(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】硬化性材料分注システム並びに該システムを操作する方法及び該システムを包装する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/88 20060101AFI20230928BHJP
A61C 5/64 20170101ALI20230928BHJP
B01J 4/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
A61B17/88
A61C5/64
B01J4/00 103
(21)【出願番号】P 2020555362
(86)(22)【出願日】2019-04-11
(86)【国際出願番号】 US2019026973
(87)【国際公開番号】W WO2019200091
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-03-31
(32)【優先日】2018-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506410062
【氏名又は名称】ストライカー・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ブロックマン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ハーシュマン,ガブリエル
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-519388(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0270862(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0079786(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00-18/00
A61F 2/01
A61N 7/00
A61C 5/64
B01J 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性材料を分注するように構成されるシステムであって、
分注空間を画定するチャンバであって、前記分注空間は、前記硬化性材料を前記分注空間と連通する遠位出口を通して分注するように構成されている、チャンバと、
ユーザーから一次入力を受けるように構成された第1の制御面部と、
前記第1の制御面部に対して回転可能に固定された送りネジであって、近位端部と、遠位端部と、前記近位端部及び前記遠位端部の間に少なくとも部分的に配置された雄ネジ山と、前記近位端部及び前記遠位端部の間に画定された平行移動軸とを有する、送りネジと、
前記送りネジに連結されたプランジャーであって、前記分注空間内に配置され、前記第1の制御面部が前記一次入力を受けたことに応じて、前記平行移動軸に沿って遠位側に前進し、前記分注空間内における前記硬化性材料を圧縮するように構成されている、プランジャーと、
前記送りネジの雄ネジ山に螺合する雌ネジ山と、係合特徴部とを有する係止ナットと、
第2の制御面部を有するアクチュエータであって、前記第2の制御面部は、
付勢部材から付勢力を受けるとともに前記付勢力に抗して前記ユーザーから二次入力を受けるように構成され、前記付勢力を上回る前記二次入力を加えたとき又は前記二次入力を除いたときのいずれか一方において、アクチュエータ及び前記係止ナットの係合特徴部を係合位置に係合させ、
前記一方に対する他方において、アクチュエータ及び前記係止ナットの係合特徴部を離脱位置に離脱
させるように構成されている、アクチュエータと
を備え、
前記係止ナットの雌ネジ山及び前記送りネジの雄ネジ山は、前記アクチュエータが前記離脱位置にあるときに、前記平行移動軸を中心とする前記係止ナットの回転をもたらし、前記プランジャーが前記平行移動軸に沿って近位側に移動することを可能にし、前記圧縮された硬化性材料が前記分注空間内にて少なくとも部分的に減圧することを可能にするように構成されている、システム。
【請求項2】
前記第1及び第2の制御面部を連結させたハウジングをさらに備え、
前記係止ナットは、前記アクチュエータが前記係合位置にあるときに、前記ハウジングに対して回転可能に固定され、前記送りネジを、前記係止ナットを介して前記平行移動軸に沿って遠位側に前進させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ハウジング及び前記アクチュエータに動作可能に連結された付勢部材をさらに備え、
前記付勢部材は、前記アクチュエータを前記離脱位置に付勢するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の制御面部は、ハンドルをさらに有し、
前記ハンドルは、前記ハンドルを少なくとも部分的に貫通する管腔を有し、
前記管腔は、前記送りネジの近位端部を摺動可能に受け入れるように構成されている、請求項2又は3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の制御面部に動作可能に連結された一方向トルク機構をさらに備え、
前記一方向トルク機構は、前記第1の制御面部が
第1の入力トルクから成る前記一次入力を受けたことに応じて前記第1の制御面部における前記平行移動軸を中心とする第1の方向の回転による前記送りネジの遠位方向の前進を可能にし、前記第1の制御面部からの前記第1の入力トルクの除去による前記送りネジの近位方向の移動を阻止するように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の制御面部が移動可能に連結されるハウジングと、
前記第1の制御面部及び前記ハウジングを動作可能に連結する克服可能な一方向機構と
をさらに備え、
前記克服可能な一方向機構は、前記第1の制御面部がトルク閾値よりも小さな第1の入力トルクから成る前記一次入力を受けたことに応じて、前記平行移動軸を中心とする第1の方向における前記第1の制御面部の回転による前記送りネジの遠位方向の前進を可能にし、前記第1の制御面部が前記第1の入力トルクとは逆向きの前記トルク閾値を超える第2の入力トルクを受けたことに応じて、前記平行移動軸を中心とする前記第1の方向と反対の第2の方向における前記第1の制御面部の回転による前記送りネジの近位方向の移動を可能にするように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記係止ナットの雌ネジ山及び前記送りネジの雄ネジ山は、50%を超えるネジ効率によって画定されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
硬化性材料を分注するように構成されるシステムであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに連結され、前記硬化性材料を分注するように構成された分注空間を画定するチャンバと、
前記ハウジングに連結され、ユーザーから一次入力を受けるように構成された第1の制御面部と、
前記第1の制御面部に対して回転可能に固定された送りネジであって、近位端部と、遠位端部と、前記近位端部及び前記遠位端部の間に少なくとも部分的に配置された雄ネジ山と、前記近位端部及び前記遠位端部の間に画定された平行移動軸とを有する、送りネジと、
前記送りネジの遠位端部に連結されたプランジャーと、
前記送りネジの雄ネジ山に螺合する雌ネジ山と、係合特徴部とを有する係止ナットと、
前記ハウジングに連結され、第2の制御面部を有するアクチュエータであって、前記第2の制御面部は、
付勢部材から付勢力を受けるとともに前記付勢力に抗して前記ユーザーから二次入力を受け、前記付勢力を上回る前記二次入力を加えたとき又は前記二次入力を除いたときのいずれか一方において、アクチュエータ及び前記係止ナットの係合特徴部を係合位置に係合させ、
前記一方に対する他方において、アクチュエータ及び前記係止ナットの係合特徴部を離脱位置に離脱
させるように構成されている、アクチュエータと
を備え、
前記係止ナットは、
前記平行移動軸を中心として前記送りネジの周りで回転可能な状態で前記ハウジングに対して固定されて、前記アクチュエータが前記係合位置にある
ときに前記平行移動軸を中心とする回転を
阻止され、これによって、前記係止ナットの雌ネジ山及び前記送りネジの雄ネジ山が、前記第1の制御面部が前記一次入力を受けたことに応じて、前記平行移動軸に沿った前記送りネジ及び前記プランジャーの遠位方向の前進をもたらし、前記硬化性材料を前記分注空間内にて圧縮するように構成されている、システム。
【請求項9】
前記係止ナットの雌ネジ山及び前記送りネジの雄ネジ山は、前記第2の制御面部が前記離脱位置にあるとき、前記送りネジ及び前記プランジャーが前記平行移動軸に沿って近位側に移動するのに伴って前記平行移動軸を中心とする前記係止ナットの回転をもたらし、前記圧縮された硬化性材料が分注空間内にて少なくとも部分的に減圧することを可能にするように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の制御面部に動作可能に連結された一方向トルク機構をさらに備え、
前記一方向トルク機構は、前記第1の制御面部が
第1の入力トルクからなる前記一次入力を受けたことに応じて前記平行移動軸を中心とする第1の方向における前記第1の制御面部の回転による前記送りネジの遠位方向の前進を可能にし、前記第1の制御面部からの前記第1の入力トルクの除去による前記送りネジの近位方向の移動を阻止するように構成されている、請求項8又は9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の制御面部を移動可能とするように連結させたハウジングをさらに備え、
前記一方向トルク機構は、前記ハウジングに対して摩擦関係をもたらしながら移動可能となるように配置されて、クラッチ機構を画定し、これによって、前記第1の制御面部が前記ユーザーから前記摩擦関係を上回るのに十分なトルク閾値を超える第2のトルク入力を受けたことに応じて、前記第1の方向とは反対の第2の方向における前記第1の制御面部の回転が可能になる、請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、2018年4月11日に出願された米国仮特許出願第62/656,033号の優先権及び利得の全てを主張するものであり、その内容は、参照することによって、その全体がここに含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
いくつかの外科手術においては、硬化性材料が骨構造内に留置される。例えば、椎体形成手術では、アクセスカニューレが、椎骨の皮質骨を通して椎体の海綿領域内に導かれる。このアクセスカニューレに分注システムが連結される。次いで、分注システムが操作され、硬化性材料がアクセスカニューレを通して海綿領域内に分注される。周知の分注システムは、いくつかの欠点を有している。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの実例において、硬化性材料を分注するように構成されるシステムは、分注空間を画定するチャンバであって、分注空間が、硬化性材料を分注空間と連通する遠位出口を通して分注するように構成される、チャンバを備えている。第1の制御面部は、ユーザーから一次入力を受けるように構成され、送りネジは、第1の制御面部に対して回転可能に固定されている。送りネジは、近位端部と、遠位端部と、近位端部及び遠位端部の間に少なくとも部分的に配置された雄ネジ山と、近位端部及び遠位端部の間に画定された平行移動軸とを備えている。プランジャーは、送りネジに連結され、分注空間内に配置される。プランジャーは、第1の制御面部が一次入力を受けたことに応じて、平行移動軸に沿って遠位側に前進し、分注空間内における硬化性材料を圧縮するように構成される。係止ナットは、送りネジの雄ネジ山に螺合する雌ネジ山と、係合特徴部とを備える。システムは、第2の制御面部を有するアクチュエータも備える。第2の制御面部は、アクチュエータ及び係止ナットの係合特徴部を係合位置に係合させ、アクチュエータ及び係止ナットの係合特徴部を離脱位置に離脱させるために、ユーザーから二次入力を受けるように構成される。係止ナットの雌ネジ山及び送りネジの雄ネジ山は、アクチュエータが離脱位置にあるとき、平行移動軸を中心とする係止ナットの回転をもたらし、プランジャーが平行移動軸に沿って近位側に移動することを可能にし、圧縮された硬化性材料が分注空間内にて少なくとも部分的に減圧することを可能にするように構成されている。
【0004】
いくつかの実例では、硬化性材料を分注するように構成されるシステムは、ハウジングと、このハウジングに連結されたチャンバとを備える。チャンバは、硬化性材料を分注するように構成された分注空間を画定している。第1の制御面部は、ハウジングに連結され、ユーザーから一次入力を受けるように構成される。送りネジは、第1の制御面部に対して回転可能に固定される。送りネジは、近位端部と、遠位端部と、近位端部及び遠位端部の間に少なくとも部分的に配置された雄ネジ山と、近位端部及び遠位端部の間に画定された平行移動軸とを備える。プランジャーは、送りネジの遠位端部に連結される。システムは、送りネジの雄ネジ山に螺合する雌ネジ山と、係合特徴部とを有する係止ナットも備える。アクチュエータは、ハウジングに連結され、第2の制御面部を備える。第2の制御面部は、アクチュエータ及び係止ナットの係合特徴部を係合位置に係合させ、アクチュエータ及び係止ナットの係合特徴部を離脱位置に離脱させるために、ユーザーから二次入力を受けるように構成される。係止ナットは、アクチュエータが係合位置にあるとき、ハウジングに対して回転可能に固定され、平行移動軸を中心とする係止ナットの回転を阻止し、これによって、係止ナットの雌ネジ山及び送りネジの雄ネジ山が、第1の制御面部が一次入力を受けたことに応じて、平行移動軸に沿った送りネジ及びプランジャーの遠位方向の前進をもたらし、硬化性材料を分注空間内にて圧縮するように構成されている。
【0005】
いくつかの実例では、硬化性材料を分注するように構成されるシステムは、ハウジングと、このハウジングに連結されたチャンバとを備える。チャンバは、硬化性材料を分注するように構成された分注空間を画定している。第1の制御面部は、ハウジングに連結され、ユーザーから一次入力を受けるように構成される。システムは、ハウジング内に配置され、雌ネジ山を有する係止ナットも備えている。送りネジは、第1の制御面部に対して回転可能に固定される。送りネジは、近位端部と、遠位端部と、近位端部及び遠位端部の間に少なくとも部分的に配置された雄ネジ山と、近位端部及び遠位端部の間に画定された平行移動とを備える。送りネジの雄ネジ山と係止ナットの雌ネジ山との係合は、第1の制御面部が第1の方向における一次入力を受けたことに応じて、平行移動軸に沿った送りネジの移動をもたらし、分注空間内における硬化性材料を圧縮するように構成される。克服可能な一方向機構は、第1の制御面部とハウジングとを動作可能に連結している。克服可能な一方向機構は、第1の制御面部がトルク閾値よりも小さな第1の入力トルクから成る一次入力を受けたことに応じて、送りネジの遠位方向の前進を可能にし、第1の制御面部が第1の入力トルクと逆向きのトルク閾値と少なくとも同等の第2の入力トルクを受けたことに応じて、平行移動軸を中心とする第1の方向と反対の第2の方向における第1の制御面部の回転による送りネジの近位方向の移動を可能にするように構成されている。
【0006】
いくつかの実例では、硬化性材料を分注するように構成されるシステムは、硬化性材料を分注するように構成される分注空間を画定するチャンバを備える。送りネジは、第1の制御面部に対して回転可能に固定される。送りネジは、近位端部と、遠位端部と、近位端部及び遠位端部の間に少なくとも部分的に配置された雄ネジ山と、近位端部及び遠位端部の間に画定された平行移動軸とを備える。係止ナットは、送りネジの雄ネジ山に螺合する雌ネジ山を備える。係止ナットの雌ネジ山及び送りネジの雄ネジ山は、50%よりも大きなネジ効率によって画定され、これによって、係止ナットは、分注空間内における圧縮された硬化性材料によって与えられた近位力に応じて平行移動軸を中心として回転し、送りネジを平行移動軸に沿って近位側に平行移動させるように構成されている。
【0007】
いくつかの実例では、硬化性材料を分注するように構成されるシステムは、硬化性材料を分注するように構成された分注空間を画定するチャンバを備える。第1の制御面部は、一次入力をユーザーから受けるように構成される。送りネジは、第1の制御面部に対して回転可能に固定される。送りネジは、近位端部と、遠位端部と、近位端部及び遠位端部の間に少なくとも部分的に配置された雄ネジ山と、近位端部及び遠位端部の間に画定された平行移動軸とを備える。送りネジは、第1の制御面部が一次入力を受けたことに応じて、平行移動軸に沿って遠位側に前進し、分注空間内における硬化性材料を圧縮するように構成される。係止ナットは、送りネジの雄ネジ山に螺合する雌ネジ山を備える。係止ナットの雌ネジ山及び送りネジの雄ネジ山は、送りネジが回転することなく平行移動軸に沿って近位側に平行移動することに応じて、係止ナットの平行移動軸を中心とする回転をもたらし、圧縮された硬化性材料が分注空間内にて少なくとも部分的に減圧することを可能にするように構成される。
【0008】
いくつかの実例では、硬化性材料分注システムを操作する方法は、二次入力を第2の制御面部に加え、第2の制御面部を離脱位置から係合位置に移動させるステップを含んでいる。第2の制御面部は、付勢部材によって与えられる力に対して係合位置に保持されている。第2の制御面部が係合位置にある状態で、一次入力が第1の制御面部に加えられ、送りネジを平行移動軸に沿って遠位側に移動させ、分注空間内における硬化性材料を圧縮する。第2の制御面部に加えられた二次入力が除かれ、付勢部材によって第2の制御面部を係合位置から離脱位置に移動させる。第2の制御面部が離脱位置にあることによって、送りネジの平行移動軸に沿った近位方向の移動をもたらし、圧縮された硬化性材料が分注空間内にて少なくとも部分的に減圧することを可能にする。
【0009】
いくつかの実例では、硬化性材料分注システムを操作する方法は、アクチュエータが付勢部材によって与えられた力によって係止ナットに係合するように付勢され、係止ナットを平行移動軸を中心として回転可能に固定した状態において、一次入力を第1の制御面部に加えるステップを含んでいる。螺合によって、送りネジの平行移動軸に沿った遠位方向の平行移動をもたらし、分注空間内における硬化性材料を圧縮する。付勢部材によって与えられた力を上回るのに十分な二次入力が第2の制御面部に加えられ、アクチュエータを係止ナットから離脱させるように移動させ、平行移動軸を中心とする係止ナットの回転をもたらす。係止ナットの螺合及び回転によって、送りネジの平行移動軸に沿った近位方向の平行移動を可能にし、圧縮された硬化性材料が分注空間内にて少なくとも部分的に減圧することを可能にする。
【0010】
いくつかの実例では、硬化性材料分注システムを操作する方法は、硬化性材料分注システムを収容するのに十分な寸法を有する包装体を準備するステップを含んでいる。ハウジング及びハウジングに連結された分注空間を備える硬化性材料分注システムが準備される。回転結合体に回転可能に連結された柔軟チューブ及び回転結合体に連結された肘状結合体を備える延長チューブが準備される。延長チューブの肘状結合体が分注空間の遠位端部に連結され、これによって、柔軟チューブと分注空間との間を流体連通させる。柔軟チューブが分注空間に対して肘状結合体を中心として包装形態に関節運動され、包装形態では、柔軟チューブ及び分注空間は、実質的に互いに平行であり、柔軟チューブは、肘状結合体に対して分注空間の方に配置される。その後、包装形態にある硬化性分注システム及び延長チューブが包装体内に配置される。
【0011】
本開示の利点は、添付の図面と関連させて以下の詳細な説明を参照することによってより理解されたのであれば、速やかに明らかになることであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】混合及び圧縮システムに取り外し可能に連結された硬化性材料分注システムの斜視図である。
【
図3】アクチュエータが離脱位置にある状態における断面線3-3に沿って切断された
図2の硬化性材料分注システムの断面図である。
【
図4】アクチュエータが係合位置にある状態における硬化性材料分注システムの断面図である。
【
図5】送りネジが遠位側に前進し、硬化性材料を圧縮及び/又は分注している状態における硬化性材料分注システムの断面図である。
【
図7】アクチュエータ及びハウジングが取り外された硬化性材料分注システムの斜視図である。
【
図8】断面線8-8に沿って切断された
図7の硬化性材料分注システムの斜視断面図である。
【
図9】第1の制御面部を画定するハンドルであって、一方向トルク機構の特徴部を備えるハンドルの斜視図である。
【
図12】第2の制御面部を備えるアクチュエータの底斜視図である。
【
図13】克服可能な一方向機構の前方斜視図である。
【
図14】克服可能な一方向機構の後方斜視図である。
【
図15】
図2の硬化性材料分注システムにおけるボックス15-15内の部分の詳細な斜視図である。
【
図16】延長チューブが使用中に展開形態にある状態での硬化性材料分注システムを示す図である。
【
図17】包装体内に配置された包装形態にある硬化性材料分注システム、混合及び圧縮システム、並びに延長チューブの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1~
図6は、硬化性材料を分注するように構成されるシステム30を示している。システム30は、硬化性材料を受入れ、分注するように構成される分注空間34を画定するチャンバ32を備えている。硬化性材料は、例えば、粉状コポリマー及び液体モノマーを混合することによって形成された骨セメントであるとよい。いくつかの実例では、チャンバ32は、システム30が取り外し可能に連結された混合及び圧縮システム31から予混合された硬化性材料を受け入れるようになっている。本願に適する例示的な混合及び圧縮システム31は、共同所有の国際出願公開第2008/08045329号に開示されている。この文献の内容は、参照することによって、その全体がここに含まれるものとする。代替的に、チャンバ32が粉状コポリマー及び/又は液体モノマーを受入れ、その後、後述の方法によって硬化性材料を分注する前に分注空間34内における内容物を混合するようになっていてもよい。分注空間34内における硬化性材料の混合に適する例示的な構成要素は、共同所有の米国特許第6,547,432号、第6,736,537号、第7,134,782号、第7,306,361号、及び第7,320,540号に開示されている。これらの文献は、いずれも参照することによって、それらの全体がここに含まれるものとする。
【0014】
外科手術を開始するにあたって、本願の発明者らは、周知のシステムが外科手術室内における貴重な空間を必要以上に占めることを知っている。また、周知のシステムは、外科手術室内においてアクセスカニューレに最終的に連結される柔軟チューブを組み込む必要があり、外科手術に関連する他の仕事に振り分けられるべき時間及び資源をさらに浪費することになる。また、外科手術中、骨構造内における硬化性材料を可視化するためにX線透視が用いられることがある。この場合、周知の分注システムは、分注システムを保持する外科医がX線透視撮像に関連する放射線を回避するために分注システムを外科部位の周りを移動させるのに十分な操縦性を、外科医にもたらすようになっていない。さらに、おそらく最も重要なことであるが、様々な理由から、外科手術中に外科医が硬化性材料の送達を即時に終了することが望まれる。例えば、体内に導かれた過剰な量の高圧の硬化性材料による外科的合併症が知られている。多くの周知の分注システムは、この課題に対して不十分である。なぜならば、圧縮された硬化性材料は、最小抵抗の経路に沿って、すなわち、システムの外に向かって且つ患者内に向かって少なくとも部分的に減圧されるからである。「ドルール(drool)」として知られるこの概念によって、分注空間と外科部位との間の圧力勾配が十分に低減されるまで、追加的な硬化性材料が、外科医の意図に反して患者内に送達されることになる。
図5を同時に参照すると、例示的なチャンバ32は、近位端部36及び近位端部36の少なくとも実質的に反対側に位置する遠位出口38を備えている。遠位出口38は、分注空間34と連通している。チャンバ32は、
図1~
図5に示されるように細長い実質的に管形状を有しているとよいが、システム30の設計又は外科用途の要求に基づくどのような適切な大きさ及び形状を有していてもよい。
【0015】
チャンバ32は、分注空間34と少なくとも最初は流体連通する入口ポート40を備えている。入口ポート40は、混合及び圧縮システム31に取り外し可能に連結されるように構成されている。入口ポート40を通って分注空間34内に入る硬化性材料は、移送段階にある。移送段階中、入口ポート40は、分注空間34及び遠位出口38と流体連通している。
図15を参照すると、入口ポート40は、チャンバ32から延在するネック部分53を備えている。ネック部分53は、分注空間34と連通する開口55を画定している。ネック部分53は、管状であり、半径方向外方に延在する少なくとも1つのリブ57を備えている。
図15は、略螺旋配置された2つのリブ57を示している。リブ57は、混合及び圧縮システム31の放出アセンブリ33の相補的特徴部と協働して入口ポート40を引っ張り、入口ポート40を混合及び圧縮システム31の(部番が付されない)出口ポートに密封係合させるように構成されている。シール体59が、ネック部分53内に少なくとも部分的に配置されている。シール体59は、連結特徴部71を備えている。連結特徴部71は、シール体59を軸方向に保持するためにネック部分53の相補的な連結特徴部73に係合するように構成されている。
図15は、連結特徴部71を撓み可能な指状部分として示している。指状部分は、弾性的に撓み、相補的な連結特徴部73を少なくとも部分的に形成する開口に係合するように構成されている。シール体59がネック部分53に連結されると、シール体59を貫通する管腔75は、分注空間45と選択的に連通することになる。
【0016】
図2~
図5を参照すると、硬化性材料を遠位出口38から後述の方法によって分注する間に、プランジャー42とチャンバ32との間の密封界面43は、プランジャー42の遠位方向の移動によって入口ポート40の遠位側に移動し、その後、入口ポート40は、分注空間34及び遠位出口38ともはや流体連通しないことになる。密封界面43は、プランジャー42の外面とチャンバ32の内面との間に画定される。密封界面43は、プランジャー42に連結された(図示されない)シール体によって画定されてもよい。シール体は、(減摩材料によって被覆されていないか又は被覆されている)Oリング又は他の圧縮シール体であってもよいし、又は動的シール体であってもよい。動的シール体、例えば、フェザーシール体は、そのシール体への力に比例する密封力をもたらすものである。プランジャー42がチャンバ32に対して移動すると、密封界面43における摩擦は、プランジャー42の遠位側の硬化性材料を密封しながらゼロ近くまで低下する。密封界面43は、個々のシール体によって画定されているかどうかに関わらず、最小の摩擦によってプランジャー42とチャンバ32との間の密封特性を維持するように構成されている。後述の追加的な利点の内、密封界面43における最小摩擦は、硬化性材料送達システム30の作動中、後退駆動可能性を促進し、外科医へのフィードバック性を改良する。
【0017】
チャンバー固定具44が、とりわけ、チャンバ32をハウジング50に固定するために、チャンバ32の近位端部36又はその近傍において、チャンバ32に連結されているか又はチャンバ32と一体に形成されている。チャンバ固定具44は、チャンバ32から横方向外方に延在する互いに向き合う支柱部材45を備えている。これらの支柱部材45は、ハウジング50内に画定された対応する形状の溝54(1つが
図6に示されている)内に着座するように構成されている。また、互いに向き合う支柱部材45は、近位-遠位方向においてチャンバ32の近位端部38の近位側の位置まで延在し、後述のシステム30のいくつかの構成部品を収容するように寸法決めされた空洞47を少なくとも部分に画定している。空洞47は、互いに向き合う支柱部材47によってその横方向の境界が定められ、近位リング49によってその近位方向の境界が定められている。さらに、空洞47は、チャンバ32の近位端部36によってその遠位方向の境界が定められている。空洞47は、互いに向き合う支柱部材45を備えない側が開いている。互いに向き合う支柱部材45の少なくとも1つは、開口51を備えている。開口51は、アクチュエータ120の係合特徴部123を受入れるように寸法決めされ、これによって、空洞47内に配置された係止ナット90が、後述の方法によってアクチュエータ120に係合されることになる。
【0018】
チャンバ32の遠位結合体46は、後述の延長チューブ190(
図16参照)に取り外し可能に連結されるように構成されている。延長チューブ190は、患者内に配置された外科器具、例えば、骨構造を貫通するアクセスカニューレに連結されるように構成されている。遠位結合体46は、本開示の延長チューブ190の肘状結合体192を取り外し可能に受け入れるように構成されたルアーフィティング、バヨネットマウント、又は他の適切な接続具であってもよいし、又は周知の管状装置の遠位端部であってもよい。
【0019】
チャンバ32は、分注空間34内における硬化性材料(及びプランジャー42)が外科医に見えるようにするために、半透明材料又は透明材料から少なくとも部分的に形成されているとよい。分注空間34内における硬化性材料の量及び/又は分注空間34から分注される硬化性材料の量、具体的には、分注空間34内におけるプランジャー42の移動によって確定された距離に基づく硬化性材料の量を外科医に知らせるために、(図示されない)マークがチャンバ32の外面52に設けられてもよい。マークは、(例えば、立方センチメートル単位で表される)分注空間34の容積に対応する数字の目盛であるとよい。
【0020】
図5を参照すると、プランジャー42は、分注空間34内に摺動可能に配置されている。プランジャー42は、分注空間34内において遠位方向(D)及び近位方向(P)に移動可能である。具体的には、プランジャー42は、遠位方向に前進し、分注空間34内における硬化性材料(CM)を推進及び/又は圧縮し、これによって、圧縮された硬化性材料の少なくとも一部を遠位出口38から押し出すように構成されている。プランジャー42の遠位方向の前進を促進するために、硬化性材料分注システム30は、ユーザーから一次入力を受けるように構成された第1の制御面部60と、第1の制御面部60に動作可能に連結された送りネジ62とを備えている。
図3及び
図5に示されるように、プランジャー42は、例えば、送りネジ62の遠位端部64又はその近傍において送りネジ62に連結されている。送りネジ62は、第1の制御面部60に対して回転可能に固定されている。後述の方法によって、一次入力、例えば、第1の入力トルクが第1の方向において第1の制御面部60に加えられると、送りネジ62が回転し、それに応じて、分注空間34内においてプランジャー42が遠位方向に前進する。逆に、第2の入力が第1の方向と反対の第2の方向において第1の制御面部60に加えられると、送りネジ62が回転し、それに応じて、分注空間34内においてプランジャー42が近位方向に移動する。プランジャー42と送りネジ62との間の摩擦を低減させるような方法によって、プランジャー42を送りネジ62に対して回転させることも考えられる。プランジャー42と送りネジ62との間の摩擦を低減することによって、例えば、近位方向へのプランジャー42の移動中におけるシステム30の後退駆動性を促進させることができる。
【0021】
図3~
図5及び
図8を参照すると、送りネジ62は、遠位端部64及び遠位端部64と反対側の近位端部66を備えている。平行移動軸(TA)が、送りネジ62の近位端部64と遠位端部66との間に画定されている。第1の制御面部60は、ハンドル68に関連付けられている。ハンドル68は、近位端部70と、遠位端部72と、ハンドル68の近位端部70と遠位端部72との間に少なくとも部分的に延在する管腔74とを備えている。管腔74は、平行移動軸に沿ってハウジング50の内部56から延在するハンドル68の少なくとも一部と同軸に配置されている。
図3~
図5に最もよく示されるように、送りネジ62の近位端部66は、管腔74内に配置されている。ハンドル68は、管腔74の少なくとも一部を画定する駆動特徴部76をさらに備えている。ハンドル68の駆動特徴部76は、駆動特徴部76と相補的な送りネジ62の被駆動特徴部78に係合するように構成され、これによって、送りネジ62は、ハンドル68の第1の制御面部60に対して回転可能に固定される。
図9を参照すると、例えば、駆動特徴部76は、ハンドル68の近位端部70と遠位端部72との間に少なくとも部分的に延在する矩形状の管腔を画定している。駆動特徴部76は、管腔74を少なくとも部分的に画定する溝77をさらに備えている。被駆動特徴部78は、送りネジ62の近位端部66によって画定されている。近位端部66は、少なくとも実質的に矩形であり、ハンドル68の管腔74に合わせて寸法決めされている。被駆動特徴部78は、送りネジ62に沿って長手方向に延在する(例えば、送りネジ62の弦部によって画定された)少なくとも1つの隆線79をさらに備えている。駆動特徴部76及び被駆動特徴部78は、送りネジ62とハンドル68との間の相対的な回転を阻止するが、平行移動軸に沿ったハンドル68の第1の制御面部60に対する送りネジ62の軸方向移動を可能にするように、互いに係合されている。
【0022】
ハンドル68は、シャフト80及びシャフト80に連結された把持部分82を備えている。把持部分82は、第1の制御面部60を少なくとも部分的に画定している。
図8は、シャフト80の近位側に位置してシャフト80から半径方向外方に拡がる把持部分82を示している。把持部分82は、作動中、外科医の一方の手によって把持されるように寸法決めされている。第1の制御面部60は、把持部分82の周りに環状に配置されている。把持部分82の少なくとも第1の制御面部60は、第1の制御面部60への第1及び第2の入力トルクの印可中に手が不注意によって滑るのを阻止するために、粘着性の高い材料(例えば、ゴム)から形成されているとよい。さらに、把持部分82の少なくとも第1の制御面部60は、使用中の把持性を高めるために刻み目及び/又は隆線を備えていてもよい。外科医に対して第1の回転方向に関する案内をもたらすために、(図示されない)方向を示すマークがハンドル68上に配置されていてもよい。
【0023】
送りネジ62が第1の制御面部60に対して回転可能に固定されると、第1及び第2の入力トルクを第1の制御面部60に与えることによって、ハンドル60の回転、従って、送りネジ62の回転をもたらすことができる。しかし、平行移動軸に沿ったプランジャー42を遠位方向及び近位方向に移動させるには、プランジャー42に連結された送りネジ62の対応する遠位方向及び近位方向の移動が必要である。例えば、平行移動軸に沿ったプランジャー42及び送りネジ62の遠位方向の移動を促進するために、硬化性材料分注システム30は、雌ネジ山92を備える係止ナット90を備えている。
図8を特に参照すると、係止ナット90の雌ネジ92は、送りネジ62の近位端部64と遠位端部66との間に少なくとも部分的に延在する送りネジ62の雄ネジ山94に螺合する。係止ナット90は、ハウジング50の内部56内に配置され、平行移動軸と同軸に配置されている。係止ナット90は、送りネジ62を受入れるように構成される開口96を備えている。
図7は、係止ナット90の開口96内を係止ナット90の雌ネジ山92と同軸に貫通する送りネジ62を示している。雌ネジ山92は、送りネジ62の雄ネジ山94に螺合している。係止ナット90の雌ネジ山92と送りネジ62の雄ネジ山94との螺合によって、第1の制御面部60がユーザーから第1の入力トルクを受けると、それに応じて、送りネジ62(及びプランジャー42)が係止ナット90に対して遠位方向に前進する。係止ナット90の雌ネジ山92は、開口96の全周面にわたって(すなわち、360°にわたって)延在しているが、雄ネジ山94は、部分的な螺合(例えば、90°、180°、270°等)を画定するために、送りネジ62の全周よりも短い周面にわたって延在していることに留意されたい。1つ又は複数の隆線79が、送りネジ62の雄ネジ山94を有しない部分間に延在している。代替的に、雌ネジ山92及び/又は雄ネジ山94は、それぞれ、360°の全周にわたって延在していてもよいし、又は360°未満の周面にわたって延在していてもよい。
【0024】
図8、
図10、及び
図13は、ハブ100及びこのハブ100に連結されたリングギア102を備える係止ナット90を最もよく示している。ハブ100は、開口96を画定し、開口96の周りに配置された雌ネジ山92を備えている。ハブ100は、リングギア102によって画定された凹部内に配置されている。開口96は、ハブ100によって画定され、送りネジ62を受入れるように寸法決めされている。係止ナット90は、ポリマー、金属、その組合せ等を含む適切な材料から形成されているとよい。
【0025】
硬化性材料分注システム30は、平行移動軸を中心とする係止ナット90の回転を選択的に阻止し、その結果、送りネジ62の回転によって、送りネジ62を遠位方向に前進させることができる。逆に、係止ナット90が平行移動軸を中心として回転可能であるとき、(雌ネジ山92及び雄ネジ山の特性に起因して)、送りネジ62の回転は、送りネジ62及び係止ナット90の同時回転をもたらし、これによって、係止ナット90に対する送りネジ62の最小距離の前進しか生じない。さらに、平行移動軸を中心とする係止ナット90の回転が阻止されたとき、係止ナット90の雌ネジ山92と送りネジ62の雄ネジ山94との間の螺合に起因して、送りネジ62の回転によって、係止ナット90に対する送りネジの遠位方向の前進が生じる。同様に、ハウジング50に対する係止ナット90の回転が阻止されたとき、係止ナット90の雌ネジ山92と送りネジ62の雄ネジ山94との間の螺合に起因して、送りネジ62の回転によって、ハウジング50に対する送りネジ62の遠位方向の前進が生じる。
【0026】
平行移動軸を中心とする係止ナット90の回転を選択的に阻止するために、係止ナット90は、係合特徴部98を備えている。後述するように、係合特徴部98は、(二次入力の印可によって)係合され、平行移動軸を中心とする係止ナット90の回転を阻止するように構成されている。係合特徴部98は、複数の歯118を備えている。これらの歯118は、リングギア102から半径方向に延在し、さらに具体的には、係止ナット90のリングギア102の周りに環状に配置されている。これらの歯118は、係止ナット90のリングギア112を形成する遠位リング104及び/又は近位リング105の周りに配置されているとよい。代替的に、係合特徴部は、ノッチ、突起等であってもよい。
【0027】
図3及び
図4を再び参照すると、システム30は、係止ナット90の係合特徴部98に選択的に係合するように構成されたアクチュエータ120を備えている。アクチュエータ120は、ユーザーから二次入力を受けるように構成された第2の制御面部122を備えている。アクチュエータ120は、係止ナット90の係合特徴部98と相補的な係合特徴部123、例えば、相補的な歯124をさらに備えている。
図14を同時に参照すると、アクチュエータ120は、ハウジング50に旋回可能に連結されたレバー126であるとよい。図示されるレバー126は、略矩形状であり、ユーザーから二次入力を受け入れるためにハウジング50から離れる方を向いた第2の制御面部122を画定している。代替的に、アクチュエータ120は、ボタン、トグルスイッチ、スライダー等であってもよい。
【0028】
歯124は、アクチュエータ120に連結され、係止ナット90の方を向くように第2の制御面部122の実質的に反対側に位置している。歯124は、係止ナット90の周りに環状に延在する歯118の円弧部分に対して相補的に配置されている。アクチュエータは、旋回可能な連結方法以外の方法、例えば、摺動可能な連結方法によってハウジング50に移動可能に連結されてもよいこともさらに考えられる。アクチュエータ120は、係合位置と離脱位置との間で作動可能である。係合位置では、相補的な係合特徴部123が係止ナット90の係合特徴部98に係合し、平行移動軸を中心とする係止ナット90の回転を阻止する。例えば、アクチュエータ120の歯124は、係止ナット90の歯118に係合する。アクチュエータ120がハウジング50に連結されているので、アクチュエータ120が係合位置にあるとき、係止ナット90は、ハウジング50に対して回転可能に固定される。離脱位置において、アクチュエータ120の歯124は、係止ナット90の歯118から離間又は離脱される。アクチュエータ120が離脱位置にあるとき、係止ナット90は、平行移動軸を中心としてハウジング50に対して回転する。第2の制御面部122に加えられる二次入力によって、アクチュエータ120は、係合位置と離脱位置との間で移動する。例えば、レバー126は、最初、
図3に示される離脱位置にある。ユーザーは、ハウジング50を支持しながら、二次入力、例えば、下向き力をレバー126に加える。レバー126は、ハウジング50に対して旋回し、これによって、アクチュエータ120の歯124が係止ナット90の歯118の方に移動する。歯118,124が互いに螺合し、これによって、アクチュエータ120の係合位置が画定される。
【0029】
システム30は、アクチュエータ120に動作可能に連結された付勢部材128を備えている。付勢部材128は、アクチュエータ120を離脱位置に付勢する。例えば、
図3は、アクチュエータ120の底側の凹部129に係合するように構成されたコイルバネから成る付勢部材128を示している(
図9参照)。アクチュエータ120が係合位置にあるとき、
図4に示されるように、コイルバネは、アクチュエータ120とハウジング50との間で圧縮される。従って、付勢部材128は、レバー126をハウジング50から離れる方に付勢するように構成されている。その結果、付勢部材128によって与えられた付勢力を上回る二次入力が第2の制御面部122に加えられると、アクチュエーター120が離脱位置から係合位置に移動する。逆に、二次入力が第2の制御面部122から除かれると、付勢部材128がアクチュエータ120を係合位置から離脱位置に移動させる。代替的に、付勢部材128は、アクチュエータ120を離脱位置に付勢するように構成されるトーションバネ、バネクリップ、定力バネ、又は他の適切な機構であってもよい。
【0030】
代替的に、付勢部材がアクチュエータ20を係合位置に付勢するように連結され、第2の制御面部122に加えられた二次入力がアクチュエータ120を係合位置から離脱位置に移動させる構成(すなわち、前述の構成と逆の構成)も考えられる。このような実例では、係止ナット90の係合特徴部98は、例えば、係止ナット90のアクチュエータ120と向き合う側に位置する(図示されない)歯に係合されるようになっている。歯は、二次入力が第2の制御面部122に加えられないときに係合特徴部98と係合するように付勢される。アクチュエータ120は、係止ナット90から離れた位置(例えば、
図2に示される位置)に付勢されている。さらに、アクチュエータ120は、係止ナット90と向き合う側に位置する歯に動作可能に連結されている。第2の制御面部122への二次入力の印可によって、アクチュエータ120は、ハウジング50の方に移動し、これによって、付勢部材によって与えられた付勢力に対して歯を係合特徴部98から離脱させる。係止ナット90は、もはやハウジング50に対して回転可能に固定された歯によって拘束されず、本開示の全体にわたって記載される理由から平行移動軸を中心として回転することが可能になる。
【0031】
アクチュエータ120が係合位置にあるとき、一次入力が第1の制御面部60に加えられると、送りネジ62と係止ナット90との間の螺合に起因して、平行移動軸を中心とする送りネジ62の回転及び平行移動軸に沿った送りネジ62の遠位方向の移動が生じる。送りネジ62が遠位方向に移動すると、分注空間34内においてプランジャー42が遠位方向に前進する。分注空間34内における硬化性材料が、圧縮され及び/又は遠位出口38から分注される。硬化性材料分注システム30と共に用いられる例示的な外科手術、すなわち、椎骨形成術の場合、硬化性材料は、延長チューブ190に分注され、皮質骨に導入されたアクセスカニューレを通って、椎体の海綿領域内に導かれる。
【0032】
さらに、さまざまの理由から、例えば、外科医が椎体の海綿領域への硬化性材料の送達を即座に停止することが望まれることがある。前述したように、好ましくない一例として、過剰な量の硬化性材料が椎体内に導かれることが知られている。外科医がその入力を除いたにも関わらず、多くの周知のシステムでは、「ドルール」が生じ、追加的な硬化性材料が、外科医の意図に反して患者内に送達される。本開示のシステム30の多くの有利な特徴の1つは、送りネジ62(及びプランジャー42)を近位方向に移動させ、分注空間34の遠位出口38からのドルールを最小化又は排除することにある。さらに詳細に後述するように、係止ナット90の雌ネジ山92及び送りネジ62の雄ネジ山94は、アクチュエータ120が離脱位置にあるとき、平行移動軸を中心とする係止ナット90を回転させるように構成されている。係止ナット90の回転によって、プランジャー42を平行移動軸に沿って近位側に移動させることが可能であり、遠位出口38を介する減圧と対照的に、圧縮された硬化性材料を分注空間34内において少なくとも部分に減圧させることがさらに可能である。
【0033】
図4を再び参照すると、アクチュエータ120が係合位置にある状態のシステム30が示されている。具体的には、レバー126がハウジング50に隣接して位置し、第2の制御面部122がハウジング50と実質的に同一平面にある。アクチュエータ120の歯124が係止ナット90の歯118に係合し、これによって、係止ナット90は、ハウジング50に対して回転可能に固定されている。前述したように、第1の制御面部60への第1の入力トルクの印可によって、係止ナット90に対する送りネジ62の回転が生じ、送りネジ62の平行移動軸(TA)に沿った遠位方向(D)の前進がさらに生じる。送りネジ62の遠位方向の前進によって、プランジャー42が遠位方向に前進し、これに応じて、分注空間34内において硬化性材料(CM)が圧縮される(
図5参照)。いくつかの作動条件下では、硬化性材料は、200psi(ポンド/平方インチ)、500psi,1000psi、3000psi、又は5000psi以上に圧縮されるとよい。硬化性材料の圧縮によって、平行移動軸に沿った近位方向(P)の力がプランジャー42に加えられる。
【0034】
もしも外科医が分注空間34からの硬化性材料の送達を即時に停止することを望むのならば、第2の制御面部122に加えられた二次入力を単に除けばよい。前述したように、付勢部材128は、アクチュエータ120をハウジング50から離れる方に、従って、係合位置から離脱位置に付勢している。二次入力が除かれると、アクチュエータ120の歯124は、係止ナット90の係合特徴部98の歯118から自動的に離脱される。係止ナット90は、ハウジング50に対して回転可能に固定されたアクチュエータ120によってもはや拘束されず、平行移動軸を中心として回転することが可能である。
【0035】
平行移動軸を中心とする係止ナット90の回転によって、送りネジ62は、平行移動軸に沿って近位方向に移動することが可能である。送りネジ62は、分注空間34内において圧縮された硬化性材料からプランジャー42に加えられた力によって、平行移動軸に沿って近位方向に付勢される。送りネジ62は、回転することなく、近位方向に平行移動する。なぜならば、係止ナット90が平行移動せずに平行移動軸を中心として回転するからである。係止ナット90のいくらかの平行移動がもたらされるか又は生じることも考えられる。送りネジ62が近位方向に平行移動することによって、圧縮された硬化性材料に接触可能な分注空間34が拡張する。換言すれば、プランジャー42の遠位側においてチャンバ32内に画定される分注空間34の部分が拡大する。硬化性材料は、このように圧縮された硬化性材料に接触可能な分注空間34の拡大部分内において、少なくとも部分的に減圧する。さらに、多くの場合、チャンバ32の直径が遠位出口38の直径よりも大きいので、近位方向におけるプランジャー42の最小移動であっても、分注空間34内における容積を拡大し、硬化性材料を減圧させる。換言すれば、圧縮された硬化性材料は、遠位出口38を出るときと対照的に、分注空間42の拡張部分内においてほとんど抵抗力を受けない。部分的に圧縮された硬化性材料の粘度の観点から、硬化性材料は、分注空間34と外科部位との間の圧力勾配を低減させるのに十分減圧される。それゆえ、硬化性材料分注システム30によって、ドルールの可能性が最小化又は排除される。
【0036】
近位方向における送りネジ62の移動は、係止ナット90の雌ネジ山92と送りネジ62の雄ネジ山94との相互作用に基づいている。換言すれば、係止ナット90の雌ネジ山92及び送りネジ62の雄ネジ山94は、後退駆動可能なシステムをもたらすように構成されている。後退駆動可能なシステムは、50%よりも大きなネジ効率によって画定された係止ナット90の雌ネジ山92及び送りネジ62の雄ネジ山94を備えている。換言すれば、もしもネジ効率が、例えば、ネジ山92,94のピッチ、ネジ山92,94間の摩擦等の基づき50%未満であるならば、システム30は、後退駆動可能ではなく、係止ナット90は、圧縮された硬化性材料によって近位側に付勢される送りネジ62から伝達されるトルクに応じて回転しないことになる。換言すれば、圧縮された硬化性材料によってプランジャー42及び送りネジ62に加えられる近位方向の力によって、以下の式1によって表されるシステム30の後方駆動トルク(Tb)よりも大きなトルクが係止ナット90に加えられる。
【数1】
但し、Fは、軸方向負荷であり、Pは、ネジの送りであり、η
2は、ネジの効率である。その結果、もしもシステム30の後退駆動トルク(Tb)が全摩擦トルクよりも大きいのであれば、後退駆動が生じることになる。50%を超えるネジ効率を達成し、平行移動軸を中心とする係止ナット90の対応する回転による平行移動軸に沿った送りネジ62の平行移動をもたらすために、どのような適切な材料特性及び寸法的設計特性が送りネジ62及び/又は係止ナット90にもたらされてもよい。例えば、雄ネジ山94が送りネジ62の全周に沿って形成されないことによって、摩擦を小さくし、ネジ効率を高めることができる。
【0037】
ドルールを最小化又は排除することに加えて、ネジ効率を含むシステム30の送りネジ62の設計によって、後述のいくつかの追加的な利得が得られる。第1に、圧縮された硬化性材料によってプランジャー42に加えられる力(例えば、背圧)は、システム30を保持する外科医の手、具体的には、第1の制御面部60により効率的に伝達される。これによって、外科医の触覚が改良され、システム30の使用中に分注空間34から分注される硬化性材料の量の感知がさらに改良される。換言すれば、システム30内における摩擦損失は、最小限に抑えられ、これによって、さらに正確な制御が達成される。具体的には、第1の制御面部への第1の入力トルクによって、予期可能な正確な量を分注区間34から分注させることができる。第2に、効率は、外科医に与えられる改良された触覚を損なうものではない。システム30の機械的な利点、とりわけ、外科医の疲労を制限し、頑強でないシステムを損なうことがある手術時間の損失を回避する利点が実質的に保護される。第3に、システム30の保護された機械的利点によって、外科医が入力トルクを加えると、圧縮された硬化性材料が患者に迅速に送達される(すなわち、「迅速開始(fast start)」が達成される)。換言すれば、送りネジ62は、かなりの摩擦損失を伴う周知のシステムに対して、わずかな回転によって同量の硬化性材料を患者に分注することが可能である。一例では、約0.8~1.0cm3の硬化性材料が、機械的利点の十分な損失を損なうことなく、第1の制御面部60の360°の回転ごとに送達される。送りネジを有する周知のシステムでは、360°回転ごとに送達される硬化性材料の量は、0.5cm3未満に制限され、さもなくば、高ピッチの送りネジに関連付けられる摩擦損失によって、外科医に対して望ましくない高い入力を必要とし、これに関連して、疲労及び作業時間が増大することになる。係止ナット90の雌ネジ山92及び送りネジ62の雄ネジ山94は、必要に応じて、迅速開始の特性を変更するように修正されてもよいことも考えられる。同様に、迅速開始の特性を改良するために、潤滑剤及び/又は皮膜が送りネジ62及び/又は係止ナット90に塗布されてもよい。
【0038】
特に、システム30の後退駆動中に、プランジャー42及び送りネジ62が近位方向に移動するとき、平行移動軸に沿った係止ナット90の平行移動を制限又は排除することが望ましい。具体的には、平行移動軸に沿った係止ナット90の平行移動を制限又は排除することによって、前述の理由から、係止ナット90は、平行移動軸を中心としてより効率的に回転することになる。それゆえ、係止ナット90に隣接又は当接して位置する1つ又は複数のブッシュ63及び/又は1つ又は複数の軸受65を備えることが考えられる。
図6及び
図8は、軸受65を伴う2つのブッシュ63を備えるシステム30を示している。軸受65は、2つのブッシュ63に隣接して位置するスラスト軸受である。スラスト軸受以外の摩擦を低減させる適切な手段、例えば、ボール軸受、ニードル軸受、潤滑剤、皮膜、等も考えられる。ブッシュ63、軸受65、及び近位リング48の間の許容誤差は、平行移動軸に沿った係止ナット90の近位方向の平行移動を最小化又は排除するように設計され、軸受65は、平行移動軸を中心とする係止ナット90の回転を容易にするように構成されている。
【0039】
プランジャー42が、分注空間34内において圧縮された硬化性材料からプランジャー42に加えられる力によって平行移動軸に沿って近位方向に付勢されると、軸方向力が送りネジ62及び送りネジ62に螺合する係止ナット90に伝達される。チャンバ固定具44の少なくとも一部、特に、近位リング49は、負荷支持面67を画定しており、圧縮された硬化性材料から送りネジ62及び係止ナット90に伝達されるかなりの力に関連付けられる応力、歪み、疲労、摩耗等を受けるように構成されている。具体的には、チャンバ固定具44は、係止ナット90、ブッシュ63、及び/又は軸受65を受入れるように寸法決めされた空洞47を画定している。軸方向力は、係止ナット90、ブッシュ63、及び軸受65からチャンバ32に固定された負荷支持面67及び互いに向き合う支柱部材45に伝達される。このような実例では、ハウジング50は、負荷を支持しないと見なされるので、それほど堅固でない材料によって及び/又はそれほど複雑でない製造プロセスによって形成されてもよい。具体的には、係止ナット90を収容する空洞47は、(互いに向き合う支柱部材45を介して)チャンバ32内に効果的に一体化されており、その結果、チャンバ32がハウジング50に連結されたとき、圧縮された硬化性材料から送りネジ62及び係止ナット90に伝達される力は、チャンバ32自体内に吸収又は消散される。
【0040】
チャンバ32、チャンバ固定具44、及び/又はハウジング50の他の適切な設計も前述の開示の目的に適応していると考えられる。一例では、第2の制御面部122は、(ハウジング50ではなく)チャンバー32に動作可能に連結され、第2の制御面部122に連結された係合特徴部98は、前述したように、係止ナット90の歯118に係合するように構成されてもよい。このような例では、(例えば、レバー126の旋回軸における)第2の制御面部122へのどのような負荷も、チャンバ32自体内に吸収又は消散され、ハウジング50によって支持されないことになる。
【0041】
詳細に述べたように、硬化性材料分注システム30は、アクチュエータ120が係合位置にあるときに第1の制御面部60が一次入力(例えば、ハンドル68への第1の入力トルク)を受けると、それに応じて、プランジャー42が遠位側に前進するようになっている。これは、外科医が一方の手で二次入力を第2の制御面部122に加え、アクチュエータ120を係合位置に維持しながら、他方の手で第1の入力トルクを第1の制御面部60に加えることによって行われる。様々な理由から、外科医は、第1の手を第1の制御面部60から外すことがある。ほとんどの場合、外科医は、第1の入力トルクを続けて加えるために手を置き換えるために、第1の手を第1の制御面部から外すことになる。他の例として、外科医は、第2の手によってシステム30を支持しながら第1の手によって外科手術の他の処置を行うことが必要とされることがある。しかし、送りネジ62及び係止ナット90の後退駆動可能な態様に基づき、(アクチュエータ120を係合位置に維持しながら)第1の制御面部60から一時入力を除くと、分注空間34内における圧縮された硬化性材料がプランジャー42及び送りネジ62を回転させ(且つ近位方向に移動させ)、これに応じて、第1の制御面部60を回転させることになる。換言すれば、アクチュエータ120が係合位置にあるとき、ネジ山92,94によって、送りネジ62は、ハウジング50に対して回転可能に固定された係止ナット90と螺合しながら回転する。第2の方向における送りネジ62の回転によって、プランジャー42の遠位方向の前進が損なわれ、外科医は、不本意であるが、手術を継続する前にプランジャー42を元の位置に戻す必要がある。この欠点を解消するために、硬化性材料分注システム30は、一方向トルク機構130を備えている。
【0042】
図2~
図5、
図9、
図14、及び
図15を参照すると、一方向トルク機構130は、第1の制御面部60に動作可能に連結されている。一方向トルク機構130は、第1の制御面部60の平行移動軸を中心とする第1の方向(例えば、
図2のR
1)の回転を可能にし、第1の制御面部60の平行移動軸を中心とする第2の方向(例えば、
図2のR
2)の回転を実質的に阻止するように構成されている。さらに具体的には、一方向トルク機構130は、第1の方向の第1の入力トルクがハンドル68に加えられている間、送りネジ62の遠位方向の前進を可能にし、第1の入力トルクが除かれたとき、送りネジ62の近位方向の移動を阻止する。その結果、外科医は、ハンドル68を自在に第1の方向に回転させ、プランジャー42を所望量だけ遠位方向に前進させ、次いで、プランジャー42の遠位方向の前進を損なうことなく、ハンドル68を持ち直すことができ、及び/又は外科手術の他の処置を行うことができる。
【0043】
一方向トルク機構130は、ラチェットリング132のようなラチェット部材及び少なくと1つの爪部134を備えるラチェット機構であるとよい。爪部134は、ハンドル68に連結されたフランジ137によって画定された凹部136内に着座している。
図9は、ハンドル68のシャフト80から半径方向外方に延在する耳金138を示している。耳金138は、平行移動軸と同軸に配置されている。耳金138は、ハンドル68の近位端部70と遠位端部72との間においてシャフト80のどのような適切な位置に設けられていてもよい。2つ以上の凹部136、例えば、耳金138の両側に位置する2つの凹部136が設けられているとよい。爪部134は、凹部136内に少なくとも部分的に着座するように寸法決めされている。付勢要素144が設けられ、ハンドル68及び爪部134に動作可能に連結されている。付勢要素144、例えば、コイルバネ又はトーションバネが爪部134を半径方向外方に付勢し、これによって、爪部134を耳金138の外周を超えて露出させ、ラチェットリング132に後述するように係合させることになる。
【0044】
ラチェットリング132は、平行移動軸と同軸に配置され、ハンドル68の耳金138と同軸に位置整合される。ラチェットリング132は、その内面146が耳金138に向かって、さらに具体的には、耳金138内に着座された爪部134に向かって配向されるように、耳金138を囲むようにさらに位置決めされる(
図9及び
図14参照)。換言すれば、ラチェットリング132は、内面146と耳金138に連結された爪部134との間の界面において第1の制御面部60に動作可能に連結されたことになる。
図13及び
図14を参照すると、ラチェットリング132は、外面148の反対側に内面146を備え、ラチェットリング132の近位部分150を画定している。ラチェット機構は、ラチェットリング132の内面146の周りに周方向に配置されたラチェット歯152を備えている。ラチェット歯152の各々は、非対称であり、第1の方向(R
1)を向く後端及び第2の方向(R
2)を向く先端によって画定されている。第1の方向の第1の入力トルクが主制御面部60に加えられると、ハンドル68及びハンドル68に連結された爪部134は、平行移動軸を中心として第1の方向に回転する。付勢要素14によって内面146に向かって付勢された爪部134は、ラチェット歯152の1つの先端に接触する。先端の形状(例えば、傾斜台状表面)に基づいて、爪部134は、内面146から離れる方に付勢され、爪部134がラチェット歯152の各々を超えて移動すると、付勢要素144が弾性的に変形する。係止ナット90が平行移動軸を中心として回転可能に固定されていると仮定すると、第1の制御面部60は、比較的わずかな抵抗で回転され、これに応じて、送りネジ62が遠位方向に前進することになる。
【0045】
第2の入力トルクが第2の方向において主制御面部60に加えられると、ハンドル68及びハンドル68に連結された爪部134は、爪部134がラチェット歯152の1つの後端に係合するまで、平行移動軸を中心として第2の方向に回転する。ラチェット152の後端及び爪部134の先端は、主制御面部60が(後述する克服可能な機構が設けられていない場合)第2の方向においてさらに回転することができないように、互いに緊密に係合するように形作られている。従って、一方向トルク機構130は、第1の制御面部60の平行移動軸を中心とする第1の方向の回転を可能にし、第1の制御面部60の平行移動軸を中心とする第2の方向の回転を実質的に阻止するように構成されている。第2の入力トルクは、分注空間34内における圧縮された硬化性材料の影響によって近位側に付勢される送りネジ62によって生じることを理解されたい。従って、一方向トルク機構130は、(係止ナット90が平行移動軸を中心として回転可能に固定されているとき)主制御面部60に回転可能に固定された送りネジ62の近位方向の移動を阻止する。
【0046】
硬化性材料分注システム30を作動させると、可聴表示及び/又は触覚フィードバックが外科医にもたらされる。一方向トルク機構130は、ハンドルを保持する外科医が聴き取れる衝撃及び/又は外科医の手によって感じ取れる衝撃をもたらすように構成されている。1つの非制限的の例では、付勢要素144は、爪部134をラチェットリング132の内面146に向かって付勢する。爪部134が第1の方向においてラチェットリング152の各々の後端を超えるとき、付勢要素144が弾性的に変形することによって、爪部134と内面146との間にわずかな間隙が瞬間的に生じる。換言すれば、ラチェット歯152の後端は、ラチェットリング132の内面146に対して「傾斜台(plateau)」状に形作られている。付勢要素144は、後端において弾性的に変形し、後端を通過した直後、爪部134が内面146を付勢し、生じた間隙を迅速に閉じる。爪部134と内面146との間のこの衝撃が、可聴表示及び触覚フィードバックを外科医にもたらす。換言すれば、爪部134及びラチェットリング132は、金属又はプラスチックのような材料から形成されているとよく、これによって、爪部134がラチェットリング132の内面146に衝突すると「クリック(click)」を生じることになる。同様に、爪部134は、ハンドル68を保持する外科医の手によって感じられる適切な力によって、ラチェットリング132の内面に衝突するようになっているとよい。
【0047】
図14をさらに参照すると、ラチェット歯152は、ラチェットリング152の内面146の周りに周方向に均等に離間されている。その結果、平行移動軸を中心とする第1の制御面部60の回転の角変位は、一連の可聴表示及び/又は触覚フィードバックの各々に対して一定である。もし第1の制御面部60への第1の入力トルクの印可中に係止ナット90が平行移動軸を中心として回転可能に固定されているなら、均等に離間したラチェット歯152の各々に対応する角変位は、平行移動軸に沿った送りネジ62及びプランジャー42の遠位方向の前進の一定距離に関連付けられる。さらに、平行移動軸に沿った送りネジ62及びプランジャー42の遠位方向の前進の一定距離は、分注空間34から分注される圧縮された硬化性材料の一定量に関連付けられる。例えば、一連の可聴表示及び/又は触覚フィードバックの各々は、分注空間34から分注される0.05cc、0.10cc、0.25cc、0.50cc、又は1.0ccに関連付けられる。一連の可聴表示及び/又は触覚フィードバックの各々に関連付けられる一定量は、少なくとも部分的に、ラチェット歯152間の周方向間隔、係止ナット90の雌ネジ山92及び送りネジ62の雄ネジ山94のピッチ、等に基づいている。チャンバ32が透明材料から形成されているとき、プランジャー42の移動がチャンバ32を通して可視化されるので、硬化性材料の一定量に関連付けられる可聴表示及び/又は触覚フィードバックは、外科医がシステム30から分注される硬化性材料の量を評価するように構成される追加的手段をもたらすことになる。
【0048】
代替的に、一方向トルク機構130は、爪部134をラチェットリング132の内面146に向かって付勢する付勢要素144を備えていなくてもよい。この場合、爪部134は、以下の材料、すなわち、爪部134がラチェット歯152の各々を超えて移動し、第1の方向においてラチェット歯152の各々の後端を超えて移動し、第1の方向においてラチェット歯152の後端を超えた後に(内面146に接触する)元の形状に戻るように、ラチェット歯152からの力によって撓むように構成された弾性材料、半剛性材料、及び/又は形状記憶材料(例えば、ニチノール)から形成されているとよい。ラチェットリングは、図示されている以外の代替的形状及び形態、例えば、多角形状を有していてもよいことも理解されたい。いくつかの実例では、一方向トルク機構130は、被駆動ホイールに係合するように構成された駆動ホイールを有する制圧クラッチであってもよい。2つの構造間に一方向回転を与える他の構成が、本開示のシステム内に組み入れられてもよい。
【0049】
詳しく説明したように、硬化性材料分注システム30は、アクチュエータ120が離脱位置にあるとき、それに応じて、平行移動軸に沿った送りネジ62の近位方向の移動をもたらす安全特徴部を備えている。付勢部材128が第2の制御面部122を係止ナット90から離れる方に付勢する(すなわち、アクチュエータが離脱位置に移行するように第2の制御面部を付勢する)実例では、レバー126又は制御面部が、所謂、「デッドマンスイッチ(dead man’s switch)」として作用するので、レバー126を単に開放することによって、安全特徴部を作動させることができる。さらに、様々な理由から、外科医は、例えば、「デッドマンスイッチ」の開放に関連して、平行移動軸に沿った送りネジ62の近位方向の移動をもたらすことを望むことがある。なお、平行移動軸に沿った送りネジ62の近位方向の移動をもたらすのは、一方向トルク機構130ではなく、典型的には、ネジ山92,94であることは容易に理解されるだろう。
【0050】
硬化性材料分注システム30は、克服可能な一方向機構160を備えている。克服可能な一方向機構160は、第1の制御面部60及びハウジング50を動作可能に互いに連結している。克服可能な一方向機構160は、第1の制御面部60がトルク閾値を超える第2のトルク入力を受けたとき、それに応じて、送りネジ62の近位方向の移動を可能にする。さらに、克服可能な一方向機構160は、第2の入力トルクがトルク閾値を超えないとき、送りネジ32の近位方向の移動を阻止する。実際には、克服可能な一方向機構160は、送りネジ62が分注空間34内における圧縮された硬化性材料の影響によって近位側に付勢されたとき(例えば、外科医が手を置き換えるとき)、ハンドルの第2の方向の回転を阻止するが、十分なトルクを主制御面部60に加えることを意図する外科医によってハンドル68の第2の方向の回転を可能にし、その結果、送りネジ62の近位方向の移動が生じるように構成されている。トルク閾値は、後述する(総称的に172と呼ばれる)クラッチ機構を画定する摩擦関係に主に基づくが、雌ネジ山92及び雄ネジ山94間の摩擦、圧縮された硬化性材料によって与えられる力、等にも基づくことを理解されたい。その結果、トルク閾値は、具体的には、後方駆動されて近位側に付勢される送りネジ62のみからハンドル68に加えられる典型的なトルクがトルク閾値未満になるように、(クラッチ機構172の特性に基づいて)設計されている。
【0051】
克服可能な一方向機構160は、第1の制御面部60へのトルク閾値よりも小さな第1の入力トルクに応じて、送りネジ62の遠位方向の前進を可能にするように構成されている。換言すれば、第1の方向において、ハンドル68は、(例えば、爪部143が第1の方向において歯152を超えて移動するので)、ハンドル68の第2の方向の回転に必要なトルクよりも比較的小さなトルクによって容易に回転することが可能である。硬化性材料が分注空間34内において徐々に圧縮されると、(圧縮された硬化性材料からの力に対して)送りネジ62を遠位方向に前進させるのに必要な第1の入力トルクは、トルク閾値を超えて増大することを理解されたい。
【0052】
図3~
図5、
図13、及び
図14を参照すると、克服可能な一方向機構160は、前述の一方向トルク機構130を含んでいる。換言すれば、一方向トルク機構130は、克服可能な一方向機構160の1つの機能的部品である。
図8を同時に参照すると、一方向トルク機構130は、ハウジング50に対して固定されたチャンバ固定具44と摩擦関係を保って配置され、クラッチ機構172が摩擦界面に画定されている(例えば、一方向トルク機構130は、チャンバ固定具44に対して摺動(slip))する。クラッチ機構172は、ラチェットリング132が摩擦関係を上回るのに十分な(トルク閾値を超える)トルク入力を受けたとき、第1及び第2の方向において(第1の制御面部60に動作可能に連結された)ラチェットリング132の回転を可能にする。
【0053】
ラチェットリング132は、ラチェットリング132の近位部分150を画定する外面148と反対側の内面146を備えている。ラチェットリング132は、近位部分150に連結された遠位部分151も備えている。遠位部分151は、平行移動軸に沿って近位部分150の遠位側に位置している。近位部分150と同様、遠位部分151は、
図12,13,15に示されるように、略リング状であり、内側環状面174と外側環状面176との間に画定されている。遠位部分151の外側環状面176は、チャンバ固定具44と摩擦関係にあり、クラッチ機構172を画定している。摩擦関係を増大して所望のトルク閾値を達成するために、1つ又は複数の摩擦要素180が、外側環状面176とチャンバ固定具44の近位リング49の内面との間の界面に設けられている(
図3~
図5及び
図8参照)。換言すれば、もし比較的大きな摩擦関係がクラッチ機構172と関連しているなら、外科医は、この摩擦関係を上回る大きな第2の入力トルクを第1の制御面部60に与え、送りネジ62を平行移動軸に沿って近位方向に移動させる必要がある。
図13及び
図14は、遠位部分151の外側環状面176の凹部内に配置されたOリングから成る摩擦要素を示している。2つ以上のOリングが設けられるとよい。Oリングは、チャンバ固定具44の内面に接触するために凹部の深さよりもいくらか大きな厚みを有している。
【0054】
クラッチ機構172は、トルク閾値をそれぞれ超える第1及び第2のトルク入力の印可に応じて第1及び第2の方向における第1の制御面部60の回転を可能にするように構成され、一方向トルク機構130は、第1の制御面部60の第1の方向の回転を可能にし、第1の制御面部60の平行移動軸を中心とする第2の方向の回転を阻止するように構成されている。従って、機能的に一体化された一方向トルク機構130及びクラッチ機構172によって、第1の制御面部60は、第1の入力トルクがトルク閾値未満のときに第1の方向に回転可能である。
【0055】
分注空間34内において圧縮された硬化性材料の関連する力と爪部134が第1の方向においてラチェット歯152を超えるときに爪部134を付勢する付勢部材128の力との合力を上回るために、第1の大きさの第1の入力トルクを主制御面部60に加える必要がある。第2の大きさの第1の入力トルクは、クラッチ機構172に関連付けられたトルク閾値を規定する。第1の大きさは、第2の大きさよりも小さい。換言すれば、クラッチ機構172を画定する摩擦係合は、ハンドル68が第1の方向に回転されるときには決して克服されない。なぜならば、爪部134は、ラチェット歯152を超えてより容易に移動するように構成されているからである。しかし、第2の方向において、爪部134の先端は、ラチェット歯152に緊密に係合し、第2の入力トルクの大きさをさらに増大しても、係合を上回るのに不十分である。第2の入力トルクは、ハンドル68から爪部134に、次いで、ラチェットリング132のラチェット歯152に効果的に伝達される。第2の入力トルクの大きさをさらに一層増大させると、最終的に、第2の入力トルクがトルク閾値を超え、これによって、クラッチ機構172の摩擦係合を上回り、ラチェットリング132がチャンバ固定具44に対して、従って、ハウジング50に対して回転する。トルク閾値は、第1の方向にハンドル68を回転するのに必要な第1のトルク入力の2倍、3倍、4倍、又は5倍以上であるとよい。係止ナット90が係合位置にあるとき、トルク閾値を超える第2の入力トルクによって、送りネジ62は、係止ナット90に対して近位方向に移動する。前述の開示は、克服可能な一方向機構160が、有利には、トルク閾値未満の第1の入力トルクによって送りネジ62の遠位方向の前進をもたらし、トルク閾値未満の第2のトルク入力による送りネジ62の近位方向の移動を阻止し、トルク閾値を超える第2のトルク入力によって送りネジ62の近位方向の移動を可能にするように構成されることを述べている。その結果、アクチュエータ120が係止ナット90に係合されたならば、外科医は、ハンドル60を比較的容易に第1の方向に回転させることによって、分注空間32内においてプランジャー42を遠位方法に前進させることができる。外科医は、その手を置き換えるために(又は任意の他の理由から)ハンドルから離することがあるが、このとき、克服可能な一方向機構160によって、第2の方向へのハンドル68の回転が阻止されることになる。外科医は、2つの方法によって、具体的には、第2の制御面部122への二次入力トルクを除くことによって、及び/又は摩擦関係を上回る力によってハンドル68を比較的大きな力によって第2の方向に回転させることによって、プランジャー42を近位方向に移動させることができる。
【0056】
代替的実例では、克服可能な一方向機構160の少なくとも一部が、ハウジング50に対して回転可能に固定されていてもよい。例えば、克服可能な一方向機構160は、ハウジング50に対して回転可能に固定された摩擦リングを備えていてもよく、この場合、第1の制御面部60は、摩擦リングに対して移動可能(たとえば、回転可能)である。他の代替的実例では、ラチェット歯152の後端及び爪部134の先端は、離脱可能な係合をもたらすために相補的に形作られていてもよく、これによって、第2のトルク入力がトルク閾値を超えたときに主制御面部60の第2の方向の回転をもたらすようになっていてもよい。
【0057】
硬化性材料分注システム30の前述の記載を踏まえて、システム30を操作する方法を
図16を参照して説明する。システム30は、第1の手(FH)及び第2の手(SH)を有する外科医によって操作される。第1の手(FH)及び第2の手(SH)は、各々、掌(P)と掌(P)から延びる人差し指(I)、中指(M)、及び親指(T)を有している(
図21参照)。ハウジング50は、外科医の第2の手の掌によって支持される。第2の制御面部122を離脱位置から係合位置に移動させるために、二次入力が第2の制御面部122に加えられる。二次入力は、第2の手がハウジング50を支持している状態を維持しながら、例えば、第2の手の人差し指、中指、及び/又は親指によって加えられる。アクチュエータ120が移動して係止ナット90と係合し、平行移動軸を中心とする係止ナット90の回転を阻止する。第2の制御面部122は、付勢部材128によって与えられる力に対して係合位置に維持される。主制御面部60が第1の手によって支持されながら、第2の制御面部122が第2の手の人差し指、中指、及び/又は親指によって支持される。
【0058】
第2の制御面部を係合位置に保持しながら、一次入力を第1の制御面部60に加える。一次入力は、第1の手の人差し指、中指、及び/又は親指による回転であるとよい。一方向トルク機構によって、第1の制御面部60を平行移動軸を中心として第1の方向に回転させ、これによって、送りネジ62を比較的容易に遠位方向に移動させることができる。送りネジ62が平行移動軸に沿って遠位方向に移動することによって、分注空間34内における硬化性材料が圧縮される。次いで、外科医は、第2の制御面部122に加えられた二次入力を除く。具体的には、第1の手によって第1の制御面部60を支持した状態において、ハウジング50を第2の手の掌によって支持しながら第2の手の人差し指、中指、及び/又は親指を第2の制御面部122から離すとよい。付勢部材128が、第2の制御面部122を係合位置から離脱位置に弾性的に移動させる。アクチュエータ120が移動し、係止ナット90から離脱される。これによって、係止ナットが平行移動軸を中心として回転可能になり、送りネジ62を平行移動軸に沿って近位方向に移動させ、圧縮された材料を分注空間34内において少なくとも部分に減圧させることが可能になる。
【0059】
硬化性材料分注システム30の他の例示的な方法によれば、アクチュエータ120は、最初、付勢部材128によって加えられた力によって係止ナット90と係合するように付勢される。換言すれば、二次入力が第2の制御面部122に加えられることなく、係止ナット90は、平行移動軸を中心として回転可能に固定されている。係止ナット90が係合位置においてアクチュエータ120によって回転可能に固定された状態において、一次入力が第1の制御面部60に加えられる。次いで、二次入力が第2の制御面部に加えられるが、この二次入力は、付勢部材128に加えられた力を上回ってアクチュエータ120を離脱位置に移動させるのに十分に大きい。これによって、係止ナット90は、平行移動軸を中心として回転可能になり、送りネジ62の平行移動軸に沿った近位方向の移動をもたらし、圧縮された硬化性材料を分注空間34内において少なくとも部分的に減圧させることが可能になる。二次入力が第2の制御面部122から除かれ、その後、付勢部材128がアクチュエータ120を係止ナット90との係合位置に復帰させる。係止ナット90の雌ネジ山92と送りネジの雄ネジ山94との螺合は、平行移動軸に沿った送りネジの遠位方向の平行移動をもたらし、分注空間34内における硬化性材料を圧縮する。圧縮された硬化性材料は、分注空間43と連通するチャンバ32の遠位出口38から分注される。
【0060】
図16を再び参照すると共に
図1をさらに参照すると、前述したように、延長チューブ190は、チャンバ32の遠位結合体46に連結されている。延長チューブ190は、患者内に固定された外科器具、例えば、骨構造を貫通するアクセスカニューレに連結されるように構成されている。延長チューブ190は、肘状結合体192と、この肘状結合体192に回転可能及び/又は旋回可能に連結された柔軟チューブ194とを備えている。柔軟チューブ194は、柔軟な配管から形成されているとよいが、適切な剛性を有する配管であってもよいことも考慮されている。延長チューブ190の構成要素は、圧縮された硬化性材料の分注に関連する圧力に耐えるように構成されることもさらに理解されたい。例えば、延長チューブ190は、200psi(ポンド/平方インチ),500psi、1000psi、3000psi、又は5000psi以上の圧力に耐えるように構成されている。
【0061】
肘状結合体192は、硬化性分注システム30の遠位結合体46に取り外し可能に連結されるように構成されている。肘状結合体102が遠位結合体46に連結された状態において、肘状結合体192は、システム30の遠位出口38及び分注空洞34に流体連通する。肘状結合体192は、比較的短い管状又は中空の剛性構造を有しているとよい。柔軟チューブ194は、この柔軟チューブ194とシステムの分注チャンバ34との間に流体連通を達成するように肘状結合体192に連結されている。
【0062】
図16に示されるように、肘状結合体192は、柔軟チューブ194を第1の軸A
1を中心として肘状結合体192に対して関節運動させるように構成され、回転結合体200は、柔軟チューブ194を第2の軸A
2を中心として肘状結合体192に対して関節運動させるように構成されている。第2の軸A
2は、第1の軸A
1と直交しているとよい。従って、前述の柔軟チューブ194は、システム30に対して少なくとも2つの自由度で関節運動可能である(例えば、第1の軸A
1を中心として旋回可能であり、第2の軸A
2を中心として回転可能である)。延長チューブ190は、柔軟チューブ194に連結されたカニューレ結合体206をさらに備えている。カニューレ結合体206は、患者内に固定された外科器具、例えば、アクセスカニューレに取り外し可能に連結されるように構成され、これによって、骨構造がシステム30の分注チャンバ34に流体連通することになる。例えば、椎体形成術中、硬化性材料は、延長チューブ190及びアクセスカニューレを通って椎体の海綿状領域に分注される。カニューレ結合体206は、
図16に示されるように、第3の軸A
3を中心として回転するように構成されている。従って、本開示の延長チューブ190によって、硬化性材料分注システム30は、患者内に剛性的に固定された外科器具に対して、少なくとも3つの自由度で関節運動することが可能である(例えば、第1の軸A
1に対して旋回可能であり、第2の軸A
2に対して回転可能であり、第3の軸A
3に対して回転可能である)。さらに、柔軟チューブ194の柔軟性によって、追加的な「疑似的(quasi)」自由度が達成される(すなわち、外科医は、「真の(true)」自由度(例えば、直動関節)ではないが、柔軟チューブ194の屈曲によって、システム30を外科器具に対して再配向させることができる)。本開示の延長チューブ190は、有利には、患者内に剛性的に固定された外科器具に過度の応力を加えることなく、患者及び外科部位に対する改良された操縦性を外科医にもたらすことが可能である。さらに、X線透視を利用する手術では、外科医は、放射線への不必要な露出を回避しながら、システム30と骨構造の内部との間の流体連通を良好に維持することができる。例えば、延長チューブ190によって与えられるいくつかの自由度によって、外科医は、患者に連結されたシステム30の制御を維持しながらスクリーンによって外科領域から離れることが可能である。
【0063】
本開示の延長チューブ190の更なる利点は、システム30の包装、発送、及び/又は貯蔵中に実現される。周知のシステムでは、使用の直前に柔軟チューブを分注システムに取り付ける必要があるが、これは、外科手術に関連付けられる他の仕事に振り分けられるべき時間及び資源を浪費する。代わって、柔軟チューブを分注システムに予め取り付けたなら、包装体をその構造物を収容するのに十分大きくしなければならない。同様に、包装されたこのような分注システムの貯蔵は、例えば、貯蔵室内における空間を過度に占有する。いずれにしても、柔軟チューブが取り付けられた分注システムは、手術室内におけるテーブル上の空間のかなりの部分、さらに具体的には、無菌領域内におけるかなりの大きさの空間を占有する。本開示の延長チューブ190は、硬化性材料分注システム30を包装する1つのシステム及び/又は方法を提供する。
図17は、包装体210内における硬化性材料分注システム30、混合及び圧縮システム31、及び延長チューブ190の概略図を示している。
図5を同時に参照すると、遠位結合体46は、平行移動軸上に配向されたチャンバ32に対してある角度、具体的には、90°で傾斜していることが観察される。同様に、肘状結合体192は、その名前によって暗示されるように、柔軟チューブ194を肘状結合体192と遠位結合体46との間の連結界面に対してある角度で傾けている。
図1及び
図17に示されるように、このような構成によって、柔軟チューブ194を(硬化性材料分注システム30のチャンバ32及び柔軟チューブ194が実質的に平行に配置される)包装形態に関節運動させることが可能である。延長チューブ190及び硬化性材料分注システム30は、十分な長さの柔軟チューブ194を収容するのに不必要に大きくない包装体210内において互いに密に入れ子にされる包装前に、互いに連結されているとよい。
【0064】
硬化性材料分注システム30が準備され、肘状結合体192がチャンバ32の遠位結合体46に連結され、これによって、カニューレ結合体206と分注空間34との間に流体連通が達成される。延長チューブ190は、(チャンバ32及び肘状結合体192が実質的に平行であり、柔軟チューブ194が肘状結合体196に対して分注空間34から離れて配置される)展開形態にあるとよい。この展開構成は、
図16に示されている。展開構成では、肘状結合体192及び柔軟チューブ194は、互いに位置ずれしている。柔軟チューブ194は、肘状結合体196を中心として展開形態から前述の包装形態に関節運動される。包装形態では、肘状結合体192及び柔軟チューブ194が実質的に平行であり、柔軟チューブ194が肘状結合体196に対して分注空間34の方に配置される。この包装形態は、
図1に示されている。包装形態では、柔軟チューブ194は、ハウジング50に隣接して配置される。その後、包装形態にある硬化性材料分注システム30及び延長チューブ190は、硬化性材料分注システム30及び延長チューブ190を収容するのに十分な寸法を有する包装体210内に配置される。包装体210は、無菌剤を投入して硬化性材料分注システム30及び延長チューブ190の種々の表面に接触させることを可能にするプラスチックハウジングであるとよい。包装体210は、包装体210内に配置された硬化性材料分注システム及び延長チューブ30の無菌性を維持するように(例えば、気密性を維持するように)構成されるとよい。
【0065】
延長チューブ190は、包装体210から取り出された後、包装形態に維持されるとよい。延長チューブ190を包装形態に維持した状態で硬化性材料分注システム30を手術室内に配置することによって、いくつかの利得が得られる。手術室の「バックテーブル(back table)」又はメイヨースタンドのいずれの上に配置されても、硬化性材料分注システム30は、無菌領域内におけるごくわずかな空間、具体的には、(無菌領域に置かれることが必要な)他の外科器具及び物品が置かれるごくわずかな空間を占めるにすぎない。さらに、実際上、周知のシステムは、多くの場合、バックテーブル及びメイヨースタンド上に置かれ、柔軟チューブがテーブル又はスタンドの周辺を超えて延ばされる。柔軟チューブの一部が無菌領域の外に延びると、非無菌物品に接触する危険性が増大し、手術室を動き回る人によってテーブル又はスタンドから不用意に払い落とされるおそれが増大する。本開示の延長チューブ190が取り付けられた硬化性材料分注システム30は、前述の欠点を克服するものである。外科手術中、いったん分注チャンバ34が硬化性材料を受け入れ、システム30の使用の準備が整ったなら、延長チューブ190を包装形態から展開形態に迅速に移行させるとよい。
【0066】
本開示の全体を通して説明したように、システム30の多くの利点の1つは、ドルールの可能性を最小化又は排除することにある。いくつかの例では、ドルールの可能性をさらに最小化か又は排除する二次的な機構を設けると望ましいことがある。いくつかの実例では、硬化性材料送達システム30は、以下に述べる分流器及びドルールアキュムレータ(図示せず)を備えていてもよい。本願に適する分流器及びドルールアキュムレータの例が、2018年2月22日に出願された共同所有の国際特許出願第PCT/US2018/019211号に開示されている、この文献の内容は、参照することによって、ここにその全体が含まれるものとする。分流器及びドルールアキュムレータは、延長チューブ190のチャンバ32の反対側の位置に連結されている。第1の分流器出口は、硬化性材料を選択的に目標部位に分注するために、患者内に位置する(例えば、骨構造を貫通する)アクセスカニューレに連結されるように構成され、リザーバが第2の分流器出口に流体連通している。弁が設けられ、第1の形態と第2の形態との間で選択的に動作するように配置されている。第1の形態では、分注空間34とリザーバとの間に流体連通が達成され、分注空間34と第1の分流器出口との間の流体連通が遮断されるようになっている。第2の形態では、分注空間34と第1の分流器出口との間に流体連通が達成され、分注空間34とリザーバとの間の流体連通が遮断されるようになっている。もしもドルールアキュムレータ内に受け入れられた硬化性材料を目標部位に導くことが望まれたのであれば、プランジャー又は他の機構がユーザーによって作動されるようにななっている。従って、一実例では、硬化性材料を分注するシステムは、分注空間を画定するチャンバであって、分注空間が、硬化性材料を分注空間と流体連通する遠位出口を通して分注するように構成されている、チャンバと;ユーザーから一次入力を受けるように構成された第1の制御面部と;第1の制御面部に対して回転可能に固定された送りネジであって、近位端部と、遠位端部と、近位端部と遠位端部との間に少なくとも部分的に配置された雄ネジ山と、近位端部と遠位端部との間に画定された平行移動軸とを備える送りネジと;送りネジに連結されたプランジャーであって、分注空間内に配置され、第1の制御面部が一次入力を受けたことに応じて、平行移動軸に沿って遠位側に前進し、分注空間内における硬化性材料を圧縮するように構成されている、プランジャーと;チャンバに連結された延長チューブであって、分注空間と流体連通する管腔を画定している、延長チューブと;チャンバの反対側において延長チューブに連結された入口と、第1の分流器出口と、第2の分流器出口とを備える分流器であって、第1及び第2の分流器出口は、各々、延長チューブの管腔と流体連通し、分流器は、硬化性材料を目標部位に導くように構成される送達カニューレに流体連通して連結されるように構成されている、分流器と;硬化性材料の残量を受け入れるように構成されるリザーバを画定するドルールアキュムレータであって、第2の分注器出口及びリザーバに流体連通する貯蔵部を画定しているドルールアキュムレータとを備えている。
【0067】
前述の説明は、排他的であることを意図するものではなく又は本発明をどのような特定の形態に制限することを意図するものでもない。用いられた専門用語は、制限するためであるというよりもむしろ説明するためであることが意図されている。上記の示唆に照らして多くの修正及び変形が可能であり、本発明は、具体的に記載された以外の方法によって実施されてもよい。なお、上記の実施形態から把握し得る技術的思想について、その態様を以下に記載する。
[態様1]
硬化性材料を分注するように構成されるシステムであって、
分注空間を画定するチャンバであって、前記分注空間は、前記硬化性材料を前記分注空間と連通する遠位出口を通して分注するように構成されている、チャンバと、
ユーザーから一次入力を受けるように構成された第1の制御面部と、
前記第1の制御面部に対して回転可能に固定された送りネジであって、近位端部と、遠位端部と、前記近位端部及び前記遠位端部の間に少なくとも部分的に配置された雄ネジ山と、前記近位端部及び前記遠位端部の間に画定された平行移動軸とを有する、送りネジと、
前記送りネジに連結されたプランジャーであって、前記分注空間内に配置され、前記第1の制御面部が前記一次入力を受けたことに応じて、前記平行移動軸に沿って遠位側に前進し、前記分注空間内における前記硬化性材料を圧縮するように構成されている、プランジャーと、
前記送りネジの雄ネジ山に螺合する雌ネジ山と、係合特徴部とを有する係止ナットと、
第2の制御面部を有するアクチュエータであって、前記第2の制御面部は、アクチュエータ及び前記係止ナットの係合特徴部を係合位置に係合させ、アクチュエータ及び前記係止ナットの係合特徴部を離脱位置に離脱させるために、前記ユーザーから二次入力を受けるように構成されている、アクチュエータと
を備え、
前記係止ナットの雌ネジ山及び前記送りネジの雄ネジ山は、前記アクチュエータが前記離脱位置にあるときに、前記平行移動軸を中心とする前記係止ナットの回転をもたらし、前記プランジャーが前記平行移動軸に沿って近位側に移動することを可能にし、前記圧縮された硬化性材料が前記分注空間内にて少なくとも部分的に減圧することを可能にするように構成されている、システム。
[態様2]
前記第1及び第2の制御面部を連結させたハウジングをさらに備え、
前記係止ナットは、前記アクチュエータが前記係合位置にあるときに、前記ハウジングに対して回転可能に固定され、前記送りネジを、前記係止ナットを介して前記平行移動軸に沿って遠位側に前進させるように構成されている、態様1に記載のシステム。
[態様3]
前記ハウジング及び前記アクチュエータに動作可能に連結された付勢部材をさらに備え、
前記付勢部材は、前記アクチュエータを前記離脱位置に付勢するように構成されている、態様2に記載のシステム。
[態様4]
前記係合特徴部は、前記係止ナットの周りに環状に配置された歯となっており、
前記アクチュエータは、前記係合特徴部の環状の歯に選択的に係合するように円弧状に配置された相補的な歯を有している、態様1~3のいずれか一項に記載のシステム。
[態様5]
前記第2の制御面部を画定するレバーをさらに備え、
前記レバーは、前記ハウジングに旋回可能に連結され、
前記付勢部材は、前記レバーを前記ハウジングから旋回可能に離すべく付勢するようになっている、態様3に記載のシステム。
[態様6]
前記アクチュエータに動作可能に連結された付勢部材をさらに備え、
前記付勢部材は、前記ユーザーから前記レバーへの前記二次入力が存在しないときに、前記アクチュエータを前記ハウジングから旋回可能に離すべく付勢するように構成されている、態様2、3、又は5に記載のシステム。
[態様7]
前記係止ナットは、前記雌ネジ山を有するハブと、前記ハブに連結され、前記歯を有するリングギアとをさらに含み、
前記リングギアは、前記ハブに対して回転可能に固定されている、態様1~6のいずれか一項に記載のシステム。
[態様8]
前記第1の制御面部は、ハンドルをさらに有し、
前記ハンドルは、前記ハンドルを少なくとも部分的に貫通する管腔を有し、
前記管腔は、前記送りネジの近位端部を摺動可能に受け入れるように構成されている、態様1~7のいずれか一項に記載のシステム。
[態様9]
前記ハンドルは、前記管腔の少なくとも一部を画定する駆動特徴部をさらに有し、
前記送りネジは、前記近位端部及び前記遠位端部の間に少なくとも部分的に位置する被駆動特徴部をさらに有し、
前記被駆動特徴部は、前記ハンドルの駆動特徴部に対して相補的に作用し、かつ前記駆動特徴部と前記被駆動特徴部との係合を、前記一次入力を前記第1の制御面部から前記送りネジに伝達させるものとするように構成されている、態様8に記載のシステム。
[態様10]
前記ハンドルは、前記平行移動軸と同軸に配置され、前記ハウジングの内部から部分的に延在している、態様8に記載のシステム。
[態様11]
前記第1の制御面部に動作可能に連結された一方向トルク機構をさらに備え、
前記一方向トルク機構は、前記第1の制御面部が第1の入力から成る前記一次入力を受けたことに応じて前記第1の制御面部における前記平行移動軸を中心とする第1の方向の回転による前記送りネジの遠位方向の前進を可能にし、前記第1の制御面部からの前記第1の入力トルクの除去による前記送りネジの近位方向の移動を阻止するように構成されている、態様1~10のいずれか一項に記載のシステム。
[態様12]
前記第1の制御面部を移動可能とするように連結させたハウジングをさらに備え、
前記一方向トルク機構は、前記ハウジングに対して摩擦関係をもたらしながら移動可能となるように配置されて、クラッチ機構を画定し、これによって、前記第1の制御面部が前記ユーザーから前記摩擦関係を上回るのに十分なトルク閾値を超える第2のトルク入力を受けたことに応じて、前記第1の方向とは反対の第2の方向における前記第1の制御面部の回転が可能になる、態様11に記載のシステム。
[態様13]
前記一方向トルク機構は、ラチェット機構をさらに備え、
前記ラチェット機構は、
前記平行移動軸と同軸に配置されたラチェットリングであって、ラチェット歯が前記ラチェットリングの内面の周りに周方向に配置されている、ラチェットリングと、
前記第1の制御面部に連結された爪部であって、前記ラチェットリングのラチェット歯に係合し、前記送りネジの近位方向の移動を阻止するように構成されている、爪部と
を有している、態様11又は12に記載のシステム。
[態様14]
前記ラチェット機構は、前記爪部を前記内面に向かって付勢するように構成された付勢要素をさらに備え、
前記付勢要素は、前記第1の制御面部が前記平行移動軸を中心として前記第1の方向に回転する状態で、前記爪部が前記ラチェットリングのラチェット歯の1つを超えて移動するときに弾性変形するように構成され、前記爪部を前記内面に接触させるように弾性的に戻し、これによって、可聴表示及び/又は触覚フィードバックを前記ユーザーにもたらすようにさらに構成されている、態様13に記載のシステム。
[態様15]
前記ラチェット歯は、前記内面の周りに周方向に均等に離間され、
前記周方向に均等に離間されたラチェット歯間における前記第1の制御面部における前記平行移動軸を中心とする前記第1の方向の角変位は、前記平行移動軸に沿った前記送りネジ及び前記プランジャーの遠位方向の前進における一定距離に関連付けられている、態様13又は14に記載のシステム。
[態様16]
前記平行移動軸に沿った前記送りネジ及び前記プランジャーの遠位方向の移動における前記一定距離は、前記分注空間から分注された前記圧縮された硬化性材料の一定量に関連付けられている、態様15に記載のシステム。
[態様17]
前記第1の制御面部を移動可能とするように連結させたハウジングをさらに備え、
前記第1の制御面部は、前記ハウジングに対して摩擦関係をもたらしながら移動可能となるように配置されて、クラッチ機構を画定し、これによって、前記第1の制御面部が前記ユーザーから前記摩擦関係を上回るのに十分なトルク閾値を超える第2のトルク入力を受けたことに応じて、前記第2の方向における前記第1の制御面部の回転が可能になる、態様1~16のいずれか一項に記載のシステム。
[態様18]
前記第1の制御面部が移動可能に連結されるハウジングと、
前記第1の制御面部及び前記ハウジングを動作可能に連結する克服可能な一方向機構と
をさらに備え、
前記克服可能な一方向機構は、前記第1の制御面部がトルク閾値よりも小さな第1の入力トルクから成る前記一次入力を受けたことに応じて、前記平行移動軸を中心とする第1の方向における前記第1の制御面部の回転による前記送りネジの遠位方向の前進を可能にし、前記第1の制御面部が前記第1の入力トルクとは逆向きの前記トルク閾値を超える第2の入力トルクを受けたことに応じて、前記平行移動軸を中心とする前記第1の方向と反対の第2の方向における前記第1の制御面部の回転による前記送りネジの近位方向の移動を可能にするように構成されている、態様1~17のいずれか一項に記載のシステム。
[態様19]
前記係止ナットの雌ネジ山及び前記送りネジの雄ネジ山は、50%を超えるネジ効率によって画定されている、態様1~18のいずれか一項に記載のシステム。
[態様20]
硬化性材料を分注するように構成されるシステムであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに連結され、前記硬化性材料を分注するように構成された分注空間を画定するチャンバと、
前記ハウジングに連結され、ユーザーから一次入力を受けるように構成された第1の制御面部と、
前記第1の制御面部に対して回転可能に固定された送りネジであって、近位端部と、遠位端部と、前記近位端部及び前記遠位端部の間に少なくとも部分的に配置された雄ネジ山と、前記近位端部及び前記遠位端部の間に画定された平行移動軸とを有する、送りネジと、
前記送りネジの遠位端部に連結されたプランジャーと、
前記送りネジの雄ネジ山に螺合する雌ネジ山と、係合特徴部とを有する係止ナットと、
前記ハウジングに連結され、第2の制御面部を有するアクチュエータであって、前記第2の制御面部は、アクチュエータ及び前記係止ナットの係合特徴部を係合位置に係合させ、アクチュエータ及び前記係止ナットの係合特徴部を離脱位置に離脱させるために、前記ユーザーから二次入力を受けるように構成されている、アクチュエータと
を備え、
前記係止ナットは、前記アクチュエータが前記係合位置にあるときに、前記ハウジングに対して回転可能に固定され、前記平行移動軸を中心とする前記係止ナットの回転を阻止し、これによって、前記係止ナットの雌ネジ山及び前記送りネジの雄ネジ山が、前記第1の制御面部が前記一次入力を受けたことに応じて、前記平行移動軸に沿った前記送りネジ及び前記プランジャーの遠位方向の前進をもたらし、前記硬化性材料を前記分注空間内にて圧縮するように構成されている、システム。
[態様21]
前記ハウジング及び前記第2の制御面部に動作可能に連結された付勢部材をさらに備え、
前記付勢部材は、前記第2の制御面部を前記離脱位置に付勢するように構成されている、態様20に記載のシステム。
[態様22]
前記係止ナットの雌ネジ山及び前記送りネジの雄ネジ山は、前記第2の制御面部が前記離脱位置にあるとき、前記送りネジ及び前記プランジャーが前記平行移動軸に沿って近位側に移動するのに伴って前記平行移動軸を中心とする前記係止ナットの回転をもたらし、前記圧縮された硬化性材料が分注空間内にて少なくとも部分的に減圧することを可能にするように構成されている、態様20又は21に記載のシステム。
[態様23]
前記アクチュエータは、前記ハウジングに旋回可能に連結され、第2の制御面部を有するレバーとなっている、態様20~22のいずれか一項に記載のシステム。
[態様24]
前記係合特徴部は、前記係止ナットの周りに環状に配置された歯となっており、
前記レバーは、前記係止ナットの環状の歯に係合するように構成された相補的な歯を有している、態様23に記載のシステム。
[態様25]
前記第1の制御面部に動作可能に連結された一方向トルク機構をさらに備え、
前記一方向トルク機構は、前記第1の制御面部が第1の入力からなる前記一次入力を受けたことに応じて前記平行移動軸を中心とする第1の方向における前記第1の制御面部の回転による前記送りネジの遠位方向の前進を可能にし、前記第1の制御面部からの前記第1の入力トルクの除去による前記送りネジの近位方向の移動を阻止するように構成されている、態様20~24のいずれか一項に記載のシステム。
[態様26]
前記第1の制御面部を移動可能とするように連結させたハウジングをさらに備え、
前記一方向トルク機構は、前記ハウジングに対して摩擦関係をもたらしながら移動可能となるように配置されて、クラッチ機構を画定し、これによって、前記第1の制御面部が前記ユーザーから前記摩擦関係を上回るのに十分なトルク閾値を超える第2のトルク入力を受けたことに応じて、前記第1の方向とは反対の第2の方向における前記第1の制御面部の回転が可能になる、態様20~24のいずれか一項に記載のシステム。
[態様27]
硬化性材料を分注するように構成されるシステムであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに連結され、前記硬化性材料を分注するように構成された分注空間を画定するチャンバと、
前記ハウジングに連結され、ユーザーから一次入力を受けるように構成された第1の制御面部と、
前記ハウジング内に配置され、雌ネジ山を有する係止ナットと、
前記第1の制御面部に対して回転可能に固定された送りネジであって、送りネジは、近位端部と、遠位端部と、前記近位端部及び前記遠位端部の間に少なくとも部分的に配置された雄ネジ山と、前記近位端部及び前記遠位端部の間に画定された平行移動軸とを有し、送りネジの雄ネジ山と前記係止ナットの雌ネジ山との係合が、前記第1の制御面部が第1の方向における前記一次入力を受けたことに応じて、前記平行移動軸に沿った前記送りネジの移動をもたらし、前記分注空間内における前記硬化性材料を圧縮するようになっている、送りネジと、
前記第1の制御面部と前記ハウジングとを動作可能に連結する克服可能な一方向機構であって、克服可能な一方向機構は、前記第1の制御面部がトルク閾値よりも小さな第1の入力トルクから成る前記一次入力を受けたことに応じて、前記送りネジの遠位方向の前進を可能にし、前記第1の制御面部が前記第1の入力トルクと逆向きの前記トルク閾値と少なくとも同等の第2の入力トルクを受けたことに応じて、前記平行移動軸を中心とする前記第1の方向とは反対の第2の方向における前記第1の制御面部の回転による前記送りネジの近位方向の移動を可能にするように構成されている、克服可能な一方向機構と
を備えているシステム。
[態様28]
前記克服可能な一方向機構は、前記第1の制御面部及び前記ハウジングを動作可能に連結する一方向トルク機構をさらに有し、
前記一方向トルク機構は、前記平行移動軸を中心とする前記第1の制御面部の回転を可能にし、前記平行移動軸を中心とする前記第2の方向に行ける前記第1の制御面部の回転を阻止するように構成され、
前記一方向トルク機構は、前記ハウジングに対して摩擦関係をもたらしながら移動可能となるように配置されて、クラッチ機構を画定し、これによって、前記第1の制御面部が前記ユーザーから前記摩擦関係を上回るのに十分なトルク閾値を超える前記第2のトルク入力を受けたことに応じて、前記第2の方向における前記第1の制御面部の回転が可能になる、態様27に記載のシステム。
[態様29]
前記一方向トルク機構は、ラチェット機構をさらに有し、
前記ラチェット機構は、
前記平行移動軸と同軸に配置されたラチェットリングであって、ラチェット歯が内面の周りに周方向に配置されている、ラチェットリングと、
前記第1の制御面部に連結された爪部であって、前記第1の制御面部における平行移動軸を中心とする前記第2の方向の回転を阻止するために、前記ラチェットリングのラチェット歯に係合するように構成されている、爪部と
を有している、態様28に記載のシステム。
[態様30]
前記ラチェット機構は、前記爪部を前記内面に向かって付勢する付勢要素をさらに有し、
前記付勢要素は、前記第1の制御面部が前記平行移動軸を中心として前記第1の方向に回転する状態で、前記爪部が前記ラチェットリングの前記ラチェット歯の1つを超えて移動するときに弾性変形するように構成され、前記爪部を前記内面に接触させるように弾性的に戻し、これによって、可聴表示及び/又は触覚フィードバックを前記ユーザーにもたらすようにさらに構成されている、態様29に記載のシステム。
[態様31]
一方向トルク機構は、爪部と、前記爪部を受け入れるように構成されるラチェット歯とを有するラチェット機構をさらに含んでおり、
前記ラチェット機構は、前記爪部が前記第1の方向にて前記ラチェット歯の1つを超えて移動するときに可聴表示及び/又は触覚フィードバクを前記ユーザーにもたらすようになっている、態様27~30のいずれか一項に記載のシステム。
[態様32]
前記ラチェット歯は、前記内面の周りに周方向に均等に離間され、
前記周方向に均等に離間されたラチェット歯間における前記第1の制御面部における前記平行移動軸を中心とする前記第1の方向の角変位は、前記平行移動軸に沿った前記送りネジの遠位方向の移動における一定距離に関連付けられている、態様29に記載のシステム。
[態様33]
前記平行移動軸に沿った前記送りネジの遠位方向の移動における前記一定距離は、前記分注空間から分注された前記圧縮された硬化性材料の一定量に関連付けられている、態様32に記載のシステム。
[態様34]
硬化性材料を分注するように構成されるシステムであって、
前記硬化性材料を分注するように構成される分注空間を画定するチャンバと、
第1の制御面部に対して回転可能に固定された送りネジであって、近位端部と、遠位端部と、前記近位端部及び前記遠位端部の間に少なくとも部分的に配置された雄ネジ山と、前記近位端部及び前記遠位端部の間に画定された平行移動軸とを有する、送りネジと、
前記送りネジの雄ネジ山に螺合する雌ネジ山を有する係止ナットであって、係止ナットの雌ネジ山及び前記送りネジの雄ネジ山は、50%よりも大きなネジ効率によって画定され、これによって、係止ナットは、前記分注空間内における前記圧縮された硬化性材料によって与えられた近位力に応じて前記平行移動軸を中心として回転し、前記送りネジを前記平行移動軸に沿って近位側に平行移動させるように構成されている、係止ナットと
を備えているシステム。
[態様35]
前記送りネジは、前記平行移動軸に沿って近位側に平行移動するときに実質的に回転しないように構成されている、態様34に記載のシステム。
[態様36]
硬化性材料を分注するように構成されるシステムであって、
前記硬化性材料を分注するように構成された分注空間を画定するチャンバと、
一次入力をユーザーから受けるように構成された第1の制御面部と、
前記第1の制御面部に対して回転可能に固定された送りネジであって、近位端部と、遠位端部と、前記近位端部及び前記遠位端部の間に少なくとも部分的に配置された雄ネジ山と、前記近位端部及び前記遠位端部の間に画定された平行移動軸とを有し、前記第1の制御面部が前記一次入力を受けたことに応じて、前記平行移動軸に沿って遠位側に前進し、前記分注空間内における前記硬化性材料を圧縮するように構成されている、送りネジと、
前記送りネジの雄ネジ山に螺合する雌ネジ山を有する係止ナットであって、係止ナットの雌ネジ山及び前記送りネジの雄ネジ山は、前記送りネジが回転することなく前記平行移動軸に沿って近位側に平行移動することに応じて、係止ナットにおける前記平行移動軸を中心とする回転をもたらし、前記圧縮された硬化性材料が前記分注空間内にて少なくとも部分的に減圧することを可能にするように構成されている、係止ナットと
を備えているシステム。
[態様37]
第1の制御面部と、第2の制御面部と、分注空間と、付勢部材と、前記第1の制御面部に連結され、前記分注空間内に少なくとも部分的に配置された送りネジとを備える硬化性材料分注システムを操作する方法であって、
二次入力を前記第2の制御面部に加え、前記第2の制御面部を離脱位置から係合位置に移動させるステップと、
前記付勢部材によって与えられる力に対して前記第2の制御面部を前記係合位置に保持するステップと、
前記第2の制御面部が前記係合位置にある状態で、一次入力を前記第1の制御面部に加え、前記送りネジを平行移動軸に沿って遠位側に移動させ、前記分注空間内における前記硬化性材料を圧縮するステップと、
前記第2の制御面部に加えられた前記二次入力を除き、前記付勢部材によって前記第2の制御面部を前記係合位置から前記離脱位置に移動させるステップであって、前記第2の制御面部が前記離脱位置にあることによって、前記送りネジにおける前記平行移動軸に沿った近位方向の移動をもたらし、前記圧縮された硬化性材料が前記分注空間内にて少なくとも部分的に減圧することを可能にする、ステップと
を含む方法。
[態様38]
前記硬化性材料分注システムは、一方向トルク機構をさらに備え、
前記一次入力を加える前記ステップは、
第1の入力トルクを前記第1の制御面部に加えるステップであって、前記一方向トルク機構によって、前記入力トルクに応じて前記第1の制御面部における前記平行移動軸を中心とする前記第1の方向の回転による前記送りネジの遠位方向の移動を可能にするステップと、
前記第1の制御面部に加えられた前記第1の入力トルクを除くステップであって、前記一方向トルク機構によって、前記送りネジの前記近位方向の移動を阻止するステップと
をさらに含む、態様37に記載の方法。
[態様39]
前記硬化性材料分注システムは、ハウジングをさらに備え、
前記送りネジは、前記ハウジングと摩擦関係にあり、これによって、クラッチ機構を画定し、
前記方法は、前記第1の入力トルクとは反対方向の第2のトルク入力を前記第1の制御面部に加えるステップであって、前記クラッチ機構及び前記一方向トルク機構によって、前記加えられた第2のトルク入力がトルク閾値を超えるまで、前記第2の方向における前記第1の制御面部の回転を阻止する、ステップをさらに含む、態様38に記載の方法。
[態様40]
前記一次入力を前記第1の制御面部に加える前記ステップは、第2の手によって前記第2の制御面部を前記係合位置に保持しながら、第1の手によって前記一次入力を加えるステップをさらに含む、態様39に記載の方法。
[態様41]
前記第2の手によって前記第2の制御面部を前記係合位置に保持する前記ステップは、前記第2の手の掌で前記第1の制御面部を支持しながら、前記第2の手の人差し指及び/又は中指によって前記第2の制御面部を前記係合位置に保持するステップをさらに含む、態様40に記載の方法。
[態様42]
前記第2の手で前記第2の制御面部を前記係合位置に保持する前記ステップは、前記第2の手の掌で前記第1の制御面部を支持しながら、前記第2の手の親指によって前記第2の制御面部を前記係合位置に保持するステップをさらに含む、態様40又は41に記載の方法。
[態様43]
第1の制御面部と、第2の制御面部と、前記第2の制御面部に連結されたアクチュエータと、分注空間と、付勢部材と、前記第1の制御面部に連結され、前記分注空間内に少なくとも部分的に配置された送りネジと、前記送りネジの雄ネジ山に螺合する雌ネジ山を有する係止ナットとを備える硬化性材料分注システムを操作する方法であって、
前記アクチュエータが前記付勢部材によって与えられた力によって前記係止ナットに係合するように付勢され、前記係止ナットを、平行移動軸を中心として回転可能に固定した状態にて、一次入力を前記第1の制御面部に加えるステップであって、前記螺合によって、前記送りネジにおける前記平行移動軸に沿った遠位方向の平行移動をもたらし、前記分注空間内における前記硬化性材料を圧縮する、ステップと、
前記付勢部材によって与えられた前記力を上回るのに十分な二次入力を前記第2の制御面部に加え、前記アクチュエータを前記係止ナットから離脱させるように移動させ、前記平行移動軸を中心とする前記係止ナットの回転をもたらすステップであって、前記係止ナットの螺合及び回転によって、前記送りネジにおける前記平行移動軸に沿った近位方向の平行移動を可能にし、前記圧縮された硬化性材料が前記分注空間内にて少なくとも部分的に減圧することを可能にする、ステップと
を含む方法。
[態様44]
硬化性材料分注システムを包装する方法であって、
前記硬化性材料分注システムを収容するのに十分な寸法を有する包装体を準備するステップと、
ハウジングと、前記ハウジングに連結された分注空間とを備える前記硬化性材料分注システムを準備するステップと、
回転結合体に回転可能に連結された柔軟チューブと、前記回転結合体に連結された肘状結合体とを備える延長チューブを準備するステップと、
前記延長チューブの肘状結合体を前記分注空間の遠位端部に連結し、これによって、前記柔軟チューブ及び前記分注空間の間を流体連通させるステップと、
前記分注空間に対して前記柔軟チューブを前記肘状結合体を中心として包装形態に配置するステップであって、前記包装形態では、前記柔軟チューブ及び前記分注空間は、実質的に互いに平行であり、前記柔軟チューブは、前記肘状結合体に対して前記分注空間の方に配置される、ステップと、
その後、前記包装形態にある前記硬化性分注システム及び前記延長チューブを前記包装体内に配置するステップと
を含む方法。
[態様45]
関節運動する前記ステップは、前記柔軟チューブを前記包装形態から展開形態に関節運動させるステップをさらに含み、前記展開形態にて、前記分注空間及び前記柔軟チューブが、実質的に互いに平行であり、前記柔軟チューブが、前記肘状結合体に対して前記分注空間から離れて配置される、ステップをさらに含む、態様44に記載の方法。
[態様46]
前記包装形態にて、前記柔軟チューブを前記ハウジングに隣接して配置するステップをさらに含む、態様44又は45に記載の方法。