(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】アーク検出装置、パワーコンディショナ、屋内配線システム、ブレーカ、太陽光パネル、太陽光パネル付属モジュール及び接続箱
(51)【国際特許分類】
G01R 31/12 20200101AFI20230929BHJP
H02S 50/00 20140101ALI20230929BHJP
【FI】
G01R31/12 A
H02S50/00
(21)【出願番号】P 2022505983
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(86)【国際出願番号】 JP2021008293
(87)【国際公開番号】W WO2021182260
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】P 2020041708
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】大島 和哉
(72)【発明者】
【氏名】古賀 達雄
(72)【発明者】
【氏名】金森 圭太
(72)【発明者】
【氏名】木寺 和憲
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-145363(JP,A)
【文献】国際公開第2019/198791(WO,A1)
【文献】特開2017-161241(JP,A)
【文献】特開2015-200638(JP,A)
【文献】特開2008-113546(JP,A)
【文献】特開平06-118111(JP,A)
【文献】特開2018-124251(JP,A)
【文献】特開2020-139925(JP,A)
【文献】特開昭64-041872(JP,A)
【文献】米国特許第06421214(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/12
H02S 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源と機器とを接続する第1経路及び第2経路が貫通する磁気コアを有し、前記磁気コアに発生する磁界に応じて前記第1経路及び前記第2経路を流れる電流を検出する電流検出部と、
前記直流電源及び前記機器よりもインピーダンスが低い低インピーダンス回路であって、前記第1経路及び前記第2経路に接続され、前記第1経路及び前記第2経路のうちの一方の経路への高周波成分をバイパスするための低インピーダンス回路と、
前記電流検出部により検出された電流に基づいて、アークの発生を判定するアーク判定部と、を備え、
前記磁気コアにおいて、前記第1経路を流れる直流電流の向きと前記第2経路を流れる直流電流の向きとは逆向きであ
り、
前記直流電源は、前記直流電源の正極及び負極のうちの一方に接続された第1配線、並びに、前記直流電源の正極及び負極のうちの他方に接続された第2配線を介して前記機器に電力を供給し、
前記第1経路は、前記第1配線における経路であり、
前記第2経路は、前記第2配線における経路であり、
前記低インピーダンス回路は、前記直流電源の正極及び負極のうちの一方と前記磁気コアとの間における前記第1配線上の接続点と、前記磁気コアと前記機器との間における前記第2配線上の接続点とを結ぶバイパス経路に設けられる
アーク検出装置。
【請求項2】
直流電源と機器とを接続する第1経路及び第2経路が貫通する磁気コアを有し、前記磁気コアに発生する磁界に応じて前記第1経路及び前記第2経路を流れる電流を検出する電流検出部と、
前記直流電源及び前記機器よりもインピーダンスが低い低インピーダンス回路であって、前記第1経路及び前記第2経路に接続され、前記第1経路及び前記第2経路のうちの一方の経路への高周波成分をバイパスするための低インピーダンス回路と、
前記電流検出部により検出された電流に基づいて、アークの発生を判定するアーク判定部と、を備え、
前記磁気コアにおいて、前記第1経路を流れる直流電流の向きと前記第2経路を流れる直流電流の向きとは逆向きであり、
前記直流電源は、前記直流電源の正極及び負極のうちの一方に接続された第1配線、並びに、前記直流電源の正極及び負極のうちの他方に接続された第2配線を介して前記機器に電力を供給し、
前記第1経路及び前記第2経路は、前記第1配線における経路であり、
前記第1配線は、前記第1経路において前記磁気コアを前記磁気コアの一方側から他方側へ貫通した後折り返し、前記第2経路において前記磁気コアを前記磁気コアの前記他方側から前記一方側へ貫通する
アーク検出装置。
【請求項3】
前記低インピーダンス回路は、前記折り返し部分における接続点と、前記磁気コアの前記一方側と前記機器との間における前記第1配線上の接続点とを結ぶバイパス経路に設けられる
請求項
2に記載のアーク検出装置。
【請求項4】
前記低インピーダンス回路は、前記折り返し部分における接続点と、前記磁気コアの前記一方側と前記直流電源の正極及び負極のうちの一方との間における前記第1配線上の接続点とを結ぶバイパス経路に設けられる
請求項
2に記載のアーク検出装置。
【請求項5】
前記低インピーダンス回路は、前記折り返し部分における接続点と、前記第2配線上の接続点とを結ぶバイパス経路に設けられる
請求項
2に記載のアーク検出装置。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載のアーク検出装置と、
前記直流電源の出力電力を変換する変換器と、を備える
パワーコンディショナ。
【請求項7】
請求項1~
5のいずれか1項に記載のアーク検出装置と、
前記第1経路と、
前記第2経路と、
屋内に設置された前記機器と、を備える
屋内配線システム。
【請求項8】
請求項1~
5のいずれか1項に記載のアーク検出装置を備え、
アークが発生したと判定された場合に、前記第1経路及び前記第2経路に流れる電流を遮断する
ブレーカ。
【請求項9】
請求項1~
5のいずれか1項に記載のアーク検出装置を備え、
太陽光により発電する
太陽光パネル。
【請求項10】
請求項1~
5のいずれか1項に記載のアーク検出装置を備え、
太陽光パネルから出力される信号の変換を行う
太陽光パネル付属モジュール。
【請求項11】
請求項1~
5のいずれか1項に記載のアーク検出装置を備え、
太陽光パネルとパワーコンディショナとを接続する
接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーク検出装置、パワーコンディショナ、屋内配線システム、ブレーカ、太陽光パネル、太陽光パネル付属モジュール及び接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PV(Photo Voltaic)パネル(太陽光パネル)等から配線を介して供給される直流電力をインバータ等の機器で交流電力に変換するシステムが知られている。このような配線は、外的要因又は経年劣化等によって損傷又は破断を引き起こすことが報告されている。このような配線の損傷等に起因してアーク(つまりアーク放電)が発生する場合がある。そこで、アークを検出するためのアーク検出手段が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配線に流れる電流によって電流センサに発生する磁界を検出し、当該磁界に応じた電流に基づいてアークを検出する方法がある。しかしながら、当該方法では、電流センサの磁気コアにおいて磁気飽和が発生して、アークを正確に検出できないことがある。
【0005】
そこで、本発明は、アークを正確に検出できるアーク検出装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るアーク検出装置の一態様は、直流電源と機器とを接続する第1経路及び第2経路が貫通する磁気コアを有し、前記磁気コアに発生する磁界に応じて前記第1経路及び前記第2経路を流れる電流を検出する電流検出部と、前記直流電源及び前記機器よりもインピーダンスが低い低インピーダンス回路であって、前記第1経路及び前記第2経路に接続され、前記第1経路及び前記第2経路のうちの一方の経路への高周波成分をバイパスするための低インピーダンス回路と、前記電流検出部により検出された電流に基づいて、アークの発生を判定するアーク判定部と、を備え、前記磁気コアにおいて、前記第1経路を流れる直流電流の向きと前記第2経路を流れる直流電流の向きとは逆向きである。
【0007】
本発明に係るパワーコンディショナの一態様は、上記のアーク検出装置と、前記直流電源の出力電力を変換する変換器と、を備える。
【0008】
本発明に係る屋内配線システムの一態様は、上記のアーク検出装置と、前記第1経路と、前記第2経路と、屋内に設置された前記機器と、を備える。
【0009】
本発明に係るブレーカの一態様は、上記のアーク検出装置を備え、アークが発生したと判定された場合に、前記第1経路及び前記第2経路に流れる電流を遮断する。
【0010】
本発明に係る太陽光パネルの一態様は、上記のアーク検出装置を備え、太陽光により発電する。
【0011】
本発明に係る太陽光パネル付属モジュールの一態様は、上記のアーク検出装置を備え、太陽光パネルから出力される信号の変換を行う。
【0012】
本発明に係る接続箱の一態様は、上記のアーク検出装置を備え、太陽光パネルとパワーコンディショナとを接続する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、アークを正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】
図1Aは、実施の形態1に係るアーク検出装置の一例を示す構成図である。
【
図1B】
図1Bは、実施の形態1に係るアーク検出装置においてアークが発生したときの配線に流れる電流の一例を示す図である。
【
図1C】
図1Cは、実施の形態1に係るアーク検出装置においてアークが発生したときの配線に流れる電流の一例を示す図である。
【
図2A】
図2Aは、実施の形態1の変形例1に係るアーク検出装置の一例を示す構成図である。
【
図2B】
図2Bは、実施の形態1の変形例1に係るアーク検出装置においてアークが発生したときの配線に流れる電流の一例を示す図である。
【
図2C】
図2Cは、実施の形態1の変形例1に係るアーク検出装置においてアークが発生したときの配線に流れる電流の一例を示す図である。
【
図3A】
図3Aは、実施の形態1の変形例2に係るアーク検出装置の一例を示す構成図である。
【
図3B】
図3Bは、実施の形態1の変形例2に係るアーク検出装置においてアークが発生したときの配線に流れる電流の一例を示す図である。
【
図3C】
図3Cは、実施の形態1の変形例2に係るアーク検出装置においてアークが発生したときの配線に流れる電流の一例を示す図である。
【
図4A】
図4Aは、実施の形態1の変形例3に係るアーク検出装置の一例を示す構成図である。
【
図4B】
図4Bは、実施の形態1の変形例3に係るアーク検出装置においてアークが発生したときの配線に流れる電流の一例を示す図である。
【
図4C】
図4Cは、実施の形態1の変形例3に係るアーク検出装置においてアークが発生したときの配線に流れる電流の一例を示す図である。
【
図5A】
図5Aは、実施の形態1の変形例4に係るアーク検出装置の一例を示す構成図である。
【
図5B】
図5Bは、実施の形態1の変形例4に係るアーク検出装置においてアークが発生したときの配線に流れる電流の一例を示す図である。
【
図5C】
図5Cは、実施の形態1の変形例4に係るアーク検出装置においてアークが発生したときの配線に流れる電流の一例を示す図である。
【
図6A】
図6Aは、実施の形態2に係る太陽光発電システムの一例を示す構成図である。
【
図6B】
図6Bは、実施の形態2の変形例に係る太陽光発電システムの一例を示す構成図である。
【
図7A】
図7Aは、実施の形態3に係る太陽光発電システムの一例を示す構成図である。
【
図7B】
図7Bは、実施の形態3の変形例に係る太陽光発電システムの一例を示す構成図である。
【
図8A】
図8Aは、実施の形態4に係る太陽光発電システムの一例を示す構成図である。
【
図8B】
図8Bは、実施の形態4の変形例に係る太陽光発電システムの一例を示す構成図である。
【
図9A】
図9Aは、実施の形態5に係る太陽光発電システムの一例を示す構成図である。
【
図9B】
図9Bは、実施の形態5の変形例に係る太陽光発電システムの一例を示す構成図である。
【
図10】
図10は、実施の形態6に係る屋内配線システムの一例を示す構成図である。
【
図11】
図11は、本発明に係るアーク検出装置の適用例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態等は、一例であって本発明を限定する主旨ではない。
【0016】
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0017】
(実施の形態1)
図1Aは、実施の形態1に係るアーク検出装置10aの一例を示す構成図である。なお、
図1Aには、直流電源40及び機器50も示している。
【0018】
直流電源40は、直流電力を生成する電源である。直流電源40で生成された直流電力は機器50に供給される。直流電源40は、正極と負極を有し、正極には配線41aが接続され、負極には配線42aが接続され、配線41a及び42aを介して直流電力を機器50に供給する。
【0019】
機器50は、直流電源40から配線41a及び42aを介して直流電力が供給される機器である。機器50の種類は特に限定されない。例えば、機器50は、DC/DCコンバータ等の変換器であってもよいし、屋内に設置される照明器具、スピーカ又はマイク等の機器であってもよい。
【0020】
配線41a及び42aは、直流電源40と機器50とを接続する。配線41aは、直流電源40の正極及び負極のうちの一方に接続された第1配線の一例である。ここでは、配線41aは、直流電源40の正極及び負極のうちの一方として正極に接続される。配線42aは、直流電源40の正極及び負極のうちの他方に接続された第2配線の一例である。ここでは、配線42aは、直流電源40の正極及び負極のうちの他方として負極に接続される。
【0021】
配線41a及び42aは、後述する磁気コア21を貫通しており、配線41aにおける磁気コア21を貫通している部分(経路)を経路51aとし、配線42aにおける磁気コア21を貫通している部分(経路)を経路52aとする。経路51aは、直流電源40と機器50とを接続している配線41aにおける経路であることから、経路51aも直流電源40と機器50とを接続しているといえる。経路51aは、直流電源40と機器50とを接続する第1経路の一例である。経路52aは、直流電源40と機器50とを接続している配線42aにおける経路であることから、経路52aも直流電源40と機器50とを接続しているといえる。経路52aは、直流電源40と機器50とを接続する第2経路の一例である。
【0022】
磁気コア21において経路51aを流れる直流電流の向きと経路52aを流れる直流電流の向きとは逆向きである。経路51aが、直流電源40の正極に接続された配線41aにおける経路であり、経路52aが、直流電源40の負極に接続された配線42aにおける経路であることからも経路51aを流れる直流電流の向きと経路52aを流れる直流電流の向きとが逆向きであることがわかる。
図1Aにおいて、経路51aを流れる直流電流の向きと経路52aを流れる直流電流の向きとを、磁気コア21付近に矢印で示している。
【0023】
アーク検出装置10aは、アークを検出するための装置であり、低インピーダンス回路11a、電流検出部20a及びアーク判定部30を備える。
【0024】
電流検出部20aは、経路51a及び52aが貫通する磁気コア21を有し、磁気コア21に発生する磁界に応じて経路51a及び52aを流れる電流を検出する。
【0025】
磁気コア21は、配線が貫通可能な環状形状(ここでは円環形状)となっており、自身の孔を貫通する配線に流れる電流によって、当該電流に応じた磁界がコアに発生する。なお、磁気コア21は、円環形状に限らず、矩形状の環状形状等であってもよい。
【0026】
また、電流検出部20aは、例えば、磁気コア21に発生する磁界を検出して、磁気コア21に発生する磁界に応じた電圧を発生するホール素子(図示せず)を備える。ホール素子が発生する電圧は、磁気コア21に発生した磁界、つまり、磁気コア21を貫通する経路を流れる電流を示す信号としてアーク判定部30に入力される。
【0027】
低インピーダンス回路11aは、直流電源40及び機器50よりもインピーダンスが低い回路である。低インピーダンス回路11aは、経路51a及び52aに接続され、経路51a及び52aのうちの一方の経路への高周波成分をバイパスするための回路である。低インピーダンス回路11aは、例えばコンデンサであり、直流電源40が有する容量成分及び機器50が有する容量成分よりもインピーダンスが低い。コンデンサは、直流成分を遮断する機能を有するため、配線41a及び42aを流れる信号から高周波成分のみを抽出することができる。コンデンサのキャパシタンス値は、抽出したい高周波成分の周波数等に応じて適宜決定される。低インピーダンス回路11aは、直流電源40及び機器50よりもインピーダンスが低いことから、配線41a及び42aでは、低インピーダンス回路11aへ向けて高周波成分が流れやすくなっている。
【0028】
低インピーダンス回路11aは、具体的には、直流電源40の正極及び負極のうちの一方(ここでは正極)と磁気コア21との間における配線41a上の接続点N1aと、磁気コア21と機器50との間における配線42a上の接続点N2aとを結ぶバイパス経路43aに設けられる。
【0029】
アーク判定部30は、例えばマイコン(マイクロコントローラ)により実現される。マイコンは、プログラムが格納されたROM、RAM、プログラムを実行するプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)、タイマ、A/D変換器及びD/A変換器等を有する半導体集積回路等である。なお、アーク判定部30は、A/D変換器、論理回路、ゲートアレイ及びD/A変換器等で構成される専用の電子回路によってハードウェア的に実現されてもよい。
【0030】
アーク判定部30は、電流検出部20aにより検出された電流に基づいて、アークの発生を判定する。例えば、アーク判定部30は、電流検出部20aにより検出された電流を周波数分析することで配線41a又は42aにおけるアークの発生を判定する。アークの発生により生じる高周波成分が重畳した電流には、アークに起因する周波数成分が含まれており、当該周波数成分を検出することでアークの発生を判定することができる。
【0031】
一般的には、配線41a及び42aの一方のみ(例えば配線41aのみ)が貫通するように磁気コア21を設けることが考えられるが、その場合、配線41aには直流電源40からの大きな直流電流が流れており、磁気コア21に磁気飽和が生じ得る。このため、配線41aにアークが発生した場合、直流電流による磁気飽和によって、配線41aに流れる直流電流に重畳したアークによる高周波成分を正確に検出できないことがある。
【0032】
また、単に、配線41a及び42aの両方が貫通するように磁気コア21を設けるだけの場合、配線41aを流れる電流の向きと配線42aを流れる電流の向きとが逆となるため、配線41aを流れる直流電流による磁界と配線42aを流れる直流電流による磁界とを相殺でき磁気飽和を防止できるが、アークの発生に基づく高周波成分による磁界についても同様に相殺されてしまい、アークの発生の検出が難しい。
【0033】
そこで、アーク検出装置10は、直流電源40の正極及び負極のうちの一方(ここでは正極)と磁気コア21との間における配線41a上の接続点N1aと、磁気コア21と機器50との間における配線42a上の接続点N2aとを結ぶバイパス経路43aに設けられる低インピーダンス回路11aを備える。
【0034】
低インピーダンス回路11a(例えばコンデンサ)は、直流電流を遮断し、交流電流(高周波成分)を通過させる素子であり、配線41a又は42aを流れる電流に含まれる高周波成分をバイパス経路43aへ流す。アーク検出装置10aがこのような低インピーダンス回路11aを備えることによりアークを正確に検出できるようになる原理について、
図1B及び
図1Cを用いて説明する。
【0035】
図1B及び
図1Cは、実施の形態1に係るアーク検出装置10aにおいてアークが発生したときの配線に流れる電流の一例を示す図である。
図1Bでは、配線41aにおける直流電源40の正極と接続点N1aとの間でアークが発生したとする。
図1Cでは、配線42aにおける機器50と磁気コア21との間でアークが発生したとする。
図1B及び
図1Cでは、アークの発生により生じる高周波成分の流れを太い破線で示す。
【0036】
上述したように、磁気コア21において発生する経路51aを流れる直流電流による磁界と経路52aを流れる直流電流による磁界とは相殺され磁気飽和を防止できる。また、これらの直流電流は、直流電流を遮断する低インピーダンス回路11a(コンデンサ)によってバイパス経路43aへは流れない。
【0037】
まず、
図1Bに示されるように、配線41aにおける直流電源40の正極と接続点N1aとの間でアークが発生した場合に、アークを正確に検出できるようになる原理について説明する。
【0038】
アークによる高周波成分は、接続点N1aにおいてバイパス経路43aへと流れる。高周波成分は、接続点N1aと機器50とを結ぶ経路51aではなく、低インピーダンス回路11aが設けられたバイパス経路43aを流れようとするためである。そして、高周波成分は、接続点N2aと直流電源40とを結ぶ経路52aを流れる。このように、バイパス経路43aは経路51aをバイパスする経路となり、高周波成分は、磁気コア21において経路52aを流れるのに対して経路51aには流れない。したがって、磁気コア21において、経路51aを流れる直流電流に応じた磁界と経路52aを流れる直流電流に応じた磁界とは相殺され、経路52aを流れる高周波成分に応じた磁界が発生する。当該磁界は、例えばホール素子によって電圧信号としてアーク判定部30に出力され、当該電圧信号からアーク判定部30は、アークが発生したと判定できる。
【0039】
次に、
図1Cに示されるように、配線42aにおける機器50と磁気コア21との間でアークが発生した場合に、アークを正確に検出できるようになる原理について説明する。
【0040】
アークによる高周波成分は、磁気コア21において経路51aを流れ、接続点N1aにおいてバイパス経路43aへと流れる。高周波成分は、接続点N1aと直流電源40とを結ぶ経路ではなく、低インピーダンス回路11aが設けられたバイパス経路43aを流れようとするためである。そして、高周波成分は、接続点N2aと機器50とを結ぶ経路を流れる。このように、バイパス経路43aは経路52aをバイパスする経路となり、高周波成分は、磁気コア21において経路51aを流れるのに対して経路52aには流れない。したがって、磁気コア21において、経路51aを流れる直流電流に応じた磁界と経路52aを流れる直流電流に応じた磁界とは相殺され、経路51aを流れる高周波成分に応じた磁界が発生する。当該磁界は、例えばホール素子によって電圧信号としてアーク判定部30に出力され、当該電圧信号からアーク判定部30は、アークが発生したと判定できる。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態に係るアーク検出装置10aは、直流電源40と機器50とを接続する第1経路(例えば経路51a)及び第2経路(例えば経路52a)が貫通する磁気コア21を有し、磁気コア21に発生する磁界に応じて第1経路及び第2経路を流れる電流を検出する電流検出部20aと、直流電源40及び機器50よりもインピーダンスが低い低インピーダンス回路11aであって、第1経路及び第2経路に接続され、第1経路及び第2経路のうちの一方の経路への高周波成分をバイパスするための低インピーダンス回路11aと、電流検出部20aにより検出された電流に基づいて、アークの発生を判定するアーク判定部30と、を備え、磁気コア21において、第1経路を流れる直流電流の向きと第2経路を流れる直流電流の向きとは逆向きである。
【0042】
これによれば、それぞれ逆向きの直流電流が流れる第1経路及び第2経路の両方が磁気コア21を貫通しているため、磁気コア21において発生する第1経路を流れる直流電流による磁界と第2経路を流れる直流電流による磁界とは相殺されて磁気飽和を防止できる。また、第1経路及び第2経路のいずれか一方の経路へのアークによる高周波成分をバイパスするように低インピーダンス回路11aが設けられているため、アークによる高周波成分については相殺されないようにすることができる。よって、アークを正確に検出できる。
【0043】
例えば、直流電源40は、直流電源40の正極及び負極のうちの一方に接続された第1配線(例えば配線41a)、並びに、直流電源の正極及び負極のうちの他方に接続された第2配線(例えば配線42a)を介して機器50に電力を供給し、第1経路は、第1配線における経路であり、第2経路は、第2配線における経路であってもよい。
【0044】
これによれば、それぞれ極性の異なる電極に接続された第1配線及び第2配線を用いることで、第1配線における第1経路に流れる直流電流の向きと第2配線における第2経路を流れる直流電流の向きとを逆向きにすることができる。
【0045】
例えば、低インピーダンス回路11aは、直流電源40の正極及び負極のうちの一方と磁気コア21との間における第1配線上の接続点(例えば接続点N1a)と、磁気コア21と機器50との間における第2配線上の接続点(例えば接続点N2a)とを結ぶバイパス経路43aに設けられてもよい。
【0046】
これによれば、第1配線における磁気コア21よりも直流電源40側の接続点と、第2配線における磁気コア21よりも機器50側の接続点とを低インピーダンス回路11aを介してバイパス経路43aによって結ぶことで、第1経路及び第2経路のうちの一方の経路への高周波成分をバイパスすることができる。
【0047】
(実施の形態1の変形例1)
実施の形態1では、低インピーダンス回路11aは、直流電源40の正極と磁気コア21との間における配線41a上の接続点N1aと、磁気コア21と機器50との間における配線42a上の接続点N2aとを結ぶバイパス経路43aに設けられる例について説明したが、これに限らない。実施の形態1の変形例1では、低インピーダンス回路が、直流電源40の負極と磁気コア21との間における第1配線上の接続点と、磁気コア21と機器50との間における第2配線上の接続点とを結ぶバイパス経路に設けられる例について説明する。
【0048】
図2Aは、実施の形態1の変形例1に係るアーク検出装置10bの一例を示す構成図である。なお、
図2Aには、直流電源40及び機器50も示している。
【0049】
直流電源40は、正極と負極を有し、正極には配線41bが接続され、負極には配線42bが接続され、配線41b及び42bを介して直流電力を機器50に供給する。
【0050】
機器50は、直流電源40から配線41b及び42bを介して直流電力が供給される機器である。
【0051】
配線41b及び42bは、直流電源40と機器50とを接続する。配線42bは、直流電源40の正極及び負極のうちの一方に接続された第1配線の一例である。ここでは、配線42bは、直流電源40の正極及び負極のうちの一方として負極に接続される。配線41bは、直流電源40の正極及び負極のうちの他方に接続された第2配線の一例である。ここでは、配線41bは、直流電源40の正極及び負極のうちの他方として正極に接続される。
【0052】
配線41b及び42bは、磁気コア21を貫通しており、配線41bにおける磁気コア21を貫通している部分(経路)を経路51bとし、配線42bにおける磁気コア21を貫通している部分(経路)を経路52bとする。経路51bは、直流電源40と機器50とを接続している配線41bにおける経路であることから、経路51bも直流電源40と機器50とを接続しているといえる。経路51bは、直流電源40と機器50とを接続する第2経路の一例である。経路52bは、直流電源40と機器50とを接続している配線42bにおける経路であることから、経路52bも直流電源40と機器50とを接続しているといえる。経路52bは、直流電源40と機器50とを接続する第1経路の一例である。
【0053】
磁気コア21において経路51bを流れる直流電流の向きと経路52bを流れる直流電流の向きとは逆向きである。経路51bが、直流電源40の正極に接続された配線41bにおける経路であり、経路52bが、直流電源40の負極に接続された配線42bにおける経路であることからも経路51bを流れる直流電流の向きと経路52bを流れる直流電流の向きとが逆向きであることがわかる。
図2Aにおいて、経路51bを流れる直流電流の向きと経路52bを流れる直流電流の向きとを、磁気コア21付近に矢印で示している。
【0054】
アーク検出装置10bは、アークを検出するための装置であり、低インピーダンス回路11b、電流検出部20b及びアーク判定部30を備える。
【0055】
電流検出部20bは、経路51b及び52bが貫通する磁気コア21を有し、磁気コア21に発生する磁界に応じて経路51b及び52bを流れる電流を検出する。
【0056】
電流検出部20bは、例えば、磁気コア21に発生する磁界を検出して、磁気コア21に発生する磁界に応じた電圧を発生するホール素子(図示せず)を備える。ホール素子が発生する電圧は、磁気コア21に発生した磁界、つまり、磁気コア21を貫通する経路を流れる電流を示す信号としてアーク判定部30に入力される。
【0057】
低インピーダンス回路11bは、直流電源40及び機器50よりもインピーダンスが低い回路である。低インピーダンス回路11bは、経路51b及び52bに接続され、経路51b及び52bのうちの一方の経路への高周波成分をバイパスするための回路である。低インピーダンス回路11bは、例えばコンデンサであり、直流電源40が有する容量成分及び機器50が有する容量成分よりもインピーダンスが低い。コンデンサは、直流成分を遮断する機能を有するため、配線41b及び42bを流れる信号から高周波成分のみを抽出することができる。コンデンサのキャパシタンス値は、抽出したい高周波成分の周波数等に応じて適宜決定される。低インピーダンス回路11bは、直流電源40及び機器50よりもインピーダンスが低いことから、配線41b及び42bでは、低インピーダンス回路11bへ向けて高周波成分が流れやすくなっている。
【0058】
低インピーダンス回路11bは、具体的には、直流電源40の正極及び負極のうちの一方(ここでは負極)と磁気コア21との間における配線42b上の接続点N2bと、磁気コア21と機器50との間における配線41b上の接続点N1bとを結ぶバイパス経路43bに設けられる。
【0059】
アーク判定部30は、電流検出部20bにより検出された電流に基づいて、アークの発生を判定する。例えば、アーク判定部30は、電流検出部20bにより検出された電流を周波数分析することで配線41b又は42bにおけるアークの発生を判定する。
【0060】
低インピーダンス回路11b(例えばコンデンサ)は、直流電流を遮断し、交流電流(高周波成分)を通過させる素子であり、配線41b又は42bを流れる電流に含まれる高周波成分をバイパス経路43bへ流す。アーク検出装置10bがこのような低インピーダンス回路11bを備えることによりアークを正確に検出できるようになる原理について、
図2B及び
図2Cを用いて説明する。
【0061】
図2B及び
図2Cは、実施の形態1の変形例1に係るアーク検出装置10bにおいてアークが発生したときの配線に流れる電流の一例を示す図である。
図2Bでは、配線41bにおける直流電源40の正極と接続点N1bとの間でアークが発生したとする。
図2Cでは、配線41bにおける機器50と接続点N1bとの間でアークが発生したとする。
図2B及び
図2Cでは、アークの発生により生じる高周波成分の流れを太い破線で示す。
【0062】
上述したように、磁気コア21において発生する経路51bを流れる直流電流による磁界と経路52bを流れる直流電流による磁界とは相殺され磁気飽和を防止できる。また、これらの直流電流は、直流電流を遮断する低インピーダンス回路11b(コンデンサ)によってバイパス経路43bへは流れない。
【0063】
まず、
図2Bに示されるように、配線41bにおける直流電源40の正極と接続点N1bとの間でアークが発生した場合に、アークを正確に検出できるようになる原理について説明する。
【0064】
アークによる高周波成分は、磁気コア21において経路51bを流れ、接続点N1bにおいてバイパス経路43bへと流れる。高周波成分は、接続点N1bと機器50とを結ぶ経路ではなく、低インピーダンス回路11bが設けられたバイパス経路43bを流れようとするためである。そして、高周波成分は、接続点N2bと直流電源40とを結ぶ経路を流れる。このように、バイパス経路43bは経路52bをバイパスする経路となり、高周波成分は、磁気コア21において経路51bを流れるのに対して経路52bには流れない。したがって、磁気コア21において、経路51bを流れる直流電流に応じた磁界と経路52bを流れる直流電流に応じた磁界とは相殺され、経路51bを流れる高周波成分に応じた磁界が発生する。当該磁界は、例えばホール素子によって電圧信号としてアーク判定部30に出力され、当該電圧信号からアーク判定部30は、アークが発生したと判定できる。
【0065】
次に、
図2Cに示されるように、配線41bにおける機器50と接続点N1bとの間でアークが発生した場合に、アークを正確に検出できるようになる原理について説明する。
【0066】
アークによる高周波成分は、接続点N1bにおいてバイパス経路43bへと流れる。高周波成分は、接続点N1bと直流電源40とを結ぶ経路51bではなく、低インピーダンス回路11bが設けられたバイパス経路43bを流れようとするためである。そして、高周波成分は、接続点N2bと機器50とを結ぶ経路52bを流れる。このように、バイパス経路43bは経路51bをバイパスする経路となり、高周波成分は、磁気コア21において経路52bを流れるのに対して経路51bには流れない。したがって、磁気コア21において、経路51bを流れる直流電流に応じた磁界と経路52bを流れる直流電流に応じた磁界とは相殺され、経路52bを流れる高周波成分に応じた磁界が発生する。当該磁界は、例えばホール素子によって電圧信号としてアーク判定部30に出力され、当該電圧信号からアーク判定部30は、アークが発生したと判定できる。
【0067】
このように、低インピーダンス回路11bが、直流電源40の負極と磁気コア21との間における配線42b上の接続点N2bと、磁気コア21と機器50との間における配線41b上の接続点N1bとを結ぶバイパス経路43bに設けられる場合であっても、アークを正確に検出できる。
【0068】
(実施の形態1の変形例2)
実施の形態1では、磁気コア21を貫通する経路51aは、直流電源40の正極及び負極のうちの一方(例えば正極)に接続された配線41aにおける経路であり、磁気コア21を貫通する経路52aは、直流電源40の正極及び負極のうちの他方(例えば負極)に接続された配線42aにおける経路である例について説明したが、これに限らない。実施の形態1の変形例2では、磁気コア21を貫通する2つの経路が、直流電源40の正極及び負極のうちの一方に接続された第1配線における経路である例について説明する。
【0069】
図3Aは、実施の形態1の変形例2に係るアーク検出装置10cの一例を示す構成図である。なお、
図3Aには、直流電源40及び機器50も示している。
【0070】
直流電源40は、正極と負極を有し、正極には配線41cが接続され、負極には配線42cが接続され、配線41c及び42cを介して直流電力を機器50に供給する。
【0071】
機器50は、直流電源40から配線41c及び42cを介して直流電力が供給される機器である。
【0072】
配線41c及び42cは、直流電源40と機器50とを接続する。配線42cは、直流電源40の正極及び負極のうちの一方に接続された第1配線の一例である。ここでは、配線42cは、直流電源40の正極及び負極のうちの一方として正極に接続される。配線41cは、直流電源40の正極及び負極のうちの他方に接続された第2配線の一例である。ここでは、配線41cは、直流電源40の正極及び負極のうちの他方として負極に接続される。
【0073】
配線41cは、磁気コア21を貫通している。具体的には、配線41cは、磁気コア21を磁気コア21の一方側(
図3Aでは磁気コア21の左側)から他方側(
図3Aでは磁気コア21の右側)へ貫通した後折り返し、磁気コア21を磁気コア21の上記他方側から上記一方側へ貫通している。配線41cにおける、磁気コア21を上記一方側から上記他方側へ貫通している部分(経路)を経路51cとし、磁気コア21を上記他方側から上記一方側へ貫通している部分(経路)を経路52cとする。経路51c及び52cは、直流電源40と機器50とを接続している配線41cにおける経路であることから、経路51c及び52cも直流電源40と機器50とを接続しているといえる。経路51cは、直流電源40と機器50とを接続する第1経路の一例であり、経路52cは、直流電源40と機器50とを接続する第2経路の一例である。
【0074】
磁気コア21において経路51cを流れる直流電流の向きと経路52cを流れる直流電流の向きとは逆向きである。経路51c及び52cが共に配線41cにおける経路であり、経路51cが磁気コア21を上記一方側から上記他方側へ貫通し、経路52cが磁気コア21を上記他方側から上記一方側へ貫通していることからも、磁気コア21において経路51cを流れる直流電流の向きと経路52cを流れる直流電流の向きとが逆向きであることがわかる。
図3Aにおいて、経路51cを流れる直流電流の向きと経路52cを流れる直流電流の向きとを、磁気コア21付近に矢印で示している。
【0075】
アーク検出装置10cは、アークを検出するための装置であり、低インピーダンス回路11c、電流検出部20c及びアーク判定部30を備える。
【0076】
電流検出部20cは、経路51c及び52cが貫通する磁気コア21を有し、磁気コア21に発生する磁界に応じて経路51c及び52cを流れる電流を検出する。
【0077】
電流検出部20cは、例えば、磁気コア21に発生する磁界を検出して、磁気コア21に発生する磁界に応じた電圧を発生するホール素子(図示せず)を備える。ホール素子が発生する電圧は、磁気コア21に発生した磁界、つまり、磁気コア21を貫通する経路を流れる電流を示す信号としてアーク判定部30に入力される。
【0078】
低インピーダンス回路11cは、直流電源40及び機器50よりもインピーダンスが低い回路である。低インピーダンス回路11cは、経路51c及び52cに接続され、経路51c及び52cのうちの一方の経路への高周波成分をバイパスするための回路である。低インピーダンス回路11cは、例えばコンデンサであり、直流電源40が有する容量成分及び機器50が有する容量成分よりもインピーダンスが低い。コンデンサは、直流成分を遮断する機能を有するため、配線41cを流れる信号から高周波成分のみを抽出することができる。コンデンサのキャパシタンス値は、抽出したい高周波成分の周波数等に応じて適宜決定される。低インピーダンス回路11cは、直流電源40及び機器50よりもインピーダンスが低いことから、配線41cでは、低インピーダンス回路11cへ向けて高周波成分が流れやすくなっている。
【0079】
低インピーダンス回路11cは、具体的には、上記折り返し部分における接続点N1cと、磁気コア21の上記一方側と機器50との間における配線41c上の接続点N2cとを結ぶバイパス経路43cに設けられる。
【0080】
アーク判定部30は、電流検出部20cにより検出された電流に基づいて、アークの発生を判定する。例えば、アーク判定部30は、電流検出部20cにより検出された電流を周波数分析することで配線41c又は42cにおけるアークの発生を判定する。
【0081】
低インピーダンス回路11c(例えばコンデンサ)は、直流電流を遮断し、交流電流(高周波成分)を通過させる素子であり、配線41cを流れる電流に含まれる高周波成分をバイパス経路43cへ流す。アーク検出装置10cがこのような低インピーダンス回路11cを備えることによりアークを正確に検出できるようになる原理について、
図3B及び
図3Cを用いて説明する。
【0082】
図3B及び
図3Cは、実施の形態1の変形例2に係るアーク検出装置10cにおいてアークが発生したときの配線に流れる電流の一例を示す図である。
図3Bでは、配線41cにおける直流電源40の正極と磁気コア21の上記一方側との間でアークが発生したとする。
図3Cでは、配線41cにおける機器50と接続点N2cとの間でアークが発生したとする。
図3B及び
図3Cでは、アークの発生により生じる高周波成分の流れを太い破線で示す。
【0083】
上述したように、磁気コア21において発生する経路51cを流れる直流電流による磁界と経路52cを流れる直流電流による磁界とは相殺され磁気飽和を防止できる。また、これらの直流電流は、直流電流を遮断する低インピーダンス回路11c(コンデンサ)によってバイパス経路43cへは流れない。
【0084】
まず、
図3Bに示されるように、配線41cにおける直流電源40の正極と磁気コア21の上記一方側との間でアークが発生した場合に、アークを正確に検出できるようになる原理について説明する。
【0085】
アークによる高周波成分は、磁気コア21において経路51cを流れ、接続点N1cにおいてバイパス経路43cへと流れる。高周波成分は、経路52cではなく、低インピーダンス回路11cが設けられたバイパス経路43cを流れようとするためである。そして、高周波成分は、接続点N2cと機器50とを結ぶ経路を流れる。このように、バイパス経路43cは経路52cをバイパスする経路となり、高周波成分は、磁気コア21において経路51cを流れるのに対して経路52cには流れない。したがって、磁気コア21において、経路51cを流れる直流電流に応じた磁界と経路52cを流れる直流電流に応じた磁界とは相殺され、経路51cを流れる高周波成分に応じた磁界が発生する。当該磁界は、例えばホール素子によって電圧信号としてアーク判定部30に出力され、当該電圧信号からアーク判定部30は、アークが発生したと判定できる。
【0086】
次に、
図3Cに示されるように、配線41cにおける機器50と接続点N2cとの間でアークが発生した場合に、アークを正確に検出できるようになる原理について説明する。
【0087】
アークによる高周波成分は、接続点N2cにおいてバイパス経路43cへと流れる。高周波成分は、経路52cではなく、低インピーダンス回路11cが設けられたバイパス経路43cを流れようとするためである。そして、高周波成分は、接続点N1cと直流電源40とを結ぶ経路51cを流れる。このように、バイパス経路43cは経路52cをバイパスする経路となり、高周波成分は、磁気コア21において経路51cを流れるのに対して経路52cには流れない。したがって、磁気コア21において、経路51cを流れる直流電流に応じた磁界と経路52cを流れる直流電流に応じた磁界とは相殺され、経路51cを流れる高周波成分に応じた磁界が発生する。当該磁界は、例えばホール素子によって電圧信号としてアーク判定部30に出力され、当該電圧信号からアーク判定部30は、アークが発生したと判定できる。
【0088】
以上説明したように、直流電源40は、直流電源40の正極及び負極のうちの一方に接続された第1配線(例えば配線41c)、並びに、直流電源40の正極及び負極のうちの他方に接続された第2配線(例えば配線42c)を介して機器50に電力を供給し、第1経路(例えば経路51c)及び第2経路(例えば経路52c)は、第1配線における経路であり、第1配線は、第1経路において磁気コア21を磁気コア21の一方側から他方側へ貫通した後折り返し、第2経路において磁気コア21を磁気コア21の上記他方側から上記一方側へ貫通する。
【0089】
これによれば、第1配線を一度貫通させ、折り返して再度貫通させることで、第1配線における第1経路に流れる直流電流の向きと第2経路を流れる直流電流の向きとを逆向きにすることができる。
【0090】
例えば、低インピーダンス回路11cは、上記折り返し部分における接続点(例えば接続点N1c)と、磁気コア21の上記一方側と機器50との間における第1配線上の接続点(例えば接続点N2c)とを結ぶバイパス経路43cに設けられてもよい。
【0091】
これによれば、直流電源40から見て第1配線における磁気コア21を一度貫通した後の折り返し部分の接続点と、第1配線における磁気コア21を再度貫通した後の接続点とを低インピーダンス回路11cを介してバイパス経路43cによって結ぶことで、第2経路への高周波成分をバイパスすることができる。
【0092】
(実施の形態1の変形例3)
実施の形態1の変形例2では、低インピーダンス回路11cは、配線41cにおける折り返し部分の接続点N1cと、磁気コア21の一方側と機器50との間における配線41c上の接続点N2cとを結ぶバイパス経路43cに設けられる例について説明したが、これに限らない。実施の形態1の変形例3では、低インピーダンス回路が、直流電源40の正極及び負極のうちの一方に接続された第1配線における折り返し部分の接続点と、磁気コア21の一方側と直流電源40の正極及び負極のうちの一方との間における第1配線上の接続点とを結ぶバイパス経路に設けられる例について説明する。
【0093】
図4Aは、実施の形態1の変形例3に係るアーク検出装置10dの一例を示す構成図である。なお、
図4Aには、直流電源40及び機器50も示している。
【0094】
直流電源40は、正極と負極を有し、正極には配線41dが接続され、負極には配線42dが接続され、配線41d及び42dを介して直流電力を機器50に供給する。
【0095】
機器50は、直流電源40から配線41d及び42dを介して直流電力が供給される機器である。
【0096】
配線41d及び42dは、直流電源40と機器50とを接続する。配線42dは、直流電源40の正極及び負極のうちの一方に接続された第1配線の一例である。ここでは、配線42dは、直流電源40の正極及び負極のうちの一方として正極に接続される。配線41dは、直流電源40の正極及び負極のうちの他方に接続された第2配線の一例である。ここでは、配線41dは、直流電源40の正極及び負極のうちの他方として負極に接続される。
【0097】
配線41dは、磁気コア21を貫通している。具体的には、配線41dは、磁気コア21を磁気コア21の一方側(
図4Aでは磁気コア21の左側)から他方側(
図4Aでは磁気コア21の右側)へ貫通した後折り返し、磁気コア21を磁気コア21の上記他方側から上記一方側へ貫通している。配線41dにおける、磁気コア21を上記一方側から上記他方側へ貫通している部分(経路)を経路51dとし、磁気コア21を上記他方側から上記一方側へ貫通している部分(経路)を経路52dとする。経路51d及び52dは、直流電源40と機器50とを接続している配線41dにおける経路であることから、経路51d及び52dも直流電源40と機器50とを接続しているといえる。経路51dは、直流電源40と機器50とを接続する第1経路の一例であり、経路52dは、直流電源40と機器50とを接続する第2経路の一例である。
【0098】
磁気コア21において経路51dを流れる直流電流の向きと経路52dを流れる直流電流の向きとは逆向きである。経路51d及び52dが共に配線41dにおける経路であり、経路51dが磁気コア21を上記一方側から上記他方側へ貫通し、経路52dが磁気コア21を上記他方側から上記一方側へ貫通していることからも、磁気コア21において経路51dを流れる直流電流の向きと経路52dを流れる直流電流の向きとが逆向きであることがわかる。
図4Aにおいて、経路51dを流れる直流電流の向きと経路52dを流れる直流電流の向きとを、磁気コア21付近に矢印で示している。
【0099】
アーク検出装置10dは、アークを検出するための装置であり、低インピーダンス回路11d、電流検出部20d及びアーク判定部30を備える。
【0100】
電流検出部20dは、経路51d及び52dが貫通する磁気コア21を有し、磁気コア21に発生する磁界に応じて経路51d及び52dを流れる電流を検出する。
【0101】
電流検出部20dは、例えば、磁気コア21に発生する磁界を検出して、磁気コア21に発生する磁界に応じた電圧を発生するホール素子(図示せず)を備える。ホール素子が発生する電圧は、磁気コア21に発生した磁界、つまり、磁気コア21を貫通する経路を流れる電流を示す信号としてアーク判定部30に入力される。
【0102】
低インピーダンス回路11dは、直流電源40及び機器50よりもインピーダンスが低い回路である。低インピーダンス回路11dは、経路51d及び52dに接続され、経路51d及び52dのうちの一方の経路への高周波成分をバイパスするための回路である。低インピーダンス回路11dは、例えばコンデンサであり、直流電源40が有する容量成分及び機器50が有する容量成分よりもインピーダンスが低い。コンデンサは、直流成分を遮断する機能を有するため、配線41dを流れる信号から高周波成分のみを抽出することができる。コンデンサのキャパシタンス値は、抽出したい高周波成分の周波数等に応じて適宜決定される。低インピーダンス回路11dは、直流電源40及び機器50よりもインピーダンスが低いことから、配線41dでは、低インピーダンス回路11dへ向けて高周波成分が流れやすくなっている。
【0103】
低インピーダンス回路11dは、具体的には、上記折り返し部分における接続点N1dと、磁気コア21の上記一方側と直流電源40の正極及び負極のうちの一方(例えば正極)との間における配線41d上の接続点N2dとを結ぶバイパス経路43dに設けられる。
【0104】
アーク判定部30は、電流検出部20dにより検出された電流に基づいて、アークの発生を判定する。例えば、アーク判定部30は、電流検出部20dにより検出された電流を周波数分析することで配線41d又は42dにおけるアークの発生を判定する。
【0105】
低インピーダンス回路11d(例えばコンデンサ)は、直流電流を遮断し、交流電流(高周波成分)を通過させる素子であり、配線41dを流れる電流に含まれる高周波成分をバイパス経路43dへ流す。アーク検出装置10dがこのような低インピーダンス回路11dを備えることによりアークを正確に検出できるようになる原理について、
図4B及び
図4Cを用いて説明する。
【0106】
図4B及び
図4Cは、実施の形態1の変形例3に係るアーク検出装置10dにおいてアークが発生したときの配線に流れる電流の一例を示す図である。
図4Bでは、配線41dにおける直流電源40の正極と接続点N2dとの間でアークが発生したとする。
図4Cでは、配線41dにおける機器50と磁気コア21の上記一方側との間でアークが発生したとする。
図4B及び
図4Cでは、アークの発生により生じる高周波成分の流れを太い破線で示す。
【0107】
上述したように、磁気コア21において発生する経路51dを流れる直流電流による磁界と経路52dを流れる直流電流による磁界とは相殺され磁気飽和を防止できる。また、これらの直流電流は、直流電流を遮断する低インピーダンス回路11d(コンデンサ)によってバイパス経路43dへは流れない。
【0108】
まず、
図4Bに示されるように、配線41dにおける直流電源40の正極と接続点N2dとの間でアークが発生した場合に、アークを正確に検出できるようになる原理について説明する。
【0109】
アークによる高周波成分は、接続点N2dにおいてバイパス経路43dへと流れる。高周波成分は、経路51dではなく、低インピーダンス回路11dが設けられたバイパス経路43dを流れようとするためである。そして、高周波成分は、接続点N1dと機器50とを結ぶ経路52dを流れる。このように、バイパス経路43dは経路51dをバイパスする経路となり、高周波成分は、磁気コア21において経路52dを流れるのに対して経路51dには流れない。したがって、磁気コア21において、経路51dを流れる直流電流に応じた磁界と経路52dを流れる直流電流に応じた磁界とは相殺され、経路52dを流れる高周波成分に応じた磁界が発生する。当該磁界は、例えばホール素子によって電圧信号としてアーク判定部30に出力され、当該電圧信号からアーク判定部30は、アークが発生したと判定できる。
【0110】
次に、
図4Cに示されるように、配線41dにおける機器50と磁気コア21の上記一方側との間でアークが発生した場合に、アークを正確に検出できるようになる原理について説明する。
【0111】
アークによる高周波成分は、磁気コア21において経路52dを流れ、接続点N1dにおいてバイパス経路43dへと流れる。高周波成分は、経路51dではなく、低インピーダンス回路11dが設けられたバイパス経路43dを流れようとするためである。そして、高周波成分は、接続点N2dと直流電源40とを結ぶ経路を流れる。このように、バイパス経路43dは経路51dをバイパスする経路となり、高周波成分は、磁気コア21において経路52dを流れるのに対して経路51dには流れない。したがって、磁気コア21において、経路51dを流れる直流電流に応じた磁界と経路52dを流れる直流電流に応じた磁界とは相殺され、経路52dを流れる高周波成分に応じた磁界が発生する。当該磁界は、例えばホール素子によって電圧信号としてアーク判定部30に出力され、当該電圧信号からアーク判定部30は、アークが発生したと判定できる。
【0112】
以上説明したように、低インピーダンス回路11dは、第1配線(例えば配線41d)の折り返し部分における接続点(例えば接続点N1d)と、磁気コア21の一方側と直流電源40の正極及び負極のうちの一方との間における第1配線上の接続点(例えば接続点N2d)とを結ぶバイパス経路43dに設けられてもよい。
【0113】
これによれば、直流電源40から見て第1配線における磁気コア21を一度貫通した後の折り返し部分の接続点と、第1配線における磁気コア21を貫通する前の接続点とを低インピーダンス回路11dを介してバイパス経路43dによって結ぶことで、第1経路への高周波成分をバイパスすることができる。
【0114】
(実施の形態1の変形例4)
実施の形態1の変形例2及び変形例3では、低インピーダンス回路は、第1配線における折り返し部分の接続点と、磁気コア21の一方側と直流電源40又は機器50との間における第1配線上の接続点とを結ぶバイパス経路に設けられる例について説明したが、これに限らない。実施の形態1の変形例4では、低インピーダンス回路が、直流電源40の正極及び負極のうちの一方に接続された第1配線における折り返し部分の接続点と、第2配線上の接続点とを結ぶバイパス経路に設けられる例について説明する。
【0115】
図5Aは、実施の形態1の変形例4に係るアーク検出装置10eの一例を示す構成図である。なお、
図5Aには、直流電源40及び機器50も示している。
【0116】
直流電源40は、正極と負極を有し、正極には配線41eが接続され、負極には配線42eが接続され、配線41e及び42eを介して直流電力を機器50に供給する。
【0117】
機器50は、直流電源40から配線41e及び42eを介して直流電力が供給される機器である。
【0118】
配線41e及び42eは、直流電源40と機器50とを接続する。配線42eは、直流電源40の正極及び負極のうちの一方に接続された第1配線の一例である。ここでは、配線42eは、直流電源40の正極及び負極のうちの一方として正極に接続される。配線41eは、直流電源40の正極及び負極のうちの他方に接続された第2配線の一例である。ここでは、配線41eは、直流電源40の正極及び負極のうちの他方として負極に接続される。
【0119】
配線41eは、磁気コア21を貫通している。具体的には、配線41eは、磁気コア21を磁気コア21の一方側(
図5Aでは磁気コア21の左側)から他方側(
図5Aでは磁気コア21の右側)へ貫通した後折り返し、磁気コア21を磁気コア21の上記他方側から上記一方側へ貫通している。配線41eにおける、磁気コア21を上記一方側から上記他方側へ貫通している部分(経路)を経路51eとし、磁気コア21を上記他方側から上記一方側へ貫通している部分(経路)を経路52eとする。経路51e及び52eは、直流電源40と機器50とを接続している配線41eにおける経路であることから、経路51e及び52eも直流電源40と機器50とを接続しているといえる。経路51eは、直流電源40と機器50とを接続する第1経路の一例であり、経路52eは、直流電源40と機器50とを接続する第2経路の一例である。
【0120】
磁気コア21において経路51eを流れる直流電流の向きと経路52eを流れる直流電流の向きとは逆向きである。経路51e及び52eが共に配線41eにおける経路であり、経路51eが磁気コア21を上記一方側から上記他方側へ貫通し、経路52eが磁気コア21を上記他方側から上記一方側へ貫通していることからも、磁気コア21において経路51eを流れる直流電流の向きと経路52eを流れる直流電流の向きとが逆向きであることがわかる。
図5Aにおいて、経路51eを流れる直流電流の向きと経路52eを流れる直流電流の向きとを、磁気コア21付近に矢印で示している。
【0121】
アーク検出装置10eは、アークを検出するための装置であり、低インピーダンス回路11e、電流検出部20e及びアーク判定部30を備える。
【0122】
電流検出部20eは、経路51e及び52eが貫通する磁気コア21を有し、磁気コア21に発生する磁界に応じて経路51e及び52eを流れる電流を検出する。
【0123】
電流検出部20eは、例えば、磁気コア21に発生する磁界を検出して、磁気コア21に発生する磁界に応じた電圧を発生するホール素子(図示せず)を備える。ホール素子が発生する電圧は、磁気コア21に発生した磁界、つまり、磁気コア21を貫通する経路を流れる電流を示す信号としてアーク判定部30に入力される。
【0124】
低インピーダンス回路11eは、直流電源40及び機器50よりもインピーダンスが低い回路である。低インピーダンス回路11eは、経路51e及び52eに接続され、経路51e及び52eのうちの一方の経路への高周波成分をバイパスするための回路である。低インピーダンス回路11eは、例えばコンデンサであり、直流電源40が有する容量成分及び機器50が有する容量成分よりもインピーダンスが低い。コンデンサは、直流成分を遮断する機能を有するため、配線41e及び42eを流れる信号から高周波成分のみを抽出することができる。コンデンサのキャパシタンス値は、抽出したい高周波成分の周波数等に応じて適宜決定される。低インピーダンス回路11eは、直流電源40及び機器50よりもインピーダンスが低いことから、配線41e及び42eでは、低インピーダンス回路11eへ向けて高周波成分が流れやすくなっている。
【0125】
低インピーダンス回路11eは、具体的には、上記折り返し部分における接続点N1eと、配線42e上の接続点N2eとを結ぶバイパス経路43eに設けられる。
【0126】
アーク判定部30は、電流検出部20eにより検出された電流に基づいて、アークの発生を判定する。例えば、アーク判定部30は、電流検出部20eにより検出された電流を周波数分析することで配線41e又は42eにおけるアークの発生を判定する。
【0127】
低インピーダンス回路11e(例えばコンデンサ)は、直流電流を遮断し、交流電流(高周波成分)を通過させる素子であり、配線41e及び42eを流れる電流に含まれる高周波成分をバイパス経路43eへ流す。アーク検出装置10eがこのような低インピーダンス回路11eを備えることによりアークを正確に検出できるようになる原理について、
図5B及び
図5Cを用いて説明する。
【0128】
図5B及び
図5Cは、実施の形態1の変形例4に係るアーク検出装置10eにおいてアークが発生したときの配線に流れる電流の一例を示す図である。
図5Bでは、配線41eにおける直流電源40の正極と磁気コア21の上記一方側との間でアークが発生したとする。
図5Cでは、配線41eにおける機器50と磁気コア21の上記一方側との間でアークが発生したとする。
図5B及び
図5Cでは、アークの発生により生じる高周波成分の流れを太い破線で示す。
【0129】
上述したように、磁気コア21において発生する経路51eを流れる直流電流による磁界と経路52eを流れる直流電流による磁界とは相殺され磁気飽和を防止できる。また、これらの直流電流は、直流電流を遮断する低インピーダンス回路11e(コンデンサ)によってバイパス経路43eへは流れない。
【0130】
まず、
図5Bに示されるように、配線41eにおける直流電源40の正極と磁気コア21の上記一方側との間でアークが発生した場合に、アークを正確に検出できるようになる原理について説明する。
【0131】
アークによる高周波成分は、磁気コア21において経路51eを流れ、接続点N1eにおいてバイパス経路43eへと流れる。高周波成分は、経路52eではなく、低インピーダンス回路11eが設けられたバイパス経路43eを流れようとするためである。そして、高周波成分は、接続点N2eと直流電源40とを結ぶ配線42eを流れる。このように、バイパス経路43eは経路52eをバイパスする経路となり、高周波成分は、磁気コア21において経路51eを流れるのに対して経路52eには流れない。したがって、磁気コア21において、経路51eを流れる直流電流に応じた磁界と経路52eを流れる直流電流に応じた磁界とは相殺され、経路51eを流れる高周波成分に応じた磁界が発生する。当該磁界は、例えばホール素子によって電圧信号としてアーク判定部30に出力され、当該電圧信号からアーク判定部30は、アークが発生したと判定できる。
【0132】
次に、
図5Cに示されるように、配線41eにおける機器50と磁気コア21の上記一方側との間でアークが発生した場合に、アークを正確に検出できるようになる原理について説明する。
【0133】
アークによる高周波成分は、磁気コア21において経路52eを流れ、接続点N1eにおいてバイパス経路43eへと流れる。高周波成分は、経路51eではなく、低インピーダンス回路11eが設けられたバイパス経路43eを流れようとするためである。そして、高周波成分は、接続点N2eと機器50とを結ぶ経路を流れる。このように、バイパス経路43eは経路51eをバイパスする経路となり、高周波成分は、磁気コア21において経路52eを流れるのに対して経路51eには流れない。したがって、磁気コア21において、経路51eを流れる直流電流に応じた磁界と経路52eを流れる直流電流に応じた磁界とは相殺され、経路52eを流れる高周波成分に応じた磁界が発生する。当該磁界は、例えばホール素子によって電圧信号としてアーク判定部30に出力され、当該電圧信号からアーク判定部30は、アークが発生したと判定できる。
【0134】
以上説明したように、低インピーダンス回路11eは、第1配線(例えば配線41e)の折り返し部分における接続点(例えば接続点N1e)と、第2配線(例えば配線42e)上の接続点(例えば接続点N2e)とを結ぶバイパス経路43eに設けられてもよい。
【0135】
これによれば、直流電源40から見て第1配線における磁気コア21を一度貫通した後の折り返し部分の接続点と、第2配線における接続点とを低インピーダンス回路11eを介してバイパス経路43eによって結ぶことで、第1経路及び第2経路のうちの一方の経路への高周波成分をバイパスすることができる。
【0136】
(実施の形態2)
本発明に係るアーク検出装置は、太陽光発電システム等におけるパワーコンディショナ(パワコンと呼ぶ)に備えられてもよい。これについて、
図6Aを用いて説明する。
【0137】
図6Aは、実施の形態2に係る太陽光発電システム1aの一例を示す構成図である。
【0138】
太陽光発電システム1aは、太陽光パネル41、蓄電池54、55及び56、DC/DCコンバータ51、52及び53並びにパワコン60aを備える。
【0139】
太陽光パネル41は、太陽光により発電し直流電力を発生する。太陽光パネル41で発生した直流電力はパワコン60aに供給される。
【0140】
蓄電池54はDC/DCコンバータ51からの直流電力を蓄電し、蓄電池55はDC/DCコンバータ52からの直流電力を蓄電し、蓄電池56はDC/DCコンバータ53からの直流電力を蓄電する。例えば、蓄電池54、55及び56は、電気自動車又は電動自転車等に搭載されてもよいし、家庭用電気機器等への電力供給のために用いられてもよい。
【0141】
DC/DCコンバータ51、52及び53は、供給された直流電力の直流電圧を昇圧又は降圧して出力する電圧変換器である。DC/DCコンバータ51は、パワコン60aから供給された直流電力を昇圧又は降圧して、蓄電池54に出力する。DC/DCコンバータ52は、パワコン60aから供給された直流電力を昇圧又は降圧して、蓄電池55に出力する。DC/DCコンバータ53は、パワコン60aから供給された直流電力を昇圧又は降圧して、蓄電池56に出力する。
【0142】
パワコン60aは、太陽光パネル41から供給される直流電力を交流電力に変換する機能を有する。また、パワコン60aは、太陽光パネル41から供給される直流電力を交流電力に変換せずに蓄電池等に供給する機能を有する。パワコン60aは、DC/DCコンバータ61、インバータ62及びアーク検出装置10aを備える。
【0143】
DC/DCコンバータ61は、太陽光パネル41から供給された直流電力を昇圧又は降圧して、DC/DCコンバータ51、52及び53並びにインバータ62へ出力する。DC/DCコンバータ61からは直流電力が出力されるため、DC/DCコンバータ61は直流電源とみなすことができる。すなわち、DC/DCコンバータ61は、直流電源の一例である。DC/DCコンバータ61は正極と負極を有し、正極には配線110が接続され、負極には配線120が接続される。
【0144】
配線110及び120は、DC/DCコンバータ61とDC/DCコンバータ51、52及び53とを接続する。DC/DCコンバータ51、52及び53は、DC/DCコンバータ61と配線110及び120を介して接続される機器の一例である。配線110は、DC/DCコンバータ61の正極及び負極のうちの一方に接続された第1配線の一例である。ここでは、配線110は、DC/DCコンバータ61の正極及び負極のうちの一方として正極に接続される。配線120は、DC/DCコンバータ61の正極及び負極のうちの他方に接続された第2配線の一例である。ここでは、配線120は、DC/DCコンバータ61の正極及び負極のうちの他方として負極に接続される。
【0145】
配線110は、DC/DCコンバータ61の正極からDC/DCコンバータ51、52及び53のそれぞれへと分岐している配線である。配線110におけるDC/DCコンバータ61の正極からDC/DCコンバータ51、52及び53へ分岐する点を分岐点N3とする。
【0146】
配線110において、分岐点N3とDC/DCコンバータ61の正極とを結ぶ分岐前の経路を経路110aとし、分岐点N3とDC/DCコンバータ51とを結ぶ分岐後の経路を経路110cとし、分岐点N3とDC/DCコンバータ52とを結ぶ分岐後の経路を経路110dとし、分岐点N3とDC/DCコンバータ53とを結ぶ分岐後の経路を経路110bとする。
【0147】
配線120は、DC/DCコンバータ61の負極からDC/DCコンバータ51、52及び53のそれぞれへと分岐している配線である。配線120におけるDC/DCコンバータ61の負極からDC/DCコンバータ51、52及び53へ分岐する点を分岐点N4とする。
【0148】
配線120において、分岐点N4とDC/DCコンバータ61の負極とを結ぶ分岐前の経路を経路120aとし、分岐点N4とDC/DCコンバータ51とを結ぶ分岐後の経路を経路120cとし、分岐点N4とDC/DCコンバータ52とを結ぶ分岐後の経路を経路120dとし、分岐点N4とDC/DCコンバータ53とを結ぶ分岐後の経路を経路120bとする。
【0149】
配線110及び120は、磁気コア21を貫通しており、配線110における磁気コア21を貫通している部分(経路)は経路110aであり、配線120における磁気コア21を貫通している部分(経路)は経路120aである。経路110aは、DC/DCコンバータ61とDC/DCコンバータ51、52及び53とを接続している配線110における経路であることから、経路110aもDC/DCコンバータ61とDC/DCコンバータ51、52及び53とを接続しているといえる。経路110aは、DC/DCコンバータ61とDC/DCコンバータ51、52及び53とを接続する第1経路の一例である。経路120aは、DC/DCコンバータ61とDC/DCコンバータ51、52及び53とを接続している配線120における経路であることから、経路120aもDC/DCコンバータ61とDC/DCコンバータ51、52及び53とを接続しているといえる。経路120aは、DC/DCコンバータ61とDC/DCコンバータ51、52及び53とを接続する第2経路の一例である。
【0150】
インバータ62は、DC/DCコンバータ61から供給された直流電力を交流電力に変換して出力する。インバータ62は、例えばMPPT(Maximum Power Point Tracking)方式を採用しており、DC/DCコンバータ61から供給される直流電力の電流及び電圧を、それぞれ電力が最大となる値に調整する。例えば、インバータ62は、直流電力を電圧100V、周波数50Hz又は60Hzの交流電力に変換する。当該交流電力は、家庭用電気機器等で使用される。
【0151】
アーク検出装置10aは、実施の形態1におけるものと機能は同じであり、磁気コア21を貫通する経路が経路110a及び120aとなっている点以外は、実施の形態1に対応しているため、詳細な説明は省略する。実施の形態2についても、実施の形態1と同様にアークを正確に検出できるという効果が奏される。
【0152】
以上説明したように、パワコン60aは、アーク検出装置10aと、直流電源(例えばDC/DCコンバータ61)の出力電力を変換する変換器(例えばインバータ62)と、を備える。
【0153】
このように、アーク検出装置10aは、パワコン60aに備えられていてもよく、アークを正確に検出できるパワコン60aを提供できる。
【0154】
なお、配線110及び120は分岐している配線(分岐配線と呼ぶ)であり、分岐配線の分岐前の経路と分岐後の複数の経路のそれぞれについてアークが発生する場合があるが、アーク検出装置10aが備える磁気コア21には、分岐前の経路(具体的には経路110a)が貫通しているため、分岐後の複数の経路(例えば、経路110b、110c、110d、120b、120c及び120d)のどこでアークが発生したとしても、アークによる高周波成分は磁気コア21を貫通している分岐前の経路を流れるため、磁気コア21を貫通する経路を流れる電流を検出する電流検出部20aにより検出された電流に基づいてアークを検出できる。
【0155】
(実施の形態2の変形例)
実施の形態2では、電流検出部20aが備える磁気コア21に分岐前の経路が貫通している例について説明したが、これに限らない。これについて、
図6Bを用いて説明する。
【0156】
図6Bは、実施の形態2の変形例に係る太陽光発電システム1aaの一例を示す構成図である。
【0157】
太陽光発電システム1aaは、パワコン60aの代わりにパワコン60aaを備える点が、実施の形態2に係る太陽光発電システム1aと異なる。その他の点については、実施の形態2に係る太陽光発電システム1aと同じであるため、説明は省略する。
【0158】
パワコン60aaは、アーク検出装置10aの代わりにアーク検出装置10aaを備える点が、実施の形態2に係るパワコン60aと異なる。その他の点については、実施の形態2に係るパワコン60aと同じであるため、説明は省略する。
【0159】
アーク検出装置10aaは、電流検出部20aa、20ab及び20ac並びにアーク判定部30aを備える。
【0160】
電流検出部20aaは、実施の形態1に係る電流検出部20aと機能は同じであり、磁気コア21を貫通する経路が経路110c及び120cとなっている点以外は、実施の形態1に対応しており、詳細な説明は省略する。電流検出部20abは、実施の形態1に係る電流検出部20aと機能は同じであり、磁気コア21を貫通する経路が経路110d及び120dとなっている点以外は、実施の形態1に対応しており、詳細な説明は省略する。電流検出部20acは、実施の形態1に係る電流検出部20aと機能は同じであり、磁気コア21を貫通する経路が経路110b及び120bとなっている点以外は、実施の形態1に対応しており、詳細な説明は省略する。
【0161】
アーク判定部30aは、アーク判定部30と同じように、例えばマイコンにより実現されるが、専用の電子回路によってハードウェア的に実現されてもよい。
【0162】
アーク判定部30aは、電流検出部20aa、20ab及び20acにより検出された電流に基づいて、アークの発生を判定する。例えば、アーク判定部30aは、電流検出部20aaにより検出された電流を周波数分析することで経路110c又は120cにおけるアークの発生を判定し、電流検出部20abにより検出された電流を周波数分析することで経路110d又は120dにおけるアークの発生を判定し、電流検出部20acにより検出された電流を周波数分析することで経路110b又は120bにおけるアークの発生を判定する。
【0163】
これにより、分岐後の複数の経路(例えば、経路110b、110c、110d、120b、120c及び120d)のどこでアークが発生したとしても、分岐後の経路が磁気コア21を貫通しているため、電流検出部20aa、20ab又は20acにより検出された電流に基づいてアークを検出できる。特に、分岐後のどの経路においてアークが発生したかを特定できる。
【0164】
(実施の形態3)
実施の形態2では、パワコン60aに実施の形態1に係るアーク検出装置10aが備えられる例について説明したが、パワコンに実施の形態1の変形例2に係るアーク検出装置10cが備えられてもよい。これについて、
図7Aを用いて説明する。
【0165】
図7Aは、実施の形態3に係る太陽光発電システム1bの一例を示す構成図である。
【0166】
太陽光発電システム1bは、パワコン60aの代わりにパワコン60bを備える点が、実施の形態2に係る太陽光発電システム1aと異なる。その他の点については、実施の形態2に係る太陽光発電システム1aと同じであるため、説明は省略する。
【0167】
パワコン60bは、アーク検出装置10aの代わりにアーク検出装置10cを備える点が、実施の形態2に係るパワコン60aと異なる。その他の点については、実施の形態2に係るパワコン60aと同じであるため、説明は省略する。
【0168】
アーク検出装置10cは、実施の形態1の変形例2におけるものと機能は同じであり、磁気コア21を貫通する経路が経路110aとなっている点以外は、実施の形態1の変形例2に対応しているため、詳細な説明は省略する。実施の形態3についても、実施の形態1の変形例2と同様にアークを正確に検出できるという効果が奏される。
【0169】
(実施の形態3の変形例)
実施の形態3では、電流検出部20cが備える磁気コア21に分岐前の経路が貫通している例について説明したが、これに限らない。これについて、
図7Bを用いて説明する。
【0170】
図7Bは、実施の形態3の変形例に係る太陽光発電システム1baの一例を示す構成図である。
【0171】
太陽光発電システム1baは、パワコン60bの代わりにパワコン60baを備える点が、実施の形態3に係る太陽光発電システム1bと異なる。その他の点については、実施の形態3に係る太陽光発電システム1bと同じであるため、説明は省略する。
【0172】
パワコン60baは、アーク検出装置10cの代わりにアーク検出装置10caを備える点が、実施の形態3に係るパワコン60bと異なる。その他の点については、実施の形態3に係るパワコン60bと同じであるため、説明は省略する。
【0173】
アーク検出装置10caは、電流検出部20ca、20cb及び20cc並びにアーク判定部30aを備える。
【0174】
電流検出部20caは、実施の形態1の変形例2に係る電流検出部20cと機能は同じであり、磁気コア21を貫通する経路が経路110cとなっている点以外は、実施の形態1の変形例2に対応しており、詳細な説明は省略する。電流検出部20cbは、実施の形態1の変形例2に係る電流検出部20cと機能は同じであり、磁気コア21を貫通する経路が経路110dとなっている点以外は、実施の形態1の変形例2に対応しており、詳細な説明は省略する。電流検出部20ccは、実施の形態1の変形例2に係る電流検出部20cと機能は同じであり、磁気コア21を貫通する経路が経路110bとなっている点以外は、実施の形態1の変形例2に対応しており、詳細な説明は省略する。
【0175】
アーク判定部30aは、電流検出部20ca、20cb及び20ccにより検出された電流に基づいて、アークの発生を判定する。例えば、アーク判定部30aは、電流検出部20caにより検出された電流を周波数分析することで経路110c又は120cにおけるアークの発生を判定し、電流検出部20cbにより検出された電流を周波数分析することで経路110d又は120dにおけるアークの発生を判定し、電流検出部20ccにより検出された電流を周波数分析することで経路110b又は120bにおけるアークの発生を判定する。
【0176】
これにより、分岐後の複数の経路(例えば、経路110b、110c、110d、120b、120c及び120d)のどこでアークが発生したとしても、分岐後の経路が磁気コア21を貫通しているため、電流検出部20ca、20cb又は20ccにより検出された電流に基づいてアークを検出できる。特に、分岐後のどの経路においてアークが発生したかを特定できる。
【0177】
(実施の形態4)
実施の形態2では、パワコン60aに実施の形態1に係るアーク検出装置10aが備えられる例について説明したが、パワコンに実施の形態1の変形例3に係るアーク検出装置10dが備えられてもよい。これについて、
図8Aを用いて説明する。
【0178】
図8Aは、実施の形態4に係る太陽光発電システム1cの一例を示す構成図である。
【0179】
太陽光発電システム1cは、パワコン60aの代わりにパワコン60cを備える点が、実施の形態2に係る太陽光発電システム1aと異なる。その他の点については、実施の形態2に係る太陽光発電システム1aと同じであるため、説明は省略する。
【0180】
パワコン60cは、アーク検出装置10aの代わりにアーク検出装置10dを備える点が、実施の形態2に係るパワコン60aと異なる。その他の点については、実施の形態2に係るパワコン60aと同じであるため、説明は省略する。
【0181】
アーク検出装置10dは、実施の形態1の変形例3におけるものと機能は同じであり、磁気コア21を貫通する経路が経路110aとなっている点以外は、実施の形態1の変形例3に対応しているため、詳細な説明は省略する。実施の形態4についても、実施の形態1の変形例3と同様にアークを正確に検出できるという効果が奏される。
【0182】
(実施の形態4の変形例)
実施の形態4では、電流検出部20dが備える磁気コア21に分岐前の経路が貫通している例について説明したが、これに限らない。これについて、
図8Bを用いて説明する。
【0183】
図8Bは、実施の形態4の変形例に係る太陽光発電システム1caの一例を示す構成図である。
【0184】
太陽光発電システム1caは、パワコン60cの代わりにパワコン60caを備える点が、実施の形態4に係る太陽光発電システム1cと異なる。その他の点については、実施の形態4に係る太陽光発電システム1cと同じであるため、説明は省略する。
【0185】
パワコン60caは、アーク検出装置10dの代わりにアーク検出装置10daを備える点が、実施の形態4に係るパワコン60cと異なる。その他の点については、実施の形態4に係るパワコン60cと同じであるため、説明は省略する。
【0186】
アーク検出装置10daは、電流検出部20da、20db及び20dc並びにアーク判定部30aを備える。
【0187】
電流検出部20daは、実施の形態1の変形例3に係る電流検出部20dと機能は同じであり、磁気コア21を貫通する経路が経路110cとなっている点以外は、実施の形態1の変形例3に対応しており、詳細な説明は省略する。電流検出部20dbは、実施の形態1の変形例3に係る電流検出部20dと機能は同じであり、磁気コア21を貫通する経路が経路110dとなっている点以外は、実施の形態1の変形例3に対応しており、詳細な説明は省略する。電流検出部20dcは、実施の形態1の変形例3に係る電流検出部20dと機能は同じであり、磁気コア21を貫通する経路が経路110bとなっている点以外は、実施の形態1の変形例3に対応しており、詳細な説明は省略する。
【0188】
アーク判定部30aは、電流検出部20da、20db及び20dcにより検出された電流に基づいて、アークの発生を判定する。例えば、アーク判定部30aは、電流検出部20daにより検出された電流を周波数分析することで経路110c又は120cにおけるアークの発生を判定し、電流検出部20dbにより検出された電流を周波数分析することで経路110d又は120dにおけるアークの発生を判定し、電流検出部20dcにより検出された電流を周波数分析することで経路110b又は120bにおけるアークの発生を判定する。
【0189】
これにより、分岐後の複数の経路(例えば、経路110b、110c、110d、120b、120c及び120d)のどこでアークが発生したとしても、分岐後の経路が磁気コア21を貫通しているため、電流検出部20da、20db又は20dcにより検出された電流に基づいてアークを検出できる。特に、分岐後のどの経路においてアークが発生したかを特定できる。
【0190】
(実施の形態5)
実施の形態2では、パワコン60aに実施の形態1に係るアーク検出装置10aが備えられる例について説明したが、パワコンに実施の形態1の変形例4に係るアーク検出装置10eが備えられてもよい。これについて、
図9Aを用いて説明する。
【0191】
図9Aは、実施の形態5に係る太陽光発電システム1dの一例を示す構成図である。
【0192】
太陽光発電システム1dは、パワコン60aの代わりにパワコン60dを備える点が、実施の形態2に係る太陽光発電システム1aと異なる。その他の点については、実施の形態2に係る太陽光発電システム1aと同じであるため、説明は省略する。
【0193】
パワコン60dは、アーク検出装置10aの代わりにアーク検出装置10eを備える点が、実施の形態2に係るパワコン60aと異なる。その他の点については、実施の形態2に係るパワコン60aと同じであるため、説明は省略する。
【0194】
アーク検出装置10eは、実施の形態1の変形例4におけるものと機能は同じであり、磁気コア21を貫通する経路が経路110aとなっている点以外は、実施の形態1の変形例4に対応しているため、詳細な説明は省略する。実施の形態5についても、実施の形態1の変形例4と同様にアークを正確に検出できるという効果が奏される。
【0195】
(実施の形態5の変形例)
実施の形態5では、電流検出部20eが備える磁気コア21に分岐前の経路が貫通している例について説明したが、これに限らない。これについて、
図9Bを用いて説明する。
【0196】
図9Bは、実施の形態5の変形例に係る太陽光発電システム1daの一例を示す構成図である。
【0197】
太陽光発電システム1daは、パワコン60dの代わりにパワコン60daを備える点が、実施の形態5に係る太陽光発電システム1dと異なる。その他の点については、実施の形態5に係る太陽光発電システム1dと同じであるため、説明は省略する。
【0198】
パワコン60daは、アーク検出装置10eの代わりにアーク検出装置10eaを備える点が、実施の形態5に係るパワコン60dと異なる。その他の点については、実施の形態5に係るパワコン60dと同じであるため、説明は省略する。
【0199】
アーク検出装置10eaは、電流検出部20ea、20eb及び20ec並びにアーク判定部30aを備える。
【0200】
電流検出部20eaは、実施の形態1の変形例4に係る電流検出部20eと機能は同じであり、磁気コア21を貫通する経路が経路110cとなっている点以外は、実施の形態1の変形例4に対応しており、詳細な説明は省略する。電流検出部20ebは、実施の形態1の変形例4に係る電流検出部20eと機能は同じであり、磁気コア21を貫通する経路が経路110dとなっている点以外は、実施の形態1の変形例4に対応しており、詳細な説明は省略する。電流検出部20ecは、実施の形態1の変形例4に係る電流検出部20eと機能は同じであり、磁気コア21を貫通する経路が経路110bとなっている点以外は、実施の形態1の変形例4に対応しており、詳細な説明は省略する。
【0201】
アーク判定部30aは、電流検出部20ea、20eb及び20ecにより検出された電流に基づいて、アークの発生を判定する。例えば、アーク判定部30aは、電流検出部20eaにより検出された電流を周波数分析することで経路110c又は120cにおけるアークの発生を判定し、電流検出部20ebにより検出された電流を周波数分析することで経路110d又は120dにおけるアークの発生を判定し、電流検出部20ecにより検出された電流を周波数分析することで経路110b又は120bにおけるアークの発生を判定する。
【0202】
これにより、分岐後の複数の経路(例えば、経路110b、110c、110d、120b、120c及び120d)のどこでアークが発生したとしても、分岐後の経路が磁気コア21を貫通しているため、電流検出部20ea、20eb又は20ecにより検出された電流に基づいてアークを検出できる。特に、分岐後のどの経路においてアークが発生したかを特定できる。
【0203】
(実施の形態6)
アーク検出装置は、屋内配線システムに備えられてもよい。これについて、
図10を用いて説明する。
【0204】
図10は、実施の形態6に係る屋内配線システム2の一例を示す構成図である。なお、
図10には、屋内配線システム2に接続された系統電源43も示している。
【0205】
系統電源43は、発電所等で生成された交流電力を供給する電源である。
【0206】
屋内配線システム2は、AC/DCコンバータ42、配線111及び121、照明器具57、58及び59並びにアーク検出装置10aを備える。AC/DCコンバータ42、配線111及び121、照明器具57、58及び59並びにアーク検出装置10aは、戸建て、集合住宅、ビル又は工場等の施設の屋内に設置される。
【0207】
AC/DCコンバータ42は、系統電源43から交流電力が供給され、供給された交流電力を直流電力に変換して出力する電力変換器である。AC/DCコンバータ42からは直流電力が出力されるため、AC/DCコンバータ42を直流電源とみなすことができる。
【0208】
AC/DCコンバータ42は、系統電源43から供給された交流電力を直流電力に変換して、照明器具57、58及び59に出力する。AC/DCコンバータ42は正極と負極を有し、正極には配線111が接続され、負極には配線121が接続される。
【0209】
配線111及び121は、AC/DCコンバータ42と照明器具57、58及び59とを接続する。照明器具57、58及び59は、AC/DCコンバータ42と配線111及び121を介して接続される機器の一例である。配線111は、AC/DCコンバータ42の正極及び負極のうちの一方に接続された第1配線の一例である。ここでは、配線111は、AC/DCコンバータ42の正極及び負極のうちの一方として正極に接続される。配線121は、AC/DCコンバータ42の正極及び負極のうちの他方に接続された第2配線の一例である。ここでは、配線121は、AC/DCコンバータ42の正極及び負極のうちの他方として負極に接続される。
【0210】
配線111は、実施の形態2等における配線110と同じように、AC/DCコンバータ42の正極から照明器具57、58及び59のそれぞれへと分岐している配線である。配線121は、実施の形態2等における配線120と同じように、AC/DCコンバータ42の負極から照明器具57、58及び59のそれぞれへと分岐している配線である。
【0211】
なお、機器は照明器具に限らず、屋内に設置される機器であれば特に限定されない。例えば、機器は、スピーカ又はマイク等であってもよい。
【0212】
配線111及び121は、磁気コア21を貫通しており、配線111及び121における分岐前の経路が磁気コア21を貫通している。配線111の分岐前の経路は、AC/DCコンバータ42と照明器具57、58及び59とを接続する第1経路の一例である。配線121の分岐前の経路は、AC/DCコンバータ42と照明器具57、58及び59とを接続する第2経路の一例である。
【0213】
アーク検出装置10aは、実施の形態1におけるものと機能は同じであり、磁気コア21を貫通する経路が配線111及び121の分岐前の経路となっている点以外は、実施の形態1に対応しているため、詳細な説明は省略する。実施の形態6についても、実施の形態1と同様にアークを正確に検出できるという効果が奏される。
【0214】
以上説明したように、屋内配線システム2は、アーク検出装置10aと、第1経路(例えば配線111の分岐前の経路)と、第2経路(例えば配線121の分岐前の経路)と、屋内に設置された機器(例えば照明器具57、58及び59)と、を備える。
【0215】
このように、アーク検出装置10aは、屋内配線システム2に備えられていてもよく、アークを正確に検出できる屋内配線システム2を提供できる。
【0216】
なお、実施の形態2と同じように、配線111及び121は分岐配線であり、分岐配線の分岐前の経路と分岐後の複数の経路のそれぞれについてアークが発生する場合があるが、アーク検出装置10aが備える磁気コア21には、分岐前の経路が貫通しているため、分岐後の複数の経路のどこでアークが発生したとしても、アークによる高周波成分は磁気コア21を貫通している分岐前の経路を流れるため、磁気コア21を貫通する経路を流れる電流を検出する電流検出部20aにより検出された電流に基づいてアークを検出できる。
【0217】
また、実施の形態2の変形例と同じように、屋内配線システム2においても、アーク検出装置が分岐後の経路のそれぞれに設けられてもよい。
【0218】
さらに、実施の形態1の変形例1~4に係るアーク検出装置が屋内配線システムに備えられてもよい。
【0219】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態に係るアーク検出装置等について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0220】
例えば、低インピーダンス回路は、直流電源と接続される機器が備えているコンデンサを流用することで実現してもよい。
【0221】
例えば、実施の形態1の変形例2~4では、磁気コア21を一度貫通した後折り返して再度貫通する第1配線が直流電源40の正極に接続される例について説明したが、当該第1配線は直流電源40の負極に接続されていてもよい。つまり、直流電源40の正極及び負極の一方として負極に接続された第1配線が磁気コア21を一度貫通した後折り返して再度貫通してもよい。
【0222】
例えば、上記実施の形態では、アーク検出装置が太陽光発電システム(具体的にはパワコン)及び屋内配線システムに適用される例について説明したが、適用例はこれらに限らない。本発明に係るアーク検出装置(つまり、アークを正確に検出できるアーク検出装置)の他の適用例について
図11を用いて説明する。
【0223】
図11は、本発明に係るアーク検出装置の適用例を説明するための図である。
【0224】
本発明に係るアーク検出装置は、例えば、太陽光パネル310から配線を介して供給される直流電力を、パワコン500で交流電力に変換するシステムにおける各構成要素に適用される。ここでは、複数(例えば3つ)の太陽光パネル310が1つの配線600(ストリング)によって直列に接続されたものが複数(例えば3つ)並べられて、太陽電池アレイ300を形成している。複数の配線600は、接続箱400によってまとめられて、パワコン500へ接続される。直流電源は太陽光パネル310であり、第1経路及び第2経路は配線600である。
【0225】
例えば、配線600毎にブレーカ410が設けられており、ここでは、接続箱400内にブレーカ410が設けられている。なお、ブレーカ410は、接続箱400内に設けられなくてもよい。例えば、ブレーカ410は、接続箱400と太陽電池アレイ300との間に設けられていてもよいし、配線600毎に設けられず接続箱400とパワコン500との間に設けられていてもよい。
【0226】
太陽光パネル310は、例えば、太陽光パネル310から出力される信号の変換を行う太陽光パネル付属モジュール320を有する。太陽光パネル付属モジュール320は、例えば、太陽光パネル310毎の発電量を最適化するDC/DCコンバータである。なお、太陽光パネル310は、太陽光パネル付属モジュール320を有していなくてもよい。
【0227】
例えば、ブレーカ410がアーク検出装置を備えていてもよい。ブレーカ410は、異常が発生したと判定された場合に、配線600に流れる電流を遮断する。
【0228】
例えば、太陽光パネル310又は太陽光パネル付属モジュール320がアーク検出装置を備えていてもよい。太陽光パネル310又は太陽光パネル付属モジュール320は、アークが発生したと判定された場合に、配線600への出力を停止する。
【0229】
また、例えば、接続箱400がアーク検出装置を備えていてもよい。接続箱400は、アークが発生したと判定された場合に、例えばブレーカ410等を介して、配線600に流れる電流を遮断する。
【0230】
なお、本発明に係るアーク検出装置は、これらに限らず、アークの検出が必要なシステム全般に適用できる。
【0231】
このように、ブレーカ410は、アーク検出装置を備え、アークが発生したと判定された場合に、第1経路及び第2経路に流れる電流を遮断してもよい。また、太陽光パネル310は、アーク検出装置を備え、太陽光により発電してもよい。また、太陽光パネル付属モジュール320は、アーク検出装置を備え、太陽光パネル310から出力される信号の変換を行ってもよい。また、接続箱400は、アーク検出装置を備え、太陽光パネル310とパワコン500とを接続してもよい。
【0232】
例えば、アーク検出装置が備えるアーク判定部は、パーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータにおいてソフトウェア的に実現されてもよい。
【0233】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0234】
1a、1aa、1b、1ba、1c、1ca、1d、1da 太陽光発電システム
2 屋内配線システム
10a、10aa、10b、10c、10ca、10d、10da、10e、10ea アーク検出装置
11a、11b、11c、11d、11e 低インピーダンス回路
20a、20aa、20ab、20ac、20b、20c、20ca、20cb、20cc、20d、20da、20db、20de、20e、20ea、20eb、20ec 電流検出部
21 磁気コア
30、30a アーク判定部
40 直流電源
41、310 太陽光パネル
41a、41b、41c、41d、41e、42a、42b、42c、42d、42e、110、111、120、121、600 配線
42 AC/DCコンバータ
43 系統電源
43a、43b、43c、43d、43e バイパス経路
50 機器
51、52、53、61 DC/DCコンバータ
51a、51b、51c、51d、51e、52a、52b、52c、52d、52e、110a、110b、110c、110d、120a、120b、120c、120d 経路
54、55、56 蓄電池
57、58、59 照明器具
60a、60aa、60b、60ba、60c、60ca、60d、60da、500 パワコン
62 インバータ
300 太陽電池アレイ
320 太陽光パネル付属モジュール
400 接続箱
410 ブレーカ
N1a、N1b、N1c、N1d、N1e、N2a、N2b、N2c、N2d、N2e 接続点
N3、N4 分岐点