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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】眼科用デバイス
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/04 20060101AFI20230928BHJP
   G02C 7/02 20060101ALI20230928BHJP
   G02C 7/00 20060101ALI20230928BHJP
   C08F 20/02 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G02C7/04
G02C7/02
G02C7/00
C08F20/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021531444
(86)(22)【出願日】2018-08-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 US2018046219
(87)【国際公開番号】W WO2020032973
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-06-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391008847
【氏名又は名称】ボシュ・アンド・ロム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAUSCH & LOMB INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヌニェス、アイバン、エム.
(72)【発明者】
【氏名】コーラード、リン
(72)【発明者】
【氏名】フック、ダニエル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ステファン、ロバート ビー.
(72)【発明者】
【氏名】アモン、ダニエル エム.
(72)【発明者】
【氏名】ハント、ジェニファー エム.
(72)【発明者】
【氏名】マーク、アナルス
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-530279(JP,A)
【文献】特表2016-527563(JP,A)
【文献】特表2015-528048(JP,A)
【文献】特表2010-533232(JP,A)
【文献】特表2015-519958(JP,A)
【文献】特開2013-190823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 7/04
G02C 7/02
G02C 7/00
C08F 20/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用デバイスであって、(a)モノマー混合物の総重量に対して、少なくとも70重量パーセントの1つ以上の非シリコーン含有親水性モノマーと、(b)(i)前記モノマー混合物の総重量に対して0.1~2.0重量パーセントの少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含む1つ以上の第1の架橋剤であって、前記少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基が(メタ)アクリレート含有反応性末端基である、1つ以上の第1の架橋剤と、(ii)前記モノマー混合物の前記総重量に対して0.05~2.0重量パーセントの少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含む1つ以上の第2の架橋剤であって、前記エチレン性不飽和反応性末端基のうちの少なくとも1つが非(メタ)アクリレート反応性末端基である、1つ以上の第2の架橋剤と、を含む架橋剤混合物と、(c)モノマー混合物の総重量に対して、0.5~20重量パーセントの1つ以上の親水性単位および可逆的付加開裂連鎖移動(「RAFT」)剤のチオカルボニルチオ断片を含む1つ以上の親水性ポリマーまたはコポリマーと、を含むモノマー混合物の重合生成物であって、前記眼科用デバイスが、少なくとも50重量パーセントの平衡含水量、及び30°~70°の捕捉気泡接触角を有する、眼科用デバイス。
【請求項2】
前記1つ以上の非シリコーン含有親水性モノマーが、アミド、環状ラクタム、ヒドロキシル含有(メタ)アクリレート、重合性基で官能化されたポリ(アルケングリコール)、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の眼科用デバイス。
【請求項3】
前記1つ以上の非シリコーン含有親水性モノマーが、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-2-ピペリドン、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、N-(2-ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、グリセリルメタクリレート、N-メタクリロイルグリシン、(2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルプロピル)-4-メトキシフェニルエーテル、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の眼科用デバイス。
【請求項4】
前記1つ以上の第1の架橋剤が、アルキレングリコール含有ジ(メタ)アクリレート架橋剤、アルキレングリコール含有トリ(メタ)アクリレート架橋剤、アルキレングリコール含有テルトラ(メタ)アクリレート架橋剤、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の眼科用デバイス。
【請求項5】
前記1つ以上の第2の架橋剤が、ジ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、ジ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、ジ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、ジ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、ジ(O-ビニルカーボネート)含有架橋剤、ジ(O-アリルカーボネート)含有架橋剤、トリ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、トリ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、トリ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、トリ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、トリ(O-ビニルカーボネート)含有架橋剤、トリ(O-アリルカーボネート)含有架橋剤、テトラ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(O-ビニルカーボネート)含有架橋剤、テトラ(O-アリルカーボネート)含有架橋剤、イソシアヌレート含有架橋剤、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の眼科用デバイス。
【請求項6】
前記1つ以上の親水性ポリマーまたはコポリマーの前記チオカルボニルチオ断片が、ジチオエステル基、キサンタート基、ジチオカルバメート基、またはトリチオカーボネート基を含むRAFT剤のものである、請求項1から5のいずれか一項に記載の眼科用デバイス。
【請求項7】
前記1つ以上の親水性ポリマーまたはコポリマーの前記1つ以上の親水性単位が、不飽和カルボン酸、アクリルアミド、環状ラクタム、ポリ(アルキレンオキシ)(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシル含有-(メタ)アクリレート、親水性ビニルカーボネート、親水性ビニルカルバメートモノマー、親水性オキサゾロンモノマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の親水性モノマーに由来する、請求項1から6のいずれか一項に記載の眼科用デバイス。
【請求項8】
前記1つ以上の親水性ポリマーまたはコポリマーが、少なくとも30キロダルトン(kDa)の数平均分子量を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の眼科用デバイス。
【請求項9】
前記1つ以上の親水性ポリマーまたはコポリマーが、ポリエチレングリコール(PEG)-200メタクリレート、PEG-400メタクリレート、PEG-600メタクリレート、PEG-1000メタクリレート、およびそれらの混合物からなる群から選択されるエチレン性不飽和重合性アルコキシル化ポリマーに由来する単位をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の眼科用デバイス。
【請求項10】
前記モノマー混合物が、紫外線(UV)遮断剤をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の眼科用デバイス。
【請求項11】
前記1つ以上の非シリコーン含有親水性モノマーが、ヒドロキシル含有(メタ)アクリレートを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の眼科用デバイス。
【請求項12】
前記眼科用デバイスがコンタクトレンズ及びヒドロゲルのいずれか一つである、請求項1から11のいずれか一項に記載の眼科用デバイス。
【請求項13】
前記モノマー混合物が、シリコーン含有モノマーを含まない、請求項1から12のいずれか一項に記載の眼科用デバイス。
【請求項14】
眼科用デバイスを作製するための方法であって、
(a)(i)モノマー混合物の総重量に対して、少なくとも70重量パーセントの1つ以上の非シリコーン含有親水性モノマーと、(ii)(1)前記モノマー混合物の総重量に対して0.1~2.0重量パーセントの少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含む1つ以上の第1の架橋剤であって、前記少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基が(メタ)アクリレート含有反応性末端基である、1つ以上の第1の架橋剤と、(2)前記モノマー混合物の前記総重量に対して0.05~2.0重量パーセントの少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含む1つ以上の第2の架橋剤であって、前記エチレン性不飽和反応性末端基のうちの少なくとも1つが非(メタ)アクリレート反応性末端基である、1つ以上の第2の架橋剤と、を含む架橋剤混合物と、(iii)モノマー混合物の総重量に対して、0.5~20重量パーセントの1つ以上の親水性単位およびRAFT剤のチオカルボニルチオ断片を含む1つ以上の親水性ポリマーまたはコポリマーと、含むモノマー混合物を提供することと、
(b)前記モノマー混合物を重合条件に供して、重合されたデバイスを提供することと、
(c)前記重合されたデバイスを水和することであって、前記眼科用デバイスが、少なくとも50重量パーセントの平衡含水量、及び30°~70°の捕捉気泡接触角を有する、重合されたデバイスを水和することと、
を含、方法。
【請求項15】
前記1つ以上の非シリコーン含有親水性モノマーがヒドロキシル含有(メタ)アクリレートを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してコンタクトレンズなどの眼科用デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトレンズなどの眼科用デバイスは、剛直なガス透過性材料、軟質エラストマー材料、および軟質ヒドロゲル材料を含む様々な高分子材料で作られている。現在販売されているコンタクトレンズの大多数は、軟質ヒドロゲル材料で作られている。ヒドロゲルは、水を典型的には10~80重量パーセント、そして特に20~70パーセントの水を吸収し、かつ保持する架橋ポリマー系である。ヒドロゲルレンズは、一般に、少なくとも1つの親水性モノマー、例えば2-ヒドロキシエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ビニル-2-ピロリドン、グリセロールメタクリレート、およびメタクリル酸を含むレンズ形成モノマー混合物を重合することによって調製される。シリコーンヒドロゲルレンズの場合、シリコーン含有モノマーは親水性モノマーと共重合している。それらの含水量に関係なく、ヒドロゲルおよび非ヒドロゲルシロキシならびに/またはフッ素化コンタクトレンズは両方とも、比較的疎水性で非湿潤性の表面を有する傾向がある。
【0003】
コンタクトレンズなどの眼科用デバイスの分野では、様々な物理的および化学的特性(酸素透過性、濡れ性、材料強度、および安定性など)は、しかし有用なコンタクトを提供するために注意深くバランスをとる必要がある因子のほんの一部にすぎない。例えば、角膜は大気との接触により酸素供給を受けるので、酸素透過性は特定のコンタクトレンズ材料に対しては重要な特性である。レンズが十分に濡れない場合、レンズは潤滑されたままにならず、したがって眼に快適に装用することができないという点で、濡れ性も重要である。したがって、最適なコンタクトレンズは、少なくとも優れた酸素透過性および優れた涙液濡れ性の両方を有することになる。
【0004】
コンタクトレンズ表面の親水性を高めると、コンタクトレンズの濡れ性が向上することが知られている。そして、これはレンズの改善された装用快適性に関連する。さらに、レンズの表面は、レンズ装用中の涙液からのタンパク質および脂質の沈着に対するレンズの全体的な感受性に影響を与える可能性がある。沈着物が蓄積すると、目の不快感または炎症さえ引き起こす可能性がある。長時間装用レンズ、すなわち、睡眠前に毎日取り外さずに使用されるレンズの場合、表面は特に重要である。長時間装用レンズは、長期間にわたる高水準の快適性および生体適合性に対して設計されなければならないためである。したがって、改善された表面品質をもたらす可能性がある新しい配合物が依然として望ましい。
【0005】
したがって、生体適合性でもありながら身体との長時間の接触のために、好適な物理的および化学的特性、例えば、酸素透過性、潤滑性、および濡れ性を示す、改善された眼科用デバイス(コンタクトレンズなど)を提供することが望ましいことになる。単純で費用対効果が高い方法で、製造するのが容易な改善された眼科用デバイスを提供することがさらに望ましいことになる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、(a)多量の1つ以上の非シリコーン含有親水性モノマーと、(b)(i)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含む1つ以上の第1の架橋剤であって、少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基が(メタ)アクリレート含有反応性末端基である、1つ以上の第1の架橋剤と、(ii)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含む1つ以上の第2の架橋剤であって、エチレン性不飽和反応性末端基のうちの少なくとも1つが非(メタ)アクリレート反応性末端基である、1つ以上の第2の架橋剤と、を含む架橋剤混合物と、(c)1つ以上の親水性単位および可逆的付加開裂連鎖移動(「RAFT」)剤のチオカルボニルチオ断片を含む1つ以上の親水性ポリマーまたはコポリマーと、を含むモノマー混合物の重合生成物である眼科用デバイスが提供され、眼科用デバイスは、少なくとも約45重量パーセントの平衡含水量を有する。
【0007】
本発明の第2の実施形態によれば、(a)(i)多量の1つ以上の非シリコーン含有親水性モノマーと、(ii)(1)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含む1つ以上の第1の架橋剤であって、少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基が(メタ)アクリレート含有反応性末端基である、1つ以上の第1の架橋剤と、(2)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含む1つ以上の第2の架橋剤であって、エチレン性不飽和反応性末端基のうちの少なくとも1つが非(メタ)アクリレート反応性末端基である、1つ以上の第2の架橋剤と、を含む架橋剤混合物と、(iii)1つ以上の親水性単位およびRAFT剤のチオカルボニルチオ断片を含む1つ以上の親水性ポリマーまたはコポリマーと、含むモノマー混合物を提供することと、(b)モノマー混合物を重合条件に供して、重合したデバイスを提供することと、(c)重合したデバイスを水和することであって、眼科用デバイスが、少なくとも約45重量パーセントの平衡含水量を有する、重合したデバイスを水和することと、を含む眼科用デバイスを作製するための方法が提供される。
【0008】
本発明の眼科用デバイスは、(a)多量の1つ以上の第1の非シリコーン含有親水性モノマーと、(b)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含む1つ以上の第1の架橋剤であって、少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基が(メタ)アクリレート含有反応性末端基である、1つ以上の第1の架橋剤と、(ii)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含む1つ以上の第2の架橋剤であって、エチレン性不飽和反応性末端基のうちの少なくとも1つが非(メタ)アクリレート反応性末端基である、1つ以上の第2の架橋剤と、を含む架橋剤混合物と、(c)1つ以上の親水性単位およびRAFT剤のチオカルボニルチオ断片を含む1つ以上の親水性ポリマーまたはコポリマーと、を含むモノマー混合物を重合することにより、身体との長時間の接触のために、好適な物理的および化学的特性、例えば、酸素透過性、潤滑性、および濡れ性を有利に呈し、眼科用デバイスは、少なくとも約45重量パーセントの平衡含水量を有する。さらに、本発明の眼科用デバイスは、有利なことに、改善された寸法安定性、より低い抽出物、ならびに改善された引き裂き抵抗および弾性率を呈する。
なお、下記[1]から[23]は、いずれも本発明の一形態又は一態様である。
[1]
眼科用デバイスであって、(a)多量の1つ以上の非シリコーン含有親水性モノマーと、(b)(i)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含む1つ以上の第1の架橋剤であって、前記少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基が(メタ)アクリレート含有反応性末端基である、1つ以上の第1の架橋剤と、(ii)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含む1つ以上の第2の架橋剤であって、前記エチレン性不飽和反応性末端基のうちの少なくとも1つが非(メタ)アクリレート反応性末端基である、1つ以上の第2の架橋剤と、を含む架橋剤混合物と、(c)1つ以上の親水性単位および可逆的付加開裂連鎖移動(「RAFT」)剤のチオカルボニルチオ断片を含む1つ以上の親水性ポリマーまたはコポリマーと、を含むモノマー混合物の重合生成物であって、前記眼科用デバイスが、少なくとも約45重量パーセントの平衡含水量を有する、眼科用デバイス。
[2]
前記モノマー混合物中に存在する前記多量の前記1つ以上の非シリコーン含有親水性モノマーが、前記モノマー混合物の総重量に対して、約50重量パーセントを超える量である、[1]に記載の眼科用デバイス。
[3]
前記1つ以上の非シリコーン含有親水性モノマーが、アミド、環状ラクタム、ヒドロキシル含有(メタ)アクリレート、重合性基で官能化されたポリ(アルケングリコール)、およびそれらの混合物からなる群から選択される、[1]に記載の眼科用デバイス。
[4]
前記アミドが、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、およびそれらの混合物からなる群から選択される、[3]に記載の眼科用デバイス。
[5]
前記環状ラクタムが、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-2-ピペリドン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、[3]に記載の眼科用デバイス。
[6]
前記1つ以上の非シリコーン含有親水性モノマーが、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-2-ピペリドン、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、N-(2-ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、グリセリルメタクリレート、N-メタクリロイルグリシン、(2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルプロピル)-4-メトキシフェニルエーテル、およびそれらの混合物からなる群から選択される、[1]に記載の眼科用デバイス。
[7]
前記1つ以上の第1の架橋剤が、アルキレングリコール含有ジ(メタ)アクリレート架橋剤、アルキレングリコール含有トリ(メタ)アクリレート架橋剤、アルキレングリコール含有テルトラ(メタ)アクリレート架橋剤、およびそれらの混合物からなる群から選択される、[1]に記載の眼科用デバイス。
[8]
前記アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート架橋剤が、最大10個のエチレングリコール単位を有するエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである、[7]に記載の眼科用デバイス。
[9]
前記1つ以上の第2の架橋剤が、ジ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、ジ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、ジ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、ジ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、ジ(O-ビニルカーボネート)含有架橋剤、ジ(O-アリルカーボネート)含有架橋剤、トリ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、トリ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、トリ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、トリ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、トリ(O-ビニルカーボネート)含有架橋剤、トリ(O-アリルカーボネート)含有架橋剤、テトラ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、テトラ(O-ビニルカーボネート)含有架橋剤、テトラ(O-アリルカーボネート)含有架橋剤、イソシアヌレート含有架橋剤、およびそれらの混合物からなる群から選択される、[1]に記載の眼科用デバイス。
[10]
前記1つ以上の第2の架橋剤が、ジエチレングリコールビス(N-ビニルカルバメート)、ジエチレングリコールビス(N-アリルカルバメート)、ジエチレングリコールビス(O-ビニルカルバメート)、ジエチレングリコールビス(O-アリルカルバメート)、1,4-ブタンジオールビス(N-ビニルカルバメート)、エチレングリコールビス(O-ビニルカーボネート)、ジエチレングリコールビス(O-ビニルカーボネート)、1,4-ブタンジオールビス(O-ビニルカーボネート)、アリルメタクリレート、およびそれらの混合物からなる群から選択される、[1]に記載の眼科用デバイス。
[11]
1つ以上の第1の架橋剤が、前記モノマー混合物の前記総重量に対して約0.1~約2.0重量パーセントの量で前記モノマー混合物中に存在し、かつ前記1つ以上の第2の架橋剤が、前記モノマー混合物の前記総重量に対して約0.05~約2.0重量パーセントの量で前記モノマー混合物中に存在する、[1]に記載の眼科用デバイス。
[12]
前記親水性ポリマーまたはコポリマーの前記チオカルボニルチオ断片が、ジチオエステル基、キサンタート基、ジチオカルバメート基、またはトリチオカーボネート基を含むRAFT剤のものである、[1]に記載の眼科用デバイス。
[13]
前記1つ以上の親水性ポリマーまたはコポリマーの前記1つ以上の親水性単位が、不飽和カルボン酸、アクリルアミド、環状ラクタム、ポリ(アルキレンオキシ)(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシル含有-(メタ)アクリレート、親水性ビニルカーボネート、親水性ビニルカルバメートモノマー、親水性オキサゾロンモノマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の親水性モノマーに由来する、[1]に記載の眼科用デバイス。
[14]
前記1つ以上の親水性ポリマーまたはコポリマーが、少なくとも約30キロダルトン(kDa)の数平均分子量を有する、[1]に記載の眼科用デバイス。
[15]
前記1つ以上の親水性ポリマーまたはコポリマーが、少なくとも約45kDaの数平均分子量を有する、[1]に記載の眼科用デバイス。
[16]
前記1つ以上の親水性ポリマーまたはコポリマーが、少なくとも約60kDaの数平均分子量を有する、[1]に記載の眼科用デバイス。
[17]
前記1つ以上の親水性ポリマーまたはコポリマーが、ポリエチレングリコール(PEG)-200メタクリレート、PEG-400メタクリレート、PEG-600メタクリレート、PEG-1000メタクリレート、およびそれらの混合物からなる群から選択されるエチレン性不飽和重合性アルコキシル化ポリマーに由来する単位をさらに含む、[1]に記載の眼科用デバイス。
[18]
前記モノマー混合物が、紫外線(UV)遮断剤をさらに含む、[1]に記載の眼科用デバイス。
[19]
約30°~約70°の捕捉気泡接触角を有する、[1]に記載の眼科用デバイス。
[20]
前記眼科用デバイスがコンタクトレンズである、[1]に記載の眼科用デバイス。
[21]
前記眼科用デバイスがヒドロゲルである、[1]に記載の眼科用デバイス。
[22]
前記モノマー混合物が、シリコーン含有モノマーを含まない、[1]に記載の眼科用デバイス。
[23]
眼科用デバイスを作製するための方法であって、
(a)(i)多量の1つ以上の非シリコーン含有親水性モノマーと、(ii)(1)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含む1つ以上の第1の架橋剤であって、前記少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基が(メタ)アクリレート含有反応性末端基である、1つ以上の第1の架橋剤と、(2)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含む1つ以上の第2の架橋剤であって、前記反応性末端基のうちの少なくとも1つが非(メタ)アクリレート反応性末端基である、1つ以上の第2の架橋剤と、を含む架橋剤混合物と、(iii)1つ以上の親水性単位およびRAFT剤のチオカルボニルチオ断片を含む1つ以上の親水性ポリマーまたはコポリマーと、含むモノマー混合物を提供することと、
(b)前記モノマー混合物を重合条件に供して、重合されたデバイスを提供することと、
(c)前記重合されたデバイスを水和することであって、前記眼科用デバイスが、少なくとも約45重量パーセントの平衡含水量を有する、重合されたデバイスを水和することと、
を含む、方法
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載の例示的な実施形態は、眼科用デバイスに関する。例示的な実施形態は、様々な眼科用デバイスに適用可能であるが、1つの特定の例示的な実施形態は、コンタクトレンズに対して特に有用であり、有利である。本明細書で使用する場合、用語「眼科用デバイス」および「レンズ」は、眼の中または眼上に存在するデバイスを指す。これらのデバイスは、光学的矯正、創傷ケア、薬物送達、診断機能、もしくは美容の強化、またはこれらの特性の任意の組み合わせを提供することができる。このようなデバイスの代表的な例としては、ソフトコンタクトレンズ(例えば、ソフト、ヒドロゲルレンズ、ソフト、非ヒドロゲルレンズ等)、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼内インサート、光学インサート、包帯レンズ、および治療用レンズ等が挙げられるが、これらに限定されない。当業者によって理解されるように、レンズは、それが破損することなくそれ自体の上に折り返すことができる場合、「ソフト」と見なされる。眼科用デバイス、例えば、例示的な実施形態のコンタクトレンズは、球形、トーリック、遠近両用とすることができ、美容用の色合い、不透明な美容用パターン、それらの組み合わせ等を含んでもよい。
【0010】
1つの例示的な実施形態では、眼科用デバイスは、少なくとも約45重量パーセントの平衡含水量を有することになる。別の例示的な実施形態では、眼科用デバイスは、少なくとも約50重量パーセントの平衡含水量を有することになる。別の例示的な実施形態では、眼科用デバイスは、少なくとも約60重量パーセントの平衡含水量を有することになる。別の例示的な実施形態では、眼科用デバイスは、約50重量パーセント~約65重量パーセントの平衡含水量を有することになる。別の例示的な実施形態では、眼科用デバイスは、約55重量パーセント~約65重量パーセントの平衡含水量を有することになる。例示的な一実施形態では、眼科用デバイスは、約30°~約70°の捕捉気泡接触角を有する。
【0011】
一般的に、眼科用デバイスは、(a)多量の1つ以上の第1の非シリコーン含有親水性モノマーと、(b)(i)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含む1つ以上の第1の架橋剤であって、少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基が(メタ)アクリレート含有反応性末端基である、1つ以上の第1の架橋剤と、(ii)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含む1つ以上の第2の架橋剤であって、エチレン性不飽和反応性末端基のうちの少なくとも1つであり、反応性末端基のうちの少なくとも1つが非(メタ)アクリレート反応性末端基である、1つ以上の第2の架橋剤と、を含む架橋剤混合物と、(c)1つ以上の親水性単位およびRAFT剤のチオカルボニルチオ断片を含む1つ以上の親水性ポリマーまたはコポリマーと、を含むモノマー混合物の重合生成物であって、少なくとも約45重量パーセントの平衡含水量を有する。当業者が容易に理解するように、1つ以上の第1の架橋剤を含む架橋剤混合物は少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含み、少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基は、(メタ)アクリレート含有反応性末端基、および少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含む1つ以上の第2の架橋剤であり、エチレン性不飽和反応性末端基のうちの少なくとも1つであり、反応性末端基のうちの少なくとも1つが非(メタ)アクリレート反応性末端基であり、かつ1つ以上の親水性単位およびRAFT剤のチオカルボニルチオ断片を含む1つ以上の親水性ポリマーまたはコポリマーは、互いに排他的である。例示的な一実施形態では、モノマー混合物は、シリコーン含有モノマーを含まない。
【0012】
本明細書で使用する場合、用語「(メタ)」は、任意選択的なメチル置換基を表す。したがって、「(メタ)アクリレート」などの用語は、メタクリレートまたはアクリレートのいずれかを示し、「(メタ)アクリルアミド」は、メタクリルアミドまたはアクリルアミドのいずれかを表す。
【0013】
好適な非シリコーン含有親水性モノマーとしては、アミド、環状ラクタム、ヒドロキシル含有(メタ)アクリレート、重合性基等で官能化されたポリ(アルケングリコール)、およびそれらの混合物が含まれる。アミドの代表的な例としては、アルキルアミド、例えばN,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド等、およびそれらの混合物が挙げられる。環状ラクタムの代表的な例としては、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-2-ピペリドン等、およびそれらの混合物が挙げられる。ヒドロキシル含有(メタ)アクリレートの代表的な例としては、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、グリセロールメタクリレート等、およびそれらの混合物が挙げられる。官能化ポリ(アルケングリコール)の代表的な例としては、モノメタクリレートまたはジメタクリレートエンドキャップを含む様々な鎖長のポリ(ジエチレングリコール)が挙げられる。一実施形態では、ポリ(アルケングリコール)ポリマーは、少なくとも2つのアルケングリコールモノマー単位を含む。さらに別の例は、米国特許第5,070,215号に開示されている親水性ビニルカーボネートまたはビニルカルバメートモノマー、および米国特許第4,910,277号に開示されている親水性オキサゾロンモノマーである。他の好適な親水性モノマーは、当業者には明らかであろう。前述の非シリコーン含有親水性モノマーの混合物はまた、本明細書のモノマー混合物にも使用することができる。
【0014】
例示的な一実施形態では、モノマー混合物は、多量の、1つ以上のヒドロキシル含有(メタ)アクリレートである1つ以上の第1の非シリコーン含有親水性モノマーを含むこと、。別の例示的な実施形態では、モノマー混合物は、多量の、2-ヒドロキシエチルメタクリレートである1つ以上の第1の非シリコーン含有親水性モノマーを含むことになる。
【0015】
一般的に、1つ以上の非シリコーン含有親水性モノマーは、モノマー混合物中に多量、例えばモノマー混合物の総重量に対して、少なくとも約70重量パーセントの量、もしくは少なくとも約70重量パーセントで、かつ最大約95重量パーセントの量、または、少なくとも約80重量パーセントの量、もしくは少なくとも約80重量パーセントで、かつ最大約95重量パーセントの量で存在する。
【0016】
モノマー混合物は、(i)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含む1つ以上の第1の架橋剤であって、エチレン性不飽和反応性末端基が(メタ)アクリレート含有反応性末端基である、1つ以上の第1の架橋剤と、(ii)少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含む1つ以上の第2の架橋剤であって、エチレン性不飽和反応性末端基のうちの少なくとも1つが非(メタ)アクリレート反応性末端基である、1つ以上の第2の架橋剤と、を含む架橋剤混合物をさらに含む。例示的な一実施形態では、有用な1つ以上の第1の架橋剤は少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含み、エチレン性不飽和反応性末端基は、(メタ)アクリレート含有反応性末端基であり、1つ以上のジ、トリ、またはテトラ(メタ)アクリレート含有架橋剤を含む。
【0017】
例示的な一実施形態では、有用な1つ以上のジ、トリ、またはテトラ(メタ)アクリレート含有架橋剤としては、アルカンポリオールジ、トリ、またはテトラ(メタ)アクリレート含有架橋剤、例えば、1つ以上のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート架橋剤、1つ以上のアルキレングリコールトリ(メタ)アクリレート架橋剤、1つ以上のアルキレングリコールテトラ(メタ)アクリレート架橋剤、1つ以上のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート架橋剤、アルカンジオールトリ(メタ)アクリレート架橋剤、アルカンジオールテトラ(メタ)アクリレート架橋剤、薬剤、1つ以上のアルカントリオールジ(メタ)アクリレート架橋剤、アルカントリオールトリ(メタ)アクリレート架橋剤、アルカントリオールテトラ(メタ)アクリレート架橋剤、薬剤、1つ以上のアルカンテトラオールジ(メタ)アクリレート架橋剤、アルカンテトラオールトリ(メタ)アクリレート架橋剤、アルカンテトラオールテトラ(メタ)アクリレート架橋剤等、およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0018】
一実施形態では、1つ以上のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート架橋剤としては、テトラエチレングリコールジメタクリレート、最大約10個のエチレングリコール繰り返し単位を有するエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。一実施形態では、1つ以上のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート架橋剤としては、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート架橋剤、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。一実施形態では、1つ以上のアルカントリオールトリ(メタ)アクリレート架橋剤は、トリメチロールプロパントリメタクリレート架橋剤である。一実施形態では、1つ以上のアルカンテトラオールテトラ(メタ)アクリレート架橋剤は、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート架橋剤である。
【0019】
例示的な一実施形態では、有用な1つ以上の第2の架橋剤は少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含み、エチレン性不飽和反応性末端基の少なくとも1つは、非(メタ)アクリレート反応性末端基であり、1つ以上のジ、トリ、またはテトラカルバメート含有架橋剤、1つ以上のジ、トリ、またはテトラカーボネート含有架橋剤、1つ以上のイソシアヌレート含有架橋剤等、およびそれらの混合物を含む。
【0020】
1つ以上のジ、トリ、またはテトラカルバメート含有架橋剤の代表的な例としては、1つ以上のジ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のジ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のジ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のジ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のトリ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のトリ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のトリ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のトリ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のテトラ(N-ビニルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のテトラ(N-アリルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のテトラ(O-ビニルカルバメート)含有架橋剤、1つ以上のテトラ(O-アリルカルバメート)含有架橋剤等、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0021】
1つ以上のジ、トリ、またはテトラカーボネート含有架橋剤の代表的な例としては、ジ(O-ビニルカーボネート)含有架橋剤、ジ(O-アリルカーボネート)含有架橋剤、トリ(O-ビニルカーボネート)含有架橋剤、トリ(O-アリルカーボネート)含有架橋剤、テトラ(O-ビニルカーボネート)含有架橋剤、テトラ(O-アリルカーボネート)含有架橋剤等、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0022】
1つ以上のイソシアヌレート含有架橋剤の代表的な例としては、1つ以上のジアリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルイソシアヌレート、トリビニルイソシアヌレート等、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0023】
一実施形態では、1つ以上のジカルバメート含有架橋剤は、以下の構造:
【化1】

(式中、xは0~10である)を有するビス(N-ビニルカルバメート)を含む。
【0024】
一実施形態では、1つ以上のジカルバメート含有架橋剤は、以下の構造:
【化2】

(式中、xは0~10である)を有するビス(O-ビニルカルバメート)を含む。
【0025】
一実施形態では、1つ以上のジカルバメート含有架橋剤は、ジエチレングリコールビス(N-ビニルカルバメート)、ジエチレングリコールビス(O-アリルカルバメート)等、およびそれらの混合物を含む。
【0026】
一実施形態では、1つ以上の第2の架橋剤は、ジエチレングリコールビス(N-ビニルカルバメート)、ジエチレングリコールビス(N-アリルカルバメート)、ジエチレングリコールビス(O-ビニルカルバメート)、ジエチレングリコールビス(O-アリルカルバメート)、およびそれらの混合物、1,4-ブタンジオールビス(N-ビニルカルバメート)、エチレングリコールビス(O-ビニルカーボネート)、ジエチレングリコールビス(O-ビニルカーボネート)、1,4-ブタンジオールビス(O-ビニルカーボネート)、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0027】
一実施形態では、少なくとも2つのエチレン性不飽和反応性末端基を含有する1つ以上の第2の架橋剤は、少なくとも1つのアリル含有反応性末端基および少なくとも1つの(メタ)アクリレート含有反応性末端基を含む。一実施形態では、1つ以上の第2の架橋剤は、アリルメタクリレートを含む。
【0028】
一般的に、1つ以上の第1および/または第2の架橋剤は、眼科用デバイス形成量でモノマー混合物中に存在する。一実施形態では、1つ以上の第1の架橋剤は、モノマー混合物の総重量に基づいて約0.1~約2.0重量パーセントの量でモノマー混合物中に存在し、また第2の架橋剤は、モノマー混合物の総重量に基づいて約0.05~約2.0重量パーセントの量でモノマー混合物中に存在する。
【0029】
モノマー混合物は、1つ以上の親水性単位およびRAFT剤のチオカルボニルチオ断片を含む1つ以上の親水性ポリマーまたはコポリマーをさらに含む。本明細書で使用する場合、「親水性ポリマーまたはコポリマー」という用語は、それを水溶性にする極性または帯電性の官能基を含む、親水性ポリマーまたはコポリマーを意味すると理解されるべきである。1つ以上の親水性単位およびRAFT剤のチオカルボニルチオ断片を含む親水性ポリマーまたはコポリマーは、RAFT重合によって調製される。すなわち、モノマーは、RAFTメカニズムにより重合されて、親水性ポリマーまたはコポリマー、例えば、ブロックのそれぞれおよびポリマー全体の分子量を正確に制御することができるブロックまたはランダムコポリマーを形成する。したがって、RAFT重合は、明確に定義された分子構造および低い多分散性を有するポリマーを調製することを可能にするラジカル重合技法である。
【0030】
本明細書での使用に好適なRAFT剤は、当業者に周知のチオカルボニルチオ化学物質に基づいている。RAFT剤は、例えば、キサンタート含有化合物、トリチオカーボネート含有化合物、ジチオカルバメート含有化合物、またはジチオエステル含有化合物とすることができ、各化合物はチオカルボニルチオ基を含む。本明細書で使用することができるRAFT剤の1つのクラスは、一般式:
【化3】

(式中、Zは、置換酸素(例えば、キサンタート(-O-R))、置換窒素(例えば、ジチオカルバメート(-NRR))、置換硫黄(例えば、トリチオカーボネート(-S-R))、置換もしくは非置換のC~C20アルキル、またはC~C25不飽和もしくは部分的もしくは完全に飽和した環(例えば、ジチオエステル(-R))もしくはカルボン酸含有基であり;Rは、独立して、直鎖または分枝の、置換または非置換のC~C30アルキル基、置換または非置換のC~C30シクロアルキル基、置換または非置換のC~C30シクロアルキルアルキル基、置換または非置換のC~C30シクロアルケニル基、置換または非置換C~C30アリール基、置換または非置換のC~C30アリールアルキル基、C~C20エステル基;エーテルまたはポリエーテル含有基;アルキルまたはアリールアミド基;アルキルまたはアリールアミン基;置換または非置換のC~C30ヘテロアリール基;置換または非置換のC~C30複素環;置換または非置換のC~C30ヘテロシクロアルキル基;置換または非置換のC~C30ヘテロアリールアルキル基;およびそれらの組み合わせである)のRAFT剤である。
【0031】
本明細書で使用するアルキル基の代表的な例には、例として、分子の残りの部分、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、メチレン、エチレン等に対して、不飽和を有する、もしくは有しない、1~約30個の炭素原子、好ましくは1~約12個の炭素原子の炭素原子および水素原子を含む直鎖または分枝アルキル鎖ラジカルが挙げられる。
【0032】
本明細書で使用するシクロアルキル基の代表的な例には、例として、約3~約30個の炭素原子、好ましくは3~約6個の炭素原子の置換または非置換の非芳香族単環系もしくは多環系、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ペルヒドロナフチル、アダマンチルおよびノルボルニル基、架橋環式基またはスプリロ二環式基、例えば、スピロ-(4,4)-ノン-2-イル等が挙げられ、任意選択的に1つ以上のヘテロ原子、例えばOおよびN等を含む。
【0033】
本明細書で使用するシクロアルキルアルキル基の代表的な例には、例として、安定した構造、例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルエチル、シクロペンチルエチル等などの形成をもたらすアルキル基からの任意の炭素でモノマーの主構造に結合するアルキル基に直接結合する、約3~約30個の炭素原子、好ましくは3~約6個の炭素原子を含む置換または非置換の環式環含有ラジカルが挙げられ、環式環は、任意選択的に1つ以上のヘテロ原子、例えば、OおよびN等を含むことができる。
【0034】
本明細書で使用するシクロアルケニル基の代表的な例には、例として、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、約3~約30個の炭素原子、好ましくは3~約6個の炭素原子を含む置換または非置換の環式環含有ラジカル、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル等などが挙げられ、環式環は、任意選択的に応じて1つ以上のヘテロ原子、例えば、OおよびN等を含むことができる。
【0035】
本明細書で使用するアリール基の代表的な例には、例として、約5~約30個の炭素原子を含む置換または非置換のモノ芳香族またはポリ芳香族ラジカル、例えば、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル、ビフェニル等などが挙げられ、任意選択的に1つ以上のヘテロ原子、例えば、OおよびN等を含む。
【0036】
本明細書で使用するアリールアルキル基の代表的な例には、例として、本明細書で定義されるようなアルキル基に直接結合した、本明細書で定義されるような置換または非置換のアリール基、例えば、-CH、-C等が挙げられ、アリール基は任意選択的に1つ以上のヘテロ原子、例えば、OおよびN等を含むことができる。
【0037】
本明細書で使用するエステル基の代表的な例には、例として、1から20個の炭素原子を有するカルボン酸エステル等が挙げられる。
【0038】
本明細書で使用するエーテルまたはポリエーテル含有基の代表的な例には、例として、アルキルエーテル、シクロアルキルエーテル、シクロアルキルアルキルエーテル、シクロアルケニルエーテル、アリールエーテル、アリールアルキルエーテルが挙げられ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、アリール、およびアリールアルキル基は本明細書で定義されているとおりである。例示的なエーテルまたはポリエーテル含有基には、例として、アルキレンオキシド、ポリ(アルキレンオキシド)類、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなど、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)、およびそれらの混合物またはコポリマー、一般式-(ROR(式中、Rは、本明細書で定義されるような結合、置換または非置換のアルキル、シクロアルキルまたはアリール基であり、Rは、本明細書で定義されるような置換または非置換のアルキル、シクロアルキル、またはアリール基であり、またtは少なくとも1であり、例えば、-CHCHOCおよびCH-CH-CH-O-CH-(CF)z-H(ここで、zは1~6である)、-CHCHOC等である)のエーテルまたはポリエーテル基が挙げられる。
【0039】
本明細書で使用するアルキルまたはアリールアミド基の代表的な例には、例として、一般式-RC(O)NR(式中、R、R、およびRは、独立してC~C30炭化水素であり、例えばRは、本明細書で定義されるようなアルキレン基、アリーレン基、シクロアルキレン基とすることができ、またRおよびRは、アルキル基、アリール基、およびシクロアルキル基等とすることができる)のアミドが挙げられる。
【0040】
本明細書で使用するアルキルまたはアリールアミン基の代表的な例には、例として、一般式-RNR(式中、Rは、C~C30アルキレン、アリーレン、またはシクロアルキレンであり、RおよびRは、独立してC~C30炭化水素であり、例えば、本明細書で定義されるようなアルキル基、アリール基、またはシクロアルキル基などである)のアミンが挙げられる。
【0041】
本明細書で使用する複素環式基の代表的な例には、例として、炭素原子および1~5個のヘテロ原子、例えば、窒素、リン、酸素、硫黄、およびその混合物を含む、置換または非置換の安定な3~約30員環ラジカルが含まれる。本明細書で使用するのに好適な複素環式環ラジカルは、単環式、二環式、または三環式環系であってもよく、これは、縮合、架橋またはスピロ環系を含んでもよく、そして複素環式環ラジカル中の窒素、リン、炭素、酸素、または硫黄原子は、任意選択的に様々な酸化状態に酸化されてもよい。さらに、窒素原子は任意選択的に四級化されてもよく、環ラジカルは、部分的または完全に飽和していてもよい(すなわち、ヘテロ芳香族またはヘテロアリール芳香族)。このような複素環式環ラジカルの例としては、アゼチジニル、アクリジニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、ベンゾフルニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジオキソラニル、インドリジニル、ナフチリジニル、ペルヒドロアゼピニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピリジル、プテリジニル、プリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラゾイル、イミダゾリル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、2-オキソアゼピニル、アゼピニル、ピロリル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、トリアゾリル、インダニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリル、チアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、キヌクリジニル、イソチアゾリジニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、キノリル、イソキノリル、デカヒドロイソキノリル、ベンズイミダゾリル、チアジアゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フリル、テトラヒドロフルチル、テトラヒドロピラニル、チエニル、ベンゾチエニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、ジオキサホスホラニル、オキサジアゾリル、クロマニル、イソクロマニル等、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
本明細書で使用するヘテロアリール基の代表的な例には、例として、本明細書で定義されるような置換または非置換の複素環式環ラジカルが挙げられる。ヘテロアリール環ラジカルは、安定した構造の形成をもたらす任意のヘテロ原子または炭素原子で主構造に結合することができる。
【0043】
本明細書で使用するヘテロアリールアルキル基の代表的な例には、例として、本明細書で定義されるようなアルキル基に直接結合した、本明細書で定義されるような置換または非置換のヘテロアリール環ラジカルが挙げられる。ヘテロアリールアルキルラジカルは、安定した構造の形成をもたらすアルキル基からの任意の炭素原子で主構造に結合されてもよい。
【0044】
本明細書で使用する複素環式基の代表的な例には、例として、本明細書で定義されるような置換または非置換の複素環式環ラジカルが挙げられる。複素環式環ラジカルは、安定した構造の形成をもたらす任意のヘテロ原子または炭素原子で主構造に結合されてもよい。
【0045】
本明細書で使用するヘテロシクロアルキル基の代表的な例には、例として、本明細書で定義されるアルキル基に直接結合した、本明細書で定義されるような置換または非置換の複素環式環ラジカルが挙げられる。ヘテロシクロアルキルラジカルは、安定した構造の形成をもたらすアルキル基の任意の炭素原子で主構造に結合されてもよいすることができる。
【0046】
「置換酸素」、「置換窒素」、「置換硫黄」、「置換アルキル」、「置換アルキレン」、「置換シクロアルキル」、「置換シクロアルキルアルキル」、「置換シクロアルケニル」、「置換アリールアルキル」、「置換アリール」、「置換複素環式環」、「置換ヘテロアリール環」、「置換ヘテロアリールアルキル」、「置換ヘテロシクロアルキル環」、「置換環式環」内の置換基は、同じであっても異なっていてもよく、また1つ以上の置換基、例えば、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、カルボキシル、シアノ、ニトロ、オキソ(=O)、チオ(=S)、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換アリール、置換または非置換アリールアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換シクロアルケニル、置換または非置換アミノ、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換ヘテロシクロアルキル環、置換または非置換ヘテロアリールアルキル、置換または非置換複素環式環等、を含んでもよい。
【0047】
本明細書で使用するカルボン酸含有基の代表的な例には、例として、例えば、一般式-R11C(O)OH、(式中、R11は、本明細書で定義されるような結合、置換もしくは非置換アルキレン基、置換もしくは非置換シクロアルキレン基、置換もしくは非置換シクロアルキルアルキレン基、置換もしくは非置換アリーレン、または置換もしくは非置換アリールアルキレン基、例えば、-CH(Ar)(C(O)OH)、-C(CH)(C(O)OH)等である)の連結基を介して分子の残りの部分に結合したカルボン酸基が挙げられ、カルボン酸基は、置換基に結合することができ、またはアルキレン基、シクロアルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アリーレンもしくはアリールアルキレン基に直接結合することができる。
【0048】
本明細書で使用するためのRAFT剤の代表的な例としては、ベンジルドデシルトリチオカーボネート、エチル-2-ドデシルトリチオカルボニル)プロピオネート、S-secプロピオン酸O-エチルキサンテート、α-エチルキサンチルフェニル酢酸、エチルα-(o-エチルキサンテート)プロピオン酸、エチルα-(エチルキサンチル)フェニルアセテート、エチル2-(ドデシルトリチオカルボニル)フェニルアセテート、エチル2-(ドデシルトリチオカルボニル)プロピオン酸、2-(ドデシルチオカルボニルチオール)プロパン酸等、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
本明細書で使用するためのRAFT剤の代表的な例としては、以下に記載のカルボン酸トリチオカーボネート:
【化4】

以下に記載のベンジルトリチオカーボネート:
【化5】

下記の式のキサンタート:
【化6】

(式中、xは0~23である)、
【化7】

(式中、xは0~23である)、
下記のシアノRAFT剤:
【化8】

下記のジチオベンゾアト:
【化9】

が挙げられる。
【0050】
RAFT剤を形成するために使用される有機化学物質に特別な制限はなく、当業者の範囲内である。また、以下の作業例はガイダンスを提供する。例えば、RAFT剤を、以下のスキームI~Vに例示されるように調製することができる。
【化10-1】

【化10-2】
【0051】
RAFT剤のチオカルボニルチオ断片に加えて、本明細書に記載の親水性ポリマーまたはコポリマーは、1つ以上の親水性単位も含む。一般的に、親水性単位は、少なくとも1つの親水性モノマーに由来する。好適な親水性モノマーには、例として、アクリルアミド、例えば、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド等;アセトアミド、例えば、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルアセトアミド等;ホルムアミド、例えば、N-ビニル-N-メチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド等;環状ラクタム、例えば、N-ビニル-2-ピロリドン等;(メタ)アクリレート化アルコール、例えば、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート等;(メタ)アクリレート化ポリ(エチレングリコール)類等;エチレン性不飽和カルボン酸、例えば、メタクリル酸、アクリル酸等、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0052】
一実施形態では、RAFT剤のチオカルボニルチオ断片を含む親水性ポリマーまたはコポリマーはまた、開環反応性官能基を有するエチレン性不飽和重合性モノマーに由来する1つ以上の親水性単位も含むことができる。そのようなモノマーは、1つ以上の開環反応性基、例えば、アズラクトン、エポキシ、酸無水物等を含んでもよい。開環反応性官能基を有する好適な重合性モノマーは、メタクリル酸グリシジル(GMA)、無水マレイン酸、無水イタコン酸等、およびそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。開環反応性官能基を有するエチレン性不飽和重合性モノマーに由来する単位は、親水性コモノマーと共重合して、得られる親水性ポリマー中に親水性単位を形成することができる。本発明による眼科用デバイスを調製するために使用される親水性ポリマーまたはコポリマーを形成するためにモノマーの開環反応性官能基と共重合するのに有用なコモノマーの非限定的な例としては、ジメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を伴う上記のものが挙げられ、そして/またはN-ビニルピロリドンが好ましい。あるいは、開環反応性官能基を有するエチレン性不飽和重合性親水性モノマーに由来する単位は、例えば水で加水分解することによって開環反応に供することができ、そして得られた親水性ポリマー中に親水性単位を形成することができる。
【0053】
一実施形態では、RAFT剤のチオカルボニルチオ断片を含む親水性ポリマーまたはコポリマーはまた、エチレン性不飽和重合性アルコキシル化ポリマーに由来する単位も含むことができる。好適なエチレン性不飽和重合性アルコキシル化ポリマーには、例として、例えば最大約2000の数平均分子量を有する重合性ポリエチレングリコール(CTFA名がPEG-200、PEG-400、PEG-600、PEG-1000のもの、およびそれらの混合物など)が挙げられる。代表的な例としては、PEG-200メタクリレート、PEG-400メタクリレート、PEG-600メタクリレート、PEG-1000メタクリレート等、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0054】
一実施形態では、エチレン性不飽和重合性アルコキシル化ポリマーに由来する単位のサイズは、大きく変化することができ、例えば、単位数は、重合生成物中の総単位数の0から約20モル%の範囲、または重合生成物中の総単位数の1~約10モル%の範囲とすることができる。
【0055】
得られる親水性ポリマーまたはコポリマーは、ホモポリマー、ブロックコポリマー、およびランダムコポリマーの形態とすることができる。例示的な一実施形態では、1つ以上の親水性ポリマーまたはコポリマーは、少なくとも約30キロダルトン(kDa)の数平均分子量、例えば、約30kDa~約125kDaの数平均分子量を有することになる。例示的な一実施形態では、1つ以上の親水性ポリマーまたはコポリマーは、少なくとも約45kDaの数平均分子量、例えば、約45kDa~約100kDaの数平均分子量を有することになる。例示的な一実施形態では、1つ以上の親水性ポリマーまたはコポリマーは、少なくとも約60kDaの数平均分子量、例えば、約60kDa~約80kDaの数平均分子量を有することになる。一般的に、1つ以上の親水性ポリマーまたはコポリマーの数平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)(ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)とも呼ばれる)によって決定することができる。
【0056】
上記のように、RAFT剤のチオカルボニルチオ断片を含む親水性ポリマーまたはコポリマーを調製するための方法は、当業者の範囲内である。親水性ポリマーを調製するための代表的なスキームは、以下のスキームVI~VIIIに記載されている。
【化11】

(式中、aは約10から約2,700である。)
【化12】

(式中、xは約15~約3000、yは約1~約250である。)
【化13】

(式中、xは約12~約3000、yは約1~約250である。)
【0057】
一般的に、親水性単位およびRAFT剤のチオカルボニルチオ断片を含む1つ以上の親水性ポリマーまたはコポリマーは、モノマー混合物の総重量に対して、約0.5~約20重量パーセントの量でモノマー混合物中に存在する。一実施形態では、親水性単位およびRAFT剤のチオカルボニルチオ断片を含む1つ以上の親水性ポリマーまたはコポリマーは、モノマー混合物の総重量に対して、約0.5~約8.5重量パーセントの量でモノマー混合物中に存在する。
【0058】
モノマー混合物は、1つ以上の疎水性モノマーをさらに含んでもよい。適切な疎水性モノマーは、エチレン性不飽和疎水性モノマー、例えば、(メタ)アクリレート含有疎水性モノマー、N-アルキル(メタ)アクリルアミド含有疎水性モノマー、アルキルビニルカーボネート含有疎水性モノマー、アルキルビニルカルバメート含有疎水性モノマー、フルオロアルキル(メタ)アクリレート含有疎水性モノマー、N-フルオロアルキル(メタ)アクリルアミド含有疎水性モノマー、N-フルオロアルキルビニルカーボネート含有疎水性モノマー、N-フルオロアルキルビニルカルバメート含有疎水性モノマー、シリコーン含有(メタ)アクリレート含有疎水性モノマー、(メタ)アクリルアミド含有疎水性モノマー、ビニルカーボネート含有疎水性モノマー、ビニルカルバメート含有疎水性モノマー、スチレン含有疎水性モノマー、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート含有疎水性モノマー等、およびそれらの混合物を含む。
【0059】
例示的な一実施形態では、1つ以上の疎水性モノマーは、式I:
【化14】

(式中、Rはメチルまたは水素であり、Rは-O-または-NH-であり、RおよびRは、独立して、-CH-、-CHOH-、および-CHR-からなる群から選択される二価ラジカルであり、RおよびRは独立して分枝したC~Cアルキル基であり、Rは水素または-OHであり、nは少なくとも1の整数であり、m、p、およびnの合計が2、3、4、または5という条件で、mおよびpは独立して0または少なくとも1の整数である)の構造によって表される。
【0060】
式Iの構造によって表される1つ以上の疎水性モノマー(b)の代表的な例としては、4-t-ブチル-2-ヒドロキシシクロヘキシルメタクリレート(TBE);4-t-ブチル-2-ヒドロキシシクロペンチルメタクリレート;4-t-ブチル-2-ヒドロキシシクロヘキシルメタクリルアミド(TBA);6-イソペンチル-3-ヒドロキシシクロヘキシルメタクリレート;2-イソヘキシル-5-ヒドロキシシクロペンチルメタクリルアミド、4-t-ブチルシクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等が挙げられるが、それらに限定されない。一実施形態では、1つ以上の疎水性モノマー(b)は、式Iの化合物を含み、式中、Rは-CH-であり、mは1または2であり、pは0であり、mとnとの合計は3または4である。
【0061】
1つ以上の疎水性モノマーは、通常、モノマー混合物の総重量に対して、約0.5~約25または約1~約10重量パーセントの範囲の量でモノマー混合物中に存在する。
【0062】
別の例示的な実施形態では、モノマー混合物は、1つ以上の紫外線(UV)遮断剤をさらに含む。一実施形態では、有用なUV遮断剤は、以下の式:
【化15】

(2-プロペン酸、2-メチル、2-(4-ベンゾイル-3-ヒドロキシフェノキシ)-1-[(4-ベンゾイル3-ヒドロキシフェノキシ)メチルエステル)、
【化16】

の1つ以上の化合物を含む。
【0063】
モノマー混合物は、必要に応じて、本発明の目的および効果を損なわない制限内で、様々な添加剤(抗酸化剤、着色剤、湿潤剤、強化剤等など)、および当技術分野で周知の他の成分をさらに含んでもよい。
【0064】
一実施形態では、好適な湿潤剤は、グリセリン、プロピレングリコール、単糖または二糖、ポリエチレングリコール、エトキシル化グルコース、およびそれらの組み合わせとすることができる。一実施形態では、好適な湿潤剤は、カルボン酸官能基を含むポリマー(PAAを含むポリマーなど)とすることができる。特定のコーティング湿潤剤としては、P(ビニルピロリジノン(VP)-co-アクリル酸(AA))、P(メチルビニルエーテル-alt-マレイン酸)、P(アクリル酸-グラフト-エチレンオキシド)、P(アクリル酸-co-メタクリル酸)、P(アクリルアミド-co-AA)、P(アクリルアミド-co-AA)、P(AA-co-マレイン酸)、P(ブタジエン-マレイン酸)およびP(N-ビニルピロリドン-co-酢酸ビニル)、ポリビニルアルコールを含む。
【0065】
例示的な実施形態の眼科用デバイス、例えば、コンタクトレンズまたは眼内レンズは、前述のモノマー混合物を重合して、その後、例えば、旋盤加工、射出成形、圧縮成形、切断等によって適切な形状に形成することができる製品を形成することによって調製することができる。例えば、コンタクトレンズを製造する際に、最初の混合物をチューブ内で重合させて棒状の物品を提供してもよく、それを次にボタンに切断する。その後、ボタンはコンタクトレンズに旋盤加工されてもよい。
【0066】
あるいは、眼科用デバイス(コンタクトレンズなど)は、例えば、スピンキャスティングおよび静的キャスティング法によって、混合物から、金型、例えば、ポリプロピレン金型内で直接キャスティングされてもよい。スピンキャスティング法は、米国特許第3,408,429号および同第3,660,545号に開示されており、静的キャスティング方法は、米国特許第4,113,224号、同第4,197,266号、および同第5,271,875号に開示されている。スピンキャスティング法は、重合される混合物を金型に充填することと、混合物を放射線源(UV光など)に曝露しながら、制御された様式で金型を回転させることを伴う。静的キャスティング法は、前部レンズ表面を形成するように成形された一方の金型部分と、後部レンズ表面を形成するように成形されたもう一方の金型部分との2つの金型部分の間にモノマー混合物を充填することと、金型アセンブリ内に保持されている間に混合物を、例えば混合物のフリーラジカル重合により硬化させてレンズを形成することと、を伴う。レンズ材料を硬化させるためのフリーラジカル反応技法の例は、熱放射、赤外線放射、電子ビーム放射、ガンマ線、紫外線(UV)放射等を含み、またはこのような技法の組み合わせが使用されてもよい。米国特許第5,271,875号は、後金型および前金型によって画成される金型キャビティ内で完成したレンズの成形を可能にする静的キャスティング成形方法を記載している。追加的な方法として、米国特許第4,555,732号は、過剰のモノマー混合物が、金型内でスピンキャスティングによって硬化されて、前部レンズ表面および比較的厚い厚さを有する成形物品を形成し、続いて、硬化したスピンキャスト物品の後面を旋盤加工して、所望の厚さおよび後部レンズ表面を有するコンタクトレンズを提供するプロセスを開示している。
【0067】
重合は、混合物を熱および/または放射線、例えば紫外線、可視光、もしくは高エネルギー放射線に曝露することによって促進されてもよい。重合工程を促進するために、重合開始剤を混合物中に含んでもよい。フリーラジカル熱重合開始剤の代表的な例としては、有機過酸化物、例えば過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、過酸化ステアロイル、過酸化ベンゾイル、ペルオキシピバリン酸第三級ブチル、ペルオキシジカーボネート等が挙げられる。代表的なUV開始剤は、当技術分野で公知のものであり、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、Darocure(登録商標)1173、1164、2273、1116、2959、3331(EM Industries)、およびIrgacure(登録商標)651および184(Ciba-Geigy)、2,2’アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(VAZO64)等が挙げられる。一般的に、開始剤は、全混合物の約0.01~約5重量パーセントの濃度でモノマー混合物中で使用される。
【0068】
重合は、一般的に、反応媒体、例えば溶媒、例えば、水、または1から4個の炭素原子を含むアルカノール(メタノール、エタノール、またはプロパン-2-オールなど)を使用する溶液または分散液中で実施される。あるいは、上記の溶媒のいずれかの混合物を使用してもよい。
【0069】
一般的に、重合は、約15分~約72時間の間、例えば、窒素またはアルゴンの不活性雰囲気下で実施することができる。必要に応じて、得られた重合生成物を真空下で、例えば、約5~約72時間の間乾燥させるか、または使用前に水溶液中に放置することができる。
【0070】
混合物の重合はポリマーを生成し、それは水和されると、好ましくはヒドロゲルを形成する。ヒドロゲルレンズを製造する場合、混合物は、重合生成物が水和されてヒドロゲルを形成する場合に最終的に水で置き換えられる少なくとも希釈剤をさらに含んでもよい。一般的に、ヒドロゲルの含水量は、上記のとおり、すなわち、少なくとも約45重量パーセント、または少なくとも約50重量パーセントである。使用される希釈剤の量は約50重量パーセント未満である必要があり、ほとんどの場合、希釈剤の含有量は約30重量パーセント未満になる。しかしながら、特定のポリマー系では、実際の限度は、希釈剤中の様々なモノマーの溶解度によって規定される。光学的に透明なコポリマーを製造するためには、視覚的不透明性をもたらす相分離が、コモノマーと希釈剤との間、または希釈剤と最終コポリマーとの間で起こらないことが重要である。
【0071】
さらに、使用されてもよい希釈剤の最大量は、希釈剤が最終的なポリマーに生じる膨潤の量に依存することになる。過度の膨潤は、水和時に希釈剤が水に置き換えられるときに、コポリマーが崩壊することになる、または崩壊を生じる場合がある。好適な希釈剤としては、エチレングリコール、グリセリン、液体ポリ(エチレングリコール)、アルコール、アルコール/水混合物、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、低分子量直鎖ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、乳酸のグリコールエステル、ホルムアミド、ケトン、ジアルキルスルホキシド、ブチルカルビトール、多価アルコールのホウ酸エステル、例えばグリセロールのホウ酸エステル等、およびそれらの混合物、を含むが、これらに限定されない。
【0072】
必要な場合、大気圧もしくはその近く、または真空下での蒸発によって達成することができるエッジ仕上げ操作の前に、レンズから残留希釈剤を除去することが望ましい場合がある。希釈剤を蒸発させるのに必要な時間を短縮するために、高温を使用することができる。溶媒除去工程の時間、温度および圧力条件は、当業者によって容易に決定されることができるように、希釈剤の揮発性および特定のモノマーの構成成分などの因子に応じて変化することになる。所望する場合、ヒドロゲルレンズを製造するために使用される混合物は、ヒドロゲル材料を製造するための従来技術で公知の架橋剤および湿潤剤をさらに含んでもよい。
【0073】
眼内レンズの場合、重合されるモノマー混合物は、得られる重合生成物の屈折率を増加させるためのモノマーをさらに含んでもよい。このようなモノマーの例としては、芳香族(メタ)アクリレート、例えばフェニル(メタ)アクリレート、2-フェニルエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、およびベンジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0074】
例えば本明細書で得られるコンタクトレンズなどの眼科用デバイスは、任意選択的な機械加工操作に供されてもよい。例えば、任意選択的な機械加工工程は、レンズエッジおよび/または表面のバフ加工または研磨を含んでもよい。一般的に、このような機械加工プロセスは、製品が金型部品から取り外される前または後に実施されてもよく、例えば真空ピンセットを使用してレンズを金型から持ち上げることにより、レンズを金型から乾燥離型される。その後、レンズは機械式ピンセットによって真空ピンセットの第2のセットに移され、表面またはエッジを滑らかにするために回転面に対して定置される。次に、レンズのもう一方の側を機械加工するために、レンズを裏返してもよい。
【0075】
次に、レンズは、緩衝食塩水溶液を含む個々のレンズパッケージへと移されてもよい。レンズを移す前または後に、生理食塩水溶液はパッケージに加えられてもよい。適切なパッケージデザインおよび材料は当技術分野で公知である。プラスチックパッケージは、フィルムで解放可能に密封される。好適な密封フィルムには当技術分野で知られており、箔、ポリマーフィルム、およびそれらの混合物が含まれる。次に、レンズを収納する密封されたパッケージは、無菌製品を確保するために滅菌される。好適な滅菌手段および条件は当技術分野で公知であり、例えば、オートクレーブが含まれる。
【0076】
当業者が容易に理解するように、他の工程が上述の成形およびパッケージプロセスに含まれてもよい。このような他の工程は、例えば、形成されたレンズをコーティングすること、形成中にレンズを表面処理すること(例えば、金型移動による)、レンズを検査すること、欠陥のあるレンズを廃棄すること、金型の半部を洗浄すること、金型の半部を再利用することなど、およびそれらの組み合わせを含むことができる。
【0077】
以下の実施例は、当業者が本発明を実施することを可能にするために提供され、またこれは単なる例示である。実施例は、特許請求の範囲で定義されるような本発明の範囲を限定するものとして読まれるべきではない。
【0078】
以下に説明するように様々な重合生成物が形成され、かつ以下のような標準的な試験手順によって特徴付けられる。
【0079】
水分%:2組の6枚の水和レンズまたはフィルムを一片の濾紙の上でブロット乾燥して余分な水分を取り除き、試料を秤量する(湿重量)。次に、試料を乾燥剤の入った瓶の中に入れ電子レンジ内に10分間定置した。次に、試料を30分間静置して室温に平衡化させ、再秤量する(乾燥重量)。水分のパーセントは、湿重量と乾燥重量とから計算される。
【0080】
接触角:捕捉気泡接触角データは、First Ten Angstroms FTA-1000 Drop Shape Instrumentで収集された。試料表面からパッケージング溶液の成分を除去するために、分析前に全ての試料をHPLCグレードの水ですすいだ。データ収集の前に、全ての実験に使用する水の表面張力を、ペンダントドロップ法を使用して測定した。水が使用に適切であると判断するために、70~72ダイン/cmの表面張力値が求められた。全てのレンズ試料を湾曲した試料ホルダー上に定置し、HPLCグレードの水で満たされた石英セル中に沈めた。前進および後退捕捉気泡接触角を各試料について収集した。前進接触角は、気泡がレンズ表面から後退しているときに(水は表面を横切って前進している)、水中で測定される角度として定義される。全ての捕捉気泡データは、試料/気泡界面上に焦点を合わせた高速デジタルカメラを使用して収集された。接触角は、試料/気泡界面を横切る接触線の移動の直前のデジタルフレームにおいて計算された。後退接触角は、気泡が試料表面を横切って膨張するときに(水は表面から後退する)、水中で測定される角度として定義される。
【0081】
弾性率(g/mm)および伸び率は、Instron (Model 4502)機器を使用してASTM1708に従って測定され、フィルム試料は、ホウ酸緩衝生理食塩水に浸され、適切なサイズのフィルム試料は、長さ22mm、幅4.75mmの規格に合わされ、試料はさらに、Instron機器のクランプによる試料の把持に対応するためのドッグボーン形状を形成する端部を有し、厚さは100±50マイクロメートルである。
【0082】
引張強度(g/mm)は、ASTM試験方法D1708aに従って測定された。
【0083】
引き裂き強度は、引張弾性率と同じ物理的条件下でASTMD-1938に従って測定された。
【0084】
矢状深度(SAG)はDeltronic Comparatorで測定された。
【0085】
屈折率(RI)は、屈折計を用いて、水和試料の典型的な方法に従って測定された。
【0086】
実施例では、次の略語を使用する。
【0087】
DMA:N,N-ジメチルアクリルアミド
【0088】
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
【0089】
NVP:N-ビニル-2-ピロリドン
【0090】
AMA:アリルメタクリレート
【0091】
EGDMA:エチレングリコールジメタクリレート
【0092】
Vazo(商標)64:アゾビス-イソブチロニトリル(AIBN)
【0093】
Irgacure 819(光開始剤):構造:
【化17】

を有する化合物
【0094】
CIX-4:構造:
【化18】

を有する化合物
【0095】
SAモノマー:構造:
【化19】

を有する化合物
【0096】
PDMA-C2-RAFT:数平均分子量79.6kDa、および以下の構造:
【化20】

(式中、xは1であり、nは735である)を有するポリマー
【0097】
PDMA-C12-RAFT:数平均分子量62.6.kDa、および以下の構造:
【化21】

(式中、xは11であり、nは662である)を有するポリマー
【0098】
PDMA-C18-RAFT:数平均分子量65.4kDa、および以下の構造:
【化22】

(式中、xは17であり、nは655である)を有するポリマー
【0099】
PVP-RAFT:数平均分子量53.1kDa、および以下の構造:
【化23】

(式中、xは1であり、nは476である)を有するポリマー
【0100】
PDMA-co-mPEGMA400:数平均分子量60kDa、および以下の構造:
【化24】

を有するポリマー
【0101】
テトラエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA):以下の構造:
【化25】

の化合物
【0102】
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTMA):以下の構造:
【化26】

の化合物
【0103】
1,4-ブタンジオールジメタクリレート(1.4-DBDDMA):以下の構造:
【化27】

の化合物
【実施例
【0104】
実施例1-5
表1に記載されている以下の成分を重量あたりの量で混合することにより、モノマー混合物を作製した。
【表1】
【0105】
得られたモノマー混合物は、ポリプロピレン金型アセンブリにモノマー混合物を導入することによってコンタクトレンズへとキャスティングされた。次に、金型アセンブリとモノマー混合物を約3.0時間の間熱硬化させてコンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを、金型アセンブリから離型した。
【0106】
実施例6-10
表2に記載されている以下の成分を重量あたりの量で混合することにより、モノマー混合物を作製した。
【表2】
【0107】
得られたモノマー混合物は、ポリプロピレン金型アセンブリにモノマー混合物を導入することによってコンタクトレンズへとキャスティングされた。次に、金型アセンブリとモノマー混合物を約3.0時間の間熱硬化させてコンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを、金型アセンブリから離型した。
【0108】
実施例11-15
表3に記載されている以下の成分を重量あたりの量で混合することにより、モノマー混合物を作製した。
【表3】
【0109】
得られたモノマー混合物は、ポリプロピレン金型アセンブリにモノマー混合物を導入することによってコンタクトレンズへとキャスティングされた。次に、金型アセンブリとモノマー混合物を約3.0時間の間熱硬化させてコンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを、金型アセンブリから離型した。
【0110】
実施例16-19
表4に記載されている以下の成分を重量あたりの量で混合することにより、モノマー混合物を作製した。
【表4】
【0111】
得られたモノマー混合物は、ポリプロピレン金型アセンブリにモノマー混合物を導入することによってコンタクトレンズへとキャスティングされた。次に、金型アセンブリとモノマー混合物を約3.0時間の間熱硬化させてコンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを、金型アセンブリから離型した。
【0112】
実施例20-24
表5に記載されている以下の成分を重量あたりの量で混合することにより、モノマー混合物を作製した。
【表5】
【0113】
得られたモノマー混合物は、ポリプロピレン金型アセンブリにモノマー混合物を導入することによってコンタクトレンズへとキャスティングされた。次に、金型アセンブリとモノマー混合物を約3.0時間の間熱硬化させてコンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを、金型アセンブリから離型した。
【0114】
実施例25-29
表6に記載されている以下の成分を重量あたりの量で混合することにより、モノマー混合物を作製した。
【表6】
【0115】
得られたモノマー混合物は、ポリプロピレン金型アセンブリにモノマー混合物を導入することによってコンタクトレンズへとキャスティングされた。次に、金型アセンブリとモノマー混合物を約3.0時間の間熱硬化させてコンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを、金型アセンブリから離型した。
【0116】
実施例30-34
表7に記載されている以下の成分を重量あたりの量で混合することにより、モノマー混合物を作製した。
【表7】
【0117】
得られたモノマー混合物は、ポリプロピレン金型アセンブリにモノマー混合物を導入することによってコンタクトレンズへとキャスティングされた。次に、金型アセンブリとモノマー混合物を約3.0時間の間熱硬化させてコンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを、金型アセンブリから離型した。
【0118】
実施例35-40
表8に記載されている以下の成分を重量あたりの量で混合することにより、モノマー混合物を作製した。
【表8】
【0119】
得られたモノマー混合物は、ポリプロピレン金型アセンブリにモノマー混合物を導入することによってコンタクトレンズへとキャスティングされた。次に、金型アセンブリとモノマー混合物を約3.0時間の間熱硬化させてコンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを、金型アセンブリから離型した。
【0120】
実施例41-47
表9に記載されている以下の成分を重量あたりの量で混合することにより、モノマー混合物を作製した。
【表9】
【0121】
得られたモノマー混合物は、ポリプロピレン金型アセンブリにモノマー混合物を導入することによってコンタクトレンズへとキャスティングされた。次に、金型アセンブリとモノマー混合物を約3.0時間の間熱硬化させてコンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを、金型アセンブリから離型した。
【0122】
実施例48-53
表10に記載されている以下の成分を重量あたりの量で混合することにより、モノマー混合物を作製した。
【表10】
【0123】
得られたモノマー混合物は、ポリプロピレン金型アセンブリにモノマー混合物を導入することによってコンタクトレンズへとキャスティングされた。次に、金型アセンブリとモノマー混合物を約3.0時間の間熱硬化させてコンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを、金型アセンブリから離型した。
【0124】
実施例54-58
表11に記載されている以下の成分を重量あたりの量で混合することにより、モノマー混合物を作製した。
【表11】
【0125】
得られたモノマー混合物は、ポリプロピレン金型アセンブリにモノマー混合物を導入することによってコンタクトレンズへとキャスティングされた。次に、金型アセンブリとモノマー混合物を約3.0時間熱の間硬化させてコンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを、金型アセンブリから離型した。
【0126】
実施例59-64
表12に記載されている以下の成分を重量あたりの量で混合することにより、モノマー混合物を作製した。
【表12】
【0127】
得られたモノマー混合物は、ポリプロピレン金型アセンブリにモノマー混合物を導入することによってコンタクトレンズへとキャスティングされた。次に、金型アセンブリとモノマー混合物を5mW/cmの青色光で約25分間の間硬化させて、コンタクトレンズを形成した。得られたコンタクトレンズを、金型アセンブリから離型した。表12に示すように、青色光を使用してモノマー混合物を硬化させる場合、レンズを形成するために別のEGDMAが必要であった。
【0128】
本明細書に開示される実施形態に様々な修正がなされてもよいことが理解されよう。したがって、上記の説明は、限定として解釈されるべきではなく、単に好ましい実施形態の例示として解釈されるべきである。例えば、本発明を操作するための最良のモードとして上記され、かつ実施された機能は、例示のみを目的としている。他の配置および方法は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者によって実施されてもよい。さらに、当業者は、本明細書に添付された特徴および利点の範囲および趣旨内で他の修正を想定するであろう。