(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】買物支援システム、買物支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20230929BHJP
【FI】
G06Q30/06
(21)【出願番号】P 2019545535
(86)(22)【出願日】2018-09-26
(86)【国際出願番号】 JP2018035577
(87)【国際公開番号】W WO2019065684
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2017191889
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今村 幸司
(72)【発明者】
【氏名】高橋 淳一
(72)【発明者】
【氏名】熊川 正啓
(72)【発明者】
【氏名】中川 元雄
(72)【発明者】
【氏名】岡田 真一
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-299404(JP,A)
【文献】特開2012-133802(JP,A)
【文献】特開2015-207118(JP,A)
【文献】特開2004-265111(JP,A)
【文献】特開2017-151910(JP,A)
【文献】特開2016-028979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの商品に付された電子タグと電波を媒体とする無線通信を行うことにより前記商品に関する商品情報を読み取る読取装置における無線通信時の受信信号強度を取得する強度取得部と、
前記商品ごとに、前記受信信号強度の時間経過に伴う変化に基づいて、前記商品が購入対象であるか否かを判定する判定部と、
前記商品が所定エリアに置かれたことを検知するトリガ検知装置と、を備え、
前記判定部は、
前記商品が前記所定エリアに置かれたことを前記トリガ検知装置が検知した場合、
前記受信信号強度
の傾きが所定値以上であるか否かを判定する第1処理と、
前記受信信号強度
の変動幅が所定量以下であるか否かを判定する第2処理と、を行い、
前記第1処理の判定結果及び前記第2処理の判定結果に基づいて、前記商品が購入対象であるか否かを判定する
買物支援システム。
【請求項2】
複数の商品についての複数の商品情報を前記読取装置から取得する情報取得部と、
前記判定部の判定結果を基に、前記複数の商品情報の中から前記購入対象の前記商品情報を選択する選択部と、を更に備える
請求項
1に記載の買物支援システム。
【請求項3】
前記選択部は、前記商品についての精算処理を行う精算システムに、前記購入対象の前記商品情報を出力するように構成されている
請求項
2に記載の買物支援システム。
【請求項4】
売り場空間の出入口に設置され、前記電子タグと無線通信を行うことにより前記商品情報を読み取るゲート装置と、
前記ゲート装置で読み取られた前記商品情報について前記精算処理が実行されていない場合に報知処理を実行する報知装置と、を更に備える
請求項
3に記載の買物支援システム。
【請求項5】
前記読取装置は、位置と向きとの少なくとも一方が異なる複数のアンテナにて前記電子タグと無線通信を行うように構成されており、
前記強度取得部は、前記アンテナごとに前記受信信号強度を取得し、
前記判定部は、前記複数のアンテナについての前記受信信号強度に基づいて、判定を行うように構成されている
請求項1~
4のいずれか1項に記載の買物支援システム。
【請求項6】
前記複数のアンテナのうち少なくとも2つのアンテナは互いに向きが異なる
請求項
5に記載の買物支援システム。
【請求項7】
前記複数のアンテナは前記商品を囲むように配置される
請求項
5又は
6に記載の買物支援システム。
【請求項8】
前記読取装置は、1つのアンテナ部材と、前記アンテナ部材を移動させる移動機構と、を有し、前記アンテナ部材が前記移動機構によって移動させられることにより、前記アンテナ部材が前記複数のアンテナのうち少なくとも2つのアンテナとして利用される
請求項
5~
7のいずれか1項に記載の買物支援システム。
【請求項9】
前記商品が前記購入対象であると判定するための条件には、前記第1処理において、少なくとも前記受信信号強度の立ち上がりが検出されることが含まれている
請求項1~
8のいずれか1項に記載の買物支援システム。
【請求項10】
前記商品が前記購入対象であると判定するための条件には、前記第1処理において、前記受信信号強度の傾きが所定値以上であることが含まれている
請求項
9に記載の買物支援システム。
【請求項11】
前記商品が前記購入対象であると判定するための条件には、前記第2処理において、少なくとも規定時間における前記受信信号強度の変動幅が所定量以下であることが含まれている
請求項1~
10のいずれか1項に記載の買物支援システム。
【請求項12】
前記読取装置と前記電子タグとの間における前記電波の遮蔽物の有無を検知する遮蔽物検知装置を更に備える
請求項1~
11のいずれか1項に記載の買物支援システム。
【請求項13】
前記読取装置を更に備える
請求項1~
12のいずれか1項に記載の買物支援システム。
【請求項14】
前記読取装置は定位置に固定されている
請求項
13に記載の買物支援システム。
【請求項15】
少なくとも1つの商品に付された電子タグと電波を媒体とする無線通信を行うことにより前記商品に関する商品情報を読み取る読取装置における無線通信時の受信信号強度を取得するステップと、
前記商品ごとに、前記受信信号強度の時間経過に伴う変化に基づいて、前記商品が購入対象であるか否かを判定するステップと、を有し、
前記商品が購入対象であるか否かを判定するステップ
では、
前記商品が所定エリアに置かれたことをトリガ検知装置が検知した場合、
前記受信信号強度
の傾きが所定値以上であるか否かを判定する第1
処理と、
前記受信信号強度
の変動幅が所定量以下であるか否かを判定する第2
処理と、を
行い、
前記第1
処理の判定結果及び前記第2
処理の判定結果に基づいて、前記商品が購入対象であるか否かを判定する
買物支援方法。
【請求項16】
コンピュータシステムに、
少なくとも1つの商品に付された電子タグと電波を媒体とする無線通信を行うことにより前記商品に関する商品情報を読み取る読取装置における無線通信時の受信信号強度を取得する処理と、
前記商品ごとに、前記受信信号強度の時間経過に伴う変化に基づいて、前記商品が購入対象であるか否かを判定する処理と、
を実行させるためのプログラムであって、
前記商品が購入対象であるか否かを判定する処理
では、
前記商品が所定エリアに置かれたことをトリガ検知装置が検知した場合、
前記受信信号強度
の傾きが所定値以上であるか否かを判定する第1処理と、
前記受信信号強度
の変動幅が所定量以下であるか否かを判定する第2処理と、を
行い、
前記第1処理の判定結果及び前記第2処理の判定結果に基づいて、前記商品が購入対象であるか否かを判定する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、買物支援システム、買物支援方法及びプログラムに関し、より詳細には、電子タグを用いた買物の支援を行う買物支援システム、買物支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、少なくとも顧客が購入しようとする商品の精算(決済)処理を行うためのPOS(Point Of Sales)装置において、RF(Radio Frequency)タグ(電子タグ)の読取装置を用いることが記載されている。電子タグは、商品に付されており、電子タグが付された商品の価格情報又は識別情報を記憶している。
【0003】
特許文献1において、読取装置は、筐体の6面で構成されている箱型形状の収容室に商品が収容された状態で、電子タグから情報を読み取る。筐体には、収容室内へとつながる開口部が形成されている。開口部は、蓋体によって開閉される。つまり、蓋体が開いている状態で、顧客は、開口部から収容室内へ商品を入れることができる。収容室の外部の電子タグから読取装置が情報を読み取らないよう、筐体及び蓋体は、電波を反射する材料又は電波を吸収する材料で構成されている。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の構成では、例えば、収容室の外部の電子タグからの電波が筐体又は蓋体を透過する場合、及び蓋体の閉め忘れが生じた場合等に、収容室の外部の電子タグから読取装置が情報を読み取る可能性がある。そのため、購入対象ではない収容室の外部にある商品についても、誤って購入対象として検出される可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、購入対象の誤検出が生じにくい買物支援システム、買物支援方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【0007】
本開示の一態様に係る買物支援システムは、強度取得部と、判定部と、トリガ検知装置と、を備える。前記強度取得部は、読取装置における無線通信時の受信信号強度を取得する。前記読取装置は、少なくとも1つの商品に付された電子タグと電波を媒体とする無線通信を行うことにより前記商品に関する商品情報を読み取る。前記判定部は、前記商品ごとに、前記受信信号強度の時間経過に伴う変化に基づいて、前記商品が購入対象であるか否かを判定する。前記トリガ検知装置は、前記商品が所定エリアに置かれたことを検知する。前記判定部は、前記商品が前記所定エリアに置かれたことを前記トリガ検知装置が検知した場合、前記受信信号強度の傾きが所定値以上であるか否かを判定する第1処理と、前記受信信号強度の変動幅が所定量以下であるか否かを判定する第2処理と、を行い、前記第1処理の判定結果及び前記第2処理の判定結果に基づいて、前記商品が購入対象であるか否かを判定する。
【0008】
本開示の一態様に係る買物支援方法は、読取装置における無線通信時の受信信号強度を取得するステップと、前記商品ごとに、前記受信信号強度の時間経過に伴う変化に基づいて、前記商品が購入対象であるか否かを判定するするステップと、を有する。前記読取装置は、少なくとも1つの商品に付された電子タグと電波を媒体とする無線通信を行うことにより前記商品に関する商品情報を読み取る。前記商品が購入対象であるか否かを判定するステップでは、前記商品が所定エリアに置かれたことをトリガ検知装置が検知した場合、前記受信信号強度の傾きが所定値以上であるか否かを判定する第1処理と、前記受信信号強度の変動幅が所定量以下であるか否かを判定する第2処理と、を行い、前記第1処理の判定結果及び前記第2処理の判定結果に基づいて、前記商品が購入対象であるか否かを判定する。
【0009】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに、読取装置における無線通信時の受信信号強度を取得する処理と、前記商品が購入対象であるか否かを判定する処理と、を実行させるためのプログラムである。後者の処理では、前記商品ごとに、前記受信信号強度の時間経過に伴う変化に基づいて、前記商品が購入対象であるか否かを判定する。前記読取装置は、少なくとも1つの商品に付された電子タグと電波を媒体とする無線通信を行うことにより前記商品に関する商品情報を読み取る。前記商品が購入対象であるか否かを判定する処理では、前記商品が所定エリアに置かれたことをトリガ検知装置が検知した場合、前記受信信号強度の傾きが所定値以上であるか否かを判定する第1処理と、前記受信信号強度の変動幅が所定量以下であるか否かを判定する第2処理と、を行い、前記第1処理の判定結果及び前記第2処理の判定結果に基づいて、前記商品が購入対象であるか否かを判定する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る買物支援システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の買物支援システムを適用したカウンタ台の外観斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の買物支援システムを導入した店舗の見取り図である。
【
図4】
図4は、同上の買物支援システムにおける時間経過に伴う受信信号強度の変化の一例を示す波形図である。
【
図5】
図5は、同上の買物支援システムを用いた顧客の買物に係る動作を模式的に表す説明図である。
【
図6】
図6Aは、実施形態1の第1比較例に係る買物支援システムを用いた顧客の買物に係る動作を模式的に表す説明図、
図6Bは、実施形態1の第1比較例に係る買物支援システムを用いた顧客の買物に係る動作を模式的に表す説明図である。
【
図7】
図7は、実施形態1に係る買物支援システムの動作を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、同上の買物支援システムにおける顧客の退店時の動作の説明図である。
【
図9】
図9は、実施形態2に係る買物支援システムを適用したカウンタ台の外観斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態2の変形例に係る買物支援システムを適用したカウンタ台の要部を示す外観斜視図である。
【
図11】
図11は、実施形態3に係る買物支援システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係る買物支援システムは、例えば、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、百貨店、ドラッグストア、家電量販店又はホームセンター等の小売店の店舗に導入され、顧客による商品の購入(つまり「買物」)を支援するシステムである。
【0012】
買物支援システム1は、
図1に示すように、強度取得部11と、判定部12と、を備えている。強度取得部11は、読取装置2における無線通信時の受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indication)を取得する。読取装置2は、少なくとも1つの商品91に付された電子タグ93と電波を媒体とする無線通信を行うことにより、商品91に関する商品情報を読み取る装置である。判定部12は、商品91ごとに、受信信号強度の時間経過に伴う変化に基づいて、商品91が購入対象であるか否かを判定する。本実施形態では、読取装置2は買物支援システム1の構成要素に含まれることとするが、読取装置2は買物支援システム1の構成要素に含まれなくてもよい。
【0013】
本開示でいう「商品情報」は、商品を識別するための情報であって、例えば、日本国で用いられているJAN(Japanese Article Number)コード等の商品識別コードである。この種の商品識別コードには、JANコードの他、欧州等で用いられているEAN(European Article Number)コード、及び米国等で用いられているUPC(Universal Product Code)等がある。読取装置2で読み取られた商品情報は、例えば、精算システム3での精算処理に使用される。すなわち、読取装置2は、商品91から直接的に商品情報を読み取るのではなく、商品91に付された電子タグ93から非接触で商品情報を読み取ることになる。
【0014】
また、本開示でいう「購入対象」は、顧客90(
図5参照)による購入の対象となる商品91を意味する。本開示でいう「購入」とは、売主(店舗)から買主(顧客)に商品91の所有権を移転し、これに対する対価(代金)を買主が売主に支払う行為(売買)における買主(顧客)側の行為を意味する。つまり、購入対象の商品91については、基本的に、精算処理が完了することで売主(店舗)から買主(顧客)へ所有権が移転し、顧客90が持ち帰ることになる。
【0015】
買物支援システム1によれば、例えば、店舗のレジカウンタ8(
図2参照)に設置された読取装置2にて非接触で商品情報の読み取りが行われることにより、商品91の精算が可能な状態になる。そのため、例えば、複数の商品91について商品情報を一括して読取可能であり、また、買物袋(いわゆるレジ袋)等に商品91が収納された状態でも商品情報の読み取りが可能である。したがって、バーコード等を用いて商品情報の読み取りが行われる場合に比較して、顧客90の買物に掛かる店員及び顧客90の手間を軽減することができる。
【0016】
ここで、本実施形態に係る買物支援システム1では、読取装置2における無線通信時の受信信号強度の時間経過に伴う変化に基づいて、商品91ごとに、商品91が購入対象であるか否かを判定する。すなわち、買物支援システム1は、読取装置2が、商品91に付された電子タグ93との無線通信により商品情報を読み取る際の、読取装置2における無線信号の受信信号強度を、強度取得部11にて取得する。そして、買物支援システム1は、商品91ごとに、取得した受信信号強度の変動(時間経過に伴う変化)に基づいて、商品91が購入対象であるか否かを、判定部12にて判定する。
【0017】
例えば、読取装置2が店舗のレジカウンタ8に設置されている場合、顧客90は、店舗に陳列されている複数の商品91の中から、購入対象の商品91を、店内でピックアップし、レジカウンタ8に持って行って、レジカウンタ8上の所定エリアに置く。このような顧客90の一連の動作により、購入対象(商品91)を持つ顧客90がレジカウンタ8に近づくにつれて読取装置2から購入対象までの距離が縮まり、かつ購入対象が所定エリアに置かれた以降は読取装置2から購入対象までの距離は一定となる。そのため、上述したような顧客90の一連の動作に伴って、購入対象の商品91に関しては、これに付された電子タグ93との読取装置2における無線通信時の受信信号強度は、特定の変化パターンを示すことになる。一例として、
図2に示すように、購入対象の商品91についての受信信号強度は、急激に立ち上がり、その後の規定時間において変動幅が所定量以下に収まる、という特定の変化パターンを示すことになる。したがって、買物支援システム1は、受信信号強度の時間経過に伴う変化を解析することで、所定エリアに置かれた商品91を、購入対象の商品として特定することが可能である。
【0018】
その結果、買物支援システム1によれば、例えば、レジカウンタ8付近に陳列されている商品91等、購入対象でない商品91についての商品情報を読取装置2が読み取ることがあっても、これらの商品91と購入対象の商品91とを区別可能となる。そして、買物支援システム1は、購入対象と判定された商品91についてのみ、例えば、精算システム3での精算処理の対象とすることで、購入対象でない商品91が精算処理の対象とされることを抑制できる。よって、買物支援システム1では、仮に、所定エリアの外部の電子タグ93から読取装置2が商品情報を読み取ることがあっても、購入対象の誤検出が生じにくい、という利点がある。
【0019】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る買物支援システム1について詳しく説明する。本実施形態では、買物支援システム1が導入される店舗としてコンビニエンスストアを例に説明する。
【0020】
(2.1)買物支援システム
ここではまず、本実施形態に係る買物支援システム1の全体構成について説明する。
【0021】
買物支援システム1は、
図1及び
図2に示すように、メインコンピュータ10と、読取装置2、精算システム3及びレジシステム4を備えている。ただし、上述したように読取装置2が買物支援システム1の構成要素に含まれていることは必須ではない。精算システム3及びレジシステム4も、買物支援システム1に必須の構成ではない。また、本実施形態では、買物支援システム1は、ゲート装置15、報知装置16、遮蔽物検知装置17、及びトリガ検知装置18を更に備えているが、これらの構成についても買物支援システム1に必須の構成ではない。
【0022】
メインコンピュータ10は、強度取得部11と、判定部12と、情報取得部13と、選択部14と、を有している。本実施形態では、メインコンピュータ10は、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とするコンピュータシステムである。このメインコンピュータ10では、メモリに記録されたプログラムをプロセッサで実行することによって、強度取得部11、判定部12、情報取得部13及び選択部14の機能が実現される。プログラムは、メインコンピュータ10のメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能な光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0023】
メインコンピュータ10は、読取装置2及び精算システム3に接続されている。さらに、メインコンピュータ10は、例えば、POS(Point Of Sales)端末からなる店舗端末と通信可能に構成されている。メインコンピュータ10は、情報取得部13にて読取装置2から受信した商品情報に基づいて、精算システム3での精算処理に必要な情報を精算システム3に送信する送信処理等、所定の処理を実行する。
【0024】
強度取得部11は、読取装置2における無線通信時の受信信号強度を取得する。強度取得部11は、受信信号強度を読取装置2から取得する。ここで、読取装置2が複数の商品91についての商品情報を同時に読み取った場合には、強度取得部11は、商品91ごとの受信信号強度を取得する。強度取得部11は、読取装置2から受信信号強度を一定時間(例えば、100ミリ秒)間隔で取得し、メインコンピュータ10のメモリに記憶する。
【0025】
判定部12は、商品91ごとに、受信信号強度の時間経過に伴う変化に基づいて、商品91が購入対象であるか否かを判定する。ここでは、判定部12は、判定期間における受信信号強度の変化を商品91ごとに解析し、解析結果に基づいて、個々の商品91が購入対象であるか否かを判定する。本実施形態では、判定部12は、メインコンピュータ10のメモリに記憶されている判定期間分の受信信号強度の変化パターンを解析することによって、商品91が購入対象であるか否かを判定する。本開示でいう「判定期間」は、後述するトリガ検知装置18にてトリガが検知された時点の前後の所定長さ(例えば、10秒間)の期間である。
【0026】
情報取得部13は、複数の商品91についての複数の商品情報を読取装置2から取得する。詳しくは後述するが、読取装置2は、商品91に付された電子タグ93との無線通信が確立した際に、電子タグ93が付された商品91についての商品情報を、電子タグ93から受信する。情報取得部13は、このようにして読取装置2が電子タグ93から読み出した(受信した)商品情報を、読取装置2から取得する。ここで、読取装置2が複数の商品91についての商品情報を同時に読み取った場合には、情報取得部13は、商品91ごとの商品情報を取得する。情報取得部13は、読取装置2から商品情報を一定時間(例えば、100ミリ秒)間隔で取得し、メインコンピュータ10のメモリに記憶する。
【0027】
選択部14は、判定部12の判定結果を基に、複数の商品情報の中から購入対象の商品情報を選択する。すなわち、情報取得部13が複数の商品91についての複数の商品情報を読取装置2から取得した場合に、選択部14は、これら複数の商品情報の中から購入対象の商品91の商品情報を選択する。選択部14は、2つ以上の商品情報を、購入対象の商品情報として選択してもよい。
【0028】
さらに、選択部14は、商品91についての精算処理を行う精算システム3に、購入対象の商品情報を出力するように構成されている。つまり、精算システム3には、選択部14にて選択された購入対象の商品情報がメインコンピュータ10から出力されることになる。その結果、購入対象と判定された商品91についてのみ、精算システム3での精算処理の対象とすることが可能である。
【0029】
具体的には、メインコンピュータ10は、情報取得部13にて読取装置2から商品情報を受信する際、商品情報と併せて受信信号強度を強度取得部11にて読取装置2から取得する。つまり、メインコンピュータ10は、読取装置2から、商品情報及び受信信号強度の組み合わせを一定時間(例えば、100ミリ秒)間隔で受信する。そして、メインコンピュータ10は、商品情報及び受信信号強度の組み合わせを受信すると、商品情報ごとに、保存時間(例えば、1分間)分の受信信号強度をメインコンピュータ10のメモリに記憶する。その結果、メインコンピュータ10のメモリには、例えば、下記表1に示すように、商品91ごと、つまり商品情報(「aaaa」、「bbbb」、「cccc」)ごとに受信信号強度が記憶されることになる。表1の「t1」~「t8」は、受信信号強度を取得した時刻を表している。このようにメインコンピュータ10のメモリに記憶される受信信号強度は、保存時間が経過した場合だけでなく、商品情報を受信できなくなった場合等にも削除されてもよい。
【0030】
【0031】
メインコンピュータ10は、上記表1のように、商品情報ごとにメモリに記憶された保存時間分の受信信号強度を用いて、判定部12にて、判定期間における受信信号強度の変化を商品91ごとに解析する。判定部12は、この解析結果を、所定の判定条件に照らして、商品91が購入対象であるか否かを判定する。本開示でいう「判定条件」とは、判定部12において、商品91が購入対象であると判定するための条件を意味する。詳しくは後述するが、本実施形態では、判定条件には第1条件及び第2条件の2つの条件が含まれており、判定部12での解析結果が第1条件及び第2条件の両方を満たす場合に、商品91が購入対象であると判定される。第1条件は、受信信号強度の立ち上がりが検出されることであり、第2条件は、規定時間(例えば、1秒間)における受信信号強度の変動幅が所定量以下であることである。商品91が購入対象であると判定された場合、メインコンピュータ10は、この商品91の商品情報を購入対象の商品情報として、選択部14にて精算システム3に出力する。
【0032】
さらに、メインコンピュータ10は、レジシステム4、ゲート装置15、報知装置16、遮蔽物検知装置17及びトリガ検知装置18とも通信を行うことにより、これらの装置を制御可能に構成されている。
【0033】
レジシステム4は、供給ユニット41、表示装置42、入力装置43、音声出力部44及び撮像装置45を有している。供給ユニット41、表示装置42、入力装置43、音声出力部44及び撮像装置45は、いずれもメインコンピュータ10の周辺装置であって、メインコンピュータ10に接続されている。
【0034】
供給ユニット41は、特定の商品(例えば煙草)を顧客90に供給する装置である。表示装置42は、顧客90に向けて各種の表示を行う装置である。入力装置43は、例えばジェスチャ検出等により、顧客90の操作を受け付ける装置である。さらに、入力装置43は、マイクロホンを含み、マイクロホンに入力された音声信号に対して音声認識及び意味解析の処理を施す機能を有している。そのため、顧客90においては音声による操作(音声入力)も可能である。音声出力部44は、スピーカを含み、音声によって顧客90に向けて各種の情報を提示する装置である。
【0035】
つまり、レジシステム4は、表示装置42、入力装置43及び音声出力部44をユーザインタフェースとして用いることにより、表示又は音声によって各種の情報を顧客90に提示したり、顧客90の操作(音声入力を含む)を受け付けたりすることができる。ただし、レジシステム4による情報の提示は、表示と音声との少なくとも一方で実現されればよく、表示と音声とのいずれか一方で実現されてもよいし、表示と音声との組み合わせで実現されてもよい。
【0036】
一例として、レジシステム4は、来客検知時及び精算処理の完了時に、「いらっしゃいませ。」、「ありがとうございました。」等のメッセージを顧客90に提示することができる。これにより、顧客90に対して、店員が接客するのに近い親近感を与えることができる。また、顧客90は、例えば、入力装置43を操作して支払方法を選択し、表示装置42に表示される精算金額を支払うことにより精算を行う。さらに、レジシステム4は、表示装置42及び音声出力部44にて、買物支援システム1の利用手順を顧客90に提示することも可能である。この場合に、表示装置42及び音声出力部44は、例えば、来客が有ると、まずは商品91を置くように促し、次にファストフード又は煙草等の購入の有無を確認するなど、順を追って、利用手順を説明することが好ましい。
【0037】
また、撮像装置45は、レジカウンタ8(
図2参照)の正面の空間及びレジカウンタ8の上面81(
図2参照)上の空間を撮像するカメラである。撮像装置45は、例えば、レジカウンタ8の正面に顧客90がいるときには顧客90を撮像し、レジカウンタ8上に商品91が置かれたときには商品91を撮像する。
【0038】
読取装置2は、商品91に付された電子タグ93と電波を媒体とする無線通信を行うことにより、この商品91に関する商品情報を読み取る装置である。読取装置2は、アンテナ21及び通信部20を有している。詳しくは後述するが、読取装置2は矩形板状に形成されている。基本的には、読取装置2の表面(上面)に設定された所定エリアに商品91が置かれた状態で、読取装置2は、この商品91に付された電子タグ93と無線通信し、商品情報の読み取りを実行する。電子タグ93は、RF(Radio Frequency)タグであって、読取装置2は、商品91から直接的に商品情報を読み取るのではなく、商品91に付された電子タグ93から非接触で商品情報を読み取る。
【0039】
本実施形態では、読取装置2は、商品91が容器92(
図2参照)に収容(荷詰め)された状態で、商品91に付された電子タグ93から商品情報を読み取る。そのため、顧客90は、店内でピックアップした商品91について、先に、商品91を容器92に収納する作業を行い、その後、商品91を容器92ごと読取装置2上の所定エリアに置くことによって、読取装置2に商品情報の読み取りを行わせることができる。したがって、顧客90においては、商品情報の読み取り後に、荷詰めを行う必要がなく、容器92に収納された状態の商品91を、そのまま容器92ごと持ち帰ることができ、買物支援システム1によって買物を効率よく行うことができる。本開示でいう「容器」は、顧客90が少なくとも1つの商品を持ち帰るために使用する入れ物であって、商品91が入る大きさで、かつ商品91を出し入れするための開口を有する入れ物であればよく、例えば、バッグ、袋、かご、箱又はカート等である。
【0040】
特に、本実施形態では、容器92が顧客90の私物のバッグ(エコバッグ等を含む)であると仮定する。そのため、顧客90は、商品91をピックアップしながら容器92に収納できるので、商品91のピックアップと商品91の荷詰めと、を同時に行うことができる。したがって、買物支援システム1によれば、単独での「荷詰め」という作業が不要になり、買物の効率の更なる向上を図ることができる。ただし、顧客90が商品91のピックアップと商品91の荷詰めと、を同時に行うことは、買物支援システム1に必須の事項でない。例えば、顧客90は、商品91のピックアップ後、精算処理の開始までの間に、商品91の荷詰めを行ってもよいし、精算処理後に、商品91の荷詰めを行ってもよい。
【0041】
また、
図2に示すように、容器92に複数の商品91が収納されている場合には、読取装置2は、これら複数の商品91に付された複数の電子タグ93から、複数の商品91の商品情報をまとめて読み取ることが可能である。ここで、読取装置2は、複数の電子タグ93から、複数の商品情報を一括で取得してもよいし、商品情報を1つずつ取得してもよい。これにより、顧客90は、一旦、複数の商品91を容器92に収納すれば、その後、精算処理が完了してこれら複数の商品91を持ち帰るまで、これら複数の商品91をばらすことなく一まとめにして扱うことができる。
【0042】
ゲート装置15は、読取装置2と同様に、商品91に付された電子タグ93と、電波を媒体とする無線通信を行うことにより商品情報を読み取るように構成されている。ゲート装置15は、例えば、売り場空間となる店舗の出入口101(
図8参照)に設置されている。ゲート装置15は、電波を媒体とする無線通信により、メインコンピュータ10との間で双方向の通信が可能である。ゲート装置15は、顧客90が出入口101を通って店舗から出る(退店する)際に、顧客90が持つ容器92内の商品91に付された電子タグ93と、非接触で通信を行う。このとき、ゲート装置15が電子タグ93から読み取った商品情報について、精算処理が実行されているか否かを判断する。本実施形態では、商品91についての精算処理が完了しているか否かは、例えば、メインコンピュータ10のメモリに商品情報に対応付けて記憶される精算済みフラグの値によって判断される。例えば、商品91についての精算処理が完了している場合には、この商品91についての精算済みフラグの値が「1」になる。そのため、ゲート装置15が電子タグ93から読み取った商品情報に対応する精算済みフラグが「0」であれば精算処理が未完了、商品情報に対応する精算済みフラグが「1」であれば精算処理が完了している、と判断される。
【0043】
報知装置16は、ゲート装置15で読み取られた商品情報について精算処理が実行されていない場合に報知処理を実行する。すなわち、ゲート装置15及び報知装置16によれば、店舗から持ち出される商品91について、精算処理が正常に完了していることを確認することができる。報知装置16は、例えば、ゲート装置15と一体に構成される。報知装置16が行う報知の態様は、特に限定しないが、例えば、報知装置16自体が表示又は音声によって報知してもよいし、報知装置16がメインコンピュータ10に報知信号を送信することで、レジシステム4等にて報知を行ってもよい。
【0044】
遮蔽物検知装置17は、読取装置2と電子タグ93との間における電波の遮蔽物の有無を検知する。詳しくは後述するが、遮蔽物検知装置17により遮蔽物が検知された場合には、メインコンピュータ10は、判定部12での判定処理を一時的に中止する。本開示でいう「遮蔽物」は、読取装置2における電子タグ93からの受信信号強度を低下させる物体(人体を含む)であればよく、電波を完全に遮断しなくてもよい。遮蔽物の具体例としては、読取装置2と商品91(電子タグ93)との間を通過する人(顧客90を含む)及び物(台車等)がある。遮蔽物検知装置17は、例えば、レジカウンタ8の前方を通過する人を検知する人感センサ(一例として、焦電型センサ又はイメージセンサ等)で実現される。また、遮蔽物検知装置17は、例えば、レジカウンタ8の前方を通過する物を検知する対物センサ(一例として、光学式センサ又は電波センサ等)等で実現されてもよい。遮蔽物検知装置17は、レジシステム4の撮像装置45と兼用されてもよい。
【0045】
トリガ検知装置18は、商品91が所定エリアに置かれたことを検知する。詳しくは後述するが、トリガ検知装置18にて商品91が所定エリアに置かれたことが「トリガ」として検知された場合、メインコンピュータ10は、判定部12での判定処理を開始する。本開示でいう「所定エリア」は、読取装置2での商品情報の読取対象となる商品91が置かれるエリアを意味する。トリガ検知装置18は、例えば、レジカウンタ8の前方で立ち止まる顧客90を検知する人感センサ(一例として、焦電型センサ又はイメージセンサ等)で実現される。また、トリガ検知装置18は、例えば、読取装置2上に置かれた商品91を検知する対物センサ(一例として、重量センサ、光学式センサ、加速度センサ又はイメージセンサ)等で実現される。レジシステム4の撮像装置45が、トリガ検知装置18として兼用されてもよい。
【0046】
ところで、買物支援システム1は、
図2に示すように、例えば、店舗のレジカウンタ8周辺に設けられている。このようなレジカウンタ8は、1つの店舗に対して複数設置されていてもよい。
【0047】
以下では、特に断りがない限り、レジカウンタ8の上面81が水平面となる向きで、レジカウンタ8が設置されていることとして説明する。つまり、レジカウンタ8の上面81に直交する方向が上下方向(鉛直方向)となる。さらに、以下では、レジカウンタ8を正面から見た左右方向を「左右方向」とし、レジカウンタ8の奥行方向を「前後方向」として説明する。ただし、これらの方向は買物支援システム1の使用時の方向を限定する趣旨ではなく、例えば、レジカウンタ8の上面81が水平面に対して多少傾斜した状態で、買物支援システム1が使用されていてもよい。
【0048】
図2の例では、メインコンピュータ10はレジカウンタ8に内蔵される。
図2の例では、レジカウンタ8を正面から見て右端部寄りの位置に、メインコンピュータ10が内蔵されている。
【0049】
レジカウンタ8の上面81において幅方向(左右方向)の中央部と左端部との間の位置には、読取装置2が配置されている。ここでは、読取装置2は、定位置(レジカウンタ8の上面81上)に固定されている。そのため、顧客90は、例えば、レジカウンタ8の正面に立ち、レジカウンタ8の上面81上に設置された板状の読取装置2上に商品91を置くことで、読取装置2に商品91の商品情報を読みらせることができる。
【0050】
供給ユニット41は、レジカウンタ8の上方に位置するように、天井に吊り下げられている。表示装置42は、供給ユニット41の下面に固定されており、例えばプロジェクションマッピング技術により、スクリーンに対して映像を投影するように構成されている。ここでは、表示装置42は、レジカウンタ8の上面81のうち、レジカウンタ8を正面から見て読取装置2の右側の領域に映像を投影する。つまり、レジカウンタ8の上面81のうち読取装置2の右側の領域が、表示装置42のスクリーンとなる。入力装置43は、レジカウンタ8の上面81上であって、レジカウンタ8を正面から見てスクリーンの奥に設置されている。入力装置43には、音声出力部44が一体に設けられている。
【0051】
また、上述した買物支援システム1の各部の位置関係及び形状等は、一例に過ぎず、適宜変更が可能である。例えば、レジカウンタ8を正面から見て、読取装置2が右側、メインコンピュータ10が左側に配置されていてもよいし、レジカウンタ8が平面視でL字状であってもよい。さらに、例えば、読取装置2はレジカウンタ8とは別に設けられていてもよい。
【0052】
(2.2)読取装置
次に、読取装置2について、更に詳しく説明する。
【0053】
読取装置2は、商品91に付された電子タグ93から商品情報を読み取ることにより、商品情報を取得するように構成されている。すなわち、読取装置2は、商品91に付された電子タグ93との間で電波を媒体として無線通信を行うことにより、電子タグ93に記憶されている商品情報を取得する。
【0054】
電子タグ93は、例えば、パッシブ型のRFタグであって、少なくとも商品情報を記憶するメモリを有している。ここにおいて、複数の商品91には複数の電子タグ93が一対一で対応付けられている。電子タグ93には、対応する商品91についての商品情報が記憶されており、電子タグ93は、対応する商品91に付されている。
【0055】
電子タグ93は商品91と一体に取り扱い可能な状態で商品91に付されていればよく、電子タグ93が商品91に付される具体的な態様としては、様々な態様がある。本実施形態では一例として、電子タグ93はシール状であって商品91に貼り付けられている。その他、電子タグ93は、例えば、紐等で商品91に繋がっていてもよいし、商品91の梱包材に一体化されていてもよいし、商品91に埋め込まれていてもよいし、商品91に組み込まれていてもよい。さらに、例えば、塗布型半導体等の技術を用いることにより、電子タグ93は、商品91自体、又は商品91の梱包材等の表面に、印刷にて直接的に形成されていてもよい。
【0056】
本実施形態に係る読取装置2は、
図2に示すように、矩形板状に形成されており、レジカウンタ8の上面81に固定されている。読取装置2は、その内部にアンテナ21及び通信部20を有しており(
図1参照)、RFID(Radio Frequency Identification)システムを構成するリーダである。読取装置2は、基本的には、読取装置2の上方の所定エリアに置かれた商品91の電子タグ93と無線通信を行う。本実施形態では、読取装置2は、所定エリアからの電波の漏洩を低減するためのシールド等を有さない、いわゆる開放型の読取装置である。
【0057】
アンテナ21は、読取装置2上の所定エリアに位置する電子タグ93との間で、通信媒体となる電波を送受信し、無線通信を行う。すなわち、本実施形態では、アンテナ21は、処理エリアに対して下方から電波を送受信可能となるように配置されている。アンテナ21は、偏波面を考慮し、円偏波のアンテナにて構成されることが好ましい。アンテナ21は、通信部20と電気的に接続されている。アンテナ21は、例えば、パッチアンテナ、モノポールアンテナ、逆F形アンテナ又はスロットアンテナ等で構成される。
【0058】
ただし、本実施形態では読取装置2は開放型であるので、アンテナ21から送信される電波が届く範囲を規制する構造は特に設けられていない。そのため、アンテナ21から出た通信用の電波が、例えば、レジカウンタ8付近に置かれた商品等、所定エリア外に存在する商品に届くこともある。したがって、読取装置2では、レジカウンタ8付近に置かれた商品等、所定エリア外に存在する商品から、商品情報を読み取ることがある。
【0059】
通信部20は、アンテナ21から電子タグ93に電波を送信し、この電波によって起動された電子タグ93からの商品情報をアンテナ21にて受信する。通信部20は、少なくとも商品情報の受信時に、無線信号(電波)の受信信号強度を計測する。通信部20は、電子タグ93から商品情報を受信すると、商品情報に加えて、受信信号強度をメインコンピュータ10に送信する。
【0060】
また、読取装置2は、読取装置2上に置かれた物体の重量を計測する重量センサを有していてもよい。この場合、重量センサの計測結果から、読取装置2上に商品91が載っているか否かを判定することが可能であるので、重量センサがトリガ検知装置18として兼用されてもよい。
【0061】
(2.3)買物支援システムの動作
以下、本実施形態に係る買物支援システム1の動作、つまり買物支援システム1を用いた買物支援方法について、
図3~
図8を参照して説明する。
図3は、買物支援システム1を導入した店舗の見取り図である。
図4は、横軸を時間軸、縦軸を受信信号強度として、時間経過に伴う受信信号強度の変化の一例を示す波形図である。
図5は、買物支援システム1を用いた顧客90の買物に係る動作を模式的に表す説明図であって、
図6A及び
図6Bは、比較例に係る買物支援システム1X,1Yを用いた顧客90の買物に係る動作を模式的に表す説明図である。
図5、
図6A及び
図6Bでは、供給ユニット41等の図示を適宜省略している。
図7は、買物支援システム1の動作を示すフローチャートである。
図8は、買物支援システム1を用いた顧客90の買物に係る動作(退店時の動作)を模式的に表す説明図である。
【0062】
ここでは一例として、
図3に示すように、顧客90が、冷蔵庫から購入対象の商品91をピックアップし、一対の棚103の間を通ってレジカウンタ8に持って行って、レジカウンタ8上の所定エリアに商品91を置く場合を想定する。また、精算処理の完了後、顧客90が、レジカウンタ8上から商品91を持ち去り、一対のゲート装置15の間を通って出入口101から退店することを想定する。つまり、
図3の例では、顧客90は、「A」で示す位置で商品91をピックアップし、その後「B」で示す位置に移動し、その後「C」で示す位置に移動する。
【0063】
この場合においては、顧客90が持っている購入対象の商品91については、読取装置2での商品情報の受信信号強度は、例えば、
図4に「Si1」で示すように変化する。すなわち、顧客90がレジカウンタ8上の所定エリアに商品91を置く動作に伴って、この商品91についての受信信号強度は、
図4の時点t1~t2のように急激に立ち上がることになる。本開示でいう「立ち上がり」とは、受信信号強度が所定値以上の傾きを持って増加し、受信信号強度が第1の値以下の状態から、第2の値(>第1の値)を超える状態へと変化することを意味する。そして、レジカウンタ8上の所定エリアに商品91が置かれている間は、この商品91についての受信信号強度は、
図4の時点t2~t3のように、略一定の値を維持することになる。そして、顧客90がレジカウンタ8上の商品91を持ち去る動作に伴って、この商品91についての受信信号強度は、
図4の時点t3~t4のように急激に立ち下がることになる。
【0064】
判定部12では、判定期間における受信信号強度の変化を商品91ごとに解析することで、商品91が購入対象であるか否かを判定する。すなわち、受信信号強度が、
図4の「Si1」のような変化パターンを示す場合、時点t1~t2において受信信号強度の立ち上がりが検出されるので、判定部12は、第1条件を満たすと判定する。このとき、判定部12は、一例として、受信信号強度の微分(時間微分)値を求め、求めた微分値と閾値との比較を行うことで、第1条件を判定してもよい。要するに、受信信号強度の微分値は、上述したように受信信号強度の「立ち上がり」時における「傾き」の大きさに相当するので、判定部12では、この微分値が閾値以上であることをもって、第1条件を満たすと判定することができる。
【0065】
また、受信信号強度が、
図4の「Si1」のような変化パターンを示す場合、時点t2~t3において規定時間(例えば、1秒間)における受信信号強度の変動幅は所定量W1以下であるので、判定部12は、第2条件を満たすと判定する。その結果、判定部12は、この商品91についての受信信号強度が判定条件(第1条件及び第2条件の両方)を満たすと判定し、この商品91が購入対象であると判定する。ここで、所定量W1は固定値であってもよいし、受信信号強度の実測値を基準とした所定割合(例えば、数%)の値であってもよい。
【0066】
これに対して、例えば、レジカウンタ8付近に陳列されているだけの商品については、読取装置2での商品情報の受信信号強度は、例えば、
図4に「Si2」で示すように略一定の値を維持することになる。そのため、レジカウンタ8付近に陳列されているだけの商品については、第1条件を満たすことがない。その結果、判定部12は、レジカウンタ8付近に陳列されているだけの商品についての受信信号強度が判定条件(第1条件及び第2条件の両方)を満たさないと判定し、この商品が購入対象でないと判定する。
【0067】
したがって、本実施形態に係る買物支援システム1によれば、
図5に示すように、レジカウンタ8上の所定エリア、つまり読取装置2上に置かれた商品91Xについては、購入対象であると判定される。一方、レジカウンタ8付近に陳列されているだけの商品91Yについては、買物支援システム1は、購入対象でないと判定する。よって、買物支援システム1によれば、例えば、レジカウンタ8付近に陳列されている商品91Y等、購入対象でない商品91Yについての商品情報を読取装置2が読み取ることがあっても、これらの商品91Yと購入対象の商品91Xとを区別可能となる。
図5においては、買物支援システム1にて購入対象であると判定された商品91を吹き出しの中に概念的に記載している。
【0068】
これに対して、比較例に係る買物支援システム1X,1Yによれば、以下のような問題がある。ここで、比較例に係る買物支援システム1X,1Yは、いずれも受信信号強度の時間経過に伴う変化に基づいて商品91が購入対象であるか否かを判定する機能を有さない。また、第1比較例に係る買物支援システム1Xは、
図6Aに示すように、電波遮蔽性を有する筐体を含む密閉型の読取装置2Xを備えている。第2比較例に係る買物支援システム1Yは、
図6Bに示すように、本実施形態と同様の開放型の読取装置2Yを備えている。
図6A及び
図6Bにおいては、買物支援システム1X,1Yにて購入対象であると判定された商品91を吹き出しの中に概念的に記載している。
【0069】
第1比較例に係る買物支援システム1Xでは、密閉型の読取装置2Xが、電波遮蔽性を有する筐体の内部空間内にある電子タグ93との通信を行う。そのため、筐体の内部空間からの電波の漏洩が生じにくく、読取装置2Xが商品情報を読み取る対象を、購入対象の商品91Xのみに限定することが可能である。ただし、この種の密閉型の読取装置2Xでは、筐体の内部空間に商品91Xを投入する作業が必要である。特に、顧客90が両手に荷物を抱えているような状況では、顧客90が筐体の扉の開け閉め作業を行うことは困難である、という問題がある。さらに、筐体の外部の電子タグ93からの電波が筐体を透過する場合、及び扉の閉め忘れが生じた場合等に、筐体の外部の商品91Yの電子タグ93から読取装置2Xが商品情報を読み取る可能性がある。そのため、購入対象ではない商品91Yについても、誤って購入対象として検出される可能性がある。
【0070】
第2比較例に係る買物支援システム1Yでは、開放型の読取装置2Yが、レジカウンタ8上の所定エリア、つまり読取装置2Y上に置かれた商品91Xだけでなく、レジカウンタ8付近に陳列されている商品91Yについても、商品情報を読み取ることがある。そのため、購入対象ではない商品91Yについても、誤って購入対象として検出される可能性がある。
【0071】
本実施形態に係る買物支援システム1では、上述したようにレジカウンタ8付近に陳列されている商品91Y等、購入対象でない商品91Yと購入対象の商品91Xとを区別可能である。つまり、買物支援システム1によれば、購入対象の誤検出が生じにくい、という利点がある。しかも、買物支援システム1は、開放型の読取装置2を備えるので、第1比較例に係る買物支援システム1Xのような筐体の扉の開け閉め作業も必要なく、使い勝手がよい。
【0072】
次に、本実施形態に係る買物支援システム1の全体的な動作について
図7を参照して説明する。
【0073】
買物支援システム1は、まずは商品情報を受信する際に、強度取得部11にて受信信号強度(RSSI)を取得する(S1)。そして、買物支援システム1は、トリガの有無を判断する(S2)。すなわち、商品91が所定エリアに置かれるまでは、トリガ検知装置18にてトリガが検知されないため、買物支援システム1は、トリガ無し、と判断し(S2:No)、処理S1に戻る。一方、商品91が所定エリアに置かれると、トリガ検知装置18にてトリガが検知されるため、買物支援システム1は、トリガ有り、と判断し(S2:Yes)、判定処理を実行する(S3)。
【0074】
ただし、判定処理は、常に実行されるのではなく、遮蔽物検知装置17により遮蔽物が検知された場合には、メインコンピュータ10は、判定部12での判定処理を一時的に中止する。例えば、レジカウンタ8付近に陳列されている商品91と読取装置2との間を、遮蔽物となる人(顧客90)が通過した場合、この商品91についての受信信号強度が一時的に低下し、その後立ち上がることになる。このように遮蔽物に起因した受信信号強度の変化の影響を受けないように、遮蔽物検知装置17により遮蔽物が検知された場合、一定時間、判定処理が中止されることが好ましい。
【0075】
判定処理では、買物支援システム1は、判定部12にて、商品91ごとに、受信信号強度の時間経過に伴う変化に基づいて、商品91が購入対象であるか否かを判定する。買物支援システム1は、判定処理の結果、購入対象となる商品91が有るか否かを判断する(S4)。このとき、購入対象が無いと判断されれば(S4:No)、買物支援システム1は、処理S1に戻る。一方、購入対象が有ると判断されれば(S4:Yes)、買物支援システム1は、選択部14にて、購入対象である商品91についての商品情報を精算システム3に出力する(S5)。
【0076】
商品情報を受信した精算システム3は、精算処理を実行する(S6)。買物支援システム1は、精算システム3での精算処理が完了したか否かを判断する(S7)。精算処理が完了していなければ(S7:No)、買物支援システム1は、処理S6に戻る。一方、顧客90が精算を行うことによって、商品91の精算が完了すると、精算システム3はメインコンピュータ10に対して精算処理の完了の通知を行う。このとき、買物支援システム1は、例えば、表示又は音声によって、「商品をお取りください。ありがとうございました。」等のメッセージを顧客90に提示する。買物支援システム1は、メインコンピュータ10にて精算処理の完了の通知を受け付けると、精算処理が完了したと判断し(S7:Yes)、メインコンピュータ10のメモリに商品情報に対応付けて記憶される精算済みフラグの値を「1」に変更する(S8)。
【0077】
精算済みフラグは、ゲート装置15が電子タグ93から読み取った商品情報について、精算処理が実行されているか否かを判断する際に利用される。すなわち、
図8に示すように、ゲート装置15は、顧客90が出入口101を通って店舗から出る(退店する)際に、顧客90が持つ容器92内の商品91に付された電子タグ93と、非接触で通信を行う。このとき、ゲート装置15が電子タグ93から読み取った商品情報について、精算処理が完了しているか否かは、メインコンピュータ10のメモリに商品情報に対応付けて記憶される精算済みフラグの値によって判断される。つまり、ゲート装置15が電子タグ93から読み取った商品情報に対応する精算済みフラグの値が「1」であれば、この商品91についての精算処理が完了していると判断されるので、報知装置16での報知処理は実行されない。一方、ゲート装置15が電子タグ93から読み取った商品情報に対応する精算済みフラグの値が「0」であれば、この商品91についての精算処理が未完了と判断されるので、報知装置16での報知処理が実行される。
【0078】
ここで、精算済みフラグの値は、メインコンピュータ10のメモリに限らず、例えば、ネットワークを介して買物支援システム1に接続されるサーバ装置又はクラウド(クラウドコンピューティング)上に構築されたデータベースに記憶されてもよい。この場合、ゲート装置15が電子タグ93から読み取った商品情報について、精算処理が完了しているか否かは、買物支援システム1が、例えば、ネットワークを介してデータベースに問い合わせを行うことにより判断される。
【0079】
さらに、買物支援システム1は、ゲート装置15が電子タグ93から読み取った商品情報について、精算処理が完了していない場合、出入口101の自動扉が開かないように、ゲート装置15と出入口101の自動扉とを連動させてもよい。
【0080】
上記より、顧客90が購入対象の商品91をレジカウンタ8上に置くだけで、買物支援システム1は購入対象の商品91を識別することができる。したがって、買物支援システム1によって買物を効率よく行うことができる。
【0081】
(3)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、買物支援システム1と同様の機能は、買物支援方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る買物支援方法は、読取装置2における無線通信時の受信信号強度を取得する。読取装置2は、少なくとも1つの商品91に付された電子タグ93と電波を媒体とする無線通信を行うことにより商品91に関する商品情報を読み取る。さらに、買物支援方法は、商品91ごとに、受信信号強度の時間経過に伴う変化に基づいて、商品91が購入対象であるか否かを判定する。一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに、読取装置2における無線通信時の受信信号強度を取得する処理と、商品91が購入対象であるか否かを判定する処理と、を実行させるためのプログラムである。読取装置2は、少なくとも1つの商品91に付された電子タグ93と電波を媒体とする無線通信を行うことにより商品91に関する商品情報を読み取る。商品91が購入対象であるか否かを判定する処理では、商品91ごとに、受信信号強度の時間経過に伴う変化に基づいて、商品91が購入対象であるか否かを判定する。
【0082】
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0083】
本開示における買物支援システム1は、例えば、メインコンピュータ10等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における買物支援システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1乃至複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0084】
また、買物支援システム1における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは買物支援システム1に必須の構成ではなく、買物支援システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、買物支援システム1の少なくとも一部の機能は、例えば、サーバ装置及びクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。反対に、実施形態1において、複数の装置に分散されている買物支援システム1の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
【0085】
また、買物支援システム1の用途はコンビニエンスストアに限らず、コンビニエンスストア以外の店舗に買物支援システム1が設置されていてもよい。
【0086】
また、電子タグ93は、パッシブ型のRFタグに限らず、アクティブ型のRFタグであってもよい。読取装置2は、画像認識等の手段と電子タグ93から読み取った情報とを組み合わせて、商品情報の読み取りを行ってもよい。
【0087】
また、買物支援システム1は、実施形態1のように店員の操作を必要とせずに商品91の購入が可能な態様に限らず、例えば、いわゆる有人レジのようにレジカウンタに店員が居る状況で使用されてもよい。
【0088】
また、商品91を収容する容器92は、バッグに限らず、例えば、袋(レジ袋)、かご、箱又はカート等であってもよい。商品91を容器92に収納する荷詰めの作業は、店員又は顧客90が行わなくてもよく、例えば、商品91が容器92に収納された状態で店舗に陳列されていてもよいし、袋詰装置等を用いて自動的に荷詰めが行われてもよい。さらに、読取装置2は、商品91が容器92に収容された状態で、商品91に付された電子タグ93から商品情報を読み取る構成に限らず、容器92に収容されていない状態の商品91の電子タグ93から商品情報を読み取ってもよい。この場合、読取装置2で商品情報が読み取られた後、商品91は容器92に収容されてもよいし、容器92に収容されなくてもよい。
【0089】
また、メインコンピュータ10が精算システム3と通信可能であることは、買物支援システム1に必須の構成ではなく、メインコンピュータ10が精算システム3と通信可能でなくてもよい。例えば、メインコンピュータ10自体に、商品情報に基づいて商品91についての精算処理を行う機能があってもよい。
【0090】
また、精算処理は、店舗にて行われなくてもよく、例えば、店舗では商品91を購入する顧客90の特定のみを行い、クレジットカード決済等により、事後的に、精算処理が実行されてもよい。顧客90の特定は、例えば、顧客90が所持する携帯情報端末(スマートフォン等)との通信、又は生体認証(顔認証を含む)等によって実現可能である。
【0091】
また、表示装置42は、プロジェクションマッピング技術により対象物に対して映像を投影する構成に限らず、例えば、タッチパネルディスプレイであってもよい。さらに、入力装置43は、例えば、メカニカルスイッチを有する入力装置43が、買物支援システム1に対する顧客90の入力手段の少なくとも一部に採用されてもよい。
【0092】
また、買物支援システム1は、商品91に付された電子タグ93に対して書込情報の書き込みを行う書込装置を更に備えていてもよい。具体的には、電子タグ93を対象にしてデータ(情報)の読み取り及び書き込みが可能なリーダライタからなる読取装置2が、書込装置に兼用されてもよい。書込装置は、一例として、電子タグ93が付された商品91について精算処理が完了していることを表す清算済み情報を電子タグ93に書き込む。この場合に、ゲート装置15にて精算済み情報が電子タグ93に書き込まれているか否かを判断し、精算済み情報が書き込まれていなければ報知装置16にて報知を行うことが可能である。すなわち、書込装置にて、いわゆる「キルタグ」の機能を実現する場合には、メインコンピュータ10にて精算済みフラグの値を「1」にする処理を実行しなくても、店舗から持ち出される商品91について、精算処理が正常に完了していることを確認可能である。
【0093】
また、トリガ検知装置18は買物支援システム1に必須の構成ではなく、メインコンピュータ10は、例えば、入力装置43が顧客90の特定の操作を受け付けたことをトリガにして、判定部12での判定処理を開始してもよい。つまり、判定処理の開始タイミングは、対物センサ等によって自動で決定される構成に限らず、顧客90の操作にて決定されてもよい。
【0094】
また、読取装置2は、開放型に限らず、所定エリアからの電波の漏洩を低減するためのシールド等を有していてもよい。この場合に、所定エリアの全周がシールドで完全に塞がれている必要はない。例えば、所定エリアの前方及び上方が開放されていてもよい。さらに、シールドは、電波遮蔽性を有していればよいので、例えば、網形状(又は貫通孔を有する形状)であってもよい。アンテナ21は、円偏波に限らず、例えば、楕円偏波又は直線偏波等のアンテナであってもよい。
【0095】
(実施形態2)
本実施形態に係る買物支援システム1Aは、
図9に示すように、読取装置2Aが位置と向きとの少なくとも一方が異なる複数のアンテナ21にて電子タグ93と無線通信を行うように構成されている点で、実施形態1に係る買物支援システム1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0096】
読取装置2Aは、例えば、
図9に示すように、レジカウンタ8の上面81上に設置された筐体22を有している。ただし、筐体22が読取装置2Aの構成要素に含まれることは買物支援システム1に必須の事項ではなく、筐体22は読取装置2Aの構成要素に含まれなくてもよい。
【0097】
筐体22は、電波遮蔽性を有しており、所定エリアを囲むように設けられている。言い換えれば、所定エリアは筐体22にて規定され、筐体22にて囲まれた範囲(空間)が所定エリアとして機能する。これにより、筐体22は、所定エリアからの電波の漏洩を低減するためのシールドとして機能する。
【0098】
本実施形態では、筐体22は、上面及び前面が開放された箱状に形成されている。つまり、筐体22は、後壁221、左側壁222、右側壁223及び底板224を有している。所定エリアは、これら後壁221、左側壁222、右側壁223及び底板224で囲まれた空間である。
【0099】
複数のアンテナ21は、後壁221、左側壁222、右側壁223及び底板224に設けられている。本実施形態では、複数のアンテナ21は、後壁221、左側壁222、右側壁223及び底板224の内側面(つまり所定エリア側の面)に設けられた4枚のパッチアンテナ(マイクロストリップアンテナ)である。そのため、後壁221に設けられたアンテナ21は前後方向に指向性を有し、左側壁222及び右側壁223に設けられた一対のアンテナ21は左右方向に指向性を有し、底板224に設けられたアンテナ21は上下方向に指向性を有する。アンテナ21の表面は電気絶縁性を有するスペーサ膜で覆われていてもよい。これにより、後壁221等の内側面に設けられたアンテナ21と電子タグ93との接触を低減でき、電子タグ93からの商品情報の読取率を向上させることができる。
【0100】
言い換えれば、複数のアンテナ21のうち少なくとも2つのアンテナ21は互いに向きが異なっている。本実施形態では、複数のアンテナ21は、互いに直交する3軸に沿った指向性を有する3つ以上のアンテナ21を含んでいる。これら複数のアンテナ21により、読取装置2Aは、筐体22で囲まれた所定エリアに位置する電子タグ93との間で、通信媒体となる電波を送受信し、無線通信を行う。つまり、複数のアンテナ21は商品91を囲むように配置されている。
【0101】
ただし、読取装置2Aは、4つのアンテナ21を有する構成に限らず、2つ、3つ、又は5つ以上のアンテナ21を有していてもよい。例えば、筐体22は、後壁221が省略され、左側壁222及び右側壁223が斜めに向けられ、平面視においてV字状となるように、左側壁222及び右側壁223の後端部同士が繋がった形状であってもよい。この場合、左側壁222及び右側壁223に設けられた2つのアンテナ21は、所定エリアの左後方及び右後方に位置することになる。また、他の例として、筐体22は、左側壁222及び右側壁223が省略され、後壁221の中央部が後方に凸となるように後壁221が湾曲した形状であってもよい。この場合、後壁221に設けられたアンテナ21は曲面状になる。また、更に他の例として、筐体22は、左側壁222及び右側壁223が省略され、底板224と対向する位置に天板を有し、天板の内側面(つまり所定エリア側の面)にアンテナ21が設けられていてもよい。この場合、後壁221、底板224及び天板に設けられた3つのアンテナ21が、所定エリアの後方、下方及び上方に位置することになる。
【0102】
本実施形態では、強度取得部11は、アンテナ21ごとに受信信号強度を取得する。すなわち、本実施形態では読取装置2Aは複数のアンテナ21を有するので、強度取得部11は、これら複数のアンテナ21の各々について個別に受信信号強度を取得する。強度取得部11は、読取装置2Aから取得した受信信号強度をアンテナ21ごとに、メインコンピュータ10のメモリに記憶する。
【0103】
判定部12は、複数のアンテナ21についての受信信号強度に基づいて、判定を行うように構成されている。すなわち、本実施形態では強度取得部11が複数のアンテナ21の各々について個別に受信信号強度を取得しているので、判定部12は、これら複数のアンテナ21についての受信信号強度の組み合わせによって、個々の商品91が購入対象であるか否かを判定する。
【0104】
ここで、複数のアンテナ21についての受信信号強度の組み合わせから判定処理を実行する際の判定部12の判定アルゴリズムには、種々のアルゴリズムがある。一例として、判定部12は、少なくとも2つのアンテナ21について、時間経過に伴う受信信号強度の変化が第1条件及び第2条件を満たす場合に、判定条件を満たすと判定する。他の例として、判定部12は、全てのアンテナ21について、時間経過に伴う受信信号強度の変化が第1条件及び第2条件を満たす場合に、判定条件を満たすと判定する。更に他の例として、複数のアンテナ21を、所定エリア内からの電波を受信する内向きのアンテナ21と、所定エリア外からの電波を受信する外向きのアンテナ21とで区別して、判定部12が判定処理を実行してもよい。つまり、例えば、内向きのアンテナ21でのみ閾値以上の受信信号強度が検出された場合に、判定部12は、判定条件を満たすと判定する。
【0105】
以上説明した構成によれば、買物支援システム1Aは、複数のアンテナ21についての受信信号強度に基づいて、商品91が購入対象であるか否かを判定するので、商品91が購入対象であるか否かの判定精度が向上する。
【0106】
実施形態2の変形例に係る買物支援システム1Bとして、読取装置2Bは、
図10に示すように、1つのアンテナ部材211と、アンテナ部材211を移動させる移動機構212と、を有していてもよい。この場合、アンテナ部材211が移動機構212によって移動させられることにより、アンテナ部材211が複数のアンテナ21のうち少なくとも2つのアンテナ21として利用される。
図10の例では、移動機構212は、所定エリアを囲む略C字状のレールに沿って、棒状のアンテナ部材211を移動させる。これにより、時間経過に伴って、アンテナ部材211の位置及び向きが変化する。読取装置2Bは、各時点でのアンテナ部材211を複数のアンテナ21と見立てて、これら複数のアンテナ21にて電子タグ93と無線通信を行う。さらにまた、ビームフォーミングにてアンテナ21の通信領域を移動させてもよい。
【0107】
実施形態2の他の変形例として、複数のアンテナ21は、全てレジカウンタ8に設けられていなくてもよく、例えば、店舗の天井等に分散して設置されていてもよい。この場合、判定部12は、例えば、複数のアンテナ21についての時間経過に伴う受信信号強度の変化から、商品91を持った顧客90の移動経路を推定することができる。そこで、判定部12は、商品91を持った顧客90がレジカウンタ8に正面から近づいてきた場合に、判定条件を満たすと判定することが好ましい。
【0108】
実施形態2で説明した種々の構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0109】
(実施形態3)
本実施形態に係る買物支援システム1Cは、
図11に示すように、読取装置2Cが定位置に固定されるのではなくカート94に設けられている点で、実施形態1に係る買物支援システム1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0110】
すなわち、本実施形態では、読取装置2Cは定位置に固定されるのではなく、店舗内を移動可能なカート94(買物カート)に設けられている。
図11の例では、読取装置2Cは、カート94の荷台の下面に取り付けられており、カート94の荷台上に設定された所定エリア内の電子タグ93と無線通信を行う。つまり、カート94の荷台上に商品91が置かれた状態で、読取装置2Cは、この商品91に付された電子タグ93と無線通信し、商品情報の読み取りを実行する。本実施形態では、読取装置2は、レジカウンタ8に設けられたメインコンピュータ10との間で、電波を媒体とする無線通信により双方向の通信が可能である。
【0111】
この買物支援システム1Cでは、顧客90は、カート94を押しながら店舗内を移動し、所望の商品91を棚103等からピックアップしてカート94の荷台に載せる。そのため、カート94に設けられた読取装置2Cにおいては、荷台に置かれた商品91についての受信信号強度が、特定の変化パターンを示すことになる。したがって、判定部12では、顧客90がカート94の荷台に置いた商品91についての受信信号強度が判定条件を満たすと判定し、この商品91が購入対象であると判定する。
【0112】
以上説明した構成によれば、顧客90は、レジカウンタ8に商品91を置く必要がなく、例えば、レジカウンタ8を通らずに商品91の購入を済ませることも可能である。
【0113】
実施形態3で説明した種々の構成(変形例を含む)は、実施形態1又は実施形態2で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0114】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る買物支援システム(1,1A,1B,1C)は、強度取得部(11)と、判定部(12)と、を備える。強度取得部(11)は、読取装置(2,2A,2B,2C)における無線通信時の受信信号強度を取得する。読取装置(2,2A,2B,2C)は、少なくとも1つの商品(91)に付された電子タグ(93)と電波を媒体とする無線通信を行うことにより商品(91)に関する商品情報を読み取る。判定部(12)は、商品(91)ごとに、受信信号強度の時間経過に伴う変化に基づいて、商品(91)が購入対象であるか否かを判定する。
【0115】
この態様によれば、例えば、読取装置(2,2A,2B,2C)付近に陳列されている商品(91)等、購入対象でない商品(91)についての商品情報を読取装置(2)が読み取ることがあっても、これらの商品(91)を購入対象と区別可能になる。よって、買物支援システム(1,1A,1B,1C)によれば、購入対象の誤検出が生じにくい、という利点がある。
【0116】
第2の態様に係る買物支援システム(1,1A,1B,1C)は、第1の態様において、情報取得部(13)と、選択部(14)と、を更に備える。情報取得部(13)は、複数の商品(91)についての複数の商品情報を読取装置(2,2A,2B,2C)から取得する。選択部(14)は、判定部(12)の判定結果を基に、複数の商品情報の中から購入対象の商品情報を選択する。
【0117】
この態様によれば、購入対象の商品(91)が特定されるだけでなく、購入対象の商品(91)の商品情報の選択まで自動化される。
【0118】
第3の態様に係る買物支援システム(1,1A,1B,1C)では、第2の態様において、選択部(14)は、商品(91)についての精算処理を行う精算システム(3)に、購入対象の商品情報を出力するように構成されている。
【0119】
この態様によれば、選択部(14)で選択された商品情報を、精算システム(3)での精算処理に利用できる。
【0120】
第4の態様に係る買物支援システム(1,1A,1B,1C)は、第3の態様において、ゲート装置(15)と、報知装置(16)と、を更に備える。ゲート装置(15)は、売り場空間の出入口(101)に設置され、電子タグ(93)と無線通信を行うことにより商品情報を読み取る。報知装置(16)は、ゲート装置(15)で読み取られた商品情報について精算処理が実行されていない場合に報知処理を実行する。
【0121】
この態様によれば、精算処理が実行されていない商品(91)の売り場空間からの持ち出しを管理できる。
【0122】
第5の態様に係る買物支援システム(1,1A,1B,1C)では、第1~4のいずれかの態様において、読取装置(2,2A,2B,2C)は、位置と向きとの少なくとも一方が異なる複数のアンテナ(21)にて電子タグ(93)と無線通信を行う。強度取得部(11)は、アンテナ(21)ごとに受信信号強度を取得し、判定部(12)は、複数のアンテナ(21)についての受信信号強度に基づいて、判定を行うように構成されている。
【0123】
この態様によれば、1つのアンテナ(21)での受信信号強度に基づいて判定が行われる場合に比べて、商品(91)が購入対象であるか否かの判定精度の向上を図ることができる。
【0124】
第6の態様に係る買物支援システム(1,1A,1B,1C)では、第5の態様において、複数のアンテナ(21)のうち少なくとも2つのアンテナ(21)は互いに向きが異なる。
【0125】
この態様によれば、読取装置(2,2A,2B,2C)は、複数の向きから電子タグ(93)との無線通信を行うので、商品(91)が購入対象であるか否かの判定精度の向上を図ることができる。
【0126】
第7の態様に係る買物支援システム(1,1A,1B,1C)では、第5又は6の態様において、複数のアンテナ(21)は商品(91)を囲むように配置される。
【0127】
この態様によれば、商品(91)を囲む複数のアンテナ(21)の受信信号強度に基づいて判定が行われるので、商品(91)が購入対象であるか否かの判定精度の向上を図ることができる。
【0128】
第8の態様に係る買物支援システム(1,1A,1B,1C)では、第5~7のいずれかの態様において、読取装置(2,2A,2B,2C)は、1つのアンテナ部材(211)と、アンテナ部材(211)を移動させる移動機構(212)と、を有する。アンテナ部材(211)が移動機構(212)によって移動させられることにより、アンテナ部材(211)が複数のアンテナ(21)のうち少なくとも2つのアンテナ(21)として利用される。
【0129】
この態様によれば、複数のアンテナ(21)のうち少なくとも2つのアンテナ(21)を、1つのアンテナ部材(211)にて実現でき、必要なアンテナ部材(211)の数を少なく抑えることができる。
【0130】
第9の態様に係る買物支援システム(1,1A,1B,1C)では、第1~8のいずれかの態様において、商品(91)が購入対象であると判定するための条件には、少なくとも受信信号強度の立ち上がりが検出されることが含まれている。
【0131】
この態様によれば、所定エリアに商品(91)を置かれることに伴い、この商品(91)についての受信信号強度が立ち上がることをもって、商品(91)が購入対象であると判定可能である。したがって、商品(91)が購入対象であるか否かの判定精度の向上を図ることができる。
【0132】
第10の態様に係る買物支援システム(1,1A,1B,1C)では、第1~9のいずれかの態様において、商品(91)が購入対象であると判定するための条件には、少なくとも規定時間における受信信号強度の変動幅が所定量以下であることが含まれている。
【0133】
この態様によれば、所定エリアに商品(91)を置かれている間、この商品(91)についての受信信号強度が略一定となることをもって、商品(91)が購入対象であると判定可能である。したがって、商品(91)が購入対象であるか否かの判定精度の向上を図ることができる。
【0134】
第11の態様に係る買物支援システム(1,1A,1B,1C)は、第1~10のいずれかの態様において、読取装置(2,2A,2B,2C)と電子タグ(93)との間における電波の遮蔽物の有無を検知する遮蔽物検知装置(17)を更に備える。
【0135】
この態様によれば、例えば、遮蔽物検知装置(17)により遮蔽物が検知された場合、一定時間、判定部(12)での判定を中止することで、遮蔽物に起因した受信信号強度の変化の影響を低減できる。したがって、商品(91)が購入対象であるか否かの判定精度の向上を図ることができる。
【0136】
第12の態様に係る買物支援システム(1,1A,1B,1C)は、第1~11のいずれかの態様において、商品(91)が所定エリアに置かれたことを検知するトリガ検知装置(18)を更に備える。
【0137】
この態様によれば、例えば、トリガ検知装置(18)にて商品(91)が所定エリアに置かれたことを検知された場合にのみ、判定部(12)での判定を実行することで、ノイズ等に起因した不要な判定を無くすことができる。したがって、商品(91)が購入対象であるか否かの判定精度の向上を図ることができる。
【0138】
第13の態様に係る買物支援システム(1,1A,1B,1C)は、第1~12のいずれかの態様において、読取装置(2,2A,2B,2C)を更に備える。
【0139】
この態様によれば、読取装置(2,2A,2B,2C)を別途用意することなく、買物支援システム(1,1A,1B,1C)としての動作を実現できる。
【0140】
第14の態様に係る買物支援システム(1,1A,1B,1C)では、第13の態様において、読取装置(2,2A,2B,2C)は定位置に固定されている。
【0141】
この態様によれば、読取装置(2,2A,2B,2C)への電力供給が容易になる。
【0142】
第15の態様に係る買物支援方法は、読取装置における無線通信時の受信信号強度を取得し、商品ごとに、受信信号強度の時間経過に伴う変化に基づいて、商品が購入対象であるか否かを判定する。読取装置は、少なくとも1つの商品に付された電子タグと電波を媒体とする無線通信を行うことにより商品に関する商品情報を読み取る。
【0143】
この態様によれば、例えば、読取装置(2,2A,2B,2C)付近に陳列されている商品(91)等、購入対象でない商品(91)についての商品情報を読取装置(2)が読み取ることがあっても、これらの商品(91)を購入対象と区別可能になる。よって、買物支援方法によれば、購入対象の誤検出が生じにくい、という利点がある。
【0144】
第16の態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに、読取装置における無線通信時の受信信号強度を取得する処理と、商品が購入対象であるか否かを判定する処理と、を実行させるためのプログラムである。後者の処理では、商品ごとに、受信信号強度の時間経過に伴う変化に基づいて、商品が購入対象であるか否かを判定する。読取装置は、少なくとも1つの商品に付された電子タグと電波を媒体とする無線通信を行うことにより商品に関する商品情報を読み取る。
【0145】
この態様によれば、例えば、読取装置(2,2A,2B,2C)付近に陳列されている商品(91)等、購入対象でない商品(91)についての商品情報を読取装置(2)が読み取ることがあっても、これらの商品(91)を購入対象と区別可能になる。よって、上記プログラムによれば、購入対象の誤検出が生じにくい、という利点がある。
【0146】
上記態様に限らず、実施形態1、実施形態2及び実施形態3に係る買物支援システム(1,1A,1B,1C)の種々の構成(変形例を含む)は、買物支援方法又はプログラムにて具現化可能である。
【0147】
第2~14の態様に係る構成については、買物支援システム(1,1A,1B,1C)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0148】
1,1A,1B,1C 買物支援システム
2,2A,2B,2C 読取装置
3 精算システム
11 強度取得部
12 判定部
13 情報取得部
14 選択部
15 ゲート装置
16 報知装置
17 遮蔽物検知装置
18 トリガ検知装置
21 アンテナ
91 商品
93 電子タグ
211 アンテナ部材
212 移動機構