IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社湯山製作所の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】薬剤包装装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20230929BHJP
   B65B 1/30 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
A61J3/00 310F
A61J3/00 310E
B65B1/30 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017247476
(22)【出願日】2017-12-25
(65)【公開番号】P2019058634
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-11-26
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2017063781
(32)【優先日】2017-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017196453
(32)【優先日】2017-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】八田 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】福井 博之
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】安井 寿儀
【審判官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-184853(JP,U)
【文献】特開2002-226168(JP,A)
【文献】特開2005-218711(JP,A)
【文献】株式会社タカゾノ,“全自動分割分包機Crestage-Pro”,2016年8月
【文献】株式会社タカゾノ,“全自動分割分包機Crestage-Pro 取扱説明書”,p.140
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から供給された薬剤を1服用分ずつ包装して排出する薬剤包装装置であって、
動力によって回転し環状の溝を有する分配皿を備え、
前記分配皿の上側面と下側面をそれぞれ清掃する上側清掃装置と下側清掃装置を備えており、
前記上側清掃装置は、少なくとも一部が前記分配皿の上側に位置した状態で、予め定められた清掃動作を自動的に実施するものであり、
前記下側清掃装置は、少なくとも一部が前記分配皿の下側に位置した状態で、予め定められた清掃動作であり、且つ、前記分配皿の回転を伴う清掃動作を実施するものであり、
前記下側清掃装置は、粉体を貯留可能な受止用空間を形成する散薬受皿部材と、前記受止用空間に配されていて前記分配皿に下方側から接触する接触体を備え、
前記下側清掃装置が実施する清掃動作は、前記接触体が前記分配皿に下方側から接触した状態で、前記分配皿を回転させる動作であり、
前記散薬受皿部材の底板部分に前記接触体が台座部を介して取り付けられており、前記散薬受皿部材の底板部分の大部分を前記分配皿の下面よりも下方に位置した状態とすることで、前記接触体が前記分配皿に下方側から接触することを特徴とする薬剤包装装置。
【請求項2】
外部から供給された薬剤を1服用分ずつ包装して排出する薬剤包装装置であって、
動力によって回転し環状の溝を有する分配皿を備え、
前記分配皿の上側面と下側面をそれぞれ清掃する上側清掃装置と下側清掃装置を備えており、
前記上側清掃装置は、少なくとも一部が前記分配皿の上側に位置した状態で、予め定められた清掃動作を自動的に実施するものであり、
前記下側清掃装置は、少なくとも一部が前記分配皿の下側に位置した状態で、予め定められた清掃動作であり、且つ、前記分配皿の回転を伴う清掃動作を実施するものであり、
前記下側清掃装置は、粉体を貯留可能な受止用空間を形成する散薬受皿部材と、前記受止用空間に配されていて前記分配皿に下方側から接触する接触体を備え、
前記下側清掃装置が実施する清掃動作は、前記接触体が前記分配皿に下方側から接触した状態で、前記分配皿を回転させる動作であり、
前記下側清掃装置は、前記分配皿の周方向に沿って延びる飛散防止板を備え、前記飛散防止板が、前記分配皿の径方向端部に位置する縁端部分と間隔を空けて配されるものであり、
前記散薬受皿部材の全体は、前記飛散防止板よりも前記分配皿側の径方向で前記分配皿側となる位置に配され、前記散薬受皿部材は、前記散薬受皿部材の底板部分と前記飛散防止板の下端部分とが互いに隣接するように形成されていることを特徴とする薬剤包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤や散薬等の薬剤を包装する薬剤包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
処方に基づいて錠剤や散薬等の薬剤を1服用分ずつ包装する薬剤包装装置が知られている。薬剤包装装置として、例えば、特許文献1に開示されたものがある。
【0003】
特許文献1に開示された薬剤包装装置は、散薬分配部と散薬包装部とを備えており、投入された散薬を散薬分配部で1服用分ずつに分割し、散薬包装部へ順次供給する。そして、散薬包装部において、1服用分の散薬を区分して包装紙内に収容し、これをシールして薬包体を形成する。
特許文献1に開示された薬剤包装装置では、散薬分配部に分配皿があり、分配皿の溝に散薬を投入する構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-162240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した構成の薬剤包装装置では、散薬を包装する動作を実施する際に散薬を分配皿の上に落下させるので、分配皿及びその周辺の清掃する必要が生じる場合がある。
清掃のための作業(又は動作)が煩雑であると、次に実施する包装の動作の開始が遅れてしまうので好ましくない。
また薬剤包装装置は、人が服用する薬剤を取り扱う機器であるため、一般的な機器に比べて清浄性が求められる。すなわち包装する散薬に他の散薬が混入してしまうこと(所謂コンタミネーション)等を確実に防止するため、僅かに残存してしまった散薬等も確実に取り除く必要がある。
【0006】
従来の薬剤包装装置は、清掃をより容易化するという観点や、より正確な清掃を実施するという観点から、改良の余地があった。
また従来の薬剤包装装置は、形成した薬包体を排出位置まで滞りなく搬送するという観点や、メンテナンス時における清掃作業の効率化を図るという観点からも改良の余地があった。
さらに従来の薬剤包装装置は、錠剤を包装するにあたり、外部から錠剤を効率よく供給するという観点からも改良の余地があった。
【0007】
本発明は、薬剤包装のための動作及びそれに関する動作を効率よく実施可能であり、使い勝手のよい薬剤包装装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の一つの様相は、外部から供給された薬剤を1服用分ずつ包装して排出する薬剤包装装置であって、動力によって回転し環状の溝を有する分配皿を備え、前記分配皿の上側面と下側面をそれぞれ清掃する上側清掃装置と下側清掃装置を備えており、前記上側清掃装置は、少なくとも一部が前記分配皿の上側に位置した状態で、予め定められた清掃動作を自動的に実施するものであり、前記下側清掃装置は、少なくとも一部が前記分配皿の下側に位置した状態で、予め定められた清掃動作であり、且つ、前記分配皿の回転を伴う清掃動作を実施するものであり、前記下側清掃装置は、粉体を貯留可能な受止用空間を形成する散薬受皿部材と、前記受止用空間に配されていて前記分配皿に下方側から接触する接触体を備え、前記下側清掃装置が実施する清掃動作は、前記接触体が前記分配皿に下方側から接触した状態で、前記分配皿を回転させる動作であり、前記散薬受皿部材の底板部分に前記接触体が台座部を介して取り付けられており、前記散薬受皿部材の底板部分の大部分を前記分配皿の下面よりも下方に位置した状態とすることで、前記接触体が前記分配皿に下方側から接触することを特徴とする薬剤包装装置である。
本発明の他の様相は、外部から供給された薬剤を1服用分ずつ包装して排出する薬剤包装装置であって、動力によって回転し環状の溝を有する分配皿を備え、前記分配皿の上側面と下側面をそれぞれ清掃する上側清掃装置と下側清掃装置を備えており、前記上側清掃装置は、少なくとも一部が前記分配皿の上側に位置した状態で、予め定められた清掃動作を自動的に実施するものであり、前記下側清掃装置は、少なくとも一部が前記分配皿の下側に位置した状態で、予め定められた清掃動作であり、且つ、前記分配皿の回転を伴う清掃動作を実施するものであり、前記下側清掃装置は、粉体を貯留可能な受止用空間を形成する散薬受皿部材と、前記受止用空間に配されていて前記分配皿に下方側から接触する接触体を備え、前記下側清掃装置が実施する清掃動作は、前記接触体が前記分配皿に下方側から接触した状態で、前記分配皿を回転させる動作であり、前記下側清掃装置は、前記分配皿の周方向に沿って延びる飛散防止板を備え、前記飛散防止板が、前記分配皿の径方向端部に位置する縁端部分と間隔を空けて配されるものであり、前記散薬受皿部材の全体は、前記飛散防止板よりも前記分配皿側の径方向で前記分配皿側となる位置に配され、前記散薬受皿部材は、前記散薬受皿部材の底板部分と前記飛散防止板の下端部分とが互いに隣接するように形成されていることを特徴とする薬剤包装装置である。
本発明に関連する関連発明の一つの様相は、外部から供給された薬剤を1服用分ずつ包装して排出する薬剤包装装置であって、動力によって回転し環状の溝を有する分配皿を備え、前記分配皿の上側面と下側面をそれぞれ清掃する上側清掃装置と下側清掃装置を備えており、前記上側清掃装置は、少なくとも一部が前記分配皿の上側に位置した状態で、予め定められた清掃動作を自動的に実施するものであり、前記下側清掃装置は、少なくとも一部が前記分配皿の下側に位置した状態で、予め定められた清掃動作であり、且つ、前記分配皿の回転を伴う清掃動作を実施するものであり、前記下側清掃装置は、粉体を貯留可能な受止用空間を形成する散薬受皿部材と、前記受止用空間に配されていて前記分配皿に下方側から接触する接触体を備え、前記下側清掃装置が実施する清掃動作は、前記接触体が前記分配皿に下方側から接触した状態で、前記分配皿を回転させる動作であり、前記散薬受皿部材の底板部分に前記接触体が台座部を介して取り付けられており、前記散薬受皿部材の大部分を前記分配皿の下方側に位置した状態とすることで、前記接触体が前記分配皿に下方側から接触することを特徴とする薬剤包装装置である。
本発明に関連する関連発明の他の様相は、外部から供給された薬剤を1服用分ずつ包装して排出する薬剤包装装置であって、動力によって回転し環状の溝を有する分配皿を備え、前記分配皿の上側面と下側面をそれぞれ清掃する上側清掃装置と下側清掃装置を備えており、前記上側清掃装置は、少なくとも一部が前記分配皿の上側に位置した状態で、予め定められた清掃動作を自動的に実施するものであり、前記下側清掃装置は、少なくとも一部が前記分配皿の下側に位置した状態で、予め定められた清掃動作であり、且つ、前記分配皿の回転を伴う清掃動作を実施するものであり、前記下側清掃装置は、粉体を貯留可能な受止用空間を形成する散薬受皿部材と、前記受止用空間に配されていて前記分配皿に下方側から接触する接触体を備え、前記下側清掃装置が実施する清掃動作は、前記接触体が前記分配皿に下方側から接触した状態で、前記分配皿を回転させる動作であり、前記下側清掃装置は、前記分配皿の径方向端部と隣接する位置に配されるものであり、前記分配皿の周方向に沿って延びる飛散防止板を備え、前記散薬受皿部材は、前記飛散防止板よりも前記分配皿側であって前記飛散防止板の下端部分に隣接する位置に配されていることを特徴とする薬剤包装装置である。
【0009】
本様相の薬剤包装装置によると、分配皿の上面(以下、単に皿上とも称す)だけでなく、下面(以下、単に皿下とも称す)をも清掃が可能となっている。
したがって、皿上に残存した散薬のみならず、分包動作を実施する際に皿下側へ飛び散り、静電気の発生等に起因して皿下側へ付着した散薬をも除去可能となる。このことから、より確実に残存散薬の除去が可能となり、残存散薬に起因するコンタミネーションの発生等をより抑制可能となる。さらに、手動の清掃装置(使用者が手で把持して使用する清掃装置)とは異なり、分配皿の回転をさせつつ皿下側を清掃する動作を実施することで、より容易に清掃が可能となっている。
【0010】
前記下側清掃装置は、前記分配皿の径方向端部と隣接する位置に配されるものであり、前記分配皿の周方向に沿って延びる飛散防止板と、粉体を貯留可能な受止用空間を形成する散薬受皿部材と、前記受止用空間に配されていて前記分配皿に下方側から接触する接触体を備え、前記散薬受皿部材は、前記飛散防止板よりも前記分配皿側であって前記飛散防止板の下端部分に隣接する位置に配され、前記下側清掃装置が実施する清掃動作は、前記接触体が前記分配皿に下方側から接触した状態で、前記分配皿を回転させる動作であることが好ましい。
【0011】
この様相では、清掃時に飛散するする粉末を貯留し、貯留した粉末を一括して廃棄できる。このため、皿下清掃時に飛び散った散薬が他の部分に付着してしまうといったことがなく、清掃時に集められる散薬の廃棄も容易である。
【0012】
前記した各様相において、吸引装置を備え、前記上側清掃装置は、少なくとも一部が前記環状溝の上方に位置する先端ノズル部と、回動機構部を備え、前記先端ノズル部は、内部の空間が前記吸引装置と連なる吸引経路を形成するものであり、前記先端ノズル部の先端側と基端側の間に位置する側壁部分の一部により、内外を連通する吸引口部が形成され、前記回動機構部は、前記先端ノズル部の周回りに前記先端ノズル部を回動させるものであり、前記吸引口部が下方を向いた吸引時姿勢と、前記吸引口部が前記吸引時姿勢とは異なる方向を向いた待機時姿勢との間で姿勢の切り替えが可能であることが好ましい。
【0013】
本様相によると、清掃動作を実施しない際の待機時姿勢と、清掃動作を実施する際の吸引時姿勢との間で姿勢の切り替えを実施するとき、先端ノズル部を大きく移動させることなく姿勢の切り替えが可能となる。
このため、先端ノズル部が移動するための広い領域を確保する必要がなく、狭い空間に配置可能であり、さらに姿勢変更に係る時間を短くすることができる。
【0014】
上記した各様相において、前記先端ノズル部は、弾性変形可能なヘラ状部を備えた堰止板部と、当該ヘラ状部よりも弾性係数の大きな吸引口形成板部とを備え、前記吸引口形成板部は、前記先端ノズル部の側壁部分の一部から外側へ突出するように延びており、前記吸引口部は、前記ヘラ状部と前記吸引口形成板部の間に形成される部分を有し、前記ヘラ状部は、前記吸引時姿勢時に平面視が前記分配皿の回転方向における下流側へ向かって凸となるように湾曲した形状であり、前記吸引時姿勢では、前記ヘラ状部の下端側に位置する部分が前記環状溝に密着し、前記吸引口形成板部が前記環状溝に接触しない位置にあることが好ましい。
【0015】
また、上記した各様相において、前記上側清掃装置が実施する清掃動作は、前記上側清掃装置を前記待機時姿勢から前記吸引時姿勢へ移行させる第1動作と、前記分配皿を回転させつつ前記上側清掃装置に吸引動作を実行させる第2動作と、前記上側清掃装置を前記吸引時姿勢から前記待機時姿勢へ移行させる第3動作と、前記上側清掃装置が前記待機時姿勢を維持したまま前記分配皿を前記第2動作と同方向に回転させる第4動作と、再び前記上側清掃装置を前記待機時姿勢から前記吸引時姿勢へ移行させ、前記分配皿を前記第2動作と同方向に回転させつつ前記上側清掃装置に吸引動作を実行させる第5動作とを、この順で実行していくことが好ましい。
【0016】
この様相によると、分配皿を逆回転させることなく清掃動作が可能であるため、逆回転のための制御機構等を設ける必要がなく、好ましい。
さらに、この様相では、第2動作の後、第3動作乃至第5動作を実施することで、より確実に吸引時における残存散薬の発生をより確実に防止することが可能となる。
具体的に説明すると、従来の薬剤包装装置で清掃のための吸引動作を実施すると、分配皿と、散薬を堰き止める部分とが接触する部分において、分配皿の径方向に沿って線状に散薬が残存してしまうという問題があった。
この様相では、仮に第2動作によって線状に散薬が残存してしまった場合であっても、第3動作乃至第5動作を実施することで、分配皿において散薬が残存していない部分に散薬を堰き止める部分を接触させ、再度吸引動作を実施することができる。すなわち、第2動作に起因して残存散薬が発生してしまった場合においても、この残存散薬の吸引が可能であり、残存散薬の発生をより確実に防止できる。
【0017】
上記した各様相において、前記分配皿に供給された散薬を掻き出すための掻出装置と、当該掻出装置を清掃する掻出用清掃装置を備えており、前記掻出装置は、前記環状溝に対して近接又は離反する方向に移動可能な掻寄板を備えており、前記掻寄板が前記環状溝から離反した位置で待機する待機時姿勢を取ることが可能なものであって、前記掻出用清掃装置は、下方側に開口する板挿入孔と、掻出用接触体とを備えており、前記掻出装置が前記待機時姿勢をとることで、前記掻寄板が前記板挿入孔に下方側から挿入されて前記掻出用接触体と接触するものであり、前記掻寄板と前記掻出用接触体とが接触した状態で、一方が他方に対して接触状態を維持しつつ相対的に移動することで、前記掻寄板が清掃されるものであることが好ましい。
【0018】
本様相では、分配皿に加えて掻出装置をも自動的に清掃可能であるので、掻出装置(掻寄板)に付着した残存散薬をより確実に除去することが可能であり、より確実にコンタミネーションの発生を防止可能となっている。
また、掻出装置が待機時姿勢をとると、掻寄板が板挿入孔に下方側から挿入される構造となっており、散薬の掻き出し動作の実施後に掻出装置が待機状態へ移行すると、直後に掻出装置を清掃可能となっている。すなわち、掻出装置の待機位置の周辺に清掃装置を設けることで、掻出装置に対して清掃装置を近接させたり、掻出装置を大きく移動させたりすることなく清掃可能となっている。
また本様相によると、比較的簡易な構造で掻出装置の清掃が可能となる。
【0019】
上記した各様相において、前記掻出用接触体は複数のブラシであり、回転体の側面部分から外部へ突出するものであって、前記回転体の側面部分は、前記回転体の周方向で連続する一の領域と他の領域とを有し、前記領域の一方にのみ前記ブラシが取り付けられているか或いは一方が他方に比べて前記ブラシが密に取り付けられており、前記回転体が回転することで、前記ブラシが前記掻寄板に接触しつつ移動する動作が間欠的に実施されることが好ましい。
【0020】
ここでいう「ブラシ」とは、ブラシ毛を束ねて形成される毛束を含むものとする。すなわち、所謂柄部分を含まず、ブラシ毛のみによって形成される部材を含むものとする。
本様相では、清掃動作時のブラシ毛の飛散を抑制可能であり、清掃動作に起因して薬剤包装装置の内部に異物が残存することを防止できる。
【0021】
上記した各様相において、薬剤を1服用分ずつ包装して薬包体を形成するものであり、前記薬包体を所定位置まで搬送する搬送経路を形成する搬送装置を備え、前記搬送装置は、前記搬送経路の少なくとも一部を形成する一次搬送部と、動力生成手段を有し、一次搬送部は、コンベア部と、押さえローラ部を有し、前記コンベア部は、搬送面形成部材が駆動することで、接触する前記薬包体を搬送方向下流側へ搬送するものであり、前記動力生成手段は、少なくとも前記押さえローラ部と前記コンベア部に供給する動力を生成するものであり、前記押さえローラ部は、少なくとも一つの押さえローラを有し、当該押さえローラは、前記動力生成手段から供給される動力によって搬送方向と交わる方向に延びる軸を中心に回転するものであり、前記コンベア部と前記押さえローラ部の間を前記薬包体の少なくとも一部が通過するものであり、前記押さえローラ部は、前記薬包体を前記コンベア部側へ押圧し、且つ、接触する前記薬包体に搬送方向下流側へ向かう力を付与することが好ましい。
【0022】
本様相によると、形成した薬包体を搬送する際、薬包体にしわが寄ってしまうことを抑制可能となる。
すなわち、本様相では、動力生成手段から押さえローラ部とコンベア部に動力が供給されている。このことから、コンベア部で搬送される薬包体に対し、押さえローラから、搬送方向下流側へ向かう力をさらに付与できる。したがって、薬包体をより確実に下流側へ搬送することが可能であり、薬包体が詰まり難くなるので、この詰まりに起因する薬包体でのしわの発生を抑制できる。
【0023】
上記した各様相において、形成された前記薬包体は、供給された薬剤を収納する収納領域と、前記収納領域の縁端部分に隣接する非収納領域に区画されるものであり、前記搬送経路の少なくとも一部を形成する第2搬送部を備え、前記第2搬送部は、前記薬包体の前記非収納領域を挟持する挟持部を有し、前記挟持部によって前記非収納領域を挟持しつつ、前記薬包体を上方側へ搬送することが好ましい。
【0024】
本様相では、薬包体内に収納した薬剤の搬送時における破損を防止できる。
また、非収納領域を挟持するので、収納領域に対して服用時期等の薬剤に関する情報を印字する場合、印字のかすれ等が発生せず、好ましい。
【0025】
上記した各様相において、少なくとも供給装置本体部と、振動印加装置と、トラフ部材を備えた散薬供給装置を有し、前記振動印加装置によって前記トラフ部材に振動が印加されることで、前記トラフ部材の上の散薬が落下して前記分配皿に供給されるものであり、前記供給装置本体部と前記トラフ部材は、それぞれ対となる第1本体側係合部と第1トラフ側係合部によって構成される係合構造部を有するものであり、前記トラフ部材は、前記供給装置本体部に対して着脱可能であり、前記トラフ部材は前記第1本体側係合部と前記第1トラフ側係合部が係合して供給装置本体部に装着され、前記第1本体側係合部と前記第1トラフ側係合部が係合する際及び又は係合中の状態では、係合構造部によって前記トラフ部材が前記供給装置本体部に近づく方向に付勢されることが好ましい。
【0026】
本様相では、散薬供給装置のトラフ部材が、供給装置本体部から取り外し可能であり、トラフ部材の清掃が容易である。また、取り付け時には、トラフ部材に対して供給装置本体部に近づく方向へ力が加わるので、不意に外れにくい。
【0027】
本発明の他の様相は、上記した各様相の薬剤包装装置と、前記薬剤包装装置に錠剤を供給するための薬棚装置を備えた薬剤分包ユニットであって、前記薬棚装置は、複数の錠剤容器を取り付け可能であり、それぞれの錠剤容器から供給された錠剤を所定位置まで搬送する錠剤搬送装置を有し、錠剤搬送装置は、一次搬送部と、二次搬送部を備え、前記一次搬送部は、前記薬棚装置側から前記薬剤包装装置側へ向かう方向と交わる方向へ錠剤を搬送する部分であり、前記二次搬送部は、前記薬棚装置側から前記薬剤包装装置側へ向かう方向へ錠剤を搬送するものであって、錠剤を前記一次搬送部で搬送した後に前記二次搬送部で搬送する動作と、錠剤を前記一次搬送部で搬送せずに前記二次搬送部で搬送する動作のそれぞれが可能である薬剤分包ユニットである。
【0028】
なお、ここでいう「錠剤」とは、薬剤を一定の形状に圧縮したものの他、カプセル剤等の粒状に形成した固形剤全般を含むものとし、以下の記載も同様とする。
本様相によると、薬棚装置を大型化し、さまざまな位置に錠剤容器を配した場合であっても、それぞれの錠剤容器に収納された錠剤を適切な搬送動作で薬剤包装装置に供給可能となる。
【0029】
上記した様相において、前記一次搬送部は、供給された錠剤を受け止める受止部と、錠剤押出片部とを備えており、前記錠剤押出片部は、前記一次搬送部における錠剤の搬送方向に移動可能であり、前記一次搬送部での錠剤の搬送動作は、前記受止部に位置する錠剤を前記錠剤押出片部によって押し動かして搬送する動作であることがより好ましい。
【0030】
本発明に関連する様相は、薬剤を所望の個数ずつ排出し、他の機器に供給する薬棚装置であって、複数の錠剤容器を取り付けられる容器取付部と、錠剤を所定位置まで搬送する錠剤搬送装置と、複数の錠剤供給経路を有し、前記錠剤供給経路は、対応する前記錠剤容器から供給された錠剤を前記錠剤搬送装置に供給する経路を形成するものであり、前記錠剤搬送装置は、錠剤を押して移動させる錠剤押出片部を備え、供給する錠剤を収容した前記錠剤容器を処方に関するデータに基づいて特定する容器特定動作を実施し、特定した前記錠剤容器に対応する前記錠剤供給経路に応じて、前記錠剤押出片部の待機位置を変更することを特徴とする薬棚装置である。
【0031】
本様相によると、薬剤包装装置に錠剤を供給する動作を高速化できるので、好ましい。
なお、ここでいう「他の機器」は、上記した薬剤包装装置であってもよい。
【0032】
上記した関連する様相は、前記錠剤搬送装置は、一次搬送部を備え、前記一次搬送部は、薬棚装置側から前記他の機器側へ向かう方向と交わる方向へ錠剤を搬送する部分であり、且つ、供給された錠剤を受け止める受止部と、前記錠剤押出片部を有しており、前記一次搬送部は、搬送方向に前記錠剤押出片部を移動させ、前記錠剤押出片部によって錠剤を押し動かして搬送するものであり、前記錠剤供給経路のそれぞれは、前記受止部の異なる位置に錠剤を供給するものであり、前記錠剤押出片部の待機位置は、前記錠剤押出片部の移動方向の上流側の基準待機位置と、当該基準待機位置よりも下流側に位置する変更待機位置を含むことがさらに好ましい。
【0033】
本発明の他の様相は、薬剤を包装及び/又は仕分ける分包装置と、前記分包装置に錠剤を供給するための薬棚装置を備えた薬剤分包ユニットであって、各種情報を表示するための表示装置を有し、前記容器取付部は、個別に前記錠剤容器が設置される個別設置部を複数有し、処方に関するデータに基づいて、指定期間に使用される可能性が高い錠剤及び当該錠剤を収納する前記錠剤容器を特定する使用錠剤予測動作を実行可能であり、前記表示装置は、推奨容器提示画面を表示可能であり、当該推奨容器提示画面は、前記容器取付部における前記錠剤容器の設置状況を示す設置状況表示部を少なくとも含むものであり、前記設置状況表示部では、前記容器取付部を模式的に示し、且つ、前記使用錠剤予測動作で特定された錠剤を収納する前記錠剤容器が設置されていない前記個別設置部が強調表示されることを特徴とする薬剤分包ユニットである。
【0034】
本様相によると、使用者による錠剤容器の交換作業を適切に実施可能であり、好ましい。
なお、ここでいう分包装置は、上記した薬剤包装装置であってもよい。
【0035】
上記した様相は、前記推奨容器提示画面は、前記使用錠剤予測動作で特定した錠剤をリスト表示する予定錠剤表示部をさらに含むものであり、且つ、前記設置状況表示部と前記予定錠剤表示部を同時に目視可能に表示する画面であり、前記予定錠剤表示部では、前記容器取付部に設置された前記錠剤容器に収容されていない錠剤が強調表示されることがさらに好ましい。
【発明の効果】
【0036】
本発明によると、薬剤包装のための動作及びそれに関する動作を効率よく実施可能な薬剤包装装置の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の実施形態にかかる薬剤包装装置を示す図であり、(a)は、本体部分の斜視図及び小蓋の一部を開状態とした際の周辺部分を別途拡大して示す図であって、(b)はノズル部を示す説明図である。
図2図1の薬剤包装装置に内蔵される散薬分割領域を示す平面図であり、一部を拡大すると共に拡大部分において分配皿を透過して示す。
図3図1の薬剤包装装置に内蔵される錠剤供給ユニットを示す斜視図であり、(a)は上方側からみた様子を示し、(b)は下方側からみた様子を示す。
図4図2の皿下清掃装置を示す斜視図である。
図5図4の吸引口形成部を示す分解斜視図である。
図6図2の皿上清掃装置を示す斜視図であり、(a)は吸引口が上方を向いた状態を示し、(b)は吸引口が下方を向いた状態を示す。
図7図6の先端ノズル部を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は下方側からみた平面図である。
図8図7(b)の先端ノズル部を示す断面図であり、(a)はA-A断面図、(b)はB-B断面図、(c)はC-C断面図である。
図9】(a)は図3の清掃機構本体を示す斜視図であり、(b)は、(a)の回転ブラシ本体を模式的に示す展開図である。
図10図2の皿下清掃装置のブラシ毛が分配皿に接触する様子を模式的に示す説明図である。
図11】(a)は、図2の皿上清掃装置が清掃時姿勢となった状態を示す説明図であり、(b)は、(a)の状態において堰止板部が散薬投入溝の上面と接触した状態を示す説明図である。
図12図11(a)の状態において、分配皿を回転しつつ実行する吸引動作を示す説明図である。
図13図3の掻出用清掃装置に掻出装置が入り込んだ様子を示す説明図である。
図14】上記した皿下清掃装置とは異なる実施形態に係る皿下清掃装置を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は分配皿の近傍に取り付けられた様子を示す説明図である。
図15図1の薬包体搬送装置を示す斜視図である。
図16図15の一次搬送部の要部を示す斜視図である。
図17図15の薬包体搬送装置を別方向からみた斜視図であり、二次搬送部の蓋部材を開いた状態とし、外郭部材の一部を省略して示す。
図18図16の一次搬送部で薬包体が搬送される様子を示す説明図であり、図16とは異なる方向からみた様子を示す。
図19図15の薬包体搬送装置で薬包体が搬送される様子を示す説明図であり、(a)は一次搬送部及び二次搬送部の一部で薬包体が搬送される様子を示し、(b)は一部の押さえローラの下側を薬包体の膨らみ部分が通過する様子を模式的に示す。
図20】一次搬送部と二次搬送部とが連なる部分において、薬包体が搬送される様子を示す説明図であり、薬包体の一部を透過して示す。
図21】二次搬送部の内部で薬包体が搬送される様子を模式的に示す説明図であり、(a)は一次搬送部側からみた状態を示し、(b)は(a)とは異なる方向からみた状態を示す。
図22図1で示される操作パネルで散薬の供給速度を変更する操作を実行する様子を示す説明図であり、(a)、(b)はそれぞれ異なる速度変更操作を示す。
図23図2の散薬供給装置と、その上側に配置されるホッパを示す斜視図であり、ホッパを透過して示す。
図24図23で示される散薬供給装置を示す斜視図であり、供給装置蓋部を開いた状態とし、供給用トラフを取り外した様子を示す。
図25図23で示される供給用トラフを示す斜視図であり、(a)は上方からみた様子を示し、(b)は下方からみた様子を示す。
図26】供給用トラフの掛止片部を掛止用孔に掛止する様子を示す図であり、(a)は掛止前、(b)は掛止後の状態を示す。
図27図26に続いて、供給用トラフをロック機構部によってロックする様子を示す説明図であり、(a)~(c)の順にロックしていく。
図28図23の散薬供給装置とホッパを示す断面図である。
図29図1の薬剤包装装置に錠剤カセット棚を取り付けた薬棚付包装装置を示す斜視図であり、薬剤包装装置を模式的且つ透過して示す。
図30図29の錠剤供給装置を示す斜視図である。
図31図30の片側錠剤受止部の内部機構を示す斜視図である。
図32図30の片側錠剤受止部の内部で回動板部が回動する様子を示す説明図であり、(a)は回動板部によって錠剤導入空間の下方側が閉塞された状態を示し、(b)は錠剤導入空間の下方側が開放された状態を示す。
図33】横搬送部を示す斜視図であり、上側前方に位置する壁状部分の一部を省略して示す。
図34】横搬送部の内部機構を示す斜視図である。
図35図30の落下経路形成部の内部構造及びその周辺を示す説明図であり、落下経路形成部の前方側に位置する壁状部分を省略して示す図であって、(a)、(b)はそれぞれ異なる方向からみた様子を示す。
図36】錠剤押出部の内部構造の要部を示す断面図である。
図37】錠剤押出部で錠剤を搬送する様子を示す説明図であり、(a)は、錠剤搬送装置が第1待機姿勢をとる様子を示し、(b)は(a)の状態から錠剤搬送装置全体が錠剤搬出口部側へ移動した様子を示し、(c)は(b)の状態から搬送体部のみが錠剤搬出口部側へ移動した様子を示す。
図38】(a)は、上側蓋部を開状態とすると共に錠剤供給ユニットを上側へ回動させた状態の薬包体搬送装置の上側部分を示す斜視図あって、(b)は、(a)の散薬遮蔽板部の周辺を示す説明図である。
図39図3とは異なる錠剤供給ユニットに取り付け可能な清掃装置ユニットを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
図40】(a)は薬剤導入口を形成するホッパ部材を裏面側からみた様子を示す斜視図であり、(b)は(a)のホッパ部材を載置板部に載置した様子を示す断面図である。
図41】(a)は図25とは異なる供給用トラフの一部を示す斜視図であり、(b)は、(a)の供給用トラフを受皿載置部に載置した様子を示す説明図である。
図42】裏側からみた図29の錠剤カセット棚の上側部分を一部透過させつつ模式的に示す説明図であり、(a)、(b)は、それぞれ錠剤押出片部が異なる位置で待機している様子を示す。
図43】推奨カセット提示画面を示す図である。
図44】対象情報調整画面を示す図である。
図45図1の薬剤包装装置で実行可能な清掃動作の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した例であり、本発明がこれらの例に限定されるものではない。また、前後、上下、左右の方向は、特に断りのない限り、図1の姿勢を基準に説明する。
本実施形態の薬剤包装装置1は、図1で示されるように、装置本体2と、操作表示部3(表示装置)とを備えている。
装置本体2は、図1で示されるように、筐体4と、筐体4の上側に回動自在に取り付けられた上側蓋部5を備えている。そして、筐体4の前方側のうちで側端寄りとなる部分に、手動清掃装置6が取り付けられている。また、装置本体2の上部には、操作パネル7が設けられている。
【0039】
操作表示部3は、所謂タッチパネルであり、液晶パネル等の表示装置と、タッチパッド等の位置入力装置を組み合わせて形成されたものであり、後述する各種動作を実行するための操作が可能なものである。なお筐体4は、各種動作を制御するための制御装置(図示しない)を内蔵している。
また、筐体4の上部には、散薬分割領域10(図2参照)が形成されており、その上方側に錠剤供給ユニット11(図3参照)が配されている。
【0040】
散薬分割領域10は、供給された散薬を1服用分ずつに分割するための部分である。具体的には、図2で示されるように、分配皿20と、散薬供給装置21と、掻出装置22と、皿下清掃装置23(下側清掃装置)と、皿上清掃装置24(上側清掃装置)と、薬剤導入口25とを備えた構造となっている。
散薬分割領域10には、2つの分配皿20が並列配置されており、それぞれの分配皿20に、それぞれ1つの散薬供給装置21、掻出装置22、皿上清掃装置24が対応付けられている。
そして分配皿20の周辺であり、2つの分配皿20の間となる部分に、下部の薬剤包装部(図示しない)に薬剤を供給するための薬剤導入口25が形成されている。また、薬剤導入口25と隣接する位置に皿下清掃装置23が設けられている。
【0041】
分配皿20は、円盤状の部材であって、その上面に円環状に連続する散薬投入溝20a(環状溝)が形成されている。
この分配皿20は、駆動モータ等の回転機構(図示しない)によって、所定のピッチで回転可能である。
散薬供給装置21は、投入された散薬を少しずつ散薬投入溝20aに供給するものである。
【0042】
掻出装置22は、図13で示されるように、アーム部材30と円盤状の掻寄板31を備え、掻寄板31の周縁部分には、ゴム又は樹脂製のシール材32が設けられている。
この掻出装置22は、アーム部材30を動作させることで、掻寄板31を上下に移動させることが可能となっており、掻寄板31が下方側に位置する配分時姿勢と、上方側に位置する待機時姿勢との間で姿勢変更が可能となっている。
配分時姿勢は、散薬を1服用分ずつに分割する動作(掻寄板31の周辺に1服用分の散薬を集める動作)や、1服用分の散薬を薬剤導入口25へ投入する動作の実施時にとる姿勢である。配分時姿勢では、掻寄板31の縁端部分が散薬投入溝20aに接触した状態となる。
【0043】
対して、待機時姿勢では、掻寄板31が散薬投入溝20aから上方に離れた位置に配される。待機時姿勢では、掻寄板31の一部が掻出用清掃装置43(詳しくは後述する)に下方側から挿入された状態となる。
本実施形態の薬剤包装装置1では、1服用分の散薬を薬剤導入口25へ投入する際、散薬投入溝20aに散薬が供給される状態で分配皿20を回転する。その後、掻出装置22が待機時姿勢から配分時姿勢へと移動し、分配皿20が分割数に応じた角度だけ回転することで、1服用分の散薬が掻寄板31の周辺に集められる。そして、掻寄板31が回転し、集められた散薬が薬剤導入口25に投入される。
【0044】
錠剤供給ユニット11は、図3で示されるように、錠剤手撒部40と、錠剤搬送路41を備えている。
錠剤手撒部40は、小蓋部分5aを跳ね上げて開状態としたとき外部に露出する(図1等参照)部分であり、錠剤投入用の孔が枡目状に配列されている。なお、錠剤手撒部40の上面は、後方側に向かうにつれて登り勾配となる傾斜面となっており、前方側からみたとき、すべての升目が視認可能となっている。
錠剤搬送路41(図3図30)は、錠剤手撒部40又は外部から供給された錠剤を薬剤導入口25(図2参照)へ投入するための部分となっている。
【0045】
錠剤供給ユニット11には、2つの掻出用清掃装置43が設けられている。一方の掻出用清掃装置43は錠剤搬送路41よりも左右方向における片側端部よりに位置し、他方が錠剤搬送路41よりも他方側端部よりに位置している。
【0046】
本実施形態の薬剤包装装置1は、手動清掃装置6(図1参照)と、皿下清掃装置23及び皿上清掃装置24(図2参照)と、掻出用清掃装置43(図3参照)からなる清掃装置群を備えた構造となっており、各部の清掃が可能となっている。これらはいずれも吸引装置(図示しない)に連結されている。そして、三方弁等の切換弁(図示しない)を切り替えることにより、各清掃装置と吸引装置との間の吸引経路が連通された状態となる。
【0047】
手動清掃装置6は、図1で示されるように、先端側に吸引口55aが形成されるノズル部55と、ホース部56を備えた構造となっている。
ノズル部55は、概形が略「F」字状となる部分であり、ノズル本体60と、把持部61を一体に形成した構造となっている。
【0048】
ノズル本体60は、円筒状の部分であり、先端に吸引口55aが形成され、後端側にホース部56と連結するための部分が形成されている。先端に吸引口55aの形状は円筒を斜めに切った様な形状となっている。ノズル本体60の内部は、使用時に吸引経路の一部を形成する。把持部61は、使用者が手で持つための部分である。
【0049】
皿下清掃装置23は、図4で示されるように、延設経路形成部65と、吸引口形成部66を備えており、これらが連結されて形成されている。
延設経路形成部65は、下方側が開放された略箱状の部材であり、前後方向に延びるものであって、長手方向の一端側となる前端側が二股に分かれた形状となっている。延設経路形成部65は散薬分割領域10の載置板部10aの上に設置されて下方側が閉塞され、内部空間70が空気流路を形成する。延設経路形成部65の内部空間70もまた、後端側の大部分で前後方向に沿って直線状に延びる部分と、前端側で左右に分岐して二股に分かれた部分とを有している。そして、二股に分かれた部分のそれぞれの前端側に、吸引口形成部66の内部空間83(詳しくは後述する)と連通する開口部が形成されている。
【0050】
吸引口形成部66は、図5で示されるように、形成部本体80に対してブラシ体81を取り付けて形成される部材である。
形成部本体80は、第1吸引口形成片80aと、形成片連結部80bと、第2吸引口形成片80cが一体に形成された部分であり、左右方向における一方端側からこの順に並列している。
ここで、第1吸引口形成片80aと第2吸引口形成片80cは、左右対称となる部材であるので、一方の第1吸引口形成片80aの形状についてのみ説明する。
【0051】
第1吸引口形成片80aは、上方が開放された有底箱状の部分であって、下端側に位置する底板部の上側には、略四角環状に連続する内周面によって側方を囲まれた内部空間83が形成されている。
そして、第1吸引口形成片80aの上端面は、左右方向における外側に向かって下り勾配となる傾斜面となっている。したがって、天面に形成される内部空間83の開口面(吸引開口部)もまた、左右方向における外側に向かって下り勾配となるように傾斜する面となっている。
【0052】
内部空間83の内壁面のうち、左右方向で離間対向するそれぞれの面には、内側へ向かって隆起したブラシ係合部84が形成されている。内部空間83の後方側に位置する立壁状部分には、この立壁状部分を厚さ方向に貫通する連結孔85が形成されている。
ブラシ係合部84は、側面視形状が略「凹」字状となる隆起部分であって、隆起部分の上面の一部に下方へ窪む嵌入部が形成されている。このため、この嵌入部にブラシ体81の下端側の一部を嵌入することで、ブラシ体81を支持することが可能となっている。
【0053】
延設経路形成部65と吸引口形成部66を連結孔85を介して連結した際(図4参照)、延設経路形成部65の内部空間と、吸引口形成部66の第1吸引口形成片80a、第2吸引口形成片80cのそれぞれの内部空間83が連通する。
ブラシ体81は、図5で示されるように、略直方体状の台座部81aの天面側に、ブラシ毛(ブラシ毛の毛束であり、接触体)を一体に取り付けて形成されるものである。ブラシ体81は形成部本体80に対して着脱可能であり、ブラシ体81のみを交換することができる。
【0054】
皿下清掃装置23は、図2で示されるように、散薬分割領域10の下端側に位置する平板状の載置板部10aの上に設けられている。
ここで、載置板部10aには、載置板部10aを上下方向に貫通し、吸引装置(図示しない)に連なる配管接続孔(図示しない)が形成されている。そのため吸引装置(図示しない)から、配管の内部空間と延設経路形成部65の内部空間70を経て、吸引口形成部66の内部空間83の開口部分まで延びる一連の空間(下側吸引経路)が形成される。
【0055】
皿上清掃装置24は、図2で示されるように、自由端側が分配皿20の散薬投入溝20aの上側に位置し、基端側は散薬投入溝20aの径方向内側にある。散薬投入溝20aの基端側は、化粧板部材96の内部に収納されている。
皿上清掃装置24は、図6で示されるように、先端ノズル部98と、先端ノズル部98を回動させるためのノズル回動装置100(回動機構部)と、これらを上下方向で並列した状態に支持する支持体部101を備えている。
ノズル回動装置100は、モータ100aと、モータ100aに一体に取り付けられたギア部100bを備えている。
【0056】
先端ノズル部98は、散薬投入溝20aを横切る方向(溝の延び方向と交わる方向)に延びており、散薬投入溝20aの径方向外側へ向かって突出している(図2参照)。先端ノズル部98の基端側となる部分には、図6で示されるように、筐体4内の吸引装置(図示しない)と連なる皿上側ホース部102が取り付けられている。先端ノズル部98は、突出方向に沿って延びる回転軸を中心に回動可能な構造となっている。
【0057】
詳細には、先端ノズル部98は、図7で示されるように、基端側から接続用筒部105と、基端側筒部106と、外歯車形成部107と、先端側中空体108を備えた構造となっている。さらに、先端ノズル部98のうち、清掃動作時において先端側中空体108の下方側となる位置に、堰止板部109と、吸引口形成板部110が設けられている。
なお、以下の先端ノズル部98の説明では、特に断りのない限り、清掃動作時の姿勢(図6(b)の姿勢であり、吸引時姿勢)を基準として説明する。
【0058】
先端側中空体108は、外歯車形成部107の前面からから先端側へ向かって突出するように形成された部分である。先端側中空体108は、内部に中空体内部空間114(図8参照)が形成されており、下方側(清掃動作時の下方側)で外部と連通している。
【0059】
堰止板部109は、図7(b)で示されるように、先端ノズル部98の下方側(清掃動作時の下方側)からさらに下側(外側)へ突出するように形成される壁状部分である。
堰止板部109は、ゴム等の弾性部材で形成されたヘラ状部109aと、ヘラ状部109aの上側部分(突出方向における基端側部分)に添え当てられた添板部109bを備えた構造となっている。このヘラ状部109aは、吸引口形成板部110よりも弾性係数が小さい部分となっている。
【0060】
ヘラ状部109aは、図7(b)のように、先端ノズル部98の先端側から順に、先端側部115、連結部116、基端側部117に区画されるものとなっている。
先端側部115は、その突出端面(図7(b)の下端面)に、突出方向外側(図7(b)の下側)へ向かって凸となるように湾曲する湾曲面が形成された部分である。湾曲面の曲率は、散薬投入溝20aの断面形状(周方向に垂直な面で切断した断面形状)の上面の曲率と略同一となっている。
連結部116の下端側には、窪み部分が形成されている。
【0061】
添板部109bは、先端ノズル部98の先端側(図7(b)の右側)に位置する部分の突出長さが、基端側(図7(b)の左側)に位置する部分の突出長さよりも長い。
堰止板部109を下方側(清掃時姿勢における下方側)から平面視すると、図7(c)で示されるように、ヘラ状部109aと添板部109bは、いずれも湾曲して延びる形状となっている。
すなわち、ヘラ状部109aと添板部109bを平面視すると、いずれも分配皿20の回転方向における下流側へ向かって凸となるように湾曲している。
【0062】
具体的には、ヘラ状部109aと添板部109bは、延び方向(先端側中空体108の長手方向)における中央側部分が、同方向の両端部のそれぞれよりも分配皿20の回転方向における下流側に位置するように湾曲している。
そしてヘラ状部109aのうち、分配皿20の回転方向における下流側に位置する面の一部と、添板部109bの同方向上流側に位置する面が密着した状態となっている。
【0063】
吸引口形成板部110は、図7(c)で示されるように、先端ノズル部98の先端側(図7(c)の左側)に位置する先端側部120と、基端側に位置する基端側部121に区分される。この吸引口形成板部110は、合成樹脂等の材料を原料とし、先端側中空体108と一体的に成形された部分である。そして、図7(b)で示されるように、先端ノズル部98の下方側(清掃動作時の下方側)で、さらに下側(外側)へ向かって突出するように延びている。吸引口形成板部110の各部は、分配皿20の回転方向で隣接する堰止板部109の各部よりも突出長さが短い。
また、先端側部120の下端側部分は、上端側部分よりも堰止板部109に近接している。
【0064】
吸引口形成板部110と堰止板部109は、先端ノズル部98の先端側(図7(c)の左側)に位置する端部同士が連続しており、開口端壁部125を形成している。
そして、この開口端壁部125よりも先端ノズル部98の基端側(図7(c)の右側)であり、堰止板部109と吸引口形成板部110の間の部分は、清掃動作時に吸引口として機能する吸引口部126となっている。
【0065】
吸引口部126は、図8で示されるように、先端側中空体108の長手方向の各部において間隔(幅)が比較的広い部分と、比較的狭い部分を有する形状となっている。
また、吸引口部126から中空体内部空間114へ至る部分もまた、断面積(先端ノズル部98の長手方向に垂直な面で切断した断面積)が比較的大きい部分と、比較的小さい部分とを有する形状となっている。
つまり、吸引口部126から中空体内部空間114へ至る部分は、先端側中空体108(先端ノズル部98)の長手方向における各部で、その形状が異なっている。そして、その一方で、いずれの部分においても上側部分が下側部分よりも断面積が大きくなっている。
【0066】
先端ノズル部98の内部には、吸引口部126から中空体内部空間114を経て、接続用筒部105、基端側筒部106のそれぞれ内側に位置する空間からなる一連の空間が形成されている。
この一連の空間は、皿上側ホース部102(図6参照)の内部空間と連結され、吸引装置(図示しない)まで延びる一連の空間(上側吸引経路)の一部を形成する。
【0067】
掻出用清掃装置43は、図3で示されるように、錠剤供給ユニット11の箱体に形成されて内外を連通する円盤挿入孔130(板挿入孔)と、箱体内部に位置する清掃機構本体131によって構成されている。
円盤挿入孔130は、錠剤供給ユニット11の箱体のうち、前側壁部11aと底壁部11bに跨る部分に開口を有する孔となっている。
【0068】
ここで、前側壁部11aに形成された円盤挿入孔130の開口の奥側には、内側仕切壁部133が形成されている。この内側仕切壁部133は、前側壁部11aに形成された円盤挿入孔130の開口のうち、左右方向における内側端部と連続しており、奥側に向かうにつれて左右方向外側へ延びる立壁状の部分となっている。
【0069】
円盤挿入孔130の前側壁部11aに形成された開口よりも奥側であり、内側仕切壁部133と隣接する位置は、掻出装置22の掻寄板31(図13参照)が挿入される板収納領域134となっている。
そして、板収納領域134の奥側となる部分に、清掃機構本体131が位置した状態となっている。
【0070】
清掃機構本体131は、図9(a)で示されるように、モータ137と、このモータ137に一体に取り付けられたモータ連結ギア138と、回転ブラシ部139とを備えている。そして駆動源となるモータ137が回転することにより、モータ連結ギア138が回転し、それに伴って回転ブラシ部139が回転する。
回転ブラシ部139は、ギア部140と、回転ブラシ本体141(回転体)を備えており、ギア部140がモータ連結ギア138と噛合した状態となっている。
【0071】
回転ブラシ本体141は、略円柱状の本体部の側面の一部にブラシ毛(ブラシ毛の毛束)を一体に取り付けて形成される部分である。この回転ブラシ本体141は、ギア部140の一方の主面から、当該主面と略垂直となる方向であって外側へ向かう方向に突出している。
なお、回転ブラシ本体141に取り付けるブラシ毛もまた、弾性剛毛であるブラシ毛を複数密集させて毛束(ブラシ)を形成し、複数の毛束をそれぞれ異なる位置に取り付けている。そして、この複数の毛束によって、清掃動作時に掻寄板31と接触する掻出用接触体が形成される。また、作図の都合上、それぞれの毛束を円柱状に表している。
【0072】
図9(b)で示されるように、回転ブラシ本体141の側面を展開したとき、連続する一つの領域(図中の太線内の領域)であり、その面積が全面積の30パーセント程度となる領域内にのみブラシ毛(毛束)を取り付けている。
回転ブラシ本体141は、側面を展開したとき、一の領域と他の領域からなる2つの領域に区画されるものであり、そのうちの一の領域がブラシ毛を取り付けるための領域であって、他の領域がブラシ毛を取り付けないものとなっている。
なお、ブラシ毛の取り付け対象となる領域の面積は、全面積を基準として、0パーセントよりも大きく、50パーセント以下とすることが、動作時にブラシ毛を飛び散らせないという観点から好ましい。
変形例として、一部の密にブラシ毛を設け、他の部位には極わずかにブラシ毛を設ける構成もある。
【0073】
本実施形態の薬剤包装装置1は、上記した清掃装置群を構成する各装置(手動清掃装置6、皿下清掃装置23、皿上清掃装置24、掻出用清掃装置43)をそれぞれ稼働させることで、第1清掃動作乃至第4清掃動作の実行が可能となっている。
以下、第1清掃動作乃至第4清掃動作について詳細に説明する。
【0074】
第1清掃動作は、手動清掃装置6を稼働させて実行する清掃動作である。
第1清掃動作では、使用者が操作表示部3等を操作することにより、上記した三方弁等の切り替え動作等が必要に応じて実施される。第1清掃動作では、使用者が手動清掃装置6のノズル部55(図1等参照)を把持し、吸引口55aを清掃対象となる部分に近接又は接触させることにより清掃を行う。
【0075】
第2清掃動作は、皿下清掃装置23が稼働して実行される清掃動作であり、第3清掃動作は、皿上清掃装置24が稼働して実行される清掃動作である。
これらの清掃動作は、予め設定した条件に基づいて自動的に実行することが可能である。例えば、分包動作のうち、特定の散薬を包装する場合にのみ、分包動作の実施前(又は実施後)に自動で実施するという運用が可能である。また、散薬の種類を問わず、分包動作が実施される毎に、その実施前や実施後に自動で実施するという運用も可能である。
さらに、使用者による操作表示部3の操作が行われたことを条件として、清掃を開始することも可能である。
【0076】
第2清掃動作が開始されると、吸引装置(図示しない)と、皿下清掃装置23の間に吸引経路が形成される。
そして複数(2つ)の分配皿20のうち、少なくとも一方の分配皿20を回転させる動作を実施し、皿下清掃装置23で吸引動作を実施する。
ここで、皿下清掃装置23のブラシ体81に取り付けられたブラシ毛(毛束)は、図10で示されるように、下方から上方へ突出するように取り付けられている。
このことから、皿下清掃装置23の吸引口形成片(第1吸引口形成片80a、第2吸引口形成片80c)を分配皿20の下方に配することで、分配皿20の下面にブラシ毛の少なくとも一部が変形した状態で接触する。
【0077】
ブラシ毛は、分配皿20の下面のうちで径方向の外側端部近傍となる位置に接触するものであり、その一部が分配皿20に下方側から接触した状態となる。詳細には、分配皿20の下面のうち、径方向の外側端部近傍に形成される曲面部分であり、径方向の外側に向かうにつれて高さの高くなる曲面部分に接触した状態となる。
また、他の一部が、径方向の外側縁端部分に側方側から接触した状態となる。この状態で、分配皿20を回転させつつ、皿下清掃装置23で吸引動作を実行する。
【0078】
第3清掃動作が開始されると、吸引装置(図示しない)と皿上清掃装置24の間に吸引経路が形成される。
その一方で、皿上清掃装置24は、吸引口部126の開口が上方を向いた待機時姿勢(吸引口が下方以外を向いた姿勢、図6(a)参照)から、下方を向いた吸引時姿勢(図6(b)参照)へ移行する。すなわち先端ノズル部98が回転し、堰止板部109が吸引口形成板部110と共に回転する。
【0079】
姿勢変更の際には、堰止板部109が吸引口形成板部110と共に回転する。先端ノズル部98の回転は、先端ノズル部98の突出方向を回転軸とし、回転軸回りの一方向を回転方向とする。そして、この回転方向は、回転軸の周方向で並列配置される堰止板部109、吸引口形成板部110のうち、吸引口形成板部110側が先行側となり、堰止板部109が後続側となる方向となっている。
【0080】
清掃時姿勢に移行すると、図11で示されるように、堰止板部109の下端部分(突出端部分)が散薬投入溝20aの上面と接触した状態となる。
ここで、本実施形態では、上記したように先端ノズル部98を回転させることで、吸引時姿勢に移行させる構造となっている。このような構造によると、堰止板部109の下面と散薬投入溝20aの上面の間に散薬が入り込み難いという利点がある。
【0081】
ここで、仮に堰止板部109を上方から鉛直下方へ下降させ、散薬投入溝20aの上面と接触させる場合について考える。この場合、散薬投入溝20aの上面に残存する微量な散薬や塵等(以下、単に塵等とも称す)の上方から堰止板部109の下面が下降していき、そのまま散薬投入溝20aの上面と接触する。このため、塵等が堰止板部109と散薬投入溝20aの上面の間で挟まれた状態となってしまう。
これに対し、本実施形態では、堰止板部109は、先端ノズル部98と共に回転するため、分配皿20の回転方向における下流側から、清掃時姿勢に配される位置に向かって移動していく。このとき、堰止板部109の一部は、散薬投入溝20aの上面と接触した状態を維持しつつ、清掃時姿勢に配される位置まで移動することとなる。
このように、堰止板部109が上下方向成分だけでなく、散薬投入溝20aの周方向成分も含む方向に移動することで、堰止板部109の下面との間に塵等が入り込みにくくしている。
【0082】
そして吸引時姿勢では、散薬投入溝20aに、堰止板部109の先端側部115が嵌り込んだ状態となる。そのため先端側部115の下端側に形成される湾曲面が散薬投入溝20aと密着した状態となる。
その一方で、散薬投入溝20aのうち、径方向内側に位置する縁端部分の一部及びその近傍が、連結部116の下端側に形成される窪み部分に入り込んだ状態となる。
【0083】
なお、散薬投入溝20aは、平面視で円環状に延びる窪み部分となっており、周方向に垂直となる断面で切断した断面形状は、下方へ向かって丸みを帯びて凸となるように窪んだ形状となっている。すなわち、径方向外側に位置する縁端端部と、径方向内側に位置する縁端端部とが高位置に配され、その間に窪みが形成された状態となっている。そして、径方向の内外にそれぞれ位置する散薬投入溝20aの縁端部分は、いずれも平面視で円環状に連続するものとなっている。
したがって、連結部116の下端側に形成される窪み部分には、散薬投入溝20aの径方向における内側であって比較的高位置に位置する部分であり、且つ、円環状に連続する部分が入り込んだ状態となる。
【0084】
皿上清掃装置24が吸引時姿勢へ移行した後、分配皿20を回転させる動作を実施する。このとき、分配皿20の回転方向は、掻出装置22が上流側となり、皿上清掃装置24が下流側となる方向(図11(a)の矢印で示される方向)となっている。したがって、清掃時姿勢の堰止板部109は、吸引口形成板部110よりも分配皿20の回転方向における下流側に位置した状態となっている(図11(b)参照)。
【0085】
そして図12で示されるように、清掃時姿勢では、吸引口形成板部110の下端が堰止板部109の下端よりも高位置に位置し、散薬投入溝20aの上面と接触しない状態となっている。そのため散薬投入溝20aの上面に溜まった塵等は、分配皿20の回転に伴って、堰止板部109の上流側(分配皿20の回転方向の上流側)に集められる。また、これと同時に、吸引口部126から先端側中空体108の内部に吸引されていく。
【0086】
そして、本実施形態の第3清掃動作では、皿上清掃装置24を待機時姿勢から吸引時姿勢へ移行させ(第1動作)、分配皿20を1周以上回転させつつ吸引動作を実行する(第2動作)。続いて、皿上清掃装置24を一時的に待機時姿勢へ移行させ(第3動作)、分配皿20を所定角度だけ回転させる(第4動作)。さらに、皿上清掃装置24を再び吸引時姿勢へ移行させ、分配皿20を所定角度で回転させつつ吸引動作を実行し(第5動作)、その後、皿上清掃装置24を待機時姿勢へ移行させる。このように第3清掃動作は、これら一連の動作を順次実行していく動作となっている。
【0087】
本実施形態の第3清掃動作では、一連の動作のそれぞれで分配皿20を回転させる際、いずれも分配皿20を同方向へ回転させている。すなわち、一連の動作において、分配皿20が逆回転しないものとなっている。本構成によると、清掃時において、集めた塵等をなるべく散らばらせないという観点から好ましい。
【0088】
第4清掃動作は、掻出用清掃装置43(図3参照)を使用して行われる清掃動作である。第4清掃動作も設定した条件に基づいて自動的に実行することが可能である。第4清掃動作は、他の清掃動作の実施時に並行して実施してもよく、単独で実施してもよい。
【0089】
本実施形態では、掻出装置22は、散薬の分配動作を実施しない状態では、掻寄板31が上方へ位置する待機時姿勢をとっている。そして、待機時姿勢をとることで、掻寄板31の一部が錠剤供給ユニット11側の円盤挿入孔130に挿入された状態となっている(図13参照)。
第4清掃動作は、この状態で実施される動作であり、掻寄板31と清掃機構本体131の回転ブラシ本体141(図9図13参照)の双方を回転させる動作となっている。
【0090】
具体的に説明すると、清掃動作時において、回転ブラシ本体141は、その延び方向が掻寄板31の厚さ方向と同方向となるように配置された状態となっている。そして、回転ブラシ本体141は、掻寄板31の2つの主面の間に位置する側面(周方向に連続する側面)から外側に離れた位置に配された状態となっている。
ここで、上記したように、回転ブラシ本体141の側面の一部には、外側へ突出するようにブラシ毛(毛束)が取り付けられている。そのため、回転ブラシ本体141を回転させると、ブラシ毛は、掻寄板31に近接するときに掻寄板31と接触し、掻寄板31から離れた位置になるときには、掻寄板31と接触しないこととなる。言い換えると、ブラシ毛が間欠的に掻寄板31と接触する動作となっている。
【0091】
ここで、清掃時における掻寄板31、清掃機構本体131の回転方向は、同方向であってもよく、逆方向であってもよい。すなわち、平面視(視線方向を回転ブラシ本体141の延び方向とした平面視)においても、双方が時計回りに回転してもよく、双方が反時計回りに回転してもよい。また、その一方で、掻寄板31と清掃機構本体131の一方が時計回りに回転し、他方が反時計回りに回転してもよい。
【0092】
また、この第4清掃動作では、掻寄板31を回転させない状態で、回転ブラシ本体141を回転させる清掃動作を実施してもよい。この場合、回転ブラシ本体141を回転させた後に回転停止させ、その状態で掻寄板31を周方向に回転させ、再び、掻寄板31を回転させない状態で回転ブラシ本体141を回転する動作を実施してもよい。すなわち、掻寄板31の清掃対象位置を変更しつつ、清掃する動作を実施してもよい。
【0093】
上記した実施形態では、第2動作と第4動作において、分配皿20を同方向へ回転させる例を示したが、第2動作と第4動作は、このような動作に限るものではない。分配皿20を逆方向へ回転させる機構を設け、第4動作では、第2動作とは逆の方向に分配皿20を回転させてもよい。
具体的に説明すると、第2動作を実施した際、堰止板部109と分配皿20の間に、分配皿20の径方向に沿って線状に微細な散薬が残存してしまう可能性が考えられる。
そこで、第3動作の後、第2動作とは逆方向に分配皿20を回転させる第4動作を実施し、再び吸引時姿勢へ移行させてもよい。そして、再度吸引時姿勢に移行させて堰止板部109を分配皿20の上面に接触させた状態とする際、第2動作の終了時とは異なる位置に接触させ、第5動作を実施してもよい。
【0094】
上記した実施形態では、皿上清掃装置24で清掃動作を実施する際、待機時姿勢から吸引時姿勢へ移行させ、吸引動作を実行する例について説明した。しかしながら、皿上清掃装置24によって実行される清掃動作は、これに限るものではない。
例えば、皿上清掃装置24が待機姿勢のまま吸引動作を実施する清掃動作を実行してもよい。ここで、上側蓋部5を閉じた状態とすると、散薬分割領域10の上側に、上側蓋部5と散薬分割領域10によって囲まれた空間が形成される。そして、何らかの理由により(何らかの動作の結果)、この空間に分包動作時に分配皿20に対して供給する散薬が舞い上がってしまう可能性がある。すなわち、この清掃動作は、散薬分割領域10の上側の空間に漂う散薬を吸引する清掃動作である。
【0095】
また、上記した第3清掃動作では、皿上清掃装置24を待機時姿勢から吸引時姿勢へ移行させる第1動作と、分配皿20を1周以上回転させつつ吸引動作を実行する第2動作を実施した。しかしながら、第1動作と第2動作で実行する各動作、すなわち、皿上清掃装置24を待機時姿勢から吸引時姿勢へ移行させる動作と、分配皿20を回転させる動作と、吸引動作を実行する動作は、必ずしもこの順で実施しなくてもよい。
例えば、先行して皿上清掃装置24で吸引動作を実施し、その後に、皿上清掃装置24を吸引時姿勢へ移行させる動作を実施してもよい。このとき、分配皿20は、吸引動作の実施前に回転させてもよく、吸引動作を実施した後であり、吸引時姿勢へ移行させる動作の前に回転させてもよく、吸引時姿勢へ移行後に回転させてもよい。つまり、これらの3つの動作を実施する順番は適宜変更してもよく、いずれの動作を最初に実施してもよく、残る2つの動作のうちのいずれを2番目に実施してもよい。
なお、第2動作における分配皿20の回転数は、適宜変更してよく、例えば、1周のみ回転させる場合や、2周、3周のような複数周回転させる他、半周だけ回転させたり、1周の3分の1だけ回転させたりしてもよい。すなわち、一周以下の回転であってもよく、所定量だけ回転させればよい。同様に、1周よりも回転量を大きくする場合も、1周半回転させたり、2周と1周の3分の2だけ回転させるといった具合に、n周回転させる動作を実施する場合にnは整数に限らない。
【0096】
また、上記した第3清掃動作(皿上清掃装置24による分配皿20の清掃動作)は、皿上清掃装置24を待機時姿勢とした状態から、第4動作と第5動作を実施する動作でもよい。つまり、皿上清掃装置24を待機時姿勢とした状態において、分配皿20を所定角度だけ回転させる動作(第4動作)を実施した後、皿上清掃装置24を吸引時姿勢へ移行させ、分配皿20を所定角度で回転させつつ吸引動作を実行する動作でもよい。
なお、このとき、第4動作と第5動作のそれぞれにおいて、分配皿20を回転させる方向は同方向となっている。つまり、第4動作において、分配皿20を平面視で時計回りに回転させた場合には、第5動作でも分配皿20を平面視で時計回りに回転させる。反対に、第4動作において、分配皿20を平面視で反時計回りに回転させた場合は、第5動作でも分配皿20を平面視で反時計回りとなるように回転させる。
【0097】
上記した皿下清掃装置23は、2つの分配皿20の間に配し、清掃動作(第2清掃動作)時に吸引動作を実施するものとしたが、本発明の下側清掃装置はこれに限るものではない。例えば、図14で示されるような皿下清掃装置145(下側清掃装置)であってもよい。
皿下清掃装置145は、図14(a)で示されるように、飛散防止板146と、散薬受皿部材147とが一体に固定されて形成される部材となっている。
【0098】
飛散防止板146は、湾曲して延びる立板状の部材であり、詳細には、取り付け時(図14(b))において、分配皿20の径方向外側へ向かって凸となるように湾曲しつつ延びている。なお、このとき、飛散防止板146を分配皿20の外周部分に沿うように形成することが好ましい。すなわち、湾曲部分の曲率と、分配皿20の外周部分の曲率が同程度となることが好ましい。
散薬受皿部材147は、底板部分と側壁部分を有しており、これらに囲繞された空間である受止用空間148を形成する。つまり、散薬受皿部材147は、有底箱状の部材であり、受止用空間148は、上方が開放され、下方へ向かって窪んだ空間となっている。散薬受皿部材147の底板部分は、下方へ向かって凸となるように湾曲しており、その上面が凹面となっている。
【0099】
この散薬受皿部材147は、飛散防止板146の下端部分と隣接する位置に形成され、図14(b)のように分配皿20側に隣接する位置に配される。
また、受止用空間148には、ブラシ体81が取り付けられており、ブラシ毛(毛束)が上方へ突出した状態となっている。すなわち、散薬受皿部材147の底板部分の上方に、ブラシ体81が取り付けられている。
【0100】
この皿下清掃装置145は、図14(b)で示されるように、分配皿20の径方向外側端部に近接する位置に取り付けられる。
このとき分配皿20の下面の下方側に散薬受皿部材147の大部分が位置した状態となっている。このことから、ブラシ体81のブラシ毛(毛束)が分配皿20の下面に下方側から接触する。
さらに、飛散防止板146が分配皿20の周方向に沿って延びた状態となっており、飛散防止板146の内側面(分配皿20側の面)と、分配皿20の縁端部分が僅かに間隔を空けて近接配置されている。
また、飛散防止板146と分配皿20の縁端部分の間に形成される空間の下方側にもまた、散薬受皿部材147の一部が位置した状態となっている。
【0101】
また、皿下清掃装置145は、散薬供給装置21の供給口部282(詳しくは後述する)と近接する位置に取り付けることが好ましい。すなわち、飛散防止板146の一部分の内側に供給口部282が位置するように取り付けることが好ましい。
ここで、皿下清掃装置145は、永久磁石によって形成される磁石部材(図示しない)を備えており、この磁石部材を介して載置板部10a(図2参照)に取り付け可能となっている。このため、皿下清掃装置145は、載置板部10aに対する着脱と、取り付け位置の調整が容易に可能となっている。
【0102】
この皿下清掃装置145による第2清掃動作は、分配皿20の下面にブラシ毛を接触させた状態で分配皿20を回転することで実施する清掃動作である。
したがって、分配皿20を回転させる各種動作、すなわち、散薬を1服用分ずつに分割する動作や、散薬を薬剤導入口25に供給する動作を実行中に並行して清掃動作を実施可能となっている。また、この第2清掃動作は、上記した皿上清掃装置24による清掃動作(第3清掃動作)と並行して実施可能となっている。
【0103】
上記した実施形態では、接触体として複数の毛束(ブラシ毛)を採用した例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、接触体として、強化スポンジのような発泡体を採用する例が考えられる。また、フェルト、不織布等を採用してもよい。
しかしながら、長期使用時の耐久性や、コスト面、散薬を効率よく除去するといった観点から、接触体をブラシ毛で形成することが好ましい。
【0104】
薬包体搬送装置13は、図1図15で示されるように、薬包体14(図18等参照)を取出容器15まで搬送するための搬送経路を形成するものである。この薬包体搬送装置13は、大別して上流側に位置する一次搬送部160と、下流側に位置する二次搬送部161を備えている。また、取出容器15は装置手前方向に回動可能に設けられている。
【0105】
一次搬送部160は、外郭部材160aの内側に各種部材を配して形成されるものである。一次搬送部160は、図16で示されるように、第1搬送コンベア165(コンベア部)、第2搬送コンベア166(コンベア部)と、押さえローラ部167と、搬送ガイド部168を主要な部材として備えた構造となっている。
【0106】
第1搬送コンベア165は、図16のように第1ローラ165a、第2ローラ165bからなる2つのコンベア用ローラにベルト部材(搬送面形成部材)を巻架して形成されるベルトコンベアであり、斜め下方へ向かう搬送経路を形成している。
すなわち、薬包体搬送装置13の薬包体14の導入口となる部分(図15図16の右端側)から二次搬送部161へ向かう搬送経路を形成している。
【0107】
第2搬送コンベア166は、第1搬送コンベア165の下流側に位置するベルトコンベアである。この第2搬送コンベア166は、図16のように第1ローラ166a、第2ローラ166bからなる2つのコンベア用ローラにベルト部材(搬送面形成部材)を巻架して形成されるベルトコンベアであり、緩やかに斜め上方へ向かう搬送径路を形成している。第2搬送コンベア166は、第1搬送コンベア165側から二次搬送部161に向かう搬送経路を形成している。符番169はテンションローラである。
【0108】
押さえローラ部167は、図16で示されるように、取付用アーム部173と、動力供給用プーリ174と、複数のローラを連結して形成される連結ローラ部175とを備えた構造となっている。
【0109】
取付用アーム部173は、長尺板状の部材であり、延び方向の一端側が外郭部材160a(図15参照)に対して回動自在に取り付けられ、他端側が連結ローラ部175の一部に対して取り付けられている。
より詳細には、取付用アーム部173の延び方向の一端側は、取付用アーム部173の厚さ方向に延びる軸を回転軸として回動させることで、取付用アーム部173の延び方向の他端側が上下方向へ移動可能な構造となっている。
このことにより、取付用アーム部173の延び方向の他端側と連結する連結ローラ部175もまた、自然状態(外力が加わらない状態)から上方側へ回動可能であり、上方側へ回動した状態から下方側への回動が可能となっている。
【0110】
ただし取付用アーム部173の一端側には、回動規制部177が形成されており、取付用アーム部173の一定以上の回動は制限される。
すなわち、取付用アーム部173の他端側を自然状態における配置位置から上方へ回動させていくと、取付用アーム部173の一端側の一部が回動規制部177に当接し、それ以上の回動が阻止される。
【0111】
連結ローラ部175は、複数(本実施形態では3つ)のローラを連結して形成される部分である。連結ローラ部175は、第1押さえローラ180(押さえローラ)、第2押さえローラ181(押さえローラ)、第3押さえローラ182(押さえローラ)を備えた構造となっている。そして、複数のローラを連結するための第1連結アーム185、第2連結アーム186を備えている。
【0112】
第1押さえローラ180は、2つのローラ本体部が直列状に配されたものであり、2つのローラ本体部の一方が他方よりも径が大きくなっている。
この第1押さえローラ180に属する2つのローラ本体部は、いずれも発泡樹脂等の弾性変形可能な部材で形成された部材である。以下の第2押さえローラ181、第3押さえローラ182に属するローラ本体部も同様である。
第1押さえローラ180は、動力供給用プーリ174に一体に取り付けられており、動力供給用プーリ174の回転に伴って、第1押さえローラ180のローラ本体部が回転する。
【0113】
第2押さえローラ181、第3押さえローラ182もまた、2つのローラ本体部が直列状に配されたものである。2つのローラ本体部の径は同じである。
【0114】
ここで、第1押さえローラ180と第2押さえローラ181は、第1連結アーム185を介して連結されており、第1押さえローラ180と第2押さえローラ181のうちの一方を他方に対して上方へ移動させることが可能となっている。そのため第1押さえローラ180と第2押さえローラ181とは、それぞれがローラ本体部を回転させた状態を維持しつつ、互いに上下方向に回動自在な状態となっている。
同様に、第2押さえローラ181と第3押さえローラ182は、第2連結アーム186を介して連結されており、それぞれがローラ本体部を回転させた状態を維持しつつ、互いに上下方向に回動自在な状態となっている。
【0115】
また、第1押さえローラ180、第2押さえローラ181、第3押さえローラ182のそれぞれには、ベルト部材を巻架可能なベルト巻架部(詳細な図示を省略する)が設けられている。そして、第1押さえローラ180と第2押さえローラ181のそれぞれのベルト巻架部に一のベルト部材が巻架され、第2押さえローラ181と第3押さえローラ182のそれぞれのベルト巻架部に他のベルト部材が巻架されている。
すなわち、第1押さえローラ180と第2押さえローラ181とは互いに動力を伝達可能に連結されており、第2押さえローラ181と第3押さえローラ182もまた、互いに動力を伝達可能に連結されている。
このことから、動力供給用プーリ174の回転に伴って、第1押さえローラ180に属するローラ本体部が回転するとき、第2押さえローラ181、第3押さえローラ182に属するローラ本体部もまた回転する構造となっている。
【0116】
搬送ガイド部168は、図16図17で示されるように、第2搬送コンベア166の下流端近傍に配されており、搬送方向における下流側に向かうにつれて高さが高くなる傾斜面を有する部材となっている。そして、この傾斜面が搬送面の一部を形成するものとなっている。
また、この傾斜面には、上端近傍の一部を欠落させた欠落部171が形成されており、この欠落部171に縦搬送用ベルト部材218(詳しくは後述する)の一部が配された状態となっている。
【0117】
二次搬送部161は、縦方向に延びる搬送経路を形成する部材であり、図17で示されるように、本体部材210(本体部)と、本体部材210に対して回動可能に取り付けられた蓋部材211(蓋部)を備えた構造となっている。
二次搬送部161では、搬送経路の幅方向における一端側において、蓋部材211が本体部材210に回動可能に連結され、蓋部材211の他端側を本体部材210に対して近接離反することで、開状態と閉状態との切り替えが可能となっている。
【0118】
本体部材210は、略垂直姿勢に配された搬送面形成部162と、本体側挟持部215(挟持部)を有している。搬送面形成部162は、金属性の帯であり、薬包体14との摩擦を軽減するものである。
本体側挟持部215(挟持部)は、搬送面形成部162の幅方向における端部近傍となる位置にある。
本体側挟持部215は、上方側プーリ216と、下方側プーリ217とを有している。二つのプーリ216,217は、いずれも2連プーリであり、ベルトを懸架する溝が2条設けられており、それぞれに縦搬送用ベルト部材218が懸架されている。
縦搬送用ベルト部材218は、断面形状が円形の丸ベルトである。縦搬送用ベルト部材218の形状は任意であり、四角形、三角形、Vベルト等のいずれであってもよい。いずれにしても縦搬送用ベルト部材218は、幅の狭いベルトである。
【0119】
蓋部材211には、搬送径路の幅方向における端部近傍となる位置に、蓋側挟持部220(挟持部)が形成されている。この蓋側挟持部220は、上記した本体側挟持部215と対となる部分であり、本体側挟持部215と共に挟持部を形成する部分である。
この蓋側挟持部220は、上下方向に延びる所定の領域に、複数のローラ部材220a(挟持用ローラ)を取り付けて形成される部分となっている。
複数のローラ部材220aは、いずれも空転ローラであり、上下方向で間隔を空けて並列するように配置されている。ローラ部材220aの軸部の延び方向は、いずれも搬送径路の幅方向の延び方向と同方向となっている。ローラ本体は、ゴム等の適宜な弾性部材で形成されるものとなっている。すなわち、弾性変形可能であるが、上記した連結ローラ部175に属する各ローラ本体部よりも変形し難い部材で形成されている。
【0120】
そして、蓋部材211を閉じた状態とすることで、蓋側挟持部220の各ローラ部材220aが、縦搬送用ベルト部材218と接触した状態となる。
ここで、薬包体搬送装置13は、図16で示されるように、動力源たるモータ225(動力生成手段)を備え、ひとつのモータ225によって全ての駆動部分が駆動される。
すなわちモータ225から供給される動力により、一次搬送部160の第1搬送コンベア165、第2搬送コンベア166、押さえローラ部167に属する各ローラと、二次搬送部161の縦搬送用ベルト部材218が回転駆動するものとなっている。
【0121】
具体的に説明すると、モータ225が回転することで、モータ連結ギア228が回転し、モータ連結ギア228と噛合する連動ギア229が回転する。
この連動ギア229は、二次搬送部161の下方側プーリ217、第2搬送コンベア166の第2ローラ166bと一体に取り付けられた状態となっている。そのため連動ギア229の回転に伴って第2ローラ166bが回転し、第2搬送コンベア166が稼働する。また下方側プーリ217が回転し、下方側プーリ217と上方側プーリ216の間で縦搬送用ベルト部材218が走行する(図17参照)。
【0122】
そして、第2搬送コンベア166が稼働すると、第2搬送コンベア166の第1ローラ166aが回転する。このことから、第1ローラ166aと一体に取り付けられ、同一の回転軸で回転可能な第1連動用プーリ230(図17)もまた回転する。すると、第1連動用プーリ230とベルト部材を介して連結された第2連動用プーリ231に動力が伝達され、第2連動用プーリ231が回転することとなる。
このとき、第2連動用プーリ231は、上記した第1搬送コンベア165の第2ローラ165bと同一の回転軸で回転可能な状態で一体に取り付けられている。このことから、第2連動用プーリ231の回転に伴って第2ローラ165bが回転し、第1搬送コンベア165が稼働する。
【0123】
第2連動用プーリ231から所定距離だけ離れた位置には、ベルト支持用プーリ232が形成されている。そして、ベルト支持用プーリ232は第2連動用プーリ231とベルト部材163を介して連結されている。そして、第2連動用プーリ231とベルト支持用プーリ232の間で走行するベルト部材のうち、上方に位置する部分の一部が、動力供給用プーリ174の側面に形成された溝部分に嵌った状態となり、動力供給用プーリ174と係合している。
このベルト部材によって動力供給用プーリ174が回転する。そして、動力供給用プーリ174の回転に伴って、連結ローラ部175に属する各ローラ本体部が回転する。
【0124】
本実施形態の薬包体搬送装置13は、薬包体14の搬送時に内部の錠剤を破損させ難くすることが可能である。また、また、搬送時における薬包体14の表面でのしわの発生や、薬包体14のつまりの発生を抑制可能なものとなっている。
まず、搬送対象物である薬包体14について説明する。
本実施形態の薬剤包装装置1では、薬剤導入口25(図2参照)に投入された薬剤(錠剤及び/又は散薬)を1服用分ずつ包装し、これが帯状に繋がった薬包体14(図18参照)を形成し、薬包体搬送装置13へ供給可能な構造となっている。
形成された薬包体14は、図18で示されるように、1服用分ずつの薬剤を収納するための内部空間が形成される袋状の収納領域52と、薬剤が収納されない部分である非収納領域53に区画されている。
【0125】
非収納領域53は、収納領域52の周辺を熱融着等の手段でシールすることで形成される部分であり、薬包体14の短手方向に延びる横シール部53aと、長手方向に沿って延びる縦シール部53bを有する構造となっている。具体的には、一列の縦シール部53bと、複数の横シール部53aを備えた構造となっている。
薬包体搬送装置13に導入された薬包体14は、図18で示されるように、その少なくとも一部が第1搬送コンベア165のベルト部材(搬送面)上に配された状態となり、そのまま下流側へと搬送されていく。
そして、先行して薬包体搬送装置13に導入された部分から順次、第2搬送コンベア166のベルト部材(搬送面)上へ移動していく。
【0126】
このとき、図19で示されるように、第1搬送コンベア165の下流側部分では、薬包体14に対し、第1押さえローラ180の下側部分が上方から接触する。さらに、第2搬送コンベア166の下流側に位置する部分では、搬送方向で離れたそれぞれの位置において、第2押さえローラ181と、第3押さえローラ182が、それぞれ上側から薬包体14に接触した状態となっている。
【0127】
ここで、第1押さえローラ180、第2押さえローラ181と、第3押さえローラ182は、上記したように、各コンベア(第1搬送コンベア165、第2搬送コンベア166)と共に同一(又は略同一)の速度で回転する構造となっている。すなわち、押さえローラは、薬包体14を下方側へ押さえるだけでなく、薬包体14に搬送方向下流側へ向かう力を付与するものとなっている。
このことから、連結ローラ部175に属する押さえローラを空転させる構造と比べ、搬送する薬包体14にしわが寄り難い構造となっている。
【0128】
具体的に説明すると、本実施形態の薬剤包装装置1は、上記したように、散薬だけでなく錠剤を包装することが可能となっている。
そして、薬包体14は、上記したように、薬剤が収納される収納領域52と、薬剤が収納されない部分である非収納領域53に区画されるものとなっている。そして、一の収納領域52に複数の錠剤が収納されると、その重なりかたによっては、収納領域52に膨らみ部分が形成されてしまう可能性がある(図19(b)参照)。
【0129】
そして、押さえ用の各ローラを空転させる構造とすると、薬包体14の膨らみ部分に引っかかる等の理由により、ローラが通常通りに回転しない場合が考えられる。
この場合、ローラが抵抗となってしまうので、ローラが接触する薬包体14の上側部分よりも、第2搬送コンベア166のベルト部材と接触する薬包体14の下側部分が先行してしまい、薬包体14の表面にしわが発生してしまう可能性がある。
また、下側部分のみが先行してしまうと、薬包体14が通常の搬送時における通常の姿勢を維持できず、よじれてしまったりする可能性がある。そして、このようなよじれは、搬送時のつまりの原因となってしまう。
【0130】
これに対し、本実施形態の薬剤包装装置1では、連結ローラ部175に属する各ローラが供給された動力によって回転する構造となっており、薬包体14の上下方向における片側が他方側に対して先行し難い構造となっている。
また、上記したように、連結ローラ部175に属する各ローラが他のローラに対して上下方向に回動可能な状態で取り付けられているので、図19(b)で示されるように、薬包体14の膨らみ部分に応じて、各ローラが上下に移動することとなる。
すなわち各ローラは、その下側を薬包体14の膨らみ部分が通過するとき、その膨らみ部分の大きさに応じて上方(薬包体14の上面から離れる方向)へと移動する。このことからも、各ローラが搬送時に抵抗となりにくく、薬包体14にしわが発生し難い。
【0131】
つまり、本実施形態は、第1搬送コンベア165及び第2搬送コンベア166からなるコンベアだけでなく、コンベアと複数のローラ(第1押さえローラ180、第2押さえローラ181と、第3押さえローラ182)で薬包体14を搬送する構造となっている。
このような構造によると、薬包体14に対して搬送方向下流側へ向かう力を効率よく付与することが可能であり、効率的な搬送が可能となる。
【0132】
そして、薬包体14の一部が第2搬送コンベア166の下流端側まで到達すると、図20で示されるように、到達した部分が搬送ガイド部168の傾斜面(湾曲面)上に乗り上げた状態となる。
そして薬包体14のうち、少なくとも縦シール部53bが搬送ガイド部168に乗り上げた状態となり、縦シール部53bが欠落部171に配された縦搬送用ベルト部材218に接触する。
【0133】
ここで、2つの縦搬送用ベルト部材218の走行時には、これらの下端側の一部であって上下方向に延びる部分が欠落部171に配され、常時下方側から上方側へ向かって移動している。
そのため2つの縦搬送用ベルト部材218の一部と接触した縦シール部53bは、この2つの縦搬送用ベルト部材218の一部と共に上方へ向かって移動していく。そして、ローラ部材220aと、2つの縦搬送用ベルト部材218の間に入り込んでいく。
【0134】
ここで、上記したように、蓋側挟持部220(図17参照)を閉じた状態とすると、蓋側挟持部220に形成されたローラ部材220aと、2つの縦搬送用ベルト部材218とが接触した状態となる。
このとき、2つの縦搬送用ベルト部材218が(本実施形態ではローラ部材220aも)弾性部材で形成されていることから、これらの間に薬包体14が押し込まれることで、薬包体14がこれらの間に入り込む(図21参照)。
【0135】
つまり、縦シール部53bが上方へ移動していき、そのままローラ部材220aと2つの縦搬送用ベルト部材218が接触している位置まで到達する。そして、縦シール部53bが2つの縦搬送用ベルト部材218と接触した状態を維持したまま、ローラ部材220aと2つの縦搬送用ベルト部材218の間に入りこむ。その後、薬包体14はこれらの間を通過してそのまま上方へ移動していく。
すなわち、二次搬送部161は、ローラ部材220aと2つの縦搬送用ベルト部材218によって、薬包体14の非収納領域53を挟持しつつ、上方へ搬送する装置となっている。より詳細には、非収納領域53のうち、上下方向で離れた複数箇所を挟持しつつ上方へ搬送する装置となっている。
【0136】
このように、薬包体14の非収納領域53を挟持して搬送する構造によると、薬包体14の内部に包装された錠剤が、ローラ部材220aと縦搬送用ベルト部材218で挟まれて破損してしまうことがなく、好ましい。また薬包体14に形成される膨らみ部分等をローラ部材220aと縦搬送用ベルト部材218で挟んでしまうことがなく、好ましい。
そして、二次搬送部161の上端側まで搬送された薬包体14は、二次搬送部161から取出容器15へと供給される(図15図21等参照)。
【0137】
なお、上記した実施形態では、コンベア部にベルトコンベアを採用した例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば、駆動ローラと従動ローラを組み合わせて形成されるローラコンベアであってもよい。コンベア部は、搬送面を形成する部材が供給された動力によって動作するコンベアであればよい。
【0138】
本実施形態では、形成された薬包体は、供給された薬剤を収納する収納領域と、前記収納領域の縁端部分に隣接する非収納領域に区画されるものであり、前記搬送経路の少なくとも一部を形成する二次搬送部を備え、前記二次搬送部は、前記薬包体の前記非収納領域を挟持する挟持部を有し、前記挟持部によって前記非収納領域を挟持しつつ、前記薬包体を上方側へ搬送するものである。
【0139】
さらに、前記二次搬送部は、本体部と蓋部を有し、前記挟持部の一部が、前記本体部と前記蓋部の一方に形成され、前記挟持部の他の一部が、前記本体部と前記蓋部の他方に形成されるものであって、前記挟持部の一部は、一又は複数のベルト部材であり、前記ベルト部材は、弾性材料で形成され、且つ、断面形状が円形または円筒形で延びるものであり、前記挟持部の他の一部は、一又は複数の挟持用ローラであり、搬送方向と交わる方向に延びる軸を中心に回転するものである。
【0140】
さらに、前記動力生成手段は、前記コンベア部と、前記挟持部のそれぞれにも動力を供給する。
【0141】
本実施形態の薬剤包装装置1は、上記したように、操作パネル7を備えた構造となっている(図1参照)。この操作パネル7は、所謂タッチパネルであり、液晶パネル等の表示装置と、タッチパッド等の位置入力装置を組み合わせて形成されたものである。
【0142】
この操作パネル7は、図22で示されるように、複数の領域に区画されており、この複数の領域には、指等で押下することで各種ボタンとして機能する領域が含まれたものとなっている。詳細には、操作ボタンとしての機能を有する領域として、スタートボタン部250、ストップボタン部251、セット板開閉ボタン部252、錠剤供給開始ボタン部253が形成されている。また、残りの分包数を表示する残数表示部254と、2つの速度変更部255とが設けられている。
【0143】
スタートボタン部250は、薬剤の分包動作を開始させる際に押下する領域となっている。ストップボタン部251は、実行中の分包動作を何らかの理由で停止する必要が生じた際に押下する領域となっている。
セット板開閉ボタン部252は、錠剤供給ユニット11の錠剤手撒部40(図1参照)における所定部分を開閉する際に押下する領域となっている。
錠剤供給開始ボタン部253は、錠剤を対象とした分包動作を開始する際に押下する部分となっている。
【0144】
残数表示部254は、実行中の分包動作で1服用分ずつ薬剤を包装していき、最終的に1又は複数回服用分の薬剤を包装した薬包体14を形成するとき、現在において未包装となる1服用分の薬剤の数を表示する部分である。
【0145】
2つの速度変更部255は、それぞれが異なる散薬供給装置21(図2参照、詳しくは後述する)に対応している。この速度変更部255は、散薬供給装置21から分配皿20へ散薬を供給するとき、現在の供給速度(振動量)を示す部分と、供給速度を変更する操作をするための部分を兼ねたものである。
【0146】
より詳細には、速度変更部255は、バーグラフにより供給速度を表示する部分となっている。すなわち、間隔を空けて並列配置された複数の棒状部分が表示され、供給速度が上がるにつれて、並列方向における一端側から他端側へ向かって各棒状部分の表示色が変更されるものとなっている。
例えば、散薬の供給動作を実施していない際には、全ての棒状部分の表示色が通常の色(第1の色)で表示される。さらに、最も供給速度を遅くした際には、並列方向における一端側に位置する一の棒状部分のみが変更後の色(第2の色)で表示され、他の棒状部分が通常の色で表示される。そして、最も供給速度を早くした際には、全ての棒状部分が変更後の色で表示される、といった表示を実施する。
【0147】
そして、供給速度を変更する際には、図22(a)で示すように、指等を速度変更部255に接触させつつ、棒状部分の並列方向へ動かす操作で速度変更が可能である。
すなわち、指等を棒状部分の並列方向における一端側から他端側へ向かって動かすことで、指等の移動につれて供給速度が上昇していき、指等を反対方向へ動かすことで、指等の移動につれて供給速度が下降していく。
【0148】
また、他の速度変更操作としては、図22(b)で示すように、指等で短時間触れる操作を一又は複数回実施することで速度変更が可能となっている。
供給速度が最大と最小のいずれでもない場合には、現在の速度を示す部分を基準位置として、基準位置よりも棒状部分の並列方向における一端側となる位置に触れることで、現在の速度から規定値だけ速度が低下する。反対に、他端側となる位置に触れると現在の速度から規定値だけ速度が上昇する(図22(b)では速度上昇操作を示す)。
【0149】
また、供給速度が最小の場合には、棒状部分の並列方向において最も一端側に位置する棒状部分(又はその近傍)を基準位置として、基準位置よりも他端側となる部分を指等で触れることで、現在の速度から規定値だけ速度が上昇する。
なお、基準位置から逆側に離れた位置(棒状部分の並列方向においてより一端側に離れた位置)を指等で触れた場合には、速度が変化しないものとなっている。
【0150】
また、供給速度が最大の場合には、棒状部分の並列方向において最も他端側に位置する棒状部分(又はその近傍)を基準位置として、基準位置よりも一端側となる部分を指等で触れることで、現在の速度から規定値だけ速度が低下する。
同様に、基準位置から逆側に離れた位置(棒状部分の並列方向においてより他端側に離れた位置)を指等で触れた場合には、速度が変化しないものとなっている。
以上のように、本実施形態の速度変更部255は、二つの速度変更操作が可能であり、使用者が適宜の速度変更操作を選択して実行可能となっている。
【0151】
本実施形態の薬剤包装装置1は、上側蓋部5に形成された小蓋部分5a,5b,5c(図1参照)をそれぞれ個別に開閉可能な構造となっている。
このうち、2つの小蓋部分5b,5cは、薬剤包装装置1に対して分包対象となる散薬を供給する際に開状態とする部分となっており、それぞれ別の散薬供給装置21(図2参照)に対応している。そして、これらを開状態とすると、図1で示されるように、その下方側に位置するホッパ配置領域260を外部に露出した状態とすることができる(図1では小蓋部分5cを開状態とした際の内部の様子を拡大して示す)。
【0152】
ホッパ配置領域260は、下側板部260aと、下側板部260aの縁端近傍に立設される側壁部260bによって囲まれた空間となっている。このホッパ配置領域260は、ホッパ261(詳しくは後述する)の上側部分を配置するための領域となっている。
【0153】
側壁部260bのうちの一つには、情報読取装置263が取り付けられている。
この情報読取装置263は、RFIDタグ(情報記憶手段)に記憶された情報を読み取り可能なものである。すなわち、秤量皿等の散薬を運搬するための容器(図示しない、以下、単に運搬用容器とも称す)に取り付けられたRFIDタグに記憶されている情報の読み取りが可能となっている。
【0154】
ここで、2つのホッパ配置領域260(小蓋部分5b,5cのそれぞれの内側に位置するホッパ配置領域260)には、個別に情報読取装置263が取り付けられている。
そして、2つのホッパ配置領域260がそれぞれ別の散薬供給装置21に対応していることから、一方のホッパ配置領域260のホッパ261に投入された散薬は、一方の散薬供給装置21から一方の分配皿20に供給される(詳しくは後述する)。また、他方のホッパ配置領域260のホッパ261に投入された散薬は、他方の散薬供給装置21から他方の分配皿20に供給される。
【0155】
したがって、運搬用容器に収容した所定の散薬をいずれかのホッパ261へ投入する際、運搬用容器を情報読取装置263に近接させることで、運搬用容器のRFIDタグに記憶された情報を読み取る情報読取動作が可能となっている。
そして、この情報読取動作により、運搬用容器に収容されている散薬に関する情報の読み取りが可能であり、これから所定の散薬を供給しようとする分配皿20が正しいか否かを判別する判別動作を実施可能となっている。
【0156】
特に限定されるものではないが、上記判別動作を実施した後、散薬を供給しようとする分配皿20が正しくない場合、その旨を報知する報知動作を実施してもよい。
この報知動作は、操作表示部3にメッセージや画像を表示する動作であってもよく、スピーカ装置等を設け、音声を流す等の動作であってもよく、これらの双方を実施する動作であってもよい。
【0157】
また、運搬用容器のRFIDタグに対し、収容した散薬を使用した分包動作に関する情報を記憶させることで、情報読取動作により、未実施の分包動作に関する情報を取得することが可能となる。
したがって、情報読取動作の実施後、これから散薬が供給される分配皿20と、この分配皿20で分包動作を実施する際に稼働する機器を、分包動作実施前の待機状態へ移行させる動作を実施してもよい。例えば、操作表示部3において、分包動作を開始する処方情報と、情報読取装置263に対応する分配皿20への動作指示を取得したことを示す情報を表示させることが考えられる。そして、各機器が待機状態であるとき、必要に応じて、これらの機器が分包動作の実施前に行う予備動作を実施してもよい。
さらに、情報読取動作を実施した後、これから散薬が供給される分配皿20や、この分配皿20に対応付けられた掻出装置22を清掃対象とした清掃動作(上述の清掃動作)を実施してもよい。
【0158】
なお、本実施形態では、ホッパ配置領域260に隣接する側壁部260bのうちの一つに情報読取装置263を設けたが、複数の側壁部260bに跨った位置に情報読取装置263を取り付けてもよい。
また、側壁部260bに情報読取装置263を設け、運搬用容器にRFIDタグを設けたが、側壁部260bにRFIDタグを設け、運搬用容器に情報読取装置を設けてもよい。すなわち、ホッパ配置領域260に隣接する部分と、運搬用容器のいずれか一方に情報読取装置263を設け、他方にRFIDタグを設けてもよい。
【0159】
ここで、それぞれのホッパ配置領域260にホッパ261を配置すると、その下方側に散薬供給装置21(図2参照)が位置した状態となる。そして図23で示されるように、散薬が投入されるホッパ261と散薬供給装置21とが隣接配置された状態となる。
散薬供給装置21は、ホッパ261の下側に配置される供給用トラフ270(トラフ部材)と加振装置(振動印加装置)を備えた構造となっている。そして、加振装置が稼働することで供給用トラフ270が振動する構造となっている。なお、加振装置は装置内に設けた湿度計(図示せず)の値に応じて振動回数を制御することが好ましい。
ホッパ261に散薬が投入されると、散薬が供給用トラフ270の上へ落下する。そして、供給用トラフ270が振動することで、散薬が供給用トラフ270の上を供給口部282(詳しくは後述する)側へ移動していき、供給口部282から分配皿20の散薬投入溝20aへ落下する。
【0160】
本実施形態の供給用トラフ270は、散薬供給装置21の本体部(以下、供給装置本体部21aとも称す)に対して着脱可能な構造となっている。
具体的に説明すると、散薬供給装置21は、図24で示されるように、供給装置本体部21aと、供給装置蓋部21bを備えた構造となっている。
そして、供給装置本体部21aは、供給用トラフ270(図23参照)を載置するための受皿載置部271と、ロック機構部272(第1本体側係合部)を有する。
その一方、供給装置蓋部21bは、図23図24で示されるように、供給装置本体部21aに対して回動可能に取り付けられており、供給口部282寄りに位置する端部側を上方へ移動させることで、閉状態から開状態へ移行させることが可能となる。
そして、図24で示されるように、供給装置蓋部21bを開状態とすることで、ロック機構部272が外部に露出した状態となる。
つまり供給装置蓋部21bを開状態とし、ロック機構部272をロック解除状態とすることで、供給用トラフ270が受皿載置部271に対して取り外し可能な状態となる。
このことにつき、以下でさらに詳細に説明する。
【0161】
供給用トラフ270は、図25で示されるように、受皿本体部275と固定用部材276を備えており、これらが一体に固定された部材となっている。
そして、受皿本体部275は、平面視形状が略長方形状となる受皿底板部280と、受皿底板部280の縁端から上方へ突出するように形成される受皿側壁部281を備えた構造となっている。受皿本体部275の先端部は供給口部282となっている。
受皿底板部280の上面には、長手方向の散薬の流れ方向における下流端部寄りの部分に、隆起部280aが複数(本実施形態では3つ)形成されている。
また、受皿底板部280の下面のうち、散薬の流れ方向における上流寄りの部分が、固定用部材276を固定するための部分となっている。
なお、以下の説明において、散薬の流れ方向における上流側、下流側を単に上流側、下流側とも称す。
【0162】
固定用部材276は、略長方形平板状の固定板部276aと、固定板部276aの長手方向における一端側を上流側へ折り返すようにして形成された掛止片部276b(第2トラフ側係合部、掛止片)を備えている。さらに、固定板部276aは、固定板部276aの長手方向における他端側を上方へ屈曲させるようにして形成されたロック片形成部276cを有する構造となっている。
固定板部276aは、供給用トラフ270の長手方向に延びる板状部分であり、長手方向の一端側となる下流端側では、短手方向の長さが短くなっている。
掛止片部276bは、固定板部276aの下流端側の一部を上流側へ折り返した形状となっている。すなわち、固定板部276aの下流端側と連続する部分と、下流側へ向かって丸みを帯びて凸となるように湾曲しつつ延びる部分と、固定板部276aの下流端側から上流側へ延びる部分とを有している。
【0163】
ロック片形成部276cは、固定板部276aの上流端側を上方へ屈曲させて形成されるものであり、固定板部276aの上流端側部分において、上方へ突出する形状となっている。
すなわち、ロック片形成部276cは、上方上流側(上方であって固定板部276aの長手方向における外側)へ向かって、斜め方向に突出する板状部分となっている。
ロック片形成部276cの上端側の部分は、下端側の部分に比べ、短手方向(幅方向であって突出方向及び厚さ方向に直交する方向)の長さが短くなっている。
そして、ロック片形成部276cの上端側の部分には、掛止片挿入孔283(第1トラフ側係合部)が形成されている。この掛止片挿入孔283は、ロック片形成部276cを厚さ方向に貫通し、開口形状が四角形状となる貫通孔となっている。
【0164】
この固定用部材276は、受皿本体部275の底に一体に固定されている。固定板部276aの上流端側の一部は、受皿底板部280の上流端が位置する部分よりもさらに上流側に突出している。そして、突出端と連続するロック片形成部276cは、受皿本体部275の上流側に位置する立壁状部分(受皿側壁部281の一部)からさらに上流側に離れた位置に配されている。
受皿載置部271は、図24で示されるように、供給用トラフ270を載置するための載置台形成板部271aと、ロック機構部272を取り付けるための機構取付板部271bを備えた形状となっている。
【0165】
載置台形成板部271aは、図24で示されるように、取り付け時の供給用トラフ270の長手方向(散薬の流れ方向)に沿って延びる板状の部分となっている。そして、載置台形成板部271aには掛止用孔284(第2本体側係合部、受け部)がある。
掛止用孔284は、載置台形成板部271aを厚さ方向に貫通する孔であり、平面視形状が略凹字状となる開口を有している。
機構取付板部271bは、載置台形成板部271aの上流端部と連続する平板状の部分であり、この上流端部から斜め下方へ突出する部分となっている。機構取付板部271bの上面は、載置台形成板部271aの上面に対して傾斜する傾斜面となっている。
【0166】
ロック機構部272は、図26(b)で示されるように、取付片形成部290(第2構成体)と、中間連結部291(連結体)と、掛止片形成部292(第1構成体)を備えた構造となっている。ロック機構部272は、取付片形成部290(第2構成体)と、中間連結部291(連結体)の間が回動可能に軸止され、中間連結部291と取付片形成部290の間も軸止されている。
ロック機構部272は、上記した中間連結部291と、掛止片形成部292をリンクとするトグル機構であり、図26のように中間連結部291を回動させると、取付片形成部290が倍力されて移動する。
本実施形態では、中間連結部291は、摺動片部301と、バネ部材302(弾性部材)を備えた構造となっている。摺動片部301は、前後方向に移動可能な状態で取り付けられており、摺動片部301が前方側へ移動したとき、摺動片部301がバネ部材302によって常時後方側に付勢される構造となっている。
【0167】
掛止片形成部292は、後方側と下方側が開放された箱状部分であり、その内部(天面の下方側)に部材収納空間313(収納空間)が形成されている。
部材収納空間313は、中間連結部291、掛止片形成部292の略全体を収納可能な空間であり、上方、前方、左右方向両端を囲まれた空間となっている。
さらに、掛止片形成部292の前方側には、掛止突起315が形成されている。
掛止突起315は、掛止片形成部292の前方に位置する立壁状の下端に形成される部分であり、少なくとも一部が後方へ突出する形状の突起となっている。
【0168】
供給用トラフ270を受皿載置部271に取り付ける際の手順について説明する。
本実施形態では、ロック機構部272(第1本体側係合部)と掛止片挿入孔283(第1トラフ側係合部)によって係合構造部278が構成されている。
図26(a)で示されるように、掛止用孔284に掛止片部276bを上方から挿通する。そして、供給用トラフ270を後方側へ移動させて掛止用孔284の縁端部分に掛止片部276bを掛止する。
この状態において、図27(a)で示されるように、掛止片形成部292を固定用部材276に近接する方向へ移動させていき、図27(b)で示されるように、掛止片形成部292をロック片形成部276cの上方から近接させ、掛止突起315をロック片形成部276cと係合させる。
そして図27(c)で示されるように、掛止片形成部292を押し込んで姿勢を変更し、ロック機構部272を係合時姿勢(図27(c)で示される状態)へと移行させる。
【0169】
係合時姿勢は、上記した待機時姿勢(図26(a)等参照)と比べ、掛止片形成部292がやや前方側(機構取付板部271bの傾斜方向における上方側)へ移動した状態となっている。
この状態では、掛止片形成部292が常時後方側へ付勢された状態となる。すなわち、掛止片形成部292は、掛止片挿入孔283に掛止突起315が挿通された状態において、常時下側後方へ付勢された状態となる。このように、ロック機構部272を係合時姿勢へと移行させることで、供給用トラフ270がロックされた状態となる。
以上のように、本実施形態の散薬供給装置21では、図28で示されるように、掛止突起315と掛止片挿入孔283によって一の係合部(第1係合部)を形成している。さらに、掛止片部276bと掛止用孔284が他の一の係合部(第2係合部)を形成している。このように供給用トラフ270は、受皿本体部275の後方側と、受皿本体部275の前方側とで、供給装置本体部21a側の部材と係合している。
【0170】
そして、ロック機構部272が係合時姿勢となり、供給用トラフ270がロック状態となると、一の係合部の一部となる掛止突起315と、他の係合部の一部となる掛止片部276bとは、いずれも係合解除させる際に移動させる方向とは逆向きとなる方向に常時付勢された状態となっている。
すなわち、掛止片形成部292が係合解除させる際に移動させる方向とは逆向きとなる方向に付勢されていることから、掛止片形成部292から加わる力により、供給用トラフ270の全体もまた、上流側(図27(c)の左側)であって下方側へ常時引っ張られた状態となっている。
このことにより、供給用トラフ270の受皿載置部271への強固な取り付けが可能となる。すなわち、振動を受けても不意に外れたりせず、取り付けられた状態を維持できる構造となっている。なお、供給用トラフ270と受皿載置部271を別体とし、取り外し可能な構造とすることで、供給用トラフ270の清掃が容易に実施可能となる。
【0171】
なお、図28で示されるように、載置台形成板部271aは、下流側(図28の右側)に向かうにつれて下り勾配となるように傾斜した姿勢で供給装置本体部21aに固定されている。このため、供給用トラフ270が受皿載置部271に取り付けられると、そのまま傾斜した姿勢で受皿載置部271に固定される。
【0172】
ここで、図25で示されるように、固定板部276aの裏面、すなわち、受皿載置部271の取り付け時(図26参照)に下面となる部分には、外側(取り付け時における下方)へ向かって突出する突起部286が設けられている。
このため、供給用トラフ270が受皿載置部271に取り付けられたとき、少なくとも突起部286の周辺において、固定板部276aの下面と、載置台形成板部271aの上面の間に隙間が形成されることとなる。
このように、固定板部276aの下面と載置台形成板部271aの上面とを全域に亘って面接触させない構造とすると、供給用トラフ270を振動させたときの騒音の発生を抑制できる。また、供給用トラフ270の取り付け時において、固定板部276aと載置台形成板部271aの間に小さな異物が入り込んでも、供給用トラフ270の振動時に、これらによって異物が強固に挟み込まれた状態が維持されない構造とすることができる。つまり、異物が強固に挟み込まれたまま振動することに起因する振動の変化(規定の振動で振動させることへの悪影響)を防止できる。
【0173】
また、本実施形態の散薬供給装置21では、供給装置蓋部21bの内部に加振装置が配されており、供給装置蓋部21bからホッパ261に振動が伝わる構造となっている。
ここで、供給装置蓋部21bには、図23で示されるように、振動時におけるホッパ261の意図しない移動を阻止するためのホッパ移動規制部287を備えた構造となっている。
【0174】
ホッパ移動規制部287は、具体的には、第1移動規制部295と、第2移動規制部296(交差方向規制部)からなる部分である。
第1移動規制部295は、供給装置蓋部21bの上側部分(供給装置蓋部21bを閉じた状態の上側部分)から外側(同様に閉じた状態での上方)へ隆起する隆起部分となっている。また、その天面部分は湾曲面となっている。
この第1移動規制部295は、ホッパ261の一部(本実施形態ではホッパ261の側面から外側へ突出する突起部分に形成された欠落部)と係合する部分となっている。すなわち、ホッパ261の供給口部282側への移動(取り付け時における供給用トラフ270の長手方向成分を含む方向への移動)を規制する部分となっている。
【0175】
第2移動規制部296は、供給用トラフ270を取り付けて供給装置蓋部21bを閉じた状態において、供給装置蓋部21bの供給口部282側の面から外側へ突出するように形成された棒状部分である。具体的には、先端側の一部が下方に折り曲げられた棒状部分となっている。
より具体的には、2つの第2移動規制部296が散薬の流れ方向と交わる(直交する)方向で離間対向するように並列配置されており、それぞれが供給口部282側へ向かって延びている。そして、2つの第2移動規制部296の間にホッパ261が取り付けられる構造となっており、ホッパ261が取り付けられたとき、それぞれの第2移動規制部296は、ホッパ261の異なる側面に接触する構造となっている。
すなわち、第2移動規制部296は、供給用トラフ270の幅方向成分を含む方向へのホッパ261の移動を規制する部分となっている。
【0176】
ここで、2つの第2移動規制部296は、供給用トラフ270を取り付けて供給装置蓋部21bを閉じた状態において、いずれも平面視で供給用トラフ270と重ならない(上下方向で供給用トラフ270と重ならない)位置に形成されている。
このことから、仮に第2移動規制部296の上側に、上方から落下した散薬が滞留した場合であっても第2移動規制部296の上の散薬が供給用トラフ270に落下しない構造となっている。
【0177】
上記した実施形態では、受皿本体部275に固定用部材276を取り付け、固定用部材276の一部(ロック片形成部276c)に掛止片挿入孔283を形成した例を示したが、本発明はこれに限るものではない。
例えば、受皿本体部275の一部(例えば、上流側に位置する受皿側壁部281の一部)に上方へ突出する突起部分を設け、掛止片挿入孔を設ける構造であっても構わない。
また、固定用部材276に掛止片挿入孔283を直接形成する構造に替わって、固定用部材276に連結用の部材(例えば、板状の部材)を固定し、この連結用の部材に掛止片挿入孔を形成してもよい。すなわち、ロック時において、供給用トラフ270に他部材を介して掛止突起315からの力が加わる構造であってもよい。
【0178】
また、上記した実施形態では、供給用トラフ270に掛止片部276bを設け、受皿載置部271の掛止用孔284に掛止する例を示したが(図28参照)、本発明はこれに限るものではない。
掛止片部276bに替わって、下方側へ突出する板状部分を設け、この板状部分に受け部となる貫通孔を設けてもよい。この場合、掛止用孔284の開口縁に突起部分を設けた上で、この突起部分を板状部分の貫通孔に挿通して係合させる構造としてもよい。
すなわち、供給用トラフ270側に受け部を設け、受皿載置部271側に掛止片を設けてもよい。
上記した実施形態では、受皿載置部271の一部にロック機構部272を設けたが、本発明はこれに限るものではない。ロック機構部272を受皿載置部271に取り付けず、供給装置本体部21aの他の部分に直接取り付けてもよい。
【0179】
本実施形態では、供給装置本体部と前記トラフ部材は、それぞれ対となる第2本体側係合部と第2トラフ側係合部を有するものであり、第2本体側係合部と第2トラフ側係合部は、一方が掛止片であり、他方が前記掛止片を掛止可能な受け部であって、前記トラフ部材が前記供給装置本体部に取り付けられた状態では、前記トラフ部材が前記供給装置本体部の一部に載置されており、前記掛止片が前記受け部に掛止され、且つ、前記第1本体側係合部と前記第1トラフ側係合部が係合するものであり、前記掛止片と前記受け部は、掛止した状態から、前記掛止片と前記受け部の一方を他方に対して所定の係合解除方向へ移動させることで、掛止が解除されるものであり、前記第1本体側係合部と前記第1トラフ側係合部が係合した状態では、前記トラフ部材に対し、下方へ向かう方向成分と、前記係合解除方向の逆方向となる方向成分を含む方向に力が加わる。
そして、前記連結体は、弾性部材を備え、前記弾性部材の弾性復元力により、前記第1構成体に所定方向へ向かう力が作用し、前記第1構成体を介して前記トラフ部材に力が加わる。
さらに、前記トラフ部材の上方にホッパ部材が配されるものであり、前記散薬供給装置は、前記ホッパ部材の移動を規制するホッパ移動規制部を備えており、前記ホッパ移動規制部は、前記トラフ部材における散薬の流れ方向と交わる方向への移動を規制する交差方向規制部を含むものであり、前記交差方向規制部は、平面視において、前記トラフ部材と重ならない位置にある。
【0180】
本実施形態の薬剤包装装置1は、図29で示されるように、錠剤カセット棚350(薬棚装置)を取り付けた状態で使用可能なものとなっている。すなわち、薬剤包装装置1と錠剤カセット棚350を備えた薬棚付包装装置351(薬剤分包ユニット)の一部を形成するものでもある。
錠剤カセット棚350は、複数の錠剤容器360を保持する容器取付部361と、容器取付部361の下方側に位置する錠剤供給装置362(錠剤搬送装置)を備えた構造となっている。
本実施形態の錠剤カセット棚350では、異なる種類(2種)の錠剤容器360を保持している。
薬棚付包装装置351では、錠剤供給装置362の手前側の一部が、薬剤包装装置1の背面側に形成される連結口部(図示しない)に挿通された状態となる。さらに、錠剤供給装置362の錠剤押出経路484(詳しくは後述する)の前端側が、錠剤供給ユニット11の一部である錠剤搬送路41(図3参照)の後端側と連結され、一連の流路を形成する。
【0181】
そして、錠剤カセット棚350から薬剤包装装置1に錠剤を供給する際、錠剤容器360から落下した錠剤が、下方側に位置する錠剤供給装置362に導入される。そして、錠剤供給装置362の内部で錠剤押出経路484まで運ばれた後、錠剤押出経路484から錠剤搬送路41(図3参照)へ押し出されることとなる。
以下、錠剤供給装置362について詳細に説明する。
【0182】
錠剤供給装置362は、図30で示されるように、大別して、上側に位置する錠剤受止部365(導入部)と、その下方側に位置する左右2つの横搬送部366(一次搬送部)及び落下経路形成部367(経路形成部)を備えた構成となっている。そして、落下経路形成部367の下方側には、錠剤押出部368(二次搬送部)が形成されている。
したがって錠剤供給装置362は、横に延びた形状の錠剤受止部365(導入部)と、同じく横に延びた形状の横搬送部366(一次搬送部)と、縦に延びた形状の錠剤押出部368(二次搬送部)が縦に積み重ねられた3段積み構造となっている。
最上段の錠剤受止部365は、上方から落下してきた錠剤を受け止めるための部分であり、錠剤供給装置362の全体において、錠剤の導入部として機能する部分である。
この錠剤受止部365は、左右方向(錠剤カセット棚350の幅方向)における一端側に位置する片側錠剤受止部365aと、他端側に位置する他方側錠剤受止部365bを備えた構造となっている。
【0183】
片側錠剤受止部365aは、図30で示されるように、左右方向に延びる略直方体状の部分であり、3つの錠剤導入空間370(収納空間)が形成されたものとなっている。
詳細には、3つの錠剤導入空間370a,370b,370cが間隔を空けて並列するように設けられており、これらの間に連結部材配置部371と、仕切部材372とが位置している。つまり、3つの錠剤導入空間370は、左右方向に延びる空間を連結部材配置部371と仕切部材372で分断し、複数の空間としたものである。
連結部材配置部371は、各種部材を配置する空間となっている。仕切部材372は、上側に位置する平板状の天板部と、左右方向の両端にそれぞれ位置する2つの立板状部を一体に形成した部材である。
3つの錠剤導入空間370は、いずれも上下のそれぞれで外部と連通する空間であり、上側に錠剤の導入口となる開口面を有している。そして、図31に示す回動板部384(可動受止部材)が回動することで、下方側が閉塞された状態と、下方側が外部に開放された状態とを切り替え可能となっている。
【0184】
片側錠剤受止部365a(図30参照)は、その内部に配される部材として、図31で示されるように、モータ378と、動力伝達部379と、回転揺動変換部380を備えた構造となっている。さらに、図31で示されるように、第1シャフト381と、軸継手部材382と、第2シャフト383と、2つの回動板部384と、回転規制機構385を備えた構造となっている。
片側錠剤受止部365aでは、モータ378が稼働し、モータ378の軸が軸回り(周方向)の一方側に回転し続けると、回動板部384が揺動する構造となっている。つまり、モータ378を逆回転させることなく、回動板部384を揺動させることが可能な構造となっている。
このことから、片側錠剤受止部365aでは、図32で示されるように、回動板部384によって錠剤導入空間370の下方側を閉塞した錠剤受止姿勢(図32(a)参照)と、錠剤排出姿勢(図32(b)参照)との間での切り替えが可能となっている。なお、錠剤排出姿勢では、錠剤導入空間370の下方側がさらに下方側の空間と連通した状態となる。
つまり、錠剤導入空間370の下方側に位置し、外部と連なる部分が、外部へ錠剤を排出するための排出口部となる。
【0185】
片側錠剤受止部365aは、錠剤受止姿勢で待機し、錠剤容器360(図29等参照)から落下してくる錠剤を受け止める。そして、錠剤導入空間370の内部に錠剤が配置された状態で錠剤排出姿勢へ移行することにより、錠剤をさらに下方側(横搬送部366や落下経路形成部367、図30参照)へ供給する。言い換えると、錠剤導入空間370の内部に錠剤を一時的に貯留した後、下方側へ供給する。
ここで、回動板部384は、図32(a)で示されるように、錠剤受止姿勢時において、水平面に対して傾斜し、前方側へ向かって下り勾配となる傾斜面となる部分を有している。そして、この部分が錠剤の排出口となる部分の上方に位置した状態となっており、片側錠剤受止部365aに供給された錠剤を受け止める部分となっている。すなわち、この回動板部384の上に落下した錠剤は、そのまま傾斜面上を滑り落ちていき、下方側に集められた状態となる。
3つの錠剤導入空間370のうち、所定の2つの錠剤導入空間370a,370bに導入された錠剤は、中間段にある横搬送部366の一方へ供給され、横方向に押し移動されて落下経路形成部367に供給されて最下段の錠剤押出部368(二次搬送部)に導入される。
他の一の錠剤導入空間370cに導入された錠剤は、中間段の横搬送部366を経ずに直接、落下経路形成部367に落下し最下段の錠剤押出部368(二次搬送部)に導入される。
他方側錠剤受止部365bは、片側錠剤受止部365aと基本的な構造が同一であるため、詳細な説明を省略する。なお、この他方側錠剤受止部365bに導入された錠剤は、もう一方の横搬送部366へ供給されることとなる。
【0186】
続いて、中間段の横搬送部366について説明する。中間段には直線状に2基の横搬送部366が配されている。
二つの横搬送部366は同一構造であるから、一方についてのみ説明する。横搬送部366は、図33で示されるように、薬剤受止溝部410(受止部)と、車輪走行部411と、ガイド配置部412と、下側箱部413とを備えた構造となっている。
より具体的には、図面手前から順に車輪走行部411、薬剤受止溝部410、ガイド配置部412が並列しており、これらが一体的に形成されている。そして、これらの下方側となる位置に下側箱部413が配されている。
【0187】
薬剤受止溝部410は、上記した錠剤受止部365から落下した錠剤が導入される部分であり、下方側に窪んだ溝状の部分であって、断面形状が略四角形状で左右方向に延びる空間を形成している。
そして、薬剤受止溝部410の長手方向の一端側に位置する端部(図33の手前側の端部)には、内外を連通する開口部分である錠剤排出口部418が形成されている。この錠剤排出口部418が形成される端部は、錠剤供給装置362の左右方向における中心側に位置する端部(図30等参照)である。中間段には直線状に2基の横搬送部366が配されており、錠剤排出口部418は2基の横搬送部366の対向部にある。
【0188】
薬剤受止溝部410内には図33で示されるように、錠剤押出片部438が配されている。錠剤押出片部438は、薬剤受止溝部410の内部に配され、薬剤受止溝部410の長手方向に沿って移動する。
錠剤押出片部438を移動させる機構は、図34のようであり、レール部材453と摺動子454によって構成される直線ガイド部材452と、モータ445によって走行するベルト機構446及び車輪部451を備えている。
錠剤押出片部438は、直線ガイド部材452の摺動子454に接続されており、直線方向にのみ自由度を有する。また錠剤押出片部438は、ベルト機構446のベルトに他部材を介して間接的に接続されており、ベルトの走行に応じて薬剤受止溝部410内を直線移動する。車輪部451は、錠剤押出片部438の荷重を支持するものである。
【0189】
このことから、錠剤押出片部438を薬剤受止溝部410の内部で移動させることで、錠剤の押し出しが可能となっている。
すなわち、錠剤押出片部438を薬剤受止溝部410の長手方向の一端側であり、錠剤排出口部418から離れた位置の端部側で待機させ、上記した錠剤受止部365から薬剤受止溝部410の内側空間に錠剤を供給する(落下させる)。
その後、錠剤押出片部438を錠剤排出口部418の近傍まで薬剤受止溝部410の長手方向に沿って移動させ、錠剤が錠剤排出口部418から外部に押し出される。
【0190】
落下経路形成部367は、図30図35で示されるように、一の錠剤導入空間370cの下方側に位置する部分である。この落下経路形成部367は、縦孔状であり、内部に第1落下規制板460(規制部材)と、第2落下規制板461(規制部材、図35参照)とが配されている。
【0191】
第1落下規制板460は、図35で示されるように、対となる2つの規制板片460a,460bによって形成されている。
2つの規制板片460a,460bは、それぞれの上面が、左右方向の中心側に向かうにつれて下り勾配となる傾斜面となっている。そして、その傾斜面の下端部同士の間の下方側に、錠剤押出部368の錠剤導入口480aが位置している。つまり、2つの規制板片460a,460bの一部同士が最も近接する部分では、2つの規制板片460a,460bの間に上方側と下方側を連通する空隙が形成され、この空隙の下方側に錠剤導入口480aが位置している。
第2落下規制板461の形状も第1落下規制板460と略同様の形状である。
【0192】
錠剤導入口480aはその上側に隣接する空間が、落下経路形成部367の2つの立板状部分と、2つの規制板片461a,規制板片461bによって囲まれた状態となっている。
最下段の錠剤押出部368は、図36で示されるように、導入口形成部470と、押出経路形成部473を備えている。そして、図36で示されるように、押出経路形成部473の内部に供給された錠剤を搬送するための錠剤搬送装置474を備えたものとなっている。
【0193】
導入口形成部470は、図36で示されるように、押出経路形成部473の上側に取り付けられる部材であり、内部を上下方向に貫通する第1錠剤供給用孔480が形成されている。この第1錠剤供給用孔480の上側に位置する開口部分は、錠剤押出部368に対して錠剤が供給される際の導入口(錠剤導入口480a)となる部分である。
押出経路形成部473は、内部に前後方向に延びる空間である錠剤押出経路484が形成されている。
この錠剤押出経路484は、前端側に内外を連通する開口部分である錠剤搬出口部484aを有している。
押出経路形成部473には錠剤搬送装置474が内蔵されている。
錠剤搬送装置474は、図36で示されるように、上側受台部490と、その下方側に位置する搬送体部491を備えた構造となっている。搬送体部491は図示しない駆動装置によって、錠剤押出経路484内を直線移動する。
上側受台部490は、図示しない係合部によって搬送体部491と係合し、一定の位置までは搬送体部491に追従して直線移動するが、一定の位置から先は両者の係合がとけ、上側受台部490はその位置に止まり、搬送体部491だけが走行する。
そして、上側受台部490は、図示しない動力源に常時前側へ押圧された構造となっており、搬送体部491は、図示しない駆動装置(搬送体動力部)と連結された状態となっている。
【0194】
上側受台部490には、前方側に上下方向に貫通する貫通孔である錠剤落下孔510が形成されている。
搬送体部491は、錠剤を搬送するための部分であり、図36で示されるように、その一部に、天面から底面までを貫通する収納用孔520が形成されている。
【0195】
続いて、本実施形態の錠剤押出部368による、錠剤搬送動作について説明する。
錠剤押出部368は、1服用分の錠剤を搬送する第1搬送動作と、1服用分ずつ供給される複数包分の錠剤をその都度搬送していく第2搬送動作が実行可能となっている。
第1搬送動作では、錠剤搬送装置474は、図37(a)で示されるように、上側受台部490と搬送体部491とが共に後方側に位置する第1待機姿勢で待機する。なお、この第1待機姿勢では、第1錠剤供給用孔480、錠剤落下孔510、収納用孔520が一連の連通孔を形成する。
【0196】
錠剤搬送装置474が第1待機姿勢をとる状態で、錠剤導入口480aに錠剤が導入されると、連通孔の内部を錠剤が落下していき、収納用孔520の内部であって錠剤押出経路484の底板部分の上側となる位置に錠剤が配される。
そして、第1待機姿勢において、錠剤が収納位置に収納された状態から、図示しないモータを稼働させることにより、搬送体部491を前方へ移動させる。このとき、上側受台部490は、搬送体部491の移動に伴って上側受台部490もまた前方へ移動する。
【0197】
上側受台部490、搬送体部491が接触した状態を維持しつつ前方へ移動していくと、上側受台部490が、移動可能範囲内において最も前側に位置した状態となる(図37(b)等参照)。そして、この後、搬送体部491のみがさらに前方側へ移動し、搬送体部491が上側受台部490から前方側へ離れた状態となる。
そして、搬送体部491が前方側へ移動していくと、搬送体部491の前側部分が錠剤搬出口部484aよりもさらに前方へ位置した状態となる(図37(c)参照)。このとき、収納用孔520の下側開口の全域が、押出経路形成部473の底板部分よりも前方側に位置した状態となる。このことから、収納用孔520の内側に位置する錠剤が下方側へ落下し、錠剤押出部368から錠剤搬送路41(図3参照)に錠剤が供給される。
【0198】
続いて、第2搬送動作について説明するが、上述の第1搬送動作と同様の部分については、重複する詳細な説明を省略する。
第2搬送動作においても、錠剤搬送装置474が第1待機姿勢で待機し、最初に供給される1包目の錠剤が収納用孔520の内側に収納された後、搬送を開始する。そして、上記と同様の手順で搬送していき、図37(b)で示されるように、上側受台部490が最も前方まで移動した状態となる。
【0199】
そして、上記と同様に、上側受台部490の前方への移動が停止し、搬送体部491のみが前方へ移動していくが、このとき、第2搬送動作では、続いて搬送する2包目の錠剤(図示を省略する)が錠剤導入口480aに供給されることとなる。
具体的に説明すると、搬送体部491は、上記と同様に前方側へ移動していき、先行して供給された1包目の錠剤を前方側へ搬送する。すなわち、搬送体部491の前側部分が錠剤搬出口部484aよりもさらに前方へ位置した状態となる(図37(c)参照)まで移動し、錠剤搬送路41(図3参照)に1包目の錠剤を供給する。
この後、搬送体部491を後方側へと移動させていき、上側受台部490に前方側から接触させることで、再び搬送体部491と上側受台部490が接触した状態となる(図37(b)参照)。
【0200】
搬送体部491が1包目の錠剤を運搬する一方、錠剤導入口480aに供給された2包目の錠剤は、上側受台部490の一部である受板部500の後方側部分の上に落下することとなる。すなわち、搬送体部491の単独搬送動作(搬送体部491のみを前方へ移動させ、再び上側受台部490と接触するまでの動作)の実施中に、2包目の錠剤が供給されることとなる。
そして、搬送体部491が上側受台部490と再び接触した後、さらに後方側へ移動することで、搬送体部491に後方側に押圧された上側受台部490もまた、後方側へ移動する。すなわち、搬送体部491と上側受台部490が接触した状態を維持しつつ後方側へと移動していく。
【0201】
このことにより、受板部500もまた後方側へ移動していくので、錠剤搬送装置474が第1待機姿勢をとるまでの間に、受板部500の上に供給された2包目の錠剤が下方側へと落下する。
すなわち、第1錠剤供給用孔480の内部下端側であって受板部500の上に供給された2包目の錠剤は、受板部500が後方側へと移動することで、錠剤落下孔510の上側開口部分に導入される。そして、第1錠剤供給用孔480から下方側へと落下する。
そして、上記と同様の手順により、第1待機姿勢において収納用孔520の内側に収納された2包目の錠剤を搬送する。なお、3包目以降の錠剤が供給される場合、すなわち、後続の錠剤が供給される場合についても、同様の手順で順次搬送していく。
【0202】
なお、上記したように、片側錠剤受止部365aに供給された錠剤は、横搬送部366、落下経路形成部367を経て錠剤押出部368に供給される場合と、横搬送部366を通過せずに落下経路形成部367を経て錠剤押出部368に供給される場合がある。
このことから、錠剤押出部368で搬送動作を実施する際、処方によっては、横搬送部366を通過しない錠剤が錠剤押出部368に供給された後、横搬送部366を通過する錠剤が錠剤押出部368に供給されるまで待機し、搬送動作を実施する。
これに対し、全ての錠剤が横搬送部366を通過しない場合、錠剤押出部368に錠剤が供給された後、このような待機動作を実施せず、搬送動作を実施する。
【0203】
上記した実施形態では、横搬送部366において、錠剤押出片部438によって錠剤を押し動かして搬送する例を示した。しかしながら、本発明の一次搬送部はこれに限るものではない。
例えば、ローラコンベア、ベルトコンベア等の小型のコンベア装置を備えた一次搬送部とし、このコンベア装置を稼働させて錠剤を搬送してもよい。
また、薬剤受止溝部410に替わって、底部分に排出口側へ向かって傾斜する傾斜面を有する受止部を形成してもよい。そして、この傾斜面を振動させる機構をさらに設け、傾斜面に落下した錠剤を振動により移動させ、搬送する構造としてもよい。
【0204】
したがって、上記した薬棚付包装装置は、外部から供給された薬剤を1服用分ずつ包装して排出する薬剤包装装置と、前記薬剤包装装置に錠剤を供給するための薬棚装置を備えた薬剤分包ユニットであって、前記薬棚装置は、複数の錠剤容器を保持可能であり、それぞれの錠剤容器から供給された錠剤を所定位置まで搬送する錠剤搬送装置を有し、錠剤搬送装置は、一次搬送部と、二次搬送部を備え、前記一次搬送部は、前記薬棚装置側から前記薬剤包装装置側へ向かう方向と交わる方向へ錠剤を搬送する部分であり、前記二次搬送部は、前記薬棚装置側から前記薬剤包装装置側へ向かう方向へ錠剤を搬送するものであって、錠剤を前記一次搬送部で搬送した後に前記二次搬送部で搬送する動作と、錠剤を前記一次搬送部で搬送せずに前記二次搬送部で搬送する動作のそれぞれが可能である。
【0205】
そして、前記一次搬送部は、供給された錠剤を受け止める受止部と、錠剤押出片部とを備えており、前記錠剤押出片部は、前記一次搬送部における錠剤の搬送方向に移動可能であり、前記一次搬送部での錠剤の搬送動作は、前記受止部に位置する錠剤を前記錠剤押出片部によって押し動かして搬送する動作である。
【0206】
そして、錠剤搬送装置は、前記錠剤容器から供給された錠剤が導入される導入部をさらに有し、前記導入部に錠剤が供給された後、前記導入部の内部に錠剤を一時的に収納し、前記一次搬送部側又は前記二次搬送部側へ錠剤を排出する。
【0207】
前記導入部は、導入された錠剤を一次収納するための収納空間と、可動受止部材を有し、前記収納空間は、前記一次搬送部側又は前記二次搬送部側へ錠剤を排出するための排出口部を備え、さらに、前記導入部は、前記可動受止部材が可動することで、前記可動受止部材によって前記排出口部が閉塞される錠剤受止姿勢と、前記排出口部が外部と連通した状態となる錠剤受止姿勢とを切り替え可能である。
【0208】
また、前記可動受止部材は、前記錠剤受止姿勢時に水平方向に対して傾斜した傾斜面となる部分を有し、前記導入部は、前記傾斜面で導入された錠剤を受け止める。
【0209】
また、前記錠剤搬送装置は、経路形成部をさらに有し、前記経路形成部は、前記導入部及び前記一次搬送部の搬送方向下流側であり、前記二次搬送部の搬送方向上流側に設けられ、前記導入部又は前記一次搬送部から供給された錠剤を下方側に位置する前記二次搬送部へ供給するための経路を形成するものであり、前記経路形成部の内部には、錠剤の移動方向を規制する規制部材が形成されている。
【0210】
上記した実施形態では、薬包体14を取出容器15まで搬送する薬包体搬送装置13を設けた例について説明したが、本発明はこれに限るものではない。
例えば、薬包体搬送装置13を設けずに、装置本体2側から薬包体搬送装置13側へ薬包体14を排出させる排出口の下方側に、箱状の取出容器(図示しない)を設置する構造としてもよい。
この場合、取出容器(図示しない)の下面に車輪部材を設け、使用者が手で押すことで走行可能な取出容器としてもよい。
さらには、取出容器の側面に永久磁石によって形成される磁石部材を取り付け、この取出容器の側面と装置本体2の壁面とを密着させることで、取出容器を装置本体2に吸着させる構造としてもよい。
【0211】
また、薬剤包装装置1には、掻出用清掃装置43の周辺から吸引装置(図示しない)まで延びる吸引経路が形成されている。この吸引経路の一部を樹脂製のホース部材575(図3(b)、図38(b)参照)で形成した場合について考える。
このとき、上側蓋部5を閉じた状態(図1参照)とすると、ホース部材575の一部が散薬分割領域10の上方に位置する(図示しない)。
具体的に説明すると、ホース部材575の一部が分配皿20から上方に離れた位置に配された状態となる(図示しない)。
【0212】
このことから、散薬投入溝20a(図2参照)に散薬を供給して分配皿20を回転させる動作(散薬の分割動作)を実施すると、何らかの理由で舞い上がってしまった散薬が、ホース部材575に一時的に付着してしまうおそれがある。そして、ホース部材575に一時的に付着した散薬が時間を置いて落下してしまうと、他の散薬の分割動作中に分配皿20に落下し、コンタミネーションが発生する恐れがある。
【0213】
そこで、このようなコンタミネーションを防止するための構造として、図38で示されるように、分配皿20の上方であり、上側蓋部5を閉じた際にホース部材575の一部と分配皿20の間となる位置に散薬遮蔽板部580を形成してもよい。
具体的には、この散薬遮蔽板部580は、支持枠部581と、遮蔽板部本体582を備えた構造となっており、支持枠部581の底板部581a(詳しくは後述する)に遮蔽板部本体582を載置して形成される部分である。
【0214】
支持枠部581は、散薬分割領域10の後端部分に隣接する立壁状部分から前方へ突出するように形成された枠状部分であって、平面視形状が略四角環状となる部分であり、底板部581aと、2つの側壁部581bと、前壁部581cを備えた構造となっている。
【0215】
底板部581aは、上下方向を厚さ方向とする板状部分である。この底板部581aの中央部分には、底板部581aを厚さ方向に貫通する貫通孔であり、開口形状が略四角形状となる貫通孔が形成されている。
2つの側壁部581bと前壁部581cは、いずれも底板部581aの縁端部分から上方に突出する立壁状部分である。
【0216】
このように、枠状の支持枠部581に散薬遮蔽板部580を載置することで、散薬遮蔽板部580を着脱させる作業が容易となる。また、散薬遮蔽板部580がホース部材575と分配皿20の間に位置するので、分配皿20から舞い上がる散薬のホース部材575への付着を防止可能となる。また、何らかの理由でホース部材575に散薬が付着してしまっても、ホース部材575から落下する散薬を遮蔽板部本体582で受け止めることができるので、散薬の分配皿20への落下を阻止できる。
【0217】
また、錠剤供給ユニット11の掻出用清掃装置43(図3参照)は、上記した実施形態の構造に限るものではない。例えば、掻出用清掃装置43をユニット化して箱体に対して着脱可能な構造とした錠剤供給ユニットを形成してもよい。つまり、箱体部と、清掃装置ユニット590(図39参照)を備えた錠剤供給ユニット(全体の図示を省略する)を形成してもよい。
【0218】
清掃装置ユニット590は、図39(a)で示されるように、ケース部材595の内部に清掃機構本体131(図9参照)の各部を収納して形成されている。
具体的には、ケース部材595は、大別して、ギア収納部595aと、ブラシ収納部595bと、連結筒部595cが一体に形成された箱状の部材となっている。
【0219】
ギア収納部595aは、モータ137の一部と、モータ連結ギア138及びギア部140からなる2つのギア(図9参照)を収納する部分であり、2つのギアが連動して回転可能な状態で収納されている。
【0220】
ブラシ収納部595bは、回転ブラシ本体141を収納する部分であり、回転ブラシ本体141が回転可能な状態で収納されている。なお、回転ブラシ本体141の軸部分であり、ギア部140と連結される軸部分は、ギア収納部595aとブラシ収納部595bの境界に位置する立壁状の隔壁部596に挿通されている。つまり、隔壁部596には、この軸部分を挿通可能な貫通孔が形成されている。
【0221】
連結筒部595cは、ホース等の外部の筒状部材を連結可能な構造となっており、連結筒部595cの内部空間は、ブラシ収納部595bの内部空間と連通した状態となっている。言い換えると、ブラシ収納部595bでは、内周面の一部に連結筒部595cの内部空間と連続する吸引開口部597(図39(b)参照)が形成されている。
【0222】
ここで、ブラシ収納部595bは、図39(a)で示されるように、上記した隔壁部596と、この隔壁部596と回転ブラシ本体141の軸方向で離間対向する立壁状の外側立壁部598と、周壁部600を備えた構造となっている。
【0223】
周壁部600は、隔壁部596と外側立壁部598の間に位置する部分である。具体的には、図39(b)で示されるように、上側壁部600aと、立壁部600bと、下側壁部600cに区画される壁状部分であり、円柱状となる回転ブラシ本体141の周方向に沿って順に配されている。
【0224】
上側壁部600aは、回転ブラシ本体141の本体部から上方側に離れた位置で山なりに延びる部分となっている。すなわち、前端側部分(図39(b)の右側)が前方に向かうにつれて下方側へ向かうように湾曲しており、さらに、後端側部分(図39(b)の左側)が後方に向かうにつれて下方側へ向かうように湾曲している。
【0225】
立壁部600bは、上側壁部600aの後端部分と連続し、上下方向に延びる部分となっている。
【0226】
下側壁部600cは、立壁部600bの下端部分と連続し、後方側から、前方側へ向かうにつれて下り勾配となるように傾斜して延びる板状部分と、前後方向に沿って前方側へ延びる平板状部分とが一体に形成されている。また、下側壁部600cの前端部分には、前端部分を上側へ折り返した形状の折返し部605が形成されている。この折返し部605は、上方に向かって突出する壁状部分であり、回転ブラシ本体141の本体部の軸方向に延びている。
【0227】
そして、ブラシ収納部595bの前方側部分であり、上側壁部600aの前端部分から下側壁部600cの前端部分の間に、ブラシ収納部595bの外側と内部空間の境界となる開口部分が形成されている。
【0228】
ここで、周壁部600のうち、上側壁部600aの前方側部分と下側壁部600cの前方側部分とは、周壁部600の後方側に位置する大部分と比べて、内周面から回転ブラシ本体141の本体部までの距離が遠くなるように形成されている。
つまり、回転ブラシ本体141を回転させたとき、立壁部600bの内周面(内側面)とブラシ毛(毛束)が接触するのに対し、上側壁部600aと下側壁部600cの前方側部分では、周壁部600の内周面とブラシ毛とが接触しない構造となっている。
【0229】
具体的に説明すると、回転ブラシ本体141のブラシ毛は、図39(b)で示されるように、回転ブラシ本体141の本体部の軸方向を視線方向とした平面視において、本体部の径方向における中心位置を中心とし、半径の長さをL1とした仮想円S1の範囲内に位置することとなる。なお、L1は、本体部の径方向における中心位置から最も長いブラシ毛の突出端までの長さとする。
【0230】
ここで、回転ブラシ本体141の本体部の径方向における中心位置から周壁部600の内周面までの距離は、周壁部600の各部で異なっている。
つまり、上側壁部600aと下側壁部600cでは、いずれも同中心位置から内周面までの距離がL1よりも長い。
また、立壁部600bでは、同中心位置から立壁部600bの内周面(内側面)までの距離がL1よりも短くなっている。
【0231】
このことから、ブラシ毛が上方から前方側へ近づく方向で回転ブラシ本体141を回転(図39(b)で時計回りに回転)させると、ブラシ毛が下側壁部600cの前側部分には接触せず、下側壁部600cの後側部分を掠めるように移動する。
続いて、ブラシ毛が立壁部600bと接触しつつ移動する。このとき、ブラシ毛は、立壁部600bに押し当てられ、先端側周辺の部分が折れ曲がった状態のまま上方へ移動する。つまり、ブラシ毛の先端部分が立壁部600bに擦り付けられることとなる。
そして、ブラシ毛が上側壁部600aの内周面と接触せず前方側へ移動する。
【0232】
このことから、清掃動作等で回転ブラシ本体141を回転させたとき、ブラシ毛に付着した散薬を除去することが可能となっている。つまり、ブラシ毛をブラシ収納部595bの内壁部分(立壁部600b)に接触させつつ移動させ、同時に吸引動作を行うことで、ブラシ毛から散薬を落として吸引可能となっている。
【0233】
また、上記したように、下側壁部600cに折返し部605が形成されているので、仮にブラシ毛から落ちた散薬を吸引できず、散薬が下方に落下しても、下側壁部600cの上面から下方側への散薬の落下を阻止できる。つまり、自重によって下方側へ移動する散薬の下側壁部600cからの落下を阻止できる。
【0234】
上記したように、散薬分割領域10の2つの分配皿20の間となる部分には、薬剤を供給するための薬剤導入口25が形成されている(図2参照)。そして、この薬剤導入口25は、載置板部10aに対して導入用ホッパを取り付けて形成されている。
ここで、導入用ホッパは、図40(a)で示されるホッパ部材630であってもよい。
【0235】
ホッパ部材630は、略粉体漏斗状の部材であり、図2で示される導入用ホッパと同様に、上側に位置する導入側開口の開口面積が、下側に位置する排出側開口の開口面積よりも大きくなっている(図2図40参照)。そして、導入側開口と排出側開口の間には、下側に向かうにつれて窄まる空間であり、周壁によって囲まれた空間が形成され、導入された散薬が周壁の内周面を流れ、排出側開口に至る構造となっている。
【0236】
ここで、ホッパ部材630の裏面側に注目すると、ホッパ部材630の底部分には排出側開口と連なる散薬通過孔633が形成されている。そして、散薬通過孔633の下側の開口(図40(a)では上側)の周辺に、平面的に広がりを持つ面が形成されている。
【0237】
具体的に説明すると、ホッパ部材630の下側部分には、少なくとも下側部分の外形が略四角柱状となる取付用突起部635が形成されている。そして、この取付用突起部635は、下端側部分が散薬導入口636に嵌入可能な部分となっている。
そして、取付用突起部635の底面の中心部分及びその周辺に、散薬通過孔633の下側の開口が位置した状態となっている。つまり、散薬導入口636の内周面と接触する取付用突起部635の外側側面と、散薬通過孔633の下側の開口の間に平板状部分が位置している。
【0238】
このことから、ホッパ部材630に散薬を投入したとき、散薬通過孔633を経て下方側へ落下した散薬が何らかの理由により舞い上がってしまっても、図40(b)の矢印で示されるように、取付用突起部635の底面に当接させて落下させることが可能となる。
すなわち、取付用突起部635の側壁部分と散薬通過孔633の周辺部分の間に隙間が形成されるような構造とは異なり、散薬が隙間に嵌り込んだりせず、散薬を確実に下方側へ落下させることができる。なお、取付用突起部635を散薬導入口636の内側に挿入(嵌入)可能な大きさとはせず、散薬導入口636に挿入不可能な幅(太さ)を有するものとしてもよい。すなわち、取付用突起部635の底面の面積と散薬通過孔633の下側開口の開口面積の合計(底部分において外周縁に囲まれた部分の面積)が、散薬導入口636の開口面積よりも大きくなるように形成してもよい。この場合、取付用突起部635bの底面に散薬導入口636の周縁部分を当接させ、散薬通過孔633と散薬導入口636とを連通させてもよい。
【0239】
上記した実施形態では、斜め方向に突出する平板状のロック片形成部276c(図25参照)について説明したが、本発明はこれに限るものではない。
例えば、図41で示されるように、突出端側の部分を折り返すように湾曲させたロック形成片部650を形成してもよい。
【0240】
このロック形成片部650は、突出方向の長さを上記のロック片形成部276cよりも長く形成し、固定板部276aの上流側(図41(b)の左側)へ向かって湾曲させている。このことから、ロック形成片部650の上端側部分は、斜め上側(ロック形成片部650の全体の突出方向)へ向かって延びた後、上流側へ向かうように延び、さらに斜め下側へ向かって少しだけ延びている。
【0241】
したがって、ロック形成片部650には、掛止片挿入孔283の上側に隣接する位置、又は、掛止片挿入孔283からやや上方に離れた近接する位置から、上方へ向かって延び、その後、下方へと向かう湾曲面が形成されている。この湾曲面は、ロック形成片部650の上端部分に形成され、斜め上側に向かって凸となるように湾曲する面となっている。
【0242】
ここで、ロック機構部272をロック状態とするとき、上記したように、掛止片形成部292をロック形成片部650の上方から覆い被せるように近接させ、部材収納空間313の内部にロック形成片部650の上方側部分を収納させた状態とする。その上で、掛止突起315を掛止片挿入孔283に挿入してこれらを係合させる。
このとき、上記したロック片形成部276cの構造では、掛止突起315を掛止片挿入孔283に挿入していないにも関わらず、使用者が掛止突起315を挿入したものと思い込み、これらが係合していない状態で分包動作を実施してしまう可能性があった。
【0243】
そこで、本実施形態では、ロック形成片部650を上記の形状とし、掛止突起315が掛止片挿入孔283に挿入されていない場合、部材収納空間313にロック形成片部650の上側周辺が入り込んだ状態が維持されない(維持され難い)構造としている。
つまり、掛止片形成部292をロック形成片部650に覆い被せ、掛止突起315を掛止片挿入孔283に挿入せず、掛止片挿入孔283の上側に位置させた場合、掛止突起315がロック形成片部650の上側に形成される湾曲面と接触することとなる。そして、掛止突起315は、湾曲面上を滑るように移動した後、図41(b)で示されるように、湾曲面のうちで上流側よりの部分に載置された状態となる。このことから、使用者が上方側から目視したとき、掛止突起315と掛止片挿入孔283が係合していないことが即座に判別可能となる。
【0244】
ところで、上記した薬棚付包装装置351は、錠剤カセット棚350と薬剤包装装置1の双方又は一方に基板等の制御装置(図示しない)が内蔵される構造となっている。
そして、外部のデバイス(携帯電話、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット型PC、他の調剤用機器)と内蔵される制御装置とを互いに通信網を介してデータ(信号)を送受信可能な状態とし、薬剤提供業務支援システムを構築可能となっている。
なお、上記した制御装置と、上記デバイスの携帯電話、PC、タブレット型PC等は、CPU等の演算処理装置で構成される演算手段、メモリやハードディスク等の記憶媒体で構成される情報記憶手段を備えた構造となっている。さらに、データ(信号)を外部と送受信するためのインターフェース回路等によって構成される信号送受信手段を備えた構造となっている。
【0245】
このことから、例えば、外部のPCで処方に関するデータを入力した際、薬棚付包装装置351で使用するための処方に関するデータ(以下、単に処方データと称する)を作成し、この処方データに基づいて薬棚付包装装置351を稼働させてもよい。
【0246】
さらに、この処方データは、薬剤師等の薬棚付包装装置351の使用者が処方に関するデータを薬棚付包装装置351に直接入力して作成されるものであってもよい。
【0247】
また、この処方データには、薬剤を提供される患者に関する情報、処方された薬剤を特定する情報、薬剤を提供した日付に関する情報、服用日数に関する情報、服用時期に関する情報が含まれていてもよい。またこれらの情報を関連付けて形成される情報であってもよい。
さらに、上記した患者に関する情報には、患者ID、漢字や仮名文字で表される患者名、生年月日、住所、電話番号等のデータが含まれていてもよい。
また、上記した処方された薬剤を特定する情報には、薬剤ID、薬剤名、収納される錠剤容器360を特定する情報(カセットNоや容器ID等)、投与開始日(調剤日)、投与日数、投与量(使用量)、提供された包数等のデータが含まれていてもよい。また、薬剤の提供元を特定するためのデータ(機関名、施設名、部門名等であり、例えば、医療機関名、診療科名等)が含まれていてもよい。
さらに、その処方に基づいて、すでに薬棚付包装装置351で分包動作を実施したか否かを特定する情報が含まれていてもよい。
そして、上記した服用時期に関する情報は、提供された薬剤を朝、昼、夜のいずれに服用するかを特定する情報である。
【0248】
なお、薬棚付包装装置351や外部のデバイスの記憶手段には、容器取付部361に保持可能なそれぞれの錠剤容器360の在庫量(錠剤の収容量)に関する情報を記憶してもよい。すなわち、分包動作が実施される毎に処方データに基づいて在庫量を算出し、記憶させてもよい。
【0249】
ここで、薬棚付包装装置351は、上記したように、錠剤カセット棚350から薬剤包装装置1に錠剤を供給する際、容器取付部361に保持された錠剤容器360の内部から、その下方側に位置する錠剤供給装置362に錠剤を供給する(図29参照)。そして、錠剤供給装置362の内部で錠剤を搬送し、錠剤供給装置362の錠剤押出経路484から薬剤包装装置1に対して錠剤を供給する(図29参照)。
【0250】
このとき、錠剤供給装置362では、上記したように、上方から落下してきた錠剤が下側に位置する錠剤受止部365に導入される(図30参照)。そして、錠剤の導入位置に応じて異なる搬送経路を経て錠剤押出部368へ供給されることとなる。つまり、左右方向における中心周辺に錠剤が導入された場合、落下経路形成部367を経て錠剤押出部368に錠剤が供給される。これに対し、左右方向両端のいずれかよりの部分に錠剤が導入された場合には、左右2つの横搬送部366のいずれかの内部と落下経路形成部367を経て錠剤押出部368に錠剤が供給される。
【0251】
さらに具体的に説明すると、容器取付部361の上側部分では、図29で示されるように、錠剤容器360が行列状に並べられて収納されている。詳細には、6つの錠剤容器360が上下方向に並んで形成される錠剤容器360の列が11列形成されており、この錠剤容器360の列が左右方向に並んで配置されている。
【0252】
そして、容器取付部361の裏面側には、図42で示されるように、それぞれの錠剤容器360の列に対応する11の錠剤落下経路660(錠剤供給経路)が形成されている。すなわち、錠剤容器360の列の列数と同数の錠剤落下経路660が形成されている。
それぞれの錠剤落下経路660は、周壁に囲まれて上下方向に延びる空間を形成しており、それぞれ異なる錠剤容器360の列に対応している。そして、対応する錠剤容器360の列に属する1以上の錠剤容器360から供給される錠剤が落下するための経路を形成している。
【0253】
詳細に説明すると、例えば、最も右側に位置する錠剤容器360の列は(図29参照)、最も右側(図42では最も左側)に位置する錠剤落下経路660kに対応している。そして、この最も右側の列に属する錠剤容器360から供給される錠剤は、いずれの錠剤容器360から供給された場合でも、最も右側に位置する錠剤落下経路660kを経て錠剤供給装置362に供給される。同様に、右から2番目に位置する錠剤容器360の列は、右から2番に位置する錠剤落下経路660jに対応するといった具合に、それぞれ順次1対1に対応している。
【0254】
なお、左右方向で両端にそれぞれ位置する錠剤落下経路660b,660jには、内部を落下する錠剤の移動方向を規制する落下規制部662が設けられている。
この落下規制部662は、傾斜した姿勢で取り付けられる板状の部材であり、その上面は、左右方向における端部側から中央側に向かうにつれて下り勾配となる傾斜面となっている。そして、落下規制部662は、上面の上端側の部分が左右方向における端部よりの位置に配されている。つまり、落下規制部662は、錠剤落下経路660b,660jの内部空間又は下方に位置する空間(図42では下方に位置する空間)であり、錠剤が落下する空間を斜め方向に横切るように延びている。
このことから、錠剤落下経路660b,660jを落下した錠剤が落下規制部662の上に落下すると、その移動方向が変更され、より左右方向の中心よりの位置に落下することとなる。
【0255】
そして、中央に位置する錠剤落下経路660fを経て錠剤供給装置362に導入された錠剤は、落下経路形成部367を経て錠剤押出部368(図42では図示しない)に供給される。
対して、中央の錠剤落下経路660fよりも左右方向における一方側に位置する複数の錠剤落下経路660(錠剤落下経路660a乃至錠剤落下経路660e)のいずれかを経て錠剤供給装置362に導入された錠剤は、一方の横搬送部366に導入される。
さらに、中央の錠剤落下経路660fよりも左右方向における他方側に位置する複数の錠剤落下経路660(錠剤落下経路660g乃至錠剤落下経路660k)のいずれかを経て錠剤供給装置362に導入された錠剤は、他方の横搬送部366に導入される。
【0256】
ここで、横搬送部366の内部では、上記したように、薬剤受止溝部410のいずれかの位置に落下した錠剤を錠剤押出片部438で押圧する構造となっている(図33参照)。つまり、錠剤押出片部438を左右方向の端部側から中央側へ移動させることで、左右方向で異なる位置に落下するそれぞれの錠剤を落下経路形成部367側へ押圧する構造となっている。
【0257】
この押圧動作を実施する際、錠剤押出片部438は、最も左右方向の端部側に位置する錠剤落下経路660(錠剤落下経路660a又は錠剤落下経路660k)から供給される錠剤の落下位置よりも、さらに左右方向における端部側に離れた位置で待機する。
具体的に説明すると、左右方向の一方端側(図42における右側)に位置する横搬送部366では、最も左右方向の一方端側に位置する錠剤落下経路660aから供給される錠剤の落下位置よりも、さらに左右方向の一方端側の位置を基準待機位置としている。
そして、錠剤押出片部438が基準待機位置で待機した状態で錠剤を落下させた後、錠剤押出片部438を左右方向の中央側に移動させ、錠剤を押圧する動作が可能となっている。
なお、左右方向の他方端側(図42における左側)に位置する横搬送部366については、基本的な構造がこの一方端側に位置する横搬送部366と同様であるため、重複する詳細な説明を省略する。
【0258】
ここで、本実施形態の薬棚付包装装置351(錠剤カセット棚350)では、上記のように処方データに基づいて稼働させることで、錠剤押出片部438を基準待機位置とは異なる位置で待機させ、その後に錠剤を押圧する動作が可能となっている。この動作につき、以下で詳細に説明する。
【0259】
本実施形態の薬棚付包装装置351は、薬剤包装装置1に錠剤を供給する動作が開始されると、供給する錠剤が収納された錠剤容器360を特定する容器特定動作を実施する。
すなわち、処方データと、それぞれの錠剤容器360に取り付けられたRFIDタグに記憶されたデータに基づいて、行列状に並列配置される複数の錠剤容器360から供給する錠剤が収納された錠剤容器360を特定する。さらに、この供給する錠剤が収納される錠剤容器360が、容器取付部361のどの位置に配置されているかを特定する。
【0260】
なお、本実施形態では、それぞれの錠剤容器360に取り付けられたRFIDタグに、収容する薬品を特定するための情報(薬品名、種別等)が記憶されている。そして、薬棚付包装装置351の制御装置がこのRFIDタグの情報を参照することで、容器取付部361に収納されたそれぞれの錠剤容器360にいずれの錠剤が収納されているかを識別可能となっている。
ここで、このRFIDに記憶された情報は、容器特定動作の開始前に制御装置が参照し、制御装置の記憶手段に記憶してもよい。この場合、処方データと制御装置に記憶されたデータに基づいて容器特定動作を実施してもよい。また、処方データを作成する際、RFIDに記憶された情報を参照し、処方された錠剤(錠剤名等)とこの錠剤が収納される錠剤容器360を特定する情報とを関連付け、これらの双方を含む処方データを作成してもよい。この場合、処方データのみを参照して容器特定動作を実施してもよい。
【0261】
さらに容器特定動作の結果に基づいて、錠剤供給装置362に対して錠剤を供給する際に使用する錠剤落下経路660が特定され、さらに横搬送部366を使用するか否かが特定される。すなわち、横搬送部366を使用するか否か、使用するのであれば、どの横搬送部366を使用するかが特定される。つまり、2つの横搬送部366の双方を使用するのか、いずれか一方であればどちらの横搬送部366を使用するかが特定される。
【0262】
さらに、横搬送部366が使用される場合、使用対象となる横搬送部366に錠剤を供給する錠剤落下経路660のうち、最も左右方向における端部側に位置する錠剤落下経路660もまた特定される。言い換えると、錠剤押出片部438の移動方向において最も上流側に位置する錠剤落下経路660が特定される。
具体的に説明すると、例えば、図42の右側に位置する横搬送部366では、右端側が錠剤押出片部438の押し出し動作における移動方向で上流側であり、左端側が下流側となる。すなわち、最も上流側に位置する錠剤落下経路660aが、左右方向で最も端部側に位置する錠剤落下経路660となる。
反対に、図42の左側に位置するもう一方の横搬送部366では、左端側が錠剤押出片部438の移動方向で上流側であり、右端側が下流側となる。すなわち、最も上流側に位置する錠剤落下経路660kが、左右方向で最も端部側に位置する錠剤落下経路660となる。つまり、落下経路形成部367を挟んだ両側で、錠剤押出片部438の押し出し動作における移動方向が逆向きとなり、錠剤が押し出される落下経路形成部367側が移動方向の下流側となる。
【0263】
そして、上記の特定結果に基づいて錠剤押出片部438の待機位置を決定する待機位置決定動作が実施される。
例えば、図42(a)のように、左右方向で最も端部側に位置する錠剤落下経路660aから横搬送部366に錠剤を供給するのであれば、基準待機位置が錠剤押出片部438の待機位置となる。
【0264】
これに対して、図42(b)のように、左右方向で最も端部側に位置する錠剤落下経路660aから錠剤を供給せず、より左右方向の中央側に離れた錠剤落下経路660c,660eから錠剤を供給する場合、錠剤押出片部438の待機位置を変更する。
すなわち、横搬送部366に供給する錠剤を通過させる錠剤落下経路660のうち、最も左右方向における端部側(錠剤押出片部438の移動方向で上流側)に位置する錠剤落下経路660cが特定される。そして、特定された錠剤落下経路660cよりも左右方向における端部側であり、基準待機位置よりも左右方向における中央側となる位置が錠剤押出片部438の待機位置(変更待機位置)となる。
すなわち、左右方向で最も端部側に位置する錠剤落下経路660aから錠剤が供給されるか否かを判別し、判別の結果に基づいて錠剤押出片部438の待機位置を決定する動作を実施する。そして、錠剤押出片部438を決定した待機位置で待機させた後、錠剤を押し動かす動作を実施する。
【0265】
ここで、上記の待機位置を決定する動作では、変更待機位置を複数設定してもよい。
例えば、変更待機位置は、錠剤落下経路660b乃至錠剤落下経路660eのそれぞれよりもやや左右方向における端部側となる位置としてもよい。この場合、横搬送部366に供給する錠剤を通過させる錠剤落下経路660のうちで最も左右方向における端部側に位置するものを最上流側流路としたとき、最上流側流路よりも左右方向でやや端部側となる位置を変更待機位置とする。すなわち、左右方向で最も中央側に位置する錠剤落下経路660eが最上流側流路であるときは、この錠剤落下経路660eよりも左右方向でやや端部側となる変更待機位置とする。同様に、左右方向で中央側から2番目に位置する錠剤落下経路660dが最上流側流路であるとき、この錠剤落下経路660dよりも左右方向でやや端部側が変更待機位置となり、3番目以降についても同様となる。
【0266】
これに対し、変更待機位置は1つのみ設定してもよい。
例えば、変更待機位置は、特定の錠剤落下経路660cよりも左右方向における端部側となる位置としてもよい。この場合、上記の最上流側流路が特定の錠剤落下経路660cである場合と、特定の錠剤落下経路660cよりも左右方向で中央側に位置する錠剤落下経路660(錠剤落下経路660d,660e)である場合は、錠剤押出片部438が変更待機位置で待機する。対して、最上流側流路が錠剤落下経路660cよりも左右方向で端部側に位置する錠剤落下経路660(錠剤落下経路660a,660b)である場合は、錠剤押出片部438が基準待機位置で待機する。
【0267】
このように、変更待機位置は、一つのみ設定してもよく複数設定してもよい。すなわち、基準待機位置と、基準待機位置から最も左右方向における端部側に位置する変更待機位置までの間に錠剤が落下する場合、後錠剤押出片部438を基準待機位置で待機させればよい。また、特定の変更待機位置よりも下流側に錠剤が落下する場合、錠剤の落下位置の上流側に位置する変更待機位置のうち、最も下流側に位置する変更待機位置で錠剤押出片部438を待機させればよい。
また、上記の例では、錠剤落下経路660b,660jに落下規制部662を設けた例について説明したが、これに限らず、他の錠剤落下経路660に落下規制部662を適宜設けてもよい。すなわち、いずれの錠剤落下経路660に落下規制部662を設けてもよく、いずれの錠剤落下経路660に落下規制部662を設けないものとしてもよい。そして、変更待機位置は、落下規制部662の最下端付近よりも上流側となる位置であってもよい。なお、この落下規制部662を設けた位置を基準として、錠剤受止部365を区画してもよい。つまり、上記した連結部材配置部371や仕切部材372が形成される位置は、落下規制部662の鉛直方向上側となる位置から左右方向でずれた位置としてもよい。
【0268】
さらに、上記した待機位置決定動作を伴う錠剤の搬送動作は、処方データの服用時期に関する情報に基づいて実施してもよい。
例えば、所定の患者を対象に処方された薬剤のうち、朝に服用する薬剤と、昼に服用する薬剤と、夜に服用する薬剤を薬棚付包装装置351で順次分包していく動作を実施するとき、それぞれの分包動作で待機位置決定動作を伴う錠剤の搬送動作を実施してもよい。すなわち、錠剤を分包する分包動作を実施する毎に待機位置決定動作を伴う錠剤の搬送動作を実施してもよい。
【0269】
反対に、一の患者に処方された薬剤を分包し、他の患者に処方された薬剤を分包するといった具合に、複数の患者にそれぞれ処方された処方毎に分包動作を実施する場合、一つの処方を対象とした動作で一度のみの待機位置決定動作を実施してもよい。
すなわち、一つの処方を対象とした動作で朝、昼、夜に服用する薬剤をそれぞれ別途分包する場合のように、複数の分包動作を実施する場合、複数の分包動作で分包する全ての錠剤を対象として上記の最上流側流路を特定する動作を実施する。そして、特定した最上流側流路に基づいて錠剤押出片部438の待機位置を決定する。その上で、分包動作を順次実施していくとき、それぞれの動作で押し出し動作前の錠剤押出片部438の待機位置を決定した同一の位置にできる。つまり、複数の分包動作を対象として待機位置決定動作を実施し、予め実施した待機位置決定動作の結果に基づいて複数回の錠剤の搬送動作を実施してもよい。
【0270】
ところで、錠剤押出部368は、上記したように、収納用孔520の内部に錠剤が配された状態で、錠剤搬送装置474を直線移動させ、錠剤を搬送する構造となっている(図36参照)。
ここで、錠剤搬送装置474を前方(図36の右側)へ移動させ、錠剤を薬剤包装装置1側へ搬送する際、錠剤搬送装置474を高速で移動させた後、低速で移動させることが好ましい。すなわち、錠剤搬送装置474を規定位置で確実に停止させるため、移動開始から所定時間経過した錠剤搬送装置474の速度(所定距離だけ移動した錠剤搬送装置474の速度)を移動開始時よりも低速とすることが好ましい。
【0271】
さらには、錠剤搬送装置474を駆動させる駆動装置(モータ等)に対し、一時的に停止信号を発信することが好ましい。
具体的に説明すると、錠剤搬送装置474を前方側へ移動させる際、移動中に駆動装置を一旦停止させる動作を実施する。このとき、錠剤搬送装置474は慣性によりそのまま移動するので、錠剤搬送装置474が完全に停止するまでに駆動装置をより低出力(錠剤搬送装置474がより低速で移動するように)で再度駆動させる動作を実施する。このことにより、錠剤搬送装置474の移動中に駆動装置の出力を単に低下させる動作を実施させる場合と比べ、錠剤搬送装置474をより早く減速状態へ至らせることが可能となる。
【0272】
ところで、薬棚付包装装置351は、上記したように、最大66種の錠剤を錠剤容器360から薬剤包装装置1に供給可能なものとなっている。容器取付部361は、複数の個別設置部を有するものであり、それぞれの個別設置部が1つ1つの錠剤容器360を保持させる(保管する)ための部分となっている。すなわち、個別設置部の数は、保持可能な錠剤容器360の数と同数(66個)となっている。
【0273】
ここで、薬棚付包装装置351が運用される薬局等では、患者に提供する錠剤が日毎又は特定の期間毎に大きく異なることがある。このため、薬棚付包装装置351を効率よく運用するという観点から、容器取付部361に保持させる錠剤容器360を適宜変更することが好ましい。
そこで、本実施形態の薬棚付包装装置351では、図43で示される推奨カセット画面670(推奨容器提示画面)を操作表示部3に表示させることで、使用者による錠剤容器360の入れ替え作業を容易化可能となっている。
【0274】
推奨カセット画面670は、図43で示されるように、設置状況表示部675と、予定錠剤表示部676と、対象データ変更部677と、データ調整ボタン678と、リスト表示変更ボタン679と、終了ボタン680とが表示される画面である。すなわち、これらの各部分と各ボタンを同時に目視可能な状態で表示する画面となっている。
【0275】
この推奨カセット画面670では、予め入力により設定される又は自動で設定される指定期間内(詳しくは後述する)に、分包動作の対象となる可能性の高い錠剤を予定錠剤表示部676にリスト表示する。詳細には、それぞれの錠剤につき、錠剤を特定する情報(錠剤名であり、薬品名称)と同錠剤に関する情報(詳しくは後述する)とを関連する1つの情報(一行分のデータ)としてリスト表示する。このとき、予定錠剤表示部676には、容器取付部361に保持可能な錠剤容器360の数と同数(本実施形態では66)の錠剤がリスト表示される。さらに、リスト表示される錠剤のうち、容器取付部361に現在保持されている錠剤容器360に収容されていないものが強調表示されて表示される(例えば、図43における薬品10)。
なお、本実施形態における強調表示は、背景色を他とは異なる色で表示する表示である。
【0276】
これと同時に、設置状況表示部675には、現在の容器取付部361の状況を模式的に示す図が表示される。この図は、容器取付部361の複数の個別設置部を視覚的に表示する図であり、それぞれの個別設置部の全体における位置関係を示す図である。すなわち、容器取付部361において行列状に配置される個別設置部を示す図であり、それぞれの個別設置部を示す長方形状の枠が行列状に配置される図となっている。また、それぞれの枠内には取り付けられた錠剤容器360を識別するための数字(一意に割り振られる数字)が記載されている。
【0277】
そして、設置状況表示部675に表示される図では、それぞれの個別設置部が特定の条件を満たしたとき、この条件を満たした個別設置部に対応する部分を強調表示する。具体的には、個別設置部が交換可能状態、未取り付け状態、少量状態のいずれかである場合、それぞれ異なる色で強調表示を実施する。
【0278】
それぞれの条件について説明すると、「交換可能状態」であるとは、対象とする個別設置部に対し、予定錠剤表示部676にリスト表示されていない錠剤が収納された錠剤容器360が取り付けられている状態である。
また、「未取り付け状態」であるとは、対象とする個別設置部に対し、錠剤容器360が取り付けられていない状態である。
さらに、「少量状態」であるとは、対象とする個別設置部に対し、予定錠剤表示部676にリスト表示された錠剤を収納した錠剤容器360が取り付けられているものの、将来的に錠剤が不足することが予測される状態である。
具体的には、取り付けられている錠剤容器360に収納された錠剤の在庫量が、上記した指定期間に実施されることが予測される分包動作での使用量を下回っている状態である。
【0279】
以上のことから、使用者は、設置状況表示部675と予定錠剤表示部676とを見比べるだけで、どの錠剤容器360をいずれの個別設置部に取り付ければよいかや、どの錠剤を予め充填すべきかを簡単に把握することができる。
【0280】
ここで、本実施形態の薬棚付包装装置351は、設置状況表示部675と予定錠剤表示部676で上記した表示動作を実施するため、指定期間内に分包動作の対象となる可能性の高い錠剤を特定する使用錠剤予測動作を実施する。
この使用錠剤予測動作につき、各種ボタンの説明を交えつつ、以下で詳細に説明する。
【0281】
使用錠剤予測動作は、大別して、過去に分包実績のあるデータ(以下分包済データとも称する)と、推奨カセット画面670を表示する時点で分包動作が未実施であるデータ(以下未分包データとも称する)を対象として実施可能となっている。すなわち、処方データのうち、分包済データと未分包データのいずれかを対象として実施可能となっている。
そして、対象データ変更部677の各ボタンを操作することで、使用錠剤予測動作で対象とするデータの変更が可能となっている。
【0282】
具体的には、対となる2つのボタンの一方であるDоデータボタン677aを押下することで、分包済データを対象として使用錠剤予測動作が実施される。そして、設置状況表示部675や予定錠剤表示部676で上記した表示動作(以下、比較画面表示動作とも称する)が実施される。
対して、もう一方のボタンである分包モニタボタン677bを押下することで、未分包データを対象として使用錠剤予測動作が実施され、比較画面表示動作が実施される。
【0283】
さらに、使用錠剤予測動作で対象とするデータは、提供元指定ボタン677cを操作して機関等を指定することで、分包済データと未分包データのいずれかに対し、処方の発行元(機関、施設、部門等であり、以下、単に提供元とも称す)を基準とした絞り込みが可能となっている。
【0284】
使用錠剤予測動作では、分包済データを対象とする場合、患者に対して錠剤が処方されることが予測される日(以下、想定日とも称す)を特定する想定日特定動作を予め全患者に対して実施しておき、その後に、指定期間内に想定日が含まれる患者を特定する動作を実施する。そして、特定した患者に紐づくデータに基づき、指定期間内に分包動作の対象となる可能性の高い錠剤を特定する。未分包データを対象とする場合、想定日特定動作は行わず、未分包データに含まれる分包動作の対象となる錠剤を特定する。
【0285】
想定日特定動作では、それぞれの患者に処方された錠剤の投与開始日と、投与日数に関する情報に基づき、処方された錠剤が患者の手元から無くなる日を患者毎に算出しておく。すなわち、投与開始日に投与日数を加算することで、錠剤が患者の手元からなくなる日を算出する。そして、この処方された錠剤が患者の手元から無くなる日と同日又はこの日に所定期間を減算した日(例えば無くなる日の前日)を想定日とする。
【0286】
そして、指定期間に想定日が含まれる患者を抽出し、抽出したそれぞれの患者に対して想定日に提供される錠剤に関するデータを取得する。より詳細には、錠剤の種別、投与量、分包数を取得又は算出する。
なお、分包済データを対象とする場合、それぞれの患者に対して過去に処方された錠剤が想定日に再度提供されるものとする。
このことから、指定期間に分包動作が実施される可能性の高い錠剤が特定される。
【0287】
そして、この使用錠剤予測動作の結果に基づいて、上記した比較画面表示動作を実施する。すなわち、取得した情報又は取得した情報から算出した値に基づいて、比較画面表示動作を実施する。
なお、比較画面表示動作では、上記した予定錠剤表示部676におけるリスト表示の際、薬品名称(薬剤名)の他、カセットNо、登場回数、使用量、在庫量のそれぞれを表示している。
【0288】
「カセットNо」は、それぞれの錠剤を収納する錠剤容器360に割り振られた、錠剤容器360を一意に特定する番号である。
「登場回数」は、それぞれの錠剤につき、抽出したデータに対して指定期間内に提供される全てを分包したとき、その錠剤が含まれる分包動作が実施される回数である。
「使用量」は、それぞれの錠剤につき、抽出したデータに対して指定期間内に提供される総量である。
「在庫量」は、錠剤容器360に現在収容されているそれぞれの錠剤の量である。
【0289】
このとき、リスト表示変更ボタン679を押下することで、予定錠剤表示部676の表示の切り替えが可能となっている。すなわち、リスト表示変更ボタン679は、押下する毎に通常の表示状態と、強調表示されたものだけを表示する状態とを切り替え可能となっている。
【0290】
さらに、推奨カセット画面670では、データ調整ボタン678を操作することで、上記した指定期間の変更や、使用錠剤予測動作で使用する対象データの調整を実施するための画面を表示させることが可能となっている。
本実施形態では、データ調整ボタン678として、当日対象変更ボタン678aと想定日変更ボタン678bとが表示されている。
【0291】
当日対象変更ボタン678aを押下すると、データ調整用画面700(図44参照)が表示された状態となる。
データ調整用画面700は、図44で示されるように、期間表示部701と、データ表示部702と、繰越ボタン703と、日付変更ボタン704と、削除ボタン705と、戻るボタン706が表示される画面である。
【0292】
期間表示部701は、自動で設定された指定期間が表示される部分である。ここで表示される指定期間は、上記した使用錠剤予測動作、比較画面表示動作で使用される指定期間である。
【0293】
データ表示部702は、上記した使用錠剤予測動作で使用する対象データを患者毎にリスト表示する部分である。すなわち、一人の患者を特定する情報(患者名)と、この患者に関する情報(調剤日、想定日等)とを関連する1つの情報(一行分のデータであり、患者単位データとも称す)としてリスト表示する。
なお、このデータ表示部702で表示されるデータは、データ調整ボタン678(図43参照)の押下時に対象データ変更部677で指定していた条件に該当するデータが対象となる。
【0294】
繰越ボタン703は、データ表示部702の内外にそれぞれ表示されており、データ表示部702では、各患者単位データの一項目として表示されている。
そして、データ表示部702で表示されている繰越ボタン703を押下すると、繰越ボタン703を含む患者単位データの想定日にかかる項目を変更する。なお、データ表示部702で一以上の患者単位データを指定した状態(チェックボックスにチェックが入れた状態)とし、データ表示部702の外部に表示されている繰越ボタン703を押下した場合もまた、同様である。
具体的には、患者単位データに属する想定日の値を、期間表示部701に表示された指定期間の末日後(本実施形態では末日の翌日)となるように自動変更する。
【0295】
日付変更ボタン704は、繰越ボタン703と同様に想定日の値を変更するためのボタンである。
【0296】
削除ボタン705もまた、データ表示部702の内外にそれぞれ表示されている。
このボタンは、患者単位データを削除するためのボタンであり、データ表示部702で表示されている削除ボタン705を押下することで、削除ボタン705を含む患者単位データを削除する。なお、データ表示部702で一以上の患者単位データを指定した状態で、データ表示部702の外部に表示されている削除ボタン705を押下した場合も同様である。
【0297】
戻るボタン706は、データ調整用画面700の表示を終了し、推奨カセット画面670を表示させるボタンである。この戻るボタン706が押下されると、データ調整用画面700での操作が反映され、使用錠剤予測動作、比較画面表示動作が実施される。
【0298】
想定日変更ボタン678b(図43参照)を押下することで表示される画面は、期間表示部701(図44参照)に相当する部分で指定期間を手動入力できる点を除いて、データ調整用画面700と同様であるので、詳細な説明を省略する。
なお、データ調整ボタン678は、当日対象変更ボタン678aと想定日変更ボタン678bの二つのボタンに替わって、一つのみのボタンを表示してもよい。この場合、データ調整用画面700の期間表示部701で指定期間の手動入力を可能とした画面を表示させてもよい。このとき、表示される画面では、自動で設定される指定期間が表示された状態で初期表示されるものとし、使用者の操作により指定期間の変更を可能なものとしてもよい。
【0299】
なお、上記した例では、各画面を操作表示部3に表示した例を示したが、上記の各画面は、外部の表示装置のような位置入力装置を持たない液晶ディスプレイのような表示装置に表示してもよい。
そして、操作表示部3のような所謂タッチパネルに表示する場合、例えば、使用者が指やタッチペン等の操作用器具でボタン部分に触れることで、ボタンを押下する操作が実施される。対して、位置入力装置を持たない液晶ディスプレイのような表示装置に表示する場合には、公知の入力装置(マウス等)の操作に応じて移動するカーソルポインタを共に表示させる構造としてもよい。つまり、カーソルポインタを画面上でボタン部分に合わせた状態とし、入力装置側の所定ボタンを押下することで、ボタンを押下する操作が実施される構造としてもよい。このことは、以下で記載する表示装置に表示されるボタン部分についても同様である。
【0300】
上記したように、薬剤包装装置1の散薬供給装置21は、供給用トラフ270と加振装置を備えた構造となっている(図28参照)。そして、加振装置が稼働することで供給用トラフ270が振動する構造となっている。
ところで、分包動作において供給用トラフ270が振動していない状態、例えば、供給用トラフ270の振動が停止した後に分配皿20が回転している状態において、使用者が供給用トラフ270を振動させたくなる場合が考えられる。すなわち、何らかの理由で供給用トラフ270の上に僅かな散薬が残存し、それを使用者が見つけた場合等、使用者が手動で分配皿20に散薬を落下させたい状況が考えられる。
【0301】
このことから、操作表示部3や外部コンピュータの表示装置(ディスプレイ等)に表示されるいずれかの画面(入力画面、操作画面、設定画面等)にボタン部分をさらに表示し、このボタン部分の操作によって加振装置を稼働させ、供給用トラフ270が振動させる構造としてもよい。また、このボタン部分は、分包動作において供給用トラフ270の振動が停止してから分配皿20の回転が停止するまでの間だけ操作可能としてもよい。つまり、操作可能時のみボタン部分による操作で加振装置が稼働し、操作不可能時にはボタン部分が操作できない、又は、ボタン部分の操作に加振装置が反応しない構造としてもよい。さらに、操作可能時は適宜設定してもよく、例えば、清掃動作前のように上記以外の状況であっても適宜操作可能としてもよい。
【0302】
ここで、図7で示されるように、上記した先端ノズル部98のうち、基端側筒部106の外周面の一部には、ノズル側磁石部材800が取り付けられている。このノズル側磁石部材800は、公知の永久磁石によって形成される部材となっている。
さらに、図6で示されるように、先端ノズル部98を支持する支持体部101には、2つの磁気センサ801が取り付けられている。
この2つの磁気センサ801は、基端側筒部106の周方向で180度離れた位置に取り付けられており、2つの磁気センサ801の間に位置する空間で基端側筒部106が回転する構造となっている。
【0303】
そして、先端ノズル部98が待機時姿勢(図6(a)で示される姿勢)、清掃時姿勢(図6(b)で示される姿勢)であるとき、一方の磁気センサ801とノズル側磁石部材800とが基端側筒部106の径方向で重なる位置に配されることとなる。
ここで、先端ノズル部98は、取り外して清掃等を実施した後に再度取り付けられる場合がある。本実施形態の薬剤包装装置1では、使用者が規定姿勢と設定した姿勢(待機時姿勢や清掃時姿勢であり、本実施形態では清掃時姿勢)とは異なる姿勢で取り付けたとき、自動的に規定姿勢へ移行させる姿勢調整動作が可能となっている。
【0304】
具体的に説明すると、先端ノズル部98が規定姿勢で取り付けられなかった場合、ノズル側磁石部材800は、規定姿勢で取り付けられた場合と比べて基端側筒部106の周方向にずれた位置に取り付けられる。この状態から、上記した一方の磁気センサ801とノズル側磁石部材800とが基端側筒部106の径方向で重なる位置となるまで先端ノズル部98を回転させることで、先端ノズル部98を規定姿勢へと移行させる。
この姿勢調整動作は、先端ノズル部98を取り付けた後、上側蓋部5が閉じた状態へ移行したことを条件として実施してもよい。また、この姿勢調整動作における規定姿勢は、上記した姿勢に限らず適宜変更してよい。
【0305】
本実施形態の薬剤包装装置1では、上記した分配皿20を清掃対象とする各種清掃動作を実施可能となっている。すなわち、上記した分配皿20を清掃対象とする清掃動作のうちで少なくとも一つの動作を含む分配皿清掃動作を実施可能となっている。
また、薬剤包装装置1では、上記した掻出装置22を清掃対象とする各種清掃動作を実施可能となっている。すなわち、上記した掻出装置22を清掃対象とする清掃動作のうちで少なくとも一つの動作を含むスクリュー清掃動作を実施可能となっている。
これに加え、本実施形態の薬剤包装装置1は、散薬導入経路を清掃対象とする経路清掃動作が実施可能となっている。
【0306】
ここで、経路清掃動作で清掃対象となる散薬導入経路は、掻出装置22によって掻き出された散薬を包装装置(錠剤や散薬を一包分ずつ包装する内部機器)まで案内する経路である。そして、経路清掃動作は、具体的には、この散薬導入経路の少なくとも一部を清掃対象とする。すなわち、薬剤導入口25を形成する導入用ホッパ(図2の導入用ホッパやホッパ部材630)と、散薬導入口636を形成する部材(筒状の部材)の少なくとも一方を清掃対象とするものであってもよい。
そして、経路清掃動作は、導入用ホッパと近接する位置に配された図示しない加振部材により、導入用ホッパに振動を加える動作を含んでいてもよい。また、上記した吸引装置を稼働させることで、散薬導入経路に付着する残存散薬を吸引する動作を含んでいてもよい。
【0307】
ここで、本実施形態の薬剤包装装置1では、分包動作の実施後、分包動作で使用した分配皿20と、この分配皿20に対応づけられた掻出装置22と、散薬導入経路を清掃する清掃動作を実施している。すなわち、上記したスクリュー清掃動作、経路清掃動作、分配皿清掃動作を順次実施する連続清掃動作が可能となっている。
【0308】
さらに、本実施形態の薬剤包装装置1では、連続して分包動作を実施する場合、このスクリュー清掃動作、経路清掃動作、分配皿清掃動作の実行順序を適宜変更してこの連続清掃動作を実行可能となっている。この動作につき、図45を参照しつつ詳細に説明する。
【0309】
まず、先行して実施する分包動作が実行されたとき、この分包動作の終了後に実施される連続清掃動作の開始前までの間に、次に実行する分包動作に関する処方データが入力されたか否かを判別する判別動作を実施する(Step1)。具体的には、連続清掃動作で最初に実行するスクリュー清掃動作(掻出装置22を清掃する動作)の開始前までに、この処方データが入力されたか否かを判別する。
【0310】
ここで、処方データが入力されなかった場合(Step1でNoの場合)、実行順序を変更せず(Step5)、通常と同じくスクリュー清掃動作、経路清掃動作、分配皿清掃動作の順で清掃動作を実施する(Step6)。
【0311】
対して、処方データが入力された場合(Step1でYesの場合)には、先行して実行された分包動作が、片側の分配皿20のみを使用する分包動作であるのか否かを判別する判別動作を実施する(Step2)。
【0312】
そして、片側の分配皿20のみを使用する分包動作が実施された場合(Step2でYesの場合)には、続いて実施する分包動作がいずれか一方の分配皿20を連続して使用する分包動作であるのか否かを判別する(Step3)。
【0313】
すなわち、いずれか一方の分配皿20のみを使用する分包動作を先行して実施した後、同じ分配皿20のみを使用する分包動作を実施する場合(Step2でYesであり、Step3でYesの場合)には、清掃動作の実行順序を変更する(Step4)。
対して、いずれか一方の分配皿20のみを使用する分包動作を実施した後、他方の分配皿20のみを使用する分包動作を実施する場合(Step2でYesであり、Step3でNoの場合)には、動作の実行順序を変更しない(Step5)。
【0314】
すなわち、一方の分配皿20を連続使用する場合には、後行の分包動作でいち早く分配皿20に散薬を供給可能とすべく、分配皿20を先行して清掃するように清掃動作の実行順序を変更する(Step4)。具体的には、スクリュー清掃動作、分配皿清掃動作、経路清掃動作の順となるように実行順序を変更し(Step4)、清掃動作を実施する(Step6)。
対して、一方の分配皿20と他方の分配皿20を順次使用する場合には、後行の分包動作でも使用する散薬導入経路を先行して清掃することが好ましいので、清掃動作の実行順序を変更せず(Step5)、清掃動作を実施する(Step6)。
【0315】
なお、先行して実行された分包動作が、双方の分配皿20を使用する分包動作であった場合(Step2でNoの場合)もまた、清掃動作の実行順序を変更し(Step4)、清掃動作を実施する(Step6)。
いずれの場合も、上記のように清掃動作が実施されることで、先行して実施した分包動作で使用された掻出装置22、分配皿20、散薬導入経路が清掃される。
【0316】
また、本実施形態の薬剤包装装置1では、散薬供給装置21(図28参照)の供給装置蓋部21bを自動的に回動させる動作が可能となっている。すなわち、図示しないモータ等の駆動機構により、供給装置蓋部21bを自動的に回動させる動作が可能となっている。ここで、図23で示されるように、ホッパ261は、供給装置蓋部21bに載置されている(取り付けられている)。このため、供給装置蓋部21bを回動させることで、ホッパ261の下面と供給用トラフ270の間に形成される隙間(図28等参照)の大きさを調整することができる。つまり、本実施形態の薬剤包装装置1は、ホッパ261と供給用トラフ270の間に形成される隙間の大きさ(ホッパ開閉レベル)を調整することで隙間を通過する散薬の流量を調整する隙間調整動作が可能となっている。
【0317】
この隙間調整動作は、操作パネル7を操作することで実行される動作であってもよい。すなわち、操作パネル7において、操作ボタンとして機能する領域(以下、単に操作ボタンとも称する)をさらに設け(図示しない)、この領域をホッパ開閉レベル変更ボタンとし、押下することで隙間調整動作が実行される構造としてもよい。
なお、操作パネル7に新たに設けた操作ボタン、又は、操作パネル7のいずれかの部分を押下することで、速度変更部255とホッパ開閉レベル変更ボタンとが切り替わるように表示されてもよい。すなわち、これらの一方が表示されて他方が表示されない状態と、一方が表示されず他方が表示される状態を切り替え可能としてもよい。
【0318】
また、本実施形態の散薬供給装置21は、図28で示されるように、載置台形成板部271aに対し、取り付け部材を介して圧電素子805が取り付けられている。すなわち、供給装置本体部21aは、電圧が加えられることで振動する圧電素子805を備えた構造となっており、圧電素子805を振動させることで、供給用トラフ270を振動させる動作を実施可能となっている。
さらに供給装置蓋部21bの内部には、蓋側加振部材806が取り付けられている。本実施形態では、この蓋側加振部材806として、公知のソレノイドを採用しており、このソレノイドの可動鉄心で供給装置蓋部21bの内側を繰り返し叩くことで、ホッパ261を振動させる動作を実施可能となっている。
つまり、本実施形態の薬剤包装装置1では、圧電素子805と蓋側加振部材806を稼働させることで、供給用トラフ270とホッパ261を振動させる供給装置の振動動作を実行可能となっている。
【0319】
この供給装置の振動動作は、操作パネル7を操作することで実行される動作であってもよい。すなわち、操作パネル7に新たな操作ボタンである振動操作ボタン(図示しない)を設け、散薬供給装置21(供給用トラフ270とホッパ261)が振動していないときに押下することで、供給装置の振動動作が実行される構造としてもよい。
【0320】
さらに、上記した各種清掃動作は、操作パネル7を操作することで実行される動作としてもよい。すなわち、操作パネル7に一又は複数の新たな操作ボタンを設け(図示しない)、これらを清掃ボタン又は第1乃至第N清掃ボタンとし、押下することで、対応づけられた清掃動作が実施される構造としてもよい。
【0321】
また、上記した実施形態の操作パネル7は、2つの分配皿20のそれぞれを示す第一ボタン807と、第二ボタン808が設けられている。ここで、これら第一ボタン807と、第二ボタン808は、押下することで複数の規定動作のいずれかを実行するものとしてもよい。
【0322】
例えば、第一ボタン807に対応付けられた一方の分配皿20への散薬供給中に、第一ボタン807を押下する(所定時間より短い時間だけ押下する)ことで、この分配皿20に対応付けられた散薬供給装置21の隙間調整動作が実施される構造としてもよい。同様に、この分配皿20への散薬供給中に、第一ボタン807を所定時間以上に亘って押下する(長押しする)ことで、この分配皿20に対応付けられた散薬供給装置21において、上記した供給装置の振動動作が実施される構造としてもよい。さらに、第一ボタン807に対応付けられた一方の分配皿20を使用する分包動作が実施されていない状態で、第一ボタン807を押下することにより、上記した各種清掃動作のうちで規定された一又は複数の清掃動作を実施する構造としてもよい。すなわち、第一ボタン807に対応付けられた一方の分配皿20や、この分配皿20に対応付けられた機器を清掃対象とする各種清掃動作を実施してもよい。
つまり、第一ボタン807は、押下される状況や時間によって、対応付けられた分配皿20、及び/又はこの分配皿20に対応付けられた機器を対象とする各種動作を実施してもよい。なお、このことは第二ボタン808もまた同様であり、重複する説明を省略する。
【符号の説明】
【0323】
1;薬剤包装装置、3;操作表示部(表示装置)、13;薬包体搬送装置(搬送装置)、14;薬包体、20;分配皿、20a;散薬投入溝(環状溝)、21;散薬供給装置、21a;供給装置本体部、22;掻出装置、23,145;皿下清掃装置(下側清掃装置)、24;皿上清掃装置(上側清掃装置)、31;掻寄板、43;掻出用清掃装置、53;非収納領域、98;先端ノズル部、100;ノズル回動装置(回動機構部)、109;堰止板部、109a;ヘラ状部、110;吸引口形成板部、126;吸引口部、130;円盤挿入孔(板挿入孔)、141;回転ブラシ本体(回転体)、146;飛散防止板、147;散薬受皿部材、148;受止用空間、160;一次搬送部、161;二次搬送部、165;第1搬送コンベア(コンベア部)、166;第2搬送コンベア(コンベア部)、167;押さえローラ部、180;第1押さえローラ(押さえローラ)、181;第2押さえローラ(押さえローラ)、182;第3押さえローラ(押さえローラ)、210;本体部材(本体部)、211;蓋部材(蓋部)、215;本体側挟持部(挟持部)、218;縦搬送用ベルト部材(ベルト部材)、220;蓋側挟持部(挟持部)、220a;ローラ部材(挟持用ローラ)、225;モータ(動力生成手段)、270;供給用トラフ(トラフ部材)、272;ロック機構部(第1本体側係合部)、276b;掛止片部(第2トラフ側係合部、掛止片)、283;掛止片挿入孔(第1トラフ側係合部)、284;掛止用孔(第2本体側係合部、受け部)、290;取付片形成部(第2構成体)、291;中間連結部(連結体)、292;掛止片形成部(第1構成体)、302;バネ部材(弾性部材)、313;部材収納空間(収納空間)、315;掛止突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45