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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】創成加工工具の測定を行う方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B23F 23/12 20060101AFI20230928BHJP
   G01B 21/00 20060101ALI20230928BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20230928BHJP
   G01B 5/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B23F23/12
G01B21/00 F
G01B11/00 D
G01B5/00 F
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020531739
(86)(22)【出願日】2018-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2018083747
(87)【国際公開番号】W WO2019115332
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-09-13
(31)【優先権主張番号】01526/17
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】599172531
【氏名又は名称】ライシャウァー アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィーリプ フーバー
(72)【発明者】
【氏名】ロギーァ キルシュ
(72)【発明者】
【氏名】ハルトムート マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ミハエル ムロス
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ミュラー
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-138135(JP,A)
【文献】特開2014-237185(JP,A)
【文献】特開2014-039971(JP,A)
【文献】特開2013-124889(JP,A)
【文献】特開2017-087400(JP,A)
【文献】特開平06-055341(JP,A)
【文献】特表2002-532265(JP,A)
【文献】国際公開第2012/079734(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/036886(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第19927872(DE,A1)
【文献】特表2013-505843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23F 23/12
B23F 5/16
B23F 19/06
B23F 21/10
B23Q 17/00
G01B 5/00
G01B 11/00
G01B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯付きワークとなる実ワーク(3)の創成加工のための実工具(1)の測定を行う方法であって、
前記実工具(1)は、工具軸(B)の周りに回転可能であるとともに、各々が実刃先を形成する複数の切削歯(14)を有し、前記方法は、測定装置(11;23)を用いて実行され、
前記方法は、
(a)仮想工具(1v)の仮想刃先(S)であって、刃先の長手方向に沿って延在するとともに、前記刃先の長手方向に対して横方向に丸みを帯びている当該仮想刃先(S)に対して、仮想接触点(m1~m5)を計算する工程であって、前記仮想刃先(S)は、予め定められた前記実刃先の所望の刃先形状に対応しており、前記仮想接触点(m1~m5)の計算は、前記仮想刃先(S)が、前記仮想工具(1v)が仮想ワーク(3v)と転動運動を行う際に、前記仮想接触点(m1~m5)で前記仮想ワーク(3v)と接触するように実行し、前記仮想ワーク(3v)は、予め定義された所望の歯面形状を有し、前記転動運動は、前記実工具(1)による前記ワーク(3)の実際の加工の場合と同じである工程と、
(b)前記測定装置(11;23)が、仮想接触点(m1~m5)において測定が実施できるように、前記計算された仮想接触点(m1~m5)に基づいて、前記工具軸(B)と前記測定装置(11;23)との間の相対方位(Σ1~Σ5)と、前記実工具(1)と前記測定装置(11;23)との間の並進相対位置とを計算する工程と、
(c)前記工具軸(B)と前記測定装置(11;23)との間の前記計算された相対方位と、前記工具(1)と前記測定装置(11;23)との間の前記計算された並進相対位置とを設定する工程と、
(d)前記設定された相対方位及び並進相対位置において、前記実工具(1)の少なくとも一の前記切削歯(14)の前記実刃先に対して測定を実行する工程と、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記工程(a)~(d)は、前記仮想刃先(S)に沿った複数の仮想接触点(m1~m5)に対して実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記実刃先を描く補償曲線(17)、前記複数の仮想接触点(m1~m5)のために前記実刃先に対して求められた、前記工程d)の測定結果から計する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
以下のパラメーター、すなわち、
前記仮想刃先(S)によって作製される仮想歯面に対する、前記実刃先によって作製される歯面の外形の偏差に関する少なくとも一つの尺度、
前記創成加工中の前記実刃先の変化に関する少なくとも一つの尺度、
のうちの少なくとも一つ、前記複数の仮想接触点(m1~m5)のために前記実刃先について求められた、前記工程d)の測定結果から求める、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記測定は、工程(d)において複数の切削歯(14)に対して実行され、
以下のパラメーター、すなわち、
前記実工具(1)の同心度、
切削歯中心、
歯溝中心、
のうちの少なくとも一つ、前記測定から求める、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記測定装置(11)は、前記方法の実行中、空間的に固定されて配置され、
前記相対方位(Σ1~Σ5)及び前記並進相対位置の前記設定は、空間内での前記工具軸(B)の方位及び空間内での前記工具(1)の並進位置を修正することによってなされる、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記測定装置(11;23)は、非接触又は接触式に動作する検知手段を備え、前記相対方位(Σ1~Σ5)及び前記並進相対位置は、前記検知手段が、前記計算された仮想接触点(m1~m5)において接線方向に、前記仮想刃先(S)に接触するように、計算され、設定される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記検知手段は、円筒形状であり、
前記検知手段は、円筒軸、円筒半径、及び前記円筒軸から前記円筒半径に対応する距離を置いて延在する円筒形検知面を画定し、前記相対方位(Σ1~Σ5)及び前記並進相対位置は、前記円筒軸が、前記仮想接触点における前記仮想刃先(S)上の接平面に対して平行に延在するとともに、前記円筒軸が、前記接平面から前記円筒半径に対応する距離を置くように、計算され、設定される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記円筒軸は、前記仮想工具(1v)と転動しながら係合する前記仮想ワーク(3v)の歯面に沿って延在する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記検知手段は、光ビーム(12)によって形成され、
前記工具(1)は、工程(d)における測定を実行するために、前記工具軸(B)の周りに回転し、
前記光ビームが前記実刃先によって遮られる際の実回転角度が、その回転中に検出される、請求項7~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記検出された実回転角度と、前記仮想刃先に関して計算された所望の回転角度との間の偏差を求める、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記工具(1)は、複数の又は全ての切削歯(14)が、相次いで、光ビーム(12)を遮り、そして遮蔽を解除するのに十分な回転角度だけ、前記工具軸(B)の周りに回転され、それによってステップ(d)の測定が前記工具(1)の複数又は全ての切削歯(14)に対して実行される、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記検知手段は、円筒形検知フィンガーである、請求項7~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
工程(d)における測定は、測定位置(Mp)において行われ、前記測定位置(Mp)の較正測定は、前記実ワークの加工前及び/又は加工中に実行される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、少なくとも以下の工程、すなわち、
(e)前記測定の結果によって、機械コントローラー(8)の少なくとも一つの設定を求める工程と、
(f)前記機械コントローラー(8)に前記設定を送信する工程と、
を更に含み、
前記設定により、前記ワーク(3)と前記工具(1)との間の相対位置が、前記ワーク(3)の加工のために設定される、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記工具(1)は、以下の工具、すなわち、
ホブピーリング工具、又は、
歯車成形工具、
のうちの一つである、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、前記工具(1)が工具スピンドル(2)上に位置する間に行い、前記工具スピンドル(2)によって、ワーク(3)の加工も行う、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
歯付きワークとなる実ワーク(3)の創成加工のための工具(1)の測定を行う方法を実行する装置であって、
前記工具(1)は、各々が実刃先を形成する複数の切削歯(14)を有し、
前記装置は、
前記工具(1)を工具軸(B)の周りに回転するように駆動する工具スピンドル(2)と、
測定装置(11)と、
前記工具軸(B)と前記測定装置(11)との間の相対方位(Σ)を修正するための少なくとも一つの駆動旋回軸(A)と、
前記工具(1)と前記測定装置(11)との間の並進相対位置を修正するための少なくとも一つの駆動線形軸(X、Y、Z)と、
を備え、
前記装置は、前記駆動旋回軸(A)及び前記少なくともつの駆動線形軸(X、Y、Z)を用いて、前記請求項1~17のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成されたコントローラー(8)を備えることを特徴とする、装置。
【請求項19】
前記測定装置(11)は、前記測定中、静止するように配置され、
前記駆動旋回軸(A)は、前記測定装置(11)に対する空間内の前記工具軸(B)の前記相対方位を修正するように構成され、
前記少なくとも一つの駆動線形軸(X、Y、Z)は、前記測定装置(11)に対する空間内の前記工具(1)の前記並進相対位置を修正するように構成されている、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記装置は、機械ベッド(6)及び可動キャリア(33)を備え、前記可動キャリア(33)は、前記機械ベッド(6)に対する複数の位置の間で可動であり、
前記測定装置(11)は、前記可動キャリア(33)上に配置され、
前記測定装置(11)は、前記可動キャリア(33)によって停止位置から測定位置に可動である、請求項18又は19に記載の装置。
【請求項21】
加工される前記実ワーク(3)の一つをクランプする少なくとも一つのワークスピンドル(4)が、前記可動キャリア(33)上に更に配置される、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記測定装置(11)は、光源及び光検出器を備え、前記光源は、前記光検出器に向けられる光ビーム(12)を生成するように構成され、検知手段、前記光ビーム(12)の少なくとも一つの領域によって形成され、
前記コントローラーは、算出された仮想接触点(m1~m5)で前記検知手段が仮想刃先(S)に接触するように、前記相対方位(Σ1~Σ5)及び前記並進相対位置を算出及び設定し、
前記コントローラーは、前記工具軸(B)の前記設定された相対方位(Σ1~Σ5)及び前記設定された相対座標における前記測定中に、前記工具スピンドル(2)が前記実工具(1)を前記工具軸(B)の周りに回転させるように、前記工具スピンドル(2)に相互作用し、
前記光検出器は、前記光ビーム(12)が回転中に前記刃先によって遮られる際の実回転角度を検出するように構成されている、請求項18~21のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、創成加工工具の測定を行う方法、及びその方法を実行する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホブピーリング(創成スカイビング加工)は、歯車様の工具を用いて回転するワークを加工する連続加工方法である。ホブピーリングは、未焼結加工だけでなく、特に、予め加工されたワークの硬質微細加工(hard-fine machining)にも用いることができる。ワークの加工のために、工具及びワークは、回転するスピンドルに保持される。工具の回転軸とワークの回転軸とは、斜めになるように配置される。工具及びワークの回転運動を回転軸の周りで組み合わせると、結果として、複雑なホブピーリング運動学を伴う転動運動が実現される。これは、この方法にとって典型的である。上記加工プロセスでは、外歯車及び内歯車の双方を加工することができる。
【0003】
ホブピーリング工具の歯は、工具の端面の領域において刃先を形成する。実際には、各歯の刃先は、完全に尖った縁部を形成するのではなく、むしろ、或る半径を有して丸みを帯びている。ピーリングされたワークにおける最終的な歯面は、ホブピーリング工具の幾何学的に規定された刃先によって、エンベロープカットで形成される。ホブピーリングプロセスの終了時、実質的に、切り屑は除去されず、工具とワークとの間は点的にのみ接触する。転動運動の過程で、仕上がったワークと工具との間の対応する接触点は、丸みを帯びている刃先に沿って連続的に移動する。工具の回転軸とワークの回転軸とが斜めの配置になっていることで、接触点が刃先に沿って長手方向に移動するだけでなく、同時に、歯の丸みを帯びている刃先の湾曲部分に対する位置も、それに対して横断方向に変化することになる。したがって、転動運動の過程で作用する接触点は、歯の丸みを帯びている刃先における空間曲線(三次元空間における曲線)を形成する。この空間曲線のコースは、工具の設計、並びに工具及びワークの相対的な方位及び位置等の機械設定によって決まる。空間曲線は、設計データから計算することができる。
【0004】
学術論文である、非特許文献1、及び非特許文献2は、ホブピーリングプロセスの決定的要素である品質要件を満たすホブピーリングのモデリング及びホブピーリング工具の製造について包括的に論じている。非特許文献1は、ホブピーリングの運動学モデルを提示している。このアプローチでは、ホブピーリング工具の複雑な刃先幾何形状を計算することができる。非特許文献2によれば、上記ホブピーリング工具を製造する概略的な操作が、28頁の図2図21に示されている。工具ブランクは、研削によって完成される。1度目の研削サイクルの後、ホブピーリング工具を測定機械上で計測し、寸法的及び幾何学的な精度が確定される。所望の幾何形状からの偏差が求められ、NCドレッシングプロセスの補正及び研削ディスクの新たな形状加工によって、その偏差が排除される。上記サイクルを、寸法及び幾何形状が正しくなるまで、必要なだけ繰り返す。
【0005】
従来の測定機械を用いて測定を行う場合、丸みを帯びている刃先における接触点が、転動運動の過程で、既に言及した空間曲線に沿って移動することは、考慮されない。従来の測定機械は、上記空間曲線を考慮に入れることができない。
【0006】
加えて、別個の測定機械における測定は、測定機械と工具スピンドルとの間での工具の再クランプに時間を浪費するとともに、クランプ及び再クランプの誤りが生じる可能性があり、それが製造結果に悪影響を与えることから不都合である。
【0007】
特許文献1は、ホブピーリング工具を接触式に計測することを提案している。この目的のために、加工されるワーク歯部の歯面の精密なコピーを提供する測定体が設けられる。このタイプの測定は、加工機(machine tool)において設定されるワークとワーク軸との間の距離を精密に求めることができるが、ホブピーリング中に機能する刃先の計測には適していない。
【0008】
特許文献2は、この方法で同心度の偏差を求めるために、ホブピーリング工具の各切削歯の先端刃先、左側刃先、及び右側刃先の位置の、理想的な外形からの偏差を測定することを提案している。測定は、測定ボールを用いて接触式に行われる。この方法の場合、刃先の位置は求められるが、実刃先自体は計測されない。その後、求められた位置偏差をワークの加工中に用いて、ワークの回転と工具の回転との組合せ比率の周期的な非線形性又は軸間距離の周期的な修正を提供することで、ワークの幾何形状における同心度誤差の影響を低減する。
【0009】
光透過法を用いて動作する測定対象の光学測定の方法が、従来技術において既知である。ここでは、測定対象が光源と光検出器との間で移動し、測定対象が光源の光ビームを遮ると光検出器がそれを検出する。
【0010】
そのような方法は、例えば、特許文献3に開示されている。測定対象の幾何形状に起因して本来であれば検出が難しい領域をも検出することを可能にするために、光源及び光検出器が一つのユニットを形成し、それを旋回装置上に取り付けることが提案されている。旋回装置は、測定される対象物の回転軸に交差する軸の周りに旋回可能である。旋回装置は、旋回軸に対して垂直に延在する第2の軸に沿って、並進方式で更に調整可能である。測定される対象物は、第1の軸に対して平行な第3の軸に沿って調整可能であり、第2の軸に対して平行に延在するとともに、第1の軸に交差する第4の軸の周りに回転可能である。結果として、例えば、回転対称の工具の切削歯の場合、刃先の後ろで測定を行うことが可能である。この文献は、そのような構成を、特に丸みを帯びている刃先を有するホブピーリング工具を計測するために用いることは示唆していない。
【0011】
特許文献4は、装置を位置決めする光学測定装置を提案している。光源及び光検出器が、共通のホルダーに配置され、光源からの測定光ビームが光検出器に当たるように向けられる。光検出器は、測定される対象物によってビームが遮られると、それを検出する。遮断が起こると、対応する信号が生成される。したがって、「受光」(「L」)状態及び「非受光」(「0」)状態によるシンプルな二値評価が存在する。光ビームは、コリメートされない状態とすることができ、すなわち、光ビームは、光源から光検出器に向かって僅かに広がり得る。光が光検出器に到達するために通過する必要のある狭い光チャネルが、光検出器の正面に配置される。結果として、検出器は、光源によって放射された光ビーム束の円筒形のビーム領域のみを効果的に「認識」することになる。したがって、光ビームは、測定対象を計測する円筒形検知面として機能する。ホブピーリング工具の測定のための使用は開示されていない。
【0012】
例えば、英国ウォットンアンダーエッジ所在のRenishaw社によってNC4の名称で製造されている、対応するレーザー測定ブリッジが提供される。
【0013】
特許文献5は、歯車を距離測定によって計測する方法を開示している。特許文献6は、ラインレーザー及び画像取得によって小さな刃先幾何形状を計測することを提案している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【文献】Andreas Huehsam, 「Modellbildung und experimentelleUntersuchungen des Waelzschaelprozesses(Modelling and experimental investigations of the hob peeling process 「ホブピーリングプロセスのモデリング及び実験調査」)」、Research Report Volume 111, wbk Institute of the University of Karlsruhe, Shaker Verlag GmbH, 2002, Pages 23-66
【文献】Andreas Bechle, 「Beitrag zur prozesssicheren Bearbeitung beim Hochleistungsfertigungsverfahren Waelzschaelen(A contribution to reliable machining using the high performance production process of hobpeeling 「ホブピーリングの高性能製造プロセスを用いる信頼性のある加工への寄与」)」、Research Report Volume 132, wbk Institute of the University of Karlsruhe, Shaker Verlag GmbH, 2006, Pages 26-68
【特許文献】
【0015】
【文献】米国特許出願公開第2015/0081083号
【文献】国際出願第2016/150985号
【文献】独国特許出願公開第19927872号
【文献】欧州特許出願公開第1050368号
【文献】米国特許第8,411,283号
【文献】欧州特許出願公開第1398598号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
第1の態様において、本発明の目的は、特に高レベルの精度を有する測定を可能にする、自動化可能であり、コスト効果的なシンプルで迅速な方法で実現することができる、ホブピーリング工具の刃先を測定する測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的は、請求項1の特徴を有する方法によって達成される。さらに、その方法を実行する、請求項19の特徴を有する測定装置が提供される。更なる実施形態は、従属請求項において提供される。
【0018】
したがって、歯付きワークの創成加工のための工具の測定を行う方法が提供される。工具は、工具軸の周りに回転可能であるとともに、複数の切削歯を有する。切削歯のそれぞれは、少なくとも一つの実刃先を形成する。本方法は、測定装置を用いて実行される。本方法は、以下の工程、すなわち、
(a)仮想工具の仮想刃先であって、刃先の長手方向に沿って延在するとともに、前記刃先の長手方向に対して横方向に丸みを帯びている当該仮想刃先に対して、仮想接触点を計算する工程と、
(b)前記計算された仮想接触点に基づいて、前記工具軸と前記測定装置との間の相対方位と、前記工具と前記測定装置との間の並進相対位置とを計算する工程と、
(c)前記工具軸と前記測定装置との間の前記計算された相対方位と、前記工具と前記測定装置との間の前記計算された相対位置とを設定する工程と、
(d)前記設定された相対方位及び相対位置において、前記実刃先に対して測定を実行する工程と、
を含むが、これらの工程は、必ずしも提示された順番で行う必要はない。上記工程(a)~(d)は、仮想刃先に沿った複数の仮想接触点に対して行われる。
【0019】
この方法では、最初に、仮想刃先を画定する仮想工具を考慮する。以下の記載において見て取ることができるように、仮想刃先は、高レベルの精度を有する測定を行うことができるように、工具軸を測定装置に対していかにして位置合わせすべきか、及び工具を測定装置に対していかにして位置決めすべきかを計算するための機能を果たす。仮想刃先は、既定の刃先幾何形状、特に、工具設計に従った所望の刃先幾何形状に対応する。上記仮想刃先は、刃先の長手方向に沿って完全に尖った縁部を形成するのではなく、むしろ、すくい面又は存在する場合にはすくい面の面取り部と、逃げ面又は存在する場合には逃げ面の面取り部と、の間で規定の様式で丸みを帯びている。したがって、仮想刃先は、複雑な曲面を形成する。
【0020】
空間曲線は、上記仮想刃先上に延び、この空間曲線は、仮想工具が仮想ワークとともに、実工具による実ワークの実際の加工の場合と同じ転動運動を行う際に、上記複雑な曲面が、既定の所望の歯面幾何形状を有する仮想ワークに接触する点からなる。仮想刃先における上記点は、仮想接触点として示される。仮想接触点からなる曲線は、通常、工具の横断面上に延在しない。全ての転動位置にわたって上記接触が起こる、仮想ワークの軸及び仮想工具の軸に対する空間における点は、同様に、仮想係合線と呼ばれる曲線を形成する。仮想接触点に関連する仮想係合線における点は、仮想係合点として示される。刃先における仮想接触点と、空間における関連する仮想係合点とは、仮想接触点がワークの所望の歯面の最終的な輪郭に接する転動位置をとる場合、同一である。所望の幾何形状に対応する仮想ワークにおいて、転動接触点における仮想係合点とも一致する仮想接触点も存在する。
【0021】
測定が仮想接触点(例えば、刃先の湾曲部分上の別の位置ではない)において行うことができるように、選択された仮想接触点に対して、工具軸と測定装置とが互いに対してどのように配向されるべきか、並びに、工具と測定装置とがその並進位置に関して互いに対してどのように設定されるべきか、がここで確定される。特に、ホブピーリング工具の場合、このようにして計算された方位及び並進位置は、通常、仮想工具と仮想ワークとの間の斜めの配置に起因して、仮想刃先に沿って仮想接触点から仮想接触点へ変化する。
【0022】
ここで、実工具及び測定装置が、事前に計算された様式で互いに相対的に設定される。この設定のために、機械のCNC軸を用いることが好ましい。次いで、こうして設定された測定装置に対するワーク軸の方位と、こうして設定された測定装置に対する工具の位置とにおいて、実工具の実刃先に対する測定を行う。実工具の刃先の幾何形状が、計算された仮想接触点における仮想工具の幾何形状とは異なる場合、測定により、仮想接触点における偏差が定量化される。特に、測定を行うために、測定装置に対する工具の更なる相対移動を行うことができる。例えば、測定を行うために、実工具を工具軸の周りに回転させることができ、偏差は、実工具が、実刃先及び仮想刃先が仮想接触点において一致するために回転する必要がある回転角度の差として表現することができる。
【0023】
その後、上記工程は、仮想刃先に沿った一つ又は複数の更なる仮想接触点に対して繰り返すことができる。このようにして、刃先は、長手方向に沿った複数の点において測定される。特に、上記に挙げた工程(a)~(d)は、実刃先の幾何形状に関して十分詳細に特定できるように、仮想刃先に沿った少なくとも5つの仮想接触点に対して実行することができる。
【0024】
刃先における仮想接触点に対する測定値間を補間するために、実刃先を描く補償曲線は、それ自体既知の方法で曲線当てはめによって、同じ刃先の多様な接触点に対して求められた測定結果から計算することができる。
【0025】
工具軸と測定装置との間の相対方位を設定するために、工具軸の方位及び工具の位置を固定しながら、空間における測定装置の方位及び位置をそれぞれ修正することが想定可能である。これに対する代替として、測定装置を固定しながら、空間内での工具軸の方位及び工具の位置を修正することが想定可能である。混合した形式も可能である。しかしながら、多くの場合、空間内での工具軸の方位を修正する及び空間内での工具の位置を設定するのに必要なCNC軸は、いずれにせよ加工機に既に存在する。したがって、方法を実行する際に、測定装置が空間的に固定されて配置されている場合、結果として有利であり、空間内での工具軸の方位及び空間内での工具の位置を修正することによって、各仮想接触点に対する相対方位及び相対位置の設定が達成される。
【0026】
提案される方法は、様々な測定方法において用いることができるが、特に、工具の刃先が接線方向に検知される測定方法に好適である。このために、測定装置は、非接触又は接触式に動作する検知手段を備えることができ、相対方位及び相対位置は、検知手段が、計算された接触点において接線方向に、仮想刃先に接触するように、計算され、設定される。この場合、検知手段は、接触式に作用する有形の検知手段(すなわち、実際の恒久的に存在する物体)、例えば、検知フィンガーとすることができ、又は、非接触式に、例えば、光ビームの形態で作用する無形の検知手段とすることができる。
【0027】
検知手段が、円筒形状であり、結果として、円筒形検知面を画定する場合、更なる利点が得られる。これは、この場合では、検知手段の円筒軸に沿った工具の位置が重要でないことに起因する。これにより、工具及び測定装置の互いに対する位置の設定が簡略化され、測定動作が簡略化される。
【0028】
検知手段が円筒形状である場合、検知手段は円筒軸を画定し、円筒形検知面は、円筒軸から円筒半径に対応する距離を置いて延在する。有利な設計において、相対方位及び相対位置は、円筒形検知手段の円筒軸が、計算された仮想接触点において、円筒半径に対応する接平面から或る距離を置いて、仮想刃先上の上記接平面に対して平行に延在するように、計算及び設定される。したがって、円筒形検知面は、仮想接触点を含み、そこで仮想刃先に対して接線方向に当接する。
【0029】
上記に挙げた方法で円筒形検知手段を用いる場合、円筒軸は、計算された仮想接触点において仮想刃先上の接平面に対して平行な平面に延在する。この場合、上記平面内の円筒軸の位置合わせには依然として一つの自由度が存在する。上記位置合わせは、円筒軸が実質的に仮想ワークの歯面方向(ねじれ角)に沿って延在するように有利に選択することができる。円筒形検知手段の上記位置合わせは、有形の検知手段の場合に他の工具領域との衝突のリスクを低減する。光ビームの形態の検知手段の場合、上記位置合わせは、光ビームが他の工具領域によって遮られるリスクを低減する。
【0030】
検知手段が光ビームによって形成される場合、本方法は、以下のようなシンプルな方法で実行することができる。測定を実行するために、工程(d)において、工具軸のそれぞれ設定された相対方位において、工具と測定装置との間のそれぞれ設定された相対位置で、工具を工具軸の周りに回転させ、回転中に、光ビームが刃先によって遮られる際の実回転角度を検出する。結果として、信号「L」(光ビームが遮られない、検出器が明るい)及び「0」(光ビームが遮られる、検出器が暗い)が交互に生成される。検出された実回転角度と、仮想刃先に関して計算された所望の回転角度との間の偏差は、これに基づいて求めることができる。上記偏差は、所望の刃先幾何形状からの実刃先幾何形状の偏差の直接の尺度である。提案される方法の利点は、上記偏差が、刃先の湾曲部分の任意の所定の又はランダムな位置において確定されるのではなく、工具が所定の所望の幾何形状を有する場合にワーク及び工具が最終的に接触する点において精密に確定されることである。したがって、測定は、加工中に実際に影響する、ひいては刃先が特に精密に測定されるべき点において精密に行われる。
【0031】
工程(d)における測定は、それぞれ設定された相対方位及び相対位置において、工具の複数の又は全ての切削歯に対して行うことができ、それにより、複数の又は全ての切削歯が、相次いで、光ビームを遮り、その遮蔽を解除するようになっている。このように、工具軸と測定装置との間の相対方位及びその相対位置が上記測定間で修正を必要とすることなく、関連する仮想接触点において複数の切削歯を迅速かつ効果的に測定することができる。
【0032】
以下のパラメーター、すなわち、
-工具の同心度、
-切削歯中心、
-歯溝中心、
のうちの少なくとも一つは、複数又は全ての切削歯における測定から確定することができる。
【0033】
以下の変数、すなわち、
-前記仮想刃先(特に所望の刃先)によって作製される仮想歯面に対する、前記実刃先によって作製される歯面の外形の偏差に関する少なくとも一つの尺度(例えば、輪郭形状誤差、ピッチ誤差)、
-加工中の、例えば摩耗による、前記刃先の変化に関する少なくとも一つの尺度、
のうちの少なくとも一つは、一つ、複数、又は全ての切削歯における測定から求めることができる。
【0034】
本方法は、少なくとも以下の工程、すなわち、
(e)測定の結果に基づいて、機械コントローラーに対する少なくとも一つの設定を求める工程であって、その設定により、工具とワークとの間の相対位置が、ワークの加工のために設定される工程と、
(f)機械コントローラーに設定を送信する工程と、
を更に含むことができる。
【0035】
換言すれば、ワークに対する工具の設定は、例えば、刃先における摩耗を補償するために、確定された刃先幾何形状に基づいて修正することができる。
【0036】
工程(e)において確定された設定は、外部コンピューターシステムに送信することもでき、外部コンピューターシステムは、複数の時点で設定を記憶し、工具を再調整するためにそれらの設定を処理する。この場合、送信は、標準インターフェースによって行うことができる。
【0037】
本方法は、スクリーン上に、特にCNC機械コントローラーの制御パネルのスクリーン上に、測定結果を視覚化することを更に含むことができる。
【0038】
工具は、特に、ホブピーリング(創成スカイビング)工具又は歯車成形工具とすることができる。
【0039】
特に、ホブピーリング工具の場合、本明細書において提案される方法は、工具及びワークの回転軸の斜めの配置並びに実質的に非インボリュートの複雑な刃先幾何形状の結果として、通常、従来の測定方法では十分に考慮に入れられない特性がもたらされることから、特別な利点を有する。
【0040】
特に、工具は、2016年10月21日付のスイス国特許出願第01412/16号に記載されているようなホブピーリング工具とすることができる。上記特許出願の開示は、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。
【0041】
本方法は、工具が、工具スピンドル上に位置する間に行うことができ、この工具スピンドルにより、ワークの加工も行われる。換言すれば、本方法は、ワーク加工も行う機械において直接行うことができる。したがって、最初に工具を別個の測定機械のスピンドル上に再クランプする必要がない。しかしながら、本方法を別個の測定機械において実行することも想定可能である。
【0042】
機械における測定位置を較正する方法工程を、実際の測定プロセスを実行する前に追加で行うことができる。そのような較正工程は、加工サイクル中に必要な場合、繰り返すことができる。
【0043】
そのような方法を実行する装置は、
-工具が工具軸の周りに回転するように駆動する工具スピンドルと、
-既に言及した測定装置と、
-工具軸と測定装置との間の相対方位を修正するための少なくとも一つの駆動旋回軸と、
-工具と測定装置との間の並進相対位置を修正するための少なくとも一つの駆動線形軸と、
を備えることができる。
【0044】
また、本装置は、上記に示した方法を実行するように構成されたコントローラーを更に備える。方法に関して上述した考察は、本発明に係る装置にも等しく適用される。コントローラーは、特に、プロセッサによって実行されるとコントローラーに上述した方法を実行させるソフトウェアを備えることができる。
【0045】
本装置は、測定装置に対して空間における工具軸の方位を自由に設定することが可能なように、2つ以上の旋回軸を有することができる。この場合、旋回軸は、互いに平行でないことが好ましく、互いに直交して延在することが好ましい。本装置は、工具と測定装置との間の並進相対位置を自由に修正するために、それに応じて、2つ以上の線形軸も有することができる。その場合、2つ又は3つの線形軸の方向は、数学的意味で線形に独立し、好ましくはまた互いに直交することが好ましい。
【0046】
特に、旋回軸及び線形軸の配置は、以下のルール、すなわち、
-測定装置が、機械ベッドに固定的に配置され、空間における工具の位置合わせ及び位置決めが、少なくとも一つの線形軸及び少なくとも一つの旋回軸によって行われる、又は、
-測定装置が、少なくとも線形軸に沿って変位可能である変位式スライド上に固定的に配置され、空間における工具の位置合わせ及び位置決めが、少なくとも一つの旋回軸によって行われる、
に従って実現することができる。
【0047】
双方の実現形態において、工具及び/又は測定装置のための更なる旋回軸及び/又は線形軸を設けることができる。
【0048】
特に、米国特許第6,565,418号又は米国特許第5,857,894号におけるような機械構想に従って、既知の歯車製造機械の工具キャリアにおいて、研削ヘッドの代わりにホブピーリングヘッドを配置することができる。測定装置は、上記機械において、以下のように配置することができる。
(i)米国特許第6,565,418号に係る歯車製造機械の機械構想の場合、ホブピーリング工具は、機械ベッドに関して変位可能な工具キャリア上に配置される。機械ベッドは、可動な、特に変位可能なワークキャリアを更に保持する。また、測定装置は、上記ワークキャリア上に配置することができ、上記可動なワークキャリアによって停止位置から測定位置に可動とすることができる。上記機械構想の場合、ホブピーリングヘッドを備える可動な工具キャリアは、3つの線形軸X、Y、及びZと、旋回軸A及び回転軸Bとを実現する。加えて、測定装置を備えるワークキャリアを、停止位置から測定位置に、そしてまた停止位置に移動させる更なる線形軸又は旋回軸Cが存在する。可動なワークキャリアは、更なる目的のために使用することができる。特に、少なくとも一つのワークスピンドルを、加工されるワークをクランプするように可動キャリア上に配置することもできる。
(ii)米国特許第5,857,894号に係る機械構想の場合、ホブピーリング工具は、機械ベッドに対して変位可能かつ旋回可能である工具キャリア上に配置される。機械ベッドは、ワークスピンドルを備える固定ワークキャリアを更に保持する。また、測定装置は、上記機械ベッド上に固定的に配置することができる。上記機械構想の場合、ホブピーリングヘッドを備える可動な工具キャリアは、また、3つの線形軸X、Y、及びZと、旋回軸A及び回転軸Bとを実現する。加えて、ここでは、更なる線形軸又は旋回軸Cも存在する。しかしながら、これは、工具キャリア(上述した機械構想の場合のようにワークキャリアではない)を旋回させるために機能する。この場合、工具キャリアは、工具スピンドルに取り付けられた工具がワークと係合するように可動である動作位置と、工具が測定装置と相互作用する測定位置との間で好ましい方法で可動、特に旋回可能である。
【0049】
既に説明したように、測定装置は、非接触又は接触式に動作する検知手段を備えることができ、コントローラーは、検知手段が、計算された仮想接触点において接線方向に、仮想刃先に接触するように、相対方位及び相対座標を計算し、設定することができる。この場合、上述したように、検知手段が円筒形状である場合が有利である。
【0050】
測定装置は、特に、光バリアを形成することができる。このために、測定装置は、光源及び光検出器を備えることができ、光源は、光検出器に向けられる光ビームを生成するように構成されている。この場合、検知手段は、非接触式に作用し、光ビームの少なくとも一つの領域によって形成される。光源及び光検出器は、光ビームの円筒形状のビーム領域が検知手段として効果的に機能するように構成されていることが好ましい。コントローラーは、工具軸の設定された相対方位において、設定された相対座標で測定を行うために、工具スピンドルが工具を工具軸の周りに回転させるように、工具スピンドルと相互作用する。また、光検出器は、回転中、光ビームが刃先によって遮られる際の実回転角度を検出するように構成されている。光源は、特にレーザーを含むことができ、それにより、測定装置は、レーザーブリッジを形成する。レーザーは、特に、円筒形状のビームを生成することができる。
【0051】
本発明の好ましい実施形態を、図面を用いて以下に説明する。図面は、単に説明の役目を果たし、限定的なものとして解釈されない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1図1は、ホブピーリング工具に対するワーク及び工具の割り当て、並びに測定装置及びホブピーリング機械の更なるモジュールの斜視図である。
図1a図1aは、図1の領域D1における細部の拡大図である。
図2図2は、鉛直方位を有する工具スピンドルを備えるホブピーリング工具の切削歯の斜視図であり、軸方向に平行な円筒形検知面が、固定の方位で刃先に当接する。
図3図3は、斜め方位(加工時の方位と同様)を有するホブピーリング工具の切削歯の斜視図であり、円筒形検知面が、様々な方位で刃先に当接する。
図3a図3aは、図3の平面S1における接触点m1の拡大断面図である。
図3b図3bは、図3の平面S2における接触点m2の拡大断面図である。
図3c図3cは、図3の平面S3における接触点m3の拡大断面図である。
図3d図3dは、図3の平面S4における接触点m4の拡大断面図である。
図3e図3eは、図3の平面S5における接触点m5の拡大断面図である。
図4図4は、円筒形検知面の位置を説明する、仮想工具と係合した仮想ワークの斜視図である。
図4a図4aは、図4の領域D2における細部の拡大図であり、湾曲した歯面をよりよく示すために表面曲線も示されている。
図5図5は、有効な刃先上の接触点における5つの測定トラック及び関連する円筒形検知面を伴う、図3による切削歯の別の斜視図である。
図5a図5aは、5つの接触点の関連するZ値を伴う、図5による切削歯の側面図である。
図5b図5bは、5つの測定トラック及び関連する角度位置を伴う、図5による切削歯の平面図である。
図6図6は、図3及び図5による切削歯の更なる斜視図である。
図6a図6aは、斜め方位(加工時の軸位置と同様)の状態の、図6の平面S1における概略断面図である。
図6b図6bは、鉛直方位における接触点m1において接線方向に当接するレーザービームを伴う、図6の平面S1における概略断面図である。
図6c図6cは、斜め方位(加工時の軸位置と同様)の状態の、図6の平面S5における概略断面図である。
図6d図6dは、鉛直位置における接触点m5において接線方向に当接するレーザービームを伴う、図6の平面S5における概略断面図である。
図7図7は、ホブピーリング工具を試験する際の鉛直に配置されたレーザーブリッジの斜視図であるとともに、対応するL/0信号帯域の概略図である。
図7a図7aは、図7の領域D3における細部の拡大図であり、L信号及び0信号並びに図示の工具の同心度の概略図が示されている。
図8図8は、例えば、75個の切削歯を有して構成されたホブピーリング工具の仮想接触点における測定値を概略的に表す図表であり、実測値、計算された補償曲線、切削歯中心、歯ピッチ、及び公差範囲が概略的に示されている。
図9図9は、鉛直に向けられたレーザーブリッジ及び工具スピンドルを伴う構成の側面図である。
図9a図9aは、測定のための回転軸及び線形軸を伴う、図9による斜視図である。
図10図10は、傾斜して配置されたレーザーブリッジ及び工具スピンドルを伴う構成の側面図である。
図10a図10aは、図10による斜視図である。
図11図11は、スキャン式触覚検知装置を伴う構成の斜視図である。
図11a図11aは、図11の領域D4における細部の拡大図である。
図12図12は、変位可能な工具キャリア上のホブピーリングヘッドと、旋回可能なワークキャリア上の2つのワークスピンドルとを備える、ホブピーリング用の歯車製造機械の斜視図であり、ワークキャリアは、測定装置を保持している。
図12a図12aは、図12の領域D5における細部の拡大図である。
図13図13は、変位可能かつ旋回可能な工具キャリア上におけるホブピーリングヘッドを伴うホブピーリング用のワークスピンドルを備える歯車製造機械の斜視図であり、測定装置が機械ベッド上に固定的に配置されている。
図13a図13aは、図13の領域D6における細部の拡大図である。
図14図14は、較正マンドレルと、傾斜して配置されたレーザーブリッジとによる較正の斜視図である。
図14a図14aは、Y方向における軸方向方位を有する、図14の正面図である。
図14b図14bは、X方向における軸方向方位を有する、図14の側面図である。
図15図15は、スキャン式触覚検知装置によるワークの測定を行うポストプロセス測定のための構成の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
円筒歯車に適用可能な用語及び歯部の幾何形状は、DIN ISO 21771:2014-08規格において定められ、本明細書ではこの規格に従って理解される。
【0054】
図面は、概略的な拡大された表現で、本発明に係る方法の実施形態を示している。同じ参照符号は、全ての図において、同一又は同様の面、軸、角度、又は更なる要素に対して用いられる。仮想物体及び仮想工具、仮想ワーク等は、対応する実際の物体に対する参照符号に「v」の文字を付して示している。図に関する説明は、概して、外歯車のホブピーリングに関する。同様の所見は、内歯車のホブピーリングにも当てはまる。
【0055】
本発明に係る方法の例示的な実施形態を、特に、実ホブピーリング工具1及び仮想ホブピーリング工具1vによって以下に説明する。ホブピーリング工具1又は1vは、歯車形状であり、工具の端面の領域において丸みを帯びている刃先をそれぞれ形成する複数の切削歯14(例えば、図2を参照)を有する。上記工具は、図面では非常に簡略化して示されていることを指摘しておく。以下の考察は、段差カット又は他の幾何学的設計を有するものを含む、他の任意のホブピーリング工具にも当てはまり得る。
【0056】
図1は、最新のCNCホブピーリング機械22の選択された要素の斜視図を一例として示している。方向X、Y、及びZを規定する直交座標系Kが、ホブピーリング機械における方向を説明するのに用いられる。座標系の原点は、ワークの中心、すなわちワーク軸Cに位置する。CNCコントローラー8は、機械軸A、B、C、X、Y、及びZを動かすための機能を果たす。制御パネル9は、CNCコントローラー8の操作者のためのインターフェースを形成する。
【0057】
機械は、作業空間20を画定する。機械は、機械ベッド6を備える。本例では、ワークスピンドル4が、Y方向に変位可能なCNC制御スライド5上に配置される。ワーク3は、図面に示されていないクランプ手段によって、ワークスピンドル4上にクランプされる。ワークスピンドル4は、ワーク軸Cの周りに回転可能であり、ワーク軸は、本例では鉛直に延在する。ワーク3とホブピーリング工具1とを衝突することなく歯合わせするために、歯合わせプローブ7が、非接触で、ワーク軸Cの周りのワーク3の歯溝の角度位置を確定するための機能を果たす。
【0058】
ホブピーリング工具1は、工具スピンドル2に取り付けられ、工具軸Bの周りに回転可能である。工具軸Bは、鉛直線に対して工具設定角度Σだけ、軸Aの周りに旋回させることができ、旋回軸Aは、本例では、X軸に対して平行に延在する。このために、機械22は、図面に示されていない工具キャリアを既知の様式で備えることができ、この工具キャリアには、旋回体が旋回可能に締結され、この旋回体に、さらに、工具スピンドル2が締結される。工具スピンドル2は、図示されていないスライド(以下で機械軸としても示されている)によって、機械ベッド6に対して方向X及びZに沿って変位可能である。これに対する代替として、CNCホブピーリング機械22に固定のワークスピンドル4が設けられる場合、工具スピンドル2は、Y方向にも変位可能である。
【0059】
機械22は、レーザーブリッジ11を更に備える。レーザーブリッジは、鉛直に(Z方向に)延びるレーザービームを発生させるレーザーの形態の光源と、物体によるレーザービームの遮蔽を検出する光検出器とを備える。レーザービームは、ワーク軸Cまで或る距離を延び、レーザービームは、X軸に沿った大きさxmと、Y軸に沿った大きさymとによって、ワーク軸Cから離隔される。本例では、レーザーブリッジ11は、機械ベッド6上の変位可能なスライド5に固定的に配置される。測定に必要な全ての動きは、回転及び並進機械軸A、B、X、Y、及びZによって実行される。特に、工具スピンドル2は、ワーク3を加工するための軸位置を始点として、並進軸X及びZに沿って移動し、角度位置Σ1になるように旋回軸Aの周りに旋回させることで好適な方位になる。次いで、離隔したレーザーブリッジ11を、Yキャリッジ5を変位させることによって、ホブピーリング工具1を測定するための軸位置に移動させる。これに対する代替として、レーザーブリッジ11が機械ベッド6上に固定的に配置される場合、全ての並進軸X、Y、及びZが工具スピンドル2に割り当てられる。
【0060】
レーザーブリッジ11の上記固定配置の非常に簡略化された一実現形態において、一つのみの線形軸を、工具1の線形位置決めに用いることができる。この場合、X軸は、工具1をワーク3から離して、測定のための軸位置に変位させる。Z軸は、レーザーブリッジ11が円筒形レーザービーム12とともに用いられる場合には絶対に必要なものではないが、Z軸がないと、精度に不都合が生じる。対照的に、Y軸をなくすと、部分的に記載されている後述の測定方法が制限される。
【0061】
また、測定ブリッジ11及び工具1の相対的な位置決め及び位置合わせは、上述の方法とは別様に実現することができる。
【0062】
加えて、測定位置Mpを有する仮想工具1vが、図1に示されている。仮想工具1vの意義は、図1aに関連して以下により詳細に説明する。
【0063】
図1aは、領域D1におけるレーザーブリッジ11の細部の拡大図を示しており、仮想工具1vは、斜めになるように配置され、仮想ワーク3vは、仮想ホブピーリング工具1vと転動しながら係合する。また、図1aには、複数の基準平面Mxy、Mxz、Myz、及びBxyがある。この場合、基準平面Mxy、Mxz、Myzは、レーザーブリッジ11の位置及び方位を規定する。特に、本例では、基準平面Mxzは、レーザービーム12を含み、レーザーブリッジのハウジングを通って延在する。基準平面Myzも、レーザービーム12を含み、基準平面Mxyに対して直交して延在する。基準平面Mxyは、2つの鉛直基準平面Mxz及びMyzに対して直交して水平に延在する。基準平面Mxyは、レーザーブリッジの中心を規定する。測定位置Mpは、平面Mxy、Mxz、Myzの共通の交点に位置する。基準平面Bxyは、工具軸Bに対して直交して延在し、仮想工具1vの横断方向断面をなす。この横断方向断面は、仮想工具1vの刃先を通って延在する。
【0064】
仮想工具1v及び仮想ワーク3vは、互いに転動しながら(創成加工しながら)係合する。仮想ワーク3vは、既定の所望の歯面幾何形状を有する。仮想工具1vは、一例として図2図3図5、及び図6に示されているように、複数の仮想切削歯を有する。各切削歯は、丸みを帯びている仮想刃先を画定する。この仮想刃先は、工具1vのワーク3vとの転動運動によって、ワーク3vの既定された所望の歯面幾何形状を精密に生成するように構成されている。仮想工具1v及び仮想ワーク3vは、最大で一つのみの仮想接触点における転動運動時の任意の時点で、任意の既定の歯面において互いに接触する。転動運動の過程で、この接触は、丸みを帯びている刃先における接触点から接触点へ、切削歯の歯元部から歯先部へ、又はその逆に移動する。仮想工具1vの回転運動によって、仮想係合線は、空間内で複雑な曲線を描く。空間における仮想係合点の位置は、工具の設計が既知である場合、仮想工具1vの想定される仮想接触点に応じて容易に計算することができる。
【0065】
仮想ワーク3v及び仮想工具1vは、図1aにおいて、レーザービーム12が、仮想ワーク3vの歯面のうちの一つに対して実質的に平行に、そのねじれ角に沿って位置合わせされ、仮想工具1vの仮想接触点が仮想ワーク3vに接触し、仮想係合点に一致する転動位置において、仮想係合点を通って精密に延在するように配向及び位置決めされる。したがって、レーザービーム12は、図1aにおいて、仮想工具1vの刃先における一点を通って延在し、この点において、上記刃先は、仮想接触点において仮想ワーク3vの歯面に対して接線方向に、及び仮想接触点において仮想工具1vの刃先に対して接線方向に、仮想ワーク3vの歯面に接触する。このために必要な仮想工具1vの位置合わせ及び位置決めは、刃先に沿った各仮想接触点に左右される。したがって、切削歯の歯元部の近位における仮想接触点は、歯先部の近位における仮想接触点とは異なる仮想工具1vの配向及び位置決めを必要とする。仮想工具1vの必要な位置合わせ及び位置決めは、刃先における各仮想接触点に関して容易に計算することができる。
【0066】
実工具1における測定のために、実工具を、図1aにおいて仮想工具1vがとる位置及び方位に精密に移動させる。次いで、実工具を、工具軸Bの周りに回転させ、実工具の切削歯がレーザービーム12を遮る際の回転角度を観察する。実工具1の刃先幾何形状が、選択された接触点における仮想工具1vの刃先幾何形状に一致しない場合、このように決定された回転角度は、仮想工具1vがレーザービームを遮る場合の回転角度から偏差を有する。この偏差は、選択された仮想接触点における仮想刃先幾何形状からの、実刃先幾何形状の偏差の尺度である。
【0067】
ここで、上記測定は、仮想工具1vの刃先に沿って更なる仮想接触点に対して繰り返される。
【0068】
測定中、レーザービーム12は、回転工具から見た場合、それぞれ、基準平面Bxyにおいて円形の経路を描く。円形経路の半径は、仮想工具1vの刃先における仮想接触点に依存する。切削歯の歯元部における仮想接触点では、歯先部における仮想接触点の場合よりも半径が小さい。対応する円形経路は、測定トラックとして以下に示されている。図1aは、符号R3が付された上記測定トラックのうちの一つを示している。実際には、異なる半径を有する少なくとも5つの測定トラックに対して測定が行われ、接触点は、対応する測定トラックの異なる半径を規定する。測定トラックの各接触点又は各半径について、工具1とレーザーブリッジ11との間の別の相対位置において測定が行われる。この位置は、刃先が実際の加工の場合にも作用する刃先上の点において、すなわち、加工中の接触点において、測定が行われるように選択される。結果として、工具が刃先における異なる仮想接触点に対して常に同じ方位で測定されるだけの場合に生じ得る測定誤差が回避される。このことは、図2及び図3を用いて以下により詳細に説明する。
【0069】
図2は、鉛直方位Bを有する工具スピンドル2を備えるホブピーリング工具の単一の切削歯14を示しており、切削歯は工具設計に従って精密に形成されている。切削歯14は、左側刃先28及び右側刃先29を有する。すくい面の面取り部19が、それぞれ、すくい面18と刃先との間に実現される。図2は、刃先にわたる接触点の進行を考慮せずに刃先における測定が行われる、本発明によらない方法を説明している。図2における方法では、測定は、刃先に沿った全ての位置に関して、常に、工具1とレーザービーム12との間の同じ相対方位で行われる。このために、図2におけるレーザービーム12は、円筒形の検知面として理解され、工具1とレーザービームとの間の相対位置に応じてT1~T5で示されている。この方法の場合、円筒形検知面T1~T5は、それぞれの刃先において測定される位置にかかわらず工具軸Bに対して常に平行である。工具がレーザービームを通るように回転されると、レーザービーム又は検知面は、工具に対する円形経路R1~R5を描く。この場合、刃先28は、その最外縁部において、すなわち縁部16において、隣接する逃げ面に向かってレーザービームを常に遮り、また、その最外縁部においてのみ再び遮蔽を解く。しかしながら、刃先28がレーザービームを遮る点は、ワークの加工中の刃先とワークとの間の実接触点に対応しない。実接触点は、通常、工具とワークとが斜めの配置であるために、丸みを帯びている刃先における逃げ面から更に離れて位置する。図2において、測定誤差が上記偏差の結果として生じ得ることを見て取ることができる。刃先が丸み付けされる半径は、通常、マイクロメートル範囲であるため、上記従来の方法の結果として、測定誤差は、マイクロメートル範囲内になる。
【0070】
本発明に係る方法は、図3及び図3a~図3eを用いて以下により詳細に説明する。図3は、再び、工具設計に従って精密に形成されている切削歯14を示している。ただし、歯は、角度Σだけ傾斜した方位で示されている。上記歯14の左側刃先28(以下では簡潔に総括して刃先Sとしても示される)において、接触点m1~m5が設けられ、接触点m1~m5において、ワーク加工中、仕上がったワークの歯面に刃先が接触する。接触点m1~m5のそれぞれは、工具とワークとの間の異なる転動角度に対応する。接触点m1~m5は、工具設計から容易に計算することができる。接触点m1~m5は、丸みを帯びている刃先にわたって延在する経路に位置する。上記接触点m1~m5の間の接続は、補償曲線17によって形成される。上記経路は、図2における縁部16から大幅に偏差を有することを見て取ることができる。
【0071】
本発明に係る方法は、上記偏差を考慮に入れる。工具軸は、各接触点m1~m5に関して、鉛直線に対して異なる角度Σだけ傾斜し、そのため、レーザービーム12又は円筒形検知面T1~T5は、それぞれ、関連する接触点m1~m5において接線方向に刃先に接触する。このために必要な角度Σの値は、工具設計に基づいて容易に計算することもできる。このようにして、接触点の経路に沿った刃先の幾何形状は、測定の結果として精密に求めることができる。この場合、以下が適用される。すなわち、刃先の面法線は、それぞれの接触点m1~m5においてワークの加工された歯面に対して常に垂直であり、それに対応して、レーザービーム又は円筒形検知面T1~T5は、この垂線に対して常に直角である。
【0072】
図3a~図3eは、平面S1~S5における拡大断面において、接触点m1~m5における幾何学的条件の概略図を示している。図3a~図3dでは代表的なものしか示さないが、図3eは、ここで関連する全ての参照符号(接触点m5、アールr5、すくい面18、すくい面の面取り部19、接触点の空間的移動経路24、刃先における垂線32)を示す。接触点m1~m5の位置が湾曲部分において接触点ごとに変化する様子、及びそれに対して接線方向である円筒形検知面T1~T5の方向が、工具軸Bに対して対応して変化する様子を見て取ることができる。丸みを帯びている右側の仮想刃先29が測定される場合、変化した軸位置において更なる測定サイクルが行われる。
【0073】
図4及び図4aは、仮想工具1vによって加工される仮想ワーク3vを示している。仮想ワーク3vは、仮想工具1vによって仕上げられたワークに対応する。空間における円筒形検知面の位置、ここでは、検知面T3又はレーザービーム12の位置は、再び上記図を用いて説明する。仮想工具1vの工具軸Bは、その測定位置に角度Σ3だけ旋回する。仮想工具1vの右側刃先29は、接触点m3において仮想ワーク3vの湾曲した歯面Czに接触する。曲率は、表面曲線13によって示される。レーザービーム12の検知面T3は、ここでは、接触点m3に関連する接線方向平面Ctにおける湾曲した歯面Czに位置するように延在し、歯面方向、すなわち、ねじれ角の方向(ここでは角度β3によって示されている)に位置合わせされる。
【0074】
図5図5a、及び図5bは、5つの接触点m1~m5、関連する5つの測定トラックR1~R5、及び関連する5つの円筒形検知面T1~T5を有する切削歯14の様々な図を示している。図5は、図3と同様の斜視図を示している。図5aは、上記切削歯14の側面図を示している。それぞれZ軸に沿った異なる位置Z1~Z5を有する個々の接触点m1~m5を見て取ることができる。したがって、接触点m1~m5は、Z軸に対して垂直な共通の平面には位置しない。したがって、工具のZ位置は、様々な接触点m1~m5における測定のそれぞれについて修正する必要がある。
【0075】
図5bは、切削歯14の平面図を示している。切削歯14を有するホブピーリング工具1が、例えば測定トラックR1において円筒形検知面T1を通過して移動する場合、刃先が接触点m1において検知面T1に接触する際の回転角度Φ1は、検出されるレーザーブリッジの0信号によって検出することができる。回転角度Φ2~Φ5は、更なる測定トラックR2~R5についても同様に検出され、円筒形検知面T2~T5は、工具軸Bに対して修正された角度位置をそれぞれ有する。上記回転角度の検出は、刃先Sにおける接触点の精密なイメージを可能にする。
【0076】
図6は、再び、図3と同様の切削歯14の斜視図を示しているが、2つの接触点m1及びm5のみが、関連する断面S1及びS5並びに関連する検知面T1及びT5を伴って示されている。検知面は、ここでもレーザービーム12によって実現することができる。図6a~図6dは、平面S1及びS5における切削歯14を通る断面の概略図を示しており、以下の説明が当てはまる。
図6aは、平面S1において、加工のための軸位置における断面を示し、図6bは、接触点m1を測定するための軸位置における断面を示している。
図6cは、平面S5において、加工のための軸位置における断面を示し、図6dは、接触点m5を測定するための軸位置における断面を示している。
-測定のための関連する軸位置において、円筒形検知面T1及びT5は、常に、空間的に固定された状態で鉛直に配置される。
【0077】
加工のための軸位置から第1の接触点m1を測定するための軸位置に工具を移動させ、工具を円筒形検知面に対して位置合わせするために、利用可能な機械軸が用いられる。このために、工具スピンドル2、及び本発明の実現形態によってはワークスピンドル4も、並進軸X及びYによって測定位置Mpに移動する。工具スピンドル2は、最初は、依然として元の設定角度Σにある。更なる軸Zによって、切削歯14における第1の接触点m1が、水平平面Mxy(図1aを参照)の高さにおいてレーザービーム12の中心に移動する。必要な場合、X軸及びY軸がこのために再び用いられる。軸を測定のために配向する場合、工具スピンドル2を、旋回軸Aによって新たな設定角度Σ1に旋回させ、以前の工具設定角度Σを、接触点m1におけるねじれ角β1によって補正する。その結果、設定は、加工のための軸位置から、選択された接触点における測定のための軸位置へと変換される。工具設定角度Σ1に旋回すると、工具スピンドル2は、規定の回転速度nBで、少なくともスピンドルの完全な1回転を行い、レーザービームが刃先によって遮られる回転角度Φが検出される。1回目の測定の後、工具スピンドル2は、次の接触点m2における測定のための軸位置に移動し、このシーケンスは、接触点m5における測定に至るまで同様に繰り返される。上記測定シーケンスは、逆順で行うこともできる。刃先の片側における接触点を測定した後、刃先の他の側における接触点も同様に測定する。このために、工具スピンドル2の同じ又は修正された回転方向を用いることができる。
【0078】
非接触で作用するレーザービーム12によって、測定時に問題なく60回転/分よりも大きいスピンドル回転速度nBを使用することができる。したがって、少なくとも5つの測定トラックR1~R5による完全な測定が、5秒~10秒未満で実行可能である。通常、5回の測定サイクルの後、十分に測定された値が得られ、CNCコントローラー8において表形式で記憶される。その後、上記値を、必要に応じて、測定技術における通常の方法を用いて評価することができる。必要な場合、測定サイクルの回数を増やすことができる。本例では、レーザービーム12又は検知面T1~T5は、鉛直に配置される。しかしながら、これに代わって、レーザービームは、他の任意の所望の空間的方位を有することもできる。別様に配置されたレーザービーム又は別様に配置された検知面の場合も、加工のための軸位置から、それぞれ測定される接触点に関連する測定のための軸位置への設定の変換が、同様の方法で行われる。
【0079】
図7は、鉛直レーザービーム12を備える測定装置11を示しており、仮想ホブピーリング工具1vの接触点m3が、測定位置Mpに位置している。これに関して、仮想ホブピーリング工具1vは、横断方向断面Bxyにおける実工具1の簡略化された表現として理解することもできる。スピンドル軸B又は横断方向断面Bxyは、事前に説明した工具設定角度Σ3だけ旋回する。測定位置Mpは、平面Mxy、Mxz、及びMyzの固定の交点に位置する。また、仮想ホブピーリング工具1vと転動しながら係合する仮想ワーク3vも示されており、レーザービーム12は、共通の接触点m3において接線方向に歯面Czに接触する。上記仮想ワーク3vは、純粋に視覚的な説明のために示されている。
【0080】
仮想ホブピーリング工具1vは、スピンドル回転速度nBでレーザービーム12を通過して回転し、L信号26及び0信号27が、切削歯14ごとに交互に生成される。切削歯14がレーザービーム12を遮ると、0信号27が生成される。上記レーザービーム12は、歯溝において再び遮蔽が解かれ、L信号26が生成される。CNC工具スピンドルBの対応する角度位置は、L信号26の場合及び0信号27の場合の双方で検出される。例えば、右側刃先29の第1の測定サイクルの場合、0信号27のみが評価され、CNCコントローラー8に表形式で記憶されることに留意すべきである。工具スピンドルBの同じ回転方向を有するが、左側刃先28のための修正された軸位置を有する第2の測定サイクルの場合、L信号のみが評価され、同じく表形式で記憶される。測定値は、CNCコントローラー8において各測定トラックに割り当てられ、可能な最終結果が、図8に概略的に示されている。図7aは、レーザービーム12から離れるように旋回した第1の切削歯14の例として、上記第1の測定により、斜めの位置における第1の切削歯中心15をL/0信号によって規定することができることを更に示している。上記中心15が基準値として用いられる場合、工具スピンドルBの後続の角度位置は、この値を参照することができる。
【0081】
この場合、一つのみの測定トラックR3における各個別の切削歯中心15を求め、ここから平均値を形成すれば十分であり得る。前記平均値が規定の公差範囲Δ内にある場合、加工を安全に開始することができる。同心度Rを測定するのにも、一つのみの測定トラックにおける測定で十分であり得、同心度測定は、切削歯中心の検出と同様に行われる。一方、切削歯14の刃先の形状を検出するには、複数の、好ましくは少なくとも5つの測定トラックR1~R5における測定が必要である。
【0082】
また、歯形状の工具1vにおけるL/0信号を、線形のL/0信号帯域25として概略的に示すことができる。工具1vには75個の切削歯z1~z75があり、L信号及び0信号も75回生成される。その結果、測定された偏差は、特に制御パネル9のスクリーン上に、視覚的に非常に良好に示すことができる。
【0083】
図7aは、領域D3内の接触点m3における細部の拡大図を示している。刃先28、29、30、及び31は、この図において説明のための一例として示されている。さらに、仮想工具1v、レーザービーム12、切削歯14、斜めの位置の切削歯中心15、L信号26及び0信号27、接触点m3、測定位置Mp、同心度R、測定トラックR3、及びピッチ角度τが示されている。
【0084】
図8は、各測定トラックR1~R5に対するL/0信号の角度位置Φの概略図を示している。既に言及したように、上記角度位置は、CNCコントローラー8に記憶され、制御パネル9のスクリーン上に表示され、様々な測定タスクに必要に応じて使用することができる。曲線当てはめの標準的な数学プロセスによって、最小二乗法を用いて比較的簡単かつ迅速な方法で、例えば、同心度R、切削歯中心15、及び/又はピッチ角度τを求めることが可能である。三次元の刃先Sをスキャンするためには、複数の、好ましくは少なくとも5つの測定トラックR1~R5を通る。また、補償曲線17を有する刃先Sの幾何形状は、最小二乗法を用いて測定された値から求めることができる。その後、事前に計算された理想的な刃先21との比較が可能になる。測定結果をチェックするために、更なる測定トラックを非常に迅速に通ることができる。既定の公差範囲(公差マージンΔ)が点線で示されている。
【0085】
図9図9a、図10、及び図10aは、レーザーブリッジ11を必ずしも鉛直に位置合わせする必要がないことを示している。上述したようなレーザーブリッジは、図9及び図9aにおいて、レーザービーム12が鉛直に、Z軸に対して平行に延びるように位置合わせされる。レーザービーム12が精密に円筒形であるか又はレーザービーム12の測定中に有効となる領域が精密に円筒形状である場合、ワーク1のZ軸に沿った精密な位置は、この配置の場合、重要でない。したがって、Z方向における精密な位置決めは必要ない。特に、工具1は、測定のために必ずしも図1aにおける基準平面Mxyに位置する必要がない。対照的に、図10及び図10aでは、レーザーブリッジ11は、Y軸の周りに角度δで鉛直から外れて傾斜する。結果として、レーザーブリッジ11と工具スピンドル2の工具ホルダー又は工具シャンクとの間の衝突のリスクが低減される。しかしながら、レーザービーム12は、ここではZ軸に対して平行に延びない。その結果、工具スピンドル2は、Z方向に関する測定中、測定される接触点が、仮想刃先における基準平面Mxyに精密に位置するように位置決めする必要がある。したがって、レーザービーム12のこの位置合わせでは、Z方向に沿った工具の精密な位置決めが必要になる。
【0086】
図11は、その代替として、触覚検知装置23によって測定されるホブピーリング工具1vを示している。切削歯14は、スキャンされることが好ましい。接触式の測定のため、測定中にホブピーリング工具1vが自由に回転することは可能でない。スキャン動作の場合、CNC軸A、B、及びXが同時に比較的ゆっくりと動く。Z軸は、必ずしも動かす必要はない。必要な場合、Y軸も同期させて伴うことができる。実際には、対応する測定曲線21を、少なくとも3つの切削歯14において測定することができる。検知装置23は、この場合、円筒形検知面T1とともに円筒形の検知フィンガーも用いる。
【0087】
図11aは、図11の領域D4における、触覚検知装置23の円筒形検知面T1と、スキャンされる切削歯14との間の係合を示している。上記スキャンの過程で、触覚検知装置23の円筒形検知面T1も、ホブピーリング工具1vの丸みを帯びている刃先Sに接線方向に当接する。しかしながら、工具軸Bの周りの関連する角度位置Φに関するスキャンされた測定値21が、L/0信号の代わりに生成される。
【0088】
図12及び図13は、従来の歯車切削機械のプラットフォーム上に設置されるホブピーリング機械におけるレーザーブリッジ11の可能な配置を示している。
【0089】
図12は、レーザーブリッジ11の形態の測定装置がワークキャリア33の形態の可動キャリア上に配置される、ホブピーリング機械の一変形形態を示している。ワークキャリア33は、鉛直軸Cの周りで複数の位置に旋回可能である。そのような可動ワークキャリアを備える機械の構想は、米国特許第6,565,418号に開示されている。ワークスピンドル4も、レーザーブリッジ11に対して旋回方向に関してオフセットされて(本例では90度オフセットされて)、ワークキャリア33上に配置される。上記ワークキャリア33が軸Cの周りに旋回する結果、ワークスピンドル4又はレーザーブリッジ11のいずれかが、工具1と相互作用する位置に移動することができる。ワークキャリアは、第1のワークスピンドルに対して180度だけオフセットされて配置された第2のワークスピンドル(図面には示されていない)を支持することができる。図12における図では、上記第2のワークスピンドルは、上記ワークキャリアの後側に位置する。このようにして、ワークスピンドルのうちの一つにおいて加工を行うことができ、一方、仕上がったワークは、他のワークスピンドル上の新たに加工されるワークと交換することができる。その結果、生産を行わない遊休時間が回避される。上記機械構想では、工具スピンドル2は、工具キャリア34上に配置された可動なホブピーリングヘッド35に収容され、工具キャリア34は、機械ベッド6上に変位可能に位置する。
【0090】
図12aは、図12の領域D5における拡大された細部を示している。前記細部から見て取ることができるように、本例におけるレーザーブリッジ11のレーザービーム12は、鉛直に位置合わせされず、鉛直に対して傾斜角度δをとることが好ましい。これは、レーザーブリッジ11が、ワークキャリア33の外形内に依然として存在することを可能にし、その結果、作業空間のシールをより容易にする。
【0091】
ホブピーリング機械の別の変形形態が図13に示されている。前記ホブピーリング機械は、米国特許第5,857,894号に開示されているような機械構想に基づく。上記実施形態では、レーザーブリッジ11は、機械ベッド6上に固定的に配置され、測定に必要な動きは、変位可能かつ旋回可能な工具キャリア34によって実行される。上記機械構想における工具スピンドル2は、機械ベッド6上に位置する上記工具キャリア34上に配置された可動ホブピーリングヘッド35内に収容される。工具キャリア34は、図示されていない加工位置と、図13に示されている測定位置との間で鉛直軸Cの周りに旋回可能である。加工位置において、工具1は、上記ワークを加工するために、ワーク3と相互作用することが可能であるように配置される。対照的に、測定位置では、工具1は、レーザーブリッジ11の形態の測定装置と相互作用することが可能であるように配置される。本例では、加工位置と測定位置との間の旋回角度は、180度である。しかしながら、他の旋回角度も想定可能であることは明らかである。
【0092】
図13aは、図13の領域D6における拡大された細部を示している。前記細部から見て取ることができるように、レーザーブリッジ11のレーザービーム12は、鉛直に位置合わせされず、本例でも鉛直に対して角度δをとる。しかしながら、レーザーブリッジ11の鉛直の固定配置も想定可能である。
【0093】
硬質加工のための歯車切削機械22における自動化された工具測定は、測定位置Mpにおける工具1と測定装置との記載された動作対の間の非常に精密な相対移動を必要とする。他の動作対の工具1とワーク3との間の利用可能な相対移動は、通常、マイクロメートル範囲内、又は回転軸の場合、角度秒の範囲内の高レベルの基本的な幾何学的精度を既に有する。ホブピーリング機械22の作業空間内における信頼性のある非常に精密な測定を確実にするために、測定位置Mpは、各加工の開始時に自動的に、また必要に応じて随時較正すべきである。このために可能な手順は、図14図14a、及び図14bを用いて以下に説明される。
【0094】
図14は、軸X、Y、及びZの座標系を有する図示されていないホブピーリング機械22における較正マンドレル36を示している。規定の高さh(図14aを参照)及び規定の較正直径φD(図14bを参照)を有する較正マンドレル36が、図示されていない工具スピンドル2に収納され、位置Z1における較正平面EKに移動する。レーザーブリッジ11の測定位置Mpも、上記平面に位置する。したがって、較正マンドレル36が、図14aにおける好適なX位置からまず開始して、測定位置Mpの方向においてY軸とともに移動すると、較正マンドレル36は、較正直径φDによってレーザービーム12に交差し、上記レーザービームはかき消される。この場合、CNCコントローラー8においてY位置Y1.0をマークする0信号27が、レーザーブリッジ11において生成される。Y軸が更に移動すると、較正直径φDは、再びレーザービーム12の遮蔽を解き、0信号27と同様に、CNCコントローラー8においてY位置Y1.LをマークするL信号26が生成される。CNCコントローラー8によって、双方のY位置間の中心は、レーザービーム12とワーク軸Cとの間の距離ymを規定するものとみなされる。しかしながら、これは、測定点Mpの高度に精密な較正にはまだ十分ではない。平面Y-Zにおけるレーザービーム12の精密な角度むき方位εも検出又は設定しなければならない。本発明の枠組み内で、ホブピーリング工具1の測定は、任意の所望の角度方位εにおいて行うことができ、当然ながら、好ましい方法では鉛直方位が用いられる。したがって、より高いZ位置Z2における第2の較正工程が有意であり、Y位置Y2.0及びY2.Lが、同様にマーク及び評価される。より高い精度要件の場合、更なるZ位置においても較正工程を行うことができる。CNCコントローラー8は、上記値を用いて高度に精密に角度方位εを求めることが可能である。レーザービーム12が、Y方向に沿った上記較正の場合に較正直径φDに交差しない場合、X方向に沿った位置を調整しなければならない。
【0095】
較正中の次の工程は、図14bに示されている距離xm及び角度位置δを求めるために、X方向に沿って行われる。レーザービーム12の工具軸Cまでのym距離が先行の較正工程において求められていることから、Y軸が工具スピンドル2を伴って回転対称の較正マンドレル36を上記位置に移動させることができる。開始時、上記工具スピンドル2は、X軸のゼロ位置及び較正平面EKのZ1位置にある。その後、工具スピンドル2は、較正マンドレル36を、較正直径φDがレーザービーム12に交差し、上記の記載にしたがってCNCコントローラー8においてX位置X1.0をマークする0信号27を生成し、その結果、レーザービームのワーク軸Cからのxm距離を規定するまでX方向に前進させる。平面X-Zにおける傾斜設定角度δは、レベルZ2における同様の較正動作を用いて求めることができる。
【0096】
それにより、各較正動作後、較正された距離ym及びxm並びに測定位置Mpに対する関連する角度位置δ及びεは、CNCコントローラー8に保存され、更なる測定のために用いることができる。
【0097】
一方で、上記較正動作の記載は、較正平面EKにおけるホブピーリング工具1の好ましい測定が、角度誤差とはほとんど無関係となり、その結果、精密に円筒形のレーザービーム12とともに有利に用いることが可能になることも示している。
【0098】
図15は、工具スピンドル2上に好ましい方法で配置することができるスキャン式検知装置10を用いた、ピーリングされたワーク3における任意のポストプロセス測定を示している。前記測定は、例えば、少なくとも3つの歯溝において、従来の基礎円測定に従って行われる。必要な場合、測定結果を用いて、ワーク加工のための設定の更なる補正を行う。このようにして、最適な品質保証を達成することができる。
【0099】
工具は、本図面の全てにおいて非常に概略的に示されている。加えて、全ての切削歯のすくい面は、上記図面における工具の場合、共通の平面に位置している。しかしながら、上記所見は、図示の工具に限定されず、任意の所望のホブピーリング工具、更には段差カット若しくは他の幾何学的設計を有する工具、又は他の歯車形状の工具に用いることができる。
【0100】
概して、本明細書において提案される方法は、以下の利点を可能にする。
-開始時及びワークの加工中、レーザーブリッジ11により、非接触の迅速かつ高精度のプロセス内測定が行われ、全ての測定値は、コントローラーに記憶される。
-現在の測定値と開始値とを連続的に比較することにより、刃先に対する寸法の変化、例えば摩耗V(図6bを参照)を検出することができる。
-三次元の丸みを帯びている刃先Sを補償曲線17により直接検出し、それにより、エンベロープカットによるホブピーリング中、ピーリングされたワーク3における最終的な歯面が形成され、ひいてはまた画定される。
-作用する刃先の精密な測定によって、一連のワークの加工時、ホブピーリング機械のCNC軸に対する好適な設定を、時間を掛けて探すことを明らかに低減することができ、プロセス関連の不適合が大幅に回避される。
【0101】
要約すると、本明細書において提案される方法は、以下の特徴を有する。
-丸みを帯びている刃先に接線方向に当接する円筒形検知面を測定に用いることができる。
-円筒形検知面が、それぞれの接触点においてワークの湾曲した歯面上の関連する接平面にあり、この場合、好ましくは対応するねじれ角の方向に位置合わせされるように配置される。
-精密に円形で、円筒形の、高度に精密なレーザービームが、円筒形検知面として用いられることが好ましい。円筒形検知インサートを備える触覚測定検知装置を、本発明の他の実施形態に対する一例として用いることもできる。一方で、これに関連して、長い測定時間、触覚スキャン、及び複雑な信号処理は不都合である。
-したがって、測定レーザービームは、ワークの湾曲した歯面における対応する接触点の接平面にあり、測定中、他の接触点において関連するねじれ角に旋回する必要がある。歯面における上記点ごとのねじれ角は、歯の高さが増加するにつれてサイズが拡大する。レーザービームの方位、ひいてはまた対応する測定装置の設定は、上記ねじれ角及び工具設定角度によって確定される。レーザービームには、総じておよそ0度~90度の調整可能な角度領域を必須とすべきである。
-しかしながら、実際には、レーザービームを備える測定装置が上記動作を実行する必要がある場合、コストに関してかなり不都合がある。したがって、レーザービームは、有利な方法では、ホブピーリング機械の作業空間において本質的に固定され、鉛直に配置することができ、レーザービームと工具軸との間の位置合わせの設定は、代わりに、工具スピンドルの既存のCNC旋回装置によって実現される。それに応じて、既存のCNC軸X、Y、及びZによって線形送りも実現することができる。機械設定は、このために、測定位置に対応して計算される。加えて、本質的に固定された測定位置を、ワーク位置から間隔を置いて配置し、それにより、工具を伴う工具スピンドルの位置決めのために衝突をなくすのに十分な空間が存在することが有利である。
-また、固定的に配置されたレーザービームによって、複数の、好ましくは少なくとも5つの径方向測定トラックを、それぞれ、工具設定角度の固定設定値で通りながら、回転するホブピーリング工具における歯形状の丸みを帯びている刃先領域において、規定の回転速度でスキャンすることが可能である。歯面ごとのそれぞれの計算された接触点は、軸X、Y、Z、A、及びBにおける線形送り及び回転送りによって、レーザービームに対する測定位置に位置決めされる。歯形状の工具を回転させる際にレーザービームを交互に遮ることによって、非常に簡単な方法で、信頼性のあるシンプルなL/0信号を生成することができる。刃先の片側が測定されると、刃先の他の側を、同様の方法で、修正された設定を用いて測定することができる。
-工具の切削歯が測定トラックにおいてレーザービームを通過して移動すると、L/0信号によってシンプルに接触点を検出することができ、回転するCNC工具スピンドルの対応する角度値を検出することができる。上記角度値及び径方向測定トラックの設定は、CNCコントローラーにおいて表形式で記憶することができ、歯車に典型的な様々な測定に用いることができる。
【0102】
本明細書において提案される方法は、円筒形検知面(例えば、レーザービームの形態)が接線方向に刃先をスキャンする例を用いて上記で説明した。この場合、重要な態様は、各場合に、仮想刃先における仮想接触点が計算され、刃先における仮想接触点の位置に応じた刃先と測定装置との間の方位及び並進位置において測定が実現されることであった。この場合、上記に挙げた利点の少なくとも一部は、円筒形状でない検知面を用いて達成することもできる。例えば、接触点に収束するレーザービームを用いることが想定可能である。例えば、ボールの形態の非円筒形の物理的検知手段を用いることも想定可能である。
【0103】
挙げられた利点の少なくとも一部は、接線方向スキャンの実行だけでなく、別様に測定される刃先によって、例えば、三角法又は3Dスキャン測定を用いた距離測定によって更に達成することもできる。これに関して、上記に提示した方法は、円筒形検知面による接線方向スキャンに限定されない。
【符号の説明】
【0104】
1 ホブピーリング工具
1v 仮想ホブピーリング工具
2 工具スピンドル
3 ワーク、歯車
3v 仮想ワーク
4 ワークスピンドル
5 送りキャリッジ
6 機械ベッド
7 歯合わせプローブ
8 CNCコントローラー
9 制御パネル
10 スキャン式検知装置
11 レーザーブリッジ
12 レーザービーム
13 表面曲線
14 切削歯
15 切削歯中心
16 刃先アールの逃げ面への移行部における縁部
17 補償曲線
18 すくい面
19 すくい面の面取り部
20 ホブピーリング機械の作業空間
21 スキャンされた測定曲線、測定値
22 ホブピーリング機械、歯車製造機械
23 触覚検知装置
24 接触点の移動経路
25 L/0信号帯域
26 L信号
27 0信号
28 刃先、左側
29 刃先、右側
30 歯元の刃先
31 歯先の刃先
32 刃先における垂線
33 ワークキャリア
34 工具キャリア
35 ホブピーリングヘッド
36 較正マンドレル
37 刃先ブランク
A 工具スピンドルの旋回軸
B 工具軸
Bxy 横断方向断面における工具の基準平面
C ワーク軸
Ct 工具とワークとの接触点における接平面
Cz ワークにおける歯面
工具キャリアの旋回軸
** ワークキャリアの旋回軸
D1~D6 図における細部の領域
φD 較正マンドレルにおける較正直径
EK 位置Z1における較正平面
h 較正マンドレルにおける高さ
K ワーク軸CにおけるX及びYの原点を有する機械の座標系
Mp 測定位置
Mxz X方向におけるレーザービームの中心を通る鉛直平面
Myz Y方向におけるレーザービームの中心を通る鉛直平面
Mxy レーザーブリッジの水平中心平面
m1~m5 刃先における仮想接触点
nB 工具スピンドルの回転速度
R ホブピーリング工具の同心度
R1~R5 ホブピーリング工具における測定トラックのアール
r1~r5 刃先のアール
S 仮想刃先
S1~S5 切削歯におけるすくい面に対して垂直かつ補償曲線に対して直角の断面
T1~T5 丸みを帯びている刃先に接線方向に当接する円筒形検知面
V 刃先における摩耗
X 並進CNC軸
X1.0 較正平面EKにおける較正時のX位置
X2.0 Z位置Z2における較正時のX位置
xm レーザービームとワーク軸との間のX距離
Y 並進CNC軸
Y1.0 レーザーブリッジにおける0信号を用いた較正平面EKにおける較正時のY位置
Y1.L レーザーブリッジにおけるL信号を用いた較正平面EKにおける較正時のY位置
Y2.0 レーザーブリッジにおける0信号を用いたZ位置Z2における較正時のY位置
Y2.L レーザーブリッジにおけるL信号を用いたZ位置Z2における較正時のY位置
ym レーザービームとワーク軸との間のY距離
Z 並進CNC軸
Z1 較正平面EKにおける較正時のZ位置
Z2 較正時の増加したZ位置
Z1~Z5 切削歯中心15に対する工具における接触点のZ高さ
z1~z75 工具の歯の数、例えばz75
β ピッチ円(基準円)におけるねじれ角
β1~β5 様々な歯高におけるワーク歯面のねじれ角
δ X方向におけるワークスピンドルの回転軸に対するレーザービームの傾斜角度
ε Y方向におけるワークスピンドルの回転軸に対するレーザービームの角度位置
Δ 公差範囲
Σ 加工のための軸位置における工具角度
Σ1~Σ5 測定のための軸位置における工具角度
τ ピッチ角度
Φ1~Φ5 CNC工具スピンドルの角度位置

図1
図1a
図2
図3
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図4
図4a
図5
図5a
図5b
図6
図6a
図6b
図6c
図6d
図7
図7a
図8
図9
図9a
図10
図10a
図11
図11a
図12
図12a
図13
図13a
図14
図14a
図14b
図15