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  • 特許-点灯装置、光源ユニット及び照明器具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】点灯装置、光源ユニット及び照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/37 20200101AFI20230929BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230929BHJP
   F21S 8/04 20060101ALI20230929BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20230929BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230929BHJP
【FI】
H05B45/37
F21S2/00 230
F21S8/04 130
F21Y103:10
F21Y115:10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019120586
(22)【出願日】2019-06-27
(65)【公開番号】P2021007068
(43)【公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長田 暁
(72)【発明者】
【氏名】上畑 義泰
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 将人
(72)【発明者】
【氏名】平山 克利
(72)【発明者】
【氏名】滝北 久也
(72)【発明者】
【氏名】二階堂 和宏
(72)【発明者】
【氏名】林 洋平
(72)【発明者】
【氏名】山本 真史
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-021117(JP,A)
【文献】特開2014-103002(JP,A)
【文献】特開2017-050086(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0327835(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102467885(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
F21S 2/00
F21S 8/04
F21Y 103/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷である光源に対して直流の負荷電流を供給するコンバータ回路と、
前記コンバータ回路が備えるスイッチング素子をスイッチング制御する制御回路と、
前記負荷電流を定電流化する定電流回路と、
前記制御回路に動作用の制御電源電圧を供給する制御電源回路と、
上限を超える過電流が前記スイッチング素子に流れていることを検出する過電流検出回路と、
を備え、
前記コンバータ回路は、出力コンデンサで平滑した前記負荷電流を出力し、
前記制御電源回路は、前記スイッチング素子のスイッチングによって生じる誘導起電圧を整流し、かつ、コンデンサで平滑するように構成され、
前記制御回路は、前記過電流が流れていることを前記過電流検出回路が検出した場合に前記スイッチング素子のスイッチング制御を停止し、
前記定電流回路は、前記制御回路が前記スイッチング素子のスイッチング制御を停止した後も前記出力コンデンサから放電される前記負荷電流を定電流化する動作を継続する、
点灯装置。
【請求項2】
前記制御回路及び前記定電流回路は、一つ以上の集積回路に集積化されて単一のパッケージに収容されている、
請求項記載の点灯装置。
【請求項3】
前記過電流検出回路は、前記制御回路及び前記定電流回路とともに集積回路に集積化されて前記パッケージに収容されている、
請求項記載の点灯装置。
【請求項4】
前記制御回路、前記定電流回路及び前記過電流検出回路は、一つの集積回路に集積化されている、
請求項記載の点灯装置。
【請求項5】
請求項1~のいずれかの点灯装置と、
前記点灯装置によって点灯させられる光源と、
を備える、
光源ユニット。
【請求項6】
請求項の光源ユニットと、
前記光源ユニットを支持する器具本体と、
を備える、
照明器具
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点灯装置、光源ユニット及び照明器具に関する。より詳細には、本開示は、シングル・ステージ・コンバータを備えて光源を点灯させる点灯装置、前記点灯装置と前記光源を備える光源ユニット、及び当該光源ユニットを有する照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
点灯装置の従来例として、特許文献1記載の多直列LED駆動回路(以下、従来例という。)を例示する。従来例は、商用交流電源を全波整流して得られる直流電源を、スイッチング制御方式のDC-DCコンバータで電圧変換して多直列LEDに供給することにより、多直列LEDを定電流で通電駆動する。従来例におけるDC-DCコンバータは、SEPIC(Single Ended Primary Inductance Converter)タイプのコンバータ回路、コンバータ回路のスイッチング素子をスイッチング制御するPFC回路(制御装置)などを備える。
【0003】
また、従来例は、出力電圧が所定以上になったか否かを検出する過電圧検出回路を備え、この過電圧検出回路が所定以上の電圧を検出したときに、PFC回路を介して出力電圧を抑制するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-82204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来例では、例えば、多直列LEDに断線故障が生じて出力電圧が上昇した場合、過電圧検出回路が出力電圧の上昇を検出してPFC回路を介して出力電圧を抑制することができる。しかしながら、従来例では、DC-DCコンバータのスイッチング素子に過電流が流れたときに多直列LED駆動回路(点灯装置)を保護することができない。
【0006】
本開示の目的は、過電流からの保護を図ることができる点灯装置、光源ユニット及び照明器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る点灯装置は、負荷である光源に対して直流の負荷電流を供給するコンバータ回路と、前記コンバータ回路が備えるスイッチング素子をスイッチング制御する制御回路とを備える。前記点灯装置は、前記負荷電流を定電流化する定電流回路と、前記制御回路に動作用の制御電源電圧を供給する制御電源回路と、上限を超える過電流が前記スイッチング素子に流れていることを検出する過電流検出回路とを備える。前記コンバータ回路は、出力コンデンサで平滑した前記負荷電流を出力する。前記制御電源回路は、前記スイッチング素子のスイッチングによって生じる誘導起電圧を整流し、かつ、コンデンサで平滑するように構成される。前記制御回路は、前記過電流が流れていることを前記過電流検出回路が検出した場合に前記スイッチング素子のスイッチング制御を停止する。前記定電流回路は、前記制御回路が前記スイッチング素子のスイッチング制御を停止した後も前記出力コンデンサから放電される前記負荷電流を定電流化する動作を継続する。
【0008】
本開示の一態様に係る光源ユニットは、前記点灯装置と、前記点灯装置によって点灯させられる光源とを備える。
【0009】
本開示の一態様に係る照明器具は、前記光源ユニットと、前記光源ユニットを支持する器具本体とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示の点灯装置、光源ユニット及び照明器具は、過電流からの保護を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の実施形態に係る照明器具及び光源ユニットの斜視図である。
図2図2は、同上の照明器具及び光源ユニットの分解斜視図である。
図3図3は、本開示の実施形態に係る制御装置及び点灯装置の回路構成図である。
図4図4は、同上の制御装置の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態に係る点灯装置、光源ユニット及び照明器具について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0013】
まず、本開示の実施形態に係る照明器具3(以下、照明器具3と略す。)について、図1及び図2を参照して説明する。
【0014】
照明器具3は、図1及び図2に示すように、本開示の実施形態に係る光源ユニット2(以下、光源ユニット2と略す。)と、光源ユニット2を支持する器具本体4とを備える。光源ユニット2は、天井に直付けされる器具本体4に着脱可能に取り付けられる。ただし、器具本体4は、天井に埋め込まれてもよいし、あるいは、壁に直付けされてもよいし、壁に埋め込まれてもよい。
【0015】
器具本体4は、下面が開放された矩形箱状の収容部40と、収容部40の長手方向に沿った両側の開口端縁より斜め上向きに突出する一対の反射板41と、収容部40及び一対の反射板41の長手方向の両端に設けられた一対のエンド板42とを備える(図2参照)。器具本体4は、収容部40の底面に設けられている複数の取付孔400のうちの少なくともいずれか二つの取付孔400に吊りボルト(不図示)がそれぞれ挿通され、それらの吊りボルトにナット(不図示)が締め付けられることで天井に設置される。また、収容部40の底面に設けられている複数の電源孔401のうちのいずれか一つの電源孔401に電源線が挿通される。電源孔401に挿通された電源線は、端子台402を介して、点灯装置1と電気的に接続される。
【0016】
光源ユニット2は、図2に示すように、本開示の実施形態に係る点灯装置1(以下、点灯装置1と略す。)と、点灯装置1によって点灯させられるLEDモジュール22とを備えている。また、光源ユニット2は、取付部材21とカバー23を更に備えている。
【0017】
LEDモジュール22は、多数のLED220と、基板221とを備えている。基板221は、長尺の矩形板状に形成されている。多数のLED220は、基板221の表面(下面)における短手方向の中央に、基板221の長手方向に沿って等間隔かつ一列に並べて実装されている。
【0018】
取付部材21は、金属板によって長尺の角樋状に形成されている。取付部材21は、長尺の矩形板状の底板210と、底板210の長手方向に沿った両端から上向きに立ち上がる一対の側板211とを有している。LEDモジュール22は、底板210から切り起こされている複数の爪によって底板210の下面に取り付けられている。なお、LEDモジュール22は、不図示の電線によって点灯装置1の出力用のコネクタと電気的に接続される。
【0019】
カバー23は、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂によって半円筒形状に形成されている。また、カバー23は、長手方向に沿って上向きに突出する一対の突壁233を有している。カバー23は、一対の突壁233の間に取付部材21を収容し、取付部材21の一対の側板211の先端(上端)に、一対の突壁233の先端(上端)に形成されている引掛部が引っ掛けられることで取付部材21に取り付けられる。
【0020】
点灯装置1は、プリント回路板19と、プリント回路板19を収容するケース18とを有する。プリント回路板19は、制御装置5を含む種々の電子部品が長方形状のプリント配線板に実装されて構成されている。ケース18は、金属板により、一面(下面)が開口した長尺の矩形箱状に形成されている。ケース18は、プリント回路板19を収容し、開口面を底板210の下面に向けるようにして取付部材21に固定される。なお、ケース18は、取付部材21に固定された状態において、取付部材21と電気的に接続されている。さらに、取付部材21は、光源ユニット2が器具本体4に取り付けられた状態において器具本体4と電気的に接続されている。したがって、点灯装置1のケース18は、取付部材21を通して器具本体4と電気的に接続される。
【0021】
点灯装置1の回路構成を図3に示す。点灯装置1は、整流回路10、コンバータ回路11、制御電源回路12、制御装置5などを備えている。
【0022】
整流回路10は、ダイオードブリッジからなる。整流回路10は、商用電力系統などの交流電源9から供給される交流電圧を全波整流する。整流回路10の一対の脈流出力端にコンバータ回路11が電気的に接続されている。なお、整流回路10の低電位側の脈流出力端は、グランドと電気的に接続されている。
【0023】
コンバータ回路11は、電圧変換と力率改善を並行して行うことが可能なシングル・ステージ・コンバータ(ワン・コンバータとも呼ばれる。)を有している。具体的には、コンバータ回路11は、SEPICタイプのDC/DCコンバータ回路を有している。
【0024】
コンバータ回路11は、整流回路10から出力される脈流電圧を平滑する入力コンデンサC1を備えている。コンバータ回路11は、スイッチング素子Q1、第1インダクタL1、第2インダクタL2、コンデンサC2、ダイオードD1、抵抗器R1及び出力コンデンサC3を更に備えている。ただし、第1インダクタL1と第2インダクタL2は、同じ鉄心に巻き回されていてもよいし、それぞれ別の鉄心に巻き回されていてもよい。第1インダクタL1の第1端が入力コンデンサC1の高電位側の第1端と電気的に接続されている。第1インダクタL1の第2端がコンデンサC2の第1端と電気的に接続されている。コンデンサC2の第2端がダイオードD1のアノード及び第2インダクタL2の第1端と電気的に接続されている。ダイオードD1のカソードが出力コンデンサC3の正極と電気的に接続されている。出力コンデンサC3の負極及び第2インダクタL2の第2端が入力コンデンサC1の低電位側の第2端(グランド)と電気的に接続されている。スイッチング素子Q1は、エンハンスメント形のNチャネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。スイッチング素子Q1のドレインが第1インダクタL1の第2端及びコンデンサC2の第1端と電気的に接続されている。スイッチング素子Q1のソースが抵抗器R1を介して入力コンデンサC1の低電位側の第2端と電気的に接続されている。また、第2インダクタL2の第2端及び出力コンデンサC3の負極が入力コンデンサC1の低電位の第2端と電気的に接続されている。なお、出力コンデンサC3の正極がLEDモジュール22の正極と電気的に接続され、出力コンデンサC3の負極が、負荷電流Ifを計測するための抵抗器Rxを介してLEDモジュール22の負極と電気的に接続されている。
【0025】
コンバータ回路11は、後述するようにスイッチング素子Q1がスイッチング制御されることにより、入力コンデンサC1で平滑された直流の入力電圧(例えば、141Vの直流電圧)を所望の直流電圧(例えば、30V~60V程度の直流電圧)に降圧する。なお、コンバータ回路11の出力電圧(所望の直流電圧)は、LEDモジュール22の点灯開始電圧以上の直流電圧である。
【0026】
制御電源回路12は、補助巻線L3、抵抗器R2、ダイオードD2及びコンデンサC4を有している。補助巻線L3は、コンバータ回路11の第2インダクタL2と磁気結合されている。補助巻線L3の第1端が抵抗器R2の第1端と電気的に接続され、補助巻線L3の第2端が入力コンデンサC1の低電位側の第2端と電気的に接続されている。抵抗器R2の第2端がダイオードD2のアノードと電気的に接続されている。ダイオードD2のカソードがコンデンサC4の第1端と電気的に接続されている。コンデンサC4の第2端が入力コンデンサC1の低電位側の第2端と電気的に接続されている。
【0027】
制御電源回路12は、コンバータ回路11の起動後、補助巻線L3に誘起される電圧を抵抗器R2、ダイオードD2及びコンデンサC4で整流平滑することにより、コンデンサC4の両端から直流の制御電源電圧Vccを出力する。そして、制御装置5は、制御電源回路12から供給される制御電源電圧Vccによって動作する。
【0028】
次に、制御装置5について説明する。制御装置5は、コンバータ回路11のスイッチング素子Q1をスイッチング制御する制御回路50と、負荷電流If(LEDモジュール22に流れる順方向電流)を定電流化する定電流回路51と、過電流検出回路とを備える。制御装置5は、調光制御回路52、エラーアンプ53、起動回路54及び起動オン・オフ回路55を更に有する。
【0029】
制御回路50は、コンバータ回路11のスイッチング素子Q1のゲートに駆動電圧Vgを印加することによってスイッチング素子Q1をスイッチング制御する。エラーアンプ53は、LEDモジュール22の負極の電圧と基準電圧Vstの差分を増幅し、増幅した差分の電圧(フィードバック電圧)を制御回路50に出力する。制御回路50は、エラーアンプ53から入力されるフィードバック電圧をゼロに近付けるように駆動電圧Vgのデューティ比を調整する。つまり、制御回路50は、LEDモジュール22に一定の電圧(LEDモジュール22の点灯開始電圧以上の電圧)を出力するようにコンバータ回路11のスイッチング素子Q1をスイッチング制御している。
【0030】
調光制御回路52は、信号線などの通信媒体を介して伝送されるPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)信号を調光信号に信号変換して定電流回路51に出力する。PWM信号は、調光レベルをデューティ比に置き換えた電圧信号である。調光レベルは、点灯装置1がLEDモジュール22に供給する負荷電流Ifの電流値に対応している。負荷電流Ifの電流値がLEDモジュール22の定格電流の電流値に等しいときの調光レベルを100%としている。そして、調光レベルとPWM信号のデューティ比には、以下のような関係がある。すなわち、デューティ比が0~5%のときに調光レベルを100%とし、かつ、デューティ比が98%以上(ただし、100%を除く。)のときに調光レベルを5%(下限値)とする。そして、デューティ比が5~98%のとき、調光レベルは、デューティ比の増加に対して一定の割合で減少する。ただし、デューティ比が100%のときに調光レベルを0%、つまり、LEDモジュール22を消灯させる。
【0031】
調光制御回路52は、PWM信号のデューティ比が0~5%のときに電圧値を最大値とした調光信号(直流の電圧信号)を出力し、PWM信号のデューティ比が100%のときに調光信号の電圧値をゼロとする。そして、調光制御回路52は、PWM信号のデューティ比が5%~98%のときに、デューティ比に逆比例した電圧値の調光信号を出力する。
【0032】
定電流回路51は、オペアンプ510と、電圧・電流変換回路511と、カレントミラー回路512とを有している。
【0033】
オペアンプ510は、帰還抵抗(抵抗器R12)及び入力抵抗(抵抗器R11)とともに差動増幅器を構成している。差動増幅器(オペアンプ510)は、調光制御回路52から入力される調光信号と、抵抗器Rxの両端電圧(負荷電流Ifに比例した電圧)との差分の電圧(差分電圧Vd)を増幅して出力する。
【0034】
電圧・電流変換回路511は、オペアンプ510から出力される差分電圧Vdを電流に変換する。電圧・電流変換回路511の出力電流は、差分電圧Vdに比例する。
【0035】
カレントミラー回路512は、二つのトランジスタTR1、TR2で構成されている。二つのトランジスタTR1、TR2はそれぞれ、エンハンスメント形のNチャネルMOSFETである。ただし、二つのトランジスタTR1、TR2はそれぞれ、バイポーラトランジスタであっても構わない。トランジスタTR1のドレインは、電圧・電流変換回路511の出力端及びトランジスタTR1、TR2のそれぞれのゲートと電気的に接続されている。トランジスタTR2のドレインは、LEDモジュール22の負極と電気的に接続されている。各トランジスタTR1、TR2のソースは、抵抗器Rxを介してグランドと電気的に接続されている。
【0036】
しかして、カレントミラー回路512は、トランジスタTR2のドレイン電流、つまり、LEDモジュール22に流れる負荷電流Ifを電圧・電流変換回路511の出力電流(目標電流)に等しくするように動作する。
【0037】
上述のように定電流回路51は、LEDモジュール22に流す負荷電流Ifを、PWM信号で指示される調光レベルに応じた目標電流に一致させるように動作する。ただし、定電流回路51は、カレントミラー回路512の代わりにトランジスタ増幅回路を有しても構わない。
【0038】
起動回路54は、交流電源9が交流電圧の供給を開始してからコンバータ回路11の出力電圧が安定するまでの間、制御電源回路12に代わって制御電源電圧Vccを作成する。
【0039】
起動オン・オフ回路55は、起動回路54の動作をオン・オフ制御する。起動オン・オフ回路55は、交流電源9が交流電圧の供給を開始してからコンバータ回路11の出力電圧が安定するまでの間、起動回路54を動作させる。
【0040】
制御装置5は、交流電源9が交流電圧の供給を開始したとき、起動回路54の動作期間において負荷電流Ifを定格値よりも少なくするように定電流回路51を制御することが好ましい。制御装置5が上述のように動作することにより、起動回路54の出力電流と定電流回路51の出力電流(負荷電流If)が同時に最大値付近まで増加することを回避できる。ただし、制御装置5は、PWM信号で指示される調光レベルが0%の状態(LEDモジュール22が消灯した状態)から数十%~100%の任意の調光レベルに立ち上がった場合にも同様に動作することが好ましい。
【0041】
過電流検出回路は、コンパレータ56を有する。コンパレータ56は、スイッチング素子Q1のソース電流に比例した抵抗器R1の両端電圧をしきい値電圧Vthと比較している。コンパレータ56は、抵抗器R1の両端電圧がしきい値電圧Vth未満のときはローレベルの電圧を出力し、抵抗器R1の両端電圧がしきい値電圧Vth以上のときはハイレベルの電圧を出力する。制御回路50は、コンパレータ56からハイレベルの電圧が入力されている場合、駆動電圧Vgの出力を中止することでコンバータ回路11を停止させる。つまり、何らかの原因でスイッチング素子Q1に過電流が流れ、当該過電流を過電流検出回路(コンパレータ56)が検出した場合、制御装置5がコンバータ回路11を停止させることにより、点灯装置1を過電流から保護している。なお、制御回路50は、コンパレータ56の出力電圧がローレベルに復帰すれば、駆動電圧Vgの出力を再開してコンバータ回路11を動作させることが好ましい。
【0042】
また、定電流回路51は、コンパレータ56からハイレベルの電圧が出力されている場合においても、負荷電流Ifを定電流化する動作を継続することが好ましい。つまり、点灯装置1は、コンバータ回路11が停止した後も出力コンデンサC3から放電電流(負荷電流If)が供給されている間、定電流回路51の動作を継続することでLEDモジュール22を点灯させることが好ましい。
【0043】
ここで、制御装置5において、制御回路50及び定電流回路51は、一つ以上の集積回路に集積化されて単一のパッケージ6に収容されている(図3及び図4参照)。パッケージ6は、電気絶縁性を有する材料(例えば、合成樹脂)によって長方形の箱状に形成されている(図4参照)。また、パッケージ6の長手方向に沿った二つの側面から、それぞれ複数本のリード60が突出している。すなわち、パッケージ6は、SOP(Small Outline Package)、SSOP(Shrink SOP)、あるいは、TSOP(Thin SOP)のいずれかの種類のパッケージとして構成されている。
【0044】
上述のように制御回路50及び定電流回路51が一つ以上の集積回路に集積化されて単一のパッケージ6に収容されている。そのため、点灯装置1は、SEPIC型のコンバータ回路11と定電流回路51の組合せにおいて、部品点数及び製造コストの増大を抑えつつ負荷電流Ifのリップルの抑制を図ることができる。
【0045】
また、制御回路50及び定電流回路51は、一つの集積回路に集積化されていることが好ましい。点灯装置1は、制御回路50及び定電流回路51が一つの集積回路に集積化されることにより、制御装置5のパッケージ6の小型化を図ることができる。
【0046】
ここで、点灯装置1は、制御回路50及び定電流回路51とともに過電流検出回路(コンパレータ56)を集積回路に集積化し、かつ、パッケージ6に収容して制御装置5を構成している。その結果、点灯装置1は、更なる回路規模の縮小と部品点数の削減を図ることができる。さらに、点灯装置1は、図3において長方形の実線で囲まれた回路(調光制御回路52、起動回路54、起動オン・オフ回路55など)及び回路素子を集積化し、かつ、パッケージ6に収容して制御装置5を構成している。
【0047】
また、コンバータ回路11の起動時において、制御回路50は、起動回路54が制御電源電圧Vccを作成した後、スイッチング素子Q1のスイッチング制御を開始することが好ましい。そして、コンバータ回路11の起動時において、定電流回路51は、スイッチング素子Q1のスイッチング制御の開始後に動作を開始することが好ましい。コンバータ回路11の起動時において、制御回路50及び定電流回路51が上述のように動作すれば、点灯装置1(制御装置5)の消費電力の増加を抑制することができる。
【0048】
さらに、制御回路50は、少なくとも起動回路54が制御電源電圧Vccを作成している期間においては、負荷電流Ifの目標電流(調光レベル)を小さくするようにスイッチング素子Q1をスイッチング制御することが好ましい。さらに、制御回路50は、コンバータ回路11が起動して定常動作を行っているときの目標電流に比べて、期間中の目標電流を小さくすることが好ましい。点灯装置1は、制御回路50が上述のように動作することにより、消費電力の増加を抑えることができる。
【0049】
ここで、起動回路54と定電流回路51のそれぞれの消費電流が同時に増大した場合、制御装置5の発熱量も増大してしまう可能性が高い。そして、制御装置5の発熱量が増大する可能性が高い場合、定電流回路51と起動回路54が一つの集積回路に集積化されると、制御装置5の動作時の温度が過度に上昇してしまうおそれがある。
【0050】
これに対して制御装置5は、交流電源9が交流電圧の供給を開始する際、起動回路54の消費電流が増大する期間と定電流回路51の消費電流(負荷電流If)が増大する期間が重ならないように構成されている。そのため、点灯装置1は、温度の過度の上昇を抑制しつつ、制御回路50、定電流回路51及び起動回路54を一つの集積回路に集積化し、かつ、単一のパッケージ6に収容して制御装置5を構成することができる。
【0051】
本開示の第1の態様に係る点灯装置(1)は、負荷である光源(LEDモジュール22)に対して直流の負荷電流(If)を供給するコンバータ回路(11)と、コンバータ回路(11)が備えるスイッチング素子(Q1)をスイッチング制御する制御回路(50)とを備える。第1の態様に係る点灯装置(1)は、負荷電流(If)を定電流化する定電流回路(51)と、上限を超える過電流がスイッチング素子(Q1)に流れていることを検出する過電流検出回路(コンパレータ56)とを備える。制御回路(50)は、過電流が流れていることを過電流検出回路が検出した場合にスイッチング素子(Q1)のスイッチング制御を停止する。
【0052】
第1の態様に係る点灯装置(1)は、過電流が流れていることを過電流検出回路が検出した場合に制御回路(50)がスイッチング素子(Q1)のスイッチング制御を停止するので、過電流からの保護を図ることができる。
【0053】
本開示の第2の態様に係る点灯装置(1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る点灯装置(1)において、定電流回路(51)は、制御回路(50)がスイッチング素子(Q1)のスイッチング制御を停止した後も負荷電流(If)を定電流化する動作を継続することが好ましい。
【0054】
第2の態様に係る点灯装置(1)は、コンバータ回路(11)を停止した後の短時間においても負荷電流(If)を流して光源を点灯させ続けることができる。
【0055】
本開示の第3の態様に係る点灯装置(1)は、第1又は第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る点灯装置(1)において、制御回路(50)及び定電流回路(51)は、一つ以上の集積回路に集積化されて単一のパッケージ(6)に収容されていることが好ましい。
【0056】
第3の態様に係る点灯装置(1)は、制御回路(50)及び定電流回路(51)が一つ以上の集積回路に集積化されて単一のパッケージ(6)に収容されているため、部品点数及び製造コストの増大を抑えつつ負荷電流(If)のリップルの抑制を図ることができる。
【0057】
本開示の第4の態様に係る点灯装置(1)は、第3の態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係る点灯装置(1)において、過電流検出回路は、制御回路(50)及び定電流回路(51)とともに集積回路に集積化されてパッケージ(6)に収容されていることが好ましい。
【0058】
第4の態様に係る点灯装置(1)は、更なる回路規模の縮小と部品点数の削減を図ることができる。
【0059】
本開示の第5の態様に係る点灯装置(1)は、第4の態様との組合せにより実現され得る。第5の態様に係る点灯装置(1)において、制御回路(50)、定電流回路(51)及び過電流検出回路は、一つの集積回路に集積化されていることが好ましい。
【0060】
第5の態様に係る点灯装置(1)は、制御回路(50)、定電流回路(51)及び過電流検出回路が一つの集積回路に集積化されることにより、パッケージ(6)の小型化を図ることができる。
【0061】
本開示の第6の態様に係る光源ユニット(2)は、第1~第5の態様のいずれかに係る点灯装置(1)と、点灯装置(1)によって点灯させられる光源とを備える。
【0062】
第6の態様に係る光源ユニット(2)は、過電流からの保護を図ることができる。
【0063】
本開示の第7の態様に係る照明器具(3)は、第6の態様に係る光源ユニット(2)と、光源ユニット(2)を支持する器具本体(4)とを備える。
【0064】
第7の態様に係る照明器具(3)は、過電流からの保護を図ることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 点灯装置
2 光源ユニット
3 照明器具
4 器具本体
6 パッケージ
11 コンバータ回路
22 LEDモジュール(負荷、光源)
50 制御回路
51 定電流回路
56 コンパレータ(過電流検出回路)
220 LED(固体発光素子)
Q1 スイッチング素子
If 負荷電流
図1
図2
図3
図4