(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20230929BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20230929BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20230929BHJP
F21S 8/00 20060101ALI20230929BHJP
F21S 9/02 20060101ALI20230929BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20230929BHJP
F21Y 103/10 20160101ALN20230929BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230929BHJP
【FI】
F21S2/00 230
F21V5/00 510
F21V5/04 200
F21V5/04 550
F21S8/00 100
F21S9/02 110
F21S9/02 200
F21V23/00 115
F21Y103:10
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019168894
(22)【出願日】2019-09-17
【審査請求日】2022-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 恭平
(72)【発明者】
【氏名】若林 美紀
(72)【発明者】
【氏名】高島 淳
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-216216(JP,A)
【文献】特開2014-063691(JP,A)
【文献】特開2018-073792(JP,A)
【文献】特開2018-026292(JP,A)
【文献】特開2016-085929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 5/00
F21S 8/00
F21S 9/02
F21V 23/00
F21Y 103/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の外形を有する器具本体と、
前記器具本体の前面に配置される光源と、
前記器具本体の長手方向に沿って前記光源と一列に並ぶように、前記器具本体に配置される機能部品と、
前記光源と前記機能部品を覆うように前記器具本体に取り付けられるカバーと、
端部レンズと、を備え、
前記光源は、前記長手方向において前記機能部品を挟んで隣り合う第一光源モジュールと第二光源モジュールとを含み、
前記第一光源モジュールと前記第二光源モジュールのそれぞれは、前記機能部品に近い側の端部に位置する端部発光部と、前記端部発光部に対して前記長手方向に並ぶ中間発光部と、を含み、
前記端部レンズは、前記端部発光部を覆い、前記端部発光部からの光を前記機能部品の前側に配光するように構成され、
前記端部発光部は、前記長手方向と前記長手方向に対して直交する短手方向とに並んだ複数の端部発光素子を含み、
前記中間発光部は、前記長手方向に間隔を置いて配置された複数の中間発光素子を含み、
前記複数の端部発光素子は、前記間隔よりも狭い間隔で密集して配置されており、
前記端部発光部は、前記中間発光部よりも単位面積当たりの光束が大き
く、
前記端部レンズは、前記複数の端部発光素子を覆っている、
照明器具。
【請求項2】
前記端部レンズは、前記端部発光部と前記中間発光部とを覆うレンズブロックの一部である、
請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記レンズブロックは、前記機能部品に近い側の端部に位置する第一固定孔と、当該端部以外の部分に位置する第二固定孔と、を有し、
前記第一固定孔は、前記レンズブロックを前記器具本体に固定する固定具が嵌まるように設けられ、
前記第二固定孔は、前記固定具よりも前記長手方向に長い長孔である、
請求項2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記第一光源モジュールと前記第二光源モジュールのそれぞれは、前記複数の端部発光素子の一つ当りに流れる電流を、前記複数の中間発光素子の一つ当りに流れる電流よりも大きくするように構成された電気回路を更に含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の照明器具。
【請求項5】
前記カバーは、光透過性の拡散カバーである、
請求項1から4のいずれか一項に記載の照明器具。
【請求項6】
前記機能部品は、前記器具本体の前記前面よりも前方に少なくとも一部が位置する機能部品前面を有し、
前記機能部品前面の前記器具本体の前記前面からの突出長さと、前記端部レンズの前記器具本体の前記前面からの突出長さとの差が、所定値以下である、
請求項1から5のいずれか一項に記載の照明器具。
【請求項7】
前記機能部品前面は、下側の部分ほど後方に位置するように、前記器具本体の前記前面に対して傾いた矩形状の傾斜面であり、
前記機能部品前面の上端の端辺は、前記端部発光部よりも上方に位置している、
請求項6に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明器具に関し、より詳細には、センサ等の機能部品を備える照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には照明器具が記載されている。この照明器具は、光源と、人などの移動体を検知する電波センサと、光源及び電波センサを保持する長尺な器具本体と、光源及び電波センサを覆うように器具本体に取り付けられたカバーとを備える。光源は、左右方向に長い平板状のLED(Light Emitting Diode)モジュールである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の照明器具では、器具本体の前面において、光源の下に電波センサが配置されているために、照明器具のスリム化が困難であった。また、光源の下に電波センサがあると、光源からの光の一部が電波センサによって遮られ、長手方向の一部に薄暗い部分が生じるおそれがあった。
【0005】
上記事情に鑑みて、本開示は、スリム化を図ることができ、かつ長手方向にわたって明るさが安定しやすい照明器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る照明器具は、器具本体と、光源と、機能部品と、カバーと、を備える。前記器具本体は、長尺の外形を有する。前記光源は、前記器具本体の前面に配置される。前記機能部品は、前記器具本体の長手方向に沿って前記光源と一列に並ぶように、前記器具本体に配置される。前記カバーは、前記光源と前記機能部品を覆うように前記器具本体に取り付けられる。前記光源は、前記長手方向において前記機能部品を挟んで隣り合う第一光源モジュールと第二光源モジュールとを含む。前記第一光源モジュールと前記第二光源モジュールのそれぞれは、前記機能部品に近い側の端部に位置する端部発光部と、前記端部発光部に対して前記長手方向に並ぶ中間発光部と、を含む。前記端部発光部は、前記中間発光部よりも単位面積当たりの光束が大きい。
【発明の効果】
【0007】
本開示の照明器具は、スリム化を図ることができ、かつ長手方向にわたって明るさが安定しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1Aは、本開示に係る一実施形態の照明器具の前面図である。
図1Bは、同上の照明器具の下面図である。
図1Cは、同上の照明器具の左側面図である。
【
図2】
図2は、同上の照明器具の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の照明器具における光源の前面図である。
【
図4】
図4は、同上の光源の第一光源モジュールの一部を拡大した前面図である。
【
図5】
図5は、同上の照明器具の一部を省略した側断面図である。
【
図6】
図6Aは、同上の照明器具のレンズブロックの第一レンズによる配光形状を概略的に示す図であり、
図6Bは、同上の照明器具のレンズブロックの第二レンズによる配光形状を概略的に示す図である。
図6Cは、同上の照明器具のレンズブロックの第三レンズによる配光形状を概略的に示す図である。
【
図7】
図7は、同上の照明器具における第一光源モジュールの回路構成図である。
【
図8】
図8は、同上の照明器具の端部発光部、第一レンズ、機能部品、及びカバーの配置の一例を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.概要
図1AからC及び
図2には、本開示に係る一実施形態の照明器具1が示されている。照明器具1は、器具本体2と、光源3と、機能部品4と、カバー5と、を備える。器具本体2は、長尺の外形を有する。光源3は、器具本体2の前面に配置される。機能部品4は、器具本体2の長手方向に沿って光源3と一列に並ぶように、器具本体2に配置される。カバー5は、光源3と機能部品4を覆うように器具本体2に取り付けられる。光源3は、前記長手方向において機能部品4を挟んで隣り合う第一光源モジュール3aと第二光源モジュール3bとを含む。第一光源モジュール3aと第二光源モジュール3bのそれぞれは、機能部品4に近い側の端部に位置する端部発光部30と、端部発光部30に対して前記長手方向に並ぶ中間発光部31と、を含む。端部発光部30は、中間発光部31よりも単位面積当たりの光束が大きい。
【0010】
上記構成を備える照明器具1では、光源3と機能部品4とが器具本体2の長手方向に沿って一列に並ぶように配置されるため、照明器具1のスリム化を図ることができる。また、照明器具1では、機能部品4を挟んで隣り合う光源モジュール3a,3bが機能部品4に近い側の端部に光束が大きい端部発光部30を含む。そのため、照明器具1では、機能部品4が存在する部分で明るさ(光束)が低下することを抑制でき、照明器具1の明るさが長手方向にわたって安定しやすい。
【0011】
2.詳細
続いて、一実施形態の照明器具1について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0012】
照明器具1は、例えば、建物の避難経路となる階段の踊り場の壁に設置される、いわゆる階段通路誘導灯である。以下の説明では、特に断りのない限り、
図2に矢印で示す向きにおいて照明器具1の前後、上下、左右の各方向を規定する。すなわち、鉛直方向を照明器具1の上下方向とし、踊り場の壁の法線方向を照明器具1の前後方向とし、当該壁に正対したときの左右方向を照明器具1の左右方向とする。
【0013】
照明器具1は、
図1AからC及び
図2に示すように、器具本体2、光源3、機能部品4、及びカバー5に加えて、レンズブロック6を備える。照明器具1は、非常用照明ユニット8を更に備える。以下、それぞれの構成要素について詳細に説明する。
【0014】
2-1.器具本体
器具本体2は、階段の踊り場の壁に固定される第一器具本体20と、第一器具本体20に対して着脱可能に結合される第二器具本体21及び第三器具本体22を有する。第一器具本体20と第二器具本体21と第三器具本体22とが結合されることによって、一方向(左右方向)に長尺の外形を有する矩形箱状の器具本体2が形成される。
【0015】
第一器具本体20は、上面及び前面が開口した長尺な矩形箱状である。第一器具本体20は、背板200、底板201、一対の支持板202、及び補強片203を有する。背板200、底板201、一対の支持板202、及び補強片203のそれぞれは、矩形平板状である。底板201は、背板200の下端から前方へ突出し、補強片203は、背板200の上端から前方へ突出し、一対の支持板202は、背板200の長手方向の両端(左右両端)から前方へ突出している。背板200、底板201、一対の支持板202、及び補強片203は、例えば、一枚の金属板を曲げ加工することで一体に形成される。
【0016】
背板200には、複数の貫通孔が設けられている。複数の貫通孔には、常用電源から常用電力が供給される電源線、建物に設置されている自動火災報知設備から自火報連動信号を受信するための信号線、階段室の踊り場の壁(コンクリート壁)に埋め込まれたアンカーボルト等が挿通される。第一器具本体20は、背板200の貫通孔に挿通したアンカーボルトにナットを締め付けることで、壁に固定される。
【0017】
底板201には、非常用照明ユニット8を露出させるための窓204と、定期検査用のスイッチブロック9を露出させるための窓205が設けられている。
【0018】
一対の支持板202のそれぞれには、第三器具本体22を所定の軌道での移動を可能に保持するための取付溝206と、第二器具本体21及び第三器具本体22を着脱可能に結合するためのねじ挿通孔207とが設けられている。
【0019】
第二器具本体21は、天板210と、一対の側板211と、天板210と一対の側板211を連結する連結板212とを有している。
【0020】
天板210は、長尺の矩形平板状に形成されている。連結板212は、下方に向けて開口した逆U字状に形成されている。一対の側板211はそれぞれ、矩形板状に形成されている。連結板212は、天板210の後端から下方に突出し、一対の側板211は、連結板212の長手方向の両端(左右両端)から前方に突出している。天板210と一対の側板211と連結板212は、例えば、一枚の金属板を曲げ加工することで一体に形成される。
【0021】
一対の側板211のそれぞれには、各側板211の下端から上下方向の中央まで直線状に延びる縦溝213と、ねじ挿通孔214とが設けられている。
【0022】
第三器具本体22は、左右方向に長尺の矩形平板状の前板220と、カバー5の固定に用いられる一対の固定片221と、第一器具本体20に取り付けるための一対の取付片222と、を有する。
【0023】
一対の固定片221は、長方形の平板状に形成されている。一対の固定片221は、前板220の上下両端からそれぞれ後方に突出している。前板220及び一対の固定片221は、例えば、一枚の金属板を曲げ加工することで一体に形成される。
【0024】
前板220の長手方向の中央には、矩形状の窓孔223が設けられている。窓孔223は、前板220を厚み方向(前後方向)に貫通している。前板220の前面が、器具本体2の前面を構成する。
【0025】
一対の取付片222は、前板220の左右両端からそれぞれ後方に突出している。本実施形態では、一対の取付片222は、前板220とは別部材であり、前板220にねじ止めされたものであるが、前板220と一体に形成されてもよい。
【0026】
一対の取付片222のそれぞれには、ねじ挿通孔224が設けられている。また、一対の取付片222のそれぞれの後端部には、ねじ225が取り付けられている。ねじ225は、一対の取付片222のそれぞれから左右方向外側に突出している。ねじ225の段よりも先の部分を、第一器具本体20の支持板202の取付溝206に挿通することで、第三器具本体22は第一器具本体20に対して所定の軌道で移動可能に保持される。なお、第三器具本体22は、カバー5が装着された状態で、第一器具本体20に保持される。
【0027】
第三器具本体22は、その前面が前斜め下方を向き、上側の固定片221と第一器具本体20の補強片203との間が大きく開く開姿勢と、その前面が前方を向き、上側の固定片221と補強片203との間が狭まる閉姿勢との間で移動可能である。第三器具本体22が、閉姿勢にあるとき、第三器具本体22のねじ挿通孔224と第一器具本体20のねじ挿通孔207とは左右方向に一列に並ぶ。
【0028】
第二器具本体21は、閉姿勢にある第三器具本体22のねじ224の先端部が縦溝213に挿入されるように、第一器具本体20及び第三器具本体22に対して上側から取り付けられる。これにより、第二器具本体21のねじ挿通孔214は、器具本体20,22のねじ挿通孔207,224と左右方向に一列に並ぶ。
【0029】
第一器具本体20、第二器具本体21及び第三器具本体22は、一列に並んだねじ挿通孔207,214,224にねじ23を挿入することで、一体化されて器具本体2を形成する。
【0030】
2-2.光源
光源3は、
図3及び
図4に示すように、器具本体2の第三器具本体22の前板220の前面に配置される。光源3は、機能部品4を挟んで隣り合う第一光源モジュール3aと第二光源モジュール3bとを含む。第一光源モジュール3aは、機能部品4の右側に位置し、第二光源モジュール3bは、機能部品4の左側に位置する。
【0031】
第一光源モジュール3aは、機能部品4に近い側の端部(つまり左端部)に位置する端部発光部30と、端部発光部30に対して右側に並ぶ中間発光部31と、を含む。第一光源モジュール3aにおいて、端部発光部30は、中間発光部31よりも単位面積当たりの光束が大きい。
【0032】
第二光源モジュール3bは、機能部品4に近い側の端部(つまり右端部)に位置する端部発光部30と、端部発光部30に対して左側に並ぶ中間発光部31と、を含む。第二光源モジュール3bにおいて、端部発光部30は、中間発光部31よりも単位面積当たりの光束が大きい。
【0033】
本実施形態では、光源モジュール3a,3bのそれぞれの端部発光部30は、複数の端部発光素子32を含み、中間発光部31は、左右方向(器具本体2の長手方向)に沿って間隔をおいて配置された複数の中間発光素子33を含む。複数の端部発光素子32は、複数の中間発光素子33の間隔よりも狭い間隔で密集して配置されている。
【0034】
詳しくは、第一光源モジュール3aと第二光源モジュール3bはそれぞれ、長尺の長方形状に形成されている基板34と、基板34の表面(前面)に実装されている複数の発光素子35とを有する。複数の発光素子35のそれぞれは、LED(発光ダイオード)である。複数の発光素子35は、規格が互いに同一のものであり、流す電流の大きさに対応して光束が変化する。第一光源モジュール3aと第二光源モジュール3bは、構造が共通している。本実施形態では、第一光源モジュール3aを鉛直面上で180°回転させたものが、第二光源モジュール3bである。以下では、第一光源モジュール3aについて詳細に説明する。
【0035】
基板34のうち、機能部品4に近い側の端部(つまり左端部)には、四つの発光素子35a,35b,35c,35dが、マトリクス状に並べて実装されている。四つの発光素子35a,35b,35c,35dが、複数の端部発光素子32を構成している。
【0036】
基板34のうち、機能部品4から遠い側の端部(つまり右端端)には、四つの発光素子35がマトリクス状に並べて実装されている。この四つの発光素子35の配置は、四つの発光素子35a,35b,35c,35dの配置と同様である。つまり、第一光源モジュール3aは、機能部品4から遠い側の端部に位置する第二端部発光部36を更に含む。端部発光部30と第二端部発光部36との間に中間発光部31が位置する。第二端部発光部36は、基板34の右端部にマトリクス状に実装された四つの発光素子35を含んでいる。そのため、第二端部発光部36は、中間発光部31よりも単位面積当たりの光束が大きい。
【0037】
基板34の左右の端部を除く残りの部分には、複数の発光素子35が一定の間隔をあけて左右方向に一列に並ぶように実装されている。この左右方向に一列に並ぶ複数の発光素子35が、複数の中間発光素子33を構成している。
【0038】
第一光源モジュール3aは、
図5に示す電気回路7を更に含む。電気回路7は、複数の端部発光素子32(発光素子35a,35b,35c,35d)の一つ当りに流れる電流を、複数の中間発光素子33(複数の発光素子35)の一つ当りに流れる電流よりも大きくするように構成されている。
【0039】
詳しくは、第一光源モジュール3aは、一つの第一ブロックB1と、一つの第二ブロックB2と、複数の第三ブロックB3とを有する。第一ブロックB1は、三つの発光素子35a,35b,35cが電気的に並列接続されて構成されている。第二ブロックB2は、発光素子35dと、中間発光素子33を構成する三つの発光素子35が、電気的に並列接続されて構成されている。複数の第三ブロックB3のそれぞれは、電気的に直列接続された二つの発光素子35の組を四組有し、かつ、それら四組の二つの発光素子35同士が電気的に並列接続されて構成されている。第一ブロックB1、第二ブロックB2及び複数の第三ブロックB3はそれぞれ、電流リップルを抑制するためのコンデンサC1と電気的に並列接続されている。
【0040】
第一ブロックB1、第二ブロックB2及び複数の第三ブロックB3には、後述する常用点灯装置から同じ大きさの電流が供給される。例えば、常用点灯装置から第一光源モジュール3aに400mAの電流が供給されると仮定する。このとき、第二ブロックB2と複数の第三ブロックB3にそれぞれ属する複数の発光素子35のそれぞれには、100mAの電流が流れる。また、発光素子35dには、100mAの電流が流れる。一方、第一ブロックB1に属する三つの発光素子35a,35b,35cのそれぞれには、400mA÷3≒133mAの電流が流れる。これにより、三つの発光素子35a,35b,35cの光量(光束)は、他の複数の発光素子35のそれぞれの光量(光束)のおよそ1.3倍となる。
【0041】
複数の端部発光素子32(発光素子35a,35b,35c,35d)の一つ当りに流れる電流は、(400mA+100mA)÷4=125mAとなり、複数の中間発光素子33(複数の発光素子35)の一つ当りに流れる電流は、100mAとなる。これにより、複数の端部発光素子32(発光素子35a,35b,35c,35d)の一つ当りに流れる電流を、複数の中間発光素子33(複数の発光素子35)の一つ当りに流れる電流よりも大きくすることができる。その結果、第一光源モジュール3aでは、端部発光部30(つまり、四つの発光素子35a,35b,35c,35d)の単位面積当たりの光束を、中間発光部31(つまり、その他の発光素子35)の単位面積当たりの光束よりも大きくすることができる。
【0042】
第二端部発光部36を構成する四つの発光素子35の一つ当りに流れる電流は、100mAであり、中間発光部31を構成する複数の中間発光素子33の一つ当りに流れる電流と同じである。第二端部発光部36を構成する四つの発光素子35の一つ当りに流れる電流は、端部発光部30を構成する複数の端部発光素子32の一つ当りに流れる電流よりも小さい。そのため、第二端部発光部36は、端部発光部30よりも単位面積当たりの光束が小さい。
【0043】
照明器具1は、系統電源などの常用電源から供給される交流電力を直流電力に電力変換し、当該直流電力を光源モジュール3a,3bに供給して光源モジュール3a,3bを点灯させる一つの常用点灯装置を更に備える。常用点灯装置は、電力変換を行う電力変換回路、光源モジュール3a,3bに供給する直流電流を定電流化する定電流回路などを構成するプリント回路を有する。常用点灯装置は、器具本体2の第三器具本体22の前板220の後面に装着されて、光源モジュール3a,3bに電気的にかつ機械的に接続される。常用点灯装置は、第一光源モジュール3aと第二光源モジュール3bのそれぞれに直列に接続されている。常用点灯装置には、常用電源から常用電力が供給される電源線が電気的にかつ機械的に接続される。
【0044】
2-3.レンズブロック
図3及び
図4に示すように、レンズブロック6は、光源モジュール3a,3bの端部発光部30と中間発光部31とを覆う部材である。レンズブロック6は、本実施形態では、第一光源モジュール3aを覆う第一レンズブロック6aと、第二光源モジュール3bを覆う第二レンズブロック6bとを有する。第一レンズブロック6aと第二レンズブロック6bは、構造が共通している。第二レンズブロック6bは、第一レンズブロック6aを鉛直面上で180°回転させたものである。以下では、第一レンズブロック6aについて詳しく説明する。
【0045】
第一レンズブロック6aは、平板状のベース部60と、第一レンズ61、第二レンズ62、及び第三レンズ63とを有している。ベース部60は、外形が長尺の長方形状に形成されている。第一レンズ61は、ベース部60の左端部(つまり機能部品4に近い側の端部)に設けられている。第二レンズ62は、ベース部60の右端部(つまり機能部品4から遠い側の端部)に設けられている。第三レンズ63は、ベース部60の左右の端部の間に左右方向にわたって設けられている。ベース部60は、第一レンズ61、第二レンズ62及び第三レンズ63を囲むように位置する。ベース部60、第一レンズ61、第二レンズ62及び第三レンズ63は、ポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂によって一体に形成されている。
【0046】
第一レンズ61及び第二レンズ62は、概ね非球面平凸レンズとして構成されている。また、第三レンズ63は、概ね非球面シリンドリカルレンズとして構成されている。第三レンズ63は、第一光源モジュール3aの複数の中間発光素子33から入射した光を幅方向(上下方向)及び長さ方向(左右方向)に拡げるような配光特性を有している。第一レンズ61及び第二レンズ62は、発光素子35から入射した光を幅方向(上下方向)及び長さ方向(左右方向)に拡げるような配光特性を有している。
【0047】
図6A、
図6B、及び
図6Cには、レンズ61,62,63のそれぞれによる配光形状が示されている。詳しくは、
図6Aには、第一レンズ61による、水平断面(端部発光部30の中心を通る水平断面)における配光形状が示されている。
図6Bには、第二レンズ62による、水平断面(第二端部発光部36の中心を通る水平断面)における配光形状が示されている。
図6Cには、第三レンズ63による、水平断面(中間発光部31の中心を通る水平断面)における配光形状が示されている。
【0048】
第一レンズ61によって配光された光は、レンズ中心よりも左側、つまり、機能部品4側が、その反対側よりも拡がっている。第二レンズ62によって配光された光は、レンズ中心の左側と右側とで同じように拡がっている。第三レンズ63によって配光された光は、レンズ中心の左側と右側とで同じように拡がっている。つまり、第一レンズ61は、第二レンズ62及び第三レンズ63とは異なる配光特性を有している。
【0049】
第一レンズブロック6aは、機能部品4に近い側の端部に位置する第一固定孔64と、前記端部以外の部分に位置する第二固定孔65と、を有する。第一固定孔64は、第一レンズブロック6aを器具本体2の第三器具本体22の前板220に固定する固定具66が嵌まるように設けられている。第二固定孔65は、固定具66よりも左右方向(器具本体2の長手方向)に長い長孔である。固定具66は、ねじ等である。
【0050】
第一固定孔64は、ベース部60の左端部の上下の隅部分に一つずつ設けられた丸孔である。第一固定孔64の径は、固定具66の軸部の径と略同じである。第二固定孔65は、ベース部60の左右の端部を除く残りの部分の上下の端部に設けられた長円形の孔である。本実施形態では、ベース部60には、上下一対の第二固定孔65が左右方向に間隔をおいて3組設けられている。
【0051】
第一レンズブロック6aは、第三器具本体22の前板220の前面に第一光源モジュール3aを配置した状態で、複数の固定具66を固定孔64,65のそれぞれに挿入することで、第三器具本体22の前板220の前面に取り付けられる。これにより、第一レンズブロック6aは、第一光源モジュール3aを長手方向(左右方向)の全長にわたって覆う。
【0052】
第一光源モジュール3aを第一レンズブロック6aで覆うことで、端部発光部30の4つの発光素子35a,35b,35c,35dは、第一レンズ61によって前方から覆われる。また、中間発光部31の複数の発光素子35は第三レンズ63によって前方から覆われる。また、第一光源モジュール3aの右端部のマトリクス状に配置された4つの発光素子35は、第二レンズ62によって前方から覆われる。
【0053】
これにより、端部発光部30からの光は、第一レンズ61によって機能部品4の前側及び上下方向へと配光され、中間発光部31からの光は、第三レンズ63によって上下方向へと配光される。第一光源モジュール3aの右端部の四つの発光素子35からの光は、第二レンズ62によってエンドカバー51の前側及び上下方向へと配光される。
【0054】
つまり、照明器具1は、端部発光部30(つまり四つの発光素子35a,35b,35c,35d)を覆い、端部発光部30からの光を機能部品4の前側に配光するように構成された端部レンズ(第一レンズ61)を備える。端部レンズ(第一レンズ61)は、端部発光部30と中間発光部31とを覆うレンズブロック6の一部である。
【0055】
第一レンズブロック6aは、第一固定孔64に嵌まるように挿入された固定具66によって右端部が第三器具本体22の前板220の前面に固定される。また、第一レンズブロック6aは、長孔状の第二固定孔65に挿入された固定具66によってその他の部分が第三器具本体22の前板220の前面に固定される。
【0056】
これにより、第一レンズブロック6aが、熱伸縮した場合に、第一レンズ61が端部発光部30を覆う位置からずれることを第一固定孔64によって抑制したうえで、第一レンズブロック6aの長手方向の熱伸縮を第二固定孔65によって許容することができる。
【0057】
2-4.機能部品
図2に示す機能部品4は、本実施形態では、周囲の状況として人の存在を検出するセンサ装置である。センサ装置は、例えばドップラー効果を利用した電波式センサである。センサ装置は、送信アンテナ、受信アンテナ及び信号処理回路を含むセンサ回路と、センサ回路を収容する外郭40とを有する。センサ回路は、送信アンテナ、受信アンテナ及び信号処理回路が1枚のプリント配線板に実装されたプリント回路で構成される。
【0058】
外郭40は、
図7に示すように、直方体状である。外郭40は、例えばポリスチレン(polystyrene)、ポリプロピレン(polypropylene)、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)等の合成樹脂材料によって形成されている。センサ回路は、送信アンテナ及び受信アンテナを外郭40の前壁に対向させるように外郭40内に収容されている。送信アンテナから送信される電波は、外郭40の前壁の前面(機能部品前面41)を通して放射される。同様に、物体に反射した電波(反射波)は、外郭40の前面(機能部品前面41)を通して受信アンテナに受信される。
【0059】
機能部品4は、外郭40の前面(機能部品前面41)が第三器具本体22の前板220の窓孔223を通して前板220の前方へ突出するように、第三器具本体22の前板220に取り付けられる。
【0060】
本実施形態では、機能部品4は、機能部品前面41の前板220の前面からの突出長さL1と、端部レンズ(第一レンズ61)の前板220の前面からの突出長さL2との差が、所定値以下となるように、第三器具本体22の前板220に取り付けられている。所定値は、端部レンズ(第一レンズ61)を通じて配光された光が、機能部品4の外郭40によって遮られないように、端部レンズ(第一レンズ61)の配光範囲に応じて適宜設定される。
【0061】
取付状態において、外郭40の前面(機能部品前面41)は、下側の部分ほど下方に位置するように、器具本体2の前面に対して傾いた矩形状の傾斜面となっている。機能部品前面41の、階段の踊り場の壁面の法線方向(つまり水平方向)に対する傾き角は、例えば、23°から24°程度が好ましい。外郭40の前面(機能部品前面41)の上端の端辺410は、端部発光部30よりも上方に位置している(
図4参照)。これにより、機能部品前面41の大部分が、第三器具本体22の前板220よりも前方に位置しており、センサ装置を構成する機能部品4は、金属製の前板220に遮られることなく、電波を送受信することができる。
【0062】
2-5.カバー
カバー5は、本実施形態では、光透過性の拡散カバーである。
図2に示すように、カバー5は、カバー本体50と一対のエンドカバー51とを有する。カバー本体50は、後面及び左右の両端面が開口した長尺の角樋状に形成されている。カバー本体50は、前壁52、上壁53及び下壁54を有する。前壁52は、左右方向を長手方向とする長尺の長方形状に形成されている。上壁53は、長尺の長方形状に形成されて、前壁52の上端から後方に突出している。下壁54は、長尺の長方形状に形成されて、前壁52の下端から後方に突出している。カバー本体50は、透光性を有する合成樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂など)の成形体で構成されている。
【0063】
上壁53及び下壁54のそれぞれの後端部には、第三器具本体22の一対の固定片221に固定するねじ等の固定具55が挿通される複数のねじ挿通孔56が設けられている。カバー本体50は、複数のねじ挿通孔56のそれぞれに挿入された固定具55によって、第三器具本体22に取り付けられる。カバー本体50が第三器具本体22に取り付けられた状態では、光源モジュール3a,3bと機能部品4とはカバー本体50の前壁52、上壁53及び下壁54によって前側から覆われる。
【0064】
一対のエンドカバー51はそれぞれ、同一の形状及び寸法に形成されている。一対のエンドカバー51のそれぞれは、例えば、90%以上の光反射率を有する合成樹脂の成形体で構成されている。
【0065】
一対のエンドカバー51は、器具本体2に着脱可能に取り付けられて、カバー本体50の左右両側の開口を塞ぐように構成されている。光源モジュール3a,3bから放射される照明光は、カバー本体50を透過して外部空間(階段室の踊り場及び階段など)に照射される。ただし、二つの光源モジュール3a,3bから放射される照明光の一部は、一対のエンドカバー51に反射した後、カバー本体50を透過して空間に照射される。
【0066】
以上説明した光源3、機能部品4、カバー5、レンズブロック6、及び常用点灯装置は、非停電時に階段の踊り場の照明を行う常用照明ユニットを構成している。
【0067】
2-6.非常用照明ユニット
非常用照明ユニット8は、常用電源が停電しているときに、非常用電源10からの電力によって点灯する照明ユニットである。非常用照明ユニット8は、非常用照明装置80と、非常用点灯装置と、非常用電源10と、を備える。
【0068】
非常用照明装置80は、例えば、LED等の発光素子と、この発光素子からの光が導入されて線状に発光する導光部材とを有する。非常用点灯装置は、常用電源が停電しているときに、非常用電源10からの電力によって発光素子を発光させる制御を行う。
【0069】
非常用電源10は、例えば、複数本の蓄電池と、これら複数本の蓄電池を収容した電池ケースを有する。非常用電源10は、本実施形態では、器具本体2の第一器具本体20の底板201の左端部上に収容されている。
【0070】
2-7.その他
スイッチブロック9は、常用照明ユニット及び非常用照明ユニットの定期点検を行なうための装置であり、定期点検の作業を行う作業者によって操作される。スイッチブロック9は、第一器具本体20の底板201の窓204を通じて露出するように、第一器具本体20に取り付けられている。
【0071】
2-8.端部発光部、第一レンズ、機能部品、及びカバーの配置について
図8には、本実施形態の照明器具1における、端部発光部30、第一レンズ61、機能部品4、及びカバー5の配置の一例が概略的に示されている。
図8は、端部発光部30の中心(つまり四つの端部発光素子32の中心)を通る水平面における断面図である。
図8には、第一光源モジュール3aの端部発光部30と第一レンズブロック6aの第一レンズ61が示されている。第二光源モジュール3bの端部発光部30と第二レンズブロック6bの第一レンズ61の配置は、
図8に示す配置とは左右逆である。なお、
図8では、第三レンズ63及び複数の中間発光素子33の図示を省略している。
【0072】
図8中のaの点は、カバー5のカバー本体50の前壁52の後面のうち、端部発光部30の中心の前方に位置する点を示す。
図8中のbの点は、前壁52の後面のうち、機能部品4の左右方向の中心の前方に位置する点を示す。
図8中のcの点は、前壁52の後面のうち、機能部品4の左右方向の中心と第二光源モジュール3bの端部発光部30の中心との中間地点の前方に位置する点を示す。
図8中のdの点は、機能部品4の外郭40の前面(機能部品前面41)の端辺410のうち、端部発光部30に最も近い点を示す。
図8中のоの点は、第一レンズ61の頂点を示す。
図8中のeの点は、前壁52の後面のうち、第一レンズ61で配光される光がピーク光度(最大光度)となる点を示す。
【0073】
本実施形態の照明器具1では、aоeの角度θ3は、aоbの角度θ1より大きく、aоcの角度θ2よりも小さくなるように設定される。これにより、照明器具1の機能部品4の前方に他の部分よりも暗い部分が形成されることを抑制することができる。また、第一レンズブロック6aの第一レンズ61によって配光された光と、第二レンズブロック6bの第一レンズ61によって配光された光が重なって、bの点(カバー5における左右方向の中心)における光度が高くなり過ぎることを抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態の照明器具1では、оの点とeの点を結ぶ線が、dの点(つまり端辺410)に交わらないように設定される。これにより、機能部品前面41に影が生じることを抑制することができる。
【0075】
第一レンズ61の頂点(aの点)からカバー5の前壁52の内面までの距離、機能部品4の位置及び大きさ、端部発光部30の位置(機能部品4からの距離)、第一レンズ61によって配光される光の関係は、上記の二つの設定を満たす関係であることが好ましい。
【0076】
本実施形態では、基板34の前面からоの点までの距離L3は、例えば8mmであり、基板34の前面からカバー5の前壁52の後面までの距離L4は、例えば44mmである。基板34の前面から機能部品前面41までの距離L5は、例えば12.2mmであり、基板34の前面から機能部品前面41の端辺410までの距離L6は、例えば15.2mmである。aの点からbの点までの距離L7は、例えば40.9mmであり、bの点からcの点までの距離L8は、距離L6の半分であり、例えば20.45mmである。bの点からdの点までの左右方向の距離L9は、例えば25.0mmである。aоbの角度θ1は、例えば41.3度であり、aоcの角度θ2は、例えば59.5度である。
【0077】
本実施形態の照明器具1は、カバー5の正面視の輝度均整度が0.9以上となるように、第一レンズ61による配光のピーク光度Iθ3とピーク光度Iθ3の角度θ3が設定されている。aの点における光度I0は、80から165[cd/1000lm]であり、ピーク光度Iθ3の角度θ3が、59±5度である。ピーク光度Iθ3は、Iθ3≧(0.9/cos59°)×I0から算出される。
【0078】
3.作用効果
以上説明した本実施形態の照明器具1では、機能部品4と光源モジュール3a,3bが、左右方向(器具本体2の長手方向)に沿って一列に並んでいる。そのため、本実施形態の照明器具1では、上下方向における照明器具1のスリム化を図ることができる。
【0079】
本実施形態の照明器具1では、光源モジュール3a,3bのそれぞれが、機能部品4に隣接する側の端部に、他の部分よりも単位面積当たりの光束が大きい端部発光部30を有する。そのため、本実施形態の照明器具1では、機能部品4が存在する部分で明るさ(光束)が低下することを抑制でき、照明器具1の長手方向にわたって明るさが安定しやすい。
【0080】
また、本実施形態の照明器具1では、端部発光部30を覆う端部レンズ(第一レンズ61)によって端部発光部30からの光を機能部品4の前側へと配光できるため、機能部品4が存在する部分で明るさ(光束)が低下することを更に抑制できる。
【0081】
また、本実施形態の照明器具1では、端部レンズ(第一レンズ61)がレンズブロック6の一部で構成されるため、端部発光部30への第一レンズ61の位置合わせと、中間発光部31への第三レンズ63の位置合わせを一緒に行える。
【0082】
また、本実施形態の照明器具1では、レンズブロック6が機能部品4に近い側の端部に固定具66が嵌まる第一固定孔64を有し、それ以外の部分に長孔状の第二固定孔65を有する。そのため、本実施形態の照明器具1では、レンズブロック6の端部レンズ(第一レンズ61)の端部発光部30に対する位置ずれを抑制したうえで、レンズブロック6が熱伸縮することを、第二固定孔65によって許容でき、レンズブロック6の破損等を抑制できる。
【0083】
また、本実施形態の照明器具1では、端部発光部30が、中間発光部31を構成する複数の中間発光素子33間の間隔よりも狭い間隔で密集させて配置された複数の端部発光素子32を含むため、単位面積当たりの光束に差をつけることが簡単に行える。
【0084】
また、本実施形態の照明器具1では、光源モジュール3a,3bのそれぞれが、複数の端部発光素子32の一つ当りに流れる電流を、複数の中間発光素子33の一つ当りに流れる電流よりも大きくするように構成された電気回路7を備える。そのため、本実施形態の照明器具1では、1つの電源から供給される電力によって、端部発光部30と中間発光部31との単位面積当たりの光束の差をつけることができる。
【0085】
また、本実施形態の照明器具1では、カバー5が光透過性の拡散カバーであるため、端部発光部30からの光を拡散させやすくて、照明器具1の長手方向にわたって明るさが安定しやすい。
【0086】
また、本実施形態の照明器具1では、機能部品4をカバー5によって覆うことができるため、機能部品4が光源モジュール3a,3bの間に位置することが外観上わかりにくい。
【0087】
また、本実施形態の照明器具1では、器具本体2の前面からの、機能部品4の機能部品前面41の突出長さL1と、端部レンズ(第一レンズ61)の突出長さL2の差が所定値以下であるため、端部レンズを通じて配光された光が機能部品4によって遮られにくい。
【0088】
また、本実施形態の照明器具1では、機能部品4の機能部品前面41が、下側の部分ほど後方に位置するように傾いた矩形状の傾斜面であり、その上端の端辺410が端部発光部30よりも上方に位置している。そのため、本実施形態の照明器具1では、端部発光部30と同じ高さにおける機能部品前面41の前方への突出量を抑えて、端部レンズから配光された光を遮ることを抑制することができる。そのうえで、本実施形態の照明器具1では、機能部品前面41のうち、器具本体2の前面よりも前方に突出する部分を増やすことができる。これにより、機能部品4がセンサ装置である場合、機能部品前面41を通じた信号の送受信が、器具本体2の第三器具本体22の前板220によって遮られにくい。
【0089】
4.変形例
続いて、上述した照明器具1の変形例について説明する。
【0090】
照明器具1は、階段通路誘導灯に限定されない。例えば、照明器具1は、非常用照明ユニットを備えない照明器具であってもよい。
【0091】
照明器具1は、端部レンズ(第一レンズ61)を備えなくてもよい。また、照明器具1は、レンズブロック6を備えなくてもよい。ただし、この場合、端部発光部30は、機能部品4の前側に向けて発光するように設置されることが好ましい。また、照明器具1は、端部レンズ(第一レンズ61)のみ備え、第二レンズ62及び第三レンズ63を備えなくてもよい。
【0092】
また、端部レンズ(第一レンズ61)は、レンズブロック6の一部に限らず、中間発光部31を覆う第三レンズ63とは別体に設けられてもよい。
【0093】
レンズブロック6の第二固定孔65は、長孔に限らず、第一固定孔64と同様に、固定具66が嵌まるように設けられてもよい。
【0094】
端部発光部30は、中間発光部31よりも単位面積当たりの光束が大きければよく、中間発光部31を構成する発光素子35よりも光束が大きい一つの発光素子で構成されてもよい。
【0095】
電気回路7は、複数の端部発光素子32の一つ当りの流れる電流と、複数の中間発光素子33の一つ当りに流れる電流とを同じとするように構成されてもよい。
【0096】
照明器具1は、カバー5を光が透過しない材料で形成し、かつカバー5を上面と下面が開口した形状に形成してもよく、この場合、照明器具1は間接照明として利用できる。つまり、カバー5は、光透過性の拡散カバーに限定されない。
【0097】
機能部品4は、機能部品前面41が器具本体2の前面(第三器具本体22の前板220の前面)よりも後方に位置するように、器具本体2に設置されてもよい。また、機能部品前面41は、下側の部分ほど後方に位置するように、器具本体2の前面に対して傾いた矩形状の傾斜面でなくてもよく、鉛直方向に対して平行な面であってもよい。
【0098】
また、器具本体2は、
図2に示す第一器具本体20、第二器具本体21及び第三器具本体22を組み合わせて形成されるものに限らず、例えば、第一器具本体20、第二器具本体21及び第三器具本体22のうちの任意の二つを一体に形成したものであってもよい。
【0099】
端部発光部30に含まれる端部発光素子(発光素子35)の数は、四つに限らず、一つから三つ、または、五つ以上であってもよい。
【0100】
また、光源モジュール3a,3bのそれぞれは、第二端部発光部36を備えなくてもよく、中間発光部31が機能部品4から遠い側の端部まで延長されていてもよい。この場合、レンズブロック6a,6bのそれぞれは、第二レンズ62を備えなくてもよく、第三レンズ63が機能部品4から遠い側の端部まで延長されていてもよい。
【0101】
また、第二端部発光部36は、端部発光部30と同様に、中間発光部31よりも単位面積当たりの光束が大きくてもよい。
【0102】
光源モジュール3a,3bの端部発光部30の単位面積当たりの光束の大きさは、機能部品4の左右方向の長さに合わせて、適宜設定される。例えば、本実施形態の機能部品4よりも左右方向に長い他の機能部品4を光源モジュール3a,3b間に挟む場合、この場合の端部発光部30は、本実施形態の端部発光部30よりも単位面積当たりの光束が大きくなるように設定される。
【0103】
5.まとめ
以上説明した一実施形態及びその変形例の照明器具1のように、第一態様の照明器具(1)は、下記の構成を備える。
【0104】
すなわち、第一態様の照明器具(1)は、器具本体(2)と、光源(3)と、機能部品(4)と、カバー(5)と、を備える。器具本体(2)は、長尺の外形を有する。光源(3)は、器具本体(2)の前面に配置される。機能部品(4)は、器具本体(2)の長手方向に沿って光源(3)と一列に並ぶように、器具本体(2)に配置される。カバー(5)は、光源(3)と機能部品(4)を覆うように器具本体(2)に取り付けられる。光源(3)は、前記長手方向において機能部品(4)を挟んで隣り合う第一光源モジュール(3a)と第二光源モジュール(3b)とを含む。第一光源モジュール(3a)と第二光源モジュール(3b)のそれぞれは、機能部品(4)に近い側の端部に位置する端部発光部(30)と、端部発光部(30)に対して前記長手方向に並ぶ中間発光部(31)と、を含む。端部発光部(30)は、中間発光部(31)よりも単位面積当たりの光束が大きい。
【0105】
上記構成を備える第一態様の照明器具(1)では、光源(3)と機能部品(4)とが器具本体(2)の長手方向に沿って一列に並ぶように配置されるため、照明器具(1)のスリム化を図ることができる。また、第一態様の照明器具(1)では、機能部品(4)を挟んで隣り合う光源モジュール(3a,3b)が機能部品(4)に近い側の端部に光束が大きい端部発光部(30)を含む。そのため、第一態様の照明器具(1)では、機能部品(4)が存在する部分で明るさが低下することを抑制でき、照明器具(1)の明るさが長手方向にわたって安定しやすい。
【0106】
また、上述した一実施形態及びその変形例の照明器具1のように、第二態様の照明器具(1)は、第一態様の照明器具(1)の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0107】
すなわち、第二態様の照明器具(1)は、端部発光部(30)を覆い、端部発光部(30)からの光を機能部品(4)の前側に配光するように構成された端部レンズ(第一レンズ61)を更に備える。
【0108】
上記構成を備える第二態様の照明器具(1)では、端部レンズによって端部発光部(30)からの光を機能部品(4)の前側に配光することができるため、機能部品(4)が存在する部分で明るさが低下することを更に抑制することができる。
【0109】
また、上述した一実施形態及びその変形例の照明器具1のように、第三態様の照明器具(1)は、第二態様の照明器具(1)の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0110】
すなわち、第三態様の照明器具(1)では、端部レンズ(第一レンズ61)は、端部発光部(30)と中間発光部(31)とを覆うレンズブロック(6)の一部である。
【0111】
上記構成を備える第三態様の照明器具(1)では、レンズブロック(6)のうち端部発光部(30)を覆う部分と中間発光部(31)を覆う部分とを、端部発光部(30)及び中間発光部(31)にまとめて位置合わせすることができる。これにより、第三態様の照明器具(1)では、レンズブロック(6)の位置ずれを起因とした配光方向のずれが生じにくい。
【0112】
また、上述した一実施形態及びその変形例の照明器具1のように、第四態様の照明器具(1)は、第三態様の照明器具(1)の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0113】
すなわち、第四態様の照明器具(1)では、レンズブロック(6)は、機能部品(4)に近い側の端部に位置する第一固定孔(64)と、前記端部以外の部分に位置する第二固定孔(65)と、を有する。第一固定孔(64)は、レンズブロック(6)を器具本体(2)に固定する固定具(66)が嵌まるように設けられ、第二固定孔(65)は、固定具(66)よりも前記長手方向に長い長孔である。
【0114】
上記構成を備える第四態様の照明器具(1)では、レンズブロック(6)が、熱によって長手方向に伸縮した場合に、機能部品(4)に近い側の端部の位置ずれを抑制できて、端部レンズと端部発光部(30)との位置関係が変わることを抑制できる。そのうえ、第四態様の照明器具(1)では、レンズブロック(6)の端部以外の部分での熱による伸縮は、長孔である第二固定孔(65)によって許容することができ、レンズブロック(6)の破損や器具本体(2)からの外れを抑制することができる。
【0115】
また、上述した一実施形態及びその変形例の照明器具1のように、第五態様の照明器具(1)は、第一から第四のいずれか一つの態様の照明器具(1)の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0116】
すなわち、第五態様の照明器具(1)では、端部発光部(30)は、複数の端部発光素子(32)を含み、中間発光部(31)は、前記長手方向に間隔を置いて配置された複数の中間発光素子(33)を含む。複数の端部発光素子(32)は、前記間隔よりも狭い間隔で密集して配置されている。
【0117】
上記構成を備える第五態様の照明器具(1)では、複数の端部発光素子(32)及び複数の中間発光素子(33)のそれぞれの配置間隔を変えることで、端部発光部(30)の光束を中間発光部(31)の光束よりも大きくすることが簡単に行える。
【0118】
また、上述した一実施形態及びその変形例の照明器具1のように、第六態様の照明器具(1)は、第五態様の照明器具(1)の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0119】
すなわち、第六態様の照明器具(1)では、第一光源モジュール(3a)と第二光源モジュール(3b)のそれぞれは、電気回路(7)を更に含む。電気回路(7)は、複数の端部発光素子(32)の一つ当りに流れる電流を、複数の中間発光素子(33)の一つ当りに流れる電流よりも大きくするように構成されている。
【0120】
上記構成を備える第六態様の照明器具(1)では、端部発光部(30)と中間発光部(31)との光束の違いを、電気回路(7)の構成によって簡単に行え、一つの電源から供給される電力で、光束の違いを生じさせることができる。
【0121】
また、上述した一実施形態及びその変形例の照明器具1のように、第七態様の照明器具(1)は、第一から第六のいずれか一つの態様の照明器具(1)の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0122】
すなわち、第七態様の照明器具(1)では、カバー(5)は、光透過性の拡散カバーである。
【0123】
上記構成を備えることで、第七態様の照明器具(1)では、機能部品(4)に近い端部発光部(30)からの光をカバー(5)によって拡散させることができて、照明器具(1)の明るさが長手方向にわたって更に安定しやすい。
【0124】
また、上述した一実施形態及びその変形例の照明器具1のように、第八態様の照明器具(1)は、第二から第四のいずれか一つの態様の照明器具(1)の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0125】
すなわち、第八態様の照明器具(1)では、機能部品(4)は、器具本体(2)の前面よりも前方に少なくとも一部が位置する機能部品前面(41)を有する。機能部品前面(41)の器具本体(2)の前面からの突出長さ(L1)と、端部レンズ(第一レンズ61)の器具本体(2)の前面からの突出長さ(L2)との差が、所定値以下である。
【0126】
上記構成を備える第八態様の照明器具(1)では、機能部品(4)のうち、器具本体(2)の前面よりも前方に位置する機能部品前面(41)が、端部レンズを通じて機能部品(4)の前側に配光された光を遮ることを抑制することができる。
【0127】
また、上述した一実施形態及びその変形例の照明器具1のように、第九態様の照明器具(1)は、第八態様の照明器具(1)の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0128】
すなわち、第九態様の照明器具(1)では、機能部品前面(41)は、下側の部分ほど後方に位置するように、器具本体(2)の前面に対して傾いた矩形状の傾斜面である。機能部品前面(41)の上端の端辺(410)は、端部発光部(30)よりも上方に位置している。
【0129】
上記構成を備える第九態様の照明器具(1)では、端部発光部(30)と同じ高さにおける機能部品前面(41)の前方への突出量を抑えて、端部レンズから配光された光を遮ることを抑制することができる。そのうえで、第九態様の照明器具(1)では、機能部品前面(41)のうち、器具本体(2)の前面よりも前方に突出する部分を増やすことができる。
【0130】
以上、本開示を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本開示は上記の各実施形態に限定されるものではなく、本開示の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0131】
1 照明器具
2 器具本体
3 光源
3a 第一光源モジュール
3b 第二光源モジュール
30 端部発光部
31 中間発光部
32 端部発光素子
33 中間発光素子
4 機能部品
41 機能部品前面
410 端辺
5 カバー
6 レンズブロック
61 第一レンズ(端部レンズ)
64 第一固定孔
65 第二固定孔
66 固定具
7 電気回路
L1 突出長さ
L2 突出長さ