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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-27
(45)【発行日】2023-10-05
(54)【発明の名称】液体供給装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/107 20060101AFI20230928BHJP
   F04B 13/00 20060101ALI20230928BHJP
   F04B 43/02 20060101ALI20230928BHJP
   F04B 43/08 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
F04B43/107
F04B13/00 A
F04B43/02 A
F04B43/08 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023127627
(22)【出願日】2023-08-04
(62)【分割の表示】P 2021125430の分割
【原出願日】2021-07-30
(65)【公開番号】P2023133587
(43)【公開日】2023-09-22
【審査請求日】2023-08-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000145611
【氏名又は名称】株式会社コガネイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村岡 裕之
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-221163(JP,A)
【文献】特開2001-140761(JP,A)
【文献】特開平11-37051(JP,A)
【文献】特開2014-1663(JP,A)
【文献】特開2012-162269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/107
F04B 13/00
F04B 43/02
F04B 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプケース内に配置されてポンプ室とポンプ収容室とを仕切る第1の可撓性部材を備え、前記ポンプ室の容積を増加させて液体を前記ポンプ室に注入し、前記ポンプ室の容積を減少させて前記ポンプ室内の液体を外部に吐出する液体供給装置であって、
前記ポンプ収容室と連通する媒体収容室と空気室とを仕切る第2の可撓性部材を備える媒体収容ケースと、
前記ポンプ収容室および前記媒体収容室に充填される液媒体と、
前記第2の可撓性部材に取り付けられるロッドを、前記媒体収容室から前記ポンプ収容室に前記液媒体を供給する吐出方向と前記ポンプ収容室から前記媒体収容室に前記液媒体を戻す注入方向とに往復動する駆動部材と、
前記ロッドを注入方向に駆動して前記空気室の容積が減少したときに前記空気室の圧力を低下させる圧力調整機構と、
を有し、
前記圧力調整機構は、
前記空気室に連通する圧力調整室が形成されたシリンダと、前記シリンダ内に軸方向に往復動自在に収容される調圧ピストンと、を有し、
前記調圧ピストンは、
前記ロッドを前記注入方向に駆動して前記空気室の容積を減少させるときには、前記空気室内の空気を前記圧力調整室に吸引し、前記ロッドを前記吐出方向に駆動して前記空気室の容積を増加させるときには、前記空気室内に前記圧力調整室内の空気を供給する、液体供給装置。
【請求項2】
請求項1記載の液体供給装置において、
前記圧力調整室の圧力が許容正圧力よりも高くなったときに前記圧力調整室の空気を外部に排出する正圧用リリーフ弁を前記調圧ピストンに設け、
前記圧力調整室の圧力が許容負圧力よりも低くなったときに前記圧力調整室の内部に空気を供給する負圧用リリーフ弁を前記調圧ピストンに設けた、液体供給装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の液体供給装置において、
前記調圧ピストンは前記ロッドに設けられ、前記ロッドにより前記第2の可撓性部材と前記調圧ピストンは同期して往復動される、液体供給装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の液体供給装置において、
前記第1の可撓性部材は、径方向に弾性変形自在であって内側に前記ポンプ室が設けられ外側に前記ポンプ収容室が設けられたチューブフラム、軸方向に弾性変形自在であって内側に前記ポンプ室が設けられ外側に前記ポンプ収容室が設けられたベローズ、または軸方向に弾性変形自在であって外側に前記ポンプ室が形成され内側に前記ポンプ収容室が形成されたダイヤフラムである、液体供給装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の液体供給装置において、
前記第2の可撓性部材は、軸方向に弾性変形自在であって内側に前記空気室が設けられ外側に前記媒体収容室が設けられたベローズ、または軸方向に弾性変形自在であって外側に前記媒体収容室が形成され内側に前記空気室が形成されたダイヤフラムである、液体供給装置。
【請求項6】
ポンプケース内に配置されてポンプ室と空気室とを仕切る可撓性部材を備え、前記ポンプ室の容積を増加させて液体を前記ポンプ室に注入し、前記ポンプ室の容積を減少させて前記ポンプ室内の液体を外部に吐出する液体供給装置であって、
前記可撓性部材に取り付けられるロッドを、前記ポンプ室内の液体を外部に吐出する吐出方向と前記ポンプ室に液体を注入する注入方向とに往復動させる駆動部材と、
前記ロッドを注入方向に移動して前記空気室の容積が減少したときに前記空気室の圧力を低下させる圧力調整機構と、
を有する液体供給装置。
【請求項7】
請求項6記載の液体供給装置において、
前記可撓性部材は、軸方向に弾性変形自在であって外側に前記ポンプ室が設けられ内側に前記空気室が設けられたベローズ、または軸方向に弾性変形自在であって外側に前記ポンプ室が形成され内側に前記空気室が形成されたダイヤフラムである、液体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体を被塗布物に供給する液体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体供給装置は、半導体集積回路装置や液晶パネル等の技術分野においては、フォトレジスト液等の液体を被塗布物に供給するために使用されており、電解液を用いる二次電池を製造する場合には、電池容器の内部に電解液を供給するために使用されている。
【0003】
このような液体供給装置としては、特許文献1に記載されるように、径方向に弾性変形自在の可撓性部材としてのチューブフラムが組み込まれたポンプケースと、軸方向に伸縮自在の可撓性部材としてのベローズが組み込まれたベローズケースとを有するものがある。チューブフラム内のポンプ室の一次側ポートは液体タンクに接続され、ポンプ室の二次側ポートは液体吐出部に接続される。ポンプケース内のポンプ収容室とベローズケース内の媒体収容室とに連通させて非圧縮性の液体からなる液媒体が充填されており、ベローズを伸縮することにより、液媒体を介してポンプ室が膨張収縮し、液体タンク内の液体は液体吐出部から吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-162269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるように、ポンプケースに組み込まれたチューブフラムと、ベローズケースに組み込まれたベローズとを有し、ベローズの伸縮動作により液媒体を介してチューブフラムをポンプ動作させるようにした液体供給装置においては、液体をチューブ内のポンプ室に吸引するときにはベローズは収縮される。これにより、ポンプケースのポンプ収容室内の液媒体は、ベローズケース内の媒体収容室に吸入されてチューブフラムは径方向に膨張される。一方、ポンプ室内に吸入された液体を液体吐出部に吐出するときにはベローズは伸張される。これにより、ベローズケース内の媒体収容室の液媒体は、ポンプケースのポンプ収容室内に供給されてチューブフラムは収縮される。このように、2つの可撓性部材を備えた液体供給装置においては、両方の可撓性部材によりポンプ動作が行われる。
【0006】
ベローズを伸張させて液媒体を介してチューブフラムを収縮させることにより、ポンプ室から液体を吐出するときには、ベローズの蛇腹部の外面には液媒体により、正圧力が加えられる。一方、蛇腹部の内側の容積が増加することにより、蛇腹部の内面は負圧状態となる。ベローズの蛇腹部の外面の正圧と内面の負圧との圧力差が所定値を超えると、蛇腹部の外径が小さくなる方向に変形される。一方、ベローズを収縮させて液媒体を介してチューブを膨張させることにより、ポンプ室に液体を注入するときには、ベローズの蛇腹部の外面は負圧状態となる。一方、蛇腹部の内側の容積が減少することにより、蛇腹部の内面は正圧力が加えられる。ベローズの蛇腹部の外面の負圧と内面の正圧との圧力差が所定値を超えると、蛇腹部の外径が大きくなる方向に変形される。
【0007】
このため、チューブフラムを収縮させてポンプ室から液体を外部に吐出するときにベローズの伸張ストロークに応じた吐出量が設定値と相違し、チューブフラムを膨張させてポンプ室内に液体を注入するときに、ベローズの収縮ストロークに応じた吸入量が設定値と相違することが考えられる。このように、ベローズの伸張時と収縮時とで蛇腹部の径方向の有効径が相違してしまうと、ポンプ室から液体吐出口に向けて高精度で液体を吐出させることができなくなり、液体の吐出精度が低下する。
【0008】
また、ポンプ室に液体を注入するためにベローズを収縮させるときには、蛇腹部の外面が内面よりも低い圧力となると、蛇腹部の内側の空気室の空気が樹脂材料のベローズを透過して液媒体に混入するおそれがある。液媒体に空気が混入すると、ポンプ室からの液体の吐出精度が低下する。このような吐出精度の低下は、ベローズやダイヤフラムをポンプ室と空気室とを仕切る可撓性部材としてポンプ動作を行う液体供給装置においても同様に発生することがある。
【0009】
本発明の目的は、可撓性部材によりポンプ動作を行う液体供給装置において、可撓性部材の内外の圧力差が大きくなるのを抑制し、液体の吐出精度を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの形態の液体供給装置は、ポンプケース内に配置されてポンプ室とポンプ収容室とを仕切る第1の可撓性部材を備え、前記ポンプ室の容積を増加させて液体をポンプ室に注入し、前記ポンプ室の容積を減少させて前記ポンプ室内の液体を外部に吐出する液体供給装置であって、前記ポンプ収容室と連通する媒体収容室と空気室とを仕切る第2の可撓性部材を備える媒体収容ケースと、前記ポンプ収容室および前記媒体収容室に充填される液媒体と、前記第2の可撓性部材に取り付けられるロッドを、前記媒体収容室から前記ポンプ収容室に前記液媒体を供給する吐出方向と前記ポンプ収容室から前記媒体収容室に前記液媒体を戻す注入方向とに往復動する駆動部材と、前記ロッドを注入方向に駆動して前記空気室の容積が減少したときに前記空気室の圧力を低下させる圧力調整機構と、を有する。
【0011】
他の1つの形態の液体供給装置は、ポンプケース内に配置されてポンプ室と空気室とを仕切る可撓性部材を備え、前記ポンプ室の容積を増加させて液体をポンプ室に注入し、前記ポンプ室の容積を減少させて前記ポンプ室内の液体を外部に吐出する液体供給装置であって、前記可撓性部材に取り付けられるロッドを、前記ポンプ室内の液体を外部に吐出する吐出方向と前記ポンプ室に液体を注入する注入方向とに往復動させる駆動部材と、前記ロッドを注入方向に移動して前記空気室の容積が減少したときに前記空気室の圧力を低下させる圧力調整機構と、を有する。
【発明の効果】
【0012】
第1と第2の可撓性部材によりポンプ動作を行う液体供給装置においては、第1の可撓性部材によりポンプ室の容積を増加させてポンプ室に液体を注入するとき、第2の可撓性部材の外面と接する媒体収容室の圧力が低下する。一方、圧力調整機構により第2の可撓性部材の内面と接する空気室内の圧力は、媒体収容室の圧力または第2の可撓製部材の収縮に対応させて低下する。これにより、媒体収容室と空気室の圧力差が小さくなるので、空気室内の空気が第2の可撓性部材を透過して媒体駆動室内に混入するおそれを抑制することができるとともに空気室の容積が大きくなる方向に過度に変形することが抑制され、ポンプ特性を長期間にわたって高精度に維持することができる。
【0013】
ポンプ室と空気室とを仕切る可撓性部材によりポンプ動作を行う液体供給装置においては、ポンプ室の容積を増加させてポンプ室に液体を注入するときには、ポンプ室の圧力が空気室に対して低下するが、圧力調整機構によりポンプ室に対応させて空気室の圧力が低下される。これにより、ポンプ室と空気室の圧力差が小さくなるので、空気室内の空気が可撓性部材を透過して媒体駆動室内に混入するおそれを抑制することができるとともに空気室の容積が大きくなる方向に過度に変形することが抑制され、ポンプ特性を長期間にわたって高精度に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施の形態である液体供給装置を示す断面図であり、第1の可撓性部材としてのチューブフラムを径方向に膨張させてポンプ室に液体を注入した状態を示す。
図2】チューブフラムを径方向に収縮させてポンプ室から液体を外部に吐出した状態における液体供給装置を示す断面図である。
図3図1および図2に示された調圧ピストンを示す拡大断面図である。
図4】他の実施の形態である液体供給装置を示す断面図である。
図5図4に示された空気圧制御機器の空気圧回路図である。
図6】他の実施の形態である液体供給装置を示す断面図である。
図7】さらに他の実施の形態である液体供給装置を示す断面図である。
図8図6および図7に示された液体供給装置における圧力調整機構の空気圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1図3に示される液体供給装置10aは、ポンプ11とポンプ駆動ユニット12とを備えている。ポンプ11は長手方向に貫通する収容孔13が形成されたポンプケース14を有し、第1の可撓性部材としてのチューブフラム15がポンプケース14内に配置される。チューブフラム15は、フッ素樹脂等の樹脂材料により成形され、径方向に弾性変形自在の可撓性ポンプ部材である。チューブフラム15により内側のポンプ室16と外側のポンプ収容室17とに仕切られている。流入側継手18がポンプケース14の一端部に設けられ、流出側継手19がポンプケース14の他端部に設けられている。
【0016】
流入側継手18を流入側配管21により液体タンク22に接続し、流出側継手19を流出側配管23により液体吐出部24に接続すると、液体タンク22内の液体Lを液体吐出部24から吐出することができる。液体吐出部24から吐出された液体は、図示しない被塗布物に供給される。液体タンク22内の液体Lは、チューブフラム15を径方向に膨張させてポンプ室16の容積を増加させるとポンプ室16内に注入され、チューブフラム15を径方向に収縮させてポンプ室16の容積を減少させるとポンプ室16内の液体Lは液体吐出部24に向けて外部に吐出される。
【0017】
逆止弁25が流入側配管21に設けられている。逆止弁25は、ポンプ室16の容積を増加させたときに、液体タンク22内の液体Lが流入側配管21を介してポンプ室16に向けて流れるのを許容し、ポンプ室16の容積を減少させたときに、流入側配管21内の液体が液体タンク22に逆流するのを阻止する。逆止弁26が流出側配管23に設けられている。逆止弁26は、ポンプ室16の容積を減少させたときに、ポンプ室16の液体Lが流出側配管23を介して液体吐出部24に向けて流れるのを許容し、ポンプ室16の容積を増加させたときに、流出側配管23内の液体Lがポンプ室16に向けて逆流するのを阻止する。なお、それぞれの逆止弁25、26に代えて、流入側配管21と流出側配管23に電磁操作式や空気圧操作式の開閉弁を設け、チューブフラム15の膨張収縮のポンプ動作に合わせて開閉弁の作動を制御するようにしてもよい。
【0018】
ポンプ駆動ユニット12は媒体収容ケース28を有している。第2の可撓性部材としてのベローズ31が媒体収容ケース28に装着され、ベローズ31は蛇腹部31aとこれの一端部に設けられる端板部31bと他端部に設けられる環状の基端部31cとを有し、フッ素樹脂等の樹脂材料により一体に形成されている。蛇腹部31aは軸方向に弾性変形自在である。
【0019】
ベローズ31は外側の媒体収容室32と内側の空気室33とを仕切っている。ベローズ31は全体として軸方向に伸縮自在の可撓性仕切部材である。媒体収容室32は、ポンプケース14と媒体収容ケース28に形成された連通孔34によりポンプ収容室17に連通している。ポンプ収容室17と媒体収容室32には、液体からなる液媒体Mが充填されており、液媒体Mはポンプ収容室17と媒体収容室32の間を、連通孔34を介して移動することができる。なお、ポンプ11をポンプ駆動ユニット12に取り付けることなく、これらを分離することもできる。その場合には、ポンプ11と媒体収容ケース28との間には、液媒体Mを案内する媒体配管が接続される。
【0020】
端板35を備えたシリンダ36が媒体収容ケース28に取り付けられ、ベローズ31の基端部31cは端板35と媒体収容ケース28との間で挟持される。シリンダ36にはロッド44と電動モータ46とを備えた駆動機構27が装着され、ロッド44は駆動機構27により往復動される。シリンダ36の開口端には、連結板37が装着され、軸受38が装着される支持板39は側板41を介して連結板37に取り付けられている。端板35に形成された貫通孔42と、連結板37に形成された貫通孔43を貫通して軸方向に往復動自在にロッド44が配置され、ロッド44の先端に設けられた雄ねじ部45がベローズ31の端板部31bにねじ結合されている。
【0021】
ロッド44を軸方向に往復動するために、電動モータ46が台座47を介して支持板39に取り付けられ、電動モータ46の主軸48はカップリング49により送りねじ軸51に連結されている。送りねじ軸51の基端部は軸受38に回転自在に支持され、送りねじ軸51の先端部はロッド44に形成された収容孔52に突出している。収容孔52の内径は送りねじ軸51の外径よりも大径である。送りねじ軸51はボールねじであり、送りねじ軸51にボールを介してナット53がねじ結合される。ナット53はホルダー54に取り付けられており、ホルダー54はロッド44の基端部に固定されている。ガイドロッド55がホルダー54を軸方向に貫通しており、ガイドロッド55の一端部は連結板37に固定され、他端部は支持板39に固定されている。ホルダー54は、回転することなく、ガイドロッド55に案内されて軸方向に移動する。なお、図1および図2においては、ガイドロッド55は1本のみが示されているが、複数本のガイドロッド55が駆動機構27に設けられている。
【0022】
駆動部材としての電動モータ46を駆動すると、送りねじ軸51によりナット53およびホルダー54を介してロッド44が軸方向に移動される。これにより、ベローズ31が軸方向に伸縮される。図1はチューブフラム15が径方向に膨張した状態であり、この状態のもとで、電動モータ46により送りねじ軸51を一方向に回転させると、ロッド44はベローズ31を伸張する方向に移動し、ベローズ31が伸長する。ベローズ31が伸張すると、図2に示されるように、端板部31bが媒体収容室32の容積を減少し、媒体収容室32内の液媒体Mはポンプ収容室17に向けて流入される。ポンプ収容室17内に液媒体Mが流入すると、チューブフラム15は径方向に収縮し、ポンプ室16内に既に液体タンク22から吸入された液体Lは外部の液体吐出部24に向けて吐出される。このときには、ポンプ室16内の液体が流入側配管21へ逆流することが逆止弁25により阻止される。
【0023】
一方、図2に示されるように、チューブフラム15が径方向に収縮した状態のもとで、電動モータ46により送りねじ軸51を上述とは逆方向に回転させると、ロッド44はベローズ31を軸方向に収縮する方向に移動し、ベローズ31が収縮する。ベローズ31が収縮すると、図1に示されるように、媒体収容室32の容積が増加し、ポンプ収容室17内の液媒体Mは媒体収容室32に向けて流入する。ポンプ収容室17内の液媒体Mが媒体収容室32に向けて流入すると、チューブフラム15は径方向に膨張し、ポンプ室16内に液体タンク22から液体Lが吸入される。このときには、流出側配管23内の液体がポンプ室16に向けて逆流することが逆止弁26により阻止される。
【0024】
このように、ロッド44は、駆動部材としての電動モータ46により、媒体収容室32からポンプ収容室17に液媒体Mを供給する吐出方向と、ポンプ収容室17から媒体収容室32に液媒体Mを戻す吸入方向とに往復動される。チューブフラム15を径方向に膨張させると、液体タンク22内の液体Lがポンプ室16に吸入され、チューブフラム15を径方向に収縮させると、ポンプ室16内の液体Lが外部に吐出される。
【0025】
ベローズ31を軸方向に収縮させて液媒体Mを介してチューブフラム15を径方向に膨張させることにより、ポンプ室16に液体タンク22から液体Lを吸入するときには、ベローズ31の蛇腹部31aの外面は内面よりも低い圧力になる。このため、ベローズ31を軸方向に収縮させる時には、蛇腹部31aの平均有効径が大きくなるように、径方向に僅かに変形する可能性がある。蛇腹部31aの平均有効径が大きくなる方向に変化すると、ポンプ室16内に所定量の液体が注入されなくなり、ポンプ室16からの液体吐出精度が低下するおそれがある。さらに、蛇腹部31aの外面が内面よりも低い圧力となると、空気室33内の気体が樹脂材料のベローズ31を透過して、液媒体Mに混入するおそれがある。液媒体Mに外気が混入すると、ポンプ室16からの液体吐出精度が低下する。
【0026】
一方、ベローズ31を軸方向に伸張させて液媒体Mを介してチューブフラム15を収縮させることにより、ポンプ室16から液体Lを流出側配管23内に吐出するときには、ベローズ31の蛇腹部31aの外面には液媒体Mの圧力が加えられる。このため、ベローズ31を軸方向に伸張させる時には、蛇腹部31aの平均有効径が小さくなるように、径方向に僅かに変形する可能性が考えられる。蛇腹部31aの平均有効径が縮小すると、ポンプ室16からの液体吐出精度が低下するおそれがある。なお、蛇腹部31aの外面の圧力が内面よりも高くなっても、液体からなる液媒体Mがベローズ31を透過して空気室33内に漏出することはない。
【0027】
調圧ピストン56がシリンダ36内に配置され、調圧ピストン56はロッド44に取り付けられており、ベローズ31と同期して往復動される。シリンダ36の内部には端板35と調圧ピストン56に仕切られる圧力調整室57が形成されている。連通孔58がシリンダ36の端板35に形成され、連通孔58により空気室33は圧力調整室57に連通している。調圧ピストン56の外径はベローズ31の蛇腹部31aの平均有効径よりも大径に設定されている。調圧ピストン56は、圧力調整機構60を構成しており、ロッド44によりベローズ31を軸方向に収縮させて液媒体Mを介してチューブフラム15を径方向に膨張させるときには、調圧ピストン56は蛇腹部31aの平均有効径よりも大径なので、空気室33内の空気は圧力調整室57に吸引される。
【0028】
これにより、空気室33内の圧力は、ロッド44の移動に伴い低下する。その結果、空気室33と媒体収容室32の間の圧力差が小さくなるので、空気室33内の空気がベローズ31を透過して媒体収容室32内に混入するおそれを抑制することができ、ポンプ特性を長期間にわたって高精度に維持することができる。さらに、ベローズ31を収縮させるときには、平均有効径が径方向に大きくなる方向への蛇腹部31aの変形が抑制され、ポンプ室16に注入される液体Lの量を高精度に設定することができる。
【0029】
調圧ピストン56を備えた圧力調整機構60は、ロッド44によりベローズ31を伸張させて液媒体Mを介してチューブフラム15を径方向に収縮させるときには、空気室33よりも大径の圧力調整室57内の空気が空気室33内に供給され、空気室33内の圧力は、ロッド44の移動に伴い高められる。
【0030】
これにより、ベローズ31を伸張させるときには、平均有効径が小さくなる方向への蛇腹部31aの変形が抑制され、ポンプ室16から外部に吐出される液体Lの吐出量を高精度に設定することができる。
【0031】
電動モータ46を正転方向と逆転方向とに回転方向を変更することにより、チューブフラム15はポンプ動作を行うことができる。電動モータ46の回転方向と回転速度は、図示しない制御部からの駆動信号により制御される。制御部には、予めベローズ31の伸縮ストロークに対応させて正逆両方向の回転数のデータがメモリーに格納されている。
【0032】
図3図1および図2に示された調圧ピストン56を示す拡大断面図である。調圧ピストン56には、負圧用リリーフ弁61と正圧用リリーフ弁62が設けられている。
【0033】
負圧用リリーフ弁61は、外気導入孔63aが形成された筒体64aと、筒体64aに設けられた弁座65aと、弁部材66aが設けられ弁軸ガイド67aに支持される弁軸68aとを有し、固定スリーブ69aが弁座65aと弁軸ガイド67aの間に取り付けられている。弁部材66aに外気導入孔63aを閉じる方向のばね力を加えるばね部材70aが弁部材66aと弁軸ガイド67aとの間に装着されている。圧力調整室57の圧力がばね部材70aのばね定数等に寄って定まる許容負圧力よりも低くなったとき、つまり負圧値が大きくなったときには、弁部材66aは弁座65aから離れて外気導入孔63aが開放される。そして、圧力調整室57が駆動機構27の外部に連通され、圧力調整室57へ外気が供給される。これにより、ベローズ31を軸方向に収縮させてチューブフラム15を径方向に膨張させるときに、空気室33内の圧力と媒体収容室32の差圧がベローズ31の蛇腹部31aを変形させるような過度の大きさになることが抑制される。
【0034】
正圧用リリーフ弁62は、空気排出孔63bが形成された筒体64bと、筒体64bに設けられた弁座65bと、弁部材66bが設けられ弁軸ガイド67bに支持される弁軸68bとを有し、固定スリーブ69bが弁座65bと弁軸ガイド67bの間に取り付けられている。弁部材66bに空気排出孔63b閉じる方向のばね力を加えるばね部材70bが弁部材66bと弁軸ガイド67bとの間に装着されている。圧力調整室57の圧力がばね部材70bのばね定数等によって定まる許容正圧力よりも高くなったときには、弁部材66bは弁座65bから離れて空気排出孔63bにより圧力調整室57内の空気がポンプ駆動ユニット12の外部に排出される。これにより、ベローズ31を軸方向に伸張させてチューブフラム15を径方向に収縮させるときに、空気室33内の圧力と媒体収容室32の圧力との差圧がベローズ31の蛇腹部31aを変形させるような過度の正圧差圧の大きさになることが抑制される。
【0035】
負圧用リリーフ弁61と正圧用リリーフ弁62は、上述のように、弁軸68a、68bが相互に逆向きとなっているが、構成部材は共通性を有している。なお、ロッド44と調圧ピストン56とを同期させて移動させることができるのであれば、ロッド44と調圧ピストン56とを別々の電動モータにより移動するようにしてもよい。ベローズ31を軸方向に伸縮させたときに、空気室33内の圧力と媒体収容室32の差圧がベローズ31の蛇腹部31aを変形させるような過度の大きさにならないのであれば、調圧ピストン56に負圧用リリーフ弁61と正圧用リリーフ弁62を設けないようにしてもよい。
【0036】
図4は他の実施の形態である液体供給装置10bを示す断面図であり、図4においては、上述した液体供給装置10aを構成する部材と共通性を有する部材には同一の符号が付されており、重複した説明は省略されている。
【0037】
ポンプ11は、図1および図2に示されたものと同様に、収容孔13が形成されたポンプケース14を有し、フッ素樹脂等の樹脂材料により成形された径方向の弾性変形自在のチューブフラム15が第1の可撓性部材としてポンプケース14内に配置される。流入側継手18がポンプケース14の一端部に設けられ、流出側継手19がポンプケース14の他端部に設けられている。図4においては、流入側継手18に接続される流入側配管21と、流出側継手19に接続される流出側配管23等は省略されている。
【0038】
ポンプ駆動ユニット12は、ポンプ11に取り付けられる媒体収容ケース28を有し、媒体収容ケース28内には第2の可撓性部材としてベローズ31が装着されている。ベローズ31は蛇腹部31aとこれの一端部に設けられる端板部31bと他端部に設けられる環状の基端部31cとを有し、フッ素樹脂等の軸方向に伸縮自在の樹脂材料により一体に成形されている。
【0039】
ベローズ31は外側の媒体収容室32と内側の空気室33とを仕切っている。媒体収容室32は、ポンプケース14と媒体収容ケース28に形成された連通孔34によりポンプ収容室17に連通している。ポンプ収容室17と媒体収容室32には、液体からなる液媒体Mが充填されている。
【0040】
端板71が媒体収容ケース28の開口側端部に固定されており、ベローズ31の基端部31cは端板71と媒体収容ケース28との間で挟持される。端板71に形成された貫通孔72を貫通して軸方向に往復動自在にロッド44が装着され、ロッド44の先端に設けられた雄ねじ部45が端板部31bにねじ結合されている。支持板73が連結棒材74により端板71に連結され、送りねじ軸51が軸受75により支持板73に回転自在に支持されている。送りねじ軸51にボールを介してねじ結合されるナット53がホルダー54に固定され、ホルダー54はロッド44に固定されている。
【0041】
端板71にガイドロッド55の一端部が固定され、支持板73にガイドロッド55の他端部が固定されている。ガイドロッド55は、ロッド44に固定されたホルダー54を軸方向に貫通しており、ホルダー54は送りねじ軸51の回転により、ガイドロッド55に案内され、回転することなく軸方向に移動される。
【0042】
送りねじ軸51を回転するための電動モータ46は、支持板73に取り付けられたベース板76に取り付けられ、電動モータ46の主軸48に固定された駆動側のプーリ77と、ロッド44に固定された従動側のプーリ78との間にはベルト79が掛け渡されている。ベルト79を有する駆動機構27は、ポンプ11に取り付けられるケース81内に収容されている。
【0043】
ロッド44と端板71の貫通孔72との間はシール部材82によりシールされており、空気室33は密封された空間である。媒体収容室32内が負圧となったときには、圧力調整機構60により媒体収容室32内の圧力に対応させて空気室33が負圧が供給される。圧力調整機構60は、空気圧制御機構83により形成されており、図5は空気圧制御機構83を構成する空気圧制御機器の空気圧回路図を示す。
【0044】
図4および図5に示されるように、空気圧制御機構83は、真空エジェクタ84を有している。真空エジェクタ84は公知であり、給気ポート85と、給気ポート85から供給された圧縮空気が噴射されるディフューザ86と、排気ポート87とを備え、吸引ポート88がディフューザ86に連通させて真空エジェクタ84に設けられている。給気ポート85からディフューザ86に向けて圧縮空気が供給されると、ディフューザ86を通過して排気ポート87に向かう空気により、吸引ポート88は負圧に設定される。吸引ポート88は、端板71に形成された吸引孔89に流路90により連通している。
【0045】
給気ポート85に供給される圧縮空気の圧力は、レギュレータ91により調圧される。レギュレータ91は外部パイロット操作式であり、パイロットエア用ポート92に供給される圧力により、レギュレータ91の入力ポート93から吐出ポート94に吐出される圧縮空気の圧力は調圧される。図5に示されるように、圧縮空気供給源95に給気流路96が接続され、給気流路96は入力ポート93に接続されている。給気流路96には開閉弁97が設けられている。レギュレータ91は、外部パイロット操作式にかえてハンドル等を操作して圧力を調整する内部パイロット操作式や直動式、電気信号で圧力を設定する電空レギュレータとしてもよい。
【0046】
図4に示す液体供給装置10bにおいても、ベローズ31を軸方向に収縮させて液媒体Mを介してチューブフラム15を径方向に膨張させることにより、ポンプ室16に液体タンク22から液体Lを注入するときには、媒体収容室32は負圧になる。このときには、開閉弁97がオンされて、圧縮空気供給源95から供給された圧縮空気が真空エジェクタ84の給気ポート85に吐出される。したがって、吸引ポート88には真空つまり負圧が発生し、吸引ポート88に流路90により連通する空気室33は、媒体収容室32の圧力に対応させて負圧に設定される。また、レギュレータ91から供給される圧力を調整して真空エジェクタ84が発生させる負圧を、ベローズ31が伸張したとき変形しない大きさに調整して、開閉弁97をオンの状態にしたままロッド44を往復動させてベローズ31を収縮させてもよい。
【0047】
これにより、空気室33内の空気がベローズ31を透過して媒体収容室32内に混入するおそれを抑制することができ、ポンプ特性を長期間にわたって高精度に維持することができる。さらに、ベローズ31を収縮させるときには、平均有効径が径方向に大きくなる方向への蛇腹部31aの変形が抑制され、ポンプ室16に注入される液体Lの量を高精度に設定することができる。
【0048】
開閉弁97のオンオフ動作は、図示しない制御部からの制御信号により、電動モータ46の正転動作と逆転動作とに対応させて制御される。
【0049】
図4に示す液体供給装置においては、電動モータ46の主軸48と送りねじ軸51との間には、ベルト79を有する動力伝達機構が設けられているが、図1および図2に示す液体供給装置と同様に、主軸48が送りねじ軸51と同軸となるように、電動モータ46を配置してもよい。また、同様に、図1および図2に示す液体供給装置においては、動力伝達機構を介して電動モータ46の主軸48を送りねじ軸51に連結するようにしてもよい。
【0050】
図6は他の実施の形態である液体供給装置10cを示す断面図である。この液体供給装置10cは、上述した液体供給装置10a、10bと同様に、チューブフラム15を第1の可撓性部材としたポンプ11を備えている。媒体収容ケース28は、天壁28aが一体に設けられた側壁28bを有し、媒体収容ケース28の開口端部には端板28cが取り付けられている。媒体収容ケース28には内部を媒体収容室32と空気室33とに仕切る第2の可撓性部材としてのダイヤフラム29が設けられており、媒体収容室32は連通孔34によりポンプ収容室17に連通している。
【0051】
ダイヤフラム29は、側壁28bと端板28cとの間に固定される環状基部29aと、ロッド44に連結される中央連結部29bと、これらの間の弾性変形部29cとを有しており、上述したベローズ31と同様にフッ素樹脂等の樹脂材料により一体に成形されている。ロッド44は駆動機構27により軸方向に往復動され、媒体収容室32からポンプ収容室17に液媒体Mを供給する吐出方向と、ポンプ収容室17から媒体収容室32に液媒体Mを戻す注入方向とに往復動自在である。駆動機構としては、上述のように、電動モータ46の回転運動をロッド44の直線往復動に変換する機構でもよく、空気圧シリンダ等のように流体の圧力によりロッド44を直線往復動させる機構でもよい。
【0052】
このように、ロッド44は、駆動機構27により媒体収容室32からポンプ収容室17に液媒体Mを供給する吐出方向と、ポンプ収容室17から媒体収容室32に液媒体Mを戻す注入方向とに移動される。ロッド44が注入方向に移動されてポンプ室16に液体タンク22から液体Lを注入するときには、ダイヤフラム29の外面は内面よりも低い圧力になる。このため、上述したベローズ31と同様に弾性変形部29cが軸方向に過度に変形しポンプ室16からの液体吐出精度が低下するおそれがある。さらに、弾性変形部29cの外面が内面よりも低い圧力となると、空気室33内の気体が樹脂材料のダイヤフラム29を透過して、負圧力が大きい液媒体Mに混入するおそれが考えられる。液媒体Mに外気が混入すると、ポンプ室16からの液体吐出精度が低下するおそれがある。
【0053】
液体吐出精度の低下を防止するために、ロッド44を注入方向に移動して空気室33の容積が減少したときに空気室33の圧力を低下させるために、空気室33に連通する吸引孔89には流路90により圧力調整機構60が接続されている。圧力調整機構60としては、図5に示した空気圧制御機構83を適用することができる。
【0054】
図7はさらに他の実施の形態である液体供給装置10dを示す断面図である。この液体供給装置10dにおけるポンプ11を形成するポンプケース14aは、一端部に設けられる流入側継手18と流出側継手19とを有し、他端部には端板14bが設けられている。ポンプケース14a内には、図1に示したベローズ31と同様の構造のベローズ31が可撓性部材として設けられている。可撓性部材としてのベローズ31は、蛇腹部31aとこれの一端部に設けられる端板部31bと他端部に設けられる環状の基端部31cとを有し、フッ素樹脂等の樹脂材料により一体に成形されている。蛇腹部31aは軸方向に弾性変形自在であり、ベローズ31は全体として軸方向に伸縮自在の可撓性ポンプ部材である。ベローズ31によりその外側のポンプ室16と内側の空気室33とに仕切られ、ポンプケース14aにはポンプ室16と空気室33とが設けられている。
【0055】
端板部31bにはロッド44aが取り付けられており、ロッド44aは駆動機構27により軸方向に往復動される。ロッド44aは、ポンプ室16内の液体を外部に吐出する吐出方向と、ポンプ室16に液体を注入する注入方向とに往復動自在である。
【0056】
このように、ポンプケース14内に組み込まれる可撓性部材としてのベローズ31をロッド44aにより直接伸縮する形態の液体供給装置10dにおいても、ロッド44aを注入方向に伸長して液体タンク22からポンプ室16に液体Lを注入するときには、ベローズ31の蛇腹部31aの外面は内面よりも低い圧力になる。このため、ベローズ31を軸方向に収縮させる時には、蛇腹部31aの平均有効径が大きくなるように、径方向に僅かに変形する可能性があり、ポンプ室16からの液体吐出精度が低下するおそれがある。さらに、蛇腹部31aの外面が内面よりも低い圧力となると、空気室33内の気体が樹脂材料のベローズ31を透過して、負圧力が大きい液媒体Mに混入するおそれが考えられる。液媒体Mに外気が混入すると、ポンプ室16からの液体吐出精度が低下するおそれがある。
【0057】
そこで、液体吐出精度の低下を防止するために、ロッド44aを注入方向に移動して空気室33の容積が減少したときに空気室33の圧力を低下させるために、空気室33に連通する吸引孔89に流路90により圧力調整機構60が接続されている。圧力調整機構60としては、図5に示した空気圧制御機構83を適用することができる。
【0058】
図8図6および図7に示された液体供給装置における圧力調整機構60の一例としての空気圧制御機構83を構成する空気圧回路図を示す。
【0059】
空気圧制御機構83は真空ポンプ101に接続される真空タンク102を有している。真空タンク102内には所定量の負圧空気が貯留され、圧力変動があった場合のバッファータンクとして機能する。真空タンク102に接続される真空流路103には開閉弁97とレギュレータ104が設けられており、レギュレータ104の出力ポートに接続される流路90は、液体供給装置10c、10dの吸引孔89に接続されている。したがって、空気室33の容積が減少して空気室33の圧力を低下させるときには、開閉弁97が真空流路103を開いて空気室33には負圧空気が供給される。
【0060】
この形態の空気圧制御機構83を図4に示した液体供給装置10bの空気圧制御機構83としても適用することができる。
【0061】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、ロッド44の往復動を、液媒体Mを介してポンプ室16の容積を増加させたり減少させたりする形態の液体供給装置10a、10bにおいて、第1の可撓性部材としてはチューブフラム15に代えて図7に示したベローズ31、または図6に示したダイヤフラム29を適用するようにしてもよい。また、第2の可撓性部材としてはベローズ31に代えて図6に示したダイヤフラム29を適用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10a~10d 液体供給装置
11 ポンプ
12 ポンプ駆動ユニット
14 ポンプケース
15 チューブフラム(第1の可撓性部材)
16 ポンプ室
17 ポンプ収容室
27 駆動機構
28 媒体収容ケース
31 ベローズ(第2の可撓性部材)
32 媒体収容室
33 空気室
36 シリンダ
44 ロッド
46 電動モータ
51 送りねじ軸
54 ホルダー
55 ガイドロッド
56 調圧ピストン
57 圧力調整室
60 圧力調整機構
61 負圧用リリーフ弁
62 正圧用リリーフ弁
71 端板
72 貫通孔
73 支持板
74 連結棒材
83 空気圧制御機構
84 真空エジェクタ
85 給気ポート
86 ディフューザ
87 排気ポート
88 吸引ポート
91 レギュレータ
92 パイロットエア用ポート
93 入力ポート
94 吐出ポート
95 圧縮空気供給源
96 給気流路
97 開閉弁
101 真空ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8