(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】スクリュープレスおよび液体含有物の処理方法
(51)【国際特許分類】
C02F 11/125 20190101AFI20230928BHJP
B01D 29/17 20060101ALI20230928BHJP
B01D 29/25 20060101ALI20230928BHJP
B01D 29/37 20060101ALI20230928BHJP
B01D 29/11 20060101ALI20230928BHJP
B30B 9/14 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
C02F11/125 ZAB
B01D29/30 501
B01D29/10 510C
B30B9/14 Z
(21)【出願番号】P 2021040046
(22)【出願日】2021-03-12
【審査請求日】2023-06-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591030651
【氏名又は名称】水ing株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【氏名又は名称】渡邉 勇
(72)【発明者】
【氏名】渋江 喜義
(72)【発明者】
【氏名】市川 浩之
(72)【発明者】
【氏名】森本 雄也
(72)【発明者】
【氏名】若菜 正宏
(72)【発明者】
【氏名】郷野 慎二
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-022465(JP,A)
【文献】特開2004-358549(JP,A)
【文献】特開2003-119684(JP,A)
【文献】中国実用新案第212446455(CN,U)
【文献】特開平10-216988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F11/00-11/20
B01D24/00-37/04
B02C1/00-17/24
B30B9/00-9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体含有物が投入されるろ過筒と、
前記ろ過筒内で、該ろ過筒と同心状に配置され、前記液体含有物を前記ろ過筒の排出口に向かって移送するスクリューと、
前記スクリューを回転させるスクリューモータと、
前記ろ過筒の下流側端部に対向して配置された背圧板と、
前記スクリューによって形成されたプラグケーキを解砕する解砕構造体を備え、
前記解砕構造体は、前記背圧板と、前記ろ過筒の下流側端部との間に設けら
れ、前記ろ過筒の下流側端部に固定されて
おり、前記ろ過筒と同心状に配列された複数の解砕刃を備えている、スクリュープレス。
【請求項2】
前記解砕刃の先端は、前記ろ過筒とは反対側を向いており、
前記解砕刃の先端の角度は、10度から150度の範囲内である、請求項
1に記載のスクリュープレス。
【請求項3】
液体含有物から液体を分離するスクリュープレスを使用した液体含有物の処理方法であって、
ろ過筒に液体含有物を投入し、
前記ろ過筒内で前記ろ過筒と同心状に配置されたスクリューを回転させることによって、前記ろ過筒内の前記液体含有物を前記ろ過筒の排出口に向かって移送して、プラグケーキを前記スクリューのスクリュー軸の周りに形成し、
前記ろ過筒の下流側端部に対向して配置された背圧板と、前記ろ過筒の下流側端部との間に設けられ、前記ろ過筒の下流側端部に固定された解砕構造体によって前記プラグケーキを解砕し、
前記解砕されたプラグケーキを前記排出口から排出する
ことを含み、
前記解砕構造体は、前記ろ過筒と同心状に配列された複数の解砕刃を備えている、処理方法。
【請求項4】
前記解砕刃の先端は、前記ろ過筒とは反対側を向いており、
前記解砕刃の先端の角度は、10度から150度の範囲内である、請求項
3に記載の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥などの液体含有物を圧搾して該液体含有物から液体を分離するスクリュープレスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上下水処理場、し尿処理場などの液体処理施設から排出される汚泥(液体含有物)を圧搾して、該汚泥から水を分離する(すなわち、脱水する)装置として、スクリュープレスが知られている。このスクリュープレスは、多孔板から形成されたろ過筒と、ろ過筒の内部に配置されたスクリューとを備える。スクリューは、ろ過筒と同心状に配置されたスクリュー軸と、スクリュー軸の外面に固定されたスクリュー羽根と、を有している。スクリュー軸に連結された回転機構によって、スクリュー羽根を回転させることにより、ろ過筒に投入された汚泥を圧搾し、脱水する。ろ過筒の下流側開口端には、汚泥を堰き止める背圧板が配置され、この背圧板により、回転するスクリュー羽根により送られてくるケーキ(脱水された汚泥)を滞留させ、プラグ(栓)を形成する。このプラグを形成するケーキは、後から送り込まれる汚泥に背圧を加えて、汚泥をさらに圧搾することにより、ろ過筒内の汚泥の含水率を低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-126900号公報
【文献】特開2004-249183号公報
【文献】特開2008-6316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スクリュープレスによって含水率が低下したケーキは、硬くなるため、大きな塊としてスクリュープレスから排出される。しかしながら、このようなケーキの大きな塊は、排出口からコンベヤへの落下時に大きな衝撃を与えるため、コンベヤのフライト板やチェーンが脱落したり、コンベヤの運転時に過負荷が発生してしまう。また、ケーキの塊が排出口やコンベヤを閉塞することも問題であった。
【0005】
そこで、本発明は、ろ過筒から排出された脱水ケーキを解砕することができるスクリュープレスおよび液体含有物の処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、液体含有物が投入されるろ過筒と、前記ろ過筒内で、該ろ過筒と同心状に配置され、前記液体含有物を前記ろ過筒の排出口に向かって移送するスクリューと、前記スクリューを回転させるスクリューモータと、前記ろ過筒の下流側端部に対向して配置された背圧板と、前記スクリューによって形成されたプラグケーキを解砕する解砕構造体を備え、前記解砕構造体は、前記背圧板と、前記ろ過筒の下流側端部との間に設けられ、前記ろ過筒の下流側端部に固定されており、前記ろ過筒と同心状に配列された複数の解砕刃を備えている、スクリュープレスが提供される。
【0007】
一態様では、前記スクリュープレスにおいて、前記解砕刃の先端は、前記ろ過筒とは反対側を向いており、前記解砕刃の先端の角度は、10度から150度の範囲内である。
【0008】
一態様では、液体含有物から液体を分離するスクリュープレスを使用した液体含有物の処理方法であって、ろ過筒に液体含有物を投入し、前記ろ過筒内で前記ろ過筒と同心状に配置されたスクリューを回転させることによって、前記ろ過筒内の前記液体含有物を前記ろ過筒の排出口に向かって移送して、プラグケーキを前記スクリューのスクリュー軸の周りに形成し、前記ろ過筒の下流側端部に対向して配置された背圧板と、前記ろ過筒の下流側端部との間に設けられ、前記ろ過筒の下流側端部に固定された解砕構造体によって前記プラグケーキを解砕し、前記解砕されたプラグケーキを前記排出口から排出することを含み、前記解砕構造体は、前記ろ過筒と同心状に配列された複数の解砕刃を備えている、処理方法が提供される。
【0009】
一態様では、前記処理方法において、前記解砕刃の先端は、前記ろ過筒とは反対側を向いており、前記解砕刃の先端の角度は、10度から150度の範囲内である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ろ過筒から排出されたプラグケーキは、ろ過筒の下流側端部に固定された解砕構造体によって解砕され、小さな塊に分解される。したがって、コンベヤへの負荷を低減し、ろ過筒の排出口やコンベヤの閉塞を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】スクリュープレスの一実施形態を示す模式図である。
【
図2】解砕構造体を拡大して示したスクリュープレスの模式図である。
【
図6】
図6(a)および
図6(b)は、解砕刃の断面図である。
【
図7】
図7は、解砕構造体がプラグケーキを解砕している様子を示す図である。
【
図9】解砕刃のさらに他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、スクリュープレス1の一実施形態を示す模式図である。
図1に示されるスクリュープレス1は、円筒状のろ過筒2と、ろ過筒2内に同心状に配置されたスクリュー3と、スクリュー3を回転させるスクリューモータ4と、ろ過筒2の下流側端部に対向して配置された背圧板15と、背圧板15に連結された背圧板駆動装置16を備えている。
【0013】
ろ過筒2は、パンチングメタルなどの多孔板から構成されている。ろ過筒2の一端は閉塞壁6によって密封されており、ろ過筒2の他端は排出口8に接続されている。投入口7はろ過筒2に形成されており、かつ閉塞壁6に隣接している。
【0014】
スクリュー3は、ろ過筒2と同心状に配置されたスクリュー軸3Aと、スクリュー軸3Aの外面に固定されたスクリュー羽根3Bを備えている。スクリュー軸3Aは、ろ過筒2内を貫通して延びている。スクリュー軸3Aは、下流側に向かってその径が徐々に大きくなる円錐台形状を有している。スクリュー軸3Aは閉塞壁6を貫通して延びており、スクリュー軸3Aの端部はスクリューモータ4に連結されている。スクリューモータ4には、インバータ(図示せず)が内蔵されている。スクリューモータ4は制御部20に接続されており、スクリューモータ4の動作、すなわちスクリュー3の回転速度は、制御部20によって制御される。
【0015】
一実施形態では、スクリュープレス1は、スクリューモータ4に連結された軸摺動アクチュエータ(図示せず)をさらに備えていてもよい。軸摺動アクチュエータは、スクリューモータ4をスクリュー軸3Aの軸方向に移動させるように構成される。
【0016】
スクリュー羽根3Bは、スクリュー軸3Aの長手方向に沿って螺旋状に延びる一枚羽根である。ろ過筒2の内面とスクリュー羽根3Bとの間には微小な隙間が形成されており、スクリュー3はろ過筒2に接触することなく回転することができる。投入口7からろ過筒2内に投入された汚泥は、回転するスクリュー3によりろ過筒2内を排出口8に向かって移送される。
【0017】
汚泥がろ過筒2内で移送される空間は、ろ過筒2の内面と、スクリュー軸3Aと、スクリュー羽根3Bとによって形成される。この空間の容積は、汚泥の進行方向に沿って漸次減少する。したがって、この空間をスクリュー羽根3Bによって移動されるに従って、汚泥は圧搾され、脱水される。ろ過筒2を通過したろ液は、ろ過筒2の下方に配置されたろ液受け9によって回収された後に、ドレイン10を通じて排出される。
【0018】
ろ過筒2の下流側端部に対向して環状の背圧板15が配置されている。この背圧板15は、ろ過筒2内を移送された脱水汚泥を受けるためのテーパー面を有する円錐台の形状を有している。背圧板15の中央部には、スクリュー軸3Aが貫通する貫通孔が形成されており、背圧板15はスクリュー軸3Aと同心状に配置されている。背圧板15はスクリュー軸3Aに固定されておらず、背圧板15は回転しない。スクリュー3の回転によってろ過筒2内で脱水された汚泥は、背圧板15に押し付けられてプラグケーキ40として形成される。
【0019】
背圧板15は、背圧板駆動装置16に連結されている。この背圧板駆動装置16は、背圧板15を、スクリュー軸3Aの軸方向に移動させるように構成されている。背圧板15とろ過筒2の下流側端部との間の隙間は、背圧板駆動装置16によって調整される。背圧板駆動装置16は、例えば油圧シリンダーや電動シリンダーなどから構成されている。背圧板駆動装置16は制御部20に接続されており、背圧板駆動装置16の動作、すなわち背圧板15の軸方向の位置は、制御部20によって制御される。
【0020】
スクリュープレス1は、プラグケーキ40を解砕する解砕構造体30をさらに備えている。解砕構造体30は、背圧板15と、ろ過筒2の下流側端部との間に設けられている。解砕構造体30は、ろ過筒2と同心状に配列された複数の解砕刃31を有している。解砕構造体30の中央部には、スクリュー軸3Aが貫通する貫通孔36が形成されており、解砕構造体30はスクリュー軸3Aと同心状に配置されている。解砕構造体30はろ過筒2の下流側端部に固定されており、解砕構造体30は回転しない。スクリュー3の回転に伴い、プラグケーキ40は貫通孔36を通って少しずつ背圧板15に向かって送られる。ろ過筒2と背圧板15との間から排出されるプラグケーキ40は、解砕刃31によって解砕される。
【0021】
図2は、解砕構造体30を拡大して示したスクリュープレス1の模式図である。
図3は、
図1に示す解砕構造体30の正面図である。
図4は
図1に示す解砕構造体30の側面図である。本実施形態の解砕構造体30は、ろ過筒2と同心状に等間隔に配列された16枚の解砕刃31と、円筒体32と、取り付け板33を有している。円筒体32はろ過筒2と同心の円環形状を有しており、中央部にはスクリュー軸3Aが貫通する貫通孔32aが形成されている。取り付け板33はろ過筒2と同心の円環形状を有しており、中央部にはスクリュー軸3Aが貫通する貫通孔33aが形成されている。解砕構造体30の中央部に形成されている貫通孔36は、貫通孔32a,33aにより構成されている。取り付け板33の外径は、円筒体32の外径よりも大きく、円筒体32は取り付け板33に同心となるように接続されている。
【0022】
16枚の解砕刃31は、円筒体32の外周部に位置する側壁32b、および取り付け板33の外面33bに接続されており、解砕刃31の先端31aはろ過筒2とは反対側を向いている。解砕刃31の刃先31bは、解砕構造体30の軸心方向を向いている。解砕刃31、円筒体32、および取り付け板33は、互いに溶接などの公知の接合技術により接合されてもよく、あるいは解砕刃31、円筒体32、および取り付け板33が一体構造体であってもよい。本実施形態では、16枚の解砕刃31が設けられているが、本発明はこれに限らず、16枚よりも少なくてもよく、あるいは16枚よりも多くてもよい。
【0023】
取り付け板33は、さらにろ過筒2に取り付けるための孔33cが形成されている。
図2に示すように、解砕構造体30はろ過筒2の下流側端部に固定されている。ろ過筒2は、その下流側端部を囲むフランジ部2aを有している。ボルト34は、取り付け板33に形成された孔33cとフランジ部2aに形成された孔(図示しない)を貫通し、ボルト34はナット35に螺合している。フランジ部2aの孔は、取り付け板33の孔33cに対応する位置に形成されている。本実施形態では、取り付け板33の孔33cおよびフランジ部2aの孔の数は8個であり、ボルト34とナット35による接続箇所は8箇所であるが、これらの数は特に限定されない。ボルト34とナット35の係合を外すことで、解砕構造体30をろ過筒2から取り外すことができる。
【0024】
図5に示すように、解砕刃31の先端31aは角度θを有している。この角度θは、解砕刃31の外辺31cと、刃先31bを構成する一辺によりなす角度である。解砕刃31の先端31aの角度θは、10度から150度の範囲内であればよい。角度θは、背圧板15(
図2参照)の円錐台形状の傾斜面に沿うように設定されてもよい。刃先31bは、
図6(a)および
図6(b)に示すように、プラグケーキ40を解砕しやすくするために鋭角形状の断面を有していてもよい。
図6(a)に示す刃先31bの断面は、解砕刃31の両面から解砕刃31の厚さ方向の中心に向かって傾斜している。
図6(b)に示す刃先31bの断面は、解砕刃31の一方の側面から他方の側面に向かって傾斜している。
【0025】
次に、スクリュープレス1の動作について説明する。
図1に示すように、投入口7から処理対象の汚泥がろ過筒2内に投入される。汚泥は、回転するスクリュー3によりろ過筒2内を排出口8に向かって移送される。ろ過筒2内を移動されるに従って、汚泥は圧搾され、脱水される。ろ過筒2を通過したろ液は、ろ液受け9によって回収され、ドレイン10を通じて排出される。汚泥は、ろ過筒2内で脱水されてケーキを形成する。
【0026】
ろ過筒2内を移動してきたケーキは、背圧板15に押し付けられる。ケーキは、その移動を背圧板15によって妨げられることで圧縮される。この圧縮されたケーキは、ろ過筒2の下流側端部をシールするプラグケーキ40を形成する。プラグケーキ40は、後続のケーキに背圧を加えることにより、ろ過筒2内のケーキの含水率を低下させる。ケーキは、ろ過筒2内でプラグケーキ40を形成しながら、後続のケーキにより押されて背圧板15とろ過筒2の下流側端部との間の隙間を通過して、排出口8からスクリュープレス1の外部に排出される。
【0027】
図7は、解砕構造体30がプラグケーキ40を解砕している様子を示す図である。ろ過筒2から押し出されたプラグケーキ40は、解砕構造体30の解砕刃31によって解砕構造体30の軸方向に解砕される。プラグケーキ40は、隣り合う2枚の解砕刃31の間の空間に押し出された後に、排出口8に排出される。背圧板駆動装置16(
図1参照)によって、背圧板15とろ過筒2の下流側端部との間の隙間を調整することにより、ろ過筒2から排出されるプラグケーキ40の量を調整することができる。
【0028】
排出口8から排出されたケーキは、排出口8の下方に配置されたコンベヤによって移送される。本実施形態によれば、プラグケーキ40は小さく解砕されながら排出されるため、コンベヤへの落下時に大きな衝撃を与えることを防止し、さらに排出口8やコンベヤの閉塞を防止することができる。解砕刃31の枚数を16枚とした本実施形態では、解砕されたプラグケーキ40の幅は20cm程度のサイズにすることができた。
【0029】
図8は、解砕刃31の他の実施形態を示す図である。
図8に示す解砕刃31は、刃先31b-1,31b-2,31b-3を有している。刃先31b-1,31b-3は、解砕刃31の外辺31cに対して傾斜している辺によって構成されている。刃先31b-2は、解砕刃31の外辺31cと平行な辺によって構成されている。解砕刃31の先端31aは角度θを有している。この角度θは、解砕刃31の外辺31cと、刃先31b-1を構成する一辺によりなす角度である。解砕刃31の先端31aの角度θは、10度から150度の範囲内であればよい。
【0030】
刃先31b-1,31b-3は、背圧板15の円錐台形状の傾斜面に沿うように外辺31cに対して傾斜していてもよい。これにより、背圧板駆動装置16(
図1参照)によって背圧板15をろ過筒2側に移動させた状態において、背圧板15の円錐台形状の傾斜面と解砕刃31の刃先31b-3とが対向するように配置することができる。刃先31b-1,31b-2,31b-3は、
図6(a)および
図6(b)に示すように、プラグケーキを解砕しやすくするために鋭角形状の断面を有していてもよい。
【0031】
図9は、解砕刃31のさらに他の実施形態を示す図である。
図9に示す解砕刃31は、刃先31b-1,31b-2,31b-3,31b-4を有している。刃先31b-1は、解砕刃31の外辺31cに対して垂直な辺によって構成されている。刃先31b-2,31b-4は、解砕刃31の外辺31cに対して傾斜している辺によって構成されている。刃先31b-3は、解砕刃31の外辺31cと平行な辺によって構成されている。解砕刃31の先端31aは角度θを有している。この角度θは、解砕刃31の外辺31cと、刃先31b-1を構成する一辺によりなす角度である。本実施形態では、解砕刃31の先端31aの角度θは、90度である。これにより、解砕刃31の先端31aが鋭角な場合と比較すると、解砕刃31が摩耗して劣化するリスクを低減することができる。
【0032】
刃先31b-2,刃先31b-4は、背圧板15の円錐台形状の傾斜面に沿うように外辺31cに対して傾斜していてもよい。これにより、背圧板駆動装置16(
図1参照)によって背圧板15をろ過筒2側に移動させた状態において、背圧板15の円錐台形状の傾斜面と解砕刃31の刃先31b-4とが対向するように配置することができる。刃先31b-1,31b-2,31b-3,31b-4は、
図6(a)および
図6(b)に示すように、プラグケーキを解砕しやすくするために鋭角形状の断面を有していてもよい。
【0033】
上述した実施形態のスクリュープレスは、液体含有物の一例である汚泥から液体である水を分離するために用いられているが、このスクリュープレスを汚泥以外の液体含有物から液体を分離するために用いてもよい。例えば、果実、油等の食品の処理、および古紙の再生処理などの工業製品の処理にも、上述の実施形態に係るスクリュープレスを用いることができる。食品の処理では、果実、種子などの原料(液体含有物)を圧搾して、果汁、油などの液体を原料から分離するためにスクリュープレスが用いられる。古紙の再生処理では、古紙を水および薬品などの液体と混合して、古紙を繊維状物質にほぐす。スクリュープレスは、繊維状物質と液体の混合物(液体含有物)を圧搾して、繊維状物質を混合物から分離するために用いられる。
【0034】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0035】
1 スクリュープレス
2 ろ過筒
2a フランジ部
3 スクリュー
3A スクリュー軸
3B スクリュー羽根
4 スクリューモータ
6 閉塞壁
7 投入口
8 排出口
9 ろ液受け
10 ドレイン
15 背圧板
16 背圧板駆動装置
20 制御部
30 解砕構造体
31 解砕刃
31a 先端
31b 刃先
31c 外辺
32 円筒体
32a 貫通孔
32b 側壁
33 取り付け板
33a 貫通孔
33b 外面
33c 孔
34 ボルト
35 ナット
36 貫通孔
40 プラグケーキ