(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20230929BHJP
G02B 17/08 20060101ALI20230929BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
G02B27/01
G02B17/08
B60K35/00 A
(21)【出願番号】P 2020539335
(86)(22)【出願日】2019-08-15
(86)【国際出願番号】 JP2019032008
(87)【国際公開番号】W WO2020045098
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-07-08
(31)【優先権主張番号】P 2018158695
(32)【優先日】2018-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】葛原 聡
(72)【発明者】
【氏名】岡山 裕昭
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/094248(WO,A1)
【文献】特開2018-083593(JP,A)
【文献】特開2005-062530(JP,A)
【文献】特開2008-276059(JP,A)
【文献】特開平07-333408(JP,A)
【文献】特開2006-259174(JP,A)
【文献】特開2017-120388(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0182700(US,A1)
【文献】台湾特許出願公開第201106037(TW,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/00
G02B 17/00 - 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を
観察者に虚像として表示するヘッドアップディスプレイであって、
前記ヘッドアップディスプレイは、前記画像を表示する表示デバイスと、前記画像を拡大して投影する投射光学系を有し、
前記投射光学系はレンズ素子と反射鏡を有し、
前記虚像の中心部に相当する光線を基準光線としたとき、
前記レンズ素子は、前記表示デバイスが表示した前記画像の光が入射する入射面と、前記画像の光が出射する出射面と、前記基準光線に対して上側にある第1コバ部と、前記基準光線に対して下側にある第2コバ部とを有し、
前記レンズ素子は、前記出射面が下方を向くように前記基準光線に対して傾けて配置され、
前記表示デバイス
の上端から出射した光が、前記入射面、前記第2コバ部、前記出射面の順に進むとき、前記出射面から出射した光は、前記反射鏡の中心部よりも下方に到達
し、前記反射鏡の中心部よりも下方で反射した光は、前記観察者の視点領域外に到達するように、前記第2コバ部が傾斜
し、
前記反射鏡の中心部は、前記反射鏡の中心から前記反射鏡の大きさの2/3の領域である、
ヘッドアップディスプレイ。
【請求項2】
前記レンズ素子は、自由曲面形状である、
請求項
1に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項3】
前記第2コバ部は、前記第1コバ部よりも小さい領域で構成される、
請求項1
又は請求項2に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項4】
前記第2コバ部は、鏡面性を有する、
請求項1ないし請求項
3のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項5】
前記第2コバ部は、不連続な傾斜形状を有する、
請求項1ないし請求項
4のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項6】
前記第2コバ部は、曲面部を有する、
請求項1ないし請求項
5のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項7】
前記第2コバ部は、部分的に傾斜角が異なる、
請求項1ないし請求項
6のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項8】
前記第2コバ部は、複数の平面部を有する、
請求項1ないし請求項
7のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項9】
画像を観察者に虚像として表示するヘッドアップディスプレイであって、
前記ヘッドアップディスプレイは、前記画像を表示する表示デバイスと、前記画像を拡大して投影する投射光学系を有し、
前記投射光学系はレンズ素子と反射鏡を有し、
前記虚像の中心部に相当する光線を基準光線としたとき、
前記レンズ素子は、前記表示デバイスが表示した前記画像の光が入射する入射面と、前記画像の光が出射する出射面と、前記基準光線に対して上側にある第1コバ部と、前記基準光線に対して下側にある第2コバ部とを有し、
前記レンズ素子は、前記出射面が下方を向くように前記基準光線に対して傾けて配置され、
前記表示デバイス
の上端から出射した光が、前記入射面、前記第2コバ部、および前記出射面の順に進むとき、前記出射面から出射した光は、前記反射鏡の中心部よりも下方に到達し、前記反射鏡の中心部よりも下方で反射した光は、前記観察者の視点領域外にある車両のウインドシールドの上部に到達するように、前記第2コバ部が傾斜
し、
前記反射鏡の中心部は、前記反射鏡の中心から前記反射鏡の大きさの2/3の領域である、
ヘッドアップディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッドアップディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ヘッドアップディスプレイにおいて、スクリーン板側から順に、負の屈折力の凹レンズと、正の屈折力の凸レンズと、回転非対称な自由曲面レンズと回転非対称な自由曲面ミラーとを並べて配置する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように、自由曲面レンズを用いた場合には、液晶表示デバイスから出射された光が、自由曲面レンズのコバ面で反射し、迷光が発生するという問題がある。迷光を防ぐためには、コバ面を黒塗りすることも考えられるが、製造コストが高くなる。そこで、本開示は、黒塗り以外の方法でコバ面からの迷光の発生を防ぐことができるヘッドアップディスプレイを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のヘッドアップディスプレイは、
画像を観察者に虚像として表示するヘッドアップディスプレイであって、
前記ヘッドアップディスプレイは、前記画像を拡大して投影する投射光学系を有し、
前記投射光学系はレンズ素子と反射鏡を有し、
前記観察者の視点領域の中心に到達し、前記虚像の中心に相当する光線を基準光線としたとき、
前記レンズ素子は前記基準光線に対して傾けて配置され、
前記レンズ素子は、前記画像の光が入射する入射面と、前記画像の光が出射する出射面と、第1コバ部と、第2コバ部とを有し、
前記画像から出射した光が、前記入射面、前記第2コバ部、前記出射面の順に進むとき、前記出射面から出射した光は、前記反射鏡の中心部よりも下方に進行するように前記第2コバ部が傾斜している。
【発明の効果】
【0006】
本開示におけるヘッドアップディスプレイによれば、第2コバ部で反射することにより発生した迷光が、反射鏡の中心部よりも下方に到達するように第2コバ部を傾斜させたので、第2コバ部で反射することにより発生した迷光が、観察者に視認されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1におけるヘッドアップディスプレイを搭載した車両の断面を示す図
【
図2】実施の形態1におけるヘッドアップディスプレイの構成を示す模式図
【
図3】実施の形態1におけるヘッドアップディスプレイの自由曲面レンズを拡大した模式図である。
【
図4】実施の形態2におけるヘッドアップディスプレイのレンズを拡大した模式図である。
【
図5】実施の形態3におけるヘッドアップディスプレイのレンズを拡大した模式図である。
【
図6】実施の形態4におけるヘッドアップディスプレイのレンズを拡大した模式図である。
【
図7】実施の形態7におけるヘッドアップディスプレイのレンズを拡大した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0009】
(実施の形態1)
以下、
図1から
図3を参照して、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
[1-1-1. ヘッドアップディスプレイの全体構成]
本開示のヘッドアップディスプレイ100の具体的な実施の形態及び実施例を、図面を参照して、以下、説明する。
図1は、本開示に係るヘッドアップディスプレイ100を搭載した車両200の断面を示す図である。
図1に示すように、ヘッドアップディスプレイ100は、車両200のウインドシールド220下部のダッシュボード210内部に配置される。観察者Dは、ヘッドアップディスプレイ100から投射される画像を虚像Iとして認識する。
【0010】
図2は、本実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ100の構成を示す模式図である。
図3は、本実施の形態に係るヘッドアップディスプレイ100の自由曲面レンズ123を拡大した模式図である。
【0011】
図2に示すように、ヘッドアップディスプレイ100は、表示デバイス110と、投射光学系140と、を備える。ヘッドアップディスプレイ100は、表示デバイス110が拡散特性を有する光学部材となっており、表示デバイス110に表示する画像を投射光学系140を介してウインドシールド220に投射する。投射された光は、ウインドシールド220において反射され、観察者Dの視点領域300に導かれる。これにより、ヘッドアップディスプレイ100は、観察者Dに虚像Iを視認させる。ここで、視点とは、観察者Dの目をレンズと考えた場合の主点であり、視点領域300とは、虚像Iを欠けることなく視認できる、観察者Dの視点の位置する領域である。
【0012】
ここで、本開示において、前方とは、観察者Dから見て車両200のウインドシールド220のある方向である。後方とは、前方の反対の方向である。また、下方とは車両200が走行する路面Rの方向である。上方とは、下方の反対の方向である。
【0013】
図2に示すように、表示デバイス110から出射し、視点領域300の中心に到達する光線のうち、虚像Iの中心部を通り、視点領域300の中心に到達する光線を基準光線Lcとする。すなわち、観察者Dから見た場合、基準光線Lcは、虚像Iの中心から観察者Dの視点までの光路に相当する。観察者Dが視認する基準光線Lcは、実際には表示デバイス110から光学系を経て観察者Dに到達したものである。そのため、虚像Iの中心から出射する基準光線Lcに対応する、表示デバイス110から観察者Dに到達するまでの光線も基準光線Lcと表現される。また、これらの光線に対応する光路も同様に基準光線Lcと表現される。ただし、観察者Dの視点が視点領域300の中心にあるものとする。
【0014】
表示デバイス110は、図示しないCPU等の制御部による制御に基づき、表示画像を表示する。表示デバイス110には、例えば、バックライト付きの液晶表示装置(Liquid Crystal Display)や有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode)、プラズマディスプレイなどを用いることができる。また、表示デバイス110として、光を拡散または反射するスクリーンと、プロジェクタや走査型レーザを用いて画像を生成してもよい。表示デバイス110は、道路進行案内表示や、前方車両までの距離、車のバッテリー残量、現在の車速など、各種の情報を表示することができる。また、表示デバイス110は、投射光学系140やウインドシールド220で発生する歪みや、図示を省略するカメラで取得する観察者Dの位置に応じて、あらかじめ画像を電子的に歪ませておくことで、観察者Dに良好な虚像Iを視認させることができる。また、表示デバイス110は、投射光学系140で発生する色収差に応じて、あらかじめ複数波長の表示画素を表示位置毎にずらして表示することで、観察者Dに良好な虚像Iを視認させることができる。
【0015】
投射光学系140は、負のパワーを有するレンズ素子としての自由曲面レンズ123と、正のパワーを有する反射鏡としての自由曲面ミラー125とを備える。ここで、負のパワーとは発散作用を意味し、正のパワーとは収束作用を意味する。投射光学系140は、自由曲面レンズ123によって屈折された画像を、自由曲面ミラー125を介して反射することにより、ウインドシールド220に投射する。
【0016】
[1-1-2.レンズ素子の構成]
本実施形態においては、自由曲面レンズ123は、太陽光の迷光回避のため、
図2に示すように、車両200の断面視において、自由曲面レンズ123の出射面が下方を向くように基準光線Lcに対して傾けて配置している。
【0017】
また、自由曲面レンズ123をこのように傾けただけでは、表示デバイス110による表示光が、第2コバ部123bで反射し、迷光が発生する。そこで、本実施の形態では、自由曲面レンズ123は、第2コバ部123bの領域が、第1コバ部123aの領域よりも小さくなるように形成されている。自由曲面レンズ123をこのように形成することにより、第2コバ部123bの領域が狭くなり、表示デバイス110の表示光が第2コバ部123bで反射して発生する迷光を抑えることができる。
【0018】
さらに、本実施の形態においては、
図3に示すように、自由曲面レンズ123の出射面下部を矢印A方向に延長し、第2コバ部123bの面を、従来の第2コバ部123b’の面よりも、基準光線Lcから離れる方向に傾斜させている。
【0019】
また、本実施の形態においては、第2コバ部123bは鏡面性を有している。したがって、表示デバイス110から第2コバ部123bに入射した光は拡散されることなく、迷光に寄与する光路を限定できる。また、第2コバ部123bに黒塗り加工を施した場合のように、太陽光が自由曲面ミラー125を介して第2コバ部123bに集光した場合に、第2コバ部123bが加熱されることを防止することができる。
【0020】
第2コバ部123bをこのように傾斜させることにより、
図2に示すように、表示デバイス110から出射した光が、自由曲面レンズ123の入射面、第2コバ部123b、自由曲面レンズ123の出射面の順に進むとき、自由曲面レンズ123の出射面から出射した迷光SLは、自由曲面ミラー125の中心部よりも下方に到達する。その結果、迷光SLは、ウインドシールド220の上部に到達し、観察者Dに視認されることがない。ここで、自由曲面ミラー125の中心部は、自由曲面ミラー125の中心から自由曲面ミラー125の大きさの2/3の領域である。
【0021】
第2コバ部123bの傾斜の角度は、自由曲面レンズ123の出射面から出射した迷光SLが、自由曲面ミラー125の反射面に到達することなく、自由曲面ミラー125よりも下方に進むように設定してもよい。
【0022】
以上のように、本実施の形態は、表示デバイス110からの出射光が入射する自由曲面レンズ123の出射面を下方に傾けて配置し、第2コバ部123bの領域を第1コバ部123aの領域よりも小さくし、かつ、第2コバ部123bの面を、第2コバ部123bからの反射光が自由曲面ミラー125の中心部よりも下方に到達するように傾斜させた。したがって、表示デバイス110から出射し、第2コバ部123bで反射することにより発生する迷光SLが、観察者Dに視認されることを防止することができる。
【0023】
[1-2.効果等]
実施の形態1に係るヘッドアップディスプレイの一例としてのヘッドアップディスプレイ100は、画像を観察者Dに虚像Iとして表示するヘッドアップディスプレイ100であって、ヘッドアップディスプレイ100は、画像を拡大して投影する投射光学系140を有し、投射光学系140はレンズ素子としての自由曲面レンズ123を有し、観察者Dの視点領域300の中心に到達し、虚像Iの中心に相当する光線を基準光線Lcとしたとき、自由曲面レンズ123は基準光線Lcに対して傾けて配置され、自由曲面レンズ123は、画像の光が入射する入射面と、画像の光が出射する出射面と、第1コバ部123aと、第2コバ部123bとを有し、画像から出射した光が、入射面、第2コバ部123b、出射面の順に進むとき、出射面から出射した光は、反射鏡としての自由曲面ミラー125の中心部よりも下方に到達するように第2コバ部123bが傾斜している。
【0024】
実施の形態1に係るヘッドアップディスプレイ100によれば、第2コバ部123bの領域を第1コバ部123aの領域よりも小さくしたので、第2コバ部123bで反射することにより発生する迷光を減少させることができる。また、第2コバ部123bで反射することにより発生した迷光が、自由曲面ミラー125の中心部よりも下方に到達するように第2コバ部123bを傾斜させた。その結果、第2コバ部123bで反射することにより発生した迷光が、観察者Dに視認されることを防止することができる。
【0025】
(実施の形態2)
次に、
図4を用いて、実施の形態2を説明する。
[2-1.構成]
図4は、実施の形態2に係るヘッドアップディスプレイ100におけるレンズ素子の構成を示す模式図である。
図4に示すように、本実施の形態のヘッドアップディスプレイ100においては、レンズ素子として、自由曲面レンズ123の変わりに、出射面が一定の曲率の曲面であるレンズ124を用いる。
【0026】
レンズ124は、上方の第1コバ部124aと、下方の第2コバ部124bとを備えている。レンズ124は、出射面が一定の曲率の曲面であるレンズを二等分し、上半分だけをレンズ124として用いる。本実施の形態においても、表示デバイス110からの出射光が入射するレンズ124の出射面を下方に傾けて配置し、第2コバ部124bの領域を第1コバ部124aの領域よりも小さくしている。また、第2コバ部124bは、第2コバ部123bで反射することにより発生した迷光が、自由曲面ミラー125の中心部よりも下方に到達するように傾斜している。ここで、レンズ124は、出射面が一定の曲率の曲面であるレンズを二等分し、上半分だけをレンズ124として用いたものに限らず、第2コバ部124bの領域が第1コバ部125aの領域よりも小さくなるように、任意の比率でレンズ124の上側を使用しても良い。
【0027】
以上のように、本実施の形態は、表示デバイス110からの出射光が入射するレンズ124の出射面を下方に傾けて配置し、第2コバ部124bの領域を第1コバ部124aの領域よりも小さくし、かつ、第2コバ部124bの面を、第2コバ部124bからの反射光が自由曲面ミラー125の中心部よりも下方に到達するように傾斜させた。したがって、表示デバイス110から出射し、第2コバ部124bで反射することにより発生する迷光SLが、観察者Dに視認されることを防止することができる。
【0028】
また、本実施の形態においては、第2コバ部124bは鏡面性を有している。したがって、表示デバイス110から第2コバ部123bに入射した光は拡散されることなく、迷光に寄与する光路を限定できる。また、第2コバ部124bに黒塗り加工を施した場合のように、太陽光が自由曲面ミラー125を介して第2コバ部123bに集光した場合に、第2コバ部123bが加熱されることを防止することができる。
【0029】
[2-2. 効果等]
実施の形態2に係るヘッドアップディスプレイの一例としてのヘッドアップディスプレイ100は、画像を観察者Dに虚像Iとして表示するヘッドアップディスプレイ100であって、ヘッドアップディスプレイ100は、画像を拡大して投影する投射光学系140を有し、投射光学系140はレンズ素子としてのレンズ124を有し、観察者Dの視点領域300の中心に到達し、虚像Iの中心に相当する光線を基準光線Lcとしたとき、レンズ124は基準光線Lcに対して傾けて配置され、レンズ124は、画像の光が入射する入射面と、画像の光が出射する出射面と、第1コバ部124aと、第2コバ部124bとを有し、画像から出射した光が、入射面、第2コバ部124b、出射面の順に進むとき、出射面から出射した光は、反射鏡としての自由曲面ミラー125の中心部よりも下方に到達するように第2コバ部124bが傾斜している。
【0030】
実施の形態2に係るヘッドアップディスプレイ100によれば、第2コバ部124bの領域を第1コバ部124aの領域よりも小さくしたので、第2コバ部124bで反射することにより発生する迷光を減少させることができる。また、第2コバ部124bで反射することにより発生した迷光が、自由曲面ミラー125の中心部よりも下方に到達するように第2コバ部124bを傾斜させた。その結果、第2コバ部124bで反射することにより発生した迷光が、観察者Dに視認されることを防止することができる。
【0031】
(実施の形態3)
次に、
図5を用いて、実施の形態3を説明する。
[3-1.構成]
図5は、実施の形態3に係るヘッドアップディスプレイ100におけるレンズ素子の構成を示す模式図である。
図5に示すように、本実施の形態のヘッドアップディスプレイ100においては、レンズ素子として、自由曲面レンズ123を用いるが、第2コバ部123bは、不連続な傾斜形状を有している。
【0032】
自由曲面レンズ123は、上方の第1コバ部123aと、下方の第2コバ部123bとを備えている。自由曲面レンズ123は、本実施の形態においても、出射面を下方に傾けて配置し、第2コバ部123bの領域を第1コバ部123aの領域よりも小さくしている。また、第2コバ部123bは、第2コバ部123bで反射することにより発生した迷光が、自由曲面ミラー125の中心部よりも下方に到達するように傾斜している。そして、本実施の形態では、この第2コバ部123bの傾斜形状は、不連続な複数の傾斜形状から構成されている。
【0033】
第2コバ部123bをこのように構成することにより、第2コバ部123bの一つ一つの傾斜形状における面の大きさは、実施の形態1の第2コバ部123bに比べて小さくなり、第2コバ部123bで反射することにより発生する迷光を、さらに減少させることができる。
【0034】
また、本実施の形態においては、第2コバ部123bは鏡面性を有している。したがって、表示デバイス110から第2コバ部123bに入射した光は拡散されることなく、迷光に寄与する光路を限定できる。また、第2コバ部123bに黒塗り加工を施した場合のように、太陽光が自由曲面ミラー125を介して第2コバ部123bに集光した場合に、第2コバ部123bが加熱されることを防止することができる。
【0035】
以上のように、本実施の形態は、表示デバイス110からの出射光が入射するレンズ123の出射面を下方に傾けて配置し、第2コバ部123bの領域を第1コバ部123aの領域よりも小さくし、かつ、第2コバ部123bの面を、第2コバ部123bからの反射光が自由曲面ミラー125の中心部よりも下方に到達するように傾斜させた。しかも、第2コバ部123bの傾斜形状は、不連続な複数の傾斜形状から構成した。したがって、表示デバイス110から出射し、第2コバ部124bで反射することにより発生する迷光SLが、観察者Dに視認されることを防止することができる。
【0036】
[3-2. 効果等]
実施の形態3に係るヘッドアップディスプレイの一例としてのヘッドアップディスプレイ100は、画像を観察者Dに虚像Iとして表示するヘッドアップディスプレイ100であって、ヘッドアップディスプレイ100は、画像を拡大して投影する投射光学系140を有し、投射光学系140はレンズ素子としての自由曲面レンズ123を有し、観察者Dの視点領域300の中心に到達し、虚像Iの中心に相当する光線を基準光線Lcとしたとき、自由曲面レンズ123は基準光線Lcに対して傾けて配置され、自由曲面レンズ123は、画像の光が入射する入射面と、画像の光が出射する出射面と、第1コバ部123aと、第2コバ部123bとを有し、画像から出射した光が、入射面、第2コバ部123b、出射面の順に進むとき、出射面から出射した光は、反射鏡としての自由曲面ミラー125の中心部よりも下方に到達するように第2コバ部123bが傾斜している。また、第2コバ部123bは、不連続な傾斜形状を有する。
【0037】
実施の形態3に係るヘッドアップディスプレイ100によれば、第2コバ部123bの領域を第1コバ部123aの領域よりも小さく、かつ、不連続な傾斜形状を有するようにしたので、第2コバ部123bで反射することにより発生する迷光を減少させることができる。また、第2コバ部123bで反射することにより発生した迷光が、自由曲面ミラー125の中心部よりも下方に到達するように第2コバ部123bに傾斜形状を持たせた。その結果、第2コバ部123bで反射することにより発生した迷光が、観察者Dに視認されることを防止することができる。
【0038】
(実施の形態4)
次に、
図6を用いて、実施の形態3を説明する。
[4-1.構成]
図6は、実施の形態4に係るヘッドアップディスプレイ100におけるレンズ素子の構成を示す模式図である。
図6に示すように、本実施の形態のヘッドアップディスプレイ100においては、レンズ素子として、自由曲面レンズ123を用いるが、第2コバ部123bは曲面部を有している。
【0039】
自由曲面レンズ123は、上方の第1コバ部123aと、下方の第2コバ部123bとを備えている。自由曲面レンズ123は、本実施の形態においても、出射面を下方に傾けて配置し、第2コバ部123bの領域を第1コバ部123aの領域よりも小さくしている。また、第2コバ部123bは、第2コバ部123bで反射することにより発生した迷光が、自由曲面ミラー125の中心部よりも下方に到達するように傾斜している。そして、本実施の形態では、この第2コバ部123bの傾斜形状は、曲面部で構成されている。
【0040】
第2コバ部123bの傾斜形状は、このように曲面部によっても構成することができ、第2コバ部123bで反射することにより発生した迷光が、自由曲面ミラー125の中心部よりも下方に到達するようにすることができる。
【0041】
また、本実施の形態においては、第2コバ部123bは鏡面性を有している。したがって、表示デバイス110から第2コバ部123bに入射した光は拡散されることなく、迷光に寄与する光路を限定できる。また、第2コバ部123bに黒塗り加工を施した場合のように、太陽光が自由曲面ミラー125を介して第2コバ部123bに集光した場合に、第2コバ部123bが加熱されることを防止することができる。
【0042】
以上のように、本実施の形態は、表示デバイス110からの出射光が入射するレンズ123の出射面を下方に傾けて配置し、第2コバ部123bの領域を第1コバ部123aの領域よりも小さくし、かつ、第2コバ部123bの面を、第2コバ部123bからの反射光が自由曲面ミラー125の中心部よりも下方に到達するように傾斜させた。しかも、第2コバ部123bの傾斜形状は、曲面部から構成した。したがって、表示デバイス110から出射し、第2コバ部124bで反射することにより発生する迷光SLが、観察者Dに視認されることを防止することができる。
【0043】
[4-2. 効果等]
実施の形態4に係るヘッドアップディスプレイの一例としてのヘッドアップディスプレイ100は、画像を観察者Dに虚像Iとして表示するヘッドアップディスプレイ100であって、ヘッドアップディスプレイ100は、画像を拡大して投影する投射光学系140を有し、投射光学系140はレンズ素子としての自由曲面レンズ123を有し、観察者Dの視点領域300の中心に到達し、虚像Iの中心に相当する光線を基準光線Lcとしたとき、自由曲面レンズ123は基準光線Lcに対して傾けて配置され、自由曲面レンズ123は、画像の光が入射する入射面と、画像の光が出射する出射面と、第1コバ部123aと、第2コバ部123bとを有し、画像から出射した光が、入射面、第2コバ部123b、出射面の順に進むとき、出射面から出射した光は、反射鏡としての自由曲面ミラー125の中心部よりも下方に到達するように第2コバ部123bが傾斜している。また、第2コバ部123bは、曲面部を有する。
【0044】
実施の形態4に係るヘッドアップディスプレイ100によれば、第2コバ部123bの領域を第1コバ部123aの領域よりも小さくしたので、第2コバ部123bで反射することにより発生する迷光を減少させることができる。また、第2コバ部123bで反射することにより発生した迷光が、自由曲面ミラー125の中心部よりも下方に到達するように第2コバ部123bに曲面部により傾斜形状を持たせた。その結果、第2コバ部123bで反射することにより発生した迷光が、観察者Dに視認されることを防止することができる。
【0045】
(実施の形態5)
次に、
図7を用いて、実施の形態3を説明する。
[5-1.構成]
図7は、実施の形態5に係るヘッドアップディスプレイ100におけるレンズ素子の構成を示す模式図である。
図7に示すように、本実施の形態のヘッドアップディスプレイ100においては、レンズ素子として、自由曲面レンズ123を用いるが、第2コバ部123bは複数の平面部を有し、平面部の傾斜角は部分的に異なる。
【0046】
自由曲面レンズ123は、上方の第1コバ部123aと、下方の第2コバ部123bとを備えている。自由曲面レンズ123は、本実施の形態においても、出射面を下方に傾けて配置し、第2コバ部123bの領域を第1コバ部123aの領域よりも小さくしている。また、第2コバ部123bは、第2コバ部123bで反射することにより発生した迷光が、自由曲面ミラー125の中心部よりも下方に到達するように傾斜している。そして、本実施の形態では、この第2コバ部123bの傾斜形状は、複数の平面部で構成されており、平面部の傾斜角は部分的に異なっている。
【0047】
第2コバ部123bの傾斜形状は、このように部分的に傾斜角が異なる複数の平面部によっても構成することができ、第2コバ部123bで反射することにより発生した迷光が、自由曲面ミラー125の中心部よりも下方に到達するようにすることができる。
【0048】
また、本実施の形態においては、第2コバ部123bは鏡面性を有している。したがって、表示デバイス110から第2コバ部123bに入射した光は拡散されることなく、迷光に寄与する光路を限定できる。また、第2コバ部123bに黒塗り加工を施した場合のように、太陽光が自由曲面ミラー125を介して第2コバ部123bに集光した場合に、第2コバ部123bが加熱されることを防止することができる。
【0049】
以上のように、本実施の形態は、表示デバイス110からの出射光が入射するレンズ123の出射面を下方に傾けて配置し、第2コバ部123bの領域を第1コバ部123aの領域よりも小さくし、かつ、第2コバ部123bの面を、第2コバ部123bからの反射光が自由曲面ミラー125の中心部よりも下方に到達するように傾斜させた。しかも、第2コバ部123bの傾斜形状は、部分的に傾斜角が異なる複数の平面部から構成した。したがって、表示デバイス110から出射し、第2コバ部124bで反射することにより発生する迷光SLが、観察者Dに視認されることを防止することができる。
【0050】
[5-2. 効果等]
実施の形態4に係るヘッドアップディスプレイの一例としてのヘッドアップディスプレイ100は、画像を観察者Dに虚像Iとして表示するヘッドアップディスプレイ100であって、ヘッドアップディスプレイ100は、画像を拡大して投影する投射光学系140を有し、投射光学系140はレンズ素子としての自由曲面レンズ123を有し、観察者Dの視点領域300の中心に到達し、虚像Iの中心に相当する光線を基準光線Lcとしたとき、自由曲面レンズ123は基準光線Lcに対して傾けて配置され、自由曲面レンズ123は、画像の光が入射する入射面と、画像の光が出射する出射面と、第1コバ部123aと、第2コバ部123bとを有し、画像から出射した光が、入射面、第2コバ部123b、出射面の順に進むとき、出射面から出射した光は、反射鏡としての自由曲面ミラー125の中心部よりも下方に到達するように第2コバ部123bが傾斜している。また、第2コバ部123bは、部分的に傾斜角が異なり、複数の平面部を有する。
【0051】
実施の形態4に係るヘッドアップディスプレイ100によれば、第2コバ部123bの領域を第1コバ部123aの領域よりも小さくしたので、第2コバ部123bで反射することにより発生する迷光を減少させることができる。また、第2コバ部123bで反射することにより発生した迷光が、自由曲面ミラー125の中心部よりも下方に到達するように第2コバ部123bに部分的に傾斜角が異なる複数の平面部により傾斜形状を持たせた。その結果、第2コバ部123bで反射することにより発生した迷光が、観察者Dに視認されることを防止することができる。
【0052】
(実施形態の概要)
(1)本開示のヘッドアップディスプレイは、画像を観察者に虚像として表示するヘッドアップディスプレイであって、前記ヘッドアップディスプレイは、前記画像を拡大して投影する投射光学系を有し、前記投射光学系はレンズ素子と反射鏡を有し、前記観察者の視点領域の中心に到達し、前記虚像の中心に相当する光線を基準光線としたとき、前記レンズ素子は前記基準光線に対して傾けて配置され、前記レンズ素子は、前記画像の光が入射する入射面と、前記画像の光が出射する出射面と、第1コバ部と、第2コバ部とを有し、前記画像から出射した光が、前記入射面、前記第2コバ部、前記出射面の順に進むとき、前記出射面から出射した光は、前記反射鏡の中心部よりも下方に到達するように前記第2コバ部が傾斜している。
【0053】
本開示のヘッドアップディスプレイによれば、第2コバ部で反射することにより発生した迷光が、反射鏡の中心部よりも下方に到達するように第2コバ部を傾斜させたので、第2コバ部で反射することにより発生した迷光が、観察者に視認されることを防止することができる。
【0054】
(2)(1)のヘッドアップディスプレイにおいて、レンズ素子は、自由曲面形状である。したがって、第2コバ部で反射することにより発生した迷光が、観察者に視認されることを防止しつつ、高画質な画像を観察者に虚像として認識させることができる。
【0055】
(3)(1)または(2)のヘッドアップディスプレイにおいて、第2コバ部は、第1コバ部よりも小さい領域で構成される。したがって、第2コバ部で反射することにより発生した迷光を減少させることができ、迷光が、観察者に視認されることを防止することができる。
【0056】
(4)(1)ないし(3)のいずれか一のヘッドアップディスプレイにおいて、第2コバ部は、鏡面性を有する。したがって、第2コバ部に黒塗り加工を施した場合のように、第2コバ部が加熱されることを防止することができる。
【0057】
(5)(1)ないし(4)のヘッドアップディスプレイにおいて、第2コバ部は、不連続な傾斜形状を有する。したがって、第2コバ部で反射することにより発生した迷光を減少させることができ、かつ、第2コバ部で反射することにより発生した迷光が、反射鏡の中心部よりも下方に到達するように第2コバ部を傾斜させたので、迷光が観察者に視認されることを防止することができる。
【0058】
(6)(1)ないし(5)のヘッドアップディスプレイにおいて、第2コバ部は、曲面部を有する。したがって、第2コバ部で反射することにより発生した迷光が、反射鏡の中心部よりも下方に到達するように第2コバ部に傾斜を持たせることができ、迷光が観察者に視認されることを防止することができる。
【0059】
(7)(1)ないし(6)のヘッドアップディスプレイにおいて、第2コバ部は、部分的に傾斜角が異なる。したがって、第2コバ部で反射することにより発生した迷光が、反射鏡の中心部よりも下方に到達するように第2コバ部に傾斜を持たせることができ、迷光が観察者に視認されることを防止することができる。
【0060】
(8)(1)ないし(7)のヘッドアップディスプレイにおいて、第2コバ部は、複数の平面部を有する。したがって、第2コバ部で反射することにより発生した迷光が、反射鏡の中心部よりも下方に到達するように第2コバ部に傾斜を持たせることができ、迷光が観察者に視認されることを防止することができる。
【0061】
(9)(1)ないし(8)のヘッドアップディスプレイにおいて、出射面から出射した光は、入射面、第2コバ部、および出射面の順に進むとき、前記反射鏡よりも下方に到達する。したがって、迷光が観察者に視認されることを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本開示は、液晶ディスプレイ等の表示デバイス、およびレンズ素子等の投射光学系を用いたヘッドアップディスプレイに適用可能である。具体的には、車両用などのヘッドアップディスプレイに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
100 ヘッドアップディスプレイ
110 表示デバイス
111 表示画像
123 自由曲面レンズ
123a 第1コバ部
123b 第2コバ部
124 レンズ
124a 第1コバ部
124b 第2コバ部
125 自由曲面ミラー
140 投射光学系
200 車両
210 ダッシュボード
220 ウインドシールド
300 視点領域
D 観察者
I 虚像
R 路面
Lc 基準光線
SL 迷光