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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】機器支持具
(51)【国際特許分類】
   G10G 5/00 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
G10G5/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019110297
(22)【出願日】2019-06-13
(65)【公開番号】P2020003786
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】16/018,554
(32)【優先日】2018-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512281951
【氏名又は名称】宮武 達郎
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】宮武 達郎
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-142952(JP,A)
【文献】特表平11-502640(JP,A)
【文献】特開2018-031883(JP,A)
【文献】登録実用新案第3203539(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一長形部材及び第二長形部材と、
前記第一長形部材と前記第二長形部材を接続するブリッジ部と、
を具備し、
前記ブリッジ部は、前記第一長形部材及び前記第二長形部材のそれぞれの間の前記ブリッジ部に対する相対的な向きが実質的に固定されるように接続され
さらに第一スタビライザー及び第二スタビライザーを有し、前記第一スタビライザーは前記ブリッジ部と前記第一長形部材との間の接続部に位置し、前記第二スタビライザーは前記ブリッジ部と前記第二長形部材との間の接続部に位置することを特徴とする機器支持具。
【請求項2】
前記第一長形部材及び前記第二長形部材が、第一外側層と、第二外側層と、前記第一外側層及び前記第二外側層との間に配置されるクッション層と、を具備し、
前記第一スタビライザー及び前記第二スタビライザーのそれぞれが固形であり前記クッション層と前記第二外側層との間に配置されることを特徴とする請求項に記載の機器支持具。
【請求項3】
第一長形部材及び第二長形部材と、
前記第一長形部材と前記第二長形部材を接続するブリッジ部と、
を具備し、
前記ブリッジ部は、前記第一長形部材及び前記第二長形部材のそれぞれの間の前記ブリッジ部に対する相対的な向きが実質的に固定されるように接続され
前記ブリッジ部が延長機構を有し、前記延長機構は前記第一長形部材と前記第二長形部材との間の距離を変化させられるように構成されることを特徴とする機器支持具。
【請求項4】
第一長形部材及び第二長形部材と、
前記第一長形部材と前記第二長形部材を接続するブリッジ部と、
を具備し、
前記ブリッジ部は、前記第一長形部材及び前記第二長形部材のそれぞれの間の前記ブリッジ部に対する相対的な向きが実質的に固定されるように接続され
前記第一長形部材、前記第二長形部材及び前記ブリッジ部がそれぞれ別部材として形成され、
前記ブリッジ部は、前記第一長形部材を受けるように構成された第一スロットと、前記第二長形部材を受けるように構成された第二スロットとを有し、
前記第一スロット及び前記第二スロットが、前記第一長形部材及び前記第二長形部材のそれぞれの長さ方向に沿って開口し、
前記第一長形部材及び前記第二長形部材のそれぞれは、長さ方向の両端にそれぞれ第一端部及び第二端部を有し、前記第一端部及び前記第二端部の間の前記第一長形部材及び前記第二長形部材に沿った地点に突起が形成され、組み立てられた状態において前記突起が前記ブリッジ部に当接することを特徴とする機器支持具。
【請求項5】
前記第一長形部材及び前記第二長形部材が、第一外側層と、第二外側層と、第三層を有し、前記第三層が前記第一外側層を覆うように配置され、各第一スロット及び第二スロットが前記第三層と前記第一外側層との間に形成されることを特徴とする請求項に記載の機器支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示内容は、使用者の身体に対して機器の方向を維持するための支持具に関するものである。関連する分野としては、身体用支持具、ストラップ、楽器用アタッチメント、及び特にサキソフォンやそれに類する楽器を使用者の身体から吊り下げるための身体ストラップが含まれる。
【背景技術】
【0002】
多くの楽器は、それを演奏するミュージシャン、つまり機器の演奏中に機器を保持又は運搬する使用者を必要とする。機器支持具は、演奏中又は演奏が行われていないときにおいても、機器を保持又は運搬している使用者を補助するものである。
【0003】
機器が演奏されているときの使用者の身体に対する機器の位置に応じて、使用者の身体上に機器の重量が分散されるように、機器支持具は設計されている。例えば、ギターのように使用者の脇側で演奏する機器を吊り下げる機器支持具は、使用者の脇側での機器の演奏がしやすいよう、機器の重量が分散されるように設計される。同様に、サキソフォンのように使用者の前側で演奏される機器は、使用者の前側での機器の演奏がしやすいよう、機器の重量が分散されるように設計される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-156863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
サキソフォン支持具については、使用者の両肩と首部にかけてのサキソフォンの重量の分散は、重量分散が不適切であると使用者の不快感につながり得るため、重要である。サキソフォン支持具における設計や使用者の身体へのサキソフォンの重量分散はさまざまである。サキソフォン支持具によっては使用者の首にかかるサキソフォンの重量の分散が不均一な設計となっているために首への負荷がかかってしまうものもある。また、サキソフォンの重量を使用者の両肩に分散するように設計されているサキソフォン支持具もある。しかしそのような設計では、演奏中及び/又は通常の使用時に使用者が機器を扱う際の自然な動きに応じて、肩に対する位置づけが望まない位置づけにずれてしまい、使用者の両肩への重量分散が不均一になったり、使用者に不快感を与えてしまう場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
代表的な実施例においては、機器支持具は第一長形部材と、第二長形部材と、第一長形部材を第二長形部材に接続するブリッジ部とを有する。ブリッジ部は第一長形部材及び第二長形部材の両方と一体に形成されている。従って、第一長形部材は実質的にブリッジ部に対して固定されており、第二長形部材も実質的にブリッジ部に対して固定されている。同様に、ブリッジ部に対する第一長形部材の向きは実質的に固定されており、ブリッジ部に対する第二長形部材の向きも実質的に固定されている。
また前記実施例では、さらに第一スタビライザー及び第二スタビライザーを有し、前記第一スタビライザーは前記ブリッジ部と前記第一長形部材との間の接続部に位置し、前記第二スタビライザーは前記ブリッジ部と前記第二長形部材との間の接続部に位置することが望ましい。
また、前記ブリッジ部が延長機構を有し、前記延長機構は前記第一長形部材と前記第二長形部材との間の距離を変化させられるように構成されることが望ましい。
また、前記第一長形部材、前記第二長形部材及び前記ブリッジ部がそれぞれ別部材として形成され、前記ブリッジ部は、前記第一長形部材を受けるように構成された第一スロットと、前記第二長形部材を受けるように構成された第二スロットとを有し、前記第一スロット及び前記第二スロットが、前記第一長形部材及び前記第二長形部材のそれぞれの長さ方向に沿って開口し、前記第一長形部材及び前記第二長形部材のそれぞれは、長さ方向の両端にそれぞれ第一端部及び第二端部を有し、前記第一端部及び前記第二端部の間の前記第一長形部材及び前記第二長形部材に沿った地点に突起が形成され、組み立てられた状態において前記突起が前記ブリッジ部に当接することが望ましい。
【0007】
機器支持具は使用者の両肩に配置されるものなので、各長形部材は使用者の肩に対応してカーブした形となっている。ブリッジ部は使用者の後ろの首の付け根を覆うような輪郭を描いており、片方の肩からもう片方の肩へと延びる。
【発明の効果】
【0008】
使用者が機器支持具を着用して機器が機器支持具に取り付けられると、機器の重量は使用者の上半身に幅広く分散される。特に、長形部材は、取り付けられた機器の重量の一部を、肩の上及び機器支持具と接触する肩の隣の使用者の身体部分に分散する。また、ブリッジ支持部は、取り付けられた機器の重量の残り部分を使用者の首の付け根の周りに分散する。
【0009】
長形部材とブリッジ部の配置により、首にかかる機器の負荷が最小化され、使用者の上半身にしっかりと機器の重量が分散される。さらに、機器支持具により機器の向きが使用者の身体に対して一定の向きに維持される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】代表的な機器支持具の前面上方から見た図である。
図2】代表的な機器支持具の正面図である。
図3】代表的な機器支持具の平面図である。
図4】代表的な機器支持具の側面図である。
図5】代表的な機器支持具の背面図である。
図6】代表的な機器支持具の斜視図である。
図7】機器取付機構付きの機器を装着した使用者と装着された機器を示す図である。
図8図3に示す線8に沿った機器支持具の長形部材の断面図である。
図9図3に示す線9に沿ったブリッジ部の断面図である。
図10】機器支持具の接続部の平面図である。
図11図10に示す線11に沿った機器支持具の断面図である。
図12】スタビライザーの平面図である。
図13】スタビライザーの背面図である。
図14】着脱可能な代表的な機器支持具の正面図である。
図15】代表的な着脱可能な機器支持具の平面図である。
図16】代表的な着脱可能な機器支持具のブリッジ部の平面図である。
図17図16に示す線17に沿った機器支持具のブリッジ部の断面図である。
図18】代表的な延長可能な機器支持具の平面図である。
図19】機器支持具の代替接続部の断面図である。
図20】取付機構を有する代表的な機器支持具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら代表的な実施例を説明する。
【0012】
第一の実施例では、機器支持具は第一長形部材と第二長形部材のそれぞれと一体に形成されたブリッジ部を有する。
【0013】
機器支持具は、使用者の両肩にかけられて使用者の胴体上部に機器の重量が均等に分散されるように構成されている。2つの長形部材、つまり第一長形部材と第二長形部材は、使用者の両肩に載せられて使用者の肩のカーブに沿ってカーブするように構成される。ブリッジ部は、第一長形部材を第二長形部材に接続して各長形部材と一体に形成されている。このように、第一長形部材とブリッジ部の相対的な向きは実質的に固定されている。同様に、第二長形部材とブリッジ部との相対的な向きも実質的に固定されている。各長形部材とブリッジ部との相対的な向きが実質的に固定されるようにすることで、使用者による機器の通常の演奏時に、機器が自然に動いたとしても、各長形部材は所定の位置にとどまる。
【0014】
図1及び図2では、それぞれ上面前方から見た図と正面図に描かれる代表的な機器支持具100が表されている。機器支持具100は、第一長形部材110と、第二長形部材120と、第一長形部材110を第二長形部材120に接続するブリッジ部130とを有する。第一長形部材110と第二長形部材120は機器支持具100の底部で凹状にカーブしている。第一長形部材110と第二長形部材120のそれぞれのカーブにより、第一及び第二長形部材110,120が、機器支持具100を装着した使用者600の両肩にフィットする(図7参照)。
【0015】
第一及び第二長形部材110,120は、それぞれ2つの端部(長手方向の両端部)を有する。第一長形部材110は、機器支持具100の前方に第一端部112と、機器支持具100の後方に第二端部114とを有する。第二長形部材120は、機器支持具100の前方に第一端部122と、機器支持具100の後方に第二端部124とを有する。機器取付機構500(図7参照)を受けるように構成された取付部118,128は、第一及び第二長形部材110,120の各第一端部112,122に配置されている。図1及び図2で表される実施例では、取付部118,128は各長形部材に形成されたリングであり、前記リングに機器取付機構500の一部である1つのストリング又はストリングのセットが挿入されて取付部118,128へ括り付けられ、第一及び第二長形部材110,120を固定するようになっている。この構成においては、1つのストリング又はストリングのセットが機器取付機構500のコンポーネントとなり機器取付機構500を機器支持具100に接続するようになっている。もちろん、これは機器取付機構500の1つの構成としてあり得る1つの形態にすぎず、取付部はいろいろな機器取付機構500を受けるように構成されてもよい。
【0016】
ブリッジ部130は第一及び第二長形部材110,120のそれぞれと一体に形成されてもよい。特に、第一長形部材110は接続部116でブリッジ部130とつながっている。同様に、ブリッジ部130の反対側では、第二長形部材120が接続部126でブリッジ部130とつながっている。従って、第一長形部材110はブリッジ部130に対して実質的に固定されており、第二長形部材120もブリッジ部に対して実質的に固定されている。ブリッジ部130は、第一及び第二長形部材110,120のそれぞれの第一端部112,122及び第二端部114,124との間の中心点に隣接している。さらに、ブリッジ部130に対する第一長形部材110の相対的な向きは接続部116により実質的に固定され、ブリッジ部130に対する第二長形部材120の相対的な向きも接続部126により実質的に固定される。
【0017】
ここでいう「実質的に固定」とは、あるコンポーネントの別のコンポーネントに対する動きを制限することを指すものである。本開示の目的においては、2つのコンポーネントが互いのどの平面においても20度を超えて回動しない場合にそれらのコンポーネントは「実施的に固定」されているものとする。さらに、言い換えると、「実質的に固定されている」2つのコンポーネントは、互いのどの平面に関しても2センチメートルを超えて動くことができない。このように、相対的な向きにおいて又は互いに実質的に固定されているコンポーネントは、回転方向の動き及び平行方向の動きの両方においてそれぞれ動く度合いが制限されている。
【0018】
図2乃至7に表すように、第一及び第二長形部材110,120は、機器支持具100の前方へよりも機器支持具100の後方へより長く延びてもよい。使用者600にかけられた機器支持具100の模範的なポジショニングは図7に示される。第一及び第二長形部材110,120が機器支持具100の後方へより長く延びることで、機器支持具100は、機器支持具100を装着している使用者600の肩甲骨に機器支持具100が接触するかたちで、機器支持具100を装着した使用者600の両肩に載るように構成される。使用者600の肩甲骨に接触することで、機器支持具100は使用者600の背中上部にテコがかかり、取り付けられた機器の重量が機器支持具100を装着した使用者600の背中上部の広い範囲にわたり分散される。さらに、ブリッジ部が機器支持具100の後方に配置されている。ブリッジ部130のポジショニングと角度により、ブリッジ部130が使用者600の首の後ろの付け根に載せることができる。
【0019】
機器支持具100を装着した使用者600の身体に機器支持具100が接触する部分にパディングを提供するため、クッション層144,134が機器支持具100内の各所に配置される。実施例の一例においては、長形部材の前方よりも第一及び第二長形部材110,120の後方でクッション層144がより厚くてもよい。これにより、機器支持具の重量が機器支持具100を装着した使用者600の上半身に最も重く加重されるときのパディングの配置を変えることができる。
【0020】
図8は、図3における線8に沿った第二長形部材120の断面を示したものである。前述のように、第一及び第二長形部材110,120はそれぞれ、第一端部112,122から第二端部114,124へそれぞれ延びている。各長形部材には第一外側層140と第二外側層142があり、各長形部材内には各長形部材の第一端部112,122辺りから第二端部114,124辺りへと延びるバー146が設けられている。バー146は固形状で、長形部材のカーブした形状を維持している。バー146は、アルミニウム、スチール、銅、鉄、プラスチック、アクリル、カーボンファイバー、木材など(これらに限られない)の固形材料から成る。使用者600の身体に対して機器支持具100からかかる重量を緩衝することで機器支持具100を装着した使用者600に快適さを提供するよう、バーの隣にはクッション層144が設けられている。例えば図8に示すように、使用者600の身体にかかるクッション層144の緩衝効果を保ちながら、かつ余分な材料の使用を最小限にとどめるよう、バー146と第一外側層140との間にクッション層144が配置されてもよい。あるいは、クッション層144とともに、第二長形部材120の両サイドに緩衝材が提供されるよう、クッション層144からバー146の反対側、つまりバー146と第二外側層142との間に別のクッション層が配置されてもよい。第一外側層140と第二外側層142は、各長形部材の外側エッジ148上に互いに取り付けられている。第一外側層140と第二外側層142は、接着剤、ステッチ、縫い付け、ステープル、リベット又はその他の適切な固定手段により互いに固定されてもよい。機器支持具の外側層、つまり第一外側層140,136と、第一及び第二長形部材110,120の第二外側層142,132と、ブリッジ部130とは、それぞれ、皮革、人工皮革、ポリエステル、綿、布、ナイロン、ビニルプラスチックなどを含むがこれらに限られない材料でできている。
【0021】
図9は、図3で示される線9に沿ったブリッジ部130の断面図である。ブリッジ部130は、第一外側層136と第二外側層132とで挟まれるクッション層134で形成されてもよい。ブリッジ部130内にバーがないことで、ブリッジ部130が使用者600の首の後ろの付け根の周りに快適に構成される。長形部材の外側層と同様に、第一外側層136と第二外側層132は、ブリッジ部130の外側エッジ138上で互いに固定され、外側層は接着剤、ステッチ、縫い付け、ステープル、リベット又はその他の適切な固定手段により互いに固定されてもよい。ブリッジ部130は図9においてクッション層134がある状態で示されているが、ブリッジ部130はクッション層なしで形成されてもよい。この構成では、第一外側層136と第二外側層との間には何も層がないことになる。
【0022】
図10は、ブリッジ部130が第二長形部材120を一体的に接続する場合の機器支持具100の一部を示したものである。機器支持具100はブリッジ部130を基準として対称であるので、機器支持具100の第一長形部材110がある部分は、図10に示される第二長形部材120の鏡像として表れる。実施例の一例においては、ブリッジ部130は第一長形部材110と第二長形部材120のそれぞれに接続されている。ブリッジ部130と第一及び第二長形部材110,120との間の接続部116,126には、それぞれ、固形のスタビライザーが第一外側層140と第二外側層142との間に当接されている。第一スタビライザー200がブリッジ部130から接続部116にかけて第一長形部材110へと延設される。第二スタビライザー202がブリッジ部130から接続部126にかけて第二長形部材120へと延設される。第一及び第二スタビライザー200,202はそれぞれ、一体に一部品として形成される固形材料から成り、その硬さは第一及び第二長形部材110,120の第一及び第二外側層140、142の硬さよりも硬く、ブリッジ部130の第一及び第二外側層136,132の硬さよりも硬い。第一及び第二スタビライザー200,202の硬さにより、ブリッジ部130に対して実質的に固定された第一及び第二長形部材110,120のそれぞれの向きが維持される。例えば、第二スタビライザー202は第二長形部材120の第一端部122とブリッジ部130との間で実質的に固定される角度510を維持する。第二スタビライザー202も第二長形部材120の第二端部124とブリッジ部130との間で実質的に固定される角度510を維持する。第一スタビライザー200は第二スタビライザー202と同じ機能を発揮するが、機器支持具100の反対側にある。第一及び第二スタビライザー200,202は、アルミニウム、スチール、銅、鉄、プラスチック、アクリル、カーボンファイバー、木材など(これらに限られない)の固形材料で形成されてもよい。スタビライザー200も、半固形材料、例えばエチレンビニルアセテート(EVA)などの、固定されたブリッジ部に対して長形部材の相対的な向きを十分に維持できるが機器支持具を装着した使用者の快適さを提供できる程度に柔軟な素材で作られてもよい。
【0023】
図11は、第二長形部材120とブリッジ部130との間の一体型接続部126の断面図である。図11に示されるように、第二スタビライザー202は、第二長形部材120とブリッジ部130との間の接続部126にかけて延設される。第二長形部材120内には、第二スタビライザー202が第二外側層142とクッション層144との間に配置されている。第二スタビライザー202は、バー146と第二外側層142との間に配置される。接続部126内には、第二スタビライザー202が第一外側層140と第二外側層142との間に配置される。ブリッジ部130内には、第二スタビライザー202がクッション層134と第二外側層132との間に配置される。第二スタビライザーは固形なので、接続部126の外郭が維持されるとともに、第二長形部材120とブリッジ部130との間の相対的な向きも維持される。あるいは、第二長形部材にバー146の両サイド上のクッション層がある場合は、第二スタビライザー202が、第二外側層142と、クッション層144からバー146の反対側のクッション層との間に配置されてもよい。第一及び第二スタビライザー200,202の硬さにより、ブリッジ部130に対して実質的に固定された第一及び第二長形部材110,120のそれぞれの向きが三次元で維持される。例えば、図10を参照した上記の記載ととおり、第二スタビライザーは、角度510と520を実質的に固定された状態に維持する。第二スタビライザーはさらに、図11に示されるように、第二長形部材120とブリッジ部130との間の角度530を実質的に固定された状態に維持する。
【0024】
第一スタビライザー200は、ブリッジ部130から接続部116にかけて第一長形部材110へと延設され、第二スタビライザー202が第二長形部材120とブリッジ部130とに対して位置するのと同様、第一長形部材110とブリッジ部130との内部に配置される。第二スタビライザーと同様に、第一スタビライザー200も、機器支持具100の反対側で第一長形部材110とブリッジ部130との間の角度を維持する。
【0025】
図12及び13では、第一スタビライザー200が平面図及び背面図のそれぞれにおいて図示されている。第一スタビライザー200は、それぞれ第一長形部材110の第一端部112と第二端部114へと延びる前延長部210と後延長部220とを有する。第一スタビライザー200のサイド延長部230はブリッジ部130の中心へ向かって延設される。第一スタビライザー200は、第一長形部材110と使用者600の左肩のそれぞれの外郭に沿うようにカーブして形成されている。第二スタビライザー202は第一スタビライザー200と同様にカーブしており、第二スタビライザーのカーブ構成は使用者600の右肩の輪郭に沿うように反対側に形成されている。第二スタビライザー202の鏡像は図示されていないが、第二スタビライザーは、第一スタビライザー200とは向きが反対だが同じ機能を有する。
【0026】
第一スタビライザー200と第二スタビライザー202は、第一長形部材110と第二長形部材120のブリッジ部130に対する向きを維持する。従って、第一及び第二長形部材110,120は、ブリッジ部130に対して回動しない。さらに、第一及び第二長形部材110,120は、接続部116,126のそれぞれにおけるブリッジ部130に対する角度が変化しない。図12に示される、後延長部220とサイド延長部230との間に形成される角度222は、スタビライザー200の硬さにより、第一長形部材110とブリッジ部130との間に形成される角度と向きが維持されるようなかたちで維持される。同様に、前延長部210とサイド延長部230との間に形成される角度224も、スタビライザー200の硬さにより維持される。機器支持具100内のスタビライザー200,202の配置により、機器支持具をひねったり曲げたりすることが抑制される。
【0027】
別の実施例では、機器支持具が分解可能に構成される。言い換えると、第一長形部材、第二長形部材、及びブリッジ部が別々に形成された部材となっている。図14及び15で示すように、機器支持具300が正面図及び平面図のそれぞれで表される。機器支持具300は、第一長形部材310と、第二長形部材320と、第一長形部材310と第二長形部材320を接続するブリッジ部330とを有する。第一長形部材310と第二長形部材320は機器支持具300の底部で凹状にカーブしている。第一長形部材310と第二長形部材320のそれぞれのカーブにより、第一及び第二長形部材310,320が、機器支持具300を装着した使用者600の両肩にフィットする。
【0028】
他の実施例と同様に、第一長形部材310と第二長形部材320はそれぞれ2つの端部を有する。第一長形部材310は、機器支持具300の前方に第一端部312と、機器支持具300の後方に第二端部314とを有する。第二長形部材320は、機器支持具300の前方に第一端部322と、機器支持具300の後方に第二端部324とを有する。機器取付機構500を受けるように構成された取付部318,328は、第一及び第二長形部材310,320の各第一端部312,322に配置されている。
【0029】
ブリッジ部330は第一スロット350と第二スロット352とを有し、各スロットは、ブリッジ部330の第一外側層340を囲う第三層354により形成される。ブリッジ部330の第一及び第二スロット350,352は、第一及び第二長形部材310,320のそれぞれの長さ方向において開口している。組み立て時は、第一長形部材310が接続部316でブリッジ部330の第一スロット350内に幅広方向にスライドする。
第一長形部材310は、第一長形部材310が第一スロット350から完全にスライド貫通するのを止めるための突起360を有する。同様に、ブリッジ部330の反対側では、第二長形部材320が接続部326でブリッジ部330に同様にスライドする。第二長形部材320は、第二長形部材320が第一スロット350から完全にスライド貫通するのを止めるための突起362を有する。突起360,362は第一及び第二長形部材310,320の長さ方向に沿った地点にそれぞれ位置しており、第一及び第二長形部材310,320がブリッジ部に組付けられるときにブリッジ部330に当接する。こうして、第一及び第二長形部材310,320がブリッジ部330に組付けられると、第一長形部材310はブリッジ部330に対して実質的に固定され、第二長形部材320はブリッジ部330に対して実質的に固定され、ブリッジ部330は第一及び第二長形部材310,320のそれぞれの第一端部312,322と第二端部314,324の間に位置する。さらに、ブリッジ部330に対する第一長形部材310の相対的な向きは実質的に固定され、ブリッジ部330に対する第二長形部材320の相対的な向きも実質的に固定される。
【0030】
図16に示すように、ブリッジ部330は接続部316,326を有する。第一スロット350と第二スロット352は接続部316及び326からそれぞれ延設される。図17では、図16の線17に沿ったブリッジ部330の断面図が示される。図17に示されるように、第二スロット352は第三層354と第一外側層340とにより形成される。第三層354は、第一外側層340と、第三層354と第一外側層との間に定義される第二スロット352とを覆うように提供される。スタビライザー202は第一外側層340と第二外側層342との間に配置され、第二スロット352の上に延設される。第二スロット352のブリッジ部330に対する向きは固形の第二スタビライザー202により維持される。その結果、組み立てたときには、第一及び第二長形部材310,320のブリッジ部330に対する向きが維持される。
【0031】
機器支持具300はブリッジ部330を基準にして対称であるので、機器支持具300の第一スロット350がある部分は、図17に示される第二スロット352がある部分の鏡像として表れる。従って、ブリッジ部330から接続部316にわたって第一スロット350の上に延びる第一スタビライザー200は、図17に示される第二スタビライザー202と同様、第一外側層340と第二外側層342との間に配置される。
【0032】
図1乃至6に示される機器支持具100については、第一及び第二長形部材110,120とブリッジ部130との間に形成される角度が異なってもよい。例えば、第一及び第二長形部材110,120はブリッジ部130に対して直角であってもよい。また、第一及び第二長形部材110,120は機器支持具100の前方で角度が大きく、機器支持具100の後方で角度が小さくてもよい。
【0033】
図14乃至17に示される機器支持具300については、第一及び第二スロット350,352とブリッジ部330との間に形成される角度は、第一及び第二長形部材310,320が組み立てられるときに第一及び第二長形部材310,320とブリッジ部330との間に望ましい角度が形成されるように変えられてもよい。
例えば、第一及び第二スロット350,352は、第一及び第二長形部材310,320がブリッジ部330に対して直角であってもよい。また、第一及び第二スロット350,352は、第一及び第二長形部材310,320が機器支持具300の前方で角度が大きく、機器支持具300の後方で角度が小さくてもよい。
【0034】
別の実施例では、図18に示されるように、ブリッジ部が延長機構400を有してもよい。延長機構400は、第一長形部材110と第二長形部材120との間の距離を変化させられるように構成されてもよい。図18に示されるように、延長機構400は、使用者600がブリッジの長さを変化させることができるバックル410の形状であってもよい。また、延長機構400は、ブリッジ部の長さを変えられるように着脱可能な面テープの形状であってもよい。スタビライザー(図示せず)は、図10及び11について上記に説明したものと同様に、機器支持具100内に配置されてもよい。長さは変更可能であっても、第一長形部材110とブリッジ部との間の相対的な向きと、第二長形部材120とブリッジ部との間の相対的な向きとは、実質的に固定される。前記の各実施例のように、スタビライザーはブリッジ部130に対する第一及び第二長形部材110,120の向きを維持する。
【0035】
さらに別の実施例では、図19に示されるように、ブリッジ部にクッション層が省かれてもよい。図11と同様に、図19も、第二長形部材120とブリッジ部130との間の一体型接続部126の断面図を示すものである。第二スタビライザー204は、第二長形部材120とブリッジ部130との間で接続部126にかけて延設される。第二長形部材120内には、第二スタビライザー204が第一外側層140とクッション層144との間に配置されている。第一外側層140と第二外側層142は、各長形部材の外側エッジ148上に互いに取り付けられている。接続部126内には、第二スタビライザー204が第一外側層140と第二外側層142との間に配置される。第二スタビライザー204は、ブリッジ部130の中心へ向かってその一部がブリッジ部130の内部へと延びている。ブリッジ部130の中心は、第一及び第二外側層136,132が互いに固定された状態で第一外側層136及び第二外側層132のみに形成されてもよい。第二スタビライザー204は接続部126の形状を維持するとともに、第二長形部材120とブリッジ部130との相対的な向きを維持する。第一スタビライザー(図示せず)も、第二スタビライザー204と同様に、しかし機器支持具の反対側に配置される。図19に示すスタビライザー204は、半固形材料、例えばEVAなどで形成されてもよく、接続部126での第二長形部材120とブリッジ部130との間の相対的な最小限の動きのみ可能とするようにしてもよい。もちろん、スタビライザー204はもっと硬い材料、例えば前記の他の実施例において説明される第一及び第二スタビライザー200,204に使われる材料と同じ材料で形成されてもよい。
【0036】
機器支持具100のさらに別の実施例では、第一長形部材110と第二長形部材120のそれぞれの第二端部114,124が、図20で示すように、固定機構150により一緒に固定される。固定機構150は、第二端部114,124を一緒に結び付ける、フック止めする、あるいはその他の方法で固定する機構であってもよい。図20に示される実施例においては、固定機構150は、第一長形部材110と第二長形部材120のそれぞれの穴154,156を通るひも152を有する。ひも152は固定機構150を通り、ロッキング部158により所定の場所にロックされたり、ロック解除されたりする。ひも152をロッキング部158でロックすることにより、固定機構150により第一及び第二長形部材110,120が固定位置に固定され、このとき第二端部114,124は一緒に近くでまとめられ、第一端部112,122は互いにより離れた状態となる。固定位置では、第一及び第二長形部材110,120の相対的位置は、機器支持具100が使用者に対する重量の分散をブリッジ部130から第一及び第二長形部材110,120の方へずらすことができる位置となっている。固定されていない位置では、ひも152は解放されて第一及び第二長形部材110,120の第二端部114,124が互いにより離れ、第一端部112,122がより近づくようにすることができる。固定されていない位置では、第一及び第二長形部材110,120の第二端部114,124の動きはより制限されたものとなり、機器支持具100を保管又は運搬のためにたたむことができる。
固定機構150は、図20に示されるひもストッパー以外のさまざまな形状をとり得ることは理解されるべきであり、例えば、穴154,156を使って第二端部114,124を固定するように構成される、フックやその他の適切な固定機構であってもよい。
【0037】
機器支持具100の寸法はいろいろな寸法があり得るが、一例として、以下に示すような寸法が適切な寸法であろう。ブリッジ部は、長さ(接続部116から接続部126まで)が4から8インチ程度(例えば6インチ)、幅(ブリッジ部の前側からブリッジ部の後側まで)が1から3インチ程度(例えば1.75インチ)、厚さ(第一外側層136から第二外側層132まで)が0.1から1インチ程度(例えば0.4インチ)でもよい。各長形部材は、長さ(各長形部材の第一端部112,122から第二端部114,124までの、長形部材のカーブに沿った長さ)が6から12インチ程度(例えば8.5インチ)、幅が1から3インチ程度(例えば1.5インチ)、厚さ(第一外側層140から第二外側層142までの、クッション層144の最も厚みのある位置)が0.1から1インチ程度(例えば0.5インチ)でもよい。第二長形部材120の第一端部122とブリッジ部130との間の角度510は、90から150度程度(例えば135度)でもよい。第二長形部材120の第二端部124とブリッジ部130との間の角度520は、35から60度程度(例えば45度)でもよい。第一及び第二長形部材110,120のカーブは、2から4インチ程度(例えば3インチ)の円弧半径でもよい。スタビライザーの厚さは0.02から0.3インチ程度(例えば0.1インチ)でもよい。機器支持具300は機器支持具100と同様の寸法でもよい。上記の寸法はおおよその寸法であり、人の体格によりあるいは取り付けられる機器によりサイズが変化してもよい。
【0038】
本発明で開示される実施例は、使用者の上半身に沿って取り付けられた機器の重量を分散する機器支持具を提供するものである。機器支持具は、サブパーツのそれぞれの向きを維持しながら、装着された機器の重量が使用者の上半身に均一に分散されるようにするとともに、使用者が動いても均一な重量分散を維持する。機器支持具に取り付けられる機器、例えばサキソフォンなど、が想定される動きをする間、使用者が装着した機器支持具が動くことも想定される。しかし、各長形部材とブリッジ部の相対的な向きが実質的に固定されていることにより、機器支持具の長形部材とブリッジ部の位置関係が変わることはなく、それゆえ、機器の重量の均一な分散が達成される。
【0039】
上記に説明される例において様々な機能が説明されているが、他にも様々な選択肢、改変、変形及び/又は例が可能である。それゆえ、上記に記載の例は、わかりやすく図示することを意図して示されたものである。根底的に意図される幅広い原理と範囲から外れない限りにおいて、さまざまな変形が可能である。
【符号の説明】
【0040】
100、300 :機器支持具
110、310 :第一長形部材
112、122、312、322 :第一端部
114、124、314、324 :第二端部
116、126、316、326 :接続部
118、128、328 :取付部
120、320 :第二長形部材
130、330 :ブリッジ部
132、142、342 :第二外側層
134、144 :クッション層
136、140、340 :第一外側層
138、148 :外側エッジ
146 :バー
150 :固定機構
154、156 :穴
158 :ロッキング部
200 :第一スタビライザー
202、204 :第二スタビライザー
210 :前延長部
220 :後延長部
230 :サイド延長部
350 :第一スロット
352 :第二スロット
354 :第三層
360、362 :突起
400 :延長機構
410 :バックル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15
図16
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図18
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図20