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特許7357012抗BCMA CAR抗体、コンジュゲート、および使用方法
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  • 特許-抗BCMA  CAR抗体、コンジュゲート、および使用方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】抗BCMA CAR抗体、コンジュゲート、および使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20230928BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230928BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20230928BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230928BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230928BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230928BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230928BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20230928BHJP
   G01N 33/531 20060101ALI20230928BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C07K16/46
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12Q1/02
G01N33/531 A
G01N33/53 Y
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020569177
(86)(22)【出願日】2019-06-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 US2019037274
(87)【国際公開番号】W WO2019241686
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】62/685,043
(32)【優先日】2018-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521438515
【氏名又は名称】2セブンティ バイオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】フリードマン, ケビン
(72)【発明者】
【氏名】パーキンス, モリー リード
【審査官】太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-527271(JP,A)
【文献】特表2017-538710(JP,A)
【文献】PLoS ONE,2013年03月01日,8(3):e57838,p. 1-12,doi:10.1371/journal.pone.0057838
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00
C07K 16/00
C12Q 1/00
G01N 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗BCMA CARの抗BCMA scFvドメインに結合する抗体またはその抗原結合断片であって、
a)配列番号1~3に記載のCDRL1~CDRL3配列を含む可変軽鎖、および配列番号4~6に記載のCDRH1~CDRH3配列を含む可変重鎖;
b)配列番号9~11に記載のCDRL1~CDRL3配列を含む可変軽鎖、および配列番号12~14に記載のCDRH1~CDRH3配列を含む可変重鎖;または
c)配列番号17~19に記載のCDRL1~CDRL3配列を含む可変軽鎖と、配列番号20~22に記載のCDRH1~CDRH3配列を含む可変重鎖
を含む、抗体またはその抗原結合断片
【請求項2】
前記抗体またはその抗原結合断片が、配列番号25に記載の抗BCMA scFv配列の1つまたは複数のエピトープ結合する、請求項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項3】
前記抗体またはその抗原結合断片がヒト型、ヒト化型、マウス型、またはキメラ型である、請求項1または請求項2に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項4】
前記抗体またはその抗原結合断片がモノクローナルである、請求項1からのいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項5】
前記抗体またはその抗原結合断片が、Fab’断片、F(ab’)断片、二重特異性Fab二量体(Fab2)、三重特異性Fab三量体(Fab3)、Fv、単鎖Fvタンパク質(「scFv」)、ビスscFv、(scFv)、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ジスルフィド安定化Fvタンパク質(「dsFv」)、および単ドメイン抗体(sdAb、ナノボディ)からなる群から選択される抗原結合断片である、請求項1からのいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項6】
a)配列番号7に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有する可変軽鎖配列、および/または配列番号8に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有する可変重鎖配列;
b)配列番号15に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有する可変軽鎖配列、および/または配列番号16に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有する可変重鎖配列;または
c)配列番号23に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有する可変軽鎖配列、および/または配列番号24に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸同一性を有する可変重鎖配列
を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項7】
前記抗体またはその抗原結合断片または請求項1からのいずれか1項と検出可能な標識とを含むコンジュゲート。
【請求項8】
前記検出可能な標識が、
a)ハプテン、蛍光色素、蛍光タンパク質、発色団、金属イオン、金粒子、銀粒子、磁性粒子、ポリペプチド、酵素、発光化合物、またはオリゴヌクレオチドからなる群から選択される
b)Oregon Green(登録商標)、Pacific Blue(商標)、Pacific Orange(商標)、Pacific Green(商標)、Cascade Blue(商標)、Cascade Yellow(商標)、Lucifer Yellow(商標)、Marina Blue(商標)、およびTexas Red(登録商標)(TxRed)からなる群から選択される蛍光色素である;
c)AF350、AF405、AF488、AF500、AF514、AF532、AF546、AF555、AF568、AF594、AF610、AF633、AF635、AF647、AF680、AF700、AF710、AF750、AF790、およびAF800からなる群から選択されるAlexaFluor(登録商標)(AF)色素である;
d)Qdot(登録商標)525、Qdot(登録商標)565、Qdot(登録商標)585、Qdot(登録商標)605、Qdot(登録商標)655、Qdot(登録商標)705、およびQdot(登録商標)800からなる群から選択されるQDot(登録商標)である;
e)DL549、DL649、DL680、およびDL800からなる群から選択されるDyLight(商標)Dye(DL)である;
f)フルオレセインまたはその誘導体、フルオレセインイソチオシアネート、カルボキシフルオレセイン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ジゴキシゲニン、ジニトロフェノール(DNP)、トリニトロフェノール(TNP)、およびビオチンからなる群から選択されるハプテンである;
g)Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、およびCy7.5からなる群から選択されるCy Dyeである;
h)フィコエリスリン(PE、R-フィコエリスリン(RPE))、B-フィコエリスリン(BPE)、ペリジニンクロロフィル(PerCP)、アロフィコシアニン(APC)、およびC-フィコシアニンからなる群から選択される蛍光分子である;
i)Atto 390、Atto 425、Atto 465、Atto 488、Atto 495、Atto 514、Atto 520、Atto 532、Atto 550、Atto 565、Atto 590、Atto 594、Atto 610、Atto 620、Atto 633、Atto 647、Atto 655、Atto 665、Atto 680、Atto 700、Atto 725、Atto 740、Super Bright(商標)436、Super Bright(商標)600、Super Bright(商標)645、Super Bright(商標)702、Super Bright(商標)780、Brilliant(商標)Violet 421、Brilliant(商標)Violet 480、Brilliant(商標)Violet 510、Brilliant(商標)Violet 605、Brilliant Violet(商標)650、Brilliant Violet(商標)711、Brilliant Violet(商標)786、Brilliant(商標)Ultraviolet 395 (BUV395)、Brilliant(商標)Ultraviolet 496(BUV496)、Brilliant(商標)Ultraviolet 563(BUV563)、Brilliant(商標)Ultraviolet 661(BUV661)、Brilliant(商標)Ultraviolet 737 (BUV737)、Brilliant(商標)Ultraviolet 805 (BUV805)、Brilliant(商標)Blue 515 (BB515)、Brilliant(商標)Blue 700 (BB700)、およびIR Dye 680、IR Dye 680LT、IR Dye 700、IR Dye 700DX、IR Dye 800、IR Dye 800RS、およびIR Dye 800CWからなる群から選択される蛍光色素である;
j)RPE-Cy5、RPE-Cy5.5、RPE-Cy7、RPE-CF594、RPE-AlexaFluor(登録商標)タンデムコンジュゲート;RPE-Alexa610、RPE-TxRed、APC-H7、APC-R700、APC-Alexa600、APC-Alexa610、APC-Alexa750、APC-Cy5、APC-Cy5.5、およびAPC-Cy7からなる群から選択されるタンデム蛍光色素である;
k)GFP、eGFP、BFP、CFP、YFP、DsRed、DsRed2、mRFP、mBanana、mOrange、dTomato、tdTomato、mTangerine、mStrawberry、mCherry、mPlum、およびmRaspberryからなる群から選択される蛍光タンパク質である;
l)アルカリホスファターゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、およびβ-ガラクトシダーゼからなる群から選択される酵素である;または
m)炭素(14C)、クロム(51Cr)、コバルト(57Co)、フッ素(18F)、ガドリニウム(153Gd、159Gd)、ゲルマニウム(68Ge)、ホルミウム(166Ho)、インジウム(115In、113In、112In、mIn)、ヨウ素(125I、123I、121I)、ランタン(140La)、ルテチウム(177Lu)、マンガン(54Mn)、モリブデン(99Mo)、パラジウム(103Pd)、リン(32P)、プラセオジム(142Pr)、プロメチウム(149Pm)、レニウム(186Re、188Re)、ロジウム(105Rh)、ルテニウム(rutheroium)(97Ru)、サマリウム(153Sm)、スカンジウム(47Sc)、セレン(75Se)、(85Sr)、硫黄(35S)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、スズ(113Sn、117Sn)、トリチウム(3H)、キセノン(133Xe)、イッテルビウム(169Yb、175Yb)、およびイットリウム(90Y)からなる群から選択される放射性核種である
請求項に記載のコンジュゲート。
【請求項9】
請求項1からのいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片をコードするポリヌクレオチド。
【請求項10】
請求項1からのいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片、または請求項に記載のポリヌクレオチドを含む宿主細胞。
【請求項11】
請求項1からのいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片、請求項7または請求項8に記載のコンジュゲート、請求項に記載のポリヌクレオチド、または請求項10に記載の宿主細胞を含む組成物。
【請求項12】
請求項1からのいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片または請求項7または請求項8に記載のコンジュゲートと、使用のための指示書とを含むキット。
【請求項13】
T細胞またはT細胞集団上の抗BCMA CARの発現を検出する方法における使用のための、請求項1から6のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片または請求項7または請求項8に記載のコンジュゲートを含む組成物であって、前記方法が、前記抗体もしくはその抗原結合断片または前記コンジュゲートにT細胞またはT細胞集団を接触させること;ならびに抗体:抗BCMA CAR複合体の形成を検出することを含む、組成物
【請求項14】
T細胞またはT細胞集団上の抗BCMA CARの発現を決定する方法における使用のための、請求項1から6のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片または請求項7または請求項8に記載のコンジュゲートを含む組成物であって、前記方法が、前記抗体もしくはその抗原結合断片または前記コンジュゲートにT細胞またはT細胞集団を接触させること;抗体:抗BCMA CAR複合体の形成を検出すること;ならびに前記複合体の量を測定して前記T細胞上の前記抗BCMA CARの発現を決定することを含む、組成物
【請求項15】
T細胞集団中の抗BCMA CAR T細胞の数を決定する方法における使用のための、請求項1から6のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片または請求項7または請求項8に記載のコンジュゲートを含む組成物であって、前記方法が、前記抗体またはその抗原結合断片または前記コンジュゲートにT細胞集団を接触させること;1つまたは複数のT細胞上の抗体:抗BCMA CAR複合体の形成を検出すること;ならびに前記抗BCMA CARを発現するT細胞を計数することを含む、組成物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本願は、本明細書にその全体を参照により組み込まれる2018年6月14日出願の米国仮特許出願第62/685,043号の、米国特許法第119条(e)下の優先権を請求するものである。
【0002】
配列表に関する陳述
本願に関連する配列表は、紙出力に代えてテキストフォーマットにて提供され、ここに参照により本明細書に組み込まれる。配列表を含むテキストファイルの名称は、BLBD_099_01WO_ST25.txt.である。このテキストファイルは、19KBであり、2019年6月14日に作成され、明細書の提出と共にEFS-Webを介して電子提出されている。
【0003】
本発明は抗体組成物に関する。さらに具体的には、本発明は抗BCMA CARに結合する抗体および抗原結合断片、ならびにそのコンジュゲート、ならびにそれらを用いて抗BCMA CAR T細胞を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
遺伝的なアプローチは、免疫認識とがん細胞の排除とを亢進するための可能性のある手段をもたらす。有望なストラテジーの1つは、細胞毒性を腫瘍細胞に向け直すキメラ抗原受容体(CAR)を発現するための免疫エフェクター細胞を遺伝子工学的に作出することである。しかし、1つまたは複数の養子導入CAR T細胞上のCARの発現と、CAR T細胞活性を測定する試みを攪乱するin vivoでのCAR T細胞の持続性とを、正確に測定することは難しい。CAR T細胞を評価するための最もよくあるアプローチは、CAR特異的プライマーを用いる定量的PCRである。しかし、この手法は不適当であり、CAR T細胞の多重パラメーター解析を可能にするものではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、概して、抗体およびその抗原結合断片、そのコンジュゲート、ならびにそれらを使用してCAR T細胞および/または1つもしくは複数のT細胞上のCARの発現を検出、決定、または測定する方法を提供する。
【0006】
様々な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、抗BCMAキメラ抗原受容体(CAR)を結合する1つまたは複数のCDRを含む。
【0007】
具体的な実施形態では、1つまたは複数のCDRは、抗BCMA CARの抗BCMA scFvドメインを結合する。
【0008】
一部の実施形態では、3つの軽鎖CDRは、抗BCMA CARの抗BCMA scFvドメインを結合する。
【0009】
特定の実施形態では、3つの重鎖CDRは、抗BCMA CARの抗BCMA scFvドメインを結合する。
【0010】
具体的な実施形態では、3つの軽鎖CDRおよび3つの重鎖CDRは、抗BCMA CARの抗BCMA scFvドメインを結合する。
【0011】
特定の実施形態では、本抗体またはその抗原結合断片は、配列番号25に記載の抗BCMA scFv配列の1つまたは複数のエピトープを結合する。
【0012】
具体的な実施形態では、本抗体またはその抗原結合断片は、ヒト型である。
【0013】
一部の実施形態では、本抗体またはその抗原結合断片は、ヒト化型である。
【0014】
特定の実施形態では、本抗体またはその抗原結合断片は、マウス型である。
【0015】
具体的な実施形態では、本抗体またはその抗原結合断片は、キメラ型である。
【0016】
特定の実施形態では、本抗体またはその抗原結合断片は、モノクローナルである。
【0017】
特定の実施形態では、本抗体またはその抗原結合断片は、抗原結合断片である。
【0018】
具体的な実施形態では、本抗体またはその抗原結合断片は、Fab’断片、F(ab’)2断片、二重特異性Fab二量体(Fab2)、三重特異性Fab三量体(Fab3)、Fv、単鎖Fvタンパク質(「scFv」)、ビスscFv、(scFv)2、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ジスルフィド安定化Fvタンパク質(「dsFv」)、および単ドメイン抗体(sdAb、ナノボディ)からなる群から選択される。
【0019】
一部の実施形態では、本抗体またはその抗原結合断片は、scFvである。
【0020】
様々な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1~3に記載のCDRL1~CDRL3配列を含む可変軽鎖と、配列番号4~6に記載のCDRH1~CDRH3配列を含む可変重鎖とを含む。
【0021】
さらに別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7に記載の可変軽鎖配列を含む。
【0022】
具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号8に記載の可変重鎖配列を含む。
【0023】
追加の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7に記載の可変軽鎖配列と、配列番号8に記載の可変重鎖配列とを含む。
【0024】
様々な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号9~11に記載のCDRL1~CDRL3配列を含む可変軽鎖と、配列番号12~14に記載のCDRH1~CDRH3配列を含む可変重鎖とを含む。
【0025】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号15に記載の可変軽鎖配列を含む。
【0026】
具体的実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号16に記載の可変重鎖配列を含む。
【0027】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号15に記載の可変軽鎖配列と、配列番号16に記載の可変重鎖配列とを含む。
【0028】
様々な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号17~19に記載のCDRL1~CDRL3配列を含む可変軽鎖と、配列番号20~22に記載のCDRH1~CDRH3配列を含む可変重鎖とを含む。
【0029】
具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号23に記載の可変軽鎖配列を含む。
【0030】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号24に記載の可変重鎖配列を含む。
【0031】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号23に記載の可変軽鎖配列と、配列番号24に記載の可変重鎖配列とを含む。
【0032】
具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、ヒト型である。
【0033】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、ヒト化型である。
【0034】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、マウス型である。
【0035】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、キメラ型である。
【0036】
具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、モノクローナルである。
【0037】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、抗原結合断片である。
【0038】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、Fab’断片、F(ab’)2断片、二重特異性Fab二量体(Fab2)、三重特異性Fab三量体(Fab3)、Fv、単鎖Fvタンパク質(「scFv」)、ビスscFv、(scFv)2、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ジスルフィド安定化Fvタンパク質(「dsFv」)、および単ドメイン抗体(sdAb、ナノボディ)からなる群から選択される。
【0039】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、scFvである。
【0040】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号25に記載の抗BCMA scFv配列の1つまたは複数のエピトープを結合する。
【0041】
様々な実施形態では、コンジュゲートは、本明細書で想定される抗体またはその抗原結合断片と検出のための手段とを含む。
【0042】
様々な実施形態では、コンジュゲートは、本明細書で想定される抗体またはその抗原結合断片と検出手段とを含む。
【0043】
様々な実施形態では、コンジュゲートは、本明細書で想定される抗体またはその抗原結合断片と検出可能な標識とを含む。
【0044】
一部の実施形態では、検出可能な標識は、ハプテン、蛍光色素、蛍光タンパク質、発色団、金属イオン、金粒子、銀粒子、磁性粒子、ポリペプチド、酵素、発光化合物、またはオリゴヌクレオチドからなる群から選択される。
【0045】
具体的な実施形態では、検出可能な標識は、Oregon Green(登録商標)、Pacific Blue(商標)、Pacific Orange(商標)、Pacific Green(商標)、Cascade Blue(商標)、Cascade Yellow(商標)、Lucifer Yellow(商標)、Marina Blue(商標)、およびTexas Red(登録商標)(TxRed)からなる群から選択される蛍光色素である。
【0046】
特定の実施形態では、検出可能な標識は、AF350、AF405、AF488、AF500、AF514、AF532、AF546、AF555、AF568、AF594、AF610、AF633、AF635、AF647、AF680、AF700、AF710、AF750、AF790、およびAF800からなる群から選択されるAlexaFluor(登録商標)(AF)色素である。
【0047】
一部の実施形態では、検出可能な標識は、Qdot(登録商標)525、Qdot(登録商標)565、Qdot(登録商標)585、Qdot(登録商標)605、Qdot(登録商標)655、Qdot(登録商標)705、およびQdot(登録商標)800からなる群から選択されるQDot(登録商標)である。
【0048】
具体的な実施形態では、検出可能な標識は、DL549、DL649、DL680、およびDL800からなる群から選択されるDyLight(商標)Dye(DL)である。
【0049】
特定の実施形態では、検出可能な標識は、フルオレセインまたはその誘導体、フルオレセインイソチオシアネート、カルボキシフルオレセイン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ジゴキシゲニン、ジニトロフェノール(DNP)、トリニトロフェノール(TNP)、およびビオチンからなる群から選択されるハプテンである。
【0050】
具体的な実施形態では、検出可能な標識は、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、およびCy7.5からなる群から選択されるCy Dyeである。
【0051】
一部の実施形態では、検出可能な標識は、フィコエリスリン(PE、R-フィコエリスリン(RPE))、B-フィコエリスリン(BPE)、ペリジニンクロロフィル(PerCP)、アロフィコシアニン(APC)、およびC-フィコシアニンからなる群から選択される蛍光分子である。
【0052】
具体的な実施形態では、検出可能な標識は、Atto 390、Atto 425、Atto 465、Atto 488、Atto 495、Atto 514、Atto 520、Atto 532、Atto 550、Atto 565、Atto 590、Atto 594、Atto 610、Atto 620、Atto 633、Atto 647、Atto 655、Atto 665、Atto 680、Atto 700、Atto 725、Atto 740、Super Bright(商標)436、Super Bright(商標)600、Super Bright(商標)645、Super Bright(商標)702、Super Bright(商標)780、Brilliant(商標)Violet 421、Brilliant(商標)Violet 480、Brilliant(商標)Violet 510、Brilliant(商標)Violet 605、Brilliant Violet(商標)650、Brilliant Violet(商標)711、Brilliant Violet(商標)786、Brilliant(商標)Ultraviolet 395 (BUV395)、Brilliant(商標)Ultraviolet 496(BUV496)、Brilliant(商標)Ultraviolet 563(BUV563)、Brilliant(商標)Ultraviolet 661(BUV661)、Brilliant(商標)Ultraviolet 737 (BUV737)、Brilliant(商標)Ultraviolet 805 (BUV805)、Brilliant(商標)Blue 515(BB515)、Brilliant(商標)Blue 700(BB700)、およびIR Dye 680、IR Dye 680LT、IR Dye 700、IR Dye 700DX、IR Dye 800、IR Dye 800RS、およびIR Dye 800CWからなる群から選択される蛍光色素である。
【0053】
特定の実施形態では、検出可能な標識は、RPE-Cy5、RPE-Cy5.5、RPE-Cy7、RPE-CF594、RPE-AlexaFluor(登録商標)タンデムコンジュゲート;RPE-Alexa610、RPE-TxRed、APC-H7、APC-R700、APC-Alexa600、APC-Alexa610、APC-Alexa750、APC-Cy5、APC-Cy5.5、およびAPC-Cy7からなる群から選択されるタンデム蛍光色素である。
【0054】
特定の実施形態では、検出可能な標識は、GFP、eGFP、BFP、CFP、YFP、DsRed、DsRed2、mRFP、mBanana、mOrange、dTomato、tdTomato、mTangerine、mStrawberry、mCherry、mPlum、およびmRaspberryからなる群から選択される蛍光タンパク質である。
【0055】
具体的な実施形態では、検出可能な標識は、アルカリホスファターゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、およびβ-ガラクトシダーゼからなる群から選択される酵素である。
【0056】
特定の実施形態では、検出可能な標識は、炭素(14C)、クロム(51Cr)、コバルト(57Co)、フッ素(18F)、ガドリニウム(153Gd、159Gd)、ゲルマニウム(68Ge)、ホルミウム(166Ho)、インジウム(115In、113In、112In、mIn)、ヨウ素(125I、123I、121I)、ランタン(140La)、ルテチウム(177Lu)、マンガン(54Mn)、モリブデン(99Mo)、パラジウム(103Pd)、リン(32P)、プラセオジム(142Pr)、プロメチウム(149Pm)、レニウム(186Re、188Re)、ロジウム(105Rh)、ルテニウム(rutheroium)(97Ru)、サマリウム(153Sm)、スカンジウム(47Sc)、セレン(75Se)、(85Sr)、硫黄(35S)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、スズ(113Sn、117Sn)、トリチウム(3H)、キセノン(133Xe)、イッテルビウム(169Yb、175Yb)、およびイットリウム(90Y)からなる群から選択される放射性核種である。
【0057】
様々な実施形態では、ポリヌクレオチドは、想定される抗体またはその抗原結合断片をコードする。
【0058】
特定の実施形態では、宿主細胞は、本明細書で想定される抗体もしくはその抗原結合断片またはポリヌクレオチドを含む。
【0059】
一部の実施形態では、組成物は、本明細書で想定される抗体もしくはその抗原結合断片、コンジュゲート、ポリヌクレオチド、または宿主細胞を含む。
【0060】
様々な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片を生産する方法は、本明細書で想定される抗体またはその抗原結合断片を宿主細胞で発現することと、抗体を回収または単離することとを含む。
【0061】
特定の実施形態では、キットは、本明細書で想定される抗体もしくはその抗原結合断片またはコンジュゲートと、使用のための指示書とを含む。
【0062】
具体的な実施形態では、T細胞上の抗BCMA CARの発現を検出する方法は、本明細書で想定される抗体もしくはその抗原結合断片またはコンジュゲートにT細胞を接触させること、ならびに抗体:抗BCMA CAR複合体の形成を検出することを含む。
【0063】
様々な実施形態では、T細胞集団での抗BCMA CARの発現を検出する方法は、本明細書で想定される抗体もしくはその抗原結合断片またはコンジュゲートにT細胞集団を接触させること、ならびに1つまたは複数のT細胞上の抗体:抗BCMA CAR複合体の形成を検出することを含む。
【0064】
特定の実施形態では、T細胞上の抗BCMA CARの発現を決定する方法は、本明細書で想定される抗体もしくはその抗原結合断片またはコンジュゲートにT細胞を接触させること、抗体:抗BCMA CAR複合体の形成を検出すること、ならびに複合体の量を測定してT細胞上の抗BCMA CARの発現を決定することを含む。
【0065】
具体的な実施形態では、T細胞集団での抗BCMA CARの発現を決定する方法は、本明細書で想定される抗体もしくはその抗原結合断片またはコンジュゲートにT細胞集団を接触させること、1つまたは複数のT細胞上の抗体:抗BCMA CAR複合体の形成を検出すること、ならびに複合体の量を測定して1つまたは複数のT細胞上の抗BCMA CARの発現を決定することを含む。
【0066】
様々な実施形態では、T細胞集団中の抗BCMA CAR+T細胞の数を決定する方法は、本明細書で想定される抗体もしくはその抗原結合断片 コンジュゲートにT細胞集団を接触させること、1つまたは複数のT細胞上の抗体:抗BCMA CAR複合体の形成を検出すること、ならびに抗BCMA CARを発現するT細胞を計数することを含む。
【0067】
一部の実施形態では、免疫組織化学的検査、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫吸着アッセイ、化学発光アッセイ、電気化学発光アッセイ、表面プラズモン共鳴(SPR)ベースバイオセンサー(例えばBIAcore)、蛍光顕微鏡観察、またはフローサイトメトリー、蛍光活性化細胞分取法(FACS)を使用して、抗体:抗BCMA CAR複合体の形成を検出する。
【0068】
特定の実施形態では、免疫組織化学的検査、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫吸着アッセイ、化学発光アッセイ、電気化学発光アッセイ、表面プラズモン共鳴(SPR)ベースバイオセンサー(例えばBIAcore)、蛍光顕微鏡観察、またはフローサイトメトリー、蛍光活性化細胞分取法(FACS)を使用して、抗体:抗BCMA CAR複合体の量を測定する。
【0069】
具体的な実施形態では、免疫組織化学的検査、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫吸着アッセイ、化学発光アッセイ、電気化学発光アッセイ、表面プラズモン共鳴(SPR)ベースバイオセンサー(例えばBIAcore)、蛍光顕微鏡観察、またはフローサイトメトリー、蛍光活性化細胞分取法(FACS)を使用して、抗BCMA CARを発現するT細胞を計数する。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
抗BCMAキメラ抗原受容体(CAR)を結合する1つまたは複数のCDRを含む抗体またはその抗原結合断片。
(項目2)
前記1つまたは複数のCDRが、抗BCMA CARの抗BCMA scFvドメインを結合する、項目1に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目3)
3つの軽鎖CDRが、前記抗BCMA CARの抗BCMA scFvドメインを結合する、項目1または項目2に記載の抗体。
(項目4)
3つの重鎖CDRが、前記抗BCMA CARの抗BCMA scFvドメインを結合する、項目1から3のいずれか1項に記載の抗体。
(項目5)
3つの軽鎖CDRおよび3つの重鎖CDRが、前記抗BCMA CARの抗BCMA scFvドメインを結合する、項目1から4のいずれか1項に記載の抗体。
(項目6)
前記抗体またはその抗原結合断片が、配列番号25に記載の抗BCMA scFv配列の1つまたは複数のエピトープを結合する、項目1から5のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目7)
前記抗体またはその抗原結合断片がヒト型である、項目1から6のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目8)
前記抗体またはその抗原結合断片がヒト化型である、項目1から6のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目9)
前記抗体またはその抗原結合断片がマウス型である、項目1から6のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目10)
前記抗体またはその抗原結合断片がキメラ型である、項目1から6のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目11)
前記抗体またはその抗原結合断片がモノクローナルである、項目1から10のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目12)
前記抗体またはその抗原結合断片が抗原結合断片である、項目1から11のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目13)
前記抗体またはその抗原結合断片が、Fab’断片、F(ab’) 断片、二重特異性Fab二量体(Fab2)、三重特異性Fab三量体(Fab3)、Fv、単鎖Fvタンパク質(「scFv」)、ビスscFv、(scFv) 、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ジスルフィド安定化Fvタンパク質(「dsFv」)、および単ドメイン抗体(sdAb、ナノボディ)からなる群から選択される、項目1から12のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目14)
前記抗体またはその抗原結合断片がscFvである、項目1から13のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目15)
配列番号1~3に記載のCDRL1~CDRL3配列を含む可変軽鎖と、配列番号4~6に記載のCDRH1~CDRH3配列を含む可変重鎖とを含む、抗体またはその抗原結合断片。
(項目16)
配列番号7に記載の可変軽鎖配列を含む、項目15に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目17)
配列番号8に記載の可変重鎖配列を含む、項目15または項目16に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目18)
配列番号7に記載の可変軽鎖配列と、配列番号8に記載の可変重鎖配列とを含む、項目15から17のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目19)
配列番号9~11に記載のCDRL1~CDRL3配列を含む可変軽鎖と、配列番号12~14に記載のCDRH1~CDRH3配列を含む可変重鎖とを含む、抗体またはその抗原結合断片。
(項目20)
配列番号15に記載の可変軽鎖配列を含む、項目19に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目21)
配列番号16に記載の可変重鎖配列を含む、項目19または項目20に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目22)
配列番号15に記載の可変軽鎖配列と、配列番号16に記載の可変重鎖配列とを含む、項目19から21のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目23)
配列番号17~19に記載のCDRL1~CDRL3配列を含む可変軽鎖と、配列番号20~22に記載のCDRH1~CDRH3配列を含む可変重鎖とを含む、抗体またはその抗原結合断片。
(項目24)
配列番号23に記載の可変軽鎖配列を含む、項目23に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目25)
配列番号24に記載の可変重鎖配列を含む、項目23または項目24に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目26)
配列番号23に記載の可変軽鎖配列と、配列番号24に記載の可変重鎖配列とを含む、項目23から25のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目27)
前記抗体またはその抗原結合断片がヒト型である、項目15から26のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目28)
前記抗体またはその抗原結合断片がヒト化型である、項目15から26のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目29)
前記抗体またはその抗原結合断片がマウス型である、項目15から26のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目30)
前記抗体またはその抗原結合断片がキメラ型である、項目15から26のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目31)
前記抗体またはその抗原結合断片がモノクローナルである、項目15から26のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目32)
前記抗体またはその抗原結合断片が抗原結合断片である、項目15から26のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目33)
前記抗体またはその抗原結合断片が、Fab’断片、F(ab’) 断片、二重特異性Fab二量体(Fab2)、三重特異性Fab三量体(Fab3)、Fv、単鎖Fvタンパク質(「scFv」)、ビスscFv、(scFv) 、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ジスルフィド安定化Fvタンパク質(「dsFv」)、および単ドメイン抗体(sdAb、ナノボディ)からなる群から選択される、項目15から26のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目34)
前記抗体またはその抗原結合断片がscFvである、項目15から26のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目35)
前記抗体またはその抗原結合断片が、配列番号25に記載の抗BCMA scFv配列の1つまたは複数のエピトープを結合する、項目15から34のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目36)
前記抗体またはその抗原結合断片または項目1から35のいずれか1項と検出のための手段とを含むコンジュゲート。
(項目37)
前記抗体またはその抗原結合断片または項目1から35のいずれか1項と検出手段とを含むコンジュゲート。
(項目38)
前記抗体またはその抗原結合断片または項目1から35のいずれか1項と検出可能な標識とを含むコンジュゲート。
(項目39)
前記検出可能な標識が、ハプテン、蛍光色素、蛍光タンパク質、発色団、金属イオン、金粒子、銀粒子、磁性粒子、ポリペプチド、酵素、発光化合物、またはオリゴヌクレオチドからなる群から選択される、項目38に記載のコンジュゲート。
(項目40)
前記検出可能な標識が、Oregon Green(登録商標)、Pacific Blue(商標)、Pacific Orange(商標)、Pacific Green(商標)、Cascade Blue(商標)、Cascade Yellow(商標)、Lucifer Yellow(商標)、Marina Blue(商標)、およびTexas Red(登録商標)(TxRed)からなる群から選択される蛍光色素である、項目38または項目39に記載のコンジュゲート。
(項目41)
前記検出可能な標識が、AF350、AF405、AF488、AF500、AF514、AF532、AF546、AF555、AF568、AF594、AF610、AF633、AF635、AF647、AF680、AF700、AF710、AF750、AF790、およびAF800からなる群から選択されるAlexaFluor(登録商標)(AF)色素である、項目38または項目39に記載のコンジュゲート。
(項目42)
前記検出可能な標識が、Qdot(登録商標)525、Qdot(登録商標)565、Qdot(登録商標)585、Qdot(登録商標)605、Qdot(登録商標)655、Qdot(登録商標)705、およびQdot(登録商標)800からなる群から選択されるQDot(登録商標)である、項目38または項目39に記載のコンジュゲート。
(項目43)
前記検出可能な標識が、DL549、DL649、DL680、およびDL800からなる群から選択されるDyLight(商標)Dye(DL)である、項目38または項目39に記載のコンジュゲート。
(項目44)
前記検出可能な標識が、フルオレセインまたはその誘導体、フルオレセインイソチオシアネート、カルボキシフルオレセイン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ジゴキシゲニン、ジニトロフェノール(DNP)、トリニトロフェノール(TNP)、およびビオチンからなる群から選択されるハプテンである、項目38または項目39に記載のコンジュゲート。
(項目45)
前記検出可能な標識が、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、およびCy7.5からなる群から選択されるCy Dyeである、項目38または項目39に記載のコンジュゲート。
(項目46)
前記検出可能な標識が、フィコエリスリン(PE、R-フィコエリスリン(RPE))、B-フィコエリスリン(BPE)、ペリジニンクロロフィル(PerCP)、アロフィコシアニン(APC)、およびC-フィコシアニンからなる群から選択される蛍光分子である、項目38または項目39に記載のコンジュゲート。
(項目47)
前記検出可能な標識が、Atto 390、Atto 425、Atto 465、Atto 488、Atto 495、Atto 514、Atto 520、Atto 532、Atto 550、Atto 565、Atto 590、Atto 594、Atto 610、Atto 620、Atto 633、Atto 647、Atto
655、Atto 665、Atto 680、Atto 700、Atto 725、Atto 740、Super Bright(商標)436、Super Bright(商標)600、Super Bright(商標)645、Super Bright(商標)702、Super Bright(商標)780、Brilliant(商標)Violet 421、Brilliant(商標)Violet 480、Brilliant(商標)Violet 510、Brilliant(商標)Violet 605、Brilliant Violet(商標)650、Brilliant Violet(商標)711、Brilliant Violet(商標)786、Brilliant(商標)Ultraviolet 395 (BUV395)、Brilliant(商標)Ultraviolet 496(BUV496)、Brilliant(商標)Ultraviolet 563(BUV563)、Brilliant(商標)Ultraviolet 661(BUV661)、Brilliant(商標)Ultraviolet 737 (BUV737)、Brilliant(商標)Ultraviolet 805 (BUV805)、Brilliant(商標)Blue
515 (BB515)、Brilliant(商標)Blue 700 (BB700)、およびIR Dye 680、IR Dye 680LT、IR Dye 700、IR Dye 700DX、IR Dye 800、IR Dye 800RS、およびIR Dye 800CWからなる群から選択される蛍光色素である、項目38または項目39に記載のコンジュゲート。
(項目48)
前記検出可能な標識が、RPE-Cy5、RPE-Cy5.5、RPE-Cy7、RPE-CF594、RPE-AlexaFluor(登録商標)タンデムコンジュゲート;RPE-Alexa610、RPE-TxRed、APC-H7、APC-R700、APC-Alexa600、APC-Alexa610、APC-Alexa750、APC-Cy5、APC-Cy5.5、およびAPC-Cy7からなる群から選択されるタンデム蛍光色素である、項目38または項目39に記載のコンジュゲート。
(項目49)
前記検出可能な標識が、GFP、eGFP、BFP、CFP、YFP、DsRed、DsRed2、mRFP、mBanana、mOrange、dTomato、tdTomato、mTangerine、mStrawberry、mCherry、mPlum、およびmRaspberryからなる群から選択される蛍光タンパク質である、項目38または項目39に記載のコンジュゲート。
(項目50)
前記検出可能な標識が、アルカリホスファターゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、およびβ-ガラクトシダーゼからなる群から選択される酵素である、項目38または項目39に記載のコンジュゲート。
(項目51)
前記検出可能な標識が、炭素(14C)、クロム(51Cr)、コバルト(57Co)、フッ素(18F)、ガドリニウム(153Gd、159Gd)、ゲルマニウム(68Ge)、ホルミウム(166Ho)、インジウム(115In、113In、112In、mIn)、ヨウ素(125I、123I、121I)、ランタン(140La)、ルテチウム(177Lu)、マンガン(54Mn)、モリブデン(99Mo)、パラジウム(103Pd)、リン(32P)、プラセオジム(142Pr)、プロメチウム(149Pm)、レニウム(186Re、188Re)、ロジウム(105Rh)、ルテニウム(rutheroium)(97Ru)、サマリウム(153Sm)、スカンジウム(47Sc)、セレン(75Se)、(85Sr)、硫黄(35S)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、スズ(113Sn、117Sn)、トリチウム(3H)、キセノン(133Xe)、イッテルビウム(169Yb、175Yb)、およびイットリウム(90Y)からなる群から選択される放射性核種である、項目38または項目39に記載のコンジュゲート。
(項目52)
項目1から35のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片をコードするポリヌクレオチド。
(項目53)
項目1から35のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片、または項目52に記載のポリヌクレオチドを含む宿主細胞。
(項目54)
項目1から35のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片、項目36から51のいずれか1項に記載のコンジュゲート、項目52に記載のポリヌクレオチド、または項目53に記載の宿主細胞を含む組成物。
(項目55)
項目1から35のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片を宿主細胞で発現することと、前記抗体を回収または単離することとを含む、抗体またはその抗原結合断片を生産する方法。
(項目56)
項目1から35のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片または項目36から51のいずれか1項に記載のコンジュゲートと、使用のための指示書とを含むキット。
(項目57)
項目1から35のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片または項目36から51のいずれか1項に記載のコンジュゲートにT細胞を接触させること;ならびに抗体:抗BCMA CAR複合体の形成を検出することを含む、T細胞上の抗BCMA
CARの発現を検出する方法。
(項目58)
項目1から35のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片または項目36から51のいずれか1項に記載のコンジュゲートにT細胞集団を接触させること;ならびに前記1つまたは複数のT細胞上の抗体:抗BCMA CAR複合体の形成を検出することを含む、T細胞集団での抗BCMA CARの発現を検出する方法。
(項目59)
項目1から35のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合断片または項目36から51のいずれか1項に記載のコンジュゲートにT細胞を接触させること;抗体:抗BCMA CAR複合体の形成を検出すること;ならびに前記複合体の量を測定して前記T細胞上の前記抗BCMA CARの発現を決定することを含む、T細胞上の抗BCMA CARの発現を決定する方法。
(項目60)
項目1から35のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片または項目36から51のいずれか1項に記載のコンジュゲートにT細胞集団を接触させること;1つまたは複数のT細胞上の抗体:抗BCMA CAR複合体の形成を検出すること;ならびに前記複合体の量を測定して前記1つまたは複数のT細胞上の前記抗BCMA CARの発現を決定することを含む、T細胞集団での抗BCMA CARの発現を決定する方法。
(項目61)
項目1から35のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片または項目36から51のいずれか1項に記載のコンジュゲートにT細胞集団を接触させること;1つまたは複数のT細胞上の抗体:抗BCMA CAR複合体の形成を検出すること;ならびに前記抗BCMA CARを発現するT細胞を計数することを含む、T細胞集団中の抗BCMA CAR T細胞の数を決定する方法。
(項目62)
免疫組織化学的検査、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫吸着アッセイ、化学発光アッセイ、電気化学発光アッセイ、表面プラズモン共鳴(SPR)ベースバイオセンサー(例えばBIAcore)、蛍光顕微鏡観察、またはフローサイトメトリー、蛍光活性化細胞分取法(FACS)を使用して、抗体:抗BCMA CAR複合体の形成を検出する、項目57から61のいずれか1項に記載の方法。
(項目63)
免疫組織化学的検査、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫吸着アッセイ、化学発光アッセイ、電気化学発光アッセイ、表面プラズモン共鳴(SPR)ベースバイオセンサー(例えばBIAcore)、蛍光顕微鏡観察、またはフローサイトメトリー、蛍光活性化細胞分取法(FACS)を使用して、抗体:抗BCMA CAR複合体の量を測定する、項目59または項目60に記載の方法。
(項目64)
免疫組織化学的検査、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫吸着アッセイ、化学発光アッセイ、電気化学発光アッセイ、表面プラズモン共鳴(SPR)ベースバイオセンサー(例えばBIAcore)、蛍光顕微鏡観察、またはフローサイトメトリー、蛍光活性化細胞分取法(FACS)を使用して、前記抗BCMA CARを発現するT細胞を計数する、項目61に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1図1は、抗BCMA CAR(配列番号25)を含むT細胞集団に結合する抗BCMA CAR抗体の代表的なFACSプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
配列識別子の簡単な説明
配列番号1~3は、抗BCMA CARを結合する抗体の例示的な軽鎖CDR配列のアミノ酸配列を記載する。
配列番号4~6は、抗BCMA CARを結合する抗体の例示的な重鎖CDR配列のアミノ酸配列を記載する。
配列番号7は、抗BCMA CARを結合する抗体の例示的な軽鎖配列のアミノ酸配列を記載する。
配列番号8は、抗BCMA CARを結合する抗体の例示的な重鎖配列のアミノ酸配列を記載する。
配列番号9~11は、抗BCMA CARを結合する抗体の例示的な軽鎖CDR配列のアミノ酸配列を記載する。
配列番号12~14は、抗BCMA CARを結合する抗体の例示的な重鎖CDR配列のアミノ酸配列を記載する。
配列番号15は、抗BCMA CARを結合する抗体の例示的な軽鎖配列のアミノ酸配列を記載する。
配列番号16は、抗BCMA CARを結合する抗体の例示的な重鎖配列のアミノ酸配列を記載する。
配列番号17~19は、抗BCMA CARを結合する抗体の例示的な軽鎖CDR配列のアミノ酸配列を記載する。
配列番号20~22は、抗BCMA CARを結合する抗体の例示的な重鎖CDR配列のアミノ酸配列を記載する。
配列番号23は、抗BCMA CARを結合する抗体の例示的な軽鎖配列のアミノ酸配列を記載する。
配列番号24は、抗BCMA CARを結合する抗体の例示的な重鎖配列のアミノ酸配列を記載する。
配列番号25は、配列番号1~24に記載の配列を含む抗体の結合する抗BCMA CARのアミノ酸配列を記載する。
配列番号26~36は、様々なリンカーのアミノ酸配列を記載する。
【0072】
A.概要
本発明は、概して、抗BCMAキメラ抗原受容体(CAR)を結合する抗体および抗原結合断片、ならびにそのコンジュゲート、組成物、ならびにそれらを使用する方法に関する。特に好適な実施形態では、本発明は、配列番号25に記載の抗BCMA CARを結合する抗体、断片、およびコンジュゲート、その組成物および使用に関する。
【0073】
BCMAは、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーのメンバーである(例えば、Thompson et al., J. Exp. Medicine, 192(1): 129-135, 2000、およびMackay et al., Annu. Rev. Immunol, 21: 231-264, 2003を参照。BCMAは、B細胞活性化因子(BAFF)および増殖誘導リガンド(APRIL)を結合する(例えば、Mackay et al., 2003およびKalled et al., Immunological Reviews, 204: 43-54, 2005)。非悪性細胞の中でも、BCMAは、主として形質細胞と成熟B細胞のサブセットとにおいて発現することが報告されている(例えば、Laabi et al., EMBO J., 77(1): 3897-3904, 1992;Laabi et al., Nucleic Acids Res., 22(7): 1147-1154,, 1994;Kalled et al., 2005; O'Connor et al., J. Exp. Medicine, 199(1): 91-97, 2004;およびNg et al., J. Immunol., 73(2): 807-817, 2004を参照。BCMAを欠損したマウスは、健康であり、正常な数のB細胞を有するが、長期持続性の形質細胞の生存が損なわれている(例えば、O'Connor et al., 2004;Xu et al., Mol. Cell. Biol, 21(12): 4067-4074, 2001;およびSchiemann et al., Science, 293(5537): 2 111-21 14, 2001を参照)。複数の研究者により、BCMA RNAは、多発性骨髄腫細胞の至る所におよび他のリンパ腫に検出されており、BCMAタンパク質は、多発性骨髄腫患者由来の形質細胞の表面に検出されている(例えば、Novak et al., Blood, 103(2): 689-694, 2004;Neri et al., Clinical Cancer Research, 73(19): 5903-5909, 2007;Bellucci et al., Blood, 105(10): 3945-3950, 2005;およびMoreaux et al., Blood, 703(8): 3148-3157, 2004を参照。
【0074】
抗BCMA CARは、多発性骨髄腫またはB細胞リンパ腫に罹った対象に対し、治癒性であり1回限りとなる可能性のある療法をもたらす。抗BCMA CARの発現と活性とを相関させるために使用される既存の方法は、最適なものではなく改善を要する。既存の方法を使用して、ex vivoおよびin vivoの両方で抗BCMA CARの発現と活性とを精密に相関させること、ならびに患者内での抗BCMA CAR T細胞の生存および持続性を追跡することは難しい。抗BCMA CARを結合する本明細書で想定される抗体、断片、およびコンジュゲート、組成物および関連の使用方法は、これらの問題および他の問題に対する解決策を提供する。
【0075】
様々な実施形態では、抗BCMA抗体またはその一部を結合する抗体またはその抗原結合断片が提供される。具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、1つまたは複数の検出可能な標識をさらに含むことがある。
【0076】
抗体およびその抗原結合断片、そのコンジュゲート、ならびに関連する組成物を使用する方法もまた、本明細書に開示される。
【0077】
組換えの(すなわち工学的に作出された)DNA、ペプチド、およびオリゴヌクレオチドの合成、免疫アッセイ、組織培養、形質転換(例えばエレクトロポレーション、リポフェクション)、酵素反応、精製のための手法、ならびに関連する手法および手順は、一般に、本願明細書を通じて引用および議論される微生物学、分子生物学、生化学、分子遺伝学、細胞生物学、ウイルス学、および免疫学の様々な一般的およびより具体的な参考文献に記載されるように実施されうる。例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.;Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley and Sons、2008年7月にアップデート);Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience;Glover, DNA Cloning: A Practical Approach, vol. I & II (IRL Press, Oxford Univ. Press USA, 1985);Current Protocols in Immunology (Edited by: John E. Coligan, Ada M. Kruisbeek, David H. Margulies, Ethan M. Shevach, Warren Strober 2001 John Wiley & Sons, NY, NY);Real-Time PCR: Current Technology and Applications, Edited by Julie Logan, Kirstin Edwards and Nick Saunders, 2009, Caister Academic Press, Norfolk, UK;Anand, Techniques for the Analysis of Complex Genomes, (Academic Press, New York, 1992); Guthrie and Fink, Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology (Academic Press, New York, 1991);Oligonucleotide Synthesis (N. Gait, Ed., 1984);Nucleic Acid The Hybridization (B. Hames & S. Higgins, Eds., 1985);Transcription and Translation (B. Hames & S. Higgins, Eds., 1984); Animal Cell Culture (R. Freshney, Ed., 1986);Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning (1984);Next-Generation Genome Sequencing (Janitz, 2008 Wiley-VCH);PCR Protocols (Methods in Molecular Biology) (Park, Ed., 3rd Edition, 2010 Humana Press);Immobilized Cells And Enzymes (IRL Press, 1986); the treatise, Methods In Enzymology (Academic Press, Inc., N.Y.);Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells (J. H. Miller and M. P. Calos eds., 1987, Cold Spring Harbor Laboratory);Harlow and Lane, Antibodies, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1998);Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology (Mayer and Walker, eds., Academic Press, London, 1987);Handbook Of Experimental Immunology, Volumes I-IV (D. M. Weir andCC Blackwell, eds., 1986);Roitt, Essential Immunology, 6th Edition, (Blackwell Scientific Publications, Oxford, 1988);Current Protocols in Immunology (Q. E. Coligan, A. M. Kruisbeek, D. H. Margulies, E. M. Shevach and W. Strober, eds., 1991);Annual Review of Immunology;ならびにAdvances in Immunologyなどの刊行物内のモノグラフを参照されたい。
【0078】
B.定義
本開示をさらに詳細に記載する前に、その理解には、本明細書に使用される特定の用語の定義を提供することが役立ちうる。
【0079】
別段に定義のない限り、本明細書に使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明の属する分野の当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様のまたは等しい任意の方法および材料が、具体的な実施形態の実践または試験に使用できるとはいえ、組成物、方法、および材料の好適な実施形態が本明細書に記載される。本願開示を目的として、以下の用語を下記に定義する。追加的な定義は、本開示を通じて記載される。
【0080】
冠詞「a」、「an」、および「the」は、1つまたは1つを超える(すなわち、少なくとも1つ、または1つもしくは複数の)冠詞の文法的な対象を参照するために本明細書に使用される。例として、「an要素」は、1つの要素または1つもしくは複数の要素を意味する。
【0081】
選択肢の使用(例えば「or」)は、選択肢のうちどちらか一方、両方、またはそれらの任意の組合せを意味するものと理解される。
【0082】
用語「および/または」は、選択肢のうちどちらか一方または両方を意味するものと理解されるべきである。
【0083】
本明細書に使用される際に、用語「約」または「およそ」とは、参照とする数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量、または長さに対し15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%ほど変わる数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量、または長さを指す。一実施形態では、用語「約」または「およそ」は、参照とする数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量、または長さの前後の数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量、または長さの±15%、±10%、±9%、±8%、±7%、±6%、±5%、±4%、±3%、±2%、または±1%の範囲を指す。
【0084】
本明細書を通じて、コンテクストが別段に必要としない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、および「含むこと(comprising)」とは、記述された工程もしくは要素または工程群もしくは要素群を包含するが、任意の他の工程もしくは要素または工程群もしくは要素群を除外することを含意するものと理解されるものとなる。「からなる」は、句「からなる」に続くあらゆるものを含むこと、およびそれに限定されることを意味する。そのため、句「からなる」とは、列挙された要素が必要とされているかまたは必須であり、他の要素が存在し得ないことを示す。「から実質的になる」は、その句の後に列挙された任意の要素を含むこと、および列挙された要素について本開示に指定された活性または作用に干渉または寄与しない他の要素に限定されることを意味する。そのため、句「から実質的になる」とは、列挙された要素が必要とされているかまたは必須であるが、列挙された要素の活性または作用に著しく影響を及ぼす他の要素が存在しないことを示す。
【0085】
本明細書を通じた「一実施形態」、「実施形態」、「具体的な実施形態」、「関連の実施形態」、「特定の実施形態」、「追加的な実施形態」、もしくは「さらに別の実施形態」、またはそれらの組合せへの言及は、実施形態に関連して記載される具体的な特徴、構造、または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。そのため、本明細書を通じた様々な場所における前述の句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではない。さらに、上記具体的な特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適した様式で組み合わされうる。また、一実施形態における特徴の肯定的な記載が、具体的な一実施形態における特徴を除外するための根拠として役立つことも理解される。
【0086】
C.抗体
具体的な実施形態では、抗BCMA CARを結合する抗体またはその抗原結合断片が提供される。
【0087】
用語「抗体」とは、少なくとも軽鎖または重鎖の免疫グロブリン可変領域またはその断片を含むポリペプチドである結合作因を指し、この領域または断片は、免疫細胞によって認識されるものなどの抗原決定基を含有するペプチド、脂質、多糖、または核酸など、抗原の1つまたは複数のエピトープを特異的に認識し結合する。
【0088】
「エピトープ」または「抗原決定基」とは、結合作因の結合する抗原の領域を指す。エピトープは、連続したアミノ酸とタンパク質の三次フォールディングにより並列する非連続のアミノ酸とのどちらからも形成することができる。連続したアミノ酸から形成されたエピトープは、典型的には変性溶媒に曝露されて保持されるのに対し、三次フォールディングにより形成されたエピトープは、典型的には変性溶媒による処理時に失われる。エピトープは、典型的には少なくとも3個、さらに通常は少なくとも5個、約9個、または特有の空間的立体構造では約8~10個のアミノ酸である。
【0089】
「単離された抗体またはその抗原結合断片」とは、その自然環境の構成成分から特定ならびに分離および/または回収されている、抗体またはその抗原結合断片を指す。
【0090】
本明細書に使用される際の用語「特異的結合親和性」または「特異的に結合する」または「特異的に結合した」または「特異的結合」または「特異的に標的とする」とは、バックグラウンド結合よりも大きな結合親和性で抗体またはその抗原結合断片が抗BCMA CARに結合することを記載する。抗体またはその抗原結合断片は、例えば約10-1以上の親和性またはK(すなわち、単位1/Mを伴う具体的な結合相互作用の平衡会合定数)で抗BCMA CARと結合または会合する場合に、抗BCMA CARと「特異的に結合する」。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、約10-1、10-1、10-1、10-1、1010-1、1011-1、1012-1、または1013-1以上のKで抗BCMA CARと結合する。「高親和性」抗体またはその抗原結合断片は、少なくとも10-1、少なくとも10-1、少なくとも10-1、少なくとも1010-1、少なくとも1011-1、少なくとも1012-1、少なくとも1013-1、またはそれらを超えるKを有する。
【0091】
あるいは、親和性は、単位Mを伴う(例えば、10-5Mから10-13M、またはそれらを下回る)具体的な結合相互作用の平衡解離定数(K)として定義されうる。本明細書で想定される抗体またはその抗原結合断片の親和性は、従来の手法を使用して、例えば、競合ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)によって、または標識リガンドを用いた結合の会合または転置のアッセイによって、またはビアコア社、ピスカタウェイ、ニュージャージー州から入手可能なBiacore T100などの表面プラズモン共鳴装置、もしくはコーニングおよびパーキンエルマーからそれぞれ入手可能なEPICシステムもしくはEnSpireなどの光学バイオセンサー技術を使用するなどによって(例えば、Scatchard et al. (1949) Ann. N.Y. Acad. Sci. 51:660;および米国特許第5,283,173号;第5,468,614号、またはその同等物も参照)、容易に決定することができる。
【0092】
一実施形態では、特異的結合の親和性は、バックグラウンド結合の約2倍大きいか、バックグラウンド結合の約5倍大きいか、バックグラウンド結合の約10倍大きいか、バックグラウンド結合の約20倍大きいか、バックグラウンド結合の約50倍大きいか、バックグラウンド結合の約100倍大きいか、もしくはバックグラウンド結合の約1000倍大きいか、またはそれらを超える。
【0093】
「抗原(Ag)」とは、動物において抗体の産生またはT細胞の応答を刺激することのできる化合物、組成物、または物質を指し、そのようなものとしては、動物内に注射また吸収される組成物(例えばがん特異的タンパク質を含むものなど)が挙げられる。抗原は、特異的な体液性免疫または細胞性免疫の産物に反応し、そのような産物としては、開示された抗原などの異種抗原によって誘導されるものが挙げられる。具体的な実施形態では、標的抗原は抗BCMA CARを含む。
【0094】
抗体としては、その抗原結合断片、例えばラクダIg、Ig NAR、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)断片、二重特異性Fab二量体(Fab2)、三重特異性Fab三量体(Fab3)、Fv、単鎖Fvタンパク質(「scFv」)、ビスscFv、(scFv)、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ジスルフィド安定化Fvタンパク質(「dsFv」)、および単ドメイン抗体(sdAb、ナノボディ)など;ならびに抗原結合に関与する完全長抗体の一部が挙げられる。この用語はまた、遺伝子工学的に作出された形態、例えば、キメラ抗体(例えばヒト化マウス抗体)、ヘテロコンジュゲート抗体(例えば二重特異性抗体など)、およびその抗原結合断片なども含む。Pierce Catalog and Handbook, 1994-1995 (Pierce Chemical Co., Rockford, IL); Kuby, J., Immunology, 3rd Ed., W. H. Freeman & Co., New York, 1997も参照されたい。
【0095】
当業者に理解されるものとなるように、また本明細書のいずれかの箇所に記載されるように、完全な抗体は2つの重鎖と2つの軽鎖とを含む。各重鎖は、1つの可変領域と第1、第2、および第3の定常領域とからなるのに対し、各軽鎖は、1つの可変領域と1つの定常領域とからなる。哺乳動物の重鎖は、α、δ、ε、γ、およびμに分類される。哺乳動物の軽鎖は、λまたはκに分類される。α、δ、ε、γ、およびμの重鎖を含む免疫グロブリンは、免疫グロブリン(Ig)A、IgD、IgE、IgG、およびIgMに分類される。完全な抗体の形態は、「Y」字形状である。Yの幹は、共に結合する2つの重鎖の第2および第3の定常領域(ならびにIgEおよびIgMでは第4の定常領域)からなり、ジスルフィド結合(鎖間)がヒンジに形成されている。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデムな(一列の)Igドメインから構成される定常領域と、可撓性を加えるためのヒンジ領域とを有し;重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリンドメインから構成される定常領域を有する。第2および第3の定常領域は、それぞれ「CH2ドメイン」および「CH3ドメイン」とよばれる。Yの各腕は、単一の軽鎖の可変領域および定常領域に結合した単一の重鎖の可変領域と第1の定常領域とを含む。軽鎖および重鎖の可変領域は、抗原結合性に関与する。
【0096】
軽鎖および重鎖の可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」ともよばれる3つの超可変領域によって遮られる「フレームワーク」領域を含有する。CDRは、従来の方法によって、例えば、Kabatら(Wu, TT and Kabat, E. A., J Exp Med. 132(2):211-50, (1970); Borden, P. and Kabat E. A., PNAS, 84: 2440-2443 (1987);(ここに参照により組み込まれるKabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, U.S. Department of Health and Human Services, 1991を参照)に従って配列によって、またはChothiaら(Chothia, C. and Lesk, A.M., J Mol. Biol., 196(4): 901-917 (1987), Chothia, C. et al, Nature, 342: 877 - 883 (1989))に従って構造によって、定義または特定することができる。
【0097】
軽鎖のCDRを予測するための規則の説明的な例は、以下を含む:CDR-L1は、残基約24番で開始し、Cysが先行し、約10~17残基であり、Trpが後に続き(典型的にはTrp-Tyr-GlnであるがTrp-Leu-Gln、Trp-Phe-Gln、Trp-Tyr-Leuもある);CDR-L2は、CDR-L1の末端の後に約16残基を開始し、一般にはIle-Tyrが先行するがVal-Tyr、Ile-Lys、Ile-Pheもあり、7残基であり;CDR-L3は、CDR-L2の末端の後に約33残基を開始し、Cysが先行し、7~11残基であり、Phe-Gly-XXX-Gly(配列番号37)(XXXは任意のアミノ酸である)が後に続く。
【0098】
重鎖のCDRを予測するための規則の説明的な例は、以下を含む:CDR-H1は、残基約26番で開始し、Cys-XXX-XXX-XXX(配列番号38)が先行し、10~12残基であり、Trpが後に続き(典型的にはTrp-ValであるがTrp-Ile、Trp-Alaもある);CDR-H2は、CDR-H1の末端の後に約15残基を開始し、一般にはLeu-Glu-Trp-Ile-Gly(配列番号39)または多数のバリエーションが先行し、16~19残基であり、Lys/Arg-Leu/Ile/Val/Phe/Thr/Ala-Thr/Ser/Ile/Alaが後に続き;CDR-H3は、CDR-H2の末端の後に約33残基を開始し、Cys-XXX-XXX(典型的にはCys-Ala-Arg)が先行し、3~25残基であり、Trp-Gly-XXX-Gly(配列番号40)が後に続く。
【0099】
一実施形態では、軽鎖のCDRおよび重鎖のCDRは、Kabat法に従って決定される。
【0100】
一実施形態では、軽鎖のCDRならびに重鎖のCDR2およびCDR3は、Kabat法に従って決定され、重鎖のCDR1は、Kabat法とClothia法との構成であるAbM法に従って決定されるが、例えば、Whitelegg N & Rees AR, Protein Eng. 2000 Dec;13(12):819-24およびMethods Mol Biol. 2004;248:51-91を参照されたい。CDRを予測するためのプログラムは、公的に入手可能であり、例えば、AbYsis(www.bioinf.org.uk/abysis/)がある。
【0101】
異なる軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は、種、例えばヒトの間で比較的保存されている。抗体のフレームワーク領域は、構成する軽鎖および重鎖のフレームワーク領域の組合せであり、三次元空間にCDRを配置し整列させるのに役立つ。CDRは、主には抗原の1つまたは複数のエピトープとの結合に関与する。各鎖のCDRは、典型的にはCDR1、CDR2、およびCDR3とよばれ、これらは、N端から始まって連続的に付番され、また典型的には、具体的なCDRの位置する鎖によって特定される。そのため、抗体の重鎖の可変ドメインに位置するCDRは、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3とよばれるのに対し、抗体の軽鎖の可変ドメインに位置するCDRは、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3とよばれる。異なる特異性(すなわち、異なる抗原に対する異なる結合部位)を有する抗体は、異なるCDRを有する。抗体によって異なるのはCDRであるとはいえ、抗原結合では、CDR内の限られた数のアミノ酸の位置が直接的に関与するに過ぎない。CDR内のこれらの位置は、特異性決定残基(SDR)とよばれる。軽鎖CDRの説明的な例は、配列番号1~3、9~11、および17~19に記載のCDR配列を含む。重鎖CDRを説明的な例は、配列番号4~6、12~14、および20~22に記載のCDR配列を含む。
【0102】
「V」または「VL」への言及は、免疫グロブリン軽鎖の可変領域を指し、そのようなものとしては、抗体、Fv、scFv、dsFv、Fab、または本明細書に開示の他の抗体断片のものが挙げられる。軽鎖可変領域の説明的な例は、配列番号7、15、および23に記載の軽鎖可変領域配列を含む。
【0103】
「V」または「VH」への言及は、免疫グロブリン重鎖の可変領域を指し、そのようなものとしては、抗体、Fv、scFv、dsFv、Fab、または本明細書に開示の他の抗体断片のものが挙げられる。重鎖可変領域の説明的な例は、配列番号8、16、および24に記載の重鎖可変領域配列を含む。
【0104】
「モノクローナル抗体」とは、Bリンパ球の単クローンによって、または単一抗体の軽鎖および重鎖の遺伝子をトランスフェクトされている細胞によって産生される抗体である。モノクローナル抗体は、当業者に公知の方法によって、例として、骨髄腫細胞と免疫脾臓細胞との融合からハイブリッド抗体形成細胞を作製することによって産生される。モノクローナル抗体としては、ヒト化モノクローナル抗体が挙げられる。
【0105】
「キメラ抗体」は、ヒトなどのある種に由来するフレームワーク残基と、マウスなどの別の種に由来するCDR(一般に抗原結合をもたらす)とを有する。具体的に好適な実施形態では、抗体は、キメラ抗体またはその抗原結合断片である抗原特異的結合ドメインを含む。
【0106】
具体的な実施形態では、抗体はヒト抗体(例えばヒトモノクローナル抗体など)またはその断片である。ヒト抗体は、ヒト由来ファージディスプレイライブラリーから選択されたFvクローンの可変ドメイン配列を上記に記載の公知のヒト定常ドメイン配列と組み合わせることによって構築することができる。あるいは、ヒトモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法によって作製されうる。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト骨髄腫細胞株およびマウス-ヒト異種骨髄腫細胞株は、例えば、Kozbor J. Immunol., 133: 3001 (1984);Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987);およびBoerner et al., J. Immunol., 147: 86 (1991)によって記載されている。さらに、遺伝子導入動物(例えばマウス)を用いて、内在性の免疫グロブリンの産生のない状態でヒト抗体の完全レパートリーを生産することができる。例えば、Jakobovits et al., PNAS USA, 90: 2551 (1993);Jakobovits et al., Nature, 362: 255 (1993);Bruggermann et al., Year in Immunol., 7: 33 (1993)を参照されたい。また、遺伝子シャッフリングを用いて、非ヒトの、例えば、齧歯類の抗体からヒト抗体を得ることができ、その場合、そのヒト抗体は、最初の非ヒト抗体と同様の親和性および特異性を有する(1993年4月1日公開のPCT出願WO93/06213を参照)。CDRによる昔ながらの非ヒト抗体のヒト化とは異なり、この手法は、非ヒト由来のFR残基またはCDR残基を含まない完全にヒト型の抗体をもたらす。
【0107】
一実施形態では、抗体とは、「ヒト化」抗体である。ヒト化抗体は、ヒトのフレームワーク領域と、非ヒト(例えばマウス、ラット、または合成)の免疫グロブリン由来の1つまたは複数のCDRとを含む免疫グロブリンである。CDRを提供する非ヒト免疫グロブリンは「ドナー」と称され、フレームワークを提供するヒト免疫グロブリンは「アクセプター」と称される。一実施形態では、すべてのCDRは、ヒト化免疫グロブリンのドナー免疫グロブリンに由来する。定常領域は存在する必要はないが、それらがあるならば、ヒト免疫グロブリン定常領域に実質的に同一、すなわち、少なくとも約85~90%、例えば約95%以上、同一でなければならない。ゆえに、ヒト化免疫グロブリンのすべての部分は、可能性としてCDRを除いて、天然のヒト免疫グロブリン配列の対応する部分と実質的に同一である。ヒト化のまたは他のモノクローナル抗体は、追加の保存されているアミノ酸置換を有することがあり、それらは実質的に抗原結合または他の免疫グロブリン機能に影響を及ぼさない。ヒト化抗体は、遺伝子工学を用いて構築することができる(例えば、米国特許第5,585,089号を参照)。
【0108】
具体的な実施形態では、抗BCMA CARを結合する抗体またはその抗原結合断片としては、以下に限定されないが、ラクダIg(ラクダ科動物抗体(VHH))、Ig NAR、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)断片、二重特異性Fab二量体(Fab2)、三重特異性Fab三量体(Fab3)、Fv、単鎖Fv抗体(「scFv」)、ビスscFv、(scFv)2、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ジスルフィド安定化Fvタンパク質(「dsFv」)、および単ドメイン抗体(sdAb、ナノボディ)が挙げられる。
【0109】
本明細書に使用される際の「ラクダIg」または「ラクダ科動物VHH」とは、重鎖抗体の公知の最小の抗原結合ユニットを指す(Koch-Nolte, et al, FASEB J., 21: 3490-3498 (2007))。「重鎖抗体」または「ラクダ科動物抗体」とは、2つのVHドメインを含有し軽鎖を含有しない抗体を指す(Riechmann L. et al, J. Immunol. Methods 231:25-38 (1999);WO94/04678;WO94/25591;米国特許第6,005,079号)。
【0110】
「免疫グロブリン新抗原受容体」の「IgNAR」とは、1つの可変新抗原受容体(VNAR)ドメインと5つの定常新抗原受容体(CNAR)ドメインとのホモ二量体からなるサメの免疫レパートリー由来の抗体のクラスを指す。IgNARは、一部の公知の最小の免疫グロブリンベースのタンパク質スキャフォールドを表し、高い安定性を有し、効率の良い結合特性を有する。本来の安定性は、以下の両方に起因すると考えることができる:(i)マウス抗体に見出される従来の抗体のVHドメインおよびVLドメインに比べて、荷電した親水性の表面を露出した数多くの残基を提示する、基となるIgスキャフォールド;ならびに(ii)ループ間ジスルフィド架橋とループ内水素結合のパターンとを含めた相補性決定領域(CDR)ループ中の安定化促進性の構造的特徴。
【0111】
抗体のパパイン消化は、それぞれが単一の抗原結合部位を有する「Fab」断片とよばれる2つの同一の抗原結合断片と、容易に結晶化できる能力をその名前が反映する1つの残りの「Fc」断片とを生じる。ペプシン処理は、2つの抗原結合部位を有しかつなおも抗原を架橋可能である、F(ab’)2断片を産生する。
【0112】
「Fv」は、完全な抗原結合部位を含有する最小の抗体断片である。一実施形態では、2鎖のFv種は、堅固な非共有結合により会合する1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインとの二量体からなる。単鎖のFv(scFv)種では、1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインとを、可撓性のあるペプチドリンカーにより共有結合で連結することができ、その結果、軽鎖と重鎖は、2鎖のFv種に類似した「二量体」構造で会合することができる。この立体配置では、各可変ドメインの3つの超可変領域(HVR)が相互作用してVH-VL二量体の表面に抗原結合部位を画定する。全体として、この6つのHVRは、抗原結合特異性を抗体にもたらす。しかし、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的なHVRを3つのみ含むFvの半片)でさえ、全体の揃った結合部位よりも低い親和性であるとはいえ、抗原を認識し結合する能力を有する。
【0113】
Fab断片は、重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインとを含有し、また、軽鎖の定常ドメインと重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)とを含有する。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域由来の1つまたは複数のシステインを含めた重鎖CH1ドメインのカルボキシ端の少数の残基の付加により、Fab断片とは異なる。Fab’-SHとは、定常ドメインのシステイン残基がフリーのチオール基を有するFab’に対する、本明細書での呼称である。本来、F(ab’)抗体断片は、その間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として産生されたものである。抗体断片の他の化学カップリングも公知である。二重特異性Fab二量体(Fab2)は2つのFab’断片を有し、そのそれぞれが異なる抗原を結合する。三重特異性Fab三量体(Fab3)は3つのFab’断片を有し、そのそれぞれが異なる抗原を結合する。
【0114】
用語「ダイアボディ」は、2つの抗原結合部位を有する抗体断片を指し、それらの断片は、軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を同じポリペプチド鎖(VH-VL)に含む。同じ鎖上の2つのドメイン間を対合させるには短過ぎるリンカーを用いることにより、ドメインは、2つの抗原結合部位を作り出すのに別の鎖の相補的なドメインと対合せざるを得ないものとされる。ダイアボディは二価であってもよいし二重特異性であってもよい。ダイアボディは、例えば、欧州特許出願公開第404,097号;WO1993/01161;Hudson et al., Nat. Med. 9:129-134 (2003); and Hollinger et al., PNAS USA 90: 6444-6448 (1993)にさらに十分に記載されている。トリアボディおよびテトラボディもHudson et al., Nat. Med. 9:129-134 (2003)に記載されている。
【0115】
「単ドメイン抗体」または「sdAb」または「ナノボディ」は、抗体重鎖(VHドメイン)の可変領域または抗体軽鎖(VLドメイン)の可変領域からなる抗体断片を指す(Holt, L., et al, Trends in Biotechnology, 21(11): 484-490)。
【0116】
「単鎖Fv」抗体断片または「scFv」抗体断片は、抗体のVHドメインおよびVLドメインを含み、その場合、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖にどちらかの方位に(例えば、VL-VHまたはVH-VL)存在する。一般に、scFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、このリンカーは、scFvが抗原結合のために所望の構造を形成することを可能にする。scFvの概観のために、例えば、Pluckthun, in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., (Springer-Verlag, New York, 1994), pp. 269-315を参照されたい。
【0117】
具体的な実施形態では、抗原結合断片とはscFvである。具体的な実施形態では、scFvは、マウス型、ヒト型、またはヒト化のscFvである。単鎖抗体は、所望の標的に特異的なハイブリドーマのV領域遺伝子からクローニングされうる。そのようなハイブリドーマの生産は定型的となっている。可変領域重鎖(VH)および可変領域軽鎖(VL)をクローニングするために使用できる手法は、例えば、Orlandi et al., PNAS, 1989; 86: 3833-3837に記載されている。
【0118】
様々な実施形態では、抗BCMA CARに結合する抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1~3、9~11、もしくは17~19に記載のCDRL1~CDRL3配列を含む可変軽鎖配列、および/または配列番号4~6、12~14、もしくは20~22に記載のCDRH1~CDRH3配列を含む可変重鎖配列を含む。
【0119】
一部の実施形態では、本抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7、15、もしくは23のうちいずれか1つに記載の可変軽鎖配列、および/または配列番号8、16、もしくは24のうちいずれか1つに記載の可変重鎖配列を含む。一部の実施形態では、本抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7、15、もしくは23のうちいずれか1つに記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のアミノ酸同一性を有する可変軽鎖配列、および/または配列番号8、16、もしくは24のうちいずれか1つに記載のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のアミノ酸同一性を有する可変重鎖配列を含む。
【0120】
一実施形態では、抗BCMA CARに結合する抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1~3、9~11、または17~19に記載の軽鎖CDR配列を含む。具体的な一実施形態では、抗BCMA抗体もしくは抗体断片または抗BCMA CARの抗BCMA scFv部分に結合する抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1~3、9~11、または17~19に記載の軽鎖CDR配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸同一性を有する軽鎖CDR配列を含む。
【0121】
一実施形態では、抗BCMA CARに結合する抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4~6、12~14、または20~22に記載の重鎖CDR配列を含む。具体的な一実施形態では、抗BCMA CARに結合する抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4~6、12~14、または20~22に記載の重鎖CDR配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸同一性を有する重鎖CDR配列を含む。
【0122】
具体的な実施形態では、抗BCMA CARに結合する抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1~3のうちいずれか1つに記載の1つもしくは複数の軽鎖CDR、および/または配列番号4~6のうちいずれか1つに記載の1つもしくは複数の重鎖CDRを含む。特定の実施形態では、本抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7に記載の可変軽鎖配列、および/または配列番号8に記載の可変重鎖配列を含む。
【0123】
一部の実施形態では、抗BCMA CARに結合する抗体またはその抗原結合断片は、配列番号9~11のうちいずれか1つに記載の1つもしくは複数の軽鎖CDR、および/または配列番号12~14のうちいずれか1つに記載の1つもしくは複数の重鎖CDRを含む。さらに別の実施形態では、本抗体またはその抗原結合断片は、配列番号15に記載の可変軽鎖配列、および/または配列番号16に記載の可変重鎖配列を含む。
【0124】
追加的な実施形態では、抗BCMA CARに結合する抗体またはその抗原結合断片は、配列番号17~19のうちいずれか1つに記載の1つもしくは複数の軽鎖CDR、および/または配列番号20~22のうちいずれか1つに記載の1つもしくは複数の重鎖CDRを含む。具体的な実施形態では、本抗体またはその抗原結合断片は、配列番号23に記載の可変軽鎖配列、および/または配列番号24に記載の可変重鎖配列を含む。
【0125】
一部の実施形態では、本抗体またはその抗原結合断片は、配列番号25に記載の抗BCMA CARを結合する可変軽鎖配列および/または可変重鎖配列を含む。
【0126】
D.コンジュゲート
様々な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片と標識とを含むコンジュゲートが提供される。好適な実施形態では、コンジュゲートは、抗BCMA CARを結合する抗体またはその抗原結合断片と、検出可能な標識または検出可能なシグナルを産生可能な標識とを含む。さらに好適な実施形態では、コンジュゲートは、検出可能な標識にカップリングされた抗BCMA CARを結合する抗体またはその抗原結合断片を含む。さらにいっそう好適な実施形態では、コンジュゲートは、検出可能な標識に共有結合により結合するかまたは化学的にカップリングされている、抗BCMA CARを結合する抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0127】
本明細書に使用される際に、用語「標識」とは、検出可能な標識、または検出可能なシグナルを産生可能な標識を指す。具体的な実施形態では、標識は、放射性核種、核酸、小分子、またはポリペプチドを含む。一部の実施形態では、標識は直接的に検出可能である。一部の実施形態では、標識は間接的に検出可能である。
【0128】
具体的な実施形態において想定されるコンジュゲートでの使用に適した検出可能な標識の説明的な例としては、以下に限定されないが、ハプテン、蛍光分子、蛍光色素、蛍光タンパク質、発色団、金属イオン、金粒子、銀粒子、磁性粒子、放射性核種、ポリペプチド、酵素、発光化合物、またはオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0129】
具体的な実施形態における検出可能な標識としての使用に適した分子の説明的な例としては、以下に限定されないが、Oregon Green(登録商標);Pacific Blue(商標);Pacific Orange(商標);Pacific Green(商標);Cascade Blue(商標);Cascade Yellow(商標);Lucifer Yellow(商標);Marina Blue(商標);Texas Red(登録商標)(TxRed) ;AlexaFluor(登録商標)(AF)色素、例えば、AF350、AF405、AF488、AF500、AF514、AF532、AF546、AF555、AF568、AF594、AF610、AF633、AF635、AF647、AF680、AF700、AF710、AF750、AF790、およびAF800など;QDot(登録商標)ナノクリスタル、例えば、Qdot(登録商標)525、Qdot(登録商標)565、Qdot(登録商標)585、Qdot(登録商標)605、Qdot(登録商標)655、Qdot(登録商標)705、およびQdot(登録商標)800など;DyLight(商標)Dyes (DL)、例えば、DL549、DL649、DL680、およびDL800など;フルオレセインまたはその誘導体、例えば、フルオレセインイソチオシアネート、カルボキシフルオレセイン、およびジクロロトリアジニルアミンフルオレセインなど;ジゴキシゲニン;ジニトロフェノール(DNP);トリニトロフェノール(TNP);ビオチン;Cy色素、例えば、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、およびCy7.5など;フィコエリスリン(PE、R-フィコエリスリン(RPE));B-フィコエリスリン(BPE);ペリジニンクロロフィル(PerCP);アロフィコシアニン(APC);C-フィコシアニン;Atto(登録商標)Dye、例えば、Atto 390、Atto 425、Atto 465、Atto 488、Atto 495、Atto 514、Atto 520、Atto 532、Atto 550、Atto 565、Atto 590、Atto 594、Atto 610、Atto 620、Atto 633、Atto 647、Atto 655、Atto 665、Atto 680、Atto 700、Atto 725、およびAtto 740など;Super Bright(商標)Dye、例えば、Super Bright(商標)436、Super Bright(商標)600、Super Bright(商標)645、Super Bright(商標)702、およびSuper Bright(商標)780;Brilliant(商標)Dye、例えば、Brilliant(商標)Violet 421、Brilliant(商標)Violet 480、Brilliant(商標)Violet 510、Brilliant(商標)Violet 605、Brilliant Violet(商標)650、Brilliant Violet(商標)711、Brilliant Violet(商標)786、Brilliant(商標)Ultraviolet 395(BUV395)、Brilliant(商標)Ultraviolet 496 (BUV496)、Brilliant(商標)Ultraviolet 563 (BUV563)、Brilliant(商標)Ultraviolet 661(BUV661)、Brilliant(商標)Ultraviolet 737(BUV737)、Brilliant(商標)Ultraviolet 805(BUV805)、Brilliant(商標)Blue 515(BB515)、およびBrilliant(商標)Blue 700(BB700)など;ならびにIR Dye、例えば、IR Dye 680、IR Dye 680LT、IR Dye 700、IR Dye 700DX、IR Dye 800、IR Dye 800RS、およびIR Dye 800CWなどが挙げられる。
【0130】
検出可能な標識としての使用に適したタンデムな蛍光色素分子の説明的な例としては、以下に限定されないが、RPE-Cy5、RPE-Cy5.5、RPE-Cy7、RPE-CF594、RPE-AlexaFluor(登録商標)タンデムコンジュゲート、RPE-Alexa610、RPE-TxRed、APC-H7、APC-R700、APC-Alexa600、APC-Alexa610、APC-Alexa750、APC-Cy5、APC-Cy5.5、およびAPC-Cy7が挙げられる。
【0131】
検出可能な標識としての使用に適した蛍光タンパク質の説明的な例としては、以下に限定されないが、GFP、eGFP、BFP、CFP、YFP、DsRed、DsRed2、mRFP、mBanana、mOrange、dTomato、tdTomato、mTangerine、mStrawberry、mCherry、mPlum、およびmRaspberryが挙げられる。
【0132】
検出可能な標識としての使用に適した酵素の説明的な例としては、以下に限定されないが、アルカリホスファターゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、およびβ-ガラクトシダーゼが挙げられる。
【0133】
検出可能な標識としての使用に適した放射性核種の説明的な例としては、以下に限定されないが、炭素(14C)、クロム(51Cr)、コバルト(57Co)、フッ素(18F)、ガドリニウム(153Gd、159Gd)、ゲルマニウム(68Ge)、ホルミウム(166Ho)、インジウム(115In、113In、112In、mIn)、ヨウ素(125I、123I、121I)、ランタン(140La)、ルテチウム(177Lu)、マンガン(54Mn)、モリブデン(99Mo)、パラジウム(103Pd)、リン(32P)、プラセオジム(142Pr)、プロメチウム(149Pm)、レニウム(186Re、188Re)、ロジウム(105Rh)、ルテニウム(rutheroium)(97Ru)、サマリウム(153Sm)、スカンジウム(47Sc)、セレン(75Se)、(85Sr)、硫黄(35S)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、スズ(113Sn、117Sn)、トリチウム(3H)、キセノン(133Xe)、イッテルビウム(169Yb、175Yb)、およびイットリウム(90Y)が挙げられる。
【0134】
具体的な実施形態では、コンジュゲートは、1つまたは複数の標識にコンジュゲート、カップリング、または連結(例えば共有結合)された抗体または抗体断片を含む。特定の実施形態では、標識は、直接的にまたは間接的に(例えばリンカー基を介して)のどちらかで、抗体または断片にコンジュゲート、カップリング、または連結されうる。抗体および標識のそれぞれが他方と反応可能な置換基を有する際に、抗体は1つまたは複数の標識と直接的に共有結合することができる。例えば、一方にあるアミノ基やスルフヒドリル基などの求核基は、他方にある無水物や酸ハロゲン化物などのカルボニル含有基と、または良い脱離基(例えばハロゲン化物)を含有するアルキル基と、反応可能でありうる。
【0135】
具体的な実施形態では、一価もしくは多価のリンカーまたはスペーサーを介して抗体または抗体断片を1つまたは複数の標識にカップリング、コンジュゲート、または連結することが望ましいことがある。リンカーまたはスペーサーを用いて、抗体と標識との間に十分な距離を提供し、立体障害または抗体結合能への干渉を避けることができる。種々の二官能性または多官能性の試薬であって、ホモ官能性とヘテロ官能性のものの両方が(ピアス・ケミカル社、ロックフォード、イリノイ州のカタログに記載されているものなど)、リンカー基として採用されうることが、当業者には明らかとなろう。カップリングは、例えば、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、または酸化炭水化物残基を通じてもたらされうる。そのような方法論を記載している非常に数多くの参考文献があり、例えば、Rodwellらに与えられた米国特許第4,671,958号がある。
【0136】
特定の実施形態では、リンカーは、約1~100個の原子、1~80個の原子、1~60個の原子、1~40個の原子、1~30個の原子、1~20個の原子、または1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個の原子の全鎖長を有し、鎖中の原子はC、S、N、P、およびOを含む。
【0137】
本発明の具体的な実施形態において有用なリンカーまたは連結の説明的な例としては、以下のうち1つまたは複数が挙げられるがこれらに限定されない:-C(O)-、-NH-C(O)-、-C(O)-NH-、-C(O)-NH-(CH2-6-NH-C(O)-、-NH-(CH2-6-NH-C(O)-、-トリアゾール-(CH2-6-NH-C(O)-、-S-(CH2-6-NH-C(O)-、-S-(CH0-6-CH(CONH)-(CH0-6-NH-C(O)-、-S-(CH0-6-CH(CONH-PEG)-(CH0-6-NH-C(O)-、-S-S-(CH2-6-NH-C(O)-、-S-S-(CH0-6-CH(CONH)-(CH0-6-NH-C(O)-、-S-S-(CH0-6-CH(CONH-PEG)-(CH0-6-NH-C(O)-、-NH-(CH0-6-CH(CONH-PEG)-(CH0-6-NH-C(O)-、-NH-(CH0-6-CH(CONH)-(CH0-6-NH-C(O)- -C=N-O-(CH2-6-NH-C(O)-、-C=N-NH-(CO)-(CH2-6-NH-C(O)-、-スクシンイミド-(CH2-6-NH-C(O)-、-ジアゾジカルボキシアミド-(フェニル)-J-(CH2-6-NH-C(O)-であってJがO、CH、NH、S、NH (CO)、(CO)NHであるもの、-NH-(CH2-6-、(CH1-6-NH-C(O)-NH-(CH2-6-、-C(S)-(CH0-6-、-(CH1-6-C(O)-NH-(CH2-6-、-(CH1-6-NH-C(O)-(CH2-6-、-(CH1-6-O-C(O)-NH-(CH2-6-、-(CH1-6-NH-C(O)-O-(CH2-6-、(CH1-6-NH-(CH2-6、(CH1-6-C(O-(CH2-6-、分岐または非分岐の-C1-C16-アルキル、分岐または非分岐の-C1-C16-アルキルであって炭素原子のうち1つが任意選択的にヘテロ原子に置換されうるもの、R-NH-(CH2-6-NH-C(O)-、R-S-(CH2-6-NH-C(O)-、R-トリアゾール-(CH2-6-NH-C(O)-、R-NH-O -(CH2-6-NH-C(O)-、R=N-NH-(CO)-(CH2-6-NH-C(O)-であってRがアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ポリエチレングリコール(PEG)[すなわち-(CHCHO)1-20]からなる群から選択される1個から3個の二官能性または三官能性の置換架橋型有機ラジカルであるもの。
【0138】
具体的な実施形態では、コンジュゲートは、以降の本明細書の他の箇所で想定されるポリペプチドリンカーを介して、ポリペプチドベースの標識、例えば蛍光タンパク質または酵素に共有結合により結合された抗体または抗体断片を含む。
【0139】
好適な実施形態では、コンジュゲートは、PE標識に共有結合により結合された抗BCMA CARに結合する抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0140】
E.ポリペプチド
様々なポリペプチド、融合ポリペプチド、およびポリペプチドバリアントが本明細書で想定され、そのようなものとしては、以下に限定されないが、抗体およびその抗原結合断片が挙げられる。好適な実施形態では、ポリペプチドは、抗BCMA CARを結合する抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0141】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、逆の指定のない限り、従来の意味に従って、すなわちアミノ酸の配列として、互換的に使用される。ポリペプチドは、特定の長さに限定されず、例えば、全長ポリペプチドでもポリペプチド断片でも含むことがあり、ポリペプチドの1つまたは複数の翻訳後修飾、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化など、ならびに当技術分野に公知の他の修飾を、天然と非天然とのいずれでも含みうる。
【0142】
「単離タンパク質」、「単離ペプチド」、または「単離ポリペプチド」などは、本明細書に使用される際には、細胞環境と隔てられた、かつ細胞の他の構成成分との関係から隔てられた、すなわちin vivoの物質と大きな関係のない、ペプチドまたはポリペプチドの分子のin vitroでの合成、単離、および/または精製を指す。
【0143】
ポリペプチドは「ポリペプチドバリアント」を含む。ポリペプチドバリアントは、1つまたは複数の置換、欠失、付加、および/または挿入がある点で、天然に発生したポリペプチドとは異なることがある。そのようなバリアントは、天然に発生したものでもありうるし、合成によって、例えば1つまたは複数の上記ポリペプチド配列を改変することによって生成されたものでもありうる。例えば、具体的な実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸置換、欠失、付加、および/または挿入を導入することによって、抗体またはその抗原結合断片の結合親和性および/または他の生物学的な性質を向上させることが望ましいことがある。具体的な実施形態では、ポリペプチドは、本明細書で想定される任意の参照配列と少なくとも約65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、86%、97%、98%、または99%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含み、典型的にはこのバリアントは、参照配列の少なくとも1つの生物学的活性を維持する。
【0144】
ポリペプチドは「ポリペプチド断片」を含む。ポリペプチド断片とは、天然に発生したかまたは組換えにより生産されたポリペプチドのアミノ端の欠失、カルボキシル端の欠失、および/または内部の欠失もしくは置換を有する、単量体または多量体でありうるポリペプチドを指す。生物学的に活性なポリペプチド断片の説明的な例としては、抗体断片が挙げられる。本明細書に使用される際に、用語「生物学的に活性な断片」または「生物学的に活性な最小限の断片」とは、天然に発生したポリペプチドの活性の少なくとも100%、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも40%、少なくとも30%、少なくとも20%、少なくとも10%、または少なくとも5%を保持するポリペプチド断片を指す。好適な実施形態では、生物活性とはエピトープとの結合親和性である。特定の実施形態では、ポリペプチド断片は、少なくとも5アミノ酸から約500アミノ酸の長さのアミノ酸鎖を含みうる。特定の実施形態では、断片は、少なくとも5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、100個、110個、150個、200個、250個、300個、350個、400個、または450個のアミノ酸の長さであることが認識されよう。具体的に有用なポリペプチド断片は、機能ドメインを含み、そのようなものとしては、抗体の抗原結合ドメインまたは断片が挙げられる。抗体の場合、有用な断片としては、以下に限定されないが、1つまたは複数のCDR領域、重鎖または軽鎖のCDR3領域;重鎖または軽鎖の可変領域;2つのCDRを含む抗体鎖または可変領域の一部などが挙げられる。
【0145】
上述したように、ポリペプチドは、アミノ酸の置換、欠失、切頭、および挿入を含めた様々な仕方で変えられうる。そのような操作のための方法は、概して当技術分野に公知である。例えば、参照ポリペプチドのアミノ酸配列バリアントは、DNAの変異によって調製することができる。変異誘発およびヌクレオチド配列変更のための方法は、当技術分野に公知である。例えば、Kunkel(1985, Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 82: 488-492)、Kunkel et al., (1987, Methods in Enzymol, 154: 367-382)、米国特許第4,873,192号、Watson,J.D.ら(Molecular Biology of the Gene, Fourth Edition, Benjamin/Cummings, Menlo Park, Calif., 1987)およびそれらに引用された参考文献を参照されたい。目的のタンパク質の生物活性に影響を及ぼさない適切なアミノ酸の置換についてのガイダンスは、Dayhoff et al., (1978) Atlas of Protein Sequence and Structure (Natl. Biomed. Res. Found., Washington, D.C.)のモデルに見出されうる。
【0146】
特定の実施形態では、ポリペプチドバリアントは、1つまたは複数の保存された置換を含む。「保存された置換」とは、ポリペプチドの二次構造およびハイドロパシー性が実質的に変化しないものとペプチド化学分野の当業者が予想するように、アミノ酸が、類似の性質を有する別のアミノ酸に置換されているものである。好ましくは、本明細書に開示されるタンパク質バリアントにおけるアミノ酸の変更は、保存されたアミノ酸の変更、すなわち、同様に荷電または非荷電のアミノ酸の置換である。保存されたアミノ酸の変更は、その側鎖に関連するアミノ酸のファミリーのうち1つの置換を含む。天然に発生するアミノ酸は、概して4つのファミリーに分かれる:酸性アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸)、塩基性アミノ酸(リジン、アルギニン、ヒスチジン)、非極性アミノ酸(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、および非荷電の極性アミノ酸(グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン)。フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは、時には芳香族アミノ酸として共に分類される。ペプチドまたはタンパク質では、適切な保存されたアミノ酸の置換は当業者に公知であり、一般には、結果として得られる分子の生物活性を変えることなく行うことができる。一般に、ポリペプチドの非必須領域の単アミノ酸置換は、生物活性を実質的に変えないことを当業者は認識している(例えば、Watson et al. Molecular Biology of the Gene, 4th Edition, 1987, The Benjamin/Cummings Pub. Co., p.224を参照)。
【0147】
ポリペプチドバリアントは、グリコシル化体、他の分子との凝集性コンジュゲート、および関連のない化学部分との共有結合コンジュゲート(例えばペグ化分子)をさらに含む。共有結合バリアントは、当技術分野に公知であるように、アミノ酸鎖またはN端残基もしくはC端残基に見出される基に官能基を連結することによって、調製することができる。また、バリアントとしては、対立遺伝子バリアント、種間バリアント、および突然変異タンパク質が挙げられる。タンパク質の機能的な活性に影響を及ぼさない領域の切頭または欠失もバリアントである。
【0148】
具体的な実施形態では、ポリペプチドは、ポリペプチドリンカーを含む。「リンカー」とは、分子の適切な離間、立体構造、および機能のために付加される、2つ以上のポリペプチドドメインの間の複数のアミノ酸残基を指す。
【0149】
具体的な実施形態では、ポリペプチドリンカーは、可変領域連結配列である。「可変領域連結配列」とは、VドメインおよびVドメインを接続し、結果として得られるポリペプチドが同じ軽鎖および重鎖の可変領域を含む抗体と同じ標的分子への特異的結合親和性を保持するように、2つのサブ結合ドメインの相互作用に適合したスペーサー機能を提供する、アミノ酸配列である。
【0150】
具体的な実施形態では、コンジュゲートは、抗体または抗体断片を1つまたは複数のタンパク質ベースの標識、例えば蛍光タンパク質または酵素に、共有結合により結合するポリペプチドリンカーを含む。
【0151】
本明細書で想定される具体的な実施形態における使用に適したリンカーの説明的な例としては、以下のアミノ酸配列が挙げられるがこれらに限定されない:GGG;DGGGS(配列番号26);TGEKP(配列番号27)(例えば、Liu et al., PNAS 5525-5530 (1997)を参照);GGRR(配列番号28)(Pomerantz et al. 1995、上記);(GGGGS)であって、式中n=1、2、3、4、または5(配列番号29)(Kim et al., PNAS 93, 1156-1160 (1996.);EGKSSGSGSESKVD(配列番号30)(Chaudhary et al., 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87:1066-1070);KESGSVSSEQLAQFRSLD(配列番号31)(Bird et al., 1988, Science 242:423-426)、GGRRGGGS(配列番号32);LRQRDGERP(配列番号33);LRQKDGGGSERP(配列番号34);LRQKD(GGGS)ERP(配列番号35)。あるいは、可撓性のリンカーは、DNA結合部位とペプチド自体との両方をモデリングすることのできるコンピュータプログラム(Desjarlais & Berg, PNAS 90:2256-2260 (1993), PNAS 91:11099-11103 (1994)を用いて、またはファージディスプレイ法によって、合理的に設計することができる。一実施形態では、リンカーは、以下のアミノ酸配列を含む:GSTSGSGKPGSGEGSTKG(配列番号36)(Cooper et al., Blood, 101(4): 1637-1644 (2003))。
【0152】
好適な実施形態では、ポリペプチドは、配列番号1~24に記載のアミノ酸配列を含む。
【0153】
F.ポリヌクレオチド
好適な実施形態では、抗BCMA CARを結合する抗体またはその抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドが提供される。本明細書に使用される際に、用語「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、メッセンジャーRNA(mRNA)、RNA、ゲノムDNA(gDNA)、相補的DNA(cDNA)、または組換えDNAを指す。ポリヌクレオチドとしては、一本鎖および二本鎖のポリヌクレオチドが挙げられる。具体的な実施形態では、ポリヌクレオチドとしては、本明細書で想定される任意の参照配列と少なくとも約50%、55%、60%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、86%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するポリヌクレオチドまたはバリアントが挙げられる。様々な説明的な実施形態では、本明細書で想定されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、以下に限定されないが、配列番号1~24に記載のポリペプチド配列が挙げられる。
【0154】
具体的な実施形態では、少なくとも約5、10、25、50、100、150、200、250、300、350、400、500、1000、1250、1500、1750、もしくは2000またはそれを超える連続したアミノ酸残基数のポリペプチドならびにすべての中間的な長さのものをコードする、ポリヌクレオチドが提供される。このコンテクストにおける「中間的な長さ」とは、引用された値の間の任意の長さ、例えば 6、7、8、9など、101、102、103など;151、152、153など;201、202、203などを意味することが容易に理解されよう。
【0155】
具体的な実施形態では、ポリヌクレオチドはコドン最適化されることがある。本明細書に使用される際に、用語「コドン最適化される」とは、ポリペプチドの発現、安定性、および/または活性を増加させるためにポリヌクレオチド中のコドンを置換することを指す。コドン最適化に影響を与える要因としては、以下のうち1つまたは複数が挙げられるが、これらに限定されない:(i)2種以上の生物もしくは遺伝子の間のコドンバイアスのバリエーションまたは合成により構築されたバイアスの表、(ii)生物、遺伝子、または遺伝子セット内におけるコドンバイアスの程度のバリエーション、(iii)コンテクストを含めたコドンの体系的なバリエーション、(iv)その復号されるtRNAに従ったコドンのバリエーション、(v)全体またはある位置のトリプレットのどちらかにおけるGC%に従ったコドンのバリエーション、(vi)参照配列、例えば天然に発生した配列との類似性の程度のバリエーション、(vii)コドン頻度のカットオフのバリエーション、(viii)DNA配列から転写されるmRNAの構造的な性質、(ix)コドン置換のセットの設計の基とするDNA配列の機能に関する予備知識、(x)各アミノ酸のコドンセットの系統的なバリエーション、および/または(xi)偽翻訳開始部位の単発的な除去。
【0156】
本明細書に使用される際に、用語「ポリヌクレオチドバリアント」および「バリアント」などは、参照ポリヌクレオチド配列、または本明細書に後に規定されるストリンジェントな条件下で参照配列とハイブリダイズするポリヌクレオチドと実質的な配列同一性を呈する、ポリヌクレオチドを指す。これらの用語は、参照ポリヌクレオチドに比べて1つまたは複数のヌクレオチドが付加されているか、欠失しているか、または異なるヌクレオチドに置き換えられている、ポリヌクレオチドを含む。これに関連して、変異、付加、欠失、および置換を含めたある特定の変更を参照ポリヌクレオチドに対して行うことができ、それによって、変更されたポリヌクレオチドが参照ポリヌクレオチドの生物学的な機能または活性を保持することが、当技術分野でよく理解されている。
【0157】
ポリヌクレオチドバリアントは、生物学的に活性なポリペプチド断片またはバリアントをコードするポリヌクレオチド断片を含む。本明細書に使用される際に、用語「ポリヌクレオチド断片」とは、天然に発生したポリペプチド活性の少なくとも100%、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも40%、少なくとも30%、少なくとも20%、少なくとも10%、または少なくとも5%を保持するポリペプチドバリアントをコードする、少なくとも5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、100個、110個、150個、200個、250個、300個、350個、400個、450個、500個、550個、600個、650個、700個、750個、800個、850個、900個、950個、1000個、1100個、1200個、1300個、1400個、1500個、1600個、1700個またはそれを超えるヌクレオチド数の長さのポリヌクレオチド断片を指す。ポリヌクレオチド断片とは、天然に発生したかもしくは組換えにより生産されたポリペプチドの1つもしくは複数のアミノ酸のアミノ端の欠失、カルボキシル端の欠失、および/または内部の欠失もしくは置換を有する、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。
【0158】
「配列同一性」という記載、または例えば「に50%同一性のある配列」を含むことは、本明細書に使用される際には、比較枠にわたって配列がヌクレオチド毎のベースまたはアミノ酸毎のベースで同一性を有する程度を指す。そのため「配列同一性のパーセンテージ」は、最適にアラインメントされた2つの配列を比較枠にわたって比較し、両方の配列中で同一の核酸塩基(例えばA、T、C、G、I)または同一のアミノ酸残基(例えばAla、Pro、Ser、Thr、Gly、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Lys、Arg、His、Asp、Glu、Asn、Gln、Cys、およびMet)の発生する位置の数を決定して合致する位置の数を生じ、合致する位置の数を比較枠中の位置の総数(すなわち枠のサイズ)により除算し、結果を100により乗算して配列同一性のパーセンテージを生じることによって算出されうる。含まれるのは、本明細書に記載の任意の参照配列と少なくとも約50%、55%、60%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、86%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するヌクレオチドおよびポリペプチドであり、典型的には、このポリペプチドバリアントは、参照ポリペプチドの少なくとも1つの生物活性を維持する。
【0159】
2つ以上のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの間の配列関係を記載するために使用される用語としては、「参照配列」、「比較枠(comparison window)」、「配列同一性」、「配列同一性のパーセンテージ」、および「実質的同一性」が挙げられる。「参照配列」は、長さにして少なくとも12個、しかししばしば15個から18個、多くの場合に少なくとも25個のモノマー単位であり、この単位にはヌクレオチドおよびアミノ酸残基が含まれる。2つのポリヌクレオチドはそれぞれ、(1)2つのポリヌクレオチドの間で類似性のある配列(すなわち完全なポリヌクレオチド配列の一部分のみ)と、(2)2つのポリヌクレオチドの間で多様性のある配列とを含みうることから、2つの(またはそれを超える)ポリヌクレオチドの間の配列比較は、典型的には、2つのポリヌクレオチドの配列を「比較枠」にわたって比較して、配列類似性のある局所的な領域を特定し比較することによって実施される。「比較枠」とは、少なくとも6つ、通常は約50個から約100個、さらに通常は約100個から約150個の連続的な位置の概念上の区分を指し、その区分では、ある配列が同数の連続的な位置の参照配列と最適にアラインメントされた後に、それらの2つの配列が比較される。2つの配列の最適なアラインメントについて参照配列(付加または欠失を含まない)と比べると、比較枠は、約20%以下の付加または欠失(すなわちギャップ)を含むことがある。比較枠をアラインメントするための配列の最適なアラインメントは、アルゴリズム(ウィスコンシン遺伝学ソフトウェアパッケージリリース7.0、遺伝学コンピュータグループ、575 サイエンスドライブ、マディソン、ウィスコンシン州、米国のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)のコンピュータ制御の実装によって、または選択された任意の様々な方法によって生じる検証および最良のアラインメント(すなわち、比較枠にわたって最も高いパーセンテージの相同性を結果として生じる)によって、実施されうる。また、例えばAltschul et al., 1997, Nucl. Acids Res. 25:3389により開示されたような、BLASTファミリーのプログラムを参照してもよい。配列解析の詳細な議論は、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Inc, 1994-1998, Chapter 15のUnit 19.3に見出すことができる。
【0160】
本明細書に使用される際に、「単離ポリヌクレオチド」とは、天然に発生した状態で側面に配された配列から精製されているポリヌクレオチド、例えば、通常はその断片に隣接する配列から取り出されているDNA断片を指す。また、「単離ポリヌクレオチド」とは、相補的なDNA(cDNA)、組換えDNA、または自然に存在せず人間の手によって作製されている他のポリヌクレオチドを指す。
【0161】
さらに、遺伝子コードの縮重性の結果として、本明細書に記載されるようなポリペプチドまたはそのバリアントの断片をコードする数多くのヌクレオチド配列があることが当業者によって認識されよう。これらのポリヌクレオチドのいくつかは、任意の生来の配列のヌクレオチド配列とは最小限の相同性を有する。それでもなお、具体的な実施形態では、コドン使用の差に起因して様々であるポリヌクレオチドが、例えばヒトおよび/または霊長類のコドン選択に最適化されたポリヌクレオチドが、特に想定される。
【0162】
ポリヌクレオチドは、当技術分野に公知であり利用可能である任意の種々のよく確立された手法を用いて、調製、操作、および/または発現することができる。所望のポリペプチドを発現するために、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、適切なベクターに挿入することができる。
【0163】
G.組成物
本明細書で想定される組成物は、抗体または抗体断片およびその抗原結合断片、コンジュゲート、ポリペプチド、ポリヌクレオチドのうち1つまたは複数を含みうる。組成物としては医薬組成物が挙げられるがこれに限定されない。追加的な剤が組成物の活性成分の機能または活性に不利な影響を及ぼさない限り、組成物にやはり含まれうる他の構成成分には実質的に限定はない。
【0164】
具体的な実施形態では、本発明の組成物は、ある量の抗体またはその抗原結合断片またはコンジュゲートを含む。本明細書に使用される際に、用語「量」とは、標的ポリペプチドを結合するための「有効な量」または「有効量」の抗体を指す。
【0165】
組成物は、1つまたは複数の担体または賦形剤をさらに含みうる。
【0166】
本明細書で想定される組成物への組込みに適した担体の説明的な例としては、以下に限定されないが、リン酸、クエン酸、および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含めた抗酸化剤;保存剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド;ベンゼトニウムクロリド;フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、もしくはデキストリン類を含めた単糖、二糖、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属複合体(例えばZn-タンパク質複合体);ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0167】
また、許容可能な担体としては、以下に限定されないが、リン酸、クエン酸、および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含めた抗酸化剤;保存剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド;ベンゼトニウムクロリド;フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、もしくはデキストリン類を含めた単糖、二糖、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、またはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属複合体(例えばZn-タンパク質複合体);ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0168】
H.キット
様々な実施形態では、抗BCMA CARを結合する1つまたは複数の抗体またはその抗原結合断片と、抗体を使用して1つまたは複数の免疫エフェクター細胞または抗BCMA CAR T細胞上の抗BCMA CARの発現を検出、決定、および/または測定するための指示書とを含むキットが提供される。
【0169】
具体的な実施形態では、抗BCMA CARを結合する1つまたは複数の抗体またはその抗原結合断片と、抗体を使用して1つまたは複数の免疫エフェクター細胞または抗BCMA CAR T細胞上の抗BCMA CARの発現を検出、決定、測定、および/または計数するための指示書とを含むキットが提供される。
【0170】
様々な実施形態では、抗BCMA CARに結合する抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1~3、9~11、もしくは17~19に記載のCDRL1~CDRL3配列を含む可変軽鎖配列、および/または配列番号4~6、12~14、もしくは20~22に記載のCDRH1~CDRH3配列を含む可変重鎖配列を含む。
【0171】
一部の実施形態では、本抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7、15、もしくは23のうちいずれか1つに記載の可変軽鎖配列、および/または配列番号8、16、もしくは24のうちいずれか1つに記載の可変重鎖配列を含む。
【0172】
一部の実施形態では、本抗体またはその抗原結合断片は、配列番号25に記載の抗BCMA scFv断片を結合する可変軽鎖配列および/または可変重鎖配列を含む。
【0173】
具体的な実施形態では、キットは、抗体または抗体断片と、検出可能な標識と、コンジュゲーションのための指示書とを含む。具体的な実施形態では、キットは、検出可能な標識にコンジュゲートされた抗体または抗体断片と、使用のための指示書とを含む。好適な実施形態では、検出可能な標識は直接的に検出可能である。さらに好適な一実施形態では、検出可能な標識は蛍光標識である。さらにいっそう好適な一実施形態では、検出可能な標識はRPEである。
【0174】
I.方法
抗BCMA CAR T細胞活性は、免疫エフェクター細胞上の抗BCMA CARの発現に部分的に関連する。抗BCMA CARの発現をex vivoまたはin vitroとin vivoとの両方で正確に評価する能力が、薬剤製品の活性を評価するために、および患者内での抗BCMA CAR T細胞の生存および持続性を追跡するために必要である。
【0175】
具体的な実施形態では、1つまたは複数の抗体またはその抗原結合断片を用いる方法が提供される。本抗体は、抗BCMA CARの発現を検出または測定するために使用される。本明細書で想定される抗体、断片、およびコンジュゲートは、抗BCMA CARの発現の存在もしくはレベルおよび/または集団内の抗BCMA CAR免疫エフェクター細胞の数を結合、検出、決定、特定、測定、定量、および/または計数するために使用される。
【0176】
様々な実施形態では、方法は、免疫エフェクター細胞上の抗BCMA CARの発現を検出することを含む。免疫エフェクター細胞、例えばT細胞、NK細胞、NKT細胞は、抗BCMA CARの1つまたは複数のエピトープを結合する抗体またはその抗原結合断片に、その抗体が抗BCMA CARを結合して抗体:抗BCMA CAR複合体を形成するのに有効な量でかつ十分な時間にわたって接触される。
【0177】
具体的な実施形態では、方法は、免疫エフェクター細胞の集団内の1つまたは複数の免疫エフェクター細胞上の抗BCMA CARの発現を検出することを含む。1つまたは複数の免疫エフェクター細胞、例えばT細胞、NK細胞、NKT細胞は、抗BCMA CARの1つまたは複数のエピトープを結合する抗体またはその抗原結合断片に、その抗体が抗BCMA CARを結合して抗体:抗BCMA CAR複合体を形成するのに有効な量でかつ十分な時間にわたって接触される。具体的な一実施形態では、免疫エフェクター細胞の少なくとも25%は抗BCMA CARである。別の実施形態では、免疫エフェクター細胞の少なくとも少なくとも50%は抗BCMA CARである。別の実施形態では、免疫エフェクター細胞の少なくとも少なくとも75%は抗BCMA CARである。
【0178】
特定の実施形態では、方法は、免疫エフェクター細胞上の抗BCMA CARの発現の量を決定することを含む。免疫エフェクター細胞、例えばT細胞、NK細胞、NKT細胞は、抗BCMA CARの1つまたは複数のエピトープを結合する抗体またはその抗原結合断片に、その抗体が抗BCMA CARを結合して抗体:抗BCMA CAR複合体を形成するのに有効な量でかつ十分な時間にわたって接触される。抗体:抗BCMA CAR複合体の量は測定されて対照と比較される。
【0179】
一部の実施形態では、方法は、免疫エフェクター細胞の集団内の1つまたは複数の免疫エフェクター細胞上の抗BCMA CARの発現の量を決定することを含む。1つまたは複数の免疫エフェクター細胞、例えばT細胞、NK細胞、NKT細胞は、抗BCMA CARの1つまたは複数のエピトープを結合する抗体またはその抗原結合断片に、その抗体が抗BCMA CARを結合して抗体:抗BCMA CAR複合体を形成するのに有効な量でかつ十分な時間にわたって接触される。抗体:抗BCMA CAR複合体の量は測定されて対照と比較される。
【0180】
具体的な実施形態では、方法は、免疫エフェクター細胞の集団内の抗BCMA CAR免疫エフェクター細胞の数を決定することを含む。1つまたは複数の免疫エフェクター細胞、例えばT細胞、NK細胞、NKT細胞は、CARの抗BCMA scFv部分の1つまたは複数のエピトープを結合する抗体またはその抗原結合断片に、その抗体が抗BCMA CARを結合して抗体:抗BCMA CAR複合体を形成するのに有効な量でかつ十分な時間にわたって接触される。抗体:抗BCMA CAR複合体を含む免疫エフェクター細胞は、次いで計数することができる。
【0181】
具体的な実施形態では、抗BCMA CARの発現または抗BCMA CART細胞を検出、決定、または計数する方法は、抗BCMA CART細胞を投与された対象からの生体試料の単離を含む。具体的な実施形態では、試料は、抗BCMA CART細胞を含有するかまたは含有する疑いがある。好適な実施形態では、試料は、アフェレーシス試料、白血球除去試料、末梢血、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位由来の組織、腹水、胸水、脾臓組織、または腫瘍生検物である。
【0182】
具体的な実施形態では、抗BCMA CARを結合する本明細書で想定される抗体およびコンジュゲートを使用して、薬物動態、拡大、および/または持続が、対象中および/または1つまたは複数の時点で対象から採集された試料中の抗BCMA CART細胞の量を検出することによって測定または評価されることを試験する。具体的な実施形態では、対象が抗BCMA CART細胞を投与された後、試料は、約24時間、約48時間、約72時間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約10日間、約14日間、約21日間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約3ヶ月間、約4ヶ月間、約6ヶ月間、約1年間、または毎週、毎月、もしくは毎年、対象から採集、単離、および/または摘出される。
【0183】
様々な実施形態では、抗BCMA CARに結合する抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1~3、9~11、もしくは17~19に記載のCDRL1~CDRL3配列を含む可変軽鎖配列、および/または配列番号4~6、12~14、もしくは20~22に記載のCDRH1~CDRH3配列を含む可変重鎖配列を含む。
【0184】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7、15、もしくは23のうちいずれか1つに記載の可変軽鎖配列、および/または配列番号8、16、または24のうちいずれか1つに記載の可変重鎖配列を含む。
【0185】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号25に記載の抗BCMA CARを結合する可変軽鎖配列および/または可変重鎖配列を含む。
【0186】
具体的な実施形態では、抗BCMA CARの発現または抗BCMA CART細胞を検出、決定、または計数する方法は、検出可能な標識にコンジュゲートされた抗体または抗体断片の使用を含む。好適な実施形態では、検出可能な標識は直接的に検出可能である。さらに好適な一実施形態では、検出可能な標識は蛍光標識である。さらにいっそう好適な一実施形態では、検出可能な標識はRPEである。
【0187】
抗体:抗BCMA CAR複合体の存在は、具体的な実施形態では、以下のアッセイのうち1つまたは複数を使用して、検出、決定、および/または計数することができる:免疫組織化学的検査、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫吸着アッセイ、化学発光アッセイ、電気化学発光アッセイ、表面プラズモン共鳴(SPR)ベースのバイオセンサー(例えばBIAcore)、蛍光顕微鏡観察、フローサイトメトリー、蛍光活性化細胞分取法(FACS)、またはウェスタンブロット。
【0188】
好適な実施形態では、抗体:抗BCMA CAR複合体の存在は、フローサイトメトリーを用いて検出、決定、および/または計数される。さらに好適な一実施形態では、抗体:抗BCMA CAR複合体の存在は、FACSを用いて検出、決定、および/または計数される。
【0189】
具体的な実施形態では、1つまたは複数の免疫エフェクター細胞上の抗BCMA CARのバックグラウンド発現のレベルが決定され、1つまたは複数の免疫エフェクター細胞上に測定された抗体:抗BCMA CAR複合体の量から減算されるか、または測定を正規化するために使用される。
【0190】
本明細書に引用されたすべての刊行物、特許出願、および発行済みの特許は、それぞれの個別の刊行物、特許出願、または発行済みの特許が参照により具体的かつ個別に標示されるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0191】
上述の発明は、理解を明確にすることを目的として、説明および例示によりいくらか詳細に記載されてきたとはいえ、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなくある特定の変更および改変が上記に対し行われうることが、本発明の教示に照らして当業者に容易に明らかになるものとなる。以下の実施例は、説明のみを目的として提供され、限定を目的としない。当業者は、実質的に同様の結果を生じるために変更または改変できる重大ではない種々のパラメーターを容易に認識するものとなる。
【実施例
【0192】
実施例1
抗BCMA CARに対する抗体の評価
配列番号25に記載の抗BCMA CAR配列に対するマウスモノクローナル抗体を生成した。
【0193】
末梢血単核細胞(PBMC)を、IL-2(セルジェニックス)とCD3およびCD28に特異的な抗体(ミルテニーバイオテク)とを含有する培地にて、静置用フラスコで培養した。抗BCMA CARをコードする2×10形質導入単位のレンチウイルスを、培養開始の翌日に添加した。全10日間の培養の間、IL-2を含有する新鮮培地を添加することによって、抗BCMA CAR T細胞を対数期に維持した。T細胞に、抗BCMA CAR(BCMA-02)、ヒト化抗BCMA CAR(BCMA-03)、または抗EGFR CARを形質導入し、10日間拡大した。配列番号25に記載の抗BCMA scFv配列に対する3つの抗体を用いて、培養終了時のCARの発現について、CAR T細胞を評価した。
【0194】
抗体クローン7G2.A1.B2、11E6.G2.B5、および11E6.G7.F2を、フィコエリスリン(PE)にコンジュゲートした。1×10個の抗BCMA CAR T細胞または非形質導入対照T細胞を、1μgの抗体コンジュゲートを含む総量100μL中にて4℃で20分間インキュベートし、次いで洗浄して、1%パラホルムアルデヒド中で固定した。FACS分析を試料に実施して、抗BCMA CART細胞を検出し、決定し、計数した。すべての抗体コンジュゲートが約70%の細胞上の抗BCMA CARの発現を検出した。図1
【0195】
概して、以下の特許請求の範囲では、使用される用語は、本明細書および特許請求の範囲に開示された具体的な実施形態に特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではないが、そのような特許請求の範囲の与えられた全範囲の等価物と併せてすべての可能な実施形態を含むものと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は本開示により限定されない。
図1
【配列表】
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