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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】センサを備えたローラ
(51)【国際特許分類】
   B02C 4/30 20060101AFI20230928BHJP
   B02C 4/06 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B02C4/30
B02C4/06 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022512718
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 EP2020072253
(87)【国際公開番号】W WO2021037525
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-03-09
(31)【優先権主張番号】19193455.3
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517338205
【氏名又は名称】ビューラー アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニーフ、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ルキン、マルコス
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-525937(JP,A)
【文献】米国特許第07825655(US,B1)
【文献】実開平04-022041(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第109317246(CN,A)
【文献】特開2018-081012(JP,A)
【文献】特開昭49-050558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 1/00-25/00
G01D 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕機ローラ対で使用するための粉砕機ローラ(1)であって、
前記粉砕機ローラの状態を特徴付ける測定値を検出するための少なくとも1つのセンサ(2)であって、前記センサ(2)は、前記粉砕機ローラ(1)の受容開口部(1a)の中に配置される、少なくとも1つのセンサ(2)と、
前記少なくとも1つのセンサ(2)の前記測定値をデータ受信機に非接触送信するための少なくとも1つのデータ送信機(3)と、
を備え、
前記センサ(2)が、セラミック材料で作製されたキャップ(4)によって、前記受容開口部(1a)の中に封入され、
セラミック材料で作製された前記キャップ(4)が、金属材料で作製されたリングからなる締結デバイス(5)によって前記受容開口部(1a)の外端部に固定されている、
ことを特徴とする、粉砕機ローラ。
【請求項2】
セラミック材料で作製された前記キャップ(4)が、酸化ジルコニウム(ZrO)から製造される、ことを特徴とする、請求項1に記載の粉砕機ローラ。
【請求項3】
前記センサ(2)の少なくとも1つのセクションが、無線信号の送信及び受信を向上させるために、高い導電率を有する材料(6)によって取り囲まれている、ことを特徴とする、請求項1または2に記載の粉砕機ローラ。
【請求項4】
前記センサ(2)のヘッド(3)の領域が、高い導電率を有する前記材料(6)によって取り囲まれている、ことを特徴とする、請求項に記載の粉砕機ローラ。
【請求項5】
高い導電率を有する前記材料(6)が、箔又はリングの形態で前記センサ(2)を取り囲んでいる、ことを特徴とする、請求項又はに記載の粉砕機ローラ。
【請求項6】
前記センサ(2)が、前記センサ(2)にエネルギーを供給するための少なくとも1つのユニットを有する、ことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の粉砕機ローラ。
【請求項7】
前記センサ(2)が、データ送信、信号変換、又はその両方のための少なくとも1つの電子構成要素を有する、ことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の粉砕機ローラ。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の少なくとも1つの粉砕機ローラ(1)を備える、粉砕機ローラ
【請求項9】
請求項に記載の少なくとも1つの粉砕機ローラ対を含んでいる、製品加工プラン
【請求項10】
請求項1~のいずれか一項に記載の粉砕機ローラ(1)の中に配置された前記センサ(2)によって、前記粉砕機ローラ(1)の状態を検出するステップを含む、請求項に記載の製品加工プラントを動作させるための方法。
【請求項11】
前記粉砕機ローラ(1)の前記状態を検出する前記ステップが、前記製品加工プラントの動作中に連続的に実行される、ことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
セラミック材料で作製されており、かつ、請求項1~のいずれか一項に記載の粉砕機ローラ(1)の受容開口部(1a)の中にセンサ(2)を封入するためのキャップ(4)として使用するように構成又は適合されている、センサキャップ(4)。
【請求項13】
請求項12に記載のセンサキャップ(4)と、締結デバイス(5)と、で構成されるキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラ対、特に粉砕機ローラ対などの穀物ローラ対のローラのためのセンサに関し、当該センサは、ローラに一体化されており、かつ、改良されたカバーキャップを有している。
【0002】
粉砕機ローラは、例えば、穀物ミリング産業で使用されるので、連続的な監視を必要とする。例えば、隣接する粉砕機ローラが互いに接触し、モータの駆動力が制御されずに熱に変換される、いわゆるドライランニングが発生し得る。この状態が長く続き過ぎる場合、粉砕機ローラの温度が臨界範囲まで上昇することがあり、火災を引き起こす可能性がある。
【0003】
先行技術における一般的な予防措置は、1つ以上のセンサの助けを借りて粉砕機ローラの温度を監視することと、着火温度に達したときに警告メッセージを出力することと、で構成される。これを目的として、粉砕機ローラの周面を検出するための光学システムが頻繁に使用される。しかしながら、これらの光学システムは、粉砕ストックもその中を流れる製品チャンバ内の粉砕機ローラの外側に位置するという点で問題となる。これを理由に、そのような光学システムは、汚染の影響を非常に受けやすい。
【0004】
DE10226411A1により、温度センサの助けを借りて、粉砕機ローラの周面の温度を非接触で測定することが知られている。センサと粉砕機ローラの周面との間の距離に起因して、周面の実際の温度は部分的に、測定温度とはかなり異なり得る。次いで、これらの偏差は、評価時に、純粋な経験値に基づいて考慮される必要があり、これは複雑であり、また誤差が生じやすい。
【0005】
また、DE19819614A1は、粉砕機ローラから一定の距離で配置された温度プローブを開示している。
【0006】
更に、粉砕機ローラの表面品質を測定するための圧力センサ(単数又は複数)もまた知られており、その助けを借りて、2つの隣接する粉砕機ローラの間の接触圧力又は粉砕機ローラの摩耗を測定することができる。更に、例えば、WO2007/025395A1により、粉砕機ローラ用の振動センサが知られている。
【0007】
これらのセンサはすべて同様に、粉砕機ローラの外側に配置されている。
【0008】
粉砕機ローラの外側にセンサを配置することに関連する欠点を排除するために、WO2014/195309A1は、センサ(単数又は複数)を粉砕機ローラに一体化することを提案した。
【0009】
本発明の目的は、先行技術の上記の欠点を克服することであった。
【0010】
上記の目的は、独立請求項の主題によって、本発明に従って達成される。
【0011】
詳細には、本発明は、粉砕機ローラ対、特に穀物ローラ対で使用するための粉砕機ローラであって、
-粉砕機ローラの状態を特徴付ける測定値を検出するための少なくとも1つのセンサであって、センサは、粉砕機ローラの受容開口部の中に配置される、少なくとも1つのセンサと、
-少なくとも1つのセンサの測定値をデータ受信機に非接触送信するための少なくとも1つのデータ送信機と、
を備え、
センサが、セラミック材料で作製されたキャップによって、受容開口部の中に封入される、ことを特徴とする、粉砕機ローラに関する。
【0012】
本発明は更に、本発明による少なくとも1つの粉砕機ローラを備える、粉砕機ローラ対、特に穀物ローラ対に関する。
【0013】
本発明は更に、本発明による少なくとも1つの粉砕機ローラ対を含んでいる、製品加工プラント、特に穀物ミルに関する。代替的には、製品加工プラントはまた、ミリング産業におけるローラプレス、例えば油料種子から油を生産するための又は穀物フレーキングのための、フレーキングミル、あるいは、例えば油料種子油脂産業又は飼料産業における、クラッキングミルであってもよく、そのローラは、本発明の意味において、「粉砕機ローラ」又は「粉砕機ローラ対」として理解される。
【0014】
本発明は更に、本発明による粉砕機ローラの中に配置されたセンサによって、粉砕機ローラの状態を検出するステップを含む、本発明による製品加工プラントを動作させるための方法に関する。
【0015】
本発明は更に、セラミック材料で作製されており、かつ、粉砕機ローラの受容開口部の中にセンサを封入するためのキャップとして使用するように構成又は適合されているセンサキャップに関し、また、本明細書に記載するセンサキャップと、締結デバイスと、で構成されるキットであって、この締結デバイスは、好ましくは、金属材料、作製されたリングで構成される、キットにも関する。
【0016】
本発明の意味において、「製品の加工」とは、バルク材料、特に、穀物、穀物ミリング製品、及び上記のミリング産業又は特殊なミリング産業の穀物の最終製品の粉砕(grinding)、微粉砕(comminution)、及び/又はフレーキング(flaking)を意味すると理解され、以下により詳細に説明する粉砕機ローラ又はフレーキングローラの対は、例えば、ローラ対として使用され得る。
【0017】
本発明の意味における粉砕機ローラは、粒状の粉砕ストックを粉砕するように設計されており、これは通常、2つの粉砕機ローラからなる粉砕機ローラ対の間で行われる。粉砕機ローラ、特に本発明による粉砕機ローラ対の粉砕機ローラは、通常、(特に、それらの周面上に)本質的に非弾性の表面を有し、この非弾性の表面は、例えば、これを目的として、鋼、特にステンレス鋼などの金属を含有する又はそのような金属で構成され得る。通常、粉砕機ローラ対の粉砕機ローラの間には、比較的堅固で、頻繁に油圧調節されるミルギャップが存在する。多くの粉砕プラントでは、粉砕ストックは、そのようなミルギャップを通して実質的に垂直に下向きに案内される。更に、多くの粉砕プラント内の粉砕ストックは、その重力によって粉砕機ローラ対の粉砕機ローラに供給され、この供給は任意選択的に、空気圧でサポートされ得る。粉砕ストックは通常、粒状であり、ミルギャップを通る流体流として移動する。これらの特性の結果として、粉砕機ローラ(特に、本発明による粉砕機ローラ対の粉砕機ローラ)、及び少なくとも1つのそのような粉砕機ローラを含んでいる粉砕プラントは、例えば、紙の移送に通常使用される多くのローラとは異なる。
【0018】
本発明によれば、粉砕ストックは、穀物の加工において使用される粉末、顆粒、又はペレットの形態の製品、穀物ミリング製品、並びに、ミリング産業(特に、軟質小麦、デュラム小麦、ライ麦、トウモロコシ、及び/又は大麦の粉砕)又は特殊なミリング産業(特に、大豆、そば、大麦、スペルト小麦、ミレット/ソルガム、擬穀類、及び/又は豆類の殻の除去及び/又は粉砕)、家畜、魚類、及び甲殻類の餌の生産、油料種子の加工、バイオマスの処理、エネルギーペレットの生産、並びに工業用麦芽製造所及び分留所、カカオ豆、ナッツ、及びコーヒー豆の加工、医薬産業又は固体化学における肥料の生産における穀物の最終製品、を意味すると理解される。
【0019】
粉砕機ローラ対の少なくとも1つのローラ、特に両方のローラ、特に、粉砕機ローラ対の少なくとも1つの粉砕機ローラ、特に両方の粉砕機ローラは、例えば、平滑ローラとして、又は溝付きローラとして、あるいは、ねじ留めされたプレートを備えたローラのベース本体として設計され得る。平滑ローラは、円筒形又はかまぼこ形であってもよい。溝付きローラは、屋根形状又は台形の溝付き幾何学形状などの様々な溝付き幾何学形状を有することができ、及び/又は周面に取り付けられたセグメントを有することができる。
【0020】
粉砕機ローラ対の少なくとも1つのローラ、特に両方のローラ、特に、粉砕機ローラ対の少なくとも1つの粉砕機ローラ、特に両方の粉砕機ローラは、100mm~2,500mmの範囲の長さ及び200mm~800mmの範囲の直径を有することができる。
【0021】
ローラの、特に粉砕機ローラの周面は、好ましくは、ローラ本体に取り外し不可能に接続され、特に1部品で形成されている。これにより、製品の単純な生産、及び信頼性が高くロバストな加工、特に粉砕が可能になる。
【0022】
少なくとも1つのセンサは、ローラ対のローラの、特に両方のローラのうちの少なくとも1つの状態を特徴付ける測定値を検出するように設計されている。特に、当該状態は、ローラ対のローラの、特に両方のローラのうちの少なくとも1つの周面の状態であり得る。この状態は、例えば、ローラ対のローラの、特に両方のローラのうちの少なくとも1つの、温度、圧力、力(1つ以上の方向の力成分(単数又は複数))、摩耗、振動、変形(膨張及び/又は撓みの経路)、回転速度、回転加速度、周囲湿度、位置、又は向きであり得る。
【0023】
ローラ対の少なくとも1つのローラ、特に、粉砕機ローラ対の少なくとも1つの粉砕機ローラは、少なくとも1つのセンサを含む。ローラが動作中に回転すると、センサも回転する。特に、少なくとも1つのセンサは、ローラの底面内に配置されている。したがって、少なくとも1つのセンサは、製品、特に粉砕ストックがその中を流れる製品チャンバの中に位置していない。これにより、少なくとも1つのそのようなローラを備えた製品加工プラント、特に、少なくとも1つのそのような粉砕機ローラを備えた粉砕プラントは、汚染の影響が著しく低くなる。更に、ローラ内で測定を直接的に行うことができ、これにより、測定値が著しく正確になる。
【0024】
センサは、例えば、MEMSセンサ(MEMS:Micro-Electro-Mechanical System)として設計され得る。
【0025】
センサは、好ましくは、少なくとも1つのデータ送信機とデータ接続しており、データ送信機は、少なくとも1つのセンサの測定値をデータ受信機に非接触送信するように設計されている。本発明によれば、データ送信機は、好ましくは、データ接続しているセンサと同じローラ上又はその中に配置される。特に好ましくは、データ送信機は、アンテナを含む。
【0026】
少なくとも1つのデータ送信機の助けを借りて、測定値を、ローラの一部ではないデータ受信機に非接触で送信することができる。特に、データ受信機は、静止型データ受信機であってもよく、少なくとも1つのセンサは、ローラが回転すると、静止型データ受信機に関して移動される。非接触送信により、さもなくば必要とされるケーブルのための複雑な回転型フィードスルーを回避することが可能になる。
【0027】
有利には、少なくとも1つのローラ、特に両方のローラは、上述のセンサのうちのいくつか、特に、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも4つ、より好ましくは少なくとも6つのセンサを含んでおり、これらは、ローラに含まれている。より好ましくは、いくつかのセンサは、少なくとも1つのデータ送信機とデータ接続している。センサは、ローラの回転軸に沿った様々な位置に、かつ/又はこの回転軸の周りに様々な角度で配置され得る。ローラがより多くのセンサを含んでおり、これらのセンサがより均一に分布していると、それらによって検出された測定値は、より有意義になる。センサは、好ましくは、周方向に均一に配置され、その結果、回転平衡がもたらされる。
【0028】
少なくとも1つのセンサは、
-温度センサであって、好ましくは、ローラの回転軸の方向に沿った温度プロファイルを判定することを可能にするために、ローラの回転軸に沿って配置されたいくつかの温度センサが存在する、温度センサ、
-圧力センサ、
-(1つ以上の方向における力成分(単数又は複数)を判定するための)力センサ、
-摩耗センサ、
-特に、この位置における巻き付き、すなわち、加工、特に粉砕を妨害する、ローラの周面への加工された製品の接着を判定するための振動センサ、
-(膨張及び/又は撓みの経路を判定するための)変形センサ、
-特に、ローラの停止状態を判定するための回転速度センサ、
-回転加速度センサ、
-好ましくはローラの前面に配置されている、周囲湿度を判定するためのセンサ、
-ローラの位置及び/又は向きを判定するための、特に、ローラ対の2つのローラの間のギャップの位置及び/又は向きに依存する幅、並びにローラの平行度を判定するための、ジャイロセンサ、
-ローラ対の2つのローラの間のギャップ、特に、粉砕機ローラ対の2つの粉砕機ローラの間のミルギャップの幅を判定するためのセンサ、例えば、ローラの前面に配置されたセンサ、特に、MEMSセンサ、
として設計され得る。
【0029】
本発明によれば、上述のセンサの任意の組み合わせが可能である。例えば、ローラは、いくつかの温度センサ及び変形センサを含んでいてもよい。更なる実施形態によれば、存在するすべてのセンサは、同じタイプであってもよく、すなわち、例えば、温度センサとして設計され得る。更なる実施形態によれば、少なくとも1つのローラ、特に両方のローラは、様々なタイプのセンサを含んでいてもよい。
【0030】
いくつかのセンサ並びに少なくとも1つのデータ送信機を1つのローラ又は両方のローラが含んでいる場合には、少なくとも1つのデータ送信機が、センサのうちのいくつかから、より好ましくは、すべてのセンサからデータ受信機に測定値を非接触送信するように設計されている場合が好ましい。好ましくは、少なくとも1つのローラ、特に、2つのローラの各々は、測定値の非接触送信のために、多くともデータ送信機を1つだけ、特に好ましくは、正確に1つだけ含んでいる。ローラが含んでいるデータ送信機が少なくなると、このローラの構造はより単純になる。
【0031】
特に、少なくとも1つのローラが、データ送信機を1つだけ含んでいる場合、このローラ、特に両方のローラは、好ましくは、センサにより検出された測定値をデータ送信機に交互に送信するように配置及び設計される少なくとも1つのマルチプレクサを含む。
【0032】
非接触送信は、例えば、赤外線によって、光パルスによって、無線周波数信号によって、誘導結合によって、又はそれらの組み合わせによって行われ得る。
【0033】
ここで又は以下において、測定値の非接触送信はまた、測定値の対応する処理によって取得され、したがって測定値に基づくデータの送信を含む。例えば、少なくとも1つのローラ、特に両方のローラは、少なくとも1つの信号変換器、特に少なくとも1つのセンサにより検出された測定値を変換するための少なくとも1つのA/D変換器を含むことができる。第1の可能な変形例では、各センサは、このセンサにより検出された測定値を変換する少なくとも1つの信号変換器を割り当てられ得る。その後、変換された信号は、既に上述したマルチプレクサに供給され得る。信号変換器がA/D変換器である場合、マルチプレクサは、デジタルマルチプレクサであり得る。第2の可能な変形例では、信号変換器はまた、上述したマルチプレクサとデータ送信機との間に配置され得る。この場合、マルチプレクサは、アナログマルチプレクサであり得る。
【0034】
少なくとも1つのローラ、特に両方のローラは、好ましくは、特に、少なくとも1つのローラの、特に両方のローラの以下に更に説明するローラ本体、少なくとも1つのエネルギー受信機、及び/又は少なくとも1つのエネルギー発生器を含んでいる。これにより、以下に更に説明する測定デバイスの、少なくとも1つのセンサ、及び/又は少なくとも1つのマルチプレクサ(特に、上述の少なくとも1つのマルチプレクサ)、及び/又は少なくとも1つの信号変換器(特に、上述の少なくとも1つの信号変換器)、及び/又は少なくとも1つのデータ送信機(特に、ローラ上に又はローラ内に含まれるデータ送信機)、及び/又は少なくとも1つのデータ送信機のエネルギー供給を達成することができる。
【0035】
特に、ローラは、バッテリ、特に再充電可能なバッテリを含んでいてもよく、それを用いて、前述のエネルギー供給を達成することができる。従来の再充電可能なバッテリ(蓄電池)が知られている。
【0036】
代替的には、バッテリは、誘導エネルギー受信機であり得る。この変形例では、エネルギー受信機は、例えば、少なくとも1つの受信コイルを有することができ、その助けを借りて、電磁エネルギーを誘導結合することができる。しかしながら、代替的又は追加的に、エネルギー受信機はまた、光エネルギーを受け取るように設計されてもよい。更なる変形例では、エネルギー発生器は、(特に、ゼーベック効果、ペルチエ効果、又はトムソン効果などの熱電効果を使用して、例えば、熱電対の助けを借りて、あるいは、少なくとも1つの圧電要素の助けを借りるなど、ローラの振動もしくは移動を使用して)ローラの移動からエネルギーを回収するように設計され得る。
【0037】
有利には、少なくとも1つのローラ、特に両方のローラは、少なくとも1つのプリント回路基板(特に、MEMSプリント回路基板)を含んでおり、その上に、少なくとも1つのセンサ、及び/又は少なくとも1つのマルチプレクサ(特に、上述の少なくとも1つのマルチプレクサ)、及び/又は少なくとも1つの信号変換器(特に、上述の少なくとも1つの信号変換器)、及び/又は少なくとも1つのデータ送信機(特に、ローラ上に又はその中に含まれるデータ送信機)、及び/又は少なくとも1つのエネルギー受信機(特に、上述した少なくとも1つのエネルギー受信機)、及び/又は少なくとも1つのエネルギー発生器(特に、上述した少なくとも1つのエネルギー発生器)が配置される。プリント回路基板は、測定ラインを含んでいてもよく、それを介して、センサがマルチプレクサに接続される。そのようなプリント回路基板は、少なくともいくつかの例示的な実施形態において、その上に前述の構成要素を非常にコンパクトに配置することができるという利点を有し、かつ、プリント回路基板が別個のアセンブリとして製造でき、必要に応じて再び交換できるという利点を有する。
【0038】
しかしながら、プリント回路基板の代わりに、センサを、ケーブルハーネスを介して、データ送信機及び/又はマルチプレクサに接続することもできる。
【0039】
本発明によれば、少なくとも1つのローラ、特に両方のローラは、少なくとも1つの受容開口部を有するローラ本体を備え、受容開口部の中に、センサが、特に取り外し可能に挿入可能である、又は挿入される。
【0040】
しかしながら、別の実施形態では、センサが受容開口部の中に取り外し不可能に挿入される場合も好都合であり得る。このようにして、センサをローラ本体に、より確実に接続することができる。更に、安全性を損なう可能性のあるセンサの不正な除去を防止することができる。センサは、例えば、受容開口部の中に、(例えば、樹脂によって)鋳造しても、あるいは、溶接してもよい。その結果、爆発のリスクも回避することができ、それにより、特に、欧州連合のATEXガイドラインを満たすことができる。
【0041】
本発明によれば、受容開口部は、好ましくは、5mm~40mm、好ましくは5mm~25mm、特に好ましくは10mm~20mmの範囲の直径を有する円筒形のボアにより形成され、好ましくは、ボアの開口部領域において、10~50mm、好ましくは20~40mmの範囲が提供され、いくらか大きい直径、特に好ましくは、セラミック材料で作製されたキャップを固定して収容するためのねじ山を備え、以下に説明される。
【0042】
このボアは、好ましくは、ローラ本体の回転軸に平行に延びている。周面の状態を判定することを可能にするために、受容開口部は、好ましくは、ローラ本体の外部領域に配置される。したがって、受容開口部は、例えば、ローラ本体の円形-円筒形領域に位置することができる。
【0043】
本発明によれば、受容開口部は、好ましくは、回転軸に平行に、ローラ本体の長さに実質的に沿って、例えば、ローラ本体の全長の少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは50%~100%に沿って延び、100%は貫通孔に相当する。少なくとも1つの受容開口部は、好ましくは、結果としてローラの平衡化をなくすことができるので、マスバランスが考慮されるように配置される。代替的には、好ましくは周方向に均一に配置される2つ以上の受容開口部を提供してもよく、同様に、結果として、平衡化をなくすことができる。代替的又は追加的に、ローラ本体の全長の50%未満の2つの実質的に同軸の受容開口部が存在してもよく、各々が1つのセンサを備える。代替的又は追加的に、ローラ本体の全長の50%超の2つの同軸でない受容開口部が存在してもよく、好ましくは、粉砕機ローラの対向する前面上に各々が1つのセンサを備え、それによって、センサよりも長いローラの場合の温度プロファイルも、2つのセンサを用いて測定され得る。
【0044】
センサは、好ましくは棒形状である。また、本発明によれば、受容開口部に導入することができる単一の棒形状の測定デバイスの形態で、いくつかのセンサを配置することも可能である。
【0045】
本発明は、センサをローラの受容開口部の中に確実に配置し、考えられる極端な動作条件からセンサを確実に保護し、更に、ローラの外側に配置されたデータ受信機へのセンサの無線信号の信頼性の高い送信を保証するという、先行技術の課題を解決する。
【0046】
本発明によれば、これは、セラミック材料で作製されたキャップによって、受容開口部の中にセンサを封入することによって達成される。
【0047】
例えば、プラスチックで作製されたキャップと比較して、セラミック材料で作製された本発明によるキャップは、より良好な耐熱性を有し、更に、ローラの外側に配置されたデータ受信機へのセンサの無線信号の送信の向上を可能にする。
【0048】
本発明によれば、(EN10/2011,84/500/EEC規定に従った)食品安全性、耐衝撃性(ローラの動作条件下での材料分裂なし)、及び耐熱性(少なくとも400℃の最高温度)である、任意のセラミック材料を、セラミック材料として使用することができる。更に、本発明による、使用されるセラミック材料は、無線信号の送信の関連範囲(特に、約2.4GHz)の電磁波に対して透過性でなければならない。本発明によれば、セラミック材料は、好ましくは5~50の範囲、特に好ましくは25~30の範囲の、高い比誘電率を有する。
【0049】
本発明によれば、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化アルミニウム(Al)、又は窒化ケイ素(Si)が、セラミック材料として使用され得る。本発明によれば、セラミック材料は、特に好ましくは酸化ジルコニウム(ZrO)である。
【0050】
本発明によれば、セラミック材料で作製されたキャップは、好ましくは、雄ねじ、雌ねじ、又は雄ねじと雌ねじの両方を有する。雌ねじの助けを借りて、センサ又は測定デバイスへのキャップの確実な締結を達成することができる。雄ねじの助けを借りて、(受容開口部が、開口部領域内に対応する嵌合ねじを有する場合)受容開口部内におけるキャップの確実な締結を達成することができる。
【0051】
セラミック材料で作製された本発明によるキャップは、好ましくは、円筒形であり、少なくとも1つのセクションに、センサ又はデータ送信機を受容するための内部チャンバを有する。
【0052】
セラミックで作製された本発明によるキャップ材料は、一方の端部に向かって閉じており、その結果、キャップが、ローラの受容開口部の中に配置されているときに、この受容開口部を周囲から分離する。この端部は、好ましくは、センサ又は測定デバイスを備えたキャップを取り付ける又は取り外すためのツールを配置するための部分を有する。これらの部分は、例えば、ツールの対応する構成要素を固定して配置することができる凹部であり得る。
【0053】
本発明によれば、セラミック材料で作製されたキャップは、好ましくは、10~50mm、好ましくは15~40mm、特に好ましくは20~30mmの範囲の長さを有する。本発明によれば、セラミック材料で作製されたキャップは、好ましくは、10~50mm、好ましくは15~40mm、特に好ましくは20~30mmの範囲の外径を有する。本発明によれば、セラミック材料で作製されたキャップは、より好ましくは、5~20mm、好ましくは10~15mmの範囲の長さ、及び10~30mm、好ましくは15~25mmの範囲の直径を有する、センサ又はデータ送信機を受容するための内部チャンバを有し、直径は、指定範囲内の内部チャンバの長さにわたって変動し得る。
【0054】
本発明の好ましい実施形態によれば、セラミック材料で作製されたキャップは更に、締結デバイスによって、ローラの受容開口部の外端部に固定される。好ましくは、この締結デバイスは、金属材料、例えば鋼で作製されたリングである。締結デバイスは、セラミック材料で作製されたキャップ上での締結デバイスの固定、及びローラの受容開口部内での固定を確実にする幾何学形状を有する。例えば、締結デバイスは、20~30mmの範囲の外径、及び10~20mmの範囲内の内径を有するリングであってもよく、リングの幅は、3~10mmの範囲でなければならない。
【0055】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、センサ又はデータ送信機の少なくとも1つのセクションは、無線信号の送信及び受信を向上させるために、高い導電率(10S/m超)を有する材料、好ましくは、金属、例えば、アルミニウム又は銅によって取り囲まれている。好ましくは、この材料は、箔又はリングの形態で提供され、好ましくは、ヘッド領域(すなわち、セラミック材料で作製されたキャップの内部チャンバに導入される領域)内のセンサ又はデータ送信機を取り囲んでいる。
【0056】
本発明は更に、本発明による、ローラを備えた少なくとも1つの粉砕機ローラ対を含んでいる、製品加工プラント、特に穀物ミルに関する。
【0057】
製品を加工するための製品加工プラント、特に粉砕ストックを粉砕するための粉砕プラントは、上記の少なくとも1つのローラ対、特に粉砕機ローラ対を含んでいる。ローラ対のローラの間にギャップが形成される。特に、粉砕機ローラ対の粉砕機ローラの間にミルギャップが形成される。本発明の範囲内では、ローラ対の2つのローラのうちの1つのみが、本発明に従って設計されなければならないが、本発明はまた、ローラ対の両方のローラが本発明に従って設計されている、すなわち、上記のように少なくとも1つのセンサを含む実施形態も包含する。粉砕ストックを粉砕するときには特に、この粉砕ストックは、そのようなミルギャップを通して実質的に垂直に下向きに案内される。更に、粉砕ストックを粉砕するときには特に、この粉砕ストックは、好ましくは、重力によって粉砕機ローラに供給され、これは、任意選択的に、空気圧でサポートされ得る。製品、特にバルク材料、特に粉砕ストックは、粒状であってもよく、ミルギャップを通る流体流として移動することができる。
【0058】
加えて、製品加工プラントは、ローラ対のローラの、特に両方のローラのうちの少なくとも1つのデータ送信機により送信された測定値を受信するために、少なくとも1つのデータ受信機、特に静止型データ受信機を有することができる。既に上述した利点は、そのような製品加工プラントで達成することができる。粉砕プラントが、同じ製品入口から製品が供給されるいくつかの異なるローラ対を含んでいるときには特に、ローラ対の1つのみが本発明に従って設計されている場合に有利であり得る。
【0059】
粉砕プラントは、例えば、穀物ミルの単一のローラミルであっても、あるいは更に、少なくとも1つのローラミルを備える穀物ミル全体であってもよく、少なくとも1つのローラミルは、上述の少なくとも1つの粉砕機ローラを含んでいる。代替的には、それは、ミリング産業におけるローラプレス、油料種子から油を生産するためのフレーキングミル、又は油脂産業もしくは飼料産業におけるクラッキングミルであり得る。
【0060】
本発明は更に、本発明による粉砕機ローラの中に配置されたセンサによって、粉砕機ローラの状態を検出するステップを含む、このタイプの製品加工プラントを動作させるための方法に関する。
【0061】
本方法は、製品加工プラントのデータ受信機によって、ローラ対のローラの、特に両方のローラのうちの少なくとも1つのデータ送信機により送信された測定値を受信するステップを含む。
【0062】
続いて、このようにして受信されたデータを更に処理し、評価することができる。これを目的として、製品加工プラント、特に粉砕プラントの制御ユニットにデータを供給することができ、任意選択の上位制御システムにデータを転送することができる。制御ユニット及び/又は制御システムの助けを借りて、製品加工プラント全体、特に粉砕プラント全体又はその一部を制御及び/又は調節することができる。
【0063】
特に、制御ユニットは、予め定められた警告基準が満たされた場合、警告メッセージを出力することができる。警告基準は、例えば、このセンサに対して予め定められた限界値を超える、センサのうちの少なくとも1つの測定値で構成され得る。別の変形例では、警告基準は、予め定められた量のセンサにより測定され、予め定められた限界値を超える、最大測定値と最小測定値との間の差で構成され得る。警告基準が満たされた場合、警告信号を(例えば、光学的及び/又は音響的に)出力することができ、かつ/又は製品加工プラントを(例えば、制御ユニットにより)停止状態にすることができる。制御ユニットはまた、少なくとも1つのセンサにより検出された測定値、又は少なくとも1つのセンサから取得されたデータを視覚的に表示することができる。
【0064】
本発明によれば、粉砕機ローラの状態を検出するステップは、特に好ましくは、製品加工プラントの動作中に連続的に実行され、それにより、いかなる問題も、適時に検出し、排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
以下に、非限定的で例示的な実施形態及び図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。以下のものが示されている。
図1】センサがその中に配置されている、本発明による粉砕機ローラの概略図。
図2】センサがその中に配置されている、本発明による粉砕機ローラの受容開口部の概略図。
図3】セラミック材料で作製された本発明によるキャップの概略図。
図4】本発明による締結デバイスの概略図。
【0066】
図1は、センサ2がその中に配置されている、本発明による粉砕機ローラ1の概略図を示している。このタイプの粉砕機ローラ1は周知である。この実施形態による粉砕機ローラ1は、4つの受容開口部1a(図2に、より詳細に示される)を有し、その中に、センサ2、又はいくつかのセンサを有する測定デバイスを配置することができる。受容開口部1aは、ローラの表面に対応する物理的値を判定するために、ローラの周方向領域に、すなわち、ローラの側面の近くに(不均衡を回避するように)対称的に位置し、対称的に配置されている。
【0067】
図2は、センサ2がその中に配置されている、本発明による粉砕機ローラ1の受容開口部1aの概略図を示している。センサ2は、完全に受容開口部1aの中に位置している。セラミック材料、好ましくは酸化ジルコニウムで作製されたキャップ4は、センサ2のヘッド3上に固定されている。セラミック材料で作製されたキャップ4は、受容開口部1aを周囲から分離し、それにより、センサ2を保護する、又はセンサ2の損傷に起因する製品の汚染を防止する。
【0068】
セラミック材料で作製されたキャップ4は、締結デバイス5、好ましくは鋼リングの助けを借りて、受容開口部1aの外端部に固定される。
【0069】
無線信号の送信及び受信を向上させるために、この実施形態によるセンサ2のヘッド3の領域は、高い導電率を有する材料6、好ましくは金属によって取り囲まれている。本明細書に示す実施形態によれば、高い導電率を有する材料6は、箔又はリングの形態でセンサ2のヘッド3を取り囲む。
【0070】
図3は、セラミック材料で作製された本発明によるキャップ4の概略図である。キャップ4は、センサ2を受容するために(ブラインドボアの形態の)内部チャンバを有し、かつ、その閉鎖端で図4に示すリング5などの締結デバイスを上部に固定することができるように設計されている。
【0071】
図4は、ここでは金属リングの形態の、本発明による締結デバイス5の概略図を示している。締結デバイス5は、図3に示したキャップ4などのセラミック材料で作製されたキャップ4上に固定され得るように設計されている。
図1
図2
図3
図4