(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】増幅回路
(51)【国際特許分類】
H03F 3/387 20060101AFI20230929BHJP
H03F 3/45 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
H03F3/387
H03F3/45 210
H03F3/45 220
(21)【出願番号】P 2020516155
(86)(22)【出願日】2019-04-02
(86)【国際出願番号】 JP2019014628
(87)【国際公開番号】W WO2019208122
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2018086557
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】徳永 祐介
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0326193(US,A1)
【文献】特表平11-510672(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0174479(US,A1)
【文献】特開2012-065168(JP,A)
【文献】特開2014-225742(JP,A)
【文献】再公表特許第2015/037532(JP,A1)
【文献】米国特許第04138649(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/00-3/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョッパ回路を含み、第1入力端子および第2入力端子に入力された第1の差動信号を増幅して第2の差動信号を出力する第1増幅回路と、
前記第2の差動信号を増幅してシングルエンド信号を出力する第2増幅回路と、
を備え、
前記第2増幅回路は、
第1トランジスタおよび第2トランジスタを含み、前記第1トランジスタのゲートおよび前記第2トランジスタのゲートに前記第2の差動信号が入力されるように前記第1増幅回路と接続され、前記第2の差動信号を前記第1トランジスタに接続された第1ノードを流れる電流および前記第2トランジスタに接続された第2ノードを流れる電流に変換する第1回路と、
第1ノードの電圧と前記第2ノードの電圧との差が小さくなるように、第2ノードの電圧を負帰還させる第2回路と、
を備え、
前記第2回路は、
前記第1ノードおよび前記第2ノードのそれぞれに電気的に接続される第3ノードと、
前記第1ノード、前記第2ノードおよび前記第3ノードに電気的に接続され、前記第1ノードと前記第2ノードとの電位差を小さくするように前記第2ノードの電圧を前記第3ノードに負帰還する負帰還アンプと、
前記第1ノード、前記第2ノードおよび前記第3ノードに電気的に接続され、前記第3ノードから前記第2ノードに流れる電流を複製して、前記第3ノードから前記第1ノードに電流を流すカレントミラーと、
を含み、
前記第2増幅回路は、前記第1ノードから前記シングルエンド信号を出力する、増幅回路。
【請求項2】
前記第1増幅回路は、
前記第1入力端子と、前記第2入力端子と、第1端子と、第2端子と、を備え、前記第1入力端子の前記第1端子への電気的な接続および前記第2入力端子の前記第2端子への電気的な接続と、前記第2入力端子の前記第1端子への電気的な接続および前記第1入力端子の前記第2端子への電気的な接続と、を切り替える第1チョッパ回路と、
前記第1端子および前記第2端子間の差動信号を第3端子および第4端子間の差動信号に増幅する増幅部と、
前記第3端子と、前記第4端子と、前記第2トランジスタのゲートに接続された第1出力端子と、前記第1トランジスタのゲートに接続された第2出力端子と、を備え、前記第3端子の前記第1出力端子への電気的な接続および前記第4端子の前記第2出力端子への電気的な接続と、前記第4端子の前記第1出力端子への電気的な接続および前記第3端子の前記第2出力端子への電気的な接続と、を切り替える第2チョッパ回路と、
を備える、請求項1に記載の増幅回路。
【請求項3】
チョッパ回路を含み、第1入力端子および第2入力端子に入力された第1の差動信号を増幅して第2の差動信号を出力する第1増幅回路と、
前記第2の差動信号を増幅してシングルエンド信号を出力する第2増幅回路と、
を備え、
前記第2増幅回路は、
第1トランジスタおよび第2トランジスタを含み、前記第1トランジスタのゲートおよび前記第2トランジスタのゲートに前記第2の差動信号が入力されるように前記第1増幅回路と接続され、前記第2の差動信号を前記第1トランジスタに接続された第1ノードを流れる電流および前記第2トランジスタに接続された第2ノードを流れる電流に変換する第1回路と、
第1ノードの電圧と前記第2ノードの電圧との差が小さくなるように、第2ノードの電圧を負帰還させる第2回路と、
を備え、
前記第2回路は、
前記第1ノード、前記第2ノードおよび第3ノードに電気的に接続され、前記第3ノードから前記第2ノードに流れる電流を複製して、前記第3ノードから前記第1ノードに電流を流すカレントミラーと、
前記第1ノード、前記第2ノードおよび前記第3ノードに電気的に接続され、前記第1ノードと前記第2ノードとの電位差を小さくするように前記第2ノードの電圧を前記第3ノードに負帰還する負帰還アンプとを含み、
前記第2増幅回路は、前記第1ノードから前記シングルエンド信号を出力する、増幅回路。
【請求項4】
前記第1ノードに電気的に接続されるバッファ回路と、
前記バッファ回路の出力端子を、前記第1増幅回路の前記第1入力端子または前記第2入力端子に電気的に接続するフィードバック経路と、
を備える、請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の増幅回路。
【請求項5】
前記バッファ回路の前記出力端子に一端が電気的に接続される抵抗素子を備え、
前記フィードバック経路は、前記抵抗素子の他端を前記第1増幅回路の前記第1入力端子または前記第2入力端子に電気的に接続する、請求項
4に記載の増幅回路。
【請求項6】
前記バッファ回路の前記出力端子にソースおよびドレインの一方が電気的に接続される第3トランジスタを備え、
前記フィードバック経路は、前記第3トランジスタのソースおよびドレインの他方を前記第1増幅回路の前記第1入力端子または前記第2入力端子に電気的に接続する、請求項
4に記載の増幅回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入力電圧を増幅して出力する増幅回路が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第4138649号明細書
【文献】国際公開第2012/053133号
【発明の概要】
【0004】
ノイズが低減されたバッファ回路を実現し得る増幅回路が求められている。
【0005】
本開示の一態様に係る増幅回路は、チョッパ回路を含み、第1入力端子および第2入力端子に入力された第1の差動信号を増幅して第2の差動信号を出力する第1増幅回路と、前記第2の差動信号を増幅してシングルエンド信号を出力する第2増幅回路とを備え、前記第2増幅回路は、第1のトランジスタおよび第2のトランジスタを含み、前記第1のトランジスタのゲートおよび前記第2トランジスタのゲートに前記第2の差動信号が入力されるように前記第1増幅回路と接続され、前記第2の差動信号を前記第1のトランジスタに接続された第1ノードを流れる電流および前記第2のトランジスタに接続された第2ノードを流れる電流に変換する第1回路と、第1ノードの電圧と前記第2ノードの電圧との差が小さくなるように、第1ノードの電圧を負帰還させる第2回路とを備え、前記第2増幅回路は、前記第2ノードから前記シングルエンド信号を出力する。
【0006】
本開示の一態様によれば、ノイズが低減されたバッファ回路を実現し得る増幅回路を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】従来の増幅回路と等価な等価回路の構成図である。
【
図4】実施の形態1に係る増幅回路の構成図である。
【
図5】実施の形態1に係る第1チョッパ信号と第2チョッパ信号とのタイミングチャートである。
【
図6】実施の形態1に係るバッファ回路の構成図である。
【
図7】実施の形態1において例示される従来のバッファ回路の構成図である。
【
図8】実施の形態1に係るバッファ回路の第1のノイズ伝達関数モデルを示す模式図である。
【
図9】V
n1に対するV
o1の周波数特性を示す周波数特性図である。
【
図10】実施の形態1に係るバッファ回路の第2のノイズ伝達関数モデルを示す模式図である。
【
図11】V
n2に対するV
o2の周波数特性を示す周波数特性図である。
【
図12】実施の形態1に係るバッファ回路のノイズスペクトルと、従来のバッファ回路のノイズスペクトルとを示すノイズスペクトル図である。
【
図13】実施の形態2に係るバッファ回路の構成図である。
【
図14】実施の形態3に係るバッファ回路の構成図である。
【
図15】実施の形態4に係るバッファ回路の構成図である。
【
図16】実施の形態5に係るバッファ回路の構成図である。
【
図17】実施の形態6に係る撮像装置の構成図である。
【
図18】実施の形態6に係るカメラシステムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の一態様を得るに至った知見)
低ノイズを実現する技術として、チョッパ変調を用いたノイズ変調技術が知られている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、チョッパ変調技術を利用した従来の増幅回路では、高入力インピーダンスを実現するのが難しいという課題がある。
【0009】
図1は、チョッパ変調技術を利用した従来の増幅回路100Aの構成図である。
図2は、従来の増幅回路100Aと等価な等価回路100Bの構成図である。
【0010】
図1に示されるように、従来の増幅回路100Aは、入力端子101と、入力端子801と、端子117と、電源120と、ノード111と、ノード112と、ノード802と、ノード803と、ノード804と、第1極性(例えばNチャンネル極性)のトランジスタ107と、第1極性のトランジスタ108と、第2極性(例えばPチャネル極性)のトランジスタ113と、第2極性のトランジスタ114と、電流源106と、容量118と、スイッチ102~スイッチ105、スイッチ109、スイッチ110、スイッチ115、スイッチ116とを備える。
【0011】
トランジスタ107のソースと、トランジスタ108のソースとは、電流源106に接続される。トランジスタ113のソースと、トランジスタ114のソースとは、電源120に接続される。トランジスタ107のドレインと、トランジスタ113のドレインとは、ノード111に接続される。トランジスタ108のドレインと、トランジスタ114のドレインとは、ノード112に接続される。トランジスタ107のゲートと、トランジスタ108のゲートとは、それぞれノード803と、ノード804とに接続される。トランジスタ113のゲートと、トランジスタ114のゲートとは、ノード802に接続される。スイッチ102は、入力端子101と、ノード803と間に配置される。スイッチ103は、入力端子101と、ノード804との間に配置される。スイッチ104は、入力端子801とノード803との間に配置される。スイッチ105は、入力端子801とノード804との間に配置される。スイッチ109は、ノード802と、ノード111との間に配置される。スイッチ110は、ノード802と、ノード112との間に配置される。スイッチ115は、端子117と、ノード111との間に配置される。スイッチ116は、端子117と、ノード112との間に配置される。
【0012】
スイッチ102~スイッチ105、スイッチ109、スイッチ110、スイッチ115、スイッチ116は、スイッチ102、スイッチ105、スイッチ109、スイッチ116がオン(つまり、導通状態)のとき、スイッチ103、スイッチ104、スイッチ110、スイッチ115がオフ(つまり、非導通状態)となり、逆に、スイッチ103、スイッチ104、スイッチ110、スイッチ115がオンのとき、スイッチ102、スイッチ105、スイッチ109、スイッチ116がオフとなるように、相補的に動作する。
【0013】
これらのスイッチは、所定の周波数f[Hz]でオンオフの切り替え動作を繰り返す。このとき、各スイッチに接続された寄生容量をC[F]とすると、各スイッチは抵抗値R=f/C[Ω]となるスイッチトキャパシタ抵抗とみなすことができる。このため、増幅回路100Aを、スイッチ102~スイッチ105、スイッチ109、スイッチ110、スイッチ115、スイッチ116が、それぞれ、等価抵抗121~等価抵抗128に置き換えられた等価回路100Bとみなすことができる。
【0014】
ここで、
図2に示される等価回路100Bを用いて、入力端子101に接続された素子が容量118であるときに、回路全体がどのような平衡点に収束するかを考える。第2極性のトランジスタ113とトランジスタ114とは、ゲート端子が接続されている。また、トランジスタ113のドレイン端子とトランジスタ114のドレイン端子は、等価抵抗125および等価抵抗126を介して接続されている。トランジスタ113のゲート端子およびトランジスタ114のゲート端子の接続箇所は、等価抵抗125および等価抵抗126の接続箇所に接続されている。このため、トランジスタ113のゲート端子とトランジスタ114のゲート端子との電位は、電流源106に流れる電流と、トランジスタ113、トランジスタ114におけるダイオード接続の電位と、で定められるVdioに収束する。ここで、トランジスタ113のゲート端子とトランジスタ114のゲート端子とは、等価抵抗125を介して端子111に接続されている。また、トランジスタ113のゲート端子とトランジスタ114のゲート端子とは、等価抵抗126を介して端子112に接続されている。また、トランジスタ113のゲート端子とトランジスタ114のゲート端子とは、等価抵抗125および等価抵抗127を介して、または、等価抵抗126および等価抵抗128を介して端子117に接続されている。また、トランジスタ113のゲート端子とトランジスタ114のゲート端子とは、等価抵抗121~等価抵抗128を介して入力端子101に接続されている。したがって、これらのすべての端子の電位は、Vdioに収束する。
【0015】
すなわち、入力端子101の電位は、初期値がどうであれVdioに収束してしまう。この場合、増幅回路100Aが入力電位をサンプル/ホールドして、入力電位に対応する電位を出力するのが困難になる。
【0016】
入力端子101の電位がVdioに収束するのは、トランジスタ113のゲート端子とトランジスタ114のゲート端子との電位がVdioに収束するためである。そこで、収束電位をVdioではなく、出力電位Voutとすることが要求される。増幅回路100Aをバッファ回路として利用する場合には、出力電位Voutは入力電位Vin+となる。
【0017】
【0018】
図3に示されるように、増幅回路100Cは、増幅回路100Aに対して、オペアンプ201、スイッチ202、容量203、第2極性のトランジスタ204、抵抗205からなる負帰還アンプ200を付加した回路構成となっている。増幅回路100Cは、スイッチ202がオンのときに、負帰還アンプ200によって端子111と端子112との電位が等しくなるようフィードバックがかかる。このとき、入力端子101が電圧源206に接続されていると、回路全体は電圧源206で決まる平衡点に収束する。このことにより、VdioはVout(ひいてはVin+)と等しくなる。その後、スイッチ202をオフすることで、増幅回路100Cの平衡状態は保存される。したがって、電圧源206の電位が容量118によってホールドされた後もこの平衡状態を維持することができる。
【0019】
しかしながら、増幅回路100Cではノイズを十分に低減するのが難しい。増幅回路100Cにおいて、負帰還アンプ200の付加により、トランジスタ113、トランジスタ114、スイッチ109、スイッチ110で構成される回路が対称構造で無いためである。チョッパ変調技術において、回路の対称性の欠如によるノイズ変調性能の低下が知られている。
【0020】
そこで、発明者は、対称な回路構成を有し、チョッパ変調を行うチョッパノイズ変調部と、出力電位を平衡点に収束させる平衡点収束部とを分けて備える構成の増幅回路について検討した。以下の説明において、第1増幅回路がチョッパノイズ変調部に対応し、第2増幅回路が平衡点収束部に対応する。
【0021】
発明者は、このような検討を重ねた結果、下記本開示の一態様に係る増幅回路に想到した。
【0022】
本開示の一態様に係る増幅回路の概要は以下のとおりである。
【0023】
[項目1]
チョッパ回路を含み、第1入力端子および第2入力端子に入力された第1の差動信号を増幅して第2の差動信号を出力する第1増幅回路と、
前記第2の差動信号を増幅してシングルエンド信号を出力する第2増幅回路と、
を備え、
前記第2増幅回路は、
第1トランジスタおよび第2トランジスタを含み、前記第1トランジスタのゲートおよび前記第2トランジスタのゲートに前記第2の差動信号が入力されるように前記第1増幅回路と接続され、前記第2の差動信号を前記第1のトランジスタに接続された第1ノードを流れる電流および前記第2トランジスタに接続された第2ノードを流れる電流に変換する第1回路と、
第1ノードの電圧と前記第2ノードの電圧との差が小さくなるように、第2ノードの電圧を負帰還させる第2回路と、
を備え、
前記第2増幅回路は、前記第1ノードから前記シングルエンド信号を出力する、増幅回路。
【0024】
[項目2]
前記第1増幅回路は、
前記第1入力端子と、前記第2入力端子と、第1端子と、第2端子と、を備え、前記第1入力端子の前記第1端子への電気的な接続および前記第2入力端子の前記第2端子への電気的な接続と、前記第2入力端子の前記第1端子への電気的な接続および前記第1入力端子の前記第2端子への電気的な接続と、を切り替える第1チョッパ回路と、
前記第1端子および前記第2端子間の差動信号を第3端子および第4端子間の差動信号に増幅する増幅部と、
前記第3端子と、前記第4端子と、前記第1トランジスタのゲートに接続された第1出力端子と、前記第1トランジスタのゲートに接続された第2出力端子と、を備え、前記第3端子の前記第1出力端子への電気的な接続および前記第4端子の前記第2出力端子への電気的な接続と、前記第4端子の前記第1出力端子への電気的な接続および前記第3端子の前記第2出力端子への電気的な接続と、を切り替える第2チョッパ回路と、
を備える、項目1に記載の増幅回路。
【0025】
[項目3]
前記第2回路は、前記第1ノード、前記第2ノードおよび第3ノードに電気的に接続され、前記第3ノードから前記2ノードに流れる電流を複製して、前記第3ノードから前記第1ノードに電流を流すカレントミラーを含む、項目1に記載の増幅回路。
【0026】
[項目4]
前記第2回路は、前記第1ノード、前記第2ノードおよび前記第3ノードに電気的に接続され、前記第1ノードと前記第2ノードとの電位差を小さくするように前記第2ノードの電圧を前記第3ノードに負帰還する負帰還アンプを含む、項目3に記載の増幅回路。
【0027】
[項目5]
前記第1ノードに電気的に接続されるバッファ回路と、
前記バッファ回路の出力端子を、前記第1増幅回路の前記第1入力端子または前記第2入力端子に電気的に接続するフィードバック経路と、
を備える、項目1から項目4のいずれか1項に記載の増幅回路。
【0028】
[項目6]
前記バッファ回路の前記出力端子に一端が電気的に接続される抵抗素子を備え、
前記フィードバック経路は、前記抵抗素子の他端を前記第1増幅回路の前記第1入力端子または前記第2入力端子に電気的に接続する、項目5に記載の増幅回路。
【0029】
[項目7]
前記バッファ回路の前記出力端子にソースおよびドレインの一方が電気的に接続される第3トランジスタを備え、
前記フィードバック経路は、前記第3トランジスタのソースおよびドレインの他方を前記第1増幅回路の前記第1入力端子または前記第2入力端子に電気的に接続する、項目5に記載の増幅回路。
【0030】
また、本開示の一態様に係る増幅回路は、第1入力端子と、第2入力端子と、第1端子と、第2端子と、を備え、前記第1入力端子の前記第1端子への電気的な接続および前記第2入力端子の前記第2端子への電気的な接続と、前記第2入力端子の前記第1端子への電気的な接続および前記第1入力端子の前記第2端子への電気的な接続と、を切り替える第1切り換え回路と、第3端子と、第4端子と、第1出力端子と、第2出力端子と、を備え、前記第3端子の前記第1出力端子への電気的な接続および前記第4端子の前記第2出力端子への電気的な接続と、前記第4端子の前記第1出力端子への電気的な接続および前記第3端子の前記第2出力端子への電気的な接続と、を切り替える第2切り換え回路と、を備える第1増幅回路と、第3出力端子と、第4出力端子と、前記第1出力端子に電気的に接続された第3入力端子と、前記第2出力端子に電気的に接続された第4入力端子と、を備える差動対部と、前記第3出力端子と前記第4出力端子とに電気的に接続され、第1電圧端子を備え、前記第1電圧端子から前記第4出力端子に流れる電流を複製して、前記第1電圧端子から前記第3出力端子に電流を流すカレントミラーと、前記第3出力端子と、前記第4出力端子と、前記第1電圧端子と、に電気的に接続され、前記第3出力端子と前記第4出力端子との電位差を小さくするように前記第1電圧端子にフィードバックする負帰還アンプと、を備え、前記第3入力端子および前記第4入力端子間の差動信号を、前記第3出力端子のシングルエンド信号へと増幅する第2増幅回路と、を備えてもよい。
【0031】
以下、本開示の一態様に係る増幅回路の具体例について、図面を参照しながら説明する。ここで示す実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。従って、以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、並びに、ステップ(工程)及びステップの順序等は、一例であって本開示を限定するものではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意に付加可能な構成要素である。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0032】
(実施の形態1)
図4は、本開示の一形態に係る増幅回路10の構成図である。
【0033】
図4に示されるように、増幅回路10は、第1増幅回路400と、第2増幅回路500とを備える。
【0034】
第1増幅回路400は、第1切り替え回路431と、第2切り替え回路432と、コモンフィードバックアンプ305と、電流源427と、第1極性のトランジスタ407と、第1極性のトランジスタ408と、第2極性(例えば、Pチャンネル極性)のトランジスタ409と、第2極性のトランジスタ410とを備える。第1切り替え回路431および第2切り替え回路432は、それぞれチョッパ回路とも呼ばれる。また、第1切り替え回路431と第2切り替え回路432との間の回路は、増幅部とも呼ばれる。
【0035】
コモンフィードバックアンプ305は、一般的なオペアンプであってよい。コモンフィードバックアンプ305を含む増幅部の構成は、
図4に示した構成に限らない。
【0036】
第1切り替え回路431は、第1入力端子401と、第2入力端子402と、第1端子421と、第2端子422と、スイッチ403~スイッチ406とを備える。第1切り替え回路431は、第1入力端子401が第1端子421に電気的に接続し、第2入力端子402が第2端子422に電気的に接続する第1の接続状態と、第2入力端子402が第1端子421に電気的に接続し、第1入力端子401が第2端子422に電気的に接続する第2の接続状態とを切り替える。
【0037】
第2切り替え回路432は、第3端子423と、第4端子424と、第1出力端子417と、第2出力端子418と、スイッチ413~スイッチ416とを備える。第2切り替え回路432は、第3端子423が第1出力端子417に電気的に接続し、第4端子424が第2出力端子418に電気的に接続する第3の接続状態と、第4端子424が第1出力端子417に電気的に接続し、第3端子423が第2出力端子418に電気的に接続する第4の接続状態とを切り替える。
【0038】
スイッチ403、スイッチ406、スイッチ413、スイッチ416には、スイッチをオン状態とする論理値1と、スイッチをオフ状態とする論理値0とを所定の周波数fで交互に繰り返す第1チョッパ信号が入力される。以下、スイッチ403、スイッチ406、スイッチ413、スイッチ416を「第1種スイッチ」と呼ぶこともある。
【0039】
スイッチ404、スイッチ405、スイッチ414、スイッチ415には、スイッチをオン状態とする論理値1と、スイッチをオフ状態とする論理値0とを所定の周波数fで交互に繰り返す第2チョッパ信号が入力される。以下、スイッチ404、スイッチ405、スイッチ414、スイッチ415を「第2種スイッチ」と呼ぶこともある。
【0040】
図5は、第1チョッパ信号と第2チョッパ信号とのタイミングチャートである。
【0041】
図5に示されるように、第1チョッパ信号と、第2チョッパ信号とは、互いに、同時に論理値1となることがないノンオーバーラップ信号の関係となっている。このため、第1種スイッチと、第2種スイッチとは、同時にオン状態になることはない。
【0042】
第1チョッパ信号と第2チョッパ信号とは、例えば、増幅回路10の外部にある回路から供給される。
【0043】
第1増幅回路400は、差動入力差動出力の完全対称型増幅回路である。第1増幅回路400は、第1端子421および第2端子間422の差動信号を、第3端子423および第4端子424間の差動信号へと増幅する。すなわち、第1増幅回路400は、第1端子421および第2端子間422に入力された差動信号を増幅して、第3端子423および第4端子424間の差動信号として出力する。
【0044】
また、第1増幅回路400は、予め定められた周波数fで、第1切り替え回路431による端子間の接続の切り替えと、第2切り替え回路432による端子間の接続の切り替えを行う。これにより、第1増幅回路400は、増幅回路10において、チョッパ変調を行うチョッパノイズ変調部として機能する。
【0045】
第2増幅回路500は、差動対部530と、カレントミラー540と、負帰還アンプ308とを備える。
【0046】
差動対部530は、第3出力端子523と、第4出力端子524と、第2切り替え回路432の第1出力端子417に電気的に接続された第3入力端子513と、第2切り替え回路432の第2出力端子に電気的に接続された第4入力端子514と、電流源501と、第1極性のトランジスタ503と、第1極性のトランジスタ504とを備える。トランジスタ503は、第3入力端子513からの入力を第3出力端子523に流れる電流に変換し、トランジスタ504は、第4入力端子514からの入力を第4出力端子524に流れる電流に変換する。すなわち、トランジスタ503は、第3入力端子513からの入力に対応する電位を第3出力端子523に出力し、トランジスタ504は、第4入力端子514からの入力に対応する電位を第4出力端子524に出力する。第3入力端子513は、第1ノードを例示する。第4出力端子524は、第2ノードを例示する。
【0047】
カレントミラー540は、第3出力端子523にドレインが接続された第2極性のトランジスタ508と、第4出力端子524にドレインが接続された第2極性のトランジスタ509とを備える。カレントミラー540は、トランジスタ508とトランジスタ509のそれぞれのソースが接続された第1電圧端子531を備える。カレントミラー540は、第1電圧端子531から第4出力端子524に流れる電流を複製して、第1電圧端子531から第3出力端子523に流す。第1電圧端子531は、第3ノードを例示する。
【0048】
負帰還アンプ308は、第3出力端子523と、第4出力端子524と、第1電圧端子531とに電気的に接続される。具体的には、負帰還アンプ308の非反転入力端子が第3出力端子523に電気的に接続される。負帰還アンプ308の反転入力端子が第4出力端子524に電気的に接続される。負帰還アンプ308の出力端子が第1電圧端子531に電気的に接続される。負帰還アンプ308は、第3出力端子523と第4出力端子524との電位差が小さくなるように、第1電圧端子531にフィードバックする。負帰還アンプ308は、第3出力端子523と第4出力端子524との電位差をなくすように、第1電圧端子531にフィードバックしてもよい。
【0049】
第2増幅回路500は、第3入力端子513および第4入力端子514間の差動信号を、第3出力端子523のシングルエンド信号へと増幅する。すなわち、第2増幅回路500は、第3入力端子513および第4入力端子514間の差動信号を増幅して、第3出力端子523からシングルエンド信号を出力する。
【0050】
また、第2増幅回路500は、増幅回路10において、出力電位を平衡点に収束させる平衡点収束部として機能する。
【0051】
図6は、増幅回路10を用いて実現されるバッファ回路1の構成図である。
【0052】
図6に示されるように、バッファ回路1は、増幅回路10と、バッファ回路309と、入力端子301と、出力端子311と、スイッチ302と、キャパシタ303と、キャパシタ310と、バッファ回路309の出力側の信号を第1増幅回路400の入力側へフィードバックするフィードバック経路312とを備える。すなわち、バッファ回路309の出力端子は、フィードバック経路312によって第1増幅回路400の第2入力端子402に接続されている。フィードバック経路312は、例えば配線である。
【0053】
バッファ回路1は、入力端子301から入力される電位VREFをサンプルホールドし、出力端子311から出力する。例えば、バッファ回路309は、
図7に例示される構成であってもよい。
【0054】
図7において、バッファ回路309は、第1極性のトランジスタ361と、第1極性のトランジスタ362と、キャパシタ363とを備える、シングルエンド入力シングルエンド出力の構成である。バッファ回路309は、
図7に示される回路構成に限定されない。
【0055】
なお、ここでは、
図6に示される回路のことを、バッファ回路という名称で呼んでいるが、増幅回路という名称で呼んでもよい。すなわち、
図6に示される回路のことを、第1増幅回路400と、第2増幅回路500と、バッファ回路309と、フィードバック経路312とを備える増幅回路と呼んでもよい。この場合、この増幅回路の増幅率(つまりゲイン)は1倍である。
【0056】
図8は、バッファ回路1の、第1のノイズ伝達関数モデル600を示す模式図である。
【0057】
図8に示されるように、第1のノイズ伝達関数モデル600では、増幅回路10の増幅率をA、増幅回路10の出力抵抗をR
1、増幅回路10の負荷容量をC
1、バッファ回路309の増幅率を1、バッファ回路309の出力抵抗をR
2、バッファ回路309の負荷容量をC
2、増幅回路10の入力換算ノイズをV
n1としている。
【0058】
ここで、負荷容量C1、負荷容量C2は、配線による分布定数を用いて定義されてもよいし、配線に接続される容量性素子による集中定数を用いて定義されてもよいし、それらの組み合わせであってもよい。
【0059】
第1のノイズ伝達関数モデル600において、入力換算ノイズVn1に対する、出力端子608の電位Vo1へのノイズ伝達関数は、
【0060】
【0061】
となる。
【0062】
図9は、C
2R
2 ≫ AC
1R
1 とした場合における、入力換算ノイズV
n1に対する電位V
01の周波数特性(以下、「第1の周波数特性」とも呼ぶ。)を示す周波数特性図である。
【0063】
【0064】
【0065】
を第1のカットオフ周波数に持ち、
【0066】
【0067】
を第2のカットオフ周波数に持つローパスフィルタ状の周波数特性である。第1の周波数特性は、第1のカットオフ周波数から第2のカットオフ周波数の間の周波数帯域では、減衰特性が-20db/dec.となり、第2のカットオフ周波数より高い周波数帯域では、減衰特性が-40db/dec.となる周波数特性となる。このことは、バッファ回路1がチョッパ変調によって発生するチョッパノイズを減衰させることを示している。
【0068】
図10は、バッファ回路1の、第2のノイズ伝達関数モデル700を示す模式図である。
【0069】
第2のノイズ伝達関数モデル700は、ノイズ伝達関数モデル600から、増幅回路10の入力換算ノイズVn1が削除され、替わりに、バッファ回路309の入力換算ノイズVn2が追加されたモデルとなっている。
【0070】
第2のノイズ伝達関数モデル700において、入力換算ノイズVn2に対する、出力端子608の電位Vo2へのノイズ伝達関数は、
【0071】
【0072】
となる。
【0073】
図11は、C
2R
2 ≫ AC
1R
1 とした場合における、入力換算ノイズV
n2に対する電位V
02の周波数特性(以下、「第2の周波数特性」とも呼ぶ。)を示す周波数特性図である。
【0074】
図11に示されるように、第2の周波数特性は、第1の周波数特性と同様に、
【0075】
【0076】
をカットオフ周波数に持つローパスフィルタ状の周波数特性となる。このことも、バッファ回路1がチョッパ変調によって発生するチョッパノイズを減衰させることを示している。
【0077】
なお、ここでは、説明を簡単にするために、C2R2 ≫ AC1R1 という条件を付して説明したが、バッファ回路1は、必ずしもこの条件を満たす構成例に限定される必要はない。
【0078】
バッファ回路1に対して、ノイズシミュレーションを行った。また、比較のために、従来の構成のバッファ回路に対してもノイズシミュレーションを行った。従来の構成のバッファ回路としては、バッファ回路1から、増幅回路10を取り除いた構成のバッファ回路を用いた。以下、このようなバッファ回路を「従来型バッファ回路」とも呼ぶ。
【0079】
図12は、このシミュレーションにより得られた、バッファ回路1のノイズスペクトルと、従来型バッファ回路のノイズスペクトルとを示す図である。
【0080】
図12に示されるように、このシミュレーションから、バッファ回路1のノイズスペクトルは、従来型バッファ回路のノイズスペクトルに対して、1KHz以上の周波数帯域において、ノイズ周波数密度が下回っていることがわかった。また、このシミュレーションから、バッファ回路1は、ノイズ周波数密度を周波数領域で積分して得られる全積分ノイズについて、従来型バッファ回路に対して48%低減できることもわかった。なお、バッファ回路1のノイズスペクトルにおける100MHz~200MHzの周波数帯域に存在するピークは、チョッパ変調によって高周波領域に写像されたチョッパノイズである。このピークは、従来型バッファ回路のノイズレベルを上回っているものの、負帰還ループのローパスフィルタ効果によって、全積分ノイズと比べて充分に低いノイズレベルに抑えられている。
【0081】
このように、増幅回路10は、ノイズを低減できるバッファ回路を実現し得る。
【0082】
(実施の形態2)
増幅回路10を用いて実現されるバッファ回路の他の一例として、実施の形態1で例示したバッファ回路1から、その一部の構成を変更した実施の形態2に係るバッファ回路について説明する。
【0083】
図13は、増幅回路10を用いて実現されるバッファ回路1Aの構成図である。
【0084】
図13に示されるように、バッファ回路1Aは、実施の形態1に係るバッファ回路1に対して、バッファ回路309と出力端子311との間であって、フィードバック経路312への分岐点よりも出力端子311側に、抵抗素子901が追加されて構成される。
【0085】
バッファ回路1Aは、実施の形態1に係るバッファ回路1に対して、キャパシタ310と抵抗素子901とによりローパスフィルタ特性を強化することができる。このため、バッファ回路1Aは、バッファ回路1よりもさらに、ノイズを低減し得る。
【0086】
(実施の形態3)
増幅回路10を用いて実現されるバッファ回路の他の一例として、実施の形態2で例示したバッファ回路1Aから、その一部の構成を変更した実施の形態3に係るバッファ回路について説明する。
【0087】
図14は、増幅回路10を用いて実現されるバッファ回路1Bの構成図である。
【0088】
図14に示されるように、バッファ回路1Bは、実施の形態1に係るバッファ回路1Aに対して、抵抗素子901が、第1極性のトランジスタ1001に変更されて構成される。バッファ回路1Bは、バッファ回路1Aと同様に、バッファ回路1よりもノイズを低減し得る。また、バッファ回路1Bは、トランジスタ1001のゲート電位を調整することでトランジスタ1001の抵抗値を調整することができる。このため、バッファ回路1Bは、ローパスフィルタ特性の強化度合いを調整することができる。
【0089】
(実施の形態4)
増幅回路10を用いて実現されるバッファ回路の他の一例として、実施の形態2で例示したバッファ回路1Aから、その一部の構成を変更した実施の形態4に係るバッファ回路について説明する。
【0090】
図15は、増幅回路10を用いて実現されるバッファ回路1Cの構成図である。
【0091】
図15に示されるように、バッファ回路1Cは、実施の形態1に係るバッファ回路1Aに対して、抵抗素子901の位置が、バッファ回路309とフィードバック経路312との間に変更されて構成される。すなわち、バッファ回路309の出力端子に抵抗素子901の一端が接続され、抵抗素子901の他端はフィードバック経路312によって第1増幅回路400の第2入力端子402に接続されている。
【0092】
バッファ回路1Cは、バッファ回路1Aと同様に、バッファ回路1よりもノイズを低減し得る。また、バッファ回路1Cは、抵抗素子901を、フィードバック経路312によって形成される負帰還ループ内に取り込んでいる。つまり、バッファ回路1Cは、バッファ回路1Aと異なり、出力端子311とフィードバック経路312との間に、抵抗素子901を含まない。このため、バッファ回路1Cは、出力端子311の電圧変動を、抵抗素子901を介することなく、第1増幅回路400の入力側へフィードバックすることができる。このことにより、バッファ回路1Cでは、実施の形態2に係るバッファ回路1Aに対して、出力端子311に対する負帰還ループの応答性をさらに高めることができる。
【0093】
(実施の形態5)
増幅回路10を用いて実現されるバッファ回路の他の一例として、実施の形態4で例示したバッファ回路1Bから、その一部の構成を変更した実施の形態5に係るバッファ回路について説明する。
【0094】
図16は、増幅回路10を用いて実現されるバッファ回路1Dの構成図である。
【0095】
図16に示されるように、バッファ回路1Dは、実施の形態3に係るバッファ回路1Bに対して、第1極性のトランジスタ1001の位置が、バッファ回路309とフィードバック経路312との間に変更されて構成される。すなわち、バッファ回路309の出力端子にトランジスタ1001のソースおよびドレインの一方が接続され、ソースおよびドレインの他方はフィードバック経路312によって第1増幅回路400の第2入力端子402に接続されている。
【0096】
バッファ回路1Dは、バッファ回路1Bと同様に、バッファ回路1よりもノイズを低減し得る。また、バッファ回路1Dは、トランジスタ1001のゲート電位を調整することでトランジスタ1001の抵抗値を調整することができる。このため、バッファ回路1Dは、ローパスフィルタ特性の強化度合いを調整することができる。また、バッファ回路1Dは、トランジスタ1001を、フィードバック経路312によって形成される負帰還ループ内に取り込んでいる。つまり、バッファ回路1Dは、バッファ回路1Bと異なり、出力端子311とフィードバック経路312との間に、トランジスタ1001を含まない。このため、バッファ回路1Dは、出力端子311の電圧変動を、トランジスタ1001を介することなく、第1増幅回路400の入力側へフィードバックすることができる。このことにより、バッファ回路1Dでは、実施の形態1に係るバッファ回路1に対して、出力端子311に対する応答性をさらに高めることができる。
【0097】
(実施の形態6)
以上説明した増幅回路は、例えば撮像装置において、AD変換器等の基準電圧を供給する電圧供給回路に適用できる。
【0098】
図17は、本実施形態の撮像装置900Aの構成を示す模式図である。撮像装置900Aは、画素部910と、AD変換部920と、基準電圧生成部930とを含む。画素部910は、それぞれが光電変換部を有する複数の画素を含む。AD変換部920は、画素部910の各画素から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。基準電圧生成部930は、AD変換に用いる基準電圧をAD変換部920に供給する。実施の形態1から5の増幅回路は、基準電圧生成部930において基準電圧を生成するための増幅回路として適用できる。本開示の増幅回路を用いることにより、従来よりも低ノイズの基準電圧を生成することができる。したがって、低ノイズで高画質の撮像装置を実現することができる。
【0099】
図18は、撮像装置を用いたカメラシステム900Bの構成を示す模式図である。カメラシステム900Bは、レンズ光学系901と、撮像装置902と、システムコントローラ904と、カメラ信号処理部903とを備えている。レンズ光学系901は、例えばオートフォーカス用レンズ、ズーム用レンズおよび絞りを含む。レンズ光学系901は、撮像装置の撮像面に光を集光する。システムコントローラ903は、カメラシステム900全体を制御する。システムコントローラ903は、例えばマイクロコンピュータによって実現され得る。カメラ信号処理部904は、撮像装置902からの出力信号を処理する信号処理回路として機能する。カメラ信号処理部904は、例えばガンマ補正、色補間処理、空間補間処理、およびオートホワイトバランスなどの処理を行う。カメラ信号処理部904は、例えばDSP(Digital Signal Processor)などによって実現され得る。
【0100】
本実施形態によるカメラシステム900によれば、低ノイズで良好な画像を取得できる。
【0101】
(補足)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1~実施の形態5について説明した。しかしながら、本開示による技術は、これらに限定されず、本開示の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施の形態にも適用可能である。
【0102】
以下に、本開示における変形例の一例について列記する。
【0103】
(1)本明細書において、第1極性は、例えばNチャネル極性であり、第2極性は、例えばPチャネル極性であるとして説明した。しかしながら、必ずしも、第1極性がNチャネル極性であり、第2極性がPチャネル極性である場合に限定される必要はない。例えば、第1極性はPチャネル極性であり、第2極性はNチャネル極性であっても構わない。
【0104】
(2)実施の形態1~実施の形態5において、バッファ回路1、バッファ回路1A~バッファ回路1Dは、バッファ回路309を含む構成であるとして説明した。
【0105】
しかしながら、バッファ回路1、バッファ回路1A~バッファ回路1Dは、出力駆動能力をさほど高くする必要がなく、入力端子301から入力される電位VREFが、第2増幅回路500の出力電圧範囲に収まる場合には、バッファ回路309を省略する構成であっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本開示に係る増幅回路は、電気信号を増幅する必要がある装置に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0107】
1、1A、1B、1C、1D、309 バッファ回路
10、100A、100C 増幅回路
113、114、407、408、409、410、503、504、508、509、1001 トランジスタ
308 負帰還アンプ
312 フィードバック経路
400 第1増幅回路
401 第1入力端子
402 第2入力端子
417 第1出力端子
418 第2出力端子
421 第1端子
422 第2端子
423 第3端子
424 第4端子
431 第1切り替え回路
432 第2切り替え回路
500 第2増幅回路
513 第3入力端子
514 第4入力端子
523 第3出力端子
524 第4出力端子
530 差動対部
531 第1電圧端子
540 カレントミラー
901 抵抗素子