(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】レーザーアブレーションの誘電性物質
(51)【国際特許分類】
H01L 21/302 20060101AFI20230928BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20230928BHJP
B23K 26/351 20140101ALI20230928BHJP
B23K 26/382 20140101ALI20230928BHJP
【FI】
H01L21/302 201B
H01L21/302 104H
B23K26/351
B23K26/382
(21)【出願番号】P 2019501678
(86)(22)【出願日】2017-07-14
(86)【国際出願番号】 US2017042225
(87)【国際公開番号】W WO2018013976
(87)【国際公開日】2018-01-18
【審査請求日】2020-06-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-13
(32)【優先日】2016-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500499508
【氏名又は名称】ブルーワー サイエンス アイ エヌ シー.
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】マトス-ペレス,クリスティーナ アール.
(72)【発明者】
【氏名】フレイム,トニー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】サウザード,アーサー オー.
(72)【発明者】
【氏名】カークナー,リサ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ブルーメンシャイン, デボラ
【合議体】
【審判長】瀧内 健夫
【審判官】恩田 春香
【審判官】松永 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-20509(JP,A)
【文献】国際公開第2005/045911(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/117362(WO,A1)
【文献】特開2009-152368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K26/00-26/70
G03C 3/00
G03F 7/004-7/04,7/06,7/075-7/115,7/16-7/18
H01L21/302,21/3065,21/461
H05K 3/00-3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電性層をパターニングする方法であって、
表面を有する基板と、任意の、前記基板の表面上の1以上の中間層と、下面および上面を有する誘電性層とを含み、前記1以上の中間層がある場合には、前記下面が前記中間層上にあり、前記1以上の中間層がない場合には、前記下面が前記基板上にあり、前記上面が前記基板から離れている、構造を提供し、
前記誘電性層の前記上面の少なくとも一部の切除を促すために、前記誘電性層の前記上面をレーザーエネルギーに曝すことによって前記誘電性層を切除することを含み、
前記誘電性層が、
8ミクロン~
40ミクロンの厚さを有し、ポリウレア
又はポリウレタ
ンから選択されるポリマーを含む組成物から形成され、
前記ポリマーが、ジイソシアネートモノマーと、アミン末端スルホン、ヒドロキシル末端スルホン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるモノマーとの繰り返しを含む、方法。
【請求項2】
誘電性層をパターニングする方法であって、
表面を有する基板と、任意の、前記基板の表面上の1以上の中間層と、下面および上面を有する誘電性層とを含み、前記1以上の中間層がある場合には、前記下面が前記中間層上にあり、前記1以上の中間層がない場合には、前記下面が前記基板上にあり、前記上面が前記基板から離れている、構造を提供し、
前記誘電性層の前記上面の少なくとも一部の切除を促すために、前記誘電性層の前記上面をレーザーエネルギーに曝すことによって前記誘電性層を切除することを含み、
前記誘電性層が、8ミクロン~40ミクロンの厚さを有し、ポリアシルヒドラゾンからなるポリマーを含む組成物から形成され、
前記ポリマーが、繰り返しジヒドラジドモノマーおよび繰り返し2-ヒドロキシアルキル結合ジアルデヒドモノマーを含む
、方法。
【請求項3】
前記誘電性層と前記基板との間に
前記基板の表面上の前記1以上の中間層がある、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物が、溶媒系に溶解または分散したポリマーを含み、前記組成物を前記基板表面、または前記基板上の中間層に塗布し、前記組成物を
50℃~
250℃の温度で
5分~
30分の間加熱することによって、前記誘電性層が形成される、請求項1
又は2記載の方法。
【請求項5】
前記誘電性層が、
100nm~
850nmの波長および
1Hz~
4,000Hzのパルスレートでレーザーエネルギーに曝される、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記切除が前記誘電性層にパターンを生じる、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記パターンが、ライン、スペース、およびビアからなる群から選択される開口部を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ラインおよびスペースが
200ミクロン未満の幅を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ビアが
700ミクロン未満の直径を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記基板が、シリコン、SiGe、SiO
2、Si
3N
4、SiON、SiCOH、アルミニウム、タングステン、タングステンシリサイド、ヒ化ガリウム、ゲルマニウム、タンタル、窒化タンタル、Ti
3N
4、ハフニウム、HfO
2、ルテニウム、リン化インジウム、テトラメチルシリケートおよびテトラメチルシクロテトラシロキサン、並びにガラス基板からなる群から選択される、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項11】
前記誘電性層がある厚さを有し、前記切除が前記誘電性層にその全厚を横切って延びていない開口部を作出する、請求項1
又は2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2016年7月15日に出願され、名称が「SOLVENT-SOLUBLE POLYACYLHYDRAZONES USEFUL FOR MICROELECTRONIC COATING APPLICATIONS」である米国仮出願62/362,674号、および2016年10月6日に出願され、名称が「LASER ABLATIVE DIELECTRIC MATERIAL」である第62/404,803号の利益を主張する。これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。
技術分野
本発明は、レーザーアブレーションに適した誘電性物質、ならびにそれらの誘電性物質を形成するために使用することができる新規のポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
誘電性物質のレーザーアブレーションは、多様な化学物質を使用できるようにし、従来式のリソグラフィプロセスと比較して必要な工程数および処理時間を減少させるものである。高い伸び率、低い熱膨張率(CTE)、および低い硬化温度などの機械的な特性が、堅牢な誘電性プラットフォームを得る鍵となる。現在、これを適用する際に、これらの特性とデブリの形成を少なくすることが調整される、利用し得る誘電性物質は存在していない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態では、本発明は、基板に支持された誘電性層をパターニングする方法を提供する。この方法は、誘電性層の少なくとも一部の切除を促すために、誘電性層をレーザーエネルギーに曝すことによって切除することを含む。誘電性層が、ポリウレア、ポリウレタン、およびポリアシルヒドラゾンからなる群から選択されるポリマーを含む組成物から形成されることが改良点である。
【0004】
別の実施形態では、本発明は、超小型電子基板とその基板上の誘電性層とを含む構造を提供する。基板は、シリコン、SiGe、SiO2、Si3N4、SiON、アルミニウム、タングステン、タングステンシリサイド、ヒ化ガリウム、ゲルマニウム、タンタル、窒化タンタル、Ti3N4、ハフニウム、HfO2、ルテニウム、リン化インジウム、サンゴ、黒色ダイヤモンド、およびガラス基板からなる群から選択される。誘電性層は、ポリウレア、ポリウレタン、およびポリアシルヒドラゾンからなる群から選択されるポリマーを含む組成物から形成される。さらに、誘電性層は上面および下面を有し、上面は超小型電子基板から離れており、下面は超小型電子基板に隣接している。誘電性層はまた、その中に形成された少なくとも1つの開口部を含む。少なくとも1つの開口部は上面に上縁部を有し、その上縁部に、その近くに、またはその両方に、ポリマー由来のレーザーアブレーション残渣がある。
【0005】
さらなる実施形態において、本発明は、ポリアシルヒドラゾンを形成する方法を提供し、その方法は、ジヒドラジドを2-ヒドロキシアルキル結合ジアルデヒドと反応させてポリアシルヒドラゾンを形成することを含む。2-ヒドロキシアルキル結合ジアルデヒドのアルキルは、奇数の炭素原子を有する。
【0006】
なおさらなる実施形態において、本発明は、ジヒドラジドおよび2-ヒドロキシアルキル結合ジアルデヒドの繰り返しモノマーを含むポリアシルヒドラゾンを対象とし、上記2-ヒドロキシアルキル結合ジアルデヒドのアルキルが奇数個の炭素原子を有する。ポリアシルヒドラゾンは、極性の非プロトン性溶媒で少なくとも約10重量%の溶解度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の組成物および処理によって形成された構造(縮尺通りではない)を描写している概略図である。
【
図2】実施例3で調製した4EPIDAの赤外スペクトルである。
【
図3】実施例1の配合物(丸)および実施例4の配合物(四角)のエッチング速度の比較のグラフである。
【
図4】洗浄前における実施例1の配合物のレーザーアブレーションパターニングの光学顕微鏡写真を示す。
【
図5】洗浄前における実施例4の配合物のレーザーアブレーションパターニングの光学顕微鏡写真を示す。
【
図6】実施例1の配合物のレーザーアブレーションパターニングによって作成されたビアの光学顕微鏡写真を示す。
【
図7】実施例1の配合物のレーザーアブレーションパターニングによって作成されたビアの光学顕微鏡写真を提示する。
【
図8】実施例1の配合物のレーザーアブレーションパターニングによって作成されたビアの光学顕微鏡写真を示す。
【
図9】実施例1の配合物で作成されたビアの特性を描写している。
【
図10】実施例1の配合物で作成されたビアの特性を描写している。
【
図11】実施例4の配合物のレーザーアブレーションパターニングによって作成されたビアの光学顕微鏡写真を示す。
【
図12】実施例4の配合物のレーザーアブレーションパターニングによって作成されたビアの光学顕微鏡写真を提供する。
【
図13】実施例4の配合物のレーザーアブレーションパターニングによって作成されたビアの光学顕微鏡写真を示す。
【
図14】実施例4の配合物で作成されたビアの特性を描写している。
【
図15】実施例4の配合物で作成されたビアの特性を描写している。
【
図16】実施例14で調製したアジピン酸ジヒドラジドと4EPIDAのコポリマーのFTIRスペクトルである。
【
図17】実施例15で調製したイソフタル酸ジヒドラジドと4EPIDAのコポリマーのFTIRスペクトルである。
【
図18】実施例19で調製した3EPIDAの赤外スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
レーザーアブレーションのための物質および処理が広く提供されている。物質は、溶媒系に溶解した2つ以上のモノマーで作られるコポリマーを含む。
【0009】
本発明の物質に使用するためのポリマー
1.ポリウレアとポリウレタン
一実施形態では、ポリマーは、ポリウレア、ポリウレタン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。より好ましくは、ポリマーは、ポリウレアスルホン、ポリウレタンスルホン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0010】
特に好ましいポリウレアスルホンは、繰り返しジイソシアネートモノマー、およびアミン末端スルホン、ヒドロキシル末端スルホン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるモノマーを含む。ジイソシアネートモノマーは、任意の二官能性イソシアネートであり得、好ましいそのようなモノマーは、イソホロンジイソシアネート、トルエン-2,4-ジイソシアネート、芳香族または脂肪族ジイソシアネート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。2つの特に好ましいモノマーは以下の通りである:
【0011】
【0012】
これらのポリマーは、所望のモノマーを室温で溶媒系と混合することによって形成することができる。第1のモノマーと第2のモノマーのモル比は、好ましくは約0.95:1.00~約1.05:1.00、およびより好ましくは約1.00:1.00である。好ましくは、モノマーは、全体として混合物のパーセントとして考慮したとき、重合混合物の約60重量%~約90重量%を占める。当然のことながら、使用するモノマーの量は、使用する溶媒および追加の成分の量に依拠する。
【0013】
重合反応に適した溶媒には、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、ガンマブチロラクトン(GBL)、およびそれらの混合物からなる群から選択されるものが含まれる。溶媒は、全体としての重合混合物のパーセントとして、約10重量%~約40重量%の濃度で反応混合物中に存在する。使用する溶媒の量は、使用するモノマーおよび追加の成分の量に依拠する。
【0014】
重合は、使用するモノマーの量に応じて、典型的には約4時間~約24時間の期間に完了する。場合により、追加の成分、例えばエンドキャッパー、触媒、開始剤、およびそれらの混合物からなる群から選択されるものを重合反応に加えることができる。さらなる重合を防止するためにエンドキャッパーを含めることができ、またエンドキャッパーは好ましくはアミンまたはヒドロキシル末端化合物を含む。追加の成分は、使用するモノマー、溶媒、および追加の成分の量に応じて、反応混合物の約1重量%~約20重量%を占めることができる。
【0015】
2.ポリアシルヒドラゾン
他の実施形態では、ポリマーはポリアシルヒドラゾンであってよい。好ましいポリアシルヒドラゾンは、繰り返しジヒドラジドモノマーおよび繰り返しジアルデヒドを含む。特に好ましいジヒドラジドは、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)、イソフタル酸ジヒドラジド(IDH)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるものを含む。好ましいジアルデヒドモノマーは、2-ヒドロキシアルキル結合ジアルデヒドであり、ここでアルキルは、奇数の炭素原子を有するものであることが好ましい(例えば、C1、C3、C5、C7など)。特に好ましいジアルデヒドモノマーは、2-ヒドロキシプロピル結合ジアルデヒドであり、さらにより好ましくは、2-ヒドロキシプロピル結合芳香族ジアルデヒドである。そのような好ましいモノマーの1つは:
OCH-C6H4-O-CH2-CH(-OH)-CH2-O-C6H4-CHO、
式中、[-C6H4-]は六員芳香環構造を表し、芳香環に結合したエーテル結合基は両方共、それぞれの環のホルミル置換基に対してパラ位またはメタ位のいずれかに存在する。いくつかの特に好ましいモノマーとしては、1,3-ビス(4-ホルミルフェノキシ)-2-ヒドロキシプロパン(エーテル結合基がホルミル基に対してパラである)、1,3-ビス(3-ホルミルフェノキシ)-2-ヒドロキシプロパン(エーテル結合基がホルミル基に対してメタである、1,3-ビス(4-ホルミル-2-メトキシフェノキシ)-2-ヒドロキシプロパン、1,3-ビス(3-ホルミル-2-メトキシフェノキシ)-2-ヒドロキシプロパン、および1,3-ビス(4-ホルミル-2-エトキシフェノキシ)-2-ヒドロキシプロパンを含む。
【0016】
ジアルデヒドは、商業的に入手することができ、またはそれらはアルコール水溶液中のナトリウム、カリウムまたはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)などの強塩基の存在下、溶媒においてヒドロキシベンズアルデヒド化合物をエピクロロヒドリンと反応させることによって高収率で調製することができる。TMAHは、望ましくない金属イオンの混入を助長しないため、マイクロエレクトロニクスコーティングの生成物に使用する成分を調製するのに特に好ましい。
【0017】
広範囲のヒドロキシベンズアルデヒド化合物を使用して、2-ヒドロキシプロピル結合芳香族ジアルデヒド(最も好ましいジアルデヒドモノマー)を調製することができる。しかし、3-および4-ヒドロキシベンズアルデヒドなどの一般に入手可能な試薬は、それらが最終的なポリアシルヒドラゾン構造に、優れた溶解性、熱的および機械的な性質を付与するため、好ましい。
【0018】
適切な溶媒は、塩基性の環境において加水分解しない、または副生成物を生成しないものを含む。好ましい溶媒としては、メタノール、エタノール、およびイソプロパノールからなる群から選択されるものなどの低沸点アルコールが挙げられる。これらの溶媒は、反応混合物をその還流点に保持することによって一定の反応温度を維持するために好ましい。溶媒は、反応溶液の総重量を100重量%とするのに基づいて、約40重量%~約80重量%、好ましくは約50重量%~約70重量%の濃度で反応溶液に存在すべきである。
【0019】
反応は、約60℃~約120℃、好ましくは約80℃~約100℃の温度で、約4時間~約24時間、好ましくは約6時間~約12時間の間に行われる。反応混合物を室温以下に冷却すると、ジアルデヒド生成物はきれいにかつ高収率で結晶化する。
【0020】
さらなる実施形態では、置換ジアルデヒドを使用することができる。適切な置換ジアルデヒドとしては、置換基Xが、別段の場合に水素によって占められる位置の1つにおいて、芳香環に結合するものが挙げられる。好ましい置換基X基としては、-R、-OR、またはハロゲン(例えば、-Cl)からなる群から選択されるものが挙げられ、ここで、Rはアルキル部分(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)からなる群から選択される。
【0021】
一実施形態では、テレフタルアルデヒドをジアルデヒドモノマーと共にコモノマーとして使用することができる。しかし、そのような場合、テレフタルアルデヒドとジアルデヒドモノマーとのモル比は、好ましくは約1:3を超えない。
【0022】
ポリアシルヒドラゾンは、溶媒、好ましくは極性の非プロトン性溶媒でジヒドラジドモノマーとジアルデヒドモノマーとを縮合させることによって形成される。適切なそのような溶媒には、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリジノン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるものが含まれる。溶媒は、重合反応混合物の総重量を100重量%とするのに基づいて、約60重量%~約90重量%、好ましくは約75重量%~約90重量%の濃度で存在するのが好ましい。処理しやすい溶液の粘度を維持するべく、重合している間に追加の溶媒を反応混合物に添加してもよい。ジヒドラジドモノマーとジアルデヒドモノマーのモル比は、好ましくは約0.95:1.00~約1.05:1.00、より好ましくは約1.00:1.00である。両方のモノマーは、重合反応混合物の総重量を100重量%とするのに基づいて、約5重量%~約15重量%、好ましくは約9重量%の濃度で組成物に存在する。
【0023】
重合反応は触媒を必要とせず、一実施形態では、反応は本質的に触媒を含まずに(すなわち、約0.001重量%未満、好ましくは約0重量%)行われる。別の実施形態では、重合反応は少量の酸の添加によって促進できる。適切な酸としては、酢酸、トリフルオロ酢酸、硫酸、および塩酸からなる群から選択されるものが挙げられる。酸は、ジヒドラジドモノマーとジアルデヒドモノマーとを合わせたモル量を基準にして、約1モル%~約5モル%、好ましくはジヒドラジドモノマーとジアルデヒドモノマーとを合わせたモル量を基準にして、約2モル%~約3モル%の濃度で物質に存在する。
【0024】
有利にも、得られる本発明のポリアシルヒドラゾンは先行技術のポリアシルヒドラゾンよりも非晶質であり、それらは先行技術のポリアシルヒドラゾンよりも可溶性になる。すなわち、本発明のポリアシルヒドラゾンは、極性の非プロトン性溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリジノン、およびそれらの混合物)において少なくとも約10重量%の溶解度を有する。本明細書で使用するとき、「ポリアシルヒドラゾンの溶解度」は、室温で少なくとも90日間安定したままである(すなわち、溶液から落ちていくものがない)という、透明で沈殿物のない溶液の形成によって判定される。
【0025】
配合物の調製
配合物は、特定のポリマーを溶媒または溶媒系と室温で約2時間~約12時間、好ましくは約4時間~約8時間の間混合することによって調製される。
【0026】
本発明の最終的な配合物において、ポリマーは、最終的な組成物の総重量を100重量%とするのに基づいて、約10重量%~約40重量%、好ましくは約20重量%~約30重量%の濃度で存在する。溶媒系は、組成物の総重量を100重量%とするのに基づいて、約60重量%~約90重量%、好ましくは約70重量%~約80重量%の濃度で存在する。物質に添加される1つまたは複数の溶媒の量は、利用される堆積方法に応じて異なり得ることが理解されよう。
【0027】
最終的な配合物に適した溶媒には、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ガンマブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリジノン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるものが含まれる。
【0028】
場合により、他の添加剤、例えば架橋剤、エンドキャッパー、触媒、開始剤、界面活性剤、湿潤剤、接着促進剤、着色剤または顔料、および/または他のポリマーおよび樹脂からなる群から選択されるものなどを最終的な配合物に加えることができる。これらの添加剤は、所望の特性および最終的な組成物の用途に応じて選択され、溶媒系に可溶性で、溶液中のポリマーと相溶性でなければならない。追加の成分は、使用されるモノマー、溶媒、および成分の量に応じて、組成物の約1重量%~約20重量%を占めることができる。
【0029】
配合物の使用方法
最終的な配合物は、スピンコーティング、スプレーコーティング、スロットダイコーティング、または溶媒ベースのコーティング配合物と適合性のある他の方法によって堆積させることができる。これらの技術は、例えば溶液を主要な溶媒で希釈すること、および/またはポリマーの沈殿を生じさせない限り共溶媒を添加することによって、欠陥のない所望のコーティングの厚さおよび均一性を得るために、溶液中のポリマー固形分の濃度を調整することを必要とする場合がある。
【0030】
図1(A)~
図1(D)は、本発明の配合物を使用して構造を形成する本発明の方法を概略的に示す。この方法では、表面10aを有する基板10を準備する。本発明では任意の超小型電子基板を使用することができる。好ましい基板は、シリコン、SiGe、SiO
2、Si
3N
4、SiON、アルミニウム、タングステン、タングステンシリサイド、ヒ化ガリウム、ゲルマニウム、タンタル、窒化タンタル、Ti
3N
4、ハフニウム、HfO
2、ルテニウム、リン化インジウム、サンゴ、黒色ダイヤモンド、ガラス、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるものなどの半導体基板である。
【0031】
この方法は、ある量の本発明の組成物を基板10に塗布して、基板10の表面10aに組成物の層12(好ましくは絶縁誘電性層)を形成することを含む(
図1(A))。好ましい塗布方法は、約750rpm~約5,000rpm(好ましくは約750rpm~約4,000rpm、およびより好ましくは約1,000rpm~約3,500rpm)の速度で、組成物を約20秒~約90秒(好ましくは約30秒~約60秒)の間スピンコーティングすることを含む。基板10は平坦な表面を有することができ、またはそれはトポグラフィの特徴(ビアホール、トレンチ、接触穴、隆起した特徴部、線など)を含むことができる。本明細書で使用するとき、「トポグラフィ」は、基板表面内または基板表面上の構造の高さまたは深さを示す。例えば、基板10は、側壁および底壁を含む穴を画定する構造を含むことができる。したがって、本発明の組成物を基板10に塗布する方法は、好ましくは、それらの穴の側壁および底壁の少なくとも一部に組成物を塗布することを含む。
【0032】
配合物を堆積させた後、溶媒を、約50℃~約250℃、好ましくは約60℃~約95℃、より好ましくは約75℃~約90℃の温度で焼成することにより除去することができる。溶媒を除去するのに使用する焼成時間は、使用する溶媒の量および焼成の温度に応じて、約5分~約30分であってよい。いくつかの実施形態では、架橋剤を使用する場合、組成物を架橋するために焼成工程(上記の焼成工程および/または異なる焼成工程)を実施することができる。
【0033】
コーティングおよび焼成の後、基板上にある物質の厚さの平均(5つの測定値にわたって測定し、平均化したもの)は、好ましくは約3ミクロン~約40ミクロン、より好ましくは約8ミクロン~約20ミクロン、さらにより好ましくは約9ミクロン~約11ミクロンである。基板表面10aがトポグラフィを含む場合、コーティング12は、これらの厚さで基板トポグラフィを実質的に覆うのに十分な厚さで塗布されることが好ましい。
【0034】
層12はいくつかの望ましい特性を有する。例えば、コーティングまたは層12は誘電性層であり、これはそれが低い誘電率を有することを意味する。層12の誘電率は、好ましくは約4未満、より好ましくは約2~約4、さらにより好ましくは約2.5~約3.5である。
【0035】
図に示しているように、最終的なコーティング12は上面12aおよび下面12bを有する。以上は誘電性層12の下面12bが基板表面10(a)と直接接触していることを示しているが、当然のことながら、処理の前に任意の数の任意の中間層14を基板表面10(a)上に形成することができる。これらの中間層14は、接着促進層、金属層、およびその両方からなる群から選択されたものを含む。これらの任意選択の層14は、通例の処理に従って形成され、次に誘電性層が、上述の処理に従って、利用される最後の/最上の中間層14の上に形成され、誘電性層12の下面12bが上層の中間層14と接する。この実施形態は、
図1(B)に描写されている。
【0036】
中間層14が含まれるかどうかにかかわらず、誘電性層12は、次いで、レーザーアブレーションによってパターニングされ、好ましくは誘電性層12をレーザーエネルギーに曝すためにエキシマレーザーを使用する。レーザービーム16を物質形成層12に短パルスで適用する。切除すべき領域のみに小さなレーザービームがラスターされる「直接描画」様式でレーザーを使用しても(
図1(C))、レーザーがマスクを通ることができる領域のみを切除するように、レーザーを金属製のマスク(図示せず)を通して適用してもよい。レーザーエネルギーは層12の物質によって吸収され、様々な光化学的および熱的効果の結果として、層12の一部が除去されて第1の開口部20を形成する(
図1(C))。次いで、レーザーを除去が望まれる層12の他の領域に向け、さらなる切除を実施して(
図1(D))さらなる開口部20を形成することができる(
図1(E))。
【0037】
エキシマレーザーの波長は、約100nm~850nmが好ましく、約150nm~500nmがより好ましく、約200nm~400nmがさらに好ましい。パルスレートは、約4,000Hz未満、好ましくは約1Hz~約4,000Hz、より好ましくは約50Hz~約500Hz、さらにより好ましくは約75Hz~約200Hzである。パルス長は、約1ns~約100ns、好ましくは約3ns~約50ns、より好ましくは約5ns~約12nsであってよい。除去される物質の量は、物質、レーザー波長、パルスレート、およびパルスの長さに依拠する。
【0038】
典型的には、開口部20の、上縁部22におよび/またはその近くに(上面12a-
図1(E)上に)集まる、いくらかの量のアブレーションのデブリの残渣(すなわち分解されたポリマー)24がある。アブレーションの処理の間に真空化を適用して切除された物質を除去し、デブリが誘電性の表面に形成されるのを最小限に抑えたり、さらには防止したりすることができる。有利にも、これらの物質は、最小限のデブリまたは実質的に一切のデブリなしで切除することができる。切除後に残ったデブリの量は、光学顕微鏡を用いて測定することができる。最終的には、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアミド、ガンマブチロラクトン、およびそれらの混合物のような有機溶媒を用いて、残っているあらゆるデブリを除去することができる。
【0039】
この選択的な除去は、誘電性物質が除去されたラインの間にスペースを有する誘電性のライン、または誘電性物質層のビア(穴)などの特徴を生み出すことができる。また、当然のことながら、レーザーアブレーションによって、任意のパターンを形成できる。レーザーアブレーションを使用してラインおよびスペースを形成する場合、ラインおよびスペースの幅は、好ましくは約200ミクロン未満、より好ましくは約1ミクロン~約70ミクロン、さらにより好ましくは約20ミクロン~約60ミクロンである。レーザーアブレーションを使用してビアが形成されるとき、形成されるビアの直径は、好ましくは約700ミクロン未満、より好ましくは約1ミクロン~約500ミクロン、さらにより好ましくは約10ミクロン~約300ミクロンである。有利にも、特徴部の側壁は、基板の表面に対して実質的に垂直であってよい、すなわち、特徴部の側壁は、好ましくは、基板10の表面10(a)(または存在する任意の中間層14の最上部の表面)に対して約70°~約110°の角度、より好ましくは基板の表面に対して約90°の角度をなす。
【0040】
前述のように、本発明の変形例は、中間層14の使用(
図1(B)~図(E))、または基板10への直接の誘電性層12の形成(
図1(A))を含む。他の変形例は、誘電性層14をその全厚にわたって切除/除去する必要がないものである。すなわち、
図1(E)において、開口部20は層12の厚さ全体にわたって(すなわち上面12aから下面12bまで)延びており、したがって誘電性層12の下の中間層14(または、中間層14が含まれていない場合、基板10)を露出している。しかし、所望であれば、下にある層14と基板10の両者が露出しない程度であっても、物質形成層12が開口部20の底部に残るようにするように、層12の厚さの一部のみを切除することができる。
【実施例】
【0041】
以下の実施例は本発明による好ましい方法を説明する。しかし、これらの実施例は説明のために提示しており、その中のいかなるものも、本発明の全体的な範囲に対する限定として解釈すべきではないことを理解されたい。
【0042】
[実施例1]
物質1の配合
この処置では、17.30グラム(0.04モル)のビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(TCI America、オレゴン州ポートランド)を120mLのジメチルホルムアミド(>99.8%DMF;Sigma Aldrich、ウィスコンシン州ミルウォーキー)に溶解し、500mLの反応容器(Chemglass、CG-1922-01、ニュージャージー州ヴァインランド)に加えた。44cmのガラス製撹拌シャフト(Ace Glass、ニュージャージー州ヴァインランド)を備えた機械の撹拌機(RZR 2051コントロールによる501-20511-01-3、Fisher Scientific、ニューハンプシャー州ハンプトン)を取り付け、200rpmに設定した。次に、10.01グラム(0.04モル)の4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)(Sigma Aldrich、ウィスコンシン州ミルウォーキー)を25mLのDMFに溶解し、反応容器に滴下した。反応を24時間進行させ、ポリマーを脱イオン(DI)水を用いて3回沈殿させた。最終的なポリマーを、真空オーブンで55℃で48時間乾燥した。乾燥させたポリマーを140mLのγ-ブチロラクトン(GBL)(Sigma-Aldrich、ミズーリ州セントルイス)に溶解し、0.2μm、1/4インチMNPT、Meissner Vangard(登録商標)ベントフィルター(Meissner Filtration Products、カリフォルニア州カマリロ)により濾過した。
【0043】
[実施例2]
物質1Aの配合
この実施例では、23.77グラム(0.055モル)のビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホンを295mLのGBLに溶解し、500mLの反応容器に添加した。44cmのガラス製の撹拌シャフトを有する機械の撹拌機を取り付け、200rpmに設定した。次に、13.76グラム(0.055モル)の4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)を25mLのGBLに溶解し、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホンの溶液に滴下した。反応は24時間進行し、0.2μm、1/4インチのMNPT、Meissner Vangard(登録商標)ベントフィルターで濾過した。
【0044】
[実施例3]
1,3-ビス(4-ホルミルフェノキシ)-2-ヒドロキシプロパン[4EPIDA]の調製
この処置では、320mlのエタノール(Sigma-Aldrich、ミズーリ州セントルイス)を、Teflon(登録商標)でコーティングされた撹拌子、窒素導入口、および還流コンデンサーを備えた1000mlの三つ口丸底フラスコに入れた。フラスコを温度制御のホットプレート/マグネチックスターラーに置かれたシリコーンオイルの槽に浸した。フラスコで低窒素パージを開始した後、97.70グラム(0.80モル)の4-ヒドロキシベンズアルデヒド(98%、Sigma-Aldrich、ミズーリ州セントルイス)を撹拌によってエタノールに溶解させた。次に、153.14グラム(0.42モル)の25%TMAH水溶液(Sigma-Aldrich、ミズーリ州セントルイス)を溶液にゆっくり加えた。溶液が透明になった後、熱を加えて反応温度を80℃に上昇させ、次いで80mlのエタノールに溶解した37.01グラム(0.40モル)のエピクロロヒドリン(≧99%、Sigma-Aldrich、ミズーリ州セントルイス)を混合物に加えた。次に内容物を12時間加熱還流し、続いて室温に冷却し、その後生成物4EPIDAが混合物から80~85%の収率で結晶化した(5バッチ)。室温に冷却した後、生成物を溶液から沈殿させ、ブフナー漏斗および500mLのフィルターフラスコ(Chemglass、ニュージャージー州ヴァインランド)と90mmのWhatman(商標)濾紙(孔径11μm)(GE Healthcare Life Sciences、バッキンガムシャー州リトル・チャルフォント、英国)を用いて濾過し、脱イオン(DI)水およびエタノール(アルコール試薬、無水、変性、ACS、94~96%)で洗浄した。最終的な生成物を、真空オーブンで55℃で48時間乾燥した。
【0045】
示差走査熱量測定(DSC)により判定したとき、バッチ式生成物の融点は、141~144℃の範囲であった。得られた4EPIDA生成物の赤外スペクトルを
図2に描写している。生成物の特徴は、2-ヒドロキシプロピル結合芳香族ジアルデヒド構造の帰属と一致していた。4EPIDAの構造は以下の通りである。
【0046】
【0047】
[実施例4]
物質2の配合
この実施例では、実施例3で合成した29.42グラム(0.098モル)の4EPIDA、および19.03グラム(0.098モル)のイソフタル酸ジヒドラジド(または「イソフタル酸ジヒドラジド」;TCI America、オレゴン州ポートランド)を、500mLの反応容器に加え、に移し、140mLのジメチルスルホキシド(99+%DMSO;Alfa Aesar、マサチューセッツ州ワード・ヒル)に溶解した。44cmのガラス製の撹拌シャフトを有する機械の撹拌機を取り付けて、200rpmに設定した。次に、3~4滴の硫酸(Sigma Aldrich、ウィスコンシン州ミルウォーキー)を加え、反応物を24時間撹拌した。溶液を、0.2μm、1/4インチMNPT、Meissner Vangard(登録商標)ベントフィルターを用いて濾過した。
【0048】
[実施例5]
物質2Aの配合
この処置では、実施例3で合成した65.51グラムの4EPIDA、および42.36グラムのイソフタル酸ジヒドラジドを、392.15グラムの99 +%DMSOに溶解した。次に、3~4滴のトリフルオロ酢酸(Alfa Aesar、マサチューセッツ州ワード・ヒル)を加え、反応物を24時間撹拌した。溶液を、0.2μm、1/4インチMNPT、Meissner Vangard(登録商標)ベントフィルター(Meissner Filtration Products、カリフォルニア州カマリロ)を用いて濾過した。
【0049】
[実施例6]
物質2Bの配合
この実施例では、実施例3で合成した26.46グラム(0.089モル)の4EPIDA、および17.50グラム(0.089モル)のイソフタル酸ジヒドラジドを、140mLの99 +%DMSOに溶解した。次に、3~4滴の硫酸を加え、反応物を24時間撹拌した。溶液を、0.2μm、1/4インチMNPT、Meissner Vangard(登録商標)ベントフィルター(Meissner Filtration Products、カリフォルニア州カマリロ)を用いて濾過した。
【0050】
[実施例7]
物質2Cの配合
この処置では、実施例3で合成した14.20グラムの4EPIDAを500mLの反応容器に加え、99+%DMSOに溶解した。44cmのガラス製撹拌シャフトを有する機械の撹拌機を取り付け、130rpmに設定した。次に、プロピレングリコールメチルエーテル中の1.49グラムの10%トリフルオロ酢酸(PGME;Taiwan Maxwave Co.、台湾台北)を加えた。粉末のイソフタル酸ジヒドラジド(8.35グラム;TCI America、オレゴン州ポートランド)を加え、溶解させた。反応物を一晩撹拌し、0.2μm、1/4インチMNPT、Meissner Vangard(登録商標)ベントフィルターで濾過した。
【0051】
[実施例8]
物質2Dの配合
この処置では、実施例3で合成した29.48グラム(0.098モル)の4EPIDAを、248.11グラムの99+%DMSOに溶解し、500mLの反応容器に加えた。44cmのガラス製の撹拌シャフトを有する機械の撹拌機を取り付けて、200rpmに設定した。次に、PGME中の3.36グラムの10%トリフルオロ酢酸を、溶液に加えた。粉末のイソフタル酸ジヒドラジド(19.06グラム;0.098モル)を添加し、その反応物を24時間撹拌し、0.2μm、1/4インチMNPT、Meissner Vangard(登録商標)ベントフィルターを使用して濾過した。
【0052】
[実施例9]
エキシマレーザーアブレーションの結果
実施例1および実施例4の物質を膜に成形し、エキシマレーザーアブレーションをSUSS MicroTecによって行った。配合物を1,500rpmで30秒間、200mmシリコン基板上にスピンコートし、続いて60℃で3分間、続いて100℃で10分間、次に250℃で30分間焼成することによって、膜を形成した。
【0053】
レーザーの実験条件は、レーザーおよび波長:XeCl(308nm)、フルエンス:260~1000mJ/cm2、マスクパターン:SUSS解像度テストマスク、加工方法:スキャン切除であった。
【0054】
表1および表2はそれぞれ物質1および物質2のエッチング速度を示し、
図3はそれらのエッチング速度を比較するグラフである。
【0055】
【0056】
【0057】
図4~
図5は、レーザーアブレーション後にシリコンウエハに残った、残留デブリの量の光学顕微鏡による画像である。
図4は、物質1で被覆されたSiウェハの切除の特徴部に隣接する、粒子状デブリを示す:F=1000mJ/cm
2、N=24、ここでFはフルエンス、Nはパルス数である。
図5は、物質2で被覆されたSiウェハの、デブリのない切除の特徴部を示す:F=1000mJ/cm
2、N=15。
【0058】
図6~
図8は、物質1のパターニングで作出されたビアの切除の質を示す。
図9~
図10は、物質1のビアの特性を示す。
図11~
図13は、物質2のパターニングで作出されたビアの切除の質を示す。
図14~
図15はビアの特性であり、物質2の側壁の角度を含む。
【0059】
[比較例10]
イソフタル酸ジヒドラジドとテレフタル酸の反応
この比較用の処置では、4.272グラム(22ミリモル)のイソフタル酸ジヒドラジド(>95%[HPLC])、および2.956グラム(22ミリモル)のテレフタル酸(Sigma-Aldrich、ミズーリ州セントルイス)を、ねじ口と撹拌用の撹拌子が固定されているガラスバイアルに秤量した。次に、20グラムのDMSOを容器に添加して、最終的なポリマーの固形分のレベルを調整した。内容物を室温で撹拌して反応物を分散させ、1~2滴の酢酸を添加して重合反応を触媒した。酸触媒の添加直後に、穏やかな発熱が見られ、溶液が急速に清澄化し、目立つほどに粘性になっていった。溶液は、数分以内に不溶性のペーストを形成した。
【0060】
[比較例11]
テレフタルアルデヒド、アジピン酸ジヒドラジド、およびイソフタル酸ジヒドラジドの反応
この比較例では、1.916グラム(11ミリモル)のアジピン酸ジヒドラジド、2.136グラム(11ミリモル)のイソフタル酸ジヒドラジド、および2.956グラム(22ミリモル)のテレフタルアルデヒドを、ねじ口と撹拌用の撹拌子が固定されているガラスバイアルに秤量した。次に、20グラムのDMSOを容器に添加して最終的なポリマーの固形分のレベルを調整した。内容物を室温で撹拌して反応物を分散させ、1~2滴の酢酸を添加して、重合反応を触媒した。酸触媒の添加直後に、穏やかな発熱が見られ、溶液が急速に清澄化し、目立つほどに粘性になっていった。溶液は、1~2日の間に不溶性のペーストを形成した。
【0061】
[実施例12]
アジピン酸ジヒドラジドと4EPIDAの共重合体
この実施例では、7.16グラム(41ミリモル)のアジピン酸ジヒドラジド、および12.31グラム(41ミリモル)の実施例3で調製された4EPIDAを、ガラスバイアルにおいて75.00gのDMSOで混合して、18wt%のポリマー溶液を形成した(重合反応で生成した水に対して補正)。反応を触媒するために数滴の濃酢酸を加えた後、内容物を室温で12時間撹拌して、非常に粘性のある透明なポリアシルヒドラゾン溶液を形成した。
【0062】
ランプ熱重量分析(窒素下で10℃/分のTGA)による生成物の自然分解温度(Td)は335℃であった。溶融レオロジー曲線のタンデルタの最大値から得られたポリマーのガラス転移温度(Tg)は160℃であった。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定された生成物の分子量の特性は、次の通りであった:重量平均分子量(Mw)=28,500;数平均分子量(Mn)=15,700;多分散度(PD)=1.82。
【0063】
第2のバッチは精製させた4EPIDAを用いて同様に調製した。実施例3で形成された生成物を再結晶することにより、4EPIDAを精製した。再結晶化の処置が、約250gの実施例3からの生成物を、約750mlのエタノールと水が4:1v/vの混合物に懸濁し、加熱して生成物を溶解させ、次に室温に冷却して、約70%の収率で溶液から精製させた生成物を結晶化させた。得られたポリマーは、44,700のMw、19,800のMn、および2.2のPDを有していた。さらに、再結晶生成物では融点が141~142℃に狭まった。しかし、構造の繰り返し単位はこの過程で変化しなかった。コポリマーは以下の構造を有していた。
【0064】
【0065】
[実施例13]
アジピン酸ジヒドラジドと4EPIDAの共重合体
この実施例では、7.16グラム(41ミリモル)のアジピン酸ジヒドラジド、および12.33グラム(41ミリモル)の実施例3で調製された4EPIDA、をガラスバイアルにおいて75.00gのDMSOで混合して、18wt%のポリマー溶液を形成した。数滴の濃硫酸を添加して重合反応を触媒した後、内容物を室温で12時間撹拌して、粘性のある透明なポリアシルヒドラゾン溶液を形成した。GPCにより測定した生成物の分子量の特性は以下の通りであった:Mw=30700;Mn=15,200;PD=2.02。
【0066】
[実施例14]
アジピン酸ジヒドラジドと4EPIDAの共重合体
この実施例では、5.959グラム(34.2ミリモル)のアジピン酸ジヒドラジド、および10.274グラム(34.2ミリモル)の実施例3で調製された4EPIDAを、プラスチックのボトルで33.83グラムのDMSOにて混合して、30wt%のポリマー溶液を形成した。数滴の濃硫酸を添加して重合反応を触媒した後、内容物を室温で12時間撹拌して、粘性のある透明なポリアシルヒドラゾン溶液を形成した。沈殿したポリマーのFTIRスペクトルの特徴(
図16に示す)は、予想された構造と一致した。
【0067】
少量のポリマー溶液をメタノールにて沈殿させ、次いで一晩メタノールでソックスレー抽出に曝して、溶媒および不純物を一切残らないよう除去した。得られた固体の皮革様ポリマー塊を、次いで真空オーブンで60℃で乾燥した。ランプTGAによる抽出生成物のTdは331℃であった。
【0068】
GPCにより測定した生成物の分子量の特性は以下の通りであった:Mw=85,300;Mn=39,900;PD=2.14。ポリアシルヒドラゾン生成物の貯蔵安定性の尺度として、溶液の一部を密封容器中に室温で約4ヶ月間貯蔵し、その間依然としてそれは透明で注ぐことができていた。次いで生成物の分子量の特性を以下のようにGPCにより再度特性決定した:Mw=97,300;Mn=31,200:およびPD=3.12。これは、経時的に鎖の分解が起こっていないことを示していた。第2のバッチのポリマーを第1のバッチと同じ条件下で調製した。第2のバッチのポリマー分子量の特性は、第1のバッチのものとまさに匹敵していた:Mw=90,300;Mn=35,000;およびPD=2.58。
【0069】
ポリアシルヒドラゾンの厚い膜は、剥離剤(BREWERBOND(登録商標)510、Brewer Science、Inc.、ミズーリ州ローラ)で処理したシリコンウエハ上に溶液からスピンキャストして、溶媒を除去するために、200℃までの多段階の焼成後に容易に剥がすことができるようにした。膜の動的機械分析は、ポリマーのヤング率について1150MPaの値を提示した。破壊時の伸び率は49%であった。
【0070】
[実施例15]
イソフタル酸ジヒドラジドと4EPIDAの共重合体
この処置では、4.236グラム(21.8ミリモル)のイソフタル酸ジヒドラジド、および6.555グラム(21.8ミリモル)の実施例3で調製された4EPIDAを、プラスチックのボトルで39.26グラムのDMSOにて混合して、20wt%のポリマー溶液を形成した。数滴の濃硫酸を添加して重合反応を触媒した後、内容物を室温で12時間撹拌して、粘性のある透明なポリアシルヒドラゾン溶液を形成した。
【0071】
窒素下で10℃/分のランプTGAによる生成物のT
dは351℃であった。溶融レオロジー曲線のタンデルタの最大値から得られたポリマーのT
gは228℃であった。GPCにより測定した生成物の分子量の特性は以下の通りであった:M
w=78,500;M
n=40,500;PD=1.94。ポリマーのFTIRスペクトルを
図17に描写している。予想されたポリアシルヒドラゾン構造と一致していた。コポリマーは以下の構造を有していた。
【0072】
【0073】
[実施例16]
アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、および4EPIDAのターポリマー
この処置では、1.942グラム(11.1ミリモル)のアジピン酸ジヒドラジド、2.166グラム(11.2ミリモル)のイソフタル酸ジヒドラジド、および6.695グラム(22.3ミリモル)の4EPIDAを、プラスチックのボトルで39.27グラムのDMSOにて混合して、20wt%のポリマー溶液を形成した。数滴の濃硫酸を添加して重合反応を触媒した後、内容物を室温で12時間撹拌して、粘性のある透明なポリアシルヒドラゾン溶液を形成した。GPCにより測定した生成物の分子量の特性は以下の通りであった:Mw=74,500;Mn=33,800;PD=2.21。
【0074】
[実施例17]
イソフタル酸ジヒドラジド、4EPIDAおよびテレフタルアルデヒドのターポリマー
この実施例では、4.657グラム(24.0ミリモル)のイソフタル酸ジヒドラジド、5.403グラム(18.0ミリモル)の実施例3で調製された4EPIDA、および0.804グラム(6.0ミリモル)のテレフタルアルデヒドを、プラスチックのボトルで39.14グラムのDMSOにて混合して、20wt%のポリマー溶液を形成した。数滴の濃硫酸を添加して重合反応を触媒した後、内容物を室温で12時間撹拌して、粘性のある透明なポリアシルヒドラゾン溶液を形成した。GPCにより測定した生成物の分子量の特性は以下の通りであった:Mw=70,800;Mn=35,400;PD=2.00。溶液の一部を密閉されたバイアルで室温で6ヶ月より長く貯蔵し、次いで再度調べた。溶液は依然流動性で、注ぐことはできたが、曇った外観を呈していた。
【0075】
[実施例18]
カルボヒドラジドと4EPIDAの共重合体
この実施例では、1.21グラム(13.4ミリモル)のカルボヒドラジド(>98%、Sigma-Aldrich、ミズーリ州セントルイス)、および4.06グラム(13.5ミリモル)の実施例3で調製された4EPIDAを、ガラスバイアルにおいて20.19グラムのDMSOで混合して、19wt%のポリマー溶液を形成した。数滴の濃硫酸を添加して重合反応を触媒した後、内容物を室温で12時間撹拌して、粘性のある透明なポリアシルヒドラゾン溶液を形成した。GPCにより測定した生成物の分子量の特性は以下の通りであった:Mw=33,400;Mn=16,800;PD=1.98。溶液の一部を密閉されたバイアルで室温で6ヶ月より長く貯蔵して、次いで再度調べた。溶液は依然流動性で、注ぐことはできたが、曇った外観を呈していた。
【0076】
[実施例19]
1,3-ビス(3-ホルミルフェノキシ)-2-ヒドロキシプロパン[3EPIDA]の合成
この処置では、4-ヒドロキシベンズアルデヒドの代わりに3-ヒドロキシベンズアルデヒド(≧99%;Sigma-Aldrich)を用いて、4EPIDA(実施例3参照)と同様にして3EPIDAを調製した。反応からの結晶生成物の収率は78.2%であった。DSCによる生成物の融点は89℃であった。得られた3EPIDA生成物の赤外スペクトルを
図18に描写している。その特徴は、2-ヒドロキシプロピル結合芳香族ジアルデヒド構造の帰属と一致している。3EPIDAの構造は次の通りである。
【0077】
【0078】
[実施例20]
アジピン酸ジヒドラジドと3EPIDAの共重合体
この処置では、5.959グラム(34.2ミリモル)のアジピン酸ジヒドラジドと、実施例18で調製した10.270グラム(34.2ミリモル)の3EPIDAとを、プラスチックのボトルで33.84グラムのDMSO中にて混合して、30wt%のポリマー溶液を形成した。数滴の濃硫酸を添加して重合反応を触媒した後、内容物を室温で24時間撹拌して、粘性のある透明なポリアシルヒドラゾン溶液を形成した。
【0079】
窒素下での10℃/分のランプTGAによる生成物のTdは302℃であった。溶融レオロジー曲線のタンデルタの最大値から得られたポリマーのTgは142℃であった。調製直後のGPCにより測定した生成物の分子量の特性は次の通りであった:Mw=73,000;Mn=22,200;PD=3.30。3日後、分子量は次の値に平衡化した:Mw=51,500;Mn=18,900;PD=2.72。
【0080】
[実施例21]
イソフタル酸ジヒドラジドと3EPIDAの共重合体
この処置では、6.64グラム(34.2ミリモル)のイソフタル酸ジヒドラジド、および実施例18で調製した10.27グラム(34.2ミリモル)の3EPIDAを、プラスチックのボトルで33.82グラムのDMSO中にて混合して、31wt%のポリマー溶液を形成した。数滴の濃硫酸を添加して重合反応を触媒した後、内容物を室温で24時間撹拌して、粘性のある透明なポリアシルヒドラゾン溶液を形成した。GPCにより測定した生成物の分子量の特性は以下の通りであった:Mw=83,500;Mn=31,500;PD=2.65。
【0081】
[実施例22]
テレフタル酸ジヒドラジドと3EPIDAの共重合体
この実施例では、1.95グラム(10.0ミリモル)のテレフタル酸ジヒドラジド(TCI America、オレゴン州ポートランド)、および実施例18で調製した3.01グラム(10.0ミリモル)の3EPIDAを、プラスチックボトルで19.11グラムのDMSOにて混合して、19wt%ポリマー溶液を形成した。数滴の濃硫酸を添加して重合反応を触媒した後、内容物を室温で24時間撹拌して、粘性のある透明なポリアシルヒドラゾン溶液を形成した。GPCにより測定した生成物の分子量の特性は以下の通りであった:Mw=64,600;Mn=26,900;PD=2.40。
【0082】
対応する、すべてがパラの結合のポリアシルヒドラゾンを、テレフタル酸ジヒドラジドと4EPIDAから調製した。それは当初DMSOに可溶であったが、調製後24時間以内に白色のワックス状の固体として沈殿し始めた。
【0083】
[実施例23]
1,3-ビス(4-ホルミル-2-メトキシフェノキシ)-
2-ヒドロキシプロパン[VANDA]の製造
この実施例では、4-ヒドロキシベンズアルデヒドの代わりにバニリンを使用したことを除いて、実施例3で調製した4EPIDAと同様にVANDAを調製した。エタノール(240g)を、Teflon(登録商標)でコーティングされた撹拌子、窒素導入口、および還流コンデンサーを備えた1000mlの三つ口丸底フラスコに入れた。フラスコを温度制御のホットプレート/マグネチックスターラーに置かれたシリコーンオイルの槽に浸した。フラスコ内で低窒素パージを開始し、その後、91.31g(0.60モル)のバニリン(>99%;Sigma-Aldrich)を撹拌によりエタノールに溶解した。次に、114.91g(0.315モル)の25%水性TMAHを溶液にゆっくり加えた。溶液が透明になったら、エタノール62.2gに溶解したエピクロロヒドリン(≧99%;Sigma-Aldrich)27.76g(0.30モル)を混合物に加えた。次に内容物を80℃に20時間加熱し、続いて室温に冷却した後、生成物VANDAが混合物から結晶化した。それを濾過により集め、脱イオン水および冷エタノールで洗浄し、次に真空オーブンで55℃で48時間乾燥した。反応からの粉末状の白色生成物の収率は約94%であった。DSCによる生成物の融点は139℃であった。VANDAの構造は以下の通りである。
【0084】
【0085】
[実施例24]
アジピン酸ジヒドラジドとVANDAの共重合体
この処置では、1.752グラム(10.1ミリモル)のアジピン酸ジヒドラジドと、実施例23で調製した3.614グラム(10.0ミリモル)のVANDAを、プラスチックのボトルで19.6gのDMSOにて混合して、20wt%のポリマー溶液を形成した。2滴の濃硫酸を添加して重合反応を触媒した後、内容物を迅速に清澄化し、透明なポリアシルヒドラゾン溶液を形成し、これを室温で12時間撹拌して重合を完結させた。
【0086】
[実施例25]
イソフタル酸ジヒドラジドとVANDAの共重合体
この実施例では、1.878グラム(9.7ミリモル)のイソフタル酸ジヒドラジドと、実施例23で調製した3.475グラム(9.6ミリモル)のVANDAを、プラスチックのボトルで19.6グラムのDMSOにて混合して、20wt%のポリマー溶液を形成した。小さい2滴の濃硫酸を添加して重合反応を触媒した後、内容物は急速に清澄化したが、約30分後にワックス状ゲルを形成した。追加のDMSO(25.1グラム)を反応混合物に撹拌して、ポリマー濃度を10wt%に下げた。しかし、ポリマーは一晩撹拌した後でさえも、溶解しなかった。
【0087】
IDH-VANDAコポリマーを用いて調製されたポリマーの不溶性は、実施例7に記載されているIDH-4EPIDAコポリマーの良好な溶解性とは対照的である。前の構造に示したように、VANDAおよび4EPIDAの構造は、VANDAがその各環のエーテル結合基に隣接してメトキシ(-OCH3)置換基を有するという点でのみ異なる。
【0088】
[実施例26]
オキサリルジヒドラジドと3EPIDAのコポリマー
この処置では、1.543グラム(13.1ミリモル)のオキサリルジヒドラジド(98%、Alfa Aesar、マサチューセッツ州ワード・ヒル)、および3.928グラム(13.1ミリモル)の実施例18で調製した3EPIDAを、プラスチックのボトルで19.5グラムのDMSOにて混合して、20wt%のポリマー溶液を形成した。小さい2滴の濃硫酸を添加して重合反応を触媒した後、内容物を室温で12時間撹拌して、非常に粘性のある透明なポリアシルヒドラゾン溶液を形成した。溶液を室温で約1週間貯蔵した。その後も依然流動性があったが濁りが出始め、緩慢な沈殿が発生する可能性を示していた。
【0089】
一方、オキサリルジヒドラジドと4EPIDAから、対応するすべてパラの結合のポリアシルヒドラゾンを20wt%のポリマー固形分で調製しようとすると、硫酸の触媒を添加した後速やかにモノマーが反応して、ほぼすぐに淡黄色のポリマー沈殿物が形成された。追加のDMSOで反応混合物を10wt%に希釈し、続いて一晩撹拌しても、ポリマー沈殿物は溶解しなかった。この実施例および実施例13の結果は、ポリアシルヒドラゾンに高度に直鎖状の立体配座を付与し、それをより結晶化しやすくしている、オキサリルジヒドラジドやテレフタル酸ジヒドラジドのようなジヒドラジドを使用する場合の、パラの結合の4EPIDAに対する3EPIDAのより優れた溶解度向上特性を示した。