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  • 特許-水分センサ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】水分センサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/04 20060101AFI20230928BHJP
   G01N 27/12 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G01N27/04 B
G01N27/12 K
G01N27/12 N
G01N27/12 M
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020036952
(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公開番号】P2021139716
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】藤田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】▲福▼家 都弥
(72)【発明者】
【氏名】萩原 大樹
(72)【発明者】
【氏名】安住 克之
(72)【発明者】
【氏名】角川 修
(72)【発明者】
【氏名】岡村 一弘
(72)【発明者】
【氏名】高松 雄輝
(72)【発明者】
【氏名】正保 好啓
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-261691(JP,A)
【文献】特開2004-225190(JP,A)
【文献】特開2016-015268(JP,A)
【文献】特開平09-005274(JP,A)
【文献】実開昭57-010099(JP,U)
【文献】特開昭60-250241(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0195488(US,A1)
【文献】特開2003-262600(JP,A)
【文献】特開2019-174464(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0082710(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00 - G01N 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性粉末と、
N-ビニル-2-ピロリドンの単独重合体又は共重合体と、
フェノール系酸化防止剤とを含む水分検知部と、
前記水分検知部と電気的に接続されている一対の電極とを有し、
前記フェノール系酸化防止剤の含有量が2質量%よりも多い、水分センサ。
【請求項2】
前記フェノール系酸化防止剤は、ヒドロキノンである、請求項1に記載の水分センサ。
【請求項3】
前記水分検知部は、
前記導電性粉末の含有量が22質量%よりも多く、28質量%以下であり、
前記N-ビニル-2-ピロリドンの単独重合体又は共重合体の含有量が50質量%よりも多く、
前記フェノール系酸化防止剤の含有量が10質量%よりも多い、請求項1又は2に記載の水分センサ。
【請求項4】
浸水センサである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水分センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水分センサとして、ポリビニルピロリドン中に導電性粉末が分散している水分検知部を有するセンサが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
ここで、水分検知部に水分が付着すると、ポリビニルピロリドンが膨潤して、導電性粉末間の距離が増大するため、水分検知部の抵抗が増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-261691号公報
【文献】特開2017-133833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、自動車の先進運転支援システム(ADAS)化、自動運転化に伴い、高度な事故回避システムが必要になる。ここで、ステアリング操舵も自動化されるが、ステアリング操舵をタイヤの動きに変換する、電動パワーステアリング(EPS)システムのラック及びピニオンギアへの浸水が発生すると、ギアが錆び、操舵不良が発生する可能性がある。このため、ラック及びピニオンギアへの浸水を検知する浸水センサを設置して、アラームを出すことで、操舵不良の発生を回避することができる。
【0006】
しかしながら、上記浸水センサは、車載部品であり、高温環境下で使用されるため、従来の水分センサの耐熱性を向上させる必要がある。
【0007】
ここで、従来の水分センサを高温環境下で使用すると、水分検知部に含まれるポリビニルピロリドンが変質することにより、水分検知部に水分が付着しても、ポリビニルピロリドンが膨潤しにくくなり、その結果、水分センサの水分検知性能が劣化すると考えられる。具体的には、まず、ポリビニルピロリドンのピロリドン環が開環したり、主鎖が切断されたりして、有機ラジカル(R・)が生成する。次に、有機ラジカル(R・)が酸化されて有機過酸化ラジカル(ROO・)が生成し、有機過酸化ラジカルが連鎖的に反応する。
【0008】
本発明は、耐熱性に優れる水分センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、水分センサにおいて、導電性粉末と、N-ビニル-2-ピロリドンの単独重合体又は共重合体と、フェノール系酸化防止剤とを含む水分検知部と、前記水分検知部と電気的に接続されている一対の電極とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、耐熱性に優れる水分センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の水分センサの一例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態を説明する。
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態を説明するが、本発明は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して適用することができる。
【0014】
<水分センサ>
図1に、本実施形態の水分センサの一例を示す。
【0015】
水分センサ10は、基板11上に、水分検知部12と、水分検知部12と電気的に接続されている一対の配線電極13、14とを有する。水分検知部12は、導電性粉末と、N-ビニル-2-ピロリドンの単独重合体又は共重合体と、フェノール系酸化防止剤とを含む。
【0016】
このため、水分センサ10を高温環境下で使用しても、水分検知部12に含まれるN-ビニル-2-ピロリドンの単独重合体又は共重合体の変質を抑制することができ、その結果、水分センサ10の水分検知性能の劣化を抑制することができる。具体的には、N-ビニル-2-ピロリドンの単独重合体又は共重合体から生成した有機ラジカル(R・)や、有機ラジカル(R・)が酸化されて生成した有機過酸化ラジカル(ROO・)が、フェノール系酸化防止剤により捕捉される。
【0017】
ここで、配線電極の代わりに、電極を用い、電極と水分検知部12を、配線を介して、電気的に接続してもよい。
【0018】
なお、水分センサ10は、浸水センサ、結露センサ等に適用することができる。
【0019】
〔水分検知部〕
導電性粉末としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛粉末、炭素繊維等の無機粉末等が挙げられる。
【0020】
カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等が挙げられる。
【0021】
水分検知部12中の導電性粉末の含有量は、22質量%よりも多く、35質量%以下であることが好ましく、22質量%よりも多く、28質量%以下であることがより好ましい。水分検知部12中の導電性粉末の含有量が22質量%よりも多いと、水分センサ10の浸水検知性能が向上し、35質量%以下であると、水分センサ10の浸水検知性能及び耐熱性が向上する。
【0022】
N-ビニル-2-ピロリドンの単独重合体又は共重合体は、N-ビニル-2-ピロリドンの単独重合体、即ち、ポリビニルピロリドンであることが好ましいが、本発明の効果を損ねない範囲であれば、N-ビニル-2-ピロリドンと、他のモノマーの共重合体であってもよい。N-ビニル-2-ピロリドンの共重合体を合成する場合、全モノマー中の他のモノマーの使用量は、10質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましい。
【0023】
N-ビニル-2-ピロリドンの単独重合体又は共重合体のK値は、60~120であることが好ましく、60~100であることがより好ましく、70~100であることがさらに好ましい。
【0024】
ここで、N-ビニル-2-ピロリドンの単独重合体又は共重合体のK値は、N-ビニル-2-ピロリドンの単独重合体又は共重合体の分子量と相関する粘性特性値であり、下記のFikentscherの式に適用することにより、算出される。
【0025】
K=(1.5logηrel-1)/(0.15+0.003c)+(300clogηrel+(c+1.5clogηrel1/2/(0.15c+0.003c
ここで、ηrelは、毛細管粘度計により測定される、N-ビニル-2-ピロリドンの単独重合体又は共重合体の水溶液の水に対する相対粘度(25℃)であり、cは、N-ビニル-2-ピロリドンの単独重合体又は共重合体の水溶液中のN-ビニル-2-ピロリドンの単独重合体又は共重合体の濃度[質量%]である。
【0026】
N-ビニル-2-ピロリドンの単独重合体又は共重合体は、N-ビニル-2-ピロリドンを単独重合又は共重合することにより合成することができる。
【0027】
N-ビニル-2-ピロリドンの単独重合体又は共重合体中のN-ビニル-2-ピロリドンの残存量は、200質量ppm以下であることが好ましく、100質量ppm以下であることがより好ましくは、10質量ppm以下であることがさらに好ましい。N-ビニル-2-ピロリドンの単独重合体又は共重合体中のN-ビニル-2-ピロリドンの残存量が200質量ppm以下であると、N-ビニル-2-ピロリドンの単独重合体又は共重合体の安全性が、より優れることとなる。
【0028】
N-ビニル-2-ピロリドンの単独重合体又は共重合体中のN-ビニルピロリドンの残存量は、以下の条件で、液体クロマトグラフにより、定量することができる。
【0029】
装置:NANOSPACE SI-2(資生堂製)
カラム:CAPCELLPAK C18 UG120(資生堂製)
測定温度:20℃
溶離液:LC用メタノール(和光純薬工業製)/超純水混合溶媒(質量比1/24)に1-ヘプタンスルホン酸ナトリウムを0.04質量%添加した液
流速:100μL/min
N-ビニル-2-ピロリドンの重合方法としては、例えば、バルク重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、沈殿重合法等が挙げられる。
【0030】
水分検知部12中のN-ビニル-2-ピロリドンの単独重合体又は共重合体の含有量は、50質量%よりも多いことが好ましい。水分検知部12中のN-ビニル-2-ピロリドンの単独重合体又は共重合体の含有量が50質量%よりも多いと、水分センサ10の耐熱性が向上する。
【0031】
水分検知部12中のN-ビニル-2-ピロリドンの単独重合体又は共重合体の含有量の上限は、特に限定されないが、通常、68質量%である。
【0032】
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、ヒドロキノン、カテコール、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール等のモノフェノール類;2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、3,9-ビス〔1,1-ジメチル-2-〔β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、4,4'-(2,3-ジメチル-テトラメチレン)ジピロカテコール等のビスフェノール類;ステアリル-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,4,5-トリヒドロキシベンゾイックアシッドプロピルエステル、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス-〔メチレン-3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、ビス〔3,3'-ビス-(4'-ヒドロキシ-3'-t-ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、1,3,5-トリス(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシベンジル)-s-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)トリオン、トコフェロール及びトコフェロール誘導体、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニル=アクリラート等のポリフェノール類が挙げられる。これらの中でも、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ヒドロキノン、トコフェロール、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニル=アクリラート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼンが好ましい。
【0033】
水分検知部12中のフェノール系酸化防止剤の含有量は、2質量%よりも多いことが好ましく、10質量%よりも多いことがより好ましい。水分検知部12中のフェノール系酸化防止剤の含有量が2質量%よりも多いと、水分センサ10の耐熱性が向上する。
【0034】
水分検知部12中のフェノール系酸化防止剤の含有量の上限は、特に限定されないが、通常、20質量%である。
【0035】
水分検知部12は、必要に応じて、消泡剤等をさらに含んでいてもよい。
【0036】
水分検知部12は、導電性粉末と、N-ビニル-2-ピロリドンの単独重合体又は共重合体と、フェノール系酸化防止剤と、溶媒とを含むインクを塗布した後、乾燥させることにより形成することができる。
【0037】
溶媒としては、例えば、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルトリグライム、ターピネオール等が挙げられる。
【0038】
インクの塗布方法としては、例えば、スクリーン印刷法、バーコート法、スピンコート法等が挙げられる。
【0039】
〔基板〕
基板11としては、例えば、ガラスエポキシ基板、紙フェノール基板、PETフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。
【0040】
基板11の形状は、平面状であるが、曲面状であってもよい。
【0041】
〔配線電極〕
配線電極13、14としては、例えば、金メッキ銅箔等が挙げられる。
【0042】
なお、配線電極13、14は、カーボンペースト、金属ペースト等の配線電極用インクをスクリーン印刷することにより形成してもよい。
【0043】
金属ペーストとしては、例えば、銀ペースト、金ペースト等が挙げられる。
【0044】
また、配線電極13、14の配線部を、オーバーコート層で被覆してもよい。これにより、水が付着することによるショートを防止することができる。
【0045】
オーバーコート層を構成する材料としては、例えば、カーボン等が挙げられる。
【実施例
【0046】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、部は、質量部を意味し、%は、質量%を意味する。
【0047】
<ポリビニルピロリドンの製造>
N-ビニル-2-ピロリドン(以下、VPという)400kg、水1600kgを、容量約2.5mのジャケット付き釜に仕込んだ。窒素パージをしながら、70℃に加熱し、VPに対して0.10質量%(400g)のV-59(2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(和光純薬工業製)を、10%イソプロピルアルコール溶液として添加し、重合を開始した。1時間後、反応液は反応熱により90℃となった。その後、重合終了まで反応液が90~99℃となるようにジャケットに温水を流した。反応開始から2時間後、さらにVPに対して0.1質量%(400g)のV-59を、10%イソプロピルアルコール溶液として添加し、重合率が99.90%であることを確認した。次に、VPに対して1000質量ppm(400g)のマロン酸を添加し、反応液のpHを3.6とし、2時間加熱保持した。その後、炭酸グアニジンを1000質量ppm(400g)、トリエタノールアミンを1500質量ppm(600g)添加した。その結果、VPの残存量が4質量ppm、K値が92であるポリビニルピロリドンが得られた。得られたポリビニルピロリドンを、ドラムドライヤーを用いて乾燥させた後、粉砕機を用いてパウダー化した。パウダー化されたポリビニルピロリドンのK値は94であった。
【0048】
<実施例1~4、比較例1>
〔水分検知部用インクの製造〕
表1に示す配合比率[%]で、アセチレンブラックとしての、デンカブラックの100%プレス品(電気化学工業製)、ポリビニルピロリドン、ヒドロキノン(和光純薬製)を配合した後、エチルカルビトールをさらに配合し、自動乳鉢で20時間混練し、水分検知部用インクを得た。
【0049】
〔水分センサの製造〕
図1に示す水分センサを製造した。
【0050】
具体的には、厚さ0.8mmのガラスエポキシ基板上に、配線電極用インクをスクリーン印刷した後、200℃で3分間熱処理し、厚さ35μmの金メッキ銅箔(配線電極)を一対形成した。次に、水分検知部用インクをスクリーン印刷した後、200℃で3分間熱処理し、厚さ5μmの水分検知部を形成した。次に、オーバーコート層用インクをスクリーン印刷した後、220℃で10分間熱処理して、配線電極の配線部をカーボン膜(オーバーコート層)で被覆し、水分センサを得た。
【0051】
次に、水分センサの吸湿特性、耐熱性を評価した。
【0052】
<吸湿特性>
電解質を飽和状態で水に溶解させて調湿した三角フラスコ内に水分センサを入れた状態で水分検知部の20℃における抵抗値を確認し、水分センサの吸湿特性を評価した。ここで、電解質として、塩化ナトリウム、リン酸二水素アンモニウムを用いることにより、下記のように調湿することができる。
【0053】
塩化ナトリウム:75%RH
リン酸二水素アンモニウム:93%RH
ここで、75%RH、95%RHを、それぞれ浸水していない状態の湿度、浸水している状態の湿度として用いた。
【0054】
なお、水分センサの吸湿特性の判定基準は、以下の通りである。
【0055】
〇:75%RHにおける水分検知部の抵抗値が20kΩ以下である場合
×:75%RHにおける水分検知部の抵抗値が20kΩを超える場合
<耐熱性>
125℃の槽内に水分センサを放置した後、水分検知部の抵抗値を確認し、水分センサの耐熱性を評価した。このとき、250時間毎に、水分センサを槽から取り出し、常温常湿の環境下に1時間以上放置した後、水分検知部の抵抗値を確認した。なお、水分検知部の抵抗値は、水分検知部に蒸留水を滴下する前、水分検知部に蒸留水を滴下してから1分後に確認した。
【0056】
なお、水分センサの耐熱性の判定基準は、以下の通りである。
【0057】
〇:水分検知部に蒸留水を滴下する前の水分検知部の抵抗値が20kΩ以下であり、水分検知部に蒸留水を滴下してから1分後の水分検知部の抵抗値が1MΩ以上である場合
×:水分検知部に蒸留水を滴下する前の水分検知部の抵抗値が20kΩを超える、又は、水分検知部に蒸留水を滴下してから1分後の水分検知部の抵抗値が1MΩ未満である場合
表1に、水分センサの吸湿特性、耐熱性の評価結果を示す。
【0058】
【表1】
表1から、実施例1~4の水分センサは、耐熱性及び浸水検知性能に優れることがわかる。
【0059】
これに対して、比較例1の水分センサは、水分検知部がフェノール系酸化防止剤を含まないため、耐熱性に劣る。
【符号の説明】
【0060】
10 水分センサ
11 基板
12 水分検知部
13、14 配線電極
図1