(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】ロール式網戸及び網体の取り外し方法
(51)【国際特許分類】
E06B 9/54 20060101AFI20230928BHJP
E06B 9/52 20060101ALI20230928BHJP
E06B 9/56 20060101ALI20230928BHJP
E06B 9/80 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
E06B9/54
E06B9/52 E
E06B9/56 A
E06B9/80 A
(21)【出願番号】P 2019239680
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】ヴォ デュイ クアン
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-078964(JP,A)
【文献】特開2005-048437(JP,A)
【文献】実開昭59-157098(JP,U)
【文献】特開2007-032199(JP,A)
【文献】特開平09-119273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00- 9/18
E06B 9/40- 9/50
E06B 9/56- 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な巻取軸部と、前記巻取軸部に巻き取られること及び前記巻取軸部から引き出されることが可能な網体と、を備えるロール式網戸であって、
前記巻取軸部は、軸方向に延びて形成されると共に前記網体の端部が取り付けられる網体取付溝を有し、
前記網体取付溝は、前記巻取軸部の軸方向の少なくとも一方の端部が、軸方向に貫通
し、
前記巻取軸部は、前記巻取軸部の回転を停止状態で固定する固定部材により固定可能に構成され、
前記巻取軸部は、径方向に貫通する貫通孔を有し、
前記固定部材は、前記貫通孔に貫通して配置可能な棒状の棒状部材により構成される、ロール式網戸。
【請求項2】
前記巻取軸部は、軸方向に貫通して延びる軸部本体側溝を有する軸部本体と、前記軸部本体の軸方向の端部に配置される端部部材と、を有し、
前記端部部材には、前記軸部本体側溝に連通すると共に軸方向に貫通して延びる端部部材側溝が形成される、請求項1に記載のロール式網戸。
【請求項3】
巻取軸部の回転を停止させた状態で保持し、
網体の先端を可動框から取り外した後に、
前記網体の先端を基端側に引っ張り出し、
前記網体の基端の縁部材を、前記巻取軸部の軸方向に貫通する溝を通して、前記巻取軸部の軸方向の少なくとも一方の端部から抜き出す、網体の取り外し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール式網戸及び網体の取り外し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転可能な巻取軸部と、巻取軸部に巻き取られること及び巻取軸部から引き出されることが可能な網体と、を備えるロール式網戸が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のロール式網戸は、網体を取り外す際に、網体と巻取軸部との両方を取り外すことで、網体の清掃などのメンテナンスを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のロール式網戸において、網体を取り外す際に、網体と巻取軸部との両方を取り外す必要がある。そのため、網体を取り外す作業が大掛かりとなり、網体を取り外しにくいことがある。そこで、網体を容易に取り外すことができ、清掃などのメンテナンス性を向上できることが望まれる。
【0005】
本発明は、網体を容易に取り外すことができるロール式網戸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、回転可能な巻取軸部と、前記巻取軸部に巻き取られること及び前記巻取軸部から引き出されることが可能な網体と、を備えるロール式網戸であって、前記巻取軸部は、軸方向に延びて形成されると共に前記網体の端部が取り付けられる網体取付溝を有し、前記網体取付溝は、前記巻取軸部の軸方向の少なくとも一方の端部が、軸方向に貫通する、ロール式網戸に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係るロール式網戸を開けた状態で室内側から見た斜視図である。
【
図2】ロール式網戸を閉じた状態で室内側から見た斜視図である。
【
図5】巻取軸部の上端部の取付構造を示す斜視図である。
【
図6】巻取軸部の下端部の取付構造を斜め上方側から見た斜視図である。
【
図7】巻取軸部の下端部の取付構造を斜め下方側から見た斜視図である。
【
図8】網体の基端の巻取軸部への取付構造を示す断面図である。
【
図9】巻取軸部の回転を停止する構造を示す図である。
【
図10】網体を取り外す手順を示す図であって、網体の先端を可動框から取り外した状態を示す図である。
【
図11】網体を取り外す手順を示す図であって、網体を基端側に抜き出す途中の状態を示す図である。
【
図12】網体を取り外す手順を示す図であって、網体を基端側に抜き出した状態を示す図である。
【
図13】網体を取り外す手順を示す図であって、網体を巻取軸部から抜き出す状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物躯体100の開口部100a(
図3参照)に取り付けられた窓サッシ1の障子12の面方向又はロール式網戸2の巻取軸部3から引き出された網体4の面方向を意味する。「見込方向」とは、障子12の厚さ方向又はロール式網戸2の巻取軸部3から引き出された網体4の厚さ方向を意味する。「見付面」は、窓サッシ1又はロール式網戸2における室外側及び室内側に面するそれぞれの面を意味し、「見込面」は、窓サッシ1又はロール式網戸2において室内外方向に延びる面を意味する。図面において、室外側を「OUTSIDE」と記載し、室内側を「INSIDE」と記載する。
【0009】
本実施形態のロール式網戸2は、
図1及び
図2に示すように、窓サッシ1の障子12の室内側に取り付けられている。本実施形態においては、ロール式網戸2は、横引きの片引きタイプのロール式の網戸を構成する。窓サッシ1及びロール式網戸2は、
図3に示すように、建物躯体100の開口部100aに取り付けられる。
【0010】
窓サッシ1について説明する。窓サッシ1は、
図1及び
図2に示すように、矩形状の窓枠11と、障子12と、レバーハンドル13と、を備える。窓枠11は、上枠111、下枠112及び一対の縦枠113,114を有し、これらが矩形状に組み付けられることによって形成されている。障子12は、窓枠11内に、開閉可能に設けられる。
【0011】
一対の縦枠113,114は、
図3に示すように、それぞれ、縦枠本体113a,114aと、縦枠延在枠113b,114bと、を有する。縦枠本体113a,114aは、障子12の左右方向の端部の左右方向の外側に配置される。縦枠延在枠113b,114bは、縦枠本体113a,114aの左右方向の外側の端部の角部から見込方向の室内側に延びる。縦枠延在枠113b,114bの見込面には、取付溝113c,114cが形成される。左右方向の一方側(例えば
図3の左側)の縦枠113の取付溝113cには、額縁固定板14が取り付けられる。左右方向の他方側(例えば
図3の右側)の縦枠114の取付溝114cには、額縁固定板15が取り付けられる。
【0012】
障子12は、窓枠11内に開閉可能に設けられており、室外に向かって滑り出しながら縦軸回りに回動して開放される。障子12は、
図1~
図3に示すように、枠組みされた框体120と、框体120の内側に配置されたガラス125と、を有する。框体120は、上框121、下框122及び一対の縦框123、124によって矩形状に枠組みされている。ガラス125は、框体120内に嵌め込まれて固定される。
【0013】
ロール式網戸2について説明する。ロール式網戸2は、窓サッシ1の障子12の見込方向の室内側に配置される。ロール式網戸2は、
図1~
図3に示すように、収納縦枠5と、収納縦枠5に収納された巻取軸部3(
図3参照)と、巻取軸部3に巻き取られること及び巻取軸部3から引き出されることが可能な網体4と、網体4の先端に固定された可動框6と、上下のガイド横枠71,72と、網体先端側縦枠8と、を備える。収納縦枠5とガイド横枠71,72と網体先端側縦枠8との内側に形成される網戸開口2aは、網体4により開閉可能である。
【0014】
ロール式網戸2は、
図3に示すように、窓サッシ1の左右方向の一方側(例えば
図3の左側)の収納縦枠5が、第1アタッチメント91を介して、窓サッシ1の窓枠11に取り付けられ、窓サッシ1の左右方向の他方側(例えば
図3の右側)の網体先端側縦枠8が、第2アタッチメント92を介して、着脱可能な留め具82により、窓サッシ1の窓枠11に取り付けられる。
【0015】
上下のガイド横枠71,72は、可動框6の上端部及び下端部を左右方向にスライド可能に支持すると共に、網体4が左右方向に移動する場合に、網体4の上端部及び下端部を左右方向にスライド可能にガイドする。上下のガイド横枠71,72は、例えば、アルミ形材(アルミニウム合金の押出形材)から形成される。
【0016】
収納縦枠5は、建物躯体100の開口部100aの左右方向の一方側(例えば
図3の左側)に設けられる。収納縦枠5の内部には、巻取軸部3が収納される。収納縦枠5は、網体4が巻取軸部3に巻き取られ且つ巻取軸部3から引き出されることで、網体4を巻き入れ及び巻き出し可能に収納する。
【0017】
収納縦枠5の見込方向の幅は、
図3に示すように、上下のガイド横枠71,72の見込方向の幅よりも大きく形成される。収納縦枠5の室内側の見込面5aと上下のガイド横枠71,72の室内側の見込面7aとは、同一平面上に位置する。収納縦枠5の室外側の部分は、
図3に示すように、ロール式網戸2の左右方向の一方側(例えば
図3の左側)において、上下のガイド横枠71,72よりも室外側に突出して配置される。
【0018】
収納縦枠5は、
図1に示すように、収納縦枠本体51と、カバー部材52と、収納縦枠本体51の上端及び下端に取り付けられる端部キャップ部材53と、を有する。収納縦枠本体51は、
図6に示すように、水平方向に切断した場合の断面形状が、室内側が開放した略U字状に形成される。カバー部材52は、収納縦枠本体51の左右方向の外側の室内側に形成されるカバー部材連結部512に回動可能に連結されることで、収納縦枠本体51の室内側の開放した部分を開閉可能に配置される。収納縦枠本体51は、例えば、アルミ形材(アルミニウム合金の押出形材)から形成される。
【0019】
巻取軸部3は、建物躯体100の開口部100aの左右方向の一方側(例えば
図3の左側)において、収納縦枠5の内部に配置される。巻取軸部3は、上下方向に延びて形成され、上下方向に延びる中心軸を中心に回転可能に構成される。巻取軸部3には、網体4の基端部が固定され、巻取軸部3は、網体4を巻き取ることが可能に構成される。巻取軸部3は、網体4を巻き取る方向に付勢する付勢部材(図示せず)により、網体4を巻き取り方向に回転するように付勢されている。例えば、付勢部材としては、スプリング式の巻きバネなどを用いることができる。
【0020】
網体4は、例えば、樹脂製の縦糸と横糸とを網状に織った網材から形成される。網体4は、左右方向(横方向)に長尺の帯状に形成されており、基端部が巻取軸部3に固定され、巻取軸部3に巻き取られることと、巻取軸部3から引き出されることとが可能である。網体4の上端部、下端部、基端部及び先端部には、
図3に示すように、縁部材45が取り付けられている。本実施形態においては、縁部材45は、例えば、所定幅の帯状のシートにより構成される。縁部材45は、例えば、樹脂材料でシート状に形成され、幅方向の途中において網体4の端部に沿って縫い合わされることで、網体4に接続されている。
【0021】
網体先端側縦枠8は、ガイド横枠71,72の左右方向の収納縦枠5とは反対側の他方側(例えば
図3の右側)の端部において、上下のガイド横枠71,72を接続するように上下方向に延びる。本実施形態においては、網体先端側縦枠8は、水平方向に切断した断面形状が、略長方形の中空部を有するホロー構造を備えて構成される。網体先端側縦枠8は、例えば、アルミ形材(アルミニウム合金の押出形材)から形成される。
【0022】
可動框6は、
図1及び
図2に示すように、網体4の先端に固定される。可動框6は、網体4の開閉操作を行う場合に使用者に把持される把持部としても機能する。可動框6は、網体4が網戸開口2aを開放する位置と、網体4が網戸開口2aを閉鎖する閉鎖位置と、に左右方向に移動可能に構成される。可動框6は、網体4を巻き取る方向に付勢する付勢部材(図示せず)により、収納縦枠5側に付勢される。
【0023】
可動框6が閉鎖位置に位置した場合には、
図2に示すように、網体先端側縦枠8に当接又は近接して配置される。可動框6は、閉鎖位置に位置した場合において、網体先端側縦枠8側に移動された場合に、例えば、磁石(図示せず)による磁力で、閉鎖位置を保持する。可動框6は、
図3に示すように、剛性を高めるために、中空部を有するホロー構造を備えて構成される。
【0024】
次に、巻取軸部3と網体4との取付構造について説明する。
図4に示すように、巻取軸部3は、軸方向に延びる巻取軸部本体30(軸部本体)と、巻取軸部本体30の軸方向の両端部に配置される一対の支持部材35,36(端部部材)と、を有する。巻取軸部本体30は、上下方向に延びると共に、網体4を巻取可能に構成される。
【0025】
図4に示すように、一対の支持部材35,36のうちの上端支持部材35は、巻取軸部本体30の上端に取り付けられる。一対の支持部材35,36のうちの下端支持部材36は、巻取軸部本体30の下端に取り付けられる。上端支持部材35及び下端支持部材36は、巻取軸部本体30の上端及び下端において巻取軸部本体30を回転可能に支持する支持部材である。
図5に示すように、上端支持部材35の上端は、上端部キャップ部材53Aに回転可能に取り付けられる。
図6及び
図7に示すように、下端支持部材36の下端は、下端部キャップ部材53Bの下端キャップ側支持部532に回転可能に取り付けられる。
【0026】
巻取軸部本体30の外面には、
図5~
図7に示すように、巻軸側取付溝31(軸部本体側溝、網体取付溝)が形成されている。巻軸側取付溝31は、巻取軸部本体30の軸方向に延びて形成される溝状に形成される。巻軸側取付溝31は、軸方向に貫通して延びて形成される。巻軸側取付溝31には、網体4の基端に固定された縁部材45が取り付けられる。巻軸側取付溝31は、
図7及び
図8に示すように、巻取軸部本体30の外周面から窪む凹溝部311と、一対の巻軸側係止片312,312と、を有する。
【0027】
凹溝部311は、所定幅を有して巻取軸部3の軸方向に延びると共に、幅方向において、巻取軸部3の外周面に沿って所定幅で円弧状に延びる。一対の巻軸側係止片312,312は、凹溝部311の幅方向の両端部から外周面に沿って凹溝部311を閉じるように互いが近づく方向に円弧状に突出する。一対の巻軸側係止片312,312の間には、隙間Saが形成される。網体4の基端に固定された縁部材45が凹溝部311の内部に配置された状態で、一対の巻軸側係止片312,312の内側の面には、縁部材45の幅方向の両端部が係止される。一対の巻軸側係止片312,312の間の隙間Saには、基端が縁部材45に固定された網体4が通される。
【0028】
上端支持部材35は、
図5に示すように、巻取軸部本体30の上端の内部に挿入される上部内部部材351と、巻取軸部本体30と略同径で形成される円板状の上端円板部352と、を有する。上端円板部352は、上部内部部材351の上端の上部に設けられ、上部内部部材351よりも径が大きく形成される。上端円板部352は、上端部キャップ部材53Aに回転可能に取り付けられる。
【0029】
下端支持部材36は、
図6及び
図7に示すように、巻取軸部本体30の下端の内部に挿入される下部内部部材361と、巻取軸部本体30と略同径で形成される円板状の下端円板部362と、下端円板部362の下端から下方に突出する下端支持軸部363と、を有する。下端円板部362は、下部内部部材361の下端の下部に設けられ、下部内部部材361よりも径が大きく形成される。下端円板部362の外面には、外面から窪んで軸方向に延びると共に、軸方向に貫通して延びる下端円板部側溝362a(端部部材側溝、網体取付溝)が形成される。下端支持軸部363には、径方向に貫通する軸部側貫通孔363aが形成される。
【0030】
下端円板部側溝362aは、巻取軸部本体30の巻軸側取付溝31の断面形状と同じ断面形状で形成される。具体的には、下端円板部側溝362aは、下端支持部材36の外周面から窪む支持部材側凹溝部362bと、一対の支持部材側突出片362c,362cと、を有する。支持部材側凹溝部362bは、所定幅を有して下端円板部362の軸方向に延びると共に、幅方向において、下端円板部362の外周面に沿って所定幅で円弧状に延びる。一対の支持部材側突出片362c,362cは、支持部材側凹溝部362bの幅方向の両端部から外周面に沿って支持部材側凹溝部362bを閉じるように互いが近づく方向に円弧状に突出する。一対の支持部材側突出片362c,362cの間には、隙間Sbが形成される。一対の支持部材側突出片362c,362cの間の隙間Sbには、下端部が縁部材45に固定された網体4を巻取軸部3に取り付ける際に、基端が縁部材45に固定された網体4が通される。
【0031】
下端円板部側溝362aは、巻取軸部本体30の下端部に下端支持部材36が取り付けられた状態において、軸方向において、巻取軸部本体30の巻軸側取付溝31に連通する。下端円板部側溝362aは、軸方向に貫通して延びる。下端円板部側溝362aは、巻取軸部本体30の巻軸側取付溝31に取り付けられた網体4を、巻取軸部本体30の巻軸側取付溝31から取り外す際と、巻取軸部本体30の巻軸側取付溝31に取り付ける際とにおいて、網体4の基端を通すことができる。下端支持部材36の下端円板部362に下端円板部側溝362aが貫通して延びることで、巻取軸部3の軸方向の端部は軸方向に貫通する。
【0032】
下端部キャップ部材53Bのキャップ底面531の上面には、下端支持部材36を回転可能に支持する下端キャップ側支持部532が形成される。下端キャップ側支持部532は、上下方向に延びるキャップ円筒部533と、複数の三角形状の保持部534と、を有する。
【0033】
キャップ円筒部533は、キャップ底面531から上方に突出して形成される。キャップ円筒部533の内部には、下端支持部材36の下端支持軸部363が挿入される。キャップ円筒部533の内部に下端支持部材36が挿入された状態においては、下端支持部材36の下端円板部362とキャップ底面531との間には、
図4に示すように、下方側隙間Gが形成される。下方側隙間Gは、下端円板部側溝362a及び巻取軸部本体30の巻軸側取付溝31を通して網体4を下方側に移動させる際に、網体4を通すことができる隙間である。これにより、下端円板部側溝362a及び巻取軸部本体30の巻軸側取付溝31を通した網体4を、下方側隙間Gを通して抜き出すことができる。
【0034】
キャップ円筒部533には、釘状部材N(固定部材)を挿入可能なキャップ側貫通孔533aが形成される。キャップ側貫通孔533aは、キャップ円筒部533を径方向に貫通する。釘状部材Nは、巻取軸部3の回転を停止状態で固定する。
【0035】
本実施形態においては、
図9に示すように、釘状部材Nを、キャップ円筒部533のキャップ側貫通孔533a及び下端支持軸部363の軸部側貫通孔363aに挿入することで、釘状部材Nにより、巻取軸部3の回転位置を位置決めした状態で、巻取軸部3の回転を停止状態で固定可能である。本実施形態においては、キャップ円筒部533のキャップ側貫通孔533a及び下端支持軸部363の軸部側貫通孔363aに釘状部材Nを挿入する位置においては、キャップ円筒部533の下端円板部側溝362a及び巻取軸部本体30の巻軸側取付溝31が室内側を向くように位置決めされる。なお、本実施形態においては、釘状部材Nを用いて巻取軸部3の回転を止めるように構成したが、これに限定されず、例えば、ピンなどの棒状部材を用いて巻取軸部3の回転を止めるように構成してもよい。
【0036】
次に、網体4を巻取軸部3から取り外す手順について説明する。まず、
図10に示すように、収納縦枠5のカバー部材52を開けて、
図9に示すように、キャップ円筒部533のキャップ側貫通孔533a及び下端支持軸部363の軸部側貫通孔363aに釘状部材Nを挿入する。これにより、巻取軸部3の回転を停止させた状態で保持させる。この状態で、
図10に示すように、可動框6から縁部材45を取り外すことで、網体4の先端を可動框6から取り外す。
【0037】
続けて、
図11及び
図12に示すように、網体4の先端を基端側に引っ張ることで、網体4の先端を上下のガイド横枠71,72に沿って収納縦枠5側に移動させる。これにより、
図12に示すように、網体4の上端部及び下端部を上下のガイド横枠71,72から網体4を基端側に引っ張り出すことで、網体4をガイド横枠71,72に沿って収納縦枠5側に引っ張り出す。
【0038】
そして、
図13に示すように、網体4の基端の縁部材45を、下端円板部側溝362aの隙間Sa及び巻取軸部本体30の巻軸側取付溝31の隙間Sbに沿って網体4を下方側に移動させながら、下端円板部側溝362aの隙間Sa及び巻取軸部本体30の巻軸側取付溝31の隙間Sbを通しながら、下端支持部材36の下端円板部362とキャップ底面531との間の下方側隙間Gを通して、網体4を巻取軸部3の下端側から抜き出していく。これにより、巻取軸部3をロール式網戸2から取り外さずに、網体4を巻取軸部3の下端側から抜き出すことができる。
【0039】
本実施形態のロール式網戸2は、回転可能な巻取軸部3と、巻取軸部3に巻き取られること及び巻取軸部3から引き出されることが可能な網体4と、を備え、巻取軸部3は、軸方向に延びて形成されると共に網体4の端部が取り付けられる巻軸側取付溝31及び下端円板部側溝362aを有し、巻軸側取付溝31及び下端円板部側溝362aは、軸方向の下端部の下端円板部側溝362aにおいて、巻取軸部3を軸方向に貫通する。これにより、巻取軸部3を取り外さずに、軸方向の下端部の下端円板部側溝362aに網体4を通して、網体4を取り外すことができる。よって、ロール式網戸2から網体4を容易に取り外すことができる。
【0040】
本実施形態においては、巻取軸部3は、軸方向に貫通して延びる巻軸側取付溝31を有する巻取軸部本体30と、巻取軸部本体30の軸方向の両端部に配置される一対の支持部材35,36と、を有し、下端支持部材36は、巻軸側取付溝31に連通すると共に軸方向に貫通して延びる下端円板部側溝362aが形成される。これにより、一方の下端支持部材36に下端円板部側溝362aを設けることで、巻取軸部3の軸方向の両端部を支持する構造を備えつつ、網体4を容易に巻取軸部3から取り外すことができる。
【0041】
本実施形態においては、巻取軸部3は、巻取軸部3の回転を停止状態で固定する釘状部材Nにより固定可能に構成される。これにより、巻取軸部3の回転を停止して固定した状態で、網体4を巻取軸部3から容易に取り外すことができる。
【0042】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0043】
例えば、前記実施形態においては、巻軸側取付溝(軸部本体側溝、網体取付溝)を円弧状の溝により構成した。しかし、これに限定されない。例えば、巻軸側取付溝(軸部本体側溝、網体取付溝)を円形状の溝により構成してもよいし、方形状の溝により構成してもよい。溝に取り付けられる縁部材は、限定されない。縁部材としては、例えば、複数の係合子が一列に設けられて構成されるファスナ部材などを用いることができる。
【0044】
前記実施形態においては、巻取軸部の網体取付溝の一方の端部を、軸方向に貫通するように構成したが、これに限定されない。巻取軸部の網体取付溝の一方の端部を、軸方向に貫通するように構成してもよいし、巻取軸部の網体取付溝の両方の端部を、軸方向に貫通するように構成してもよい。また、前記実施形態では、端部部材は巻取軸部本体30と別部材で構成したが、巻取軸部本体30と一体で形成されていてもよい。さらに、前記実施形態では、釘状部材Nを用いて、巻取軸部3の回転を停止させた状態で保持したが、これに限らず、手で巻取軸部3が回転しないよう保持してもよい。
【符号の説明】
【0045】
2 ロール式網戸(網戸)、3 巻取軸部、4 網体、30 巻取軸部本体(軸部本体)、31 巻軸側取付溝(軸部本体側溝、網体取付溝)、35 上端支持部材(端部部材)、36 下端支持部材(端部部材)、362a 下端円板部側溝(端部部材側溝、網体取付溝)、N 釘状部材(固定部材)