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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】電解コンデンサ及び座板
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/008 20060101AFI20230929BHJP
   H01G 9/048 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
H01G9/008 301
H01G9/048 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019016438
(22)【出願日】2019-01-31
(65)【公開番号】P2020123711
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2022-01-14
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小柳 健太郎
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/023257(WO,A1)
【文献】特開平03-225913(JP,A)
【文献】国際公開第2016/157693(WO,A1)
【文献】特開平06-029161(JP,A)
【文献】特開2000-269084(JP,A)
【文献】国際公開第2012/032720(WO,A1)
【文献】特開2003-324034(JP,A)
【文献】特開2006-286985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/008
H01G 9/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の一端に開口部を有するケースと、前記開口部を塞ぐ閉塞部と、を有する外装部材と、
前記閉塞部から露出した棒状の引出部を含む一対のリード部材と、
を有するコンデンサ本体を備え、
前記軸方向から見て、前記引出部の幅は、前記外装部材の径の0.1倍以上であり、
前記一対のリード部材の各々は、前記引出部から延びて前記引出部の幅よりも小さい厚さを有する延在部を更に含み、
前記コンデンサ本体に取り付けられた座板を更に備え、
前記座板は、前記一対のリード部材を通す一対の貫通孔を有し、
前記延在部は、
前記軸方向に延びた第1部位と、
前記第1部位から前記軸方向と交差する方向に延びた第2部位と、を有し、
前記一対の貫通孔の各々は、前記コンデンサ本体の回転を規制する回転規制構造として、
前記座板の厚さ方向から見て、前記延在部の前記第1部位に沿った長方形状の第1孔と、
前記第1孔につながっており前記引出部に沿った半円状の第2孔と、を有する、
電解コンデンサ。
【請求項2】
前記延在部の幅は、前記引出部の幅の2倍以上である、
請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項3】
前記座板は、前記一対の貫通孔の内面の一部を含み前記一対の貫通孔の間を隔てる隔壁を有し、
前記軸方向から見て、中心が前記引出部の中心と一致しかつ前記延在部の幅と同一長さの径を有する仮想円は、前記隔壁と交差する、
請求項2に記載の電解コンデンサ。
【請求項4】
前記延在部は、前記貫通孔に通された部分を有し、
前記軸方向と直交する断面において、前記一対の貫通孔の各々の開口面積は、前記引出部の断面積の3倍以上である、
請求項2又は3に記載の電解コンデンサ。
【請求項5】
前記座板は、前記一対の貫通孔の内面の一部を含み前記一対の貫通孔の間を隔てる隔壁を有し、
前記一対の貫通孔が並んでいる並び方向における、前記隔壁と前記引出部の中心との間の距離は、前記軸方向から見て前記並び方向と直交する方向における、前記貫通孔の前記内面と前記引出部の前記中心との間の距離よりも小さい、
請求項1~4のいずれか一項に記載の電解コンデンサ。
【請求項6】
前記座板は、前記一対の貫通孔の内面の一部を含み前記一対の貫通孔の間を隔てる隔壁を有し、
前記隔壁は、前記一対の貫通孔の前記内面の一部として設けられた平面状の平面部を含む、
請求項1~5のいずれか一項に記載の電解コンデンサ。
【請求項7】
前記軸方向における前記ケースの長さは、前記ケースの径の1.4倍以上である、
請求項1~6のいずれか一項に記載の電解コンデンサ。
【請求項8】
電解コンデンサに備えられる座板であって、
前記電解コンデンサは、
軸方向の一端に開口部を有するケースと、前記開口部を塞ぐ閉塞部と、を有する外装部材と、
前記閉塞部から露出した棒状の引出部を含む一対のリード部材と、
を有するコンデンサ本体を備え、
前記軸方向から見て、前記引出部の幅は、前記外装部材の径の0.1倍以上であり、
前記一対のリード部材の各々は、前記引出部から延びて前記引出部の幅よりも小さい厚さを有する延在部を更に含み、
前記座板は、前記一対のリード部材を通す一対の貫通孔を有し、
前記軸方向から見て、前記一対の貫通孔内に前記引出部が収まり、
前記延在部は、
前記軸方向に延びた第1部位と、
前記第1部位から前記軸方向と交差する方向に延びた第2部位と、を有し、
前記一対の貫通孔の各々は、前記コンデンサ本体の回転を規制する回転規制構造として、
前記座板の厚さ方向から見て、前記延在部の前記第1部位に沿った長方形状の第1孔と、
前記第1孔につながっており前記引出部に沿った半円状の第2孔と、を有する、
座板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電解コンデンサ及び座板に関し、より詳細には、外装部材とリード部材とを備える電解コンデンサ及びこの電解コンデンサに備えられる座板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外装部材とリード部材とを備える電解コンデンサが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1記載の電解コンデンサは、有底筒状の金属ケース(外装部材)と、一対のリード線(リード部材)とを備え、一対のリード部材は外装部材から外部に引き出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭60-148107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような電解コンデンサでは、電解コンデンサの使用条件等に応じて、ESR(Equivalent Series Resistance;等価直列抵抗)を小さくすることを求められる場合がある。
【0005】
本開示は、ESRを小さくしやすい電解コンデンサ及びこの電解コンデンサに備えられる座板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電解コンデンサは、コンデンサ本体を備える。前記コンデンサ本体は、外装部材と、一対のリード部材と、を有する。前記外装部材は、ケースと、閉塞部と、を有する。前記ケースは、軸方向の一端に開口部を有する。前記閉塞部は、前記開口部を塞ぐ。前記一対のリード部材は、棒状の引出部を含む。前記引出部は、前記閉塞部から露出している。前記軸方向から見て、前記引出部の幅は、前記外装部材の径の0.1倍以上である。前記一対のリード部材の各々は、前記引出部から延びて前記引出部の幅よりも小さい厚さを有する延在部を更に含む。前記電解コンデンサは、前記コンデンサ本体に取り付けられた座板を更に備える。前記座板は、前記一対のリード部材を通す一対の貫通孔を有する。前記延在部は、前記軸方向に延びた第1部位と、前記第1部位から前記軸方向と交差する方向に延びた第2部位と、を有する。前記一対の貫通孔の各々は、前記コンデンサ本体の回転を規制する回転規制構造として、第1孔と、第2孔と、を有する。前記第1孔は、前記座板の厚さ方向から見て、前記延在部の前記第1部位に沿った長方形状の孔である。前記第2孔は、前記第1孔につながっており前記引出部に沿った半円状の孔である。
【0007】
本開示の一態様に係る座板は、電解コンデンサに備えられる。前記電解コンデンサは、コンデンサ本体を備える。前記コンデンサ本体は、外装部材と、一対のリード部材と、を有する。前記外装部材は、ケースと、閉塞部と、を有する。前記ケースは、軸方向の一端に開口部を有する。前記閉塞部は、前記開口部を塞ぐ。前記一対のリード部材は、棒状の引出部を含む。前記引出部は、前記閉塞部から露出している。前記軸方向から見て、前記引出部の幅は、前記外装部材の径の0.1倍以上である。前記一対のリード部材の各々は、延在部を更に含む。前記延在部は、前記引出部から延びている。前記延在部は、前記引出部の幅よりも小さい厚さを有する。前記座板は、一対の貫通孔を有する。前記一対の貫通孔は、前記一対のリード部材を通す。前記軸方向から見て、前記一対の貫通孔内に前記引出部が収まる。前記延在部は、前記軸方向に延びた第1部位と、前記第1部位から前記軸方向と交差する方向に延びた第2部位と、を有する。前記一対の貫通孔の各々は、前記コンデンサ本体の回転を規制する回転規制構造として、第1孔と、第2孔と、を有する。前記第1孔は、前記座板の厚さ方向から見て、前記延在部の前記第1部位に沿った長方形状の孔である。前記第2孔は、前記第1孔につながっており前記引出部に沿った半円状の孔である。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、電解コンデンサのESRを小さくしやすいという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る電解コンデンサの断面図である。
図2図2は、同上の電解コンデンサの座板及び第2部位を省略した下面図である。
図3図3は、同上の電解コンデンサの座板の平面図である。
図4図4は、同上の電解コンデンサの座板の下面図である。
図5図5は、同上の電解コンデンサの下面図である。
図6図6は、同上の電解コンデンサの第2部位を省略した下面図である。
図7図7は、比較例に係る電解コンデンサの下面図である。
図8図8A図8Eは、一実施形態に係る電解コンデンサの製造方法の説明図である。
図9図9は、変形例1に係る電解コンデンサの第2部位を省略した下面図である。
図10図10は、変形例2に係る電解コンデンサの第2部位を省略した下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る電解コンデンサ及び座板について、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0011】
本実施形態では代表例として、電解コンデンサ1がアルミ電解コンデンサであるとして説明する。
【0012】
(1)構成
図1に示すように、電解コンデンサ1は、コンデンサ本体10を備えている。コンデンサ本体10は、外装部材2と、一対のリード部材5とを有している。
【0013】
外装部材2は、ケース3と、閉塞部4とを有している。ケース3は、中空の円柱状に形成されている。ケース3は、軸方向の一端に開口部31を有する。閉塞部4は、開口部31を塞いでいる。
【0014】
一対のリード部材5の各々は、棒状の引出部6を含む。引出部6は、閉塞部4から露出している。すなわち、引出部6は、閉塞部4のうちケース3の外部に露出した一の面41から突出している。本実施形態では、引出部6の形状は円柱状である。
【0015】
図2では、一対のリード部材5の各々の後述の第2部位72の図示を省略している。図2に示すように、ケース3の軸方向(長手方向)から見て、引出部6の幅L1は、外装部材2の径(直径)L2の0.1倍以上である。ここで、本実施形態では、引出部6の形状は円柱状である。そのため、本実施形態では、ケース3の軸方向から見て、引出部6の幅L1は、引出部6の直径に相当する。ケース3の軸方向と直交する断面において、引出部6の断面形状が一方向に長い形状(例えば、長方形状)の場合は、引出部6の幅L1は、ケース3の軸方向と直交する断面における引出部6の短手方向の長さに相当する。
【0016】
本実施形態によれば、引出部6の幅L1が外装部材2の径L2の0.1倍未満である場合と比較して、電解コンデンサ1のESRを小さくしやすい。すなわち、引出部6の幅を大きくすることにより、引出部6の電気抵抗が小さくなるので、電解コンデンサ1のESRを小さくできる。そして、ESRが小さくなる分、電解コンデンサ1に流すことが可能なリップル電流の大きさが大きくなる。また、電解コンデンサ1にリップル電流が流れることにより電解コンデンサ1が熱を発生することがある。引出部6の幅を大きくすることにより、電解コンデンサ1で発生した熱がリード部材5を伝導して放熱されやすくなるので、電解コンデンサ1に流すことが可能なリップル電流の大きさが大きくなる。このように、電解コンデンサ1では、リップル電流の許容値が大きくなる。
【0017】
引出部6の幅L1の一例は、0.8mmである。外装部材2の径L2の一例は、6.3mmである。
【0018】
以下、図1を参照して、電解コンデンサ1の構成についてより詳細に説明する。
【0019】
電解コンデンサ1は、コンデンサ本体10に加えて、座板8を更に備えている。コンデンサ本体10は、コンデンサ素子11と、一対のリードタブ12とを更に備えている。
【0020】
コンデンサ素子11は、陽極体と、陰極体と、セパレータとを有している。陽極体は、アルミニウム、タンタル、またはニオブなどの弁作用金属を含む金属箔と、この金属箔の表面に形成された誘電体層とを含む。陰極体は、アルミニウムなどの金属箔を含む。セパレータは、陽極体と陰極体との間に介在し、電解質を保持している。電解質としては、導電性高分子などの固体電解質や電解液などを使用することができ、導電性高分子及び電解液の両方を使用してもよい。陽極体、陰極体及びセパレータはそれぞれ、シート状に形成されている。陽極体、陰極体及びセパレータは、重なり合った状態でロール状に巻かれている。
【0021】
ケース3は、軸方向の一端(図1における下端)に開口部31を有する有底円筒状である。ケース3は、コンデンサ素子11を収容している。ケース3を構成する材料は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、鉄、真鍮及びこれらの合金からなる群から選択される一種以上の材料である。
【0022】
ケース3の開口部31は、閉塞部4により塞がれている。閉塞部4の形状は、円盤状である。閉塞部4を構成する材料は、例えば、EPT(ethylene-propyleneterpolymer)、IIR(isobutylene‐isoprenerubber)等のゴム材料、又はエポキシ樹脂等の樹脂材料である。
【0023】
ケース3のうち開口部31の近傍の部位はケース3の内側に向かって絞り加工されている。これによって、ケース3の内部に設けられた閉塞部4がケース3にかしめられている。
【0024】
座板8は、電気絶縁性を有している。座板8を構成する材料は、例えば樹脂材料である。図1、3、4に示すように、座板8は、基台81と、縁部82と、を含む。基台81の形状は、正方形状である。ただし、基台81の4つの角のうち図3における紙面右側の2つが面取りされている。基台81は、ケース3の軸方向において閉塞部4に対向している。縁部82は、板状の基台81の周縁から基台81と直交する方向に沿って突出している。縁部82の内周面821の形状は円状である。縁部82の内側にケース3のうち開口部31側の一端が収まった状態で、ケース3が基台81に載せ置かれている。
【0025】
基台81のうち、ケース3に接している面を第1の面811と称し、基台81の厚さ方向において第1の面811とは反対側の面を第2の面812と称する。基台81は、第2の面812に一対の溝部813を有している。一対の溝部813の各々は、基台81の厚さ方向と交差する方向(図1の紙面左右方向)に延びている。一対の溝部813の各々の深さ(座板8の厚さ方向における深さ)の一例は、0.2~0.3mmである。
【0026】
さらに、基台81は、一対の貫通孔814を有している。一対の貫通孔814は、一対の溝部813と一対一で対応している。一対の貫通孔814は、対応する溝部813の底面に形成されており、基台81を厚さ方向に貫通している。一対の貫通孔814の各々の形状は長方形状である。一対の貫通孔814の各々の短手方向は、一対の貫通孔814が並んでいる方向(図4の紙面左右方向)に沿っている。
【0027】
縁部82の外形は、基台81の外形に沿った正方形状である。縁部82のうち2つの角(図3における左上の角及び左下の角)に相当する部位にはそれぞれ、突台部823が形成されている。すなわち、縁部82は2つの突台部823を有している。2つの突台部823の各々における基台81からの突出量は、縁部82のうち突台部823の周囲の部位における基台81からの突出量よりも大きい。
【0028】
図1に示すように、一対のリードタブ12の少なくとも一部は、閉塞部4に埋め込まれている。一対のリードタブ12は、一対のリード部材5と一対一で対応している。一対のリードタブ12の各々は、対応するリード部材5に電気的に接続されている。一対のリードタブ12のうち一方は、コンデンサ素子11の陽極体に電気的に接続されており、他方は、コンデンサ素子11の陰極体に電気的に接続されている。
【0029】
一対のリード部材5の各々の引出部6は、閉塞部4を貫通して閉塞部4の外部に突出している。また、基台81の一対の貫通孔814は、一対のリード部材5と一対一で対応している。閉塞部4の外部に突出した一対のリード部材5の各々は、対応する貫通孔814に通されている。
【0030】
一対のリード部材5の各々は、延在部7を更に含む。延在部7は、引出部6から延びてケース3の外部に露出している。延在部7は、引出部6のうち、ケース3の軸方向から見て引出部6の中心C1(図5参照)から外れた位置から延びている。より詳細には、一対のリード部材5の各々において、延在部7は、引出部6のうち、左右方向(1対のリード部材5が並んでいる方向)における他方のリード部材5側の端から延びている。引出部6のうち延在部7付近の部位は、延在部7に向かって傾斜している。ここで、ケース3の軸方向から見て、引出部6の形状は円状であり、ケース3の軸方向から見た引出部6の中心C1は当該円の中心である。
【0031】
延在部7の厚さは、引出部6の幅L1(図2参照)よりも小さい。上述の通り、引出部6の幅L1の一例は、0.8mmである。延在部7の厚さの一例は、0.2~0.3mmである。延在部7の厚さとしては、以下に説明する第1部位71の厚さL3と、第2部位72の厚さL32とがある。第1部位71の厚さL3と、第2部位72の厚さL32とのいずれも、引出部6の厚さよりも小さい。
【0032】
延在部7は、第1部位71と、第2部位72とを有している。第1部位71は、一対のリード部材5が並んでいる方向(図1の紙面左右方向)に厚さを有している。第1部位71は、引出部6からケース3の軸方向に延びている。第1部位71は、基台81の貫通孔814に通されている。第2部位72は、ケース3の軸方向に沿った方向に厚さを有している。第1部位71の厚さL3は、第2部位72の厚さL32よりも小さい。第2部位72は、第1部位71からケース3の軸方向と交差する方向(図1の紙面左右方向)に延びている。ここで、電解コンデンサ1は、基板に表面実装可能なチップコンデンサである。したがって、第2部位72は、基板上の導体に電気的に接続される部位である。
【0033】
一対のリード部材5は、基台81の一対の溝部813と一対一で対応している。図5に示すように、一対のリード部材5の各々の第2部位72は、対応する溝部813に通されている。すなわち、一対のリード部材5の各々の第2部位72は、第1部位71から突出して溝部813に沿って延びている。これら2つの第2部位72は、互いに反対向きに延びている。すなわち、2つの第2部位72は、基台81の中心から離れる向きに延びている。第2部位72の厚さL32は、溝部813の深さ以下である。ここで、第2部位72の厚さL32は、溝部813の深さと同程度であってもよい。また、第2部位72の厚さL32は、実装性を損なわない範囲で溝部813の深さよりも大きくてもよい。
【0034】
外装部材2は、座板8に保持されている。より詳細には、外装部材2は、座板8の基台81と、一対のリード部材5の第2部位72との間に挟まれることで保持されている。また、基台81の一対の溝部813にそれぞれ第2部位72が通されているので、外装部材2の回転が規制される。
【0035】
各リード部材5において、引出部6と延在部7とは一体に形成されている。より詳細には、リード部材5のもとになる円柱状(棒状)の導体が部分的に圧縮されることで、圧縮された部位の形状が板状となる。導体の径(直径)の一例は、0.8mmである。さらに、圧縮されて板状となった部位が第1部位71と第2部位72との境界部分で折り曲げられることで、延在部7が形成される。圧縮されて延在部7として形成された部位は、圧縮されずに引出部6として形成された部位よりも厚さが小さい。
【0036】
ケース3の軸方向と第2部位72の長手方向との両方に直交する方向(図2の紙面上下方向)において、延在部7の幅L4(図2参照)は、引出部6の幅L1(図2参照)の2倍以上である。上述の通り、引出部6の幅(直径)L1の一例は、0.8mmである。延在部7の幅L4の一例は、1.6~2.1mmである。既に述べたように、延在部7は、リード部材5のもとになる円柱状(棒状)の導体が部分的に圧縮されることで形成される。より詳細には、延在部7は、円柱状の導体が厚さ方向(図2の紙面左右方向)に圧縮されて幅L4が長くなるにつれて、厚さL3(及びL32)が小さくなる。したがって、延在部7の幅L4を引出部6の幅L1と比較して大きくする分、延在部7の厚さL3(及びL32)を小さくできる。特に、延在部7の第2部位72の厚さL32を比較的小さくすることができる。これにより、基台81の厚さ方向における電解コンデンサ1の長さを短くすることができる。
【0037】
また、延在部7の幅L4は、延在部7の幅方向における座板8の幅L8(図5参照)の0.25倍以上である。
【0038】
また、延在部7の第2部位72は、電解コンデンサ1を基板に実装する際に基板上の導体に半田を介して電気的に接続され、かつ、機械的に接続される。第2部位72の幅L4を比較的大きくすることで、基板と電解コンデンサ1との接続部分の面積を比較的大きくすることができる。そのため、ケース3の軸方向におけるケース3の長さL5(図1参照)が比較的長く、電解コンデンサ1の重心が基板から比較的遠くても、電解コンデンサ1を基板に安定的に固定できる。本実施形態の電解コンデンサ1では、図1に示すように、ケース3の軸方向におけるケース3の長さL5は、ケース3の径(外装部材2の径L2)の1.4倍以上である。長さL5の一例は、10.5mmである。上述の通り、外装部材2の径L2の一例は、6.3mmである。
【0039】
図5に示すように、座板8の基台81は、隔壁815を有している。隔壁815は、一対の貫通孔814の間の部位である。隔壁815の形状は板状である。隔壁815は、一対の貫通孔814の内面816の一部を含み、一対の貫通孔814の間を隔てている。より詳細には、隔壁815において厚さ方向(図5の紙面左右方向)の両面が平面状の平面部817となっており、この2つの平面部817が、一対の貫通孔814の内面816の一部である。隔壁815の厚さ(後述の距離L9に等しい厚さ)の一例は、1.0mmである。
【0040】
一対のリード部材5の各々の引出部6に関して、次の関係が成り立つ。一対の貫通孔814が並んでいる方向(並び方向)における、隔壁815と引出部6の中心C1との間の距離L6は、ケース3の軸方向から見てこの並び方向と直交する方向における、貫通孔814の内面816と引出部6の中心C1との間の距離L7よりも小さい。つまり、座板8は、距離L6が距離L7よりも小さくなるようにコンデンサ本体10に取り付けられている。距離L6の一例は、0.7mmである。距離L7の一例は、1.2mmである。
【0041】
本実施形態の電解コンデンサ1では、距離L6と距離L7との大小関係が逆の場合と比較して、隔壁815の厚さが大きいので、隔壁815の強度の向上を図ることができる。
【0042】
また、図6に、延在部7の第2部位72の図示を省略した電解コンデンサ1を図示する。図6に示すように、一対のリード部材5の各々の引出部6に関して、ケース3の軸方向から見て、中心が引出部6の中心C1と一致しかつ延在部7の幅L4と同一長さの径を有する仮想円200は、隔壁815と交差している。つまり、座板8は、仮想円200が隔壁815と交差するような位置にコンデンサ本体10に取り付けられている。仮想円200が隔壁815と交差しない場合と比較して、隔壁815の厚さが大きいので、隔壁815の強度の向上を図ることができる。また、隔壁815のうち貫通孔814の内面816を構成する面は、平面状の平面部817なので、平面部817に代えて仮想円200に沿った面が形成されている場合と比較して、隔壁815の厚さを厚くできる。
【0043】
また、長方形状の各貫通孔814のうち平面部817と隣接する2つの角部818は、仮想円200の外に位置している。一対の貫通孔814間の距離L9は、仮想円200の半径以下である。一対のリード部材5の各々の引出部6の周りに仮想円200が描かれた場合に、これら2つの仮想円200間の最短距離L10は、仮想円200の半径未満である。なお、これら2つの仮想円200が互いに接していてもよい。
【0044】
ケース3の軸方向と直交する断面において、一対の貫通孔814の各々の開口面積は、一対のリード部材5のうち当該貫通孔814に通されたリード部材5の引出部6の断面積の3倍以上である。つまり、一対の貫通孔814のうち一方の貫通孔814の開口面積は、一対のリード部材5のうち当該貫通孔814に通されたリード部材5の引出部6の断面積の3倍以上である。他方の貫通孔814の開口面積は、他方のリード部材5の引出部6の断面積の3倍以上である。本実施形態では、一対の貫通孔814の各々の開口面積は互いに等しく、一対のリード部材5の各々の引出部6の断面積は互いに略等しい。
【0045】
(2)比較例
次に、図7に示す比較例に係る電解コンデンサ1Pについて説明する。実施形態に係る電解コンデンサ1と共通する構成については説明を省略する。
【0046】
電解コンデンサ1Pの座板8Pにおいて、一対の貫通孔814Pの各々は、円形に形成されている。そして、一対の貫通孔814Pの間に隔壁815Pが設けられている。そのため、各貫通孔814Pの内面のうち、隔壁815Pに隣接する面は、円弧状の面である。各貫通孔814Pの周囲には、円形の溝819Pが形成されている。溝819Pは、左右方向に延びた溝部813Pにつながっている。
【0047】
リード部材5Pは、実施形態のリード部材5の材料となる線材(棒状の導体)と比較して、径(直径)がより小さい線材(棒状の導体)を材料として形成されている。ここで、電解コンデンサ1PのESRを小さくするために、リード部材5Pの材料として径がより大きい線材を使用することが考えられる。
【0048】
比較例の電解コンデンサ1Pにおいて、仮にリード部材5Pの材料として径がより大きい線材を使用して、それに伴い一対の貫通孔814Pの径も大きくすると、一対の貫通孔814Pの間の隔壁815Pの厚さが不足する可能性がある。すなわち、一対の貫通孔814Pの並んでいる方向における隔壁815Pの厚さが小さくなり、隔壁815Pの強度が不足する可能性がある。そのため、比較例の電解コンデンサ1Pの構成では、リード部材5Pの材料として径がより大きい線材を使用して引出部6Pの径を大きくすることが難しい。
【0049】
これに対して、実施形態に係る電解コンデンサ1では、隔壁815(図5参照)の厚さを確保しやすい構成を採用している。具体的には、電解コンデンサ1では、一対の貫通孔814が並んでいる方向(並び方向)における、隔壁815と引出部6の中心C1との間の距離L6は、ケース3の軸方向から見てこの並び方向と直交する方向における、貫通孔814の内面816と引出部6の中心C1との間の距離L7よりも小さい。そのため、実施形態の構成では、一対の貫通孔814の面積を大きくしても、隔壁815の厚さが小さくなりにくい。つまり、隔壁815のうち貫通孔814の内面816の一部が平面状の平面部817となっているので、平面部817に代えて比較例のように円弧状の面が設けられている場合と比較して、隔壁815と引出部6の中心C1との間の距離L6が短くなる。
【0050】
なお、実施形態に係る電解コンデンサ1では、比較例と比較して、リード部材5の材料として径がより大きい線材を使用しているので、リード部材5の延在部7の圧縮率を比較例よりも大きくしている。これにより、延在部7の厚さL3(及びL32)を比較例の場合と同程度としている。延在部7の圧縮率が大きくなることに伴い、延在部7の幅L4が比較例の場合よりも大きくなるので、貫通孔814及び溝部813の幅をより大きくしている。
【0051】
(3)製造方法
次に、電解コンデンサ1の製造方法の一例について、図8A図8Eを参照して説明する。
【0052】
図8Aは、コンデンサ本体10が座板8に取り付けられる前の状態を示す。ケース3からは、一対の棒状部材501が突出している。一対の棒状部材501は、一対のリード部材5のもととなる導電部材である。
【0053】
一対の棒状部材501の一部を板状にプレス加工することにより、図8Bに示すように、一対の棒状部材501をリード基材502へと加工する。リード基材502は、延在部7のもととなる端子部材701と、引出部6とを含む。端子部材701は、プレス加工により板状に形成された部位である。つまり、端子部材701は、棒状部材501を部分的に圧縮することにより形成される部位に相当する。端子部材701は、引出部6から延びている。この工程では、一対の棒状部材501の間に中子101を配置する。さらに、一対の棒状部材501と一対一で対応するように、一対のスライダ103を配置する。すなわち、一対の棒状部材501の各々を、中子101と、対応するスライダ103との間に配置する。図8Bに2つの矢印111、112で示すように、スライダ103を中子101に向かってスライドすることにより、一対の棒状部材501の各々を、中子101と、対応するスライダ103との間で圧縮し、リード基材502へと加工する。
【0054】
その後、図8Cに示すように、一対のスライダ103をスライドして一対のリード基材502から取り除き、一対のリード基材502から中子101を引き抜く。
【0055】
次に、図8Dに示すように、座板8の一対の貫通孔814に一対のリード基材502を挿入し、ケース3を座板8に載せ置く。さらに、一対のリード基材502を曲げ加工することにより、図8Eに示すように、一対のリード部材5を形成する。すなわち、一対のリード基材502のうち貫通孔814から引き出された部位が溝部813を通るように一対のリード基材502を折り曲げる。
【0056】
以上の工程により、電解コンデンサ1が製造される。
【0057】
(変形例1)
次に、変形例1に係る電解コンデンサ1Aについて、図9を用いて説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
図9では、延在部7の第2部位72の図示を省略している。本変形例1の電解コンデンサ1Aでは、座板8Aに形成された貫通孔814Aの形状が実施形態の貫通孔814と相違する。座板8Aの厚さ方向から見て、貫通孔814Aは、延在部7の第1部位71に沿った長方形状の孔と、引出部6に沿った半円状の孔とがつながった形状を有している。つまり、貫通孔814Aは、リード部材5の形状に沿った形状を有している。
【0059】
貫通孔814Aにリード部材5が挿入された状態で、リード部材5が回転しようとすると、第1部位71が貫通孔814Aの内面に接触してリード部材5の回転が規制されることがある。ここで、第1部位71の幅方向(図9の紙面上下方向)の両端付近では、一対の貫通孔814Aが並んでいる方向(図9の紙面左右方向)における各貫通孔814Aの幅は、実施形態と比較して小さい。そのため、実施形態のように貫通孔814が長方形状に形成されている場合と比較して、リード部材5の回転をさらに規制することができる。したがって、リード部材5と一緒に外装部材2(図1参照)が回転することが規制される。すなわち、電解コンデンサ1Aは、リード部材5と対向する領域に、コンデンサ本体10(リード部材5及び外装部材2)の回転を規制する回転規制構造を有している。本変形例1では、回転規制構造とは、貫通孔814Aの形状を指す。
【0060】
なお、回転規制構造は、実施形態の貫通孔814(図6参照)の内部に設けられた部材であってもよい。この場合に、回転規制構造としての部材は、例えば、延在部7の第1部位71に隣接して設けられる。貫通孔814の内部でリード部材5が回転しようとする場合に、回転規制構造としての部材がリード部材5に接することで、リード部材5の回転が規制され、リード部材5と一緒に外装部材2が回転することが規制される。
【0061】
また、貫通孔814Aは、延在部7の第1部位71に沿った長方形状の孔と、引出部6に沿った半円状の孔とがつながった形状を有することに限定されない。貫通孔814Aは、例えば、長方形、正方形、半円、円及び長円等の形状の孔のうち2つ以上の孔を有し、これら2つ以上の孔が互いにつながった形状を有していてもよい。これら2つ以上の孔は、延在部7の第1部位71に沿った孔と、引出部6に沿った孔とを含むことが好ましい。
【0062】
(変形例2)
次に、変形例2に係る電解コンデンサ1Bについて、図10を用いて説明する。実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
図10では、延在部7の第2部位72の図示を省略している。本変形例2の電解コンデンサ1Bでは、座板8Bに形成された貫通孔814Bの形状が実施形態の貫通孔814と相違する。貫通孔814Bの形状は、座板8Bの厚さ方向から見てD字状である。つまり、座板8Bの厚さ方向から見て、貫通孔814Bは、半円形状と、長方形状とを組み合わせた形状を有している。
【0064】
(実施形態のその他の変形例)
以下、実施形態のその他の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0065】
電解コンデンサ1は、少なくとも一対(2つ)のリード部材5を備えていればよく、3つ以上のリード部材5を備えていてもよい。
【0066】
電解コンデンサ1は、座板8を備えていなくてもよい。
【0067】
リード部材5の形状は、表面実装用に折り曲げられた形状に限定されない。リード部材5の形状は、直線状であってもよい。つまり、電解コンデンサ1は、いわゆるラジアルリード型の電解コンデンサであってもよい。
【0068】
電解コンデンサ1は、コンデンサ素子11を複数備えていてもよい。
【0069】
貫通孔814の形状は、実施形態又は変形例1、2で示した形状に限定されない。例えば、貫通孔814は、実施形態に示した長方形状の貫通孔814の4つの角部のうち少なくとも1つが面取りされた形状でもよい。
【0070】
また、円柱状のケース3について、円柱状とは、円の一部が切り欠かれた形状の底面を有した構成であってもよい。例えば、円柱状とは、略D字状の底面を有した構成であってもよい。あるいは、円柱状とは、楕円状の底面を有した構成であってもよい。このように、ケース3の形状が厳密な意味での円柱ではない場合は、ケース3のうち、軸方向から見た最大の幅が、外装部材2の径に相当する。
【0071】
また、ケース3の形状は、円柱状以外の形状であってもよい。例えば、ケース3の形状は、角柱状であってもよい。
【0072】
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。
【0073】
第1の態様に係る電解コンデンサ1(又は1A、1B)は、コンデンサ本体10を備える。コンデンサ本体10は、外装部材2と、一対のリード部材5と、を有する。外装部材2は、ケース3と、閉塞部4と、を有する。ケース3は、軸方向の一端に開口部31を有する。閉塞部4は、開口部31を塞ぐ。一対のリード部材5は、棒状の引出部6を含む。引出部6は、閉塞部4から露出している。軸方向から見て、引出部6の幅L1は、外装部材2の径L2の0.1倍以上である。
【0074】
上記の構成によれば、ケース3の軸方向から見て引出部6の幅L1が外装部材2の径L2の0.1倍未満である場合と比較して、電解コンデンサ1(又は1A、1B)のESRを小さくしやすい。
【0075】
また、第2の態様に係る電解コンデンサ1(又は1A、1B)では、第1の態様において、一対のリード部材5の各々は、延在部7を更に含む。延在部7は、引出部6から延びている。延在部7は、引出部6の幅L1よりも小さい厚さL3(及びL32)を有する。延在部7の幅L4は、引出部6の幅L1の2倍以上である。
【0076】
上記の構成によれば、延在部7の断面積が決まっている場合に、延在部7の幅L4を引出部6の幅L1と比較して大きくする分、延在部7の厚さL3(及びL32)を小さくできる。
【0077】
また、第3の態様に係る電解コンデンサ1(又は1A、1B)は、第2の態様において、座板8(又は8A、8B)を更に備える。座板8(又は8A、8B)は、コンデンサ本体10に取り付けられている。座板8(又は8A、8B)は、一対の貫通孔814(又は814A、814B)と、隔壁815と、を有する。一対の貫通孔814(又は814A、814B)は、一対のリード部材5を通す。隔壁815は、一対の貫通孔814(又は814A、814B)の内面816の一部を含む。隔壁815は、一対の貫通孔814(又は814A、814B)の間を隔てる。軸方向から見て、仮想円200は、隔壁815と交差する。仮想円200は、中心が引出部6の中心C1と一致する。仮想円200は、延在部7の幅L4と同一長さの径を有する。
【0078】
上記の構成によれば、仮想円200が隔壁815と交差しない場合と比較して、隔壁815の厚さが大きいので、隔壁815の強度の向上を図ることができる。
【0079】
また、第4の態様に係る電解コンデンサ1(又は1A、1B)は、第2又は3の態様において、座板8(又は8A、8B)を更に備える。座板8(又は8A、8B)は、コンデンサ本体10に取り付けられている。座板8(又は8A、8B)は、一対の貫通孔814(又は814A、814B)を有する。一対の貫通孔814(又は814A、814B)は、一対のリード部材5を通す。延在部7は、貫通孔814(又は814A、814B)に通された部分(第1部位71)を有する。ケース3の軸方向と直交する断面において、一対の貫通孔814(又は814A、814B)の各々の開口面積は、引出部6の断面積の3倍以上である。
【0080】
上記の構成によれば、一対の貫通孔814(又は814A、814B)の各々の開口面積が引出部6の断面積の3倍未満である場合と比較して、リード部材5を貫通孔814(又は814A、814B)に通しやすい。
【0081】
また、第5の態様に係る電解コンデンサ1(又は1A、1B)は、第1~4の態様のいずれか1つにおいて、座板8(又は8A、8B)を更に備える。座板8(又は8A、8B)は、コンデンサ本体10に取り付けられている。座板8(又は8A、8B)は、一対の貫通孔814(又は814A、814B)と、隔壁815と、を有する。一対の貫通孔814(又は814A、814B)は、一対のリード部材5を通す。隔壁815は、一対の貫通孔814(又は814A、814B)の内面816の一部を含む。隔壁815は、一対の貫通孔814(又は814A、814B)の間を隔てる。一対の貫通孔814が並んでいる並び方向における、隔壁815と引出部6の中心C1との間の距離L6は、ケース3の軸方向から見て並び方向と直交する方向における、貫通孔814の内面816と引出部6の中心C1との間の距離L7よりも小さい。
【0082】
上記の構成によれば、距離L6と距離L7との大小関係が逆の場合と比較して、隔壁815の厚さが大きいので、隔壁815の強度の向上を図ることができる。
【0083】
また、第6の態様に係る電解コンデンサ1(又は1A、1B)は、第1~5の態様のいずれか1つにおいて、座板8(又は8A、8B)を更に備える。座板8(又は8A、8B)は、コンデンサ本体10に取り付けられている。座板8(又は8A、8B)は、一対の貫通孔814(又は814A、814B)と、隔壁815と、を有する。一対の貫通孔814(又は814A、814B)は、一対のリード部材5を通す。隔壁815は、一対の貫通孔814(又は814A、814B)の内面816の一部を含む。隔壁815は、一対の貫通孔814(又は814A、814B)の間を隔てる。隔壁815は、一対の貫通孔814(又は814A、814B)の内面816の一部として設けられた平面状の平面部817を含む。
【0084】
上記の構成によれば、隔壁815が平面部817に代えて例えば円弧状の面を有している場合と比較して、隔壁815の厚さを確保しやすい。
【0085】
また、第7の態様に係る電解コンデンサ1Aは、第1~6の態様のいずれか1つにおいて、座板8(又は8A、8B)を更に備える。座板8(又は8A、8B)は、コンデンサ本体10に取り付けられている。座板8(又は8A、8B)は、一対の貫通孔814(又は814A、814B)と、回転規制構造と、を有する。一対の貫通孔814(又は814A、814B)は、一対のリード部材5を通す。回転規制構造は、リード部材5と対向する領域に設けられ、コンデンサ本体10の回転を規制する。
【0086】
上記の構成によれば、回転規制部が無い場合と比較して、コンデンサ本体10を安定的に保持できる。
【0087】
また、第8の態様に係る電解コンデンサ1(又は1A、1B)では、第1~7の態様のいずれか1つにおいて、軸方向におけるケース3の長さL5は、ケース3の径(外装部材2の径L2)の1.4倍以上である。
【0088】
上記の構成によれば、軸方向におけるケース3の長さL5がケース3の径の1.4倍未満である場合と比較して、外装部材2に収容される部材(陽極箔及び陰極箔等)の軸方向の長さを長くできる。これにより、電解コンデンサ1(又は1A、1B)のESRの低減を図ることができる。
【0089】
第1の態様以外の構成については、電解コンデンサ1(又は1A、1B)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0090】
また、第9の態様に係る座板8(又は8A、8B)は、電解コンデンサ1(又は1A、1B)に備えられる。電解コンデンサ1(又は1A、1B)は、コンデンサ本体10を備える。コンデンサ本体10は、外装部材2と、一対のリード部材5と、を有する。外装部材2は、ケース3と、閉塞部4と、を有する。ケース3は、軸方向の一端に開口部31を有する。閉塞部4は、開口部31を塞ぐ。一対のリード部材5は、棒状の引出部6を含む。引出部6は、閉塞部4から露出している。軸方向から見て、引出部6の幅L1は、外装部材2の径L2の0.1倍以上である。一対のリード部材5の各々は、延在部7を更に含む。延在部7は、引出部6から延びている。延在部7は、引出部6の幅L1よりも小さい厚さL3(及びL32)を有する。座板8(又は8A、8B)は、一対の貫通孔814(又は814A、814B)と、隔壁815とを有する。一対の貫通孔814(又は814A、814B)は、一対のリード部材5を通す。隔壁815は、一対の貫通孔814(又は814A、814B)の内面816の一部を含む。隔壁815は、一対の貫通孔814(又は814A、814B)の間を隔てる。座板8(又は8A、8B)は、軸方向から見て、仮想円200が、隔壁815と交差するようにコンデンサ本体10に取り付けられている。仮想円200は、中心が引出部6の中心C1と一致する。仮想円200は、延在部7の幅L4と同一長さの径を有する。
【0091】
上記の構成によれば、仮想円200が隔壁815と交差しない場合と比較して、隔壁815の厚さが大きいので、隔壁815の強度の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0092】
1、1A、1B 電解コンデンサ
10 コンデンサ本体
2 外装部材
200 仮想円
3 ケース
31 開口部
4 閉塞部
5 リード部材
6 引出部
7 延在部
8、8A、8B 座板
814、814A、814B 貫通孔
815 隔壁
816 内面
817 平面部
C1 中心
L1 幅
L2 径
L3 厚さ
L32 厚さ
L4 幅
L5 長さ
L6 距離
L7 距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10