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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20230929BHJP
   H01L 25/065 20230101ALI20230929BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20230929BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
H01L25/08 C
H01L23/12 N
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020038817
(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公開番号】P2021141239
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】作井 康司
(72)【発明者】
【氏名】大場 隆之
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/168531(WO,A1)
【文献】特開2008-016720(JP,A)
【文献】特開2008-096312(JP,A)
【文献】特開2001-135785(JP,A)
【文献】国際公開第2005/043622(WO,A1)
【文献】特開2016-004835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/00-21/02
H01L21/04-21/16
H01L23/12-23/15
H01L25/00-25/07
H01L25/10-25/11
H01L25/16-25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1電極が配置された第1半導体チップを、第1半導体ウェハー上に第1ピッチで複数形成する第1半導体チップ形成工程と、
前記第1半導体チップの形成された前記第1半導体ウェハーを薄膜化するとともに、前記第1半導体ウェハーの平面積を増大させる薄膜工程と、
複数の第2電極が配置された第2半導体チップを、前記第1半導体ウェハーの平面積の増大に応じた前記第1ピッチよりも長い第2ピッチで、第2半導体ウェハー上に複数形成する第2半導体ウェハー形成工程と、
前記第1半導体ウェハーと前記第2半導体ウェハーとを積層して積層体とし、前記第1電極と前記第2電極とを電気的に接続する積層工程と、
前記積層体をチップ形状に切断するダイシング工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1半導体ウェハーが平面視円形であり、
前記第2ピッチが、下記〔式1〕で表される請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
P2={(d2-d1)/n}+P1 ・・・〔式1〕
(〔式1〕において、d1は薄膜工程前の第1半導体ウェハーの直径であり、d2は薄膜工程後の第1半導体ウェハーの直径である。nは、第1半導体ウェハーの直径上に並べられた第1半導体チップの数である。P1は第1ピッチであり、P2は第2ピッチである。)
【請求項3】
前記第1半導体ウェハーおよび前記第2半導体ウェハーの直径が300~450mmである請求項1または請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
薄膜化された前記第1半導体ウェハーを複数枚積層して積層ウェハーとし、前記積層ウェハーを厚み方向に貫通し、異なる層の第1半導体チップと信号伝達可能に接続する貫通電極を形成する積層ウェハー形成工程を有し、
前記積層工程において、前記貫通電極を有する前記積層ウェハーと前記第2半導体ウェハーとを積層して積層体とし、前記積層ウェハーの前記第2半導体ウェハーとの対向面に露出された前記貫通電極と、前記第2電極とを電気的に接続する請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
薄膜工程において、前記第1半導体ウェハーの厚みを3~10μmとする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2半導体ウェハーが、厚み10~725μmのものである請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、Si貫通電極(TSV(Through Silicon Via))を用いて、積層された半導体チップ同士を接続した半導体装置が注目されている。このような半導体装置としては、DRAM(Dynamic Random Access Memory)チップを複数個積層したHBM(High Bandwidth Memory)などがある。
【0003】
特許文献1には、接着剤を用いてシリコンウェハー同士を貼り合わせるシリコンウェハーの貼り合わせ方法が記載されている。
引用文献2には、第1の基板である半導体基板の一方の面に接合層を介して第2の基板を貼り合わせた構造を有する貼り合わせ基板が記載されている。
特許文献3には、半導体基板を保護する樹脂保護膜の形成に際し、各半導体基板を含む全体が反りにくい半導体装置の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-82585号公報
【文献】特開2009-164314号公報
【文献】特開2010-140948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体装置の製造方法として、ウェハーオンウェハー(WOW)プロセスを用いる方法がある。ウェハーオンウェハープロセスを用いる場合、複数の半導体チップを備える半導体ウェハーを、厚み方向に複数枚積層して積層体とする積層工程と、積層体をチップ形状に切断(ダイシング)するダイシング工程とを行う。ウェハーオンウェハープロセスを用いることにより、半導体ウェハーをチップ形状に切断してから積層する場合と比較して、効率よく半導体装置を製造できる。
【0006】
ウェハーオンウェハープロセスでは、積層される上下の半導体ウェハーに設けられている半導体チップの位置を合わせて、半導体ウェハーを積層する必要がある。
しかしながら、上下の半導体ウェハーに設けられている全ての半導体チップの位置を、完全に一致させて積層することは困難である。このため、積層体を切断して得られる複数の半導体装置の中には、積層された半導体チップ同士の電気的接続が不十分であるものが形成されやすい。このことから、ウェハーオンウェハープロセスを用いる半導体装置の製造方法では、十分な歩留まりが得られにくかった。特に、半導体チップを有する半導体ウェハーを薄膜化してから、他の半導体ウェハーと積層した場合、半導体チップ同士の電気的接続が不十分であるものが形成されやすく、問題となっていた。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、半導体チップが積層された半導体装置を、歩留まりよく製造できる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の手段を採用している。
【0009】
(1) 複数の第1電極が配置された第1半導体チップを、第1半導体ウェハー上に第1ピッチで複数形成する第1半導体チップ形成工程と、
前記第1半導体チップの形成された前記第1半導体ウェハーを薄膜化するとともに、前記第1半導体ウェハーの平面積を増大させる薄膜工程と、
複数の第2電極が配置された第2半導体チップを、前記第1半導体ウェハーの平面積の増大に応じた前記第1ピッチよりも長い第2ピッチで、第2半導体ウェハー上に複数形成する第2半導体ウェハー形成工程と、
前記第1半導体ウェハーと前記第2半導体ウェハーとを積層して積層体とし、前記第1電極と前記第2電極とを電気的に接続する積層工程と、
前記積層体をチップ形状に切断するダイシング工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0010】
(2) 前記第1半導体ウェハーが平面視円形であり、
前記第2ピッチが、下記〔式1〕で表される(1)に記載の半導体装置の製造方法。
P2={(d2-d1)/n}+P1 ・・・〔式1〕
(〔式1〕において、d1は薄膜工程前の第1半導体ウェハーの直径であり、d2は薄膜工程後の第1半導体ウェハーの直径である。nは、第1半導体ウェハーの直径上に並べられた第1半導体チップの数である。P1は第1ピッチであり、P2は第2ピッチである。)
【0011】
(3) 前記第1半導体ウェハーおよび前記第2半導体ウェハーの直径が300~450mmである(1)または(2)に記載の半導体装置の製造方法。
【0012】
(4) 薄膜化された前記第1半導体ウェハーを複数枚積層して積層ウェハーとし、前記積層ウェハーを厚み方向に貫通し、異なる層の第1半導体チップと信号伝達可能に接続する貫通電極を形成する積層ウェハー形成工程を有し、
前記積層工程において、前記貫通電極を有する前記積層ウェハーと前記第2半導体ウェハーとを積層して積層体とし、前記積層ウェハーの前記第2半導体ウェハーとの対向面に露出された前記貫通電極と、前記第2電極とを電気的に接続する(1)~(3)のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0013】
(5) 薄膜工程において、前記第1半導体ウェハーの厚みを3~10μmとする(1)~(4)のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
(6) 前記第2半導体ウェハーが、厚み10~725μmのものである(1)~(5)のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明の半導体装置の製造方法では、第1半導体チップ形成工程において、第1半導体チップを第1ピッチで第1半導体ウェハー上に複数形成し、第2半導体ウェハー形成工程において、第2半導体チップを、薄膜工程における第1半導体ウェハーの平面積の増大に応じた第1ピッチよりも長い第2ピッチで、第2半導体ウェハー上に複数形成する。このため、本発明の半導体装置の製造方法では、薄膜工程において第1半導体ウェハーの平面積が増大して第1ピッチが長くなっても、積層体における第1半導体チップの位置と第2半導体チップの位置とがずれにくい。したがって、積層された第1半導体チップと第2半導体チップとの電気的接続が確保されやすく、歩留まりよく半導体装置を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の半導体装置の製造方法を用いて製造される半導体装置の一例を説明するための概略斜視図である。
図2図1に示す半導体装置の製造工程を説明するための説明図であり、積層工程で得られた積層体を示した概略平面図である。
図3図2に示す積層体を形成している積層ウェハーと第2半導体ウェハーとの対向面における、貫通電極と第2電極との平面視での位置関係を示した説明図である。
図4】第2半導体チップを第1ピッチで形成した場合の、図2に示す積層体の周縁部に配置された半導体装置となる領域における、貫通電極と第2電極との平面視での位置関係の例を示した説明図である。
図5図2に示す積層体を形成している積層ウェハーと第2半導体ウェハーとの対向面における、貫通電極と第2電極との平面視での位置関係を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた。その結果、ウェハーオンウェハー(WOW)プロセスを用いて複数の半導体チップを積層した半導体装置を製造する場合、製造過程で半導体ウェハーが変形することが分かった。このため、複数の半導体ウェハーを積層して得られた積層体では、半導体チップ同士の電気的接続が不十分な半導体装置が形成されやすいことが分かった。
【0017】
また、製造過程における半導体ウェハーの変形は、半導体ウェハーを薄膜化した場合に特に顕著であり、半導体ウェハーの直径が長いほど、また半導体ウェハーの厚みを薄くするほど、相対的に半導体ウェハーの平面積が増大することが分かった。具体的には、例えば、半導体チップを有する直径300mmの半導体ウェハーの厚みを、薄膜化することにより725μmから5μmまで薄くすると、直径が3μm程度長くなる。
【0018】
そこで、本発明者らは、半導体チップを有する半導体ウェハーを薄膜化することにより半導体ウェハーの平面積が増大しても、積層された半導体ウェハーの半導体チップ同士の電気的接続を確保できるようにすべく、検討を重ねた。
その結果、薄膜化した半導体ウェハーと積層される半導体ウェハー上に形成する半導体チップのピッチを、薄膜化される半導体ウェハー上に半導体チップを配置したときのピッチよりも、薄膜化による半導体ウェハーの平面積の増大に応じた寸法分長くすればよいことを見出した。このことにより、半導体ウェハーの薄膜化によって半導体ウェハーの平面積が増大しても、積層された半導体ウェハーの半導体チップ同士の位置がずれにくくなる。その結果、半導体チップ同士の電気的接続が確保されやすくなり、歩留まりよく製造できる。
【0019】
以下、本発明の半導体装置の製造方法について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合がある。したがって、図面に示された各構成要素の寸法比率などは、実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法などは一例であって、本発明はそれらに限定されるものではない。本発明は、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施できる。
【0020】
[半導体装置]
図1は、本発明の半導体装置の製造方法を用いて製造される半導体装置の一例を説明するための概略斜視図である。
図1に示す半導体装置100は、積層チップ12と第2半導体チップ11とが積層されたものである。積層チップ12は、図1に示すように、複数枚(図1では4枚)の半導体チップ12aが積層されたものである。積層チップ12における半導体チップ12aの積層数(枚数)は、例えば、4~16枚とすることができ、半導体装置100の用途などに応じて適宜決定でき、特に限定されない。
【0021】
図1に示す半導体装置100において、積層チップ12と第2半導体チップ11との間、および積層された半導体チップ12aの間には、所定の厚みで粘着層(図1においては不図示)が設けられている。粘着層の材料としては、従来公知のものを用いることができる。
【0022】
図1に示すように、積層チップ12の各半導体チップ12aは、素子領域104を有している。素子領域104は、平面視略矩形の半導体チップ12aの第2半導体チップ11と反対側の面における対向する2つの辺に沿って、それぞれ帯状に設けられている。素子領域104には、それぞれトランジスタなどからなる複数の入出力(I/O)素子(不図示)が配置されている。このことにより、各半導体チップ12aは、DRAMなどの所定の機能が得られるようになっている。
【0023】
図1に示すように、平面視で2つの素子領域104の間には、第1電極領域13が設けられている。第1電極領域13には、複数枚の半導体チップ12aを厚み方向に貫通し、異なる層の半導体チップ12aと信号伝達可能に接続された貫通電極(TSV)103が配置されている。
【0024】
貫通電極103は、積層チップ12の第2半導体チップ11と反対側の面から第2半導体チップ11側の面まで、連続して形成されている。このことにより、積層チップ12の第2半導体チップ11との対向面側の表面には、貫通電極103の端部である第1電極が、所定のピッチで複数配置された第1電極領域13が設けられている。
積層チップ12の第2半導体チップ11との対向面側の表面に露出された貫通電極103(第1電極)は、図1に示すように、第2半導体チップ11の有する第2電極2と電気的に接続されている。
【0025】
貫通電極103に使用する材料としては、例えば、銅(Cu)、タングステン(W)、銅を主成分として約80%以上含む材料などの導電材料が挙げられる。貫通電極103に使用する材料としては、導電性が良好であるとともに、貫通電極103となる貫通孔内に容易に埋め込むことができることから、銅または銅を80%以上含む材料を用いることが好ましい。
【0026】
図1に示すように、貫通電極103は、所定のピッチで複数設けられている。貫通電極103のピッチは、例えば100~200nmとすることができる。
第1電極領域13に設けられている貫通電極103の本数は、例えば、1000~1000000本とすることができ、半導体装置100の機能などに応じて適宜決定でき、特に限定されるものではない。
【0027】
図1に示す複数の貫通電極103は、全て同じ略円柱状の形状を有している。また、図1に示す例では、複数の貫通電極103は、約60度で交わる二方向に沿って、等間隔に並んで配置された千鳥状のパターン形状を形成している。
貫通電極103のパターン形状は、図1に示す千鳥状に限定されるものではなく、例えば、後述するように略直交する二方向に沿って等間隔で並んで配置された矩形格子状であってもよいし、隙間なく並んだ正六角形の頂点の位置に配置したハニカム状であってもよいし、矩形枠状であってもよい。貫通電極103のパターン形状は、半導体装置100の機能などに応じて適宜決定でき、適宜決定される。
【0028】
第2半導体チップ11の積層チップ12との対向面側の表面には、所定のピッチで複数の第2電極2が配置された第2電極領域23が設けられている。
第2電極2に使用する材料としては、例えば、銅(Cu)、タングステン(W)、銅を主成分として約80%以上含む材料などの導電材料が挙げられる。
【0029】
図1に示すように、第2半導体チップ11の第2電極2は、所定のピッチで複数設けられている。第2電極2のピッチは、例えば100~200nmとすることができる。
複数の第2電極2は、全て同じ略円形状を有している。図1に示す例では、複数の第2電極2は、貫通電極103のパターン形状と同様に、約60度で交わる二方向に沿って、等間隔に並んで配置された千鳥状のパターン形状を形成している。
第2電極2のパターン形状は、図1に示す千鳥状に限定されるものではなく、例えば、後述するように略直交する二方向に沿って等間隔で並んで配置された矩形格子状であってもよいし、隙間なく並んだ正六角形の頂点の位置に配置したハニカム状であってもよいし、矩形枠状であってもよい。第2電極2のパターン形状は、貫通電極103のパターン形状に応じて適宜決定される。
【0030】
各第2電極2の貫通電極103(第1電極)との対向面の面積は、図1に示すように、各貫通電極103(第1電極)の第2電極2との対向面の面積よりも広い(言い換えると図1に示す第2電極2の直径は、図1に示す貫通電極103の直径よりも長い)ものであってもよいし、貫通電極103の第2電極2との対向面の面積と同じであってもよいし、貫通電極103の第2電極2との対向面の面積よりも狭いものであってもよい。
【0031】
本実施形態の半導体装置の製造方法を用いて製造される半導体装置は、図1に示す半導体装置100に限定されるものではない。例えば、本実施形態の半導体装置の製造方法を用いて製造される半導体装置は、図1に示す半導体装置100における積層チップ12に代えて、1枚の半導体チップ12aが第2半導体チップ11と積層されたものであってもよい。
【0032】
[半導体装置の製造方法]
次に、本発明の半導体装置の製造方法の一例として、図1に示す半導体装置100を製造する方法を例に挙げて説明する。
本実施形態の半導体装置の製造方法は、第1半導体チップ形成工程と、薄膜工程と、積層ウェハー形成工程と、第2半導体ウェハー形成工程と、積層工程と、ダイシング工程とを備える。
【0033】
(第1半導体チップ形成工程)
第1半導体チップ形成工程では、第1半導体チップ12aを、シリコンなどで形成された平面視円形の第1半導体ウェハー102a上に、第1ピッチP1で複数形成する。具体的には、第1半導体ウェハー102a上における半導体チップ12aの素子領域104に、公知の方法により、それぞれトランジスタなどからなる複数の入出力(I/O)素子を形成する。また、第1半導体ウェハー102a上における半導体チップ12aの第1電極領域13に、公知の方法により、所定のピッチで複数の第1電極を配置する。第1電極は、第1半導体ウェハー102aが積層されることによって、異なる第1半導体ウェハー102aの第1半導体チップ12aと信号伝達可能に接続する貫通電極103とされるものである。
本実施形態では、第1半導体チップ形成工程を複数回繰り返し行うことにより、第1半導体チップ12aの形成された第1半導体ウェハー102aを、複数枚(図1では4枚)形成する。
【0034】
(薄膜工程)
薄膜工程では、第1半導体チップ12aの形成された第1半導体ウェハー102aを薄膜化するとともに、第1半導体ウェハー102aの平面積を増大させる。このことにより、円形の第1半導体ウェハー102aの直径が長くなる。
【0035】
薄膜工程においては、第1半導体ウェハー102aの厚みを3~10μmとすることが好ましく、3~5μmとすることがより好ましい。薄膜化した第1半導体ウェハー102aの厚みが3μm以上であると、薄膜化することによる第1半導体ウェハー102aの変形が抑制される。したがって、積層工程において第2半導体チップ11の位置と積層チップ12の位置とがずれにくく、第2半導体チップ11と積層チップ12との電気的接続が確保されやすくなる。その結果、より一層歩留まりよく製造できる。また、薄膜工程において第1半導体ウェハー102aの厚みを10μm以下にすると、厚みの薄い半導体チップ12aを備える半導体装置100が得られるため、半導体装置100のさらなる小型化および高集積化に対応できる。
本実施形態では、複数枚(図1では4枚)の第1半導体チップ12aの形成された第1半導体ウェハー102aに対して、それぞれ薄膜工程を行う。
【0036】
(積層ウェハー形成工程)
積層ウェハー形成工程では、公知の方法により、薄膜化された第1半導体ウェハー102aを複数枚(図1では4枚)積層して積層ウェハー102とする。このことにより、第1半導体ウェハー102aの第1半導体チップ12aに配置された第1電極が、異なる第1半導体ウェハー102aの第1半導体チップ12aに配置された第1電極と電気的に接続される。すなわち、各第1半導体ウェハー102aにそれぞれ設けられた第1電極が、積層ウェハー102の厚み方向に接続されることにより、積層ウェハー102を厚み方向に貫通し、異なる層の第1半導体チップ12aと信号伝達可能に接続する貫通電極103(第1電極)が形成される。
【0037】
(第2半導体ウェハー形成工程)
第2半導体ウェハー形成工程においては、複数の第2電極2が配置された第2半導体チップ11を、公知の方法により、シリコンなどで形成された平面視円形の第2半導体ウェハー上に複数形成する。
本実施形態では、第1半導体ウェハー102aの平面積の増大に応じた第1ピッチP1よりも長い第2ピッチP2で、第2半導体チップ11を第2半導体ウェハー上に形成する。
【0038】
第2ピッチP2は、下記〔式1〕で表される長さであることが好ましい。第2ピッチP2が〔式1〕で表される長さである場合、積層工程において第2半導体チップ11の位置と積層チップ12の位置とがずれにくく、より一層、第2半導体チップ11と積層チップ12との電気的接続が確保されやすくなる。その結果、より一層歩留まりよく製造できる。
【0039】
P2={(d2-d1)/n}+P1 ・・・〔式1〕
(〔式1〕において、d1は薄膜工程前の第1半導体ウェハー102aの直径であり、d2は薄膜工程後の第1半導体ウェハー102aの直径である。nは、第1半導体ウェハー102aの直径上に並べられた第1半導体チップ12aの数である。P1は第1ピッチであり、P2は第2ピッチである。)
【0040】
〔式1〕における薄膜工程後の第1半導体ウェハー102aの直径d2としては、薄膜工程を行う毎に第1半導体ウェハー102aの直径を実際に測定して得た値を用いてもよいし、実際の薄膜工程と同様にして半導体ウェハーを薄膜化する予備実験を予め行って決定した値を用いてもよい。薄膜工程後の第1半導体ウェハー102aの直径d2の値として、薄膜工程を行う毎に測定して得た値を用いる場合、予め予備実験を行って決定した値を用いる場合と比較して、積層工程において第2半導体チップ11の位置と積層チップ12の位置とがずれにくくなる。また、薄膜工程後の第1半導体ウェハー102aの直径d2として、予め予備実験を行って決定した値を用いることにより、薄膜工程を行う毎に測定して得た値を用いる場合と比較して、工程を簡略化でき、半導体装置100を効率よく製造できる。
【0041】
第2半導体ウェハー101は、厚みが10~725μmのものであることが好ましく、100~500μmのものであることがより好ましい。第2半導体ウェハー101の厚みが10μm以上であると、半導体装置100の製造過程における第2半導体ウェハー101の変形が抑制され、より一層歩留まりよく製造できる。また、第2半導体ウェハー101の厚みが725μm以下であると、厚みの薄い第2半導体チップ11を備える半導体装置100が得られるため、半導体装置100のさらなる小型化および高集積化に対応できる。
【0042】
第2半導体ウェハー形成工程を行うことにより、第2半導体チップ11の形成された第2半導体ウェハー101は、第2半導体ウェハー101の薄膜化を行うことなく、積層ウェハー102と積層することが好ましい。このことにより、第2半導体チップ11の形成された第2半導体ウェハー101を薄膜化することによる変形が生じることがなく、第2半導体ウェハー101の変形に伴う第2半導体チップ11のピッチの変化を抑制できる。
【0043】
本実施形態においては、第1半導体ウェハー102aを複数枚(図1では4枚)積層した積層ウェハー102の直径と第2半導体ウェハー101の直径とは同じであることが好ましい。また、積層ウェハー102および第2半導体ウェハー101は、直径が300~450mmであることが好ましい。積層ウェハー102および第2半導体ウェハー101の直径が450mm以下であると、製造過程での積層ウェハー102および第2半導体ウェハー101の変形が抑制される。このため、積層工程において第2半導体チップ11の位置と積層チップ12の位置とがずれにくくなり、第2半導体チップ11と積層チップ12との電気的接続が確保されやすくなる。その結果、より一層歩留まりよく製造できる。また、直径が300mm以上であると、一回の製造工程で、より多くの半導体装置100を効率よく製造できる。
【0044】
(積層工程)
本実施形態では、積層工程において、積層ウェハー102と第2半導体ウェハー101とを積層して、図2に示す積層体3とする。このことにより、積層ウェハー102の第2半導体ウェハー101との対向面に露出された貫通電極103(第1電極)と、第2半導体ウェハー101の第2電極2とを電気的に接続する。
本実施形態では、積層ウェハー102と第2半導体ウェハー101との位置合わせを、積層体3の中心部aで行う。
図2は、図1に示す半導体装置の製造工程を説明するための説明図であり、積層工程で得られた積層体を示した概略平面図である。図2において、符号3は、積層体であり、符号10は、後述するダイシング工程において切断されることにより、半導体装置100となる各領域を示している。図2に示す各領域10は、図1に示す半導体装置100に対応する平面視略矩形の形状を有している。
【0045】
(ダイシング工程)
次に、図2に示す積層体3をチップ形状(図2における半導体装置100となる各領域10)に切断するダイシング工程を行う。
以上の工程により、図1に示す半導体装置100が得られる。
【0046】
本実施形態の半導体装置100の製造方法では、第1半導体チップ形成工程において、第1半導体チップ12aを第1ピッチP1で第1半導体ウェハー102a上に複数形成し、第2半導体ウェハー形成工程において、第2半導体チップ11を、薄膜工程における第1半導体ウェハー102aの平面積の増大に応じた第1ピッチP1よりも長い第2ピッチP2で、第2半導体ウェハー101上に複数形成する。
【0047】
このため、本実施形態の製造方法では、積層体3における第2半導体チップ11のピッチが、薄膜化された第1半導体ウェハー102aの有する積層チップ12(第1半導体チップ12a)のピッチと近似した長さとなる。その結果、薄膜工程において第1半導体ウェハー102aの平面積が増大して第1ピッチP1が長くなっても、積層体3における積層チップ12の位置と第2半導体チップ11の位置とがずれにくい。したがって、積層された積層チップ12と第2半導体チップ11との電気的接続が確保されやすく、歩留まりよく半導体装置100を製造できる。
【0048】
次に、本実施形態の半導体装置100を製造する際に、第1半導体ウェハー102aに配置された第1半導体チップ12aの第1ピッチP1が長くなっても、積層体3における積層チップ12(第1半導体チップ12a)の位置と、第2半導体チップ11の位置とがずれにくいことを、図面を用いて詳細に説明する。
【0049】
図3は、図2に示す積層体3を形成している積層ウェハー102と第2半導体ウェハー101との対向面における、貫通電極103と第2電極2との平面視での位置関係を示した説明図である。
ここでは、図3に示すように、貫通電極103および第2電極2のパターン形状が、矩形枠状である場合を例に挙げて説明する。なお、貫通電極103および第2電極2のパターン形状は、矩形枠状に限定されない。
【0050】
図3には、図2に示す積層体3の中心部aおよび周縁部bに配置された半導体装置100となる領域10における、積層チップ12に配置された貫通電極103と、第2半導体チップ11に配置された第2電極2との平面視での位置関係を示す。
図3に示す例では、図2に示す積層体3の中心部aにおいても周縁部bにおいても、複数の貫通電極103と第2電極2とが、それぞれ平面視で重なり合っており、各貫通電極103が第2電極2が電気的に接続されている。これは、積層体3における第2半導体チップ11のピッチが、薄膜化された第1半導体ウェハー102aの有する積層チップ12(第1半導体チップ12a)のピッチと近似した長さとなっているためである。
【0051】
次に、図3と同様の矩形枠状のパターン形状を有し、第2半導体チップ11を、第1半導体ウェハー102a上に複数形成した第1半導体チップ12aと同じく、第1ピッチP1で形成した場合について説明する。
【0052】
通常、複数の半導体ウェハーを積層して積層体を形成する場合には、積層体の中心部で、積層する半導体ウェハー同士の位置合わせを行う。このため、第2半導体チップ11を第1ピッチP1で形成した場合においても、図2に示す積層体3の中心部aに配置された半導体装置100となる領域10では、積層チップ12(第1半導体チップ12a)の位置と第2半導体チップ11の位置とがずれにくい。したがって、第2半導体チップ11を第1ピッチP1で形成した場合においても、積層体3の中心部aでは、図3に示す例と同様に、複数の貫通電極103は第2電極2とそれぞれ電気的に接続される。
【0053】
しかし、第2半導体チップ11を第1ピッチP1で形成した場合、図2に示す積層体3の周縁部bに配置された半導体装置100となる領域10では、貫通電極103と第2電極2とが電気的に接続されない場合がある。
図4は、第2半導体チップ11を第1ピッチP1で形成した場合の、図2に示す積層体3の周縁部bに配置された半導体装置100となる領域10における、貫通電極103と第2電極2との平面視での位置関係の例を示した説明図である。
【0054】
図4に示す例では、貫通電極103と第2電極2との平面視での位置が、図4における左右方向にずれている。より詳細には、複数の貫通電極103のうち、図4における右端部および左端上下方向中央部に配置された貫通電極103aは、平面視で第2電極2と重なっておらず、第2電極2と電気的に接続されてない。また、複数の第2電極2aのうち、図4における左端部および右端上下方向中央部に配置された第2電極2aは、平面視で貫通電極103と重なっておらず、貫通電極103と電気的に接続されてない。
【0055】
このように、第2半導体チップ11を第1ピッチP1で形成した場合、薄膜工程において第1半導体ウェハー102aの平面積が増大して第1ピッチP1が長くなると、積層体3の中心部aから遠い位置になるほど、積層チップ12と第2半導体チップ11との位置ずれが大きくなる。したがって、第2半導体チップ11を第1ピッチP1で形成した場合、積層体3の中心部aから遠い位置になるほど、貫通電極103と第2電極2との電気的接続が困難となる。このため、第2半導体チップ11を第1ピッチP1で形成した場合、歩留まりよく半導体装置を製造することは難しい。
【0056】
次に、第2半導体チップ11を、薄膜工程における第1半導体ウェハー102aの平面積の増大に応じた第1ピッチP1よりも長い第2ピッチP2で形成した場合であって、貫通電極103および第2電極2が他のパターン形状である場合について、図面を用いて説明する。
図5は、図2に示す積層体3を形成している積層ウェハー102と第2半導体ウェハー101との対向面における、貫通電極103と第2電極2との平面視での位置関係を示した説明図である。図5に示す例では、貫通電極103および第2電極2のパターン形状が、略直交する二方向に沿って等間隔で並んで配置された矩形格子状とされている。
【0057】
図5には、図2に示す積層体3の中心部aおよび周縁部bに配置された半導体装置100となる領域10における、積層チップ12に配置された貫通電極103と、第2半導体チップ11に配置された第2電極2との平面視での位置関係を示す。
図5に示す例では、図3に示す例と同様に、図2に示す積層体3の中心部aにおいても周縁部bにおいても、複数の貫通電極103と第2電極2とが、それぞれ平面視で重なり合っており、各貫通電極103と第2電極2とが電気的に接続されている。これは、図5に示す例では、図3に示す例と同様に、積層体3における第2半導体チップ11のピッチが、薄膜化された第1半導体ウェハー102aの有する積層チップ12(第1半導体チップ12a)のピッチと近似した長さとなっているためである。
【0058】
(他の例)
本実施形態の製造方法では、図1に示す半導体装置100を製造する方法として、積層ウェハー形成工程を備え、積層工程において、貫通電極103を有する積層ウェハー102と第2半導体ウェハー101とを積層して積層体3とし、積層ウェハー102の第2半導体ウェハー101との対向面に露出された貫通電極103と、第2半導体ウェハー101の第2電極2とを電気的に接続する場合を例に挙げて説明した。
【0059】
しかし、本発明の製造方法は、上記の例に限定されない。例えば、本実施形態の製造方法を用いて、積層チップ12に代えて、1枚の半導体チップ12aが備えられている半導体装置を製造する場合には、積層ウェハー形成工程は行わなくてもよい。この場合、積層工程において、第1半導体ウェハー102aと第2半導体ウェハー101とを積層して積層体とし、第1半導体ウェハーの102a第1電極と、第2半導体ウェハー101の第2電極2とを電気的に接続する。
【0060】
また、上述した実施形態では、対向配置された半導体チップ間における平面視で貫通電極の設けられていない領域に、所定の厚みを有する粘着層が設けられている場合を例に挙げて説明したが、対向する半導体チップ間に粘着層が設けられておらず、半導体チップ同士が直接隙間なく密着して配置されていてもよい。この場合、対向する半導体チップ間の距離をより一層短くできる。
【符号の説明】
【0061】
2・・・第2電極
3・・・積層体
10・・・半導体装置となる領域
11・・・第2半導体チップ
12・・・積層チップ
12a・・・第1半導体チップ
13・・・第1電極領域
23・・・第2電極領域
100・・・半導体装置
101・・・第2半導体ウェハー
102・・・積層ウェハー
102a・・・第1半導体ウェハー
103、103a・・・貫通電極(第1電極)
104・・・素子領域
a・・・中心部
b・・・周縁部
図1
図2
図3
図4
図5