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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】油中水型乳化組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20230928BHJP
   A61K 8/894 20060101ALI20230928BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20230928BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/894
A61K8/06
A61Q19/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020551139
(86)(22)【出願日】2019-10-07
(86)【国際出願番号】 JP2019039459
(87)【国際公開番号】W WO2020075666
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-08-05
(31)【優先権主張番号】P 2018190665
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(72)【発明者】
【氏名】福原 隆志
(72)【発明者】
【氏名】杉山 由紀
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 匠
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-070554(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0028416(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0193471(US,A1)
【文献】特許第4577721(JP,B2)
【文献】特開2007-106694(JP,A)
【文献】特開2007-126394(JP,A)
【文献】特開2018-052925(JP,A)
【文献】特開2016-037454(JP,A)
【文献】国際公開第2017/188319(WO,A1)
【文献】特許第5207424(JP,B1)
【文献】特開2018-070600(JP,A)
【文献】特開2006-161027(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0336101(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61P 1/00-43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーンを0.5~3質量%、
(b)コア-コロナ型粒子を0.01質量%以上、
(c)油相成分
(d)水相成分
を含むことを特徴とする油中水型乳化組成物であって、
前記(b)コア-コロナ型粒子が、下記式(1)で示されるポリエチレンオキサイドマクロモノマーと、下記式(2)で示されるアクリル酸/メタクリル酸誘導体モノマー及び下記式(3)で示されるアクリルアミド/メタクリルアミド誘導体モノマーから選ばれる疎水性モノマーを、下記式(4)で示される架橋性モノマーの存在下または非存在下で、下記(A)~(E)の条件でラジカル重合して得られるコア-コロナ型粒子である、油中水型乳化組成物;
(A)前記ポリエチレンオキシドマクロモノマーの仕込みモル量/前記疎水性モノマーの仕込みモル量で表されるモル比が1:10~1:250であること、
(B)前記架橋性モノマーの仕込み量が、前記疎水性モノマーの仕込み量に対して、0.1~1.5質量%であること、
(C)下記式(2)で示されるアクリル酸/メタクリル酸誘導体モノマーは、炭素数1~8のアルキル基を有するメタクリル酸誘導体の1種又は2種以上を混合したモノマー組成であり、
下記式(3)で示されるアクリルアミド/メタクリルアミド誘導体モノマーは、炭素数1~18のアルキル基を含む置換基を有するアクリルアミド誘導体またはメタクリルアミド誘導体であること、
(D)重合溶媒が水-アルコール混合溶媒であり、前記アルコールがエタノール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコールから選択される1種または2種以上であること、
(E)前記水-アルコール混合溶媒の溶媒組成が、20℃の質量比で、水:アルコール=90~10:10~90であること。
【化1】
は炭素数1~3のアルキル基を表し、nは8~200の数である。XはHまたはCHを表す。
【化2】
は炭素数1~3のアルキル基を表し、Rは炭素数1~12のアルキル基を表す。
【化3】
はHまたは炭素数1~3のアルキル基を表し、R及びRはHまたは炭素数1~18のアルキル基を含む置換基を表す。
【化4】
とRはそれぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基を表し、mは0~2の数である。
【請求項2】
成分(a)が、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンから選ばれる1種または2種以上のポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーンであることを特徴とする、請求項1に記載の油中水型乳化組成物。
【請求項3】
成分(c)油相成分を20~80質量%含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の油中水型乳化組成物。
【請求項4】
(a)ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーンを0.5~3質量%、
(b)コア-コロナ型粒子を0.01質量%以上、
(c)油相成分、
(d)水相成分
を含む油中水型乳化組成物を製造する方法であって、
下記式(1)で示されるポリエチレンオキサイドマクロモノマーと、下記式(2)で示されるアクリル酸/メタクリル酸誘導体モノマー及び下記式(3)で示されるアクリルアミド/メタクリルアミド誘導体モノマーから選ばれる疎水性モノマーを、下記式(4)で示される架橋性モノマーの存在下または非存在下で、下記(A)~(E)の条件でラジカル重合することを特徴とする油中水型乳化組成物の製造方法;
(A)前記ポリエチレンオキシドマクロモノマーの仕込みモル量/前記疎水性モノマーの仕込みモル量で表されるモル比が1:10~1:250であること、
(B)前記架橋性モノマーの仕込み量が、前記疎水性モノマーの仕込み量に対して、0.1~1.5質量%であること、
(C)下記式(2)で示されるアクリル酸/メタクリル酸誘導体モノマーは、炭素数1~8のアルキル基を有するメタクリル酸誘導体の1種又は2種以上を混合したモノマー組成であり、
下記式(3)で示されるアクリルアミド/メタクリルアミド誘導体モノマーは、炭素数1~18のアルキル基を含む置換基を有するアクリルアミド誘導体またはメタクリルアミド誘導体であること、
(D)重合溶媒が水-アルコール混合溶媒であり、前記アルコールがエタノール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、及びイソプレングリコールから選択される1種または2種以上であること、
(E)前記水-アルコール混合溶媒の溶媒組成が、20℃の質量比で、水:アルコール=90~10:10~90であること。
【化5】
は炭素数1~3のアルキル基を表し、nは8~200の数である。XはHまたはCH を表す。
【化6】
は炭素数1~3のアルキル基を表し、R は炭素数1~12のアルキル基を表す。
【化7】
はHまたは炭素数1~3のアルキル基を表し、R 及びR はHまたは炭素数1~18のアルキル基を含む置換基を表す。
【化8】
とR はそれぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基を表し、mは0~2の数である。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2018年10月9日付け出願の日本国特許出願2018-190665号の優先権を主張しており、ここに折り込まれるものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は油中水型乳化組成物に関し、さらに詳しくは、コア-コロナ型粒子と特定の親油性界面活性剤とで乳化剤して得られる油中水型乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、さまざまな特性を有する高分子微粒子が製造され、医薬品および化粧品等の広範な分野で活用されている。高分子微粒子は、マイクロエマルション重合法のような不均一重合法等により製造され、その組成や形態から数種類に分類されている。
【0004】
そのうちの一つであるコア-コロナ型粒子は、本発明者らによって開発されたものであり(特許文献1、7)、疎水的なポリマー骨格に親水基がグラフト結合したポリマーからなる球状体で、疎水的な中心部(コア部)の周囲に親水基からなるコロナ部が配置した構造を有することを特徴とする。
【0005】
コア-コロナ型粒子は、コア部が有機溶媒親和性に優れる一方で、コロナ部の親水性により水中に安定に分散し得ることから、水中油型乳化組成物を生じる乳化剤として用いられている(例として、特許文献2、7)。粉体を乳化剤に用いた水中油型乳化粒子としてはピッカリングエマルションが知られるが、当該乳化粒子が攪拌や衝撃によって合一し易いのに対し、コア-コロナ型粒子で乳化した水中油型乳化粒子は、物理的衝撃に対して非常に安定である。また、一般に、界面活性剤で乳化して得られる乳化系は温度による影響を強く受けるが、コア-コロナ型粒子で得られる乳化系は、温度変化による影響を受けにくいという特徴がある。
【0006】
さらに、コア-コロナ型粒子は、水系において、化粧料を白濁化させる白濁化剤(特許文献3)、有機溶媒による膨潤能を利用したカプセル剤(特許文献4、5)としても使用できることが知られている。
【0007】
このように、コア-コロナ型粒子については、水中油型乳化系を生じる乳化剤(例として、特許文献2、7)、水系の白濁化剤(特許文献3)、水難溶性成分を水系に配合するための包接体(特許文献4)としての用途が広く知られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2005-015623号公報
【文献】特許第5207424号公報
【文献】特許第4577721号公報
【文献】特開2007-238521号公報
【文献】特開2006-161026号公報
【文献】特開2006-161027号公報
【文献】特開2017-175011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般に、界面活性剤で乳化した乳化組成物では、乳化安定性を向上させるために界面活性剤の配合量を上げるとべたつき感を生じて使用感が悪くなる、という問題がある。そして、この問題は、水相を連続相とする水中油型乳化組成物よりも、油相を連続相とする油中水型乳化組成物において、より深刻であった。これは、水相を連続相とする水中油型乳化では乳化粒子間の水和斥力や電気二重層力という安定化の寄与が得られるのに対し、油中水型乳化ではこのような安定化の寄与がなく、べたつきのより強い高分子量の界面活性剤を多量配合することで油水界面膜を強化し、乳化粒子の安定化を担保する必要があるからである。
本発明は、上記油中水型乳化組成物が抱える課題について行われたものであり、乳化安定性に非常に優れ、べたつきのなさにも優れる油中水型乳化組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者が上記課題について鋭意検討した結果、驚くべきことに、安定な水中油型乳化系を生じることで知られるコア-コロナ型粒子が、特定の油溶性界面活性剤の共存下では、非常に安定な油中水型乳化系を生じることを見出した。さらに、当該コア-コロナ型粒子を用いて得られる油中水型乳化組成物は、べたつきのなさにも優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本願は以下の発明を包含する。
[1] (a)ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーンを0.5~3質量%、
(b)コア-コロナ型粒子を0.01質量%以上、
(c)油相成分
(d)水相成分
とを含むことを特徴とする油中水型乳化組成物であって、
前記(b)コア-コロナ型粒子が、下記式(1)で示されるポリエチレンオキサイドマクロモノマーと、下記式(2)で示されるアクリル酸/メタクリル酸誘導体モノマー及び下記式(3)で示されるアクリルアミド/メタクリルアミド誘導体モノマーから選ばれる疎水性モノマーを、下記式(4)で示される架橋性モノマーの存在下または非存在下で、下記(A)~(E)の条件でラジカル重合して得られるコア-コロナ型粒子である、油中水型乳化組成物;
(A)前記ポリエチレンオキシドマクロモノマーの仕込みモル量/前記疎水性モノマーの仕込みモル量で表されるモル比が1:10~1:250であること、
(B)前記架橋性モノマーの仕込み量が、前記疎水性モノマーの仕込み量に対して、0.1~1.5質量%であること、
(C)下記式(2)で示されるアクリル酸/メタクリル酸誘導体モノマーは、炭素数1~8のアルキル基を有するメタクリル酸誘導体の1種又は2種以上を混合したモノマー組成であり、
下記式(3)で示されるアクリルアミド/メタクリルアミド誘導体モノマーは、炭素数1~18のアルキル基を含む置換基を有するアクリルアミド誘導体またはメタクリルアミド誘導体であること、
(D)重合溶媒が水-アルコール混合溶媒であり、前記アルコールがエタノール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコールから選択される1種または2種以上であること、
(E)水-アルコール混合溶媒の溶媒組成が、20℃の質量比で、水:アルコール=90~10:10~90であること。
【化1】

(1)
は炭素数1~3のアルキル基を表し、nは8~200の数である。XはHまたはCHを表す。
【化2】

(2)
は炭素数1~3のアルキル基を表し、Rは炭素数1~12のアルキル基を表す。
【化3】
(3)
はHまたは炭素数1~3のアルキル基を表し、R及びRはHまたは炭素数1~18のアルキル基を含む置換基を表す。
【化4】
(4)
とRはそれぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基を表し、mは0~2の数である。
[2] 成分(a)が、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンから選ばれる1種または2種以上のポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーンであることを特徴とする、前記[1]に記載の油中水型乳化組成物。
[3] 成分(c)油相成分を20~80質量%含むことを特徴とする、前記[1]または[2]に記載の油中水型乳化組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、乳化安定性に非常に優れ、べたつきのなさにも優れる油中水型乳化組成物が提供される。
本発明に係る油中水型乳化組成物は、従来のピッカリングエマルションのように攪拌や振動などによって乳化状態が損なわれることがなく、また、従来の界面活性剤によって得られる乳化物のように温度による界面活性剤の物性変化が少ないため、温度安定性も良好なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係る油中水型乳化組成物は、(c)油相成分と(d)水相成分を、(a)ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーンと(b)コア-コロナ型粒子を乳化剤として製造されるものである。
【0014】
(a)ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーン
本発明には、(b)コア-コロナ型粒子と併用する乳化剤として、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーン型を用いることができる。
ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーンの例としては、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン等の直鎖状ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等の分岐状ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーンが挙げられる。これらの界面活性剤は、単独でまたは複数を組み合わせて用いることができる。なお、PEGはポリエチレングリコール、PPGはポリプロピレングリコールの略記である。
【0015】
このうち、本発明には、成分(a)として、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンを好適に用いることができる。下記成分(b)とともに、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン及び/またはラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンを用いることで、特に安定な油中水型乳化組成物を得ることができる。
【0016】
(b)コア-コロナ型粒子
本発明に好適に用いることができるコア-コロナ型粒子は、比較的疎水性の高い高分子からなるコア部を有し、コロナ部分が非イオン性高分子であるポリエチレンオキサイド鎖で安定化された粒子である。コロナ部分のポリエチレンオキサイド鎖により、水中での分散安定性と耐酸性・耐塩性に優れるものである。粒子径はほぼ一定であることが好ましく、平均粒子径は、50~400nm、好ましくは、100~300nmの範囲内であってもよい。また、分散度は、0.2未満、好ましくは、0.05未満であってもよい。
【0017】
コア-コロナ型粒子の製造方法は特許文献2、5、6、7に報告されている。いずれも特定のポリエチレンオキサイドマクロモノマーと、特定の疎水性モノマーとを、特定の架橋性モノマーの存在下または非存在下で、水-エタノール混合溶媒中にてラジカル重合して得られることが開示されている。また、得られた重合液を水に対して透析することで、分散液を水に置換することも可能である。
【0018】
本発明に用いることができるコア-コロナ型粒子は、例えば、下記式(1)~(4)で示されるモノマーを特定の条件下でラジカル重合することで得ることができる。
【0019】
<ポリエチレンオキサイドマクロモノマー>
式(1)で示されるポリエチレンオキサイドマクロモノマーは、例えばAldrich社から市販されている市販品、あるいは日油社から発売されているブレンマー(登録商標)等の市販品を用いることができる。
【0020】
ポリエチレンオキサイド部分の分子量(すなわちnの値)は、n=8~200であることが必要である。
このようなマクロモノマーとしては、例えば、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートであるPME-400、PME-1000、PME-4000(式(1)におけるn値がそれぞれ、n=9、n=23、n=90、全て日油株式会社製)等が挙げられる。
【0021】
【化5】
(1)
は炭素数1~3のアルキル基であり、nは8~200の数である。XはHまたはCHである。
【0022】
<アクリル酸/メタクリル酸誘導体モノマー>
式(2)で示されるアクリル酸/メタクリル酸誘導体モノマーは、例えば、Aldrich社もしくは東京化成社から市販されている市販品を用いることができる。
【0023】
【化6】
(2)
は炭素数1~3のアルキル基である。
は炭素数1~12のアルキル基であって、炭素数1~8のアルキル基であることがより好ましい。
【0024】
アクリル酸/メタクリル酸誘導体モノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸へプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸へプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル等が挙げられる。特に、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチルを用いることが好ましい。
これらのアクリル酸/メタクリル酸誘導体モノマーは汎用原料であり、一般工業原料として容易に入手することができる。
【0025】
<アクリルアミド/メタクリルアミド誘導体モノマー>
式(3)で示されるアクリルアミド/メタクリルアミド誘導体モノマーとしては、例えば、t-ブチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、t-ブチルメタクリルアミド、オクチルアクリルアミド、オクチルメタクリルアミド、オクタデシルアクリルアミド等を好適に用いることができる。このうち、t-ブチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミドが特に好適である。
これらのアクリルアミド/メタクリルアミド誘導体モノマーは、市販品あるいは工業用原料として入手可能である。
【化7】
(3)
はHまたは炭素数1~3のアルキル基を表し、R及びRはHまたは炭素数1~18のアルキル基を含む置換基を表す。
【0026】
<架橋性モノマー>
式(4)で示される架橋性モノマーは、市販品あるいは工業用原料として入手が可能である。この架橋性モノマーは疎水性であることが好ましい。
mの値は0~2であることが好ましい。具体的には、Aldrich社から発売されているエチレングリコールジメタクリレート(以下、EGDMAと略すことがある)、日油社から発売されているブレンマー(登録商標)PDE-50等を用いることが好ましい。
【0027】
【化8】
(4)
とRはそれぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基を表し、mは0~2の数である。
【0028】
本発明にかかる化粧料用原料であるコア-コロナ型粒子分散液は、以下の(A)~(E)の条件で、上記モノマーをラジカル重合したものであってよい。
(A)前記ポリエチレンオキシドマクロモノマーの仕込みモル量/前記疎水性モノマーの仕込みモル量で表されるモル比が1:10~1:250であること。
(B)前記架橋性モノマーの仕込み量が、前記疎水性モノマーの仕込み量に対して、0.1~1.5質量%であること。
(C)式(2)で示される疎水性モノマーは、炭素数1~8のアルキル基を有するメタクリル酸誘導体の1種又は2種以上を混合したモノマー組成であること。
(D)重合溶媒が水-アルコール混合溶媒であり、アルコールがエタノール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコールから選択される1種または2種以上であること。
(E)水-アルコール混合溶媒の溶媒組成が、20℃の質量比で、水:アルコール=90~10:10~90であること。
【0029】
なお、本発明では、式(4)で表される架橋性モノマーを用いる場合において、「前記疎水性モノマーの仕込み量に対する、前記架橋性モノマーの仕込み量」を、架橋密度(質量%)と定義する。その場合において、本発明に用いるコア-コロナ型粒子の架橋密度は、(B)の条件により、前記架橋性モノマーの仕込み量が、前記疎水性モノマーの仕込み量に対して、0.1~1.5質量%でなければならない。
【0030】
次に、式(4)で表される架橋性モノマーを用いる場合における各条件について詳説する。
(条件(A))
ポリエチレンオキサイドマクロモノマーと疎水性モノマーの仕込みモル量は、ポリエチレンオキサイドマクロモノマー:疎水性モノマー=1:10~1:250(モル比)の範囲で重合可能である。前記仕込みモル量は、1:10~1:200が好ましく、1:25~1:100がより好ましい。
ポリエチレンオキサイドマクロモノマーのモル量に対して疎水性モノマーのモル量が10倍以下になると、重合されるポリマーは水溶性になりコア-コロナ型ポリマー粒子は形成しない。またポリエチレンオキサイドマクロモノマーのモル量に対して疎水性モノマーのモル量が250倍以上になるとポリエチレンオキサイドマクロモノマーによる分散安定化が不完全になり不溶性の疎水性モノマーによる疎水性ポリマーが凝集、沈殿する。
【0031】
(条件(B))
架橋性モノマーを共重合することでコア部分の疎水性ポリマーが架橋された粒子を重合することができる。
架橋性モノマーの仕込み量が疎水性モノマーの仕込み量の0.1質量%未満であると、架橋密度が低く、粒子は膨潤時に崩壊してしまう。また仕込み量が1.5質量%を上回ると、粒子同士の凝集が生じ、粒度分布の狭い好適な粒子を重合することはできない。架橋性モノマーの仕込み量は、0.2~1.0が好ましく、0.2~0.8がより好ましく、0.2~0.5質量%が最も好ましい。
【0032】
(条件(C))
式(2)で示される疎水性モノマーは、炭素数1~12のアルキル基を有するメタクリル酸誘導体の1種または2種以上を混合したモノマー組成であることが必要である。炭素数が0である(末端エステル結合がないモノマーである)と、モノマーが親水的すぎてうまく乳化重合をすることができない場合がある。一方、炭素数が13以上であると、重合の際の立体障害となり、うまく架橋構造を構築できない場合がある。
【0033】
(条件(D))
重合溶媒は、水-アルコール混合溶媒であることが必要である。アルコールとしては、式(2)で示される疎水性モノマーおよび式(3)で示される架橋性モノマーを溶解できるものが好ましい。本発明に用いられるアルコールとしては、エタノール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコールであることが必要である。
工業的に製造可能である、すなわち透析等の精製工程を要さず重合液をそのまま原料体として用いることを考えた場合、水と混合する溶媒はエタノールやプロパノール、ブタノール等、肌への塗布時に刺激性が懸念される有機溶剤ではなく、汎用的に化粧料へ配合できるアルコールであることが必要である。
【0034】
(条件(E))
重合溶媒である水-アルコール混合溶媒の溶媒組成は、20℃の質量比で、水:アルコール=90~10:10~90であることが必要である。水-アルコール混合溶媒の溶媒組成が、水:アルコール=90~10:10~90(20℃の容積比)であることが好ましく、水:アルコール=80~20:20~80(20℃の容積比)であることがより好ましい。
重合溶媒は疎水性モノマーを均一溶解するためにアルコールを加えることが必要である。アルコールの混合比は10~90容量比である。アルコールの混合比が10容量比より低い場合は疎水性モノマーの溶解能が極めて低くなり、モノマー滴状態で重合が進行し巨大塊となり、コア-コロナ型粒子が生成しない。またアルコールの混合比が90容量比を上回ると、疎水性相互作用による疎水性モノマーのエマルションが生成せず、乳化重合が進行せずコア-コロナ型粒子は得られない。
【0035】
重合溶媒はモノマー溶解性の高いものが好ましく、また、製造、精製工程(蒸留等)を考慮すると、粘度と沸点が高すぎないものが好ましい。
本発明には、重合溶媒として用いるアルコールとして、エタノール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール等を好適に用いることができる。このうち、特に好ましくは、エタノールである。
【0036】
重合系に用いられる重合開始剤は、通常の水溶性熱ラジカル重合に用いられる市販の重合開始剤を用いることが出来る。この重合系では特に攪拌条件を厳密にコントロールすることなく重合を行っても、重合される粒子の粒度分布は非常に狭いものを得ることができる。
【0037】
式(4)で表される架橋性モノマーを用いない場合には、例えば、特開2017-175011号公報に記載の条件で重合してもよい。
【0038】
本発明に係る(b)コア-コロナ型粒子は、(a)成分とともに、油中水型乳化組成物を製造するための乳化剤として用いることができる。
コア-コロナ型粒子は、これまで、油相成分と水相成分とを乳化して、水相成分中に分散した油相成分の油滴上にコア-コロナ型粒子乳化剤が吸着してなる構造を有する水中油型乳化組成物を形成することが知られていた(特許文献)。本発明では、(a)ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーン型界面活性剤が共存することにより、コア-コロナ型粒子になんらかの変化が生じ、油相成分でなく水相成分を滴状化し、当該水滴上に非常に安定に吸着しているものと考えられる。
【0039】
油中水型乳化組成物を生じるための(b)コア-コロナ型粒子の配合量は、該粒子の純分換算値として、組成物全量に対して0.01~10質量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.03~5質量%、最も好ましくは0.05~1質量%である。配合量が0.01%未満では、安定な化粧料が得難くなる場合がある。配合量が10%を超えると、製剤の長期保管に際して、経時的に水中油型乳化物へと転相を生じる可能性がある。
また、この目的において添加される(a)ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーンの配合量は、0.5~3質量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.7~2質量%、最も好ましくは1質量%である。配合量が0.5質量%未満では、安定な油中水型乳化物が得られない場合があり、配合量が3質量%を超えると、強いべたつきにより使用感が悪化する場合がある。
【0040】
本発明の油中水型乳化組成物は、常法に従って製造することができる。(a)ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーンを溶解させた油相成分及びその他の成分を混合溶解させ、(b)コア-コロナ型粒子を、水または水相成分中に混合分散させたものを、添加、攪拌およびせん断力を加えて乳化することによって製造してもよい。
【0041】
(c)油相成分
油相成分としては、通常化粧料、医薬部外品等に用いられる炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、シリコーン油、液体油脂、固体油脂、ロウ、香料等が挙げられる。
【0042】
炭化水素油としては、例えば、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソパラフィン、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0043】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0044】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等)、分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)-2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0045】
合成エステル油としては、例えば、オクタン酸オクチル、ノナン酸ノニル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ピバリン酸トリプロピレングリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、ジイソステアリン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート-2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0046】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等)、環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)、アクリルシリコーン類等が挙げられる。
【0047】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0048】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0049】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0050】
香料としては、動物又は植物より得られる天然香料と、化学的合成手段によって製造される合成香料、及びそれらの混合物である調合香料が挙げられ、特に限定されない。香料を配合することで、香りの持続性に優れた化粧料を得ることができる。
【0051】
香料としては、具体的には、アセチベノール、アニスアルデヒド、アネトール、アミルアセテート、アミルサリシレート、アリルアミルグリコレート、アリルカプロエート、アルデヒドC6~20、アンブレットライド、アンブレットリド、アンブロキサン、イオノン、イソイースーパー、オイゲノール、オウランチオール、ガラクソリド、カローン、クマリン、ゲラニオール、ゲラニルアセテート、サンダロア、サンタロール、サンデラ、シクラメンアルデヒド、シス-3-ヘキセニルアセテート、シス-3-ヘキセノール、シトラール、シトロネリルアセテート、シトロネロール、シネオール、ジハイドロミルセノール、ジャスモラクトン、シンナミックアルコール、シンナミックアルデヒド、スチラリルアセテート、セドリルアセテート、セドロール、ダマスコン、ダマセノン、デカラクトン、テルピニルアセテート、テルピネオール、トナリッド、トナリド、トリプラール、ネロール、バクダノール、バニリン、ヒドロキシシトロネラール、フェニルエチルアセテート、フェニルエチルアルコール、ヘキシルサリシレート、ベチベリルアセテート、ヘディオン、ヘリオトロピン、ヘリオナール、ベルトフィックス、ベンジルアセテート、ベンジルサリシレート、ベンジルベンゾエート、ペンタリッド、ペンタリド、ボルニルアセテート、マイオール、ムスクケトン、メチルアンスラニレート、メチルジヒドロジャスモネート、ヤラヤラ、ライムオキサイド、リナリルアセテート、リナロール、リモネン、リラール、リリアール、ローズオキサイド、ロジノール、アンジェリカオイル、アニスオイル、アルモアゼオイル、バジルオイル、ベイオイル、ベルガモットオイル、カラムスオイル、カンファーオイル、カナンガオイル、カルダモンオイル、カッシアオイル、セダーウッドオイル、セロリオイル、カモミールオイル、シナモンオイル、クローブオイル、コリアンダーオイル、クミンオイル、ディルオイル、エレミオイル、エストラゴンオイル、ユーカリオイル、フェンネルオイル、フェヌグリークオイル、ガルバナムオイル、ゼラニウムオイル、ジンジャーオイル、グレープフルーツオイル、ガヤックウッドオイル、ヒバオイル、ヒノキオイル、ジュニパーベリーオイル、ラバンジンオイル、ラベンダーオイル、レモンオイル、ライムオイル、マンダリンオイル、ジラムオイル、モミザオイル、ペパーミントオイル、スペアミントオイル、ミルオイル、ミルトルオイル、ナツメグオイル、オークモスオイル、オリバナムオイル、オポポナックスオイル、オレンジオイル、パセリオイル、パチュリオイル、ペッパーオイル、ペリラオイル、プチグレンオイル、ネロリオイル、オレンジフラワーオイル、ピメントオイル、オールスパイスオイル、パインオイル、ローズオイル、ローズマリーオイル、クラリセージオイル、セージオイル、サンダルウッドオイル、スチラックスオイル、タジェオイル、タイムオイル、チュベローズオイル、バレリアンオイル、ベチバーオイル、バイオレットリーフオイル、ウィンターグリーンオイル、ワームウッドオイル、イランイランオイル、ユズオイル、カッシーアブソリュート、ジュネアブソリュート、ヒヤシンスアブソリュート、インモルテルアブソリュート、ジャスミンアブソリュート、ジョンキルアブソリュート、ナルシスアブソリュート、ローズアブソリュート、バイオレットリーフアブソリュート、ベンベンゾイン等が挙げられる。
【0052】
従来の界面活性剤によって得られる乳化組成物においては、界面活性剤の物性と油分との物性が乳化性に大きく影響を及ぼし、油相成分を変える場合には界面活性剤の種類も変える等の対応が必要であった。しかしながら本発明の油中水型乳化組成物は、(b)コア-コロナ型粒子を用いて乳化しているので、油分の種類による乳化性・安定性等の影響が少なく、従来よりも幅広い種類の油分の配合が可能である。
【0053】
(c)水相成分
水相成分としては、通常化粧料、医薬部外品等に使用される水、水溶性アルコール、増粘剤等を配合することができ、さらに所望に応じて、保湿剤、キレート剤、防腐剤、色素等を適宜配合することができる。
【0054】
本発明の水中油型乳化組成物に含まれる水は特に限定されず、例えば、精製水、イオン交換水、水道水等が挙げられる。
【0055】
水溶性アルコールとしては、例えば、低級アルコール、多価アルコール、多価アルコール重合体、2価のアルコールアルキルエーテル類、2価アルコールアルキルエーテル類、2価アルコールエーテルエステル、グリセリンモノアルキルエーテル、糖アルコール、単糖、オリゴ糖、多糖およびそれらの誘導体等が挙げられる。
【0056】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。
【0057】
多価アルコールとしては、例えば、2価アルコール(例えば、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等)、3価アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等)、4価アルコール(例えば、ジグリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等)、5価アルコール(例えば、キシリトール、トリグリセリン等)、6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等)、多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールートリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリンートリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等)、2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等)、2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルトリエチレングリコールモノメチルエーテルトリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等)、2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等)、グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等)、糖アルコール(例えば、マルトトリオ-ス、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコ-ス、フルクト-ス、デンプン分解糖、マルト-ス、デンプン分解糖還元アルコール等)、グリソリッド、テトラハイドロフルフリルアルコール、POE-テトラハイドロフルフリルアルコール、POP-ブチルエーテル、POP・POE-ブチルエーテルトリポリオキシプロピレングリセリンエーテル、POP-グリセリンエーテル、POP-グリセリンエーテルリン酸、POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0058】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等)、四炭糖(例えば、D-エリトロ-ス、D-エリトルロ-ス、Dートレオ-ス、エリスリトール等)、五炭糖(例えば、L-アラビノ-ス、D-キシロ-ス、L-リキソ-ス、D-アラビノ-ス、D-リボ-ス、D-リブロ-ス、D-キシルロ-ス、L-キシルロ-ス等)、六炭糖(例えば、D-グルコ-ス、D-タロ-ス、D-ブシコ-ス、D-ガラクト-ス、D-フルクト-ス、L-ガラクト-ス、L-マンノ-ス、D-タガト-ス等)、七炭糖(例えば、アルドヘプト-ス、ヘプロ-ス等)、八炭糖(例えば、オクツロ-ス等)、デオキシ糖(例えば、2-デオキシ-D-リボ-ス、6-デオキシ-L-ガラクト-ス、6-デオキシ-L-マンノ-ス等)、アミノ糖(例えば、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等)、ウロン酸(例えば、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸等)等が挙げられる。
【0059】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸-トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン等が挙げられる。
【0060】
その他のポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレンメチルグルコシド(グルカムE-10)、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド(グルカムP-10)等が挙げられる。
【0061】
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラーヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、PVA、PVM、PVP、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸A1Mg(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0062】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラーヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸)、微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等)、動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0063】
半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等)、セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等)、アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0064】
合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等)、ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000等)、アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等)、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等が挙げられる。
【0065】
保湿剤としては、例えば、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラ-ゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、DL-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0066】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0067】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等)、塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン等が挙げられる。
【0068】
pH調整剤としては、例えば、乳酸-乳酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
【0069】
本発明の油中水型乳化組成物に配合される油相成分および水相成分の配合量は、特に限定されない。(a)ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーンと(b)コア-コロナ型粒子を併用して乳化剤とすることにより、油相成分/水相成分比の少ない、すなわち油相成分配合量の少ない実施形態(乳液など)から配合量の多い実施形態(クレンジングクリーム、日焼け止め、ヘアクリームなど)まで、幅広い油相成分/水相成分比の油中水型乳化組成物を得ることができる。
【0070】
本発明にかかる油中水型乳化組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で、通常化粧料や医薬部外品等に用いられる他の成分、例えば、紫外線吸収剤、粉末、有機アミン、高分子エマルジョン、ビタミン類、酸化防止剤等を適宜配合することができる。
【0071】
水溶性紫外線吸収剤としては、例えば2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4’-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸およびその塩、フェニレン-ビス-ベンゾイミダゾール-テトラスルホン酸およびその塩等のベンゾイミダゾール系紫外線吸収剤、3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル等が挙げられる。
油溶性紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸(PABA)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル等の安息香酸系紫外線吸収剤;ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤;アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤;オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート、2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート、3,4,5-トリメトキシケイ皮酸3-メチル-4-[メチルビス(トリメチルシリキシ)シリル]ブチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤;2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール、2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4’-t-ブチルジベンゾイルメタン、5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン、オクトクリレン等が挙げられる。
【0072】
粉末成分としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等)、有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等)、無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等)、無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等)、無機褐色系顔料(例えば、γ-酸化鉄等)、無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等)、無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等)、無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等)、無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等)、無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等)、パール顔料(例えば、酸化チタンコ-テッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等)、金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等)、ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレ-キ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号等の有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等)、天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチン等)等が挙げられる。
【0073】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
【0074】
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0075】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
【0076】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0077】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール等)、消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等)、美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン等)、各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピートキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等)、血行促進剤(例えば、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等)、抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等)、抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
【0078】
また、本発明の油中水型乳化組成物には、乳化剤としての目的ではなく、使用感触の制御、薬剤浸透性などの制御、または、皮膚や毛髪の洗浄剤に配合した場合の洗浄性向上などを目的として、水相または油相成分として他の界面活性剤を配合することができる。
【0079】
両性界面活性剤は、カチオン性官能基及びアニオン性官能基を少なくとも1つずつ有し、溶液が酸性のときにはカチオン性、アルカリ性のときにはアニオン性となり、等電点付近では非イオン界面活性剤に近い性質を有している。
両性界面活性剤は、アニオン基の種類により、カルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型およびリン酸エステル型に分類される。本発明に好ましくはカルボン酸型、硫酸エステル型およびスルホン酸型である。カルボン酸型はさらにアミノ酸型とベタイン型に分類される。特に好ましくはベタイン型である。
具体的には、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0080】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、セチルトリエチルアンモニウムメチルサルフェート等の第4級アンモニウム塩が挙げられる。また、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド等のアミドアミン化合物等が挙げられる。
【0081】
アニオン界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N-アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテル酢酸等のカルボン酸塩型、α-オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸型、高級アルコール硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩型、リン酸エステル塩型等に分類される。好ましくは、カルボン酸塩型、スルホン酸型および硫酸エステル塩型であり、特に好ましくは硫酸エステル塩型である。
具体的には、例えば、脂肪酸石鹸(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等)、アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム等)、N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等)、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等)、リン酸エステル塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸等)、スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等)、アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等)、高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等)、N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等)、硫酸化油(例えば、ロート油等)、POE-アルキルエーテルカルボン酸、POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0082】
非イオン性界面活性剤としては、水溶液中で電離して電荷を有することのない界面活性剤である。具体的には、例えばグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルの酸化エチレン誘導体、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルの酸化エチレン誘導体、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールヒマシ油誘導体、ポリエチレングリコール硬化ヒマシ油誘導体等が挙げられる。
【0083】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE-ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンテトラオレエート等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等)、POE-グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等)、POE-脂肪酸エステル類(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等)、POE-アルキルエーテル類(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等)、プルロニック型類(例えば、プルロニック等)、POE・POP-アルキルエーテル類(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等)、テトラ POE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等)、POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等)、POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等)、アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等)、POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル、POE-アルキルアミン、POE-脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド-トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0084】
本発明の油中水型乳化組成物の用途は限定されないが、例えば、皮膚化粧料、毛髪化粧料、皮膚外用剤等として好適である。
【実施例
【0085】
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。配合量は特に断りのない限り、質量%を表す。なお、表3-5におけるコア-コロナ型粒子の配合量は、当該粒子の純分換算値である。
【0086】
試験例1:コア-コロナ型粒子の製造
<製造方法>
・製造例1
還流管と窒素導入管を備えた三口フラスコに水-アルコール混合溶媒にポリエチレンオキサイドマクロモノマー、疎水性モノマー、架橋性モノマーを添加した。十分溶解または分散させた後、全モノマー量に対して1mol%の重合開始剤2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン2塩酸塩)を少量の水に溶解させ添加し、さらに溶解または分散させた。均一溶解または分散させた重合溶液を20分間窒素置換して溶存酸素を除いた後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、オイルバスにて65~70℃に8時間保って重合させた。重合終了後、重合液を室温に戻すことにより、コア-コロナ型粒子分散液(製造例1)を得た。
【0087】
前記コア-コロナ型粒子分散液の製造において、ポリエチレンオキサイドマクロモノマーとしては、ブレンマーPME-400(日油社製、式(1)で示されるマクロモノマーにおいて、n≒9)を用いた。疎水性モノマーとしては、メチルメタクリレート(MMA)、ブチルメタクリレート(n-BMA)を用いた。架橋性モノマーとしては、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)を用いた。
【0088】
・製造例2
還流管と窒素導入管を備えた三口フラスコに水-アルコール混合溶媒にポリエチレンオキサイドマクロモノマー、疎水性モノマーを添加した。十分溶解または分散させた後、20分間窒素置換して溶存酸素を除いた。そこに全モノマー量に対して1mol%の重合開始剤2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン2塩酸塩)を少量の水に溶解させて添加し、さらに溶解または分散させた。均一溶解または分散させた重合溶液を20分間窒素置換して溶存酸素を除いた後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、オイルバスにて65~70℃に8時間保って重合反応を行った。重合終了後、重合液を室温に戻すことにより、コア-コロナ型ミクロ粒子分散液を得た。
【0089】
上記において、ポリエチレンオキサイドマクロモノマーとしては、ブレンマーPME-4000(日油株式会社製)を用いた。また、疎水性モノマーとしては、メチルメタクリレート(MMA)、ブチルメタクリレート(n-BMA)、t-ブチルアクリルアミド(t-BAA)、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド(DMAPA)を用いた。
【0090】
<粒子径および分散度の測定方法>
コア-コロナ型粒子(以下、単に「粒子」と称することがある)の粒子径の測定は、マルバーン社製ゼータサイザーを用いて測定した。水希釈によりコア-コロナ型粒子分散液の粒子濃度約0.1%の測定サンプルを調製し、0.45マイクロメーターのフィルターでごみを除去した後、25℃での散乱強度を散乱角度173°(後方散乱光)で測定し、測定装置に搭載されている解析ソフトで平均粒子径および分散度を算出した。粒子径はキュムラント解析法により解析し、分散度はキュムラント解析で得られる2次キュムラントの値を規格化した数値である。この分散度は一般的に用いられているパラメーターであり、市販の動的光散乱測定装置を用いることで自動的に解析が可能である。粒子径解析に必要な溶媒の粘度は25℃の純水の粘度、即ち0.89mPa・sの値を用いた。
【0091】
製造例1、2で用いた重合条件を、下記表1~3に示す。表1中の数値は、いずれもg(グラム)である。また、表中のEtOHはエタノールの略記である。
【表1】

【表2】

【表3】
【0092】
得られたコア-コロナ型粒子の粒子径及び分散度は、製造例1が206.1nm、0.052、製造例2が210.3nm、0.018であった。
【0093】
試験例2:乳化組成物の製造
試験例1で製造したコア-コロナ型粒子を用いて乳化組成物を作製し、下記方法に従って(1)相状態と(2)乳化安定性を解析した。処方と結果を表4に示す。
【0094】
<製造方法1>
(c)油相成分と(a)ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーンを混合した。さらに、(d)水相成分に、試験例1で製造した(b)コア-コロナ型粒子分散液を添加して攪拌混合し、コア-コロナ型粒子を水相成分中に均一に分散させた。前記(c)と(a)からなる混合液を前記(b)と(d)からなる水分散液に添加して、ホモミキサーで均一になるまでせん断混合を行った。
<製造方法2>
(c)油相成分と(a)ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーンを混合した。さらに、(d)水相成分に、試験例1で製造した(b)コア-コロナ型粒子分散液を添加して攪拌混合し、コア-コロナ型粒子を水相成分中に均一に分散させた。この水分散液を前記(c)と(a)からなる混合液に添加して、ホモミキサーで均一になるまでせん断混合を行った。
【0095】
<評価>
(1)相状態
光学顕微鏡を用いて、試料の相状態を観察した。
(2-1)乳化安定性
試料を遠心分離機にかけて遠心処理(3500rpm、120分間)した後、光学顕微鏡を用いて乳化状態を観察した。下記基準に従って評価した。この解析により、攪拌や振動に対する乳化粒子の安定性を評価することができる。本願では、A以上を合格とした。
A:乳化粒子は均一で、合一や凝集を認めなかった。
B:乳化粒子はほぼ均一であるが、わずかな合一や凝集などを認めた。
C:乳化粒子が均一でなく、著しい合一や凝集を認めた。
【表4】
【0096】
前述した通り、コア-コロナ型粒子は、水中油型乳化組成物を生じる乳化剤として広く知られたものである(特許文献1等)。表4に示されるように、一般的な水中油型乳化物の製造方法(製造方法1)に従い、コア-コロナ型粒子で油分を乳化した組成物(比較例1)は、乳化安定性の高い水中油型乳化組成物となった。
【0097】
これに対し、比較例1の処方にポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーン型界面活性剤であるラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンを追加した組成物(実施例1)では、驚くべきことに、水中油型乳化物の製造方法(製造方法1)に従って製造したにも関わらず、油中水型乳化組成物となった。しかも、当該油中水型乳化組成物は、乳化安定性に優れるものであった。
なお、比較例1の処方のまま、一般的な油中水型乳化物の製造方法(製造方法2)に従って乳化物の製造を試みても、乳化不良となり、乳化物が得られなかった。
【0098】
よって、水中油型乳化系を生じることで知られるコア-コロナ型粒子は、特定の界面活性剤の共存下では、安定な油中水型乳化系を生じることが示された。
【0099】
試験例3:成分の検討
コア-コロナ型粒子と併用すると油中水型乳化物を生じる界面活性剤の検討を行った。試験例2と同じ方法で乳化組成物を製造し、上記項目に加えて、さらに下記項目についても以下の評価基準に従って評価した。結果を表5、6に示す。
【0100】
<評価>
(3)乳化粒子径
光学顕微鏡を用いて、試料の乳化粒子径を測定した。
(2-1)乳化安定性(遠心処理)
試料を試験管に入れて、3500rpmで2時間の遠心処理を行った後、下記基準に従って試料の状態を目視にて観察した。この解析により、乳化系の力学的安定性(合一安定性)を評価することができる。本願では、A以上を合格とした。
A:試料は製造時の乳化状態を保っていた。
B:一部の乳化粒子の合一により、わずかな水相が分離していた。
C:すべての乳化粒子が合一し、水相が完全に分離していた。
(2-2)乳化安定性
試料を50℃で4週間保存した後、下記基準に従って試料の状態を目視にて観察した。この解析により、乳化系の温度安定性と経時安定性を合わせて評価することができる。組成物を商業ベースで提供する場合には、(2-1)よりも重要視される指標である。本願では、A以上を合格とした。
A:試料は製造時の乳化状態を保っていた。
B:一部の乳化粒子の合一により、わずかな水相が分離していた。
C:すべての乳化粒子が合一し、水相が完全に分離していた。
(4)べたつきのなさ
専門パネル10名により、試料を皮膚に塗布した際のべたつきのなさを評価してもらった。本願では、B以上を合格とした。
A:7名以上が、べたつきがないと答えた。
B:5名以上6名以下が、べたつきがないと答えた。
C:3名以上4名以下が、べたつきがないと答えた。
D:2名以下が、べたつきがないと答えた。

【0101】
【表5】
【0102】
【表6】
【0103】
表5に示されるように、乳化剤として、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーン型とコア-コロナ型粒子を併用した場合には、乳化安定性に非常に優れ、べたつきのなさにも優れる油中水型乳化組成物が得られた(実施例2~7)。これらの乳化組成物は、攪拌や衝撃に強く、温度安定性も非常に高いものであった((2-1)、(2-2)がすべてA判定)。
【0104】
また、油相の割合が20~80質量%という幅広い範囲において、非常に安定な油中水型乳化系となった(実施例2~7)。コア-コロナ型粒子は、油相/水相の比率が高くても(すなわち、組成物に占める油相成分の割合が高くても)、良好な水中油型乳化組成物を生じることで知られるが(特許文献)、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーン型界面活性剤を添加することにより、幅広い油相/水相比の処方で、非常に安定した油中水型乳化組成物を生じることが示された(実施例5)。
【0105】
比較例3~12は、非シリコーン系界面活性剤(比較例3~8)、アモジメチコン(比較例9、10)、及び(アルキル変性のない)PEG変性シリコーン(比較例11、12)を界面活性剤として含有する処方で作製した組成物である。表6より、これらの組成物は、コア-コロナ型粒子の有無に関わらず、乳化安定性が低いことが明らかとなった。
【0106】
比較例13、14は、実施例2、3の処方からそれぞれコア-コロナ型粒子のみを除いた処方で作製した組成物である。表6より、これら比較例の組成物は、コア-コロナ型粒子を含む実施例組成物と比べると、乳化粒子径とべたつきのなさの点ではほぼ違いはみられなかったが、乳化安定性が顕著に低下していた。さらに、(a)ポリエーテル変性シリコーンの配合量を5質量%にまで上げた組成物では、乳化安定性は改善されたが、べたつき感を強く生じる結果となった(比較例15)。
【0107】
以上より、(b)コア-コロナ型粒子と(a)ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーンを組み合わせて乳化剤に用いることにより、幅広い油相/水相比の処方において、乳化安定性に非常に優れ、べたつきのなさにも優れる油中水型乳化組成物が得られることが示された。