(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】階段の桁取付け構造及び階段の施工方法
(51)【国際特許分類】
E04F 11/025 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
E04F11/025
(21)【出願番号】P 2019206413
(22)【出願日】2019-11-14
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】添田 勝也
(72)【発明者】
【氏名】平山 貴浩
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-124532(JP,A)
【文献】特開2015-135022(JP,A)
【文献】特開2013-163943(JP,A)
【文献】特開昭55-161157(JP,A)
【文献】米国特許第04296577(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/00-11/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
桁と、前記桁の上端部を躯体に取り付ける固定金具と、を有し、
前記固定金具は、前記桁の前記上端部の木口面にねじ止めされる木口面固定板部と、前記木口面固定板部に連続して前記桁の外側及び内側に延出する一対の躯体固定板部と、を有し、
前記桁の前記上端部は、前記固定金具の前記一対の躯体固定板部が前記躯体に対してねじ止めされることによって、前記躯体に固定される、階段の桁取付け構造。
【請求項2】
前記木口面には、前記固定金具の板厚に相当する深さで幅方向に横断する切り欠き部を有し、
前記木口面固定板部は、前記切り欠き部内に収容される、請求項1に記載の階段の桁取付け構造。
【請求項3】
前記固定金具は、前記木口面固定板部から前記桁の内側面に沿って立ち上げられる内側面固定板部を更に有し、前記内側面固定板部によって前記桁の前記内側面に対してねじ止めされる、請求項1又は2に記載の階段の桁取付け構造。
【請求項4】
前記内側面固定板部は、前記固定金具の下端部に配置される、請求項3に記載の階段の桁取付け構造。
【請求項5】
前記一対の躯体固定板部は、前記躯体に予め設けられた仮固定用部材に対して前記桁の前記上端部を仮固定するための仮固定部をそれぞれ有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の階段の桁取付け構造。
【請求項6】
前記一対の躯体固定板部は、前記木口面固定板部よりも上方に延出する上方延出部をそれぞれ有し、
前記
仮固定部は、前記上方延出部にそれぞれ設けられる、請求項5に記載の階段の桁取付け構造。
【請求項7】
桁の上端部の木口面に、前記木口面にねじ止めされる木口面固定板部と、前記木口面固定板部に連続して前記桁の外側及び内側に延出する一対の躯体固定板部と、を有する固定金具を取り付け、
前記固定金具の前記一対の躯体固定板部を躯体に対してねじ止めすることによって、前記桁の前記上端部を前記躯体に固定する、階段の施工方法。
【請求項8】
前記桁の前記上端部を、前記固定金具によって前記躯体に仮固定した後、前記固定金具の前記一対の躯体固定板部を前記躯体に対してねじ止めして本固定する、請求項7に記載の階段の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、階段の桁取付け構造及び階段の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅等の建物に施工される階段として、意匠性を向上させたオープン型階段の需要が増えている。オープン型階段は、蹴込み板がなく、床面から上階の躯体に亘って架設される桁に踏み板を固定したシースルー構造を有する。そのため、階段がリビング内に設置されても、開放的でインテリア性の高いリビング空間を創出することができる。
【0003】
従来、桁の上端部の取付け構造として、桁の外側面及び内側面から躯体にかけてそれぞれL型の金具を取り付け、桁及び躯体に対してそれぞれ固定用ビスを打ち込むことによって固定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、桁の上端部をL型の金具を使用して固定する構造では、桁の外側面に金具が露出するため、桁を外側から目視した際に金具が目立ってしまう。そのため、本発明者は、従来のように桁の上端部を取り付ける構造では、階段の意匠性を低下させるおそれがあることを見出した。金具が外側面に露出しないように、桁の上端部の木口面を掘り込んだ凹部内に金具を完全に収納し、この金具を、躯体に取り付けられたフック状の金具に引っ掛けるようにすることも考えられるが、木口面に対して複雑な掘り込み加工を施す必要があり、加工工数が増加するため、コスト高となる問題がある。
【0006】
本開示は、桁の外側面に金具が目立つことがなく、低コストで構造簡単な階段の桁取付け構造及び階段の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の階段の桁取付け構造は、桁と、前記桁の上端部を躯体に取り付ける固定金具と、を有し、前記固定金具は、前記桁の前記上端部の木口面にねじ止めされる木口面固定板部と、前記木口面固定板部に連続して前記桁の外側及び内側に延出する一対の躯体固定板部と、を有し、前記桁の前記上端部は、前記固定金具の前記一対の躯体固定板部が前記躯体に対してねじ止めされることによって、前記躯体に固定される。
【0008】
本開示の階段の施工方法は、桁の上端部の木口面に、前記木口面にねじ止めされる木口面固定板部と、前記木口面固定板部に連続して前記桁の外側及び内側に延出する一対の躯体固定板部と、を有する固定金具を取り付け、前記固定金具の前記一対の躯体固定板部を躯体に対してねじ止めすることによって、前記桁の前記上端部を前記躯体に固定する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】階段の桁取付け構造を躯体側から見た斜視図である。
【
図4】桁の上端部の木口面に固定金具を固定する様子を示す側面図である。
【
図5】桁の上端部の木口面に固定金具を固定する様子を示す斜視図である。
【
図6】桁の上端部を躯体に仮固定する様子を示す斜視図である。
【
図7】躯体に本固定された桁の上端部を示す正面図である。
【
図8】階段の上部を桁の外側から見た側面図である。
【
図9】階段の上部を桁の内側から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一態様に係る階段の桁取付け構造について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、階段1は、左右一対の桁2,2と、この桁2,2に亘って設けられる複数枚の踏み板3と、を有する。桁2,2及び踏み板3は、いずれも木質材によって形成される。この階段1は、上下に隣り合う踏み板3,3の間に蹴込み板が設けられないオープン型階段である。
【0011】
踏み板3は、一対の受け金具31,31によって、桁2,2の内側面2a,2aに固定される。受け金具31,31は桁2,2よりも上方に張り出している。そのため、踏み板3は、桁2,2の上方に浮き上がるように取り付けられている。各踏み板3は、桁2,2の間隔よりも幅広に形成され、桁2,2の両外側にそれぞれ張り出している。
【0012】
桁2,2は、所定の間隔で離隔して平行に配置され、床面(図示せず)から上階の躯体100に亘って斜めに架設される。桁2,2の上端部2c,2cの木口面2d,2dは、桁2,2の傾斜角度に従って、躯体100の表面と平行になるように斜めに切断されている。桁2,2の上端部2c,2cは、桁2,2の木口面2d,2dにそれぞれ個別に取り付けられた固定金具4,4によって、躯体100に固定される。
【0013】
一対の桁2,2及び一対の固定金具4,4は、いずれも登段者から見て左右対称構造を有する。したがって、以下においては、登段者から見て右側に配置される桁2の取付け構造について図示して説明する。以下の説明において、桁2,2及び固定金具4,4の左右を区別する際は、登段者から見て右側に配置される桁2を「桁2R」、左側に配置される桁2を「桁2L」と称し、右側に配置される固定金具4を「固定金具4R」、左側に配置される固定金具4を「固定金具4L」と称する場合がある。
【0014】
次に、固定金具4の具体的な構造について
図3を参照して詳細に説明する。
図3は、桁2の木口面2dに対して当接する側から見た固定金具4Rを示している。
図3において、X方向は、固定金具4及び桁2の木口面2dの幅方向(左右方向)を示す。したがって、固定金具4RにおけるX1方向は桁2の外側であり、X2方向は桁2の内側である。Y方向は、X方向に直交する方向であり、固定金具4及び桁2の木口面2dの高さ方向を示す。Y1方向は上方であり、Y2方向は下方である。上述したように一対の固定金具4,4は左右対称構造であるため、左側の固定金具4Lは、
図3に示す固定金具4Rに対してX方向に沿う左右方向に対称である。
【0015】
固定金具4は、ステンレス鋼板等の金属板材によって構成され、固定金具4の本体部分である一つの木口面固定板部41と、一対の躯体固定板部42,42と、一つの内側面固定板部43と、を一体に有する。
【0016】
木口面固定板部41は、
図3中の1点鎖線で示すように、桁2の木口面2dに対応する幅を有する矩形状の平板部である。木口面固定板部41の高さは、幅よりも長尺に形成されている。木口面固定板部41には、固定金具4を桁2の木口面2dに対してねじ固定するための複数のねじ挿通穴411が設けられている。このねじ挿通穴411は、木口面固定板部41に対して躯体100側から皿もみ加工された皿穴である。
図3に示す木口面固定板部41には、幅方向に並置される一対のねじ挿通穴411,411が、高さ方向に3組設けられている。しかし、ねじ挿通穴411の数及び配置構成は、図示するものに限定されない。
【0017】
躯体固定板部42,42は、それぞれ木口面固定板部41よりも細幅矩形状に形成された平板部であり、木口面固定板部41から左右方向にそれぞれ延出している。詳しくは、躯体固定板部42,42は、木口面固定板部41の幅方向の両端部から木口面固定板部41に対して一体的に連続して桁2の外側及び内側にそれぞれ延びている。木口面固定板部41と躯体固定板部42,42とは面一状である。躯体固定板部42,42には、躯体100に対してねじ固定するための複数のねじ挿通穴421がそれぞれ設けられている。このねじ挿通穴421は、躯体固定板部42,42に対して躯体100と反対側から皿もみ加工された皿穴である。
図3に示す躯体固定板部42,42には、高さ方向に沿って一直線上に並んだ3つのねじ挿通穴421がそれぞれ設けられている。しかし、ねじ挿通穴421の数及び配置構成は、図示するものに限定されない。
【0018】
躯体固定板部42,42は、それぞれ木口面固定板部41とほぼ等しい高さを有する。しかし、躯体固定板部42,42は、それぞれ木口面固定板部41に対して上方に偏移して配置されている。別の言い方をすると、木口面固定板部41は、躯体固定板部42,42に対して下方に偏移して配置されている。そのため、躯体固定板部42,42は、同一幅を維持して木口面固定板部41よりも上方に向けて延出する上方延出部42a,42aを有し、木口面固定板部41は、同一幅を維持して躯体固定板部42,42よりも下方に向けて延出する下方延出部41aを有する。
【0019】
躯体固定板部42,42のねじ挿通穴421は、上方延出部42a,42aよりも下方に配置され、上方延出部42a,42aには設けられていない。上方延出部42a,42aには、後述する仮固定ねじ101に引っ掛ける引っ掛け穴422が一つずつ設けられている。この引っ掛け穴422は、躯体100に設けられた仮固定用部材である仮固定ねじ101に対して桁2の上端部2cを仮固定するための仮固定部である。引っ掛け穴422は、ねじ挿通穴421に対して一直線上に並んでいる。
【0020】
図3に示す引っ掛け穴422は、仮固定ねじ101の頭部を挿通させる挿通穴422a及び仮固定ねじ101の軸部を締め付ける締付穴422bを有するだるま穴によって構成されている。締付穴422bは、挿通穴422aに対して上方に配置されている。しかし、引っ掛け穴422は、仮固定ねじ101を挿通させて固定金具4を引っ掛けることができるように構成される穴であればよく、だるま穴に限定されない。また、仮固定用部材と仮固定部は、仮固定ねじ101と引っ掛け穴422に限定されない。例えば仮固定用部材として躯体100にフックを設け、仮固定部として上方延出部42a,42aにフックと係合する溝、スリット等を設けるようにしてもよく、互いに係止又は係合することによって桁2の上端部2cを仮固定できるものであればよい。
【0021】
内側面固定板部43は、固定金具4の下端部に配置され、木口面固定板部41に対して躯体100と反対方向に垂直に延びている。詳しくは、内側面固定板部43は、木口面固定板部41の下方延出部41aにおける桁2の内側面2a側に配置される側縁のみに設けられている。したがって、
図3に示す固定金具4Rにおいては、内側面固定板部43は、木口面固定板部41の下方延出部41aに対してX2方向に配置される側縁に設けられている。図示しない左側の固定金具4Lの場合は、内側面固定板部43は、木口面固定板部41の下方延出部41aに対してX1方向に配置される側縁に設けられる。
【0022】
内側面固定板部43は、木口面固定板部41から桁2の内側に向けて面一状に連続して延出させた平板片を、躯体100と反対方向に直角に折り曲げることによって形成されている。そのため、内側面固定板部43を有する固定金具4は、所定の形状に切り出した一枚の金属板材を折り曲げ成形することによって簡単に製造することができる。内側面固定板部43を折り曲げ成形する前の木口面固定板部41に対する内側面固定板部43の幅方向の延出量は、木口面固定板部41に対する躯体固定板部42の幅方向の延出量と同一であってよい。
【0023】
内側面固定板部43には、桁2の内側面2aに対してねじ固定するための複数のねじ挿通穴431が設けられている。このねじ挿通穴431は、内側面固定板部43に対して桁2の内側面2aと反対側から皿もみ加工された皿穴である。
図3に示す内側面固定板部43には、高さ方向に沿って並んだ2つのねじ挿通穴431,431が設けられている。しかし、ねじ挿通穴431の数及び配置構成は、図示するものに限定されない。
【0024】
固定金具4は、
図4及び
図5に示すように、木口面固定板部41によって桁2の木口面2dに取り付けられる。詳しくは、固定金具4は、木口面固定板部41を桁2の木口面2dに当接させ、内側面固定板部43を桁2の内側面2aに当接させた後、木口面固定板部41のねじ挿通穴411及び内側面固定板部43のねじ挿通穴431を挿通する固定用ねじ44,45によって、桁2の木口面2d及び内側面2aに固定される。固定用ねじ44,45は皿ねじである。
【0025】
このように、固定金具4は、木口面固定板部41によって桁2の木口面2dに対して固定されるだけでなく、内側面固定板部43によって桁2の内側面2aに対しても固定されるため、桁2に対して強固に固定される。すなわち、木口面固定板部41を固定する固定用ねじ44は、木口面2dから桁2の長さ方向に延びる木質繊維に沿ってねじ込まれるため、一般に引抜き耐力が低い。これに対して、内側面固定板部43を固定する固定用ねじ45は、内側面2aから桁2の木質繊維と交差してねじ込まれるため、引抜き耐力が高い。そのため、内側面固定板部43を固定用ねじ45を用いて固定することによって、固定用ねじ44の引抜き耐力の低さを補うことができ、固定金具4を桁2に対して強固に固定することができる。しかも、内側面固定板部43は、固定金具4の下端部且つ桁2の内側面2aに配置されるため、登段者からも目視され難い。
【0026】
固定金具4の木口面固定板部41が当接する桁2の木口面2dには、
図4に示すように、固定金具4の板厚に相当する深さを有する切り欠き部21が設けられている。切り欠き部21は、木口面2dを幅方向(桁2の厚み方向)に横断している。このような切り欠き部21は、桁2の内側面2a又は外側面2bから木口面2dの幅方向(桁2の厚み方向)に切削加工するだけの簡単な加工によって低コストで形成できる。
【0027】
切り欠き部21の高さ方向の寸法は、固定金具4の木口面固定板部41の高さ方向の寸法よりも大きい。固定金具4の木口面固定板部41は、木口面2dにおける切り欠き部21内に完全に収容されるため、木口面2dよりも躯体100側に突出しない。そのため、固定金具4が取り付けられた桁2の木口面2dは、躯体100に浮き上がることなく密接することができる。しかも、木口面固定板部41は、切り欠き部21内で高さ方向に移動可能であるため、ねじ固定する前に高さ方向の位置を微調整可能である。
【0028】
図4に示すように、桁2の内側面2aには、固定金具4の内側面固定板部43のねじ挿通穴431に対応する位置に、位置出し用下穴22が設けられている。位置出し用下穴22は、桁2の内側面2aに、桁2R,2Lで同一位置となるように予め位置決めされている。したがって、固定金具4の木口面固定板部41を木口面2dの切り欠き部21内に収容した後、位置出し用下穴22とこの位置出し用下穴22に対応する内側面固定板部43のねじ挿通穴431とが一致するように固定金具4の位置を微調整することによって、固定金具4の位置決めを容易に行うことができる。位置出し用下穴22は、内側面固定板部43の複数のねじ挿通穴431のうちの少なくとも一つに対応して、少なくとも一つあればよい。
【0029】
以上のようにして桁2の木口面2dに固定金具4が固定された後、桁2は躯体100に仮固定される。詳しくは、躯体100における桁2の固定部位には、
図6に示すように、固定金具4の一対の引っ掛け穴422,422に対応する一対の仮固定ねじ101,101が、頭部を躯体100から少し浮かせた状態で予めねじ込まれている。まず、引っ掛け穴422,422の挿通穴422a,422aに仮固定ねじ101,101の頭部を挿通させる。その後、桁2の上端部2cを僅かに下方にずらすことによって、仮固定ねじ101,101の軸部を引っ掛け穴422,422の締付穴422b,422bに挿入させる。これによって、仮固定ねじ101,101が締め付けられ、桁2の上端部2cが固定金具4を介して躯体100に仮固定される。
【0030】
仮固定の後、桁2の上端部2cは、
図7に示すように、固定金具4の躯体固定板部42のねじ挿通穴421にそれぞれ挿通される固定用ねじ46によって躯体100に本固定される。固定用ねじ46は皿ねじである。桁2は、躯体100に仮固定されているため、桁2が安定した状態で本固定のためのねじ固定を容易に行うことができる。そのため、桁2,2を躯体100に対して取り付ける際の施工性も良好である。
【0031】
一対の桁2,2の上端部2c,2cが躯体100に本固定された後、桁2,2の下端部(図示せず)が床面に固定される。その後、一対の桁2,2に受け金具31,31を介して踏み板3が固定される。これによって、
図1に示す階段1が完成する。
【0032】
固定金具4は、桁2の外側面2bに対して固定する部位を持たないため、
図8に示すように、階段1を一方の桁2の外側面2b側から目視しても、桁2の外側面2b上に固定金具4が目立つことはない。そのため、桁2と複数枚の踏み板3との調和によって創出される階段1の意匠性が損なわれることはない。しかも、桁2の木口面2dに固定金具4を固定するだけで、躯体100に対して取り付け施工することができるため、木口面2dに複雑な加工を行う必要もない。したがって、本開示の一態様によれば、桁2の外側面2bに固定金具4が目立つことがなく、低コストで構造簡単な階段1の桁取付け構造を提供することができる。
【0033】
図9に示すように、固定金具4は、桁2の木口面2dのやや下方に配置される。そのため、木口面固定板部41を木口面2dに対して固定する固定用ねじ44は、踏み板3の受け金具31を桁2の内側面2aに固定する複数の固定用ねじ32と干渉することはない。しかも、固定金具4の内側面固定板部43は、木口面固定板部41の下方延出部41aに配置されるため、固定用ねじ44は、内側面固定板部43を内側面2aに対して固定する固定用ねじ45に対しても干渉しない。
【0034】
桁2を仮固定するための引っ掛け穴422,422は、一対の躯体固定板部42,42の上方延出部42a,42aにそれぞれ設けられている。これによって、固定用ねじ44が受け金具31の固定用ねじ32と干渉しないように固定金具4を下方に配置させても、引っ掛け穴422,422を可及的に上方に配置させることができる。そのため、躯体100に対する桁2の仮固定状態をより安定化させることができる。
【符号の説明】
【0035】
1 階段
2 桁
2a 内側面
2c 上端部
2d 木口面
21 切り欠き部
22 位置出し用下穴
4 固定金具
41 木口面固定板部
42 躯体固定板部
42a 上方延出部
422 引っ掛け穴
43 内側面固定板部
431 ねじ挿通穴
100 躯体
101 仮固定ねじ