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特許7357205押圧式入力装置、及び押圧兼回転式入力装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】押圧式入力装置、及び押圧兼回転式入力装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 25/06 20060101AFI20230929BHJP
   H01H 13/14 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
H01H25/06 E
H01H13/14 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020549993
(86)(22)【出願日】2019-08-06
(86)【国際出願番号】 JP2019030816
(87)【国際公開番号】W WO2020075377
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】P 2018191083
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉原 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光
(72)【発明者】
【氏名】澤田 昌樹
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-013507(JP,A)
【文献】特開2006-286458(JP,A)
【文献】特開平09-245580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00 - 13/88
H01H 25/00 - 25/06
H01H 89/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受圧面及び第1軸を有し、前記受圧面が押されることで、前記第1軸の周りに傾倒可能な第1押圧部材と、
第2軸を有し、前記第1押圧部材の傾倒により押されることで、前記第2軸の周りに傾倒可能な第2押圧部材と、
前記第2押圧部材の傾倒を検知する検知部を有する基体と、
前記第1押圧部材及び前記第2押圧部材を前記基体と共に保持する保持部材と、を備え、
前記第1軸及び前記第2軸のうちの少なくともいずれかの位置は、前記受圧面が押される箇所に応じて可変であり、
前記受圧面に対して垂直な方向から見た場合に前記第2軸と前記検知部とが重ならないように構成されており、
前記受圧面に対して垂直な方向に沿って、前記第2押圧部材と前記基体とは、前記検知部を含む2点で接触し、
前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とは、2点で接触し、
前記第1押圧部材と前記第2押圧部材との2つの接触点を結ぶ線分と、前記第2押圧部材と前記基体との2つの接触点を結ぶ線分とが、交わるように位置し、
前記第2押圧部材と前記基体との2つの接触点を結ぶ線分が、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材との2つの接触点を結ぶ線分の2等分線である、
押圧式入力装置。
【請求項2】
前記受圧面に対して垂直な方向に沿って、前記第1押圧部材は、前記保持部材と合計4点で接触している、
請求項1に記載の押圧式入力装置。
【請求項3】
前記受圧面に対して垂直な方向から見た場合に、前記第1押圧部材と前記保持部材との4点の接触点は、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材との2つの接触点、及び前記第2押圧部材と前記基体との2つの接触点と重なるように位置する、
請求項に記載の押圧式入力装置。
【請求項4】
前記受圧面に対して垂直な方向に沿って、前記第1押圧部材は、円形又は楕円形の環形状で前記保持部材と接触し、
前記円形又は前記楕円形の中心は、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材との2つの接触点の中点である、
請求項に記載の押圧式入力装置。
【請求項5】
前記受圧面に対して垂直な方向から見た場合に、前記第1押圧部材と前記保持部材との接触面は、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材との2つの接触点、及び前記第2押圧部材と前記基体との2つの接触点と重なるように位置する、
請求項に記載の押圧式入力装置。
【請求項6】
前記受圧面に対して垂直な方向に沿って、前記第1押圧部材は、略矩形の環形状で前記保持部材と接触し、
前記略矩形の中心は、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材との2つの接触点の中点である、
請求項に記載の押圧式入力装置。
【請求項7】
前記受圧面に対して垂直な方向に沿って、前記略矩形の対向する2辺は、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材との2つの接触点を結ぶ線分と垂直であり、
前記略矩形の残りの対向する2辺は、前記第2押圧部材と前記基体との2つの接触点を結ぶ線分と垂直である、
請求項に記載の押圧式入力装置。
【請求項8】
前記受圧面に対して垂直な方向から見た場合に、前記第1押圧部材と前記保持部材との接触面は、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材との2つの接触点、及び前記第2押圧部材と前記基体との2つの接触点と重なるように位置する、
請求項に記載の押圧式入力装置。
【請求項9】
受圧面及び第1軸を有し、前記受圧面が押されることで、前記第1軸の周りに傾倒可能な第1押圧部材と、
第2軸を有し、前記第1押圧部材の傾倒により押されることで、前記第2軸の周りに傾倒可能な第2押圧部材と、
前記第2押圧部材の傾倒を検知する検知部を有する基体と、
前記第1押圧部材及び前記第2押圧部材を前記基体と共に保持する保持部材と、を備え、
前記第1軸及び前記第2軸のうちの少なくともいずれかの位置は、前記受圧面が押される箇所に応じて可変であり、
前記受圧面に対して垂直な方向から見た場合に前記第2軸と前記検知部とが重ならないように構成されており、
前記受圧面に対して垂直な方向に沿って、前記第2押圧部材と前記基体とは、前記検知部を含む2点で接触し、
前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とは、2点で接触し、
前記第1押圧部材と前記第2押圧部材との2つの接触点を結ぶ線分と、前記第2押圧部材と前記基体との2つの接触点を結ぶ線分とが、交わるように位置し、
前記第1押圧部材と前記第2押圧部材との2つの接触点と、前記第2押圧部材と前記基体との2つの接触点とが、略正方形の頂点に位置している、
押圧式入力装置。
【請求項10】
前記受圧面に対して垂直な方向に沿って、前記第1押圧部材は、前記保持部材と合計4点で接触している、
請求項9に記載の押圧式入力装置。
【請求項11】
前記受圧面に対して垂直な方向から見た場合に、前記第1押圧部材と前記保持部材との4点の接触点は、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材との2つの接触点、及び前記第2押圧部材と前記基体との2つの接触点と重なるように位置する、
請求項10に記載の押圧式入力装置。
【請求項12】
受圧面及び第1軸を有し、前記受圧面が押されることで、前記第1軸の周りに傾倒可能な第1押圧部材と、
第2軸を有し、前記第1押圧部材の傾倒により押されることで、前記第2軸の周りに傾倒可能な第2押圧部材と、
前記第2押圧部材の傾倒を検知する検知部を有する基体と、
前記第1押圧部材及び前記第2押圧部材を前記基体と共に保持する保持部材と、を備え、
前記第1軸及び前記第2軸のうちの少なくともいずれかの位置は、前記受圧面が押される箇所に応じて可変であり、
前記受圧面に対して垂直な方向から見た場合に前記第2軸と前記検知部とが重ならないように構成されており、
前記受圧面に対して垂直な方向に沿って、前記第2押圧部材と前記基体とは、前記検知部を含む2点で接触し、
前記第1押圧部材と前記第2押圧部材とは、1点で接触し、
前記第1押圧部材と前記第2押圧部材との1つの接触点は、前記第2押圧部材と前記基体との2つの接触点を結ぶ線分上に位置する
圧式入力装置。
【請求項13】
前記受圧面に対して垂直な方向に沿って、前記第1押圧部材は、円形、楕円形又は矩形の環形状で前記保持部材と接触し、
前記円形、前記楕円形又は前記矩形の中心は、前記第1押圧部材と前記第2押圧部材との1つの接触点である、
請求項12に記載の押圧式入力装置。
【請求項14】
圧式入力装置と、回転体と、回路ブロックと、を備え、
前記押圧式入力装置は、
受圧面及び第1軸を有し、前記受圧面が押されることで、前記第1軸の周りに傾倒可能な第1押圧部材と、
第2軸を有し、前記第1押圧部材の傾倒により押されることで、前記第2軸の周りに傾倒可能な第2押圧部材と、
前記第2押圧部材の傾倒を検知する検知部を有する基体と、
前記第1押圧部材及び前記第2押圧部材を前記基体と共に保持する保持部材と、
円筒部と、を備え、
前記第1軸及び前記第2軸のうちの少なくともいずれかの位置は、前記受圧面が押される箇所に応じて可変であり、
前記受圧面に対して垂直な方向から見た場合に前記第2軸と前記検知部とが重ならないように構成されており、
前記回転体は、前記円筒部を囲み、前記円筒部の周囲に回転可能であり、
前記回路ブロックは、前記押圧式入力装置の前記基体に保持され、前記回転体の回転量を検知する、
押圧兼回転式入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に押圧式入力装置、及び押圧兼回転式入力装置に関し、より詳細には押圧部材を備える押圧式入力装置、及び回転体を備える押圧兼回転式入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、回転型電気部品を開示する。特許文献1の回転型電気部品は、ハウジングと、中空状の操作軸と、回転検出手段と、プッシュスイッチとを備えている。ハウジングは、中空状の軸受け部を有する。操作軸は、軸受け部に回転可能に保持されている。回転検出手段は、ハウジングに収納され、操作軸の回転を検出する。プッシュスイッチは、ハウジングに収納され、操作軸の軸線方向への押圧操作に伴い駆動される。操作軸は、軸受け部の外周部で回転可能に保持される。ハウジングの軸受け部の外周側に収納部が環状に設けられる。環状の収納部内に回転検出手段とプッシュスイッチとが配置される。
【0003】
特許文献1の回転型電気部品では、プッシュスイッチを2個以上設けると、操作者が操作軸に対して押圧操作を1回のみ行ったつもりでも、いわゆる2度押しになるおそれがある。逆にプッシュスイッチを駆動させにくいこともあり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4934550号公報(段落0015)
【発明の概要】
【0005】
本開示の目的は、受圧面のどこが押されてもこの押圧を検知部で検知可能な押圧式入力装置、及び押圧兼回転式入力装置を提供することにある。
【0006】
本開示の一態様に係る押圧式入力装置は、第1押圧部材と、第2押圧部材と、基体と、保持部材と、を備える。前記第1押圧部材は、受圧面及び第1軸を有し、前記受圧面が押されることで、前記第1軸の周りに傾倒可能である。前記第2押圧部材は、第2軸を有し、前記第1押圧部材の傾倒により押されることで、前記第2軸の周りに傾倒可能である。前記基体は、前記第2押圧部材の傾倒を検知する検知部を有する。前記保持部材は、前記第1押圧部材及び前記第2押圧部材を前記基体と共に保持する。前記第1軸及び前記第2軸のうちの少なくともいずれかの位置は、前記受圧面が押される箇所に応じて可変である。前記受圧面に対して垂直な方向から見た場合に前記第2軸と前記検知部とが重ならないように構成される。
【0007】
本開示の一態様に係る押圧兼回転式入力装置は、前記押圧式入力装置と、回転体と、回路ブロックと、を備える。前記押圧式入力装置は円筒部を有する。前記回転体は、前記円筒部を囲み、前記円筒部の周囲に回転可能である。前記回路ブロックは、前記押圧式入力装置の前記基体に保持され、前記回転体の回転量を検知する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1の押圧式入力装置の斜視図である。
図2図2は、同上の押圧式入力装置の上側から見た分解斜視図である。
図3図3は、同上の押圧式入力装置の下側から見た分解斜視図である。
図4図4Aは、同上の押圧式入力装置における第1押圧部材の平面図である。図4Bは、同上の押圧式入力装置における第2押圧部材の平面図である。
図5図5Aは、同上の押圧式入力装置における保持部材の底面図である。図5Bは、図5AのA2-A2線断面図である。
図6図6Aは、図1のA1-A1線断面図である。図6Bは、図1のB1-B1線断面図である。
図7図7A及び図7Bは、同上の押圧式入力装置の動作の概略を説明する説明図である。
図8図8A及び図8Bは、同上の押圧式入力装置の動作の概略を説明する説明図である。
図9図9は、同上の押圧式入力装置の動作の概略を説明する説明図である。
図10図10は、実施形態2の押圧式入力装置の斜視図である。
図11図11は、同上の押圧式入力装置の分解斜視図である。
図12図12は、同上の押圧式入力装置の動作の概略を説明する説明図である。
図13図13は、実施形態3の押圧式入力装置の斜視図である。
図14図14は、同上の押圧式入力装置の上側から見た分解斜視図である。
図15図15は、同上の押圧式入力装置の下側から見た分解斜視図である。
図16図16Aは、図13のA3-A3線断面図である。図16Bは、図13のB3-B3線断面図である。
図17図17は、同上の押圧式入力装置の動作の概略を説明する説明図である。
図18図18は、実施形態4の押圧式入力装置の斜視図である。
図19図19は、同上の押圧式入力装置の上側から見た分解斜視図である。
図20図20は、同上の押圧式入力装置の下側から見た分解斜視図である。
図21図21Aは、図18のA4-A4線断面図である。図21Bは、図18のB4-B4線断面図である。
図22図22は、同上の押圧式入力装置の動作の概略を説明する説明図である。
図23図23は、実施形態5の押圧兼回転式入力装置の斜視図である。
図24図24は、同上の押圧兼回転式入力装置の分解斜視図である。
図25図25Aは、同上の押圧兼回転式入力装置における第1押圧部材の平面図である。図25Bは、同上の押圧兼回転式入力装置における第2押圧部材の平面図である。
図26図26Aは、同上の押圧兼回転式入力装置における保持部材の平面図である。図26Bは、同上の押圧兼回転式入力装置における基体の平面図である。
図27図27Aは、同上の押圧兼回転式入力装置における回転体の平面図である。図27Bは、同上の押圧兼回転式入力装置における回転体の底面図である。
図28図28は、同上の押圧兼回転式入力装置におけるつまみ及び回転体の下側から見た斜視図である。
図29図29A及び図29Bは、同上の押圧兼回転式入力装置の動作の概略を説明する説明図(概略断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態1
1.1 概要
図1図3は、本実施形態に係る押圧式入力装置1を示す。押圧式入力装置1は、第1押圧部材31と、第2押圧部材32と、基体4と、保持部材2と、を備える。
【0010】
第1押圧部材31は、受圧面310を有する。第1押圧部材31は、第1軸S1を有する(図7A図9参照)。第1押圧部材31は、受圧面310が押されることで、第1軸S1の周りに傾倒可能である。
【0011】
第2押圧部材32は、第2軸S2を有する(図7A図9参照)。第2押圧部材32は、第1押圧部材31の傾倒により押されることで、第2軸S2の周りに傾倒可能である。
【0012】
基体4は、検知部40を有する。検知部40は、第2押圧部材32の傾倒を検知する。
【0013】
保持部材2は、開口20を有する。保持部材2は、開口20から受圧面310を露出させ、第1押圧部材31及び第2押圧部材32を基体4と共に保持する。
【0014】
第1軸S1及び第2軸S2のうちの少なくともいずれかの位置は、受圧面310が押される箇所に応じて可変である。受圧面310に対して垂直な方向から見た場合に第2軸S2と検知部40とが重ならないように構成される。
【0015】
押圧式入力装置1では、第1押圧部材31の受圧面310が押されると、第1軸S1の周りに第1押圧部材31が傾倒する。ここで、第1軸S1の位置は、受圧面310が押される箇所に応じて変化するので、第1押圧部材31が傾倒する向きも変化する。
【0016】
次に、傾倒した第1押圧部材31によって第2押圧部材32が押されると、第2軸S2の周りに第2押圧部材32が傾倒する。ここで、第2軸S2の位置は、第2押圧部材32が押される箇所に応じて変化するので、第2押圧部材32が傾倒する向きも変化する。ただし、第2軸S2は、押圧式入力装置1を受圧面310に対して垂直な方向から見た場合に、検知部40と重ならない位置に存在する。そのため、検知部40は、第2押圧部材32の傾倒を検知できる。
【0017】
したがって、押圧式入力装置1によれば、受圧面310のどこが押されてもこの押圧を検知部40で検知可能である。
【0018】
1.2 構成
以下、押圧式入力装置1について、図1図9を参照して更に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、一部の図面に、相互に直交するX軸、Y軸及びZ軸を図示している。Z軸の正の向きを上向き、負の向きを下向きとするが、これは、押圧式入力装置1を使用する際の方向を限定する趣旨ではない。
【0019】
図1図3に示すように、押圧式入力装置1は、第1押圧部材31と、第2押圧部材32と、基体4と、保持部材2と、を備える。保持部材2、第1押圧部材31、第2押圧部材32及び基体4は、Z軸に平行にこの順に並んで配置される。
【0020】
第1押圧部材31は、例えば樹脂成形体であり、電気絶縁性を有する。第1押圧部材31は環状の部材である。より詳細には、図4Aに示すように、第1押圧部材31は、本体部311と、フランジ部312と、を有する。
【0021】
第1押圧部材31の本体部311は、円板状の部材である。本体部311は、第1面311aと、第2面311bと、を有する。第1面311aは、Z軸の正の向きを向いている。第2面311bは、Z軸の負の向きを向いている。第1面311a及び第2面311bは、平坦面であって、平行であり、本体部311の表裏を成す。第1面311a及び第2面311bは、Z軸方向に沿って見ると、円環帯状の面である。本体部311の中央には、円形の貫通孔313がZ軸に平行に設けられている。
【0022】
第1押圧部材31のフランジ部312は、本体部311の外周面からXY平面に平行に突出している。フランジ部312の幅及び厚さは一定である。フランジ部312には、4つのリブ314a~314dが設けられている。4つのリブ314a~314dは、第1押圧部材31が傾倒する際に、支点を構成し得る。4つのリブ314a~314dは、Z軸の正の向きに突出している。2つのリブ314a,314cは、貫通孔313の中心C1を通るX軸に平行な直線L1X上において対称な位置に存在する。残りの2つのリブ314b,314dは、貫通孔313の中心C1を通るY軸に平行な直線L1Y上において対称な位置に存在する。4つのリブ314a~314dは、XY平面において貫通孔313の中心C1に関し互いに対称な位置に存在する。4つのリブ314a~314dは、フランジ部312に沿って等間隔に配置されている。さらにフランジ部312には、凸部315が設けられている。
【0023】
第1押圧部材31は、受圧面310を有する。受圧面310は、本体部311の第1面311aである。受圧面310は、押圧式入力装置1の外部からZ軸の負の向きに力を受ける面である。
【0024】
第2押圧部材32は、例えば樹脂成形体であり、電気絶縁性を有する。第2押圧部材32は環状の部材である。より詳細には、図4Bに示すように、第2押圧部材32は、本体部321と、フランジ部322と、を有する。
【0025】
第2押圧部材32の本体部321は、円板状の部材である。本体部321は、第1面321aと、第2面321bと、を有する。第1面321aは、Z軸の正の向きを向いている。第2面321bは、Z軸の負の向きを向いている。第1面321a及び第2面321bは、平坦面であって、平行であり、本体部321の表裏を成す。第1面321a及び第2面321bは、Z軸方向に沿って見ると、円環帯状の面である。本体部321の中央には、円形の貫通孔323がZ軸に平行に設けられている。ここで、第2押圧部材32の貫通孔323の内径は、第1押圧部材31の貫通孔313の内径に等しい。
【0026】
第2押圧部材32の本体部321の第1面321aには、2つのボス326a,326bが設けられている。2つのボス326a,326bは、第1押圧部材31及び第2押圧部材32が傾倒する際に、支点を構成し得る。2つのボス326a,326bは、先端が半球状であり、Z軸の正の向きに突出している。2つのボス326a,326bは、貫通孔323の中心C2を通るY軸に平行な直線L2Y上において対称な位置に存在する。
【0027】
第2押圧部材32のフランジ部322は、本体部321の外周面からXY平面に平行に突出している。フランジ部322の幅は一定である。フランジ部322には、2つのリブ324a,324bが設けられている。2つのリブ324a,324bは、Z軸の正の向きに突出している。2つのリブ324a,324bは、貫通孔323の中心C2を通るX軸に平行な直線L2X上において対称な位置に存在する。リブ324bは、中心C2から離れるにつれて、Z軸の負の向きに傾斜している(図6A参照)。さらにフランジ部322には、凹部325が設けられている。
【0028】
第2押圧部材32の本体部321の第2面321bには、1つのボス326cが設けられている。ボス326cは、第2押圧部材32が傾倒する際に、支点を構成し得る。ボス326cは、先端が半球状であり、Z軸の負の向きに突出している。ボス326cと、基体4に設けられる検知部40とは、貫通孔323の中心C2を通るX軸に平行な直線L2X上において対称な位置に存在する。
【0029】
ここで、第1押圧部材31のフランジ部312の外周円の大きさと、第2押圧部材32の本体部321の外周円の大きさとは等しい。さらに第1押圧部材31のフランジ部312の外周円よりも、第2押圧部材32のフランジ部322の外周円の方が大きい。つまり、第2押圧部材32は、第1押圧部材31よりも一回り大きい。
【0030】
基体4は、例えば樹脂成形体であり、電気絶縁性を有する。図2及び図3に示すように、基体4は、矩形板状の部材である。基体4は、第1面4aと、第2面4bと、を有する。第1面4aは、Z軸の正の向きを向いている。第2面4bは、Z軸の負の向きを向いている。第1面4a及び第2面4bは、平坦面であって、平行であり、基体4の表裏を成す。
【0031】
基体4は、検知部40を有する。検知部40は、基体4の第1面4aに設けられている。より詳細には、検知部40は、Z軸方向において、第2押圧部材32の第2面321bと対向する位置に設けられている。検知部40は、第2押圧部材32の傾倒を検知する。検知部40は、プッシュスイッチである。この場合、第2押圧部材32が傾倒して検知部40を押したときに、検知部40は、第2押圧部材32の傾倒を検知する。あるいは検知部40は、フォトインタラプタ等の光電センサでもよい。この場合については、実施形態5において説明する。
【0032】
検知部40は2つ以上でもよいが、本実施形態では検知部40は1つである。検知部40が2つ以上である場合に比べて、2度押し等の多重クリックを抑制することができる。
【0033】
保持部材2は、例えば樹脂成形体であり、電気絶縁性を有する。図2及び図3に示すように、保持部材2は、直方体状の部材である。保持部材2は、第1面2aと、第2面2bと、を有する。第1面2aは、Z軸の正の向きを向いている。第2面2bは、Z軸の負の向きを向いている。第1面2a及び第2面2bは、平坦面であって、平行であり、保持部材2の表裏を成す。保持部材2は、開口20を有する。開口20は、保持部材2の第1面2aに設けられている。
【0034】
開口20は、第1押圧部材31の本体部311の外周円と同じ大きさの円形である。あるいは開口20は、第1押圧部材31の本体部311の外周円よりも大きく、かつ、第1押圧部材31のフランジ部312の外周円よりも小さい。
【0035】
図5A及び図5Bに示すように、保持部材2は、収容部200を有する。収容部200は、第1収容部201と、第2収容部202とで構成される。第1収容部201は、円柱状の空間である。第2収容部202は、第1収容部201よりも内径の大きい円柱状の空間である。開口20、第1収容部201及び第2収容部202は、Z軸に平行にこの順に並んで連通している。
【0036】
保持部材2の第1収容部201は、第1内周面201aと、第1底面201bと、を有する。第1底面201bは、Z軸方向に沿って見ると、円環帯状の面である。第1内周面201aからXY平面に平行に内鍔部23が突出している。内鍔部23の幅及び厚さは一定である。第1底面201bは、内鍔部23の、Z軸の負の向きを向いている面である。内鍔部23の、Z軸の正の向きを向いている面は、第1面2aと面一である。開口20は、内鍔部23の先端で囲まれている。さらに内鍔部23には凹部23aが設けられている。凹部23aに、第1押圧部材31の凸部315を嵌めることができる。
【0037】
保持部材2の第2収容部202は、第2内周面202aと、第2底面202bと、を有する。第2底面202bは、Z軸方向に沿って見ると、円環帯状の面であり、Z軸の負の向きを向いている。さらに第2内周面202aには凸部214が設けられている。凸部214を、第2押圧部材32の凹部325に嵌めることができる。
【0038】
図6A及び図6Bに示すように、第1内周面201aの内径は、第1押圧部材31のフランジ部312の外周円とほぼ同じ大きさの円形である。あるいは第1内周面201aの内径は、第1押圧部材31のフランジ部312の外周円よりも大きい。
【0039】
第1内周面201aの内径は、第2押圧部材32の本体部321の外周円とほぼ同じ大きさの円形である。あるいは第1内周面201aの内径は、第2押圧部材32の本体部321の外周円よりも大きい。
【0040】
第2内周面202aの内径は、第2押圧部材32のフランジ部322の外周円とほぼ同じ大きさの円形である。あるいは第2内周面202aの内径は、第2押圧部材32のフランジ部322の外周円よりも大きい。
【0041】
保持部材2において、第1面2a、第1底面201b、第2底面202b及び第2面2bは、平行な面である。図5Bに示すように、第1底面201b、第1内周面201a、第2底面202b、第2内周面202a及び第2面2bは、階段状をなしている。
【0042】
図1に示すように、保持部材2は、開口20から受圧面310を露出させる。図6A及び図6Bに示すように、保持部材2は、第1押圧部材31及び第2押圧部材32を基体4と共に保持する。図2及び図3に示すように、保持部材2の四隅に貫通孔22が設けられている。基体4の四隅に貫通孔42が設けられている。貫通孔22,42にねじ等を挿通するなどして、保持部材2と基体4とを結合させることができる。
【0043】
1.3 組み立て
次に、押圧式入力装置1の組み立て方法について説明する。
【0044】
まず第1押圧部材31が、保持部材2の収容部200に収容される。このとき第1押圧部材31の凸部315を保持部材2の凹部23aに嵌める。これにより第1押圧部材31の周方向の位置ずれを抑制できる。周方向の位置ずれとは、開口20の中心を通るZ軸に平行な直線の周りの位置ずれである。なお、開口20の中心を通るZ軸に平行な直線は、貫通孔313の中心C1及び貫通孔323の中心C2を通る。
【0045】
次に、第2押圧部材32が、保持部材2の収容部200に収容される。このとき保持部材2の凸部214を、第2押圧部材32の凹部325に嵌める。これにより第2押圧部材32の周方向の位置ずれを抑制できる。
【0046】
次に、保持部材2の収容部200に第1押圧部材31及び第2押圧部材32を収容した状態で、保持部材2の第2面2bと基体4の第1面4aとを重ね、保持部材2と基体4とを結合する。保持部材2と基体4とは、保持部材2の貫通孔22及び基体4の貫通孔42にねじ等を挿通するなどして結合される。このようにして、図1に示す押圧式入力装置1が組み立てられる。
【0047】
図6A及び図6Bに示すように、押圧式入力装置1において、第1押圧部材31の4つのリブ314a~314dが、保持部材2の第1底面201bに接触している。第1押圧部材31のフランジ部312(4つのリブ314a~314dが設けられていない箇所)は、第1底面201bに接触していない。このように、受圧面310に対して垂直な方向(Z軸に平行な方向)に沿って、第1押圧部材31は、保持部材2の第1底面201bと、合計4点(本実施形態では4つのリブ314a~314d)で接触している。
【0048】
図6Bに示すように、押圧式入力装置1において、第2押圧部材32の2つのボス326a,326bが、第1押圧部材31の第2面311bに接触している。このように、第1押圧部材31と第2押圧部材32とは、2点で接触している。第1押圧部材31の第2面311bと、第2押圧部材32の第1面321aとは接触していない。このように、第1押圧部材31と第2押圧部材32とは、2つのボス326a,326bによって、間隔をとって配置されている。図6Aに示すように、さらに第2押圧部材32の2つのリブ324a,324bが、保持部材2の第2底面202bに接触する。第2押圧部材32のフランジ部322(2つのリブ324a,324bが設けられていない箇所)は、第2底面202bに接触していない。リブ324a,324bは、受圧面310が押されていない状態で、第2押圧部材32が上方(Z軸の正の向き)に動き、がたつくことがないように保持するために設けられている。第1押圧部材31のリブ314b,314dは、第2押圧部材32のボス326a,326bが接触する位置の略裏側にそれぞれ配置されていることから、第1押圧部材31を介して第2押圧部材32は、ボス326a,326bで、押圧の向き(Z軸の負の向き)に支持されている。2つのリブ324a,324bとあわせて、第2押圧部材32は、4点で押圧の向き(Z軸の負の向き)に支持されている。
【0049】
図6Aに示すように、押圧式入力装置1において、第2押圧部材32のボス326cが、基体4の第1面4aと接触している。一方、基体4の検知部40が、第2押圧部材32の第2面321bと接触している。このように、受圧面310に対して垂直な方向に沿って、第2押圧部材32と基体4とは、検知部40を含む2点で接触している。図4Bに示すように、第2押圧部材32のボス326cと基体4の検知部40とは、貫通孔323の中心C2を通るX軸に平行な直線L2X上において対称な位置に存在する。そして、図6A及び図6Bに示すように、第2押圧部材32の第2面321bと基体4の第1面4aとは接触していない。このように、第2押圧部材32と基体4とは、間隔をとって配置されている。
【0050】
第1押圧部材31と第2押圧部材32との2つの接触点(2つのリブ326a,326bの頂点)を結ぶ線分(直線L2Y中の線分)と、第2押圧部材32と基体4との2つの接触点を結ぶ線分(直線L2X中の線分)とが、交わるように位置している(図4B参照)。第2押圧部材32と基体4との2つの接触点を結ぶ線分(直線L2X中の線分)が、第1押圧部材31と第2押圧部材32との2つの接触点を結ぶ線分(直線L2Y中の線分)の2等分線である。これらの2つの線分は、中心C2で直交している。さらに、リブ326aと中心C2との距離と、リブ326bと中心C2との距離が等しい。
【0051】
受圧面310に対して垂直な方向(Z軸に平行な方向)から見た場合に、ボス326a,326b,326cは、第2押圧部材32の本体部321の外周円に略隣接して配置されている。ボス326a,326b,326cの頂点の位置と、検知部40を押圧する位置とを結ぶと、略正方形となる。このように、第1押圧部材31と第2押圧部材32との2つの接触点と、第2押圧部材32と基体4との2つの接触点とが、略正方形の頂点に位置している。
【0052】
さらに第1押圧部材31の4つのリブ314a~314dが、それぞれ、検知部40を押圧する位置、ボス326aの頂点、ボス326cの頂点、及びボス326bの頂点の上方に略重なるように配置されている。このように、受圧面310に対して垂直な方向から見た場合に、第1押圧部材31と保持部材2との4点の接触点は、第1押圧部材31と第2押圧部材32との2つの接触点、及び第2押圧部材32と基体4との2つの接触点と重なるように位置している。
【0053】
図6A及び図6Bに示すように、受圧面310が押されていない状態では、第1押圧部材31の第1面311a及び第2面311b、第2押圧部材32の第1面321a及び第2面321b、並びに基体4の第1面4aは全て平行である。この状態であれば、第2押圧部材32の第2面321bが検知部40に接触していても、検知部40は、第2押圧部材32の傾倒を検知しない。
【0054】
押圧式入力装置1をZ軸の正から負に向かって見た場合、貫通孔313及び貫通孔323を通して基体4の第1面4aが見える。基体4は、少なくとも見えている部分は透明でもよい。この場合、貫通孔313及び貫通孔323を通して検知部40は見えない(図6A参照)。
【0055】
1.4 動作
次に、図7A図9を参照して、押圧式入力装置1の動作について説明する。図7A図9は、押圧式入力装置1をZ軸の正から負に向かって見た場合の、第1押圧部材31及び第2押圧部材32の動作の概略図である。図7A図9において、点Oは開口20の中心、点Pは検知部40(本実施形態ではプッシュスイッチ)の位置、点Qは受圧面310を押す位置(作用点の位置)を表す。線分OPを始線、線分OQを動径とし、XY平面において反時計回りに線分OPと線分OQとのなす角度をθとする。
【0056】
図7Aは、θが0°の場合である。この場合、第1押圧部材31の受圧面310の点Qが押されると、点Oに関し対称な位置に存在するリブ314cを通るY軸に平行な第1軸S1が現れ、この第1軸S1の周りに第1押圧部材31が傾倒する。第1押圧部材31の傾倒に伴って、2つのボス326a,326bがZ軸の負の向きに移動する。そうすると、ボス326cを通るY軸に平行な第2軸S2が現れ、この第2軸S2の周りに第2押圧部材32が傾倒する。その結果、第2押圧部材32が検知部40を押して、検知部40が、第2押圧部材32の傾倒を検知する。
【0057】
図7Aに示すように、点Qが受圧面310の外周近くに位置する場合、第1押圧部材31と第2押圧部材32との接点である2つのボス326a,326bの頂点を結ぶ直線(不図示)は、第1軸S1から点Qまでの距離の略2分の1の箇所に位置し、かつ、第2軸S2から点Pまでの距離の略2分の1の箇所に位置する。したがって、点Qの押し荷重及びストロークは、検知部40の押し荷重及びストロークと略同じとなる。
【0058】
図7Bは、θが180°の場合である。この場合、第1押圧部材31の受圧面310の点Qが押されると、点Oに関し対称な位置に存在するリブ314aを通るY軸に平行な第1軸S1が現れ、この第1軸S1の周りに第1押圧部材31が傾倒する。第1押圧部材31の傾倒に伴って、2つのボス326a,326bがZ軸の負の向きに移動する。そうすると、ボス326cを通るY軸に平行な第2軸S2が現れ、この第2軸S2の周りに第2押圧部材32が傾倒する。その結果、第2押圧部材32が検知部40を押して、検知部40が、第2押圧部材32の傾倒を検知する。
【0059】
図7Bに示すように、点Qが受圧面310の外周近くに位置する場合、第1押圧部材31と第2押圧部材32との接点である2つのボス326a,326bの頂点を結ぶ直線(不図示)は、第1軸S1から点Qまでの距離の略2分の1の箇所に位置し、かつ、第2軸S2から点Pまでの距離の略2分の1の箇所に位置する。したがって、点Qの押し荷重及びストロークは、検知部40の押し荷重及びストロークと略同じとなる。
【0060】
図8Aは、θが90°の場合である。この場合、第1押圧部材31の受圧面310の点Qが押されると、点Oに関し対称な位置に存在するリブ314dを通るX軸に平行な第1軸S1が現れ、この第1軸S1の周りに第1押圧部材31が傾倒する。第1押圧部材31の傾倒に伴って、ボス326aがZ軸の負の向きに移動する。そうすると、2つのボス326b,326cを通る第2軸S2が現れ、この第2軸S2の周りに第2押圧部材32が傾倒する。その結果、第2押圧部材32が検知部40を押して、検知部40が、第2押圧部材32の傾倒を検知する。なお、点Pから第2軸S2までの距離と、点Qから第2軸S2までの距離とは等しい。
【0061】
図8Aに示すように、点Qが受圧面310の外周近くに位置する場合、点Qを押す力が第2押圧部材32のボス326aに略直接伝わる。第2軸S2からボス326aまでの距離と、第2軸S2から点Pまでの距離とは、略同じである。したがって、点Qの押し荷重及びストロークは、検知部40の押し荷重及びストロークと略同じとなる。なお、θが270°の場合は、図示省略しているが、点Oを通るX軸に平行な直線に関して、θが90°の場合と対称的な動作となる。
【0062】
図8Bは、θが45°の場合である。この場合、第1押圧部材31の受圧面310の点Qが押されると、リブ314c,314dを通る第1軸S1が現れ、この第1軸S1の周りに第1押圧部材31が傾倒する。第1押圧部材31の傾倒に伴って、ボス326aがZ軸の負の向きに移動する。そうすると、2つのボス326b,326cを通る第2軸S2が現れ、この第2軸S2の周りに第2押圧部材32が傾倒する。その結果、第2押圧部材32が検知部40を押して、検知部40が、第2押圧部材32の傾倒を検知する。
【0063】
図8Bに示すように、点Qが受圧面310の外周近くに位置する場合、第1軸S1から点Qまでの距離は、第1軸S1からボス326aまでの距離の約1.2倍である。また、第2軸S2からボス326aまでの距離と、第2軸S2から点Pまでの距離とは略同じである。したがって、点Qの押し荷重は、検知部40の押し荷重の略0.8倍となる。また点Qのストロークは、検知部40のストロークの略1.2倍となる。なお、θが315°の場合は、図示省略しているが、点Oを通るX軸に平行な直線に関して、θが45°の場合と対称的な動作となる。
【0064】
図9は、θが135°の場合である。この場合、第1押圧部材31の受圧面310の点Qが押されると、リブ314a,314dを通る第1軸S1が現れ、この第1軸S1の周りに第1押圧部材31が傾倒する。第1押圧部材31の傾倒に伴って、ボス326aがZ軸の負の向きに移動する。そうすると、2つのボス326b,326cを通る第2軸S2が現れ、この第2軸S2の周りに第2押圧部材32が傾倒する。その結果、第2押圧部材32が検知部40を押して、検知部40が、第2押圧部材32の傾倒を検知する。
【0065】
図9に示すように、点Qが受圧面310の外周近くに位置する場合、第1軸S1から点Qまでの距離は、第1軸S1からボス326aまでの距離の約1.2倍である。また、第2軸S2からボス326aまでの距離と、第2軸S2から点Pまでの距離とは略同じである。したがって、点Qの押し荷重は、検知部40の押し荷重の略0.8倍となる。また点Qのストロークは、検知部40のストロークの略1.2倍となる。なお、θが225°の場合は、図示省略しているが、点Oを通るX軸に平行な直線に関して、θが135°の場合と対称的な動作となる。
【0066】
以上のように、第1押圧部材31は、第1軸S1を有する。第1軸S1は、固定された軸ではない。換言すれば、第1軸S1の位置は、受圧面310が押される箇所に応じて可変である。そして、第1押圧部材31は、受圧面310が押されることで、第1軸S1の周りに傾倒可能である。
【0067】
第2押圧部材32は、第2軸S2を有する。第2軸S2も、固定された軸ではない。換言すれば、第2軸S2の位置は、受圧面310が押される箇所に応じて可変である。そして、第2押圧部材32は、第1押圧部材31の傾倒により押されることで、第2軸S2の周りに傾倒可能である。
【0068】
ただし、受圧面310に対して垂直な方向(Z軸方向)から見た場合に、第2軸S2と検知部40とが重ならないように構成される。第2軸S2と検知部40とが重なると、第2軸S2の周りに第2押圧部材32が傾倒しても、この傾倒を検知部40が検知できない。
【0069】
実際にはθは任意の角度でよい。また点Qが受圧面310上に存在する限り、線分OQの長さも任意の長さでよい。
【0070】
本実施形態に係る押圧式入力装置1によれば、受圧面310のどこが押されてもこの押圧を検知部40で検知可能である。なお、受圧面310を全押ししてもよい。この場合、第1押圧部材31は傾倒せずにZ軸の負の向きに移動するが、第1押圧部材31によって、2つのボス326a,326bがZ軸の負の向きに押される。そうすると、図7A又は図7Bの場合と同様に、リブ324b及びボス326cを通るY軸に平行な第2軸S2が現れ、この第2軸S2の周りに第2押圧部材32が傾倒する。その結果、第2押圧部材32が検知部40を押して、検知部40が、第2押圧部材32の傾倒を検知する。特に点Qが受圧面310の外周近くに位置する場合において、θが0°、90°、180°及び270°の4方向について、受圧面310に対する押圧操作(押し荷重及びストローク)を、ほぼそのまま検知部40に対する押圧操作(押し荷重及びストローク)として伝えることができる。
【0071】
2.実施形態2
2.1 構成
図10及び図11は、本実施形態に係る押圧式入力装置1を示す。なお、実施形態1に係る押圧式入力装置1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0072】
主として本実施形態では、第1押圧部材31の構成が、実施形態1に係る押圧式入力装置1における第1押圧部材31の構成と相違する。具体的には本実施形態では、図11に示すように、第1押圧部材31に4つのリブ314a~314dが設けられていない。そのため、受圧面310が押されていない状態では、第1押圧部材31のフランジ部312は、保持部材2の第1底面201bに接触している。すなわち、受圧面310に対して垂直な方向(Z軸方向)に沿って、第1押圧部材31は、円形又は楕円形(本実施形態では円形)の環形状で保持部材2と接触している。そして、円形又は楕円形の中心は、第1押圧部材31と第2押圧部材32との2つの接触点の中点である。2つの接触点の中点は、2つのボス326a,326b間の中点である。これにより、第1押圧部材31及び第2押圧部材32の保持状態が更に安定する。
【0073】
また、受圧面310に対して垂直な方向(Z軸方向)から見た場合に、第1押圧部材31と保持部材2との接触面(本実施形態ではフランジ部312の円環状の面)は、第1押圧部材31と第2押圧部材32との2つの接触点、及び第2押圧部材32と基体4との2つの接触点と重なるように位置する。これにより、第1押圧部材31及び第2押圧部材32の保持状態が更に安定する。
【0074】
なお、本実施形態では、実施形態1の場合と異なり、第1押圧部材31に凸部315が設けられておらず、さらに保持部材2に凹部23aが設けられていない。本実施形態においても、第1押圧部材31の周方向の位置ずれを抑制するために、第1押圧部材31に凸部315を設け、保持部材2に凹部23aを設けるようにしてもよい。
【0075】
2.2 動作
次に、図12を参照して、押圧式入力装置1の動作について説明する。図12は、押圧式入力装置1をZ軸の正から負に向かって見た場合の、第1押圧部材31及び第2押圧部材32の動作の概略図である。図12において、点Oは開口20の中心、点Pは検知部40(本実施形態ではプッシュスイッチ)の位置、点Qは受圧面310を押す位置(作用点の位置)を表す。線分OPを始線、線分OQを動径とし、XY平面において反時計回りに線分OPと線分OQとのなす角度をθとする。
【0076】
第1押圧部材31の受圧面310の点Qが押されると、点Oに関し対称な位置に存在するフランジ部312の外周の点Sが、保持部材2の第1底面201bとの接点となる。そして、この点Sを通り、かつ線分SQに垂直な第1軸S1が現れ、この第1軸S1の周りに第1押圧部材31が傾倒する。第1軸S1の位置は、任意の角度θに対応して可変である。第1押圧部材31の傾倒に伴って、2つのボス326a,326bがZ軸の負の向きに移動する。そうすると、ボス326cを通り、かつボス326a,326bの頂点を結ぶ直線と平行な第2軸S2が現れ、この第2軸S2の周りに第2押圧部材32が傾倒する。その結果、第2押圧部材32が検知部40を押して、検知部40が、第2押圧部材32の傾倒を検知する。
【0077】
第2押圧部材32について、ボス326a,326bは、ボス326cの頂点と点Pとを結ぶ直線から等距離にある。第2軸S2からボス326a,326bまでの距離が第2軸S2から点Pまでの距離の半分である。これらのことから、点Qの押し荷重は、ボス326a,326bに均等に分配され、さらにボス326a,326bの押し荷重は、点Pの押し荷重と等しくなる。また、ボス326a,326bの移動量の和は、点Pの移動量と等しくなる。
【0078】
第1押圧部材31について、ボス326a,326bは、点Qと点Sとを結ぶ直線から等距離にある。点Qが受圧面310の外周近くに位置し、点Oからボス326a,326bまでの距離がOQと略同じ場合、第1軸S1からボス326aまでの距離は、OQ(1+sinθ)となり、第1軸S1から326bまでの距離は、OQ(1-sinθ)となる。点Pの押し荷重をFsw、点Qの押し荷重をFとすると、第1軸S1の周りのつりあいの次の式(1)から、点Pの押し荷重Fswと、点Qの押し荷重Fとが等しいことが分かる。
【0079】
【数1】
【0080】
また同様に、点PのストロークをTsw、点QのストロークをTとすると、次の式(2)から、点PのストロークTswと、点QのストロークTとが等しいことが分かる。
【0081】
【数2】
【0082】
したがって、本実施形態に係る押圧式入力装置1によれば、受圧面310のどこが押されてもこの押圧を検知部40で検知可能である。特に点Qが受圧面310の外周近くに位置する場合には、全周のどこを押しても、受圧面310に対する押圧操作(押し荷重及びストローク)を、ほぼそのまま検知部40に対する押圧操作(押し荷重及びストローク)として伝えることができる。
【0083】
3.実施形態3
3.1 構成
図13図16は、本実施形態に係る押圧式入力装置1を示す。なお、実施形態1に係る押圧式入力装置1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0084】
主として本実施形態では、第1押圧部材31及び第2押圧部材32の構成が、実施形態1に係る押圧式入力装置1における第1押圧部材31及び第2押圧部材32の構成と相違する。
【0085】
具体的には本実施形態では、第1押圧部材31の本体部311の中央に、円形の透明部材316がZ軸に平行に設けられている。第1押圧部材31は、透明部材316を囲む環状の部材である。透明部材316は、第1面316aと、第2面316bと、を有する。第1面316aは、平坦面であり、Z軸の正の向きを向いている。第2面316bは、凸球面であり、Z軸の負の向きを向いている。第1面316a及び第2面316bは、透明部材316の表裏を成す。
【0086】
第1押圧部材31の本体部311の第1面311aは、透明部材316の第1面316aの周囲を囲んでいる。本体部311の第1面311aは、透明部材316の第1面316aよりもZ軸の正の向きに突出している。受圧面310は、本体部311の第1面311aと透明部材316の第1面316aとで構成される。
【0087】
本実施形態では、実施形態1の場合と異なり、図14に示すように、第1押圧部材31に4つのリブ314a~314dが設けられていない。そのため、受圧面310が押されていない状態では、第1押圧部材31のフランジ部312は、保持部材2の第1底面201bに接触している。すなわち、受圧面310に対して垂直な方向(Z軸方向)に沿って、第1押圧部材31は、円形、楕円形又は矩形(本実施形態では円形)の環形状で保持部材2と接触している。そして、円形、楕円形又は矩形の中心(矩形の場合は対角線の交点)は、第1押圧部材31と第2押圧部材32との1つの接触点である。これにより、第1押圧部材31及び第2押圧部材32の保持状態が安定する。
【0088】
本実施形態では、第2押圧部材32の本体部321の中央に、円形の透明部材327がZ軸に平行に設けられている。第2押圧部材32は、透明部材327を囲む環状の部材である。透明部材327は、第1面327aと、第2面327bと、を有する。第1面327aは、Z軸の正の向きを向いている。第2面327bは、Z軸の負の向きを向いている。第1面327a及び第2面327bは、平坦面であって、平行であり、透明部材327の表裏を成す。
【0089】
本実施形態では、実施形態1の場合と異なり、図14に示すように、第2押圧部材32の本体部321の第1面321aには、2つのボス326a,326bが設けられていない。第2押圧部材32の本体部321の第1面321aと、透明部材327の第1面327aとは、面一である。
【0090】
図16A及び図16Bに示すように、本実施形態では、第1押圧部材31の透明部材316の凸球面状の第2面316bと、第2押圧部材32の透明部材327の平坦面状の第1面327aとが点接触している。なお、図示省略しているが、透明部材316の第2面316bの中心部分に突起を設け、中心部分以外の部分を平坦面状としてもよい。この場合には、透明部材316の第2面316bの突起と、透明部材327の平坦面状の第1面327aとが点接触することになる。
【0091】
図15に示すように、本実施形態では、第2押圧部材32のボス326cがY軸に平行に長く形成されている。ボス326cの長さは、透明部材327の外周円の半径より長く、直径より短い。図16Aに示すように、第2押圧部材32のボス326cは、基体4の第1面4aと線接触している。
【0092】
押圧式入力装置1をZ軸の正から負に向かって見た場合、透明部材316及び透明部材327を通して基体4の第1面4aが見える。基体4は、少なくとも見えている部分は透明でもよい。この場合、透明部材316及び透明部材327を通して検知部40は見えない(図16A参照)。
【0093】
本実施形態では、受圧面310に対して垂直な方向(Z軸方向)に沿って、第2押圧部材32と基体4とは、検知部40を含む2点で接触している。もう1点はボス326cである。第1押圧部材31と第2押圧部材32とは、1点で接触している(図16A及び図16B参照)。第1押圧部材31と第2押圧部材32との1つの接触点(後述の図17では点O)は、第2押圧部材32と基体4との2つの接触点(後述の図17では、1つの接触点は点P、もう1つの接触点はボス326cのY軸方向の中点)を結ぶ線分上に位置する。これにより、第1押圧部材31及び第2押圧部材32の保持状態が安定する。
【0094】
なお、本実施形態では、実施形態1の場合と異なり、第1押圧部材31に凸部315が設けられておらず、さらに保持部材2に凹部23aが設けられていない。本実施形態においても、第1押圧部材31の周方向の位置ずれを抑制するために、第1押圧部材31に凸部315を設け、保持部材2に凹部23aを設けるようにしてもよい。
【0095】
3.2 動作
次に、図17を参照して、押圧式入力装置1の動作について説明する。図17は、押圧式入力装置1をZ軸の正から負に向かって見た場合の、第1押圧部材31及び第2押圧部材32の動作の概略図である。図17において、点Oは透明部材316の中心、点Pは検知部40(本実施形態ではプッシュスイッチ)の位置、点Qは受圧面310を押す位置(作用点の位置)を表す。線分OPを始線、線分OQを動径とし、XY平面において反時計回りに線分OPと線分OQとのなす角度をθとする。
【0096】
第1押圧部材31の受圧面310である本体部311の第1面311a上の点Qが押されると、点Oに関し対称な位置に存在するフランジ部312の外周の点Sが、保持部材2の第1底面201bとの接点となる。そして、この点Sを通り、かつ線分SQに垂直な第1軸S1が現れ、この第1軸S1の周りに第1押圧部材31が傾倒する。第1軸S1の位置は、任意の角度θに対応して可変である。第1押圧部材31の傾倒に伴って、第1押圧部材31の透明部材316の凸球面状の第2面316bと、第2押圧部材32の透明部材327の平坦面状の第1面327aとの接点も、Z軸の負の向きに移動する。そうすると、ボス326cを通り、かつY軸に平行な第2軸S2が現れ、この第2軸S2の周りに第2押圧部材32が傾倒する。その結果、第2押圧部材32が検知部40を押して、検知部40が、第2押圧部材32の傾倒を検知する。
【0097】
点Qが受圧面310の外周近くに位置する場合、第1押圧部材31と第2押圧部材32との接点(本実施形態では点O)は、第1軸S1から点Qまでの距離の中点であり、かつ、第2軸S2から点Pまでの距離の中点である。したがって、点Qの押し荷重及びストロークは、検知部40の押し荷重及びストロークと略同じとなる。
【0098】
第1押圧部材31の受圧面310である透明部材316の第1面316aの中心(本実施形態では点O)を受圧面310に対して垂直に押すと、第1押圧部材31は、傾倒せずにZ軸の負の向きに移動する。第1押圧部材31と第2押圧部材32との接点(本実施形態では点O)により第2押圧部材32が押されると、ボス326cを通り、かつY軸に平行な第2軸S2が現れ、この第2軸S2の周りに第2押圧部材32が傾倒する。その結果、第2押圧部材32が検知部40を押して、検知部40が、第2押圧部材32の傾倒を検知する。
【0099】
したがって、本実施形態に係る押圧式入力装置1によれば、受圧面310のどこが押されてもこの押圧を検知部40で検知可能である。特に点Qが受圧面310の外周近くに位置する場合には、全周のどこを押しても、受圧面310に対する押圧操作(押し荷重及びストローク)を、ほぼそのまま検知部40に対する押圧操作(押し荷重及びストローク)として伝えることができる。
【0100】
4.実施形態4
4.1 構成
図18図21は、本実施形態に係る押圧式入力装置1を示す。なお、実施形態1に係る押圧式入力装置1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0101】
本実施形態では、第1押圧部材31は、光透過性を有する。第1押圧部材31は、矩形板状の部材である。より詳細には、第1押圧部材31の本体部311は、矩形状かつ四隅が角丸状の部材である。本実施形態では、実施形態1と異なり、本体部311に貫通孔313は設けられていない。
【0102】
第1押圧部材31のフランジ部312は、本体部311の外周面からXY平面に平行に突出している。フランジ部312の幅及び厚さは一定である。本実施形態では、実施形態1と異なり、図19に示すように、第1押圧部材31に4つのリブ314a~314dは設けられていない。
【0103】
第2押圧部材32は、矩形枠状の部材である。より詳細には、第2押圧部材32の本体部321は、矩形枠状かつ四隅が角丸状の部材であり、X軸に平行な二辺とY軸に平行な二辺とを有する。
【0104】
本体部321のX軸に平行な二辺の各々の中央には、2つの突起328a,328bが設けられている。2つの突起328a,328bは、半円板状であり、Z軸の正の向きに突出している。2つの突起328a,328bは、貫通孔323の中心を通るY軸に平行な直線上において対称な位置に存在する。2つの突起328a,328bは、実施形態1の第2押圧部材32の2つのボス326a,326bと同様の働きをする。
【0105】
フランジ部322は、本体部321の外周面からXY平面に平行に突出している。フランジ部322の幅及び厚さは一定である。さらに本実施形態では、2つの突出片329a,329bが設けられている。2つの突出片329a,329bは、本体部321のY軸に平行な二辺に設けられたフランジ部322の中央から、それぞれX軸の正の向き及び負の向きに突出している。本実施形態では、実施形態1と異なり、フランジ部322には凹部325は設けられていない。
【0106】
本実施形態では、基体4は、貫通孔463と、凹所43と、ボス44と、を更に有する。貫通孔463は、四隅が角丸の矩形状であり、Z軸に平行に基体4に設けられている。凹所43は、Z軸の正の向きに開口するように基体4に設けられている。凹所43は、貫通孔463に隣接しており、貫通孔463と連通している。凹所43の底面に検知部40が設けられている。ボス44は、基体4の第1面4aに設けられている。ボス44は、Z軸の正の向きに突出している。検知部40とボス44とは、貫通孔463の中心を通るX軸に平行な直線上において対称な位置に存在する。ボス44は、実施形態1の第2押圧部材32のボス326cと同様の働きをする。
【0107】
本実施形態では、図20に示すように、保持部材2は、2つの凹所24,25と、2つのリブ26a,26bと、を更に有する。
【0108】
凹所24は、第2押圧部材32の突出片329aが収容される空間である。凹所24は、Z軸の負の向きに開口するように保持部材2に設けられている。凹所24は、収容部200に隣接しており、収容部200と連通している。凹所24の底面にリブ26aが設けられている。リブ26aは、Z軸の負の向きに突出している。
【0109】
凹所25は、第2押圧部材32の突出片329bが収容される空間である。凹所25は、Z軸の負の向きに開口するように保持部材2に設けられている。凹所25は、収容部200に隣接しており、収容部200と連通している。凹所25の底面にリブ26bが設けられている。リブ26bは、Z軸の負の向きに突出している。リブ26a,26bは、実施形態1の第2押圧部材32のリブ324a,リブ324bと同様の働きをする。
【0110】
2つのリブ26a,26bは、X軸に平行な方向において対向している。
【0111】
本実施形態では、押圧式入力装置1は、透光部材45を更に備える。透光部材45は、直方体状の部材であり、例えばテレビ石で形成されている。透光部材45は、第1面45aと、第2面45bと、を有する。第1面45aは、平坦面であり、Z軸の正の向きを向いている。第2面45bは、平坦面であり、Z軸の負の向きを向いている。第1面4a及び第2面45bは、平行であり、透光部材45の表裏を成す。第1面45a及び第2面45bは、Z軸方向に沿って見ると、四隅が角丸の矩形状の面である。第1面45aは、基体4の貫通孔463よりも一回り大きい。第2面45bは、基体4の貫通孔463と同じ大きさである。透光部材45の厚さは、基体4の厚さよりも厚い。図21A及び図21Bに示すように、透光部材45の第2面45bと、基体4の第2面4bとは、面一である。透光部材45の第1面45aは、基体4の第1面4aよりも、Z軸の正の向きに寄っている。透光部材45は、基体4に固定されている。
【0112】
図21A及び図21Bに示すように、押圧式入力装置1において、第1押圧部材31のフランジ部312が、保持部材2の第1底面201bに接触している。すなわち、受圧面310に対して垂直な方向(Z軸方向)に沿って、第1押圧部材31は、略矩形の環形状で保持部材2と接触している。そして、略矩形の中心(対角線の交点)は、第1押圧部材31と第2押圧部材32との2つの接触点の中点である。2つの接触点の中点は、2つの突起328a,328b間の中点である。これにより、第1押圧部材31及び第2押圧部材32の保持状態が更に安定する。
【0113】
また、受圧面310に対して垂直な方向(Z軸方向)から見た場合に、第1押圧部材31と保持部材2との接触面(本実施形態ではフランジ部312の略矩形環状の面)は、第1押圧部材31と第2押圧部材32との2つの接触点、及び第2押圧部材32と基体4との2つの接触点と重なるように位置する。これにより、第1押圧部材31及び第2押圧部材32の保持状態が更に安定する。
【0114】
図21Bに示すように、第2押圧部材32の2つの突起328a,328bが、第1押圧部材31の第2面311bに接触している。第1押圧部材31の第2面311bと、透光部材45の第1面45aとは接触していない。
【0115】
図21Aに示すように、検知部40と、保持部材2のリブ26aとの間には、第2押圧部材32の突出片329aが介在している。この状態では、突出片329aは検知部40を押していないので、検知部40は、第2押圧部材32の傾倒を検知していない。基体4のリブ44と、保持部材2のリブ26bとの間には、第2押圧部材32の突出片329bが介在している。図21Bに示すように、第2押圧部材32のフランジ部322(突出片329a,329bが設けられていない箇所)は、基体4の第1面4aに接触していない。
【0116】
本実施形態では、受圧面310に対して垂直な方向(Z軸方向)から見た場合に、第1押圧部材31及び第2押圧部材32は略矩形である。受圧面310に対して垂直な方向(Z軸方向)に沿って、略矩形の対向する2辺(X軸方向の2辺)は、第1押圧部材31と第2押圧部材32との2つの接触点を結ぶ線分(Y軸に平行な線分)と垂直である。略矩形の残りの対向する2辺(Y軸方向の2辺)は、第2押圧部材32と基体4との2つの接触点を結ぶ線分(X軸に平行な線分)と垂直である。これにより、第1押圧部材31及び第2押圧部材32の保持状態が安定する。
【0117】
4.2 動作
次に、図22を参照して、押圧式入力装置1の動作について説明する。図22は、押圧式入力装置1をZ軸の正から負に向かって見た場合の、第1押圧部材31及び第2押圧部材32の動作の概略図である。
【0118】
上記のような構成を採用する本実施形態に係る押圧式入力装置1においても、原理上、実施形態1、2に係る押圧式入力装置1と同様に動作する。
【0119】
本実施形態に係る押圧式入力装置1は、実施形態1の4つのリブ314a~314dに相当する構成が存在しない点では、実施形態2に係る押圧式入力装置1と共通する。
【0120】
本実施形態の第2押圧部材32の2つの突起328a,328bは、実施形態1の第2押圧部材32の2つのボス326a,326bと同様の働きをする。本実施形態の保持部材2のリブ26a,26bは、実施形態1の第2押圧部材32のリブ324a,324bと同様の働きをする。本実施形態の基体4のボス44は、実施形態1の第2押圧部材32のボス326cと同様の働きをする。
【0121】
図22に示すように、受圧面310を8つに分割する。具体的には、受圧面310を、第2押圧部材32の2つの突起328a,328bの中点Oと、第1押圧部材31のフランジ部312の4辺(直線部)の端点とを結ぶ線分により、受圧面310a~310hに分割する。
【0122】
受圧面310a~310dは、4辺(直線部)を含む面である。受圧面310e~310hは、隣り合う2辺(直線部)の間の角丸部を含む面である。図22では、受圧面310a~310dと、受圧面310e~310hとに、別々の網掛けを施して、両者を区別している。以下では、受圧面310a~310dを押す場合と、受圧面310e~310hを押す場合とに分けて説明する。
【0123】
受圧面310a~310dを押す場合には、点Oに関し対称な位置に存在するフランジ部312の外周の辺(直線部)が第1軸S1となる。この第1軸S1の周りに第1押圧部材31が傾倒する。図22では、受圧面310a上の点Q1を押した場合に現れる第1軸S11を図示している。なお、受圧面310a~310dを押す場合には、実施形態1のθが0°、90°、180°、270°の場合と同様な動作をする。
【0124】
一方、受圧面310e~310hを押す場合には、点Oに関し対称な位置に存在するフランジ部312の外周の角丸部の接線が第1軸S1となる。この第1軸S1の周りに第1押圧部材31が傾倒する。図22では、受圧面310h上の点Q2を押した場合に現れる第1軸S12を図示している。なお、受圧面310e~310hを押す場合には、実施形態2と同様な動作をする。
【0125】
したがって、本実施形態に係る押圧式入力装置1によれば、受圧面310のどこが押されてもこの押圧を検知部40で検知可能である。
【0126】
5.実施形態5
5.1 概要
上述の押圧式入力装置1は、押圧兼回転式入力装置10に組み込むことが可能である。押圧兼回転式入力装置10は、例えばロータリエンコーダである。図23及び図24は、本実施形態に係る押圧兼回転式入力装置10を示す。押圧兼回転式入力装置10は、押圧式入力装置1と、回転体5と、回路ブロック8と、を備える。押圧式入力装置1は円筒部21を有する。回転体5は、円筒部21を囲む。回転体5は、円筒部21の周囲に回転可能である。回路ブロック8は、押圧式入力装置1の基体4に保持される。回路ブロック8は、回転体5の回転量を検知する。
【0127】
押圧兼回転式入力装置10は、押圧式入力装置1を備えているので、受圧面310のどこが押されてもこの押圧を検知部40で検知可能である。さらに回転体5の回転量も検知可能である。
【0128】
5.2 構成
以下、押圧兼回転式入力装置10について、図23図28を参照して更に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、一部の図面に、相互に直交するX軸、Y軸及びZ軸を図示している。Z軸の正の向きを上向き、負の向きを下向きとするが、これは、押圧兼回転式入力装置10を使用する際の方向を限定する趣旨ではない。上記実施形態に係る押圧式入力装置1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0129】
図23及び図24に示すように、押圧兼回転式入力装置10は、押圧式入力装置1と、回転体5と、回路ブロック8と、を備える。押圧兼回転式入力装置10は、ばね部材60と、取付金具7と、を更に備える。押圧兼回転式入力装置10は、つまみ9を更に備えてもよい。押圧兼回転式入力装置10は、例えば両面テープ490でタッチパネル(不図示)に固定することが可能である。タッチパネルに直接触れて操作する場合に比べて、押圧兼回転式入力装置10で操作する場合の方が、操作が有効であることを、使用者が直感的に把握しやすい。図23に示すように、押圧兼回転式入力装置10の中央に貫通孔があれば、この貫通孔を通して、タッチパネルの表示を見たり、タッチパネルを操作したりすることができる。なお、タッチパネルとの電気的な接続は、回路ブロック8の延出部831を適宜引き回し、目的の回路に端子部831aを繋いで行う。
【0130】
まず押圧兼回転式入力装置10における押圧式入力装置1の部分について説明する。
【0131】
本実施形態では、図25に示すように、第1押圧部材31の本体部311の第2面311bに2つのボス317a,317bが設けられている。2つのボス317a,317bは、第1押圧部材31及び第2押圧部材32が傾倒する際に、支点を構成し得る。2つのボス317a,317bは、先端が半球状であり、Z軸の負の向きに突出している。2つのボス317a,317bは、貫通孔313の中心C1を通るY軸に平行な直線L1Y上において対称な位置に存在する。2つのボス317a,317bは、実施形態1の第2押圧部材32の2つのボス326a,326bと同様の働きをする。
【0132】
本実施形態では、実施形態1の場合(図4B)と異なり、図25Bに示すように、第2押圧部材32に2つのボス326a,326bが設けられていない。その代わりに、上述のように、第1押圧部材31に2つのボス317a,317bが設けられている。
【0133】
本実施形態では、図25Bに示すように、第2押圧部材32の本体部321の第2面321bに、押圧部365が設けられている。押圧部365は、第2押圧部材32が傾倒する際に、基体4に設けられたドーム41(図26B図29A及び図29B参照)を押す部分である。押圧部365と、ボス326cとは、貫通孔323の中心C2を通るX軸に平行な直線L2X上において対称な位置に存在する。
【0134】
本実施形態では、図25Bに示すように、第2押圧部材32の本体部321の第2面321bに、さらに遮蔽板363が設けられている。遮蔽板363は、第2押圧部材32が傾倒する際に、基体4に設けられた検知部40(図26B参照、本実施形態では光電センサ)のスリット40aに挿入されて、受発光部間の光を遮る板である。
【0135】
本実施形態では、図26Aに示すように、保持部材2は、環状の部材である。保持部材2は、円筒部21と、フランジ部213と、を有する。
【0136】
円筒部21は、第1円筒部211と、第2円筒部212とで構成される。第1円筒部211よりも第2円筒部212の内径及び外径が大きい。第1円筒部211と第2円筒部212とは直結され、両者の境界に段差がある。第1円筒部211の先端において、径方向の内側に向かって内鍔部23が突出している。開口20は、内鍔部23の先端で囲まれている。内鍔部23のZ軸の正の向きを向いている面が第1面2aである。
【0137】
フランジ部213は、第2円筒部212の先端において、径方向の外側に向かって突出している。フランジ部213のZ軸の負の向きを向いている面が第2面2bである。第2面2bには、複数のボス213bが設けられている。ボス213bは、保持部材2を基体4に固定するために利用される。フランジ部213の一部が切り取られて切欠き部213aが設けられている。切欠き部213aは、回路ブロック8の本体部830の外形に沿う形状を有している。
【0138】
本実施形態では、図26Bに示すように、基体4は環状の部材である。より詳細には、基体4は、円環状の本体部460と、外壁461と、を有する。本体部460の中央には、円形の貫通孔463がZ軸に平行に設けられている。さらに本体部460には、保持部材2のボス213bに対向する位置に貫通孔469が設けられている。貫通孔469にボス213bが挿入されて、熱カシメなどにより保持部材2が基体4に固定される。
【0139】
本体部460は、第1面460aと、第2面460bと、を有する。第1面460aは、Z軸の正の向きを向いている。第2面460bは、Z軸の負の向きを向いている。第1面460a及び第2面460bは、本体部460の表裏を成す。第1面460a及び第2面460bは、Z軸方向に沿って見ると、円環帯状の面である。
【0140】
外壁461は、本体部460の外周縁からZ軸の正の向きに突出している。外壁461には開口461aが設けられている。開口461aを通して、基体4の内側に設けられた回路ブロック8の一部を基体4の外側に引き出している。開口461aは、取付金具7の閉塞片703で閉塞される(図23参照)。外壁461には複数の溝461b(本実施形態では4つ)が設けられている。溝461bは、外壁461の外面においてZ軸方向に設けられている。溝461bには、取付金具7の結合片702が嵌められる(図23参照)。
【0141】
基体4は、検知部40を有する。検知部40は、第2押圧部材32の傾倒を検知する。検知部40は、光電センサである。より詳細には、検知部40は、スリット40aを介して対向する発光部と受光部とを有する。第2押圧部材32の遮蔽板363がスリット40aに挿入されて、発光部から受光部への光が遮られることで、検知部40は、第2押圧部材32の傾倒を検知する。検知部40の具体例としてフォトインタラプタが挙げられる。検知部40は、Z軸方向において、第2押圧部材32の遮蔽板363と対向する位置に設けられている。
【0142】
基体4は、ドーム41を有する。ドーム41は、使用者が第1押圧部材31を押したときなどにクリック感(節度感)を得ることを可能とする部材である。ドーム41は、座屈変形又は弾性変形可能な部材である。座屈変形可能なドーム41は、例えばメタルドームである。弾性変形可能なドーム41は、例えばラバードームである。ドーム41は、第1面460aに設けられている。ドーム41は、Z軸方向において、第2押圧部材32の押圧部365と対向するように設けられている。貫通孔463の中心C3に関し、ドーム41と対称な位置に、凹面を有するボス受け部467が設けられている。ボス受け部467に第2押圧部材32のボス326cが配置される(図29A及び図29B参照)。
【0143】
図26Bに示すように、回路ブロック8は、基体4に保持される。回路ブロック8は、フレキシブルプリント配線板83と、上述の検知部40と、2つの回転検知部80と、を有する。
【0144】
フレキシブルプリント配線板83は、本体部830と、延出部831とで構成される。本体部830は、補強板85が重ねられて補強されている(図24参照)。本体部830には貫通孔が設けられている。図26Bに示すように、本体部830は、貫通孔に基体4のボス468が挿通されて、熱カシメにより基体4の内部に固定される。
【0145】
本体部830に検知部40と2つの回転検知部80とが設けられている。2つの回転検知部80は、検知部40と同様の構造を有する。すなわち、回転検知部80は、スリット80aを介して対向する発光部と受光部とを有する。図26Bに示すように、円周Dとスリット80aとが重なるように、2つの回転検知部81,82が基体4に設けられる。円周Dは、回転体5の遮蔽板57(図27B及び図28参照)が通過する通路である。回転体5の遮蔽板57がスリット80aを通過して、発光部から受光部への光が遮られることで、回転検知部80は、回転体5の回転を検知する。2つの回転検知部81,82を有することで、回転体5の回転の向き及び回転量を検知することが可能となる。回転の向きには、XY平面内における時計回り及び反時計回りの両方が含まれる。このように、回路ブロック8は、回転体5の回転量を検知する。
【0146】
延出部831は、本体部830から延出している。延出部831は、基体4の開口461aを通って、基体4の内部から外部に引き出されている。延出部831には、配線を保護するためにカバーレイ84が被覆されている。配線は、検知部40及び回転検知部80から、延出部831の先端である端子部831aまで形成されている。端子部831aは、補強板87が重ねられて補強されている。延出部831の長さは特に限定されない。
【0147】
回転体5は、保持部材2の円筒部21を囲んでいる。回転体5は、円筒部21の周囲に回転可能である。
【0148】
回転体5は、例えば樹脂成形体であり、電気絶縁性を有する。図27A及び図27Bに示すように、回転体5は円環状の部材である。より詳細には、回転体5は、円環状の本体部50と、円筒部53と、フランジ部56と、を有する。
【0149】
本体部50の中央には、円形の貫通孔500がZ軸に平行に設けられている。本体部50は、第1面51と、第2面52と、を有する。第1面51は、Z軸の正の向きを向いている。第2面52は、Z軸の負の向きを向いている。第1面51及び第2面52は、本体部50の表裏を成す。第1面51及び第2面52は、Z軸方向に沿って見ると、円環帯状の面である。
【0150】
円筒部53は、本体部50の第1面51を二分するように、Z軸の正の向きに突出している。円筒部53によって、第1面51は、外側領域51aと内側領域51bとに二分される。外側領域51aは、円筒部53の外側に存在する円環帯状の領域である。内側領域51bは、円筒部53の内側に存在する円環帯状の領域である。外側領域51aと内側領域51bとは同心である。いずれの中心も貫通孔500の中心である。
【0151】
本体部50は、外壁54と、内壁55と、を有する。外壁54は、本体部50の外周縁からZ軸の負の向きに突出している。内壁55は、本体部50の内周縁からZ軸の負の向きに突出している。貫通孔500は、内壁55で囲まれて形成され、Z軸に平行に貫通している。
【0152】
フランジ部56は、本体部50の外壁54の外周面からXY平面に平行に突出している。フランジ部56の幅は一定である。
【0153】
図24及び図27Aに示すように、フランジ部56は、ばね部材60と対向する面に複数の凸部561を有する。複数の凸部561は、フランジ部56の周方向においてほぼ等間隔で並んでいる。複数の凸部561は、フランジ部56の全周に亘って設けられている。したがって、フランジ部56は、周方向において凹凸が繰り返す凹凸面560を有する。
【0154】
図27B及び図28に示すように、フランジ部56は、基体4と対向する面に複数の遮蔽板57を有する。複数の遮蔽板57は、フランジ部56の周方向においてほぼ等間隔で並んでいる。複数の遮蔽板57は、フランジ部56の全周に亘って設けられている。
【0155】
図27A及び図27Bに示すように、回転体5は、複数の溝孔58(本実施形態では4つ)を有する。複数の溝孔58は、貫通孔500の周囲にほぼ等間隔に設けられている。溝孔58は、本体部50の内側領域51bから内壁55にかけて設けられている。各溝孔58の両側にはガイド突起581が設けられている。溝孔58を通して、第1押圧部材31の受圧面310が露出している(図23参照)。溝孔58には、つまみ9の突起部91が挿通可能である(図28参照)。
【0156】
図28に示すように、回転体5は、複数の開口部59(本実施形態では4つ)を有する。複数の開口部59は、貫通孔500の周囲にほぼ等間隔に設けられている。開口部59は、本体部50の内壁55に設けられている。開口部59には、つまみ9の結合部92が結合可能である。
【0157】
本実施形態では、図24に示すように、押圧兼回転式入力装置10は、2つのばね部材60を有する。ばね部材60は、使用者が回転体5を回転させたときなどにクリック感を得ることを可能とする部材である。ばね部材60は、板ばね部601と、クリック用突起602と、固定部603と、を有する。
【0158】
板ばね部601は、回転体5の外壁54の外周形状に沿った形状を有する。本実施形態では、板ばね部601の形状は、円弧状である。板ばね部601は、回転体5の回転軸に平行な方向において、フランジ部56の凹凸面560に重なっている。
【0159】
クリック用突起602は、板ばね部601と一体である。クリック用突起602は、板ばね部601の中央部において、フランジ部56に向かって、U字状に突出している。クリック用突起602は、フランジ部56における凹凸面560の複数の凸部561のうち、隣り合う2つの凸部561の間の各々に出入り可能である。
【0160】
固定部603は、板ばね部601の両端に位置する。固定部603には、取付金具7の金具本体701から金具本体701の厚さ方向に突出した結合用突起が通る孔604が形成されている。ばね部材60は、固定部603の孔604に結合用突起を通すように金具本体701に固定部603を重ねた状態で、結合用突起の先端をかしめることによって、取付金具7に固定されている。
【0161】
取付金具7は、回転体5を基体4に取り付けるための金具である。取付金具7は、基体4に収納される回転体5のフランジ部56及びばね部材60を覆っている。取付金具7は、例えば鋼板によって形成される。取付金具7は、環状の金具本体701と、複数の結合片702(本実施形態では4つ)と、閉塞片703と、を有する。取付金具7の外径は、基体4の外径とほぼ同じである。
【0162】
取付金具7において、金具本体701は、貫通孔700を有する。貫通孔700の内径は、回転体5の円筒部53の外径とほぼ同じである。
【0163】
複数の結合片702は、基体4の溝461bに嵌められる部位である。閉塞片703は、基体4の開口461aを塞ぐ部位である。複数の結合片702及び閉塞片703は、金具本体701の外周縁から突出している。複数の結合片702及び閉塞片703は、金具本体701の周方向において互いに離れている。
【0164】
つまみ9は、例えば樹脂成形体であり、電気絶縁性を有する。図28に示すように、つまみ9は環状の部材である。より詳細には、つまみ9は、円環状の本体部90と、外壁94と、内壁95と、を有する。外壁94は、本体部90の外周縁から回転体5に対向する向きに突出している。内壁95は、本体部90の内周縁から回転体5に対向する向きに突出している。つまみは、円形の貫通孔93を有する。貫通孔93は、内壁95で囲まれて形成されている。
【0165】
つまみ9は、複数の突起部91(本実施形態では4つ)を有する。複数の突起部91は、内壁95の外壁94に対向する面にほぼ等間隔に設けられている。各突起部91は、回転体5の一対のガイド突起581にガイドされながら溝孔58に挿通されて、第1押圧部材31の受圧面310を押すことが可能である。
【0166】
つまみ9は、複数の結合部92(本実施形態では4つ)を有する。複数の結合部92は、内壁95の外壁94に対向する面にほぼ等間隔に設けられている。結合部92の先端には、外壁94の向きに突出する爪が形成されている。円筒状の内壁94を回転体5の貫通孔500に挿入すると、つまみ9の結合部92が回転体5の開口部59に引っ掛かって結合可能である。ただし、つまみ9が押される向き(Z軸方向)において、結合部92の爪は、開口部59内を移動可能である。
【0167】
5.3 組み立て
次に、押圧兼回転式入力装置10の組み立て方法について説明する。
【0168】
まず基体4に回路ブロック8を取り付ける。さらに基体4の内部に第2押圧部材32を設置し、第2押圧部材32の上に第1押圧部材31を載せ、その上から保持部材2を被せる。基体4の貫通孔469に保持部材2のボス213bを挿入し、熱カシメなどにより保持部材2を基体4に固定する。このようにしてまず押圧式入力装置1を組み立てる。
【0169】
次に、押圧式入力装置1に回転体5を取り付ける。具体的には、回転体5の貫通孔500に保持部材2の円筒部21を挿入する。回転体5のフランジ部56は、基体4内に配置される。フランジ部56の遮蔽板57は、フランジ56と基体4とで囲まれた空間内に配置される。
【0170】
次に、ばね部材60が取り付けられた取付金具7を基体4に取り付けて固定する。このとき取付金具7の閉塞片703で基体4の開口461aを閉塞する。取付金具7の結合片702を基体4の溝461bに嵌め、結合片702の先端をL字状に曲げてかしめることによって、取付金具7を基体4に固定する。
【0171】
その結果、図23に示す押圧兼回転式入力装置10が組み立てられる。必要に応じてさらにつまみ9を取り付けることが可能である。すなわち、つまみ9の結合部92を回転体5の開口部59に結合させる。
【0172】
5.4 動作
次に、押圧兼回転式入力装置10の動作について説明する。なお、つまみ9が取り付けられている場合の動作の一例である。
【0173】
まず押圧操作について説明する。使用者がつまみ9を押すと、つまみ9の突起部91が、回転体5の溝孔58に挿通されて、第1押圧部材31の受圧面310が押される。これにより第2押圧部材32が押され、その遮蔽板363が検知部40のスリット40aに挿入されて、検知部40が第2押圧部材32の傾倒を検知する。ほぼ同時にドーム41が変形することにより、使用者にはクリック感が得られる。
【0174】
ここで、図29A及び図29Bを参照して、上記の押圧操作について説明を補足する。なお、図29A及び図29Bにおいて、つまみ9は図示省略している。
【0175】
図29Aは、第1押圧部材31の受圧面310が押されていない状態を示す。この状態では、第1押圧部材31は、XY平面に平行である。より詳細には、第1押圧部材31の第1面311a及び第2面311bは、XY平面に平行である。また第2押圧部材32は、XY平面に対して傾斜している。より詳細には、XZ平面において、傾きが正となるように、第2押圧部材32は、傾斜している。また基体4の第1面4aは、XY平面に平行である。以上より、Y軸方向に沿って見ると、第1押圧部材31の第2面311bと第2押圧部材32の第1面321aとの間には、略くさび状の間隙が存在する。同様に、第2押圧部材32の第2面321bと基体4の第1面4aとの間には、略くさび状の間隙が存在する。
【0176】
一方、図29Bは、第1押圧部材31の受圧面310が押されている状態を示す。図29Bでは、第1押圧部材31は、傾斜しているが、傾斜していなくてもよい。すなわち、第1押圧部材31は、XY平面に平行な状態を保ちつつ、Z軸の負の向きに移動してもよい。また第2押圧部材32は、第1押圧部材31の第2面311bに設けられたボス317a,317bに押されて、ボス326cを支点として傾倒し、ドーム41を押し込んでいる。図29Bでは見えないが、ドーム41の押し込みとほぼ同時に、第2押圧部材32の遮蔽板363は、検知部40のスリット40aに挿入されている。この状態においても、第2押圧部材32の第2面321bと基体4の第1面4aとの間には、間隙が残っている。
【0177】
第1押圧部材31の受圧面310のどこが押されても、第2押圧部材32は、上述とほぼ同様の動きをする。すなわち、受圧面310のどこが押されても、この押圧を検知部40で検知可能であり、更にはほぼ同時にドーム41の押し込みにより、使用者にはクリック感が得られる。
【0178】
次に回転操作について説明する。使用者がつまみ9を回転させると、回転体5が回転し、回転体5の遮蔽板57が、基体4内の円周D上を移動する(図26B参照)。これにより遮蔽板57が、回転検知部80のスリット80aを通過して、回転体5の回転量を検知する。回転体5の回転時には、ばね部材60のクリック用突起602により、使用者にはクリック感が得られる。
【0179】
ここで、押圧部材3と回転体5とは別部材であり、各々独立して動作可能に構成される。すなわち、押圧部材3が押されても、回転体5は押されない。また回転体5が回転しても、押圧部材3は回転しない。
【0180】
回転体5が回転すると、回転体5の溝孔58から露出する第1押圧部材31の受圧面310は変化する。本実施形態に係る押圧兼回転式入力装置10には、上述の押圧式入力装置1が組み込まれているので、受圧面310のどこが押されてもこの押圧を検知部40で検知可能である。
【0181】
6.まとめ
上記実施形態等から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
【0182】
第1の態様に係る押圧式入力装置(1)は、第1押圧部材(31)と、第2押圧部材(32)と、基体(4)と、保持部材(2)と、を備える。前記第1押圧部材(31)は、受圧面(310)及び第1軸(S1)を有し、前記受圧面(310)が押されることで、前記第1軸(S1)の周りに傾倒可能である。前記第2押圧部材(32)は、第2軸(S2)を有し、前記第1押圧部材(31)の傾倒により押されることで、前記第2軸(S2)の周りに傾倒可能である。前記基体(4)は、前記第2押圧部材(32)の傾倒を検知する検知部(40)を有する。前記保持部材(2)は、前記第1押圧部材(31)及び前記第2押圧部材(32)を前記基体(4)と共に保持する。前記第1軸(S1)及び前記第2軸(S2)のうちの少なくともいずれかの位置は、前記受圧面(310)が押される箇所に応じて可変である。前記受圧面(310)に対して垂直な方向から見た場合に前記第2軸(S2)と前記検知部(40)とが重ならないように構成される。
【0183】
この態様によれば、受圧面(310)のどこが押されてもこの押圧を検知部(40)で検知可能である。
【0184】
第2の態様に係る押圧式入力装置(1)では、第1の態様において、前記受圧面(310)に対して垂直な方向に沿って、前記第2押圧部材(32)と前記基体(4)とは、前記検知部(40)を含む2点で接触する。前記第1押圧部材(31)と前記第2押圧部材(32)とは、2点で接触する。前記第1押圧部材(31)と前記第2押圧部材(32)との2つの接触点を結ぶ線分と、前記第2押圧部材(32)と前記基体(4)との2つの接触点を結ぶ線分とが、交わるように位置する。
【0185】
この態様によれば、第1押圧部材(31)及び第2押圧部材(32)の保持状態が安定する。
【0186】
第3の態様に係る押圧式入力装置(1)では、第2の態様において、前記第2押圧部材(32)と前記基体(4)との2つの接触点を結ぶ線分が、前記第1押圧部材(31)と前記第2押圧部材(32)との2つの接触点を結ぶ線分の2等分線である。
【0187】
この態様によれば、第1押圧部材(31)及び第2押圧部材(32)の保持状態が更に安定する。
【0188】
第4の態様に係る押圧式入力装置(1)では、第2又は3の態様において、前記第1押圧部材(31)と前記第2押圧部材(32)との2つの接触点と、前記第2押圧部材(32)と前記基体(4)との2つの接触点とが、略正方形の頂点に位置している。
【0189】
この態様によれば、受圧面(310)を押す力を、場所に応じて大きく変えなくても、受圧面(310)の押圧を検知部(40)で検知可能である。
【0190】
第5の態様に係る押圧式入力装置(1)では、第1~4のいずれかの態様において、前記受圧面(310)に対して垂直な方向に沿って、前記第1押圧部材(31)は、前記保持部材(2)と合計4点で接触している。
【0191】
この態様によれば、第1押圧部材(31)及び第2押圧部材(32)の保持状態が安定する。
【0192】
第6の態様に係る押圧式入力装置(1)では、第5の態様において、前記受圧面(310)に対して垂直な方向から見た場合に、前記第1押圧部材(31)と前記保持部材(2)との4点の接触点は、前記第1押圧部材(31)と前記第2押圧部材(32)との2つの接触点、及び前記第2押圧部材(32)と前記基体(4)との2つの接触点と重なるように位置する。
【0193】
この態様によれば、第1押圧部材(31)及び第2押圧部材(32)の保持状態が更に安定する。
【0194】
第7の態様に係る押圧式入力装置(1)では、第2~4のいずれかの態様において、前記受圧面(310)に対して垂直な方向に沿って、前記第1押圧部材(31)は、円形又は楕円形の環形状で前記保持部材(2)と接触する。前記円形又は前記楕円形の中心は、前記第1押圧部材(31)と前記第2押圧部材(32)との2つの接触点の中点である。
【0195】
この態様によれば、第1押圧部材(31)及び第2押圧部材(32)の保持状態が更に安定する。
【0196】
第8の態様に係る押圧式入力装置(1)では、第7の態様において、前記受圧面(310)に対して垂直な方向から見た場合に、前記第1押圧部材(31)と前記保持部材(2)との接触面は、前記第1押圧部材(31)と前記第2押圧部材(32)との2つの接触点、及び前記第2押圧部材(32)と前記基体(4)との2つの接触点と重なるように位置する。
【0197】
この態様によれば、第1押圧部材(31)及び第2押圧部材(32)の保持状態が更に安定する。
【0198】
第9の態様に係る押圧式入力装置(1)では、第2~4のいずれかの態様において、前記受圧面(310)に対して垂直な方向に沿って、前記第1押圧部材(31)は、略矩形の環形状で前記保持部材(2)と接触する。前記略矩形の中心は、前記第1押圧部材(31)と前記第2押圧部材(32)との2つの接触点の中点である。
【0199】
この態様によれば、第1押圧部材(31)及び第2押圧部材(32)の保持状態が安定する。
【0200】
第10の態様に係る押圧式入力装置(1)では、第9の態様において、前記受圧面(310)に対して垂直な方向に沿って、前記略矩形の対向する2辺は、前記第1押圧部材(31)と前記第2押圧部材(32)との2つの接触点を結ぶ線分と垂直である。前記略矩形の残りの対向する2辺は、前記第2押圧部材(32)と前記基体(4)との2つの接触点を結ぶ線分と垂直である。
【0201】
この態様によれば、第1押圧部材(31)及び第2押圧部材(32)の保持状態が安定する。
【0202】
第11の態様に係る押圧式入力装置(1)では、第10の態様において、前記受圧面(310)に対して垂直な方向から見た場合に、前記第1押圧部材(31)と前記保持部材(2)との接触面は、前記第1押圧部材(31)と前記第2押圧部材(32)との2つの接触点、及び前記第2押圧部材(32)と前記基体(4)との2つの接触点と重なるように位置する。
【0203】
この態様によれば、第1押圧部材(31)及び第2押圧部材(32)の保持状態が安定する。
【0204】
第12の態様に係る押圧式入力装置(1)では、第1の態様において、前記受圧面(310)に対して垂直な方向に沿って、前記第2押圧部材(32)と前記基体(4)とは、前記検知部(40)を含む2点で接触する。前記第1押圧部材(31)と前記第2押圧部材(32)とは、1点で接触する。前記第1押圧部材(31)と前記第2押圧部材(32)との1つの接触点は、前記第2押圧部材(32)と前記基体(4)との2つの接触点を結ぶ線分上に位置する。
【0205】
この態様によれば、第1押圧部材(31)及び第2押圧部材(32)の保持状態が安定する。
【0206】
第13の態様に係る押圧式入力装置(1)では、第12の態様において、前記受圧面(310)に対して垂直な方向に沿って、前記第1押圧部材(31)は、円形、楕円形又は矩形の環形状で前記保持部材(2)と接触する。前記円形、前記楕円形又は前記矩形の中心は、前記第1押圧部材(31)と前記第2押圧部材(32)との1つの接触点である。
【0207】
この態様によれば、第1押圧部材(31)及び第2押圧部材(32)の保持状態が安定する。
【0208】
第14の態様に係る押圧式入力装置(1)では、第1~13のいずれかの態様において、前記第1押圧部材(31)及び前記第2押圧部材(32)は環状である。
【0209】
この態様によれば、第1押圧部材(31)の貫通孔(313)及び第2押圧部材(32)の貫通孔(323)の内部を、他の用途(表示など)に利用することが可能である。
【0210】
第15の態様に係る押圧式入力装置(1)では、第1~14のいずれかの態様において、前記検知部(40)が1つである。
【0211】
この態様によれば、2度押し等の多重クリックを抑制することができる。
【0212】
第16の態様に係る押圧兼回転式入力装置(10)は、第1~15のいずれかの態様に係る押圧式入力装置(1)と、回転体(5)と、回路ブロック(8)と、を備える。前記押圧式入力装置(1)は円筒部(21)を有する。前記回転体(5)は、前記円筒部(21)を囲み、前記円筒部(21)の周囲に回転可能である。前記回路ブロック(8)は、前記押圧式入力装置(1)の前記基体(4)に保持され、前記回転体(5)の回転量を検知する。
【0213】
この態様によれば、押圧操作入力も回転操作入力も可能となる。
【符号の説明】
【0214】
1 押圧式入力装置
10 押圧兼回転式入力装置
2 保持部材
20 開口
21 円筒部
31 第1押圧部材
310 受圧面
32 第2押圧部材
4 基体
40 検知部
5 回転体
8 回路ブロック
S1 第1軸
S2 第2軸
図1
図2
図3
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