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  • 特許-発電システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】発電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20230928BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H02J3/38 120
H02J3/38 160
H02J3/46
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019212635
(22)【出願日】2019-11-25
(65)【公開番号】P2021087240
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003115
【氏名又は名称】東洋電機製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100163511
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 啓太
(72)【発明者】
【氏名】西川 健一
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-183491(JP,A)
【文献】特開2015-164361(JP,A)
【文献】特開2014-003848(JP,A)
【文献】特開2018-074640(JP,A)
【文献】特開2003-204687(JP,A)
【文献】実開平06-041396(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0230689(US,A1)
【文献】国際公開第2019/063835(WO,A1)
【文献】特開2013-223323(JP,A)
【文献】特表2014-527791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J3/00-11/00
H02M7/00-7/40
H02P9/00-9/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水車または風車の回転により駆動され、交流電力を発電する発電機と、
前記発電機からの交流電力を系統電源に逆潮流させる系統連系装置とを備え、
前記系統連系装置は、
前記発電機からの交流電力を直流電力に変換する第1の電力変換器と、
前記第1の電力変換器からの直流電力を交流電力に変換して前記系統電源に供給する第2の電力変換器と、
前記第1の電力変換器からの直流電力の少なくとも一部を交流電力に変換して、前記系統連系装置または他の装置のための補助電源装置に供給する第3の電力変換器と、
制動抵抗に接続された発電制動装置と、
一端が前記第1の電力変換器の直流側と前記第2の電力変換器の直流側との間の直流回路部に接続され、他端が前記発電制動装置に接続され、前記直流回路部の電圧が所定の閾値を超えると、前記直流回路部と前記発電制動装置とを接続するサーマルリレーと、を備え
前記発電制動装置は、前記サーマルリレーを介して前記直流回路部と接続されると、前記第1の電力変換器からの直流電力を前記制動抵抗に流す、発電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の発電システムにおいて、
前記系統連系装置は、前記第2の電力変換器と前記系統電源とを接続または遮断する系統連系用接触器をさらに備え、
前記第3の電力変換器は、前記系統連系用接触器により前記第2の電力変換器と前記系統電源とが遮断されると、前記第1の電力変換器からの直流電力の少なくとも一部を交流電力に変換して、前記補助電源装置に供給する、発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
水車または風車の回転により得られた電力を系統電源に逆潮流させる発電システムがある。このような発電システムでは、水車または風車が回転し続けることによる過電圧を防止するために、発電制動装置により、余剰電力を制動抵抗に流して消費させる技術が用いられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭50-109129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載の技術では、水車または風車の回転により得られた電力が制動抵抗で消費されてしまい、無駄となってしまう。
【0005】
上記のような問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、水車または風車の回転により得られた電力をより有効に利用することができる発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る発電システムは、水車または風車の回転により駆動され、交流電力を発電する発電機と、前記発電機からの交流電力を系統電源に逆潮流させる系統連系装置とを備え、前記系統連系装置は、前記発電機からの交流電力を直流電力に変換する第1の電力変換器と、前記第1の電力変換器からの直流電力を交流電力に変換して前記系統電源に供給する第2の電力変換器と、前記第1の電力変換器からの直流電力の少なくとも一部を交流電力に変換して、前記系統連系装置または他の装置のための補助電源装置に供給する第3の電力変換器と、制動抵抗に接続された発電制動装置と、一端が前記第1の電力変換器の直流側と前記第2の電力変換器の直流側との間の直流回路部に接続され、他端が前記発電制動装置に接続され、前記直流回路部の電圧が所定の閾値を超えると、前記直流回路部と前記発電制動装置とを接続するサーマルリレーと、を備え、前記発電制動装置は、前記サーマルリレーを介して前記直流回路部と接続されると、前記第1の電力変換器からの直流電力を前記制動抵抗に流す
【0007】
また、本発明に係る発電システムにおいて、前記系統連系装置は、前記第2の電力変換器と前記系統電源とを接続または遮断する系統連系用接触器をさらに備え、前記第3の電力変換器は、前記系統連系用接触器により前記第2の電力変換器と前記系統電源とが遮断されると、前記第1の電力変換器からの直流電力の少なくとも一部を交流電力に変換して、前記補助電源装置に供給することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る発電システムによれば、水車または風車の回転により得られた電力をより有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る発電システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る発電システム1の構成例を示す図である。
【0012】
図1に示す発電システム1は、水車2と、発電機3と、系統連系装置10とを備える。
【0013】
水車2は、例えば、河川などに設置され、水流により回転する。
【0014】
発電機3は、水車2の回転により駆動され、交流電力を発電する。発電機3の駆動には、水車2の代わりに風力により回転する風車を用いてもよい。
【0015】
系統連系装置10は、発電機3からの交流電力を系統電源4に逆潮流させる。すなわち、系統連系装置10は、発電機3により発電された交流電力を、系統電源4に供給する。
【0016】
図1に示すように、系統連系装置10は、発電機用接触器11と、発電機制御用インバータ12と、系統連系用インバータ13と、系統連系用接触器14と、サーマルリレー15と、発電制動装置16と、補助電源用インバータ17と、補助電源用接触器18とを備える。発電機制御用インバータ12は、第1の電力変換器の一例である。系統連系用インバータ13は、第2の電力変換器の一例である。補助電源用インバータ17は、第3の電力変換器の一例である。
【0017】
発電機用接触器11は、発電機3と発電機制御用インバータ12とを接続または遮断する。発電機用接触器11により発電機3と発電機制御用インバータ12とが接続されると、発電機3により発電された交流電力が発電機制御用インバータ12に供給される。
【0018】
発電機制御用インバータ12は、発電機3からの交流電力を直流電力に変換する。
【0019】
系統連系用インバータ13は、発電機制御用インバータ12からの直流電力を交流電力に変換する。
【0020】
系統連系用接触器14は、系統連系用インバータ13と系統電源4とを接続または遮断する。系統連系用接触器14により系統連系用インバータ13と系統電源4とが接続されると、系統連系用インバータ13からの交流電力が系統電源4に供給される。系統連系装置10には、停電などにより系統電源4への送電を停止すべき場合に、系統連系用インバータ13から系統電源4に電力が供給され続けることを防ぐための保護装置が設けられている。系統連系用接触器14は、保護装置により系統電源4の停電などが検出されると、系統連系用インバータ13と系統電源4とを遮断する。系統電源4と系統連系用インバータ13とが遮断されると、系統連系用インバータ13は、動作を停止する。
【0021】
サーマルリレー15は、一端が発電機制御用インバータ12の直流側と系統連系用インバータ13の直流側との間の直流回路部19に接続され、他端が発電制動装置16と接続される。サーマルリレー15は、直流回路部19の電圧が所定の閾値以下では、直流回路部19と発電制動装置16とを遮断し、直流回路部19の電圧が所定の閾値を超えると、直流回路部19と発電制動装置16とを接続する。所定の閾値は、例えば、系統連系装置10の各部を保護するために設定される電圧である。
【0022】
発電制動装置16は、サーマルリレー15を介して直流回路部19と接続されると、発電機制御用インバータ12からの直流電力を制動抵抗5に流し、制動抵抗5で消費させる。
【0023】
系統電源4の停電により、系統連系用接触器14が、系統電源4と系統連系用インバータ13とを遮断すると、系統連系用インバータ13は、動作を停止する。ここで、水車2が回転し続けると、発電機3および発電機制御用インバータ12は動作を続ける。その結果、直流回路部19の電圧が上昇し、保護レベルを超えると、系統連系装置10の各部にダメージを与えるおそれがある。
【0024】
そこで、直流回路部19の電圧が所定の閾値を超えると、発電制動装置16により、発電機制御用インバータ12からの直流電力を制動抵抗5で消費させることで、直流回路部19の電圧上昇を抑制することができる。
【0025】
補助電源用インバータ17は、直流回路部19に接続され、発電機制御用インバータ12からの直流電力の少なくとも一部を交流電力に変換する。
【0026】
補助電源用接触器18は、補助電源用インバータ17と、補助電源装置20とを接続または遮断する。補助電源用接触器18により、補助電源用インバータ17と補助電源装置20とが接続されると、補助電源用インバータ17からの交流電力が補助電源装置20に供給される。補助電源装置20は、キャパシタなどの蓄電手段を備え、補助電源用インバータ17からの交流電力を蓄電する。補助電源装置20は、系統連系装置10または他の装置のために設けられ、系統連系装置10または他の装置に蓄積電力を供給する。補助電源装置20が系統連系装置10に電力を供給する場合、補助電源装置20は、例えば、系統連系装置10内の各部の制御電源、系統連系装置10内の冷却ファンの駆動電源などを供給する。
【0027】
補助電源用接触器18は、例えば、系統連系用接触器14により系統連系用インバータ13と系統電源4とが遮断された場合に、補助電源用インバータ17と補助電源装置20とを接続する。上述したように、系統連系用インバータ13と系統電源4とが遮断されると、直流回路部19の電圧が上昇し、系統連系装置10内の各部にダメージを与えるおそれがある。発電機制御用インバータ12からの直流電力を制動抵抗5で消費させることで、直流回路部19の電圧上昇を抑制することはできるが、発電機3により発電された電力が制動抵抗5で消費されてしまい、水車2の回転により得られた電力を有効に利用することができない。
【0028】
そこで、本実施形態のように、系統連系用接触器14により系統連系用インバータ13と系統電源4とが遮断された場合に、補助電源用インバータ17と補助電源装置20とを接続することで、発電機制御用インバータ12からの直流電力を交流電力に変換して、補助電源装置20に供給することができる。そのため、水車2の回転により得られた電力をより有効に利用することができる。また、系統電源4の停電により、系統電源4から電力を得られない場合にも、水車2が回転する限り、発電機3により発電が行われ、発電により得られた電力を補助電源装置20に供給することができる。そのため、水車2が回転を継続する限り、補助電源装置20による系統連系装置10あるいは他の装置への電力供給が可能となる。
【0029】
また、補助電源用接触器18は、系統連系用インバータ13からの交流電力を系統電源4に供給した状態で、補助電源用インバータ17と補助電源装置20とを接続してよい。この場合、補助電源用インバータ17は、発電機制御用インバータ12からの直流電力の一部を交流電力に変換して、補助電源装置20に供給することができる。
【0030】
このように本実施形態に係る発電システム1は、水車2または風車の回転によって駆動され、交流電力を発電する発電機3と、発電機3からの交流電力を系統電源4に逆潮流させる系統連系装置10とを備える。系統連系装置10は、発電機3からの交流電力を直流電力に変換する発電機制御用インバータ12(第1の電力変換器)と、発電機制御用インバータ12からの直流電力を交流電力に変換して系統電源4に供給する系統連系用インバータ13(第2の電力変換器)と、発電機制御用インバータ12からの直流電力の少なくとも一部を交流電力に変換して、補助電源装置20に供給する補助電源用インバータ17(第3の電力変換器)と、を備える。
【0031】
そのため、発電機3の発電電力に余剰電力が生じた場合などに、その余剰電力を補助電源装置20に供給することができるので、水車2または風車の回転により得られた電力をより有効に利用することができる。
【0032】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨および範囲内で、多くの変更および置換が可能であることは当業者に明らかである。従って、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 発電システム
2 水車
3 発電機
4 系統電源
5 制動抵抗
10 系統連系装置
11 発電機用接触器
12 発電機制御用インバータ(第1の電力変換器)
13 系統連系用インバータ(第2の電力変換器)
14 系統連系用接触器
15 サーマルリレー
16 発電制動装置
17 補助電源用インバータ(第3の電力変換器)
18 補助電源用接触器
19 直流回路部
20 補助電源装置
図1