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特許7357274制御システム、警報システム、警報器、処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】制御システム、警報システム、警報器、処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 23/00 20060101AFI20230929BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
G08B23/00 530E
G08B17/00 C
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019158990
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021039453
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神前 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】泉谷 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】田垣 憲一
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-186790(JP,A)
【文献】特開2011-227808(JP,A)
【文献】特開2003-198745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 23/00
G08B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防災の対象である災害の発生時に警報音の発報を行う警報器と通信可能に接続される制御システムであって、
前記警報器における前記発報を停止させる停止信号を出力する出力処理部と、
前記災害の発生を検知する検知部を有した前記警報器以外であって特定の物理量をセンシングするセンシング機器に対して、前記警報器が前記災害を検知したことに応じてセンシングの起動を指示する第1信号を出力する送信部と、
前記センシング機器からセンシングの結果を示すセンシング信号を受信する受信部と、を備え、
前記特定の物理量は、温度、湿度、及び空気中の物質に対応する物理量の少なくとも1つを含み、
前記出力処理部は、前記センシング信号に基づいて、前記警報器における前記災害の検知に対する正確性を、特定可能な形態で出力し、
前記送信部は、前記停止信号の出力に応じて、前記センシング機器にセンシングの停止を指示する第2信号を出力する、
制御システム。
【請求項2】
前記出力処理部が設けられて、前記警報器と直接通信する中継器を備え、
前記中継器は、前記発報の停止指令に関する操作入力を受け付ける操作部を有し、
前記出力処理部は、前記操作入力に応じて前記停止信号を前記警報器に出力する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記出力処理部が設けられて、前記警報器と直接通信する中継器を備え、
前記中継器は、情報端末と通信可能に接続され、
前記出力処理部は、前記情報端末から前記発報の停止指令に関する指令信号を受信すると、前記指令信号に応じて前記停止信号を前記警報器に出力する、
請求項1又は2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記情報端末は、前記警報器が設置される施設の外部から操作可能な携帯型の端末である、
請求項3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記施設における人の存在に関する人情報を取得する取得部を、更に備え、
前記出力処理部は、前記取得部で取得した前記人情報が、前記施設に人が不在であることを示す場合にのみ、前記情報端末に対して、前記発報の停止指令に関する操作入力を受け付け可能にさせる、
請求項4に記載の制御システム。
【請求項6】
前記情報端末は、対話型の音声入力に対応したスピーカである、
請求項3に記載の制御システム。
【請求項7】
前記警報器、前記中継器、及び前記情報端末における通信経路は、その少なくとも一部に無線による通信経路を含む、
請求項3~6のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項8】
前記中継器は、複数の前記情報端末と通信可能に接続され、
前記中継器は、複数の前記情報端末のうち、前記発報の停止指令を許可する情報端末を設定する設定部を有する、
請求項3~7のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項9】
前記設定部は、前記発報の停止に関する複数の前記情報端末の各々の権限について、有効又は無効を設定する、
請求項8に記載の制御システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の制御システムと、
前記警報器を1又は複数と、
を備える、
警報システム
【請求項11】
前記警報器を複数備え、
複数の前記警報器のうちの1つが、前記停止信号を受信すると、他の前記警報器の前記発報を連動して停止させるように前記停止信号を他の前記警報器に出力する、
請求項10に記載の警報システム。
【請求項12】
複数の前記警報器の各々は、前記災害の発生を検知する検知部を有し、
複数の前記警報器の各々は、自機の前記検知部が前記災害を検知して自機の前記発報の実行を開始し、かつ前記発報を他の前記警報器に連動発報させる連動信号を出力した場合、前記停止信号を受信しても自機の前記発報を維持し、
複数の前記警報器の各々は、自機の前記検知部が前記災害を検知しておらず、かつ他の前記警報器から前記連動信号を受信して自機の前記発報の実行を開始した場合、前記停止信号を受信すると自機の前記発報を停止する、
請求項11に記載の警報システム。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか1項に記載の警報システムに適用される、
警報器
【請求項14】
防災の対象である災害の発生時に警報音の発報を行う警報器と通信可能に接続される制御システムの処理方法であって、
前記警報器における前記発報を停止させる停止信号を出力する出力処理ステップと、
前記災害の発生を検知する検知部を有した前記警報器以外であって特定の物理量をセンシングするセンシング機器に対して、前記警報器が前記災害を検知したことに応じてセンシングの起動を指示する第1信号を出力する送信ステップと、
前記センシング機器からセンシングの結果を示すセンシング信号を受信する受信ステップと、を含み、
前記特定の物理量は、温度、湿度、及び空気中の物質に対応する物理量の少なくとも1つを含み、
前記出力処理ステップでは、前記センシング信号に基づいて、前記警報器における前記災害の検知に対する正確性を、特定可能な形態で出力し、
前記送信ステップでは、前記停止信号の出力に応じて、前記センシング機器にセンシングの停止を指示する第2信号を出力する、
処理方法
【請求項15】
1以上のプロセッサに請求項14に記載の処理方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、制御システム、警報システム、警報器、処理方法、及びプログラムに関する。より詳細には、本開示は、警報器と通信可能に接続される制御システム、当該制御システムを備える警報システム、当該警報システムに適用される警報器、当該制御システムの処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、警報連携システムを開示する。この警報連携システムでは、複数住戸のいずれかの警報システムの警報器で例えば火災が検知された場合、警報システムから火災連携連動信号を受信した外部ネットワークのサーバが、利用者端末となる携帯電話から発生住戸を特定した火災警報を出力させる。そのため、利用者が外出中であっても、不在中に検知した火災を知り、迅速かつ適切な対応を取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-252689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される警報連携システムでは、外出中の利用者は、警報器が火災を検知したことを知ることはできても、警報器は、住戸内で発報し続けることになる。仮に警報器の発報が誤報だった場合、利用者が帰宅するまで、不必要に警報音が鳴動し続けてしまう。また、たとえ利用者が在宅中であっても、発報中の警報器が比較的高い位置に設置されている場合、利用者の背丈では、警報器に付設された警報音を停止するための操作ボタン又は引き紐にとどかない可能性がある。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされ、警報器に関する利便性の向上を図ることができる、制御システム、警報システム、警報器、処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の制御システムは、防災の対象である災害の発生時に警報音の発報を行う警報器と通信可能に接続される。前記制御システムは、前記警報器における前記発報を停止させる停止信号を出力する出力処理部と、前記災害の発生を検知する検知部を有した前記警報器以外であって特定の物理量をセンシングするセンシング機器に対して、前記警報器が前記災害を検知したことに応じてセンシングの起動を指示する第1信号を出力する送信部と、前記センシング機器からセンシングの結果を示すセンシング信号を受信する受信部と、を備える。前記特定の物理量は、温度、湿度、及び空気中の物質に対応する物理量の少なくとも1つを含む。前記出力処理部は、前記センシング信号に基づいて、前記警報器における前記災害の検知に対する正確性を、特定可能な形態で出力する。前記送信部は、前記停止信号の出力に応じて、前記センシング機器にセンシングの停止を指示する第2信号を出力する。
【0007】
本開示の一態様の警報システムは、上記の制御システムと、前記警報器を1又は複数と、を備える。
【0008】
本開示の一態様の警報器は、上記の警報システムに適用される。
【0009】
本開示の一態様の処理方法は、防災の対象である災害の発生時に警報音の発報を行う警報器と通信可能に接続される制御システムの処理方法である。前記処理方法は、前記警報器における前記発報を停止させる停止信号を出力する出力処理ステップと、前記災害の発生を検知する検知部を有した前記警報器以外であって特定の物理量をセンシングするセンシング機器に対して、前記警報器が前記災害を検知したことに応じてセンシングの起動を指示する第1信号を出力する送信ステップと、前記センシング機器からセンシングの結果を示すセンシング信号を受信する受信ステップと、を含む。前記特定の物理量は、温度、湿度、及び空気中の物質に対応する物理量の少なくとも1つを含む。前記出力処理ステップでは、前記センシング信号に基づいて、前記警報器における前記災害の検知に対する正確性を、特定可能な形態で出力する。前記送信ステップでは、前記停止信号の出力に応じて、前記センシング機器にセンシングの停止を指示する第2信号を出力する。
【0010】
本開示の一態様のプログラムは、1以上のプロセッサに上記の処理方法を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、警報器に関する利便性の向上を図ることができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態に係る制御システムを備える警報システムのブロック構成図である。
図2図2は、同上の警報システムが施設(戸建の住宅)に適用される場合の概念図である。
図3図3は、同上の警報システムにおける警報器とセンシング機器とのグルーピングの設定を説明するための図である。
図4図4は、同上の警報システムにおける情報端末の概念図である。
図5図5は、同上の情報端末から通知される火災検知の信頼度の概念図である。
図6図6は、同上の警報システムの動作を説明するシーケンス図である。
図7図7は、同上の情報端末の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(1)概要
以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0014】
本実施形態に係る制御システム1は、防災の対象である災害の発生時に警報音の発報を行う警報器2と通信可能に接続される(図1及び図2参照)。ここでは、制御システム1は、一例として1つの筐体に収容された1台の制御装置10であるものとする。制御装置10は、例えば施設200(図2参照)内に設置されるHEMS(Home Energy Management System)コントローラである。ただし、制御システム1は、1つの筐体に収容された制御装置10に限定されず、複数の機能が分散的に設けられた複数台の制御装置を含んでもよいし、施設200の外部に設置されたサーバ装置を含んでもよい。
【0015】
以下では、施設200は、戸建の住宅であることを想定する。しかしながら、施設200は、集合住宅(マンション)であってもよい。更に、施設200は、住宅に限らず、非住宅として、例えば、オフィスビル、劇場、映画館、公会堂、遊技場、複合施設、飲食店、百貨店、学校、ホテル、旅館、病院、老人ホーム、幼稚園、図書館、博物館、美術館、地下街、駅、空港等であってもよい。
【0016】
以下では、災害は、火災であるものとする。ただし、災害は、火災に限定されず、水害、地震等でもよい。また災害は、ガス漏れ、不完全燃焼によるCO(一酸化炭素)の発生等でもよい。ここでは警報器2は、火災の発生を検知する検知機能と、火災の発生を検知した場合に報知する警報機能とを有した、住宅用火災警報器であることを想定する。警報器2は、施設200内に設置される。警報器2は、例えば、火災の発生時に警報音を出力(発報)する。
【0017】
本実施形態に係る制御システム1は、警報器2における発報を停止させる停止信号を出力する出力処理部12(図1参照)を備えている。
【0018】
この構成によれば、制御システム1の出力処理部12が停止信号を出力するため、警報器2に付設された警報音を停止するための操作ボタン又は引き紐等を直接操作しなくても発報の停止を行える。したがって、警報器2に関する利便性の向上を図ることができる。
【0019】
上述した制御システム1と同様の機能は、処理方法、(コンピュータ)プログラム、又は(コンピュータ)プログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0020】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る制御システム1、及び制御システム1を備える警報システム100の全体構成について、図1図6を参照しながら詳しく説明する。
【0021】
(2.1)全体構成
本実施形態に係る警報システム100は、図1に示すように、制御装置10(制御システム1)と、警報器2を1又は複数(ここでは5つ)と、を備えている。警報器2は、上述の通り、火災(災害)の発生時に警報音の発報を行う。警報器2は、警報システム100に適用される。ここでは5つの警報器2のうち特定の1台(親機)のみが、制御装置10と通信するように構成されるが、各警報器2が制御装置10と通信するように構成されてもよい。5つの警報器2は、図2に示すように、施設200内に設置される。施設200は、上述の通り、戸建の住宅である。
【0022】
また警報システム100は、図1に示すように、1又は複数のセンシング機器3と、情報端末4と、外部サーバ5と、を更に備えている。
【0023】
(2.2)警報器
各警報器2は、一例として電池式の火災警報器である。ただし、警報器2は、外部電源(例えば商用の電力系統)に電気的に接続され、外部電源から供給される交流電力(例えば実効値100V)を直流電流に変換して駆動する火災警報器であってもよい。
【0024】
5つの警報器2は、いわゆる連動型の警報器であり、いずれの警報器2で火災を検出しても、他の警報器2と連動して(他の警報器2と共に)、警報音の発報を行うように構成されている。火元の位置にある警報器2(連動元)は、例えば、「ビュービュー火事です。」という警報音の発報を行う。一方、他の警報器2(連動先)は、火元の位置を特定できるような警報音の発報を行う。ここでは一例として、5つの警報器2のうちいずれか1つが親機として機能し、他の残りの警報器2が子機として機能する。親機の警報器2は、他の子機である警報器2の識別情報を記憶している。以下、親機の警報器2を第1警報器2Aと呼び、子機の警報器2を第2警報器2Bと呼ぶこともある。
【0025】
5つの警報器2は、施設200の1階における3つの部屋、廊下、及び階段の天井面にそれぞれ設置されていることを想定する。ここでは施設200は、複数の管理領域A0に区分されることを想定する(図3参照)。以下では説明の便宜上、施設200の1階における警報器2が設置されている領域を基準に、施設200を5つの管理領域A0に区分けすることを想定する。言い換えると、警報器2が設置されていない領域(図3では洗面所L1)を管理領域A0から除外して説明する。しかし、警報器2が設置されていない領域も、1つの管理領域A0でもよい。
【0026】
5つの管理領域A0のうち、3つの部屋をそれぞれ第1管理領域A1、第2管理領域A2、及び第3管理領域A3と呼び、玄関口L2に繋がる廊下を第4管理領域A4と呼び、更に階段を第5管理領域A5と呼ぶ。第1管理領域A1は、台所であり、勝手口L3に繋がっている。第2管理領域A2は、寝室である。第3管理領域A3は、居間である。第1警報器2A(親機)は、4つの第2警報器2B(子機)の全てと通信できる位置に設置されていることが好ましい。一例として、第1警報器2Aは、第5管理領域A5に設置され、4つの第2警報器2Bは、第1~第4管理領域A1~A4にそれぞれ設置される。
【0027】
以下、図1を参照しながら警報器2について説明する。第2警報器2Bは、第1警報器2Aに対して、一部の機能を除き、実質的に共通する機能を有している。そのため、第1警報器2Aと実質的に共通する第2警報器2Bの機能については適宜に説明を省略し、第1警報器2Aの機能と異なる第2警報器2Bの機能については、省略せずに適宜に説明することもある。
【0028】
各警報器2は、図1に示すように、制御部20、第1通信部21、第2通信部22、バッテリー23、報知部E1(作動灯24及び音響部25)、及び検知部26を有している。ただし、第2警報器2Bは、第1通信部21を備えなくてもよい。バッテリー23は、例えば、リチウム電池であり、警報器2は、バッテリー23から供給される電力によって動作する。
【0029】
制御部20は、例えば、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを主構成とする。コンピュータシステムの1以上のメモリに記録されたプログラムを1以上のプロセッサが実行することによって、制御部20の機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムの1以上のメモリに予め記録されている。なお、プログラムは、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0030】
制御部20は、自機の固有の識別情報を記憶している。特に、第1警報器2Aの制御部20は、4つの第2警報器2B及び制御装置10の固有の識別情報を記憶している。第2警報器2Bの制御部20は、第1警報器2Aの固有の識別情報を記憶している。
【0031】
制御部20は、第1通信部21、第2通信部22、報知部E1、及び検知部26等を制御する。また制御部20は、バッテリー23の直流電力から各種の回路の動作電力を生成する電源回路を制御する。
【0032】
検知部26は、火災の発生に伴う煙を検出し、煙の発生量(濃度)に応じて検知量(例えば電圧値)が変化するように構成されている。検知部26は、一例として煙を検知する光電式のセンサである。検知部26は、図1に示すように、発光部261と、受光部262とを有している。発光部261の発光素子から照射された光が煙の粒子に反射されて生じる散乱光を、受光部262の受光素子が検出することにより、煙の発生を検出する。もちろん、検知部26は、火災の発生に伴う熱に応じて、火災の発生を検知する感熱式で構成されてもよい。制御部20は、検知部26の検知量と、閾値とを比較し、検知量が閾値を上回れば、火災が発生したと判定する。
【0033】
第1通信部21及び第2通信部22は、電波を媒体とする無線信号を送信及び受信する。第1通信部21は、制御装置10と通信するように構成されている。第2通信部22は、他の警報器2と通信するように構成されている。第1通信部21及び第2通信部22の各々は、アンテナと、送信回路と、受信回路とを有している。送信回路は、制御部20から入力されたデータを無線信号に変調し、アンテナを介して送信する。受信回路は、アンテナを介して受信した無線信号を復調し、復調したデータを制御部20に出力する。
【0034】
第1通信部21は、特定小電力無線局に準拠して無線通信を行っており、例えば920MHz帯の電波を利用して、制御装置10との無線通信を行う。一方、第2通信部22は、例えば電波法施工規則第6条第4項第3号に規定される「小電力セキュリティシステムの無線局」に準拠して無線通信を行っており、例えば426MHzの周波数帯の電波を利用して、他の警報器2と無線通信を行う。すなわち、制御装置10との通信に使用する周波数帯と、警報器2間の通信に使用する周波数帯とが互いに異なっている。なお、第1通信部21と第2通信部22とは、互いに一体となった1つ通信部として構成されてもよいし、アンテナ、送信回路及び受信回路の少なくとも一部が共用されてもよい。
【0035】
第1警報器2Aは、各第2警報器2Bと制御装置10の両方と通信する親機として機能するため、第1通信部21及び第2通信部22を有している。一方、子機として機能する各第2警報器2Bは、制御装置10と通信する機能を備えていない。つまり、各第2警報器2Bは、第1通信部21を有していない。要するに、各第2警報器2Bは、第1通信部21及び第2通信部22のうち第2通信部22のみを有し、制御装置10とは通信せず、第1警報器2Aと通信を行う点で相違している。5つの警報器2の全てが、制御装置10と通信する機能も備えていて、ディップスイッチ等による切り替えで、各警報器2が親機又は子機に設定されてもよく、この場合、子機に設定された警報器2は、第1通信部21を不使用としてもよい。
【0036】
報知部E1は、作動灯24及び音響部25から構成される。報知部E1は、火災の発生を報知する機能を有している。
【0037】
音響部25は、音(音波)を出力する。音響部25は、制御部20にて火災が発生したと判定したときに、火災の発生を報知するように警報音を出力する。音響部25は、電気信号を音に変換するスピーカ、及び音響回路等により構成される。音響部25は、警報音(例えば「ピー」音)を出力する。警報音は、例えば「火事です。火事です。」といった音声メッセージを含んでもよい。また音響部25は、取り換え時期、故障、又は電池切れ等が発生したと制御部20が判定した場合に、その発生の旨を報知するための音(報知音)を出力する。音響部25は、動作試験時においても、警報音及び報知音を試験的に出力する。動作試験は、警報器2の筐体から露出する操作ボタンが押し操作されるか、又は筐体から導出されている引き紐が引き操作されることで実行可能となっている。警報中に操作ボタンが押し操作されると、警報音の出力は停止する。
【0038】
作動灯24は、光源として赤色LED(Light Emitting Diode)240、及び点灯回路等を有している。なお、作動灯24の光源の色は、特に限定されず、赤色以外でもよい。作動灯24は、通常時(火災の監視時)には消灯している。制御部20にて火災が発生したと判定した場合に、作動灯24は、警報音の発報の開始と共に、点滅(又は点灯)を開始し、警報音の発報が停止すると停止する。作動灯24から出射された光は、透光性を有した操作ボタンを介して、警報器2の筐体の外部に導出される。施設200内の人(例えば住人)は、操作ボタン越しの赤色の作動点滅を視認することで、警報器2が作動中(火災を検知中)であることを知ることができる。作動灯24は、取り換え時期、故障、又は電池切れ等が発生したと制御部20が判定したとき、その発生の旨を住人に知らせるために点滅する。作動灯24の動作試験は、音響部25と同様に、操作ボタンが押し操作されるか、又は引き紐が引き操作されることで実行可能となっている。
【0039】
そして、本実施形態の第1警報器2A(親機)の制御部20は、第1通信部21を介して、制御装置10から発報を停止させる「停止信号」を受信すると、自機が発報中の状態であれば発報を停止させる。また第1警報器2Aの制御部20は、他の4つの第2警報器2B(子機)に、第2通信部22を介して、停止信号を転送する。つまり、各第2警報器2Bは、制御装置10から、第1警報器2Aを経由して、停止信号を受信する。言い換えると、複数の警報器2のうちの1つが、停止信号を受信すると、他の警報器2の発報を連動して停止させるように停止信号を他の警報器2に出力する。各第2警報器2Bは、停止信号を受信すると、自機が発報中の状態であれば発報を停止させる。
【0040】
ところで、検知元(火元)の警報器2については、検知元の警報器2が設置されている管理領域A0を、人(例えば住人)が目視で誤報か否かを確認してから、検知元の警報器2の操作ボタン又は引き紐を直接操作して発報を停止させることが望まれる場合がある。したがって、各警報器2は、自機が火災を検知した検知元であれば、停止信号を受信した場合に、自機が発報中の状態であっても発報を停止させずに維持することが好ましい。各警報器2は、自機が検知元でなければ、停止信号を受信した場合に、自機が発報中の状態であれば発報を停止させることが好ましい。
【0041】
言い換えると、複数の警報器2の各々は、自機の検知部26が火災を検知して自機の発報の実行を開始し、かつ発報を他の警報器2に連動発報させる連動信号を出力した場合、停止信号を受信しても自機の発報を停止しないことが好ましい。複数の警報器2の各々は、自機の検知部26が火災を検知しておらず、かつ他の警報器2から連動信号を受信して自機の発報の実行を開始した場合、停止信号を受信すると自機の発報を停止することが好ましい。この場合、火元の警報器2の発報が連動して停止してしまう可能性を低減できる。
【0042】
(2.3)制御装置
制御装置10(制御システム1)は、上述の通り施設200内に設置されるHEMSコントローラである。制御装置10は、有線又は無線により、施設200に設けられた複数の電気機器と通信可能である。複数の電気機器は、例えば、照明機器、温湿度センサ、空調機器、空気清浄機、電気錠装置、給湯器、及びスマートテレビ等を含み得る。ここでは、複数の電気機器のうち、温湿度センサ、空調機器、及び空気清浄機が、センシング機器3に相当するが、特に限定されず、その他の電気機器もセンシング機器3に相当してもよい。以下、温湿度センサを第1センシング機器31と呼び、空調機器を第2センシング機器32と呼び、空気清浄機を第3センシング機器33と呼ぶこともある。
【0043】
制御装置10は、警報器2と通信可能に接続される。制御装置10は、警報器2と直接通信する中継器R1に相当する。言い換えると、制御システム1は、中継器R1を備えている。中継器R1である制御装置10は、情報端末4から警報器2への発報の停止指令を中継する。
【0044】
ここでは制御装置10は、親機である第1警報器2Aと無線通信を行う。制御装置10は、第1警報器2Aを介して、4つの第2警報器2Bとも通信可能である。さらに制御装置10は、複数のセンシング機器3、情報端末4、及び施設200の外部に設置されている外部サーバ5とも通信可能である。
【0045】
以下、制御装置10の構成について具体的に説明する。制御装置10は、図1に示すように、制御部C1、表示部D1、通信部14、及び記憶部15等を備えている。
【0046】
制御部C1は、例えば、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを主構成とする。コンピュータシステムの1以上のメモリに記録されたプログラムを1以上のプロセッサが実行することによって、制御部C1の機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムの1以上のメモリに予め記録されている。なお、プログラムは、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0047】
表示部D1は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electroluminescence)ディスプレイのような薄型のディスプレイ装置である。表示部D1は、制御部C1の制御により、各センシング機器3及び警報器2から取得した機器情報を表示してもよい。表示部D1は、記憶部15に蓄積された機器情報をグラフ化して表示してもよい。機器情報は、機器の動作状況、及び消費電力に関する情報を含み得る。表示部D1は、タッチパネル式のディスプレイ装置であることを想定する。表示部D1は、表示部D1の画面上へのタッチ操作等によってユーザからの操作入力を受け付ける。ここでは、表示部D1は、警報器2の発報の停止指令に関する操作入力を受け付ける操作部P1(図1参照)に相当する。言い換えると、中継器R1に相当する制御装置10は、操作部P1を有している。操作部P1は、表示部D1のみに限定されず、例えば表示部D1の周囲に付設された押しボタン等を含んでもよい。
【0048】
通信部14は、第1警報器2Aと通信を行うための第1通信インタフェースを含んでいる。第1通信インタフェースは、上述の通り920MHz帯の電波を利用して、第1警報器2Aとの無線通信を行う。制御部C1は、第1通信インタフェースを通じて、第1警報器2Aから種々の情報を取得する。
【0049】
また通信部14は、施設200内のルータ等を介してネットワークNT1(図2参照:例えばインターネット回線)に接続されている第2通信インタフェースを含んでいる。第2通信インタフェースは、ネットワークNT1を介して、情報端末4、及び外部サーバ5と通信を行う。情報端末4は、施設200のユーザ(例えば住人)が所有するスマートフォン、又はタブレット端末等である。本実施形態では、情報端末4は、スマートフォンを想定している。情報端末4には、制御装置10と通信可能とする専用のアプリケーションソフトがインストールされている。外部サーバ5は、セキュリティ会社等が管理するサーバでもよいし、施設200のハウスメーカー又は工務店等が管理するサーバでもよい。外部サーバ5は、1台のサーバ装置から構成されてもよいし、複数台のサーバ装置から構成されてもよい。
【0050】
さらに通信部14は、複数のセンシング機器3と通信を行うための第3通信インタフェースを含んでいる。第3通信インタフェースは、第1通信インタフェースと同様に、920MHz帯の電波を利用して、センシング機器3と無線通信を行うことを想定するが、LANケーブル等を介してセンシング機器3と通信を行なってもよい。
【0051】
ここでは通信部14の第1~第3通信インタフェースが、受信部141及び送信部142に相当する(図1参照)。すなわち、制御システム1は、受信部141及び送信部142を備えている。
【0052】
受信部141は、機器群X1(図2参照)から機器信号を受信する。機器群X1は、5つの警報器2と、複数のセンシング機器3(図2では各種類で代表して1台ずつ図示)とを含むが、警報器2の数及びセンシング機器3の数は、それぞれ1つ以上であれば、特に限定されない。機器信号は、例えば、警報器2からの火災が検知されたことを示す検知信号と、センシング機器3からのセンシングの結果を示すセンシング信号を含む。すなわち、受信部141は、各センシング機器3からセンシング信号を受信する。また受信部141は、警報器2(第1警報器2A)から検知信号を受信する。
【0053】
送信部142は、センシング機器3に対して、警報器2が火災を検知したことに応じてセンシングの起動を指示する第1信号(起動信号)を出力する。すなわち、送信部142は、警報器2からの検知信号の受信をトリガとして、センシング機器3に対してセンシングの起動を指示する起動信号を出力する。
【0054】
更に送信部142は、停止信号の出力に応じて、センシング機器3にセンシングの停止を指示する第2信号を出力する。
【0055】
なお、センシング機器3は、火災の発生を検知する検知部26を有した警報器2以外であって、特定の物理量をセンシングする機器である。特定の物理量は、災害の発生要因と関連性を有するものであり、ここでは災害が火災であるため、例えば温度、湿度、空気中の物質等に対応する物理量である。
【0056】
ここでは制御装置10に対して検知信号を送信する警報器2は、親機の第1警報器2Aである。第1警報器2Aは、制御装置10に対して、火災が発生したという検知結果を示す情報だけでなく、火元の位置にある警報器2(つまり連動元)の識別情報も含めて、検知信号を送信する。その結果、制御装置10は、5つの警報器2のうち、火災を検知した警報器2(検知元)を特定可能である。
【0057】
記憶部15は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等から選択されるデバイスで構成される。記憶部15は、制御部C1のメモリでもよい。また以下に説明する記憶部15が記憶する各種の情報の少なくとも一部が、制御部C1のメモリに記憶されてもよい。
【0058】
記憶部15は、複数のセンシング機器3及び複数の警報器2の各々の識別子(IPアドレス等の識別情報)を記憶している。この他にも記憶部15は、情報端末4及び外部サーバ5等に関する情報(例えばIPアドレス、メールアドレス、及び電話番号等)を記憶する。
【0059】
(2.4)センシング機器
各センシング機器3は、施設200の複数の管理領域A0(図3参照)のうちのいずれに設置される。本実施形態では、上述の通り、第1センシング機器31(温湿度センサ)、第2センシング機器32(空調機器)、及び第3センシング機器33(空気清浄機)の3種類のセンシング機器3が想定される。各センシング機器3は、所定の間隔で自発的にセンシングを実行する。各センシング機器3から制御装置10へ送信されるセンシング信号は、所定の間隔で実行されたセンシングの結果に関する情報を含む。所定の間隔は、センシング機器3の種類によって異なり得る。
【0060】
各センシング機器3は、所定の間隔で自発的にセンシングを実行するだけでなく、制御装置10から第1信号(起動信号)を受信すると、センシングを実行する。各センシング機器3は、実行されたセンシングの結果を含むセンシング信号を送信する。
【0061】
次に各種類のセンシング機器3について説明する。以下で言う「通常時」とは、制御装置10から起動信号を受信していない状態を意味する。各センシング機器3は、少なくとも通常時、所定の間隔で自発的にセンシングを実行する。
【0062】
警報システム100は、一例として、2台の第1センシング機器31を有している。第1センシング機器31は、屋内用であり、一例として電池式の温湿度センサである。第1センシング機器31は、第1管理領域A1(台所)及び第2管理領域A2(寝室)の壁面等に1台ずつ設置される。第1センシング機器31における特定の物理量は、温度及び湿度(いずれか一方でもよい)に応じた検知量に相当する。
【0063】
第1センシング機器31における温度及び湿度に関するセンシングの所定の間隔は、例えば10分であるが、特に限定されない。第1センシング機器31は、通常時、10分ごとにセンシングを自発的に実行し、対応する管理領域A0内の温度及び湿度に関する情報(センシング結果)を含むセンシング信号を、センシングの実行の都度、制御装置10へ送信する。第1センシング機器31は、特定小電力無線局に準拠して無線通信を行っており、上述の通り、920MHz帯の電波を利用して、制御装置10と無線通信する。第1センシング機器31は、上述の通り電池式であるため、通常時、消費電力を抑えるために、所定の間隔において消費電力の低い待機モードで動作し、所定の間隔が経過する度にセンシングモードで動作する(すなわち、センシングの起動)。制御装置10は、第1センシング機器31からセンシング信号を受信すると、温度及び湿度に関するセンシング情報を記憶部15に記憶する。ユーザは、制御装置10の表示部D1を通じて、当該センシング情報を閲覧できてもよい。
【0064】
警報システム100は、一例として、3台の第2センシング機器32を有している。第2センシング機器32は、空調機器(室内機)である。第2センシング機器32は、第1管理領域A1(台所)、第2管理領域A2(寝室)、及び第3管理領域A3(居間)の壁面等に1台ずつ設置される。第2センシング機器32における特定の物理量は、第1センシング機器31と同様に、温度及び湿度に応じた検知量を含み得る。また第2センシング機器32は、人体から放射される光線(熱線)から室内に存在する人の位置、及び活動量等をセンシングする機能を有していれば、特定の物理量は、それらに応じた検知量を含み得る。
【0065】
第2センシング機器32における温度、湿度、及び人に関するセンシングの所定の間隔は、例えば5分であるが、特に限定されない。第2センシング機器32は、通常時、稼働中であれば、5分ごとにセンシングを自発的に実行し、対応する管理領域A0内の温度、湿度及び人に関する情報(センシング結果)を含むセンシング信号を、センシングの実行の都度、制御装置10へ送信する。第2センシング機器32も、例えば、920MHz帯の電波を利用して、制御装置10と無線通信する。
【0066】
第2センシング機器32は、電源がオフ状態(非稼働)においては、消費電力の低い待機モードで動作する。第2センシング機器32は、リモートコントーラ(制御装置10でもよい)へのユーザ操作に応じて、電源がオン状態(稼働)になると、設定された温度、風向、風量等に応じた空調制御を実行しつつ、センシングモードで動作する。制御装置10は、第2センシング機器32からセンシング信号を受信すると、温度、湿度及び人等に関するセンシング情報を記憶部15に記憶する。ユーザは、制御装置10の表示部D1を通じて、当該センシング情報を閲覧できてもよい。
【0067】
警報システム100は、一例として、1台の第3センシング機器33を有している。第3センシング機器33は、例えば天井埋め込み型の空気清浄機である。第3センシング機器33は、第1管理領域A1(台所)に設置される。第3センシング機器33における特定の物理量は、空気中に含まれる物質の種類及び濃度に応じた検知量を含み得る。空気中に含まれる物質の例としては、物理的物質(塵埃、黄砂、微粒子状物質(PM10、PM2.5等)、化学的物質(一酸化炭素、二酸化炭素、アルデヒド類等)、及び生物学的物質(カビ、ウィルス、花粉等)を含み得る。
【0068】
第3センシング機器33における空気中に含まれる物質に関するセンシングの所定の間隔は、例えば5分であるが、特に限定されない。第2センシング機器32は、通常時、稼働中であれば、5分ごとにセンシングを自発的に実行し、対応する管理領域A0内の空気中に含まれる物質に関する情報(センシング結果)を含むセンシング信号を、センシングの実行の都度、制御装置10へ送信する。第3センシング機器33も、例えば、920MHz帯の電波を利用して、制御装置10と無線通信する。
【0069】
第3センシング機器33は、電源がオフ状態(非稼働)においては、消費電力の低い待機モードで動作する。第3センシング機器33は、リモートコントーラ(制御装置10でもよい)へのユーザ操作に応じて、電源がオン状態(稼働)になると、空気清浄制御を実行しつつ、センシングモードで動作する。制御装置10は、第3センシング機器33からセンシング信号を受信すると、空気中に含まれる物質に関するセンシング情報(物質の種類、濃度等)を記憶部15に記憶する。ユーザは、制御装置10の表示部D1を通じて、当該センシング情報を閲覧できてもよい。
【0070】
ところで、電池式の第1センシング機器31は、上述の通り、通常時、消費電力を抑制するために、10分間隔で間欠的にセンシングを起動している。ただし、第1センシング機器31は、待機モードで動作中に制御装置10から起動信号を受信すると、センシングを起動する。
【0071】
第2及び第3センシング機器32、33は、非稼働時においては、消費電力の低い待機モードで動作する。ただし、第2及び第3センシング機器32、33は、待機モードで動作中に制御装置10から起動信号を受信すると、センシングを起動する(空調制御や清浄制御は行わなくてもよい)。第2及び第3センシング機器32、33は、稼働時に制御装置10から起動信号を受信すると、空調制御や清浄制御を行いながら、通常時と同様にセンシングを実行する。
【0072】
起動信号の受信によってセンシングを起動する場合、各センシング機器3におけるセンシングの実行間隔は、通常時に自発的に実行されるセンシングと同じ所定の間隔でもよい。すなわち、制御装置10は、警報器2で火災(災害)が検知された場合、センシング信号を受信するタイミングを、所定の間隔に一致させてもよい。この場合、センシング機器3側の負荷(例えば消費電力等)を抑えることができる。
【0073】
ただし、電池式の第1センシング機器31においては、所定の間隔が比較的長い。そこで、起動信号の受信後におけるセンシングの実行間隔は、通常時の所定の間隔よりも短い間隔に切り替わってもよい。
【0074】
本実施形態では、各センシング機器3は、第1信号(起動信号)を受信して、センシングの実行を開始した後に、制御装置10から、センシングの停止を指示する第2信号を受信すると、センシングの実行を停止する。具体的には、第1センシング機器31は、第2信号を受信すると、待機モードに戻り、以降、第1センシング機器31は、所定の間隔(10分)が経過する度にセンシングを自発的に実行する。また第2及び第3センシング機器32、33は、第2信号を受信すると、待機モードに戻る。
【0075】
(2.5)発報の停止機能
本実施形態の制御システム1は、警報器2における発報を停止させる停止信号を出力する出力処理部12(図1参照)を備えている。ここでは制御装置10(制御システム1)の制御部C1が出力処理部12を有している。つまり、出力処理部12は、警報器2と直接通信する中継器R1に相当する制御装置10に設けられている。すなわち、制御部C1は、出力処理部12としての機能を有している。
【0076】
本実施形態の制御システム1は、情報端末4及び制御装置10のいずれからでも警報器2の発報を停止するための停止指令を行えるように構成されている。
【0077】
まず情報端末4からの発報の停止指令について説明する。
【0078】
本実施形態の制御装置10(中継器R1)は、上述の通り、住人が所有する情報端末4と通信可能に接続されている。情報端末4は、例えば、警報器2が設置される施設200の外部から操作可能な携帯型の端末(ここではスマートフォン)である。制御装置10は、施設200内のルータ、ネットワークNT1、及び外部サーバ5等を介して、情報端末4と無線通信を行う。そして、出力処理部12は、情報端末4から発報の停止指令に関する指令信号を受信すると、指令信号に応じて停止信号を警報器2に出力する。
【0079】
具体的には、制御装置10は、第1警報器2Aから検知信号を受信すると、火災を検知した旨等を含む通知信号を情報端末4に送信して、その旨を示す警報メッセージを情報端末4から画面表示させる。警報メッセージは、火元の場所に関する情報を含むことが望ましい。警報メッセージの一例としては、図4に示すように、「台所で火災を検知しました。現在、警報器は発報中です。」等である。この際に、出力処理部12は、例えば、情報端末4に「発報停止」と記された画像領域W1を出力させる。この画像領域W1を指先でタッチすることで、発報の停止指令に関する操作入力が、受け付けられる。情報端末4は、この操作入力に応じて指令信号を生成し、制御装置10へ送信する。出力処理部12は、指令信号を受信すると、停止信号を生成して、通信部14より第1警報器2Aに停止信号を送信する。その結果、発報中の複数の警報器2が連動して発報を停止する。したがって、情報端末4を携帯する人(施設200の住人)は、外出中であっても、情報端末4からの操作によって、施設200内の警報器2の発報を停止可能である。そのため、警報器2に関する利便性を向上できる。
【0080】
次に制御装置10からの発報の停止指令について説明する。
【0081】
出力処理部12は、警報器2の発報の停止指令に関する操作入力を受け付ける操作部P1(ここでは表示部D1)への操作入力に応じて、停止信号を警報器2に出力する。
【0082】
具体的には、出力処理部12は、第1警報器2Aから検知信号を受信すると、例えば、表示部D1から、警報メッセージを画像表示させて通知する。警報メッセージは、上述した情報端末4から出力される警報メッセージに類似する内容、又は実質的に同じ内容でもよい。この際に、出力処理部12は、例えば、表示部D1に「発報停止」と記された画像領域を出力させる。この画像領域を指先でタッチすることで、発報の停止指令に関する操作入力が、受け付けられる。出力処理部12は、この操作入力に応じて停止信号を生成して、通信部14より第1警報器2Aに停止信号を送信する。その結果、発報中の複数の警報器2が連動して発報を停止する。したがって、施設200内の人(住人)は、制御装置10の操作部P1への操作によって、警報器2の発報を停止可能である。そのため、警報器2に関する利便性を向上できる。
【0083】
出力処理部12は、情報端末4又は制御装置10に付設のスピーカから、上記の警報メッセージを音声出力させて通知してもよい。また情報端末4及び制御装置10のいずれにおいても、発報停止の画像領域がタッチされると、「本当に発報を停止させますか?」という再確認のメッセージを出力すると共に「はい」及び「いいえ」の記されたボタン領域がポップアップ表示されることが望ましい。
【0084】
ここで住人が外出中であり、施設200内に人(例えば外出中の住人以外の住人)が存在する場合、外出中の住人が、携帯する情報端末4から発報の停止指令が実行できることが望まれない場合もある。そこで、制御システム1は、施設200における人の存在に関する人情報を取得する取得部16(図1参照)を更に備えてもよい。出力処理部12は、取得部16で取得した人情報が、施設200に人が不在であることを示す場合にのみ、情報端末4に対して、発報の停止指令に関する操作入力を受け付け可能にさせる。ここでは制御装置10の制御部C1が取得部16を更に有している。すなわち、制御部C1は、取得部16としての機能を有している。
【0085】
人情報の発信源は、例えば、施設200の、ある管理領域A0に設置された人感センサでもよい。この場合、取得部16は、通信部14を介して、920MHz帯の電波を利用して人感センサと無線通信を行い、人情報を取得する。また第2センシング機器32が人体から放射される光線(熱線)から人の位置、及び活動量等をセンシングする機能を有していれば、人情報の発信源は、第2センシング機器32でもよい。
【0086】
さらに制御装置10が、操作部P1又は情報端末4を介して「在(在宅)」又は「不在(外出)」を申請するための操作入力を受け付けるように構成されていれば、人情報の発信源は、制御装置10自身でもよい。要するに、取得部16は、住人からの自己申告によって、在宅を示す人情報を取得してもよい。ただし、人情報の発信源は、上述したものに限定されない。
【0087】
出力処理部12は、取得部16で取得した人情報が、施設200に人が在宅であることを示す場合、第1警報器2Aから検知信号を受信して、情報端末4に警報メッセージを画像表示させる際に、「発報停止」の画像領域W1を非表示にする。あるいは、出力処理部12は、画像領域W1がタッチ操作されて情報端末4から指令信号を受信しても、停止信号を生成せずに、施設200に人が存在するため停止指令を受け付けできない旨を、情報端末4に通知させる。したがって、施設200に人が存在するにも関わらず、外出中の住人の情報端末4によって、警報器2の発報が停止されてしまう可能性を低減できる。
【0088】
一方、住人が、施設200内で情報端末4を用いて発報を停止したい場合がある。この場合、出力処理部12は、取得部16で取得した人情報が施設200に人が存在することを示しても、停止指令に関する操作入力を受け付け可能にさせてもよい。情報端末4は、GPS(Global Positioning System)情報に基づいて現在の位置情報を取得し、出力処理部12は、情報端末4に対して当該位置情報を要求してもよい。出力処理部12は、情報端末4の位置情報が施設200内であれば、停止指令に関する操作入力を受け付け可能にさせてもよい。
【0089】
ここで、制御装置10に対する情報端末4の設定(登録)について説明する。制御装置10の制御部C1は、設定部13(図1参照)を更に有している。すなわち、制御部C1は、設定部13としての機能を有している。本実施形態の制御装置10(中継器R1)は、複数の情報端末4と通信可能に接続される。設定部13は、複数の情報端末4のうち、発報の停止指令を許可する情報端末4を設定する。
【0090】
具体的には、設定部13は、例えば、表示部D1の画面上にて特定の操作入力を受け付けると、表示部D1に情報端末4に関する登録画面を出力する。施設200の住人は、登録画面の案内にしたがって、情報端末4の識別情報等を新規登録及び削除等が可能である。設定部13は、登録画面を通じて登録された情報端末4の識別情報等を記憶部15に記憶する。ここでは、制御装置10は、第1警報器2Aから検知信号を受信すると、設定部13により設定された情報端末4に対して、通知信号を送信して火災が検知された旨を通知すると共に、その情報端末4からの発報の停止指令を許可する。このように設定部13が設けられていることで、警報器2の発報を停止できる情報端末4を制限できる。
【0091】
ところで、施設200の複数の住人(家族)の各々が、情報端末4を所有している場合がある。ただし、例えばある住人(子供又は高齢者等)が所有する情報端末4には、情報端末4からの発報の停止指令が実行できる権限を与えたくない場合がある。またその権限を途中で変更したい場合がある。そこで、本実施形態の設定部13は、発報の停止に関する複数の情報端末4の各々の権限について、有効又は無効を設定する。
【0092】
具体的には設定部13は、例えば、上記登録画面上にて、権限変更に関する操作入力を受け付けると、表示部D1に登録画面から権限変更画面へ遷移させる。設定部13は、権限変更画面を通じて、ある情報端末4に対して、発報の停止に関する権限の有効又は無効に関する操作を受け付けると、当該情報端末4に関する権限情報を記憶部15に記憶する。
【0093】
制御装置10は、第1警報器2Aから検知信号を受信すると、権限の有効/無効に関わらず、登録されている全ての情報端末4に通知信号を送信して、火災が検知された旨を通知する。ただし、制御装置10は、権限が有効の情報端末4に対してのみ発報停止の画像領域W1を表示させて、権限が無効の情報端末4に対しては画像領域W1を非表示にさせる。あるいは、出力処理部12は、画像領域W1がタッチ操作されて情報端末4から指令信号を受信しても、指令信号の送信元が、権限が無効の情報端末4であれば、停止信号を生成せずに、停止指令を受け付けできない旨を情報端末4に通知させる。
【0094】
このように設定部13が設けられていることで、要望等に応じて各情報端末4の権限について有効及び無効を容易に設定できる。
【0095】
(2.6)火災検知の正確性
更に出力処理部12は、センシング機器3から受信したセンシング信号に基づいて、警報器2における火災(災害)の検知に対する正確性を、特定可能な形態で出力する。以下では、火災の検知に対する正確性を特定可能な情報のことを、「特定情報」と呼ぶこともある。本開示で言う「正確性を特定可能な形態」とは、ユーザ(例えば住人)が、特定情報を得ることで、火災の検知に対する正確性をある程度推定できるものであればよい。「正確性を特定可能な形態」は、例えば、以下のような第1形態及び第2形態を含み得る。ここでは、出力処理部12は、第1形態と第2形態の両方の形態で、特定情報を出力するものとするが、いずれか一方の形態のみでもよい。特定情報は、情報端末4に出力されることを想定するが、自機の表示部D1に出力されてもよい。
【0096】
第1形態は、センシング機器3のセンシング結果を直接的に通知する形態である。第1形態は、例えば、センシング結果をグラフ化して通知する形態でもよい。複数のセンシング機器3の中にカメラ等の撮像装置が含まれる場合、第1形態は、センシング結果として映像を通知する形態でもよい。
【0097】
第2形態は、センシング機器3のセンシング結果に基づいて、出力処理部12が正確性を判断して判断結果を通知する形態である。出力処理部12は、センシング結果を分析し、火災の検知に対する正確性を評価する。出力処理部12は、例えば、評価結果を数値化(例えば百分率等)して、特定情報として出力してもよい。
【0098】
出力処理部12は、例えば、特定情報を情報端末4から画面表示によって通知させる。特定情報は、情報端末4から音声出力によって通知されてもよい。具体的には、出力処理部12は、情報端末4から、火災が検知された旨、及び発報停止の画像領域W1と共に、信頼度(第2形態:例えば「30%」)と第1センシング機器31のセンシング結果(第1形態:例えば室温「25℃」)とが、通知される(図5参照)。なお、図4に示す画面から図5に示す画面への画面遷移は、適宜の操作入力により実行され得る。住人は、外出中であっても、情報端末4から信頼度及びセンシング結果を得ることで、警報器2の誤報である可能性の存在を推定できる。警報器2の誤報の原因の例としては、警報器2内への埃、湯気等の進入、及び警報器2の経年劣化等が挙げられる。
【0099】
ところで、上述した設定部13は、更に、センシング機器3及び警報器2を新規導入したり増設したりした際に、それらが機器群X1に含まれるように設定(登録)することが好ましい。制御部C1は、機器群X1に関する設定情報を記憶部15に記憶する。機器群X1に関する設定情報について、ユーザインタフェースへの操作により、新規登録、変更、及び削除等が可能となっている。本開示で言う「ユーザインタフェース」とは、タッチパネル式の表示部D1、表示部D1の横に付設されている操作ボタン、及び情報端末4のいずれかに相当するが、特に限定されない。
【0100】
記憶部15は、表示部D1に施設200の間取図を画像として出力するための画像情報を予め記憶してもよい。画像情報は、施設200の間取図(平面図)に限定されず、施設200の立体図に関する画像情報でもよい。画像情報は、施設200のハウスメーカー等が管理する外部サーバ5からダウンロードされてもよい。
【0101】
設定部13は、警報器2及びセンシング機器3が設置されている管理領域A0を設置位置の単位として、これらのグループG0の類別を行う。設定部13は、例えば、第1管理領域A1に設置されているセンシング機器3が、第1グループG1に類別されるように設定する。また設定部13は、第2管理領域A2に設置されているセンシング機器3が、第2グループG2に類別されるように設定する。更に設定部13は、第3管理領域A3に設置されているセンシング機器3が、第3グループG3に類別されるように設定する。設定部13は、第1管理領域A1に設置されている第2警報器2Bが第1グループG1に含まれるように設定する。また設定部13は、第2管理領域A2に設置されている第2警報器2Bが第2グループG2に含まれるように設定する。更に設定部13は、第3管理領域A3に設置されている第2警報器2Bが第3グループG3に含まれるように設定する。
【0102】
図3は、表示部D1又は情報端末4等に表示され得る、施設200の間取図の画像の一例を示す。例えばユーザ(住人又は施工者等)は、表示部D1又は情報端末4等に表示された間取図の画像を見ながら、所定領域をタッチすることで、センシング機器3及び警報器2が機器群X1に含まれるように登録できてもよい。特にユーザは、当該画像を見ながら、センシング機器3及び警報器2がそれぞれどの管理領域A0に設置されているかを、登録できてもよい。
【0103】
設定部13は、このように各機器についてグループG0の類別を行い、グループ情報として記憶部15に記憶する。図3の例では、四角いマーク「1」~「3」は、それぞれ第1センシング機器31~第3センシング機器33を示す。図3の例では、第1グループG1には、警報器2(子機)及び第1センシング機器31~第3センシング機器33の各1台が属している。第2グループG2には、警報器2(子機)、第1センシング機器31及び第2センシング機器32の各1台が属している。第3グループG3には、警報器2(子機)及び第2センシング機器32の各1台が属している。
【0104】
実際に警報器2から検知信号を受信すると、出力処理部12は、受信した検知信号から、火災の検知元(火元)である警報器2の識別情報を取得する。出力処理部12は、複数のグループG0の中から、火災の検知元である警報器2が属するグループG0を特定する。出力処理部12は、特定したグループG0に属するセンシング機器3のセンシング状況に基づいて、火災の検知に対する正確性を、特定可能な形態で出力する。
【0105】
(2.7)動作説明
以下、警報システム100における動作について図6を参照しながら説明する。以下では、一例として、施設200の住人が外出中に、第1管理領域A1(台所)に設置されている第2警報器2Bが火災を検知したことを想定する。
【0106】
第1管理領域A1に設置されている警報器2(第2警報器2B)は、火災を検知する(ステップS1)。警報器2は、警報音を発報し(ステップS2)、警報信号(連動信号)を親機である第1警報器2Aに送信する(ステップS3)。第1警報器2Aは、警報器2から警報信号を受信すると、自機も警報音を発報し、他の警報器2へも警報信号を送信して、警報音の発報を連動させる(ステップS4)。さらに第1警報器2Aは、検知信号を、制御装置10へ送信する(ステップS5)。
【0107】
制御装置10は、検知信号を受信すると、火元の警報器2が属するグループG0を特定する(ステップS6)。ここでは制御装置10は、火元の警報器2のグループG0が第1グループG1であることを特定する。制御装置10は、第1グループG1に属する3つのセンシング機器3に対して、920MHz帯の電波を利用して第1信号(起動信号)を送信する(ステップS7)。ここでは、起動信号は、第1グループG1に属するセンシング機器3に対してのみ送信されるものとするが、グループG0を指定せずに、同報送信されてもよい。すなわち、制御装置10は、施設200内の全てのセンシング機器3に対して起動信号を一斉に送信してもよい。
【0108】
第1グループG1の各センシング機器3は、起動信号を受信すると、センシングを起動する(ステップS8)。ここでは、各センシング機器3は、通常時の所定の間隔(例えば10分又は5分)よりも短い一定の間隔(例えば1分間隔)で、センシングを実行してその都度センシング信号を制御装置10に送信する(ステップS9)。
【0109】
制御装置10は、各センシング機器3から受信するセンシング結果(検知量)が一定のサンプリング数に達すると、火災の検知に対する正確性を評価する(ステップS10)。
【0110】
制御装置10は、これら3つのセンシング機器3のセンシング結果から相互的に正確性を評価する。制御装置10は、センシング機器3の種類に重み付けを行い、正確性を評価してもよい。制御装置10は、センシング機器3及び警報器2の品番情報等に基づき経年劣化を考慮して、正確性を評価してもよい。制御装置10は、施設200内の全てのセンシング機器3に起動信号を一斉に送信する場合、全てのセンシング機器3のセンシング結果から相互的に正確性を評価してもよい。
【0111】
制御装置10は、火災を検知した旨、火元の場所、及び特定情報(信頼度等)を含む通知信号を、情報端末4に送信する(ステップS11)。情報端末4は、通知信号を受信すると、通知信号に含まれるこれらの情報を通知する(ステップS12)。また情報端末4は「発報停止」の画像領域W1を表示する。
【0112】
また制御装置10は、通知信号を、情報端末4に加えて外部サーバ5にも送信してもよい。外部サーバ5は、多数の施設200の制御装置10から受信した通知信号に含まれる特定情報、施設200の場所、火災の検知場所、検知時の時間帯、時季、及び天候等に関する情報を蓄積し、誤報になり易い要因を分析するために用いられてもよい。
【0113】
ここで外出中の住人は、情報端末4からの通知を受けて、警報器2の発報を停止させたい場合がある。例えば、近隣の知人に連絡して施設200の状況を見てもらい、誤報だったと知った場合、又は通知された信頼度及び室内の温度から、誤報の可能性が高い場合には、発報を停止させたい状況になり得る。その場合、住人は、画像領域W1にタッチ操作する(ステップS13)。すると、情報端末4は、制御装置10に指令信号を送信する(ステップS14)。
【0114】
制御装置10は、指令信号を受信すると、送信元の情報端末4が、発報の停止指令に関する権限が有効か無効かを確認する。そして、権限が有効だった場合には、制御装置10は、停止信号を第1警報器2Aに送信する(ステップS15)。その後、第1警報器2Aは、自機の発報を停止すると共に、他の警報器2(子機)へ停止信号を転送し、連動して発報を停止させる(ステップS16)。ただし、ここでは、第1管理領域A1(台所)の第2警報器2Bは、検知元であるため、第1警報器2Aから停止信号を受信しても発報を停止せずに維持する。
【0115】
さらに制御装置10は、各センシング機器3に、第1信号(起動信号)に起因して実行中のセンシングを停止させるための第2信号を送信する(ステップS17)。センシング機器3は、第2信号を受信すると、通常時の動作に戻る(ステップS18)。
【0116】
このように本実施形態では、制御システム1(制御装置10)の出力処理部12が停止信号を出力するため、警報器2に付設された警報音を停止するための操作ボタン又は引き紐等を直接操作しなくても発報の停止を行える。したがって、警報器2に関する利便性の向上を図ることができる。
【0117】
また情報端末4を介して警報器2における発報を停止できるため、警報器2に関する利便性をより向上できる。さらに情報端末4は、施設200の外部から操作可能な携帯型の端末であるため、施設200の外部から警報器2の発報を停止でき、警報器2に関する利便性をより向上できる。特に、複数の警報器2の発報を連動停止させることができるため、警報器2に関する利便性を更に向上できる。
【0118】
上記の動作例では、情報端末4を携帯する住人が外出中である場合を説明したが、その住人が在宅中であっても発報を容易に停止できる。例えば、発報中の警報器2が比較的高い位置に設置されていて、住人の背丈では、警報器2に付設された操作ボタン又は引き紐に容易にとどかない場合でも、情報端末4又は制御装置10を用いて容易に発報を停止できる。
【0119】
また出力処理部12は、センシング信号に基づいて、警報器2における災害の検知に対する正確性を特定可能な形態で出力するため、警報器2の検知の信頼性に関する対策が向上され得る。さらに停止信号の出力に応じて、センシング機器3にセンシングの停止を指示する第2信号が出力されるため、警報器2の発報の停止に応じて、センシング機器3のセンシングを停止できる。
【0120】
ところで、本実施形態では、制御装置10と警報器2とが無線通信する。また情報端末4は、スマートフォン等の携帯型の端末であり、制御装置10及び情報端末4間における通信経路には、無線による通信経路が存在する。言い換えると、警報器2、制御装置10(中継器R1)、及び情報端末4における通信経路は、その少なくとも一部に無線による通信経路を含む。そのため、警報器2から比較的離れた位置から警報器2の発報を停止させる構成を容易に実現可能となる。なお、上記通信経路における無線通信は、電波を媒体として行われても、光を媒体として行われてもよい。
【0121】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。上記実施形態に係る制御システム1は、処理方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。処理方法は、防災の対象である災害の発生時に警報音の発報を行う警報器2と通信可能に接続される制御システム1の処理方法である。処理方法は、警報器2における発報を停止させる停止信号を出力する出力処理ステップを含む。
【0122】
以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。以下では、上記実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。
【0123】
本開示における制御システム1(制御装置10)は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0124】
また、制御システム1における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは制御システム1に必須の構成ではない。制御システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。反対に、制御システム1における複数の機能が、1つの筐体内に集約されてもよい。さらに、制御システム1の少なくとも一部の機能、例えば、制御システム1の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0125】
基本例では、情報端末4は、施設200の外部から操作可能な携帯型の端末(スマートフォン等)である。しかし、情報端末4は、対話型の音声入力に対応したスピーカ(スマートスピーカV1:図7参照)であってもよい。スマートスピーカV1は、人工知能(AI:Artificial Intelligence)技術を適用した、いわゆるAIスピーカである。スマートスピーカV1は、例えば、施設200の第1管理領域A1(台所)に設置される。制御装置10は、施設200内のルータ、ネットワークNT1及び外部サーバ5を介して、スマートスピーカV1と通信する。制御装置10は、火災を検知した旨等を含む通知信号を外部サーバ5に送信して、スマートスピーカV1からその旨を音声出力させる(図7参照)。この時、制御装置10は、スマートスピーカV1から、警報器2の発報を停止できる旨をアナウンスする音声を出力させてもよい。スマートスピーカV1は、図7に示すように、住人U1から、発報の停止指令に関する音声入力を受信すると外部サーバ5に転送する。外部サーバ5は、音声入力を分析し、分析結果が発報の停止指令を示すものであれば、制御装置10に指令信号を送信する。この構成によれば、音声入力により警報器2の発報を停止させることができるため、警報器2に関する利便性を更に向上できる。
【0126】
(4)まとめ
以上説明したように、第1の態様に係る制御システム(1)は、防災の対象である災害の発生時に警報音の発報を行う警報器(2)と通信可能に接続される。制御システム(1)は、警報器(2)における発報を停止させる停止信号を出力する出力処理部(12)を備える。第1の態様によれば、警報器(2)に関する利便性の向上を図ることができる。
【0127】
第2の態様に係る制御システム(1)は、第1の態様において、出力処理部(12)が設けられて、警報器(2)と直接通信する中継器(R1)を備える。中継器(R1)は、発報の停止指令に関する操作入力を受け付ける操作部(P1)を有する。出力処理部(12)は、操作入力に応じて停止信号を警報器(2)に出力する。第2の態様によれば、中継器(R1)の操作部(P1)を介して警報器(2)における発報を停止できるため、警報器(2)に関する利便性を更に向上できる。
【0128】
第3の態様に係る制御システム(1)は、第1の態様又は第2の態様において、出力処理部(12)が設けられて、警報器(2)と直接通信する中継器(R1)を備える。中継器(R1)は、情報端末(4)と通信可能に接続される。出力処理部(12)は、情報端末(4)から発報の停止指令に関する指令信号を受信すると、指令信号に応じて停止信号を警報器(2)に出力する。第3の態様によれば、情報端末(4)を介して警報器(2)における発報を停止できるため、警報器(2)に関する利便性を更に向上できる。
【0129】
第4の態様に係る制御システム(1)に関して、第3の態様において、情報端末(4)は、警報器(2)が設置される施設(200)の外部から操作可能な携帯型の端末である。第4の態様によれば、施設(200)の外部から警報器(2)における発報を停止できるため、警報器(2)に関する利便性を更に向上できる。
【0130】
第5の態様に係る制御システム(1)は、第4の態様において、施設(200)における人の存在に関する人情報を取得する取得部(16)を、更に備える。出力処理部(12)は、取得部(16)で取得した人情報が、施設(200)に人が不在であることを示す場合にのみ、情報端末(4)に対して、発報の停止指令に関する操作入力を受け付け可能にさせる。第5の態様によれば、例えば、施設(200)に人が存在するにも関わらず、外出中の人が携帯する情報端末(4)によって、警報器(2)の発報が停止されてしまう可能性を低減できる。
【0131】
第6の態様に係る制御システム(1)に関して、第3の態様において、情報端末(4)は、対話型の音声入力に対応したスピーカ(スマートスピーカV1)である。第6の態様によれば、音声入力により警報器(2)の発報を停止させることができるため、警報器(2)に関する利便性を更に向上できる。
【0132】
第7の態様に係る制御システム(1)に関して、第3~第6の態様のいずれか1つにおいて、警報器(2)、中継器(R1)、及び情報端末(4)における通信経路は、その少なくとも一部に無線による通信経路を含む。第7の態様によれば、警報器(2)から比較的離れた位置から警報器(2)の発報を停止させる構成を容易に実現可能となる。
【0133】
第8の態様に係る制御システム(1)に関して、第3~第7の態様のいずれか1つにおいて、中継器(R1)は、複数の情報端末(4)と通信可能に接続される。中継器(R1)は、複数の情報端末(4)のうち、発報の停止指令を許可する情報端末(4)を設定する設定部(13)を有する。第8の態様によれば、警報器2の発報を停止できる情報端末(4)を制限できる。
【0134】
第9の態様に係る制御システム(1)に関して、第8の態様において、設定部(13)は、発報の停止に関する複数の情報端末(4)の各々の権限について、有効又は無効を設定する。第9の態様によれば、要望等に応じて各情報端末(4)の権限について有効及び無効を容易に設定できる。
【0135】
第10の態様に係る制御システム(1)に関して、第1~第9の態様のいずれか1つにおいて、送信部(142)と、受信部(141)と、を更に備える。送信部(142)は、災害の発生を検知する検知部(26)を有した警報器(2)以外であって特定の物理量をセンシングするセンシング機器(3)に対して、警報器(2)が災害を検知したことに応じてセンシングの起動を指示する第1信号を出力する。受信部(141)は、センシング機器(3)からセンシングの結果を示すセンシング信号を受信する。出力処理部(12)は、センシング信号に基づいて、警報器(2)における災害の検知に対する正確性を、特定可能な形態で出力する。送信部(142)は、停止信号の出力に応じて、センシング機器(3)にセンシングの停止を指示する第2信号を出力する。第10の態様によれば、警報器(2)の検知の信頼性に関する対策が向上され、かつ、警報器(2)の発報の停止に応じて、センシング機器(3)のセンシングを停止できる。
【0136】
第11の態様に係る警報システム(100)は、第1~第10の態様のいずれか1つにおける制御システム(1)と、警報器(2)を1又は複数と、を備える。第11の態様によれば、警報器(2)に関する利便性の向上を図ることが可能な警報システム(100)を提供できる。
【0137】
第12の態様に係る警報システム(100)は、第11の態様において、警報器(2)を複数備える。複数の警報器(2)のうちの1つが、停止信号を受信すると、他の警報器(2)の発報を連動して停止させるように停止信号を他の警報器(2)に出力する。第12の態様によれば、複数の警報器(2)の発報を連動停止させることができるため、警報器(2)に関する利便性を更に向上できる。
【0138】
第13の態様に係る警報システム(100)に関して、第12の態様において、複数の警報器(2)の各々は、災害の発生を検知する検知部(26)を有する。複数の警報器(2)の各々は、自機の検知部(26)が災害を検知して自機の発報の実行を開始し、かつ発報を他の警報器(2)に連動発報させる連動信号を出力した場合、停止信号を受信しても自機の発報を維持する。複数の警報器(2)の各々は、自機の検知部(26)が災害を検知しておらず、かつ他の警報器(2)から連動信号を受信して自機の発報の実行を開始した場合、停止信号を受信すると自機の発報を停止する。第13の態様によれば、火元の警報器(2)の発報が連動して停止してしまう可能性を低減できる。
【0139】
第14の態様に係る警報器(2)は、第11~第13の態様のいずれか1つにおける警報システム(100)に適用される。第14の態様によれば、利便性の向上が図られる警報器(2)として提供できる。
【0140】
第15の態様に係る処理方法は、防災の対象である災害の発生時に警報音の発報を行う警報器(2)と通信可能に接続される制御システム(1)の処理方法である。処理方法は、警報器(2)における発報を停止させる停止信号を出力する出力処理ステップを含む。第15の態様によれば、警報器(2)に関する利便性の向上を図ることが可能な処理方法を提供できる。
【0141】
第16の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、第15の態様における処理方法を実行させるためのプログラムである。第16の態様によれば、警報器(2)に関する利便性の向上を図ることが可能な機能を提供できる。
【0142】
第2~第10の態様に係る構成については、第1の態様に係る制御システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。また第12の態様及び第13の態様に係る構成については、第11の態様に係る警報システム(100)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0143】
100 警報システム
1 制御システム
12 出力処理部
13 設定部
141 受信部
142 送信部
16 取得部
2 警報器
26 検知部
3 センシング機器
4 情報端末
200 施設
P1 操作部
R1 中継器
V1 スマートスピーカ(スピーカ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7