IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本特殊陶業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-複合部材 図1
  • 特許-複合部材 図2
  • 特許-複合部材 図3
  • 特許-複合部材 図4
  • 特許-複合部材 図5
  • 特許-複合部材 図6
  • 特許-複合部材 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】複合部材
(51)【国際特許分類】
   C04B 37/02 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
C04B37/02 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019200593
(22)【出願日】2019-11-05
(65)【公開番号】P2021075401
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(72)【発明者】
【氏名】若園 誠
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 陽一
【審査官】有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-130609(JP,A)
【文献】特開2009-188389(JP,A)
【文献】特開2009-060103(JP,A)
【文献】特開2008-198975(JP,A)
【文献】国際公開第2015/133577(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 37/00-37/02
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合部材であって、
第1の方向に略直交する表面を有するセラミック部材と、
前記セラミック部材の表面に設けられるメタライズパッドと、
前記メタライズパッドの表面に配置された非活性ロウ材を介して、前記メタライズパッドと接合される金属部材と、を備え、
前記第1の方向に平行な、前記メタライズパッドの中心軸および前記金属部材の中心軸を含む断面において、
前記非活性ロウ材と前記セラミック部材の表面との間に形成される隙間は、2μmよりも小さい部分を有し、
前記第1の方向に略直交する方向である第2の方向における、前記メタライズパッドの断面幅をLmとし、前記金属部材の断面幅をLpとすると、
p×0.5<Lm<Lpであり、
かつ、
前記メタライズパッドの中心軸と前記金属部材の中心軸との間の距離をDLとすると、
0<DL<1/2×(Lp-Lm)である、
ことを特徴とする複合部材。
【請求項2】
複合部材であって、
第1の方向に略直交する表面を有するセラミック部材と、
前記セラミック部材の表面に設けられるメタライズパッドと、
前記メタライズパッドの表面に配置された非活性ロウ材を介して、前記メタライズパッドと接合される金属部材と、を備え、
前記第1の方向に平行な、前記メタライズパッドの中心軸および前記金属部材の中心軸を含む断面において、
前記第1の方向に略直交する方向である第2の方向における、前記メタライズパッドの断面幅をL m とし、前記金属部材の断面幅をL p とすると、
p ×0.5<L m <L p であり、
かつ、
前記メタライズパッドの中心軸と前記金属部材の中心軸との間の距離をD L とすると、
1/4×(L p -L m )<D L <1/2×(L p -L m )である、
ことを特徴とする複合部材。
【請求項3】
請求項に記載の複合部材であって、
前記断面において、前記非活性ロウ材と前記セラミック部材の表面との間に形成される隙間は、2μmよりも小さい部分を有する、
ことを特徴とする複合部材。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の複合部材であって、
前記セラミック部材の表面のうち、前記非活性ロウ材が配置されている部分の算術平均粗さRaは、0.5~3.0μmである、
ことを特徴とする複合部材。
【請求項5】
請求項から請求項までのいずれか一項に記載の複合部材であって、
前記金属部材は、
本体部と、
前記第1の方向において、前記本体部と前記セラミック部材との間に位置し、前記非活性ロウ材を介して、前記メタライズパッドと接合される応力緩和部材と、を含んでおり、
前記応力緩和部材は、前記非活性ロウ材によって覆われている、
ことを特徴とする複合部材。
【請求項6】
請求項5に記載の複合部材であって、
前記応力緩和部材を構成する材料の熱膨張係数は、前記セラミック部材を構成する材料の熱膨張係数より大きく、前記本体部を構成する材料の熱膨張係数より小さい、
複合部材。
【請求項7】
複合部材であって、
第1の方向に略直交する表面を有するセラミック部材と、
円形形状を有し、前記セラミック部材の表面に設けられるメタライズパッドと、
前記第1の方向に略平行な軸心を有する円筒形状の金属部材であって、前記メタライズパッドの表面に配置された非活性ロウ材を介して、前記メタライズパッドと接合される前記金属部材と、を備え、
前記非活性ロウ材と前記セラミック部材の表面との間に形成される隙間は、2μmよりも小さい部分を有し、
前記メタライズパッドの直径をRmとし、前記金属部材の直径をRpとすると、
p×0.5<Rm<Rpであり、
かつ、
前記メタライズパッドの中心軸と前記金属部材の中心軸との間の距離をDRとすると、
0<DR<1/2×(Rp-Rm)である、
ことを特徴とする複合部材。
【請求項8】
複合部材であって、
第1の方向に略直交する表面を有するセラミック部材と、
円形形状を有し、前記セラミック部材の表面に設けられるメタライズパッドと、
前記第1の方向に略平行な軸心を有する円筒形状の金属部材であって、前記メタライズパッドの表面に配置された非活性ロウ材を介して、前記メタライズパッドと接合される前記金属部材と、を備え、
前記メタライズパッドの直径をR m とし、前記金属部材の直径をR p とすると、
p ×0.5<R m <R p であり、
かつ、
前記メタライズパッドの中心軸と前記金属部材の中心軸との間の距離をD R とすると、
1/4×(R p -R m )<D R <1/2×(R p -R m )である、
ことを特徴とする複合部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、セラミック部材と金属部材とがロウ材によって接合されている複合部材が知られている(例えば、特許文献1)。このような複合部材では、一般的に、ロウ材と接合しやすいメタライズパッドがセラミック部材の表面に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特願2007-250195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、チタンを含む活性ロウ材を用いてセラミック部材と金属部材とを接合した場合、活性ロウ材がメタライズパッドだけではなくセラミック部材とも化学的に結合するため、温度変化によって複合部材が変形すると、セラミック部材に熱応力によるクラックが発生するおそれがあった。また、セラミック部材と化学的に結合しない非活性ロウ材を用いてセラミック部材と金属部材とを接合した場合、金属部材がセラミック部材に対して所定位置からずれて配置されるとメタライズパッドの表面が露出し、メタライズパッドが酸化するおそれがあった。
【0005】
本発明は、複合部材において、セラミック部材でのクラックの発生を抑制しつつ、メタライズパッドの酸化を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、複合部材が提供される。この複合部材は、第1の方向に略直交する表面を有するセラミック部材と、前記セラミック部材の表面に設けられるメタライズパッドと、前記メタライズパッドの表面に配置された非活性ロウ材を介して、前記メタライズパッドと接合される金属部材と、を備え、前記第1の方向に平行な、前記メタライズパッドの中心軸および前記金属部材の中心軸を含む断面において、前記第1の方向に略直交する方向である第2の方向における、前記メタライズパッドの断面幅をLmとし、前記金属部材の断面幅をLpとすると、Lp×0.5<Lm<Lpであり、かつ、前記メタライズパッドの中心軸と前記金属部材の中心軸との間の距離をDLとすると、0<DL<1/2×(Lp-Lm)である。
【0008】
この構成によれば、セラミック部材と金属部材とは、セラミック部材と化学的な結合をしない非活性ロウ材、および、メタライズパッドを介して接合される。これにより、複合部材の温度が変化するときセラミック部材に作用する熱応力が小さくなるため、熱応力によるセラミック部材でのクラックの発生を抑制することができる。また、メタライズパッドの中心軸と金属部材の中心軸を通る断面における、メタライズパッドの断面幅Lmと、金属部材の断面幅Lpと、メタライズパッドと金属部材の中心軸間の距離DLは、上述した関係となっている。これにより、メタライズパッドと非活性ロウ材との接合面積を大きくしつつ、メタライズパッドに対して金属部材がずれて配置されてもメタライズパッドの露出が抑制される。したがって、大気中の酸素によるメタライズパッドの酸化を抑制することができる。
【0009】
(2)上記形態の複合部材において、前記断面において、前記非活性ロウ材と前記セラミック部材の表面との間に形成される隙間は、2μmよりも小さい部分を有していてもよい。この構成によれば、非活性ロウ材とセラミック部材の表面とは係合しやすくなるため、アンカー効果によって複合部材の引張強度が向上する。これにより、複合部材の破損を抑制することができる。
【0010】
(3)上記形態の複合部材において、前記セラミック部材の表面のうち、前記非活性ロウ材が配置されている部分の算術平均粗さRaは、0.5~3.0μmであってもよい。この構成によれば、非活性ロウ材とセラミック部材との係合によるアンカー効果が発揮されやすくなるとともに、セラミック部材の表面の微小な凹凸に非活性ロウ材が充填されやすくなる。これにより、セラミック部材と金属部材との引張強度がさらに向上するため、複合部材の破損を抑制することができる。
【0011】
(4)上記形態の複合部材において、前記金属部材は、本体部と、前記第1の方向において、前記本体部と前記セラミック部材との間に位置し、前記非活性ロウ材を介して、前記メタライズパッドと接合される応力緩和部材と、を含んでおり、前記応力緩和部材は、前記非活性ロウ材によって覆われていてもよい。この構成によれば、非活性ロウ材に覆われている応力緩和部材は、大気との接触が抑制される。これにより、大気中の酸素による応力緩和部材の酸化を抑制することができるため、金属部材の耐久性の低下を抑制することができる。
【0012】
(5)上記形態の複合部材において、前記応力緩和部材を構成する材料の熱膨張係数は、前記セラミック部材を構成する材料の熱膨張係数より大きく、前記本体部を構成する材料の熱膨張係数より小さくてもよい。この構成によれば、応力緩和部材の熱膨張係数を、セラミック部材の熱膨張係数と本体部の熱膨張係数との間の値にすることで、複合部材の温度が変化するときにセラミック部材に作用する熱応力を緩和することができる。したがって、複合部材の破損を抑制することができる。
【0013】
(6)本発明の別の形態によれば、複合部材が提供される。この複合部材は、第1の方向に略直交する表面を有するセラミック部材と、円形形状を有し、前記セラミック部材の表面に設けられるメタライズパッドと、前記第1の方向に略平行な軸心を有する円筒形状の金属部材であって、前記メタライズパッドの表面に配置された非活性ロウ材を介して、前記メタライズパッドと接合される前記金属部材と、を備え、前記メタライズパッドの直径をRmとし、前記金属部材の直径をRpとすると、Rp×0.5<Rm<Rpであり、かつ、前記メタライズパッドの中心軸と前記金属部材の中心軸との間の距離をDRとすると、0<DR<1/2×(Rp-Rm)である。この構成によれば、セラミック部材と金属部材とは、セラミック部材と化学的な結合をしない非活性ロウ材を介して接合されるため、熱応力によるセラミック部材でのクラックの発生を抑制することができる。また、円形形状を有するメタライズパッドの直径Rmと、円筒形状を有する金属部材の直径Rpと、メタライズパッドと金属部材の中心軸間の距離DRは、上述した関係となっている。これにより、メタライズパッドと非活性ロウ材との接合面積を大きくしつつ、第1の方向に略直交する方向においてメタライズパッドに対して金属部材がずれて配置されてもメタライズパッドの露出は抑制されるため、大気中の酸素によるメタライズパッドの酸化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態の加熱部材の全体断面図である。
図2】加熱部材の下面図である。
図3】第1セラミック部材と電極端子部との接合部分の断面図である。
図4】第1セラミック部材とロウ材とが接触する部分の断面図である。
図5】複合部材の評価試験結果を示した図である。
図6】複合部材の評価試験に用いたサンプルの第1模式図である。
図7】複合部材の評価試験に用いたサンプルの第2模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の加熱部材1の全体断面図である。図2は、本実施形態の加熱部材1の下面図である。図3は、第1セラミック部材10と電極端子部30との接合部分の断面図である。図1は、図2のB-B線断面図でもあり、図3は、図1のA部拡大図でもある。本実施形態の加熱部材1は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長法)、PVD(Physical Vapor Deposition:物理的気相成長法)、ALD(Atomic Layer Deposition:原子層堆積法)などにおいて、半導体ウェハ3を加熱するために利用されるセラミックヒータである。加熱部材1は、第1セラミック部材10と、メタライズパッド15と、第2セラミック部材20と、ヒータ電極部25と、電極端子部30とを備える。
【0016】
第1セラミック部材10は、セラミック材料、例えば、窒化アルミニウムとイットリウムを含む酸化物から形成される円形形状を有する板状部材であり、ウェハ載置面11と、裏面12とを形成する。ウェハ載置面11は、第1セラミック部材10の一方の主面に形成されており、半導体ウェハ3が載置される。裏面12は、第1セラミック部材10において、ウェハ載置面11を形成する一方の主面と反対側の主面に形成されている。裏面12には、複数の凹部13が形成されている。加熱部材1では、図2に示すように、4個の凹部13が第1セラミック部材10の中心付近において、等間隔で円形状に配置されるように形成されている。第1セラミック部材10の内部には、ビア電極を含む内部配線10aと、ヒータ電極部25が配置されている。なお、本実施形態では、裏面12に略直交する直線が延びる方向を、第1の方向とする。ここで、「略直交」とは、厳密な意味での直交ではなく、一見して直交していると認識できる程度の関係も含む。第1セラミック部材10は、特許請求の範囲の「セラミック部材」に相当する。
【0017】
メタライズパッド15は、第1セラミック部材10の裏面12に設けられる。具体的には、メタライズパッド15は、第1セラミック部材10の裏面12に形成されている4個の凹部13のそれぞれの底面部14に配置されている(図1および図3参照)。本実施形態では、メタライズパッド15は、円形形状を有している。
【0018】
第2セラミック部材20は、セラミック材料、例えば、窒化アルミニウムから形成される柱状部材であり、本実施形態では、断面が円環形状の中空筒状に形成されている。第2セラミック部材20は、第1セラミック部材10の裏面12から第1の方向に延びる状態で、第1セラミック部材10に固定されている。具体的には、第2セラミック部材20は、第1セラミック部材10の裏面12に形成されている4個の凹部13が、第2セラミック部材20の内側を通して視認できる位置に固定されている(図2参照)。
【0019】
ヒータ電極部25は、図1に示すように、第1セラミック部材10の内部に配置されている部材である。ヒータ電極部25は、インナヒータ26と、アウタヒータ27を有する。インナヒータ26は、タングステンやモリブデンから形成されている渦巻き形状の部材であって、第1セラミック部材10の中心部分に配置されている。インナヒータ26は、通電によって、第1セラミック部材10に載置されている半導体ウェハ3の主に中心部分を加熱する。アウタヒータ27は、インナヒータ26と同様に、タングステンやモリブデンから形成されている渦巻き形状の部材であって、第1セラミック部材10において、インナヒータ26の外側に配置されている。アウタヒータ27は、通電によって、第1セラミック部材10に載置されている半導体ウェハ3の主に外周部分を加熱する。加熱部材1では、インナヒータ26の通電量とアウタヒータ27の通電量を制御することで、ウェハ載置面11に載置されている半導体ウェハ3を均一に加熱することができる。
【0020】
電極端子部30は、図1に示すように、第2セラミック部材20の内側に配置されており、第1セラミック部材10の内部配線10aおよびメタライズパッド15を介して、図示しない外部電源とヒータ電極部25とを電気的に接続する。加熱部材1は、図2に示すように、4個の凹部13のそれぞれに対応する4個の電極端子部30を備えており、2個の電極端子部30がインナヒータ26に接続し、残りの2個の電極端子部30がアウタヒータ27に接続する。電極端子部30は、電極端子40と、応力緩和部材50を備える。電極端子40と応力緩和部材50は、特許請求の範囲の「金属部材」に相当する。
【0021】
電極端子40は、応力緩和部材50とロウ材60を介して、メタライズパッド15に接合される金属製の棒状部材である。電極端子40は、図1に示すように、第2セラミック部材20の内壁部21に沿って、第1の方向に延びる状態で、メタライズパッド15に接合される。加熱部材1では、電極端子40は、ニッケルから、第1の方向に略平行な軸心を有する円筒形状に形成されており、軸心に垂直な断面の形状は、円形形状となっている。ここで、「略平行」とは、厳密な意味での平行だけでなく、一見して平行と認識できる程度の関係も含む。電極端子40は、特許請求の範囲の「本体部」に相当する。
【0022】
応力緩和部材50は、第1の方向において、第1セラミック部材10と電極端子40との間に位置している。本実施形態では、応力緩和部材50を構成する材料の熱膨張係数は、第1セラミック部材10を構成するセラミック材料の熱膨張係数より大きく、電極端子40を構成するニッケルの熱膨張係数より小さい。具体的には、応力緩和部材50は、タングステンや、コバール、鉄とニッケルの合金、鉄とクロムの合金、コバルトなど、室温での熱膨張率が比較的小さい材料から形成されている。応力緩和部材50は、断面形状が円形形状となるように形成されており、図3に示すように、断面の直径が電極端子40の直径より大きい。応力緩和部材50は、ロウ材60を介して、メタライズパッド15に接合される。応力緩和部材50は、加熱部材1の温度変化による、第1セラミック部材10と電極端子40との変形の度合いの違いを緩和し、熱応力による加熱部材1の破損を抑制する。
【0023】
ロウ材60は、メタライズパッド15の電極端子部30側の接合面16、および、第1セラミック部材10の底面部14に配置されている。ロウ材60は、チタンが含まれていない非活性ロウ材であるため、メタライズパッド15と化学的に結合するが、第1セラミック部材10とは化学的に結合しない特性を有する。ここで、化学的に結合している状態を「接合」という。すなわち、加熱部材1では、メタライズパッド15の接合面16に配置されているロウ材60は、メタライズパッド15と接合している一方、第1セラミック部材10の底面部14に配置されているロウ材60は、第1セラミック部材10と接合しておらず、係合によって物理的に結合していることとなる。これにより、熱応力による第1セラミック部材10でのクラックの発生を抑制することができる。
【0024】
図4は、第1セラミック部材10とロウ材60とが接触する部分の断面図である。図4は、図3のC部拡大図でもある。加熱部材1は、第1の方向に略平行な、メタライズパッド15の中心軸Cmと応力緩和部材50の中心軸Cpを含む断面(図3参照)において、第1セラミック部材10の底面部14に配置されているロウ材60の底面部14側の表面部61と、第1セラミック部材10の底面部14の間に形成される隙間は、2μmよりも小さい部分を有する。具体的には、ロウ材60の表面部61と第1セラミック部材10の底面部14の間には、例えば、図4に示す隙間S1、S2のように、大きさが2μmより小さい部分がある。これにより、第1セラミック部材10とロウ材60とは係合しやすくなるため、アンカー効果によって加熱部材1における第1セラミック部材10と電極端子40との間の引張強度が向上することができる。
【0025】
また、第1セラミック部材10の底面部14のうち、図4に示すようにロウ材60が配置されている部分の算術平均粗さRaは、0.5~3.0μmである。これにより、第1セラミック部材10とロウ材60が係合によってアンカー効果が発揮されやすくなるとともに、底面部14の微小な凹凸にロウ材60が充填されやすくなる(例えば、図4のS3部)。これによっても、加熱部材1における第1セラミック部材10と電極端子40との間の引張強度が向上することができる。
【0026】
本実施形態では、ロウ材60は、応力緩和部材50の全体を覆っている(図3参照)。具体的には、ロウ材60は、応力緩和部材50の外面のうち、第1セラミック部材10の底面部14に対向する上面51と、電極端子40の第1セラミック部材10側の端面41に対向する下面52と、上面51と下面52を接続する側面53のそれぞれを覆っている。応力緩和部材50は、このように、耐酸化性が高いロウ材60に覆われているため、大気中の酸素と接触しにくくなっており、応力緩和部材50の酸化を抑制することができる。
【0027】
次に、本実施形態の電極端子部30の特徴について説明する。図3に示すメタライズパッド15の中心軸Cmと、応力緩和部材50の中心軸Cpを含む断面において、メタライズパッド15の直径を直径Rmとし、応力緩和部材50の直径を直径Rpとする。このとき、メタライズパッド15の直径Rmと応力緩和部材50の直径Rpとの関係は、式(1)で表される。
p×0.5<Rm<Rp ・・・(1)
【0028】
また、図3に示す断面において、メタライズパッド15の中心軸Cmと応力緩和部材50の中心軸Cpとの間の距離を距離DRとすると、メタライズパッド15の直径Rmと応力緩和部材50の直径Rpと距離DRとの関係は、式(2)で表される。
0<DR<1/2×(Rp-Rm) ・・・(2)
【0029】
本実施形態の加熱部材1は、式(1)および式(2)の関係を満たしている。これにより、加熱部材1は、メタライズパッド15の中心軸Cmに略直交する第2の方向において電極端子部30がずれて配置されても、大気中の酸素によるメタライズパッド15の酸化を抑制することができる。具体的には、第1の方向視において、少なくともメタライズパッド15の外周部17が、ロウ材60で覆われることが好ましい(図3参照)。これにより、メタライズパッド15では、ロウ材60によって大気中の酸素との接触が抑制される。より好ましくは、メタライズパッド15の全面が、ロウ材60で覆われることが好ましい。
【0030】
次に、本実施形態の加熱部材1における第1セラミック部材10と電極端子部30との接合について、セラミック部材と金属部材とを接合した複合部材を用いた評価試験の結果を説明する。本評価試験では、複合部材において、セラミック部材と金属部材との相対位置や、セラミック部材に設けられるメタライズパッドやロウ材の形状などが、複合部材に与える影響について評価した。
【0031】
本評価試験で用いたサンプルは、以下に述べるシート積層法を用いて作製した。
(A)グリーンシート用スラリーの作製
窒化アルミニウム粉末100重量部と、酸化イットリウム(イットリア、Y23)粉末0.5重量部と、アクリル系バインダ20重量部とに、分散剤および可塑剤を適量加えた混合物を作製した。この混合物とトルエンなどの有機溶剤とを加え、ボールミルにて20時間混合し、グリーンシート用スラリーを作製した。
(B)グリーンシートの作製
キャスティング装置を用いて、(A)で作製したグリーンシート用スラリーをシート状に成形し、乾燥させることで、グリーンシートを作製した。
(C)メタライズペーストの作製
タングステンやモリブデンなどの粉末と、タングステンとモリブデンに対して調量された窒化アルミニウムの粉末と、アクリル系バインダやテルピネオールなどの有機溶剤を混合したメタライズペーストを作製した。
(D)ビア電極の形成
(B)で作製した複数のグリーンシートのそれぞれの所定の位置に貫通孔を形成した。形成した貫通孔の一部に(C)で作製したメタライズペーストを印刷することで、ビア電極を形成した。
(E)電極パターンの形成
(B)、(D)で作製したグリーンシートの一部に、(C)で作製したメタライズペーストを用いて、メタライズ層を印刷し、ヒータ電極部、内部配線、および、メタライズパッドとなる電極パターンを形成した。
(F)グリーンシート積層体の作製
(B)、(D)、(E)で作製したグリーンシートを、複数枚、例えば、20枚圧着し、必要に応じて外周を切断することで、厚み約8mmのグリーンシート積層体を作製した。さらに、マシニングによって、グリーンシート積層体の周囲を切削加工し、円板状の成形体を作製した。
(G)積層体の脱脂、焼成
(F)で作製したグリーンシート積層体について、450~600℃の範囲で脱脂を行った後、焼成を行うことでセラミックス部材を作製した。
(H)セラミックス部材と金属部材の接合
(G)で作製したセラミックス部材のメタライズパッドと金属部材が有する応力緩和部材との間に、ニッケル系ロウ材を挟み込み、真空炉を用いて、真空中で、10~40分間、950~1150℃の温度の範囲で加熱する。これにより、セラミックス部材と金属部材とのロウ付けを行った。
【0032】
図5は、複合部材の評価試験結果を示した図である。図6は、複合部材の評価試験に用いたサンプルの第1模式図である。図7は、複合部材の評価試験に用いたサンプルの第2模式図である。図5に示す評価項目は、以下の方法によって評価した。
・引張強度
サンプルのセラミック部材と金属部材に対して、セラミック部材と金属部材とが離れる方向である第1の方向に引っ張る力を印加し、破断したときの力の大きさを評価した。メタライズパッドの直径が5mmの場合、1100N以上を「◎最も高い」とし、1100N未満1000N以上を「○高い」とし、1000N未満900N以上を「△少し低い」とし、900N未満を「×低い」とした。
・クラックの有無
サンプルのセラミック部材の断面を観察して評価した。
・メタライズパッドの耐酸化性
サンプルを550℃の大気中に1000時間曝した後、金属部材と、メタライズパッドに電気的に接続するビア電極との間における電気抵抗の大きさを評価した。電気抵抗が1Ω未満のサンプルを耐酸化性が「〇高い」とし、1Ω以上のサンプルを耐酸化性が「×低い」とした。
・金属部材の耐酸化性
サンプルを600℃の大気中に1000時間曝した後、金属部材の断面を観察し評価した。金属部材の断面に、直径30μm以上の異物が確認できないサンプルを耐酸化性が「○高い」とし、直径30μm以上の異物が生じているサンプルを耐酸化性が「×低い」とした。異物が生じている場合、異物が存在する領域を微小XRDで測定することによって、その異物が金属部材に含まれる金属元素の酸化物であることを確認することが可能である。
【0033】
サンプル1では、ロウ材60sは、セラミック部材10sの凹部13sの底面部14s、および、メタライズパッド15sの接合面16sに配置されており、セラミック部材10sの底面部14sのうちロウ材60sが配置される表面部分14aの算術平均粗さRaは、0.5μmより小さい。また、ロウ材60sは、本実施形態の加熱部材1の応力緩和部材50に相当する金属部材30sの全体を覆っている。サンプル1では、金属部材30sの直径Rpとメタライズパッド15の直径Rmは、Rp×0.5<Rm<Rpの関係となっている。また、図6(a)に示すように、金属部材30sは、メタライズパッド15sに対して少しずれており、具体的には、メタライズパッド15sの中心軸Cmと金属部材30sの中心軸Cpとの間の距離DRが、金属部材30sの直径Rpとメタライズパッド15の直径Rmとの差の1/4より小さい状態となっている。すなわち、距離DRは、0<DR<1/2×(Rp-Rm)となっている。
【0034】
このサンプル1では、図5に示すように、セラミック部材10sと金属部材30sとの間の引張強度は比較的高く、また、セラミック部材10sにクラックはないことが明らかとなった。また、図6(a)に示す程度に、金属部材30sがメタライズパッド15sに対して少しずれていても、メタライズパッド15sは、ロウ材60sによって覆われるため酸化しにくく、耐酸化性は高いことがわかった。また、サンプル1では、金属部材30sは、全体がロウ材60sによって覆われているため、大気中の酸素との接触が抑制され、金属部材30sの耐酸化性は高いことがわかった。
【0035】
サンプル2(図6(b)参照)では、金属部材30sの直径Rpとメタライズパッド15の直径Rmは、Rp×0.5<Rm<Rpの関係となっているものの、サンプル1と比較して金属部材30sが、メタライズパッド15sに対して大きくずれている。具体的には、メタライズパッド15sの中心軸Cmと金属部材30sの中心軸Cpとの間の距離DRが、金属部材30sの直径Rpとメタライズパッド15の直径Rmとの差の1/4より大きく、1/2より小さい状態となっている。すなわち、距離DRは、0<DR<1/2×(Rp-Rm)となっている。このように、金属部材30sがメタライズパッド15sに対して比較的大きくずれているサンプル2でも、距離DRが金属部材30sの直径Rpとメタライズパッド15の直径Rmとの差の1/2より小さければ、引張強度は比較的高くなることが明らかとなった。また、サンプル2でも、メタライズパッド15sはロウ材60sによって覆われるため、メタライズパッド15sの耐酸化性は高くなることが明らかとなった。
【0036】
サンプル3(図6(c)参照)では、金属部材30sの直径Rpとメタライズパッド15の直径Rmは、Rp×0.5<Rm<Rpの関係となっており、メタライズパッド15sの中心軸Cmと金属部材30sの中心軸Cpとの間の距離DRは、0<DR<1/2×(Rp-Rm)となっている。サンプル3は、サンプル1と比較して、金属部材30sの側面30aの一部30bがロウ材60sによって覆われておらず、露出している。このため、サンプル3では、図5に示すように、ロウ材60sによる金属部材30sの被覆が不十分なため、金属部材30sが大気中の酸素と反応し酸化しやすく、金属部材30sの耐酸化性が低下することが明らかとなった。
【0037】
サンプル4では、金属部材30sの直径Rpとメタライズパッド15の直径Rmは、Rp×0.5<Rm<Rpの関係となっており、メタライズパッド15sの中心軸Cmと金属部材30sの中心軸Cpとの間の距離DRは、0<DR<1/2×(Rp-Rm)となっている。サンプル4(図6(d)参照)は、サンプル1と比較して、セラミック部材10sの表面部分14aの算術平均粗さRaが、0.5~3.0μmとなっている(図5参照)。これにより、セラミック部材10sとロウ材60sとは係合しやすくなるため、アンカー効果によって複合部材におけるセラミック部材10sと金属部材30sとの間の引張強度が向上する。また、図6(d)に示すように、ロウ材60sがセラミック部材10sの表面部分14aの微小な凹凸に充填されやすくなるため、複合部材におけるセラミック部材10sと金属部材30sとの間の引張強度がさらに向上する。したがって、サンプル4の引張強度は、サンプル1に比べ向上し、今回の評価試験に用いたサンプルの中で最も高くなることが明らかとなった(図5参照)。
【0038】
サンプル5では、金属部材30sの直径Rpとメタライズパッド15の直径Rmは、Rp×0.5<Rm<Rpの関係となっており、メタライズパッド15sの中心軸Cmと金属部材30sの中心軸Cpとの間の距離DRは、0<DR<1/2×(Rp-Rm)となっている。サンプル5(図6(e)参照)は、サンプル1と比較して、セラミック部材10sの表面部分14aの算術平均粗さRaが、3.0μmより大きい。この場合であっても、サンプル5は、セラミック部材10sと金属部材30sとの間の引張強度は比較的高くなることが明らかとなった(図5参照)。
【0039】
サンプル6およびサンプル7(図7(a)と図7(b)参照)は、ロウ材60sとして活性ロウ材を使用しているサンプルである。このため、サンプル6およびサンプル7では、ロウ材60sとセラミック部材10sの表面部分14aとが化学的に結合している。サンプル6およびサンプル7では、複合部材の温度変化、例えば、セラミック部材10sと金属部材30sとを接合した後に降温するとき、図7(a)および図7(b)に示すように、熱膨張差によってセラミック部材10sにクラック10cが発生する。このとき、クラック10cは、ロウ材60sの端部に化学的に結合しているセラミック部材10sの表面部分14bから発生する(図7(a)と図7(b)参照)。このため、サンプル6およびサンプル7では、引張強度が低くなることが明らかとなった(図5参照)。
【0040】
サンプル8(図7(c)参照)では、メタライズパッド15sの直径Rmが金属部材30sの直径Rpより大きい。このため、サンプル8では、金属部材30sがメタライズパッド15sに対してずれると、メタライズパッド15sが露出しやすくなる。メタライズパッド15sが露出すると、メタライズパッド15sが大気中の酸素に触れて酸化しやすいため、メタライズパッド15sの耐酸化性は低くなる(図5参照)。
【0041】
サンプル9(図7(d)参照)では、メタライズパッド15sの直径Rmが金属部材30sの直径Rpの0.5倍より小さい。このため、メタライズパッド15sとロウ材60sとの接合面積が比較的狭くなるため、セラミック部材10sと金属部材30sとの間の引張強度は比較的低くなることが明らかとなった(図5参照)。
【0042】
サンプル10(図7(e)参照)では、金属部材30sの直径Rpとメタライズパッド15の直径Rmは、Rp×0.5<Rm<Rpの関係となっており、メタライズパッド15sの中心軸Cmと金属部材30sの中心軸Cpとの間の距離DRは、0<DR<1/2×(Rp-Rm)となっている。サンプル10では、ロウ材60sがセラミック部材10sの表面部分14a上に配置されていない。このため、サンプル10では、ロウ材60sとセラミック部材10sの表面部分14aとによるアンカー効果が得られないため、引張強度は、、ロウ材60sがセラミック部材10sの表面部分14a上に配置され、ロウ材60の表面部61と第1セラミック部材10の底面部14の間に形成される隙間が2μmよりも小さい部分を有している場合と比較して、低くなることが明らかとなった(図5参照)。
【0043】
以上説明した、本実施形態の加熱部材1によれば、第1セラミック部材10と電極端子部30とは、第1セラミック部材10と化学的な結合をしない非活性ロウ材であるロウ材60を介して接合される。これにより、加熱部材1の温度が変化するとき第1セラミック部材10に作用する熱応力が小さくなるため、熱応力による第1セラミック部材10でのクラック(例えば、図7(a)および図7(b)に示す符号10c)の発生を抑制することができる。また、メタライズパッド15の直径Rmと、電極端子部30の直径Rpと、メタライズパッド15と電極端子部30の中心軸間の距離DRとの関係は、式(3)および式(4)のようになっている。
p×0.5<Rm<Rp ・・・(3)
0<DR<1/2×(Rp-Rm) ・・・(4)
これにより、メタライズパッド15とロウ材60との接合面積を大きくしつつ、第1セラミック部材10に設けられているメタライズパッド15に対して電極端子部30がずれて配置されてもメタライズパッド15は露出しない。したがって、大気中の酸素によるメタライズパッド15の酸化を抑制することができる。
【0044】
また、本実施形態の加熱部材1によれば、図4に示すように、ロウ材60の表面部61と第1セラミック部材10の底面部14の間に形成される隙間S1、S2は、2μmよりも小さい部分を有している。これにより、ロウ材60と第1セラミック部材10とは係合しやすくなるため、アンカー効果によって加熱部材1の引張強度が向上する。したがって、加熱部材1の破損を抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態の加熱部材1によれば、第1セラミック部材10の底面部14のうち、ロウ材60が配置されている部分の算術平均粗さRaは、0.5~3.0μmとなっている。これにより、ロウ材60と第1セラミック部材10との係合によるアンカー効果が発揮されやすくなるとともに、図4に示すように、第1セラミック部材10の底面部14の微小な凹凸にロウ材60が充填されやすくなる。したがって、第1セラミック部材10と電極端子部30との引張強度が向上するため、加熱部材1の破損を抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態の加熱部材1によれば、電極端子部30は、電極端子40と、加熱部材1の第1の方向において、電極端子40と第1セラミック部材10との間に位置し、ロウ材60を介して、メタライズパッド15に接合される応力緩和部材50と、を含んでいる。この応力緩和部材50は、ロウ材60によって覆われており、大気中の酸素との接触が抑制される。これにより、応力緩和部材50の酸化を抑制することができるため、電極端子部30の耐久性の低下を抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態の加熱部材1によれば、応力緩和部材50を構成する材料の熱膨張係数は、第1セラミック部材10を構成する材料の熱膨張係数より大きく、電極端子40の熱膨張係数より小さい。これにより、加熱部材1の温度が変化するときに第1セラミック部材10に作用する熱応力を緩和することができる。したがって、加熱部材1の破損を抑制することができる。
【0048】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0049】
[変形例1]
上述の実施形態では、「複合部材」は、半導体ウェハ3を加熱するために利用されるセラミックヒータであるとした。しかしながら、「複合部材」はこれに限定されない。例えば、静電チャックなど、セラミック部材と、セラミック部材の表面に設けられるメタライズパッドと、ロウ材を介してメタライズパッドと接合されている金属部材を備える部材であってもよい。
【0050】
[変形例2]
上述の実施形態では、メタライズパッド15は、円形形状に形成されており、応力緩和部材50が、円筒形状に形成されているとした。しかしながら、メタライズパッド15および応力緩和部材50の形状は、これに限定されない。例えば、断面形状が矩形状であってもよい。第1セラミック部材のメタライズパッドが設けられる表面に略直交する第1の方向に略平行な、メタライズパッドの中心軸および応力緩和部材の中心軸を含む断面において、第1の方向に略直交する方向である第2の方向におけるメタライズパッドの断面幅をLmとし、金属部材の断面幅をLpとし、メタライズパッドの中心軸と前記金属部材の中心軸との間の距離をDLとすると、以下の式(5)および式(6)の関係が成り立てばよい。
p×0.5<Lm<Lp ・・・(5)
0<DL<1/2×(Lp-Lm) ・・・(6)
【0051】
[変形例3]
上述の実施形態では、図4に示す断面において、ロウ材60と第1セラミック部材10との間に形成される隙間S1、S2は、2μmよりも小さい部分を有するとした。しかしながら、2μmよりも小さい部分を有していなくてもよい。ロウ材60と第1セラミック部材10とが化学的に結合していなければよい。また、図7(e)に示すサンプル10のように、ロウ材60は、メタライズパッド15の接合面16にのみ配置されていてもよい。
【0052】
[変形例4]
上述の実施形態では、第1セラミック部材10の底面部14のうち、ロウ材60が配置されている部分の算術平均粗さRaは、0.5~3.0μmであるとした。しかしながら、この部分の算術平均粗さRaは、0.5~3.0μmに限定されない。
【0053】
[変形例5]
上述の実施形態では、電極端子部30は、電極端子40と応力緩和部材50とを含んでいるとした。しかしながら、電極端子40がロウ材60を介してメタライズパッド15と直接接合してもよい。
【0054】
[変形例6]
上述の実施形態では、応力緩和部材50は、ロウ材60に覆われているとした。しかしながら、応力緩和部材50は、ロウ材60に覆われていなくてもよい。
【0055】
[変形例7]
上述の実施形態では、応力緩和部材50を構成する材料の熱膨張係数は、第1セラミック部材10を構成するセラミック材料の熱膨張係数より大きく、電極端子40を構成するニッケルの熱膨張係数より小さいとした。しかしながら、応力緩和部材50の熱膨張係数は、これに限定されない。
【0056】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0057】
1…加熱部材
3…半導体ウェハ
10…第1セラミック部材
10a…内部配線
10c…クラック
10s…セラミック部材
11…ウェハ載置面
12…裏面
13,13s…凹部
14,14s…底面部
14a,14b…表面部分
15,15s…メタライズパッド
16,16s…接合面
17…外周部
20…第2セラミック部材
21…内壁部
25…ヒータ電極部
26…インナヒータ
27…アウタヒータ
30…電極端子部
30a…側面
30b…一部
30s…金属部材
40…電極端子
41…端面
50…応力緩和部材
51…上面
52…下面
53…側面
60,60s…ロウ材
61…表面部
m,Cp…中心軸
R,DL…距離
m,Rp…直径
m,Lp…断面幅
S1,S2…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7