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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】化学合成経路および方法の計算生成
(51)【国際特許分類】
   G16C 20/10 20190101AFI20230929BHJP
   G16C 20/70 20190101ALI20230929BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20230929BHJP
【FI】
G16C20/10
G16C20/70
G06N20/00 130
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020562104
(86)(22)【出願日】2019-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 US2019015868
(87)【国際公開番号】W WO2019156872
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2021-12-28
(31)【優先権主張番号】62/624,047
(32)【優先日】2018-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/640,282
(32)【優先日】2018-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501228071
【氏名又は名称】エスアールアイ インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】SRI International
【住所又は居所原語表記】333 Ravenswood Avenue, Menlo Park, California 94025, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】マドリッド ピーター
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】ラテンドレッセ マリオ
(72)【発明者】
【氏名】メールリッチ ジェレミア
(72)【発明者】
【氏名】クルメネッカー マーカス
【審査官】鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0220716(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0116369(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0087334(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0177478(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0209759(US,A1)
【文献】国際公開第03/044219(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16C 10/00 - 99/00
G06N 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータによって実行される計算方法であって、標的化合物を生成するための1つ以上の既存または新規の化学合成経路を特定するための計算方法において
前記コンピュータによって、複数の既知の化学反応および/または複数の新規の化学反応を決定することであって、前記複数の新規の反応が、一般化された既知の化学変換から外挿される、決定することと、
前記コンピュータによって、訓練された分類器に基づいて、前記複数の新規の化学反応から、複数の予測される化学反応を決定することであって、前記訓練された分類器が、所与の化学変換の例である、成功することが既知である複数の化学反応および失敗することが既知である複数の化学反応から導出されるデータで訓練されている、決定することと、
前記コンピュータによって、前記複数の予測される化学反応および前記複数の既知の化学反応に基づいて、複数の化学反応を生成することであって、前記複数の化学反応の各化学転移が、1つの化合物の別の化合物への変換を表す、生成することと、
前記コンピュータによって、少なくとも1つの標的化合物を決定することと、
前記コンピュータによって、前記少なくとも1つの標的化合物に関連する複数の化学合成経路を決定することであって、各化学合成経路が、前記標的化合物を生成する前記複数の化学反応のうちの1つ以上の化学反応を含む、決定することと、
前記コンピュータによって、前記標的化合物を生成するために特定された前記複数の化学合成経路から、1つ以上の最適な化学合成経路を決定することであって、前記1つ以上の最適な化学合成経路のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの既知の反応変換および少なくとも1つの予測される反応変換を含む、決定することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記コンピュータによって、分類器を訓練データセットで訓練することであって、前記訓練データセットが、化学反応データベース、推定される収率、または前記複数新規の化学反応の予測される収率のうちの1つ以上を含む、訓練することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分類器を前記訓練データセットで訓練することが、
1つ以上の化学変換に基づいて、1つ以上の化学反応を含むデータセットを受信することであって、前記1つ以上の化学反応の各々が、少なくとも1つの反応物を含み、各反応物が、1つ以上の原子からなる、受信することと、
各反応物について、近接原子、結合次数、および/または存在する水素原子の数に基づいて、前記1つ以上の原子をカテゴリに分類することと、
各反応物について、カテゴリのヒストグラムに基づいて、ベクトルを決定することと、
a)特定の変換に関連する反応のベクトル、およびb)前記特定の変換に関連するが、異なる反応型の生成物をもたらす反応のベクトルからなる訓練データセットを決定することと、
分類器に前記訓練データセットの一部分を経験させて、前記分類器を訓練することと、
前記訓練された分類器に前記訓練データセットの別の部分を経験させて、前記訓練された分類器を試験することと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記訓練された分類器に前記訓練データセットの別の部分を経験させて、前記訓練された分類器を試験することが、1つ以上の測定基準に基づいて、前記訓練された分類器の性能を評価することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の測定基準が、正確性、陽性精度、陰性精度、陽性感度、または陰性感度のうちの1つ以上を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記コンピュータによって、ツリーデータ構造を生成することであって、前記標的化合物が、前記ツリーデータ構造のルートノードである、生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記コンピュータによって、前記ツリーデータ構造に複数のブランチを追加することであって、前記複数のブランチの各ブランチが、前記複数の化学合成経路のうちの1つの化学合成経路を含む、追加することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記標的化合物に関連する前記複数の化学合成経路を決定することが、1つ以上のパラメータに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上のパラメータが、利用可能な供給原料、利用可能な化学物質、または利用可能な機器のうちの1つ以上を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の化学合成経路から、前記1つ以上の最適な化学合成経路を決定することが、1つ以上のパラメータに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上のパラメータが、利用可能な供給原料、利用可能な化学物質、利用可能な機器、収率、財務費用、時間、反応条件、または反応が成功する可能性のうちの1つ以上を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の化学合成経路から、前記1つ以上の最適な化学合成経路を決定することが、
最大で所定の数のステップで前記標的に到達することができる全ての化合物を決定することと、
ワークアップまたは溶媒交換ステップを含まない経路を含む複数の化学合成経路のうち、前記標的化合物への最小費用の化学合成経路を決定することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記最小費用の化学合成経路を決定することが、費用関数を評価することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記費用関数が、以下を含む、請求項13に記載の方法。
【数1】
【請求項15】
コンピュータによって実行される方法であって、
前記コンピュータによって、複数の既知の化学反応の一部分に基づいて、1つ以上の機械学習分類器を訓練することと、
前記コンピュータによって、前記複数の既知の化学反応に基づいて、標的化合物をもたらす1つ以上の既知の化学反応を決定することと、
前記コンピュータによって、化学反応変換に基づいて、前記標的化合物をもたらす1つ以上の予測される化学反応を決定することであって、前記1つ以上の予測される化学反応が、前記1つ以上の機械学習分類器によって成功すると予測される、決定することと、
前記コンピュータによって、複数の化学合成経路を逆合成的に決定することであって、各化学合成経路が、前記標的化合物をもたらし、少なくとも1つの化学合成経路が、前記1つ以上の既知の化学反応のうちの少なくとも1つおよび前記1つ以上の予測される化学反応のうちの少なくとも1つを含む、決定することと、
前記コンピュータによって、所定の数の反応および費用関数に基づいて、前記複数の化学合成経路から、最適な化学合成経路を決定することと、を含む、方法。
【請求項16】
前記複数の既知の化学反応が、化学反応データベース、推定される収率、または前記1つ以上の化学反応の予測される収率のうちの1つ以上から導出される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の既知の化学反応の一部分に基づいて、1つ以上の機械学習分類器を訓練することが、
1つ以上の化学変換に基づいて、1つ以上の化学反応を含むデータセットを受信することであって、前記1つ以上の化学反応の各々が、少なくとも1つの反応物を含み、各反応物が、1つ以上の原子からなる、受信することと、
各反応物について、近接原子、結合次数、および/または存在する水素原子の数に基づいて、前記1つ以上の原子をカテゴリに分類することと、
各反応物について、カテゴリのヒストグラムに基づいて、ベクトルを決定することと、
a)特定の変換に関連する反応のベクトル、およびb)前記特定の変換に関連するが、異なる反応型の生成物をもたらす反応のベクトルからなる訓練データセットを決定することと、
分類器に前記訓練データセットの一部分を経験させて、前記分類器を訓練することと、
前記訓練された分類器に前記訓練データセットの別の部分を経験させて、前記訓練された分類器を試験することと、を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記訓練された分類器に前記訓練データセットの別の部分を経験させて、前記訓練された分類器を試験することが、1つ以上の測定基準に基づいて、前記訓練された分類器の性能を評価することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記1つ以上の測定基準が、正確性、陽性精度、陰性精度、陽性感度、または陰性感度のうちの1つ以上を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
システムであって、
計算デバイスであって、
複数の既知の化学反応の一部分に基づいて、1つ以上の機械学習分類器を訓練することと、
前記複数の既知の化学反応に基づいて、標的化合物をもたらす1つ以上の既知の化学反応を決定することと、
化学反応変換に基づいて、前記標的化合物をもたらす1つ以上の予測される化学反応を決定することであって、前記1つ以上の予測される化学反応が、前記1つ以上の機械学習分類器によって成功すると予測される、決定することと、
複数の化学合成経路を逆合成的に決定することであって、各化学合成経路が、前記標的化合物をもたらし、少なくとも1つの化学合成経路が、前記1つ以上の既知の化学反応のうちの少なくとも1つおよび前記1つ以上の予測される化学反応のうちの少なくとも1つを含む、決定することと、
所定の数の反応および費用関数に基づいて、前記複数の化学合成経路から、最適な化学合成経路を決定することと、を行うように構成される、計算デバイスと、
前記計算デバイスと通信する化学反応システムであって、
前記最適な化学合成経路を受信することと、
前記最適な化学合成経路に基づいて、1つ以上の化学反応を開始することと、を行うように構成される、化学反応システムと、を含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月8日出願の米国仮特許出願第62/640,282号および2018年1月30日出願の同第62/624,047号に対する優先権を主張するものであり、それらの仮特許出願の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府による援助研究に関する声明
本発明は、米陸軍研究事務所によって授与された契約番号W911NF-16-C-0051の下、政府の支援により行われた。政府は、本発明における特定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
逆合成解析は、標的化合物の構造を、最終的に化学合成のための単純なおよび/または市販の出発材料(「供給原料」とも称される)をもたらす合成経路に沿って、一連の漸進的により単純な構造に変換するための問題解決技術である。現在、そのような合成経路を逆合成的に構築するためには、化学者は、既知の化学反応に依存しなければならない。既知の化学反応に拘束されない合成経路の構築を可能にするための技術が、必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
以下の概説および以下の発明を実施するための形態は両方とも、あくまで例示的かつ説明的なものであって、限定的なものではないことを理解されたい。合成経路を決定するための方法およびシステムが記載されている。
【0005】
標的化合物を生成するための1つ以上の合成経路を特定するための方法であって、複数の既知の化学反応および/または複数の新規の化学反応を決定することと、訓練された分類器に基づいて、複数の新規の化学反応から、複数の予測される化学反応を決定することと、複数の予測される化学反応および複数の既知の化学反応に基づいて、複数の化学反応を生成することと、少なくとも1つの標的化合物を決定することと、少なくとも1つの標的化合物に関連する複数の化学反応経路を決定することと、標的化合物を生成するために特定された複数の化学反応経路から、1つ以上の最適な化学反応経路を決定することと、を含む、方法が記載されている。
【0006】
標的化合物を生成するための1つ以上の合成経路を特定するための方法であって、複数の既知の化学反応の一部分に基づいて、1つ以上の機械学習分類器を訓練することと、複数の既知の化学反応に基づいて、標的化合物をもたらす1つ以上の既知の化学反応を決定することと、化学反応変換に基づいて、標的化合物をもたらす1つ以上の予測される化学反応を決定することであって、1つ以上の予測される化学反応が、1つ以上の機械学習分類器によって成功すると予測される、決定することと、複数の合成経路を逆合成的に決定することであって、各合成経路が、標的化合物をもたらし、少なくとも1つの合成経路が、1つ以上の既知の化学反応のうちの少なくとも1つおよび1つ以上の予測される化学反応のうちの少なくとも1つを含む、決定することと、所定の数の反応および費用関数に基づいて、複数の合成経路から、最適な合成経路を決定することと、を含む、方法が記載されている。
【0007】
この概要は、本開示の重要な特徴または必須の特徴の特定を意図するものではなく、単にそれらの特定の特徴および変形の要約を意図するものである。他の詳細および特徴は、以下の節に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書に組み込まれ、かつ本明細書の一部をなす添付の図面は、実施形態を例証し、この説明とともに、本方法およびシステムの原理を説明する役割を果たすものである。
図1】合成経路を決定するための例示的なプロセスを示す。
図2】機械学習分類器を訓練するための例示的なプロセスを示す。
図3】例示的な反応のエンコードを示す。
図4】合成経路を決定するための例示的なプロセスを示す。
図5】例示的なユーザインターフェースを示す。
図6】ツリーデータ構造内の複数の合成経路を示す。
図7】合成経路選択の一例を示す。
図8】合成経路選択のための費用関数の例示的な適用を示す。
図9A】例示的な方法を示す。
図9B】例示的な方法を示す。
図10】記載の方法を使用して生成された例示的な合成経路を示す。
図11】記載の方法を使用して生成された例示的な合成経路を示す。
図12】本明細書に開示されるモジュラー反応システムおよび方法と、化学反応を設計、実行、分析、および修正するための全体的なプロセスとの関係を示す概略図である。
図13】本明細書に開示される基材層に表面実装された複数のモジュールを有する例示的な反応システムの一部分の概略図である。
図14】マニホールド層を有する例示的な反応システムの一部分の概略図(システムの側面図)である。
図15】マニホールド層を有する例示的な反応システムの一部分の概略図(システムの端面図)である。
図16】本明細書に開示される例示的な表面実装構成要素、流れ接続器、および基材と、マニホールド層との間の相互作用を示す透視図である。
図17】本明細書に開示される表面実装されたプロセスモジュール(反応器、分離器)、制御器モジュール(温度モジュール、バルブ、圧力センサモジュール)、および分析モジュール(分析デバイスへの接続用)を有する例示的な反応システムの上面図を提供する概略図である。
図18】温度センサおよび加熱/冷却要素を有する例示的な温度モジュールの概略図である。
図19】計算デバイスと、本明細書に開示されるモジュラー反応器システムの様々な構成要素との間の通信を示す概略図である。
図20】反応スクリーニングおよび最適化を実行する装置の一例を例証する。
図21】記載の方法を実施するための動作環境のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈から他の意味に解釈されることが明白な場合を除き、複数の指示対象を含む。本明細書では、範囲は、「約」1つの特定の値から、かつ/または「約」別の特定の値までとして表現される場合がある。そのような範囲が表現される場合、別の構成では、1つの特定の値から、かつ/または別の特定の値までが含まれる。値が近似値として表現される場合、先行詞「約」の使用により、特定の値が別の構成を形成することが理解されるであろう。これらの範囲の各々の終点は、他の終点と関連して、かつ他の終点とは独立して有意であることがさらに理解されるであろう。
【0010】
「任意の」または「任意に」は、その後に記載の事象または状況が生じる場合もあれば生じない場合もあること、ならびにこの記載が、該事象または状況が生じる場合および生じない場合を含むことを意味する。
【0011】
本明細書の記載および特許請求の範囲全体を通して、語「含む(comprise)」、およびこの語の変形(「含む(comprising)」や「含む(comprises)」など)は、「を含むがこれに限定されない」ことを意味し、他の構成要素、整数、またはステップを除外することを意図するものではない。「例示的な」は、「の一例」を意味し、好ましい構成または理想的な構成の表示を伝達することを意図するものではない。「など」は、限定的な意味で使用されるものではなく、説明を目的に使用される。
【0012】
構成要素の組み合わせ、サブセット、相互作用、群などが開示される場合、これらの構成要素の様々な個別的および集合的な組み合わせおよび並べ替えの各々についての具体的な言及は明示的に記載されていない場合があるが、各々が本明細書に具体的に企図かつ記載されることが理解される。これは、記載の方法におけるステップを含むがこれらに限定されない、本出願の全ての部分に適用される。したがって、実行され得る様々な追加のステップが存在する場合、これらの追加のステップの各々は、記載の方法の任意の特定の構成または構成の組み合わせで実行されてもよいことが理解される。
【0013】
当業者によって理解されるように、ハードウェア、ソフトウェア、またはソフトウェアとハードウェアとの組み合わせが、実施され得る。さらに、コンピュータ可読記憶媒体(例えば、非一時的)上のコンピュータプログラム製品は、記憶媒体内に具現化されたプロセッサ実行可能命令(例えば、コンピュータソフトウェア)を有する。ハードディスク、CD-ROM、光学記憶デバイス、磁気記憶デバイス、記憶抵抗器(memresistor)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、フラッシュメモリ、またはこれらの組み合わせを含む、任意の好適なコンピュータ可読記憶媒体を利用することができる。
【0014】
本出願全体を通して、ブロック図および流れ図に対する参照がなされる。ブロック図および流れ図の各ブロック、ならびにブロック図および流れ図のブロックの組み合わせはそれぞれ、プロセッサ実行可能命令によって実施され得ることが理解されるであろう。これらのプロセッサ実行可能命令は、汎用コンピュータ、特殊用途向けコンピュータ、または他のプログラム可能データ処理装置にロードされてもよく、これによりコンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置上で実行されるプロセッサ実行可能命令が、流れ図のブロック(複数可)において特定された機能を実施するためのデバイスを作製する。
【0015】
これらのプロセッサ実行可能命令はまた、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置が特定の様式で機能するように指示し得るコンピュータ可読メモリ内に記憶されてもよく、これによりコンピュータ可読メモリ内に記憶されるプロセッサ実行可能命令が、流れ図のブロック(複数可)において特定された機能を実施するためのプロセッサ実行可能命令を含む製造品を生成する。プロセッサ実行可能命令はまた、コンピュータまたは他のプログラム可能装置上で一連の動作ステップを実行させて、コンピュータ実施プロセスを生成するように、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置にロードされてもよく、これによりコンピュータまたは他のプログラム可能装置上で実行されるプロセッサ実行可能命令が、流れ図のブロック(複数可)において特定された機能を実施するためのステップを提供する。
【0016】
したがって、ブロック図および流れ図のブロックは、特定された機能を実行するためのデバイスの組み合わせ、特定された機能を実行するためのステップの組み合わせ、および特定された機能を実行するためのプログラム命令手段を支持する。ブロック図および流れ図の各ブロック、ならびにブロック図および流れ図のブロックの組み合わせは、特定された機能もしくはステップを実行する特殊用途向けハードウェアベースのコンピュータシステム、または特殊用途向けハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって実施され得ることもまた理解されるであろう。
【0017】
この発明を実施するための形態は、いくつかの行為を実行する所与の実体に言及し得る。この文言は、場合によっては、所与の実体によって所有かつ/または制御されるシステム(例えば、コンピュータ)が実際には行為を実施していることを意味し得ることを理解されたい。
【0018】
一態様では、逆合成解析を使用して、合成戦略を生成するための方法およびシステムが記載されている。戦略は、標的化合物を合成するための計画を指す。逆合成解析は、標的化合物の構造を、最終的に化学合成のための単純なおよび/または市販の出発材料(「供給原料」とも称される)をもたらすパスウェイに沿って、一連の漸進的により単純な構造に変換するための問題解決技術である。ある化合物の合成前駆体への変換は、ある合成反応の正確な逆転である変換を標的化合物に適用することによって達成される。その後、標的から正反対に導出される各構造自体が、さらなる分析のための標的化合物となる。このプロセスの繰り返しは、最終的に標的化合物への合成経路(または単に経路)を生成し、この合成経路は、ノードとして化学構造を、および反応としてエッジを有する。
【0019】
標的化合物を選択して調査することができ、合成に好適な経路を導出することができる。合成のための標的化合物を選択した後、標的化合物を合成するためのいくつかまたは全ての合理的な経路を要約する合成計画を決定することができる。逆合成は、プロセスがいくつかの合成計画を通して利用可能な出発材料(複数可)を漸進的にもたらすような、戦略的結合における論理的な切断として記載され得る。このように進化した各計画は、逆合成に基づいた経路を記載する。各切断は、簡略化された構造をもたらす。そのような切断の論理は、所与の標的化合物の逆合成解析の根拠を形成する。本明細書に記載のように、経路は、既知の化学反応および/または計算的に生成された化学反応を使用して生成することができる。したがって、所与の標的化合物のためのいくつかまたは全ての可能な経路を要約し得る合成ツリーを構築することができる。
【0020】
経路は、いくつかのパラメータの評価に基づいて、効率的または最適であると言うことができる。例えば、全プロセスの全体的な収率が、調査された全ての経路で最良である場合である。これは、合成に関与するステップの数だけではなく、従う戦略型にも依存する。戦略は、結果としてのステップのみを伴う直線的合成、またはより少ない結果としてのステップを伴う収束的合成に関与し得る。各切断プロセスが1つの実行可能な中間体のみをもたらし、このプロセスが1組の出発材料まで全体を通してこの様式で進行する場合、このプロセスは、直線的合成と呼ばれる。中間体が2つ以上の方法で切断され、異なる中間体をもたらし得る場合、この計画では、分岐が生じる。これらのプロセスは、出発材料まで全体を通して継続することができる。そのような経路では、合成パスウェイの異なる分岐が、中間体に向かって収束する。そのようなスキームは、収束的合成と呼ばれる。
【0021】
図1に示されるように、記載の本方法およびシステムは、逆合成のための複数の反応110に依存する。反応110は、既知の反応120および予測される反応130の両方からなり得る。既知の反応120は、反応データベースなどの任意の既知の反応源から導出され得る。反応データベースは、例えば、Reaxys、SciFinder、ChemInform、またはOrgSyn、および内部電子実験室ノートからのものなどの専有反応データベースを含み得る。予測される反応130(計算的に生成された反応)は、医薬品化学者によって一般的に使用される1組の信頼できる反応を含有するMCT(医薬品化学者用ツールボックス)(Roughley&Jordan,J.Med.Chem.2011,3451、これは参照により本明細書に組み込まれる)などの既知の反応変換、つまり所謂「命名された反応」のリストに基づいて生成しても、一般化された反応変換を特定するための反応データベースに対するクラスタリング法(J.Chem.Inf.Model.,2009,49(3),pp593-602、これは参照により本明細書に組み込まれる)によって計算的に抽出してもよい。「反応変換」は、様々な原子型の間で作製および破壊される結合パターンの一般化であり得る。予測される反応130は、機械学習および分類などの人工知能技術を通して、成功または失敗として分類され得る。例えば、人工神経網、サポートベクトルマシーン、ブーストおよびバギング決定ツリー、k最近傍技術、ナイーブベイズ技術、判別分析、ロジスティック回帰、ならびにこれらの組み合わせなどのうちの1つ以上を使用して、予測される反応130を分類することができる。既知の反応120および予測される反応130の両方が、経路エンジン140によって利用され得る。経路エンジン140は、標的化合物を入力として受信し、反応110から導出される反応変換を適用して、1つ以上の合成経路150を逆反応的に生成することができる。
【0022】
一態様では、人工知能技術を使用して、予測される反応130を生成するための方法およびシステムが記載されている。人工知能技術を使用して、予測される反応130を生成する一例を、図2に示す。既知の反応120を訓練データとして使用して、機械学習分類器を訓練してもよい。機械学習には、所与の形態のデータの例を使用して、特定の情報タスク(分類または回帰など)の実行のために最適化され、その後同じ型および形態の未知のデータに対してこの同じタスクを行うことができる、いくつかの方法、デバイス、および/または他の特徴のいずれかが含まれる。機械(例えば、コンピュータ)は、例えば、訓練データによって示される、パターン、カテゴリ、統計的関係などを特定することによって学習する。その後、学習結果を使用して、新たなデータが同じパターン、カテゴリ、統計的関係を示すかを予測する。機械学習分類器は、人工神経網、サポートベクトルマシーン、ブーストおよびバギング決定ツリー、k最近傍技術、ナイーブベイズ技術、判別分析、ロジスティック回帰、ならびにこれらの組み合わせのうちの1つ以上であり得る。
【0023】
機械学習分類器を訓練するために、既知の反応120を210でエンコードすることによって、既知の反応120を処理して、訓練データとしての役割を果たすようにしてもよい。既知の反応のエンコードは、固定特性セットに従って反応物の全ての原子のエンコードを含み得る。特性は、例えば、以下のものを含み得る。
i.各原子は、その近接原子(CH4、CH3、C芳香族など)に基づいて、複数のカテゴリ(例えば、78個のカテゴリ)のうちの1つに分類される。
ii.カテゴリのヒストグラムとしての156個(2×78)の整数の固定長のベクトル。
【0024】
Scott A.Wildman,Gordon M.Crippen,Prediction of Physicochemical Parameters by Atomic Contributions,J.Chem.Inf.Comput.Sci.,1999,39,pp.868-873に記載の原子型の分類システムは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
原子クラスは、原子種、その特性、ならびにそれらの結合型を有するその直近の原子種および特性として定義することができる。既知の反応120のエンコードには、原子クラスのスパースベクトルを使用することができる。既知の反応120における(例えば、27,429個のクラスをもたらすReaxysデータベースにおける)全ての原子を考慮することによって、クラスの数を抽出することができる。ある閾値回数未満で生じる原子クラスは、除外され得る。この閾値回数は、例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、および90などであり得る。
【0026】
図3は、MCT型「求核剤によるイソシアネート反応」に関与する例示的な反応を例証する。この例では、イソシアネート官能基(1-イソチオシアナト-3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン)を有する分子の特定の一例を、アミン求核剤(N1,N1-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミン)と反応させて、チオウレア官能基(1-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-3-(2-(ジメチルアミノ)シクロヘキシル)チオウレア)を有する単一生成物を得る。この特定の反応は、示される2つの反応物の各々に存在する原子クラスのヒストグラムを含有するスパースベクトルとしてエンコードされる。このエンコードは、収率および/または反応条件に関する情報とともに、機械学習分類器の訓練のための入力として使用することができる。
【0027】
図2に戻ると、ステップ220では、既知の反応120のいくつかまたは全ての反応が、陽性または陰性として定義される。陽性例は、閾値(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、および90%など)よりも大きい収率を有する、既知の反応120からの全ての反応として定義することができる。陰性例は、反応物が適用可能であるが、報告される生成物が異なる反応型に由来する場合に、閾値(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、および90%など)未満の収率を有する、既知の反応120からの反応として定義することができる。
【0028】
陽性または陰性として特定されている、エンコードされた反応は、訓練データセットおよび試験データセットに分割することができる。訓練データセットは、230で、1つ以上の機械学習分類器の訓練に使用することができる。例えば、エンコードされた反応の80%が訓練に使用されてもよく、20%が試験に使用されてもよい。
【0029】
一態様では、各化学変換のために、230で、機械学習分類器を作製および訓練することができる。本明細書に記載の方法およびシステムは、ステップ230を様々な方法および文脈で実行することができる。一例では、本明細書に記載の方法およびシステムは、訓練データセットのために、(1)訓練データセット内の陽性例の統計的有意な特徴、および訓練データセット内の陰性例の統計的有意な特徴を含む訓練データセットから、特徴セットを抽出し、その後(2)特徴セットを使用して、データの新たな項目が訓練データセットに関連する特定の反応カテゴリ内にある情報を含有するかを示すことができる機械学習ベースの分類モデルを構築することによって、機械学習ベースの分類器を訓練することができる。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「特徴」は、データのある項目が、化学反応の1つ以上の特定のカテゴリ内にあるかを決定するために使用され得るデータの項目の任意の特徴を指し得る。そのような特徴の例には、2つの他の芳香族炭素に結合した芳香族炭素、2つの結合水素を有する炭素、炭素に対する二重結合を有する酸素、溶媒、触媒、試薬、反応温度、反応時間、およびこれらの組み合わせなどが非限定的に含まれる。
【0031】
本明細書に記載の方法およびシステムは、特徴セットを訓練データセットから様々な方法で抽出することができる。いくつかの例では、他の特徴に対するその特徴の相対的重要性を示すために、抽出した各特徴に重みを関連付けてもよい。例えば、本方法およびシステムは、(1)訓練データセット内の正および陰性例の両方における様々な特徴の発生頻度を決定し、(2)例えば、発生頻度に基づいて、これらの陽性特徴および陰性特徴をランク付けし、その後(3)最高ランクの特徴を選択して、特徴セット内に含めることができる。この例では、各特徴に関連付けられる重みは、特定の特徴の発生頻度であり得る。
【0032】
上記に詳述されるように、本方法およびシステムが特定の訓練データセットのための特徴セットを生成した後、本方法およびシステムは、特徴セットに基づいて、機械学習ベースの分類モデルを生成することができる。本明細書で使用される場合、用語「機械学習ベースの分類モデル」は、機械学習技術を使用して生成される、データ分類のための複雑な数学的モデルを指し得る。一例では、この機械学習ベースの分類器は、境界特徴を表すサポートベクトルのマップを含み得る。この例では、これらの境界特徴は、ある特徴セット内の最高ランクの特徴から選択されても、かつ/またはそれらを表してもよい。
【0033】
本方法およびシステムは、エンコードされた反応210から決定される化学変換の各々について、訓練データセットから抽出された特徴セットを使用して、機械学習ベースの分類モデル(例えば、機械学習分類器)を構築することができる。いくつかの例では、複数の機械学習ベースの分類モデルを、単一の機械学習ベースの分類モデルに組み合わせてもよい。同様に、機械学習ベースの分類器は、単一もしくは複数の機械学習ベースの分類モデルを含有する単一の分類器、および/または単一もしくは複数の機械学習ベースの分類モデルを含有する複数の分類器を表し得る。
【0034】
240で、試験データセットを使用して、訓練された機械学習分類器を試験することができる。訓練された機械学習分類器の試験出力を分析して、訓練された機械学習分類器の性能を評価することができる。訓練された機械学習分類器の性能は、複数の測定基準によって評価することができる。例として、訓練された機械学習分類器の性能は、5つの測定基準(TP=真陽性、FP=偽陽性、TN=真陰性、およびFN=偽陰性)、1)正確性=(TP+TN)/(TP+FP+FN+TN)、2)陽性精度=TP/(TP+FP)、3)陰性精度=TN/(TN+FN)、4)陽性感度=TP/(TP+FN)、および5)陰性感度=TN/(TN+FP)によって評価することができる。
【0035】
一態様では、全ての訓練された機械学習分類器が、性能に関わらず使用されてもよい。訓練された機械学習分類器は、使用時に正しい確率で予測を生成する。使用時に、予測される反応の分類を許容または拒否するための確率値が、ユーザによって選択されてもよい。
【0036】
図1に戻ると、訓練された機械学習分類器(複数可)を使用して、合成経路の構築において、予測される反応130を含めるか除外するかを決定することができる。エンコードされた(既知の)反応120からの複数の反応物は、反応物を1つ以上の予測される反応130に組み立てるように構成され得る、機械学習分類器(複数可)に入力されてもよい。訓練された機械学習分類器(複数可)は、経路エンジン140が1つ以上の経路を決定する際に、経路エンジン140が入力または「オンザフライ」を受信する前に、予測される反応130を生成するように構成されてもよい。一態様では、訓練された機械学習分類器(複数可)は、経路エンジン140の一部であってもよい。
【0037】
経路エンジン140は、標的化合物(例えば、ユーザの所与の化合物)を入力として受信し、反応110から導出される反応変換を適用して、1つ以上の合成経路150を逆反応的に生成することができる。標的化合物は、任意の化学構造とすることができ、英数字入力および/または化学構造図を介して入力されてもよい。標的化合物は、1つ以上の化学反応の終了時に達成される化合物として認識されるべきである。
【0038】
図4に示されるように、経路エンジン140は、標的化合物410(および/または下流/上流反応物)を含有する反応を特定するための標的化合物410(および/または下流/上流反応物)を使用して、(既知の反応120、または予測される反応130が事前に生成されている場合、既知の反応120および予測される反応130の両方からなる)反応110を検索し、反応変換を適用して、標的化合物410(および/または下流/上流反応物)を生成するための潜在的な化学反応順路を逆反応的に生成することができる。一態様では、経路エンジン140は、430で、標的化合物410(および/または下流/上流反応物)を1つ以上の既知の反応変換(例えば、MCT変換)に適用して、予測される反応130を生成することができる。経路エンジン140は、標的化合物410が一般的な反応変換の1つにおいて生成物について特定された最小構造要素(またはサブ構造)を含有するかを決定することができる。予測される反応130を1つ以上の機械学習分類器に提供して、その試薬に関与する予測される反応130が成功するかを評価してもよい。予測される反応130が成功するという予測である場合、予測される反応130は、経路生成に含めることができる。予測される反応130が失敗するという予測である場合、予測される反応130は、経路生成から除外することができる。
【0039】
430で、反応変換の適用を修正するための1つ以上のパラメータ440を特定することができる。1つ以上のパラメータ440は、供給原料データおよび機器データ(例えば、化学装置)などの1つ以上の経路修飾因子を含み得る。供給原料データは、化学反応における使用に利用可能な試薬および/または好ましい試薬を示すデータを含み得る。機器データは、化学反応における使用に利用可能な機器および/または好ましい機器を示すデータを含み得る。機器データは、図12図19に記載のモジュラー化学反応システムから、および/または図20に記載の装置2000から得ることができる。例えば、機器データは、モジュラー化学反応システムまたは装置2000の1つ以上の動作パラメータを示し得る。したがって、本明細書に記載の方法によって生成された合成経路は、経路エンジン140に提供される機器データに基づいて、モジュラー化学反応システムまたは装置2000での実行に合わせて調整することができる。
【0040】
図5は、経路エンジン140への入力を提供するための例示的なユーザインターフェース500を提供する。ユーザインターフェース500は、標的化合物410を、例えば、InChlキー、一般名、もしくはフレームIDを示す英数値として、および/または化合物構造エディタの使用を通して受信するように構成される、ユーザインターフェース要素501を含み得る。ユーザインターフェース500は、最適な経路の最大数を、例えば、数値として受信するように構成される、ユーザインターフェース要素502を含み得る。ユーザインターフェース500は、任意の反応を実施するための費用を、例えば、1モルの所望の化合物当たりのドルを示す数値として受信するように構成される、ユーザインターフェース要素503を含み得る。ユーザインターフェース500は、溶媒の容易な交換のための費用を、例えば、1モル量の特定の溶媒当たりのドルを示す数値として受信するように構成される、ユーザインターフェース要素504を含み得る。ユーザインターフェース500は、溶媒の困難な交換のための費用を、例えば、1モル量の特定の溶媒当たりのドルを示す数値として受信するように構成される、ユーザインターフェース要素505を含み得る。ユーザインターフェース500は、収率を有しない反応の収率を、例えば、収率パーセントを示す数値として受信するように構成される、ユーザインターフェース要素506を含み得る。ユーザインターフェース500は、最適な経路の発見後に、より多くの経路を示すべきであるという表示を、例えば、バイナリ表示(例えば、チェックボックス)として受信するように構成される、ユーザインターフェース要素506を含み得る。ユーザインターフェース500は、考慮から除外する化合物(反応物)を、例えば、例えば、反応ID、化合物ID、化合物名、またはinchiキーを示す英数値として受信するように構成される、ユーザインターフェース要素508を含み得る。ユーザインターフェース500は、作製する新たな反応の数を、例えば、数値として受信するように構成される、ユーザインターフェース要素509を含み得る。ユーザインターフェース500は、新たな反応の最大の深さを、例えば、数値として受信するように構成される、ユーザインターフェース要素510を含み得る。ユーザインターフェース500は、機械学習分類器を適用するための表示を、例えば、バイナリ表示(例えば、チェックボックス)として受信するように構成される、ユーザインターフェース要素511を含み得る。ユーザインターフェース500は、経路には新たな反応のみを使用するという表示を、例えば、バイナリ表示(例えば、チェックボックス)として受信するように構成される、ユーザインターフェース要素512を含み得る。ユーザインターフェース500は、経路エンジン140が新たな化合物を作製するべきであるかに関する表示を、例えば、バイナリ表示(例えば、チェックボックス)として受信するように構成される、ユーザインターフェース要素513を含み得る。ユーザインターフェース500は、経路エンジン140がネットワーク内に既にある新たな反応を作製するべきであるかに関する表示を、例えば、バイナリ表示(例えば、チェックボックス)として受信するように構成される、ユーザインターフェース要素514を含み得る。
【0041】
図4に戻ると、450で、経路エンジン140は、潜在的な化学反応順路から生成された反応物を、モルガンアルゴリズムを使用して、固定反応ネットワークにマッピングすることができる。モルガンアルゴリズムは、ある反応の各化合物に特有の名称(またはコード)を作製し、そこから各化合物が固定反応ネットワーク内に既に存在するかを決定することができる。モルガンアルゴリズムは、ある化合物の同属原子を分類し、不変であると標識された原子を選択する。分類は、ある原子の近接数(接続性)を考慮する概念を使用し、これを反復した様式(拡張接続性)で行う。特定のルールに基づいて、モルガンアルゴリズムは、ネットワーク内の化合物(例えば、生成された反応物)の曖昧で特有の番号付けを生成する。
【0042】
460で、標的化合物410(および/または下流/上流反応物)まであと1反応の(反応物としての)各化合物ついて、新たな反応の最大数に到達するまでステップ430および450を繰り返して、各新たな経路について経路ネットワークを構築することができる。例として、新たな反応の最大数は、10万個以下、20万個以下、30万個以下、40万個以下、50万個以下、60万個以下、70万個以下、80万個以下、90万個以下、および100万個以下などであり得る。したがって、経路エンジンは、標的化合物410の作製をもたらすように設計された1つ以上の化学反応順路を生成することができる。化学反応順路は、経路と称され得る。標的化合物410の経路ネットワークが、ツリーデータ構造および表示用出力に表わされてもよい。
【0043】
図6は、複数の経路からなる例示的なツリーデータ構造600を示す。標的化合物410が、ツリーデータ構造600の中央に位置付けられてもよい。各縁は、反応を含んでもよく、各ノードは、化合物(反応物)を含んでもよい。示されるように、縁610は、既知の反応120から導出される反応を表し、ノード620は、縁610の反応に関与する化合物(反応物)を表す。縁630は、予測される反応130から導出される反応を表し、ノード640は、縁630の反応に関与する化合物(反応物)を表す。領域内に含有されるノード650は、化学中間体を表す一方で、領域内に含有されるノード660は、購入可能な供給原料化合物を表す。したがって、領域内のノード660は、出発(標的)化合物410までの経路(一連の化学反応)を辿る一連の化学反応における初期化合物としての役割を果たすことができる。
【0044】
図4に戻ると、標的化合物410から逆合成的に作製される反応の最大数に到達すると、経路エンジン140は、470で、最適な経路を決定することができる。経路エンジン140は、経路ネットワークの高速検索を利用して、ダイクストラ様アルゴリズムを使用して最適な経路を決定することができる。
【0045】
経路エンジン140は、470で、2段階アプローチに従って最適な経路を決定することができる。第1の段階では、経路エンジン140は、k回以下の反応(最大でk回の反応)で標的化合物を生成し得る化合物を決定することができる。第2の段階では、経路エンジン140は、標的化合物410への最小費用の経路を決定することができる。最小費用を有する経路を、最適な経路として特定してもよい。閾値未満の費用を有する複数の経路を、最適な経路として特定してもよい。第2の段階は、反応テレスコーピングを考慮せずに、最適な経路を決定することができる。反応テレスコーピングは、ワークアップまたは溶媒交換ステップなしで、2つ以上の反応が反応順路内に現れる場合に生じる。
【0046】
図7に示されるように、第1の段階では、経路エンジン140は、出発(標的)化合物で開始し、標的化合物410を生成する化学反応710を特定することができる。経路エンジン140は、これらの反応710の反応物720を決定し、1の距離で反応物720を標的化合物410にタグ付けすることができる。経路エンジン140は、反応物720を生成する反応を決定し、2の距離でそれらの反応物を標的化合物410にタグ付けすることによって、反応物720からこのプロセスを繰り返すことができる。標的化合物410のから距離kに到達するまで各反応物をタグ付けして、このプロセスを繰り返すことができる。各反応物は、ある距離kに到達するまで1回だけタグ付けされる。標的化合物410へのパスを有しない反応および反応物は、考慮から排除される。kを超える反応および反応物は、考慮から排除される。段階1を使用して、考慮する供給原料および反応を限定することができる。
【0047】
図8に示されるように、第2の段階では、経路エンジン140は、最小費用の経路を決定することができる。経路エンジン140は、供給原料から活性化することができる反応を有する優先度付き待ち行列を初期化することができる。反応に必要な全ての反応物が供給原料である場合、反応は活性化することができる。反応費用は、供給原料費用の合計を収率で除したものとして決定することができる。経路エンジン140は、最小費用を有する活性反応を決定し、最小費用を有する活性反応の生成物によって活性化される次の反応を特定することができる。次の反応を、優先度付き待ち行列に追加することができ、プロセスは、標的化合物410に到達するまで繰り返すことができる。各反応は、1回だけ考慮される。図8に示されるように、反応A、反応B、反応C、および反応Dは各々、反応物のための供給原料を利用する。反応Aは、反応物C1およびC2を利用する。反応物C1は、1の決定済み費用を有し、反応物C2は、3の決定済み費用を有する。反応Aの収率は、.5である。反応Aの総費用は、(1+3)/.5によって決定され、費用は8となる。反応A後の次の反応は、反応Cである。反応Cは、反応物C4を利用する。反応物C4は、8の決定済み費用を有する。反応Cの収率は、.8である。反応Cの総費用は、8/.8によって決定され、費用は10となる。反応Cの結果は、出発(標的)化合物410である。反応A-反応Cの経路の総費用は、8+10=18である。
【0048】
反応Bは、反応物C3を利用する。反応物C3は、6の決定済み費用を有する。反応Bの収率は、.9である。反応Bの総費用は、6/.9によって決定され、費用は6.6となる。反応B後の次の反応は、反応Dである。反応Dは、反応物C5を利用する。反応物C5は、6.6の決定済み費用を有する。反応Dの収率は、.6である。反応Dの総費用は、6.6/.6によって決定され、費用は10.9となる。反応Dの結果は、出発(標的)化合物410である。反応B-反応Dの経路の総費用は、6.6+10.9=17.5である。段階2で、経路エンジン140は、総費用を比較して、最低費用を有する経路を選択することができる。図8に示されるように、反応B-反応Dの経路は、反応A-反応C(18)よりも低い費用(17.5)を有する。したがって、経路エンジン140は、反応B-反応Dの経路を最小費用の経路として決定することができる。
【0049】
経路エンジン140は、経路の費用を様々な方法で決定することができる。ある経路の費用は、出発(標的)化合物410を生成する反応の費用である、出発(標的)化合物410を生成するための財務(例えば、金銭的)費用に、全ての溶媒交換費用(例えば、1モル当たりのドルでの全ての費用)の合計を加えたものであり得る。ある反応の費用は、試薬を含む反応物の財務(例えば、金銭的)費用の合計を反応の収率で除したものに、反応を実施するための固定財務(例えば、金銭的)費用を加えたものであり得る。2つの反応間または反応段階間の溶媒交換の財務(例えば、金銭的)費用は、固定費用であり得る。最小費用を有する経路(複数可)を、最適な経路(複数可)として特定することができる。
【0050】
一態様では、経路エンジン140は、以下の式に従って費用を決定することができる。
【数1】
【0051】
図1に戻ると、経路エンジン140によって決定される最適な経路を、最適な合成経路150、および化合物の名称とともに逐語的に記載される反応ツリーとして化学者にとって図解的に理解可能であるか、またはJavaScript Object Notation(JSON)もしくは拡張マークアップ言語(XML)などの一般的な交換形式を使用した計算的な模式図でのいずれかの出力として特定することができる。
【0052】
図9Aは、標的化合物を生成するための1つ以上の既存または新規の化学合成経路を特定するための計算方法900であって、901で、複数の既知の化学反応および/または複数の新規の化学反応を決定することを含む、方法を示す。複数の新規の反応は、一般化された既知の化学変換から外挿することができる。
【0053】
方法900は、902で、訓練された分類器に基づいて、複数の新規の化学反応から、複数の予測される化学反応を決定することを含み得る。訓練された分類器は、所与の化学変換の例である、成功することが既知である複数の化学反応および失敗することが既知である複数の化学反応から導出されるデータで訓練されてもよい。
【0054】
方法900は、903で、複数の予測される化学反応および複数の既知の化学反応に基づいて、複数の化学反応を生成することを含み得る。複数の化学反応の各化学転換は、1つの化合物の別の化合物への変換を表し得る。
【0055】
方法900は、904で、少なくとも1つの標的化合物を決定することを含み得る。
【0056】
方法900は、905で、少なくとも1つの標的化合物に関連する複数の化学反応経路を決定することを含み得る。各化学反応経路は、標的化合物を生成する複数の化学反応の1つ以上の化学反応を含み得る。
【0057】
方法900は、906で、標的化合物を生成するために特定された複数の化学反応経路から、1つ以上の最適な化学反応経路を決定することを含み得る。1つ以上の最適な化学反応経路のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの既知の反応変換および少なくとも1つの予測される反応変換を含み得る。
【0058】
方法900は、分類器を訓練データセットで訓練することであって、訓練データセットが、化学反応データベース、推定される収率、または1つ以上の化学反応の予測される収率のうちの1つ以上を含む、訓練することをさらに含み得る。分類器を訓練データセットで訓練することは、1つ以上の化学変換に基づいて、1つ以上の化学反応を含むデータセットを受信することであって、1つ以上の化学反応の各々が、少なくとも1つの反応物を含み、各反応物が、1つ以上の原子からなる、受信することを含み得る。各反応物について、方法900は、近接原子、結合次数、および/または存在する水素原子の数に基づいて、1つ以上の原子をカテゴリに分類することができる。各反応物について、方法900は、カテゴリのヒストグラムに基づいて、ベクトルを決定することができる。方法900は、a)特定の変換に関連する反応のベクトル、およびb)特定の変換に関連するが、異なる反応型の生成物をもたらす反応のベクトルからなる訓練データセットを決定し、分類器に訓練データセットの一部分を経験させて、分類器を訓練し、訓練された分類器に訓練データセットの別の部分を経験させて、訓練された分類器を試験することができる。
【0059】
訓練された分類器に訓練データセットの別の部分を経験させて、訓練された分類器を試験することは、1つ以上の測定基準に基づいて、訓練された分類器の性能を評価することを含み得る。1つ以上の測定基準は、正確性、陽性精度、陰性精度、陽性感度、または陰性感度のうちの1つ以上を含み得る。
【0060】
方法900は、ツリーデータ構造を生成することであって、標的化合物が、ツリーデータ構造のルートノードである、生成することをさらに含み得る。方法900は、ツリーデータ構造に複数のブランチを追加することであって、複数のブランチの各ブランチが、複数の合成経路のうちの1つの合成経路を含む、追加することをさらに含み得る。
【0061】
標的化合物に関連する複数の合成経路を決定することは、1つ以上のパラメータに基づき得る。1つ以上のパラメータは、利用可能な供給原料、利用可能な化学物質、または利用可能な機器のうちの1つ以上を含み得る。
【0062】
複数の合成経路から、1つ以上の最適な合成経路を決定することは、1つ以上のパラメータに基づき得る。1つ以上のパラメータは、利用可能な供給原料、利用可能な化学物質、利用可能な機器、収率、財務費用、時間、反応条件、または反応が成功する可能性のうちの1つ以上を含む。複数の合成経路から、1つ以上の最適な合成経路を決定することは、最大で所定の数のステップで標的に到達することができる全ての化合物を決定することと、転換テレスコーピングを考慮せずに、標的化合物への最小費用の合成経路を決定することと、を含み得る。
【0063】
最小費用の経路を決定することは、費用関数を評価することを含み得る。費用関数は、以下のものを含み得る。
【数2】
【0064】
図9Bは、標的化合物を合成するための1つ以上の合成経路を特定するための方法910であって、911で、複数の既知の化学反応の一部分に基づいて、1つ以上の機械学習分類器を訓練することを含む、方法を示す。複数の既知の化学反応は、化学反応データベース、推定される収率、または1つ以上の化学反応の予測される収率のうちの1つ以上から導出され得る。複数の既知の化学反応の一部分に基づいて、1つ以上の機械学習分類器を訓練することは、1つ以上の化学変換に基づいて、1つ以上の化学反応を含むデータセットを受信することであって、1つ以上の化学反応の各々が、少なくとも1つの反応物を含み、各反応物が、1つ以上の原子からなる、受信することと、各反応物について、近接原子、結合次数、および/または存在する水素原子の数に基づいて、1つ以上の原子をカテゴリに分類することと、各反応物について、カテゴリのヒストグラムに基づいて、ベクトルを決定することと、a)特定の変換に関連する反応のベクトル、およびb)特定の変換に関連するが、異なる反応型の生成物をもたらす反応のベクトルからなる訓練データセットを決定することと、分類器に訓練データセットの一部分を経験させて、分類器を訓練することと、訓練された分類器に訓練データセットの別の部分を経験させて、訓練された分類器を試験することと、を含み得る。訓練された分類器に訓練データセットの別の部分を経験させて、訓練された分類器を試験することは、1つ以上の測定基準に基づいて、訓練された分類器の性能を評価することを含み得る。1つ以上の測定基準は、正確性、陽性精度、陰性精度、陽性感度、または陰性感度のうちの1つ以上を含み得る。
【0065】
方法910は、912で、複数の既知の化学反応に基づいて、標的化合物をもたらす1つ以上の既知の化学反応を決定することを含み得る。
【0066】
方法910は、913で、化学反応変換に基づいて、標的化合物をもたらす1つ以上の予測される化学反応を決定することを含み得る。1つ以上の予測される化学反応は、1つの機械学習分類器によって成功すると予測され得る。
【0067】
方法910は、914で、複数の合成経路を逆合成的に決定することを含み得る。各合成経路は、標的化合物をもたらすことができ、少なくとも1つの合成経路は、1つ以上の既知の化学反応のうちの少なくとも1つおよび1つ以上の予測される化学反応のうちの少なくとも1つを含む。複数の合成経路を逆合成的に決定することは、1つ以上のパラメータに基づき得る。1つ以上のパラメータは、利用可能な供給原料、利用可能な化学物質、または利用可能な機器のうちの1つ以上を含み得る。
【0068】
方法910は、915で、所定の数の反応および費用関数に基づいて、複数の合成経路から、最適な合成経路を決定することを含み得る。所定の数の反応および費用関数に基づいて、複数の合成経路から、最適な合成経路を決定することは、1つ以上のパラメータにさらに基づき得る。1つ以上のパラメータは、利用可能な供給原料、利用可能な化学物質、利用可能な機器、収率、財務費用、反応条件、または反応が成功する可能性のうちの1つ以上を含む。所定の数の反応および費用関数に基づいて、複数の合成経路から、最適な合成経路を決定することは、最大で所定の数のステップで標的に到達することができる全ての化合物を決定することと、転換テレスコーピングを考慮せずに、標的化合物への最小費用の合成経路を決定することと、を含み得る。費用関数は、以下のものを含み得る。
【数3】
【0069】
方法910は、ツリーデータ構造を生成することであって、標的化合物が、ツリーデータ構造のルートノードである、生成することをさらに含み得る。方法910は、ツリーデータ構造に複数のブランチを追加することであって、複数のブランチの各ブランチが、複数の合成経路のうちの1つの合成経路を含む、追加することをさらに含み得る。
【0070】
図10は、記載の方法およびシステムから導出されるジアゼパムを作製するための経路を示す。予測される反応を分類するための機械学習分類器を利用せずに生成された最適な経路は、Reaxysデータベースに含有される周知の2ステップ合成経路をもたらす。図10に例証される経路は、機械学習分類器を利用した記載の方法およびシステムを使用して生成した。示されるように、最適な経路の第1のステップは、2-アミノ-5-クロロベンゾフェノンのアシル化であり、これは、5-クロロ-2-(クロロアセチルアミノ)ベンゾフェノンをもたらす。第1のステップの反応は、既知の反応(例えば、Reaxys)から得た。最適な経路の第2のステップは、経路エンジン140によって生成され、訓練された機械学習分類器によって成功すると決定された、推奨される反応条件でのアミドN-アルキル化である。第2の反応の結果は、2-(2-クロロ-N-メチル-アセトアミド)-5-クロロベンゾフェノンである。最適な経路の第3のステップは、ジアゼパムをもたらす環の環化反応である。第3のステップの反応は、既知の反応(例えば、Reaxys)から得た。経路は、多重ステップの流れ合成機で実行し、161mgのスケールで78%の収率のジアゼパンを得た。
【0071】
図11は、記載の方法およびシステムから導出されるイマチニブを作製するための経路を示す。図10に例証される経路は、機械学習分類器を利用した記載の方法およびシステムを使用して生成した。示されるように、最適な経路の第1のステップは、p-トルイン酸のブロム化であり、これは、4-ブロモメチル安息香酸をもたらす。第1のステップの反応は、既知の反応(例えば、Reaxys)から得た。最適な経路の第2のステップは、経路エンジン140によって生成され、訓練された機械学習分類器によって成功すると決定された、酸反応からのアミド合成である。第2の反応の結果は、4-(ブロモメチル)-N-(4-メチル-3-((4-(ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)フェニル)ベンズアミドである。最適な経路の第3のステップは、イマチニブをもたらすアルキル化反応である。第3のステップの反応は、経路エンジン140によって生成し、訓練された機械学習分類器によって成功すると決定した。経路は、多重ステップの流れ合成機で実行し、8.4gのスケールで91%の収率のイマチニブを得た。
【0072】
様々な態様では、かつ図12図19を参照して、モジュラー化学反応システム10が、本明細書に開示されている。この装置の完全な開示は、2018年4月6日出願の「Modular Systems For Performing Multistep Chemical Reactions,And Methods Of Using Same」と題するPCT/US2018/026557に見出すことができ、その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。システム10は、基材層20、および本明細書にさらに開示される複数のモジュール50を含む表面実装層40を有してもよい。システム10は、複数の密封要素90をさらに備えてもよい。
【0073】
使用時に、かつ図12に概略的に示されるように、モジュラー化学反応システム10は、化学反応の設計、シミュレーション、スクリーニング、実行、分析、および修正/最適化のための包括的システムに組み込まれ得る自動化化学合成および監視能力を提供し得ることが企図される。本明細書にさらに開示されるように、本開示のシステム10は、システム構成要素の迅速な再構成(任意で、再配置)を可能にして、複数の変動する反応に関連する流体の流れのパスウェイを迅速に変更する、モジュール性を提供し得ることが企図される。いくつかの態様では、再構成は、定義されたパスウェイならびに事前に位置付けられたモジュールおよび/または分析デバイスを有するシステム内の代替的なパスウェイを選択することを意味する。これらの態様では、定義されたパスウェイが、本明細書に開示されるバルブモジュールによって分離され得ることが企図され、これを調整して、定義されたパスウェイ内またはその間の流体の流れを修正することができる。他の態様では、再構成には、新たなモジュールまたは分析デバイスを、本開示のシステム10に物理的に追加することが含まれ得る。加えて、または代替的に、再構成には、本明細書に開示される少なくとも1つのモジュールまたは分析デバイスを取り外すことまたは交換することが含まれ得る。本開示のシステム10は、反応モジュールの単一の構成を使用して、複数の化学反応を実行するための枠組みを提供し得ることがさらに企図される。さらに、本開示のシステム10は、以前には達成することができなかった化学反応の実行の間の監視能力を提供し得ることが企図される。さらに、本開示のシステム10は、反応が生じる際に、様々なモジュールおよび分析デバイスから受信したフィードバックに基づいて、反応条件を制御および/または最適化し得ることが企図される。
【0074】
例示的な態様では、かつ図13図16を参照して、基材層20は、基材22、および基材内に位置付けられる複数の流れ構成要素(例えば、流れ接続器26)を有し得る。これらの態様では、基材22は、外表面24を有し得る。任意で、例示的な態様では、基材22は、本明細書に開示される平行な流体通路の枠組みを確立するために平行して選択的に位置付けられる、複数の基材本体を含み得る。基材本体は一般に、本明細書では平行なものとして記載されているが、基材本体は、垂直および角度のある構成を含む任意の所望の構成で位置付けられ得ることが企図される。代替的に、基材22は、単一の連続したプラットフォーム構造であってもよいことが企図される。例示的な態様では、基材層20(および本明細書にさらに開示されるマニホールド層)は、基材層および/またはマニホールド層をグリッド支持構造に固定するための留め具を受容するための複数の開口部を画定する、根底にあるグリッド支持構造への選択的な取り付けのために構成されてもよい。
【0075】
任意で、複数のモジュールの各モジュール50は、図13に示される、少なくとも第1の入口51および第1の出口53を有してもよい。しかしながら、いくつかのモジュールは、材料を保管するように構成され、かつ/または別様に入口51もしくは出口53のみを含み得ることが企図される。
【0076】
追加の態様では、表面実装層40の複数のモジュール50は、複数の流れ構成要素(例えば、流れ接続器26)の上に横たわる関係で、基材22の外表面24(例えば、上表面)に選択的に実装されてもよい。これらの態様では、複数のモジュール50は、システム10内の流体パスウェイの一部分を形成する流体を受容する複数の流れモジュール52を含み得ることが企図される。複数の流れモジュールの各流れモジュール52は、図13に示されるそれぞれのインターフェース30で、複数の流れ構成要素のうちの少なくとも1つの流れ構成要素(例えば、流れ接続器26)と流体連通して位置付けられ得ることがさらに企図される。さらなる態様では、複数の密封要素90は、各インターフェース30で、複数の流れモジュールのうちの1つの流れモジュール52と、複数の流れ構成要素のうちの1つの流れ構成要素(例えば、流れ接続器26)との間に流体密閉シールを確立するように構成されてもよい。本明細書にさらに開示されるように、複数の流れモジュールのうちの少なくとも一部分52および複数の流れ構成要素のうちの少なくとも一部分(例えば、流れ接続器26)は協働して、化学反応または一連の化学反応の少なくとも1つのステップを実行するための流体流れパスウェイ12(例えば、第1の流体流れパスウェイ)を確立することができる。本明細書にさらに開示されるように、流れモジュールおよび流れ構成要素の構成は、第1の流体流れパスウェイとは異なる第2の流体流れパスウェイを生成するように選択的に修正され得ることが企図される。任意で、例示的な態様では、流体流れパスウェイは、液体流れパスウェイであり得る。これらの態様では、密封要素90は、各インターフェース30で、流れモジュール52と流れ接続器26との間に液体密閉封止を確立するように構成され得ることが企図される。さらなる例示的な態様では、化学反応は、連続的な流れの多重ステップの化学反応であり得ることが企図される。
【0077】
追加の態様では、各流れ接続器26は、化学反応の少なくとも1つのステップを実行するための流体流れパスウェイ12の一部分を選択的に形成するように構成されてもよい。代替的に、各流れ接続器26は、流れ接続器が流体流れパスウェイと流体連通しないように、流体流れパスウェイを形成する流れ接続器から選択的に離脱されるように構成されてもよい。例示的な態様では、各流れ接続器26は、特定の流れパスウェイ構成における流体の流れの方向に応じて入口または出口として機能し得る、対向する入口/出口開口部28を有してもよい。図16に示されるように、流れ接続器26は、基材22の長さに沿って延在するチャネル23内に位置付けられ得ることが企図される。さらなる態様では、基材22の外表面24は、表面実装された構成要素(例えば、モジュール)を基材に留めることを可能にするように構成される接続開口部25を画定し得ることが企図される。流れ接続器26の入口/出口開口部28は、流れ接続器の隣接部分から上方または下方に突出して、本明細書に開示されるモジュールまたは他の流れ接続器の入口または出口に係合し得ることがさらに企図される。
【0078】
例示的な態様では、複数のモジュールの各モジュール50は、モジュールを基材22の外表面24に実装するための留め具(例えば、ボルトまたはねじ)を受容するように構成される複数の開口部を含む、共通の基部構造を有し得ることが企図される。これらの態様では、各モジュール50の基部構造内の開口部の位置は、基材層20内に画定される、対応する接続開口部25を補完するものであり得ることが企図される。共通の基部構造は、例えば、かつ非限定的に、約1.5インチの長さおよび幅の寸法を任意で含み得る正方形のプロファイルなどの共通の寸法プロファイルを含み得ることがさらに企図される。いくつかの例示的な態様では、本開示のモジュール50は、本明細書に開示される基材22に直接実装されてもよい。代替的に、他の例示的な態様では、かつ図16に示されるように、本開示のモジュール50は、基部プレート55に実装されてもよく、これが転じて、本明細書に開示される基材22に実装される。
【0079】
任意で、さらなる態様では、かつ図14図16に示されるように、モジュラー化学反応システム10は、マニホールド層1410をさらに備えてもよい。これらの態様では、マニホールド層1410は、基材層20の根底にある少なくとも1つのマニホールド本体1420を含み得る。任意で、マニホールド本体1420は、本明細書に開示される平行な流体通路の枠組みを確立するために平行して選択的に位置付けられる、複数のマニホールド本体を含み得る。代替的に、マニホールド本体1420は、単一の連続したプラットフォーム構造であり得ることが企図される。使用時に、マニホールド本体1420は、平行な基材間の反応構成要素の運搬を提供するために、本明細書に開示される基材22に対して垂直に配向され得ることが企図される。代替的に、別の態様では、マニホールド本体1420は、特定の基材本体と整列した特定の反応モジュールの迂回を可能にするために、基材本体に対して平行に配向されてもよい(またはその根底にあってもよい)。例示的な態様では、本システムの複数の流れ接続器26は、基材層20内に位置付けられる第1の複数の流れ接続器26、およびマニホールド層1410内に位置付けられる第2の複数の流れ接続器1430を含み得ることが企図される。マニホールド層1410の各流れ接続器1430は、特定の流れパスウェイ構成における流体の流れの方向に応じて入口または出口として機能し得る、対向する入口/出口開口部1440を有してもよい。図16に示されるように、流れ接続器1430は、マニホールド本体1420の長さに沿って延在するチャネル1630内に位置付けられ得ることが企図される。さらなる態様では、マニホールド本体1420は、基材22をマニホールド本体に留めることを可能にするように構成される接続開口部1620を画定する外表面1610を有し得ることが企図される。流れ接続器1430の入口/出口開口部1440は、流れ接続器の隣接部分から上方または下方に突出して、本明細書に開示されるモジュールまたは他の流れ接続器の入口または出口に係合し得ることがさらに企図される。
【0080】
本開示の流れ接続器26、基材層の1430、およびマニホールド層は、本明細書に開示される他の流れ接続器および様々なモジュールとの接続を可能にする様々な変動する長さおよび形状で提供され得ることが企図される。
【0081】
図14図16では、表面実装層40の下に2つの層(基材層20およびマニホールド層1410)を有するものとして示したが、本開示のシステムは、マニホールド層1410の下に追加の層を有して、さらなる流体パスウェイの修正を可能にし得ることが企図される。
【0082】
追加の態様では、かつ図17図18を参照して、複数のモジュール50は、化学反応の少なくとも1つの条件を示す少なくとも1つの出力を生成するように構成される少なくとも1つの監視モジュール58を含み得る。これらの態様では、少なくとも1つの監視モジュール58(任意で、複数の監視モジュール)は、本明細書にさらに開示される処理回路に通信的に連結され得ることが企図される。少なくとも1つの監視モジュール58によって監視され得る例示的な条件には、温度、圧力、流量、反応によって生成される生成物の特定、試薬の消費速度、副産物の特定、収率、選択性、および純度などが含まれるが、これらに限定されない。少なくとも1つの監視モジュールは、少なくとも1つの監視モジュール58によって監視される受験に対応する出力を生成することができる、十分なセンサ、ハードウェア、または処理構成要素を備え得ることが企図される。
【0083】
さらなる例示的な態様では、複数の流れモジュールの少なくとも1つの流れモジュール52は、化学反応のステップの位置に対応し得るプロセスモジュール54であってもよい。任意で、本明細書に開示される各プロセスモジュール54はまた、監視モジュール58としての役割も果たすことができ、この場合、プロセスモジュール54は、少なくとも1つの出力を本明細書にさらに開示される処理回路に提供するように構成される。そのようなプロセスモジュール54の例には、本明細書にさらに開示される反応器56または分離器60が含まれる。一態様では、少なくとも1つのプロセスモジュール52が反応器56を備える場合、反応器は、加熱管型反応器、充填床反応器、またはこれらの組み合わせであり得ることが企図される。しかしながら、他の反応器を使用することができるが、但し、それらが本明細書に開示される表面実装能力を有することを条件とすることが企図される。別の態様では、少なくとも1つのプロセスモジュール52が分離器60を備える場合、分離器は、液体/液体分離器または気体/液体分離器であり得る。任意の一態様では、分離器60は、本出願の実施例の節にさらに開示される膜ベースの液体-液体分離器を含み得る。任意の別の態様では、分離器60は、本出願の実施例の節にさらに開示される重力ベースの液体-液体分離器を含み得る。この態様では、かつ本明細書にさらに記載されるように、重力ベースの液体-液体分離器は、従来通りの大気条件を超える圧力下で使用するように構成され得ることが企図される。本開示の重力ベースの液体-液体分離器は、分離プロセスの可視性を許容するガラスを含み得ることがさらに企図される。本開示の重力ベースの液体-液体分離器は、従来通りの異なる平面ではなく共通の平面内で移動する入口および出口流れパスを提供し得ることがさらに企図される。さらなる態様では、分離器60は、本出願の実施例の節にさらに開示される重力ベースの気体-液体分離器を備え得ることが企図される。
【0084】
任意で、例示的な構成では、本システムの複数の流れモジュール52は、少なくとも1つの反応器56および少なくとも1つの分離器60を備えてもよい。
【0085】
任意で、例示的な態様では、基材層20の各流れ接続器26(および存在する場合、マニホールド層1410の各流れ接続器1430)は、その全長に沿って(任意で、約0.04インチ~約0.08インチの範囲内の)一貫した内径を有し得ることが企図される。任意で、これらの態様では、本システム10の少なくとも1つの流れモジュール52は、反応器56および/または分離器60を備えてもよく、少なくとも1つの流れモジュール52の流体入口51および流体出口53のうちの少なくとも1つは、複数の流れ接続器の隣接する流れ接続器26と一貫した内径を共有してもよい。任意で、さらなる例示的な態様では、流れ接続器26の少なくとも一部分である、複数の流れ接続器の1430(任意で、各流れ接続器)は、ハステロイC276を含み得る。様々な位置で可変の内径を有する既知の流れ接続器とは対照的に、本開示の流れ接続器は、デッドスペースを最小化し、(特に液体反応における)改善された流体の流れを提供することによって、改善された性能を提供し得ることが企図される。
【0086】
任意で、さらなる例示的な態様では、分子化学反応システム10の複数のモジュール50は、少なくとも1つの制御器モジュール64を備えてもよい。任意で、これらの態様では、本明細書に開示される各制御器モジュール64はまた、監視モジュール58としての役割も果たすことができ、この場合、制御器モジュール64はまた、少なくとも1つの出力を本明細書にさらに開示される処理回路に提供するように構成される。例示的な態様では、各制御器モジュール64は、流体流れパスウェイ12と流体連通または熱連通して位置付けられ、化学反応の1つ以上の所望の条件を達成、維持、および/または測定するように構成され得ることが企図される。任意で、システム10の複数のモジュール50は、少なくとも1つのプロセスモジュール54および少なくとも1つの制御器モジュール64を含み得る。例示的な制御器モジュール64には、例えば、かつ非限定的に、チェックバルブ、T字形フィルター、流れ制御器、圧力感知モジュール、圧力緩和バルブ、背圧制御器、チューブアダプタ、バルブ、ポンプ、流れ選択器、制御バルブモジュール、温度監視モジュール、温度制御モジュール、加熱器、冷却器、またはこれらの組み合わせが含まれる。例示的な態様では、少なくとも1つの制御器モジュール64は、流体流れパスウェイの一部分と流体連通および/または熱連通して位置付けられ、制御器モジュール(この場合、同様に流れモジュール)内の流体(例えば、液体)の少なくとも1つの特徴を示す出力を生成するように構成され得る、流体の流れ経路の一部分と熱連通するセンサ(例えば、温度、圧力、または流れセンサ)を備え得ることが企図される。例えば、図18に示されるように、温度モジュール70は、温度センサ71を備えてもよく、任意で当該技術分野で既知であり、本明細書にさらに開示される加熱および/または冷却要素72も備えてもよい。他の例示的な態様では、少なくとも1つの制御器モジュール64は、流体流れパスウェイ内の流体の少なくとも1つの特性の調整をもたらすように構成され得ることが企図される。例えば、バルブモジュール74は、少なくとも第1の位置と第2の位置との間で移動して、流体流れパスウェイを通る流体の流れを修正するように構成されてもよい。任意で、各バルブモジュール74は、本明細書にさらに開示されるプロセス回路に通信的に連結されて、バルブ位置決めの選択的な監視および/または制御を可能にする、サーボモータおよび位置センサ(例えば、エンコーダ)を備え得ることが企図される。
【0087】
例示的な態様では、システム10は、少なくとも1つの分析デバイス1700を備え得ることが企図される。これらの態様では、各分析デバイス1700は、少なくとも1つのモジュール50を通して流体流れパスウェイ12と動作的に通信して位置付けられてもよい。この文脈で使用される場合、用語「動作的な通信」は、本明細書に開示される分析デバイス1700による分析を可能にするのに必要な任意の形態の通信を指し得る。各分析デバイス1700は、反応が生じる際に、化学反応の少なくとも1つの特徴を示す少なくとも1つの出力を生成するように構成され得ることがさらに企図される。さらなる態様では、各分析デバイス1700は、UV-Vis分光計、近赤外(NIR)分光計、ラマン分光計、フーリエ変換赤外(FT-IR)分光計、核磁気共鳴(NMR)分光計、または質量分析計(MS)を備えてもよい。より一般には、分析デバイス1700は、化学反応または一連の化学反応の少なくとも1つのステップで使用するのに好適な任意の従来のプロセス分析技術(PAT)デバイスとすることができることが企図される。1つ以上の分析デバイスは、システム10の流れパスに沿って配置されてもよく、分析デバイスの各々は、処理回路に出力分析を送信して、実行される化学反応または一連の化学反応の1つのステップを監視またはさらに最適化し得ることがさらに企図される。例示的な態様では、複数のモジュール50は、本明細書に開示される分析デバイス1700と動作的に通信して位置付けられる少なくとも第2の出口84を有する少なくとも1つの分析モジュール80を備えてもよい。任意で、これらの態様では、分析モジュール80は、複数の流れモジュールのうちの少なくとも1つの他の流れモジュールの上流に位置付けられ得ることが企図される。しかしながら、他の態様では、分析モジュール80は、反応の終了または完了に対応する位置に位置付けられ得ることが企図される。いくつかの例示的な態様では、分析モジュール80は、分析デバイス1700に通信的に連結され得ることが企図される。これらの態様では、分析モジュール80は、本明細書に開示される監視モジュール58として機能し得ることが企図される。
【0088】
さらなる例示的な態様では、システム10は、処理回路110を備えてもよい。これらの態様では、処理回路110は、複数のモジュール50の少なくとも1つのモジュール(例えば、少なくとも1つの監視モジュール58)および少なくとも1つの分析デバイス1700に通信的に連結され得ることが企図される。処理回路110は、少なくとも1つのモジュール(例えば、監視モジュール58)から少なくとも1つの出力を受信するように構成され得ることがさらに企図される。任意で、処理回路110は、複数のモジュール(例えば、監視モジュール)から複数の出力を逐次的または同時に受信することができる。任意で、処理回路110は、少なくとも1つの出力を使用して、少なくとも1つのモジュール50(例えば、プロセスモジュール54および/または調節器モジュール64)の動作を調整して、化学反応または化学反応の一部分を最適化することができる。加えて、または代替的に、処理回路110は、少なくとも1つの分析デバイス1700から少なくとも1つの出力を受信するように構成され得ることがさらに企図される。任意で、処理回路110は、複数の分析デバイスから複数の出力を逐次的または同時に受信することができる。任意で、処理回路110は、少なくとも1つの出力を使用して、少なくとも1つのモジュール50(例えば、プロセスモジュール54および/または調節器モジュール64)の動作を調整して、化学反応または化学反応の一部分を最適化することができる。例示的な態様では、処理回路は、反応が生じる際に、少なくとも1つのモジュール(例えば、監視モジュール)および少なくとも1つの分析デバイスから出力を同時または逐次的に受信することができる。
【0089】
追加の態様では、処理回路は、監視モジュール58および/または分析デバイス1700から受信した出力に応答して、処理回路内(すなわち、処理回路のメモリ内)に保存された事前設定された条件に基づいて、またはユーザ入力を通して(すなわち、処理回路と通信して位置付けられたユーザインターフェースを介して)行われた調整に基づいて、特定の反応パラメータを調節し得ることが企図される。
【0090】
いくつかの態様では、ユーザは、本明細書に開示される1つ以上の監視モジュールおよび/または1つ以上の分析デバイスからの出力に基づいて、処理回路内の1つ以上のパラメータを変更することによって、モジュールのうちのいずれか1つの変化を手動でトリガすることができる。
【0091】
いくつかの態様では、(任意で、コントローラの形態の)本開示の処理回路を使用して、本明細書に開示される1つ以上の監視モジュールおよび/または1つ以上の分析デバイスからの出力に基づいて、本システムの1つ以上のモジュールに対する変更を自動的に組織化することができ、この場合、変更は、処理回路のメモリ内に任意で記憶され得る事前設定されたトリガ(所定の閾値温度または収率パラメータなど)に基づく。例えば、所与の反応の温度が事前設定された閾値温度を超える場合、処理回路は、対応する温度制御器に命令/コマンドを送信して、温度が閾値温度値未満に低下するまで、その特定の反応のその反応器の温度を低下させることができる。
【0092】
システム10の例示的な概略流れ図が、図17に提供される。連続した各ボックスは、それぞれのモジュール50に対応し、連続して示されているが、モジュールは互いに直接接触する必要はないことが理解される。連続したボックス内の実線矢印は、本明細書に開示される流れパスウェイ内の流体の流れを表す一方で、破線矢印は、システム構成要素間の通信を表す。モジュール50aは、流体の入口供給を受容して、根底にある流れ接続器は、流体を隣接する分離器モジュール60に送達する。分離器モジュール60は、監視モジュール58と熱連通して、かつ反応器56およびモジュール50bと流体連通して示され、これらの各々は、異なる分離生成物を受容する。監視モジュール58は、分離ステップ中の1つ以上の条件を監視することができる。任意で、一実施例では、監視モジュール58は、分離ステップ中の温度を監視するように構成され、本明細書に開示される所望の温度または選択された温度を維持するための追加の熱または冷却を提供するように構成され得る、温度モジュール70であってもよい。モジュール50cは、反応器56に追加の流体を送達する別の入口供給源を表す。反応器56内の反応生成物は、モジュール50dに送達され、このモジュールは、分析モジュール80と流体連通しており、転じて、この分析モジュールは、本明細書に開示される分析デバイス1700と動作的に通信している。モジュール50dはまた、バルブ74とも流体連通しており、このバルブを選択的に調整して、流体を50eまたはモジュール50fのいずれかに向けることができる。本明細書にさらに開示されるように、本開示のモジュールの少なくとも一部分は、表面実装されたシステム構成要素に対して能動的なフィードバックおよび/または修正を提供するために使用され得る処理回路110に通信的に連結され得ることが企図される。
【0093】
図19は、本システムの表面実装された構成要素が、本明細書にさらに開示される計算デバイス1900(任意で複数の計算デバイス)などの処理回路に通信的に連結され得る例示的な構成を示す。計算デバイス1900の非限定的な例には、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、中央サーバ、メインフレームコンピュータ、タブレット、およびスマートフォンなどが含まれる。例示的な態様では、計算デバイス1900は、システム10の近傍に位置付けられてもよい。例えば、様々な例示的な態様では、かつ図17に示されるように、システムの少なくとも1つの計算デバイス1900は、本明細書に開示されるように選択的に表面実装され得るか、または別様に表面実装された構成要素の近傍に位置付けられ得る、制御モジュール1702であり得ることが企図される。これらの態様では、複数の制御モジュール1702は、本明細書に開示される所望のフィードバックループを形成するように、システム10内に選択的に位置付けられ得ることが企図される。計算デバイス1900は、モジュラー化学反応システムに関連する機器データを生成、受信、記憶、および/または伝達するよう構成され得る。例えば、計算デバイス1900は、そのような機器データを、プロセスモジュール54、調節器モジュール64、監視モジュール58、バルブ74および/または分析デバイス1700のうちの1つ以上から受信することができる。計算デバイス1900は、そのような機器データを経路エンジン140および/または経路エンジン140に関連付けられた計算デバイスに提供することができる。計算デバイス1900は、経路エンジン140から1つ以上の合成経路を受信し、モジュラー化学反応システム上の1つ以上の合成経路の実行を引き起こすようにさらに構成されてもよい。
【0094】
図19に示されるように、計算デバイス1900は、メモリ1906と通信している処理ユニット1904(例えば、CPU)を備え得ることが企図される。例示的な態様では、処理ユニット1904は、従来の有線(例えば、ケーブル、USB)または無線(Wifi、Bluetooth)通信プロトコルを使用して、システム10の少なくとも1つのモジュール50に通信的に連結されてもよい。加えて、または代替的に、処理ユニット1904は、従来の有線(例えば、ケーブル、USB)または無線(Wifi、Bluetooth)通信プロトコルを使用して、少なくとも1つの分析デバイス1700に通信的に連結され得ることが企図される。処理ユニット1904は、本明細書にさらに開示される少なくとも1つの監視モジュール58(例えば、複数の監視モジュール)に通信的に連結され得ることが企図される。例示的な態様では、処理ユニット1904は、少なくとも1つのプロセスモジュール54に通信的に連結されてもよい。加えて、または代替的に、さらなる例示的な態様では、処理ユニット1904は、温度モジュール70またはバルブ74などの少なくとも1つの制御器モジュール64に通信的に連結されてもよい。
【0095】
任意で、計算デバイス1900は、情報を無線で伝達および受信するように構成される無線トランシーバ1908(例えば、WiFiまたはBluetooth無線)を備えてもよい。例示的な態様では、無線トランシーバ1908は、タブレット、スマートフォン、または本システムから離れた場所に位置付けられた他の計算デバイスなどの遠隔計算デバイス1902に通信的に連結され得ることが企図される。これらの態様では、遠隔計算デバイス1902は、計算デバイス1900から(任意で、WiFi、セルラーネットワーク、またはクラウドベースのシステムを通して)受信した出力に基づいて、遠隔ユーザ入力を提供するか、または進行中の反応の進行を監視するように構成されてもよい。遠隔計算デバイスは、処理ユニット1910を備えてもよい。
【0096】
図17はまた、システム10の模範的な例示的な通信概略図も含む。示されるように、本システムの複数のモジュールは、本明細書では制御モジュール1702として示される処理回路に通信的に連結され得ることが企図される。本開示のシステムを使用した反応の少なくとも1つのステップの実行中に、1つ以上の監視モジュール58および1つ以上の分析デバイス100は、本明細書にさらに開示されるプロセス回路に出力を提供するように構成され得ることが企図される。示される実施例では、監視モジュール58、反応器モジュール56、分離器60、分析モジュール80、バルブモジュール74、および分析デバイス1700は全て、制御モジュール1702に通信的に連結され、これによって、反応が生じる際に、様々な反応条件および特徴の直接的に監視することを可能にする。しかしながら、他の例示的な構成では、わずか1つのモジュールが、処理回路と通信していてもよい。任意で、制御モジュール1702(単独、または本明細書に開示される遠隔計算デバイスの組み合わせで)は、少なくとも1つのモジュール(例えば、プロセスモジュール(反応器56、分離器60)または制御器モジュール(バルブ74))の動作を選択的に調整して、化学反応を最適化するように構成され得ることがさらに企図される。本開示のフィードバックループを使用して最適化され得る例示的な特徴および条件には、例えば、かつ非限定的に、圧力、温度、生成される生成物の特定、試薬消費速度、副産物の特定、生成物の収率、選択性、および純度のうちの1つ以上が含まれる。
【0097】
例示的な態様では、複数のモジュールの少なくとも一部分は、複数の流れ構成要素の少なくとも一部分と協働して、第1の化学反応の少なくとも1つのステップを実行するための第1の流体流れパスウェイを形成する第1の構成を生成することができる。第1の化学反応の完了後、基材層内の複数のモジュールおよび流れ構成要素は、最小限の切り換え期間以内に、第2の化学反応の少なくとも1つのステップを実行するための第2の流体流れパスウェイを生成する第2の構成への選択的な再配置のために構成されてもよい。これらの態様では、モジュールおよび流れ構成要素の第2の構成は、第1の流体流れパスウェイの一部分を画定しなかった少なくとも1つのモジュールを含み得ることが企図される。第2の流体流れパスウェイを画定するモジュールおよび流れ構成要素は、第1の流体流れパスウェイを画定したモジュールおよび流れ構成要素の少なくとも一部分を含み得ることがさらに企図される。第2の流体流れパスウェイに含まれるモジュールの数は、第1の流体流れパスウェイに含まれるモジュールの数未満であっても、その数と等しくても、その数を超えてもよい。任意で、例示的な態様では、基材(およびマニホールド層)に対する複数のモジュールおよび複数の流れ接続器の位置は、第1および第2の流体流れパスウェイ内で未変化のままであってもよい。これらの態様では、第1の流体流れパスウェイは、バルブ内の流れ位置を変更して(しかし基材に対するバルブモジュールの実装位置は調整しないで)、これによって、流れパスウェイを調節することによって修正され得ることが企図される。任意で、そのような修正は、第1の流体パスウェイ(例えば、プロセスモジュール)の一部分を迂回させること、および/または流体を以前に第1の流体流れパスウェイと流体連通していない他のモジュール(例えば、プロセスモジュール)に向けることを可能にすることができる。必須ではないが、いくつかの任意の態様では、モジュールを取り外すか、追加するか、または交換して、流体流れパスウェイを選択的に調整することができることが企図される。したがって、いくつかの例示的な態様では、修正された第2の流体流れパスウェイは、バルブモジュール内の流体の流れを調整し、システムの少なくとも1つのモジュールを取り外すか、追加するか、または交換することによって生成することができる。本明細書に開示されるモジュールの追加または取り外しについて、流れ接続器の位置および/または数および/または型を調整して、流体流れパスウェイの変化に適応させ得ることが企図される。
【0098】
さらなる例示的な態様では、最小限の切り換え期間は、従来の反応構造で可能なものよりもはるかに短い制限された期間枠内での複数の化学反応の逐次的な実行を可能にし得ることが企図される。任意で、最小限の切り換え期間は、反応の複雑さに応じて、約30分~約4時間、またはより典型的には約1時間~約2時間の範囲であってもよい。
【0099】
任意で、本開示のシステム10は、複数の制御器モジュール64を備えてもよい。例示的な態様では、複数のモジュールおよび複数の流れ構成要素の第1および第2の構成は、制御器モジュールの第1および第2の配置をそれぞれ含んでもよく、制御器モジュールの第1および第2の配置は、モジュールの位置付けおよびモジュールの型のうちの少なくとも1つに関して互いに異なることが企図される。任意で、いくつかの例示的な態様では、制御器モジュールの各配置は、以下、チェックバルブ、T字形フィルター、流れ制御器、圧力感知モジュール、圧力感知モジュール、圧力緩和バルブ、圧力制御器、チューブアダプタ、バルブ、ポンプ、制御バルブモジュール、温度監視モジュール、加熱器、または冷却器のうち少なくとも5つを備え得ることが企図される。任意で、これらの態様では、第2の構成は、第1の構成には存在しない少なくとも1つのモジュール型を含んでもよい。第2の構成は、第1の構成に含まれるよりも多いかまたは少ない制御器モジュールを含み得ることがさらに企図される。
【0100】
さらなる例示的な態様では、本開示のシステムは、複数または別個の反応ステップの同時の実行を可能にし得ることが企図される。例えば、例示的な一用途では、プロセスモジュール(例えば、分離ステップ後の分離モジュール)から分離した生成物または副産物を、本明細書に開示されるさらなる分析および/または処理(反応、分離)のために異なるモジュール(および別個の下流の流れパス)に送達することができる。
【0101】
任意で、本開示のシステム10は、複数の分析デバイスを備えてもよい。例示的な態様では、複数の分析デバイスの第1の構成は、第1の流体流れパスウェイと動作的に通信し得るが、基材層内の複数のモジュールおよび流れ構成要素は、複数の分析デバイスの第2の構成と第2の流体流れパスウェイとの間の動作的な通信を確立するための選択的な再配置のために構成され得ることが企図される。これらの態様では、複数の分析デバイスの第1および第2の構成は、以下、UV-Vis分光計、近赤外(NIR)分光計、ラマン分光計、フーリエ変換赤外(FT-IR)分光計、核磁気共鳴(NMR)分光計、または質量分析計(MS)のうちの少なくとも2つを含み得ることが企図される。任意で、これらの態様では、分析デバイスの第2の構成は、第1の構成には存在しない少なくとも1つの分析デバイス型を含んでもよい。第2の構成は、第1の構成に含まれるよりも多いかまたは少ない分析デバイスを含み得ることがさらに企図される。
【0102】
本開示のシステムを使用する例示的な方法は、少なくとも1つの試薬(例えば、液体試薬)を、本システムの流体流れパスウェイ内に導入することと、その後少なくとも1つの試薬(例えば、液体試薬)を使用して、化学反応を実行することと、を含み得る。
【0103】
任意で、いくつかの態様では、少なくとも1つのプロセスモジュールは、複数のプロセスモジュールを含み、化学反応は、複数の逐次的なステップを含む多重ステップの化学合成であってもよい。これらの態様では、複数の逐次的なステップの各ステップは、それぞれのプロセスモジュール内の試薬の流れに対応し得ることが企図される。
【0104】
さらなる態様では、本方法は、流体流れパスウェイを修正して、本明細書に開示される第1の流体流れパスウェイとは異なる第2の流体流れパスウェイを生成することを含み得る。本明細書にさらに記載されるように、第2の流体流れパスウェイは、流れモジュールの数、監視モジュールの数、監視モジュールの位置、監視モジュールの数、プロセスモジュールの数、プロセスモジュールの型、プロセスモジュールの順路、プロセスモジュールの位置、制御器モジュールの数、制御器モジュールの型、制御器モジュールの位置、分析モジュールの数、分析モジュールの位置、流れの方向、およびこれらの組み合わせにおいて、第1の流体流れパスウェイとは異なってもよい。さらに、本方法は、追加のプロセスモジュールを含む修正された流体流れパスウェイを使用して、第2の化学反応を実行することを含み得る。
【0105】
任意で、第1の流体流れパスウェイの修正は、基材層(またはマニホールド層)に対するいかなるモジュールの位置も調整する必要なく、複数のモジュール間の少なくとも1つのバルブモジュールを通る液体の流れを調整することを含み得る。任意で、本明細書に開示される表面実装された構成要素の位置ならびに/または流れ接続器の位置および配向を調整する必要なく、バルブを使用して、化学反応の流体(例えば、液体)流れパスが調整され得ることが企図される。加えて、または代替的に、別の態様では、第1の流体流れパスウェイの修正は、追加のプロセスモジュールを基材の外表面に実装することを含み得る。これらの態様では、追加のプロセスモジュールは、本明細書に開示される反応器または分離器であり得ることが企図される。本方法は、追加のプロセスモジュールと流体流れパスウェイとの間に流体連通を確立することをさらに含み得る。
【0106】
さらなる態様では、本方法は、本明細書に開示される処理回路を使用して、少なくとも1つの分析デバイスから少なくとも1つの出力を受信することを含み得る。これらの態様では、本方法は、プロセス回路を使用して、プロセスモジュールまたは制御器モジュールなどの少なくとも1つのモジュールの動作を調整して、化学反応を最適化することをさらに含み得る。加えて、または代替的に、本方法は、処理回路を使用して、本明細書に開示される監視モジュール(例えば、センサを備えたプロセスモジュールまたは制御器モジュール)から少なくとも1つの出力を受信することを含み得る。本方法は、処理回路を使用して、受信した少なくとも1つの出力に基づいて、少なくとも1つのモジュールの動作を調整して、化学反応を最適化することをさらに含み得る。任意で、化学反応の監視および最適化は、化学反応の中間ステップに対応するシステム内の位置で生じてもよい。化学反応の監視および最適化は、反応が生じる際に行うことができることがさらに企図される。
【0107】
本明細書にさらに開示されるように、監視モジュールおよび分析モジュールは、ユーザが監視を望む特定の反応ステップ/位置および条件/特徴に応じて、反応流れパスウェイに沿った様々な位置に選択的に位置付けられ得ることが企図される。
【0108】
さらなる例示的な態様では、本開示のシステムは、化学反応を実行および修正するための完全に統合されたプラットフォームとして機能し得ることが企図される。任意で、本システムのモジュールの各々は、計算デバイス1900に通信的に連結されてもよく、これを使用して、処理ユニット1904によって実行されるソフトウェアを含む分析ツールからのフィードバックに基づいて、本システム内のモジュールの各々を監視および調整することができる。例示的な態様では、かつ本明細書にさらに開示されるように、本システム10は、化学反応を構成するための命令を入力するためのユーザインターフェースを備えてもよく、処理ユニットは、選択された構成を達成するための適切な修正を決定し、その後選択された構成を達成するための必要に応じて複数のモジュールの自動化修正を効果的にもたらすように構成されてもよい。
【0109】
使用時に、本開示のシステムは、以前には達成可能ではなかった連続的な様式で多重ステップの化学合成反応の実行を可能にし得ることが企図される。本開示のシステムは、他の表面実装反応器システムを使用しては達成可能ではなかったモジュラー液体流れ反応の実行を可能にし得ることがさらに企図される。本開示のシステムは、以前には達成可能ではなかった様式で(反応の中間ステップで)中間処理ステップを提供し得ることがさらに企図され、以前には、そのような処理は、反応順路の終了時にのみ実行可能であった。加えて、本開示のシステムは、以前の化学反応と比較して、より少ない体積の試薬、より短い滞留時間、および/またはより短い加熱時間を使用して、反応を提供し得ることが企図される。
【0110】
別の態様では、そのような化学反応を迅速かつ安価にスクリーニングおよび最適化することができるシステムとともに、上述の逆合成法を使用して、潜在的に新たな合成経路を発見する統合された方法もまた、本明細書に開示されている。例示的な装置は、複数の反応容器、分注サブシステム、少なくとも1つの反応器モジュール、分析サブシステム、自動化サブシステム、および制御回路を含む。分注サブシステムは、変動した反応条件を有する複数の反応混合物の複数の反応容器に試薬を送達する。少なくとも1つの反応器モジュールは、複数の反応容器内の複数の反応を駆動する。分析サブシステムは、複数の反応容器内に含有される組成物を分析する。自動化サブシステムは、実験設計パラメータに基づいて、複数の反応容器を、分注サブシステムに対して近位の位置から、少なくとも1つの反応器モジュールへと選択的に移動させる。また、制御回路は、分析に基づいて、標的最終生成物に対する最適な反応条件を特定する。この装置の完全な開示は、2018年6月29日出願の「Apparatus for reaction screening and optimization,and methods thereof」と題するPCT/US2018/040421に見出すことができ、その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0111】
様々な特定の実施形態では、装置は、複数の反応容器、分注サブシステム、少なくとも1つの反応器モジュール、自動化サブシステム、および制御回路を含む。反応容器は、基材内に提供されても、含有されてもよい。分注サブシステムは、変動した反応条件を有する複数の反応混合物の複数の反応容器に試薬を送達する。少なくとも1つの反応器モジュールは、複数の反応容器内の複数の反応を、変動した反応条件に従って駆動する。例えば、少なくとも1つの反応器モジュールは、複数の反応容器に向かってエネルギー出力を提供し、これによって、複数の反応を駆動する、エネルギー放射体を含む。変動した反応条件には、他の変形の中でも特に、温度、時間、試薬の濃度、試薬が含まれ得る。分析サブシステムは、反応が開始した後、かつ任意で1組の反応時間中の任意の時点で複数の反応容器内に含有される反応混合物の組成物(例えば、反応物、副産物、最終生成物、および副生成物)を分析する。分析は、1秒当たり約および/または最大で1つの反応の速度(またはそれ以上)で実行することができる。自動化サブシステムは、(例えば、変動した反応条件を定義する)実験設計パラメータに基づいて、複数の反応容器を、分注サブシステムに対して近位の位置から、少なくとも1つの反応器モジュールへと選択的に移動させる。制御回路は、実験設計パラメータを分注サブシステムおよび自動化サブシステムに提供して、閾値期間内に複数の反応をフィードバック制御し、分析サブシステムから受信した組成物の分析に基づいて、標的最終生成物の最適な反応条件を特定する。
【0112】
より具体的な実施形態では、制御回路が、以前の反応結果を分析サブシステムに記憶された最適な反応生成物の収率と比較することに基づいて、複数の追加の反応の変動した反応条件を調整することによって、フィードバック制御が提供される。例えば、制御回路は、調整された変動した反応条件を、改訂された実験設計パラメータとして分注サブシステムおよび自動化サブシステムに提供し、これは、瞬時またはほぼ瞬時であり得る。
【0113】
複数の反応混合物を、同じまたは異なる追加の反応条件(例えば、同じ温度、同じ曝露時間、または温度および/もしくは露光時間の様々な組み合わせ)に曝露してもよい。特定の一例として、変動した反応条件は、異なる期間にわたる異なる温度への曝露を含み得る。少なくとも1つの反応器モジュールは、複数の反応器モジュール、または複数の異なる温度で並行して複数の反応を駆動する異なるゾーンを有する1つの反応モジュールを含んでもよく、反応器モジュールの各々は、複数の反応混合物の少なくとも一部分に向かって熱エネルギーを提供する熱エネルギー放射体を含む。そのような例示的な実施形態では、反応容器は、互いに独立して選択可能であり、自動化サブシステムは、複数の反応容器のうちの第1のものを、少なくとも1つの反応器モジュールに関連付けられた第1の位置に選択的に移動させ、複数の反応容器のうちの第2のものを、少なくとも1つの反応器モジュールに関連付けられた第2の位置に選択的に移動させ、それぞれの反応の完了時に、複数の反応容器のうちの第1および第2のものの各々を、分析サブシステムに対して近位の位置に選択的に移動させる。他の実施形態では、反応容器またはサブセットは、基材上に位置してもよく、基材(全体として)は、反応器モジュールに移動し、温度に曝露される。
【0114】
自動化サブシステムは、反応容器、反応混合物、基材、または他の構成要素(例えば、キャップ)を、装置に関連付けられた様々な位置に移動させることができる。反応混合物は、分注サブシステムに対して近位の位置から、少なくとも1つの反応器モジュールへと移動して、反応を駆動することができる。自動化サブシステムは、加えて、反応混合物(全てまたは選択されたもの)を追加の試薬の添加のために分注サブシステムに戻すように移動させても、かつ/または分析サブシステムに移動させてもよい。例えば、自動化サブシステムは、反応混合物を、少なくとも1つの反応器モジュールから分析サブシステムに対して近位の位置に移動させ、分析サブシステムは、反応容器の上部部分にほぼ平行な複数の反応容器の各々に向かって分析ビームを放射する。より具体的な実施形態では、制御回路および自動化サブシステムは、複数の反応が反応容器内で駆動される前に複数の反応容器の各々を封止し、複数の反応容器の各々を、反応混合物をサンプリングするための他の試薬を導入するために反応の途中で、または反応混合物の組成物(例えば、反応物、副産物、最終生成物、および副生成物など)の分析前に開封する。
【0115】
さらに、装置は、自動化サブシステムへの反応容器およびキャップの分配に使用される1つ以上の分配チャンバを任意で含んでもよい。
【0116】
分注システムは、インクジェットプリンタ、液体分注器、およびこれらの組み合わせを含み得る。例えば、インクジェットプリンタは、反応容器への試薬の分注に使用される、8チャネルプリンタヘッド、9チャネルプリンタヘッドまたは96チャネルプリンタヘッドなどのプリンタヘッドを有してもよい。
【0117】
分析サブシステムは、液体クロマトグラフィー質量分析計(LC-MS)、リアルタイム(DART)質量分光計(MS)、分光学的撮像装置、およびこれらの組み合わせを含み得る。例えば、DART-MSの構成要素は、各反応混合物に逐次的に向けられた気体のビームを提供し、各反応混合物のサンプリングをDART-MSの別の構成要素に連続的に運ぶことができる。ビームは、正常時に対して0~45度の角度などで、反応容器の上部に向けて提供され得る。ビームは、分析が実施されているかを検証するのに使用され得る検出可能な音声周波数をもたらすることができるか、またはそれを引き起こすことができる。いくつかの特定の実施形態では、装置は、各反応混合物の分析ビームサンプリングに応答して、検出可能な音声周波数信号を制御回路に提供するセンサ回路をさらに含み、制御回路は、検出された音声周波数信号を閾値音声周波数と比較し、そこから分析が生じているかを検証する。他の実施形態では、装置は、(例えば、各)反応容器の視覚画像の撮影に使用される撮像回路を含み、この視覚画像から、分析が生じているかを検証することができる。
【0118】
本開示の他の関連する実施形態および特定の実施形態は、個別に選択可能かつ分離可能な複数の反応容器、少なくとも1つの反応器モジュール、分析サブシステム、自動化サブシステム、制御回路を含む、装置を対象とする。複数の反応容器は、変動した反応条件を有する複数の反応混合物の実験設計パラメータに従ってその中に含有される試薬を含む。少なくとも1つの反応器モジュールは、複数の反応容器内の複数の反応を、変動した反応条件に従って駆動し、反応変動した条件は、異なる期間にわたる異なる温度への曝露を含む。分析サブシステムは、複数の反応混合物に向かって選択的に分析ビームを提供し、そこからの結果を、最大で1秒当たり1つの反応の速度またはそれ以上などの1秒当たり約1つの反応の速度で分析することによって、反応が開始した後、かつ1組の反応時間中の任意の時点で、複数の反応容器内に含有される反応混合物の組成物(例えば、反応物、副産物、最終生成物、および副生成物)を分析する。自動化サブシステムは、複数の反応容器を封止し、複数の反応容器を、実験設計パラメータに基づいて、異なる期間にわたって少なくとも1つの反応器モジュールにまたはそれから選択的に移動させ、複数の反応容器を開封し、反応後に反応混合物を分析サブシステムの近位に選択的に移動させる。制御回路は、実験設計パラメータを自動化サブシステムに提供して、複数の反応容器内の反応を制御し、分析サブシステムから受信した組成物の分析に基づいて、標的最終生成物の最適な反応条件を特定する。
【0119】
特定の態様では、自動化回路は、移動可能なアームおよび分配チャンバを含む。分配チャンバは、複数の反応容器の複数のキャップを含有する。移動可能なアームおよび分配チャンバは、複数の反応容器の複数のキャップを分配し、分配されたキャップを使用して、複数の反応容器を封止する。本明細書にさらに記載されるように、移動可能なアームは、反応容器の選択に使用されるヘッドアセンブリ、およびヘッドアセンブリの移動に使用され得る相互接続された1組のリンクおよび電力接合部を含んでもよい。
【0120】
特定の実施形態では、上述の装置は、変動した反応条件を有する複数の反応混合物のための複数の反応容器に試薬を送達する分注サブシステムをさらに含んでもよい。自動化サブシステムは、複数の反応容器を、分注サブシステムに対して近位の位置から、少なくとも1つの反応器モジュールへと選択的に移動させることができる。また、制御回路は、実験設計パラメータを分注サブシステムに提供し、実験設計パラメータは、試薬の特定、複数の反応容器の各々の試薬の濃度、および他の変動した反応条件を含む。
【0121】
本開示による特定の実施形態は、上述の装置を使用する方法を対象とする。本方法は、制御回路を介して、複数の実験設計パラメータを分注サブシステムおよび自動化サブシステムを提供して、複数の反応容器内の複数の反応を制御することを含み得る。本方法は、異なる量の試薬を、分注サブシステムによって、かつ実験設計パラメータに従って、複数の反応容器のそれぞれの反応容器に送達することをさらに含む。サブシステムは、複数の反応容器を、分注サブシステムに対して近位の位置から、複数の反応が駆動される少なくとも1つの反応器モジュールへと選択的に移動させることができる。例えば、複数の反応は、実験設計パラメータによって、および少なくとも1つの反応器モジュールによって定義される、異なる温度への曝露および異なる期間を含む変動した反応条件に従って複数の反応容器内で駆動される。本方法は、複数の反応容器内に含有される組成物を1秒当たり約(例えば、最大または超)1つの反応の速度で分析することと、この分析に基づいて、標的最終生成物に最適な反応条件を特定することと、をさらに含む。
【0122】
上述のように、いくつかの態様では、本方法は、複数の反応容器を、完了まで駆動される複数の反応に応答して、分析サブシステムに対して近位の位置に選択的に移動させることをさらに含む。分析サブシステムは、複数の反応容器の各々に移動可能に向けることができる気体のビームを提供する。気体のビームは、複数の反応容器の上部部分に対してほぼ平行な角度で向けることができ、気体のビームは、反応容器内に含有される組成物をそこから生成されるイオンに基づいて分析するために、反応混合物のサンプリングを分析サブシステムに運ぶ。
【0123】
様々な関連する態様では、本方法は、異なる濃度の試薬を有する複数の反応混合物を、実験設計パラメータに従って、複数の反応容器のうちの1つの異なる反応容器に提供することによって、異なる量の試薬を送達することを含む。試薬は、実験全体を通して、同時または異なる時点で提供することができる。
【0124】
標的最終生成物の最適な反応条件を特定することは、試薬、試薬の濃度、温度、時間、化学量論、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、最適化された実験設計パラメータを特定することをさらに含み得る。最適な反応条件は、フィードバックを提供することによってさらに最適化することができる。例えば、本方法は、反応容器内に含有される組成物の分析に基づいて、標的最終生成物の改訂された最適な反応条件に到達するように設計された、複数の追加の反応の調整された変動した反応条件を提供することと、調整された変動した反応条件を、改訂された実験設計パラメータとして、分注サブシステムおよび自動化サブシステムに提供することとをさらに含み得る。改訂された実験設計パラメータを使用して、装置は、追加の試験を実行し、そこからの組成物の分析から、反応条件をさらに最適化することができる。
【0125】
図20は、様々な実施形態による、反応スクリーニングおよび最適化を実行する装置の一例を例証する。装置2000は、複数の反応容器2012、制御回路2002、分注サブシステム2004、自動化サブシステム2006、少なくとも1つの反応器モジュール2008、および分析サブシステム2010を含む。装置2000は、標的最終生成物の合成設計に使用することができる。より具体的には、変動した反応条件を有する複数の合成経路を探査し、標的最終生成物に到達するための反応条件のスクリーニングまたは最適化に使用することができる。
【0126】
異なる実験設計パラメータ2001を装置2000の制御回路2002に入力し、それらを使用して、標的最終生成物に到達するための変動した反応条件を有する複数の合成経路を探査することができる。実験設計パラメータ2001は、経路エンジン140によって生成される1つ以上の合成経路を含んでもよい。実験設計パラメータ2001は、合成経路の生成時に考慮するために経路エンジン140に提供される機器データを含んでもよい。DOE情報とも称され得る実験設計パラメータは、異なる値の組み合わせを有する複数の反応条件を含んでもよい。例示的な変動した反応条件には、他の変形の中でも特に、試薬が添加される場合、試薬、試薬の濃度、または化学量論、時間、および温度が含まれてもよく、値には、実験の条件の異なる行為または値が含まれてもよい(例えば、50度および2000度)。本開示によるいくつかのDOE情報は、1度に1つの反応条件の最適化の使用を排除することができる。例えば、4つの実験設計パラメータに関するDOE情報(n<n>)は、256個の可能性から32個の実験または反応混合物へと減少させることができる。理解され得るように、DOE情報は、制御回路2002のメモリ回路内にデータとして設計および記憶され得る。
【0127】
制御回路2002は、実験設計パラメータ2001を受信し、この実験設計パラメータの少なくとも一部分(例えば、反応条件のセット)を装置2000の他の構成要素に(分注サブシステム2004および自動かサブシステム2006などに)提供して、変動した反応条件に基づいて、反応を制御する。例えば、実験設計パラメータ2001は、変動した反応条件を定義することができ、化合物および溶媒、化学量論範囲、時間および温度条件、ならびに正規化された体積のリストを含んでもよい。DOE情報は、実行される実験を含む表を含んでも、それとして提供されてもよい。特定の実施形態では、制御回路2002によってファイルが生成され、試薬の分注のために分注サブシステム2004に送信されてもよい。例えば、制御回路2002は、試薬の組み合わせを特定の濃度で分注サブシステム2004に提供することができ、反応混合物を曝露するための時間(または各反応混合物を特定の温度もしくは反応の駆動に使用される他の型のエネルギーに曝露するための特定の時間)の特定を自動化サブシステム2006に提供することができる。自動化サブシステム2006には、1つの反応器モジュール2008(またはそのゾーン)が反応混合物を曝露するように構成される温度(複数可)、ならびに/あるいはいずれのモジュールもしくはゾーンに、および/またはどれほどの期間にわたって各反応容器を提供するかなどの、少なくとも1つの反応器モジュール2008についての情報が提供されてもよい。
【0128】
複数の反応容器2012は、標的最終生成物を生成するよう設計された反応に貢献する試薬を含有するように構成される。個別のバイアルやウェルなどの様々な型の反応容器2012を、使用することができる。いくつかの実施形態では、反応容器2012は、その上に形成されたウェルを有するプレートおよび/またはバイアルがその中に配置され得るサイズの空間(例えば、穴)を有するプレートなどの、基材2014内に配置されても、その一部を形成してもよい。基材2014は、様々な形態を取ることができる。例えば、基材2014は、平坦であり、ウェルを組み込むテープ、試薬を収集および混合するための吸収性材料、例えば、テフロン(登録商標)もしくはステンレス鋼メッシュを含んでもよく、または複数の容器が混合物を含有するためのウェルとして形成されてもよい。別の例として、パラジウムまたは他の反応性金属メッシュを使用することによって、触媒化学を研究することができる。様々な実施形態によると、反応容器2012は、互いに独立して選択可能であり(例えば、バイアル)、異なる合成経路のために選択的に移動させることができる。他の実施形態では、反応容器2012の少なくとも1つのサブセットを、合成経路のために一緒に連結し(例えば、プレート上のウェル)、一緒に移動させる。
【0129】
分注サブシステム2004は、実験設計パラメータ2001によって定義される変動した条件に基づいて、変動した反応条件を有する複数の反応混合物の複数の反応容器2012に、試薬を送達する。より具体的には、複数の反応混合物は、異なる量もしくは濃度の1組の試薬、および/または異なる試薬を含み得る。例示的な分注サブシステム2004は、インクジェットプリンタまたは液体分注器を含む。本明細書にさらに例証および記載されるように、インクジェットプリンタは、インクジェット印刷に基づいて、試薬を送達する。例示的なインクジェットプリンタは、9チャネル、12チャネル、96チャネルなどの複数チャネルプリントヘッドを使用して、ピコリットルの体積からマイクロリットルの体積までをマイクロリットルプレートに分注することができる。各プリントヘッドは、特定の試薬を含有することができる。インクジェットプリンタは、例えば、1秒当たり1つの反応の速度で反応混合物を印刷することができる。加えて、試薬は、装置2000に直接装填されてもよい。例えば、マトリクスチューブに装填された事前加重された試薬を、装置2000に入力してもよい。事前加重された試薬を、試薬位置の追跡のためにバーコード付けし、任意で、インクジェットプリンタのプリントヘッド上に直接実装され得るスリット間セプタムキャップで封止される、96チューブトレイホルダー内にフォーマット化してもよい。例示的な分注器は、インクジェットプリンタおよび印刷ヘッドを含む。
【0130】
しかしながら、実施形態は、インクジェットプリンタに限定されず、様々な異なる分注サブシステムを含むことができる。例えば、分注サブシステムは、自動化サブシステム2006に提示されるプレートおよび/もしくはバイアルの充填に使用され得る液体分注器、ならびに/または手動分注器(例えば、ピペット)を含み得る。
【0131】
装置2000は、反応混合物に向かってエネルギー出力(例えば、熱)を提供して、複数の反応を駆動する、熱エネルギーツールまたはラジエータなどのエネルギー放射体を有する少なくとも1つの反応器モジュール2008を含む。エネルギー放射体の例には、加熱器、オーブン、マイクロ波源、または光などが含まれる。各反応器モジュールは、特定の温度を提供するか、または別様に異なる方法で反応を駆動する(例えば、異なる光もしくはマイクロ波を提供する)ように構成された少なくとも1つのゾーンを有する。例えば、少なくとも1つの反応器モジュール2008は、変動した反応条件に従って、複数の反応容器2012内の複数の反応を駆動する。いくつかの実施形態では、装置2000は、1つのゾーンを有する1つの反応器モジュールを含むか、または別様に単一の温度を提供するように構成される。代替的に、かつ/または加えて、1つの反応器モジュールは、複数のゾーンを有してもよく、かつ/または装置は、各々が1つ以上のゾーンを有し、複数の異なる温度(例えば、2つ以上、6つ、96個など)の提供に使用される、複数の反応器モジュールを含んでもよい。そのような例示的な実施形態では、少なくとも1つの反応器モジュール2008は、反応混合物を異なる温度におよび任意で異なる期間にわたって曝露することによって、反応容器2012内の複数の反応を駆動することができる。異なる期間は、異なる期間の終了時に1つ以上の反応容器2012を少なくとも1つの反応器モジュール2008から移動させる自動化サブシステム2006を介して提供され得る。異なるゾーンまたは異なる反応器モジュールを使用して、複数の反応を並行しておよび複数の異なる温度(または他の型のエネルギー)で駆動することができる。本明細書にさらに例証および記載されるように、反応器モジュールは、自動化サブシステム2006によって反応器モジュールに提供される少なくとも反応容器2012の少なくとも1つのサブセットを含有することができる。
【0132】
自動化サブシステム2006は、実験設計パラメータ2001に基づいて、反応容器2012および/または反応容器2012内の反応混合物を選択的に移動させることができる。より具体的には、自動化サブシステム2006は、反応容器2012を、分注サブシステム2004に対して近位の位置から、少なくとも1つの反応器モジュール2008へと移動させて、反応を駆動する。本明細書にさらに例証されるように、自動化サブシステム2006は、移動可能なアーム(例えば、ロボットアーム)および反応容器2012および/または反応混合物の選択的な移動に使用される他の移動可能な構成要素を含んでもよい。いくつかの特定の実施形態では、移動は、異なる反応物モジュールもしくはゾーンへの、または異なる期間わたる、反応混合物(例えば、容器)の選択移動を含み得る。そのような様式では、分注サブシステム2004によって分注される反応混合物を、少なくとも1つの反応器モジュール2008に移動させて、その中の反応を、任意で異なる期間にわたって駆動する。自動化サブシステム2006は、反応混合物を、分析サブシステム2010に対して近位の位置にさらに移動させて、その中に含有される組成物を分析することができるが、実施形態はそれに限定されず、移動は、本明細書にさらに記載される他の機構を使用して生じてもよい。組成物は、反応物、副産物、最終生成物、および副生成物、ならびにこれらの様々な組み合わせを含み得る。
【0133】
さらに後述される特定の一例として、個別に選択可能な反応容器、および複数の温度を提供するための複数の反応器モジュールまたはゾーンを有する装置では、変動した反応条件は、異なる時間にわたる異なる温度への曝露を含み得る。自動化サブシステム2006は、複数の反応容器の第1のサブセットを、少なくとも1つの反応器モジュール2008に関連付けられる第1の位置に選択的に移動させて、反応容器の第1のサブセットを第1の温度に曝露し、反応容器の第2のサブセットを、少なくとも1つの反応器モジュール2008の第2の位置に移動させて、容器の第2のサブセットを第1の温度とは異なる第2の温度に曝露する。それぞれの反応の完了時に、または実験設計パラメータ2001によって別様に定義されるように、第1および第2のサブセットにおける反応容器の各々を、分析サブシステム2010に対して近位の位置に移動させる。移動は、自動化サブシステム2006、および/または本明細書にさらに記載されるコンベヤベルトなどの追加の構成要素によって行うことができる。
【0134】
いくつかの実施形態によると、自動化サブシステム2006は、(制御回路2002による制御に基づいて)反応容器2012内の反応混合物を封止および/または開封することができる。例えば、自動化サブシステム2006によって複数の反応が反応容器2012内で駆動される前に、複数の反応容器2012の各々を封止し、反応混合物をサンプリングするための他の試薬を導入するために反応の途中で、または組成物の分析前に実験設計パラメータ2001に基づいて、開封してもよい。例えば、自動化サブシステム2006は、移動可能なアームおよび分配チャンバを含み得る。分配チャンバは、反応容器2012の複数のキャップを含有し得る。移動可能なアームは、分配チャンバとともに、複数の反応容器2012の各々にキャップを分配し、キャップを使用して反応容器を封止することができる。移動可能なアームは、本明細書でさらに例証される、その後キャップを開封するためのツールを含んでも、またはそれへのアクセスを有してもよい。
【0135】
分析サブシステム2010は、反応が開始した後(かつ実験設計パラメータ2001によって定義される1組の反応時間中の任意の時点で)、複数の反応容器2012内に含有される組成物を分析する。組成物は、例えば、生成物の収率、選択性、費用、純度、m/z値、および様々な組み合わせなどの、特定の目的または1組の目的について分析することができる。一例として、最終生成物を、収率、純度、および費用について分析し、1つ以上の目的をさらに最適化するための改訂された反応条件を生成する。分析は、1秒当たり約1つの反応の速度(例えば、最大で1秒当たり1つの反応もしくはそれ以上、および/または前述の範囲)で行うことができる。例示的な分析サブシステムは、96ウェルプレートを介するものまたはUVプレートリーダを介するもの(プレートはバイアルを含まないか、または透明なバイアルを含む)などの液体クロマトグラフィー-質量分析計(LC-MS)、分光学的画像(例えば、UV-Visバイアル、FT-IRセルなど)、および個別化バイアルを介したリアルタイム(DART)質量分光計(MS)における直接分析、ならびにこれらの様々な組み合わせを含む。様々な特定の実施形態では、分析サブシステム2010は、各反応混合物表面に逐次的に向けられた気体のビームを提供し、各反応混合物の試料をDART-MSのMSに運ぶ、DART源(例えば、DART-MS)を含む。分析ビームは、イオン化源(例えば、DART-MSでは気体のビーム)であり、特定の実施形態では、反応容器2012の上部部分に対しておよそ平行な(例えば、正常時に対する角度で)様式で、複数の反応容器の各々に向かって放射されるが、実施形態はそれに限定されない。気体のビームは、複数の反応容器2012の上部部分に向けることができ、気体のビームは、反応容器内に含有される組成物をそこから生成されるイオンに基づいて分析する、反応混合物のサンプリングを分析サブシステム2010の別の構成要素(例えば、MS)に運ぶ。角度には、正常が天井に対して延在する状態で、ゼロ度が含まれ得る。この様式で、5-10iから最大20ulまでの液体(またはバイアルの最大体積)の場合のように、反応容器2012を開放し、DARTヘッドをバイアルを通過して直接MSに向ける。ビームは、反応容器2012の正常時に対して0~45度の角度で向けることができる。
【0136】
いくつかの実施形態では、気体のビームの角度は、検出可能な音声周波数信号を生成することができる。そのような例示的な実施形態では、装置2000は、検出可能な音声周波数信号に応答して信号を制御回路2002に出力する、センサ回路を任意で含んでもよい。センサ回路は、応答して信号を提供することができ、この信号を使用して、分析ビームが各反応混合物をサンプリングしている(またはしていない)ことを検証する。例えば、制御回路2002は、検出された音声周波数信号を(サンプリングを示す)閾値音声信号と比較し、そこから分析が生じているかを検証することができる。他の実施形態では、装置2000は、反応容器2012の視覚画像の撮影に使用される撮像回路を含み、この視覚画像から、分析が生じているかを検証することができる。
【0137】
特定の実施形態では、標的最終生成物の選択性および収率定義などの目的のために、最終生成物または他の組成物を、標的最終生成物または標的組成物と比較してもよい。分析サブシステム2010は、組成物の分析を制御回路2002に提供する。制御回路2002は、組成物の分析に基づいて、(変動した反応条件の中から)標的最終生成物のための最適な反応条件を特定する。より具体的には、最適な反応条件は、標的最終生成物に到達するための、変動した反応条件の中の1組の反応条件を含むことができ、これらには、試薬、試薬の濃度、温度、時間、化学量論、およびこれらの組み合わせが含まれ得る。前述のように、制御回路2002は、閾値時間以内に、複数の反応のフィードバック制御をさらに提供し得る。フィードバック制御は、以前の反応結果と分析サブシステム2010に記憶された最適な反応生成物の収率との比較に基づいて、複数の追加の反応の変動した反応条件を調整し、調整された変動した反応条件を、改訂された実験設計パラメータ(例えば、新たな複数の反応条件のセット)として分注サブシステム2004および自動化サブシステム2006に提供することを含み得るか、またはそれによって提供され得る。閾値期間は、いくつかの特定の実施形態では、瞬時またはほぼ瞬時の制御を含み得る。調整された変動した条件は、標的最終生成物および/または他の標的組成物の改訂された最適な反応条件を達成するように設計された、複数の追加の反応のためのものであってもよい(例えば、1つ以上の目的を最適化することができる)。制御回路2002は、フィードバック制御、例えば、調整された変動した反応条件を、改訂された実験設計パラメータとして分注サブシステム2004および自動化サブシステム2006に提供することができる。装置2000は、改訂された実験設計パラメータを使用して、追加の試験を実行し、そこからの組成物の分析から、反応条件をさらに最適化する。
【0138】
フィードバック制御は、機械学習を使用して、調整された変動した条件を提供することができる。例えば、制御回路2002を、酵素を阻害する能力、抗菌剤として作用する能力、特定の反応を触媒する能力、および分子が関連性のある特性を有するかを予測することなどの分子特性のデータで訓練する。経時的に、制御回路2002は、その訓練を更新して、どの反応条件および/またはそれらの値が特定の目的に影響を与えるかを予測する。制御回路2002は、経時的に更新され、この訓練を使用して、上述のように、1つ以上の目標のための調整された変動した反応条件を提供し、反応条件をさらに最適化する。
【0139】
特定の一例として、かつ上記に提供した特定の例と一貫して、複数の反応容器2012は、個別の分離可能な反応容器を含む。自動化サブシステム2006は、反応容器2012を、分注サブシステム2004に対して近位の基材2014に配置する。分注サブシステム2004は、異なる量の試薬を、実験設計パラメータ2001に従って、複数の反応容器のそれぞれの反応容器に分注する。上述され、さらに例証されるキャップを介してなどの、自動化サブシステム2006を介して、反応混合物を有する複数の反応容器2012を封止する。自動化サブシステム2006によって、反応容器2012を、分注サブシステム2004に対して近位の基材2014から、少なくとも1つの反応器モジュール2008へと選択的に移動させる。自動化サブシステム2006は、特定の容器を、異なる温度に関連付けられた異なるゾーンまたは反応器モジュールに移動させる。例えば、複数の反応容器の第1のサブセットを、反応混合物を第1の温度(例えば、50℃)に曝露することによって、反応容器の第1のサブセット内の反応を駆動する、第1のゾーンおよび/または第1の反応器モジュールに移動させる。反応容器の第2のサブセットを、反応容器の第2のサブセットを第2の温度(例えば、75℃)に曝露する、第2のゾーンおよび/または第2の反応器モジュールに移動させる。第3のサブセットを、第3のゾーンおよび/または第3の反応器モジュールに移動させ、第3の温度に曝露する。実施形態は、3つのゾーン、反応器モジュール、および/または温度に限定されず、1つ、2つ、4つ、5つ、6つ、20個などのゾーン、反応器モジュール、および/または温度などの、3つより多いものまたは少ないものを含み得る。
【0140】
加えて、様々な実施形態では、サブセットのそれぞれの反応混合物を、異なる期間にわたってそれぞれの温度に曝露してもよい。例えば、自動化サブシステム2006は、反応容器を、実験設計パラメータ2001に基づいて、異なる時間に、少なくとも1つの反応器モジュール2008から選択的に移動させる(例えば、温度への曝露から取り除く)。上記に提供した例を使用して、第1の期間(例えば、2分)の満了時に、第1のサブセット内の第1の反応容器を、第1のゾーンおよび/または第1の反応器モジュールから取り外し、第2の期間(例えば、2分20秒)の満了時に、第1のサブセット内の第2の反応容器を、第1のゾーンおよび/または第1の反応器モジュールから取り外す。実施形態はそれに限定されないが、完了に向けて駆動される複数の反応に応答して、複数の反応容器を、同時または異なる時間に、分析サブシステム2010に対して近位の位置に移動させてもよい。例えば、自動化サブシステム2006は、複数の反応容器2012を開封し、分析サブシステム2010に対して近位の反応混合物を選択的に移動させることができる。分析サブシステム2010は、その後標的最終生成物と比較して組成物を分析することができる。様々な実施形態では、反応容器2012は、反応容器2012のキャップを外す(例えば、反応容器2012を封止するキャップを取り外す)こと、または反応容器2012の封止を穿刺することによって開封することができる。例えば、反応容器2012は、生成物の取り出しおよび分析を促進するように穿孔され得る穿孔可能な位置を有する封止を含んでもよい。
【0141】
移動は、自動化サブシステム2006によって行うことができる。例えば、DART-MSの干渉のために、反応容器2012を、96ウェルプレートなどの基材2014上に配置してもよい。自動化サブシステム2006は、反応容器2012にキャップを付け、DOE情報によって定義されるように、キャップが付いた反応容器を少なくとも1つの反応器モジュール2008に配置し、その後それらを少なくとも1つの反応器モジュール2008から取り外す。自動化サブシステム2006は、反応容器2012のキャップを外し(またはそれをキャップを外す位置に置き)、逐次的にキャップを外した反応容器をDART入口の前に置く。例えば、自動化サブシステム2006は、本明細書でさらに例証される反応容器をDART入口の前に逐次的に輸送するコンベヤ上に、キャップを外した反応容器を配置し得る。
【0142】
いくつかの実施形態によると、合成反応経路のうちの1つ以上は、異なる時間に試薬を添加することを含み得る。そのような実施形態では、1つ以上の反応容器を、開封状態またはキャップを外した状態で、少なくとも1つの反応器モジュール2008から移動させ、1つ以上の追加の試薬の分注のために分注サブシステム2004に戻し、任意で再度キャップを付け、反応のさらなる駆動のために少なくとも1つの反応器モジュール2008のうちの1つに戻す。自動化サブシステム2006は、反応容器を少なくとも1つの反応器モジュール2008および/または分注サブシステム2004から、DART-MSの前の位置へと選択的に移動させる。別の実施形態では、反応容器を基材2014または追加の基材、例えば、ウェルプレートに戻し、その後基材をX-Y段階で移動させて、バイアルをDART-MSの前に位置付ける。
【0143】
上記の例はDART-MSの使用を記載するが、実施形態は、DART-MS、異なる温度および時間を含む変動した反応条件、ならびに/または個別に移動され得る反応容器に限定されない。例えば、上述のように、反応混合物を、キャップおよび反応した個別の反応容器内に分注し、キャップを付け、反応させてもよい。自動化サブシステム2006は、キャップを外した状態または別様に開封状態(例えば、穿孔した状態)の反応容器を、基材2014上またはそれに交換することができ、反応混合物を、LC-MSで直接サンプリングすることができる。他の実施形態では、反応容器は、個別に選択可能かつ/または移動可能なバイアルではない。例えば、試薬を、マイクロリットルプレートなどのウェルを有する基材2014に直接分注してもよい。基材2014(例えば、プレート)は、従来の固体プレートであってもよいか、またはプレートは、UVプレートリーダと互換性がある。いくつかの実施形態では、装置2000は、全てのウェルが同じ温度および同じ時間に曝露されるスクリーニングモードで実行される。スクリーニングモードでは、入力試薬の変動を試験して、どの化学が機能するかを特定することができる。分注サブシステム2004は、試薬をウェルプレートに分注する。例えば、プレートを、(必要に応じて)処理のために少なくとも1つの反応器モジュール2008に輸送し、その後LC-MSオートサンプラに配置する。他の実施形態では、試薬を、透明なマイクロタイタープレートに分注する。反応混合物を、1組の反応条件と反応させ、迅速なUV/Vis評価のためにプレートリーダに置く。他の特定の実施形態では、(個別の)反応容器2012は、試薬が分注され、個別に反応(最適化)され、その後上述のUV/Vis分析用の透明プレート上に交換される、透明なバイアルを含む。
【0144】
図21は、サーバ2102およびネットワーク2104を介して接続されたクライアント2106の非限定的な例を含む環境2100を示すブロック図である。一態様では、分析デバイス1700、制御モジュール1702、計算デバイス1900、遠隔計算デバイス1902、ならびに/または装置2000(およびその任意のサブ構成要素)は、サーバ2102および/またはクライアント2106のうちの1つ以上を含み得る。一態様では、いずれの記載の方法のいくつかまたは全てのステップも、本明細書に記載の計算デバイスで実行することができる。サーバ2102は、1つ以上の経路エンジン140、反応110、機械学習分類器、および合成経路150などを記憶するように構成された、1つまたは複数のコンピュータを含み得る。クライアント2106は、例えば、ラップトップコンピュータまたはデスクトップコンピュータなどの、(例えば、ウェブブラウザを介して)ユーザインターフェース500を操作するように構成された、1つまたは複数のコンピュータを含み得る。複数のクライアント2106は、例えば、インターネットなどのネットワーク2104を通してサーバ(複数可)2102に接続することができる。クライアント2106のユーザは、ユーザインターフェース500を用いて、経路エンジン140に接続することができる。
【0145】
サーバ2102およびクライアント2106は、ハードウェアアーキテクチャに関して、一般にプロセッサ2108、メモリシステム2110、入力/出力(I/O)インターフェース2112、ネットワークインターフェース2114を含む、デジタルコンピュータであってもよい。これらの構成要素(2108、2110、2112、および2114)は、ローカルインターフェース2116を介して通信的に連結される。ローカルインターフェース2116は、例えば、当該技術分野で既知の1つ以上のバスまたは他の有線もしくは無線接続であってもよいが、これに限定されない。ローカルインターフェース2116は、コントローラ、バッファ(キャッシュ)、ドライバ、リピータ、およびレシーバなどの、通信を可能にするための追加の要素(簡略化のために省略される)を有してもよい。さらに、ローカルインターフェースは、前述の構成要素間の適切な通信を可能にするためのアドレス、制御、および/またはデータ接続を含んでもよい。
【0146】
プロセッサ2108は、特にメモリシステム2110に記憶される、ソフトウェアを実行するためのハードウェアデバイスであってもよい。プロセッサ2108は、任意のカスタム作製または市販のプロセッサ、中央処理ユニット(CPU)、サーバ2102およびクライアント2106に関連付けられたいくつかのプロセッサの中の補助プロセッサ、半導体ベースのマイクロプロセッサ(マイクロチップもしくはチップセットの形態)、またはソフトウェア命令を実行するための一般に任意のデバイスとすることができる。サーバ2102またはクライアント2106が動作中である時、プロセッサ2108は、メモリシステム2110内に記憶されているソフトウェアを実行して、メモリシステム2110へのおよびそこからのデータを通信し、ソフトウェアに従って、サーバ2102およびクライアント2106の動作を一般に制御するように構成されてもよい。
【0147】
I/Oインターフェース2112を使用して、1つ以上のデバイスまたは構成要素からユーザ入力を受信する、かつ/またはそれらへとシステム出力を提供することができる。ユーザ入力は、例えば、キーボードおよび/またはマウスを介して提供されてもよい。システム出力は、表示デバイスおよびプリンタ(図示せず)を介して提供されてもよい。I/Oインターフェース2112は、例えば、シリアルポート、パラレルポート、小型コンピュータシステムインターフェース(SCSI)、IRインターフェース、RFインターフェース、および/またはユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェースを含んでもよい。
【0148】
ネットワークインターフェース2114を使用して、ネットワーク2104上で外部サーバ2102またはクライアント2106から伝達および受信することができる。ネットワークインターフェース2114は、例えば、10BaseT Ethernetアダプタ、100BaseT Ethernetアダプタ、LAN PHY Ethernetアダプタ、Token Ringアダプタ、ワイヤレスネットワークアダプタ(例えば、WiFi)、または任意の他の好適なネットワークインターフェースデバイスを含んでもよい。ネットワークインターフェース2114は、ネットワーク2104上での適切な通信を可能にするためのアドレス、制御、および/またはデータ接続を含んでもよい。
【0149】
メモリシステム2110は、揮発性メモリ素子(例えば、ランダムアクセスメモリ(DRAM、SRAM、SDRAMなどのRAM))および不揮発性メモリ素子(例えば、ROM、ハードドライブ、テープ、CDROM、DVDROMなど)のいずれか1つまたはその組み合わせを含んでもよい。さらに、メモリシステム2110は、電子、磁気、光学、および/または他の型の記憶媒体を組み込んでもよい。メモリシステム2110は、様々な構成要素が互いに離れて位置するが、プロセッサ2108によってアクセスすることができる、分散型アーキテクチャを有し得ることに留意されたい。
【0150】
メモリシステム2110内のソフトウェアは、1つ以上のソフトウェアプログラムを含んでもよく、これらの各々は、論理機能を実施するための実行可能な命令の順序付けされたリストを含む。図21の例では、サーバ2102のメモリシステム2110内のソフトウェアは、経路エンジン140および好適なオペレーティングシステム(O/S)2118を含むことができる。図21の例では、クライアント2106のメモリシステム2110内のソフトウェアは、ユーザインターフェース500および好適なオペレーティングシステム(O/S)2118を含むことができる。オペレーティングシステム2118は、オペレーティングシステム2118、ユーザインターフェース500などの他のコンピュータプログラムの実行を本質的に制御し、スケジューリング、入力-出力制御、ファイルおよびデータ管理、メモリ管理、および通信制御、ならびに関連するサービスを提供する。
【0151】
例証目的で、アプリケーションプログラムおよび他の実行可能なプログラム構成要素(オペレーティングシステム2118など)は、本明細書では別々のブロックとして例証されているが、そのようなプログラムおよび構成要素は、サーバ2102および/またはクライアント2106の異なる記憶構成要素内で、様々な時間に存在し得ることが認識される。経路エンジン140および/またはユーザインターフェース500の実施は、何らかの形態のコンピュータ可読媒体に記憶されても、それを通過して伝達されてもよい。本開示の方法のいずれも、コンピュータ可読媒体上に具現化されたコンピュータ可読命令によって実行することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の利用可能媒体とすることができる。例として、かつ限定を意図するものではないが、コンピュータ可読媒体は、「コンピュータ記憶媒体」および「通信媒体」を含み得る。「コンピュータ記憶媒体」は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなどの、情報を記憶するための任意の方法または技術で実施される、揮発性および不揮発性の取り外し可能な媒体および取り外し不能な媒体を含み得る。例示的なコンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリもしくは他の記憶技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)もしくは他の光学記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶デバイスもしくは他の磁気記憶デバイス、または所望の情報の記憶に使用することができ、かつコンピュータによってアクセスすることができる任意の他の媒体を含み得る。
【0152】
特定の構成を記載してきたが、本明細書の構成は、限定ではなく、全ての点で可能な構成であることを意図するものであるため、この範囲を記載の特定の構成に限定することを意図するものではない。
【0153】
別途明記しない限り、本明細書中に記載のいかなる方法も、そのステップを特定の順序で実行することを必須としていると解釈するべきであることを意図するものでは決してない。したがって、方法についてのある請求項が、実際にそのステップが従うべき順序を列挙していない場合、または特許請求の範囲もしくは明細書においてステップが特定の順序に限定されることが別様に明記されていない場合には、いかなる点でも、ある順序を推測することを意図するものでは決してない。これは、ステップの配置または動作の流れの配列に関する論理の問題、文法体系または句読法から導出される単純解釈、本明細書に記載の構成の数または型を含む、解釈に関する任意の可能な不明確な基準に対して成り立つ。
【0154】
範囲または趣旨から逸脱することなく、様々な修正および変形がなされ得ることが、当業者に明らかになるだろう。他の構成は、本明細書に記載の明細書および実践を考慮することにより、当業者に明らかになるだろう。本明細書および記載の構成は、あくまで例示的なものと見なされ、真の範囲および趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示されることが意図されるものである。
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