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特許7357068ユーザーインターフェース提供装置、二次電池システムの放電能力の提供方法及び二次電池システムの充放電能力の提供方法
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  • 特許-ユーザーインターフェース提供装置、二次電池システムの放電能力の提供方法及び二次電池システムの充放電能力の提供方法 図1
  • 特許-ユーザーインターフェース提供装置、二次電池システムの放電能力の提供方法及び二次電池システムの充放電能力の提供方法 図2
  • 特許-ユーザーインターフェース提供装置、二次電池システムの放電能力の提供方法及び二次電池システムの充放電能力の提供方法 図3
  • 特許-ユーザーインターフェース提供装置、二次電池システムの放電能力の提供方法及び二次電池システムの充放電能力の提供方法 図4
  • 特許-ユーザーインターフェース提供装置、二次電池システムの放電能力の提供方法及び二次電池システムの充放電能力の提供方法 図5
  • 特許-ユーザーインターフェース提供装置、二次電池システムの放電能力の提供方法及び二次電池システムの充放電能力の提供方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】ユーザーインターフェース提供装置、二次電池システムの放電能力の提供方法及び二次電池システムの充放電能力の提供方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/26 20060101AFI20230928BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20230928BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20230928BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G06F1/26
H02J13/00 301K
H02J3/32
H02J7/34 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021553235
(86)(22)【出願日】2019-10-24
(86)【国際出願番号】 JP2019041735
(87)【国際公開番号】W WO2021079467
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100134991
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 和樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148507
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 弘行
(72)【発明者】
【氏名】福原 基広
(72)【発明者】
【氏名】浅野 健太
(72)【発明者】
【氏名】高坂 文哉
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-169137(JP,A)
【文献】国際公開第2015/136920(WO,A1)
【文献】特開2018-023188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26- 1/3296
H02J 13/00
H02J 3/32
H02J 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池システムの放電能力のうち主ユーザー以外の複数のユーザーの全体に提供できる放電能力である全提供可能放電能力を取得する取得部と、
前記主ユーザー以外の前記複数のユーザーに含まれるユーザーのログオンを受け付ける受け付け部と、
前記全提供可能放電能力から、前記受け付け部によって前記ログオンが受け付けられた前記ユーザーであるログオンユーザーが使用できる放電能力であるログオンユーザー使用可能放電能力を決定する決定部と、
前記ログオンユーザー使用可能放電能力を示す画面要素を含むユーザーインターフェース画面の内容を示す情報を生成する生成部と、
を備えるユーザーインターフェース提供装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記複数のユーザーにそれぞれ与えられた複数の優先度を取得し、
前記決定部は、与えられた優先度が高い前記ログオンユーザーほど前記二次電池システムの放電能力を優先的に使用できるように前記ログオンユーザー使用可能放電能力を決定する
請求項1のユーザーインターフェース提供装置。
【請求項3】
前記ユーザーインターフェース画面は、前記ユーザーが使用することを希望する放電能力であるログオンユーザー使用希望放電能力の入力を受け付ける画面要素を含み、
前記決定部は、
前記全提供可能放電能力から、前記複数のユーザーに含まれる各アカウントユーザーが使用できる放電能力であるアカウントユーザー使用可能放電能力を決定し、
前記入力が受け付けられた場合に、前記アカウントユーザー使用可能放電能力を更新して、前記アカウントユーザー使用可能放電能力に前記ログオンユーザー使用希望放電能力を反映させる
請求項1又は2のユーザーインターフェース提供装置。
【請求項4】
前記ユーザーインターフェース画面は、前記全提供可能放電能力を示す画面要素を含む
請求項1から3までのいずれかのユーザーインターフェース提供装置。
【請求項5】
前記ログオンユーザー使用可能放電能力は、未来の複数の時間帯に含まれる各時間帯において前記ログオンユーザーが使用できると予測される放電能力を含む
請求項1から4までのいずれかのユーザーインターフェース提供装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記二次電池システムの充電能力のうち前記複数のユーザーの全体に提供できる充電能力である全提供可能充電能力を取得し、
前記決定部は、前記全提供可能充電能力から、前記ログオンユーザーが使用できる充電能力であるログオンユーザー使用可能充電能力を決定し、
前記ユーザーインターフェース画面は、前記ログオンユーザー使用可能充電能力を示す画面要素を含む
請求項1から5までのいずれかユーザーインターフェース提供装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記複数のユーザーにそれぞれ与えられた複数の優先度を取得し、
前記決定部は、与えられた優先度が高い前記ログオンユーザーほど前記二次電池システムの充放電能力を優先的に使用できるように前記ログオンユーザーが使用できる充放電能力を決定する
請求項6のユーザーインターフェース提供装置。
【請求項8】
前記ユーザーインターフェース画面は、前記ログオンユーザーが使用することを希望する充放電能力であるログオンユーザー使用希望充放電能力の入力を受け付ける画面要素を含み、
前記決定部は、
前記複数のユーザーの全体に提供できる充放電能力である全提供可能充放電能力から、前記複数のユーザーに含まれる各アカウントユーザーが使用できる充放電能力であるアカウントユーザー使用可能充放電能力を決定し、
前記入力が受け付けられた場合に、前記アカウントユーザー使用可能充放電能力を更新して、前記アカウントユーザー使用可能充放電能力に前記ログオンユーザー使用希望充放電能力を反映させる
請求項6又は7のユーザーインターフェース提供装置。
【請求項9】
前記ユーザーインターフェース画面は、前記全提供可能充放電能力を示す画面要素を含む
請求項のユーザーインターフェース提供装置。
【請求項10】
前記ログオンユーザーが使用できる充放電能力であるログオンユーザー使用可能充放電能力は、未来の複数の時間帯に含まれる各時間帯において前記ログオンユーザーが使用できると予測される充放電能力を含む
請求項6から9までのいずれかのユーザーインターフェース提供装置。
【請求項11】
前記取得部は、前記二次電池システムの充放電能力を取得し、
前記ユーザーインターフェース画面は、前記二次電池システムの充放電能力を示す画面要素を含む
請求項1から10までのいずれかのユーザーインターフェース提供装置。
【請求項12】
前記取得部は、前記二次電池システムの充放電能力以外の前記二次電池システムの状態を取得し、
前記ユーザーインターフェース画面は、前記二次電池システムの状態を示す画面要素を含む
請求項1から11までのいずれかのユーザーインターフェース提供装置。
【請求項13】
前記二次電池システムは、ナトリウム-硫黄電池を備えるナトリウム-硫黄電池システムを備える
請求項1から12までのいずれかのユーザーインターフェース提供装置。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれかのユーザーインターフェース提供装置に、前記全提供可能放電能力を入力する工程と、
前記ユーザーインターフェース提供装置に、前記ログオンを行うことができるユーザーのアカウントを設定する工程と、
を備える二次電池システムの放電能力の提供方法。
【請求項15】
請求項8又は9のユーザーインターフェース提供装置に、前記全提供可能充放電能力を入力する工程と、
前記ユーザーインターフェース提供装置に、前記ログオンを行うことができるユーザーのアカウントを設定する工程と、
を備える二次電池システムの充放電能力の提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーインターフェース提供装置、二次電池システムの放電能力の提供方法及び二次電池システムの充放電能力の提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナトリウム-硫黄(NaS)電池を備えるNaS電池システムは、NaS電池システムを所有する所有者により使用される。所有者は、多くの場合は、NaS電池システムに備えられる端末に表示される画面を参照することによりNaS電池システムの状態を知ることができ、当該端末を操作することによりNaS電池システムを運転することができる。また、NaS電池システムの状態を知ることができNaS電池システムを運転することができるユーザーは、多くの場合は、所有者に限られる。
【0003】
特許文献1は、蓄電池空き能力借用方法に関する。当該蓄電池空き能力借用方法においては、需要家が、貸与可能な蓄電池の空き能力及び時間帯と、貸与時の対価と、を設定する。また、電力系統運用者が、借用する空き能力及び時間帯を決定する。また、需要家側蓄電池が、電力系統運用者からの指示に従って補填充放電量を充放電する。また、電力系統運用者が、使用した電力量を計量した上で需要家に対価を支払う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-176226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
NaS電池は、長時間に渡って大きな電力を放電することができる。このため、NaS電池を備えるNaS電池システムは、所有者以外の複数のユーザーに提供できる放電能力を潜在的に有する。
【0006】
しかし、従来は、NaS電池システムの放電能力を所有者以外に提供する仕組みが提供されていなかったため、NaS電池システムが潜在的に有する放電能力が十分に活用されていなかった。
【0007】
この問題は、NaS電池システム以外の二次電池システムにおいても生じる。
【0008】
本発明は、この問題に鑑みてなされた。本発明が解決しようとする課題は、二次電池システムが潜在的に有する放電能力を所有者等の主ユーザー以外の複数のユーザーに提供する仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ユーザーインターフェース提供装置に向けられる。
【0010】
ユーザーインターフェース提供装置は、取得部、受け付け部、決定部及び生成部を備える。
【0011】
取得部は、二次電池システムの放電能力のうち主ユーザー以外の複数のユーザーの全体に提供できる放電能力を取得する。
【0012】
受け付け部は、複数のユーザーに含まれるユーザーのログオンを受け付ける。
【0013】
決定部は、複数のユーザーの全体に提供できる放電能力から、ログオンしたユーザーが使用できる放電能力を決定する。
【0014】
生成部は、ログオンしたユーザーが使用できる放電能力を示す画面要素を含むユーザーインターフェース画面の内容を示す情報を生成する。
【0015】
ユーザーインターフェース提供装置を構成する取得部、受け付け部、決定部及び生成部が複数の機器により構成されてもよい。取得部、受け付け部、決定部及び生成部に含まれるふたつ以上の要素が、ひとつの機器により構成されてもよい。取得部、受け付け部、決定部及び生成部が複数の機器により構成される場合は、複数の機器が、互いに物理的に離れた位置に設置され、通信回線を介して互いに通信可能に接続される。
【0016】
本発明は、二次電池システムの放電能力の提供方法、及び二次電池システムの充放電能力の提供方法にも向けられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ログオンしたユーザーが、二次電池システムの放電能力のうち使用できる放電能力を知ることができる。これにより、二次電池システムの放電能力を所有者等の主ユーザー以外の複数のユーザーに提供する仕組みを提供することができる。
【0018】
この発明の目的、特徴、局面及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1ルチユースシステムを模式的に図示するブロック図である。
図2ルチユースシステムに備えられるユーザーインターフェース提供装置を模式的に図示するブロック図である。
図3ルチユースシステムに備えられるユーザーインターフェース提供装置を模式的に図示するブロック図である。
図4ルチユースシステムにおいて提供されるユーザーインターフェース画面を模式的に図示する図である。
図5ルチユースシステムにおいて提供されるユーザーインターフェース画面の例を模式的に図示する図である。
図6ルチユースシステムにおける、ナトリウム-硫黄(NaS)電池システムの充放電能力、主ユーザーが使用する充放電能力、及び主ユーザー以外の複数のユーザーが使用できる充放電能力の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
マルチユースシステム
図1は、本発明の実施形態に係るマルチユースシステムを模式的に図示するブロック図である。
【0021】
図1に示すマルチユースシステム1は、ナトリウム-硫黄(NaS)電池システム11、仮想サーバー12及び複数のクライアント13を備える。
【0022】
NaS電池システム11は、交流電力を放電する。放電された交流電力は、変圧器21により昇圧される。昇圧された交流電力は、系統22に供給される。系統22から供給された交流電力は、変圧器21により降圧される。NaS電池システム11は、降圧された交流電力により充電される。
【0023】
NaS電池システム11は、ひとつの設置箇所に納入されたひとつのNaS電池システムである。NaS電池システム11が、複数の設置箇所にそれぞれ納入された複数のNaS電池システムであってもよい。
【0024】
NaS電池システム11を所有する所有者等の主ユーザー31は、NaS電池システム11の充放電能力を独占することもできるし、NaS電池システム11の充放電能力を主ユーザー31以外の複数のユーザー32に開放することもできる。主ユーザー31がNaS電池システム11の充放電能力を独占する場合は、主ユーザー31のみ、NaS電池システム11の充放電能力を使用できる。主ユーザー31がNaS電池システム11の充放電能力を複数のユーザー32に開放する場合は、主ユーザー31、及び複数のユーザー32に含まれる少なくともひとつのユーザーは、NaS電池システム11の充放電能力を使用できる。
【0025】
仮想サーバー12は、NaS電池システム11の充放電能力のうち複数のユーザー32の全体に提供できる充放電能力(全提供可能充放電能力)をNaS電池システム11から取得する。全提供可能充放電能力は、NaS電池システム11の充放電能力から主ユーザー31が使用する充放電能力を減じた充放電能力である。また、仮想サーバー12は、複数のユーザー32に含まれるユーザー32Lのログオンを受け付ける。また、仮想サーバー12は、全提供可能充放電能力から、ログオンしたユーザー32Lが使用できる充放電能力(ログオンユーザー使用可能充放電能力)を決定する。また、仮想サーバー12は、ログオンユーザー使用可能充放電能力を示すユーザーインターフェース画面をログオンしたユーザー32Lに提供する。
【0026】
複数のクライアント13は、仮想サーバー12にアクセスすることができる。複数のユーザー32は、それぞれ複数のクライアント13を仮想サーバー12にアクセスさせることができ、それぞれ複数のクライアント13を介して仮想サーバー12にログオンすることができる。ふたつ以上のユーザーが共通のひとつのクライアントを介して仮想サーバー12にログオンしてもよい。仮想サーバー12にログオンしたユーザー32Lには、仮想サーバー12にアクセスさせたクライアント13Lを介して上述したユーザーインターフェース画面が提供される。
【0027】
仮想サーバー12及び複数のクライアント13は、インターネットに接続される。このため、仮想サーバー12は、インターネット上でユーザーインターフェースを提供するウエブヒューマンマシンインターフェス(Web HMI)サーバーである。仮想サーバー12のアドレスは、複数のユーザー32に公開される。これにより、複数のユーザー32は、それぞれ複数のクライアント13を仮想サーバー12にアクセスさせることができる。複数のユーザー32に含まれる各ユーザー32iは、仮想サーバー12にログオンするためのアカウントを有するアカウントユーザーである。各アカウントユーザー32iのアカウントは、主ユーザー31により設定され、主ユーザー31から各アカウントユーザー32iに与えられる。主ユーザー31は、各アカウントユーザー32iに与えたアカウントを下述するユーザーインターフェース提供装置51に設定する。各アカウントユーザー32iのアカウントが、主ユーザー31以外のアカウント管理者により設定され、アカウント管理者から各アカウントユーザー32iに与えられてもよい。アカウント管理者が、各アカウントユーザー32iに与えたアカウントを下述するユーザーインターフェース提供装置51に設定してもよい。
【0028】
仮想サーバー12は、NaS電池システム11に内蔵される。仮想サーバー12が、NaS電池システム11に内蔵されずNaS電池システム11に通信可能に接続された物理サーバーに置き換えられてもよい。物理サーバーのNaS電池システム11への接続は、どのような接続であってもよく、無線接続及び有線接続のいずれであってもよく、インターネット、移動体通信網等を利用して行われる。
【0029】
NaS電池システム
NaS電池システム11は、図1に図示されるように、NaS電池41、交直変換器42、NaS電池制御装置43、交直変換器制御装置44及び端末45を備える。
【0030】
NaS電池41は、直流電力を放電する。交直変換器42は、放電された直流電力をNaS電池システム11により放電される交流電力に変換する。また、交直変換器42は、NaS電池システム11を充電する交流電力を直流電力に変換する。NaS電池41は、当該直流電力により充電される。交直変換器制御装置44は、交直変換器42を制御する。NaS電池制御装置43は、NaS電池41及び交直変換器制御装置44から情報を取得し、NaS電池41の制御を行い、交直変換器制御装置44を介して交直変換器42に指令を発する。また、NaS電池制御装置43は、取得した情報、行った制御、発した指令等から、NaS電池システム11の充放電能力、及び充放電能力以外のNaS電池システム11の状態を演算する。また、端末45は、複数のユーザー32にそれぞれ与えられた複数の優先度の入力を受け付ける。当該複数の優先度は、主ユーザー31により入力される。当該複数の優先度が、主ユーザー31以外のアカウント管理者により入力されてもよい。また、NaS電池制御装置43は、入力された複数の優先度を取得し、取得した複数の優先度に基づいて、NaS電池システム11の充放電能力のうち全提供可能充放電能力、及び各アカウントユーザー32iが使用できる(アカウントユーザー使用可能)充放電能力を演算する。
【0031】
端末45には、仮想サーバー12がインストールされる。仮想サーバー12の機能がNaS電池制御装置43に実装されてもよい。仮想サーバー12の機能が、クラウドシステムにより提供されてもよい。
【0032】
図1に図示される構成を有するNaS電池システム11が、図1に図示される構成と異なる構成を有するNaS電池システムに置き換えられてもよい。
【0033】
NaS電池41は、二次電池の例であり、NaS電池41を備えるNaS電池システム11は、二次電池を備える二次電池システムの例である。このため、NaS電池41を備えるNaS電池システム11が、NaS電池41以外の二次電池を備える二次電池システムに置き換えられてもよい。NaS電池41以外の二次電池は、レドックスフロー電池、リチウム電池、ニッケル水素電池、鉛蓄電池等である。NaS電池41は、大きな電池容量を有し、長時間に渡って充放電を行うことができ、電池容量の将来予測が容易であるという利点を有する。
【0034】
仮想サーバー12、NaS電池制御装置43及び端末45は、ひとつの機器により構成されてもよいし、複数の機器により構成されてもよい。仮想サーバー12、NaS電池制御装置43及び端末45が複数の機器により構成される場合は、仮想サーバー12、NaS電池制御装置43及び端末45の各々がひとつの機器により構成されてもよいし、仮想サーバー12、NaS電池制御装置43及び端末45からなる群より選択されるふたつの要素がひとつの機器により構成されてもよい。
【0035】
ユーザーインターフェース提供装置及びユーザーインターフェース画面
図2及び図3、マルチユースシステムに備るユーザーインターフェース提供装置を模式的に図示するブロック図である。
【0036】
図2及び図3に示すユーザーインターフェース提供装置51は、仮想サーバー12及びNaS電池制御装置43により構成される。
【0037】
ユーザーインターフェース提供装置51は、取得部61、受け付け部62、決定部63及び生成部64を備える。これらの要素は、コンピューターにプログラムを実行させることにより構成されてもよいし、ハードウェアにより構成されてもよい。
【0038】
ユーザーインターフェース提供装置51においては、NaS電池システム11の充放電能力71、複数のユーザー32の全体に提供できる(全提供可能)充放電能力72、ログオンしたユーザー32Lが使用できる(ログオンユーザー使用可能)充放電能力73、NaS電池システム11の状態74、複数のユーザー32にそれぞれ与えられた複数の優先度75、ログオンしたユーザー32Lが使用することを希望する(ログオンユーザー使用希望)充放電能力76、各アカウントユーザー32iが使用できる(アカウントユーザー使用可能)充放電能力77、及びユーザーインターフェース画面の内容を示す情報(インターフェース画面情報)78が扱われる。充放電能力72,73,76及び77の各々は、充電能力及び放電能力を含む。充放電能力72,73,76及び77に代えて放電能力のみが扱われてもよい。
【0039】
図4、マルチユースシステムにおいて提供されるユーザーインターフェース画面を模式的に図示する図である。
【0040】
図4に示すユーザーインターフェース画面81は、図2及び図3に示すユーザーインターフェース提供装置51により提供される。
【0041】
ユーザーインターフェース画面81は、NaS電池システム11の充放電能力71を示す画面要素91、複数のユーザー32の全体に提供できる(全提供可能)充放電能力72を示す画面要素92、ログオンしたユーザー32Lが使用できる(ログオンユーザー使用可能)充放電能力73を示す画面要素93、ログオンしたユーザー32Lが使用することを希望する(ログオンユーザー使用希望)充放電能力76の入力を受け付ける画面要素94、NaS電池システム11の状態を示す画面要素95、及びその他の画面要素96を含む。ログオンしたユーザー32Lが主ユーザー31である場合にのみ、画面要素91及び画面要素92がユーザーインターフェース画面81に含まれてもよい。
【0042】
ログオンしたユーザーが使用できる充放電能力の表示
取得部61は、NaS電池システム11の充放電能力71のうち全提供可能充放電能力72をNaS電池制御装置43から取得する。
【0043】
全提供可能充放電能力72は、未来の複数の時間帯に含まれる各時間帯において複数のユーザー32の全体に提供できると予測される充放電能力を含む。充放電能力の予測は、充放電電力及び/又は充放電電力量の予測を含む。
【0044】
受け付け部62は、複数のユーザー32に含まれるーザー32Lのログオンを受け付ける。
【0045】
決定部63は、取得部61によって取得された全提供可能充放電能力72から、ログオンユーザー使用可能充放電能力73を決定する。
【0046】
ログオンユーザー使用可能充放電能力73は、ログオンしたユーザー32Lに応じ、ログオンしたユーザー32Lに固有の充放電能力である。
【0047】
ログオンユーザー使用可能充放電能力73は、未来の複数の時間帯に含まれる各時間帯においてログオンしたユーザー32Lが使用できると予測される充放電能力を含む。充放電能力の予測は、充放電電力及び/又は充放電電力量の予測を含む。
【0048】
生成部64は、ログオンユーザー使用可能充放電能力73を示す画面要素93をユーザーインターフェース画面81において表示するための情報を、インターフェース画面情報78として生成する。
【0049】
当該ユーザーインターフェース画面81は、ログオンしたユーザー32Lに応じ、ログオンしたユーザー32Lに固有のユーザーインターフェース画面である。
【0050】
インターフェース画面情報78は、ハイパーテキストマークアップランゲージ(HTML)文書等を含む。生成部64は、インターフェース画面情報78をクライアント13Lに送信する。クライアント13Lは、インターフェース画面情報78をレンダリングして当該情報78により示される内容を有するユーザーインターフェース画面81を表示する。
【0051】
これらにより、ログオンしたユーザー32Lは、ログオンユーザー使用可能充放電能力73を知ることができる。すなわち、本実施形態に係るマルチユースシステムによれば、NaS電池システム11の充放電能力71を主ユーザー31以外の複数のユーザー32に提供する仕組みを提供することができる。例えば、NaS電池システム11を、仮想発電所(VPP)、調整力事業等に用いることができる。
【0052】
優先度
取得部61は、複数のユーザー32にそれぞれ与えられた複数の優先度75を端末45から取得する。複数のユーザー32にそれぞれ与えられた複数の優先度75は、主ユーザー31と複数のユーザー32との協議により決定される。主ユーザー31以外のアカウント管理者が複数の優先度75の決定に関与してもよい。
【0053】
決定部63は、複数の優先度75からログオンしたユーザー32Lに与えられた優先度を選択する。また、決定部63は、ログオンしたユーザー32Lのうち与えられた優先度が高いユーザー32LほどNaS電池システム11の充放電能力71を優先的に使用できるように、ログオンユーザー使用可能充放電能力73を決定する。
【0054】
例えば、第1のユーザーに与えられた優先度が第2のユーザーに与えられた優先度より高い場合において、第1のユーザーが使用することを希望する充放電能力と第2のユーザーが使用することを希望する充放電能力とが競合するときは、第1のユーザーが使用できる充放電能力が第1のユーザー希望通りに決定される。
【0055】
ユーザーが使用することを希望する充放電能力の入力
生成部64は、ログオンユーザー使用希望充放電能力76の入力を受け付ける画面要素94をユーザーインターフェース画面81において表示するための情報も、インターフェース画面情報78として生成する。
【0056】
決定部63は、全提供可能充放電能力72から、アカウントユーザー使用可能充放電能力77を決定する。また、決定部63は、ログオンユーザー使用希望充放電能力76の入力が受け付けられた場合に、アカウントユーザー使用可能充放電能力77を更新して、アカウントユーザー使用可能充放電能力77にログオンユーザー使用希望充放電能力76を反映させる。
【0057】
ログオンユーザー使用希望充放電能力76は、未来の時間帯においてログオンしたユーザー32Lが使用することを希望する充放電能力を含む。当該充放電能力は、充放電電力及び/又は充放電電力量を含む。
【0058】
NaS電池システムの充放電能力の表示
取得部61は、NaS電池システム11の充放電能力71を端末45から取得する。
【0059】
NaS電池システム11の充放電能力71は、未来の複数の時間帯に含まれる各時間帯において予測されるNaS電池システム11の充放電能力を含む。充放電能力の予測は、充放電電力及び/又は充放電電力量の予測を含む。
【0060】
生成部64は、取得部61によって取得されたNaS電池システム11の充放電能力71を示す画面要素91を、ユーザーインターフェース画面81において表示するための情報も、インターフェース画面情報78として生成する。
【0061】
複数のユーザーの全体に提供できる充放電能力の表示
取得部61は、上述したように、全提供可能充放電能力72を端末45から取得する。
【0062】
生成部64は、全提供可能充放電能力72を示す画面要素92を、ユーザーインターフェース画面81において表示するための情報も、インターフェース画面情報78として生成する。
【0063】
NaS電池システムの状態の表示
取得部61は、充放電能力71以外のNaS電池システム11の状態74を取得する。
【0064】
NaS電池システム11の状態74は、NaS電池システム11の故障の有無、NaS電池システム11の現在の充放電電力等を含む。
【0065】
生成部64は、NaS電池システム11の状態74を示す画面要素95を、ユーザーインターフェース画面81において表示するための情報も、インターフェース画面情報78として生成する。
【0066】
10 その他の画面要素
生成部64は、上述した画面要素91,92,93,94及び95以外の画面要素96をユーザーインターフェース画面81において表示するための情報も、インターフェース画面情報78として生成する。
【0067】
11 主ユーザーの権限
主ユーザー31は、各アカウントユーザー32iがNaS電池システム11の充放電能力71を使用する権限を自在に制限する権限を有する。このため、主ユーザー31は、各アカウントユーザー32iに与えられたアカウント及び優先度を任意のタイミングに変更することができ、各アカウントユーザー32iに与えられたアカウントを任意のタイミングに廃止することができる。また、主ユーザー31は、アカウントユーザー使用可能充放電能力77、及びユーザーインターフェース画面81に含まれる画面要素91,92,93,94,95及び96を任意のタイミングに変更することができる。アカウントユーザー使用可能充放電能力77を変更することは、充放電を行うことができる時間帯を変更すること、及び充放電を行うことができる時間帯における充放電電力及び/又は充放電電力量を変更することを含む。画面要素91,92,93,94,95及び96を変更することは、画面要素91,92,93,94,95及び96により示される情報の内容を制限することを含む。
【0068】
12 ユーザーインターフェース画面の例
図5、マルチユースシステムにおいて提供されるユーザーインターフェース画面の例を模式的に図示する図である。
【0069】
図5に示すユーザーインターフェース画面81は、NaS電池システム11の充放電能力71を示す画面要素91、ログオンユーザー使用可能充放電能力73を示す画面要素93、ログオンユーザー使用希望充放電能力76の入力を受け付ける画面要素94、NaS電池システム11の状態を示す画面要素95、及びその他の画面要素96を含む。
【0070】
NaS電池システム11の充放電能力71を示す画面要素91は、グラフを含む。当該グラフは、未来の複数の時間帯に含まれる各時間帯においてNaS電池システム11が充放電を行うことができる充放電電力量の予測と、過去の複数の時間帯に含まれる各時間帯においてNaS電池システム11が充放電を行うことができた充放電電力量の実績と、現在の時間帯においてNaS電池システム11が充放電を行うことができる充放電電力量の実績と、を示す。当該グラフは、予測の信頼度が色等の表示形態の違いにより理解することができるように描画される。
【0071】
ログオンユーザー使用可能充放電能力73を示す画面要素93は、グラフを含む。当該グラフは、未来の複数の時間帯に含まれる各時間帯においてログオンしたユーザー32Lが使用できる充放電電力の予測と、過去の複数の時間帯に含まれる各時間帯においてログオンしたユーザー32Lが使用できた充放電電力の実績と、現在の時間帯においてログオンしたユーザー32Lが使用できる充放電電力の実績と、を示す。
【0072】
各時間帯は、30分の長さを有する。各時間帯には、各時間帯を識別するコマ番号が付与されている。各時間帯が、30分より長い任意の長さ、又は30分より短い任意の長さを有してもよい。
【0073】
ログオンユーザー使用希望充放電能力76の入力を受け付ける画面要素94は、複数の時間帯に含まれる各時間帯について、ログオンしたユーザー32Lが当該各時間帯に充放電能力を使用するか否かの入力を受け付けるグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)部品101、ログオンしたユーザー32Lが当該各時間帯に使用することを希望する充放電電力の入力を受け付けるGUI部品102等を含む。
【0074】
NaS電池システム11の状態を示す画面要素95は、NaS電池システム11の故障の有無を表示する表示領域111等を含む。
【0075】
その他の画面要素96は、ログオンしたユーザー32Lを特定する情報を表示する領域121、ログオンしたユーザー32Lに与えられている優先度を示す情報を表示する領域122、ログオンしているユーザーの数を示す情報を表示する領域123、ログオンしたユーザー32Lがログオンした状態を維持することができる時間を示す情報を表示する領域124等を含む。
【0076】
その他の画面要素96は、Orderボタン131、Cancelボタン132等を含む。Orderボタン131に対して操作が行われた場合は、GUI部品101により入力が受け付けられた時間帯にGUI部品102により入力を受け付けられた充放電電力で充放電を行うことを要求する指令が仮想サーバー12を経由してNaS電池制御装置43に送信される。Cancelボタン132に対して操作が行われた場合は、GUI部品101により入力が受け付けられた時間帯にGUI部品102により入力を受け付けられた充放電電力で充放電を行うことを取り消すことを要求する指令が仮想サーバー12を経由してNaS電池制御装置43に送信される。また、これらの当該指令の内容は、画面要素91に含まれるグラフ、画面要素93に含まれるグラフ、下述する図6に示されるグラフに反映される。
【0077】
13 NaS電池システムの充放電能力、主ユーザーが使用することが設定された充放電能力及び複数のユーザーが使用することが設定された充放電能力の例
図6、マルチユースシステムにおける、NaS電池システムの充放電能力、主ユーザーが使用することが設定された充放電能力、及び主ユーザー以外の複数のユーザーが使用することが設定された充放電能力の例を示すグラフである。
【0078】
図6には、主ユーザー31が使用することが設定された充放電能力、及び「USER A」、「USER C」等の複数のユーザー32が使用することが設定された充放電能力の合計が、破線で示されるNaS電池システム11の充放電能力以下であり、複数のユーザー32が使用することが設定された充放電能力が、NaS電池システム11の充放電能力から主ユーザー31が使用することが設定された充放電能力を減じたものであることが図示されている。
【0079】
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0080】
1 マルチユースシステム
11 ナトリウム-硫黄(NaS)電池システム
12 仮想サーバー
13 複数のクライアント
31 主ユーザー
32 複数のユーザー
41 NaS電池
42 交直変換器
43 NaS電池制御装置
44 交直変換器制御装置
45 端末
51 ユーザーインターフェース提供装置
61 取得部
62 受け付け部
63 決定部
64 生成部
81 ユーザーインターフェース画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6