(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】照明制御プランを提示する方法、および、照明制御装置
(51)【国際特許分類】
H05B 47/10 20200101AFI20230929BHJP
H05B 47/165 20200101ALI20230929BHJP
【FI】
H05B47/10
H05B47/165
(21)【出願番号】P 2019195933
(22)【出願日】2019-10-29
【審査請求日】2022-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【氏名又は名称】森 太士
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【氏名又は名称】細川 覚
(72)【発明者】
【氏名】酒井 大貴
(72)【発明者】
【氏名】清水 正則
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-127852(JP,A)
【文献】特開2017-091785(JP,A)
【文献】特表2015-522920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
45/00-45/58
47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明装置が設置された照明設置空間を利用する利用者に、前記照明装置を制御する照明制御装置によって照明制御プランを提示する方法であって、
前記照明設置空間とは異なる照明設置空間に対する照明の個人の好みの明るさレベルおよび色温度レベルを
示す照明時系列イメージ情報を複数の個人から取得するステップであって、前記個人が前記異なる照明設置空間において、照明を体感する前の主観に基づくイメージであり、前記異なる照明設置空間における周期的な時間変化のあらかじめ定められた時間帯毎のイメージでもある、
前記照明時系列イメージ情報を取得する前記ステップと、
取得された複数の前記照明時系列イメージ情報を記憶部に記憶するステップと、
複数の前記照明時系列イメージ情報の前記時間帯毎の好みの明るさレベルおよび色温度レベル
が平均された照明時系列パターン情報を演算するステップと、
前記照明時系列パターン情報を照明制御プランとして提案するステップと、を有する照明制御プランを提示する方法。
【請求項2】
前記照明時系列パターン情報は、複数の前記照明時系列イメージ情報の前記時間帯毎の好みの明るさレベルおよび色温度レベルが複数の個人
が利用する前記照明設置空間で最大化されるように演算された情報である請求項1に記載の照明制御プランを提示する方法。
【請求項3】
前記記憶部には、前記照明時系列パターン情報から選択された導入時系列パターン情報を前記照明設置空間とは異なる照明設置空間に導入することによって照明制御された明るさレベルおよび色温度レベルを体感した個人の官能評価情報が記憶され、
前記照明時系列パターン情報を演算するステップにおいて、前記照明時系列パターン情報は、前記官能評価情報、および、前記導入時系列パターン情報を体感していない個人の照明時系列イメージ情報に基づいて演算される請求項1または2に記載の照明制御プランを提示する方法。
【請求項4】
前記取得するステップにおける前記色温度レベルは、暖色系と寒色系を段階的または連続的に示した自然光および人工光源に基づいたイメージ図に基づいて選択される請求項1から3のいずれか一項に記載の照明制御プランを提示する方法。
【請求項5】
前記異なる照明設置空間の照明設置空間情報および/または前記異なる照明設置空間の利用者の照明利用者情報を取得するステップをさらに含み、
前記照明時系列パターン情報は、複数の前記照明時系列イメージ情報の前記時間帯毎の好みの明るさレベルおよび色温度レベルが、前記照明設置空間情報および/または前記照明利用者情報に関連付けされてパターン分類される請求項1から4のいずれか一項に記載の照明制御プランを提示する方法。
【請求項6】
提案された前記照明制御プランとしての前記照明時系列パターン情報は複数あり、前記照明設置空間を利用する利用者の属性情報に基づいて、複数の前記照明時系列パターン情報から前記照明設置空間に実際に導入される導入時系列パターン情報が選択されるステップを含む請求項1から5のいずれか一項に記載の照明制御プランを提示する方法。
【請求項7】
前記照明設置空間に対する照明の個人の好みの明るさレベルおよび色温度レベル
を示す使用照明時系列イメージ情報を複数の個人から取得するステップであって、前記個人が前記照明設置空間において、照明を体感する前の主観に基づくイメージであり、前記照明設置空間における周期的な時間変化のあらかじめ定められた時間帯毎のイメージでもある、
前記使用照明時系列イメージ情報を取得する前記ステップと、
前記照明時系列イメージ情報および前記使用照明時系列イメージ情報に基づいて、使用照明時系列パターン情報が演算されるステップと、をさらに含み、
前記提案するステップは、前記照明時系列パターン情報の替わりに前記使用照明時系列パターン情報を照明制御プランとして提案する請求項1から6のいずれか一項に記載の照明制御プランを提示する方法。
【請求項8】
前記照明設置空間の設置空間情報を示す使用照明設置空間情報および/または前記照明設置空間の利用者の利用者情報を示す使用照明利用者情報を取得するステップと、
前記照明時系列イメージ情報から、前記使用照明設置空間情報および/または前記使用照明利用者情報に関連する前記照明時系列イメージ情報が抽出されるステップと、をさらに含む請求項7に記載の照明制御プランを提示する方法。
【請求項9】
提案された前記照明制御プランとしての前記使用照明時系列パターン情報は複数あり、前記照明設置空間を利用する利用者の属性情報に基づいて、複数の前記使用照明時系列パターン情報から実際に導入される使用照明時系列パターン情報である使用時系列パターン情報が選択されるステップを含む請求項7または8に記載の照明制御プランを提示する方法。
【請求項10】
前記照明設置空間において導入された前記使用時系列パターン情報によって照明制御された明るさレベルおよび色温度レベルを体感した個人の官能評価情報が取得されるステップと、
前記使用照明時系列パターン情報を前記官能評価情報に基づいて調整した官能時系列パターン情報が演算されるステップと、
前記官能時系列パターン情報を照明制御プランとして提案するステップと、
提案される前記官能時系列パターン情報は複数あり、前記照明設置空間を利用する利用者の属性情報に基づいて、複数の前記官能時系列パターン情報から実際に導入される使用官能時系列パターン情報が選択されるステップを含む請求項9に記載の照明制御プランを提示する方法。
【請求項11】
前記照明設置空間において導入された前記使用官能時系列パターン情報によって照明制御された明るさレベルおよび色温度レベルを体感した個人の新たな官能評価情報が取得されるステップと、
前記使用官能時系列パターン情報を前記新たな官能評価情報に基づいて調整した新たな官能時系列パターン情報が演算されるステップと、
前記新たな官能時系列パターン情報を照明制御プランとして提案するステップと、をさらに含む請求項10に記載の照明制御プランを提示する方法。
【請求項12】
前記官能評価情報には、明るさレベルおよび色温度レベルの変化に対する評価を文章で記述する情報があり、前記文章で記述する情報から前記官能時系列パターン情報に関連する情報が前記官能評価情報として抽出されるステップをさらに含む請求項10または11に記載の照明制御プランを提示する方法。
【請求項13】
照明時系列イメージ情報、使用照明時系列イメージ情報、および、官能評価情報には季節、天候、休日、平日の少なくとも一つを含む環境情報が含まれ、
照明時系列パターン情報、使用照明時系列パターン情報、および、官能時系列パターン情報は、前記環境情報によってクラスタリングされる請求項1から12のいずれか一項に記載の照明制御プランを提示する方法。
【請求項14】
前記利用者の属性情報は、使用照明利用者情報、または、あらたに入力される使用照明利用者の心理状況が含まれる請求項6、9および10のいずれか一項に記載の照明制御プランを提示する方法。
【請求項15】
前記周期的な時間変化は、前記照明設置空間または前記異なる照明設置空間における一日の時間変化である請求項1から14のいずれか一項に記載の照明制御プランを提示する方法。
【請求項16】
前記官能評価情報には、明るさレベルおよび色温度レベルの変化に対する設問に対する
肯定的な評価、および、明るさレベルおよび色温度レベルの変化に対する設問に対する
否定的な評価が含まれ、前記官能時系列パターン情報は前記照明設置空間を利用する利用者の評価が肯定的に最大化するように演算される請求項10から12のいずれか一項に記載の照明制御プランを提示する方法。
【請求項17】
照明装置が設置された照明設置空間を利用する利用者に、前記照明装置を制御する照明制御プランを提示する照明制御装置であって、
前記照明設置空間とは異なる照明設置空間に対する照明の個人の好みの明るさレベルおよび色温度レベルを複数の個人から取得
した照明時系列イメージ情報であって、前記個人が前記異なる照明設置空間において、照明を体感する前の主観に基づくイメージであり、前記異なる照明設置空間における周期的な時間変化のあらかじめ定められた時間帯毎のイメージでもある、前記照明時系列イメージ情報が記憶された記憶部から複数の前記照明時系列イメージ情報を取得し、前記複数の前記照明時系列イメージ情報の前記時間帯毎の好みの明るさレベルおよび色温度レベル
が平均された照明時系列パターン情報を演算するパターン演算部と、
前記照明時系列パターン情報を照明制御プランとして提案するパターン提案部と、を有する照明制御装置。
【請求項18】
前記記憶部には、前記照明時系列パターン情報から選択された導入時系列パターン情報を前記照明設置空間とは異なる照明設置空間に導入することによって照明制御された明るさレベルおよび色温度レベルを体感した個人の官能評価情報が記憶され、
前記パターン演算部は、前記官能評価情報、および、前記導入時系列パターン情報を体感していない個人の照明時系列イメージ情報に基づいて前記照明時系列パターン情報を演算する請求項17に記載の照明制御装置。
【請求項19】
前記記憶部には、前記異なる照明設置空間の照明設置空間情報および/または前記異なる照明設置空間の利用者の照明利用者情報が記憶され、
前記照明時系列パターン情報は、複数の前記照明時系列イメージ情報の前記時間帯毎の好みの明るさレベルおよび色温度レベルが、前記照明設置空間情報および/または前記照明利用者情報に関連付けされてパターン分類される請求項17または18に記載の照明制御装置。
【請求項20】
前記パターン演算部は、前記照明設置空間に対する照明の個人の好みの明るさレベルおよび色温度レベルを複数の個人から取得
した使用照明時系列イメージ情報であって、前記個人が前記照明設置空間において、照明を体感する前の主観に基づくイメージであり、前記照明設置空間における周期的な時間変化のあらかじめ定められた時間帯毎のイメージでもある前記使用照明時系列イメージ情報、および、前記照明時系列イメージ情報に基づいて、使用照明時系列パターン情報を演算し、
前記パターン提案部は、前記照明時系列パターン情報の替わりに前記使用照明時系列パターン情報を照明制御プランとして提案する請求項17から19のいずれか一項に記載の照明制御装置。
【請求項21】
前記パターン演算部で演算される照明時系列イメージ情報は、前記照明設置空間の設置空間情報を示す使用照明設置空間情報および/または前記照明設置空間の利用者の利用者情報を示す使用照明利用者情報に関連する照明時系列イメージ情報である請求項20に記載の照明制御装置。
【請求項22】
前記パターン演算部は、前記照明設置空間において導入された使用照明時系列パターン情報である使用時系列パターン情報によって照明制御された明るさレベルおよび色温度レベルを体感した個人の官能評価情報に基づいて、前記使用照明時系列パターン情報を調整した官能時系列パターン情報を演算し、
前記パターン提案部は、前記官能時系列パターン情報を照明制御プランとして提案する請求項20または21に記載の照明制御装置。
【請求項23】
前記パターン演算部は、前記照明設置空間において導入された官能時系列パターン情報である使用官能時系列パターン情報によって照明制御された明るさレベルおよび色温度レベルを体感した個人の新たな官能評価情報に基づいて、前記使用官能時系列パターン情報を調整した新たな官能時系列パターン情報を演算し、
前記パターン提案部は、前記新たな官能時系列パターン情報を照明制御プランとして提案する請求項22に記載の照明制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明制御プランを提示する方法、および、照明制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、照明装置に調光制御または調色制御を導入する場合には、照明装置メーカーの推奨設定値に基づいた設定が行われてきた。当該照明装置メーカーの推奨設定値に基づいた設定には、照明設計者の経験または感覚に基づいた設定も含まれる。
【0003】
例えば、特許文献1には、照度と色温度を変更可能な照明装置であって、照度と色温度の設定値をそれぞれ入力可能で、記憶した設定値に基づいて制御する制御装置を備える照明装置が開示されている。当該記憶した設定値は、デスクワーク、会議、ミーティング、休憩等のシーンに応じて照度と色温度を変更した、あらかじめ照明装置メーカーが設定した推奨値である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の照明装置は、あらかじめ照明装置メーカーが定めた照度と色温度を提供することによって、ユーザの満足度を向上させることを目指している。したがって、ユーザが空間に居やすいかなどの空間に対するユーザの心理的な側面からユーザの空間に対する満足度を向上させることができないものであった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、心理的な側面からユーザにとって心地よい照明空間を提供し、ユーザの空間に対する満足度を向上させることが可能な調光制御および調色制御を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の第一の態様に係る照明制御プランを提示する方法は、照明装置が設置された照明設置空間を利用する利用者に、前記照明装置を制御する照明制御装置によって照明制御プランを提示する方法であって、前記照明設置空間とは異なる照明設置空間に対する照明の個人の好みの明るさレベルおよび色温度レベルを複数の個人から取得するステップであって、前記好みの明るさレベルおよび色温度レベルは、前記個人が前記異なる照明設置空間において、照明を体感する前の主観に基づくイメージであり、前記異なる照明設置空間における周期的な時間変化のあらかじめ定められた時間帯毎のイメージでもある、照明時系列イメージ情報を取得する前記ステップと、取得された複数の前記照明時系列イメージ情報を記憶部に記憶するステップと、複数の前記照明時系列イメージ情報の前記時間帯毎の好みの明るさレベルおよび色温度レベルを代表する明るさレベルおよび色温度レベルが演算された照明時系列パターン情報を演算するステップと、前記照明時系列パターン情報を照明制御プランとして提案するステップと、を有する。
【0008】
本開示の第二の態様に係る照明制御装置は、照明装置が設置された照明設置空間を利用する利用者に、前記照明装置を制御する照明制御プランを提示する照明制御装置であって、前記照明設置空間とは異なる照明設置空間に対する照明の個人の好みの明るさレベルおよび色温度レベルを複数の個人から取得された照明時系列イメージ情報であって、前記好みの明るさレベルおよび色温度レベルは、前記個人が前記異なる照明設置空間において、照明を体感する前の主観に基づくイメージであり、前記異なる照明設置空間における周期的な時間変化のあらかじめ定められた時間帯毎のイメージでもある、前記照明時系列イメージ情報が記憶された記憶部から複数の前記照明時系列イメージ情報を取得し、前記複数の前記照明時系列イメージ情報の前記時間帯毎の好みの明るさレベルおよび色温度レベルを代表する明るさレベルおよび色温度レベルが演算された照明時系列パターン情報を演算するパターン演算部と、前記照明時系列パターン情報を照明制御プランとして提案するパターン提案部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、心理的な側面からユーザにとって心地よい照明空間を提供し、ユーザの空間に対する満足度を向上させることが可能な調光制御および調色制御を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係わる照明制御プランを提示する方法、および、照明制御装置の初期の動作に関するブロック図の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係わる照明制御プランを提示する方法、および、照明制御装置の照明制御を評価する前のブロック図の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係わる照明制御プランを提示する方法、および、照明制御装置の照明制御を評価するブロック図の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係わる照明制御プランを提示する方法、および、照明制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】(a)本実施形態に係わる照明制御パターンの分類の一例を示す模式図である。(b)本実施形態に係わる照明制御パターンの分類の他の一例を示す模式図である。(c)本実施形態に係わる照明制御パターンの分類のその他の一例を示す模式図である。
【
図6】(a)本実施形態に係わる照明制御パターンの明るさに関するアンケート方法の一例を示す模式図である。(b)本実施形態に係わる照明制御パターンの色温度に関するアンケート方法の一例を示す模式図である。
【
図7】(a)本実施形態に係わる照明制御パターンの明るさに関する演算結果の一例を示す模式図である。(b)本実施形態に係わる照明制御パターンの色温度に関する演算結果の一例を示す模式図である。
【
図8】(a)本実施形態に係わる照明制御パターンの明るさに関する男女別の演算結果の一例を示す模式図である。(b)本実施形態に係わる照明制御パターンの色温度に関する男女別の演算結果の一例を示す模式図である。
【
図9】(a)本実施形態に係わる照明制御パターンの明るさに関する年台別の演算結果の一例を示す模式図である。(b)本実施形態に係わる照明制御パターンの色温度に関する年台別の演算結果の一例を示す模式図である。
【
図10】(a)本実施形態に係わる照明制御パターンの明るさに関する天候別の演算結果の一例を示す模式図である。(b)本実施形態に係わる照明制御パターンの色温度に関する季節別の演算結果の一例を示す模式図である。
【
図11】本実施形態に係わる照明制御パターンの色温度に関するアンケートの一部の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態に係わる照明制御プランを提示する方法、および、照明制御装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示に限定する主旨ではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。さらに、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0012】
図1は、初期データ生成装置100および照明制御装置200の一例のブロック図である。
【0013】
初期データ生成装置100は、照明設置空間情報、照明利用者情報、および、照明時系列イメージ情報を入力する。
【0014】
照明設置空間情報には、照明装置400以外の照明装置が設置されている建築物に関する情報を含む以下の情報が含まれる。すなわち、照明設置空間情報は、照明制御装置200によって照明が制御される照明空間とは異なる照明空間に関する情報である。照明設置空間情報の一例には、オフィスの規模、外光の入り具合、天候の確認の有無、窓の方向、明るさの自動調整の有無、建築物が存在する地域、建築物の竣工年、建築物の改築年、床面積、壁面・床面・天井の色、壁面・床面・天井の反射率が挙げられる。また、照明設置空間情報の一例には、壁面・床面・天井の素材、照明の種類、照明の数、什器の種類、什器の数等の情報が挙げられる。また、照明設置空間情報には自由記述欄が設けられてもよい。
【0015】
照明利用者情報には照明装置400以外の照明装置を利用する利用者に関する情報が含まれる。照明利用者情報の一例には、年齢、性別、視力、雪国の居住経験、結婚歴、子供の有無、世帯収入、個人収入、職業、出身地、照明関連の職種か否か、内勤と外勤の割合、オフィス内の作業環境の使用率、現在のオフィスの明るさ・色温度等の情報が挙げられる。また、照明利用者情報には自由記述欄が設けられてもよい。
【0016】
照明時系列イメージ情報は、照明装置400以外の照明装置が設置されている場所において、照明装置400以外の照明装置の利用者が、照明の明るさおよび色温度をどのように変化させたいかというイメージを時系列で示した主観的な情報である。照明装置が設置されている場所がオフィスの場合には、時系列を以下のように区分することが一例として挙げられる。すなわち、オフィスの時系列を区分する時間帯の一例として、始業時刻の前後の時間帯である、始業前の準備時間帯、および、始業後の開始時間帯が挙げられる。また、オフィスの時系列を区分する時間帯の一例として、昼食時間帯、並びに、昼食時間帯の前後の時間帯である、昼食前の時間帯および昼食後の時間帯が挙げられる。さらに、終業時刻の前後の時間帯である、終業時刻前の終業前時間帯、および、終業時刻後の残業時間帯が挙げられる。なお、終業前時間帯は本明細書において定時前時間帯または定時前と称する場合もある。さらに、始業後の開始時間帯と昼食前の時間帯との間の時間帯を午前の中頃の時間帯、および、昼食後の時間帯と終業前時間帯との間の時間帯を午後の中頃の時間帯と称する場合がある。オフィスの時系列を区分する上述した時間帯は連続した時間帯、または、不連続の時間帯である。また、オフィスの時系列を区分する上述した時間帯の長さは同一であってもよいし、不同一であってもよい。また、時系列を区分する時間帯は、上記時間帯に限定されるものではない。
【0017】
なお、照明時系列イメージ情報には、天候(晴天、曇天、雪、雨)によって照明の明るさおよび色温度をどのように変化させたいかというイメージを時系列で示した主観的な情報が含まれてもよい。また、照明時系列イメージ情報には、季節(春、夏、秋、冬)によって照明の明るさおよび色温度をどのように変化させたいかというイメージを時系列で示した主観的な情報が含まれてもよい。さらに、照明時系列イメージ情報には、休日、平日または曜日によって照明の明るさおよび色温度をどのように変化させたいかというイメージを時系列で示した主観的な情報が含まれてもよい。さらに、照明時系列イメージ情報には、自由記述欄が設けられてもよい。
【0018】
また、照明の明るさおよび色温度の変化の一例として、七段階に区分する方法について説明する。しかし、区分する段階は七段階に限定されるわけではなく、任意の段階に区分されることが可能である。照明の明るさを七段階に表現する言葉として「非常に明るくしたい」、「明るくしたい」、「やや明るくしたい」、「中庸(一般的)」、「やや暗くしたい」、「暗くしたい」、「非常に暗くしたい」という言葉による分類が挙げられる。それぞれの表現はルクスに換算されるが、換算方法の一例については以下に詳述する。
【0019】
照度への換算については、JISZ9110 4.3.3照度段階に記載されている照度の違いを感覚的に認識できる照度の差異の段階の中から、750ルクスを「中庸(一般的)」に対応させて、振り分ける。750ルクスはJISZ9110においてオフィスの維持照度の推奨値である。したがって、本実施形態では、「非常に明るくしたい」を2000ルクスに対応させ、「明るくしたい」を1500ルクスに対応させ、「やや明るくしたい」を1000ルクスに対応させている。また、本実施形態では、「やや暗くしたい」を500ルクスに対応させ、「暗くしたい」を300ルクスに対応させ、「非常に暗くしたい」を200ルクスに対応させている。
【0020】
照明の色温度を七段階に表現する言葉としては「非常に色温度が高い」、「6500K」、「5000K」、「4000K」、「3500K」、「3000K」、「非常に色温度が低い」という言葉による分類が挙げられる。「K」は色温度の単位を示し、ケルビンを意味する。「6500K」は少し青みがかった白色光であって昼光色と称する場合がある。「5000K」はごくわずかに青みがかった白色光であって昼白色と称する場合がある。「4000K」はごくわずかに黄色がかった白色光であって白色と称する場合がある。「3500K」は黄色を感じる白色光であって温白色と称する場合がある。「3000K」は白熱電球のような黄色がかった光であって電球色と称する場合がある。なお、本実施形態では「非常に色温度が高い」を11000ケルビンに対応させ、「非常に色温度が低い」を2200ケルビンに対応させている。照明時系列イメージ情報の色温度についてユーザにアンケートを取る場合には、色温度の違いをグラフィカルに提示し、ユーザに色温度の違いをイメージしやすいようにしている。詳細については、後述する。
【0021】
例えば、
図11は、
図1の照明時系列イメージ情報、
図2の使用照明時系列イメージ情報および
図3の官能評価情報における色温度のレベルをアンケートする場合の色温度の違いをグラフィカルに示した模式図の一部である。アンケートを受けるユーザは色温度の違いをケルビンで認識するだけではなく、自然光および人工光源においてどの程度の色味であるかを認識することができる。また、
図11において、色温度が高くなるほど、青みがかった色が濃く表示され、色温度が低くなるほど、赤みがかった色が濃く表示され、ユーザは色温度を色味のグラデーションで認識することが可能になる。さらに、色温度が高い場合には雲のない晴天が示され、色温度がやや高い場合には雲のある晴天が示され、ユーザは色温度の違いをグラフィカルに認識できる。さらに、色温度がやや低い場合には夕日が示され、色温度が低い場合にはロウソクの灯が示され、ユーザは色温度の違いをグラフィカルに認識できる。
【0022】
図11における色温度のグラデーションを使用して、
図6(b)の色温度のレベルの違いが時間帯ごとに選択可能にアンケートされる。「非常に色温度が高い」場合の色温度は11000ケルビンであるが、色温度を選択するボックスには
図11の11000ケルビンに対応する色温度が表示される。また、「非常に色温度が低い」場合の色温度は2200ケルビンであるが、色温度を選択するボックスには
図11の2200ケルビンに対応する色温度が表示される。さらに、色温度を選択する他のボックスには
図11の各ケルビンに対応する色温度が表示される。
【0023】
また、
図6(a)の明るさに関するボックスは、白黒のグラデーションによって明るさの違いを表示しており、明るさのレベルが高いほど白く、明るさのレベルが低いほど黒く表示する。ユーザは明るさの違いを白黒のグラデーションによってグラフィカルに認識できる。
【0024】
初期データ生成装置100は、上述した照明設置空間情報、照明利用者情報、および、照明時系列イメージ情報を入力し、関連付け部101が、照明設置空間情報、照明利用者情報、および、照明時系列イメージ情報を関連付けする。関連付けされた情報は、関連付け部101が、初期記憶部300aに記憶する。初期記憶部300aに記憶された情報は、いわゆるビッグデータと称する場合がある。なお、初期データ生成装置100の関連付け部101の機能を、照明制御装置200の
図2に示される使用関連付け部201が実行することも可能である。
【0025】
照明制御装置200は、パターン演算部202、パターン提案部203、パターン選択部204および照明制御部205を含んで構成される。
【0026】
パターン演算部202は、初期記憶部300aに関連付けされて記憶された照明設置空間情報、照明利用者情報、および、照明時系列イメージ情報を入力する。パターン演算部202は、関連付けされた情報から照明時系列パターン情報を演算し、照明時系列パターン情報を初期記憶部300aに記憶する。
【0027】
照明時系列パターン情報の一例には、初期記憶部300aに記憶された照明時系列イメージ情報の各時間帯におけるすべての利用者の希望する照明の明るさおよび色温度の値を算術平均した時系列パターン情報が挙げられる。
【0028】
照明時系列パターン情報の一例を
図7に示す。
図7(a)は、照明時系列イメージ情報に含まれる各利用者の照明に対する好ましい明るさの変化イメージを算術平均した照明時系列パターン情報の一例である。当該照明時系列パターン情報は明るさに対する時系列パターン情報の一例である。
図7(a)に示される照明時系列パターン情報に含まれる明るさに対する時系列パターン情報を「好ましい明るさの変化イメージ」と称する場合がある。なお、
図7(a)に示す「好ましい明るさの変化イメージ」は、利用者が実際に照明装置400による照明を体感した結果による情報ではなく、照明装置400による照明を体感していない想像による主観的な好ましい明るさをイメージした情報である。
【0029】
図7(a)に示される「好ましい明るさの変化イメージ」によれば、始業後の時間帯はやや明るい状態と明るい状態との間の明るさが好ましいと判断され、昼休みの時間帯にかけて希望する明るさがやや低くなる。昼休みの時間帯ではやや暗い状態に近い明るさが希望され、昼休み後の時間帯では、やや明るい状態と明るい状態との間の明るさが好ましいと判断され、残業時間帯にかけて希望する明るさが低くなる。
【0030】
図7(b)は、照明時系列イメージ情報に含まれる各利用者の照明に対する好ましい色温度の変化イメージを算術平均した照明時系列パターン情報の一例である。当該照明時系列パターン情報は色温度に対する時系列パターン情報の一例である。
図7(b)に示される照明時系列パターン情報に含まれる色温度に対する時系列パターン情報を「好ましい相関色温度の変化イメージ」と称する場合がある。なお、
図7(b)に示す「好ましい相関色温度の変化イメージ」は、利用者が実際に照明装置400による照明を体感した結果による情報ではなく、照明装置400による照明を体感していない想像による主観的な好ましい色温度をイメージした情報である。
【0031】
図7(a)に示される「好ましい相関色温度の変化イメージ」によれば、始業後の時間帯は「5000K」(昼白色)の色温度が好ましいと判断され、昼白色付近の色温度が昼休みの時間帯にかけて希望する色温度となる。昼休みの時間帯では色温度が暖色傾向となり、「4000K」(白色)と「3500K」(温白色)との間の色温度が希望され、昼休み後の時間帯では、始業後の時間帯と同程度の「5000K」(昼白色)の色温度が好ましいと判断される。残業時間帯にかけて希望する色温度は暖色傾向となり。残業時間帯では昼休みの時間帯と同程度の色温度が希望される。
【0032】
なお、照明時系列イメージ情報をいくつかのパターンに分類することも可能である。
図5に照明時系列イメージ情報を特徴的なパターンによって分類した模式図を示す。
図5(a)、(b)および(c)の照明時系列イメージ情報のパターンはそれぞれのパターンにおける特徴を強調した模式図である。
図5(a)はアクティベーション形と称し、始業後の時間帯および昼休み後の時間帯に明るさのレベルおよび色温度のレベルを高く設定することが好まれるパターンである。
図5(b)はAMブースト形と称し、始業後の時間帯から昼休み前の時間帯に明るさのレベルおよび色温度のレベルを高く設定することが好まれるパターンである。
図5(c)はデイライトフォロー形と称し、太陽光の変化に対応するように明るさのレベルおよび色温度のレベルを設定することが好まれるパターンである。
【0033】
また、照明時系列パターン情報の一例には「調光調色を変化させるならどのタイミングでどのように変化させたいか」という照明時系列イメージ情報を教師データとし、照明設置空間情報、照明利用者情報から、クラスタリングを行った情報が挙げられる。
【0034】
図8は照明時系列パターン情報の他の一例である。
図8(a)は、照明時系列イメージ情報に含まれる各利用者の照明に対する好ましい明るさの変化イメージを算術平均した照明時系列パターン情報に含まれる明るさに対する時系列パターン情報を男女別に示した一例である。
図8(a)からは明るさの男女による算術平均間で優位な差は見られなかった。
【0035】
すなわち、
図8(a)に示される「好ましい明るさの変化イメージ」によれば、始業後の時間帯はやや明るい状態と明るい状態との間の明るさが好ましいと判断され、昼休みの時間帯にかけて希望する明るさがやや低くなる。昼休みの時間帯ではやや暗い状態に近い明るさが希望され、昼休み後の時間帯では、やや明るい状態と明るい状態との間の明るさが好ましいと判断され、残業時間帯にかけて希望する明るさが低くなる。
【0036】
図8(b)は、照明時系列イメージ情報に含まれる各利用者の照明に対する好ましい色温度の変化イメージを算術平均した照明時系列パターン情報に含まれる色温度に対する時系列パターン情報を男女別に示した一例である。
図8(b)からは色温度の男女による算術平均間で優位な差は見られなかった。
【0037】
すなわち、
図8(b)に示される「好ましい相関色温度の変化イメージ」によれば、始業後の時間帯は「5000K」(昼白色)の色温度が好ましいと判断され、昼白色付近の色温度が昼休みの時間帯にかけて希望する色温度となる。昼休みの時間帯では色温度が暖色傾向となり、「4000K」(白色)と「3500K」(温白色)との間の色温度が希望され、昼休み後の時間帯では、始業後の時間帯と同程度の「5000K」(昼白色)の色温度が好ましいと判断される。残業時間帯にかけて希望する色温度は暖色傾向となり。残業時間帯では昼休みの時間帯と同程度の色温度が希望される。
【0038】
図9は照明時系列パターン情報のその他の一例である。
図9(a)は、照明時系列イメージ情報に含まれる各利用者の照明に対する好ましい明るさの変化イメージを算術平均した照明時系列パターン情報に含まれる明るさに対する時系列パターン情報を年齢別に示した一例である。年齢層は、4つに区分し、20歳台、30歳台、40歳台および50歳台において算術平均の変化イメージを図示した。
図8(a)からは明るさに対して年齢別による算術平均間で好みのイメージの違いが見られた。
【0039】
すなわち、
図8(a)に示される「好ましい明るさの変化イメージ」によれば、高齢になるほど、明るさが高い照明を好ましいとイメージするようになり、特に昼休み後の時間帯で、50歳台がより明るさが高い照明を好ましいとイメージしている。また、20歳台の若者は、特に昼休み後の時間帯で、明るさを大きく変化させることを好む傾向が見られる。したがって、若年就業者が多いベンチャー企業と、高齢就業者の活用が進んだ企業とで、明るさに対する細かなチューニングをした照明制御の可能性が存在する。
【0040】
図9(b)は、照明時系列イメージ情報に含まれる各利用者の照明に対する好ましい色温度の変化イメージを算術平均した照明時系列パターン情報に含まれる色温度に対する時系列パターン情報を年齢別に示した一例である。年齢層は、4つに区分し、20歳台、30歳台、40歳台および50歳台において算術平均の変化イメージを図示した。
図8(b)からは色温度に対して年齢別による算術平均間で好みのイメージの違いが見られた。
【0041】
すなわち、
図8(b)に示される「好ましい相関色温度の変化イメージ」によれば、高齢になるほど、色温度が高い照明を好ましいとイメージするようになり、特に昼休み後の時間帯で、50歳台がより色温度が高い照明を好ましいとイメージしている。なお、昼休みの時間帯では。年齢が高くなるほど、低い色温度を好ましいとイメージしている。また、20歳台の若者は、特に昼休み後の時間帯で、色温度を大きく変化させることを好む傾向が見られる。したがって、若年就業者が多いベンチャー企業と、高齢就業者の活用が進んだ企業とで、色温度に対する細かなチューニングをした照明制御の可能性が存在する。
【0042】
図10は照明時系列パターン情報のその他の一例である。
図10(a)は、照明時系列イメージ情報に含まれる各利用者の照明に対する好ましい明るさの変化イメージを算術平均した照明時系列パターン情報に含まれる明るさに対する時系列パターン情報を天候毎に示した一例である。天候は、3つに区分し、晴天、曇天または雨天、雪において算術平均の変化イメージを図示した。
図8(a)からは明るさに対して天候毎に算術平均間で好みのイメージの違いが見られた。
【0043】
すなわち、
図10(a)に示される「好ましい明るさの変化イメージ」によれば、晴天時には全体平均に比べて始業後の時間帯から昼休みの時間帯にかけて明るさを低くすることが希望される。また、晴天時には全体平均に比べて昼休み後の時間帯から午後の中頃の時間帯にかけて明るさを低くすることが好ましいとイメージされる。さらに、曇天または雨天、および、雪の天候時には、昼休みの時間帯、定時前の時間帯から残業時間帯にかけて全体平均に比べて明るさがより明るくなることが好ましいとイメージされる。このように、天候毎に算術平均間で好みの明るさのイメージの違いが見られた。
【0044】
図10(b)は、照明時系列イメージ情報に含まれる各利用者の照明に対する好ましい色温度の変化イメージを算術平均した照明時系列パターン情報に含まれる色温度に対する時系列パターン情報を季節毎に示した一例である。季節は、4つに区分し、夏季、冬季、春季または春秋期共通、秋季において算術平均の変化イメージを図示した。
図10(b)からは色温度に対して季節毎の算術平均間で好みのイメージの違いが見られた。特に、夏季および冬季で、全体平均に対して好みのイメージの違いが大きい。
【0045】
すなわち、
図10(b)に示される「好ましい相関色温度の変化イメージ」によれば、夏季には全体平均に比べて始業後の時間帯から昼食前の時間帯にかけて色温度を高くすることが好ましいとイメージされる。また、夏季には全体平均に比べて昼休み後の時間帯から午後の中頃の時間帯にかけて色温度を高くすることが好ましいとイメージされる。
【0046】
また、
図10(b)に示される「好ましい相関色温度の変化イメージ」によれば、冬季には全体平均に比べて始業後の時間帯から残業の時間帯のすべての時間帯において色温度を低くすることが好ましいとイメージされる。
【0047】
このように、
図10(a)によれば明るさに関しては天候によって変化させたほうが好ましいとイメージされ、
図10(b)によれば色温度に関しては季節、特に夏季と冬季、によって変化させたほうが好ましいとイメージされる。
【0048】
なお、上述した、
図8から
図10の照明時系列イメージ情報を
図5に示されるいくつかのパターンにさらに分類することも可能である。
【0049】
図1におけるパターン提案部203は、照明装置400を制御するための照明時系列パターン情報を読み出し、図示しない表示装置等の出力装置に複数の照明時系列パターン情報を提示し、利用者に提案する。提示する照明時系列パターン情報の明るさに関する一例には、
図7(a)、
図8(a)、
図9(a)および
図10(a)が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。また、提示する照明時系列パターン情報の色温度に関する一例には、
図7(b)、
図8(b)、
図9(b)および
図10(b)が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。例えば、その他の照明設置空間情報および/または照明利用者情報に基づいて区分された照明時系列パターン情報が存在してもよい。
【0050】
図1におけるパターン選択部204は、パターン提案部203によって提案された照明時系列パターン情報の中で選択された照明時系列パターン情報を導入時系列パターン情報として初期記憶部300aに記憶する。導入時系列パターン情報は、照明設置空間情報、照明利用者情報、照明時系列イメージ情報の少なくとも一つと関連付けされることが可能である。
【0051】
図1における照明制御部205は、初期記憶部300aに記憶された導入時系列パターン情報にしたがって、照明装置400が照射する光の明るさおよび色温度を制御する。
【0052】
以上説明したように、照明制御装置200は、照明装置として照明装置400が設置されていない照明空間を利用する人からの照明利用者情報および照明時系列イメージ情報、ならびに、当該照明空間の照明設置空間情報を利用することができる。そして、照明制御装置200は、データベース化された照明設置空間情報、照明利用者情報および照明時系列イメージ情報を利用して、照明時系列パターン情報を提案し、導入する照明時系列パターン情報が決定されれば、照明装置400を制御する。
【0053】
したがって、照明装置400が設置されていない照明空間を利用する人からのビッグデータからも、心理的な側面からユーザにとって希望する照明空間を推定することが可能となる。また、ユーザの照明空間に対する満足度を向上させることが推定可能な調光制御および調色制御を提供することが可能となる。
【0054】
図2は、照明装置400が設置されている照明空間を利用する人からの使用照明利用者情報および/または使用照明時系列イメージ情報、ならびに、当該照明空間の使用照明設置空間情報を利用する場合の照明制御装置200の動作を示すブロック図である。
【0055】
照明制御装置200は、使用関連付け部201、パターン演算部202、パターン提案部203、パターン選択部204および照明制御部205を含んで構成される。
【0056】
なお、パターン演算部202、パターン提案部203、パターン選択部204および照明制御部205は
図1に示された動作を行うことも可能である。
【0057】
使用関連付け部201は、使用照明設置空間情報、使用照明利用者情報、および、使用照明時系列イメージ情報を入力し、使用照明設置空間情報、使用照明利用者情報、および、使用照明時系列イメージ情報を関連付けする。関連付けされた情報は、使用関連付け部201が、使用記憶部300bに記憶する。なお、使用照明設置空間情報および使用照明利用者情報はいずれかの情報が入力される場合、使用照明設置空間情報および使用照明利用者情報のいずれもが入力されずに使用照明時系列イメージ情報だけが入力される場合もあり得る。
【0058】
なお、使用照明設置空間情報は、照明装置400が設置されている照明空間を対象とした情報であって、
図1で説明した照明設置空間情報で区分された区分にしたがった情報を有する。
【0059】
また、使用照明利用者情報は、照明装置400が設置されている照明空間の利用者を対象として情報であって、
図1で説明した照明利用者情報で区分された区分にしたがった情報を有する。
【0060】
さらに、使用照明時系列イメージ情報は、照明装置400が設置されている照明空間の利用者を対象として情報であって、
図1で説明した照明時系列イメージ情報で区分された区分にしたがった情報を有する。
【0061】
パターン演算部202は、使用記憶部300bに関連付けされて記憶された使用照明設置空間情報、使用照明利用者情報、および、使用照明時系列イメージ情報を入力する。または、パターン演算部202は、少なくとも初期記憶部300aに記憶された照明時系列イメージ情報を入力する。好ましくは、パターン演算部202は、初期記憶部300aに記憶された照明設置空間情報、照明利用者情報、および、照明時系列イメージ情報のすべてを入力する。
【0062】
パターン演算部202は、使用照明利用者情報における特定の特徴を有する初期記憶部300aの照明利用者情報を抽出し、当該照明利用者情報に関連付けられた初期記憶部300aの照明時系列イメージ情報をさらに抽出する。パターン演算部202は、使用照明時系列イメージ情報および当該照明時系列イメージ情報を算術平均して、使用照明時系列パターン情報を演算する。
【0063】
一例として、使用照明利用者情報における特定の特徴が50歳台の女性が多い場合について説明する。パターン演算部202は、50歳台の女性という情報を有する照明利用者情報を初期記憶部300aから抽出する。そして、50歳台の女性が好ましいとイメージする照明時系列イメージ情報を初期記憶部300aから抽出する。使用照明利用者情報の特徴が50歳台の女性である場合の使用照明時系列イメージ情報を使用記憶部300bから抽出する。パターン演算部202は、50歳台の女性という属性を有する使用照明時系列イメージ情報と照明時系列イメージ情報とを算術平均して、使用照明時系列パターン情報を演算する。このように、照明制御装置200は、照明装置400の設置空間を利用する人のイメージ情報だけではなく、照明装置400の設置空間以外の照明空間を利用する共通の特徴を有する人の情報を活用することが可能になる。その結果、照明制御装置200は、利用者にとってより好ましいと感じる使用照明時系列パターン情報を提案することが可能になる。例えば、使用照明利用者情報の数が少ない場合には、照明利用者情報によってサンプルの個数を増加させることが可能となるので、利用者にとってより好ましいと感じる使用照明時系列パターン情報を精度よく提案することが可能となる。
【0064】
また、パターン演算部202は、使用照明設置空間情報における特定の特徴を有する初期記憶部300aの照明設置空間情報を抽出し、当該照明設置空間情報に関連付けられた初期記憶部300aの照明時系列イメージ情報をさらに抽出することもできる。パターン演算部202は、使用照明時系列イメージ情報、および、使用照明設置空間情報における特定の特徴を有する当該照明時系列イメージ情報を算術平均して、使用照明時系列パターン情報を演算する。一例として、使用照明設置空間情報の特定の特徴に、北向きの大きな窓を有するオフィスという特徴が挙げられる。この場合には、パターン演算部202は、北向きの大きな窓を有するオフィスという属性を有する使用照明時系列イメージ情報と照明時系列イメージ情報とを算術平均して、使用照明時系列パターン情報を演算する。その結果、照明制御装置200は、利用者にとってより好ましいと感じる使用照明時系列パターン情報を提案することが可能になる。
【0065】
また、パターン演算部202は、使用照明利用者情報における特定の特徴を属性に有する照明時系列イメージ情報と、使用照明設置空間情報における特定の特徴を属性に有する照明時系列イメージ情報と、使用照明時系列イメージ情報とを合わせて利用できる。この場合には、照明制御装置200は、利用者にとってより好ましいと感じる使用照明時系列パターン情報を精度よく提案することが可能になる。
【0066】
なお、パターン演算部202は、使用照明時系列パターン情報を前述したクラスタリングによる手法、ニューラルネットワークを用いた手法を含むAI(Artificial Intelligence)を用いた手法によって演算することも可能である。
【0067】
図2におけるパターン提案部203は、照明装置400を制御するための使用照明時系列パターン情報を読み出し、図示しない表示装置等の出力装置に複数の使用照明時系列パターン情報を提示する。この場合の使用照明時系列パターン情報には天候の違い、季節の違いを反映した時系列パターン情報を含めることも可能である。
【0068】
図2におけるパターン選択部204は、パターン提案部203によって提案された使用照明時系列パターン情報の中で選択された使用照明時系列パターン情報を使用時系列パターン情報として使用記憶部300bに記憶する。使用時系列パターン情報は、使用照明設置空間情報、使用照明利用者情報、使用照明時系列イメージ情報の少なくとも一つと関連付けされることが可能である。
【0069】
図2における照明制御部205は、使用記憶部300bに記憶された使用時系列パターン情報にしたがって、照明装置400が照射する光の明るさおよび色温度を制御する。
【0070】
上述したように、照明制御装置200は、照明装置として照明装置400が設置されていない照明空間および照明装置400が設置されている照明空間を利用する人からの(使用)照明利用者情報および(使用)照明時系列イメージ情報を利用することができる。また、照明制御装置200は、当該照明空間の(使用)照明設置空間情報を利用することができる。そして、照明制御装置200は、データベース化された(使用)照明設置空間情報、(使用)照明利用者情報および(使用)照明時系列イメージ情報を利用して、使用照明時系列パターン情報を提案する。照明制御装置200は、使用照明時系列パターン情報が決定されれば、照明装置400を制御する。
【0071】
したがって、照明装置400が設置されている照明空間を利用するユーザにとって心理的な側面から希望する照明制御パターンを推定することが可能となる。そして、照明装置400が設置されていない照明空間を利用する人からのビッグデータを利用することによって、精度よく心理的な側面から希望する照明制御パターンを推定することが可能となる。また、ユーザの照明空間に対する満足度を向上させることが精度よく推定可能な調光制御および調色制御を提供することが可能となる。
【0072】
図3は、照明制御装置200が使用時系列パターン情報を用いて照明装置400を制御した照明空間において、使用時系列パターン情報の明るさおよび色温度を経験した人からの官能評価情報に基づく照明制御装置200の動作を示すブロック図である。
【0073】
図1および
図2では、明るさおよび色温度の変化パターンは、照明装置400による照明制御を経験していない人による想像上の主観イメージであった。しかし、想像上の主観イメージによる明るさおよび色温度の変化パターンを経験することによって、心地よいと感じる明るさおよび色温度が実際には主観イメージと異なる場合が存在する。
図3は、使用時系列パターン情報に基づく明るさおよび色温度を経験した人からの官能評価情報をフィードバックし、官能評価情報が最大化する、より好ましい明るさおよび色温度の変化パターンを求める動作を示す。すなわち、使用記憶部300bに記憶される情報を生成するためのアンケート情報と、官能評価情報を得るためのアンケート情報とは異なり、これらの異なるアンケート情報を利用して、照明制御装置200は動作する。
【0074】
照明制御装置200は、使用関連付け部201、パターン演算部202、パターン提案部203、パターン選択部204および照明制御部205を含んで構成される。
【0075】
なお、パターン演算部202、パターン提案部203、パターン選択部204および照明制御部205は
図1および
図2に示された動作を行うことも可能である。また、使用関連付け部201は
図2に示された動作を行うことも可能である。
【0076】
使用関連付け部201には、使用時系列パターン情報の明るさおよび色温度を経験した人からの官能評価情報、および、使用記憶部300bに記憶された関連付けされた情報が入力される。使用記憶部300bに記憶された関連付けされた情報の詳細は
図2において説明したので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0077】
官能評価情報には、使用時系列パターン情報による明るさおよび色温度の照明制御を経験した後の当該照明制御に対する満足の度合いが含まれる。また、官能評価情報には、現在のオフィスの明るさ、現在のオフィスの色温度、好みのオフィスの明るさ、好みのオフィスの色温度、照明の変化を感じたか否か、照明の変化が気になるか否か、明るく感じるか暗く感じるか等の情報が含まれる。さらに、官能評価情報には、青白く感じるか赤黄色に感じるか、ムード(昼食時、残業時等の時間帯)を感じたか、メリハリを感じたか、集中力は上がったか、仕事の効率は上がったか、夜ゆっくり眠れるようになったか等の情報が含まれる。さらに、官能評価情報には、色温度が下がった際に安らげる空間になったか、定時後に早く帰りたくなったか、会話量は増えたか、働き方改革に効果があるか、調光調色を時間によって変化させたいか等の情報が含まれる。さらに、官能評価情報には、明るさおよび色温度を変化させるならどのタイミングでどのように変化させたいか、その他の調光調色制御に関する自由記述欄の情報が含まれる。当該タイミングには、始業前準備、始業後、午前の中頃、昼食前、昼食時、昼食後、午後の中頃、定時前、残業の各時間帯が含まれてもよい。
【0078】
さらに、使用時系列パターン情報を経験した各個人には、使用時系列パターン情報を経験する前に各個人が回答した使用照明時系列イメージ情報がアンケートに含まれてもよい。使用時系列パターン情報を経験した各個人は、使用照明時系列イメージ情報を基準に心理的に好ましい明るさおよび色温度を回答することが可能になる。なお、使用照明時系列イメージ情報がアンケートに含まれていなくともよい。
【0079】
パターン演算部202は、使用記憶部300bに記憶された関連付けされた情報、および、官能評価情報に基づいて、官能時系列パターン情報を演算する。
【0080】
官能時系列パターン情報は、使用時系列パターン情報を1つの情報として、使用時系列パターン情報を、使用時系列パターン情報を経験した各個人の官能評価情報の時間帯ごとの明るさおよび色温度の好ましいレベルで調整した時系列パターン情報であり得る。また、一例として、官能時系列パターン情報は、官能評価情報に含まれる明るさおよび色温度を変化させるならどのタイミングでどのように変化させたいかという時系列パターン情報であってもよい。さらに、官能時系列パターン情報は、使用時系列パターン情報を1つの情報として、使用時系列パターン情報と、使用時系列パターン情報を経験した各個人の官能評価情報の時間帯ごとの明るさおよび色温度の好ましいレベルとの算術平均であってもよい。この場合には、官能評価情報がマイルドに反映された官能時系列パターン情報が演算される。以上説明したように、官能時系列パターン情報も、明るさおよび色温度ごとに、時間帯別に好ましいレベルを有する情報である。
【0081】
また、官能時系列パターン情報の一例には、官能評価情報を教師データとして、(使用)照明設置空間情報および/または(使用)照明利用者情報を利用して、クラスタリングを行った時系列パターン情報が挙げられる。
【0082】
さらに、官能時系列パターン情報の一例には、ニューラルネットワークを用いて、照明制御に対する個人の好ましさを推定し、当該好ましさがオフィス全体で最大化するような照明制御を推定した結果である時系列パターン情報が挙げられる。当該推定には、使用照明設置空間情報および/または使用照明利用者情報を特徴変数、官能評価情報を目的変数とするモデルをKeras(登録商標)ライブラリを用いて作成する手法が一例として挙げられる。
【0083】
例えば、官能時系列パターン情報は、官能評価情報における「照明の変化が気になる」割合が低減されることが反映された時系列パターン情報であってもよい。また、「仕事の効率が上がった」、「働き方改革に効果がある」割合が増加することが反映された時系列パターン情報であってもよい。すなわち、官能評価情報における否定的な評価が低減され、肯定的な評価が増加され、心理的な好ましさがオフィス全体で最大化するような照明制御を推定した結果である官能時系列パターン情報が演算され、提案される。なお、心理的な好ましさがオフィス全体で最大化するような官能時系列パターン情報の候補は複数存在する可能性がある。
【0084】
図3におけるパターン提案部203は、照明装置400を制御するための官能時系列パターン情報を読み出し、図示しない表示装置等の出力装置に複数の官能時系列パターン情報を提示する。
【0085】
図3におけるパターン選択部204は、パターン提案部203によって提案された官能時系列パターン情報の中で選択された官能時系列パターン情報を使用官能時系列パターン情報として官能記憶部300cに記憶する。
【0086】
図3における照明制御部205は、官能記憶部300cに記憶された使用官能時系列パターン情報にしたがって、照明装置400が照射する光の明るさおよび色温度を制御する。
【0087】
上述した、
図3における照明制御部205の動作は、複数回実施することが可能である。例えば、使用官能時系列パターン情報によって制御された照明を体感した利用者の満足度があらかじめ定められた閾値を超えるまで、
図3における照明制御部205の動作を繰り返すことが可能である。
【0088】
以上説明したように、照明装置400が設置された照明設置空間の利用者が、照明装置400による照明制御を体感する前に主観的にイメージした使用照明時系列イメージ情報が、利用者にとって心理的に好ましい最適な照明制御ではない場合がある。
【0089】
このような場合には、使用照明時系列イメージ情報による照明制御を利用者が体感し、使用照明時系列イメージ情報との差分を官能評価情報として照明制御装置200が認識し、心理的な好ましさが最大化するような官能時系列パターン情報を演算する。
【0090】
そして、官能時系列パターン情報から選択された使用官能時系列パターン情報にしたがって、照明制御装置200が照明制御を行い、心理的な好ましさがオフィス全体で最大化するまで照明制御装置200は試行錯誤動作を繰り返す。ただし、官能時系列パターン情報は、官能評価情報のさまざまな属性に基づいて推定されるので、利用者は多様な官能時系列パターン情報から実際に体感する使用官能時系列パターン情報を選択することが可能となる。したがって、心理的な側面からユーザにとって心地よい照明空間を提供し、ユーザの空間に対する満足度を向上させることが可能な調光制御および調色制御を提供することが可能となる。
【0091】
このように、照明装置400が設置された照明設置空間の利用者が、照明装置400による照明制御を体感する前の想像上のイメージから、体感を通して、照明空間に対する満足度を向上させることが可能な照明制御装置200を提供可能となる。
【0092】
なお、照明制御装置200は、使用照明設置空間情報、使用利用者情報、使用照明時系列イメージ情報、使用時系列パターン情報等の情報を、初期記憶部300aに記憶することも可能である。照明制御装置200は、初期記憶部300aに記憶される情報量を増加させることによって、
図1において提案される照明時系列パターン情報の精度を向上させることが可能となる。
【0093】
また、官能評価情報、官能時系列パターン情報、使用官能時系列パターン情報を初期記憶部300aに記憶し、使用照明設置空間情報、使用利用者情報、使用照明時系列イメージ情報、使用時系列パターン情報と関連付けることも可能である。
照明制御装置200は、新たな使用照明設置空間情報、新たな使用利用者情報が入力されれば、過去の使用照明設置空間情報、過去の使用利用者情報から、過去の使用官能時系列パターン情報を新たな使用照明時系列パターン情報として提案することができる。したがって、照明空間に対する満足度を向上させることが可能な使用照明時系列パターン情報を精度よく提案することが可能となる。
【0094】
なお、パターン選択部204は、照明装置400が設置された照明空間を利用する利用者の属性情報に基づいて、導入時系列パターン情報、使用時系列パターン情報、使用官能時系列パターン情報が選択されることも可能である。利用者の属性情報には使用照明利用者情報、利用者の心理状況が含まれてもよい。利用者の心理状況には、照明制御を利用する場合の仕事の繁忙の状況、照明制御を利用する曜日による心理状態の変化が含まれてもよい。
【0095】
また、照明制御装置200に、初期記憶部300a、使用記憶部300b、官能記憶部300cが含まれる構成とすることも可能である。
【0096】
(照明制御プランを提示する方法、および、照明制御装置の動作フローの概略)
次に、照明制御プランを提示する方法、および、照明制御装置の動作の一例のフローチャートについて
図4に基づいて説明する。
図4における処理手順は、照明制御装置200が有するCPU(Central Processing Unit)が実行する。当該CPUの一部の機能を実行する動作部の一例には、使用関連付け部201、パターン演算部202、パターン提案部203、パターン選択部204および照明制御部205が挙げられる。この場合において、当該CPUはROM(Read Only Memory)(図示せず)に格納されたプログラムにしたがい実行する。
【0097】
なお、以下の処理手順の一部または全部は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアにより実行できる。但し本実施形態では、ROMのプログラムにしたがってCPUが実行する形態とした場合について説明する。
【0098】
ステップS401において、初期データ生成装置100は、照明装置400が設置されていない照明設置空間に関する情報を初期データとして生成する。初期データ生成装置100は、照明設置空間情報、照明利用者情報、および、照明時系列イメージ情報を入力する。照明設置空間情報および照明利用者情報は初期データ生成装置100に入力されない場合もある。なお、照明設置空間情報、照明利用者情報、および、照明時系列イメージ情報についてはすでに詳述したので、ここでは説明の重複を避けるために詳述しない。
【0099】
ステップS402において、照明制御装置200は、照明装置400が設置されている照明設置空間に関する情報を収集するか否かを判断する。当該情報を収集するか否かは照明制御装置200が演算した照明時系列パターン情報の分散または信頼度に基づいて判断されることが可能である。また、照明装置400が設置されている照明設置空間の利用者によって判断されることも可能である。照明装置400が設置されている照明設置空間に関する情報を収集しない場合には(ステップS402:NO)には、照明制御装置200はステップS403に進む。照明装置400が設置されている照明設置空間に関する情報を収集する場合には(ステップS402:YES)には、照明制御装置200はステップS404に進む。
【0100】
ステップS403において、照明制御装置200は、ステップS401において収集した少なくとも照明時系列イメージ情報に基づいて、照明時系列パターン情報を演算する。照明時系列イメージ情報から照明時系列パターン情報を演算する方法は、時間帯毎に幾何平均値を演算する方法が一例として挙げられる。また、照明時系列イメージ情報をクラスタリングする方法、ニューラルネットワークを使用して推定を行う方法も一例として挙げられる。クラスタリングする方法、ニューラルネットワークを使用して推定を行う方法の場合には照明設置空間情報および/または照明利用者情報を利用することも可能である。また、後述するステップS407で収集した官能評価情報を再帰的に活用し、幾何平均値を演算する方法、クラスタリングする方法、ニューラルネットワークを使用して推定を行う方法を実施することも可能である。
【0101】
さらに、照明制御装置200は演算された照明時系列パターン情報を、照明装置400が設置されている照明設置空間を利用する利用者に提案する。照明制御装置200は、選択された照明時系列パターン情報を導入時系列パターン情報とし、導入時系列パターン情報にしたがって照明装置400を制御する。
【0102】
ステップS404において、照明制御装置200は、照明装置400が設置されている照明設置空間に関する情報を収集し、収集した情報を関連付ける。照明制御装置200は、使用照明設置空間情報、使用照明利用者情報、および、使用照明時系列イメージ情報を入力する。使用照明設置空間情報および/または使用照明利用者情報は照明制御装置200に入力されない場合もある。なお、使用照明設置空間情報、使用照明利用者情報、および、使用照明時系列イメージ情報についてはすでに詳述したので、ここでは説明の重複を避けるために詳述しない。
【0103】
ステップS405において、照明制御装置200は、照明時系列イメージ情報および使用照明時系列イメージ情報に基づいて、使用時系列パターン情報を演算する。この場合に、照明制御装置200は、照明設置空間情報および照明利用者情報、使用照明設置空間情報および/または使用照明利用者情報の少なくとも一部に基づいて、使用時系列パターン情報を演算することも可能である。例えば、照明制御装置200は、照明設置空間情報および使用照明設置空間情報に共通する情報から、照明時系列イメージ情報および使用照明時系列イメージ情報を抽出し、使用時系列パターン情報を演算することも可能である。また、例えば、照明制御装置200は、照明利用者情報および使用照明利用者情報に共通する情報から、照明時系列イメージ情報および使用照明時系列イメージ情報を抽出し、使用時系列パターン情報を演算することも可能である。
【0104】
さらに、照明制御装置200は演算された使用照明時系列パターン情報を、照明装置400が設置されている照明設置空間を利用する利用者に提案する。照明制御装置200は、選択された使用照明時系列パターン情報を使用時系列パターン情報とし、使用時系列パターン情報にしたがって照明装置400を制御する。
【0105】
ステップS406において、照明制御装置200は、照明装置400が設置されている照明設置空間において導入された導入時系列パターン情報または使用時系列パターン情報に調整が必要であるか否かを判断する。判断は、照明装置400が設置されている照明設置空間を利用する利用者によって判断されてもよい。判断された結果は、照明制御装置200に入力される情報となる。調整が必要であると判断される場合(ステップS406:YES)には、照明制御装置200は、ステップS407に進む。調整が不要であると判断される場合(ステップS406:NO)には、照明制御装置200は、処理を終了する。
【0106】
ステップS407において、照明制御装置200は、照明装置400が設置されている照明設置空間において導入された照明制御を経験した利用者の官能評価情報を収集する。官能評価情報は照明制御を経験した利用者に対するアンケート形式で実施されることが可能である。照明制御を経験する前後のアンケート項目には共通項目と非共通項目が含まれる。
【0107】
ステップS408において、照明制御装置200は、官能評価情報に基づいて、導入時系列パターン情報または使用時系列パターン情報を修正し、官能時系列パターン情報を演算する。さらに、照明制御装置200は演算された官能時系列パターン情報を、照明装置400が設置されている照明設置空間を利用する利用者に提案する。照明制御装置200は、選択された官能時系列パターン情報を使用官能時系列パターン情報とし、使用官能時系列パターン情報にしたがって照明装置400を制御する。
【0108】
ステップS409において、照明制御装置200は、照明装置400が設置されている照明設置空間において導入された使用官能時系列パターン情報に再調整が必要であるか否かを判断する。判断は、照明装置400が設置されている照明設置空間を利用する利用者によって判断されてもよい。判断された結果は、照明制御装置200に入力される情報となる。再調整が必要であると判断される場合(ステップS409:YES)には、照明制御装置200は、ステップS407に進み、処理を繰り返す。調整が不要であると判断される場合(ステップS409:NO)には、照明制御装置200は、処理を終了する。
なお、導入時系列パターン情報は、照明装置400が設置されている照明設置空間に導入される場合について説明したが、照明装置400が設置されていない照明設置空間に導入時系列パターン情報を導入することも可能である。そして、導入時系列パターン情報によって照明制御された明るさレベルおよび色温度レベルを体感した個人の官能評価情報が初期データとして初期記憶部300aに記憶されることも可能である。このような場合には、当該官能評価情報が時系列パターンで表現される場合があり、照明時系列パターン情報は、当該官能評価情報、および、導入時系列パターン情報を体感していない個人の照明時系列イメージ情報に基づいて演算されることも可能である。すなわち、ステップS403において、当該官能評価情報、および、照明時系列イメージ情報に基づいて、照明時系列パターン情報が演算される場合もある。また、上記場合には、導入時系列パターン情報を、照明装置400が設置されていない照明設置空間を利用する利用者が選択する場合がある。
【0109】
以上説明したように、調光および調色の照明制御の体感、評価、調整チューニングを実施することによって、照明装置400が設置されている照明設置空間において適切な照明制御を導出することが可能となる。また、調整チューニングを実施する場合には官能評価情報を使用し、体感前のイメージ情報との差分を演算した官能時系列パターン情報から実際に照明制御する使用官能時系列パターン情報を選択し、調整を実施する。したがって、心理的な側面からユーザにとって心地よい照明空間を提供し、ユーザの空間に対する満足度を向上させることが可能な調光制御および調色制御を提供することが可能となる。
【0110】
以下に、本実施形態の照明制御プランを提示する方法、および、照明制御装置の特徴について記載する。
【0111】
(1) 照明装置400が設置された照明設置空間を利用する利用者に、照明装置400を制御する照明制御装置200によって照明制御プランを提示する方法が開示される。
【0112】
照明制御プランを提示する方法は以下のステップを含む。
(i)第1のステップは、照明装置400が設置された照明設置空間とは異なる照明設置空間に対する照明の個人の好みの明るさレベルおよび色温度レベルを複数の個人から照明時系列イメージ情報として取得するステップである。好みの明るさレベルおよび色温度レベルは、個人が異なる照明設置空間において、照明を体感する前の主観に基づくイメージである。また、異なる照明設置空間における周期的な時間変化のあらかじめ定められた時間帯毎のイメージでもある。
(ii)第2のステップは、取得された複数の照明時系列イメージ情報を初期記憶部300aに記憶するステップである。
(iii)第3のステップは、複数の照明時系列イメージ情報の時間帯毎の好みの明るさレベルおよび色温度レベルを代表する明るさレベルおよび色温度レベルが演算された照明時系列パターン情報を演算するステップである。
(iv)第4のステップは、照明時系列パターン情報を照明制御プランとして提案するステップである。
【0113】
本開示によれば、心理的な側面からユーザにとって心地よい照明空間を提供し、ユーザの空間に対する満足度を向上させることが可能な調光制御および調色制御を提供することが可能となる。
【0114】
(2)照明時系列パターン情報は、複数の照明時系列イメージ情報の時間帯毎の好みの明るさレベルおよび色温度レベルが複数の個人間で最大化されるように演算された情報であることが好ましい。
【0115】
本開示によれば、心理的な好ましさがオフィス全体で最大化するような照明制御を推定することが可能になる。演算する手法は、時間帯毎の好みの明るさレベルおよび色温度レベルの幾何平均値を演算する手法、クラスタリングによる手法、ニューラルネットワークを用いた手法を含むAIを用いた手法によって演算することも可能である。
【0116】
(3) 初期記憶部300aには、照明装置400が設置された照明設置空間とは異なる照明設置空間において導入された導入時系列パターン情報によって照明制御された明るさレベルおよび色温度レベルを体感した個人の官能評価情報が記憶される。
照明時系列パターン情報を演算するステップにおいて、照明時系列パターン情報は、官能評価情報、および、導入時系列パターン情報を体感していない個人の照明時系列イメージ情報に基づいて演算されることが好ましい。
【0117】
本開示によれば、照明制御を体感した個人の官能評価情報がある場合には、官能評価情報をフィードバックすることが可能になる。したがって、心理的な側面からユーザにとって心地よい照明空間を提供し、ユーザの空間に対する満足度を向上させるような照明時系列パターン情報の精度を向上させることが可能となる。
【0118】
(4)第1のステップにおいて、色温度レベルは、暖色系と寒色系を段階的または連続的に示した自然光および人工光源に基づいたイメージ図に基づいて選択されることが好ましい。
【0119】
本開示によれば、照明時系列イメージ情報における色温度レベルをユーザの心理的な側面から精度よく抽出することが可能になる。
【0120】
(5)(v)第5のステップは、異なる照明設置空間の照明設置空間情報および/または前記異なる照明設置空間の利用者の照明利用者情報を取得するステップである。
照明時系列パターン情報は、複数の照明時系列イメージ情報の時間帯毎の好みの明るさレベルおよび色温度レベルが、照明設置空間情報および/または照明利用者情報に関連付けされてパターン分類されることが好ましい。
【0121】
本開示によれば、照明設置空間を利用する利用者の照明制御パターンの選択肢を広げることが可能となり、ユーザの心理的な側面における満足度を向上させることが可能となる。
【0122】
(6)(vi)第6のステップは、提案された照明制御プランとしての照明時系列パターン情報は複数あるステップである。照明設置空間を利用する利用者の属性情報に基づいて、複数の前記照明時系列パターン情報から照明設置空間に実際に導入される照明時系列パターン情報である導入時系列パターン情報が選択されるステップである。
【0123】
本開示によれば、照明装置400が設置された照明設置空間を利用する利用者の満足度を向上させるような、照明制御パターンを実際に導入される導入時系列パターン情報として選択することが可能になる。
【0124】
(7)(vii)第7のステップは、照明装置400が設置された照明設置空間に対する照明の個人の好みの明るさレベルおよび色温度レベルを複数の個人から使用照明時系列イメージ情報として取得するステップである。使用照明時系列イメージ情報は、好みの明るさレベルおよび色温度レベルは、個人が照明設置空間において、照明を体感する前の主観に基づくイメージである。また、使用照明時系列イメージ情報は、照明設置空間における周期的な時間変化のあらかじめ定められた時間帯毎のイメージでもある。
(viii)第8のステップは、照明時系列イメージ情報および使用照明時系列イメージ情報に基づいて、使用照明時系列パターン情報が演算されるステップである。
第4のステップは、前記照明時系列パターン情報の替わりに前記使用照明時系列パターン情報を照明制御プランとして提案することが好ましい。
【0125】
本開示によれば、照明装置400が設置された照明設置空間を利用する利用者の主観に基づくイメージを含めて照明制御パターンを提示することによって、利用者の満足度を向上させるような、照明制御パターンを提示することが可能になる。
【0126】
(8)(ix)第9のステップは、照明装置400が設置された照明設置空間の設置空間情報を示す使用照明設置空間情報および/または照明設置空間の利用者の利用者情報を示す使用照明利用者情報を取得するステップである。
(x)第10のステップは、照明時系列イメージ情報から、使用照明設置空間情報および/または使用照明利用者情報に関連する照明時系列イメージ情報が抽出されるステップである。
【0127】
本開示によれば、照明装置400が設置された照明設置空間の情報および当該照明設置空間を利用する利用者の属性情報に基づく照明時系列イメージ情報を含めて照明制御パターンを提示する。このことによって、利用者の満足度を向上させるような、照明制御パターンを提示することが可能になる。
【0128】
(9)(xi)第11のステップは、提案された照明制御プランとしての使用照明時系列パターン情報は複数あるステップである。また、照明設置空間を利用する利用者の属性情報に基づいて、複数の前記使用照明時系列パターン情報から実際に導入される使用照明時系列パターン情報である使用時系列パターン情報が選択されるステップである。
【0129】
本開示によれば、照明装置400が設置された照明設置空間を利用する利用者の満足度を向上させるような、照明制御パターンを実際に導入される使用時系列パターン情報として選択することが可能になる。
【0130】
(10)(xii)第12のステップは、照明設置空間において導入された使用時系列パターン情報によって照明制御された明るさレベルおよび色温度レベルを体感した個人の官能評価情報が取得されるステップである。
(xiii)第13のステップは、使用照明時系列パターン情報を官能評価情報に基づいて調整した官能時系列パターン情報が演算されるステップである。
(xiv)第14のステップは、官能時系列パターン情報を照明制御プランとして提案するステップである。
(xv)第15のステップは、提案される官能時系列パターン情報は複数あり、照明設置空間を利用する利用者の属性情報に基づいて、複数の官能時系列パターン情報から実際に導入される使用官能時系列パターン情報が選択されるステップである。
【0131】
本開示によれば、照明装置400が設置された照明設置空間を利用する利用者が、照明制御を体感する前に利用者が希望した照明制御パターンを体感し、体感に基づいて、新たな照明制御パターンを演算する。したがって、利用者の納得性が高い照明制御パターンを迅速に提供することが可能になる。すなわち、心理的な側面からユーザにとって心地よい照明空間を提供し、ユーザの空間に対する満足度を向上させることが可能な調光制御および調色制御を提供することが可能となる。
【0132】
(11)(xvi)第16のステップは、照明装置400が設置された照明設置空間において導入された使用官能時系列パターン情報によって照明制御された明るさレベルおよび色温度レベルを体感した個人の新たな官能評価情報が取得されるステップである。また、使用官能時系列パターン情報を前記新たな官能評価情報に基づいて調整した新たな官能時系列パターン情報が演算されるステップである。
(xvii)第17のステップは、新たな官能時系列パターン情報を照明制御プランとして提案するステップである。
【0133】
本開示によれば、照明装置400が設置された照明設置空間を利用する利用者が、体感に基づいた照明制御パターンをさらに体感し、体感に基づいて、新たな照明制御パターンを再度演算する。したがって、利用者の納得性がさらに高い照明制御パターンを精度よく迅速に提供することが可能になる。すなわち、心理的な側面からユーザにとって心地よい照明空間を精度よく提供し、ユーザの空間に対する満足度を精度よく向上させることが可能な調光制御および調色制御を提供することが可能となる。
【0134】
(12)(xvii)第17のステップは、官能評価情報に、明るさレベルおよび色温度レベルの変化に対する評価を文章で記述する情報があり、文章で記述する情報から官能時系列パターン情報に関連する情報が前記官能評価情報として抽出されるステップである。
【0135】
本開示によれば、自由記述欄から官能時系列パターン情報に関連する情報を抽出することが可能になるので、より精度よく、ユーザの心理的な側面から満足度が向上した照明制御パターンを提示することが可能になる。
【0136】
(13)照明時系列イメージ情報、使用照明時系列イメージ情報、および、官能評価情報には季節、天候、休日、平日の少なくとも一つを含む環境情報が含まれることが好ましい。照明時系列パターン情報、使用照明時系列パターン情報、および、官能時系列パターン情報は、環境情報によってクラスタリングされることが好ましい。
【0137】
本開示によれば、環境情報に基づいて、照明時系列パターン情報、使用照明時系列パターン情報、および、官能時系列パターン情報を演算することが可能になる。したがって、より精度よく、ユーザの心理的な側面から満足度が向上した照明制御パターンを提示することが可能になる。
【0138】
(14)利用者の属性情報は、使用照明利用者情報またはあらたに入力される使用照明利用者の心理状況が含まれることが好ましい。
【0139】
本開示によれば、より精度よく、ユーザの心理的な側面から満足度が向上した照明制御パターンを提示することが可能になる。
【0140】
(15)周期的な時間変化は、照明設置空間または異なる照明設置空間における一日の時間変化であることが好ましい。
【0141】
本開示によれば、心理的な好ましさが細かい時間単位によってオフィス全体で最大化するような照明制御を推定することが可能になる。
【0142】
(16)官能評価情報には、明るさレベルおよび色温度レベルの変化に対する肯定的な設問に対する評価、および、明るさレベルおよび色温度レベルの変化に対する否定的な設問に対する評価が含まれることが好ましい。官能時系列パターン情報は照明設置空間を利用する利用者の評価が肯定的に最大化するように演算されることが好ましい。
【0143】
本開示によれば、心理的な好ましさがオフィス全体で最大化するような照明制御を推定することが可能になる。
【0144】
(17) 照明装置400が設置された照明設置空間を利用する利用者に、照明装置400を制御する照明制御プランを提示する照明制御装置200は以下の構成を有する。
(i) 照明装置400が設置された照明設置空間とは異なる照明設置空間に対する照明の個人の好みの明るさレベルおよび色温度レベルを複数の個人から取得された照明時系列イメージ情報を取得するパターン演算部202を含むことが好ましい。好みの明るさレベルおよび色温度レベルは、個人が異なる照明設置空間において、照明を体感する前の主観に基づくイメージであることが好ましい。また、好みの明るさレベルおよび色温度レベルは、異なる照明設置空間における周期的な時間変化のあらかじめ定められた時間帯毎のイメージでもあることが好ましい。照明時系列イメージ情報は初期記憶部300aに記憶されることが好ましい。パターン演算部は、複数の照明時系列イメージ情報の時間帯毎の好みの明るさレベルおよび色温度レベルを代表する明るさレベルおよび色温度レベルを照明時系列パターン情報として演算することが好ましい。
(ii)照明時系列パターン情報を照明制御プランとして提案するパターン提案部203を含むことが好ましい。
【0145】
本開示によれば、心理的な側面からユーザにとって心地よい照明空間を提供し、ユーザの空間に対する満足度を向上させることが可能な調光制御および調色制御を提供することが可能となる。
【0146】
(18) 初期記憶部300aには、異なる照明設置空間において導入された照明時系列パターン情報を示す導入時系列パターン情報によって照明制御された明るさレベルおよび色温度レベルを体感した個人の官能評価情報が記憶されることが好ましい。
パターン演算部202は、官能評価情報、および、導入時系列パターン情報を体感していない個人の照明時系列イメージ情報に基づいて照明時系列パターン情報を演算することが好ましい。
【0147】
本開示によれば、照明制御を体感した個人の官能評価情報がある場合には、官能評価情報をフィードバックすることが可能になる。したがって、心理的な側面からユーザにとって心地よい照明空間を提供し、ユーザの空間に対する満足度を向上させるような照明時系列パターン情報の精度を向上させることが可能となる。
【0148】
(19) 初期記憶部300aには、異なる照明設置空間の照明設置空間情報および/または異なる照明設置空間の利用者の照明利用者情報が記憶されることが好ましい。
照明時系列パターン情報は、複数の照明時系列イメージ情報の時間帯毎の好みの明るさレベルおよび色温度レベルが、照明設置空間情報および/または照明利用者情報に関連付けされてパターン分類されることが好ましい。
【0149】
本開示によれば、照明設置空間を利用する利用者の照明制御パターンの選択肢を広げることが可能となり、ユーザの心理的な側面における満足度を向上させることが可能となる。
【0150】
(20) パターン演算部202は照明設置空間に対する照明の個人の好みの明るさレベルおよび色温度レベルを含む複数の個人から取得された使用照明時系列イメージ情報および前記照明時系列イメージ情報に基づいて、使用照明時系列パターン情報を演算する。好みの明るさレベルおよび色温度レベルは、個人が照明設置空間において、照明を体感する前の主観に基づくイメージである。また、好みの明るさレベルおよび色温度レベルは、照明設置空間における周期的な時間変化のあらかじめ定められた時間帯毎のイメージでもある。
パターン提案部203は、照明時系列パターン情報の替わりに使用照明時系列パターン情報を照明制御プランとして提案することが好ましい。
【0151】
本開示によれば、照明装置400が設置された照明設置空間を利用する利用者の主観に基づくイメージを含めて照明制御パターンを提示することによって、利用者の満足度を向上させるような、照明制御パターンを提示することが可能になる。
【0152】
(21) パターン演算部202で演算される照明時系列イメージ情報は、照明設置空間の設置空間情報を示す使用照明設置空間情報および/または照明設置空間の利用者の利用者情報を示す使用照明利用者情報に関連する照明時系列イメージ情報である。
【0153】
本開示によれば、照明装置400が設置された照明設置空間の情報および当該照明設置空間を利用する利用者の属性情報に基づく照明時系列イメージ情報を含めて照明制御パターンを提示する。このことによって、利用者の満足度を向上させるような、照明制御パターンを提示することが可能になる。
【0154】
(22) パターン演算部202は、使用時系列パターン情報によって照明制御された明るさレベルおよび色温度レベルを体感した個人の官能評価情報に基づいて、使用照明時系列パターン情報を調整した官能時系列パターン情報を演算することが好ましい。
パターン提案部203は、前記官能時系列パターン情報を照明制御プランとして提案することが好ましい。
【0155】
本開示によれば、照明装置400が設置された照明設置空間を利用する利用者が、照明制御を体感する前に利用者が希望した照明制御パターンを体感し、体感に基づいて、新たな照明制御パターンを演算する。したがって、利用者の納得性が高い照明制御パターンを迅速に提供することが可能になる。すなわち、心理的な側面からユーザにとって心地よい照明空間を提供し、ユーザの空間に対する満足度を向上させることが可能な調光制御および調色制御を提供することが可能となる。
【0156】
(23) パターン演算部202は、使用官能時系列パターン情報による照明制御を体感した個人の新たな官能評価情報に基づいて、使用官能時系列パターン情報を調整した新たな官能時系列パターン情報を演算することが好ましい。
パターン提案部203は、新たな官能時系列パターン情報を照明制御プランとして提案することが好ましい。
【0157】
本開示によれば、照明装置400が設置された照明設置空間を利用する利用者が、体感に基づいた照明制御パターンをさらに体感し、体感に基づいて、新たな照明制御パターンを再度演算する。したがって、利用者の納得性がさらに高い照明制御パターンを精度よく迅速に提供することが可能になる。すなわち、心理的な側面からユーザにとって心地よい照明空間を精度よく提供し、ユーザの空間に対する満足度を精度よく向上させることが可能な調光制御および調色制御を提供することが可能となる。
【0158】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。また、さまざまな実施形態の一部または全部を組み合わせて新たな実施形態とすることも可能である。
【符号の説明】
【0159】
100 初期データ生成装置
101 関連付け部
200 照明制御装置
201 使用関連付け部
202 パターン演算部
203 パターン提案部
204 パターン選択部
205 照明制御部
300a 初期記憶部
300b 使用記憶部
300c 官能記憶部
400 照明装置