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特許7357246ディスプレイ駆動装置およびディスプレイの駆動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】ディスプレイ駆動装置およびディスプレイの駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/32 20160101AFI20230929BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20230929BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20230929BHJP
   H01L 33/02 20100101ALI20230929BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
G09G3/32 A
G09G3/20 623V
G09G3/20 631H
G09G3/20 641A
G09G3/20 612U
G09G3/20 621A
H01L33/00 L
H01L33/00 J
H01L33/02
H04N5/66 103
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020548090
(86)(22)【出願日】2019-08-06
(86)【国際出願番号】 JP2019030808
(87)【国際公開番号】W WO2020059336
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2018173958
(32)【優先日】2018-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】中西 弘一
(72)【発明者】
【氏名】辻本 真博
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-211006(JP,A)
【文献】特開2012-142489(JP,A)
【文献】特開2012-129277(JP,A)
【文献】特開2005-055510(JP,A)
【文献】特表2007-521503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/32
G09G 3/20
H01L 33/00
H01L 33/02
H04N 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイを駆動するディスプレイ駆動装置であって、
入力された映像情報に基づいて、前記ディスプレイの複数の走査ラインのうちの単一の走査ライン上に配置された複数の発光素子1以上の発光素子群にグループ分けするグループ分け部と、
前記発光素子を点灯状態で駆動する期間である駆動期間に基づいて、前記1以上の発光素子群を駆動するドライバと
を備え、
前記グループ分け部は、前記映像情報に含まれる輝度情報に基づいて、前記1以上の発光素子群にグループ分けする際の1以上の分割数を決定し、
前記ドライバは、前記分割数が1である場合に、前記単一の走査ラインにおける1つの前記発光素子群を一括で駆動し、前記分割数が2以上である場合に、前記単一の走査ラインにおける2以上の前記発光素子群を前記駆動期間が重ならないように順に駆動する
ディスプレイ駆動装置。
【請求項2】
前記グループ分け部は、
入力された前記映像情報に基づいて、前記ディスプレイの平均輝度を算出する輝度算出部と、
予め決められた平均輝度および前記1以上の発光素子群にグループ分けする際の前記1以上の分割数の関係を記憶する記憶部と、
前記輝度算出部にて算出した前記平均輝度および前記記憶部に記憶された前記関係に基づいて、前記1以上の分割数を導出する分割数導出部と
を備える請求項1に記載のディスプレイ駆動装置。
【請求項3】
前記輝度算出部は、前記ディスプレイに出力する1フレームごとの前記映像情報に基づいて、前記平均輝度を算出し、
前記分割数導出部は、前記1フレームごとに前記分割数を導出する
請求項2に記載のディスプレイ駆動装置。
【請求項4】
さらに、前記映像情報に基づいて前記1以上の発光素子群の駆動時間を算出し、当該駆動時間に基づいてPWM(Pulse Width Modulation)信号を出力するPWM信号出力部を備え、
前記ドライバは、前記PWM信号出力部から出力されたPWM信号に基づいて、前記1以上の発光素子群を駆動する
請求項1~3のいずれか1項に記載のディスプレイ駆動装置。
【請求項5】
前記分割数は、1以上5以下である
請求項1~4のいずれか1項に記載のディスプレイ駆動装置。
【請求項6】
前記複数の発光素子のそれぞれは、LED(Light Emitting Diode)素子である
請求項1~5のいずれか1項に記載のディスプレイ駆動装置。
【請求項7】
前記ドライバは、前記LED素子のカソードにカソード配線を介して直接接続されるカソードドライバと、前記LED素子のアノードにアノード配線を介して直接接続されるアノードドライバとを備える
請求項6に記載のディスプレイ駆動装置。
【請求項8】
前記LED素子の幅または長さは、10μm以上100μm以下である
請求項6または7に記載のディスプレイ駆動装置。
【請求項9】
ディスプレイの駆動方法であって、
入力された映像情報に基づいて、前記ディスプレイの複数の走査ラインのうちの単一の走査ライン上に配置された複数の発光素子1以上の発光素子群にグループ分けする工程と、
前記発光素子を点灯状態で駆動する期間である駆動期間に基づいて、前記1以上の発光素子群を駆動する工程と、
を含み、
前記発光素子群にグループ分けする工程において、前記映像情報に含まれる輝度情報に基づいて、前記1以上の発光素子群にグループ分けする際の1以上の分割数を決定し、
前記発光素子群を駆動する工程において、前記分割数が1である場合に、前記単一の走査ラインにおける1つの前記発光素子群を一括で駆動し、前記分割数が2以上である場合に、前記単一の走査ラインにおける2以上の前記発光素子群を前記駆動期間が重ならないように順に駆動する
ディスプレイの駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ディスプレイを駆動するディスプレイ駆動装置、および、ディスプレイの駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、2次元的に配設された発光素子(電子放出素子)を順に駆動することでディスプレイを駆動するディスプレイ駆動装置(画像形成装置)が開示されている。このディスプレイ駆動装置では、走査ライン上に配置された複数の発光素子を少なくとも2つの発光素子群(ブロック)に分割し、各発光素子群を駆動期間が互いに重ならないように駆動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-325553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、発光素子に印加される電圧が低下することを抑制し、また、ディスプレイの輝度が低下することを抑制するディスプレイ駆動装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示におけるディスプレイ駆動装置は、ディスプレイを駆動するディスプレイ駆動装置であって、入力された映像情報に基づいて、前記ディスプレイの複数の走査ラインのうちの単一の走査ライン上に配置された複数の発光素子1以上の発光素子群にグループ分けするグループ分け部と、前記発光素子を点灯状態で駆動する期間である駆動期間に基づいて、前記1以上の発光素子群を駆動するドライバとを備え、前記グループ分け部は、前記映像情報に含まれる輝度情報に基づいて、前記1以上の発光素子群にグループ分けする際の1以上の分割数を決定し、前記ドライバは、前記分割数が1である場合に、前記単一の走査ラインにおける1つの前記発光素子群を一括で駆動し、前記分割数が2以上である場合に、前記単一の走査ラインにおける2以上の前記発光素子群を前記駆動期間が重ならないように順に駆動する。
【0006】
本開示におけるディスプレイの駆動方法は、入力された映像情報に基づいて、前記ディスプレイの複数の走査ラインのうちの単一の走査ライン上に配置された複数の発光素子1以上の発光素子群にグループ分けする工程と、前記発光素子を点灯状態で駆動する期間である駆動期間に基づいて、前記1以上の発光素子群を駆動する工程と、を含み、前記発光素子群にグループ分けする工程において、前記映像情報に含まれる輝度情報に基づいて、前記1以上の発光素子群にグループ分けする際の1以上の分割数を決定し、前記発光素子群を駆動する工程において、前記分割数が1である場合に、前記単一の走査ラインにおける1つの前記発光素子群を一括で駆動し、前記分割数が2以上である場合に、前記単一の走査ラインにおける2以上の前記発光素子群を前記駆動期間が重ならないように順に駆動する。
【発明の効果】
【0007】
本開示のディスプレイ駆動装置等は、発光素子に印加される電圧が低下することを抑制し、また、ディスプレイの輝度が低下することを抑制するのに有効である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態におけるディスプレイ駆動装置の回路図
図2図2は、実施の形態におけるディスプレイ駆動装置にて走査ラインを一括駆動する例を示す図
図3図3は、実施の形態におけるディスプレイ駆動装置にて走査ラインを一括駆動する場合の電圧降下を示す図
図4図4は、実施の形態におけるディスプレイ駆動装置にて走査ラインを分割駆動する例を示す図
図5図5は、実施の形態におけるディスプレイ駆動装置にて走査ラインを一括駆動および分割駆動した場合の電圧降下を示す図
図6図6は、実施の形態におけるディスプレイ駆動装置の動作を概念的に示す図
図7図7は、実施の形態におけるディスプレイ駆動装置を示すブロック構成図
図8図8は、実施の形態におけるディスプレイ駆動装置の記憶部に保存されている平均輝度と分割数との関係を示す図
図9図9は、実施の形態におけるディスプレイ駆動装置の水平アクティブ信号出力部およびPWM信号出力部の動作を示す図
図10図10は、実施の形態におけるディスプレイの駆動方法を示すフローチャート
図11図11は、実施の形態におけるディスプレイ駆動装置の動作の一例を示す図
図12図12は、その他の実施の形態におけるディスプレイ駆動装置のグループ分け部を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0010】
なお、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0011】
(実施の形態)
[1.ディスプレイ駆動装置の基本構成]
まず、図1図6を用いて、ディスプレイ駆動装置1の基本構成について説明する。
【0012】
図1は、実施の形態におけるディスプレイ駆動装置1の回路図である。なお、図1の符号中の文字mおよびnのそれぞれは、2以上の整数を示す。
【0013】
図1に示すように、ディスプレイ駆動装置1は、アノードドライバADと、カソードドライバCDとを備えている。アノードドライバADは、複数のアノードドライバAD1、AD2、AD3、・・・、ADmによって構成されている。カソードドライバCDは、複数のカソードドライバCD1、CD2、CD3、・・・、CDnによって構成されている。アノードドライバAD1~ADmおよびカソードドライバCD1~CDnのそれぞれは、ディスプレイ9に接続されている。
【0014】
ディスプレイ9は、m行n列に配置された複数の発光素子11~1n、21~2n、31~3n、・・・、m1~mnを備えている。また、ディスプレイ9は、水平方向に延びる複数のアノード配線AL1、AL2、AL3、・・、ALmと、垂直方向に延びる複数のカソード配線CL1、CL2、CL3、・・、CLnとを備えている。
【0015】
ディスプレイ9の1行目の走査ラインSL1は、水平方向に配置された発光素子11~1nによって構成され、走査ラインSL2は、発光素子21~2nによって構成され、走査ラインSL3は、発光素子31~3nによって構成され、走査ラインSLmは、発光素子m1~mnによって構成されている。
【0016】
以下、複数の発光素子11~1n、21~2n、31~3n、・・・、m1~mnの全部または一部を指して発光素子10と呼ぶ場合がある。
【0017】
各発光素子10は、例えば、LED(Light Emitting Diode)素子である。各発光素子10は、幅または長さが10μm以上100μm以下のマイクロLED素子であってもよい。このようなマイクロLED素子では、100μmよりも大きいLED素子に比べて、マイクロLED素子に接続されるアノード配線AL1~ALmおよびカソード配線CL1~CLnの配線幅が狭い。また、各発光素子10は、赤、緑または青の光を発光する素子であってもよい。
【0018】
ディスプレイ駆動装置1は、パッシブマトリクス方式の駆動装置であり、ディスプレイ9上において発光素子10に接続されるトランジスタ等が設けられていない。例えば、水平方向に並ぶ発光素子m1~mnの各アノードは、アノード配線ALmを介してアノードドライバADmに接続されている。また、垂直方向に並ぶ発光素子1n~mnの各カソードは、カソード配線CLnを介してカソードドライバCDnに接続されている。
【0019】
各発光素子10は、アノードドライバADおよびカソードドライバCDの駆動によって電圧が印加されて発光する。例えば、発光素子mnは、アノードドライバADmによって発光素子mnのアノードがハイ(Hi)にされ、カソードドライバCDnによって発光素子mnのカソードがロー(Low)にされ、発光素子mnに閾値以上の電圧が印加された場合に発光する。
【0020】
本実施の形態のディスプレイ駆動装置1は、例えば、ディスプレイ9の走査ラインSL2上に配置された発光素子21~2nを一括駆動する形態、および、発光素子21~2nを複数の発光素子群に分割して分割駆動する形態の両方の形態をとり得る。以下、ディスプレイ9における走査ラインSL2の一括駆動および分割駆動について説明する。
【0021】
まず、図2および図3を用いて、ディスプレイ9の一括駆動について説明する。
【0022】
図2は、ディスプレイ駆動装置1にて走査ラインを一括駆動する例を示す図である。なお、図2では、走査ラインSL1~SLmのうち走査ラインSL2、SL3を例に挙げて説明する。
【0023】
図2に示すように、各走査ラインSL2、SL3は、水平方向に並ぶ5つの区域Z1、Z2、Z3、Z4、Z5に分けられている。図2に示す例では、区域Z1~Z5に設けられた発光素子21~2n、31~3nが、行ごとに一括駆動させられる。つまり、発光素子21~2n、31~3nが、図2に示す発光素子群G1ごとに一括駆動させられる。
【0024】
まず、アノードドライバAD2およびカソードドライバCDによって、走査ラインSL2に配置された発光素子21~2nが一括駆動させられる。次に、アノードドライバAD3およびカソードドライバCDによって、走査ラインSL3に配置された発光素子31~3nが一括駆動されられる。他の走査ラインも同様に一括駆動が行われることで、ディスプレイ9に1フレームの画像が表示される。
【0025】
しかしながら、上記のように走査ラインSL2を一括駆動した場合、発光素子に印加される電圧が低下することがある。
【0026】
図3は、ディスプレイ駆動装置1にて走査ラインSL2を一括駆動する場合の電圧降下を示す図である。
【0027】
図3に示すように、アノードドライバAD2に最も近い発光素子21に印加される電圧は、アノードドライバAD2から出力された電圧とほぼ同じ値を示す。しかしながら発光素子21~2nを一括して発光させる場合は、アノードドライバAD2から離れるにしたがって積算される配線抵抗が増え、アノード配線AL2にて電圧降下が発生する。そのため、例えばアノードドライバAD2から最も離れた発光素子2nに印加される電圧が低下し、発光素子2nが発光しなくなるという問題がある。
【0028】
そこで、発光素子21~2nに印加される電圧が必要以上に低下すること抑制するために、走査ラインSL2に配置された発光素子21~2nを複数の発光素子群にグループ分けして時分割で駆動すること、すなわち分割駆動することが考えられる。
【0029】
図4は、ディスプレイ駆動装置1にて走査ラインを分割駆動する例を示す図である。なお、図4でも、走査ラインSL1~SLmのうち走査ラインSL2、SL3を例に挙げて説明する。
【0030】
図4では、走査ラインSL2に配置された発光素子21~2nが、5つの区域Z1~Z5に対応するように、5つの発光素子群G1、G2、G3、G4、G5にグループ分けされている。また、走査ラインSL3に配置された発光素子31~3nも、区域Z1~Z5に対応するように、5つの発光素子群G1~G5にグループ分けされている。図4に示す例では、これらの発光素子群G1~G5が、駆動期間が互いに重ならないように分割駆動させられる。
【0031】
まず、アノードドライバAD2およびカソードドライバCD1~CDnによって、発光素子群G1~G5が順に分割駆動される。次に、アノードドライバAD3およびカソードドライバCD1~CDnによって、発光素子群G1~G5が順に分割駆動される。他の走査ラインも同様に分割駆動が行われることで、ディスプレイ9に1フレームの画像が表示される。
【0032】
図5は、ディスプレイ駆動装置1にて走査ラインを一括駆動および分割駆動した場合の電圧降下を示す図(シミュレーションにより示された図)である。
【0033】
図5には、水平方向に配置された240個の発光素子を一括駆動させた場合に検出されるアノード電圧が示されている。なお、横軸に示すアノードドライバADからの距離は、アノードドライバADを基準とした発光素子の配列順で表されている。
【0034】
また、図5には、上記240個の発光素子を5つの発光素子群G1~G5に分割して順に駆動させた場合に検出される各発光素子群G1~G5のアノード電圧が示されている。なお、発光素子群G1~G5は、実際には互いに異なる期間に駆動されるが、この図では、発光素子群G1~G5の駆動によって検出されたアノード電圧が同じ座標内に示されている。
【0035】
図5に示すように、一括駆動の場合は、アノード電圧が5Vから4.72Vまで低下している。それに対し分割駆動した場合は、例えば、発光素子群G5の最小のアノード電圧は4.85Vであり、一括駆動した場合に比べてアノード電圧の低下が抑制されている。このように、走査ライン上に配置された複数の発光素子を発光素子群G1~G5に分けて分割駆動すると、アノード電圧が低下することを抑制することができる。
【0036】
しかしながら、上記に示すような分割駆動を行うと、例えば、走査ラインSL2において発光素子21~2nが発光する合計の発光時間が、一括駆動した場合の発光時間に比べて短くなる。そのため、ディスプレイ9の輝度が低下するという問題がある。
【0037】
そこで本実施の形態では、例えば走査ラインSL2上に配置された発光素子21~2nを一括駆動するか、または、発光素子21~2nを複数の発光素子群G1~G5に分割して分割駆動するかを、状況に応じて選択する。具体的には、ディスプレイ駆動装置1に入力された映像情報に基づいて、一括駆動および分割駆動のそれぞれの問題が生じにくいように上記選択を行う。以下、図6を用いて、本実施の形態の概念を説明する。
【0038】
図6は、ディスプレイ駆動装置1の動作を概念的に示す図である。
【0039】
図6には、ディスプレイ駆動装置1に入力された映像情報に基づいて、ディスプレイ9を分割駆動するか一括駆動するかを変える例が示されている。具体的には、映像情報に含まれるディスプレイ9の平均輝度(APL:Average Picture Level)が高い場合は、ディスプレイ9の輝度が多少低下しても問題ないので、分割駆動して発光素子に印加される電圧が低下することを抑制する。一方、ディスプレイ9の平均輝度が低い場合は、発光素子の発光量または発光数が少なく、電圧降下してもその影響を受けにくいので、一括駆動して輝度が低下することを抑制する。
【0040】
このように、ディスプレイ駆動装置1に入力された映像情報に基づいて、分割駆動するか一括駆動するかを決めることで、発光素子11~mnに印加される電圧が低下することを抑制し、また、ディスプレイ9の輝度が低下することを抑制することができる。なお、本開示は、単に分割駆動するかまたは一括駆動するかを選択するだけでなく、例えば、分割駆動における分割数を5にするかまたは2にするかを選択する際にも用いることができる。なお、分割数は5である必要はなく、水平方向の最大分割数は、水平方向の画素数と同じ数であってもよい。
【0041】
[2.ディスプレイ駆動装置の詳細構成]
次に、図7を用いて、ディスプレイ駆動装置1の詳細構成について説明する。
【0042】
図7は、ディスプレイ駆動装置1を示すブロック構成図である。
【0043】
ディスプレイ駆動装置1は、グループ分け部2と、水平アクティブ信号出力部HS1と、PWM(Pulse Width Modulation)信号出力部7と、カソードドライバCDとを備えている。また、ディスプレイ駆動装置1は、ラインスキャン信号出力部LS1と、アノードドライバADとを備えている。
【0044】
これらのグループ分け部2、水平アクティブ信号出力部HS1、PWM信号出力部7、および、ラインスキャン信号出力部LS1は、例えば、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)、各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)および映像情報等のデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)などで構成される。なお、グループ分け部2は、ソフトウェアだけでなく、CPUを用いないハードウェアで実現することも可能である。
【0045】
グループ分け部2は、グループ分け部2に入力された映像情報に基づいて、ディスプレイ9の走査ライン上に配置された複数の発光素子10を1以上の発光素子群にグループ分けする。例えば、グループ分け部2は、走査ラインSL2上の複数の発光素子21~2nを発光素子群G1~G5にグループ分けする。
【0046】
グループ分け部2は、映像情報に含まれる輝度情報に基づいて、グループ分けを行う際のグループ数である分割数を決定する。分割数は、例えば1以上5以下の中から選択される。なお、分割数が1の場合の駆動は、前述した一括駆動になる。グループ分け部2は、輝度情報に限られず、発光素子10の点灯率などの情報に基づいて分割数を決定してもよい。
【0047】
図7に示すように、グループ分け部2は、輝度算出部3と記憶部4と分割数導出部5とを備えている。
【0048】
輝度算出部3は、入力された映像情報に基づいて、ディスプレイ9の平均輝度(APL)を算出する。平均輝度とは、ディスプレイ9に表示すべき画像の輝度を平均した値であり、映像データ等から算出される。具体的には、輝度算出部3は、ディスプレイ9に出力する1フレームごとの映像情報に基づいて平均輝度を算出する。例えば、ディスプレイ9上の全ての発光素子10を規格強度100%で発光させる場合の平均輝度は100%であり、全ての発光素子10を発光させない場合の平均輝度は0%である。
【0049】
記憶部4は、予め決められた平均輝度および分割数の関係を記憶している。
【0050】
図8は、ディスプレイ駆動装置1の記憶部4に保存されている平均輝度と分割数との関係を示す図である。図8には、ディスプレイ9の平均輝度に対応する適切な分割数がグラフで示されている。これらの関係は、例えば実験等によって求められる。上記関係は、グラフに限られず、表によってまたは計算式によって示されてもよい。
【0051】
分割数導出部5は、輝度算出部3にて導出した平均輝度、および、記憶部4に記憶された上記関係に基づいて分割数を導出する。具体的には、分割数導出部5は、ディスプレイに出力する1フレームごとに分割数を導出する。例えば図8に示すように、ディスプレイ9の平均輝度が20%であれば分割数は1になり、平均輝度が100%であれば分割は5になる。このようにグループ分け部2は、分割数導出部5にて導出された分割数に基づいて走査ラインに配置された発光素子10のグループ分けを行う。
【0052】
図9は、ディスプレイ駆動装置1の水平アクティブ信号出力部HS1およびPWM信号出力部7の動作を示す図である。
【0053】
水平アクティブ信号出力部HS1は、グループ分け部2から出力された分割数に基づいて、また、水平アクティブ信号出力部HS1に入力された水平同期信号を基準として、水平アクティブ信号を生成し、出力する。例えば、水平アクティブ信号出力部HS1は、グループ分け部2から出力された分割数「5」に基づいて、各発光素子群G1~G5を駆動可能とする期間を示す信号を出力する。
【0054】
PWM信号出力部7は、水平アクティブ信号を受け取るとともに、PWM信号出力部7に入力された映像情報に基づいて、各発光素子群G1~G5の駆動時間ATを算出し、算出した駆動時間ATに基づいてPWM信号を出力する。例えばPWM信号出力部7は、発光素子群G1の駆動時間ATが長い場合はパルス幅の広い信号を出力し、駆動時間ATが短い場合はパルス幅の狭い信号を出力する。
【0055】
カソードドライバCDは、PWM信号出力部7から出力されたPWM信号に基づいて、1以上の発光素子群G1~G5を駆動する。これにより、発光素子群G1~G5は、駆動期間が互いに重ならないように駆動される。なお、グループ分けされた発光素子群が1つである場合は、必然的に駆動期間は重ならないように駆動される。
【0056】
ラインスキャン信号出力部LS1は、ラインスキャン信号出力部LS1に入力された垂直同期信号に基づいて、ラインスキャン信号を出力する。アノードドライバADは、入力されたラインスキャン信号に基づいて、走査ラインSL1~SLmを走査する。これにより、ディスプレイ9に1フレームの画像が表示される。
【0057】
[3.ディスプレイの駆動方法]
次に、図10および図11を用いて、ディスプレイ9の駆動方法について説明する。
【0058】
図10は、ディスプレイ9の駆動方法を示すフローチャートである。図11は、ディスプレイ駆動装置1の動作の一例を示す図である。なお、図11では、走査ラインSL1~SLmのうち走査ラインSL2を例に挙げて説明する。また、ディスプレイ駆動装置1では、例えば1秒間に60フレームの画像を表示することで1秒間の動画を作成するが、ここでは60フレームのうちの第1フレームおよび第2フレームを例に挙げて説明する。
【0059】
まず。第1フレームに画像を表示する例について説明する。
【0060】
ディスプレイ駆動装置1には、図11に示すように同期信号が入力される。ディスプレイ駆動装置1は、この同期信号をトリガとして、ディスプレイ9の平均輝度を算出する(ステップS10)。具体的には、前述したように、ディスプレイ9に出力する1フレームごとの映像情報に基づいて平均輝度を算出する。この平均輝度の算出は、第1フレームに画像を表示する前に実行される。図11には、算出の結果、第1フレームの平均輝度が100%であることが示されている。
【0061】
次に、走査ラインSL2上の複数の発光素子21~2nをグループ分けする(ステップS20)。具体的には、ステップS10にて求めた平均輝度に基づいて、グループ分けを行う際の分割数を決定する。より具体的には、上記平均輝度と記憶部4に記憶された関係とに基づいて分割数を求める。この例では第1フレームの平均輝度が100%であるので、分割数は「5」となる(図8参照)。そして、求めた分割数に基づいて、走査ラインSL2のグループ分けを行う。例えば図11に示すように、走査ラインSL2に配置された複数の発光素子が5つの発光素子群G1~G5にグループ分けされる。
【0062】
次に、グループ分けした発光素子群G1~G5を駆動期間が互いに重ならないように順に駆動する(ステップS30)。これにより、走査ラインSL2上における発光素子群G1~G5が時分割で駆動される。他の走査ラインも同様に分割駆動を行うことで、ディスプレイ9に第1フレームの画像を表示する。
【0063】
次に、第2フレームに画像を表示する例について説明する。
【0064】
まず、ディスプレイ9の平均輝度を算出する(ステップS10)。図11には、第2フレームの平均輝度が30%であることが示されている。
【0065】
次に、走査ラインSL2上の複数の発光素子21~2nをグループ分けする(ステップS20)。この例では第2フレームの平均輝度が30%であるので、分割数は「2」となる(図8参照)。そして、求めた分割数に基づいて、走査ラインSL2のグループ分けを行う。具体的には、例えば図11に示すように、走査ラインSL2に配置された複数の発光素子が2つの発光素子群G1、G2にグループ分けされる。
【0066】
次に、グループ分けした発光素子群G1、G2を駆動期間が互いに重ならないように駆動する(ステップS30)。これにより、走査ラインSL2上における発光素子群G1、G2が時分割で駆動される。他の走査ラインも同様に分割駆動を行うことで、ディスプレイ9に第2フレームの画像を表示する。
【0067】
このように本実施の形態では、入力された映像情報に基づいて、走査ラインSL2上に配置された発光素子21~2nをグループ分けし、グループごとに駆動する。これにより、発光素子21~2nに印加される電圧が低下することを抑制し、また、ディスプレイ9の輝度が低下することを抑制することができる。
【0068】
なお、上記例では、区域Z1~Z3を発光素子群G1に割り振り、区域Z4、Z5を発光素子群G2に割り振る例を示したが、区域Z1~Z5を割り振る例はこれに限られない。例えば、上記例において、区域Z1、Z2を発光素子群G1に割り振り、区域Z3~Z5を発光素子群G2に割り振ってもよい。また、分割数が3である場合は、区域Z1、Z2を発光素子群G1に、区域Z3、Z4を発光素子群G2に、区域Z5を発光素子群G3に割り振ってもよい。分割数が4である場合は、区域Z1、Z2を発光素子群G1に、区域Z3を発光素子群G2に、区域Z4を発光素子群G3に、区域Z5を発光素子群G4に割り振ってもよい。
【0069】
[4.効果等]
以上のように本実施の形態において、ディスプレイ駆動装置1は、入力された映像情報に基づいて、ディスプレイ9の走査ライン(例えば走査ラインSL2)上に配置された複数の発光素子(例えば発光素子21~2n)を1以上の発光素子群(例えば発光素子群G1~G5)にグループ分けするグループ分け部2と、上記1以上の発光素子群を、駆動期間が重ならないように駆動するドライバ(例えばカソードドライバCD)とを備える。
【0070】
このように、入力された映像情報に基づいて、走査ラインSL2上に配置された発光素子21~2nをグループ分けし、グループごとに駆動することで、発光素子21~2nに印加される電圧が低下することを抑制し、また、ディスプレイ9の輝度が低下することを抑制することができる。
【0071】
また、グループ分け部2は、映像情報に含まれる輝度情報に基づいて、グループ分けを行う際の分割数を決定してもよい。
【0072】
このように、輝度情報に基づいて分割数を決定することで、グループ分けを適切に行うことができる。これにより、発光素子に印加される電圧が低下することを抑制し、また、ディスプレイ9の輝度が低下することを抑制することができる。
【0073】
また、グループ分け部2は、入力された映像情報に基づいて、ディスプレイ9の平均輝度を算出する輝度算出部3と、予め決められた平均輝度およびグループ分けを行う際の分割数の関係を記憶する記憶部4と、輝度算出部3にて算出した平均輝度および記憶部4に記憶された上記関係に基づいて、分割数を導出する分割数導出部5とを備えていてもよい。
【0074】
このように、輝度算出部3に算出した平均輝度および記憶部4に記憶された上記関係に基づいて分割数を導出することで、分割数を適切に決定することができる。これにより、発光素子に印加される電圧が低下することを抑制し、また、ディスプレイ9の輝度が低下することを抑制することができる。
【0075】
また、輝度算出部3は、ディスプレイ9に出力する1フレームごとの映像情報に基づいて、平均輝度を算出し、分割数導出部5は、1フレームごとに分割数を導出してもよい。
【0076】
この構成によれば、1フレームごとに分割数を決定することができる。これにより、1フレームごとに、発光素子に印加される電圧が低下することを抑制し、また、ディスプレイ9の輝度が低下することを抑制することができる。
【0077】
また、さらに、映像情報に基づいて1以上の発光素子群の駆動時間ATを算出し、駆動時間ATに基づいてPWM信号を出力するPWM信号出力部7を備え、ドライバは、PWM信号出力部7から出力されたPWM信号に基づいて、1以上の発光素子群を駆動してもよい。
【0078】
このように、映像情報に基づいて発光素子群の駆動時間ATを変えることで、発光素子10の発光量を調整することができる。
【0079】
また、分割数は、1以上5以下であってもよい。
【0080】
これによれば、複数の発光素子10をグループ分けする際の数を、1以上5以下の中から簡易に決めることができる。
【0081】
また、複数の発光素子10のそれぞれは、LED素子であってもよい。
【0082】
これによれば、1以上の発光素子群を、駆動期間が重ならないように簡易に駆動することができる。
【0083】
また、ドライバは、LED素子のカソードにカソード配線CL1~CLnを介して直接接続されるカソードドライバCDと、LED素子のアノードにアノード配線AL1~ALmを介して直接接続されるアノードドライバADとを備えていてもよい。
【0084】
これによれば、簡易な回路構成により、1以上の発光素子群を駆動することができる。
【0085】
また、LED素子の幅または長さは、10μm以上100μm以下であってもよい。
【0086】
例えば、発光素子10として小型のLED素子が用いられ、LED素子に接続される配線の幅が狭い場合であっても、本開示のディスプレイ駆動装置1によれば、LED素子に印加される電圧が低下することを抑制することができる。
【0087】
また本実施の形態において、ディスプレイ9の駆動方法は、入力された情報に基づいて、ディスプレイ9の走査ライン(例えば走査ラインSL2)上に配置された複数の発光素子(例えば発光素子21~2n)を1以上の発光素子群(例えば発光素子群G1~G5)にグループ分けし、1以上の発光素子群を、駆動期間が重ならないように駆動する。
【0088】
このように、入力された映像情報に基づいて、走査ラインSL2上に配置された発光素子21~2nをグループ分けし、グループごとに駆動することで、発光素子21~2nに印加される電圧が低下することを抑制し、また、ディスプレイ9の輝度が低下することを抑制することができる。
【0089】
(その他の実施の形態)
上記実施の形態では、グループ分け部2をソフトウェアで実現する例を示したが、それに限られず、グループ分け部2は、CPUを用いないハードウェアで実現することも可能である。図12は、その他の実施の形態におけるディスプレイ駆動装置1のグループ分け部2を示す図である。例えば図12に示すように、分割数導出部5が、インデックス決定回路5aとルックアップテーブル5bとによって構成されていてもよい。この場合、分割数導出部5は、インデックス決定回路5aを用いて平均輝度(APL)に基づいてインデックスを求め、ルックアップテーブル5bを用いて上記で求めたインデックスに基づいて分割数を導出することができる。
【0090】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
【0091】
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0092】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本開示のディスプレイ駆動装置は、LED素子が実装されたディスプレイを駆動する駆動装置等に有用である。
【符号の説明】
【0094】
1 ディスプレイ駆動装置
2 グループ分け部
3 輝度算出部
4 記憶部
5 分割数導出部
7 PWM信号出力部
9 ディスプレイ
10、11、12、13、1n、21、22、23、2n、31、32、33、3n、m1、m2、m3、mn 発光素子
AD、AD1、AD2、AD3、ADm アノードドライバ
AL1、AL2、AL3、ALm アノード配線
AT 駆動時間
CD、CD1、CD2、CD3、CDm カソードドライバ
CL1、CL2、CL3、CLn カソード配線
G1、G2、G3、G4、G5 発光素子群
HS1 水平アクティブ信号出力部
LS1 ラインスキャン信号出力部
SL1、SL2、SL3、SLm 走査ライン
Z1、Z2、Z3、Z4、Z5 区域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12