(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】コンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/224 20060101AFI20230929BHJP
H01G 2/10 20060101ALI20230929BHJP
H01G 4/32 20060101ALI20230929BHJP
H01G 4/228 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
H01G4/224 200
H01G2/10 M
H01G2/10 K
H01G4/32 531
H01G4/228 Q
(21)【出願番号】P 2020055046
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹岡 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】長尾 修身
【審査官】木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-78164(JP,A)
【文献】実開昭60-18531(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/224
H01G 2/10
H01G 4/32
H01G 4/228
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、前記第1電極の反対側に設けられた第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極を貫通する巻芯と、を有するコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子全体を覆う外装体と、を備え、
前記コンデンサ素子は、前記巻芯の一端であり、前記第1電極から突出する第1突出部と、前記巻芯の他端であり、前記第2電極から突出する第2突出部と、を含み、
前記外装体は、
前記第1電極に対向する第1端面と、前記第1端面に設けられ、前記第1突出部が嵌合する第1凹部と、を有し、前記コンデンサ素子の前記第1電極側を覆う第1外装体と、
前記第2電極に対向する第2端面と、前記第2端面に設けられ、前記第2突出部が嵌合する第2凹部と、を有し、前記コンデンサ素子の前記第2電極側を覆う第2外装体と、を含む、
コンデンサ。
【請求項2】
前記第1外装体と、前記第2外装体とは、前記外装体の内部が気密状態となるように結合されている、
請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記第1外装体の開口端部と前記第2外装体の開口端部とが、結合方向と直交する方向に重なる、
請求項1又は2に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記第1外装体及び前記第2外装体に跨って前記外装体を覆う金属箔を更に備える、
請求項1~3のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項5】
前記コンデンサ素子と前記外装体との間に充填された樹脂を更に備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項6】
一端が前記第1電極に接続され、他端が前記外装体の外側へ引き出された第1バスバーと、一端が前記第2電極に接続され、他端が前記外装体の外側へ引き出された第2バスバーと、を更に備える、
請求項1~5のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にコンデンサに関し、より詳細にはコンデンサ素子と、外装体と、を備えるコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンデンサが開示されている。このコンデンサは、一方の端面に第1電極、他方の端面に第2電極を有するコンデンサ素子と、コンデンサ素子全体を覆う外装体と、を備える。外装体は、第1外装体と、第2外装体と、を含む。第1外装体は、第1電極に対向する第1端面を有し、コンデンサ素子の第1電極側を覆う。第2外装体は、第2電極に対向する第2端面を有し、コンデンサ素子の第2電極側を覆う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記コンデンサでは、外形寸法のバラツキを低減しにくいという問題がある。上記コンデンサでいえば、外形寸法は、第1外装体の第1端面と、第2外装体の第2端面との間の距離である。そして、上記コンデンサの外形寸法は、コンデンサ素子の第1電極と第2電極との間の長さ(電極間寸法)に依存し得る。すなわち、電極間寸法が小さくなれば外形寸法も小さくなりやすくなり、電極間寸法が大きくなれば外形寸法も大きくなりやすい。上記コンデンサにおいて、外形寸法を一定にするためには、電極間寸法を一定にする必要があるが、一般に電極間寸法を一定にすることは難しい。そのため、上記コンデンサでは、外形寸法にバラツキが生じやすくなる。
【0005】
本開示の目的は、外形寸法のバラツキを低減することができるコンデンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るコンデンサは、コンデンサ素子と、外装体と、を備える。前記コンデンサ素子は、第1電極と、前記第1電極の反対側に設けられた第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極を貫通する巻芯と、を有する。前記外装体は、前記コンデンサ素子全体を覆う。前記コンデンサ素子は、第1突出部と、第2突出部と、を含む。前記第1突出部は、前記巻芯の一端であり、前記第1電極から突出する。前記第2突出部は、前記巻芯の他端であり、前記第2電極から突出する。前記外装体は、第1外装体と、第2外装体と、を含む。前記第1外装体は、前記第1電極に対向する第1端面と、前記第1端面に設けられ、前記第1突出部が嵌合する第1凹部と、を有し、前記コンデンサ素子の前記第1電極側を覆う。前記第2外装体は、前記第2電極に対向する第2端面と、前記第2端面に設けられ、前記第2突出部が嵌合する第2凹部と、を有し、前記コンデンサ素子の前記第2電極側を覆う。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、コンデンサの外形寸法のバラツキを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るコンデンサの分解斜視図である。
【
図2】
図2は、同上のコンデンサの一部破断した平面図である。
【
図3】
図3は、同上のコンデンサの一部破断した側面図である。
【
図4】
図4A~
図4Cは、第1外装体と第2外装体との結合構造を説明する図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係るコンデンサの一部破断した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.第1実施形態
(1)概要
図1に第1実施形態に係るコンデンサ1を示す。コンデンサ1は、コンデンサ素子2と、外装体3と、を備える。
【0010】
コンデンサ素子2は、第1電極21と、第2電極22と、巻芯23と、を有する。コンデンサ素子2は、第1突出部231と、第2突出部232と、を含む。第1突出部231は、巻芯23の一端であり、第1電極21から突出する。第2突出部232は、巻芯23の他端であり、第2電極22から突出する。
【0011】
外装体3は、コンデンサ素子2全体を覆う(
図2及び
図3参照)。外装体3は、第1外装体31と、第2外装体32と、を含む。第1外装体31は、第1凹部311を有し、コンデンサ素子2の第1電極21側を覆う。第2外装体32は、第2凹部312を有し、コンデンサ素子2の第2電極22側を覆う。
【0012】
本実施形態によれば、コンデンサ素子2の巻芯23を利用することで、コンデンサ1の外形寸法L1のバラツキを低減することができる。すなわち、巻芯23の第1突出部231を、第1外装体31の第1凹部311に嵌合させることで、コンデンサ素子2に対して第1外装体31の位置決めがなされる。一方、巻芯23の第2突出部232を、第2外装体32の第2凹部312に嵌合させることで、コンデンサ素子2に対して第2外装体32の位置決めがなされる。このように、巻芯23を利用して外装体3の位置決めがなされる。ここで、複数の巻芯23を製造する場合、これらの巻芯23の長さL2を一定にすることは比較的容易であり、これらの巻芯23の長さL2のバラツキはほとんど見られない。したがって、コンデンサ1の外形寸法L1のバラツキを低減することができる。
【0013】
(2)詳細
以下、第1実施形態に係るコンデンサ1について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明の都合上、図面中に上下方向、左右方向、及び前後方向を示す矢印を表記しているが、これらの矢印は実体を伴わない。またこれらの方向は一例であり、コンデンサ1の使用時の方向を限定する趣旨ではない。
【0014】
本実施形態に係るコンデンサ1は、フィルムコンデンサである。
図1に示すように、コンデンサ1は、コンデンサ素子2と、外装体3と、を備える。好ましくは、コンデンサ1は、金属箔5を更に備える(
図2及び
図3参照)。好ましくは、コンデンサ1は、バスバー7(第1バスバー71及び第2バスバー72)を更に備える。以下、コンデンサ1の構成要素について説明する。
【0015】
<コンデンサ素子>
コンデンサ素子2は、誘電体フィルム上にアルミニウムを蒸着させた2枚の金属化フィルムを重ね、重ねた金属化フィルムを、巻芯23を中心にして巻回し、扁平状に押圧(
図1では上下方向に押圧)することにより形成されている。コンデンサ素子2の断面(前後方向に対して垂直な断面)の形状は、ほぼ長円をなしている。
【0016】
コンデンサ素子2は、前後方向に延びる柱体形状をなしている。コンデンサ素子2の前面に第1面201が存在し、後面に第2面202が存在する。
【0017】
コンデンサ素子2は、第1電極21と、第2電極22と、巻芯23と、を有する。
【0018】
第1電極21は、第1面201に層状に設けられている。第1電極21は、例えば、メタリコン(金属溶射法)により亜鉛等の金属で形成されている。
【0019】
第2電極22は、第2面202に層状に設けられている。つまり、第2電極22は、第1電極21の反対側に設けられている。第2電極22も、第1電極21と同様に形成されている。
【0020】
ここで、
図2に示すように、電極間寸法L3は、第1電極21の前方を向く面と、第2電極22の後方を向く面との間の長さで規定される。
【0021】
図1に示すように、巻芯23は、第1電極21及び第2電極22を貫通する。このように、巻芯23は、前後方向に延びている。本実施形態では、巻芯23は、前後方向に長い矩形状の薄板であり、上下方向に対して垂直な面にほぼ平行である。なお、コンデンサ素子2を扁平状に押圧する際、巻芯23の断面などの形状は、押圧前後で変化してもよい。
【0022】
巻芯23は、電気絶縁性を有する。巻芯23の材料は、電気絶縁材料であれば、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)及びポリエチレンテレフタレート(PET)からなる群より選ばれた1種以上の材料を含む。
【0023】
コンデンサ素子2は、第1突出部231と、第2突出部232と、を含む。
【0024】
第1突出部231は、巻芯23の一端(前端)である。すなわち、第1突出部231は、巻芯23の前方の先端部である。第1突出部231は、第1電極21から突出する。第1突出部231は、第1面201に対してほぼ垂直に前方に突出している。
【0025】
第1突出部231の突出長さは、特に限定されないが、好ましくはコンデンサ素子2の自重などでひずみが生じにくい長さである。すなわち、第1突出部231を第1凹部311に嵌合させてコンデンサ1を組み立てた後に、コンデンサ素子2の自重で第1突出部231にひずみが生じにくいことが好ましい。具体的には、第1突出部231の突出長さは、好ましくは4mm以上10mm以下、より好ましくは6mm以上10mm以下である。第1突出部231の突出長さが4mm以上であることで、第1突出部231と第1凹部311との嵌合が外れにくくなる。第1突出部231の突出長さが10mm以下であることで、第1突出部231が曲がりにくくなる。
【0026】
第2突出部232は、巻芯23の他端(後端)である。すなわち、第2突出部232は、巻芯23の後方の先端部である。第2突出部232は、第2電極22から突出する。第2突出部232は、第2面202に対してほぼ垂直に後方に突出している。第2突出部232の突出長さは、第1突出部231の突出長さと同様である。第2突出部232の曲げ弾性率も、第1突出部231の曲げ弾性率と同様である。
【0027】
ここで、
図2に示すように、巻芯23の長さL2は、第1突出部231の先端と、第2突出部232の先端との間の長さで規定される。電極間寸法L3に比べて、巻芯23の長さL2の方が一定にしやすい。すなわち、複数のコンデンサ素子2を製造する場合、電極間寸法L3に比べて、巻芯23の長さL2のバラツキはほとんど見られない。
【0028】
<外装体>
外装体3は、コンデンサ素子2全体を覆う(
図2及び
図3参照)。外装体3は、電気絶縁性を有する。外装体3の材料は、電気絶縁材料であれば、特に限定されないが、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)を含む。
【0029】
外装体3の形状は、コンデンサ素子2の形状と相似している。外装体3の内部にコンデンサ素子2が収容される収容空間Sが存在する(
図2及び
図3参照)。収容空間Sの寸法は、コンデンサ素子2の寸法よりも大きい。コンデンサ素子2が外装体3内に収容された状態において、コンデンサ素子2の外周面203と外装体3の内周面303との間に、隙間が存在しても存在しなくてもよい。
【0030】
図1に示すように、外装体3は、第1外装体31と、第2外装体32と、を含む。
【0031】
第1外装体31は、コンデンサ素子2の前方を覆う。すなわち、第1外装体31は、コンデンサ素子2の第1電極21側を覆う。
【0032】
第1外装体31は、第1底板331と、第1筒状壁341と、を有する。
【0033】
第1底板331の形状は、コンデンサ素子2の断面よりも一回り大きいほぼ長円をなしている。第1底板331には、第1貫通孔351及び第2貫通孔352が設けられている。第1貫通孔351及び第2貫通孔352は、前後方向に貫通している。第1貫通孔351及び第2貫通孔352は、左右方向に並んでいる。第1底板331の第1電極21を向く面が第1端面301である。つまり、第1端面301は、第1電極21に対向する。第1端面301に第1凹部311が設けられている。コンデンサ素子2を外装体3の収容空間Sに収容する際に、第1凹部311に第1突出部231が嵌合する。上述のように、第1外装体31は、第1端面301と、第1凹部311と、を有する。
【0034】
第1筒状壁341は、第1底板331の外周縁部から、第1底板331に対して垂直な方向(後方)に突出している。第1筒状壁341の先端(後端)は開口端部321であり、開口端部321の外縁側の全周にわたって外周リブ362が形成されている(
図3参照)。このように、開口端部321は、外周リブ362を含む。外周リブ362の肉厚は、第1筒状壁341の肉厚よりも薄く、例えば、半分程度である。
【0035】
第2外装体32は、コンデンサ素子2の後方を覆う。すなわち、第2外装体32は、コンデンサ素子2の第2電極22側を覆う。
【0036】
第2外装体32は、第2底板332と、第2筒状壁342と、を有する。
【0037】
第2底板332の形状は、第1底板331の形状と同様である。第2底板332の第2電極22を向く面が第2端面302である。つまり、第2端面302は、第2電極22に対向する。第2端面302に第2凹部312が設けられている。コンデンサ素子2を外装体3の収容空間Sに収容する際に、第2凹部312に第2突出部232が嵌合する。上述のように、第2外装体32は、第2端面302と、第2凹部312と、を有する。
【0038】
第2筒状壁342は、第2底板332の外周縁部から、第2底板332に対して垂直な方向(前方)に突出している。第2筒状壁342の先端(前端)は開口端部322であり、開口端部322の内縁側の全周にわたって内周リブ361が形成されている(
図3参照)。このように、開口端部322は、内周リブ361を含む。内周リブ361の肉厚は、第2筒状壁342の肉厚よりも薄く、例えば、半分程度である。コンデンサ素子2を外装体3の収容空間Sに収容する際に、第2外装体32の内周リブ361は、第1外装体31の外周リブ362の内側に嵌め込まれる。
【0039】
図2及び
図3に示すように、第1外装体31と、第2外装体32とは、外装体3の内部が気密状態となるように結合されている。上述のように、第1外装体31と第2外装体32とは、外周リブ362の内側に内周リブ361を嵌め込むようにして結合される。外周リブ362の内周面と内周リブ361の外周面とは全周にわたって接着される。この接着は、熱溶着及び振動溶着などの手法による溶着でもよいし、接着剤を用いた接着でもよい。これにより、外装体3の内部が気密状態に保持される。このように、外装体3内のコンデンサ素子2が外部雰囲気から隔離されるので、コンデンサ素子2は、湿気から保護され、耐湿性が確保される。したがって、コンデンサ素子2に水分が侵入することを抑制することができる。なお、外装体3の内部は、完全に空気の流通が妨げられるような状態でなくてもよい。外装体3の内部は、コンデンサ素子2の耐湿性が適正に確保できる程度に空気の流通が妨げられるような気密状態であればよい。
【0040】
上述のように、第1外装体31の開口端部321に外周リブ362が設けられ、第2外装体32の開口端部322に内周リブ361が設けられている。
図3に示すように、第1外装体31の開口端部321と第2外装体32の開口端部322とが、結合方向(前後方向)と直交する方向に重なる。そのため、第1外装体31と第2外装体32との結合部分での気密性が保たれやすくなる。
【0041】
<第1外装体と第2外装体との結合構造のその他の変更例>
第1の変更例を
図4Aに示す。第1外装体31の開口端部321が外周リブ362を含み、第2外装体32の開口端部322が内周リブ361を含む。内周リブ361には、適宜の位置に複数の爪部371が形成され、外周リブ362には、爪部371に対応する位置に凹部372が形成される。第2外装体32の内周リブ361の外側に環状のパッキン8が取り付けられる。第1外装体31の開口端部321と第2外装体32の開口端部322とが突き合わされると、爪部371が凹部372に係合し、第1外装体31と第2外装体32とが前後方向に外れにくくなる。さらに第1外装体31と第2外装体32との間がパッキン8によりシールされる。
【0042】
第2の変更例を
図4Bに示す。第2外装体32の開口端部322が、内側及び外側に爪部373を有する周リブ363を含み、第1外装体31の開口端部321が、爪部373に対応する凹部364を有する周溝374を含む。周リブ363が周溝374に嵌め込まれることにより、爪部373と凹部364とが係合し、第1外装体31と第2外装体32とが前後方向に外れにくくなる。さらに第2外装体32の開口端部322には、周リブ363の内側及び外側に、それぞれ環状の第1パッキン81及び第2パッキン82が設けられ、第1外装体31と第2外装体32との間が、第1パッキン81及び第2パッキン82によりシールされる。
【0043】
第3の変更例を
図4Cに示す。第1外装体31の外周リブ362の外側に第1フランジ部381が形成され、第2外装体32の内周リブ361の外側に環状のパッキン8が収容される収容部392と第2フランジ部382とが形成される。第1フランジ部381には、挿通孔391が形成され、第2フランジ部382には、インサートナット92が埋め込まれる。取付ネジ91が挿通孔391に通されてインサートナット92に止められることにより、第1フランジ部381と第2フランジ部382とが結合される。これにより、第1外装体31と第2外装体32とが結合される。さらに第1外装体31と第2外装体32との間がパッキン8によりシールされる。
【0044】
上述のパッキン8、第1パッキン81及び第2パッキン82の材料は、耐環境性の観点から、好ましくは、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム及びフッ素系ゴムからなる群より選ばれた1種以上の材料を含む。
【0045】
<金属箔>
図2及び
図3に示すように、本実施形態に係るコンデンサ1は、金属箔5を更に備える。金属箔5としては、特に限定されないが、例えば、銅箔が挙げられる。金属箔5は、外装体3を覆う。金属箔5は、第1外装体31及び第2外装体32に跨っている。すなわち、金属箔5は、第1外装体31と第2外装体32との結合部分を少なくとも覆っている。これにより、コンデンサ1の外部から結合部分を通って水分が侵入しにくくなる。したがって、コンデンサ素子2に水分が侵入することを更に抑制することができる。ただし、金属箔5は、バスバー7と電気的に絶縁されている。
【0046】
<バスバー>
図1に示すように、本実施形態に係るコンデンサ1は、バスバー7を更に備える。バスバー7は、導電性を有する。バスバー7の材料は、導電性材料であれば、特に限定されないが、例えば、銅及び銅合金を含む。バスバー7は、板状の部材である。
【0047】
バスバー7には、第1バスバー71と、第2バスバー72と、が含まれる。
【0048】
第1バスバー71の一端は、第1電極21に接続されている。第1バスバー71と第1電極21とは、電気的に接続されている。第1バスバー71と第1電極21との接続は、溶接などにより行われる。溶接には、例えば、レーザ溶接及び超音波溶接などが含まれる。第1バスバー71の他端は、外装体3の外側へ引き出されている。第1バスバー71は、第1外装体31の第1貫通孔351を貫通している。第1バスバー71と第1貫通孔351との間は、接着剤等によりシールされていることが好ましい。
【0049】
第2バスバー72の一端は、第2電極22に接続されている。第2バスバー72と第2電極22とは、電気的に接続されている。第2バスバー72と第2電極22との接続は、溶接などにより行われる。第2バスバー72の他端は、外装体3の外側へ引き出されている。第2バスバー72は、第1外装体31の第2貫通孔352を貫通している。第2バスバー72と第2貫通孔352との間は、接着剤等によりシールされていることが好ましい。
【0050】
このように、第1バスバー71及び第2バスバー72は、外装体3から同じ向き(前方)に突出している(
図2参照)。第1バスバー71及び第2バスバー72は、左右方向に並んでいる。ただし、第1バスバー71及び第2バスバー72は、電気的に絶縁されている。外装体3から突出している第1バスバー71及び第2バスバー72は、接続端子部として機能し、外部機器等に設けられた外部端子に、半田付け等の接続方法により電気的に接続される。このように、第1バスバー71及び第2バスバー72により、外部機器等に設けられた外部端子にコンデンサ素子2を電気的に接続することができる。
【0051】
<作用効果>
本実施形態によれば、コンデンサ素子2の巻芯23を利用することで、コンデンサ1の外形寸法L1のバラツキを低減することができる。すなわち、巻芯23の第1突出部231を、第1外装体31の第1凹部311に嵌合させることで、コンデンサ素子2に対して第1外装体31の位置決めがなされる。一方、巻芯23の第2突出部232を、第2外装体32の第2凹部312に嵌合させることで、コンデンサ素子2に対して第2外装体32の位置決めがなされる。このように、巻芯23を利用して外装体3の位置決めがなされる。ここで、複数の巻芯23を製造する場合、これらの巻芯23の長さL2を一定にすることは比較的容易であり、これらの巻芯23の長さL2のバラツキはほとんど見られない。上記のように、巻芯23の長さL2に応じて外装体3の位置決めがなされるが、巻芯23の長さL2にほとんど変動がなければ、外装体3の位置もほとんど変動しない。また第1電極21及び第2電極22の層の厚みなどに変動があっても、巻芯23の長さL2は、ほとんど影響を受けない。したがって、コンデンサ1の外形寸法L1のバラツキを低減することができる。
【0052】
さらに第1突出部231と第1凹部311との嵌合、及び第2突出部232と第2凹部312との嵌合により、コンデンサ素子2を外装体3内において安定して保持することもできる。
【0053】
2.第2実施形態
以下、第2実施形態に係るコンデンサ1について、図面を参照して詳細に説明する。第2実施形態では、第1実施形態と同様の構成要素には第1実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する場合がある。
【0054】
<樹脂>
図5に本実施形態に係るコンデンサ1を示す。コンデンサ1は、樹脂6を更に備える。樹脂6は、電気絶縁性を有する。樹脂6は、電気絶縁材料であれば、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂を含む。樹脂6は、コンデンサ素子2と外装体3との間に充填されている。このように、樹脂6は、コンデンサ素子2の全体を被覆している。本実施形態では、第1外装体31と第2外装体32とは結合されていないが、第1実施形態と同様に結合されていてもよい。
【0055】
<作用効果>
第2実施形態も、第1実施形態と同様の作用効果を奏し得る。さらに第2実施形態によれば、コンデンサ素子2の全体が樹脂6で被覆されていることで、コンデンサ素子2に水分が侵入することを更に抑制することができる。
【0056】
3.変形例
第1~第2実施形態では、巻芯23は、矩形状の薄板であるが、円筒状又は円柱状をなしていてもよい。
【0057】
第1~第2実施形態では、コンデンサ素子10は、誘電体フィルム上にアルミニウムを蒸着させた金属化フィルムにより形成されているが、アルミニウム以外にも、亜鉛及びマグネシウム等の他の金属を蒸着させた金属化フィルムにより形成されていてもよい。コンデンサ素子10は、アルミニウム、亜鉛及びマグネシウム等の金属のうち、複数の金属を蒸着させた金属化フィルムにより形成されていてもよいし、複数の金属の合金を蒸着させた金属化フィルムにより形成されていてもよい。
【0058】
第1実施形態では、コンデンサ素子2の外周面203と外装体3の内周面303との間に隙間が存在してもよいが、この隙間に樹脂6が充填されていてもよい。
【0059】
4.態様
上記実施形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
【0060】
第1の態様は、コンデンサ(1)であって、コンデンサ素子(2)と、外装体(3)と、を備える。前記コンデンサ素子(2)は、第1電極(21)と、前記第1電極(21)の反対側に設けられた第2電極(22)と、前記第1電極(21)及び前記第2電極(22)を貫通する巻芯(23)と、を有する。前記外装体(3)は、前記コンデンサ素子(2)全体を覆う。前記コンデンサ素子(2)は、第1突出部(231)と、第2突出部(232)と、を含む。前記第1突出部(231)は、前記巻芯(23)の一端であり、前記第1電極(21)から突出する。前記第2突出部(232)は、前記巻芯(23)の他端であり、前記第2電極(22)から突出する。前記外装体(3)は、第1外装体(31)と、第2外装体(32)と、を含む。第1外装体(31)は、前記第1電極(21)に対向する第1端面(301)と、前記第1端面(301)に設けられ、前記第1突出部(231)が嵌合する第1凹部(311)と、を有し、前記コンデンサ素子(2)の前記第1電極(21)側を覆う。第2外装体(32)は、前記第2電極(22)に対向する第2端面(302)と、前記第2端面(302)に設けられ、前記第2突出部(232)が嵌合する第2凹部(312)と、を有し、前記コンデンサ素子(2)の前記第2電極(22)側を覆う。
【0061】
この態様によれば、コンデンサ(1)の外形寸法のバラツキを低減することができる。
【0062】
第2の態様は、第1の態様に基づくコンデンサ(1)である。第2の態様では、前記第1外装体(31)と、前記第2外装体(32)とは、前記外装体(3)の内部が気密状態となるように結合されている。
【0063】
この態様によれば、コンデンサ素子(2)に水分が侵入することを抑制することができる。
【0064】
第3の態様は、第1又は第2の態様に基づくコンデンサ(1)である。第3の態様では、前記第1外装体(31)の開口端部(321)と前記第2外装体(32)の開口端部(322)とが、結合方向と直交する方向に重なる。
【0065】
この態様によれば、第1外装体(31)と第2外装体(32)との結合部分での気密性が保たれやすい。
【0066】
第4の態様は、第1~第3の態様のいずれか一つに基づくコンデンサ(1)である。第4の態様では、前記第1外装体(31)及び前記第2外装体(32)に跨って前記外装体(3)を覆う金属箔(5)を更に備える。
【0067】
この態様によれば、コンデンサ素子(2)に水分が侵入することを更に抑制することができる。
【0068】
第5の態様は、第1~第4の態様のいずれか一つに基づくコンデンサ(1)である。第5の態様では、前記コンデンサ素子(2)と前記外装体(3)との間に充填された樹脂(6)を更に備える。
【0069】
この態様によれば、コンデンサ素子(2)に水分が侵入することを更に抑制することができる。
【0070】
第6の態様は、第1~第5の態様のいずれか一つに基づくコンデンサ(1)である。第6の態様では、第1バスバー(71)と、第2バスバー(72)と、を更に備える。前記第1バスバー(71)は、一端が前記第1電極(21)に接続され、他端が前記外装体(3)の外側へ引き出されている。前記第2バスバー(72)は、一端が前記第2電極(22)に接続され、他端が前記外装体(3)の外側へ引き出されている。
【0071】
この態様によれば、第1バスバー(71)及び第2バスバー(72)により、外部機器等に設けられた外部端子にコンデンサ素子(2)を電気的に接続することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 コンデンサ
2 コンデンサ素子
21 第1電極
22 第2電極
23 巻芯
231 第1突出部
232 第2突出部
3 外装体
31 第1外装体
301 第1端面
311 第1凹部
321 開口端部
32 第2外装体
302 第2端面
312 第2凹部
322 開口端部
5 金属箔
6 樹脂
71 第1バスバー
72 第2バスバー