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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】放電加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23H 7/02 20060101AFI20230928BHJP
   B23H 7/08 20060101ALI20230928BHJP
   B23H 7/10 20060101ALI20230928BHJP
   B23H 11/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B23H7/02 M
B23H7/08
B23H7/10 Z
B23H11/00 Z
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2022078912
(22)【出願日】2022-05-12
(65)【公開番号】P2022176164
(43)【公開日】2022-11-25
【審査請求日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】63/188,478
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/252,652
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】111117038
(32)【優先日】2022-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】519404230
【氏名又は名称】日揚科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】寇崇善
(72)【発明者】
【氏名】葉文勇
【審査官】山内 隆平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/213040(WO,A1)
【文献】特開2004-186589(JP,A)
【文献】特開2011-131319(JP,A)
【文献】特開昭61-182730(JP,A)
【文献】国際公開第2015/151375(WO,A1)
【文献】特開2001-156320(JP,A)
【文献】実開平06-079143(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23H 7/02
B23H 7/08
B23H 7/10
B23H 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電加工装置であって、
少なくとも1つの被加工物を載置するための載置板を含む治具が設けられる載置ステージであって、前記被加工物には加工対象領域が画定され、前記被加工物の前記加工対象領域は前記載置板の上方に位置し、前記治具は、前記載置板に設けられる導電板を有する、載置ステージと、
少なくとも1つの放電電極を介して不均一な電界分布で放電エネルギーを前記被加工物の前記加工対象領域に印加することにより、前記加工対象領域に沿って前記被加工物を加工する放電加工(EDM)ユニットと、を含む、ことを特徴とする放電加工装置。
【請求項2】
前記放電電極の両側には、前記放電エネルギーが前記不均一な電界分布を形成するように、電気的シールド構造が被覆される、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項3】
前記放電電極は、前記放電エネルギーが前記不均一な電界分布を形成するように、凹み領域を有する、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項4】
前記放電電極の断面形状は、前記放電エネルギーが前記不均一な電界分布を形成するように、T字形、l字形又は楕円形である、請求項1又は2に記載の放電加工装置。
【請求項5】
前記放電電極の断面形状は、前記放電エネルギーが前記不均一な電界分布を形成するように、円形である、請求項2に記載の放電加工装置。
【請求項6】
前記放電電極は、線状又は板状である、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項7】
前記電気的シールド構造は、前記放電電極の両側を支持する支持構造である、請求項2に記載の放電加工装置。
【請求項8】
前記放電電極又は前記支持構造には案内凸部があり、前記案内凸部は、前記放電加工(EDM)ユニットのプーリの案内溝に対応することにより、前記案内溝を用いて前記案内凸部を案内する、請求項7に記載の放電加工装置。
【請求項9】
前記放電電極は磁性素子であり、前記放電電極が前記加工対象領域に沿って前記被加工物を加工する時に、前記放電加工(EDM)ユニットは、磁気引力で前記磁性素子に非接触で作用することにより、前記放電電極の向きを固定する、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項10】
前記放電電極は、第1の導電線及び第2の導電線を含み、前記第1の導電線の厚さ及び/又は印加電圧は、前記第2の導電線とは異なる、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項11】
前記放電加工(EDM)ユニットの前記放電電極を介してマイクロ波又は高周波エネルギーを前記被加工物の前記加工対象領域に供給するためのマイクロ波又は高周波源をさらに含む、請求項1に記載の放電加工装置。
【請求項12】
放電加工装置であって、
少なくとも1つの被加工物を載置するための載置板を含む治具が設けられる載置ステージであって、前記被加工物には加工対象領域が画定され、前記被加工物の前記加工対象領域は前記載置板の上方に位置し、前記治具は、前記載置板に設けられる導電板を有する、載置ステージと、
少なくとも1つの放電電極を介して放電エネルギーを前記被加工物の前記加工対象領域に印加することにより、前記加工対象領域に沿って前記被加工物を加工するための放電加工(EDM)ユニットと、を含む、ことを特徴とする放電加工装置。
【請求項13】
前記治具は、前記載置板の両端に設けられる2つの側板をさらに有し、前記2つの側板は、前記被加工物の両側にそれぞれ位置することに用いられる、請求項12に記載の放電加工装置。
【請求項14】
前記治具は、前記載置板に設けられる接着剤層を有し、前記被加工物の周縁は、前記治具の前記接着剤層に部分的に接着される、請求項12に記載の放電加工装置。
【請求項15】
前記接着剤層は、導電性接着剤層である、請求項14に記載の放電加工装置。
【請求項16】
前記接着剤層は、前記載置板に不連続に設けられる、請求項14に記載の放電加工装置。
【請求項17】
前記接着剤層は、前記載置板から前記被加工物の側辺まで上方に延在する、請求項14に記載の放電加工装置。
【請求項18】
前記接着剤層は、前記被加工物に浸透する、請求項14に記載の放電加工装置。
【請求項19】
前記治具は、前記載置板に設けられる前記導電板を有し、前記接着剤層は、前記導電板に設けられる、請求項14、15、16、17又は18に記載の放電加工装置。
【請求項20】
前記導電板は、仕事関数4.5eV以下の導電性金属構造である、請求項12に記載の放電加工装置。
【請求項21】
前記載置ステージは、前記治具の前記放電電極に対する傾きを調整し、又は前記放電加工(EDM)ユニットは、前記放電電極の前記被加工物に対する傾きを調整することにより、前記被加工物の前記加工対象領域の前記治具の前記載置板に対する夾角を調整する、請求項12に記載の放電加工装置。
【請求項22】
前記被加工物及び/又は前記治具は、前記被加工物と前記治具との間の電気的接触を向上させるように、導電性ゲイン層をさらに有する、請求項1又は12に記載の放電加工装置。
【請求項23】
前記被加工物と前記治具との間の電気的接触を向上させるように、前記載置板上の前記被加工物を加熱するための熱源をさらに含む、請求項1又は12に記載の放電加工装置。
【請求項24】
前記放電電極は、流体中で前記被加工物の前記加工対象領域を切断する、請求項1又は12に記載の放電加工装置。
【請求項25】
前記放電電極は、真空環境で前記被加工物の前記加工対象領域を切断する、請求項1又は12に記載の放電加工装置。
【請求項26】
前記放電電極の数は、1つ又は複数である、請求項1又は12に記載の放電加工装置。
【請求項27】
前記被加工物の数は、1つ又は複数である、請求項1又は12に記載の放電加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置に関し、特に放電加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業が盛んに発展していることに伴い、放電加工技術は、一般的にインゴット又はウエハの加工処理に使用されている。放電加工(Electrical Discharge Machining、EDM)は、放電によって火花を発生させ、被加工物を必要な形状にする製造プロセスである。誘電体材料は、2つの電極を分離して電圧を印加し、周期的で高速に変化する電流放電を発生させて、上記被加工物を加工する。放電加工技術では、2つの電極が使用され、一方の電極は、工具電極又は放電電極と呼ばれ、他方の電極は、ワーク電極と呼ばれ、上記被加工物に接続されている。放電加工中に、放電電極とワーク電極との間が実際に接触することはない。
【0003】
2つの電極間の電位差が大きくなると、電界強度が絶縁耐力よりも高くなるまで、2つの電極間の電界も大きくなり、このとき、絶縁破壊が発生し、電流が2つの電極を流れ、材料の一部が除去される。電流が停止すると、新たな誘電体材料が電極間の電界に流れ込み、上記材料の一部が除去され、誘電体の絶縁効果が再提供される。電流が流れた後、2つの電極間の電位差が絶縁破壊の発生前に戻り、このように新たな絶縁破壊を繰り返すことができる。
【0004】
しかしながら、放電加工技術の欠陥としては、その切断面の粗さが良くなく、切断面には表面亀裂がかなりあり、ひいては非切断方向に沿って延び、予期しない方向に破裂効果が発生する。さらに、既存の放電加工技術では、例えば、インゴット切断の実行中に、治具を用いてインゴットの周縁を挟持し、すなわちインゴットの側辺を径方向に挟持して、転がり又は変位を防止する。しかしながら、インゴットの切断面も径方向にあるため、従来技術では、治具の外側に露出したインゴットしか切断できず、治具とインゴットが重なる領域を切断できず、従って、従来技術では、機械が停止して位置を再調整してから、再切断できる必要がある。しかしながら、どのように位置を調整しても、治具とインゴットとの間には常に一部の領域が互いに重なるため、放電加工の実行ができなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに鑑みて、本発明の1つ又は複数の目的は、上記従来技術の課題を解決するために、放電加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、少なくとも1つの被加工物を載置するための載置板を含む治具が設けられる載置ステージであって、前記被加工物には加工対象領域が画定される、載置ステージと、少なくとも1つの放電電極を介して不均一な電界分布で放電エネルギーを前記被加工物の前記加工対象領域に印加することにより、前記加工対象領域に沿って前記被加工物を加工する放電加工(EDM)ユニットと、を含む、ことを特徴とする放電加工装置を提供する。
【0007】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電電極の両側には、前記放電エネルギーが前記不均一な電界分布を形成するように、電気的シールド構造が被覆される。
【0008】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電電極は、前記放電エネルギーが前記不均一な電界分布を形成するように、凹み領域を有する。
【0009】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電電極の断面形状は、前記放電エネルギーが前記不均一な電界分布を形成するように、T字形、l字形又は楕円形である。
【0010】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電電極の断面形状は、前記放電エネルギーが前記不均一な電界分布を形成するように、円形である。
【0011】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電電極は、線状又は板状である。
【0012】
本発明に係る放電加工装置によると、前記電気的シールド構造は、支持構造である。
【0013】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電電極又は前記支持構造には案内凸部があり、前記案内凸部は、前記放電加工(EDM)ユニットのプーリの案内溝に対応することにより、前記案内溝を用いて前記案内凸部を案内する。
【0014】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電電極は磁性素子であり、前記放電電極が前記加工対象領域に沿って前記被加工物を加工する時に、前記放電加工(EDM)ユニットは、磁気引力で前記磁性素子に非接触で作用することにより、前記放電電極の向きを固定する。
【0015】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電電極は、第1の導電線及び第2の導電線を含み、前記第1の導電線の厚さ及び/又は印加電圧は、前記第2の導電線とは異なる。
【0016】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電加工(EDM)ユニットの前記放電電極を介してマイクロ波又は高周波エネルギーを前記被加工物の前記加工対象領域に供給するためのマイクロ波又は高周波源をさらに含む。
【0017】
前記目的を達成するために、本発明は、少なくとも1つの被加工物を載置するための載置板を含む治具が設けられる載置ステージであって、前記被加工物には加工対象領域が画定され、前記被加工物の前記加工対象領域は前記載置板の上方に位置する、載置ステージと、少なくとも1つの放電電極を介して放電エネルギーを前記被加工物の前記加工対象領域に印加することにより、前記加工対象領域に沿って前記被加工物を加工するための放電加工(EDM)ユニットと、を含む、ことを特徴とする放電加工装置を提供する。
【0018】
本発明に係る放電加工装置によると、前記治具は、前記載置板の両端に設けられる2つの側板をさらに有し、前記2つの側板は、前記被加工物の両側にそれぞれ位置することに用いられる。
【0019】
本発明に係る放電加工装置によると、前記治具は、前記載置板に設けられる接着剤層を有し、前記被加工物の周縁は、前記治具の前記接着剤層に部分的に接着される。
【0020】
本発明に係る放電加工装置によると、前記接着剤層は、導電性接着剤層である。
【0021】
本発明に係る放電加工装置によると、前記接着剤層は、前記載置板に不連続に設けられる。
【0022】
本発明に係る放電加工装置によると、前記接着剤層は、前記載置板から前記被加工物の側辺まで上方に延在する。
【0023】
本発明に係る放電加工装置によると、前記接着剤層は、前記被加工物に浸透する。
【0024】
本発明に係る放電加工装置によると、前記治具は、前記載置板に設けられる導電板を有する。
【0025】
本発明に係る放電加工装置によると、前記治具は、前記載置板に設けられる導電板を有し、前記接着剤層は、前記導電板に設けられる。
【0026】
本発明に係る放電加工装置によると、前記導電板は、仕事関数4.5eV以下の導電性金属構造である。
【0027】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電電極は、不均一な電界分布で前記放電エネルギーを前記被加工物の前記加工対象領域に印加する。
【0028】
本発明に係る放電加工装置によると、前記載置ステージは、前記治具の前記放電電極に対する傾きを調整し、又は前記放電加工(EDM)ユニットは、前記放電電極の前記被加工物に対する傾きを調整することにより、前記被加工物の前記加工対象領域の前記治具の前記載置板に対する夾角を調整する。
【0029】
本発明に係る放電加工装置によると、前記被加工物及び/又は前記治具は、前記被加工物と前記治具との間の電気的接触を向上させるように、導電性ゲイン層をさらに有する。
【0030】
本発明に係る放電加工装置によると、前記被加工物と前記治具との間の電気的接触を向上させるように、前記載置板上の前記被加工物を加熱するための熱源をさらに含む。
【0031】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電電極は、流体中で前記被加工物の前記加工対象領域を切断する。
【0032】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電電極は、真空環境で前記被加工物の前記加工対象領域を切断する。
【0033】
本発明に係る放電加工装置によると、前記放電電極の数は、1つ又は複数である。
【0034】
本発明に係る放電加工装置によると、前記被加工物の数は、1つ又は複数である。
【発明の効果】
【0035】
上記のように、本発明の放電加工装置は、以下の利点を有する。
【0036】
(1)不均一な電界分布の設計により、電界を進行方向に集中させることができる。
【0037】
(2)不均一な電界分布の設計により、非進行方向の電界分布を低減させ、従って被加工物の非進行方向における表面粗さ及び表面亀裂を低減させることができる。
【0038】
(3)治具に接着剤層が設けられることにより、被加工物の放電加工手順中の振れ現象を回避でき、さらに放電加工手順の終了前のバリ現象を回避できる。
【0039】
(4)治具に接着剤層が設けられることにより、治具が被加工物の放電加工手順の実行を妨げるのを回避でき、従って放電加工手順がより柔軟になる。
【0040】
(5)放電電極が複数の導電線を有するため、切断ステップ及び研磨ステップを同時に実行でき、全体的な加工手順の実行を加速でき、さらに低粗さの表面を取得できる。
【0041】
(6)被加工物及び/又は治具の導電性ゲイン層により、被加工物と治具との間の電気的接触を向上させて、放電加工手順の効率を向上させることができる。
【0042】
本発明の技術的特徴および達成し得る技術的効能の理解を深めるために、より良い実施例と詳細な説明を以下に示す。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は本発明の放電加工装置の構造を示し、治具の正面からの模式図である。
図2図2は本発明の放電加工装置の構造であり、治具の側面からの部分模式図である。
図3図3は本発明の放電加工装置が放電加工手順を実行する部分拡大模式図であり、放電電極は単一の導電線である。
図4図4は本発明の放電加工装置の構造を示し、加熱液体タンク内で放電加工手順を実行する模式図である。
図5図5は本発明の放電加工装置が放電加工手順を実行する部分拡大模式図であり、放電電極は複数の導電線である。
図6a図6aは本発明の放電加工装置の不均一な電界分布を形成できる放電電極及びその電気的シールド構造の模式図である。
図6b図6bは本発明の放電加工装置の不均一な電界分布を形成できる放電電極及びその電気的シールド構造の模式図である。
図6c図6cは本発明の放電加工装置の不均一な電界分布を形成できる放電電極及びその電気的シールド構造の模式図である。
図6d図6dは本発明の放電加工装置の不均一な電界分布を形成できる放電電極及びその電気的シールド構造の模式図である。
図6e図6eは本発明の放電加工装置の不均一な電界分布を形成できる放電電極及びその電気的シールド構造の模式図である。
図6f図6fは本発明の放電加工装置の不均一な電界分布を形成できる放電電極及びその電気的シールド構造の模式図である。
図6g図6gは本発明の放電加工装置の不均一な電界分布を形成できる放電電極及びその電気的シールド構造の模式図である。
図7a図7aは本発明の放電加工装置の放電電極及びその電気的シールド構造がプーリの案内溝に対応する案内凸部を有する模式図である。
図7b図7bは本発明の放電加工装置の放電電極及びその電気的シールド構造がプーリの案内溝に対応する案内凸部を有する模式図である。
図8a図8aは本発明の放電加工装置の被加工物、治具及び載置ステージの分解模式図である。
図8b図8bは本発明の放電加工装置の被加工物、治具及び載置ステージの分解模式図である。
図8c図8cは本発明の放電加工装置の被加工物、治具及び載置ステージの分解模式図である。
図9図9は本発明の放電加工装置の治具の接着剤層が被加工物の側辺まで延在する模式図である。
図10図10は本発明の放電加工装置の治具の接着剤層が被加工物に浸透する模式図である。
図11図11は本発明の放電加工装置が放電加工手順で位置決めユニットにより放電電極の向きを固定する模式図である。
図12a図12aは本発明の放電加工装置が軸外の放電加工手順を実行する模式図である。
図12b図12bは本発明の放電加工装置が軸外の放電加工手順を実行する模式図である。
図13図13は本発明の導電性ゲイン層の模式図である。
図14図14は本発明の導電板が導電性ゲイン層である模式図である。
図15a図15aは本発明の単一の放電電極で複数の被加工物を切断する模式図である。
図15b図15bは本発明の複数の放電電極で単一の被加工物を切断する模式図である。
図15c図15cは本発明の複数の放電電極で複数の被加工物を切断する模式図であり、図15aの視角は、図15b及び図15cとは異なる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明の実施の形態の図面における各部材の比率は、説明を容易に理解するために示され、実際の比率ではない。また、図に示すアセンブリの寸法の比率は、各部品とその構造を説明するためのものであり、もちろん、本発明はこれに限定されない。一方、理解を便利にするために、下記の実施の形態における同じ部品については、同じ符号を付して説明する。
【0045】
さらに、明細書全体および実用新案登録請求の範囲で使用される用語は、特に明記しない限り、通常、この分野、本明細書に開示される内容、および特別な内容で使用される各用語の通常の意味を有する。本発明を説明するために使用されるいくつかの用語は、当業者に本発明の説明に関する追加のガイダンスを提供するために、本明細書の以下または他の場所で説明される。
【0046】
この記事での「第1」、「第2」、「第3」などの使用については、順序や順次を具体的に示すものではなく、本発明を制限するためにも使用されていない。これは、同じ専門用語で説明するコンポーネントまたは操作を区別するだけために使用される。
【0047】
次に、この記事で「含む」、「備える」、「有する」、「含有する」などの用語が使用されている場合、それらはすべてオープンな用語である。つまり、これらは、含むがこれに限定されないことを意味する。
【0048】
図1及び図2を参照すると、図1は本発明の放電加工装置の構造を示し、治具の正面からの模式図である。図2は本発明の放電加工装置の構造であり、治具の側面からの部分模式図である。本発明の放電加工装置10は、載置ステージ20及び放電加工(EDM)ユニット50を含み、被加工物100に対して放電加工手順を実行することに用いられ、例えば、被加工物100を切断(Cutting)及び/又は研磨(Electric Discharge Grinding、EDG)する。載置ステージ20には治具22が設けられ、載置ステージ20は、可動載置ステージ又は固定載置ステージであってもよい。治具22は、被加工物100を載置するための載置板24を少なくとも含み、被加工物100には加工対象領域110が画定されており、この加工対象領域110は、被加工物100の任意の適切な加工位置に位置してもよい。被加工物100は、例えば、ウエハ又はインゴットなどの任意の導体又は半導体構造であってもよいが、被加工物100の断面は円形に限定されず、任意の形状であってもよい。
【0049】
放電加工(EDM)ユニット50は、放電電極52を有し、放電電極52は、例えば、線状の導電線、板状の導電板又は他の形状の導電性構造である。被加工物100が円筒形のインゴットであることを例として、図2の点線で示すように、加工対象領域110は、例えば、インゴットの径方向に画定されている。しかしながら、上記加工対象領域110の位置は、本発明を限定するものではなく、一例に過ぎない。図3に示すように、放電電極52の表面と、被加工物100の進行方向における表面(切断面100a)及び非進行方向における表面(切断面100b、100c)との間には隙間があり、この隙間内に、誘電体材料として空気、脱イオン水又は油などの絶縁材料又は他の適切な絶縁性物質が充填される。例えば、脱イオン水中で放電加工ステップが実行される場合、脱イオン水は上記隙間を充填する。同様に、大気環境で放電加工ステップが実行される場合、空気は上記隙間を充填する。また、図4に示すように、加熱液体タンク59a内で放電加工ステップが実行される場合、加熱液体59bは上記隙間を充填し、加熱液体タンク59a内の加熱液体59bは、例えば、熱油であり、熱衝撃を低減させ、又は熱均一性を向上させることができる。また、放電加工手順中に、本発明は、液体圧力によって被加工物100の振れを低減させ、切断面100b、100cの表面粗さを低減させることができ、放電加工品質を向上させることに寄与する。上記のように、図2に示すように、本発明は、1つの放電電極52(単一の導電性構造)で1つの被加工物100(すなわち、単一の固体構造)を切断することを例として説明するが、本発明はこれに限定されない。図15aに示すように、本発明の放電電極52は、例えば、複数の被加工物100(すなわち、複数の固体構造)に対して放電加工手順を同時に実行してもよく、すなわち、放電電極52は、複数の被加工物100を同時に切断することができる。同様に、本発明は、複数の分離された放電電極52(複数の導電性構造)で1つの被加工物100(図15bに示される)又は複数の被加工物(図15cに示される)に対して切断手順を同時に実行してもよい。さらに、本発明の放電加工手順は、上記液状又はガス状などの流体中で実行されることに限定されず、真空環境で実行されてもよい。換言すると、本発明の放電加工手順は、放電電極52で被加工物100を湿式切断できる(すなわち、液体タンク又は加熱液体タンク59a内で実行される)ことに加えて、放電電極52で被加工物100を乾式切断できる(すなわち、空気又は真空環境で実行される)。本発明は、放電電極52による被加工物100の乾式切断中に、放電電極52を選択的に降温してもよく、例えば、液体又はガスなどの降温流体を用いて放電電極52を降温させ又は温度を維持させ、又は、液体又はガスなどの降温流体を用いることなく、放電電極52を放電エネルギーによって昇温させてもよい。
【0050】
図1図3に引き続き示すように、本発明の放電加工(EDM)ユニット50は、電力源54をさらに有し、電力源54は、電気回路を介して放電電極52に接続されることにより、放電電極52と被加工物100との間に電圧差を発生させ、この電圧差の数値が上記隙間によって提供できる絶縁強度よりも大きい場合、放電エネルギーを発生させて被加工物100の加工対象領域110に提供して、加工対象領域110に沿って被加工物100を加工することができる。また、線状の導電線を例として、本発明の放電電極52は、単一の導電線(図3に示される)、又は複数の導電線であってもよい。2つの導電線を例として、図5に示すように、第1の導電線55aの厚さ(直径)及び/又は印加電圧は、第2の導電線55bと同じであってもよく、又は異なってもよい。例えば、第2の導電線55bの厚さは、第1の導電線55aの厚さよりも実質的に大きいことにより、第1の導電線55aを用いて、進行方向(前側)における被加工物100の切断面100aを切断でき、第2の導電線55bを用いて、非進行方向における被加工物100の切断面100b、100cを研磨できる。第1の導電線55aと第2の導電線55bの厚さ及び/又は印加電圧は、必要な切断面の粗さに応じて決定されてもよいため、他の例が例示されていない。本発明は、選択的に、例えば、第1の導電線55a及び/又は第2の導電線55bを介してマイクロ波エネルギー又は高周波エネルギーを被加工物100の加工対象領域110に供給することにより、加熱効果、アニール効果又は研磨効果を提供するためのマイクロ波又は高周波源60を含んでもよく、これにより表面粗さを効果的に低減させ、後続の機械的又は化学的研磨ステップを実行する必要性を回避することができる。同様に、本発明の放電電極52が単一の導電線のみである場合、本発明のマイクロ波又は高周波源60は、この単一の導電線を介してマイクロ波エネルギー又は高周波エネルギーを被加工物100の加工対象領域110に供給することができる。マイクロ波又は高周波源60がマイクロ波であることを例として、本発明のマイクロ波の波長範囲は、約1mm~約1mであり、周波数範囲は、約300GHz~約0.3GHzであり、電力範囲は、例えば、約200ワット~約5,000ワットである。放電電極52の材料は、例えば、銅(Copper)、黄銅(Brass)、モリブデン(Molybdenum)、タングステン(Tungsten)、グラファイト(Graphite)、鋼(Steel)、アルミニウム(Aluminum)及び亜鉛(Zinc)からなる群から選択されてもよい。放電電極52の厚さは約300μmよりも小さく、厚さ範囲は、好ましくは、約30μm~約300μmである。
【0051】
一実施形態では、本発明の放電電極52によって提供された放電エネルギーは、好ましくは、不均一な電界分布を有し、放電電極52によって提供された放電エネルギーの電界は、好ましくは、放電電極52の進行方向に集中している。すなわち、放電電極52の進行方向(切断方向)の電界分布が大きく、その進行方向に垂直な横方向の電界分布が小さい。換言すると、放電電極52によって提供された放電エネルギーは、好ましくは、進行方向(前側)における被加工物100に集中して印加され、放電エネルギーを非進行方向(両側)における被加工物100に印加することを減らし、従って、非進行方向における被加工物100の切断面100b、100cの表面粗さを低減させることができ、例えば、Ra及びRz値、及び切断面100b、100cの表面亀裂を低減させる。
【0052】
図6a~図6gに示すように、放電電極52を介して不均一な電界分布の放電エネルギーを提供できるために、本発明の放電電極52の周囲(左右両側又は片側など)には凹み領域52aがあり、又は、放電電極52の周囲(左右両側又は片側など)には、例えば、絶縁材料又は他の適切な材料の電気的シールド構造52bがある。凹み領域52aと電気的シールド構造52bの両方は、放電電極52の電界拡大範囲を小さくするという効果を達成できるため、被加工物100の切断面100b、100cの表面粗さを低減させることができる。例えば、放電電極52の断面形状は、例えば、凹み領域52aを有するT字形(図6aに示される)、l字形又は他の形状であってもよい。又は、放電電極52の周囲(左右両側又は片側など)には電気的シールド構造52bが被覆され、放電電極52の断面形状は、例えば、T字形(図6bに示される)、l字形(図6e、図6f、図6gに示される)、円形(図6cに示される)、楕円形(図6dに示される)又は他の形状であってもよく、好ましくは、放電電極52の前側(進行方向)のみを露出して、放電電極52によって提供された放電エネルギーの電界を放電電極52の進行方向に集中させる。放電加工手順中に、上記凹み領域52aは、放電電極52を固定する役割を果たし、放電電極52の切断中の振れ又は回転現象を低減させ、さらにリーク孔排水の効果を提供することができる。
【0053】
また、図1及び図4に示すように、本発明の放電加工(EDM)ユニット50は、さらに選択的に送給リール56a及び巻取リール56bを有してもよく、放電電極52の両端は、それぞれ送給リール56a及び巻取リール56bに接続され、送給リール56a及び巻取リール56bは、それぞれプーリ57a、57bを用いて放電電極52に套設されて、放電電極52を位置決めし、且つ例えば、放電電極52の張力を調整する。従って、本発明の放電加工(EDM)ユニット50の放電電極52は、さらに選択的にプーリ57a、57bの案内溝58a、58b(図7aに示される)に対応する案内凸部53a(図6gに示される)を有してもよく、及び/又は、電気的シールド構造52bは、放電電極52の周囲を被覆できるだけでなく、さらに選択的にプーリ57a、57bの案内溝58a、58b(図7bに示される)に対応する案内凸部53b(図6dに示される)を有してもよく、同時に支持構造として機能する。
【0054】
また、図1図12bを参照すると、被加工物100が放電電極52による放電加工手順中に振れる(揺れる)現象を回避し、又は放電加工手順の終了前のバリ現象を回避するために、本発明の治具22には、より選択的に、載置板24に設けられる接着剤層70が設けられる。被加工物100の周縁は、被加工物100を治具20の載置板24に安定して接着するように、接着剤層70に部分的に接着される。接着剤層70は、前記載置板に連続的(図8bに示される)又は不連続(図8cに示される)に設けられることに限定されない。不連続を例として、接着剤層70は、例えば、治具22の載置板24に間隔をあけて設けられ、位置は、加工対象領域110に対応し、すなわち、接着剤層70は、加工対象領域110の下方に位置する。接着剤層70は、加工対象領域110の真下に位置することに限定されず、被加工物100を固着できる限り、本発明に適用できる。
【0055】
治具22は、さらに選択的に載置板24に設けられる導電板72を有してもよく、上記接着剤層70は、導電板72に設けられることにより、放電加工過程による治具22の損傷を回避するための緩衝層として機能できる。導電板72は、例えば、亜鉛、チタン、アルミニウム又は他の適切な導電性金属構造など、仕事関数が約4.5eV以下の材料層であるが、これらに限定されない。接着剤層70は、さらに、導電板72を導電、固定及び保護する機能を与え、容易に除去できるという利点を有する。また、上記接着剤層70が治具22の載置板24に設けられることに加えて、本発明の治具22は、さらに選択的に載置板24の両端に設けられる(図8aに示される)2つの側板26を含んでもよく、2つの側板26は、それぞれ被加工物100の両側に位置し、好ましくは、被加工物100の両側を保持し、例えば、インゴットを軸方向に保持することにより、加工角度が傾いている時に被加工物100の摺動又は傾倒を回避でき、さらに側板26が放電電極52の進行経路をずらして、放電加工手順の実行を妨げないようにする。また、本発明は、接着剤層70を省略でき、すなわち、被加工物100は、治具22の導電板72に直接載置されてもよく、接着剤層70が省略される場合、本発明は、さらに選択的に治具22の2つの側板26で被加工物100の両側を直接保持して、被加工物100の摺動又は傾倒を防止することができる。接着剤層70は、非導電性接着剤層又は導電性接着剤層であってもよく、被加工物100を治具20の載置板24に固着でき、又は導電板72に固着できる限り、本発明に適用でき、接着剤層70と被加工物100の接着面積は限定されず、被加工物100がその下方の載置板24又は導電板72に電気的に接続されて電気回路を構成できる限り、本発明に適用できる。
【0056】
図9に示すように、接着剤層70は、被加工物100の底部のみを接着することに限定されず、接着剤層70は、選択的に載置板24(すなわち、被加工物100の底部)から被加工物100の側辺まで上方に延在してもよく、被加工物100を安定して接着できる限り、本発明に適用できる。また、図10に示すように、接着剤層70に接着される前に、本発明は、例えば、被加工物100に対して前加工手順を実行してもよく、これにより被加工物100の接着剤層70に接着される領域には粗い表面又は隙間があり、従って、接着剤層70は、さらに、被加工物100の表面から被加工物100に浸透して、接着付着効果を向上させ、接着剤層70が導電性接着剤材料である場合、導電効果を向上させることができる。接着剤層70は、例えば、市販の導電性接着剤材料又は非導電性接着剤材料などの任意の適切な材料であってもよい。
【0057】
また、図2図3及び図8aに示すように、本発明の被加工物100の加工対象領域110は、好ましくは、載置板24の上方に位置し、すなわち、加工対象領域110の投影線は、2つの側板26の間にあり、加工対象領域が載置板の側板の外側に位置するという使用された従来技術ではなく、これにより、本発明は、被加工物100の放電加工手順中の振れ現象を低減させ、さらに放電加工手順の終了前に、被加工物100の切断面100b、100cのバリの発生を回避することができる。また、本発明は、被加工物100の加工対象領域110が載置板24の上方に位置し、すなわち加工対象領域110が2つの側板26の間に位置するため、放電電極52は、2つの側板26の間にのみ放電加工手順を実行する。被加工物100の加工対象領域110は、載置板24の真上に位置することに限定されず、加工手順に利用できる限り、本発明に適用できる。従って、本発明は、被加工物100全体に対して放電加工手順を実行でき、従来技術のように側板26による妨げのため、載置板の側板の外側に位置する加工対象領域のみに対して放電加工手順を実行するという欠陥を回避できる。図8b及び図8cに示すように、本発明では、治具22の載置板24に接着剤層70が設けられ、載置板24が加工対象領域110の下方に位置して、被加工物100全体を確実に支持できるため、上記2つの側板26が省略されても、本発明は、振れ現象及びバリ現象を低減させるという効果を達成でき、放電加工手順が側板26によって全く妨げられていない。
【0058】
放電電極52と被加工物100との重なり長さが長すぎると、プーリ57a、57bの間の放電電極52は、被加工物100の切断中に振れやすくなり、切断面がずれたり歪んだりする。さらに、プーリ57a、57bの位置から離れるほど、放電電極52の振れ振幅は大きくなる。従って、本発明は、さらに選択的に、例えば、放電電極52の向きを非接触で固定するための位置決めユニット62を有してもよい。例えば、放電電極52又は電気的シールド構造52bは、例えば、磁石又は鉄含有物などの磁性素子であり、位置決めユニット62は、例えば、磁石又は電磁石などの磁気引力を発生できる素子であり、放電電極52と位置決めユニット62は、それぞれ加工対象領域110の反対側に位置して、磁気引力を用いて上記磁性素子に作用して、放電電極52が放電加工手順中に一定の向きを維持できるようにする。
【0059】
また、本発明は、さらに、例えば、被加工物100の加工対象領域110の治具22の載置板24に対する夾角を調整することにより、軸外(Off-Axis)の放電加工手順を実行してもよい。例えば、図1及び図12aに示すように、本発明の載置ステージ20は、例えば、多軸(2軸、3軸又は以上など)モータを備えた可動載置ステージであってもよく、これにより移動位置に到達し、さらに治具22の放電電極52に対する傾きを調整し、又は、図1及び図12bに示すように、本発明の放電加工(EDM)ユニット50の送給リール56a及び巻取リール56bは、例えば、多軸(2軸、3軸又は以上など)モータを備えてもよく、放電加工(EDM)ユニット50の送給方向を調整することにより、放電電極52の被加工物100に対する傾きを調整することができる。
【0060】
また、放電加工手順の効率を向上させるために、本発明は、さらに、導電性ゲイン層により、被加工物100と治具22との間の電気的接触を向上させることができる。例えば、図13に示すように、前記放電加工(EDM)ユニット50又はレーザーを用いるなどの表面改質方法により、被加工物100に導電性ゲイン層80を形成させ、導電性ゲイン層80の組成は、被加工物100の組成に応じて決定され、導電性ゲイン層80の位置は、治具22の載置板24に隣接するか、又は載置板24に直接接続される。本発明は、被加工物100に対して表面改質を実行することにより、治具22と被加工物100との間の電気的接触を向上させる。又は、本発明は、コーティングなどにより、治具22の載置板24及び/又は2つの側板26に導電性ゲイン層82及び/又は84を形成させて、良好な電気的接触を提供し、さらに導電板72には、導電性ゲイン層86がコーティングされてもよく、又は、導電板72自体は、すなわち導電性ゲイン層86であり(図14に示される)、これにより良好な電気的接触を提供し、導電性ゲイン層82、84の位置は、被加工物100に隣接するか、又は直接接触する。導電性ゲイン層82及び/又は84の材料は、例えば、同じ又は異なる導電材料であってもよく、良好な電気的接触を提供できる限り、本発明に適用できる。また、導電板72、治具22の載置板24及び/又は2つの側板26自体は、例えば、上記導電性ゲイン層82、84及び/又は86の導電性ゲイン材料で構成されてもよく、導電性ゲイン材料は、例えば、異なる又は同じ金属材料などの異なる又は同じ導電材料を用いてもよく、良好な電気的接触を提供できる限り、本発明に適用できる。又は、放電加工手順中に、前記加熱液体タンク59aの加熱液体59bに、導電に寄与する材料を添加して、放電加工手順の実行を促進してもよく、特に半導体又は不良導体などの被加工物100の放電加工効率を向上させることができる。上記導電性ゲイン層82、84及び/又は86の仕事関数は、例えば、約4.5eV以下であり、これに限定されず、電気的接触の向上に寄与する限り、本発明に適用できる。
【0061】
また、本発明は、熱源90により載置板24上の被加工物100を加熱して、被加工物100と治具22との間の電気的接触を向上させることもできる。熱源90は、例えば、前記加熱液体タンク59a、マイクロ波又は高周波源60、又はレーザー源及び/又は赤外線光源であってもよい。被加工物100が治具22に接触した場合、熱源90を用いて熱処理し、電気的接触を向上させて、後続の放電加工手順の効率を向上させることができる。
【0062】
上記のように、本発明の放電加工装置は、以下の利点を有する。
【0063】
(1)不均一な電界分布の設計により、電界を進行方向に集中させることができる。
【0064】
(2)不均一な電界分布の設計により、非進行方向の電界分布を低減させ、従って被加工物の非進行方向における表面粗さ及び表面亀裂を低減させることができる。
【0065】
(3)治具に接着剤層が設けられることにより、被加工物の放電加工手順中の振れ現象を回避でき、さらに放電加工手順の終了前のバリ現象を回避できる。
【0066】
(4)治具に接着剤層が設けられることにより、治具が被加工物の放電加工手順の実行を妨げるのを回避でき、従って放電加工手順がより柔軟になる。
【0067】
(5)放電電極が複数の導電線を有するため、切断ステップ及び研磨ステップを同時に実行でき、全体的な加工手順の実行を加速でき、さらに低粗さの表面を取得できる。
【0068】
(6)被加工物及び/又は治具の導電性ゲイン層により、被加工物と治具との間の電気的接触を向上させて、放電加工手順の効率を向上させることができる。
【0069】
以上の記述は例を挙げたものにすぎず、限定するものではない。本発明の精神及び範疇から逸脱しない、それに対して行ういかなる同等効果の修正又は変更も、添付の請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
10:放電加工装置
20:載置ステージ
22:治具
24:載置板
26:側板
50:放電加工(EDM)ユニット
52:放電電極
52a:凹み領域
52b:電気的シールド構造
53a、53b:案内凸部
54:電力源
59a:加熱液体タンク
59b:加熱液体
55a:第1の導電線
55b:第2の導電線
56a:送給リール
56b:巻取リール
57a、57b:プーリ
58a、58b:案内溝
60:マイクロ波又は高周波源
62:位置決めユニット
70:接着剤層
72:導電板
100:被加工物
100a:切断面
100b:切断面
100c:切断面
110:加工対象領域
80、82、84、86:導電性ゲイン層
90:熱源
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図6g
図7a
図7b
図8a
図8b
図8c
図9
図10
図11
図12a
図12b
図13
図14
図15a
図15b
図15c