A74のいずれかに記載の方法。
【0148】
A76. 前記レーザ超音波装置を用いて検出レーザビームを発生させることと、
前記複数の超音波に起因する、前記検出レーザビームの変化を測定することと、をさらに含む、付記A73~A75のいずれかに記載の方法。
【0149】
A77. 所与の機械的試験又は検査中に行われる前記レーザ超音波スキャンの解像度を変更することをさらに含む、付記A1~A76のいずれかに記載の方法。
【0150】
B1. 試験体を試験及び/又は検査するためのシステムであって、
前記試験体と、
前記試験体から離間して配置されたレーザ超音波装置とを含み、前記レーザ超音波装置は、レーザビームを発生させて前記試験体に照射することにより、前記試験体に複数の超音波を発生させるように構成されており、前記レーザ超音波装置は、さらに、検出レーザビームを発生させるとともに、前記複数の超音波に起因する前記検出レーザビームの変化を測定するように構成されており、前記レーザ超音波装置は、前記試験体の少なくとも一部をスキャンして、前記試験体における応力影響についてのレーザ超音波スキャン情報を作成するように構成されており、前記システムは、
前記試験体に固定された複数のNDIセンサと、
前記試験体を監視及び検査するために、前記複数のNDIセンサからのデータと、前記レーザ超音波装置によって作成された前記レーザ超音波スキャン情報からのデータとを統合及び/又は監視するように構成されたプロセッサと、をさらに含む、システム。
【0151】
B2. 前記試験体から離間して配置された1つ以上の離隔型の広角センサをさらに含み、前記離隔型の広角センサは、前記試験体における応力影響についての追加の情報を前記プロセッサに提供するように構成されている、付記B1に記載のシステム。
【0152】
B3. 前記試験体を機械的に試験するように構成された機械式応力固定具をさらに含む、付記B1~B2のいずれかに記載のシステム。
【0153】
B4. 前記機械式応力固定具は、航空機の翼の曲げ翼試験を行うこと、前記試験体を周期的に曲げること、前記試験体を1回以上の疲労サイクルにかけること、前記試験体を限界負荷まで屈曲させること、前記試験体に静荷重を付与すること、前記試験体に外部負荷を付与すること、前記試験体を加圧すること、前記試験体を内部的に調べること、機械的試験中に前記試験体を配置すること、及び/又は、前記試験体の機械的試験中に前記試験体を移動させること、を行うように構成されている、付記B3に記載のシステム。
【0154】
B5. 前記試験体の複数の異なる箇所における、前記レーザ超音波装置による前記試験体の複数回のレーザ超音波スキャンを自動化するように構成されたクローラシステムをさらに含む、付記B1~B4のいずれかに記載のシステム。
【0155】
B6. 前記クローラシステムは、前記試験体の表面上で移動するように構成されている、付記B5に記載のシステム。
【0156】
B7. 前記クローラシステムは、試験環境における前記試験体の外部のある表面上で移動するように構成されている、付記B5~B6のいずれかに記載のシステム。
【0157】
B8. 前記クローラシステムは、前記レーザ超音波装置を収容するように構成されている、付記B5~B7のいずれかに記載のシステム。
【0158】
B9. 前記クローラシステムは、前記試験体の少なくとも一部に対してレーザ超音波スキャンを行うために、前記試験体に対して前記レーザ超音波装置を配置するように構成されている、付記B5~B8のいずれかに記載のシステム。
【0159】
B10. 前記レーザ超音波装置は、前記レーザビームを前記試験体の所望の箇所に位置合わせ及び投射するように構成されたアラインメントシステムを含む、付記B1~B9のいずれかに記載のシステム。
【0160】
B11. 前記レーザ超音波装置は、前記試験体に発生した超音波に起因する前記検出レーザビームの変化を検出するように構成された検出システムを含む、付記B1~B10のいずれかに記載のシステム。
【0161】
B12. 前記試験体は、サブスケールの複合構造体、ミッドスケールの複合構造体、及び/又はフルスケールの複合構造体である、付記B1~B11のいずれかに記載のシステム。
【0162】
B13. 前記複数のNDIセンサのうちの少なくとも1つは、アコースティックエミッションセンサ、PZTトランスデューサ、NDIセンサ、超音波トランスデューサ、接着PZTセンサ、光ファイバーセンサ、離隔型サーモグラフィシステム、応力ゲージ、及び/又は、歪みゲージである、付記B1~B12のいずれかに記載のシステム。
【0163】
B14. 前記複数のNDIセンサは、前記試験体の表面上で互いに離間している、付記B1~B13のいずれかに記載のシステム。
【0164】
B15. 前記複数のNDIセンサの其々は、前記試験体の使用中及び/又は前記試験体の機械的試験中に最も高い応力を受ける可能性が最も高いと予測される、前記試験体の領域の其々に配置される、付記B14に記載のシステム。
【0165】
B16. 前記複数のNDIセンサのうちの少なくとも1つは、前記試験体内にAスキャン、板波、及び/又は、表面波を発生させる超音波トランスデューサを含む、付記B1~B15のいずれかに記載のシステム。
【0166】
B17. 前記複数のNDIセンサのうちの少なくとも1つは、前記複数のNDIセンサのうちの別の少なくとも1つとは異なる種類のセンサである、付記B1~B16のいずれかに記載のシステム。
【0167】
B18. 前記試験体は、使用中の部品を含む、付記B1~B17のいずれかに記載のシステム。
【0168】
B19. 前記複数のNDIセンサのうちの少なくとも1つは、使用中の部品のオンボードセンサを含む、付記B1~B18のいずれかに記載のシステム。
【0169】
B20. 前記複数のNDIセンサのうちの少なくとも1つは、前記試験体の接合ラインを調べるように設定されたストンリー波などの界面波を発生させるように構成されている、付記B1~B19のいずれかに記載のシステム。
【0170】
B21. 前記複数のNDIセンサのうちの少なくとも1つは、前記試験体の微小亀裂及び/又は表面損傷を調べるように設定されたレイリー波などの表面波を発生させるように構成されている、付記B1~B20のいずれかに記載のシステム。
【0171】
B22. 前記複数のNDIセンサのうちの少なくとも1つは、前記試験体における衝撃による層剥離、結合破壊、及び/又は亀裂を調べるように設定されたラム波を発生させるように構成されている、付記B1~B21のいずれかに記載のシステム。
【0172】
B23. 前記複数のNDIセンサのうちの少なくとも1つは、前記試験体における歪み欠陥を調べるように設定されたせん断垂直波を発生させるように構成されている、付記B1~B22のいずれかに記載のシステム。
【0173】
C1. 付記A1~A77のいずれかに記載の方法を、前記試験体のサブスケールの機械的試験に使用すること。
【0174】
C2. 付記A1~A77のいずれかに記載の方法を、前記試験体のフルスケールの機械的試験に使用すること。
【0175】
C3. 付記A1~A77のいずれかに記載の方法を、前記試験体の分析検証に使用すること。
【0176】
C4. 付記A1~A77のいずれかに記載の方法を、使用中の検査に使用すること。
【0177】
C5. 付記B1~B23のいずれかに記載のシステムを、前記試験体を試験及び/又は検査するために使用すること。
【0178】
C6. 付記A1~A77のいずれかに記載の方法及び/又は付記B1~B23のいずれかに記載のシステムを用いて、使用中(組み付け状態)の部品を、元の製造プロセス中に取得した完成時記録と比較すること。
【0179】
本明細書において、「適合された」及び「構成された」という用語は、要素、コンポーネント、又は他の要部が、所定の機能を行うように設計及び/又は意図されていることを意味する。従って、「適合された」及び「構成された」という用語の使用は、ある要素、コンポーネント、又は他の要部が、単に所定の機能を行うことが「できる」ということを意味すると解釈されるべきではなく、当該要素、コンポーネント、及び/又は他の要部が、その機能を行うために、具体的に、選択、作製、実施、利用、プログラム、及び/又は設計されていることを意味すると解釈されるべきである。また、特定の機能を行うように適合化されたものとして記載された要素、コンポーネント、及び/又は他の要部が、これに加え、あるいはこれに代えて、当該機能を行うように構成されたものとして記載されること、及び、その逆も、本開示の範囲内である。同様に、特定の機能を実行するように構成されていると説明された構成要素は、これに加え、あるいはこれに代えて、当該機能を実行するように動作すると説明することもできる。
【0180】
本明細書において、第1の実体と第2の実体との間に配置されている「及び/又は」という用語は、(1)第1の実体、(2)第2の実体、及び、(3)第1の実体と第2の実体、のうちの1つを意味する。「及び/又は」という用語と共に多数の実体が列挙されている場合も、同様に、すなわち、並列記載された実体のうちの「1つ以上」と解釈されるべきである。「及び/又は」の節で具体的に明記された実体以外の実体も、これらの具体的に明記されたものに対する関連の有無にかかわらず、任意で存在しうる。従って、非限定的な例として、「A及び/又はB」という語句を「~を含む」などの開放型(open-ended)の表現に関連させて用いた場合、これは、一例においてはAのみ(B以外の実体を任意で含む)を意味し、別の例においてはBのみ(A以外の実体を任意で含む)を意味し、さらに別の例では、AとBとの両方(他の実体を任意で含む)を意味する。ここでの実体は、例えば、要素、作業、構造体、工程、動作、値などのことをいう。
【0181】
本明細書に開示した、種々のシステムの要素及び方法の工程が、本開示によるシステム及び方法のすべてに必要であるというわけではなく、本開示は、本明細書で開示した種々の要素及び工程の新規且つ非自明の組み合わせ及び部分的組み合わせを、すべて含むものである。また、本明細書に開示した種々の要素及び工程の1つ以上は、開示された装置又は方法の全体とは切り離された独立した発明の要旨を規定する場合がある。従って、そのような発明の要旨は、本明細書に明確に開示した特定の装置及び方法と関連付けられている必要はなく、本明細書に明確に開示されていない装置及び/又は方法に有用性を見出すかもしれない。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7