(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】高含水量眼科デバイス
(51)【国際特許分類】
G02C 7/04 20060101AFI20230928BHJP
C08F 20/02 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G02C7/04
C08F20/02
(21)【出願番号】P 2021531443
(86)(22)【出願日】2018-08-10
(86)【国際出願番号】 US2018046217
(87)【国際公開番号】W WO2020032972
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-06-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391008847
【氏名又は名称】ボシュ・アンド・ロム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAUSCH & LOMB INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヌニェス、アイバン、エム.
(72)【発明者】
【氏名】ポエツ、ケイティー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ホフ、ジョセフ ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】モーガン、ジュディス チャプマン
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-190823(JP,A)
【文献】特表2010-533232(JP,A)
【文献】特表2015-519958(JP,A)
【文献】米国特許第5070215(US,A)
【文献】特表2016-540087(JP,A)
【文献】特表2015-528048(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0138669(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 7/04
C08F 20/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)モノマー混合物の総重量に基づいて少なくとも70重量パーセントの環状ラクタムと、(b)モノマー混合物の総重量に基づいて0.25~10重量パーセントの1つ以上の第2の非シリコーン含有親水性モノマーであって、ここで該1つ以上の第2の非シリコーン含有親水性モノマーのうち少なくとも1つは非シリコーン含有アミド親水性モノマーである、上記1つ以上の第2の非シリコーン含有親水性モノマーと、(c)1つ以上の疎水性モノマーと、(d)(i)1つ以上のジ、トリ、またはテトラ(メタ)アクリレート含有架橋剤および(ii)1つ以上のジ、トリ、またはテトラカルバメート含有架橋剤を含む架橋剤混合物と、を含む、モノマー混合物の重合生成物である、眼科デバイスであって、少なくとも65重量パーセントの平衡含水率を有する、眼科デバイス。
【請求項2】
前記モノマー混合物中に存在する前
記環状ラクタムが、前記モノマー混合物の総重量に基づいて、80重量パーセント超の量である、請求項1に記載の眼科デバイス。
【請求項3】
前記環状ラクタムが、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-2-ピペリドン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の眼科デバイス。
【請求項4】
前記非シリコーン含有アミド親水性モノマーが、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、およびそれらの混合物からなる群からなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の眼科デバイス。
【請求項5】
前記1つ以上の第2の非シリコーン含有親水性モノマーが、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、N-(2-ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、グリセリルメタクリレート、N-メタクリロイルグリシン、(2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルプロピル)-4-メトキシフェニルエーテル、またはそれらの混合物をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の眼科デバイス。
【請求項6】
前記1つ以上の疎水性モノマーが、式I:
【化1】
(式中、R
1はメチルまたは水素であり、R
2は-O-または-NH-であり、R
3およびR
4は独立して、-CH
2-、-CHOH-、および-CHR
6-からなる群から選択される二価ラジカルであり、R
5およびR
6は独立して、分岐C
3~C
8アルキル基であり、R
7は水素または-OHであり、nは少なくとも1の整数であり、mおよびpは独立して、0または少なくとも1の整数であり、ただし、m、p、およびnの合計は、2、3、4、または5である)の構造により表される、請求項1から5のいずれか一項に記載の眼科デバイス。
【請求項7】
前記1つ以上の疎水性モノマーが、前記モノマー混合物の総重量に基づいて、0.5~25重量パーセントの量で前記モノマー混合物中に存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の眼科デバイス。
【請求項8】
前記1つ以上のジ、トリ、またはテトラ(メタ)アクリレート含有架橋剤が、1つ以上のアルカンポリオールジ、トリ、またはテトラ(メタ)アクリレート含有架橋剤であり、かつ、前記1つ以上のジ、トリ、またはテトラカルバメート含有架橋剤が、ジ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、ジ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、ジ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、ジ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、トリ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、トリ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、トリ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、トリ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、およびそれらの混合剤からなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の眼科デバイス。
【請求項9】
前記1つ以上のジ、トリ、またはテトラ(メタ)アクリレート含有架橋剤が、前記モノマー混合物の総重量に基づいて、0.1~10.0重量パーセントの量で前記モノマー混合物中に存在し、かつ前記1つ以上のジ、トリ、またはテトラカルバメート含有架橋剤が、前記モノマー混合物の総重量に基づいて、0.1~5.0重量パーセントの量で前記モノマー混合物中に存在する、請求項1から8のいずれか一項に記載の眼科デバイス。
【請求項10】
前記モノマー混合物が、ポロキサマージ(メタ)アクリレート、逆ポロキサマージ(メタ)アクリレート、ポロキサミンジ(メタ)アクリレート、逆ポロキサミンジ(メタ)アクリレート、およびそれらの混合物からなる群から選択される、1つ以上の重合可能な界面活性剤をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の眼科デバイス。
【請求項11】
前記眼科デバイスが、コンタクトレンズ、及びヒドロゲルのいずれか一つである、請求項1から10のいずれか一項に記載の眼科デバイス。
【請求項12】
前記モノマー混合物が、シリコーン含有モノマーを含有しない、請求項1から11のいずれか一項に記載の眼科デバイス。
【請求項13】
眼科デバイスを作製する方法であって、
(a)(i)モノマー混合物の総重量に基づいて少なくとも70重量パーセントの環状ラクタムと、(ii)モノマー混合物の総重量に基づいて0.25~10重量パーセントの1つ以上の第2の非シリコーン含有親水性モノマーであって、ここで該1つ以上の第2の非シリコーン含有親水性モノマーのうち少なくとも1つは非シリコーン含有アミド親水性モノマーである、上記1つ以上の第2の非シリコーン含有親水性モノマーと、(iii)1つ以上の疎水性モノマーと、(iv)(1)1つ以上のジ、トリ、またはテトラ(メタ)アクリレート含有架橋剤および(2)1つ以上のジ、トリ、またはテトラカルバメート含有架橋剤を含む架橋剤混合物と、を含む、モノマー混合物を提供することと、
(b)前記モノマー混合物を重合条件に供して、重合されたデバイスを提供することと、
(c)前記重合されたデバイスを抽出することであって、前記眼科デバイスが、少なくとも65重量パーセントの平衡含水率を有する、抽出することと、を含む、方法。
【請求項14】
前記環状ラクタムが、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-2-ピペリドン、およびそれらの混合物からなる群より選択され、かつ、非シリコーン含有アミド親水性モノマーが、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の疎水性モノマーが、前記モノマー混合物の総重量に基づいて、0.5~25重量パーセントの量で前記モノマー混合物中に存在し、前記1つ以上の疎水性モノマーが、式I:
【化2】
(式中、R
1はメチルまたは水素であり、R
2は-O-または-NH-であり、R
3およびR
4は独立して、-CH
2-、-CHOH-、および-CHR
6-からなる群から選択される二価ラジカルであり、R
5およびR
6は独立して、分岐C
3~C
8アルキル基であり、R
7は水素または-OHであり、nは少なくとも1の整数であり、mおよびpは独立して、0または少なくとも1の整数であり、ただし、m、p、およびnの合計は、2、3、4、または5である)の構造により表される、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、概して、高い含水量を有するコンタクトレンズなどの眼科デバイスに関する。
【0002】
ソフトコンタクトレンズは、1980年代から利用可能となっている。コンタクトレンズは、装着が快適かつ安全であることが重要である。しかしながら、コンタクトレンズを順調に装着することができる人が多くいる一方で、例えば、コンタクトレンズに関係するドライアイなどを理由として、コンタクトレンズを短期間しか装着することができない人も多い。この障害の症状としては、例えば、薄い涙膜および/または不安定な涙膜、角膜染色、ならびに主観的な症状(例えば、眼の不快感、灼熱感/刺激、および乾燥)が挙げられる。コンタクトレンズの装着は、これらの症状の発症を引き起こすか、または症状を悪化させることがある。
【0003】
一般に、高い含水量を有するレンズは、架橋剤としてアリルメタクリレート(AMA)を使用して作製されている。しかしながら、AMAは、揮発性モノマーであり、その使用に関連する問題がある。例えば、AMAを使用すると、充填後のスタンドダウン時間(post-fill-stand-down time)およびモノマーが充填された鋳型アセンブリのパージの結果として、物理的な歪みなどの製造性の問題が生じ得る。これらの問題だけでなく、これらのプロセスステップ中のエッジの湾曲(すなわち、「スカラッピング(scalloping)」)は、どちらもAMAが失われることに関連していることが示されている。
【0004】
したがって、優れた寸法安定性を有し、かつAMAの使用に関連する問題を回避する、高含水量眼科デバイスに対する必要が依然としてある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一実施形態によると、(a)多量の1つ以上の第1の非シリコーン含有親水性モノマーと、(b)1つ以上の疎水性モノマーと、(c)(i)1つ以上のジ、トリ、またはテトラ(メタ)アクリレート含有架橋剤および(ii)1つ以上のジ、トリ、またはテトラカルバメート含有架橋剤を含む架橋剤混合物と、を含む、モノマー混合物の重合生成物である眼科デバイスであって、少なくとも約65重量パーセントの平衡含水率を有する、眼科デバイスが提供される。
【0006】
本発明の第2の実施形態によると、眼科デバイスを作製するための方法であって、(a)(i)多量の1つ以上の第1の非シリコーン含有親水性モノマーと、(ii)1つ以上の疎水性モノマーと、(iii)(1)1つ以上のジ、トリ、またはテトラ(メタ)アクリレート含有架橋剤および(2)1つ以上のジ、トリ、またはテトラカルバメート含有架橋剤を含む架橋剤混合物と、を含む、モノマー混合物を提供することと、(b)モノマー混合物を重合条件に供して、重合されたデバイスを提供することと、(c)重合されたデバイスを水和することであって、デバイスが、少なくとも約65重量パーセントの平衡含水率を有する、水和することと、を含む、方法が提供される。
【0007】
本発明の高含水量眼科デバイスは、有利なことに、(a)多量の1つ以上の第1の非シリコーン含有親水性モノマーと、(b)1つ以上の疎水性モノマーと、(c)(i)1つ以上のジ、トリ、またはテトラ(メタ)アクリレート含有架橋剤および(ii)1つ以上のジ、トリ、またはテトラカルバメート含有架橋剤を含む架橋剤混合物と、を含む、モノマー混合物を重合することにより、デバイスを形成する際にAMAを使用することなく、改善された弾性率を有し、眼科デバイスは、少なくとも約65重量パーセントの平衡含水率を有する。さらに、(i)1つ以上のジまたはトリ(メタ)アクリレート含有架橋剤および(ii)1つ以上のジまたはトリカルバメート含有架橋剤を含む架橋剤混合物をモノマー混合物中に用いて本明細書の高含水量眼科デバイスを形成することにより、改善された寸法安定性、より少ない抽出物、および改善された引裂抵抗を、架橋剤としてのAMAなしで達成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に記載される例示的な実施形態は、高含水量眼科デバイスを対象とする。例示的な実施形態は、様々な高含水量眼科デバイスに適用可能であるが、1つの特定の例示的な実施形態が、高含水量コンタクトレンズにとって特に有用かつ有利である。本明細書で使用される場合、「眼科デバイス」および「レンズ」という用語は、眼内または眼上に存在するデバイスを指す。これらのデバイスは、光学補正、創傷ケア、薬物送達、診断機能、もしくは美容的向上、またはこれらの特性の任意の組み合わせを提供することができる。そのようなデバイスの代表的な例としては、ソフトコンタクトレンズ、例えば、ヒドロゲルソフトレンズ、非ヒドロゲルソフトレンズなど、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼内挿入物、光学挿入物、包帯レンズ、および治療用レンズなどが挙げられるが、これらに限定されない。当業者により理解されるように、レンズが壊れることなくそれ自体を折り返すことができる場合、レンズは「ソフト」であるとみなされる。例示的な実施形態の高含水量コンタクトレンズなどの高含水量眼科デバイスは、球状、トーリック、遠近両用とすることができ、美容的な色合い、不透明な美容的パターン、およびそれらの組み合わせなどを含有してもよい。
【0009】
例示的な一実施形態では、高含水量眼科デバイスは、少なくとも約65重量パーセントの平衡含水率を有することになる。別の例示的な実施形態では、高含水量眼科デバイスは、少なくとも約70重量パーセントの平衡含水率を有することになる。別の例示的な実施形態では、高含水量眼科デバイスは、少なくとも約75重量パーセントの平衡含水率を有することになる。一般に、高含水量眼科デバイスは、(a)多量の1つ以上の第1の非シリコーン含有親水性モノマーと、(b)1つ以上の疎水性モノマーと、(c)(i)1つ以上のジ、トリ、またはテトラ(メタ)アクリレート含有架橋剤および(ii)1つ以上のジ、トリ、またはテトラカルバメート含有架橋剤を含む架橋剤混合物と、を含む、モノマー混合物の重合生成物であり、眼科デバイスは、少なくとも約65重量パーセントの平衡含水率を有する。例示的な一実施形態では、モノマー混合物は、シリコーン含有モノマーを含有していない。
【0010】
一般に、好適な非シリコーン含有親水性モノマーとしては、アミド、環状ラクタム、重合性基で官能化されたポリ(アルケングリコール)など、およびそれらの混合物が挙げられる。アミドの代表的な例としては、アルキルアミド、例えば、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミドなど、およびそれらの混合物が挙げられる。環状ラクタムの代表的な例、例えば、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-2-ピペリドンなど、およびそれらの混合物。官能化されたポリ(アルケングリコール)の代表的な例としては、モノメタクリレートまたはジメタクリレート末端キャップを含有する様々な鎖長のポリ(ジエチレングリコール)が挙げられる。一実施形態では、ポリ(アルケングリコール)ポリマーは、少なくとも2つのアルケングリコールモノマー単位を含む。なおさらなる例は、米国特許第5,070,215号に開示されている親水性ビニルカーボネートモノマーまたは親水性ビニルカルバメートモノマー、および米国特許第4,910,277号に開示されている親水性オキサゾロンモノマーである。他の好適な親水性モノマーは、当業者には明らかであろう。前述の非シリコーン含有親水性モノマーの混合物はまた、本明細書のモノマー混合物中でも使用することができる。
【0011】
好ましい一実施形態では、1つ以上の第1の非シリコーン含有親水性モノマーは、N-ビニル-2-ピロリドンなどの1つ以上の環状ラクタムである。別の実施形態では、1つ以上の環状ラクタムは、モノマー混合物の総重量に基づいて、多量、例えば、少なくとも約70重量パーセントの量、もしくは少なくとも約70重量パーセントでかつ最大約95重量パーセントの量、または少なくとも約80重量パーセント、もしくは少なくとも約80重量パーセントでかつ最大約95重量パーセントの量でモノマー混合物中に存在する。
【0012】
別の実施形態では、モノマー混合物は、少量の1つ以上の第2の非シリコーン含有親水性モノマーをさらに含む。一実施形態では、モノマー混合物は、少量の1つ以上のアミドをさらに含む。別の実施形態では、モノマー混合物は、少量のN,N-ジメチルアクリルアミドをさらに含む。
【0013】
一般に、少量の1つ以上の第2の非シリコーン含有親水性モノマーは、モノマー混合物の総重量に基づいて、約10重量パーセント以下の量、例えば、約0.25~約10重量パーセントの範囲の量である。
【0014】
別の実施形態では、モノマー混合物は、N-ビニル-2-ピロリドンなどの1つ以上の環状ラクタムである多量の1つ以上の第1の非シリコーン含有親水性モノマーと、少量の1つ以上の第2の非シリコーン含有親水性モノマーと、を含む。一実施形態では、モノマー混合物は、N-ビニル-2-ピロリドンなどの1つ以上の環状ラクタムである多量の1つ以上の第1の非シリコーン含有親水性モノマーと、N,N-ジメチルアクリルアミドなどの1つ以上のアミドである少量の1つ以上の第2の非シリコーン含有親水性モノマーと、を含む。一実施形態では、モノマー混合物は、(a)モノマー混合物の総重量に基づいて、少なくとも約70重量パーセントの、N-ビニル-2-ピロリドンなどの1つ以上の環状ラクタムである1つ以上の第1の非シリコーン含有親水性モノマーと、(b)モノマー混合物の総重量に基づいて、約10重量パーセント以下の、N,N-ジメチルアクリルアミドなどの1つ以上のアミドである1つ以上の第2の非シリコーン含有親水性モノマーと、を含む。
【0015】
モノマー混合物は、1つ以上の疎水性モノマーをさらに含む。好適な疎水性モノマー(b)としては、エチレン系不飽和疎水性モノマー、例えば、(メタ)アクリレート含有疎水性モノマー、N-アルキル(メタ)アクリルアミド含有疎水性モノマー、アルキルビニルカーボネート含有疎水性モノマー、アルキルビニルカルバメート含有疎水性モノマー、フルオロアルキル(メタ)アクリレート含有疎水性モノマー、N-フルオロアルキル(メタ)アクリルアミド含有疎水性モノマー、N-フルオロアルキルビニルカーボネート含有疎水性モノマー、N-フルオロアルキルビニルカルバメート含有疎水性モノマー、シリコーン含有(メタ)アクリレート含有疎水性モノマー、(メタ)アクリルアミド含有疎水性モノマー、ビニルカーボネート含有疎水性モノマー、ビニルカルバメート含有疎水性モノマー、スチレン含有疎水性モノマー、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート含有疎水性モノマーなど、およびそれらの混合物が挙げられる。本明細書で使用される場合、「(メタ)」という用語は、任意選択的なメチル置換基を表す。したがって、「(メタ)アクリレート」などの用語は、メタクリレートまたはアクリレートのいずれかを表し、「(メタ)アクリルアミド」は、メタクリルアミドまたはアクリルアミドのいずれかを表す。
【0016】
例示的な一実施形態では、1つ以上の疎水性モノマーは、式I:
【化1】
(式中、R
1はメチルまたは水素であり、R
2は-O-または-NH-であり、R
3およびR
4は独立して、-CH
2-、-CHOH-、および-CHR
6-からなる群から選択される二価ラジカルであり、R
5およびR
6は独立して、分岐C
3~C
8アルキル基であり、R
7は水素または-OHであり、nは少なくとも1の整数であり、mおよびpは独立して、0または少なくとも1の整数であり、ただし、m、p、およびnの合計は、2、3、4、または5である)の構造により表される。
【0017】
式Iの構造により表される1つ以上の疎水性モノマー(b)の代表的な例としては、4-t-ブチル-2-ヒドロキシシクロヘキシルメタクリレート(TBE)、4-t-ブチル-2-ヒドロキシシクロペンチルメタクリレート、4-t-ブチル-2-ヒドロキシシクロヘキシルメタクリルアミド(TBA)、6-イソペンチル-3-ヒドロキシシクロヘキシルメタクリレート、2-イソヘキシル-5-ヒドロキシシクロペンチルメタクリルアミド、4-t-ブチルシクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、アダムンチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、1つ以上の疎水性モノマー(b)としては、式I(式中、R3は、-CH2-であり、mは、1または2であり、pは0であり、mおよびnの合計は、3または4である)の化合物が挙げられる。
【0018】
1つ以上の疎水性モノマー(b)は、通常、モノマー混合物の総重量に基づいて、約0.5~約25重量パーセントまたは約1~約10重量パーセントの範囲の量でモノマー混合物中に存在することになる。
【0019】
モノマー混合物は、(i)1つ以上のジ、トリ、またはテトラ(メタ)アクリレート含有架橋剤および(ii)1つ以上のジ、トリ、またはテトラカルバメート含有架橋剤を含む架橋剤混合物をさらに含む。例示的な一実施形態では、有用な1つ以上のジ、トリ、またはテトラ(メタ)アクリレート含有架橋剤としては、アルカンポリオールジ、トリ、またはテトラ(メタ)アクリレート含有架橋剤、例えば、1つ以上のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート架橋剤、1つ以上のアルキレングリコールトリ(メタ)アクリレート架橋剤、1つ以上のアルキレングリコールテトラ(メタ)アクリレート架橋剤、1つ以上のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート架橋剤、アルカンジオールトリ(メタ)アクリレート架橋剤、アルカンジオールテトラ(メタ)アクリレート架橋剤、薬剤、1つ以上のアルカントリオールジ(メタ)アクリレート架橋剤、アルカントリオールトリ(メタ)アクリレート架橋剤、アルカントリオールテトラ(メタ)アクリレート架橋剤、薬剤、1つ以上のアルカンテトラオールジ(メタ)アクリレート架橋剤、アルカンテトラオールトリ(メタ)アクリレート架橋剤、アルカンテトラオールテトラ(メタ)アクリレート架橋剤など、およびそれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、1つ以上のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート架橋剤としては、最大約10個のエチレングリコール繰り返し単位を有するエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。一実施形態では、1つ以上のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート架橋剤としては、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート架橋剤、およびヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。一実施形態では、1つ以上のアルカントリオールトリ(メタ)アクリレート架橋剤は、トリメチロールプロパントリメタクリレート架橋剤である。一実施形態では、1つ以上のアルカンテトラオールテトラ(メタ)アクリレート架橋剤は、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート架橋剤である。
【0020】
例示的な一実施形態では、有用な1つ以上のジ、トリ、またはテトラカルバメート含有架橋剤としては、1つ以上のジ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のジ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のジ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のジ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のトリ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のトリ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のトリ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のトリ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のテトラ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のテトラ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のテトラ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のテトラ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤など、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0021】
一実施形態では、1つ以上のジカルバメート含有架橋剤としては、以下の構造:
【化2】
(式中、xは0~10である)を有するビス(N-ビニルカルバメート)が挙げられる。
【0022】
一実施形態では、1つ以上のジカルバメート含有架橋剤としては、以下の構造:
【化3】
(式中、xは0~10である)を有するビス(O-ビニルカルバメート)が挙げられる。
【0023】
一実施形態では、1つ以上のジ-カルバメート含有架橋剤としては、ジエチレングリコールビス(N-ビニルカルバメート)、ジエチレングリコールビス(O-アリルカルバメート)など、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0024】
一般に、1つ以上のジ、トリ、またはテトラ(メタ)アクリレート含有架橋剤は、モノマー混合物の総重量に基づいて、約0.1~約10.0重量パーセントの量でモノマー混合物中に存在し、また、1つ以上のジ、トリ、またはテトラカルバメート含有架橋剤は、モノマー混合物の総重量に基づいて、約0.1~約5.0重量パーセントの量でモノマー混合物中に存在する。
【0025】
別の例示的な実施形態では、モノマー混合物は、末端官能化された1つ以上の界面活性剤をさらに含む。好適な末端官能化された界面活性剤は、例えば、末端官能化された1つ以上のポリエーテルを含む。末端官能化されるべき有用なポリエーテルは、1つ以上の(-O-R-)繰り返し単位を有する1つ以上の鎖またはポリマー成分を含み、式中、Rは、2個~約6個の炭素原子を有するアルキレン基またはアリーレン基である。ポリエーテルは、異なる比のエチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)の成分から形成されたブロックコポリマーに由来してもよい。そのようなポリエーテルおよびそれらの各成分断片は、異なる結合した疎水性および親水性の化学官能基の部分および断片を含んでもよい。
【0026】
末端官能化することができる好適なポリエーテルの代表的な例は、ポロキサマーブロックコポリマーである。1つの特定のクラスのポロキサマーブロックコポリマーは、Pluronic(BASF Wyandotte Corp.,Wyandotte,Mich.)という商標で入手可能なものである。ポロキサマーとしては、Pluronicおよび逆Pluronicが挙げられる。Pluronicは、一般に式VII:
HO(C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)aH (VII)
(式中、aは独立して、少なくとも1であり、bは、少なくとも1である)で表されるポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)ブロックからなる一連のABAブロックコポリマーである。
【0027】
逆Pluronicは、一般に式VIII:
HO(C3H6O)b(C2H4O)a(C3H6O)bH (VIII)
(式中、aは、少なくとも1であり、bは独立して、少なくとも1である)で表されるポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)ブロックからなる一連のBABブロックコポリマーである。ポリ(エチレンオキシド)(PEO)ブロックは親水性であるのに対し、ポリ(プロピレンオキシド)(PPO)ブロックは、本質的に疎水性である。各シリーズのポロキサマーは、最終的に材料の親水性-親油性バランス(HLB)を決定するPEOとPPOとの比が異なり、すなわち、異なるHLB値は、aおよびbの値が異なることに基づいており、aは、分子中に存在する親水性ポリ(エチレンオキシド)単位(PEO)の数を表し、bは、分子中に存在する疎水性ポリ(プロピレンオキシド)単位(PPO)の数を表す。
【0028】
ポロキサマーおよび逆ポロキサマーは、末端官能化することができる末端ヒドロキシル基を有する。末端官能化されたポロキサマーの一例は、本明細書において以下で考察されるように、米国特許出願公開第2003/0044468号に開示されているようなポロキサマージメタクリレート(例えば、Pluronic(登録商標)F127ジメタクリレート)である。他の例としては、米国特許第6,517,933号に開示されているように、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのグリシジル末端コポリマーが挙げられる。
【0029】
末端官能化することができる好適なポリエーテルの別の例は、ポロキサミンブロックコポリマーである。ポロキサマーおよび逆ポロキサマーが(末端ヒドロキシル基に基づいて)二官能性分子であるとみなされる一方で、ポロキサミンは四官能性形態にあり、すなわち、これらの分子は、第1級ヒドロキシル基が末端になり、かつ中央のジアミンにより結合された四官能性ブロックコポリマーである。1つの特定のクラスのポロキサミンブロックコポリマーは、Tetronic(BASF)という商標で入手可能なものである。ポロキサミンとしては、Tetronicおよび逆Tetronicが挙げられる。ポロキサミンは、以下の、式IX:
【化4】
(式中、aは独立して、少なくとも1であり、bは独立して、少なくとも1である)の一般構造を有する。
【0030】
ポロキサマーおよび/またはポロキサミンは、分子の末端に所望の反応性を提供するように官能化される。官能性は、様々とすることができ、官能化されたPEO含有ブロックコポリマーおよびPPO含有ブロックコポリマーの意図される使用に基づいて決定される。すなわち、PEO含有ブロックコポリマーおよびPPO含有ブロックコポリマーを反応させて、意図するデバイスを形成するモノマー混合物と相補的な末端官能性を提供する。本明細書で使用されるブロックコポリマーという用語は、ポリマー骨格(複数可)中に2つ以上のブロックを有するポロキサマーおよび/またはポロキサミンを意味すると理解されるべきである。
【0031】
一般に、官能性末端基の選択は、モノマー混合物中の反応性分子(複数可)の官能基により決定される。例えば、反応性分子がカルボン酸基を含む場合には、グリシジルメタクリレートは、メタクリレート末端基を提供することができる。反応性分子がヒドロキシ官能基またはアミノ官能基を含む場合には、イソシアナトエチルメタクリレートまたは(メタ)アクリロイルクロリドは、メタクリレート末端基を提供することができ、クロロギ酸ビニルは、ビニル末端基を提供することができる。エチレン性不飽和末端基と反応性分子との多種多様な好適な組み合わせが当業者には明らかであろう。例えば、官能基は、アミン、ヒドラジン、ヒドラジド、チオール(求核基)、カルボン酸、イミドエステルを含むカルボン酸エステル、オルトエステル、カーボネート、イソシアネート、イソチオシアネート、アルデヒド、ケトン、チオン、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、スルホン、マレイミド、ジスルフィド、ヨード、エポキシ、スルホネート、チオスルホネート、シラン、アルコキシシラン、ハロシラン、およびホスホロアミデートから選択される部分を含んでもよい。これらの基のより具体的な例としては、スクシンイミジルエステルまたは炭酸スクシンイミジル、イミダゾリルエステルまたは炭酸イミダゾリル、ベンゾトリアゾールエステルまたは炭酸ベンゾトリアゾール、炭酸p-ニトロフェニル、ビニルスルホン、クロロエチルスルホン、ビニルピリジン、ピリジルジスルフィド、ヨードアセトアミド、グリオキサール、ジオン、メシレート、トシレート、およびトレシレートが挙げられる。また、他の活性化されたカルボン酸誘導体だけでなく、上記の部分のいずれかの水和物または保護された誘導体(例えば、アルデヒド水和物、ヘミアセタール、アセタール、ケトン水和物、ヘミケタール、ケタール、チオケタール、チオアセタール)も挙げられる。好ましい求電子基としては、炭酸スクシンイミジル、スクシンイミジルエステル、マレイミド、炭酸ベンゾトリアゾール、グリシジルエーテル、イミダゾイルエステル、炭酸p-ニトロフェニル、アクリレート、トレシレート、アルデヒド、およびオルトピリジルジスルフィドが挙げられる。
【0032】
PEO含有ブロックコポリマーおよびPPO含有ブロックコポリマーを末端官能化することが可能な反応順序の代表的な例を以下に記載する。
【化5】
【0033】
本明細書には、PEO含有ブロックコポリマーおよびPPO含有ブロックコポリマーのための官能化された末端を提供するための、特定の例示的な、ただし非限定的な反応例がさらに提示される。当業者であれば余計な回数の実験を行うことなく他の反応法を決定することができるであろうということを理解されたい。また、示されるどの特定のブロックコポリマー分子も、参照される材料を多分散させた集団の1本のみの鎖長であることも理解されるべきである。
【0034】
好ましい一実施形態では、モノマー混合物は、PEO含有ブロックコポリマーおよびPPO含有ブロックコポリマーのうちの1つ以上を含む。モノマー混合物中で使用することができるそのようなコポリマーの一例は、Pluronic(登録商標)F127、すなわち、[(ポリエチレンオキシド)
99-(ポリプロピレンオキシド)
66-(ポリエチレンオキシド)
99]という構造を有するブロックコポリマーである。このコポリマーの末端ヒドロキシル基が官能化されることにより、このコポリマーは、眼科デバイスを形成する他のモノマーと反応することが可能になる。別の例としては、以下の構造を有するPluronic 407ジメタクリレートが挙げられる。
【化6】
【0035】
一実施形態では、末端官能化された界面活性剤は、少なくとも1つの末端官能化を有するポロキサマー、少なくとも1つの末端官能化を有する逆ポロキサマー、少なくとも1つの末端官能化を有するポロキサミン、少なくとも1つの末端官能化を有する逆ポロキサミン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0036】
一般に、末端官能化された界面活性剤は、モノマー混合物の総重量に基づいて、約0.01~約20重量パーセント、または約1~約10重量パーセント、または約3~約6重量パーセントの範囲の量でモノマー混合物中に存在するであろう。
【0037】
別の例示的な実施形態では、モノマー混合物は、1つ以上の紫外線(UV)遮断剤をさらに含む。一実施形態では、有用なUV遮断剤は、以下の式の1つ以上の化合物を含む。
【化7】
(2-プロペン酸、2-メチル、2-(4-ベンゾイル-3-ヒドロキシフェノキシ)-1-[(4-ベンゾイル-3-ヒドロキシフェノキシ)メチルエステル)、
【化8】
【0038】
モノマー混合物は、必要に応じて、かつ本発明の目的および効果を損なわない限度内で、抗酸化剤、着色剤、潤滑剤、内部湿潤剤、および強化剤などの様々な添加剤、ならびに当該技術分野で周知の他の構成要素をさらに含有していてもよい。
【0039】
例示的な実施形態の眼科デバイス、例えば、コンタクトレンズまたは眼内レンズは、前述のモノマー混合物を重合させて、その後、例えば、旋盤加工、射出成形、圧縮成形、切断などにより適切な形状に形成することができる生成物を形成することにより調製することができる。例えば、コンタクトレンズを製造する際、初期混合物をチューブ内で重合させて棒状の物品を提供して、その後、これらをボタンへと切断してもよい。次いで、ボタンを旋盤加工してコンタクトレンズにしてもよい。
【0040】
代替的に、コンタクトレンズなどの眼科デバイスを、例えば、スピンキャスト法およびスタティックキャスト法により、混合物から、鋳型、例えばポリプロピレン鋳型内で直接鋳造してもよい。スピンキャスト法は、米国特許第3,408,429号および同第3,660,545号に開示されており、スタティックキャスト法は、米国特許第4,113,224号、同第4,197,266号、および同第5,271,875号に開示されている。スピンキャスト法は、重合されるべき混合物を鋳型に充填することと、混合物をUV光などの放射線源に曝露しながら、制御された様式で鋳型を回転させることと、を伴う。スタティックキャスト法は、レンズの前面を形成するように成形された一方の鋳型部分とレンズの後面を形成するように成形された他方の鋳型部分との2つの鋳型部分の間にモノマー混合物を充填することと、鋳型アセンブリ内に保持された状態で、例えば、混合物のフリーラジカル重合により混合物を硬化させ、レンズを形成することと、を伴う。レンズ材料を硬化させるためのフリーラジカル反応技法の例としては、熱放射、赤外線放射、電子ビーム放射、ガンマ線放射、および紫外線(UV)放射などが挙げられる。あるいは、そのような技法の組み合わせが使用されてもよい。米国特許第5,271,875号には、後側鋳型および前側鋳型により画定される鋳型キャビティ内で完成したレンズの成形を可能にするスタティックキャスト成形法が記載されている。追加的な方法として、米国特許第4,555,732号には、レンズ前面および比較的大きい厚さを有する成形物品を形成するために鋳型内でスピンキャストをすることにより過剰なモノマー混合物を硬化させ、そしてその後、硬化したスピンキャストされた物品の後部表面を旋盤加工して、所望の厚さおよびレンズ後面を有するコンタクトレンズを提供する方法が開示されている。
【0041】
混合物を熱に曝露することにより、および/または紫外線、可視光、または高エネルギー放射線などの放射線に曝露することにより、重合を促進してもよい。重合ステップを促進するために、重合開始剤が混合物中に含まれていてもよい。フリーラジカル熱重合開始剤の代表的な例としては、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、過酸化ステアロイル、過酸化ベンゾイル、第三ブチルペルオキシピバレート、およびペルオキシジカーボネートなどの有機過酸化物が挙げられる。代表的なUV開始剤は、当該技術分野で既知のものであり、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、Darocure(登録商標)1173、1164、2273、1116、2959、3331(EM Industries)、ならびにIrgacure(登録商標)651および184(Ciba-Geigy)、2,2’アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(VAZO 64)などが挙げられる。一般に、開始剤は、全混合物の約0.01~約5重量パーセントの濃度でモノマー混合物中に用いられることになる。
【0042】
重合は、一般に、反応媒体において、例えば、水またはメタノール、エタノールもしくはプロパン-2-オールなどの1~4個の炭素原子を含有するアルカノールなどの溶媒を使用した溶液または分散液などにおいて実施される。代替的に、上記の溶媒のいずれかの混合物が使用されてもよい。
【0043】
一般に、重合は、約15分~約72時間の間、かつ、例えば、窒素またはアルゴンの不活性雰囲気下で行うことができる。所望する場合、得られた重合生成物は、使用前に、真空下で、例えば、約5~約72時間の間乾燥させるか、または水溶液中に静置することができる。
【0044】
混合物を重合すると、水和したときに好ましくはヒドロゲルを形成するポリマーが得られる。ヒドロゲルレンズを製造するとき、混合物は、重合生成物が水和されてヒドロゲルを形成するときに最終的に水に置き換えられる少なくとも1つの希釈剤をさらに含んでいてもよい。一般に、ヒドロゲルの含水量は、本明細書において上に記載されるとおりであり、すなわち、少なくとも約65重量パーセントである。使用される希釈剤の量は、約50重量パーセント未満とするべきであり、ほとんどの場合、希釈剤含有量は、約30重量パーセント未満である。しかしながら、特定のポリマー系では、実際の限度は、希釈剤中の様々なモノマーの溶解度により規定されることになる。光学的に透明なコポリマーを生成するためには、コモノマーと希釈剤、または希釈剤と最終的なコポリマーとの間に、視覚的な不透明性をもたらす相分離が生じないことが重要である。
【0045】
さらに、使用され得る希釈剤の最大量は、希釈剤が最終ポリマーに引き起こす膨潤の量に応じて異なることになる。過度の膨潤は、希釈剤が水和時に水に置き換えられたときにコポリマーを崩壊させることになるか、または崩壊させる場合がある。好適な希釈剤としては、エチレングリコール、グリセリン、液体ポリ(エチレングリコール)、アルコール、アルコール/水混合物、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、低分子量直鎖ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、乳酸のグリコールエステル、ホルムアミド、ケトン、ジアルキルスルホキシド、ブチルカルビトールなど、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
必要な場合、縁部仕上げ作業の前に、レンズから残留希釈剤を除去することが望ましい場合があり、これは周囲圧力もしくはそれに近い圧力での、または真空下での蒸発により達成することができる。希釈剤を蒸発させるのに必要な時間を短縮するために、高温を用いることができる。溶媒除去ステップのための時間、温度、および圧力条件は、当業者により容易に決定することができるように、希釈剤および特定のモノマー成分の揮発性などの要因に応じて異なることになる。所望する場合、ヒドロゲルレンズを製造するために使用される混合物は、ヒドロゲル材料を作製するための先行技術において既知の架橋剤および湿潤剤をさらに含んでいてもよい。
【0047】
眼内レンズの場合、重合されるべきモノマー混合物は、得られる重合生成物の屈折率を増加させるためのモノマーをさらに含んでいてもよい。そのようなモノマーの例としては、芳香族(メタ)アクリレート、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、2-フェニルエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、およびベンジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0048】
本明細書で得られるコンタクトレンズなどの眼科デバイスに、任意選択的な機械加工作業を施してもよい。例えば、他の任意選択的な機械加工ステップとしては、レンズ縁部および/または表面のバフ加工または研磨を挙げてもよい。一般に、そのような機械加工プロセスは、生成物が鋳型部分から離型される前または後に実施されてもよく、例えば、レンズは、真空ピンセットを用いてレンズを鋳型から持ち上げることにより鋳型から乾燥離型され、その後、レンズは、機械的ピンセットにより第2のセットの真空ピンセットに移され、表面または縁部を滑らかにするために回転する表面に対して定置される。次いで、レンズの反対側を機械加工するために、レンズを裏返してもよい。
【0049】
次いで、レンズを、緩衝生理食塩水溶液を含有する個々のレンズパッケージに移してもよい。生理食塩水を、レンズを移す前またはその後のいずれかにパッケージに添加してもよい。適切な包装設計および包装材料は、当該技術分野において既知である。プラスチックパッケージは、フィルムで解放可能に密封される。好適な密封フィルムは、当該技術分野において既知であり、箔、ポリマーフィルム、およびそれらの混合物を含む。次いで、滅菌製品を確保するために、レンズを含む密封されたパッケージを滅菌する。好適な滅菌手段および条件は、当該技術分野において既知であり、例えばオートクレーブを含む。
【0050】
当業者であれば容易に理解するように、他のステップが上に記載される成形プロセスおよび包装プロセスに含まれていてもよい。そのような他のステップとしては、例えば、形成されたレンズをコーティングすること、(例えば、成形品移送を介して)形成中にレンズを表面処理すること、レンズを検査すること、欠陥のあるレンズを廃棄すること、鋳型半部を洗浄すること、鋳型半部を再利用することなど、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0051】
以下の実施例は、当業者が本発明を実施することを可能にするために提供されるものであり、単なる例示である。実施例は、特許請求の範囲で定義される本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0052】
以下で考察されるように、様々な重合生成物を形成し、以下のような標準的な試験手順により特徴付けた。
【0053】
水%:水和された6個のレンズまたはフィルムの2つのセットを一片の濾紙上でブロット乾燥させて余分な水を除去し、試料を秤量する(湿重量)。次いで、試料を、乾燥剤を入れた瓶の中に入れ、電子レンジ内に10分間定置した。次いで、試料を30分間静置して室温に平衡化し、再秤量する(乾燥重量)。湿重量および乾燥重量から水分率を計算する。
【0054】
接触角:捕捉気泡接触角データを、First Ten Angstroms FTA-1000 prop Shape Instrument上で収集した。全ての試料を、試料表面から包装溶液の成分を除去するために、分析の前にHPLCグレードの水中ですすいだ。データ収集の前に、全ての実験に使用される水の表面張力を、ペンダントドロップ法を使用して測定した。水が使用に適切であると判断するためには、70~72ダイン/cmの表面張力値が求められた。全てのレンズ試料を湾曲した試料ホルダ上に定置し、HPLCグレードの水で満たされた石英セル中に沈めた。前進および後退する捕捉気泡接触角を、各試料について収集した。前進接触角は、気泡がレンズ表面から後退している(水が表面にわたって前進している)ときに水中で測定される角度として定義される。試料/気泡界面上に焦点を合わせた高速デジタルカメラを使用して、全ての捕捉気泡データを収集した。接触角は、試料/気泡界面にわたり、接触線移動の直前のデジタルフレームにおいて計算した。後退接触角は、気泡が試料表面にわたって膨潤している(水が表面から後退している)ときに水中で測定される角度として定義される。
【0055】
Instron(モデル4502)機器を用いて、ASTM1708に従って、弾性率(g/mm2)および伸び率を測定した。フィルム試料をホウ酸緩衝生理食塩水中に浸漬し、適切なサイズのフィルム試料を、長さ22mmおよび幅4.75mmの規格に合わせ、試料は、Instron機器のクランプによる試料の把持に対応するためのドッグボーン形状を形成する端部および100±50マイクロメートルの厚さをさらに有した。
【0056】
引張強度(g/mm2)をASTM試験方法D1708aに従って測定した。
【0057】
引張弾性率と同じ物理条件下で、ASTM D-1938によって引裂強度を測定した。
【0058】
矢状深度(SAG)はDeltronicのコンパレータで測定した。
【0059】
屈折率(RI)は、屈折計を使用して、水和試料について一般的な方法に従って測定した。
【0060】
実施例では、以下の略語が使用される。
【0061】
DMA:N,N-ジメチルアクリルアミド
【0062】
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
【0063】
NVP:N-ビニル-2-ピロリドン
【0064】
AMA:アリルメタクリレート
【0065】
EGDMA:エチレングリコールジメタクリレート
【0066】
Vazo(商標)64:アゾビス-イソブチルニトリル(AIBN)
【0067】
【0068】
SAモノマー:以下の構造を有する化合物:
【化10】
【0069】
ポロキサマー:以下の構造を有するPluronic 407ジメタクリレート
【化11】
【0070】
比較例A~F
表1に列挙した以下の成分を重量当たりの量で混合することによりモノマー混合物を作製した。
【表1】
【0071】
モノマー混合物をポリプロピレン鋳型アセンブリに導入することにより、得られたモノマー混合物をコンタクトレンズへと鋳造した。次いで、鋳型アセンブリおよびモノマー混合物を約3時間の間熱硬化させて、コンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを鋳型アセンブリから離型した。
【0072】
実施例1~4
表2に列挙した以下の成分を重量当たりの量で混合することによりモノマー混合物を作製した。
【表2】
【0073】
モノマー混合物をポリプロピレン鋳型アセンブリに導入することにより、得られたモノマー混合物をコンタクトレンズへと鋳造した。次いで、鋳型アセンブリおよびモノマー混合物を約3時間の間熱硬化させて、コンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを鋳型アセンブリから離型した。
【0074】
実施例5~8
表3に列挙した以下の成分を重量当たりの量で混合することによりモノマー混合物を作製した。
【表3】
【0075】
モノマー混合物をポリプロピレン鋳型アセンブリに導入することにより、得られたモノマー混合物をコンタクトレンズへと鋳造した。次いで、鋳型アセンブリおよびモノマー混合物を約3時間の間熱硬化させて、コンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを鋳型アセンブリから離型した。
【0076】
実施例9~13
表4に列挙した以下の成分を重量当たりの量で混合することによりモノマー混合物を作製した。
【表4】
【0077】
モノマー混合物をポリプロピレン鋳型アセンブリに導入することにより、得られたモノマー混合物をコンタクトレンズへと鋳造した。次いで、鋳型アセンブリおよびモノマー混合物を約3時間の間熱硬化させて、コンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを鋳型アセンブリから離型した。
【0078】
実施例14~19
表5に列挙した以下の成分を重量当たりの量で混合することによりモノマー混合物を作製した。
【表5】
【0079】
モノマー混合物をポリプロピレン鋳型アセンブリに導入することにより、得られたモノマー混合物をコンタクトレンズへと鋳造した。次いで、鋳型アセンブリおよびモノマー混合物を約3時間の間熱硬化させて、コンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを鋳型アセンブリから離型した。
【0080】
実施例20~23
表6に列挙した以下の成分を重量当たりの量で混合することによりモノマー混合物を作製した。
【表6】
【0081】
モノマー混合物をポリプロピレン鋳型アセンブリに導入することにより、得られたモノマー混合物をコンタクトレンズへと鋳造した。次いで、鋳型アセンブリおよびモノマー混合物を約3時間の間熱硬化させて、コンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを鋳型アセンブリから離型した。
【0082】
実施例24~28
表7に列挙した以下の成分を重量当たりの量で混合することによりモノマー混合物を作製した。
【表7】
【0083】
モノマー混合物をポリプロピレン鋳型アセンブリに導入することにより、得られたモノマー混合物をコンタクトレンズへと鋳造した。次いで、鋳型アセンブリおよびモノマー混合物を約3時間の間熱硬化させて、コンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを鋳型アセンブリから離型した。
【0084】
実施例29~31
表8に列挙した以下の成分を重量当たりの量で混合することによりモノマー混合物を作製した。
【表8】
【0085】
モノマー混合物をポリプロピレン鋳型アセンブリに導入することにより、得られたモノマー混合物をコンタクトレンズへと鋳造した。次いで、鋳型アセンブリおよびモノマー混合物を約3時間の間熱硬化させて、コンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを鋳型アセンブリから離型した。
【0086】
実施例32~37
表9に列挙した以下の成分を重量当たりの量で混合することによりモノマー混合物を作製した。
【表9】
【0087】
モノマー混合物をポリプロピレン鋳型アセンブリに導入することにより、得られたモノマー混合物をコンタクトレンズへと鋳造した。次いで、鋳型アセンブリおよびモノマー混合物を約3時間の間熱硬化させて、コンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを鋳型アセンブリから離型した。
【0088】
本明細書に開示される実施形態に様々な修正がなされてもよいことが理解されるであろう。したがって、上記の説明は、限定的と解釈されるべきではなく、好ましい実施形態の例示としてのみ解釈されるべきである。例えば、上に記載される、本発明を動作させるための最良の態様として実装される機能は、例示目的のみのためである。当業者によって、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、他の構成および方法が実施されてもよい。さらに、当業者は、本明細書に付随する特徴および利点の範囲および趣旨内で他の修正を想定するであろう。
なお、下記[1]から[23]は、いずれも本発明の一形態又は一態様である。
[1]
(a)多量の1つ以上の第1の非シリコーン含有親水性モノマーと、(b)1つ以上の疎水性モノマーと、(c)(i)1つ以上のジ、トリ、またはテトラ(メタ)アクリレート含有架橋剤および(ii)1つ以上のジ、トリ、またはテトラカルバメート含有架橋剤を含む架橋剤混合物と、を含む、モノマー混合物の重合生成物である、眼科デバイスであって、少なくとも約65重量パーセントの平衡含水率を有する、眼科デバイス。
[2]
前記モノマー混合物中に存在する前記多量の前記1つ以上の第1の非シリコーン含有親水性モノマーが、前記モノマー混合物の総重量に基づいて、約80重量パーセント超の量である、[1]に記載の眼科デバイス。
[3]
前記1つ以上の第1の非シリコーン含有親水性モノマーが、環状ラクタムである、[1]に記載の眼科デバイス。
[4]
前記環状ラクタムが、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-2-ピペリドン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、[3]に記載の眼科デバイス。
[5]
前記モノマー混合物が、少量の1つ以上の第2の非シリコーン含有親水性モノマーをさらに含む、[1]に記載の眼科デバイス。
[6]
前記1つ以上の第2の非シリコーン含有親水性モノマーが、1つ以上の非シリコーン含有アミド親水性モノマーである、[5]に記載の眼科デバイス。
[7]
前記1つ以上の非シリコーン含有アミド親水性モノマーが、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、およびそれらの混合物からなる群から選択される、[6]に記載の眼科デバイス。
[8]
前記モノマー混合物中に存在する前記少量の前記1つ以上の第2の非シリコーン含有親水性モノマーが、前記モノマー混合物の総重量に基づいて、約0.25~約10重量パーセントの量である、[6]に記載の眼科デバイス。
[9]
前記1つ以上の非シリコーン含有親水性モノマーが、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、N-(2-ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、グリセリルメタクリレート、N-メタクリロイルグリシン、(2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルプロピル)-4-メトキシフェニルエーテル、またはそれらの混合物をさらに含む、[6]に記載の眼科デバイス。
[10]
前記1つ以上の疎水性モノマーが、式I:
【化12】
(式中、R
1
はメチルまたは水素であり、R
2
は-O-または-NH-であり、R
3
およびR
4
は独立して、-CH
2
-、-CHOH-、および-CHR
6
-からなる群から選択される二価ラジカルであり、R
5
およびR
6
は独立して、分岐C
3
~C
8
アルキル基であり、R
7
は水素または-OHであり、nは少なくとも1の整数であり、mおよびpは独立して、0または少なくとも1の整数であり、ただし、m、p、およびnの合計は、2、3、4、または5である)の構造により表される、[1]に記載の眼科デバイス。
[11]
前記1つ以上の疎水性モノマーが、約0.5~約25重量パーセントの量で前記モノマー混合物中に存在する、[1]に記載の眼科デバイス。
[12]
前記1つ以上のジ、トリ、またはテトラ(メタ)アクリレート含有架橋剤が、1つ以上のアルカンポリオールジ、トリ、またはテトラ(メタ)アクリレート含有架橋剤である、[1]に記載の眼科デバイス。
[13]
前記1つ以上のジ、トリ、またはテトラ(メタ)アクリレート含有架橋剤が、最大約10個のエチレングリコール繰り返し単位を有するエチレングリコールジ(メタ)アクリレート架橋剤、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート架橋剤、トリメチロールプロパントリメタクリレート架橋剤、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート架橋剤、およびそれらの混合物からなる群から選択される、[1]に記載の眼科デバイス。
[14]
前記1つ以上のジ、トリ、またはテトラカルバメート含有架橋剤が、ジ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、ジ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、ジ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、ジ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、トリ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、トリ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、トリ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、トリ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、およびそれらの混合剤からなる群から選択される、[1]に記載の眼科デバイス。
[15]
前記1つ以上のジカルバメート含有架橋剤が、ジエチレングリコールビス(N-ビニルカルバメート)、ジエチレングリコールビス(N-アリルカルバメート)、ジエチレングリコールビス(O-ビニルカルバメート)、ジエチレングリコールビス(O-アリルカルバメート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される、[1]に記載の眼科デバイス。
[16]
前記1つ以上のジ、トリ、またはテトラ(メタ)アクリレート含有架橋剤が、前記モノマー混合物の総重量に基づいて、約0.1~約10.0重量パーセントの量で前記モノマー混合物中に存在し、かつ前記1つ以上のジ、トリ、またはテトラカルバメート含有架橋剤が、前記モノマー混合物の総重量に基づいて、約0.1~約5.0重量パーセントの量で前記モノマー混合物中に存在する、[1]に記載の眼科デバイス。
[17]
前記モノマー混合物が、ポロキサマージ(メタ)アクリレート、逆ポロキサマージ(メタ)アクリレート、ポロキサミンジ(メタ)アクリレート、逆ポロキサミンジ(メタ)アクリレート、およびそれらの混合物からなる群から選択される、1つ以上の重合可能な界面活性剤をさらに含む、[1]に記載の眼科デバイス。
[18]
前記モノマー混合物が、紫外線(UV)遮断剤をさらに含む、[1]に記載の眼科デバイス。
[19]
前記UV遮断剤が、以下の式の化合物
【化13】
である、[18に記載の眼科デバイス。
[20]
前記眼科デバイスが、コンタクトレンズである、[1]に記載の眼科デバイス。
[21]
前記眼科デバイスが、ヒドロゲルである、[1]に記載の眼科デバイス。
[22]
前記モノマー混合物が、シリコーン含有モノマーを含有しない、[1]に記載の眼科デバイス。
[23]
眼科デバイスを作製する方法であって、
(a)(i)多量の1つ以上の第1の非シリコーン含有親水性モノマーと、(ii)1つ以上の疎水性モノマーと、(iii)(1)1つ以上のジ、トリ、またはテトラ(メタ)アクリレート含有架橋剤および(2)1つ以上のジ、トリ、またはテトラカルバメート含有架橋剤を含む架橋剤混合物と、を含む、モノマー混合物を提供することと、
(b)前記モノマー混合物を重合条件に供して、重合されたデバイスを提供することと、
(c)前記重合されたデバイスを抽出することであって、前記眼科デバイスが、少なくとも約65重量パーセントの平衡含水率を有する、抽出することと、を含む、方法。