IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20230929BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20230929BHJP
   G03B 17/55 20210101ALI20230929BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20230929BHJP
   G03B 5/00 20210101ALN20230929BHJP
【FI】
H05K7/20 F
H01L23/36 D
G03B17/55
G03B17/02
G03B5/00 J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022126625
(22)【出願日】2022-08-08
【審査請求日】2022-11-10
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 竜也
(72)【発明者】
【氏名】天野 拓也
(72)【発明者】
【氏名】松尾 佑治
(72)【発明者】
【氏名】金田 憲和
(72)【発明者】
【氏名】板屋 竣介
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-45304(JP,A)
【文献】特開2019-79780(JP,A)
【文献】特開2007-73266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H01L 23/36
G03B 17/55
G03B 17/02
H04N 23/52
G03B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手振れ補正を実行可能な撮像装置であって、
発熱するイメージセンサと、
前記イメージセンサを支持するとともに前記イメージセンサの熱を吸収する可動フレームと、
放熱部材と、
前記可動フレームから熱を吸収する第1の吸熱部および前記放熱部材に熱を放出する第1の放熱部を備える第1の熱伝導シートと、
前記可動フレームから熱を吸収する第2の吸熱部および前記放熱部材に熱を放出する第2の放熱部を備える第2の熱伝導シートと、
前記第1および第2の吸熱部を付勢し、前記第1および第2の吸熱部と前記可動フレームとの接続を維持する弾性部材と、を有し、
前記弾性部材が、互いに重なり合う前記第1の吸熱部と前記第2の吸熱部を前記可動フレームに向かって付勢し、
前記第1の熱伝導シート内の温度が、前記第1の吸熱部から前記第1の放熱部へ向かって連続的に低く、
前記第2の熱伝導シート内の温度が、前記第2の吸熱部から前記第2の放熱部へ向かって連続的に低
前記第1の熱伝導シートおよび前記第2の熱伝導シートは、当該厚さ方向が前記可動フレームの変位方向と一致するように、前記可動フレームと前記放熱部材との間に配置されている、撮像装置
【請求項2】
前記可動フレームが、互いに対向し合う第1および第2の接触面を備え、
前記弾性部材が、前記第1および第2の吸熱部の間に配置され、前記第1の吸熱部を前記第1の接触面に向かって付勢しつつ、第2の吸熱部を前記第2の接触面に向かって付勢する、請求項1に記載の撮像装置
【請求項3】
前記第1および第2の熱伝導シートが、1枚の熱伝導シートの異なる部分であって、前記第1および第2の放熱部が共通化されている、請求項1に記載の撮像装置
【請求項4】
前記第1および第2の熱伝導シートが、グラファイトシートである、請求項1に記載の撮像装置
【請求項5】
前記第1の熱伝導シートおよび前記第2の熱伝導シートは、互いに逆方向に帯状に延在する、請求項1に記載の撮像装置
【請求項6】
手振れ補正を実行可能な撮像装置であって、
発熱するイメージセンサと、
前記イメージセンサを支持するとともに前記イメージセンサの熱を吸収する可動フレームと、
放熱部材と、
前記可動フレームから熱を吸収する第1の吸熱部および前記放熱部材に熱を放出する第1の放熱部を備える第1の熱伝導シートと、
前記可動フレームから熱を吸収する第2の吸熱部および前記放熱部材に熱を放出する第2の放熱部を備える第2の熱伝導シートと、
前記第1および第2の放熱部を付勢し、前記第1および第2の放熱部と前記放熱部材との接続を維持する弾性部材と、を有し、
前記弾性部材が、互いに重なり合う前記第1の放熱部と前記第2の放熱部を前記放熱部材に向かって付勢し、
前記第1の熱伝導シート内の温度が、前記第1の吸熱部から前記第1の放熱部へ向かって連続的に低く、
前記第2の熱伝導シート内の温度が、前記第2の吸熱部から前記第2の放熱部へ向かって連続的に低
前記第1の熱伝導シートおよび前記第2の熱伝導シートは、当該厚さ方向が前記可動フレームの変位方向と一致するように、前記可動フレームと前記放熱部材との間に配置されている、撮像装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、冷却対象(電子部品)の熱を熱伝導シートを介して放熱部材(筺体)に伝達する電子機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-42582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された電子機器の場合、熱伝導シートは、両面テープを介して冷却対象に接続している。その両面テープが、熱抵抗となり、冷却対象から熱伝導シートへの熱移動量が減少する。その対処として、熱伝導シートと冷却対象の接触面を拡大することが考えられる。しかしながら、冷却対象の大きさなどの制約によって接触面を拡大できない場合がある。
【0005】
そこで、本開示は、冷却対象から放熱部材に熱を伝達する熱伝導シートを用いた電子機器において、熱伝導シートと冷却対象の接触面を拡大することなく、冷却対象から放熱部材への熱移動量を増加させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本開示の一態様によれば、
冷却対象と、
放熱部材と、
前記冷却対象から熱を吸収する第1の吸熱部および前記放熱部材に熱を放出する第1の放熱部を備える第1の熱伝導シートと、
前記冷却対象から熱を吸収する第2の吸熱部および前記放熱部材に熱を放出する第2の放熱部を備える第2の熱伝導シートと、
前記第1および第2の吸熱部を付勢し、前記第1および第2の吸熱部と前記冷却対象との接続を維持する弾性部材と、を有し、
前記弾性部材が、互いに重なり合う前記第1の吸熱部と前記第2の吸熱部を前記冷却対象に向かって付勢する、電子機器が提供される。
【0007】
また、本開示の別態様によれば、
冷却対象と、
放熱部材と、
前記冷却対象から熱を吸収する第1の吸熱部および前記放熱部材に熱を放出する第1の放熱部を備える第1の熱伝導シートと、
前記冷却対象から熱を吸収する第2の吸熱部および前記放熱部材に熱を放出する第2の放熱部を備える第2の熱伝導シートと、
前記第1および第2の放熱部を付勢し、前記第1および第2の放熱部と前記放熱部材との接続を維持する弾性部材と、を有し、
前記弾性部材が、互いに重なり合う前記第1の放熱部と前記第2の放熱部を前記放熱部材に向かって付勢する、電子機器が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、冷却対象から放熱部材に熱を伝達する熱伝導シートを用いた電子機器において、熱伝導シートと冷却対象の接触面を拡大することなく、冷却対象から放熱部材への熱移動量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施の形態に係る撮像装置の右前方斜視図
図2】本開示の一実施の形態に係る撮像装置の左前方斜視図
図3】本開示の一実施の形態に係る撮像装置の後方斜視図
図4】本開示の一実施の形態に係る撮像装置の正面図
図5】本開示の一実施の形態に係る撮像装置の底面図
図6】本開示の一実施の形態に係る撮像装置の分解斜視図
図7】本開示の一実施の形態に係る撮像装置におけるフロントユニットの前方分解斜視図
図8】本開示の一実施の形態に係る撮像装置におけるフロントユニットの後方分解斜視図
図9】本開示の一実施の形態に係る撮像装置におけるセンサモジュールの前方分解斜視図
図10】本開示の一実施の形態に係る撮像装置におけるセンサモジュールの後方分解斜視図
図11】本開示の一実施の形態に係る撮像装置におけるトップユニットの下方斜視図
図12】本開示の一実施の形態に係る撮像装置におけるトップユニットの分解斜視図
図13】本開示の一実施の形態に係る撮像装置における冷却モジュールの分解斜視図
図14】本開示の一実施の形態に係る撮像装置における、上方突出部内での空気の流れを示す部分断面図
図15】本開示の一実施の形態に係る撮像装置における、上方突出部内での空気の流れを示す上面図
図16】本開示の一実施の形態に係る撮像装置におけるヒートシンクの断面図
図17】本開示の一実施の形態に係る撮像装置におけるヒートシンクに対する空気の流れを示す斜視図
図18】本開示の一実施の形態の撮像装置におけるヒートシンクと冷却対象との接続を示す斜視図
図19】本開示の一実施の形態の撮像装置におけるヒートシンクと冷却対象との接続を示す断面図
図20】本開示の一実施の形態の撮像装置における熱伝導シートの展開図
図21】本開示の一実施の形態の撮像装置におけるヒートシンクと熱伝導シートとの接続を示す下方斜視図
図22】本開示の一実施の形態の撮像装置における熱伝導シートと第1の冷却対象の接続を示す後方斜視図
図23】本開示の一実施の形態の撮像装置における熱伝導シートと第1の冷却対象の接続を示す後面図
図24】本開示の一実施の形態の撮像装置における熱伝導シートと第1の冷却対象の接続を示す分解斜視図
図25】本開示の一実施の形態の撮像装置におけるヒートシンクと第2の冷却対象の接続を示す後方斜視図
図26】本開示の一実施の形態の撮像装置におけるヒートシンクと第2の冷却対象の接続を示す後面図
図27A】熱伝導シートと第1の冷却対象との実施例の接続の概略図
図27B】熱伝導シートと第1の冷却対象との比較例の接続の概略図
図28】本開示の別の実施の形態の撮像装置における熱伝導シートと第1の冷却対象の接続を示す概略図
図29】本開示のさらに別の実施の形態の撮像装置における複数の熱伝導シートを介する放熱部材と第1の冷却対象との接続を示す概略図
図30】本開示の一実施の形態の撮像装置におけるヒートシンク内での熱伝導を示す概略図
図31】本開示の一実施の形態の撮像装置におけるヒートシンクの第1~第3のフィンを通過する空気の流れを示す概略図
図32】ヒートシンクの温度分布を算出するためのヒートシンクのシミュレーションモデルを示す図
図33A】実施例のヒートシンクのシミュレーションモデルの断面図
図33B】比較例のヒートシンクのシミュレーションモデルの断面図
図34】実施例および比較例のヒートシンクの温度分布図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0011】
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0012】
以下、本開示の実施の形態に係る撮像装置について図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1図5は、本開示の一実施の形態1に係る撮像装置の右前方斜視図、左前方斜視図、後方斜視図、正面図、および底面図である。なお、撮像装置の一部分は概略的に図示されている。
【0014】
ここで、図に示すX-Y-Z直交座標系は、本開示の実施の形態の理解を容易にするためのものであって、本開示の実施の形態を限定するものではない。X軸方向は撮像装置の前後方向であって、Y軸方向は左右方向であって、Z軸方向は高さ方向である。また、撮影時に被写体が存在する側を、撮像装置の前側とする。
【0015】
図1図5に示すように、本実施の形態に係る撮像装置10は、ペンタミラーを備える一眼レフカメラと類似の意匠性を有する。撮像装置10は、筺体12を備える。その筺体12には、レンズマウント14と、電子ビューファインダ(EVF)16とが設けられている。具体的には、レンズマウント14は、筺体12の前面12aに設けられている。電子ビューファインダ16は、筺体12の頂面12bの左右方向の概ね中央部分から突出する上方突出部12c内に設けられている。レンズマウント14の光軸C(レンズマウント14に取り付けられるレンズの光軸)を含んで高さ方向(Z軸方向)に延在する仮想平面(Z-X平面)に交差するように、レンズマウント14および電子ビューファインダ16が設けられている。また、その仮想平面と交差するように、雲台取り付け用のめねじ穴12dが筺体12の底面12eに設けられている。
【0016】
また、本実施の形態の場合、筺体12の後面12fには、バリアングル式のモニタ18が設けられている。バリアングル式のモニタ18は、高さ方向(Z軸方向)に延在する第1の回転中心線および第1の回転中心線に対して直交する方向に延在する第2の回転中心線を中心として回動可能に筺体12に設けられている。
【0017】
図6は、本開示の一実施の形態に係る撮像装置の分解斜視図である。
【0018】
図6に示すように、本実施の形態に係る撮像装置10は、フロントユニット20、リアユニット22、およびトップユニット24から構成されている。
【0019】
フロントユニット20は、筺体12の一部を構成し、少なくとも筺体12の前面12aを備えるフロントケーシング30を含んでいる。
【0020】
リアユニット22は、筺体12の一部を構成し、少なくとも筺体12の後面12fを備えるリアケーシング32を含んでいる。リアケーシング32は、上方突出部12cの後側部分を含んでいる。
【0021】
トップユニット24は、筺体12の一部を構成し、少なくとも筺体12の頂面12bを備えるトップケーシング34を含んでいる。トップケーシング34は、上方突出部12cの前側部分を含んでいる。
【0022】
フロントケーシング30、リアケーシング32、およびトップケーシング34が、例えばねじなどを介して互いに固定されることにより、撮像装置10の筺体12が形成される。
【0023】
図7および図8は、本開示の一実施の形態に係る撮像装置におけるフロントユニットの前方分解斜視図および後方分解斜視図である。
【0024】
図7および図8に示すように、フロントユニット20は、フロントケーシング30に加えて、撮像モジュール40、レンズマウントモジュール42、メイン回路基板44、バッテリ46、および伝熱プレート48が含まれている。また、撮像モジュール40は、センサモジュール50と、シャッタモジュール52とを含んでいる。
【0025】
図9および図10は、本開示の一実施の形態に係る撮像装置におけるセンサモジュールの前方分解斜視図および後方斜視図である。
【0026】
図9および図10に示すように、撮像モジュール40のセンサモジュール50は、イメージセンサ54を含んでいる。イメージセンサ54は、レンズマウント14に取り付けられたレンズを透過した画像光を受光面54aで受光し、受光した画像光を電気信号に変換するデバイスである。イメージセンサ54は、回路基板56に実装されている。
【0027】
また、本実施の形態の場合、撮像装置10は、手振れ補正を実行できるように構成されている。すなわち、撮像装置10を持つユーザの手の振動によって画像ぶれが生じないようにイメージセンサ54を光軸Cと直交する方向に変位させることが可能に、センサモジュール50は構成されている。具体的には、センサモジュール50は、イメージセンサ54を支持する可動フレーム58と、可動フレーム58を左右方向(Y軸方向)および高さ方向(Z軸方向)に移動可能に支持するフロントフレーム60とリアフレーム62とを含んでいる。なお、センサモジュール50は、フロントフレーム60を介して、フロントケーシング30に固定される。
【0028】
フロントフレーム60とリアフレーム62は、互いに固定され、その間で可動フレーム58が変位するように、可動フレーム58を支持する。可動フレーム58を変位させるための複数のコイル64および複数の磁石66が、可動フレーム58、フロントフレーム60、およびリアフレーム62に設けられている。フロントフレーム60上の磁石66とリアフレーム62上の磁石66との間に、可動フレーム58上のコイル64が配置されている。コイル64に電流が流れることにより、磁石66の間に形成された磁界の中でコイル64が変位する。その結果、可動フレーム58が変位し、可動フレーム58に回路基板56を介して支持されているイメージセンサ54が変位する。
【0029】
なお、コイル64は、フレキシブルケーブル68を介して回路基板56に電気的に接続されている。その回路基板56は、フレキシブルケーブル70を介してメイン回路基板44に電気的に接続されている。
【0030】
また、可動フレーム58には、保護ガラス72、赤外線カットガラスなどの複数の光学フィルタを含むフィルタモジュール74が、イメージセンサ54の前方に位置するように設けられている。
【0031】
さらに、イメージセンサ54は、可動フレーム58に対して熱移動可能に接続(接触)されている。具体的には、回路基板56に形成された貫通穴56aを介して、可動フレーム58に設けられた凸部58aがイメージセンサ54に接触することにより、イメージセンサ54と可動フレーム58が熱移動可能に接続されている。これにより、撮像中に発熱するイメージセンサ54の熱が、可動フレーム58に吸収される。なお、可動フレーム58は、イメージセンサ54の熱を吸収するために、アルミニウムなどの高い熱伝導率を備える材料から作製されている。また、可動フレーム58からの熱の移動については後述する。
【0032】
図7および図8に示すように、撮像モジュール40のシャッタモジュール52は、センサモジュール50の前方に配置されている。シャッタモジュール52は、露光時間を調節するためのシャッタを含んでいる。シャッタモジュール52は、フレキシブルケーブル76を介して、メイン回路基板44に電気的に接続されている。
【0033】
レンズマウントモジュール42は、レンズマウント14とレンズマウント14に取り付けられたレンズと電気的に接続する電子接点78を含んでいる。電子接点78は、フレキシブルケーブル80を介して、メイン回路基板44に電気的に接続されている。
【0034】
メイン回路基板44は、撮像モジュール40の後方に配置されている。そのメイン回路基板44には、フレキシブルケーブル82を介してバッテリ46が電気的に接続されている。メイン回路基板44は、センサモジュール50のイメージセンサ54、シャッタモジュール52のシャッタ、レンズマウント14に取り付けられたレンズなどを制御する。
【0035】
伝熱プレート48は、主にメイン制御基板44に実装された複数のICチップ84を冷却するための部材であって、ICチップ84に対して、例えば伝熱シート(図示せず)を介して接触している。すなわち、伝熱プレート48とICチップ84は、熱移動可能に接続されている。ICチップ84は、例えば、イメージセンサ54からの電気信号に基づいて画像データを生成する画像処理用のチップ、画像データなどを記憶するメモリなどである。この伝熱プレート48に、動作中に発熱するICチップ84の熱が吸収される。なお、伝熱プレート48は、ICチップ84の熱を吸収するために、アルミニウムなどの高い熱伝導率を備える材料から作製されている。また、伝熱プレート48からの熱の移動については後述する。
【0036】
図3および図6に示すように、リアユニット22は、リアケーシング32に加えて、電子ビューファインダ16と、モニタ18と、複数の操作ボタン86とを含んでいる。これらは、フレキシブルケーブル87を介してメイン回路基板44に電気的に接続されている。それにより、電子ビューファインダ16とモニタ18は、メイン回路基板44によって制御される。
【0037】
図11は、本開示の一実施の形態に係る撮像装置におけるトップユニットの下方斜視図である。また、図12は、本開示の一実施の形態に係る撮像装置におけるトップユニットの分解斜視図である。
【0038】
図11および図12に示すように、トップユニット24は、トップケーシング34に加えて、シャッタボタンなどの複数の操作ボタン88と、冷却モジュール90とを含んでいる。操作ボタン88と冷却モジュール90は、フレキシブルケーブル92、94を介してメイン回路基板44に電気的に接続されている。
【0039】
冷却モジュール90は、撮像モジュール40のセンサモジュール50上のイメージセンサ54とメイン回路基板44上のICチップ84とを強制冷却するモジュールであって、筺体12の上方突出部12c内に格納されている。なお、冷却モジュール90は、電子ビューファインダ16とともに上方突出部12cに格納されており、電子ビューファインダ16の前方に配置されている。
【0040】
図13は、本開示の一実施の形態に係る撮像装置における冷却モジュールの分解斜視図である。また、図14は、本開示の一実施の形態に係る撮像装置における、上方突出部内での空気の流れを示す部分断面図である。さらに、図15は、本開示の一実施の形態に係る撮像装置における、上方突出部内での空気の流れを示す上面図である。加えて、図16、ヒートシンクの断面図である。そして、図17は、ヒートシンクに対する空気の流れを示す斜視図である。
【0041】
図13および図14に示すように、冷却モジュール90は、ヒートシンク96(放熱部材)と、ヒートシンク96を冷却する空気の流れFを発生させるファン98とを含んでいる。また、冷却モジュール90は、ファン98をヒートシンク96に取り付けるためのダンパ100を含んでいる。ダンパ100は、ファン98の振動を吸収する。なお、本実施の形態の場合、ファン98は、軸流ファンであって、斜め上前方から斜め下後方に向かって空気を吹き出すように、ヒートシンク96に取り付けられている。
【0042】
図14および図15に示すように、空気が流れる流路P(空気の流れFが発生する流路)は、トップケーシング34の上方突出部12cと冷却モジュール90によって画定されている。流路Pの一端である吸気口12gと、他端である排気口12h、12iは、トップケーシング34の上方突出部12cに形成されている。具体的には、本実施の形態の場合、図15および図5に示すように、吸気口12gは、筺体12の前面12aから前方に向かって突出する上方突出部12cの突出部分における下面に形成されている。また、排気口12h、12iは、図15に示すように、上方突出部12cの左側側面と右側側面に形成されている。排気口12h、12iは、左右方向(Y軸方向)に対向する。この排気口12h、12iの間に冷却モジュール90のヒートシンク96が配置されている。
【0043】
ヒートシンク96は、流路P内に配置される第1のフィン96a、第2のフィン96b、および第3のフィン96cを備える。本実施の形態の場合、ヒートシンク96は、ファン98によって蓋をされる開口を上側部分に備える箱状であって、高い熱伝導率を備える材料、例えばアルミニウムから作製されている。
【0044】
具体的には、図13図14図16、および図17に示すように、本実施の形態の場合、ヒートシンク96は、矩形状の底板部96dと、底板部96dの左右方向(Y軸方向)の両端それぞれからファン98に向かって立設する(本実施の形態の場合、高さ方向(Z軸方向)に立設する)一対の左側壁部96eおよび右側壁部96fとを含んでいる。左側壁部96eおよび右側壁部96fそれぞれには、左右方向に貫通して空気が通過する通気穴96g、96hが形成されている。
【0045】
また、ヒートシンク96は、図14に示すように、底板部96dの前後方向(X軸方向)の両端それぞれからファン98に向かって立設する(本実施の形態の場合、高さ方向(Z軸方向)に立設する)前側壁部96iおよび後側壁部96jを含んでいる。さらに、図14に示すように、ヒートシンク96は、底板部96dの前後方向の一端(本実施の形態の場合、後端)からファン98から離れる方向(本実施の形態の場合、下方向)に延在する舌片部96kを含んでいる。
【0046】
図14に示すように、複数の第1のフィン96aは、ファン98に対向するヒートシンク96の底板部96dの第1の表面96mからファン98に向かって高さ方向(Z軸方向)に立設している。第1のフィン96aは、ピン状のフィンであって、本実施の形態の場合、円形断面を備える。また、本実施の形態の場合、図17に示すように、複数の第1のフィン96aは、第1の表面96m上に千鳥状に配置されている。
【0047】
図13図16、および図17に示すように、複数の第2のフィン96bは、ヒートシンク96の左側壁部96eの通気穴96g内と右側壁部96fの通気穴96h内のそれぞれに、間隔をあけて前後方向(X軸方向)に並んで設けられている。第2のフィン96bは、左右方向(Y軸方向)および高さ方向(Z軸方向)に延在するプレート状のフィンである。
【0048】
図13図14に示すように、複数の第3のフィン96cは、ヒートシンク96の前側壁部96iから前方に突出し、間隔をあけて左右方向(Y軸方向)に並んで設けられている。第3のフィン96cは、前後方向(X軸方向)および高さ方向(Z軸方向)に延在するプレート状のフィンである。図14および図5に示すように、第3のフィン96cは、吸気口12g内に配置されている。
【0049】
図17に示すように、空気の流れFにおいて、第3のフィン96cが最も上流側に位置し、第2のフィン96bが最も下流側に位置する。すなわち、ファン98の回転によって吸気口12g内に進入した空気は、まず、複数の第3のフィン96cの間を通過する。次に、空気は、複数の第1のフィン96a間を通過しつつ、底板部96dの第1の表面96mにガイドされ、2つの通気穴96g、96hそれぞれに向かう方向に分岐する。そして、空気は、図15に示すように、通気穴96g、96hそれぞれに設けられた第2のフィン96b間を通過した後、筺体12の上方突出部12cに設けられた排気口12h、12iを介して外部に流出する。
【0050】
図13に示すように、ヒートシンク96の通気穴96g、96hそれぞれを通過した空気がもれなく排気口12h、12iを通過するように、上方突出部12cとヒートシンク96との隙間を塞ぐリングシール102、104が、ヒートシンク96に設けられている。また、排気口12h、12iへのユーザの指の侵入を防ぐフィンガーガード106、108がヒートシンク96に設けられている。
【0051】
なお、このような排気口12h、12iを介して、雨などの液体が上方突出部12c内に侵入し、ヒートシンク96の底板部96d上に溜まる可能性がある。この対処として、図16に示すように、ヒートシンク96の通気穴96gの底面96nが、底板部96dの第1の表面96mに比べて低レベルに位置する。このような通気穴96gにより、ヒートシンク96の底板部96d上の液体が、上方突出部12cの外部に出やすくなる。
【0052】
図18および図19は、本開示の一実施の形態の撮像装置におけるヒートシンクと冷却対象との接続を示す斜視図および断面図である。
【0053】
上述したように、冷却モジュール90は、撮像モジュール40のセンサモジュール50上のイメージセンサ54およびメイン回路基板44上のICチップ84を強制冷却するためのものである。そのために、図18および図19に示すように、冷却モジュール90のヒートシンク96は、熱源であるイメージセンサ54を支持する可動フレーム58(熱源支持部材)と、熱源であるICチップ84と接触する伝熱プレート48とに接触している。すなわち、可動フレーム58と伝熱プレート48が、冷却モジュール90の冷却対象である。
【0054】
図19に示すように、本実施の形態の場合、第1の冷却対象の可動フレーム58は、熱伝導シート110を介して、冷却モジュール90のヒートシンク96に接触(接続)している。
【0055】
図20は、本開示の一実施の形態の撮像装置における熱伝導シートの展開図である。また、図21は、本開示の一実施の形態の撮像装置におけるヒートシンクと熱伝導シートとの接続を示す下方斜視図である。さらに、図22は、本開示の一実施の形態の撮像装置における熱伝導シートと第1の冷却対象の接続を示す後方斜視図である。さらにまた、図23は、本開示の一実施の形態の撮像装置における熱伝導シートと第1の冷却対象の接続を示す部分的後面図である。そして、図24は、本開示の一実施の形態の撮像装置における熱伝導シートと第1の冷却対象の接続を示す分解斜視図である。
【0056】
図20に示すように、熱伝導シート110は、例えば高い熱伝導率を備え、且つ、可撓性を備える材料から作製されている。本実施の形態の場合、熱伝導シート110は、高い熱伝導率を備えるグラファイトから作製されたグラファイトシートである。
【0057】
図20図23に示すように、熱伝導シート110は、ヒートシンク96に接続(接触)する放熱部110aと、冷却対象の可動フレーム58と接続(接触)する第1および第2の吸熱部110b、110cとを備える。第1および第2の吸熱部110b、110cは、互いに逆方向に延在する一対の帯状部110d、110eに設けられている。
【0058】
図21に示すように、熱伝導シート110の放熱部110aは、ヒートシンク96の底板部96dの第2の表面96p(第1の接続部)に接続(接触)している。第2の表面96pは、第1のフィン96aが設けられている第1の表面96mの反対側の表面である。この放熱部110aを介して、熱伝導シート110からヒートシンク96に熱が放出される。
【0059】
なお、図19に示すように、熱伝導シート110の放熱部110aとヒートシンク96の底板部96dの第2の表面96pとの接触は、シート押え部材112によって維持されている。シート押え部材112は、ウレタンフォームなどの弾性部材114を介して熱伝導シート110に接触し、それにより熱伝導シート110とヒートシンク96との接触を維持している。なお、シート押え部材112は、図9および図10に示すように、センサモジュール50のフロントフレーム60に取り付けられている。
【0060】
図23に示すように、熱伝導シート110の第1および第2の吸熱部110b、110cは、可動フレーム58に接続している。具体的には、第1の吸熱部110bと第2の吸熱部110cは、互いに重なり合う状態で可動フレーム58の頂面58bに接続する。厳密にいえば、第1の吸熱部110bが頂面58bに直接的に接続し、第2の吸熱部110cが頂面58bに間接的に接触する。すなわち、一対の帯状部110d、110eがループを形成することにより、第1の吸熱部110bと第2の吸熱部110cが互いに重なり合う。
【0061】
また、第1の吸熱部110bと第2の吸熱部110cとの間には、ウレタンフォームなどの弾性部材116が配置されている。第1の吸熱部110b、弾性部材116、および第2の吸熱部110cの積層体は、可動フレーム58に固定されたシート押え部材118の底面118aと可動フレーム58の頂面58bとに挟持されている。弾性部材116により、第1の吸熱部110bが可動フレーム58の頂面58bに向かって付勢されて接触し続け、第2の吸熱部110cがシート押え部材118の底面118aに向かって付勢されて接触し続ける。このような弾性部材116により、第1の吸熱部110bと可動フレーム58との接続と、第2の吸熱部110cとシート押え部材118を介する可動フレーム58との接続が維持されている。
【0062】
本実施の形態の場合、シート押え部材118は、可動フレーム58と同様に、アルミニウムなどの高い熱伝導率を備える材料から作製されている。これにより、可動フレーム58の熱は、第1の吸熱部110bには直接的に移動し、第2の吸熱部110cにはシート押え部材118を介して移動する。この場合、弾性部材116は、熱伝導率が低い材料から作製されてもよい。
【0063】
なお、可動フレーム58とシート押え部材118は、一部品として一体化されてもよい。
【0064】
可動フレーム58とヒートシンク96が熱伝導シート110を介して接続される理由は、可動フレーム58がヒートシンク96に対して変位するからである。可動フレーム58が変位すると熱伝導シート110が変形する。その変形をしやすくするために、図23に示すように、熱伝導シート110は、その厚さ方向が可動フレーム58の変位方向(左右方向(Y軸方向)および高さ方向(Z軸方向))と一致するように、可動フレーム58とヒートシンク96との間に配置されている。
【0065】
第2の冷却対象である伝熱プレート48は、可動フレーム58と異なり、直接的にヒートシンク96と接続(接触)している。
【0066】
図25および図26は、本開示の一実施の形態の撮像装置におけるヒートシンクと第2の冷却対象の接続を示す後方斜視図および後面図である。
【0067】
図25および図26に示すように、ヒートシンク96は、その舌片部96kに、伝熱プレート48と接触するための接触面96q(第2の接続部)を備える。伝熱プレート48は、例えばねじなどによって舌片部96kに固定されることにより、接触面96qと接触し続ける。
【0068】
これまでは、本開示の一実施の形態に係る撮像装置10の構成について説明してきた。ここからは、本開示の一実施の形態に係る撮像装置10のいくつかの特徴についてさらに詳細に説明する。
【0069】
まず、図23に示すように、熱伝導シート110が、第1の吸熱部110bと第2の吸熱部110cを備え、その第1の吸熱部110bと第2の吸熱部110cとが互いに重なり合う状態で第1の冷媒対象(可動フレーム58)に接続する特徴について説明する。
【0070】
図27Aは、熱伝導シートと第1の冷却対象との実施例の接続の概略図である。また、図27Bは、熱伝導シートと第1の冷却対象との比較例の接続の概略図である。
【0071】
まず、熱伝導シート110、すなわちグラファイトシート110は、実質的に熱を伝導するグラファイト層110fとそのグラファイト層110fを保護する樹脂層110g(例えばPET層)とを備える。
【0072】
図27Aに示すように、可動フレーム58内の熱H(イメージセンサ54から吸収した熱)は、頂面58bに直接的に接触する第1の吸熱部110b内のグラファイト層110f層の内部に移動するとともに、シート押え部材118の底面118aを介して第2の吸熱部110c内のグラファイト層110fの内部に移動する。そして、その熱は、図21に示すようにヒートシンク96に接続する放熱部110aを介して、ヒートシンク96に移動する。なお、頂面58bと第1の吸熱部110bの接触および底面118aと第2の吸熱部110cの接触は、弾性部材116の付勢によって維持されている。
【0073】
このような熱伝導シート110、可動フレーム58、およびシート押え部材118の接続によれば、熱伝導シート110と可動フレーム58の接触面を拡大させることなく、可動フレーム58から熱伝導シート110への熱移動量を増加させることができる。具体的には、第1および第2の吸熱部110b、110cが互いに重なり合う状態で、可動フレーム58とシート押え部材118に接続することにより、熱伝導シート110との接触面を増加させることができる。その結果、熱伝導シート110と可動フレーム58の接触面を拡大させることなく、可動フレーム58から熱伝導シート110の熱移動量を増加させることができる。
【0074】
また、図27Aに示すように、熱伝導シート110の第1の吸熱部110bと第2の吸熱部110cは、熱抵抗となる両面テープを介して、可動フレーム58に固定されていない。そのため、可動フレーム58と第1の吸熱部110bの間、およびシート押え部材118と第2の吸熱部110cの間で熱損失が実質的に起こらない。
【0075】
図27Bに示す比較例ように、両面テープ200を介して第1の吸熱部110bが可動フレーム58に固定され、両面テープ202を介して第2の吸熱部110cが第1の吸熱部110bに固定される場合、第2の吸熱部110cに移動する熱Hの量が減少する。すなわち、両面テープ200によって第1の吸熱部110bと可動フレーム58との間で熱損失が発生し、両面テープ202によって第1の吸熱部110bと第2の吸熱部110cとの間で熱損失が発生する。その結果、第2の吸熱部110cには十分な量の熱Hが移動できず、そのため、可動フレーム58から熱伝導シート110への熱移動量が少ない。
【0076】
なお、本実施の形態の場合、図23に示すように、第1の吸熱部110bと第2の吸熱部110cとの間に弾性部材116が配置され、これらの積層体が可動フレーム58の頂面58bとシート押さえ部材118の底面118aとに挟持されている。しかしながら、本開示の実施の形態は、これに限らない。
【0077】
図28は、本開示の別の実施の形態の撮像装置における熱伝導シートと第1の冷却対象の接続を示す概略図である。
【0078】
図28に示すように、別の実施の形態において、熱伝導シート110の第1の吸熱部110bと第2の吸熱部110cは、直接的に接触した状態で互いに重なり合う。この場合、弾性部材116は、シート押え部材118の底面118aと第2の吸熱部110cとの間に配置される。このような接続は、熱伝導シート110の樹脂層110gの熱抵抗が低い場合に有効である。あるいは、熱伝導シートが、グラファイトシートと異なり、樹脂層を備えていない銅シートやアルミニウムシートの場合に、有効である。
【0079】
なお、これまでは弾性部材116の熱伝導率が低い前提で説明してきたが、弾性部材116は、熱伝導率が高い材料で作製されてもよい。
【0080】
さらに、図20に示すように、可動フレーム58からヒートシンク96に熱を伝達する熱伝導シート110は、一枚のシートである。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。例えば、可動フレーム58からヒートシンク96に熱を伝達する熱伝導シートは、複数枚であってもよい。
【0081】
図29は、本開示のさらに別の実施の形態の撮像装置における複数の熱伝導シートを介する放熱部材と第1の冷却対象との接続を示す概略図である。
【0082】
図29に示すように、さらに別の実施の形態の撮像装置は、可動フレーム58からヒートシンク96に熱を伝達する第1の熱伝導シート204と第2の熱伝導シート206とを有する。
【0083】
第1の熱伝導シート204は、帯状であって、可動フレーム58から熱を吸収する第1の吸熱部204aと、ヒートシンク96に熱を放出する第1の放熱部204bとを備える。
【0084】
第2の熱伝導シート206は、帯状であって、可動フレーム58から熱を吸収する第2の吸熱部206aと、ヒートシンク96に熱を放出する第2の放熱部206bとを備える。
【0085】
また、弾性部材208が、第1の熱伝導シート204の第1の吸熱部204aと第2の熱伝導シート206の第2の吸熱部206aの可動フレーム58への接続を維持する。具体的には、弾性部材208が、第1の吸熱部204aと第2の吸熱部206aとの間に配置され、第1の吸熱部204aを可動フレーム58に熱移動可能に接続されているテープ押さえ部材212に向かって付勢しつつ、第2の吸熱部206aを可動フレーム58に向かって付勢している。
【0086】
さらに、弾性部材210が、第1の熱伝導シート204の第1の放熱部204bと第2の熱伝導シート206の第2の放熱部206bのヒートシンク96への接続を維持する。具体的には、弾性部材210が、第1の放熱部204bと第2の放熱部206bとの間に配置され、第1の放熱部204bを ヒートシンク96に向かって付勢しつつ、第2の放熱部206bをヒートシンク96に熱移動可能に接続されているテープ押さえ部材214に向かって付勢している。
【0087】
このようなさらに別の実施の形態よれば、熱伝導シートの枚数を増加させるだけで、可動フレーム58からヒートシンク96への熱移動量を簡単に増加させることができる。
【0088】
なお、図20に示す熱伝導シート110は、第1および第2の熱伝導シート204、206の第1および第2の放熱部204b、206bが一体化(共通化)されたものに相当する。すなわち、第1および第2の放熱部204b、206bは、1枚の熱伝導シート110の異なる部分とみなすことができる。
【0089】
次に、第1の冷却対象(可動フレーム58)と第2の冷却対象(伝熱プレート48)に接続し、これらを冷却する放熱部材(ヒートシンク96)の特徴について説明する。
【0090】
図30は、本開示の一実施の形態の撮像装置におけるヒートシンク内での熱伝導を示す概略図である。
【0091】
図30に示すように、第1の冷却対象58(可動フレーム)からの熱は、優先的にヒートシンク96における第1のフィン96aで放熱される。そのために、図19に示すように、ヒートシンク96において、第1の冷却対象58に熱伝導シート110を介して接続する第1の接続部96p(第2の表面)が、第2の冷却対象48(伝熱プレート)に接続する第2の接続部96q(接触面)に比べて、第1のフィン96aに近い位置に設けられている。
【0092】
また、図30および図19に示すように、ヒートシンク96は、第2の接続部96qと第1のフィン96aとの間の部分に、第2の接続部96qから第1のフィン96aへの最短距離での熱伝導を抑制する切り欠き部96rを備える。切り欠き部96rは、ヒートシンク96に設けられ、熱が伝導する媒体がない空間である。すなわち、切り欠き部96r内の空気層が断熱材として機能する。本実施の形態の場合、図19および図26に示すように、切り欠き部96rは、舌片部96kに形成され、左右方向(Y軸方向)に長く、前後方向(X軸方向)に貫通する貫通穴である。貫通穴は、前後方向の深さに比べて大きい左右方向の長さを備える。具体的には、貫通穴状の切り欠き部96rは、切り欠き部96rの左側端と舌片部96kの左側端との間の距離および切り欠き部96rの右側端と舌片部96kの右側端との間の距離に比べて、大きい長さを備えている。
【0093】
このような第1のフィン96aに対する第1および第2の接続部96p、96qの位置と切り欠き部96rにより、第1の接続部96pに接続された第1の冷却対象58(可動フレーム)の熱が、第2の接続部96qに接続された第2の冷却対象48(伝熱プレート)の熱に比べて優先的に、第1のフィン96aで放熱される。
【0094】
第2の接続部96qで第2の冷却対象48から受け取った熱Hは、切り欠き部96rをバイパスして第1のフィン96aに向かって伝導する。この切り欠き部96rをバイパスして第1のフィン96aに向かう熱伝導を抑制するために、その熱伝導経路上に第2のフィン96bが設けられている。具体的には、図26に示すように、第2の接続部96qの熱Hは、貫通穴状の切り欠き部96rの左右方向(Y軸方向)の両端に向かって伝導する。切り欠き部96rをバイパスした熱は、左側壁部96eと右側壁部96fに向かう。熱は、図17に示すように、左側壁部96eの通気穴96g内の第2のフィン96bと右側壁部96fの通気穴96h内の第2のフィン96bに向かって伝導し、その第2のフィン96bで放熱される。これは、第2のフィン96bが空気の流れFによって冷却されているからである。この第2のフィン96bにより、第1の接続部96pに接続された第1の冷却対象58(可動フレーム)の熱が、第2の接続部96qに接続された第2の冷却対象48(伝熱プレート)の熱に比べてより優先的に、第1のフィン96aで放熱される。言い換えると、第1の冷却対象58からの熱は優先的に第1のフィン96aで放熱され、第2の冷却対象48からの熱は優先的に第2のフィン96bで放熱される。その結果、第1および第2の冷却対象48、58それぞれについて高い冷却効率を維持することができる。
【0095】
なお、図17に示すように、第1のフィン96aは、第2のフィン96bに比べてヒートシンク96を冷却する空気の流れFの方向の上流側に位置する。また、第1の冷却対象58(可動フレーム)の冷却の優先度が、第2の冷却対象48(伝熱プレート)の冷却の優先度に比べて高い。例えば、第1の冷却対象58に熱を吸収される熱源であるイメージセンサ54の許容温度(安定動作を保証する温度)が、第2の冷却対象48に熱を吸収されるICチップ84の許容温度に比べて低い。第2の冷却対象48から第1のフィン96aへの熱伝導が抑制されているために、第1のフィン96aによって冷却優先度が高い第1の冷却対象58を確実に冷却することができる。
【0096】
そして、形状が異なる複数種類の第1~第3のフィン96a~96cを備える放熱部材(ヒートシンク96)の特徴について説明する。
【0097】
図31は、本開示の一実施の形態の撮像装置におけるヒートシンクの第1~第3のフィンを通過する空気の流れを示す概略図である。
【0098】
図31および図17に示すように、ヒートシンク96は、空気の流れFが発生する流路P内に配置されるピン状の第1のフィン96aと、プレート状の第2のフィン96bと、プレート状の第3のフィン96cとを備える。
【0099】
図31に示すように、ピン状の第1のフィン96aは、空気の流れFの方向が変わる流路Pの流れ方向転換部内に配置されている。具体的には、図17に示すように、第1のフィン96aは、ヒートシンク96の底板部96dの第1の表面96m上に配置されている。
【0100】
図31に示すように、プレート状の第2のフィン96bは、第1のフィン96aが設けられた流れ方向転換部に対して下流側の流路Pの部分に配置されている。具体的には、図17に示すように、第2のフィン96bは、底板部96dの左右方向(Y軸方向)の両端それぞれから立設する左側壁部96eの通気穴96g内と右側壁部96fの通気穴96h内に配置されている。
【0101】
図31に示すように、プレート状の第3のフィン96cは、第1のフィン96aが設けられた流れ方向転換部に対して上流側の流路Pの部分に配置されている。第1のフィン96aの上流側にファン98が設けられており、そのファン98の上流側に第3のフィン96cが設けられている。具体的には、図17に示すように、第3のフィン96cは、底板部96dの前端から立設する前側壁部96iから前方に突出している。
【0102】
なお、本実施の形態の場合、第1のフィン96aが設けられている流路Pの流れ方向転換部は、流路Pが複数の異なる方向に分岐する分岐部である。本実施の形態の場合、流路Pは、左右方向(Y軸方向)に且つ180度異なる方向に分岐している。その分岐部で分岐した流路Pの分岐路P1、P2上に、第2のフィン96bが配置されている。具体的には、分岐路P1、P2は、左側壁部96eの通気穴96g内の空間と右側壁部96fの通気穴96h内の空間である。
【0103】
また、第1の冷却対象58(可動フレーム)が、第2のフィン96bおよび第3のフィン96cに比べて第1のフィン96aに近いヒートシンク96の部分に接続されている。具体的には、図19に示すように、第1の冷却対象58は、第1のフィン96aが設けられた第1の表面96mに対して反対側の底板部96dの第2の表面96pに、熱伝導シート110を介して接続している。
【0104】
このようなフィン構造のヒートシンク96によれば、第1の冷却対象58をより効率的に冷却することができる。発明者は、シミュレーションを行うことにより、このようなフィン構造のヒートシンク96を見い出した。
【0105】
図32は、ヒートシンクの温度分布を算出するためのヒートシンクのシミュレーションモデルを示す図である。また、図33Aは、実施例のヒートシンクのシミュレーションモデルの断面図である。さらに、図33Bは、比較例のヒートシンクのシミュレーションモデルの断面図である。そして、図34は、実施例および比較例のヒートシンクの温度分布図である。なお、これらの断面図は、図32のA-A線に沿った断面図である。
【0106】
図32図33A、および図33Bに示すように、発明者は、実施例のヒートシンク300と比較例のヒートシンク400のシミュレーションモデルを作成し、これらのモデルでの温度分布のシミュレーションを実行した。なお、実施例および比較例のヒートシンク300、400は、第1のフィン300c、400cの形状が異なる点を除いて、実質的に同一である。
【0107】
具体的には、実施例および比較例のヒートシンク300、400は、T字状の内部流路Pを備え、1つの吸気口300aと、対向し合う2つの排気口300bを備える。1つの吸気口300aには、1つの吸気口300aから2つの排気口300bそれぞれに向かう空気の流れを内部流路Pに発生させるファン302が取り付けられている。
【0108】
1つの吸気口300aには、プレート状の第3のフィン300dが設けられている。また、2つの排気口300bそれぞれには、プレート状の第2のフィン300eが設けられている。
【0109】
流路Pの流れ方向転換部には、すなわち、2つの排気口300bの間の流路Pの部分には、第1のフィン300c、400cが設けられている。実施例のヒートシンク300の場合、第1のフィン300cはピン状のフィンである。比較例のヒートシンク400の場合、空気の流れに沿って延在するプレート状のフィンである。そして、第1のフィン300c、400cの反対側のヒートシンク300、400の外側表面部分には、冷却対象である熱源304が取り付けられている。
【0110】
なお、シミュレーションは、25℃の環境下であって、熱源304が12wの熱出力で発熱し、ファン302が6000rpmの回転数で回転する条件で行った。また、ヒートシンク300、400の内部表面の表面積は同一であって、約4600平方ミリメートルである。
【0111】
シミュレーションの結果、図34に示す温度分布が得られた。実施例のヒートシンク300の場合、熱源304の温度は約72度であった。一方、比較例のヒートシンク400の場合、熱源304の温度は、約73度であった。したがって、流路Pの流れ方向転換部に設けられた第1のフィン300c、400cの形状の違いにより、熱源304の温度が約1度異なることになった。
【0112】
図34に示すシミュレーション結果から、発明者は、流路の流れ方向転換部には、プレート状のフィンではなく、ピン状のフィンを設ける方が、フィンの放熱効率が向上し、ヒートシンクに取り付けられた冷却対象をより冷却することができると結論付けた。
【0113】
なお、シミュレーションでは、流路の分岐部にピン状のフィンを設けていたが、分岐することなく流れ方向が変わる流路の流れ方向転換部にピン状のフィンを設けても、同様の効果が得られると考えられる。また、図14に示すように第1のピン96aの突出方向(Z軸方向)対して斜めにファン98からの空気がその第1のピン96aに当たる場合でも、空気が突出方向に対して直交する方向に当たる第1のピン300cを備えるシミュレーションモデルの実施例のヒートシンク300と同様の効果が得られ得ると考えられる。すなわち、ピン状の第1のフィンに当たる直前の空気の流れ方向が異なっていても、得られる効果はほぼ同一と考えられる。
【0114】
以上のような本実施の形態によれば、冷却対象から放熱部材に熱を伝達する熱伝導シートを用いた電子機器において、熱伝導シートと冷却対象の接触面を拡大することなく、冷却対象から放熱部材への熱移動量を増加させることができる。
【0115】
以上、上述の実施の形態を挙げて本開示の実施の形態を説明したが、本開示の実施の形態は上述の実施の形態に限定されない。
【0116】
例えば、上述の実施の形態は、撮像装置10である。しかしながら、本開示の実施の形態は、撮像装置に限らない。
【0117】
すなわち、本開示の一実施の形態に係る電子機器は、広義には、冷却対象と、放熱部材と、前記冷却対象から熱を吸収する第1の吸熱部および前記放熱部材に熱を放出する第1の放熱部を備える第1の熱伝導シートと、前記冷却対象から熱を吸収する第2の吸熱部および前記放熱部材に熱を放出する第2の放熱部を備える第2の熱伝導シートと、前記第1および第2の吸熱部を付勢し、前記第1および第2の吸熱部と前記冷却対象との接続を維持する弾性部材と、を有し、前記弾性部材が、互いに重なり合う前記第1の吸熱部と前記第2の吸熱部を前記冷却対象に向かって付勢する。
【0118】
また、本開示の別の実施の形態に係る電子機器は、広義には、冷却対象と、放熱部材と、前記冷却対象から熱を吸収する第1の吸熱部および前記放熱部材に熱を放出する第1の放熱部を備える第1の熱伝導シートと、前記冷却対象から熱を吸収する第2の吸熱部および前記放熱部材に熱を放出する第2の放熱部を備える第2の熱伝導シートと、前記第1および第2の放熱部を付勢し、前記第1および第2の放熱部と前記放熱部材との接続を維持する弾性部材と、を有し、前記弾性部材が、互いに重なり合う前記第1の放熱部と前記第2の放熱部を前記放熱部材に向かって付勢する。
【0119】
以上のように、本開示における技術の例示として、上述の実施の形態を説明してきた。そのために、図面および詳細な説明を提供している。したがって、図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上述の技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0120】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略等を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本開示は、ヒートシンクを用いて熱源などの冷却対象を冷却させる構造の電子機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0122】
58 冷却対象(可動フレーム)
110 熱伝導シート
110a 放熱部
110b 第1の吸熱部
110c 第2の吸熱部
116 弾性部材
【要約】
【課題】冷却対象から放熱部材に熱を伝達する熱伝導シートを用いた電子機器において、熱伝導シートと冷却対象の接触面を拡大することなく、冷却対象から放熱部材への熱移動量を増加させる。
【解決手段】電子機器は、冷却対象58と、放熱部材と、冷却対象58から熱を吸収する第1の吸熱部110bおよび放熱部材に熱を放出する第1の放熱部110aを備える第1の熱伝導シート110と、冷却対象58から熱を吸収する第2の吸熱部110cおよび放熱部材に熱を放出する第2の放熱部110aを備える第2の熱伝導シート110と、第1および第2の吸熱部110b、110cを付勢し、第1および第2の吸熱部110b、110cと冷却対象88との接続を維持する弾性部材116とを有する。弾性部材116が、互いに重なり合う第1の吸熱部110bと第2の吸熱部110cを冷却対象58に向かって付勢する。
【選択図】図23
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27A
図27B
図28
図29
図30
図31
図32
図33A
図33B
図34