(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】コンデンサの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/32 20060101AFI20230929BHJP
H01G 2/10 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
H01G4/32 550
H01G2/10 R
H01G4/32 305A
(21)【出願番号】P 2020055047
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹岡 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】奥戸 崇史
【審査官】木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-300502(JP,A)
【文献】特開2013-8709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/32
H01G 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、前記第1電極の反対側に設けられた第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極を貫通する巻芯と、を有するコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子を収納するキャビティを有する金型と、を用い、
前記コンデンサ素子は、前記巻芯の一端であり、前記第1電極から突出する第1突出部と、前記巻芯の他端であり、前記第2電極から突出する第2突出部と、を含み、
前記金型は、前記キャビティの内面に設けられ、前記第1突出部が嵌合される第1凹部と、前記キャビティの内面に設けられ、前記第2突出部が嵌合される第2凹部と、を含み、
前記第1突出部を前記第1凹部に嵌合し、前記第2突出部を前記第2凹部に嵌合し、前記コンデンサ素子を前記キャビティ内に浮かせた状態で、前記コンデンサ素子と前記キャビティの内面との間の空間に樹脂を注入充填する、
コンデンサの製造方法。
【請求項2】
前記金型は、少なくとも2つの金型を含み、前記第1突出部及び前記第2突出部の少なくともいずれかは、前記少なくとも2つの金型で挟み込まれる、
請求項1に記載のコンデンサの製造方法。
【請求項3】
前記コンデンサ素子は、一端が前記第1電極に接続され、他端が前記金型の外側へ引き出された第1バスバーと、一端が前記第2電極に接続され、他端が前記金型の外側へ引き出された第2バスバーと、を更に有する、
請求項1又は2に記載のコンデンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にコンデンサの製造方法に関し、より詳細にはコンデンサ素子と金型とを用いるコンデンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ケースレスフィルムコンデンサの製造方法が開示されている。このケースレスフィルムコンデンサの製造方法では、下型に組み込まれた下型入れ子と上型に組み込まれた上型入れ子によってキャビティが構成される金型を用いる。そして、フィルムコンデンサ素子をキャビティに収納した状態で、キャビティ内を負圧吸引して排気しながら、キャビティに対して樹脂を注入充填するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記ケースレスフィルムコンデンサの製造方法では、金型に対してフィルムコンデンサ素子を安定して取り付けにくいという問題がある。
【0005】
すなわち、上記ケースレスフィルムコンデンサの製造方法では、フィルムコンデンサ素子から同じ方向へ引き出された正負一対の外部引き出し端子を金型で挟持することにより、フィルムコンデンサ素子をキャビティに収納している。このように、フィルムコンデンサ素子は、片持ち支持されているので、フィルムコンデンサ素子のキャビティ内での収納状態は不安定となり得る。そのため、このような状態でキャビティ内に対して樹脂を注入充填すると、フィルムコンデンサ素子を被覆する外装樹脂の厚みも不均一化するおそれがある。
【0006】
本開示の目的は、金型に対してコンデンサ素子を安定して取り付けることができるとともに、コンデンサ素子を被覆する外装樹脂の厚みを均一化しやすいコンデンサの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るコンデンサの製造方法は、コンデンサ素子と、金型と、を用いる。前記コンデンサ素子は、第1電極と、前記第1電極の反対側に設けられた第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極を貫通する巻芯と、を有する。前記金型は、前記コンデンサ素子を収納するキャビティを有する。前記コンデンサ素子は、第1突出部と、第2突出部と、を含む。前記第1突出部は、前記巻芯の一端であり、前記第1電極から突出する。前記第2突出部は、前記巻芯の他端であり、前記第2電極から突出する。前記金型は、第1凹部と、第2凹部と、を含む。前記第1凹部は、前記キャビティの内面に設けられ、前記第1突出部が嵌合される。前記第2凹部は、前記キャビティの内面に設けられ、前記第2突出部が嵌合される。前記第1突出部を前記第1凹部に嵌合し、前記第2突出部を前記第2凹部に嵌合し、前記コンデンサ素子を前記キャビティ内に浮かせた状態で、前記コンデンサ素子と前記キャビティの内面との間の空間に樹脂を注入充填する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、金型に対してコンデンサ素子を安定して取り付けることができるとともに、コンデンサ素子を被覆する外装樹脂の厚みを均一化しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るコンデンサの製造方法に用いられるコンデンサ素子及び金型の斜視図である。
【
図2】
図2は、同上のコンデンサの製造方法の一工程を説明する図である。
【
図3】
図3は、同上のコンデンサの製造方法の一工程を説明する図である。
【
図4】
図4は、同上のコンデンサの製造方法の一工程を説明する図である。
【
図5】
図5は、同上のコンデンサの製造方法の一工程を説明する図である。
【
図6】
図6は、同上のコンデンサの製造方法の一工程を説明する図である。
【
図7】
図7は、同上のコンデンサの製造方法により製造されたコンデンサの概略断面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係るコンデンサの製造方法に用いられるコンデンサ素子及び金型の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.第1実施形態
(1)概要
図1に示すように、第1実施形態に係るコンデンサ1の製造方法では、コンデンサ素子2と、金型4と、を用いる。
【0011】
コンデンサ素子2は、第1電極21と、第2電極22と、巻芯23と、を有する。コンデンサ素子2は、第1突出部231と、第2突出部232と、を含む。第1突出部231は、巻芯23の一端であり、第1電極21から突出する。第2突出部232は、巻芯23の他端であり、第2電極22から突出する。
【0012】
金型4は、コンデンサ素子2を収納するキャビティ40を有する。金型4は、第1凹部401と、第2凹部402と、を含む。
【0013】
図6に示すように、第1突出部231を第1凹部401に嵌合し、第2突出部232を第2凹部402に嵌合し、コンデンサ素子2をキャビティ40内に浮かせた状態で、コンデンサ素子2とキャビティ40の内面400との間の空間に樹脂6を注入充填する。これにより、
図7及び
図8に示すコンデンサ1が得られる。
【0014】
本実施形態によれば、コンデンサ素子2の巻芯23を利用することで、金型4に対してコンデンサ素子2を安定して取り付けることができるとともに、コンデンサ素子2を被覆する外装樹脂60の厚みを均一化しやすい。すなわち、巻芯23の第1突出部231を、金型4の第1凹部401に嵌合させるとともに、巻芯23の第2突出部232を、金型4の第2凹部402に嵌合させる。これにより、コンデンサ素子2は、キャビティ40内で浮いた状態で両持ち支持される。したがって、金型4に対してコンデンサ素子2を安定して取り付けることができる。しかもコンデンサ素子2は両持ち支持されているので、金型4の内部に樹脂6を注入する際に、コンデンサ素子2が樹脂6に押されても、コンデンサ素子2の位置は変動しにくい。すなわち、コンデンサ素子2とキャビティ40の内面400との間の間隔を一定に保ちやすい。したがって、コンデンサ素子2を被覆する外装樹脂60の厚みを均一化しやすい。
【0015】
(2)詳細
以下、第1実施形態に係るコンデンサ1の製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明の都合上、図面中に上下方向、左右方向、及び前後方向を示す矢印を表記しているが、これらの矢印は実体を伴わない。またこれらの方向は一例であり、コンデンサ1の使用時の方向を限定する趣旨ではない。
【0016】
本実施形態に係るコンデンサ1は、フィルムコンデンサである(
図7及び
図8参照)。コンデンサ1の製造方法では、
図1及び
図2に示すように、コンデンサ素子2と、金型4と、を用いる。以下、コンデンサ素子2及び金型4について説明した後、コンデンサ1の製造方法について説明する。
【0017】
<コンデンサ素子>
コンデンサ素子2は、誘電体フィルム上にアルミニウムを蒸着させた2枚の金属化フィルムを重ね、重ねた金属化フィルムを、巻芯23を中心にして巻回し、扁平状に押圧(
図1では上下方向に押圧)することにより形成されている。コンデンサ素子2の断面(前後方向に対して垂直な断面)の形状は、ほぼ長円をなしている。
【0018】
コンデンサ素子2は、前後方向に延びる柱体形状をなしている。コンデンサ素子2の前面に第1面201が存在し、後面に第2面202が存在する。
【0019】
コンデンサ素子2は、第1電極21と、第2電極22と、巻芯23と、を有する。
【0020】
第1電極21は、第1面201に層状に設けられている。第1電極21は、例えば、メタリコン(金属溶射法)により亜鉛等の金属で形成されている。
【0021】
第2電極22は、第2面202に層状に設けられている。つまり、第2電極22は、第1電極21の反対側に設けられている。第2電極22も、第1電極21と同様に形成されている。
【0022】
ここで、
図4に示すように、電極間寸法L3は、第1電極21の前方を向く面と、第2電極22の後方を向く面との間の長さで規定される。
【0023】
図1に示すように、巻芯23は、第1電極21及び第2電極22を貫通する。このように、巻芯23は、前後方向に延びている。本実施形態では、巻芯23は、前後方向に長い矩形状の薄板であり、上下方向に対して垂直な面にほぼ平行である。なお、コンデンサ素子2を扁平状に押圧する際、巻芯23の断面などの形状は、押圧前後で変化してもよい。
【0024】
巻芯23は、電気絶縁性を有する。巻芯23の材料は、電気絶縁材料であれば、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)及びポリエチレンテレフタレート(PET)からなる群より選ばれた1種以上の材料を含む。
【0025】
コンデンサ素子2は、第1突出部231と、第2突出部232と、を含む。
【0026】
第1突出部231は、巻芯23の一端(前端)である。すなわち、第1突出部231は、巻芯23の前方の先端部である。第1突出部231は、第1電極21から突出する。第1突出部231は、第1面201に対してほぼ垂直に前方に突出している。
【0027】
第1突出部231の突出長さは、特に限定されないが、好ましくはコンデンサ素子2の自重などでひずみが生じにくい長さである。すなわち、第1突出部231を第1凹部401に嵌合させつつ金型4を閉めた後に、コンデンサ素子2の自重で第1突出部231にひずみが生じにくいことが好ましい。さらには金型4に注入される樹脂6の樹脂圧力で第1突出部231にひずみが生じにくいことも好ましい。具体的には、第1突出部231の突出長さは、好ましくは4mm以上10mm以下、より好ましくは6mm以上10mm以下である。第1突出部231の突出長さが4mm以上であることで、第1突出部231と第1凹部401との嵌合が外れにくくなる。第1突出部231の突出長さが10mm以下であることで、第1突出部231が曲がりにくくなる。
【0028】
第2突出部232は、巻芯23の他端(後端)である。すなわち、第2突出部232は、巻芯23の後方の先端部である。第2突出部232は、第2電極22から突出する。第2突出部232は、第2面202に対してほぼ垂直に後方に突出している。第2突出部232の突出長さは、第1突出部231の突出長さと同様である。第2突出部232の曲げ弾性率も、第1突出部231の曲げ弾性率と同様である。
【0029】
ここで、
図4に示すように、巻芯23の長さL2は、第1突出部231の先端と、第2突出部232の先端との間の長さで規定される。電極間寸法L3に比べて、巻芯23の長さL2の方が一定にしやすい。すなわち、複数のコンデンサ素子2を製造する場合、電極間寸法L3に比べて、巻芯23の長さL2のバラツキはほとんど見られない。
【0030】
コンデンサ素子2は、バスバー7を更に有する。バスバー7は、導電性を有する。バスバー7の材料は、導電性材料であれば、特に限定されないが、例えば、銅及び銅合金を含む。バスバー7は、板状の部材である。
【0031】
バスバー7には、第1バスバー71と、第2バスバー72と、が含まれる。
【0032】
第1バスバー71の一端は、第1電極21に接続されている。第1バスバー71と第1電極21とは、電気的に接続されている。第1バスバー71と第1電極21との接続は、溶接などにより行われる。溶接には、例えば、レーザ溶接及び超音波溶接などが含まれる。金型4を型締めする場合に、第1バスバー71の他端は金型4の外側へ引き出されている(
図4及び
図5参照)。第1バスバー71の他端に貫通孔701が設けられている。貫通孔701は、上下方向に貫通している。
【0033】
第2バスバー72の一端は、第2電極22に接続されている。第2バスバー72と第2電極22とは、溶接などにより電気的に接続されている。金型4を型締めする場合に、第2バスバー72の他端は、金型4の外側へ引き出されている(
図4及び
図5参照)。第2バスバー72の他端に貫通孔702が設けられている。貫通孔702は、上下方向に貫通している。
【0034】
第1バスバー71及び第2バスバー72は、金型4から同じ向き(前方)に突出している。第1バスバー71及び第2バスバー72は、左右方向に並んでいる。ただし、第1バスバー71及び第2バスバー72は、電気的に絶縁されている。
【0035】
<金型>
金型4は、キャビティ40を有する(
図4及び
図5参照)。キャビティ40は、金型4を閉じる際に形成される。キャビティ40にコンデンサ素子2が収納される。キャビティ40の形状は、コンデンサ素子2の形状と相似している。キャビティ40の寸法は、コンデンサ素子2の寸法よりも大きい。コンデンサ素子2がキャビティ40内に収容された状態において、コンデンサ素子2の外周面203とキャビティ40の内面400との間に隙間が存在する。
【0036】
金型4は、少なくとも2つの金型4を含む。本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、金型4は、3つの金型4を含む。3つの金型4は、第1金型41、第2金型42、及び第3金型43である。
【0037】
第1金型41は、ほぼ直方体状をなす。第1金型41は、第1収容空間410と、注入口413と、を有する。第1収容空間410は、第1金型41の下方に開口する空間である。第1収容空間410は、キャビティ40の内面400の一部を構成する空間である。注入口413は、第1金型41の上面から第1収容空間410に至るまで貫通する孔である。注入口413は、樹脂6を金型4の外部からキャビティ40に注入するための孔である(
図6参照)。なお、エアーベント(ガスベント)は、金型4に適宜に設けられる。
【0038】
第2金型42は、上下方向から見て、略U字状に形成されている。第2金型42は、前壁部421と、2つの側壁部422と、第2収容空間420と、を有する。前壁部421は、左右方向に延びる壁状部材である。2つの側壁部422は、前壁部421の両端から前壁部421に対してほぼ垂直に同じ向き(後方)に突出する壁状部分である。2つの側壁部422は、左右方向において対向している。第2収容空間420は、前壁部421及び2つの側壁部422で囲まれた空間である。第2収容空間420は、キャビティ40の内面400の一部を構成する空間である。
【0039】
第3金型43は、左右方向から見て、略L字状に形成されている。第3金型43は、台部431と、後壁部432と、第3収容空間430と、2つの溝部433と、2つのピン穴434と、を有する。台部431は、ほぼ板状をなす部材である。後壁部432は、台部431の上面の後端に設けられている。後壁部432は、左右方向に延びる壁状部材である。後壁部432は、金型4を閉じる際に、第2金型42の前壁部421と対向する。第3収容空間430は、台部431の上方及び後壁部432の前方に存在する空間である。第3収容空間430は、キャビティ40の内面400の一部を構成する。2つの溝部433は、台部431の前端に設けられている。2つの溝部433は、前後方向に延びる溝である。2つの溝部433の幅寸法は、バスバー7の幅寸法とほぼ同様である。2つの溝部433の深さ寸法は、バスバー7の厚み寸法とほぼ同様である。2つの溝部433は、左右方向に並んでいる。2つの溝部433は、金型4を閉じる際に、金型4の外部に露出する。2つの溝部433は、第3収容空間430とつながっている。2つのピン穴434は、2つの溝部433の底面に1つずつ設けられている。2つのピン穴434に位置決めピン435を抜き差し可能である。
【0040】
金型4は、第1凹部401と、第2凹部402と、を含む。
【0041】
第1凹部401は、キャビティ40の内面400に設けられている。本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、第1凹部401は、第2金型42の前壁部421に設けられている。より詳細には、第1凹部401は、前壁部421の上面及び後面の一部が切り取られて設けられている。すなわち、
図5に示すように、第1凹部401は、金型4を閉じる際に、第1金型41と第2金型42との間に形成される。コンデンサ素子2をキャビティ40に収容する際に、第1凹部401に第1突出部231が嵌合される。金型4を閉じると、第1突出部231は、第1金型41及び第2金型42で挟み込まれる。
【0042】
第2凹部402は、キャビティ40の内面400に設けられている。本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、第2凹部402は、第3金型43の後壁部432に設けられている。より詳細には、第2凹部402は、後壁部432の上面及び前面の一部が切り取られて設けられている。第2凹部402は、金型4を閉じる際に、第1金型41と第3金型43との間に形成される。コンデンサ素子2をキャビティ40に収容する際に、第2凹部402に第2突出部232が嵌合される。金型4を閉じると、第2突出部232は、第1金型41及び第3金型43で挟み込まれる。
【0043】
上述のように、コンデンサ素子2の第1突出部231及び第2突出部232の少なくともいずれかは、少なくとも2つの金型4で挟み込まれる。本実施形態では、
図5に示すように、金型4を閉じる際に、第1突出部231は、第1金型41及び第2金型42で挟み込まれるとともに、第2突出部232は、第1金型41及び第3金型43で挟み込まれる。
【0044】
<コンデンサの製造方法>
次に、上述のコンデンサ素子2及び金型4を用いたコンデンサ1の製造方法について説明する。
【0045】
図3に示すように、第3金型43上に第2金型42を載せる。コンデンサ素子2の第1突出部231を、第2金型42の前壁部421の第1凹部401に嵌合させる。コンデンサ素子2の第2突出部232を、第3金型43の後壁部432の第2凹部402に嵌合させる。このように、コンデンサ素子2は、両持ち支持される。これにより、コンデンサ素子2は、第3金型43の上面から浮いた状態に支持される。
【0046】
他方、
図4に示すように、コンデンサ素子2の第1バスバー71及び第2バスバー72を第3金型43の2つの溝部433に載せる。第1バスバー71の貫通孔701及びピン穴434に位置決めピン435を挿入する。同様に、第2バスバー72の貫通孔702及びピン穴434に位置決めピン435を挿入する。これにより、コンデンサ素子2の移動が更に抑制される。
【0047】
次に
図5に示すように、第2金型42及び第3金型43上に第1金型41を載せる。これにより、金型4が閉じられ、金型4の内部にキャビティ40が形成され、キャビティ40内にコンデンサ素子2が収納される。
【0048】
コンデンサ素子2の第1突出部231は、金型4の第1凹部401に嵌合される。さらに第1突出部231は、第1金型41及び第2金型42で上下から挟み込まれる。一方、コンデンサ素子2の第2突出部232は、金型4の第2凹部402に嵌合される。さらに第2突出部232は、第1金型41及び第3金型43で上下から挟み込まれる。したがって、コンデンサ素子2を金型4に対して安定して取り付けることができる。しかも型締め力を大きくすることで、コンデンサ素子2を金型4に対して更に安定して取り付けることができる。
【0049】
次に
図6に示すように、樹脂6を金型4の注入口413から金型4の内部に注入する。すなわち、コンデンサ素子2をキャビティ40内に浮かせた状態で、コンデンサ素子2とキャビティ40の内面400との間の空間に樹脂6を注入充填する。コンデンサ素子2が片持ち支持されていると、注入される樹脂6に押されてコンデンサ素子2の位置が変動し得るが、本実施形態では、コンデンサ素子2が両持ち支持されているので、樹脂6に押されてもコンデンサ素子2の位置は変動しにくい。すなわち、コンデンサ素子2とキャビティ40の内面400との間の間隔を一定に保ちやすい。
【0050】
樹脂6は、電気絶縁性を有する。樹脂6は、電気絶縁材料であれば、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂を含む。
【0051】
樹脂6が硬化又は固化した後、金型4を開くと、コンデンサ1が得られる。
【0052】
<コンデンサ>
上述のコンデンサ1の製造方法により製造されたコンデンサ1を
図7及び
図8に示す。コンデンサ1は、いわゆるケースレスコンデンサである。コンデンサ素子2は、外装樹脂60で被覆されている。外装樹脂60の厚みは、均一化されている。第1バスバー71及び第2バスバー72は、外装樹脂60から同じ向き(前方)に突出している。上述のコンデンサ1の製造方法によれば、コンデンサ素子2に第1バスバー71及び第2バスバー72が接続されていても、コンデンサ素子2を外装樹脂60で被覆することができる。
【0053】
<作用効果>
本実施形態によれば、コンデンサ素子2の巻芯23を利用することで、金型4に対してコンデンサ素子2を安定して取り付けることができるとともに、コンデンサ素子2を被覆する外装樹脂60の厚みを均一化しやすい。すなわち、巻芯23の第1突出部231を、金型4の第1凹部401に嵌合させるとともに、巻芯23の第2突出部232を、金型4の第2凹部402に嵌合させる。これにより、コンデンサ素子2は、キャビティ40内で浮いた状態で両持ち支持される。したがって、金型4に対してコンデンサ素子2を安定して取り付けることができる。しかもコンデンサ素子2は両持ち支持されているので、金型4の内部に樹脂6を注入する際に、コンデンサ素子2が樹脂6に押されても、コンデンサ素子2の位置は変動しにくい。すなわち、コンデンサ素子2とキャビティ40の内面400との間の間隔を一定に保ちやすい。したがって、コンデンサ素子2を被覆する外装樹脂60の厚みを均一化しやすい。
【0054】
さらに本実施形態では、コンデンサ素子2の巻芯23を利用して、コンデンサ素子2をキャビティ40内に安定して保持することができる。そのため、コンデンサ素子2を保持するためにバスバー7を特に利用しなくてもよい。すなわち、コンデンサ素子2におけるバスバー7の配置の自由度を高めることもできる。
【0055】
2.第2実施形態
以下、第2実施形態に係るコンデンサ1の製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。第2実施形態では、第1実施形態と同様の構成要素には第1実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する場合がある。
【0056】
<金型>
図9に示すように、本実施形態では、金型4は、2つの金型4を含む。2つの金型4は、第1金型41及び第2金型42である。
【0057】
第1金型41は、ほぼ直方体状をなす。第1金型41は、第1収容空間410と、第1凹部401と、第1貫通孔411と、第2貫通孔412と、を有する。
【0058】
第1収容空間410は、第1金型41の後方に開口する空間である。第1収容空間410は、キャビティ40のほぼ前半分を構成する空間である。
【0059】
第1凹部401は、第1収容空間410の前方に設けられている。
【0060】
第1貫通孔411及び第2貫通孔412は、第1金型41の前面から第1収容空間410に至るまで前後方向に貫通している。第1貫通孔411及び第2貫通孔412は、左右方向に並んでいる。コンデンサ素子2がキャビティ40内に収容された状態において、第1バスバー71は第1貫通孔411を貫通するとともに、第2バスバー72は第2貫通孔412を貫通する。
【0061】
第2金型42は、ほぼ直方体状をなす。第2金型42は、第2収容空間420と、第2凹部402と、注入口413と、を有する。
【0062】
第2収容空間420は、第2金型42の前方に開口する空間である。第2収容空間420は、キャビティ40のほぼ後ろ半分を構成する空間である。
【0063】
第2凹部402は、第2収容空間420の後方に設けられている。金型4を閉じる際に、第2凹部402は、第1凹部401と前後方向において対向する。
【0064】
注入口413は、第2金型42の上面から第2収容空間420に至るまで貫通する孔である。注入口413は、樹脂6を金型4の外部からキャビティ40に注入するための孔である。
【0065】
<コンデンサの製造方法>
本実施形態でも、第1実施形態を示す
図5と同様に、コンデンサ素子2の第1突出部231は、金型4の第1凹部401に嵌合される。一方、コンデンサ素子2の第2突出部232は、金型4の第2凹部402に嵌合される。したがって、コンデンサ素子2を金型4に対して安定して取り付けることができる。
【0066】
そして、コンデンサ素子2をキャビティ40内に浮かせた状態で、コンデンサ素子2とキャビティ40の内面400との間の空間に樹脂6を注入充填する。これにより、第1実施形態と同様のコンデンサ1が得られる。
【0067】
<作用効果>
第2実施形態も、第1実施形態と同様の作用効果を奏し得る。
【0068】
3.変形例
第1~第2実施形態では、巻芯23は、矩形状の薄板であるが、円筒状又は円柱状をなしていてもよい。
【0069】
第1~第2実施形態では、コンデンサ素子10は、誘電体フィルム上にアルミニウムを蒸着させた金属化フィルムにより形成されているが、アルミニウム以外にも、亜鉛及びマグネシウム等の他の金属を蒸着させた金属化フィルムにより形成されていてもよい。コンデンサ素子10は、アルミニウム、亜鉛及びマグネシウム等の金属のうち、複数の金属を蒸着させた金属化フィルムにより形成されていてもよいし、複数の金属の合金を蒸着させた金属化フィルムにより形成されていてもよい。
【0070】
4.態様
上記実施形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
【0071】
第1の態様は、コンデンサ(1)の製造方法であって、コンデンサ素子(2)と、金型(4)と、を用いる。前記コンデンサ素子(2)は、第1電極(21)と、前記第1電極(21)の反対側に設けられた第2電極(22)と、前記第1電極(21)及び前記第2電極(22)を貫通する巻芯(23)と、を有する。前記金型(4)は、前記コンデンサ素子(2)を収納するキャビティ(40)を有する。前記コンデンサ素子(2)は、第1突出部(231)と、第2突出部(232)と、を含む。前記第1突出部(231)は、前記巻芯(23)の一端であり、前記第1電極(21)から突出する。前記第2突出部(232)は、前記巻芯(23)の他端であり、前記第2電極(22)から突出する。前記金型(4)は、第1凹部(401)と、第2凹部(402)と、を含む。前記第1凹部(401)は、前記キャビティ(40)の内面(400)に設けられ、前記第1突出部(231)が嵌合される。前記第2凹部(402)は、前記キャビティ(40)の内面(400)に設けられ、前記第2突出部(232)が嵌合される。前記第1突出部(231)を前記第1凹部(401)に嵌合し、前記第2突出部(232)を前記第2凹部(402)に嵌合し、前記コンデンサ素子(2)を前記キャビティ(40)内に浮かせた状態で、前記コンデンサ素子(2)と前記キャビティ(40)の内面(400)との間の空間に樹脂(6)を注入充填する。
【0072】
この態様によれば、金型(4)に対してコンデンサ素子(2)を安定して取り付けることができるとともに、コンデンサ素子(2)を被覆する外装樹脂(60)の厚みを均一化しやすい。
【0073】
第2の態様は、第1の態様に基づくコンデンサ(1)の製造方法である。第2の態様では、前記金型(4)は、少なくとも2つの金型(4;41,42,43)を含む。前記第1突出部(231)及び前記第2突出部(232)の少なくともいずれかは、前記少なくとも2つの金型(4;41,42,43)で挟み込まれる。
【0074】
この態様によれば、型締め力を大きくすることで、金型(4)に対してコンデンサ素子(2)を更に安定して取り付けることができる。
【0075】
第3の態様は、第1又は第2の態様に基づくコンデンサ(1)の製造方法である。第3の態様では、前記コンデンサ素子(2)は、第1バスバー(71)と、第2バスバー(72)と、を更に有する。前記第1バスバー(71)は、一端が前記第1電極(21)に接続され、他端が前記金型(4)の外側へ引き出されている。前記第2バスバー(72)は、一端が前記第2電極(22)に接続され、他端が前記金型(4)の外側へ引き出されている。
【0076】
この態様によれば、コンデンサ素子(2)に第1バスバー(71)及び第2バスバー(72)が接続されていても、コンデンサ素子(2)を外装樹脂(60)で被覆することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 コンデンサ
2 コンデンサ素子
21 第1電極
22 第2電極
23 巻芯
231 第1突出部
232 第2突出部
4 金型
40 キャビティ
400 内面
401 第1凹部
402 第2凹部
41 第1金型
42 第2金型
43 第3金型
6 樹脂
60 外装樹脂
71 第1バスバー
72 第2バスバー