(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】集塵システムおよび熱交換装置
(51)【国際特許分類】
B01D 46/04 20060101AFI20230928BHJP
F28D 7/10 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B01D46/04 104
F28D7/10 A
(21)【出願番号】P 2019065568
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000229047
【氏名又は名称】日本スピンドル製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【氏名又は名称】駒井 慎二
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【氏名又は名称】井上 彰文
(72)【発明者】
【氏名】木嶋 敬昌
(72)【発明者】
【氏名】濱田 典好
【審査官】柴田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-268330(JP,A)
【文献】特開2000-157819(JP,A)
【文献】特開2004-081958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/00- 46/90
F28D 1/00- 13/00
F28D 17/00- 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
含塵空気が通過する第1室と、前記含塵空気から前記塵が除去されて、浄化された浄化空気が通過する第2室とに区画された筐体と、
前記第1室と前記第2室との間に配置され、前記含塵空気から前記塵を除去するフィルタ部と、
前記フィルタ部に対して空気を噴出する噴出部と、
前記空気を加熱する加熱部とを備え、
前記加熱部は、前記浄化空気と前記空気との熱交換を行う熱交換部を有し、
前記熱交換部は、蓄熱材と、前記空気を貯留するタンクと、を備え、前記タンクの外側に前記蓄熱材が接するように配置される集塵システム。
【請求項2】
前記筐体には、前記第2室に連通し、前記浄化空気が排出される排出管が接続されており、
前記熱交換部は、前記タンクとの間で前記蓄熱材を収納する内側ケーシングと、前記浄化空気が前記内側ケーシングの外側に接しつつ通過する流路を構成する外側ケーシングと、前記外側ケーシング内と前記排出管内とを接続する接続管とを有する請求項
1に記載の集塵システム。
【請求項3】
前記蓄熱材は、蓄熱時に蓄熱媒体を加熱して蓄熱生成物と水に分離し、放熱時には蓄熱生成物と水分を反応させて蓄熱媒体を生成する請求項
2に記載の集塵システム。
【請求項4】
前記熱交換部は、前記内側ケーシングから前記水を受け入れるとともに、前記内側ケーシングに対して前記水を供給する請求項
3に記載の集塵システム。
【請求項5】
前記タンクと、前記内側ケーシングと、前記外側ケーシングとは、同心的に配置されている請求項
2~4のいずれか1項に記載の集塵システム。
【請求項6】
前記水を貯留する水用タンクと、前記水用タンク内と前記内側ケーシング内とを接続する接続管と、を備え、前記水用タンクと前記内側ケーシングとの間が密閉空間になっている請求項
3または4に記載の集塵システム。
【請求項7】
含塵空気が通過する第1室と、前記含塵空気から前記塵が除去されて、浄化された浄化空気が通過する第2室とに区画された筐体と、
前記第1室と前記第2室との間に配置され、前記含塵空気から前記塵を除去するフィルタ部と、
前記フィルタ部に対して空気を噴出する噴出部と、を備える集塵システムに搭載される熱交換装置であって、
前記空気を貯留するタンクと、
内側ケーシングと外側ケーシングとの間で定まり、前記浄化空気が通過する流路と、
前記タンクに接続され、前記空気を前記筐体に供給する管体と、
前記内側ケーシングと前記タンクとの間に蓄熱材が収容される収納空間と、
を備え、前記タンクに前記収納空間が接するように配置され、前記浄化空気と前記空気との熱交換を行う熱交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
集塵システムおよび熱交換装置
【背景技術】
【0002】
産業廃棄物や家庭ゴミ等を処理する処理施設は、焼却炉や破砕設備等から排出される含塵空気を浄化する浄化装置が設置されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の浄化装置は、排ガスに含まれる塵埃を捕集して、排ガスから塵埃を除去するろ布(フィルタ)と、ろ布に付着した塵埃を気体噴射によりろ布から払い落とす噴射管と、噴射管から噴射される気体を加熱する加熱装置とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の浄化装置では、加熱装置が通電により発熱するよう構成されているため、例えば、通電回数や通電時に印可される電圧の大きさ等の諸条件によっては、電力を過剰に消費するという問題があった。
本発明の目的は、処理用空気加熱時の省エネルギ性に優れた集塵システムおよび熱交換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の集塵システムの一つの態様は、含塵空気が通過する第1室と、前記含塵空気から前記塵が除去されて、浄化された浄化空気が通過する第2室とに区画された筐体と、
前記第1室と前記第2室との間に配置され、前記含塵空気から前記塵を除去するフィルタ部と、
前記フィルタ部に対して空気を噴出する噴出部と、
前記空気を加熱する加熱部とを備え、
前記加熱部は、前記浄化空気と前記空気との熱交換を行う熱交換部を有し、
前記熱交換部は、蓄熱材と、前記空気を貯留するタンクと、を備え、前記タンクの外側に前記蓄熱材が接するように配置されるすることを特徴とする。
【0006】
本発明の熱交換装置の一つの態様は、含塵空気が通過する第1室と、前記含塵空気から前記塵が除去されて、浄化された浄化空気が通過する第2室とに区画された筐体と、
前記第1室と前記第2室との間に配置され、前記含塵空気から前記塵を除去するフィルタ部と、
前記フィルタ部に目詰まりが生じた際、前記目詰まりを解消する空気を噴出する噴出部と、を備える集塵システムに搭載される熱交換装置であって、
前記空気を貯留するタンクと、
内側ケーシングと外側ケーシングとの間で定まり、前記浄化空気が通過する流路と、
前記タンクに接続され、前記空気を前記筐体に供給する管体と、
前記内側ケーシングと前記タンクとの間に蓄熱材が収容される収納空間と、
を備え、前記タンクに前記収納空間が接するように配置され、前記浄化空気と前記空気との熱交換を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、浄化空気の熱を利用して、処理用空気を加熱することができる。これにより、集塵システムは、処理用空気の加熱時に電力を要さず、省エネルギ性に優れた装置となっている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の集塵システムの作動状態(集塵動作時)を示す垂直断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の集塵システムの作動状態(払落し動作時)を示す垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の集塵システムおよび熱交換装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の集塵システムの作動状態(集塵動作時)を示す垂直断面図である。
図2は、本発明の集塵システムの作動状態(払落し動作時)を示す垂直断面図である。なお、以下では、説明の都合上、
図1および
図2中の上側を「上(または上方)」、下側を「下(または下方)」と言う。
【0010】
図1および
図2に示す集塵システム1は、例えば、産業廃棄物や家庭ゴミ等を処理する処理施設の他、製鉄、製鋼施設等の産業施設に設置され、焼却炉や破砕設備等(以下「焼却炉」を代表とする)から排出される含塵空気AR1を浄化するのに用いられる。この集塵システム1は、装置本体である筐体2と、含塵空気AR1に含まれる塵(埃も含む)等の異物EMを捕捉する捕捉部3と、処理用空気(空気)AR3を噴出する噴出部4と、浄化空気AR2を吸引する吸引部5と、処理用空気AR3を加熱する加熱部6とを備えている。以下、各部の構成について説明する。
【0011】
筐体2は、本実施形態では四角錐台形状をなし、その中心軸O2が鉛直方向に沿った姿勢で支持されている。この筐体2は、内部が隔壁部23によって上下に2つ空間に区画されている。下側の空間は、含塵空気AR1が通過する第1室21である。上側の空間は、含塵空気AR1から異物EMが除去されて、浄化された浄化空気AR2が通過する第2室22である。なお、筐体2は、四角錐台形状、すなわち、垂直断面形状が台形の柱状に限定されない。
【0012】
筐体2の側壁部27には、筐体2の第1室21に含塵空気AR1が導入される導入管28と、筐体2の第2室22から浄化空気AR2が排出される排出管52とが接続されている。
導入管28は、隔壁部23よりも下側に配置され、第1室21に連通している。また、導入管28は、筐体2と反対側で、焼却炉に接続されている。これにより、焼却炉で生じた含塵空気AR1を、導入管28を介して、筐体2の第1室21内に導入することができる。
【0013】
排出管52は、隔壁部23よりも上側に配置され、第2室22に連通している。これにより、第2室22内の浄化空気AR2を、排出管52を介して、迅速に排出することできる。
筐体2の底部24は、テーパ状、すなわち、四角錐状をなす。これにより、異物EMが、後述するように落下してきた際、その異物EMを底部24の中央部に集中して集めることができる。
【0014】
底部24の中央部には、異物EMを排出する排出管25が接続されている。底部24の中央部に集められた異物EMは、排出管25を介して、外部に迅速に排出される。これにより、筐体2に異物EMが残留するのを防止することができる。
また、排出管25には、ロータリーバルブ26が設置されている。ロータリーバルブ26が作動することにより、異物EMが排出管25を介して強制的に排出され、よって、排出管25の排出時間を短縮することができる。
【0015】
捕捉部3は、第1室21と第2室22との間に配置された複数のフィルタ部31を有する。なお、フィルタ部31の配置数は、本実施形態では複数であるが、これに限定されず、例えば、1つであってもよい。
各フィルタ部31は、鉛直方向に沿った長尺な円筒状や角筒状に形成されている。そして、含塵空気AR1がフィルタ部31を外側から内側に向かって通過することにより、
図1に示すように、含塵空気AR1に含まれる異物EMがフィルタ部31に捕捉される。これにより、含塵空気AR1から異物EMを除去することができ、よって、浄化空気AR2が生成される。このような動作を「集塵動作」と言う。
【0016】
また、筐体2の隔壁部23には、フィルタ部31の配置数と同数の貫通孔231が形成されている。フィルタ部31は、貫通孔231を挿通して設置されており、上部が隔壁部23に固定されている。これにより、フィルタ部31は、隔壁部23から懸垂状態となって伸ばされて、異物EMを捕捉する面積を十分に確保することができる。
フィルタ部31の構成としては、特に限定されず、例えば、フィルタ部31の形状を維持するワイヤ等で構成された芯材と、芯材に支持された不織布とを有する構成とすることができる。
【0017】
図1に示すように、フィルタ部31は、異物EMを捕捉した際、当該異物EMがそのまま付着する場合がある。この場合、異物EMの付着の程度によっては、フィルタ部31に目詰まりが生じるおそれがある。そこで、
図2に示すように、噴出部4は、フィルタ部31の目詰まりを解消することができる。このような動作を「払落し動作」と言う。噴出部4は、処理用空気AR3を貯留するタンク41と、処理用空気AR3を筐体2内に導入する導入管42と、タンク41と導入管42とを接続する中継管(第2管体)43と、導入管42と中継管43との間に配置された高圧空気噴出部44とを有する。
【0018】
タンク41は、処理用空気AR3の噴出前に処理用空気AR3を予め貯留する。タンク41には、処理用空気AR3を供給するコンプレッサ(図示せず)が接続されており、処理用空気AR3は、圧縮空気となってタンク41内に貯留されている。
一例として、タンク41は、本実施形態では円筒状をなし、その中心軸O41が水平方向に沿った姿勢で支持されている。なお、タンク41の形状は、円筒状に限定されない。
【0019】
導入管42は、筐体2の第2室22内に挿入されている。導入管42には、隔壁部23の貫通孔231を介して、フィルタ部31に臨むノズル421を複数有する。
図2に示すように、各ノズル421は、処理用空気AR3を、当該ノズル421に対向するフィルタ部31の内側に向けて噴出することができる。これにより、フィルタ部31に付着した異物EMを、フィルタ部31の外側に吹き飛ばして離脱させることができ、よって、フィルタ部31の目詰まりを解消することができる。
なお、フィルタ部31から離脱した異物EMは、筐体2の第1室21内を落下していき、筐体2の底部24に到達する。その後、異物EMは、底部24の中央部に集められて、排出管25から排出される。
【0020】
また、ノズル421からの処理用空気AR3により、フィルタ部31が変形したり振動したりする。この現象も、フィルタ部31から異物EMを離脱させる原因となり得る考えられ、処理用空気AR3の吹き飛ばしと相まって、フィルタ部31の目詰まり解消を円滑かつ迅速に行うことができる。
【0021】
中継管43は、その一端側がタンク41に接続され、他端側が導入管42に接続されている。これにより、中継管43を介してタンク41と導入管42とが連通し、処理用空気AR3がタンク41から導入管42まで流れる。
高圧空気噴出部44は、導入管42を介して各フィルタ部31の内側に高圧の処理用空気AR3をパルス状に噴出することができるように構成されている。
【0022】
高圧空気噴出部44は、処理用空気AR3を高圧空気供給路441に設けられた圧力調整弁442を介して圧力を調整した上で、ヘッダパイプ443内に貯留することができるように構成されている。そして、高圧空気噴出部44は、ヘッダパイプ443内に貯留された処理用空気AR3を、導入管42を介して、各フィルタ部31の内側にの内側に噴出することができる。
【0023】
また、ヘッダパイプ443内には、空気開閉弁444が設けられている。空気開閉弁444の開閉は、作動部445により制御可能に構成されている。作動部445は、制御部(図示せず)に電気的に接続されいる。そして、ヘッダパイプ443内に貯留された処理用空気AR3は、前記制御部により作動部445が制御されて、空気開閉弁444の開閉が設定された開閉状態となるように制御されることにより、各ノズル421を介してフィルタ部31の内側にパルス状に噴出可能とされている。
【0024】
また、噴出部4は、圧力検出部(図示せず)によって第1室21内の圧力と第2室22内の圧力との差が設定値(閾値)以上となったと検出された場合、フィルタ部31に異物EMが付着して目詰まりが生じているとみなして、閉状態にある高圧空気噴出部44(空気開閉弁444)を一時的に開状態とする。これにより、各ノズル421から処理用空気AR3をパルス状に噴出することができ、フィルタ部31の目詰まりが解消される。なお、高圧空気噴出部44の開閉タイミングは、圧力検出部での検出結果に基づいて制御されるのに限定されず、例えば、時間の経過に基づいて制御されてもよい、すなわち、所定時間経過後に高圧空気噴出部44を閉状態から一時的に開状態としてもよい。
【0025】
このように、集塵システム1では、フィルタ部31に異物EMが付着して、フィルタ部31に目詰まりが生じた際、フィルタ部31に対して、第2室22側から第1室21側に向かう処理用空気AR3を噴出することができる。これにより、フィルタ部31の目詰まりを解消する処理を行うことができ、よって、集塵動作を安定して継続することができる。
【0026】
ところで、含塵空気AR1および浄化空気AR2中に含まれるSO3がフィルタ部31付近で酸露点に達するとフィルタ部31上で結露する場合がある。この結露は、フィルタ部31の上部で顕著に発現する傾向にあり、フィルタ部31の劣化の原因となるという不具合があった。
そこで、集塵システム1では、このような不具合を解消可能に構成されている。以下、この構成および作用について説明する。
【0027】
前述したように、集塵システム1は、加熱部6を備えている。
図1および
図2に示すように、加熱部6は、タンク41に貯留されている処理用空気AR3を加熱することができ、特に、浄化空気AR2の熱を処理用空気AR3を加熱する熱に交換する熱交換部61を有する。一般的に、含塵空気AR1は、例えば120℃~700℃に加熱された状態で、第1室21内に流入する。そして、含塵空気AR1から異物EMが除去された浄化空気AR2も、温度がほぼそのまま維持された状態となっている。熱交換部61は、この浄化空気AR2の熱を利用することができる。
【0028】
熱交換部61は、集塵システム1に搭載される熱交換装置であり、本実施形態では、内側ケーシング62と、内側ケーシング62の外側に配置された外側ケーシング(ケーシング)63と、外側ケーシング63内と排出管52内とを接続する第1接続管(第1管体)64と、外側ケーシング63の外側に配置された水蒸気用タンク(水用タンク)65と、内側ケーシング62内と水蒸気用タンク65内とを接続する第2接続管(接続管)66と、第2接続管66の途中に設置されたバルブ67と、内側ケーシング62内に収納された蓄熱材68とを有する。
【0029】
蓄熱材68は、蓄熱時に、蓄熱媒体(CaOH2)を加熱して蓄熱生成物(CaO)と生成気体(水分:H2O)に分離し、放熱時には、蓄熱生成物(CaO)と反応気体(H2O)を反応して蓄熱媒体(CaOH2)を生成し、生成気体と反応気体として水を用いる材料である。このような蓄熱材68は、例えば調達が容易である。
【0030】
内側ケーシング62は、タンク41と同様に、円筒状をなし、タンク41と同心的に配置されている。そして、タンク41と内側ケーシング62との間で蓄熱材68を収納する収納空間621が画成される。これにより、蓄熱材68がタンク41の外側に接して配置される。なお、収納空間621には、タンク41内の処理用空気AR3を加熱するのに十分な量の蓄熱材68が充填されている。また、内側ケーシング62には、収納空間621内の圧力を調整する調圧用バルブが設けられていてもよい。
【0031】
外側ケーシング63も円筒状をなし、内側ケーシング62と同心的に配置されている。そして、内側ケーシング62と外側ケーシング63との間で浄化空気AR2が通過する流路631が構成される。流路631は、第1接続管64に連通している。これにより、排出管52からの浄化空気AR2が、第1接続管64で分岐されて、流路631に流入することができる。
【0032】
また、流路631は、第1接続管64と反対側で、浄化空気AR2を排出する排出口632を有する。これにより、浄化空気AR2は、流路631内では、上流側の第1接続管64側から下流側の排出口632側まで円滑に通過することができ、その際、内側ケーシング62の外側に接することもできる。
【0033】
また、排出口632は、排出管52の第1接続管64が分岐している部分よりも下流側に接続されている。これにより、排出口632が排出管52と連通することとなり、排出口632を通過した浄化空気AR2は、排出管52に戻ることができる。
なお、排出管52の下流側には、触媒塔や活性炭塔(図示せず)が配置される場合がある。これにより、排出管52を通過してきた浄化空気AR2に対して、物理吸着以外の化学浄化を行うことができる。
【0034】
また、前述したように、タンク41と、内側ケーシング62と、外側ケーシング63とは、同心的に配置されている。これにより、蓄熱材68を介した熱の行き来が、できる限り無駄なく迅速に行われる。すなわち、浄化空気AR2が内側ケーシング62の全周にわたって接することができ、よって、浄化空気AR2の熱を内側ケーシング62の内側の蓄熱材68に過不足なく迅速に伝えることができる。また、蓄熱材68が熱を発した際には、その熱をタンク41の全周にわたって処理用空気AR3に過不足なく迅速に伝えることができる。
【0035】
タンク41、内側ケーシング62、外側ケーシング63の構成材料としては、特に限定されず、例えば、アルミニウム等のような熱伝導率(熱伝導性)が比較的高い金属材料を用いるのが好ましい。
また、水蒸気用タンク65は、第2接続管66を介して、内側ケーシング62内、すなわち、収納空間621と連通している。そして、水蒸気用タンク65と内側ケーシング62との間が密閉空間になっている。これにより、前述した生成気体および反応気体としての水蒸気は、水蒸気用タンク65内と収納空間621内との間を行き来することができる。そして、水蒸気用タンク65内には、蓄熱材68から発生した水蒸気(生成気体)が収納空間621から排出された際、当該水蒸気を一時的に液体の状態で貯留することができる。また、収納空間621内には、水蒸気用タンク65内に貯留された液体を水蒸気(反応気体)として供給することができる。
【0036】
第2接続管66の途中には、バルブ67が設置されている。バルブ67は、水蒸気の往来の許可と、往来の停止とを切り換える。バルブ67は、作動部445と同様に、制御部(図示せず)に電気的に接続されており、当該制御部により制御される。
また、第2接続管66には、その途中から分岐した分岐管71を介して、真空ポンプ72が接続されている。
【0037】
また、水蒸気用タンク65の外側は、第3接続管69を介して、排出管52と接続されている。第3接続管69の途中には、バブル70が設置されている。熱交換部61における放熱時には、水蒸気用タンク65を加温する必要がある。そのため、バルブ70を開状態とすることにより、排出管52からの浄化空気AR2により、水蒸気用タンク65を加温することができる。一方、熱交換部61における蓄熱時には、バルブ70を閉状態とする。これにより、水蒸気用タンク65内は、大気と同じ温度となり、凝縮されて、冷却される。なお、水蒸気用タンク65内の冷却には、例えば、炉体に用いる冷却水、含塵空気AR1を冷却する冷却水等を用いてもよい。
【0038】
次に、熱交換部61における蓄熱のメカニズムについて、
図1を参照しつつ説明する。
バルブ67が開状態となっており、この状態で真空ポンプ72を作動させることにより、水蒸気用タンク65、第2接続管66および内側ケーシング62(収納空間621)内は、真空状態となる。そして、流路631を通過する浄化空気AR2により、蓄熱材68が加熱される。これにより、内側ケーシング62内の圧力が上昇し、蓄熱材68は、蓄熱生成物と生成気体(水蒸気)とに分離する。蓄熱生成物は、収納空間621に残る。また、前述したようにバルブ67が開状態となっていることにより、生成気体は、第2接続管66を介して、水蒸気用タンク65内に流入する。そして、蓄熱材68の反応が進行していき、所定量の蓄熱生成物により熱を蓄熱することができる。その後、バルブ67を閉状態とするのが好ましい。
【0039】
また、生成気体は、水蒸気であり、そのほとんどが水蒸気用タンク65内に流入することとなる。そして、前述したように水蒸気用タンク65内を冷却することより、当該水蒸気用タンク65内の水蒸気は、液体となって、水蒸気用タンク65内に貯留される。
【0040】
次に、熱交換部61における放熱のメカニズムについて、
図2を参照しつつ説明する。
バルブ67を再度開状態とする。また、前述したように排出管52からの浄化空気AR2により水蒸気用タンク65が加温されることにより、水蒸気用タンク65内の圧力が上昇する。これにより、水蒸気用タンク65内の液体が気化して反応気体として収納空間621に供給される。反応気体は、水蒸気であり、収納空間621内の蓄熱生成物(例えば前述した酸化カルシウム)と接触して、蓄熱生成物との間で発熱反応が生じる。これにより、タンク41内に向かって熱が放出される。
【0041】
タンク41内の処理用空気AR3は、タンク41内に向かって放出された熱によって加熱される。この処理用空気AR3は、前記のようにフィルタ部31に付着した異物EMの吹き飛ばしに供される。また、処理用空気AR3は、蓄熱材68により加熱されてるため、フィルタ部31に当たると、当該フィルタ部31を加熱(加温)することができる。これにより、フィルタ部31上でSO3が結露するのが防止される。その結果、フィルタ部31の劣化が防止され、フィルタ部31を長期にわたって安定して使用することができる。
【0042】
以上のように、集塵システム1は、蓄熱材68を有する熱交換部61により、浄化空気AR2の熱を利用して、処理用空気AR3を加熱することができる。これにより、集塵システム1は、処理用空気AR3の加熱に電力を要さず、省エネルギ性に優れた装置となっている。
また、処理用空気AR3の加熱に電力を要さない構成は、電力を要する構成に比べて、構造を簡単にすることができ、集塵システム1の小型化にも寄与する。
【0043】
以上、本発明の集塵システムおよび熱交換装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、集塵システムおよび熱交換装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
なお、集塵システム1は、図示の構成では集塵動作と払落し動作とをそれぞれタイミングをずらして行っているが、これに限定されず、集塵動作を行いつつ、払落し動作を行うこともできる。
【0044】
また、集塵システム1が複数ある場合、これらの集塵システム1が1つの蒸気用タンク65を兼用する、すなわち、共用することもできる。
また、蓄熱材は、タンクの外側に設けられるのに限定されず、例えば、タンクから離間した状態で配置されてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 集塵システム
2 筐体
21 第1室
22 第2室
23 隔壁部
231 貫通孔
24 底部
25 排出管
26 ロータリーバルブ
27 側壁部
28 導入管
3 捕捉部
31 フィルタ部
32 排出管
4 噴出部
41 タンク
42 導入管
421 ノズル
43 中継管(第2管体)
44 高圧空気噴出部
441 高圧空気供給路
442 圧力調整弁
443 ヘッダパイプ
444 空気開閉弁
445 作動部
5 吸引部
52 排出管
6 加熱部
61 熱交換部
62 内側ケーシング
621 収納空間
63 外側ケーシング(ケーシング)
631 流路
632 排出口
64 第1接続管(第1管体)
65 水蒸気用タンク(水用タンク)
66 第2接続管(接続管)
67 バルブ
68 蓄熱材
69 第3接続管
70 バルブ
71 分岐管
72 真空ポンプ
AR1 含塵空気
AR2 浄化空気
AR3 処理用空気
EM 異物
O2 中心軸
O41 中心軸