(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】ロビーインターホンおよびインターホンシステム
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20230929BHJP
【FI】
H04M9/00 H
H04M9/00 C
(21)【出願番号】P 2019044301
(22)【出願日】2019-03-11
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】永井 奨士
(72)【発明者】
【氏名】早川 武
(72)【発明者】
【氏名】橋本 尚典
(72)【発明者】
【氏名】桑野 剛
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-295078(JP,A)
【文献】特開2008-061179(JP,A)
【文献】特開2005-341178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M9/00-9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合施設に設置される
ロビーインターホンであって、
前記集合施設の少なくとも1つの施設に設けられた情報端末と第1の通信方式で通信する第1通信部と、
前記第1の通信方式と異なる第2の通信方式で前記情報端末と通信する第2通信部と、
前記第1通信部および前記第2通信部を制御する制御部と
を備え
、
前記第2の通信方式は、無線による通信方式である
ロビーインターホン。
【請求項2】
前記第1の通信方式は、有線による通信方式である
請求項1に記載の
ロビーインターホン。
【請求項3】
前記第1の通信方式は、電力線搬送通信であり、前記第1通信部は、前記集合施設に敷設された配電線に接続されている
請求項1または2に記載の
ロビーインターホン。
【請求項4】
前記第2の通信方式は、特定小電力無線通信である
請求項1~3のいずれか1項に記載の
ロビーインターホン。
【請求項5】
前記第1の通信方式は、無線による通信方式である
請求項1~4のいずれか1項に記載のロビーインターホン。
【請求項6】
前記第2通信部が前記情報端末と有線で接続されたインターホン子機と無線通信し、前記情報端末が前記インターホン子機と有線通信することで、前記第2通信部は、前記インターホン子機を介して前記情報端末と無線により通信する
請求項1~5のいずれか1項に記載のロビーインターホン。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1通信部および前記第2通信部のうちのいずれかを優先して用いて前記情報端末と通信する
請求項1~
6のいずれか1項に記載の
ロビーインターホン。
【請求項8】
前記制御部は、前記情報端末と通信する情報に応じて前記第1通信部および前記第2通信部のうちの少なくとも1つの通信部を選択し、選択した当該通信部を用いて通信する
請求項1~
6のいずれか1項に記載の
ロビーインターホン。
【請求項9】
前記制御部は、前記情報のうち、映像に関する情報を送信または受信する場合は前記第1通信部を用いて前記情報端末と通信し、通信相手を制御するための制御コマンドを送信または受信する場合は前記第2通信部を用いて前記情報端末と通信する
請求項
8に記載の
ロビーインターホン。
【請求項10】
前記制御部は、前記映像に関する情報を送信する場合に、前記映像に関する情報の情報量を少なくした状態で前記情報端末と通信する
請求項
9に記載の
ロビーインターホン。
【請求項11】
前記制御部は、前記映像に関する情報の容量が通信可能な容量を超えていると判断した場合に、前記映像のフレームレートを下げて当該映像に関する情報を送信する
請求項
10に記載の
ロビーインターホン。
【請求項12】
前記制御部は、前記第1通信部を用いて前記情報端末と通信できないとき、前記第2通信部を用いて前記情報端末と通信する
請求項1~
8のいずれか1項に記載の
ロビーインターホン。
【請求項13】
請求項1~
12のいずれか1項に記載の
ロビーインターホンと、
前記
ロビーインターホンと通信する情報端末と
を備えるインターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合施設に設置されるロビーインターホン、および、このロビーインターホンを備えるインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、玄関装置(集合玄関機)、および、玄関装置と通信する情報端末(居室親機)を備えるインターホンシステムが開示されている。このインターホンシステムでは、玄関装置と情報端末とがインターホン回線を介して通信している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1に開示された玄関装置は、情報端末と1つのインターホン回線でしか繋がっておらず、情報端末との通信を安定して行うことができないことがある。
【0005】
本発明は、情報端末との通信を安定して行うことができるロビーインターホン等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るロビーインターホンは、集合施設に設置されるロビーインターホンであって、前記集合施設の少なくとも1つの施設に設けられた情報端末と第1の通信方式で通信する第1通信部と、前記第1の通信方式と異なる第2の通信方式で前記情報端末と通信する第2通信部と、前記第1通信部および前記第2通信部を制御する制御部とを備え、前記第2の通信方式は、無線による通信方式である。
【0007】
本発明の一態様に係るインターホンシステムは、上記ロビーインターホンと、上記ロビーインターホンと通信する情報端末とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明のロビーインターホン等によれば、情報端末との通信を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係るインターホンシステムを示す模式図である。
【
図2】実施の形態に係るインターホンシステムが備える玄関装置および情報端末の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態に係るインターホンシステムが備える情報端末の正面図である。
【
図5】実施の形態の変形例に係るインターホンシステムが備える玄関装置および情報端末の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0012】
(実施の形態)
以下、本実施の形態に係るインターホンシステムおよび玄関装置について、
図1~
図4を参照しながら説明する。
【0013】
[1.インターホンシステムの構成]
まず、本実施の形態に係るインターホンシステムの全体構成について、
図1を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、インターホンシステム10を示す模式図である。
図1に示すように、インターホンシステム10は、集合施設H1に設けられている。集合施設H1は、住居またはオフィスなどの複数の施設101、201、301および共用スペースの一例である玄関100などを備えている。
【0015】
インターホンシステム10は、玄関装置20と、複数の情報端末60a、60b、60cと、複数のインターホン子機70a、70b、70cとを備えている。玄関装置20は、例えばロビーインターホンであり、玄関100に1つ設置されている。各情報端末60a~60cは、例えばインターホン親機であり、各施設101~301内に設置されている。各インターホン子機70a~70cは、ドアホンであり、各施設101~301の玄関に設置されている。
【0016】
玄関100は、訪問者が外部から玄関100に入るための入口ドア(図示省略)と、玄関100から各居住エリアへの立ち入りを制限するオートロックドア130とを備えている。オートロックドア130は、玄関装置20にパスワードを入力することで解錠される。また、オートロックドア130は、情報端末60a~60cから玄関装置20に送信される解錠指令によって、ドアが開くしくみになっている。なお、居住エリアへの立ち入りを制限するドアは、シリンダー錠を鍵で操作することによって解錠されてもよいし、非接触キーから取得した認証情報を照合することによって解錠されてもよい。
【0017】
図1では、情報端末60a~60cおよびインターホン子機70a~70cが3組だけ図示されているが、インターホンシステム10は、実際には、集合施設H1内の施設数に応じて1組または複数組の情報端末およびインターホン子機を備える。以下では、複数の情報端末60a~60cおよびインターホン子機70a~70cのうち、情報端末60aおよびインターホン子機70aを代表例に挙げて説明する。
【0018】
[2.玄関装置および情報端末の構成]
次に、玄関装置20および情報端末60aの構成について、
図1~
図4を参照しながら説明する。
【0019】
図2は、インターホンシステム10が備える玄関装置20および情報端末60aの機能構成を示すブロック図である。
図3は、玄関装置20の正面図である。
図4は、情報端末60aの正面図である。
【0020】
玄関装置20は、
図2および
図3に示すように、操作受付部21と、撮像部22と、表示部24と、通話部25と、制御部26と、通信部とを備える。なお、玄関装置20および情報端末60aのそれぞれは電源部を有しているが、
図2では電源部の図示を省略している。
【0021】
通信部は、制御部26の指令に基づいて情報端末60aと通信する回路である。通信部は、第1通信部27aおよび第2通信部27bを有するハイブリッド通信回路である。
【0022】
第1通信部27aは、情報端末60aと第1の通信方式c1で通信し、第2通信部27bは、第1の通信方式c1と異なる第2の通信方式c2で情報端末60aと通信する。なお、通信方式が異なるとは、通信時に用いられる周波数帯および通信プロトコルが異なることを意味する。例えば、第1の通信方式c1は、有線による通信方式であり、第2の通信方式c2は、無線による通信方式である。なお、既存の集合施設H1にインターホンシステム10を追加して設置する場合は、第1の通信方式c1および第2の通信方式c2は、追加の配線工事が少ない方式であることが望ましい。
【0023】
図1には、第1の通信方式c1が、電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)である例が示されている。第1の通信方式c1は、情報信号を4MHz~28MHzの直交周波数分割多重方式で変調し、電力線に重畳させて通信する通信方式である。本実施の形態では、第1通信部27aが、集合施設H1に敷設されたAC100Vの配電線110に接続され、配電線110を介して情報端末60aと通信する。
【0024】
第2の通信方式c2は、例えば920MHz帯の周波数を利用した特定小電力無線通信である。第2の通信方式c2は、WiFi(登録商標)またはBluetooth(登録商標)などの通信方式が用いられてもよい。すなわち第2通信部27bは、無線で情報端末60aと通信する。本実施の形態では、第2の通信方式c2は、第1の通信方式c1よりも通信レートが低い。
【0025】
なお、第1通信部27aおよび第2通信部27bのそれぞれは、情報端末60aと直接通信する場合に限られず、情報端末60aと間接的に通信してもよい。例えば、第1通信部27aは、玄関装置20と情報端末60aとの間に配置された制御装置(図示省略)を介して情報端末60aと通信可能であってもよい。また、第2通信部27bは、上記制御装置または中継器を介して情報端末60aと通信可能であってもよい。
【0026】
操作受付部21は、訪問者のキー操作を受け付けるユーザインターフェースである。操作受付部21は、例えばタッチパネルまたはハードウェアボタン(例えば、テンキー)であり、オートロックドア130の解錠パスワードを受け付けたり、情報端末60aを呼び出すための呼出操作を受け付けたりする。操作受付部21で受け付けた呼出操作は、情報端末60aを制御するための制御コマンドとして、情報端末60aに送信される。制御コマンドは、後述する映像に関する情報に比べて通信容量が小さいので、第2通信部27bを介して、すなわち第2の通信方式c2を用いて情報端末60aに送信される。
【0027】
通話部25は、情報端末60aを介して居住者と通話するための装置である。通話部25は、訪問者のまわりの音を収音する収音部25a、および、情報端末60aから送信された信号を音として出音する出音部25bを有する。収音部25aは、例えばマイクロフォンであり、出音部25bは、例えばスピーカである。音に関する情報は、映像に関する情報に比べて通信容量が小さい。そのため、収音部25aにて収音した音に関する情報は、第2通信部27bを介して情報端末60aに送信される。また、情報端末60aから送信された音に関する情報は、第2通信部27bを介して玄関装置20に入力され、出音部25bから出力される。
【0028】
撮像部22は、訪問者の画像を撮像するカメラである。撮像部22は、例えばCMOSイメージセンサまたはCCDイメージセンサを有している。撮像部22にて撮像された映像に関する情報は、制御コマンドまたは音に関する情報に比べて通信容量が大きいので、第1通信部27aを介して、すなわち第1の通信方式c1を用いて情報端末60aに送信される。
【0029】
表示部24は、情報端末60aから送信された情報または撮像部22で撮像した映像に関する情報を画像で表示するパネルである。表示部24は、例えば、液晶パネルまたは有機ELパネルである。
【0030】
制御部26は、操作受付部21、撮像部22、表示部24、通話部25、第1通信部27aおよび第2通信部27bなどの各構成要素を制御する。制御部26は、マイクロプロセッサによって構成され、メモリを備えている。メモリには、各構成要素を作動するためのプログラムが保存されている。また、メモリには、第1の通信方式c1および第2の通信方式c2のそれぞれの通信方式の通信レートおよび通信可能容量等が記憶されている。
【0031】
玄関装置20は、情報端末60aと通信するための通信部を2つ有しているが、制御部26は、以下に示す選択によって情報端末60aと通信する。
【0032】
例えば、制御部26は、情報端末60aと通信する情報に応じて第1通信部27aおよび第2通信部27bのうちの少なくとも1つの通信部を選択し、選択した当該通信部を用いて通信する。なお、制御部26は、上記情報に応じて第1通信部27aおよび第2通信部27bの両方を用いて情報端末60aと通信してもよい。
【0033】
例えば、制御部26は、相対的に容量の大きい情報を第1通信部27aで、相対的に容量の小さい情報を第2通信部27bで送信することで、効率的に情報を送信することができる。また、制御部26は、相対的に速報性の求められない情報を第1通信部27aで、相対的に速報性の求められる情報を第2通信部27bで送信することで、ユーザーに対する違和感を低減することができる。また上記の組み合わせとして、制御部26は、相対的に容量が大きく、速報性の求められない情報を第1通信部27aで、相対的に容量が小さく、速報性が求められる情報を第2通信部27bで送信することで、効率的に情報を送信でき、かつユーザーに対する違和感を低減することができる。
【0034】
また、制御部26は、情報端末60aと通信する情報のうち、映像に関する情報を送信または受信する場合は第1通信部27aを用いて情報端末60aと通信し、通信相手を制御するための制御コマンドに関する情報を送信または受信する場合は第2通信部27bを用いて情報端末60aと通信してもよい。なお、玄関装置20にとっての通信相手は情報端末60aであり、情報端末60aにとっての通信相手は玄関装置20である。
【0035】
また、制御部26は、映像に関する情報を送信する場合に、映像に関する情報の情報量を少なくした状態で情報端末60aと通信してもよい。より具体的には、制御部26は、映像に関する情報の容量が、通信部にて通信可能な容量を超えていると判断した場合に、映像のフレームレートを下げて(フレームを間引いて)当該映像に関する情報を送信してもよい。なお、映像に関する情報は、レートを下げてコマ送りになっても表示内容を理解できるのでレートを下げても問題ない。それに対し、音に関する情報は、レートを下げると通話内容を聞き取れなくなるのでレートを下げないことが望ましい。
【0036】
また、制御部26は、第1通信部27aおよび第2通信部27bのうちのいずれかを優先して用いて情報端末60aと通信してもよい。具体的には、第1の通信方式c1の通信レートが第2の通信方式c2の通信レートよりも高い場合、制御部26は、第1通信部27aを優先して用いて情報端末60aと通信してもよい。ただし、制御部26は、第1の通信方式c1による通信がノイズなどの外乱の影響を受けている場合は、第1通信部27aでなく第2通信部27bを用いて情報端末60aと通信してもよい。例えば、制御部26は、第1の通信方式c1の通信のパケットエラーレート(PER)を取得して、パケットエラーレートが基準値を上回った場合、第2の通信方式c2を選択してもよい。また、制御部26は、第1の通信方式c1および第2の通信方式c2の両方のパケットエラーレートを取得して、エラー率が小さいほうの通信方式を選択してもよい。また、制御部26は、第1通信部27aを用いて情報端末60aと通信できないとき、第2通信部27bを用いて情報端末60aと通信してもよい。
【0037】
このように玄関装置20では、制御部26が、情報端末60aと通信する通信部を複数の通信部(第1通信部27aおよび第2通信部27b)の中から選択することで、情報端末60aとの通信を安定して行うことができる。なお、上記では情報端末60aを代表例に挙げて説明したが、情報端末60b、60cについても同様である。玄関装置20は、情報端末60bと通信する場合に、情報端末60aと同じ通信方式で通信してもよいし異なる通信方式で通信してもよい。
【0038】
次に、情報端末60aの構成について、
図2および
図4を参照しながら説明する。本実施の形態の情報端末60aは、インターホン親機であるが、スマートフォンまたはタブレット端末などの携帯端末もしくはパーソナルコンピュータであってもよい。また、情報端末60aは、集合施設H1の管理人室等に設置される管理人室親機であってもよい。
【0039】
図2および
図4に示すように、情報端末60aは、通信部と、制御部62と、表示部63と、通話部64と、入力受付部65とを備える。
【0040】
通信部は、制御部62の指示に基づいて玄関装置20と通信する回路である。通信部は、第1通信部61a、第2通信部61bおよび第3通信部61cを有するハイブリッド通信回路である。
【0041】
第1通信部61aは、第1の通信方式c1で玄関装置20と通信する。具体的には、第1通信部61aが、集合施設H1に敷設された配電線110に接続され、配電線110を介して玄関装置20と通信する。第2通信部61bは、第2の通信方式c2で玄関装置20と通信する。第2通信部61bは、無線で玄関装置20と通信する。第3通信部61cは、第3の通信方式c3でインターホン子機70aと通信する。第3の通信方式c3は、第1の通信方式c1または第2の通信方式c2と同じであってもよい。
【0042】
入力受付部65は、施設101内の居住者のキー操作を受け付けるユーザインターフェースである。入力受付部65は、例えば玄関装置20からの呼び出しに応じて、オートロックドア130を解錠するための解錠操作を受け付ける。入力受付部65にて受け付けた解錠操作は、玄関装置20を制御するための制御コマンドとして、玄関装置20に送信される。この制御コマンドは、第2通信部61bを介して、すなわち第2の通信方式c2を用いて玄関装置20に送信される。
【0043】
通話部64は、玄関装置20を介して訪問者と通話するための装置である。通話部64は、居住者のまわりの音を収音する収音部64a、および、玄関装置20から送信された信号を音として出音する出音部64bを有する。収音部64aにて収音した音に関する情報は、第2通信部61bを介して玄関装置20に送信される。また、玄関装置20から送信された音に関する情報は、第2通信部61bを介して情報端末60aに入力され、出音部64bから出力される。
【0044】
表示部63は、玄関装置20から送信された情報または撮像部22で撮像した映像に関する情報を画像で表示するパネルである。
【0045】
制御部62は、第1通信部61a、第2通信部61b、第3通信部61c、表示部63、通話部64および入力受付部65などの各種構成要素を制御する。制御部62は、マイクロプロセッサによって構成され、メモリを備えている。メモリには、各構成要素を作動するためのプログラムが保存されている。
【0046】
制御部62は、玄関装置20と通信するための通信部を2つ有しているが、制御部62は、以下に示すように通信部を選択することで玄関装置20と通信する。なお、通信方式の選択は、基本的には玄関装置20によって行われるが、情報端末60aにて選択される場合もあり得る。以下では、情報端末60aの制御部62によって通信方式が選択される例について説明する。
【0047】
例えば、制御部62は、玄関装置20と通信する情報に応じて第1通信部61aおよび第2通信部61bのうちの少なくとも1つの通信部を選択し、選択した当該通信部を用いて通信する。具体的には、制御部62は、玄関装置20と通信する情報のうち、映像に関する情報を送信または受信する場合は第1通信部61aを用いて玄関装置20と通信し、通信相手を制御するための制御コマンドに関する情報を送信または受信する場合は第2通信部61bを用いて玄関装置20と通信する。
【0048】
また、制御部62は、第1通信部61aおよび第2通信部61bのうちのいずれかを優先して用いて玄関装置20と通信してもよい。具体的には、第1の通信方式c1の通信レートが第2の通信方式c2の通信レートよりも高い場合、制御部62は、第1通信部61aを優先して用いて玄関装置20と通信してもよい。ただし、制御部62は、第1の通信方式c1による通信が電気機器で発生するノイズなどの影響を受ける場合は、第1通信部61aでなく第2通信部61bを用いて玄関装置20と通信してもよい。また、制御部62は、第1通信部61aを用いて玄関装置20と通信できないとき、第2通信部61bを用いて玄関装置20と通信してもよい。また、玄関装置20および情報端末60aは、互いの通信状況によって、玄関装置20から情報端末60aに情報を送信する際の通信方式を第1の通信方式c1とし、情報端末60aから玄関装置20に情報を送信する際の通信方式を第2の通信方式c2としてもよい。
【0049】
このように、インターホンシステム10では、玄関装置20と情報端末60aとで通信する際の通信部を複数の通信部の中からそれぞれ選択することで、玄関装置20と情報端末60aとの通信を安定して行うことができる。
【0050】
[3.実施の形態の変形例]
次に、実施の形態の変形例に係るインターホンシステム10について
図5を参照しながら説明する。変形例では、玄関装置20と情報端末60aとの第1の通信方式c1が、有線でなく無線である例について説明する。
【0051】
図5は、変形例に係るインターホンシステム10が備える玄関装置20および情報端末60aの機能構成を示すブロック図である。
【0052】
第1通信部27aは、情報端末60aと無線通信である第1の通信方式c1で通信し、第2通信部27bは、第1の通信方式c1と異なる無線通信である第2の通信方式c2で情報端末60aと通信する。なお、第1の通信方式c1と第2の通信方式c2とでは、通信時に用いられる周波数帯および通信プロトコルが異なる。例えば、第1の通信方式c1は、WiFi(登録商標)などの通信方式であり、第2の通信方式c2は、920MHz帯の周波数を利用した特定小電力無線通信である。
【0053】
制御部26は、第1通信部27aおよび第2通信部27bのうちのいずれかを優先して用いて情報端末60aと通信してもよい。具体的には、第1の通信方式c1の通信レートが第2の通信方式c2の通信レートよりも高い場合、制御部26は、第1通信部27aを優先して用いて情報端末60aと通信してもよい。ただし、制御部26は、第1の通信方式c1による通信がノイズなどの外乱の影響を受けている場合は、第1通信部27aでなく第2通信部27bを用いて情報端末60aと通信してもよい。また、制御部26は、2つの通信方式のうち、電波強度が強い方の通信方式を優先して用いて情報端末60aと通信してもよい。例えば、制御部26は、第1の通信方式c1の通信のパケットエラーレートを取得して、パケットエラーレートが基準値を上回った場合、第2の通信方式c2を選択してもよい。また、制御部26は、第1の通信方式c1および第2の通信方式c2の両方のパケットエラーレートを取得して、エラー率が小さいほうの通信方式を選択してもよい。また、制御部26は、第1通信部27aを用いて情報端末60aと通信できないとき、第2通信部27bを用いて情報端末60aと通信してもよい。
【0054】
このように玄関装置20では、制御部26が、情報端末60aと通信する通信部を複数の通信部(第1通信部27aおよび第2通信部27b)の中から選択することで、情報端末60aとの通信を安定して行うことができる。
【0055】
[4.効果など]
以上説明したように、本実施の形態に係る玄関装置20は、集合施設H1に設置される玄関装置20であって、集合施設H1の少なくとも1つの施設に設けられた情報端末60aと第1の通信方式c1で通信する第1通信部27aと、第1の通信方式c1と異なる第2の通信方式c2で情報端末60aと通信する第2通信部27bと、第1通信部27aおよび第2通信部27bを制御する制御部26とを備える。
【0056】
例えば、従来の玄関装置のように、玄関装置と情報端末とが1つのインターホン回線でしか繋がっていない場合、有線を用いた通信方式では、他の電気配線と近接して施工された場合にクロストークによる影響があり、また、無線を用いた通信方式では、マルチパス/フェージングの影響がある。そのため従来の玄関装置では、各種形態を有する集合施設H1において、安定した通信品質を実現することが困難である。
【0057】
それに対し本実施の形態の玄関装置20では、制御部26が、情報端末60aと通信する通信部を複数の通信部である第1通信部27aおよび第2通信部27bの中から選択することができる。これにより、情報端末60aとの通信を安定して行うことができる。
【0058】
また、第1の通信方式c1は、有線による通信方式であり、第2の通信方式c2は、無線による通信方式であってもよい。
【0059】
これによれば、玄関装置20の制御部26が、情報端末60aと通信する通信方式を有線または無線の中から選択することができる。これにより、情報端末60aとの通信を安定して行うことができる。
【0060】
また、第1の通信方式c1は、電力線搬送通信であり、第1通信部27aは、集合施設H1に敷設された配電線110に接続されていてもよい。
【0061】
これによれば、玄関装置20は、電力線搬送通信を用いて情報端末60aとの通信を安定して行うことができる。また、集合施設H1に敷設された配電線110を用いるので、玄関装置20および情報端末60aを集合施設H1に追加して設置する場合に、追加の配線工事が少なく簡易に設置することができる。
【0062】
また、第2の通信方式c2は、特定小電力無線通信であってもよい。
【0063】
これによれば、玄関装置20および情報端末60aを集合施設H1に追加して設置する場合に、追加の配線工事が少なく簡易に設置することができる。
【0064】
また、制御部26は、第1通信部27aおよび第2通信部27bのうちのいずれかを優先して用いて情報端末60aと通信してもよい。
【0065】
これによれば、制御部26は、例えば、電波状況が良好な通信部を優先して用いて情報端末60aと通信することができる。これにより、情報端末60aとの通信を安定して行うことができる。
【0066】
また、制御部26は、情報端末60aと通信する情報に応じて第1通信部27aおよび第2通信部27bのうちの少なくとも1つの通信部を選択し、選択した当該通信部を用いて通信してもよい。
【0067】
これによれば、制御部26は、情報端末60aと通信する情報に応じて通信部を選択することができる。これにより、情報端末60aとの通信を安定して行うことができる。
【0068】
また、制御部26は、上記情報のうち、映像に関する情報を送信または受信する場合は第1通信部27aを用いて情報端末60aと通信し、通信相手を制御するための制御コマンドを送信または受信する場合は第2通信部27bを用いて情報端末60aと通信してもよい。
【0069】
これによれば、制御部26は、通信容量の大きさによって、情報端末60aと通信する通信部を選択することができる。これにより、情報端末60aとの通信を安定して行うことができる。
【0070】
また、制御部26は、映像に関する情報を送信する場合に、映像に関する情報の情報量を少なくした状態で情報端末60aと通信してもよい。
【0071】
このように、情報端末60aと通信する際の情報量を少なくすることで、情報端末60aとの通信を安定して行うことができる。
【0072】
また、制御部26は、映像に関する情報の容量が通信可能な容量を超えていると判断した場合に、映像のフレームレートを下げて当該映像に関する情報を送信してもよい。
【0073】
このように、情報端末60aと通信する際の映像のフレームレートを下げることで、情報端末60aとの通信を安定して行うことができる。
【0074】
また、制御部26は、第1通信部27aを用いて情報端末60aと通信できないとき、第2通信部27bを用いて情報端末60aと通信してもよい。
【0075】
これによれば、例えば、第1通信部27aを介して一時的に通信できない場合であっても第2通信部27bを用いて情報端末60aと通信することができる。これにより、情報端末60aとの通信を安定して行うことができる。
【0076】
本実施の形態に係るインターホンシステム10は、上記玄関装置20と、玄関装置20と通信する情報端末60aとを備える。
【0077】
このように、インターホンシステム10が、情報端末60aとの通信を安定して行う玄関装置20を備えることで、玄関装置20と情報端末60aとの通信を安定して行うことができる。
【0078】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【0079】
例えば、上記実施の形態では、第2通信部27bは中継器を介して情報端末60aと通信可能でもよいことを示したが、中継器は、インターホン子機70aであってもよい。例えば、インターホン子機70aが、玄関装置20から無線で送信された信号を受け付け、この受け付けた信号を情報端末60aに有線で送信してもよい。
【符号の説明】
【0080】
10 インターホンシステム
20 玄関装置
26 制御部
27a 第1通信部
27b 第2通信部
60a、60b、60c 情報端末
101、201、301 施設
110 配電線
c1 第1の通信方式
c2 第2の通信方式
H1 集合施設