(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】RFオーバーファイバを用いたMRIシステムへのMRI受信コイルの非ガルバニック接続のための装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20230928BHJP
G01N 24/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
A61B5/055 355
G01N24/00 570C
G01N24/00 570Y
A61B5/055 ZDM
(21)【出願番号】P 2020542394
(86)(22)【出願日】2019-01-28
(86)【国際出願番号】 EP2019051931
(87)【国際公開番号】W WO2019154641
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2022-01-18
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】オーティズ ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】ウィン トレイシー アリン
(72)【発明者】
【氏名】フリマン オッリ タピオ
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-297067(JP,A)
【文献】国際公開第2014/024114(WO,A1)
【文献】特開2007-297067(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0096455(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0011139(US,A1)
【文献】特表2006-517416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G01N 24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴(MR)受信装置であって、
複数のRFコイル素子を有するコイル又はコイルアレイであって、各RFコイル素子が、コイルと、当該RFコイル素子の出力を増幅することにより増幅されたRF信号を生成するよう接続されるプリアンプと、を有し、前記コイル又はコイルアレイが更に、個々のRFコイル素子に接続された1又は複数のRFミキサを有し、各RFミキサが、対応するRFコイル素子のRF信号を、当該RFコイル素子の指定された周波数に周波数シフトする、コイル又はコイルアレイと、
光ファイバと、前記光ファイバに光信号を送るように光結合されたフォトニックデバイスと、前記増幅されたRF信号を有するMR信号によって光信号を変調するよう接続されたRF変調器と、を有するRFオーバーファイバモジュールと、
を有し、
前記MR信号は、前記複数のRFコイル素子の周波数シフトされたRF信号の周波数領域多重化(FDM)合成を含み、
前記装置は、前記1つ又は複数のRFミキサに少なくとも1つの発振器信号を送信するように構成された第2のRFオーバーファイバモジュールを更に有し、前記コイル又はコイルアレイが、前記第2のRFオーバーファイバモジュールの前記少なくとも1つの発振器信号を介して前記コイル又はコイルアレイに伝達される光パワーによって少なくとも部分的に電力供給され
、
前記少なくとも1つの発振器信号は前記周波数シフトのために使用される、
磁気共鳴(MR)受信装置。
【請求項2】
前記第2のRFオーバーファイバモジュールが、
光パワーを前記コイル又はコイルアレイに連続的に供給すること、又は
前記コイル又はコイルアレイのバッテリ又はストレージキャパシタに光パワーを供給すること、
の一方によって前記少なくとも1つのコイル又はコイルアレイに電力供給するように構成される、請求項1に記載のMR受信デバイス。
【請求項3】
前記コイル又はコイルアレイが更に、前記MR信号を生成するために、前記複数のRFコイル素子の周波数シフトされたRF信号を合計するように構成された合計器を有する、請求項1乃至2のいずれか1項に記載のMR受信装置。
【請求項4】
アナログ/デジタル変換器を有するMR受信装置であって、
前記RFオーバーファイバモジュールの光ファイバからMR信号によって変調された光信号を受信し、
受信した光信号からMR信号を抽出し、前記MR信号をデジタル信号に変換し、
前記デジタル信号をデジタル信号処理ユニットに送信する、
よう構成されたMR受信器を更に有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のMR受信装置。
【請求項5】
静磁場を生成する磁石を有するMRスキャナと、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のMR受信装置と、
前記RFオーバーファイバモジュールから受信したMR信号によって変調された光信号から、MR信号を抽出するRF受信器と、
前記抽出されたMR信号を再構成して、再構成されたMR画像を生成するようプログラムされた電子プロセッサを有するMR再構成プロセッサと、
を有する、磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項6】
複数のRFコイル素子を有するコイル又はコイルアレイであって、各RFコイル素子が、コイルを有し、RF信号を出力する、コイル又はコイルアレイと、
1つ又は複数のRFミキサ及び信号コンバイナを有する周波数領域多重化(FDM)回路であって、前記FDM回路は、前記RF信号が多重化されたMR信号の複数のRFチャンネルに周波数シフトされた多重化されたMR信号を出力するように構成されている、FDM回路と、
光ファイバと、前記光ファイバに光を発するよう光ファイバに光学的に結合されたフォトニックデバイスと、前記多重化されたMR信号によって光を変調するよう接続されたRF変調器と、を有するRFオーバーファイバモジュールと、
を有し、
前記コイル又はコイルアレイに接続され及び前記FDM回路の各RFミキサに発振器信号を伝達する第2のRFオーバーファイバモジュールを更に有し、
前記コイル又はコイルアレイが、前記第2のRFオーバーファイバモジュールの前記少なくとも1つの発振器信号を介して前記コイル又はコイルアレイに伝達される光パワーによって少なくとも部分的に電力供給され
、
前記少なくとも1つの発振器信号は前記周波数シフトのために使用される、
磁気共鳴(MR)受信装置。
【請求項7】
前記FDM回路がコイルユニットとして前記コイル又はコイルアレイと一体化され、前記RFオーバーファイバモジュールが前記コイルユニットと接続されている、請求項6に記載のMR受信装置。
【請求項8】
前記コイル又はコイルアレイが局部発振器を含まない、請求項6に記載のMR受信装置。
【請求項9】
前記コイル又はコイルアレイに接続されたガルバニックケーブルがない、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のMR受信装置。
【請求項10】
磁気共鳴イメージング方法であって、
プリアンプにより、RFコイル素子の出力を受信し、当該RFコイル素子の増幅されたRF信号を生成するステップと、
前記プリアンプに結合されたRFオーバーファイバモジュールにより、前記RFオーバーファイバモジュールのフォトニックデバイスを使用して、前記増幅されたRF信号を、前記増幅されたRF信号によって変調された光信号に変換し、前記増幅されたRF信号によって変調された前記光信号を、前記RFオーバーファイバモジュールの光ファイバを介して送信するステップと、
を有し、
第2のRFオーバーファイバモジュールにより、前記プリアンプに接続されたミキサに、少なくとも1つの局部発振器信号を送信するステップであって、
前記ミキサは、対応するRFコイル素子のRF信号を、当該RFコイル素子の指定された周波数に周波数シフトし、コイル又はコイルアレイが、前記第2のRFオーバーファイバモジュールの前記少なくとも1つの発振器信号を介して前記コイル又はコイルアレイに伝達される光パワーによって少なくとも部分的に電力供給される、ステップを更に有し、
前記MRイメージング方法が更に、前記複数のコイルの増幅されたRF信号を周波数領域多重化して、周波数領域多重化された信号を生成するステップを更に有し、
前記RFオーバーファイバモジュールの前記フォトニックデバイスが、前記周波数領域多重化された信号を、前記周波数領域多重化された信号によって変調された光信号に変換
し、
前記少なくとも1つの局部発振器信号は前記周波数シフトのために使用される、
MRイメージング方法。
【請求項11】
前記RFオーバーファイバモジュールの外側に配置されたアナログ/デジタル変換器により、前記RFオーバーファイバモジュールから、前記増幅されたRF信号によって変調された前記光信号を受信し、前記増幅されたRF信号によって変調された前記光信号を、前記増幅されたRF信号を表すデジタル信号に変換するステップを更に有する、請求項10に記載のMRイメージング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、磁気共鳴(MR)受信システム、MRコイルおよびコイルアレイ、MRイメージングシステムなどに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MR受信コイル及びコイルアレイは、システム側のRF受信器と導電性(ガルバニック)ケーブルで接続されている。これは、導電性ケーブルが磁界勾配又はRF送信パルスとカップリングする可能性があり、ゆえに、加熱及び/又はノイズ増加の可能性につながるという欠点をもつ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
MRIコイルのケーブル配線は、最初の受信コイルが作られたときから課題となっていた。ケーブル配線には様々な機能があるが、大きく分けて内部ケーブル配線と外部ケーブル配線に分けられる。内部ケーブル配線は、個々の素子からコイルの電気構造の他の部分にRF信号を導通し、コイル/システムインタフェースから個々の素子に電力及びスイッチング信号を導通する。外部ケーブル配線又は「システム」ケーブル配線は、MRIシステムへのコイルのケーブルテザーである。この種のケーブルは通常、外部コイルハウジングからシステムの専用コネクタまで延びている。
【0004】
ケーブルの欠点としては、内部であれ外部であれ、外部環境からの電界や磁界を介してカップリングされる意図しない信号の伝導を防ぐことが困難であることが挙げられる。MRIスイートは、特にラーモア周波数付近では、かなり「ノイズの多い」RF環境である。これらの不所望の電界の強度は、ケーブルに電流及び電圧を発生させるのに十分な大きさであり、コイル及び時には患者に危険をもたらすことがある。これは特に、患者の組織上又はその近くに配線されなければならないシステムケーブルに当てはまる。ケーブルはまた、製造コストが高いこと、及びその固有の柔軟性及び移動性に起因して、使用中に非常に断線しやすいことの両方に悩まされており、ケーブルの柔軟性及び移動性は、ケーブルが「ハンドル」のように扱われたり、ケーブルがコイルハウジングから自由に揺れるときに衝撃力を受けることにつながる。
【0005】
以下に一定の改良点を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示された一側面において、磁気共鳴(MR)受信装置は、少なくとも1つの高周波(RF)コイル素子を含むコイル又はコイルアレイを有し、各RFコイル素子は、コイルと、増幅されたRF信号を生成するためにRFコイル素子の出力を増幅するように接続されるプリアンプと、を有する。MR受信装置は更に、光ファイバと、光信号を光ファイバに送るように光学的に結合されるフォトニックデバイスと、増幅されたRF信号を含むMR信号によって光信号を変調するように接続されたRF変調器と、を有するRFオーバーファイバモジュールを有する。
【0007】
幾つかの実施形態において、RFオーバーファイバモジュールは、MRコイル又はコイルアレイに光パワーを連続的に供給すること、又はMRコイル又はコイルアレイのバッテリ又はストレージキャパシタに光パワーを供給すること、の一方によって、MRコイル又はコイルアレイに電力供給するように構成されている。
【0008】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのRFコイル素子は、複数のRFコイル素子を有し、MRコイル又はコイルアレイは更に、それぞれのRFコイル素子に接続された1つ又は複数のRFミキサを有し、各RFミキサは、対応するRFコイル素子のRF信号を、当該RFコイル素子のために指定された周波数にシフトさせる。幾つかの実施形態において、MR信号は、複数のRFコイル素子の周波数シフトされたRF信号の周波数領域多重化(FDM)合成を含む。
【0009】
幾つかの実施形態において、MR受信装置は更に、少なくとも1つの発振器信号を1つ又は複数のRFミキサに送信するように構成された第2のRFオーバーファイバモジュールを有する。
【0010】
幾つかの実施形態において、第2のRFオーバーファイバモジュールは、MRコイル又はコイルアレイに連続的に光パワーを供給すること、又はMRコイル又はコイルアレイのバッテリ又はストレージキャパシタに光パワーを供給すること、の一方によって、少なくとも1つの高周波コイルに電力供給するように構成されている。
【0011】
幾つかの実施形態において、コイル又はコイルアレイは、更に、少なくとも1つのコイル側局部発振器(LO)を含み、コイル側局部発振器は、少なくとも1つの発振器信号を1つ又は複数のRFミキサに送信するよう接続されている。
【0012】
幾つかの実施形態において、MRコイル又はコイルアレイは、MR信号を生成するために、複数のRFコイル素子の周波数シフトされたRF信号を合計するように構成された合計器を更に有する。
【0013】
幾つかの実施形態において、MR受信装置は更に、アナログ/デジタル変換器(ADCDATA)を有するMR受信器を有し、アナログ/デジタル変換器は、RFオーバーファイバモジュールの光ファイバから、MR信号によって変調された光信号を受信し、受信した光信号からMR信号を抽出し、MR信号をデジタル信号に変換し、デジタル信号をデジタル信号処理(DSP)ユニットに送信するよう構成されている。
【0014】
幾つかの実施形態において、磁気共鳴(MR)イメージングシステムは、静磁場(B0)を生成する磁石を有するMRスキャナと、上記のようなMR受信装置と、RFオーバーファイバモジュールから受信したMR信号によって変調された光信号から、MR信号を抽出するように構成されたRF受信器と、抽出されたMR信号を再構成して、再構成されたMR画像を生成するようプログラムされた電子プロセッサを有するMR再構成プロセッサと、を有する。
【0015】
別の開示された側面では、磁気共鳴(MR)受信装置は、複数の高周波(RF)コイル素子を含むコイルアレイであって、各RFコイル素子がコイルを有し、RF信号を出力する、コイルアレイと;1つ又は複数のRFミキサ及び信号コンバイナを有する周波数領域多重化(FDM)回路であって、RF信号が周波数シフトされている多重化されたMR信号を、多重化されたMR信号の複数のRFチャンネルに出力するように構成されたFDM回路と;光ファイバと、光ファイバに光を入射させるように光ファイバに光学的に結合されたフォトニックデバイスと、多重化されたMR信号によって光を変調するように接続されているRF変調器と、を具備するRFオーバーファイバモジュールと、を有する。
【0016】
幾つかの実施形態において、FDM回路は、コイルユニットとしてコイルアレイと一体化され、RFオーバーファイバモジュールは、コイルユニットと接続される。
【0017】
幾つかの実施形態において、MR受信装置は更に、コイルユニットに接続され及びFDM回路の各RFミキサに発振器信号を伝達するように構成された第2のRFオーバーファイバモジュールを有する。
【0018】
幾つかの実施形態において、コイルユニットは、局部発振器を含まない。
【0019】
幾つかの実施形態において、コイルユニットは、第2のRFオーバーファイバモジュールを介してコイルユニットに伝達される光パワーによって少なくとも部分的に電力供給されるように構成される。
【0020】
幾つかの実施形態において、FDM回路は、コイルユニットと一体化された1つ又は複数のコイル側局部発振器を更に有し、コイル側局部発振器は、FDM回路の各RFミキサに発振器信号を供給する。
【0021】
幾つかの実施形態において、コイルユニットに接続されたガルバニックケーブルは存在しない。他の実施形態において、1つ又は複数のガルバニックケーブルが、コイルユニットに接続されており、例えば、コイルユニットに動作電力を供給するためのガルバニックケーブルが提供されてもよい。
【0022】
別の開示された側面において、MRイメージング方法は、プリアンプ(LNA)により、高周波コイル素子の出力を受信し、コイル素子の増幅された高周波信号を生成するステップを有する。MRイメージング方法は更に、プリアンプ(LNA)に結合されたRFオーバーファイバモジュールにより、RFオーバーファイバモジュールのフォトニックデバイスを使用して、増幅された高周波信号を、増幅された高周波信号によって変調された光信号に変換するステップと、増幅された高周波信号によって変調された光信号を、RFオーバーファイバモジュールの光ファイバを介して送信するステップと、を有する。
【0023】
幾つかの実施形態において、MRイメージング方法は更に、第2のRFオーバーファイバモジュールにより、プリアンプ(LNA)に接続されたミキサに、少なくとも1つの局部発振器(LO)信号を送信するステップを有する。
【0024】
幾つかの実施形態において、方法は更に、RFオーバーファイバモジュールの外部に配置されたアナログデジタル変換器(ADCDATA)を使用して、RFオーバーファイバモジュールから、増幅された高周波信号によって変調された光信号を受信し、増幅された高周波信号によって変調された光信号を、増幅された高周波信号を表すデジタル信号に変換するステップと、を有する。
【0025】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つの高周波コイルは、複数の高周波コイルを有し、方法が更に、周波数領域多重化された信号を生成するために、複数のコイルの増幅された高周波信号を周波数領域多重化するステップを有する。幾つかの実施形態において、RFオーバーファイバモジュールのフォトニックデバイスは、周波数領域多重化信号を、周波数領域多重化信号によって変調された光信号に変換する。1つの利点は、簡素化されたコイル側の実装(例えば、オンコイルA/D回路の必要性がない)にある。
【0026】
別の利点は、アナログシステム側のRF受信チェーンとの互換性をもつ受信コイル信号の光伝送を提供することにある。
【0027】
別の利点は、コイルでの消費電力の低減にある。
【0028】
別の利点は、光ファイバを介してRF受信コイルに電力供給できる可能性にある。
【0029】
別の利点は、より柔軟なケーブルにある。
【0030】
別の利点は、ケーブルの軽量化にある。
【0031】
別の利点は、複数の受信チャネルをもつコイル又はコイルアレイからの信号の光ファイバ上での多重伝送を提供することにある。
【0032】
所定の実施形態は、上述の利点のどれも提供しない、あるいは、上述の利点の1つ、2つ、2つ以上、又はすべてを提供することができ、及び/又は、本開示を読み理解することにより当業者には明らかになるであろう他の利点を提供することができる。
【0033】
本発明は、様々なコンポーネント及びコンポーネントの配置、並びに様々なステップ及びステップの配置の形態をとることができる。図面は、好ましい実施形態を例示する目的のためだけのものであり、本発明を限定するものとして解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】RFオーバーファイバを介してRF受信器に接続された受信コイルアレイを有する磁気共鳴(MR)イメージング装置を示し、差し込み図は、MR受信コイルとRF受信器との間のRFオーバーファイバリンクの図式的な詳細を示す図。
【
図2】一実施形態に従って、RFオーバーファイバを使用してMR受信コイル又はコイルアレイを結合するためのプロセスを図式的に示す図。
【
図3】
図1のMRコイルアレイ、RF受信器、及び接続RFオーバーファイバモジュールの一実施形態を示す図。
【
図4】
図1のMRコイルアレイ、RF受信器、及び接続RFオーバーファイバモジュールの別の実施形態を示し、1つのRFオーバーファイバモジュールのみを有する例を示す図。
【
図5】デジタル信号処理(DSP)を有する
図1のMRコイルアレイ、RF受信器、及び接続RFオーバーファイバモジュールの別の実施形態を示す図。
【
図6】第1のRFオーバーファイバモジュール内にDSP及びアナログ/デジタル変換器を含む、
図1のMRコイルアレイ、RF受信器、及び接続RFオーバーファイバモジュールの別の実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1を参照して、例示的な医用イメージング装置10は、磁気共鳴(MR)イメージングスキャナを有し、MRイメージングスキャナは、例示的な例において、非限定的な例として静磁場(B0)を発生させる超電導磁石又は抵抗磁石、B0磁場に磁場勾配を重畳するための磁場勾配コイル、全身無線周波数(RF)コイル、及び/又はMRボア14又は他のMR検査領域に配置される撮像対象内に磁気共鳴を励起し及び/又は空間符号化するためにRFパルスを印加する1つ又は複数の局所コイル又はコイルアレイ、及び/又は他のコンポーネントのような、
図1には示されない様々なコンポーネントを有するハウジング又はガントリ12を有する。例示的な実施形態において、MR信号を受信するコイル又はコイルアレイ16が提供される。例示的なコイルアレイ16は、E1、E2...ENと添え字を付けられることができるコイル素子の3×3アレイを有する(例示的な3×3コイルアレイにおいて、N=9であるが、より一般的には、Nは1、2、3、4、又はそれ以上の数であってもよく、例えば、幾つかのコイルアレイは、数十個のコイル素子を有することもできる)。コイル又はコイルアレイは、単一のコイル素子のように少ない数のコイル素子を含むことが企図される。本明細書で使用する「コイル素子」は、MR信号を検出するためにMR周波数で共振するアンテナ(又は導電性のピックアップループ等)E1、E2...ENを意味し、用語「コイル」又は「コイルアレイ」16は、1つ又は複数のコイル素子E1、E2、...、EN、例えば、初期(事前)増幅を提供するために各コイル素子に一般に接続される低雑音増幅器(LNA)のような関連する電子機器、RF送信フェーズ中に受信コイルをデチューンするための制御回路、及び/又は相互接続したプリント回路を有するプリント回路基板上に配置された又は別の方法でアセンブルされた電子機器を含む局所コイルの全体を指す。例示的なコイルアレイ16は、コイルユニットとして構成され、すなわち、コイル素子E1、E2...EN及び関連する電子機器、プリント回路基板等が、コイルユニットとしてアセンブルされる。コイルユニットは、幾つかの実施形態において、例えば患者の解剖学的構造の湾曲に適合するように、柔軟であってもよく、及び/又は、例えば、腕又は脚の周りを回る環状リング又はカフのフォームファクタを有する四肢コイル、又は患者の頭の上に適合的にフィットする頭部コイルの場合のように、患者の上にフィフィットするか又は患者に固定されるような形状でありうる。ロボティック患者寝台18又は他の被検体支持体は、医療患者、医療スクリーニングを受けている被検体、又は他の撮像対象を、撮像のためにMRボア14にロードすることを可能にする。局所コイル又はコイルアレイ16は、(複数の)コイル素子E1、E2、...、ENと、患者又は特定の解剖学構造内で励起されるMRとの間の密接な電磁結合を容易にするために、患者上又は患者に近接して(場合によっては、より具体的には、患者の四肢、頭部、又は他の特定の解剖学的構造上に)配置される。
図1は単一の局所コイル16を図示しているが、幾つかのイメージングセッションでは、所望のMR信号捕捉を提供するために複数の局所コイル(それぞれがコイル又はコイルアレイであってもよい)が採用されてもよいことに留意すべきである。
【0036】
コイル素子E1、E2、...、ENによって受信されたMR信号を、受信コイルアレイ16から送信するために、RFオーバーファイバモジュール又は接続部20が採用される。RFオーバーファイバモジュール又は接続部20は、光ファイバ22と、コイル側でフォトニックデバイスドライバ25によって駆動されるフォトニックデバイス24(例えば、LED、レーザダイオードなど)及びフォトニックデバイス24によって出力される光信号をMR信号によって変調するRF変調器26を含む光送信アセンブリ23と、を有する。例示的な光送信アセンブリにおいて、RF変調器26は、光信号(すなわち、光ファイバ22内に発せられた光)のRF変調を達成するために、フォトニックデバイスドライバ25によってフォトニックデバイス24に供給される電流又は電力を変調する。言い換えれば、例示のRF変調器26は、フォトニックデバイス24によって出力される光の強度を変調する。強度を変調することに代えて、波長、位相、偏光などの光の別の特性が変化させられてもよい。更に、パルス幅変調(PWM)型の符号化スキームが使用されてもよい。代替的な実施形態(図示せず)では、RF変調器は、フォトニックデバイス24と光ファイバ22への光結合との間に介在する液晶デバイス(LCD)のような電気光学変調器として具現化されてもよく、この代替的な実施形態において、フォトニックデバイス24は一定の強度で光を出力し、電気光学デバイスは、MR信号に従ってフォトニックデバイスによって出力される光を減衰させることによってRF変調を実施する。他の変形例として、LCD変調器は、強度変調を使用するのではなく、RFオーバーファイバ信号を生成するために、MR信号に従って偏光変調又はある種の他のタイプの変調を導入することもできる。RFオーバーファイバモジュール又は接続部20は更に、光ファイバ22の遠位端において、光送信アセンブリ24、25、26によって発せられたRF変調された光からMR信号を抽出する、増幅回路29に接続された光検出器28(例えば、フォトダイオード、光導電デバイス、又はそのようなもの)を有する光受信アセンブリ27を有する。増幅回路29は、例えば、下流のアナログRF信号処理回路へのカップリングに適した設計ベースの出力インピーダンスを有して光検出器28の光電流を光電圧に変換するオペアンプベースの回路を有してもよい。
【0037】
MR受信コイル又はコイルアレイ16からMR信号を運ぶ(port)ためのRFオーバーファイバモジュール又は接続部20の使用は、受信コイルからのMR信号を運ぶための他のアプローチよりも実質的に有利である。光ファイバ22は、非ガルバニックであり、MRスキャナ10によって生成された磁場又はRF場と電磁気的に結合しない。これにより、ガルバニックケーブルに電流が誘導されるときに生じる可能性のある安全性の問題を回避し、送信されたMR信号にノイズを導入する可能性を低減する。特に、RFオーバーファイバの使用は、本明細書で認識されているように大きな利点を有する。MR信号はRF信号として伝送されるので、伝送用のベースバンドにヘテロダインされる必要がない。更に、本明細書で後に開示されるように、コイルアレイ16の例示的な実施例において、複数のコイル素子E1、E2、...、ENによって検出されたRF信号は、RF信号を指定されたチャネルに周波数シフトし、周波数シフトされたRF信号を合成して、RFオーバーファイバモジュール又は接続部20のRF変調器26に入力される周波数領域多重化(FDM)MR信号を形成するように組み合わせられることができる。N個のコイル素子E1、E2、...、ENが存在する場合、FDMのMR信号にはN個のチャネルが存在する。一実施形態において、N個のRF信号のうちのN-1個は、MR周波数からずらされて指定されたRFチャネルに周波数シフトされ、N個のチャネルのうちの1個は、周波数シフトされず、従ってMR周波数のままである。(別の言い方をすれば、MR周波数は、FDMのMR信号のN個のチャネルのうちの1つである)。代替的なアプローチでは、N個のRF信号のどれもが、指定されたRFチャネルに周波数シフトされ、すなわち、MR周波数は、FDM MR信号のN個のチャネルの1つではない。この後者のアプローチは、MRスキャナ10がMR周波数で特に多くのノイズを生成するので、MR受信コイル16の電子機器におけるノイズピックアップを制限する上で有益でありうる。RFオーバーファイバを使用する別の利点は、RFオーバーファイバモジュール又は接続部20を介して受信コイル16に光パワーを伝送することが可能であることである。さらなる利点は、増幅回路29によって出力される(多重化されている可能性がある)コイル信号がアナログRF信号であるという事実にあり、これは、コイル素子によってピックアップされたRF信号(及び任意にLNAによって増幅された)を伝送するために単純なガルバニックケーブルを使用したときに受信されるアナログRF信号と同じである。その結果、RFオーバーファイバモジュール又は接続部20によって出力された(任意に多重化された)MR信号は、「ピックアップしたまま」のアナログRF信号の形態でMR信号を受信して処理するように設計された従来のRF受信器に入力され、処理されることができる。これはまた、コイルユニット16が、復調器、アナログデジタル変換回路などの追加の処理回路を含む必要がないことを意味する。
【0038】
図1の主な図面に戻ると、RFオーバーファイバモジュール又は接続部20は、コイルからの受信アナログRF信号を、光ファイバ20を介してRF受信器30に送信するために採用される。このために、RFオーバーファイバモジュール又は接続部20の増幅回路29によって出力されたアナログ(任意に多重化された)MR信号が、RF受信器30に入力される。先に述べたように、これは、ガルバニックケーブルを介してMR受信コイルから受信したアナログMR信号が処理される方法と同一に処理され得るアナログ信号である。これは、アナログMR信号を受信して処理するように設計された従来のMRシステムのRF受信器の使用を容易にする。非一時的記憶媒体(例えば、ハードディスク又は他の磁気記憶媒体、フラッシュメモリ、ソリッドステートドライブ又は他の電子記憶媒体、光ディスク又は他の光記憶媒体、前記の2つ以上の幾つかの組み合わせなど)に記憶された命令によってプログラムされたコンピュータ又は他の電子プロセッサを有するMR再構成プロセッサ40は、磁気共鳴の空間符号化に適したMR再構成アルゴリズム(例えば、フーリエ変換再構成)を使用してMR信号を再構成する。例えば、フーリエ変換再構成又はそのようなもの)を用いてMR信号を再構成し、画像50が生成され、ディスプレイ(図示せず、例えば、LCDディスプレイ、OLEDディスプレイ、又はそのようなもの)に表示され、様々な画像処理技術を用いて処理され、及び/又は他の方法で処理されることができる。
【0039】
本明細書に記載された実施形態は、非導電(非ガルバニック)光ファイバ22を介して、送信機24、25、26から受信器28、29への高帯域幅MR信号の送信を可能にするRFオーバーファイバ(及び任意にパワーオーバーファイバ)技術を使用する。幾つかの実施形態において、RFオーバーファイバ20は、狭帯域幅混合基準信号が接続のコイル側及びシステム側の両方に提供され得るような双方向構成を有する。このようにして、単一のファイバ22上で複数のMR受信コイル素子(例えばアンテナ)E1、E2、...、ENからのMRデータを多重化することが可能であり、結果として、従来のガルバニックコイルケーブルに代わる単純で柔軟性があり、かつ安全な代替手段が得られる。
【0040】
開示された改良は、受信したアナログRF信号を光ファイバ20を介してコイルから伝送するために、RFオーバーファイバを採用している。これは、オンコイルA/Dからファイバへの信号チェーンよりも利点があり、これは、より単純なコイル側の実装(オンコイルA/D回路が不要)、アナログシステム側のRF受信チェーンとの互換性、コイルでの消費電力の低減、及び光ファイバを介してRF受信コイルに電力を供給する可能性を含む。
【0041】
加えて、本明細書に記載された実施形態によって解決される1つの問題は、コイルとMRIシステムとの間のガルバニックシステムのケーブル配線及び支持部品に内在する患者への危険性である。ガルバニックケーブルの安全な位置決めのための要件を排除することで、本明細書に記載されている実施形態はまた、すべてのスキャンのための安全なケーブル配置を作成する際に技術者が経験する問題を解決し、更に、技術者がこの機能を適切に実行できるように、技術者に広範なトレーニングを提供する必要性の問題を解決する。
【0042】
更に、理解されるように、幾つかの実施形態において、有利には、コイル及び/又はシステムの仕様に関する差異がコイル設計又はシステムコネクタ設計に限定され得るという意味で、「普遍的な」ケーブルを可能にする。更に、幾つかの実施形態において、有利には、「デジタル」コイルにおけるデジタル「マージ器(merger)」の必要性を排除することができる。
【0043】
更に有利には、幾つかの実施形態は、コイルシステムケーブル上の不要な電流を制御するために一般にMRIコイルにおいて使用されるバランのような安全機構の必要性を排除する。幾つかの実施形態において、データを運ぶガルバニックケーブルを、電流を伝導しないガラス製又はプラスチック製の光ファイバケーブルに変えることによってこれを行う。
【0044】
更に、幾つかの実施形態は、有利には、異なるシステムケーブルとシステムインタフェースコンバータを使用するだけで、単一のコイル設計を複数のOEMシステム上で使用できるようにする可能性をもつ。また、同じケーブルを複数の磁場強度アプリケーションに使用することもできる(例えば、原理的には、1.5T又は3.0Tコイルを接続するために同じケーブルを使用することができる)。
【0045】
開示された実施形態において、フォトニックデバイスドライバ25が、光をファイバ22に入射する光デバイス24(例えばレーザ)を駆動するために使用されるトランジスタを有し、トランジスタ(又はより一般的にはフォトニックデバイスドライバ25)が、入射された光をRF周波数で変調するようにRF周波数で変調されるRFオーバーファイバ技術を活用する。変調は、好適には、歪みの導入を避けるために高度に線形であり、高いダイナミックレンジを有し、良好な感度(雑音指数)を有することが望ましい。企図される代替的な実施形態(図示せず)では、RF変調器は、光デバイス24によって出力される光を直接変調するための電気光学デバイス(例えば、LCD変調器)を有する(ここでは、光デバイス24によって出力される光は、一定の強度を有し、下流の電気光学RF変調器によって変調される)。
【0046】
実際に、局所受信コイルは、コイルアレイの場合もある(例えば、E1、...、ENと添え字を付けられたコイル素子の3×3アレイを含む例示的なコイルアレイ16)。このようなコイルアレイでは、例示的な9個のコイル素子からの信号が送信される必要があり、より一般的には、おそらく数十個のRF受信コイル素子からの信号が送信される必要がある。開示された実施形態において、多数のコイルからの信号を同時に送信するために、周波数領域多重化(FDM)を採用する。開示されたFDMの実施形態は、コイル(アレイ)16とシステム側RF受信器30との間で同期される各コイルごとの局部発振器(LO)信号を提供するための様々なアプローチを採用する。一つのアプローチでは、局部発振器はシステム側に配置され、局部発振器(LO)信号は、結合され、様々なコイル素子からのRF信号をそれぞれのRFチャネル周波数にヘテロダインするために使用するために、RFオーバーファイバを介して受信コイルに送信される。別のアプローチでは、局部発振器はコイル側に配置され、ヘテロダイニングは、コイル信号を復調する際にシステム側で使用するために局部発振器(LO)信号を保持するバンドパスフィルタを採用する。幾つかの実施形態において、ヘテロダイニングは、アナログミキサを使用してアナログドメインで実行される;代替的に、RF受信器側では、この機能は、システム側で実行されるA/D変換後(例えば、RF受信器30で)、又はRFオーバーファイバモジュールに統合された後(例えば、例示的なRFオーバーファイバモジュール又は接続20の増幅回路29と統合された後)、デジタルドメインで実行されることができる。
【0047】
さらなる任意の側面は、RFオーバーファイバ接続を利用して、RF受信コイルに電力を送信することである。コイル側の光検出器は、システム側から受信コイルに送信された光パワーを電力に変換する。局所発振器がシステム側に配置され、局部発振器(LO)信号がRFオーバーファイバを介してRF受信コイルに送信される実施形態において、局部発振器(LO)信号は、RF受信コイルに電力供給するために変換される光パワーとして機能してもよい。代替として、追加の直流又は交流光信号を、光パワーを提供するために、RFオーバーファイバリンクに重畳させることができる。構成によっては、光パワーは、受信コイルに連続的に供給されることもできるが、代替として、コイル側のバッテリ又はストレージキャパシタ(図示せず)を設けて、コイルへの電力供給に使用するために受信/変換された光パワーを蓄えておくこともできる。
【0048】
この点で、幾つかの実施形態において、RFoF技術を使用することで、コイル素子によってピックアップされたMR信号のコイル側の素子ごとのデジタル化を使用するコイルと比較して、付属のコイルを動作させるために必要な電力を低減することに留意すべきである。この電力削減は、以下のようにして達成され得る。一つの側面では、各コイル素子の信号は、パッシブ局所ミキサを使用して、別個の独立した周波数帯域(すなわち、RFチャネル)に周波数シフトされ、周波数シフトされた信号は、RFoFモジュールを介して送信されるFDM MR信号を生成するために合計され、従って、別個のデジタルデータ ″マージ器″の必要性を回避することができる。別の側面において、ファイバーリンクのいずれかの側でのアップコンバージョン及びダウンコンバージョンは、システム側のミキサによって使用される局部発振器(LO)周波数を発生させ、それらを1つのチャネルに合計し、RFoFを使用してそれらをコイル側に送信することによって、周波数同期される。その後、コイル素子の信号は、バンドパスフィルタを用いて各チャンネルにおいて抽出される。このようにして、アップ/ダウンコンバージョン及びリカバリに使用される局部発振器(LO)信号は同じソースを有し、同期を達成するために送信ギャップの両側で周波数を互いにロックする問題を排除する。別の側面では、アップ/ダウンコンバージョンのためにパッシブミキサを使用することにより、コイル側の電力が節約される。別の側面では、パワーオーバーファイバ(PoF)技術を介してシステム側からRFoF送信モジュールに光学的に電力を供給することにより、コイル側の電力が節約される。別の側面では、素子ごとのデジタル処理をシステム側に移動させることで、コイル側の電力が節約される。
【0049】
図2は、一実施形態によるRFオーバーファイバを使用するプロセスを図示したものである。
図2を参照して、210において、RFオーバーファイバモジュールを介して少なくとも1つの高周波コイルに光パワーが供給される。220において、1つ又は複数のコイル素子は、撮像対象によって放出されるMR信号に応答してMR周波数で共振し、対応するプリアンプ(LNA)が、一般には、高周波コイル素子の出力を増幅するために提供される。230において、増幅された各高周波信号は、ミキサ及び局部発振器(LO)を使用して、別の独立した周波数帯域(すなわちRFチャンネル)に周波数シフトされる。240において、増幅された無線周波数信号が、合計される。このように、処理230、240は、MRコイル素子E1、E2、...、ENで受信されたRF信号の周波数領域多重化(FDM)を実行するように協働する。250において、RFオーバーファイバモジュール又は接続部20のフォトニックデバイス24は、合計された信号を光信号に変換する。260において、光信号は、RFオーバーファイバモジュールの光ファイバを介して伝送される。270において、送信された光信号は、受信され、デジタル信号に変換され、及び/又は他の方法で処理されて、MR再構成プロセッサ40への入力として機能するMRイメージングデータを生成する。
【0050】
図3-
図6を参照して、MR受信コイル16、RFオーバーファイバモジュール又は接続部20、及びRF受信器30(又は、より一般的には、システム側MR信号受信/処理用電子ハードウェア30)の幾つかの例示的な実施形態が記載されている。
【0051】
次に
図3を参照して、この例示的な実施形態では、コイル側(すなわち、MR受信コイルユニット16と一体)には、個々の受信コイル要素E
1、E
2...E
Nがあり、これらは、任意には、介在するマッチング回路310(例えば、バンドパスフィルタ)を介して、それぞれの低雑音増幅器(例えば、プリアンプ)LNA
1、LNA
2、...LNA
Nに結合されており、マッチング回路の特性は、受信素子、コイル自体の特定の用途、及びLNAに依存し、実際の実現において必要とされる場合もあれば、そうでない場合もある。各LNAからの信号は、MRIプロセスの機能として特定の帯域幅に制限され、パッシブ(又はアクティブ)ミキサ回路320の作用により、異なる周波数帯域(すなわちRFチャネル)にアップコンバート(又はダウンコンバート;より一般的には周波数シフト)される。これらの信号の各々は、望ましくない帯域外情報を除去するために、それぞれのフィルタF
1、F
2、...F
Nによって任意にフィルタリングされ、合計器330によって単一のMR信号に合計される。すなわち、ミキサ320、任意のフィルタF
1、F
2、...、F
N、及び合計器330は、RF信号を多重化するための周波数領域多重化(FDM)回路を形成する。FDM MR信号は、第1のRFoFモジュール350を介してシステム側30に送信され、第1のRFoFモジュール350では、光送信アセンブリ23が、コイルユニット16に動作可能に接続し、光受信アセンブリ27が、システム側30に動作可能に接続する。コイルからシステムリンクへのRFoF送信器のための電力は、任意にはPoFにより光学的に提供される(このオプションは、受信アセンブリに、図示しない光送信器を追加することを必要とする)。残りのコイル側のアクティブコンポーネント(LNA、信号合計器、及び可能なデチューン)のための電力は、バッテリ(他のストレージキャパシタ、又は他の蓄電デバイス;エネルギーハーベスティングセットアップもオプションである)のような(
図3には図示しない)局所電源によって供給される。システム側30から送信される電力は、電力抽出器340によって収集されることができる。これに関して、電池又はストレージキャパシタ又は他の蓄電デバイスが、電力抽出器340によって収集されたエネルギーを選別するために使用されてもよい。更に、電力に関して、電力の流れは一方向性であるが、電力が流れる方向は選択されることができる。同様に、データフローも一方向性である。従って、両方向にデータを送信することが望まれる場合、2つの別々のファイバを有する必要がある。これは、
図3の実施形態において、それぞれが光ファイバを有する2つのRFoFモジュール350、360を有することによって達成され、第2のRFoFモジュール又は接続部360では、光送信アセンブリ23が、システム側30に動作可能に接続され、光受信アセンブリ27が、コイルユニット16に動作可能に接続される。
【0052】
システム側30において、合計されたアップ(又はダウン)コンバートされたMRI信号は、次に、前のアップ/ダウンコンバージョンと同様のプロセス(ミキサ370を使用して)を介して回復される。この信号は、その後、後の再結合のためにデジタル化されることができる。ここでの重要な特徴は、MRI信号のアップ/ダウンコンバージョンのための発振器信号の同期である。別個の発振器ソースが、ファイバインタフェースの両側で使用され、位相ロック技術を介して同期されることができる。しかしながら、
図3の例示された実施形態において、局部発振器LO
1、LO
2、...LO
Nが、コイル側でアップ/ダウンコンバートするために使用される発振器(LO)信号を提供し、これら発振器(LO)信号は、システム側で発生され、第2のRFoFモジュール360を介してコイル側に提供されるので、この同期要件は回避される。これは、システム側30の発振器ソースLO
1、LO
2、...LO
Nに対する電力需要を維持しながら、どちらの側にも同一の基準発振器信号(おそらく、位相をシフトされる)を提供するという利点がある。
【0053】
図4を参照して、発振器信号は、代替的にコイル側で生成され(すなわち、局部発振器LO
1、LO
2、...LO
Nは、コイルユニット16のコンポーネントでありうる)、MRIデータストリームの一部としてコイル16からシステム30に供給されることもできる。これは、
図4の実施形態に図示されている。このオプションは、コイル側でより多くの電力を必要とするかもしれないが、
図3の実施形態の第2のRFオーバーファイバモジュール360の必要性を排除する。
【0054】
図3の実施形態は更に、システム側の合計器362及び増幅器365、並びにコイル側のバンドパスフィルタLOF
1、LOF
2、...LOF
Nを有することに留意すべきである。
【0055】
図5に示す別の実施形態において、元のMRI信号のアナログ回復は、RFoFモジュール350からのRF信号をサンプリングしてデジタル化し、デジタル信号処理(DSP)ユニット510を介して個々のMRI信号をデジタル的に分離して回復することによって回避される。
【0056】
図6の実施形態は、RFoFモジュール350にアナログ/デジタル変換器(ADC)610を含み、RF信号に再変換する前にRFoFモジュール350のデジタル出力に直接アクセスすることによって、このアプローチを更に拡張する。
【0057】
幾つかの実施形態において、RFoFモジュール350、360を介してデジタル信号ではなく、アナログ信号のみを送信することも理解されるべきである。
【0058】
本発明は、好ましい実施形態を参照して説明されてきた。変形及び変更は、先行する詳細な説明を読み理解することにより当業者に思いつくであろう。例示的な実施形態は、そのようなすべての変形及び変更が添付の特許請求の範囲又はそれと等価なものの範囲内に入る限り、それらの変形及び変更を含むものと解釈されることが意図される