(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】凍結検知装置
(51)【国際特許分類】
F25D 21/14 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
F25D21/14 A
(21)【出願番号】P 2019153373
(22)【出願日】2019-08-26
【審査請求日】2022-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】関谷 禎夫
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-122684(JP,A)
【文献】特開平11-248335(JP,A)
【文献】特開2017-036955(JP,A)
【文献】特開平09-280957(JP,A)
【文献】特開2018-096865(JP,A)
【文献】国際公開第2017/208342(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 21/02 ~ 21/04
F25D 21/14
F24F 1/0007
F24F 1/02
F24F 13/22
G01F 23/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中に設置した熱伝導部材と、前記熱伝導部材に熱を伝える加熱手段と、前記熱伝導部材の表面温度を検知する温度検知手段と、を備え、
前記熱伝導部材は、前記加熱手段を上部に配置するとともにドレンパンに向けて下方に延伸して構成され、
前記温度検知手段は、前記熱伝導部材の下方に下がった部分に配置され、
前記加熱手段を用いて前記熱伝導部材の温度を周囲空気温度よりも高く保ち、前記温度検知手段の検知温度があらかじめ設定した温度よりも低下した場合に、水または氷があると判断することを特徴とする凍結検知装置。
【請求項2】
空気中に設置した熱伝導部材と、前記熱伝導部材に熱を伝える加熱手段と、前記熱伝導部材の表面温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段で検知した温度が、あらかじめ設定した温度となるように加熱手段の出力を調整する出力調整手段と、を備え、
前記熱伝導部材は、前記加熱手段を上部に配置するとともにドレンパンに向けて下方に延伸して構成され、
前記温度検知手段は、前記熱伝導部材の下方に下がった部分に配置され、
前記出力調整手段の加熱手段出力値が、あらかじめ設定した出力値よりも高くなった場合に、水または氷があると判断することを特徴とする凍結検知装置。
【請求項3】
空気中に設置した熱伝導部材と、前記熱伝導部材に熱を伝える加熱手段と、前記熱伝導部材の表面温度を検知する温度検知手段と、を備え、
前記熱伝導部材は、ドレンパンの側壁を挟み、上方で接続されるように配置され、
前記ドレンパンの内側に位置する前記熱伝導部材と、前記ドレンパンの外側に位置する前記熱伝導部材に配置された前記加熱手段との間には前記熱伝導部材周囲の水が前記加熱手段へ触れることを防止するための前記側壁があり、
前記加熱手段を用いて前記熱伝導部材の温度を周囲空気温度よりも高く保ち、前記温度検知手段の検知温度があらかじめ設定した温度よりも低下した場合に、水または氷があると判断することを特徴とする凍結検知装置。
【請求項4】
空気中に設置した熱伝導部材と、前記熱伝導部材に熱を伝える加熱手段と、前記熱伝導部材の表面温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段で検知した温度が、あらかじめ設定した温度となるように加熱手段の出力を調整する出力調整手段と、を備え、
前記熱伝導部材は、ドレンパンの側壁を挟み、上方で接続されるように配置され、
前記ドレンパンの内側に位置する前記熱伝導部材と、前記ドレンパンの外側に位置する前記熱伝導部材に配置された前記加熱手段との間には前記熱伝導部材周囲の水が前記加熱手段へ触れることを防止するための前記側壁があり、
前記出力調整手段の加熱手段出力値が、あらかじめ設定した出力値よりも高くなった場合に、水または氷があると判断することを特徴とする凍結検知装置。
【請求項5】
請求項1
から4のいずれか1項に記載の凍結検知装置において,水または氷があると判断した場合に,異常があることを外部に報知する発報手段を備えたことを特徴とする凍結検知装置。
【請求項6】
請求項1
から4のいずれか1項に記載の凍結検知装置において,前記温度検知手段もしくは前記加熱手段から得られるデータを,他の診断装置へ送信し,前記診断装置において,凍結検知の判断をおこなうことを特徴とする凍結検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍結を検出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍機などに搭載される冷却器では,蒸発温度が0℃以下となるため,蒸発器表面には徐々に霜が成長し,蒸発器における熱交換量が減少してしまう。このため適宜除霜を行う必要がある。この除霜運転の際に生じたドレン水は,冷却器の下方に設置されたドレンパンに落下し,排水口から排出される。ここで,ドレンパン内のドレン水が排出されないとドレン水が凍結し排出が困難になってしまうので,凍結を防止するためにヒータ等の加熱手段を備えているものがある(例えば,特許文献1参照)。
【0003】
また,蒸発器表面に付着する霜を検出する技術として、発熱素子による温度上昇時間の変化を比較する技術(例えば、特許文献2参照)が知られている。特許文献2では、サーミスタにより検出される温度が所定値だけ上昇するまで発熱素子を発熱させ、その温度上昇に要する上昇時間を検出し、この上昇時間を用いて、熱交換器の表面に成長する霜もしくは氷を検知できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-251480号公報
【文献】特開平9-264655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
たとえば冷凍倉庫や冷蔵ショーケースなどでは,冷却運転を安定かつ継続的におこなうことが重要である。ドレンパン内に落下したドレン水は,例えばヒータが故障した場合には凍結する恐れがある。また,排水口へのゴミの詰まりなどが生じた場合にも,排水が困難となりドレン水の凍結という事態になりうる。このようなドレンパンの凍結は安定した冷却器の運転を阻害する要因となるため,早期検知が必要となるが,特許文献1に開示されたような従来技術ではこれらの故障やゴミ詰まりといった様々な要因に起因するドレンパンの凍結を検知することは困難であった。
【0006】
また特許文献2に開示された熱交換器への着霜を検知技術は,熱交換器への着霜検知を対象としており,温度変化の速度を繰り返し検出する方式であり,小型かつ熱容量の小さなセンサとなる。この場合,冷凍庫内の埃や粉塵等が溜まりやすいドレンパンの底に配置すると,これらの熱容量の影響を受けやすく,温度上昇時間が徐々に変化する可能性があり,誤検知しやすいという課題が生じる。また熱交換器の着霜とは異なり,ドレンパン内で水が凍結状態になると,体積が膨張するためセンサ部が変形する恐れがある。このような場合にはセンサの故障や誤検知が発生する恐れがあり,特に電源系統が凍結することは信頼性上好ましくないので,信頼性の観点からもこのまま転用することには課題があった。
【0007】
本発明の目的は、信頼性の高い凍結検知装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、空気中に設置した熱伝導部材と、前記熱伝導部材に熱を伝える加熱手段と、前記熱伝導部材の表面温度を検知する温度検知手段と、を備え、前記熱伝導部材は、前記加熱手段を上部に配置するとともにドレンパンに向けて下方に延伸して構成され、前記温度検知手段は、前記熱伝導部材の下方に下がった部分に配置され、前記加熱手段を用いて前記熱伝導部材の温度を周囲空気温度よりも高く保ち、前記温度検知手段の検知温度があらかじめ設定した温度よりも低下した場合に、水または氷があると判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、信頼性の高い凍結検知装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図5】1つの監視装置30で統合して監視するシステムとした場合の実施例
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明における実施形態に係わる凍結検知装置及び空気調和装置の室外機について、
図1~
図7を用いて、以下詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
本発明の第1の実施形態を、
図1と
図2を用いて説明する。
【0013】
図1は本発明の実施形態におけるシステム構成図であり,例えば室温が-20℃に設定された冷凍倉庫内の冷却器用ドレンパン20上に配置した場合を想定した動作について説明する。非熱伝導部材である樹脂製の架台10の上に,L字型に成型された銅板11が,一端が下方に下がるように設置されている。銅板11の上部には加熱手段としてのヒータ13が配置され,銅板の下がった鉛直部分には銅板11表面温度を検知する温度検知手段12が配置されている。温度検知手段12は温度調節器14に接続されており,温度が過剰に上昇した場合にヒータ13への出力を停止する構成となっている。
【0014】
銅板11は下端が架台10の底面よりも上方に位置するため,ドレンパン20(冷却用ドレンパン20)の底部に接触することはなく,空気中に浮いた状態となる。このため,周囲空気やドレンパン20等への熱移動が抑制されるので,ヒータ13で加熱された場合には熱が容易に銅板11全体に広がり,温度検出手段12(温度検知手段12)が検知する温度を周囲温度(例えば-20℃)よりも高くできる。本実施例においては,温度検知手段12の温度が0℃よりも高い温度(例えば10℃)となるようにヒータ13への加熱量を設定している。したがって,銅板11から外気への放熱量が変動しなければ,温度検出手段12が検知する温度はほぼ一定となる。
【0015】
本実施例でにおいて,ドレンパン20の排水経路等に異常が生じて,排水がうまくいかなくなった場合には,ドレンパン20内にドレン水が徐々にたまり,最終的には周囲空気に冷やされて凍結することになる。このような場合,ドレンパン20内部の水位が上昇することになるので,本実施例では銅板11の下端部が水と接触するようになる。このとき水温は0℃近傍であり,銅板11の設定温度10℃とドレン水との温度差は,10℃程度となる。銅板と周囲空気との温度差は30℃程度であり温度差としては1/3程度に小さくなるが,銅板11と水との間の熱伝達率は,周囲が静止空気の場合に比べて10倍以上高くなるので,銅板11から水へ伝わる伝熱量は大きくなる。したがって,銅板11の温度が低下することになるので,この温度が設定した温度の閾値よりも低下したことを監視装置30が検知することで,銅板11がドレン水に接触したことを検知することができる。
【0016】
また,時間の経過とともにドレン水が凍結すると温度はさらに低下することになるので,凍結した場合であっても温度が再度上昇することはない。このようにドレン水の水位が上昇した場合や温度検出部が凍結して氷の内部に取り込まれた場合に想定されうる温度帯は0℃以下である。したがって,周囲が空気の状態で0℃よりも高い温度に保っておくことで,温度が下がった場合には,ドレン水の増加もしくは凍結したと判断することができるので,あらかじめ定めた閾値にたいして温度が高いか,低いかを判断することで誤検知の少ない信頼性の高い凍結検知システムを構築することができる。
【0017】
なお本実施例では,ヒータ13を上部に配置し熱伝導部材としての銅板11をドレンパン20の向けて下方に延伸させる構成とした。このため,ドレン水もしくは氷が接する部分は銅板11のみでありヒータ13が直接接触することなく検知が可能となっている。したがって,ドレン水が凍結した場合であっても,凍結するのは銅板11だけであり,凍結部にヒータ13が取り込まれることはないので,変形による断線等の心配がなく確実な検知動作が可能となっている。また,銅板11に変形が生じた場合であっても,熱を伝えるという機能がなくなることはないので,本センサとしての機能も失われることはなく,信頼性の高いシステムを提供することができる。なお本実施例では,銅板11をL字型に成型して一端を下方に垂らす構成としたが,ヒータを上部に配置し下方に熱伝導部材を延伸させる構成であれば,形状が異なっていても良いことは言うまでもない。
【0018】
また銅板11はドレンパン20の底部から距離を設ける構成とした。距離を設けない場合には,除霜運転時に毎回温度が低下することになり,異常時との区別が難しくなるが,本構成では通常の除霜運転時で想定される水面高さよりも高い位置に銅板11の下端を設けたので,想定以上に水位が上昇した場合および,さらに凍結した場合にのみ温度が低下する構成となっており,誤検知の少ない信頼性の高いシステムを提供することができる。
【0019】
なお本銅板11が周囲空気に直接触れる構成となっている場合には,冷却器のファンの動作やドレンパン20における水跳ね,または冷凍庫内の送風ファン等の影響を受けて温度が変化しやすい。本実施例では,このような影響を排除するために,カバー15を設けた。したがって周囲環境の影響を受けずに安定した温度を検知することができるので,凍結による温度変化を確実に検知することができる。
【0020】
なおドレンパン20の底には埃等が堆積する可能性があるが,これらが銅板11との伝熱性能に与える影響は小さく,熱容量の変化があった場合であっても定常時の温度の変化は小さいので,汚れや水質によらず安定した検知が可能となっている。
【0021】
なお本実施例では温度があらかじめ定めた閾値よりも下がった場合に,ドレン水の増水もしくは凍結状態と判断できるので,温度調節器14において凍結検知と判断して異常検知のアラームを発報するとした。
【0022】
また本システムにおいてヒータ13に,断線等の異常が生じた場合には加熱手段がなくなるので温度が容易に低下することになる。このため,断線等による異常であっても温度低下を検知することで異常検知が可能である。したがって,ヒータ13の異常に気が付かないといった事態にはならず,信頼性上好ましいシステムにできる。なお,ヒータ13に異常が生じた場合には,測定温度が周囲温度まで低下することになるので,異常がない場合に対しても温度が低くなる。したがって,凍結検知の場合との区別も可能である。
【0023】
そこで本実施例では,凍結検知用の第一の閾値に加えて,第一の閾値よりも低温のヒータ異常検知用の第二の閾値を設けることで,温度が第二の閾値よりも低下した場合には,ヒータ異常として外部に発報する構成とした。
【0024】
図2は本実施例における制御フローを示している。本実施例では上述のように、ステップS201とステップS202で、まず第一の閾値温度Tcr1と,第二の閾値温度Tcr2を設定したのち,ヒータ13への通電を開始する(ステップS203)。その後,ステップS204にて、温度検知手段12で温度Tsを測定し、温度Tsと第一の閾値温度Tcr1との比較をおこない(ステップS205),第一の閾値温度Tcr1よりも高い場合には,周囲にドレン水や凍結した氷はないと判断する(ステップS206)。逆に温度が低い場合には,第二の閾値温度Tcr2との比較をおこなう(ステップS207)。第二の閾値温度Tcr2よりは高い場合には,銅板11周囲にドレン水もしくは凍結した氷があるという凍結検知という判断をおこない(ステップS208),アラームを発報する(ステップS209)。また第二の閾値温度Tcr2よりも低い場合には,ヒータ異常という判断をおこない(ステップS210),同様にアラームを発報するといった動作を継続的におこなう。
【0025】
本実施例では,閾値による判定結果をそのまま凍結検知という判定につなげるフローとしたが,例えば所定回数繰り返したら,アラームを発報するなどのフローを追加しても良い。この場合には,例えばドレン水が跳ねて銅板11に付着し,一時的に温度が低下した場合など,本来検知したくない条件での誤検知を防止することができ,より信頼性の高いシステムを構築することができる。
【0026】
次に本発明の第2の実施例の実施形態について
図3と
図4を用いて説明する。
【0027】
図3は,本発明の第2の実施例を示すシステム構成図である。第一の実施例では,ヒータの出力を設定値で固定としたが,本実施例では温度検出手段12の検知する温度が一定となるように,ヒータ13への出力を調整する機能を温度調節器14に備えるとした。本実施例においても,温度検出手段12の検知する温度が0℃以上(例えば10℃)としている。
【0028】
このような構成とした場合,銅板11にドレン水が接触するようになると,銅板11からドレン水への放熱量が増大するので,温度検出手段12の温度を一定とするためには,ヒータ13の出力を高める必要がある。凍結した場合であっても,周囲が空気の場合に比べて伝熱性能が高いので,出力を高める必要があるのは第一の実施例と同様である。したがって,本実施例においては,ヒータ13への出力をモニタし,出力値があらかじめ定めた閾値に対して上昇した場合に,ドレン水の増水もしくは凍結を検知したと判断し,温度調節器14からアラーム信号を発報する構成となっている。なお,ヒータ13への出力は,温度調節器14からの出力値を監視しても良いし,またヒータ13への電流値を測定するとしても良い。
【0029】
図4は,
図3に示す実施例における制御フローを示したものである。本実施例では,ステップS401にて、まずヒータ13出力への閾値となる値Dcrを設定する。ステップS402にて、温度検出手段の目標温度T1を設定したのち,ヒータ13への通電を開始する(ステップS403)。温度検出手段でセンサ温度Tsを取得し(ステップS404),目標温度T1との温度差dTを算出する(ステップS405)。そしてdTが0となるようにヒータ出力Dhを調整する(ステップS406)。この際ヒータ13出力Dhがあらかじめ設定した閾値出力Dcrとを比較し(ステップS407)、ヒータ13出力Dhがあらかじめ設定した閾値出力Dcrよりも小さい場合には,異常なしと判断する(ステップS408)。一方,DhがDcrよりも高い場合には,ヒータ13出力が増加しているので凍結検知を判断し(ステップS409),アラームを発報する(ステップS410)。
【0030】
なお、本実施例では,ヒータ異常のフローを入れていないが,
図2に示した実施例と同様にヒータ異常を検知するフローを入れても良いことは言うまでもない。
【0031】
図5は,複数の凍結検知センサにおける温度検出手段(12A,12B,12C)の値を,1つの監視装置30で統合して監視するシステムとした場合の実施例を示している。本実施例では,3台に凍結検知センサを接続した例を示しているが,接続台数はこれに限定されるものではない。監視装置30では,各温度検出手段における測定温度およびヒータ出力状態などを上位システム31に送信する。上位システム31では各ユニットそれぞれについて,凍結状態か否かの判定をおこない,凍結状態と判断した場合には凍結検知したことを,ユーザに知らせるべく,センサ情報とともに発報する。具体的には
図2に示した判定フローを各凍結検知センサごとにおこなうことで,どのセンサで異常が生じたのか容易に判断することができる。
【0032】
このようなシステムでは,個別に監視することができるので,例えば12Bの温度だけが低下した場合には,12Bのある冷却器において凍結が進んでいることを検知することができる。また凍結判定のフローや閾値などはサーミスタの個体差や設備環境等で変わる可能性があるが,上位システムでまとめて管理しやすく,変更等も容易になるというメリットがある。
【0033】
なおここで凍結状態の判定は,上位システム31でおこなうとしたが,必ずしも上位システム31でおこなう必要はなく,監視装置30に判定機能および発報機能を備えても良い。また監視装置30および上位システム31は,必ずしも凍結検知専用の監視装置30である必要はなく,例えば冷凍機の圧力や温度などを監視するための装置と兼用しても良い。
【0034】
本実施例では,異常発生を検知した際に,作業者はこれらの情報を基に現地へ確認に行くことができる。従来は凍結状態を把握するためには,作業者が各冷却器を個別に目視で確認する点検業務が必要であったが,本実施においては,遠隔で温度を監視するだけで凍結状態の有無を確認することができるので,作業者の負担を軽減できるなどの利点が得られる。
【0035】
図6は,本発明の第三の実施例である。本実施例では,円筒状のヒータ13に対してその周囲を覆うように円筒状の銅パイプ11
(銅板11) を配置してヒータ13の熱を下方に伝えるようにしている。そして銅パイプ11 の周囲には断熱を兼ねた円筒状の架台10が配置されており,この架台と銅パイプを固定することにより,銅パイプ11 を,その下端がドレンパン20 の底に接することがないように所定の距離を保って設置することができる。本実施例では銅パイプ11 の周囲が樹脂製の架台10で覆われているので,周囲空気の流動に伴う銅パイプ11 の温度変化を抑えることができるので,第一の実施例にようなカバーがない構成であっても,安定した信頼性の高いシステムを構築できる。また第一の実施例と同様にヒータ13の配線部は上方に配置されており,凍結に伴う変形による信頼性の低下を防ぐ効果が得られる。
【0036】
図7は,本発明の第四の実施例である。本実施例ではドレンパン20の側壁を挟むように架台10を配置し,その周囲に熱伝導部材である銅板11を配置した。ヒータ13はドレンパンの外側(図中左側)に配置する構成としたので,ヒータ11の位置は銅板11を延伸した部分と同程度の高さであるが,間に壁面を設けることによって,ドレンパン内にドレン水が溜まった場合であってもドレン水と触れない構造となっている。したがって凍結による破損等も懸念がなく信頼性の高いシステムとすることができる。またヒータ13と銅板11を鉛直方向に配置する場合に比べて高さを抑えることができるという効果も得られるので,ドレンパンと冷却器の間の高低差が低い場合に特に有効である。
【符号の説明】
【0037】
10 架台
11 銅板
12 温度検知手段
13 ヒータ