(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】基材処理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20230928BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20230928BHJP
C23C 16/48 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/68 N
C23C16/48
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019057702
(22)【出願日】2019-03-26
【審査請求日】2022-03-11
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516317045
【氏名又は名称】アーエスエム・イーぺー・ホールディング・ベスローテン・フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】ディーター・ピエルー
(72)【発明者】
【氏名】コルネリス・タデウス・ヘルブスレブ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー・クナーペン
(72)【発明者】
【氏名】ベルト・ヨングブルート
(72)【発明者】
【氏名】ステーフェン・ファン・アルデ
(72)【発明者】
【氏名】ケリー・ホーベン
(72)【発明者】
【氏名】テオドルス・オーステルラーケン
(72)【発明者】
【氏名】クリス・デ・リーデル
(72)【発明者】
【氏名】ルチアン・ジディラ
【審査官】船越 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-241678(JP,A)
【文献】特開平02-094631(JP,A)
【文献】特開2012-114350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/683
C23C 16/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材処理装置であって、
反応チャンバと、
前記反応チャンバ内に複数の基材を提供するための基材ラックであって、間隔を置いて前記複数の基材を保持するように構成される複数の間隔を置いた基材保持支持部を備える基材ラックと、を備え、前記装置は前記基材ラックの側面から前記基材ラック内の少なくとも一つの前記基材の上面上に100~500ナノメートルの範囲の紫外線を照射するように構築され配置される、照射システムを備え
、前記照射システムは、前記紫外線を前記基材に向けるための放射線透過面又は反射面を備え、
前記反応チャンバ内に放射線透過面又は反射面をパージするためのパージシステムをさらに備える、基材処理装置。
【請求項2】
前記反応チャンバ内の前記基材を加熱するためのヒーターを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記照射システムが、前記基材の前記
上面に垂直な線に対して60~90°の角度で前記基材ラック内に保持されている前記基材の上面に、前記基材ラックの側面から下向き
または平行に照射ビームを放射するように構築され配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記反応チャンバが、バリアを形成するプロセスチューブによって制限され、少なくとも部分的に放射線透過面として機能し、前記照射システムが前記反応チャンバの外側に提供され、前記放射線透過面を通して前記反応チャンバ内に前記紫外線を照射するように構築され配置される、請求項
1に記載の装置。
【請求項5】
前記反応チャンバ内に流体を提供するために少なくとも一つの注入口が前記反応チャンバ内に提供され、前記照射システムが前記注入口を通して前記基材に
前記紫外線を照射するように構築され配置される、請求項
1に記載の装置。
【請求項6】
前記注入口を通してパージガス又はプロセスガスを提供するように構築され配置される、請求項
5に記載の装置。
【請求項7】
前記照射システムが、複数の側面から前記基材ラック内の前記基材に紫外線を照射するためのらせん形状を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも一つの注入口が、流体を前記反応チャンバに供給するために前記反応チャンバ内に提供され、前記装置が、前記基材上に層を堆積させるように、前記反応チャンバ内に流体を供給するための制御弁の制御システムを備える、請求項
1に記載の装置。
【請求項9】
前記反応チャンバに流体を供給するための前記弁が、酸化流体を含む流体貯蔵部に接続され、前記制御システムが、前記放射線透過面又は反射面上に堆積された層を酸化して、前記層
の透過率を改善するように、前記反応チャンバ内に前記酸化流体を供給する前記弁を制御する、請求項
8に記載の装置。
【請求項10】
前記反応チャンバに流体を供給するための前記弁が、エッチング液を含む流体貯蔵部に接続され、制御装置が、前記放射線透過面又は反射面上に堆積された層をエッチングして、前記層
の透過率を改善するように、前記反応チャンバ内に前記エッチング液を供給する前記弁を制御する、請求項
8に記載の装置。
【請求項11】
反応チャンバ内の複数の基材を処理するための方法であって、
間隔を置いて前記複数の基材を保持するように構成される複数の間隔を置いた基材保持支持部を備える基材ラック内に前記複数の基材を供給することと、
前記基材ラックの側面から前記反応チャンバ内の前記基材ラック内の前記基材に、100~500ナノメートルの範囲の紫外線を照射することと、
前記反応チャンバ内に放射線透過面又は反射面をパージすることと、を含む、方法。
【請求項12】
前記基材ラック内の前記基材に紫外線を照射することが、前記紫外線を放射線透過面又は反射面によって前記基材に向けることを含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、前記基材上に層を堆積するように
、注入口を経由して前記反応チャンバ内に流体を供給することを含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、基材を備える前記ラックを前記反応チャンバ内に移動することを含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、
前記反応チャンバ内に酸化流体を提供することと、
前記放射線透過面又は反射面
の透過率を向上させるために、前記放射線透過面又は反射面上に堆積した層を酸化することと、を含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、
前記反応チャンバ内にエッチング液を提供することと、
前記放射線透過面又は反射面
の透過率を向上させるために、前記放射線透過面又は反射面上に堆積した層をエッチングすることと、を含む、請求項
13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、基材処理装置及び方法に関する。より具体的には、本発明は、反応チャンバ内に複数の基材を導入するための基材ラックを備えた反応チャンバを備える基材処理装置に関し、基材ラックは、間隔を置いて複数の基材を保持するように構成された複数の間隔を置いた基材保持支持部を備える。
【背景技術】
【0002】
反応器として機能する炉は、基材上に微細寸法構造、例えば集積回路を作製するための反応チャンバとして使用することができる。いくつかの基材、例えばシリコンウェーハを、基材ホルダー、例えば反応器内の基材ラック又はボートに置くことができる。典型的な基材処理工程では、基材を加熱してもよい。更に、反応ガスを加熱した基材上に通過させて、処理される基材上に反応物質又はガスの反応物質の薄層を堆積させることができる。
【0003】
基材上の一連の処理工程はレシピと呼ばれる。堆積層が下にあるシリコン基材と同じ結晶構造を有する場合、それはエピタキシャル層と呼ばれる。これはまた、ただ一つの結晶構造を有するため、単結晶層と呼ばれることもある。その後の堆積、ドーピング、リソグラフィー、エッチング及びその他のプロセスによって、これらの層は集積回路になり、基材のサイズ及び回路の複雑さに応じて、数十から数千、又は数百万もの集積素子を製造する。
【0004】
得られる層の高品質を保証するために、様々な処理パラメータが注意深く制御される。このような重要なパラメータの一つは、各レシピ工程中の基材温度である。例えば、CVD中、堆積ガスは、特定の温度ウインドウ内で反応し、基材上へ堆積する。異なる温度は、異なる堆積率及び品質をもたらす。したがって、反応処理が始まる前に、基材を望ましい温度しておくように基材温度を正確に制御することが重要である。基材は感温性である機能部を含んでもよく、その温度は、その感温機能部への損傷を回避するために特定の最大値に制限されてもよい。
【0005】
特定のプロセスでは、上面においてエネルギーを必要とする場合がある。このエネルギーが熱の形で提供される場合、これは、生産性、品質及び/又は反応性のために温度が高くなければならないが、一方、基材上の機能部への損傷を避けるために温度は低く保たれるべきであるという矛盾する要件となってしまう。
【発明の概要】
【0006】
したがって、反応チャンバ内の複数の基材の表面にエネルギーを供給する必要がある場合がある。
【0007】
本発明の少なくとも一つの実施形態によれば、基材処理装置が提供され、
反応チャンバと、
反応チャンバ内に複数の基材を提供するための基材ラックと、を備える。基材ラックは、間隔を置いて複数の基材を保持するように構成される複数の間隔を置いた基材保持支持部を備えることができる。装置は基材ラックの側面から基材ラック内の少なくとも一つの基材の上面上に100~500ナノメートルの範囲の紫外線を照射するように構築され配置される照射システムを備えることができる。
【0008】
側面から基材の表面を紫外線で照射することによって、エネルギーを上面上に供給することができる。照射システムを、100~500ナノメートル、好ましくは150~400ナノメートル、更により好ましくは170~300ナノメートルの範囲の紫外線を照射するように構築して配置することができる。基材ラックは、反応チャンバ内に移動可能であってもよい。
【0009】
本発明の更なる実施形態によれば、基材処理方法が提供され、該方法は、
間隔を置いて複数の基材を保持するように構成される複数の間隔を置いた基材保持支持部を備える基材ラック内に複数の基材を提供することと、
基材ラックの側面から反応チャンバ内の基材ラック内の基材に、100~500ナノメートルの範囲の紫外線を照射することと、を含む。
【0010】
従来の技術を超えて達成される本発明及び利点を要約するために、本発明のある目的及び利点について、本明細書において上に記載してきた。もちろん、そのような目的又は利点の全てが、本発明のあらゆる特定の実施形態に従って、必ずしも達成されなくてもよいことは理解されるべきである。それゆえ、例えば、本明細書に教授又は示唆する通り、一つの利点又は利点の一群を達成又は最適化する形式で、本明細書に教授又は示唆されてもよい、他の目的又は利点を必ずしも達成することなく、本発明が具体化又は実行されてもよいことを、当業者は認識するであろう。
【0011】
これらの実施形態の全ては、本明細書に開示する本発明の範囲内であることが意図されている。当業者には、これらの及び他の実施形態は、添付の図面を参照して、以下のいくつかの実施形態の発明を実施するための形態から容易に明らかとなり、本発明は、開示される全ての特定の実施形態にも限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面の要素は、簡潔かつ明瞭にするために例示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解されよう。例えば、図の要素のうちいくつかの寸法は、本開示で示す実施形態の理解の向上を助けるために他の要素よりも強調されてもよい。
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態による照射システムを適用するための装置の、図式的、及び部分的に露出した斜視図である。
【0014】
【0015】
【
図3】
図3は、実施形態による照射システムで照射された基材を備えた基材ラックの断面図である。
【0016】
【
図4】
図4aは、実施形態によるらせん形態で形成された照射システムである。
【0017】
図4bは、実施形態による照射システムで使用するガス放出ランプの一部分である。
【0018】
【
図5】
図5a、5b、及び5cは、実施形態による放射線を伝達する照射システムである。
【0019】
【
図6】
図6a、6b、及び6cは、実施形態による放射線を伝達する照射システムである。
【0020】
【
図7】
図7a及び7bは、さらなる実施形態による放射線を伝達する照射システムである。
【0021】
【
図8】
図8a、8b、及び8cは、さらなる実施形態による照射システムを備える装置である。
【0022】
【
図9】
図9は、さらなる実施形態による照射システムである。
【0023】
【
図10】
図10は、さらなる実施形態による照射システムを備える基材処理装置である。
【0024】
【0025】
【発明を実施するための形態】
【0026】
いくつかの実施形態及び実施例を以下に開示するが、本発明が、具体的に開示する本発明の実施形態及び/又は用途、並びにその明白な変更及び均等物を超えて拡大することは、当業者により理解されるであろう。それゆえ、開示する本発明の範囲は、以下に記載し具体的に開示する実施形態によって限定されるべきでないことが意図される。
【0027】
実施形態による照射システムを使用するための装置1は、
図1及び
図2に示され得る。前述の装置1は、ハウジング2を備えてもよく、一般的に、いわゆる「クリーンルーム」に部分的又は完全に据え付けられてもよい。特に
図2から分かるように、ハウジング2に加えて、仕切り部3、4及び5が存在し得る。ハウジング2は、仕切り部3で反応領域21を区切ることができる。基材ハンドリングチャンバ22は、ハウジング2と仕切り部3、4との間で区切られてもよい。カセットハンドリングチャンバ23は、仕切り部4と5とハウジング2との間で区切られてもよい。装置1は、カセット導入部分33を更に備えうる。
【0028】
二つの反応チャンバ6、7は、反応領域21内に配置されてもよいが、単一の反応チャンバを使用することもできる。反応チャンバは垂直に配置することができ、基材13で充填された12として示される基材ラックを、反応チャンバ6、7内に下から垂直方向に移動することができる。この目的を達成するために、各反応チャンバは、スピンドル38を用いて垂直方向に移動可能である挿入アーム14を備えるラックハンドラーを有し得る。
図1の図面では、一つの挿入アーム14のみが示されるが、装置の両側に二つの挿入アーム14を有し得る。
【0029】
基材ラック12は、より詳細には示されないが、底部に絶縁プラグを備えてもよく、これにより反応チャンバに対し封止を提供する。反応チャンバは炉と呼ばれてもよく、基材を加熱するためにヒーターを備えてもよい。
【0030】
ラックハンドラーは、反応領域21内に配置された切り抜き15を備えたロータリープラットフォーム11を更に備えうる。切り抜き15は、切り抜き15が正しい位置に持ち込まれた場合、アーム14が切り抜きを通して上下に移動できるように形成されうる。一方、基材ラックの底部の直径は、アーム14が
図1に示す位置から下方に移動する場合、基材ラック12はロータリープラットフォーム11上に配置されることができ、逆動作でそこから再び取り外されることができるように、基材ラックの直径がプラットフォーム11内の切り抜き15よりも大きくなるようにすることができる。
【0031】
基材ラック12は、ラックハンドラーを用いて反応チャンバ6及び7の両方に供給されてもよい。その中で連続的な処理を実施することが可能でありうる。また、基材ラック12の平行群を、反応チャンバ6によって排他的に処理し、反応チャンバ7によって排他的に処理することが可能であってもよい。基材ラック12は基材13を備えることができる。
【0032】
基材13を(搬送)カセット10内に供給することができ、カセットをカセットハンドリングロボット35のアーム31を用いて、カセット導入部33から開閉式開口部34を通って収納部8に配置することができる。アーム31に、ロータリープラットフォーム27内の一連の切り抜き26の寸法よりもわずかに小さい寸法を持つ座面32を備えることができる。このようないくつかのロータリープラットフォームを、収納部8で垂直方向に上下に備えることができる。アーム31は、カセットハンドリングロボット35を用いて垂直方向に移動可能であることができる。アーム31が、導入部33から収納部8へ、又は収納部8から導入部33へ、カセットをピックアップ又は取り出すことができるだけではなく、カセットを収納部8からロータリープラットフォーム30へ、又はロータリープラットフォーム30から収納部8へ移動させることも可能にするように、アームを取り付けることができる。
【0033】
ロータリープラットフォーム30は、回転時に開口部37が形成されている仕切り部4に対してカセットを配置し、カセットを開いた後、基材を基材ハンドラーのアーム24を用いて該当のカセットから一枚ずつ取り出し、基材ハンドリングチャンバ22内に配置される基材ラック12内に配置することができるように構築されてもよい。基材ラック12は、ラックハンドラーの一部であるヒンジアーム16によって支持され、端部に座面17が設けられ、座面の寸法はロータリープラットフォーム11の切り抜き15の寸法よりも多少小さい。アーム16は、回転点18の周りの回転によって、仕切り部3の開閉式開口部を通って基材ラックと共に移動することができる。反応領域21と基材ハンドリングチャンバ22の間の開口部19を閉じることができるように、クロージャーを設けることができる。
【0034】
オペレータ又は自動化されたカセット搬送システム(図示せず)は、いくつかのカセットを導入部33に導入することによって、収納部8を充填ことができる。制御操作を、パネル36で行うことができる。カセット10を、導入部分33からアーム31を用いて、収納部8内のこれらのカセットのために作られた収納区画9へ搬送することができる。開口部34を通して導入部33から該当するカセット10を取り外すために最も低い位置から開始することによって、カセットを、カセットハンドリングロボット35によって収納部8のより高い区画9に移動させるために上方向に移動させることができる。収納部8の回転により、カセット10で様々な区画9を充填することが可能である。
【0035】
該当のカセット10は、アーム31によって収納部から取り外され、ロータリープラットフォーム30上に配置されうる。カセットをロータリープラットフォーム30上で回転させて、それらのドアを仕切り部4に押し当てて配置する。カセットのドアは、ドアのオープナーで取り外されることができる。アーム24を用いて、基材を一枚ずつ取り外すことができ、基材ハンドラーを備えるスイングアーム16上に配置される基材ラック12内に配置することができる。
【0036】
その間に、ロータリープラットフォーム11は、反応領域21内に存在する基材上で実行される処理に関して最適な方法で、反応領域21内で移動することができる。基材ラック12が基材ハンドリングチャンバ22内に充填され、反応チャンバ6、7のうちの一つが利用可能になった後、この時間まで閉じていた開口部19が開かれ、新たに充填された基材ラック12をロータリープラットフォーム11上に配置することができる。そして、ロータリープラットフォーム11は位置を一つ移動し、充填された基材ラック12を、挿入アーム14を用いてプラットフォーム11から取り外して反応チャンバ6、7内へ移動させることができる。完成したラック内の処理された基材を、充填されるプラットフォーム11上に下降させることができる。基材は、上記と逆の動きして最終的にカセットに入る。
【0037】
新たな基材を有する基材ラック12は、挿入アーム14を用いて反応チャンバ6又は7に供給されてもよく、該チャンバ内で処理されてもよい。反応チャンバ6、7内で連続処理を行うことが可能である。図示のように、装置は二つの反応チャンバ6、7を持つことができるが、装置はまた本発明の範囲を逸脱することなく、一つの反応チャンバ又は三つ以上の反応チャンバを持ちうる。
【0038】
処理は、ヒーターを用いて基材ラック12内の基材の温度を上昇させることを含むことができる。したがって、処理が適切な反応性及び生産性を得始める前に、基材の温度を正確に制御して基材を所望の温度にすることが重要である。更に、基材は感温性である機能部を含んでもよく、その温度は、それらの感温機能部への損傷を回避するために特定の最大値に制限されてもよい。これは、反応性に関しては基材の温度が高くなり得る一方で、基材の温度が基材上の感温機能部を損傷することを回避するために低くなり得るという矛盾する要件となり得る。
【0039】
装置は基材ラックの側面から基材ラック内の少なくとも一つの基材の上面上に100~500ナノメートルの範囲の紫外線を照射するように構築され配置される照射システムを備えることができる。照射システムを、100~500ナノメートル、好ましくは150~400ナノメートル、更により好ましくは170~300ナノメートルの範囲の紫外線を照射するように構築して配置することができる。基材の上面を側面から紫外線で照射することによって、特定のプロセスのためにエネルギーを上面に供給することが可能となりうる。
【0040】
エネルギーは、上面上の反応性を向上させることができる。この反応性の向上は、基材を過熱させないで達成することができ、基材上の感温機能部が損傷を受けない。反応性の向上は、堆積層のより良好な品質及び/又は装置のより高い生産性につながりうる。また、それにより、以前は反応性がゼロであるために不可能であった温度で、いくつかのプロセスが可能になる可能性がある。
【0041】
図3は、四つの側面から照射された基材13を備えた基材ラック12の断面を示す。照射システム41は、複数の側面から基材13に紫外線を照射する四つの部品を備え得る。照射システム41は、100~500ナノメートルの範囲の紫外線を照射するように構成され得る。
【0042】
照射システム41の部品は細長くてもよく、基材表面に対して垂直な方向に延在してもよい。照射システム41の部品は、ラック12の一部の上に延在してもよく、ラック12の全長にわたって延在してもよく、又はそれより若干長く延在してもよい。照射システムの部品は、ラック12の全長にわたって基材を照射するために、50~200cm、好ましくは75~150cmの長さを有し得る。
【0043】
基材表面を照射するための照射システム41は、5W~100Kw、好ましくは300W~20Kwの、更により好ましくは1~10Kwの電力を有することができる。照射システムは、電気エネルギーの紫外線への変換において50~90%の効率を有することができる。照射システムは、基材に対し垂直な方向に、0.05W~1Kw/cm、好ましくは3~200W/cm、最も好ましくは10~100W/cmの電力出力を有し得る。基材表面は、0.1~200ミリワット(mW)/cm2、好ましくは1~100mw/cm2、更により好ましくは5~80cW/cm2の電力を受け入れることができる。照射システムを、100~500ナノメートル、好ましくは150~400ナノメートル、更により好ましくは170~300ナノメートルの範囲の紫外線を照射するように構築して配置することができる。ラック12は50~200cmの距離を有し得る。
【0044】
複数の基材を間隔を置いて保持するように構成される、複数の間隔をおいた基材保持支持部を備える三本の支柱を有し得る基材ラック12に、基材13を配置することができる。ラック12は、等量の基材を保持するために、支柱に沿って最大50~200、好ましくは100~180の間隔を置いた基材保持支持部を有することができる。
【0045】
最適な製造のために、ラックは最大限まで充填され得るが、基材上に受ける電力を増大させるため、及び基材の表面にわたって受ける勝者の均一性の向上のために、ラック12内の基材の数は最大よりも少なくし得る。例えば、ラックには、間隔を置いて10~80の基材が提供され得る。ラック内の基材の間の距離は、5~200、好ましくは20~140、最も好ましくは40mm~100mmであり得る。
【0046】
支柱は細長くてもよく、基材表面に対して垂直な方向に延在してもよい。複数の基材は、基材ラック12内に互いに平行に配置されてもよい。基材ラック12及び照射システム41の構成により、照射41は、基材ラック12の側面から基材ラック内の基材の少なくとも一つの上面上に紫外線を照射する。図示の通り、照射システムは、四つの側面から基材に紫外線を照射する四つの部品を備え得る。四つの側面から照明することにより、基材上に受ける照射の均一性が向上され得る。照射システムはまた、基材表面を照射する一つ、二つ、三つ、又は四つの部品を有し得る。
【0047】
紫外線は、それを通過することができるガスにプラズマを生成することができる。プラズマは、反応チャンバ内で行われているプロセスに対して有用であるか、又は不要であり得る。プラズマが不要である場合、装置は反応チャンバ6内でプラズマを抑制するよう構築され、配置され得る。装置はまた、プラズマが反応チャンバ6内に伝わるのを妨げるように構築及び配置され得る。例えば、導電性配線又はコーティングなどで、プラズマ遮蔽を装置を提供することによって、プラズマが反応チャンバに達する前に、プラズマを抑制又は遮断することができる。装置はまた、反応チャンバ6の内部におけるプラズマの生成が抑制され得るように、装置で動作するとき、ガス、圧力範囲、及び/又は電力範囲を選択するプログラムを備えてもよい。
【0048】
図4aは、基材の上面上を照射するために使用され得るらせん形態で形成された照射システム41を示す。らせん状に形成された照射システムは、基材13によって基材ラック12を囲むように構成され得る。照射システム41は、ガス放出ランプであり得る。
【0049】
図4bは、ガス放出ランプの一部分として描写される。ガス放電ランプは、イオン化されたガス、例えば管43内のプラズマを介して二つの電極間の放電を引き起こすことによって放射線を発生させる。このようなランプは、希ガス、例えばアルゴン、ネオン、クリプトン、及びキセノン、又はそれらの混合物を使用してもよく、更に、管43内の混合物中に水銀、ナトリウム、及び金属ハロゲン化物を使用してもよい。一つの電極45のみが描かれている二つの電極間に印加される電界によって、陽極近傍でガスの原子から電子を強制的に引き離すことができ、これらの原子を陽イオン化したままにする。自由電子は陽極に流れ、一方、陽イオンは陰極に流れる。イオンは中性のガス原子と衝突する可能性があり、中性のガス原子はそれらの電子をイオンに移動させる。衝突中に電子を失った原子は、イオン化して陰極に向かって加速し、一方、衝突中に電子を得たイオンは、より低いエネルギー状態に戻る間に、基材の基材上面の方向に放射される放射線の形態でエネルギーを放出しながら、そのエネルギーを上面に伝達する。電極45は、管43に接続された基部47内に取り付けられ、ピン49が電極45に電力を供給するために提供される。
【0050】
図5a~5cは、実施形態による放射線を伝達する照射システムである。
図5aでは、反応チャンバ6内で構成された照射システム41上の上面図が示される。
図5bでは、
図5aの照射システム41の拡大上面図が示される。照射システム41は放射線透過面53及び反射面55を備え、基材に向かって紫外線51を導く。放射線透過面53は、
図4の放出ランプの管43の一部であり得る。
【0051】
放射線透過面53と反射面55との間には、ガス57が提供されてもよい(
図5aの照射システム41の側面図である
図5cを参照)。装置は、反応チャンバ内で放射線透過面53又は反射面55をパージガス57でパージするためのパージシステムを備え得る。パージガスは、照射51が伝達される開口部に向かって照射システム41を通してガス流を生成し得る。パージシステムは、照射システム41を介して流体貯蔵部58から反応チャンバ6にパージガスを供給する弁56を制御するための制御システム54を備え得る。
【0052】
ガス流は、反応チャンバ6からのガスによって生じる放射線透過面53又は反射面55上の任意の汚染又は堆積に対抗し得る。こうした汚染又は堆積により、放射線透過面53による照射の伝達又は反射面55による反射が劣化し得る。このように、放射線透過面及び/又は反射面を含む照射システム41は、反応チャンバ内に部分的に提供され得る。
【0053】
装置は、少なくとも一つの注入口を備え得る。注入口は、反応チャンバの中へ流体を供給するために反応チャンバ内に提供され得る。パージ又はプロセスガスは、注入口を経由して供給され得る。オプションとして、照射システム41が注入口内で構築及び配置され、照射及び又はパージ又はプロセスガスを注入口を通して基材に供給することができる。これは、
図5a~5cに図示したものと類似した方法で行われ得る。
【0054】
プロセスガスは、反応チャンバ6内に適用されたときには反応性であり、注入口内にあるときは反応性でないようなものが選択され得るが、なぜならさもなければ、放射線透過面53による照射の伝達又は反射面41による反射が劣化する場合があるためである。例えば、プロセスガスは、別の第二の前駆体と反応性であるが、他の前駆体の非存在下では反応性でない第一の前駆体であってもよい。
【0055】
装置は、反応チャンバ内に流体、例えばプロセスガス又はパージガスを供給するための弁56を制御する制御システム54を備える流体システムを備え得る、照射システムを備えてもよい。流体は、流体貯蔵部58内に貯蔵してもよく、又はガスラインから受けてもよい。制御システム及び弁56を、流体貯蔵部58に保存される第一及び/又は第二の前駆体を用いて、基材上に原子層堆積(ALD)又は化学蒸着(CVD)サイクルを実施するように構築して配置することができる。
【0056】
図6a~6cは、更なる実施形態による放射線を伝達する照射システムである。
図6aでは、反応チャンバ6で構成された照射システム41上の上面図が示される。
図6b及び
図6cでは、
図6aの照射システム41の拡大側面図が示される。照射システム41は放射線透過面53を備え、基材に向かって紫外線を導く。放射線透過面53は、
図4の放出ランプの管43の一部であり得る。
【0057】
放射線透過面53は、流体57を備え得る。流体57は、パージガス又はプロセスガスであってもよい。装置は、反応チャンバ6内で放射線透過面53をパージガス又はプロセスガスのガス流でパージするためのパージシステムを備え得る。ガス流は、それがパージガスであろうとプロセスガスであろうと、反応チャンバ6からのガスによって生じる放射線透過面上の任意の汚染又は堆積に対抗し得る。こうした汚染又は堆積により、放射線透過面53による照射の伝達が劣化し得る。このように、放射線透過面53を備える照射システム41は、反応チャンバ6内に部分的に提供され得る。
【0058】
照射システムを備えた装置は、流体システムを備え得る。流体システムは、反応チャンバ6内に流体、例えばプロセスガス又はパージガスを供給するための弁56を制御するため流体制御システム54を備え得る。流体は、流体貯蔵部58内に貯蔵してもよく、又はガスライン由来でもよい。
【0059】
紫外線照射を用いて、原子層堆積(ALD)層、化学蒸着堆積(CVD)層、又は他の層を堆積又は緻密化することができる。例えば、シリコン又は窒化ケイ素の層が反応チャンバ内に堆積する場合、紫外線照射システムの効率は、堆積した材料の厚さが放射線透過面の上に積み重なっている場合の吸収によって低下する可能性がある。放射線透過面をパージすることにより、この問題をある程度軽減できる可能性がある。
【0060】
放射線透過面53又は反射面54を清掃するために、エッチングガスで補完的に定期的にその場で洗浄することが必要である場合がある。装置はエッチングシステムを備えてもよい。エッチングシステムは、流体貯蔵部58、制御システム54及び弁56を備えてもよい。制御システム54は、層が放射線透過面又は反射面上に堆積した後に、放射線透過面又は反射面の透過率を向上させるために、制御システム上で実行される場合プログラムを備え得る。
【0061】
エッチング液を、エッチングシステムの流体貯蔵部58に保存してもよい。制御システム54は、反応チャンバ6にエッチング液を供給するための弁56を制御することができる。制御システムは、放射線透過面53又は反射面上に堆積した層をエッチングして表面の透過率を向上させるために、弁56を制御してエッチング液、即ち反応チャンバ内のエッチング液を供給することができる。
【0062】
エッチング液は、塩化物(Cl2)、塩化ボリウム(BCl3)、塩化水素(HCl)、テトラフルオロメタン(CF4)、三フッ化窒素(NF3)、臭化水素(HBr)、六フッ化硫黄(SF6)、又は水素もしくは酸素などのガスを含む水素もしくは酸素と組み合わせた紫外線照射により生成されるアッシング成分であってもよい。また、エッチングガスで定期的にその場で洗浄することは、放射線透過面又は反射面をパージする代替方法として用いられることができ、装置の設計を簡略化することができる。
【0063】
また、放射線透過面53又は反射面55を、酸化環境中の熱処理によりシリコン又は窒化ケイ素層を酸化ケイ素に定期的に変換することによって、再び照射放射線に対する透過性又は反射性をもたらすことができる。装置は変換システムを備えうる。変換システムは、流体貯蔵部58、制御システム54、及び弁56を備えうる。制御システム54は、層が放射線透過面又は反射面上に堆積した後に、放射線透過面又は反射面の透過率を向上させるために、制御システム上で実行される場合プログラムを備え得る。
【0064】
この目的のために、流体、例えば酸素(O2)、オゾン(O3)、過酸化水素(H2O2)、水(H2O)、又は亜酸化窒素(N2O)を含む酸素を流体貯蔵部58.に貯蔵することができる。制御システム54は、流体貯蔵部から反応チャンバ6内に酸化流体を供給するための弁56を制御すること、及び反応チャンバの加熱を制御することができる。シリコン又は窒化ケイ素層の酸化ケイ素への変換後、酸化ケイ素はUVを透過させることができ、その場での洗浄を不要とすることができる。また、酸化性ガスとの定期的なその場での変換はまた、放射線透過面又は反射面をパージするための代替方法として用いられことができ、装置の設計を簡略化することができる。
【0065】
図7a~
図7bは、さらなる実施形態による放射線を伝達する照射システムを示す。
図7aでは、反応チャンバ6で構成された注入システム59上の上面図が示される。
図7bでは、
図7aの注入システム59の拡大側面図が示される。注入システム59は、ガス入口61及びガス出口63及び照射システム41を備える。照射システム41は放射線透過面53を備え、注入システム59のガスに向かって紫外線を導く。
【0066】
プロセスガスは、注入システム59を経由して供給され得る。照射システム41からの紫外線のエネルギーは、注入システム内のプロセスガスを活性化し得、それにより、それがガス出口63を通して注入システムを離れる場合、反応チャンバ6内の基材と反応し得る。反応チャンバ6内の基材上の反応性を改善するために、プロセスガスの反応性がこのように向上し得る。
【0067】
図8a~
図8cは、さらなる実施形態による照射システムを備える装置を示す。反応チャンバ6、7は、反応チャンバ内のプロセスガスのバリアを形成するプロセスチューブ65によって制限されてもよい。プロセスチューブは、放射線透過面として(部分的に)機能しうる。照射システムは、反応チャンバの外側に提供されてもよく、プロセスチューブ65の放射線透過面を通して反応チャンバ内に紫外線を照射するよう構築及び配置されてもよい。
【0068】
照射システム41は、プラズマからのプロセスチューブ65と外側管67との間の照射を生成するように構築及び配置されうる。照射システム41は、プラズマガス供給システムを備えるシステムによってプラズマを生成して、プロセスチューブ65と外側管67との間にガスを提供するように構築され、配置され得る。アルゴン、ネオン、クリプトン、及びキセノンなどの希ガスは、この目的のためにプロセスチューブ65と外側管67との間に提供されてもよい。また、この目的のために、プロセスチューブ65と外側管67との間にナトリウム又は水銀が提供されてもよい。
【0069】
図8aは、照射システム41が、プラズマをプロセスチューブ65と外側管67との間に生成するよう構築され配置された陽極69及び陰極71を備え得ることを示す。プラズマは、100~500ナノメートルの範囲の紫外線を生成しうる。紫外線は、さらなる実施形態によるプロセスチューブ65内に配置された基材の少なくとも一つの上面を照射し得る。
【0070】
図8bは、陽極69と陰極71との間にどの異なるプラズマが生成されうるかを開示している。陽極の近くには、陽極プラズマ73があり、陰極71の近くで陰極プラズマ77がある。正のプラズマ柱75が、基材の照射に使用され得る。
【0071】
図8cは、さらなる実施形態による照射システム41が、例えば、プラズマをプロセスチューブ65と外側管67の間に生成するよう構築及び配置され得る誘導コイル79などの誘導デバイスを有し得ることを示す。プラズマは、100~500ナノメートルの範囲の紫外線を生成しうる。照射システムを、100~500ナノメートル、好ましくは150~400ナノメートル、更により好ましくは170~300ナノメートルの範囲の紫外線を照射するように構築して配置することができる。紫外線は、プロセスチューブ65内に配置された基材の少なくとも一つの上面を照射し得る。誘導コイルはまた、反応チャンバを加熱するために使用され得る。
【0072】
紫外線照射を用いて、原子層堆積(ALD)層、化学蒸着堆積(CVD)層、又は他の層を堆積又は緻密化することができる。層が反応チャンバ内に堆積する場合、紫外線照射システムの効率は、堆積した材料の厚さがプロセスチューブ65の内部上の放射線透過面の上に積み重なっている場合の吸収によって劇的に低下する可能性がある。
【0073】
放射線透過面を清掃するために、エッチングガスによりその場で洗浄することが必要である場合がある。装置は従ってエッチングシステムを備えてもよい。エッチングシステムは、
図6と連動して記載されたように、流体貯蔵部58、制御システム54、及び弁56を備え、プロセスチューブ65上に堆積された層をエッチングしてプロセスチューブの透過率を向上させるために、反応チャンバ6にエッチング流体、すなわちエッチング液を提供してもよい。
【0074】
放射線透過面はまた、酸化環境中の熱処理により、プロセスチューブ上のシリコン又は窒化ケイ素層を酸化ケイ素に変換することによって、照射放射線に対して透過性とすることができる。酸化環境は、例えば、酸素(O2)、オゾン(O3)、過酸化物(H2O2)、水(H2O)、又は亜酸化窒素(N2O)を含み得る。SiO2は紫外線を伝達してもよく、その場での清掃を必要としない。
【0075】
装置は従って変換システムを備え得る。変換システムは、流体貯蔵部58、制御システム54、及び弁56を備え得る。制御システム54は、流体貯蔵部から反応チャンバ6内に酸化流体を供給するための弁56を制御すること、及び反応チャンバ6の加熱を制御することができる。プロセスチューブ65上のシリコン又は窒化ケイ素層の酸化ケイ素への変換後、酸化ケイ素は紫外線を透過させることができ、その場での洗浄を不要とすることができる。
【0076】
図9は、さらなる実施形態による照射システムを示す。照射システム41は、例えば発光ダイオードなど、個別に制御可能な照射源を備え、垂直方向に基材のスタックに沿って側面から個別に基材13を照射するための電力出力を制御する。基材13の方向に照射ビームを放射するための照射システム41は、ラック12の側面上に配置され得る。照射システム41は、照射ビームを基材13の上面に向かって側面から下向きに照射し得る。ここに示す通り、照射システムはラック12の上部のみを照射するが、実際には照射システム41はラック12の全長にわたって延在し得る。
【0077】
照射ビームの角度は、基材13の上面に対して垂直な線に対して、60~90°、好ましくは80~89.5°、さらにより好ましくは85~89°とし得る。照射システム41の照射ビームはわずかに平行であってもよい。照射システムの照射ビームの方向は、従って、照射システム41によって放射される照射の平均的な方向として定義され得る。
【0078】
装置は、照射システム41に対して基材ラックの他方の側面に反射器(図示せず)を備えてもよく、基材13の基材表面に戻る照射を反射することができる。反射器はレトロリフレクタであってもよく、照射ビームが来るのと同じ方向に照射ビームを反射し返すことができる。反射器は、ガラス、鋼、アルミニウム、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む材料の群から選択される材料を含み、照射を基材へと導き得る。
【0079】
反射器は偏光子を備え、それにより反射光の偏光を90°変化させ、反射光の吸収を向上させ得る。偏光子は、反射器の前方に配置された波長の1/8の厚さを有する薄いプレートであってもよい。
【0080】
照射システムは、個別に制御可能な照射源91、93の第一及び第二の群を有し得る。個別に制御可能な照射源91の第一の群は、縁部からさらに離れた基材13の表面に向けられてもよく、基材13の縁部付近の上面に向けられた個別に制御可能な照射源93の第二の群に対して増大した電力出力を有し得る。基材表面上の照射強度の均一性は、このように向上しうる。照射強度が基材の表面上で均一である場合、基材表面上の照射システム41による反応性の向上は同様になり、これはプロセス制御に有利である。
【0081】
図示したように、照射システム41は基材13を直接照射し得るが、反応チャンバは、照射システムと基材13の間にあるプロセスチューブ(
図8では65としてに示す)によって制限され得る。プロセスチューブは、ガスを処理するためのバリアを形成してもよく、放射線透過面として少なくとも部分的に機能してもよい。照射システム41は、反応チャンバの外側に提供されてもよく、放射線透過面を通して反応チャンバ内に紫外線を照射するよう構築及び配置されてもよい。プロセスチューブは、反応チャンバ内に提供された緩和温度及び堆積製品から照射システム41を保護し得る。
【0082】
図10は、さらなる実施形態による照射システムを備える基材処理のための装置を示す。照射システムが一側面から提供される場合、基材13の一部分のみが直接照射され得る。回転装置を用いた装置を提供して、矢印95によって図示された方向に基材を回転させることにより、基材13が均一に照射されることが確実となり得る。
【0083】
基材ラック12は、ラック12が反応チャンバ6、7(
図1及び
図2を参照)内で上方に移動するときに、反応チャンバ6、7に対してシールを提供する絶縁プラグと共に底部に提供され得る。照射システム41による照射の均一性の向上のために、絶縁プラグには、基材13を備えたラック12を垂直軸の周りで回転させるための(ラック)回転装置が提供され得る。ラック回転装置は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,018,567B2号から公知であってもよい。基材表面上の照射強度の均一性は、このように向上しうる。照射強度が基材の表面上で均一である場合、基材表面上の照射システム41による反応性の向上は同様になり、これはプロセス制御に有利である。
【0084】
図11は、基材13を照射するための照射システム41、及び基材13を備えたラック12を垂直軸の周りで回転させるための(ラック)回転装置を使用した装置に生じうる問題を示す。照射システム41の照射は、基材ラックの一部分12aを過度に照射及び加熱し得る。照射は、反応チャンバ6の周囲を通して基材ラック12から分散してもよく、これは照射されることが意図されていない装置の部品を照射する。
【0085】
図12は、
図11における基材ラックの一部12aを過度に照射及び加熱する問題を解決する、さらなる実施形態による照射システムを示す。基材ラック12を回転させて、より均一な照射分布と過剰な加熱の回避を達成することができる。
【0086】
さらに、基材ラック12の形状及び制御システムから入手可能なラック12の回転位置の情報は、ラック12の前述の部分12aに当る照射システム41の部分の電力を停止又は制限するために使用され得る。低減された照射量は、従って、基材ラック12の部分12aによって受けられてもよく、照射や加熱を意図していない装置の部品を照射し及び加熱する支持部材の周囲を通して基材ラック12からより少ない照射が散乱され得る。
【0087】
装置は、照射システム41の出力を制御するための電力制御装置97を備えてもよく、電力制御装置は、基材ラックの過剰な加熱を避けるために、基材ラックの幅に沿って照射システム41の照射出力を調整するようにプログラムされてもよい。
【0088】
示され説明された特定の実施形態は、本発明及びその最良の形態を例示するものであり、態様及び実施形態の範囲を何ら限定する意図はない。実際、簡潔さのために、従来の製造、関連、調製、及びシステムの他の機能的態様を詳細には説明しない場合がある。更に、様々な図に示される接続線は、様々な要素間の例示的な機能的関係及び/又は物理的結合を表すことを意図する。多くの代替的もしくは追加の機能的関係、もしくは物理的接続が実際のシステムに存在してもよく、及び/又はいくつかの実施形態では存在しなくてもよい。
【0089】
本明細書に記載された構成及び/又は方法は本質的に例示的であり、これらの特定の実施形態又は実施例は、多くの変形が可能であるため、限定的な意味で考慮されるべきではないことを理解されたい。本明細書に記載の具体的なルーチン又は方法は、任意の数の処理方法のうちの一つ又は複数を表すことができる。したがって、例示された様々な作動は、例示されるシーケンスで、他のシーケンスで実施されてもよく、場合によっては省略されてもよい。
【0090】
本開示の主題は、本明細書で開示される様々なプロセス、システム、及び構成、並びに他の特徴、機能、動作及び/又は特性の、全ての新規かつ自明でない組み合わせ及び部分的組合せ、並びにその任意の及び全ての均等物を含む。