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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】モータ及びそれに用いられるコイル
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/18 20060101AFI20230929BHJP
【FI】
H02K3/18 J
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020545917
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(86)【国際出願番号】 JP2019034234
(87)【国際公開番号】W WO2020054467
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】P 2018172738
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉村 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】河村 清美
(72)【発明者】
【氏名】額田 慶一郎
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-098749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、前記ステータと所定の間隔をあけて設けられたロータと、を少なくとも備えたモータであって、
前記ステータは、環状のヨークと、該ヨークの内周に接続された複数のティースと、前記複数のティースのそれぞれに巻回された複数のコイルと、を少なくとも有し、
前記コイルは、前記モータの出力軸の延びる方向である軸方向の端部のそれぞれにコイルエンドを有し、
前記コイルエンドの軸方向端面には、前記ステータの径方向に延びる第1凹部が少なくとも1つ設けられ、前記複数のコイルのうち2つ以上のコイルを互いに接続する第1配線部材が前記第1凹部に収容されていることを特徴とするモータ。
【請求項2】
請求項1に記載のモータにおいて、
上面視で、前記第1凹部は前記ステータの周方向に対して所定の角度で傾斜して設けられていることを特徴とするモータ。
【請求項3】
請求項1に記載のモータにおいて、
前記第1凹部は、周方向に隣り合う2つのコイルに跨がって設けられていることを特徴とするモータ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のモータにおいて、
前記コイルエンドの軸方向端面には、前記ステータの周方向に延びる第2凹部が少なくとも1つ設けられており、
前記第1配線部材または前記第1配線部材と異なる第2配線部材が前記第2凹部に収容されていることを特徴とするモータ。
【請求項5】
請求項4に記載のモータにおいて、
上面視で、前記第2凹部は前記ステータの周方向に対して所定の角度で傾斜して設けられていることを特徴とするモータ。
【請求項6】
請求項4または5に記載のモータにおいて、
前記第1配線部材と前記第2配線部材とは電気的に分離されていることを特徴とするモータ。
【請求項7】
モータのステータに設けられたティースに巻回されるコイルであって、
前記コイルは、前記モータの出力軸方向の端部のそれぞれにコイルエンドを有し、
前記コイルエンドの軸方向端面には、前記ステータの径方向に延びる第1凹部が少なくとも1つ以上設けられ、
上面視で、前記第1凹部は前記ステータの周方向に対して所定の角度で傾斜して設けられていることを特徴とするコイル。
【請求項8】
請求項7に記載のコイルにおいて、
前記コイルエンドの軸方向端面には、前記ステータの周方向に延びる第2凹部が少なくとも1つ設けられていることを特徴とするコイル。
【請求項9】
請求項に記載のコイルにおいて、
上面視で、前記第2凹部は前記ステータの周方向に対して所定の角度で傾斜して設けられていることを特徴とするコイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモータ及びそれに用いられるコイルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、産業、車載用途でモータの需要は高まっている。その中で、モータの小型化、効率向上が要望されている。
【0003】
モータの体積増加を抑制しつつ効率を向上させる手法の一つとして、ステータのスロット内に配置されるコイルの占積率を向上させることが知られている。コイルの占積率を向上させることで、モータの駆動時に、コイルに流れる電流に起因する損失を抑制できる。
【0004】
コイルの占積率を向上させる手法として、銅材を用いた鋳造コイルをスロット内に配置する構成が提案されている(例えば特許文献1参照)。また、この構成では、占積率を向上させるため、コイルの断面を四角形とし、かつその線径を太くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第102012212637号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、モータ内に配設された複数のコイル間を電気的に接続するために、従来、コイルの軸方向端部、具体的には、スロットからモータの出力軸方向にはみ出た部分(以下、コイルエンドという)の上側あるいは下側に渡り線やバスバー等の配線部材を設けていた。
【0007】
一方、近年、車両や産業機器等に使用されるモータの個数が増大しており、個々のモータにおいてさらなる小型化が要求されている。
【0008】
しかし、特許文献1に開示される従来の構成では、コイルエンドに前述の配線部材を設けると、ステータが出力軸方向に高くなってしまい、モータを十分に小型化できないことがあった。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みてなされたもので、その目的は、コイルエンドに配線部材が設けられたモータの小型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係るモータは、ステータと、前記ステータと所定の間隔をあけて設けられたロータと、を少なくとも備えたモータであって、前記ステータは、環状のヨークと、該ヨークの内周に接続された複数のティースと、前記複数のティースのそれぞれに巻回された複数のコイルと、を少なくとも有し、前記コイルは、前記モータの出力軸の延びる方向である軸方向の端部のそれぞれにコイルエンドを有し、前記コイルエンドの軸方向端面には、前記ステータの径方向に延びる第1凹部が少なくとも1つ設けられ、前記複数のコイルのうち2つ以上のコイルを互いに接続する第1配線部材が前記第1凹部に収容されていることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、ステータの軸方向の高さを低くすることができ、モータの小型化が図れる。
【0012】
本発明に係るコイルは、モータのステータに設けられたティースに巻回されるコイルであって、前記コイルは、前記モータの出力軸方向の端部のそれぞれにコイルエンドを有し、前記コイルエンドの軸方向端面には、前記ステータの径方向に延びる第1凹部が少なくとも1つ以上設けられていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、第1凹部に配線部材を収容することができ、ステータの軸方向の高さを低くできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のモータによれば、ステータを低くすることができ、モータの小型化が図れる。また、本発明のコイルによれば、第1凹部に配線部材を収容することができ、ステータを低くできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施形態1に係るモータの断面図である。
図2図2は、実施形態1に係るコイルの斜視図である。
図3図3は、変形例1に係るコイルの上面図である。
図4図4は、変形例2に係るコイルの斜視図である。
図5図5は、本発明の実施形態2に係るコイルの斜視図である。
図6図6は、変形例3に係るコイルの上面図である。
図7図7は、本発明の実施形態3に係るコイルの斜視図である。
図8図8は、変形例4に係るコイルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0017】
(実施形態1)
[モータの構成]
図1は、本実施形態に係るモータの断面図を示す。なお、以降の説明において、モータ1000の半径方向を「径方向」と、外周方向を「周方向」と、モータ1000の出力軸210の延びる方向(図1における紙面と垂直な方向)を「軸方向」とそれぞれ呼ぶことがある。また、径方向において、モータ1000の中心側を径方向内側と、外周側を径方向外側と呼ぶことがある。
【0018】
モータ1000は、ステータ100とロータ200とを有している。なお、モータ1000は、これら以外の構成部品、例えば、モータケースや出力軸を軸支する軸受等の部品を有しているが、説明の便宜上、その図示及び説明を省略する。
【0019】
ステータ100は、円環状のヨーク20と、ヨーク20の内周に接続され、当該内周に沿って等間隔に設けられた複数のティース10と、周方向に隣り合うティース10の間にそれぞれ設けられたスロット30と、スロット30内に収容されたコイル40とを有しており、ロータ200の径方向外側に、ロータ200と一定の間隔をあけて配置されている。
【0020】
ティース10とヨーク20は、それぞれ、例えば、ケイ素等を含有した電磁鋼板を積層後に打ち抜き加工して形成される。コイル40は、断面が四角形の銅等からなる導線がnターン(nは2以上の整数)巻回されてなる部品であり、図示しないインシュレータを挟んで複数のティース10のそれぞれに装着されて、スロット30内に収容されている。また、コイル40を構成する導線の表面には図示しない絶縁皮膜が設けられている。なお、本実施形態では、コイル40に流れる電流の位相に応じて、コイル40をコイルU1~U4,V1~V4,W1~W4とそれぞれ呼ぶことがある。また、コイル40の軸方向上側には、コイルU1~U4,V1~V4,W1~W4のうち2つ以上を電気的に接続する第1配線部材50(図2の(b)図参照)や第2配線部材60(図7の(b)図参照)が配置されている。
【0021】
ロータ200は、軸心に配置された出力軸210と、ステータ100に対向してN極、S極が出力軸の外周方向に沿って交互に配置された磁石220とを有している。なお、磁石220の材料や形状や材質については、モータ1000の出力等に応じて適宜変更しうる。
【0022】
コイルU1~U4,V1~V4,W1~W4はそれぞれ直列に接続されており、互いに電気角で120°の位相差を有するU,V,W相の3相の電流がそれぞれコイルU1~U4,V1~V4,W1~W4に供給されて励磁され、ステータ100に回転磁界が発生する。この回転磁界と、ロータ200に設けられた磁石220が発生する磁界との間で相互作用を生じてトルクが発生し、出力軸210が図示しない軸受に支持されて回転する。
【0023】
[コイルの構成]
図2は、本実施形態に係るコイルの斜視図を示し、(a)図は第1配線部材が配設されていないコイルの斜視図を、(b)図は第1配線部材が配設されたコイルの斜視図をそれぞれ示す。
【0024】
図2に示すように、コイル40は、第1端部41と第2端部42とコイルエンド43と軸方向延在部44とを有しており、コイル40がティース10に装着されたとき、コイルエンド43はティース10の軸方向端面に沿って配置され、軸方向延在部44はティース10の周方向端面に沿って配置される。軸方向延在部44はスロット30内に収容され、ステータ100内を通過する回転磁界の発生に寄与する。
【0025】
また、コイルエンド43には、径方向に沿って延びるように第1凹部45が設けられており、図2の(b)図に示すように、第1凹部45内に第1配線部材50が収容されるとともに、第1端部41に第1配線部材50が接合されて、コイル40と第1配線部材50とが電気的に接続される。第1配線部材50は、断面が四角形の導体である。なお、第2端部42には、図示しない別の配線部材が接続される。
【0026】
また、コイル40の各々のターンにおいて、コイルエンド43の軸方向の高さAが略等しくなるように構成されており、第1凹部45を除いて、コイルエンド43の軸方向端面が略面一となっている。なお、本願明細書において、「略」とは構成部材の製造公差や部品間の組立公差を含む意味であり、例えば、「略等しい」とは、比較される複数の対象が厳密に等しいことを意味するものではない。
【0027】
なお、高さAは、コイル40がティース10に装着されたときの、ティース10の軸方向端面からコイルエンド43の軸方向端面までの距離をいう。また、ティース10の軸方向端面から第1凹部45の底面までの距離である高さBは、コイル40に許容される抵抗値、別の見方をすると、コイル40に所定の電流を流したときに許容される発熱量に応じて適宜決められる。なお、実際には、図示しないインシュレータを挟んでティース10にコイル40が装着されているため、高さA,Bの基準面はインシュレータの表面である。
【0028】
なお、第1配線部材50の厚さ、言い換えると、第1配線部材50の軸方向の高さは、第1凹部45の深さと略等しくなるように設定されているが、特にこれに限定されず、例えば、第1配線部材50の厚さが第1凹部45の深さよりも厚くてもよい。
【0029】
[効果等]
以上説明したように、本実施形態に係るモータ1000は、ステータ100と、ステータ100と所定の間隔をあけて設けられたロータ200と、を少なくとも備えている。また、ステータ100は、環状のヨーク20と、ヨーク20の内周に接続された複数のティース10と、複数のティース10のそれぞれに巻回された複数のコイル40と、を少なくとも有している。
【0030】
コイル40は、モータ1000の出力軸210の延びる方向である軸方向の端部のそれぞれにコイルエンド43を有し、コイルエンド43の軸方向端面には、ステータ100の径方向に延びる第1凹部45が設けられ、複数のコイル40のうち2つ以上のコイルを互いに接続する第1配線部材50が第1凹部45に収容されている。
【0031】
本実施形態によれば、コイルエンド43に径方向に延びる第1凹部45を設け、その中に第1配線部材50を収容するため、第1凹部50を設けない場合、例えば、特許文献1に開示される従来の構成に比べて、ステータ100の軸方向の高さを低くすることができる。このことにより、モータ1000の小型化が図れる。特に複数の配線部材を軸方向に重ねてコイルエンド43に配置する場合、配線部材の積層枚数を実質的に1枚減らすことができる。
【0032】
また、コイル40の各々のターンにおいて、コイルエンド43の軸方向の高さAが略等しくなるようにし、コイルエンド43の軸方向端面を略面一となるようにしているため、第1凹部45を径方向にわたって同じ深さに設定するのが容易となる。このため、第1凹部45の底面から浮いたりすることなく、第1配線部材50を第1凹部45に収容でき、第1配線部材50を含めたコイル40の高さが増加するのを防止して、モータ1000の小型化が図れる。
【0033】
また、本実施形態に係るコイル40は、モータ1000のステータ100に設けられたティース10に巻回され、軸方向、つまり、モータ1000の出力軸210の延びる方向の端部のそれぞれにコイルエンド43を有している。コイルエンド43の軸方向端面には、ステータ100の径方向に延びる第1凹部45が設けられている。
【0034】
コイル40をこのように構成することで、第1凹部45に第1配線部材50を収容することができる。このことにより、ステータ100の軸方向の高さを低くすることができ、モータ1000の小型化が図れる。
【0035】
<変形例1>
図3は、本変形例に係るコイルの上面図を示す。なお、図3において、実施形態1と同様の箇所については同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0036】
本変形例に係る構成と図2に示す構成とでは、第1凹部45aの延在方向が異なる。具体的には、本変形例に示す第1凹部45aは、上面視で、周方向に対して所定の角度θ1で傾斜してコイルエンド43の軸方向端面に設けられている。
【0037】
第1凹部45aをこのように設けることで、第1配線部材50の配設位置に関する自由度を高めることができる。また、実施形態1に示すのと同様の効果を奏することができる。
【0038】
<変形例2>
図4は、本変形例に係るコイルの斜視図を示し、(a)図は、第1配線部材が配設されていないコイルの斜視図を(b)図は、第1配線部材が配設されたコイルの斜視図をそれぞれ示す。なお、図4において、実施形態1と同様の箇所については同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0039】
実施形態1に示す構成では、コイルエンド43の周方向中央部分に第1凹部45が設けられているのに対し、本変形例に係る構成では、周方向に隣り合うコイル40において、対向するコイルエンド43の角部をそれぞれ径方向に沿って切り欠くことで第1凹部45bが設けられている点で異なる。
【0040】
第1凹部45bをこのように設けることで、第1配線部材50の配設位置に関する自由度を高めることができる。また、実施形態1に示すのと同様の効果を奏することができる。また、図2の(b)図に示す構成では、コイル40の第1端部41との接続のために第1配線部材50の形状が複雑になっていたが、本変形例によれば、第1配線部材50の形状を単純化でき、その加工工数やコストを低減できる。
【0041】
また、コイルエンド43の角部は他の部分よりも断面積が大きいため、角部を切り欠いても、当該部分での電流密度が、他の部分に比べて極端に高くなることがない。このため、コイルエンド43の角部での局所的発熱を抑制でき、コイル40の信頼性を高められるとともにモータ1000の効率を向上できる。
【0042】
なお、本変形例では、対向するコイルエンド43の角部をそれぞれ切り欠くことで第1凹部45bを設けるようにしたが、一方の角部のみを切り欠いて第1凹部45bを設けるようにしてもよい。
【0043】
(実施形態2)
図5は、本実施形態に係るコイルの斜視図を示し、(a)図は第2配線部材が配設されていないコイルの斜視図を、(b)図は第2配線部材が配設されたコイルの斜視図をそれぞれ示す。なお、図5において、実施形態1と同様の箇所については同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0044】
実施形態1に示す構成では、コイルエンド43の軸方向端面に径方向に沿って第1凹部45が設けられているのに対し、本実施形態に係る構成では、コイルエンド43の軸方向端面に周方向に沿って第2凹部46が設けられている点で異なる。つまり、コイル40は、軸方向端部のそれぞれにコイルエンド43を有し、コイルエンド43の軸方向端面には、ステータ100の周方向に沿って延びる第2凹部46が設けられ、複数のコイル40のうち2つ以上のコイルを互いに接続する第2配線部材60が第2凹部46に収容されている。なお、第2凹部46は、コイルエンド43を周方向に切り欠くことで形成されている。
【0045】
第2凹部46をこのように設けることで、第2配線部材60の配設位置に関する自由度を高めることができる。また、第2凹部46を設けることで、周方向で離間したコイル40の間を電気的に接続することが容易となり、例えば、コイルU1~U4を直列接続するとともに、それぞれ直列接続されたコイルV1~V4とコイルW1~W4との間をより少ない配線部材を用いて結線することができる。
【0046】
また、コイルエンド43の軸方向端面は略面一になっており、実施形態1に示すのと同様に、第2配線部材60を含めたコイル40の高さが増加するのを防止して、モータ1000の小型化が図れる。
【0047】
<変形例3>
図6は、本変形例に係るコイルの上面図を示す。なお、図6において、実施形態2と同様の箇所については同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0048】
本変形例に係る構成と図5に示す構成とでは、第2凹部46aの延在方向が異なる。具体的には、本変形例に示す第2凹部46aは、上面視で、周方向に対して所定の角度θ2で傾斜してコイルエンド43の軸方向端面に設けられている。
【0049】
第2凹部46aをこのように設けることで、第2配線部材60の配設位置に関する自由度を高めることができる。また、実施形態2に示すのと同様の効果を奏することができる。
【0050】
(実施形態3)
図7は、本実施形態に係るコイルの斜視図を示し、(a)図は第1及び第2配線部材が配設されていないコイルの斜視図を、(b)図は第1及び第2配線部材が配設されたコイルの斜視図をそれぞれ示す。なお、図7において、実施形態1,2と同様の箇所については同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0051】
実施形態1または2に示す構成では、コイルエンド43の軸方向端面に径方向に沿って第1凹部45が設けられているか、またはコイルエンド43の軸方向端面に周方向に沿って第2凹部46が設けられているのに対し、本実施形態に係る構成では、コイルエンド43の軸方向端面に径方向に沿って第1凹部45が、周方向に沿って第2凹部46がそれぞれ設けられている点で異なる。また、第1凹部45に収容された第1配線部材50と交差するように第2凹部46に収容された第2配線部材60が配置されるとともに、第1配線部材50と第2配線部材60との間が電気的に分離されている点で異なる。なお、当該分離のために、第1配線部材50及び第2配線部材60のそれぞれの表面に絶縁被膜(図示せず)が設けられている。また、第2配線部材60は、第1配線部材50と同様に、断面が四角形の導体である。
【0052】
本実施形態によれば、コイルエンド43の軸方向端面に第1及び第2凹部45,46を設けることで、延在方向の異なる第1配線部材50と第2配線部材60の配設位置に関する自由度を高めることができる。特に、第1配線部材50及び第2配線部材60のそれぞれの表面に絶縁被膜を設けて、両者を電気的に分離することにより、第1配線部材50と第2配線部材60と交差して配置することができる。つまり、第1配線部材50と第2配線部材60の配設位置に関する自由度をさらに高めることができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、実施形態1,2に示すのと同様の効果を奏することができる。
【0054】
<変形例4>
図8は、本変形例に係るコイルの斜視図を示し、(a)図は第1及び第2配線部材が配設されていないコイルの斜視図を、(b)図は第1及び第2配線部材が配設されたコイルの斜視図をそれぞれ示す。なお、図8において、実施形態3と同様の箇所については同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0055】
実施形態3に示す構成では、コイルエンド43の周方向中央部分に第1凹部45が設けられているのに対し、本変形例に係る構成では、周方向に隣り合うコイル40において、対向するコイルエンド43の角部をそれぞれ径方向に沿って切り欠くことで第1凹部45bが設けられている点で異なる。
【0056】
第1凹部45bをこのように設けることで、第1配線部材50の配設位置に関する自由度を高めることができる。また、実施形態3や変形例2に示すのと同様の効果を奏することができる。
【0057】
なお、変形例2に示すように、対向するコイルエンド43の一方の角部のみを切り欠いて第1凹部45bを設けるようにしてもよい。
【0058】
(その他の実施形態)
なお、第1凹部45,45a,45bは1つのコイル40に複数設けられていてもよい。第2凹部46,46aも1つのコイル40に複数設けられていてもよい。また、1つのコイル40に第1凹部45,45aまたは45bのみが設けられていてもよいし、第2凹部46または46aのみが設けられていてもよい。1つのコイル40に第1凹部45,45aまたは45bと第2凹部46または46aがそれぞれ1つ以上設けられていてもよい。
【0059】
また、実施形態1~3において、1つのコイル40において、軸方向上側のコイルエンド43のみに、第1凹部45または第2凹部46を設ける例を示しているが、軸方向下側のコイルエンド43に第1凹部45または第2凹部46を設けるようにしてもよい。この場合、第1配線部材50または第2配線部材60は、軸方向下側のコイルエンド43に設けられた第1凹部45または第2凹部46に収容される。あるいは、軸方向上側及び下側のコイルエンド43の両方に第1凹部45または第2凹部46を設けるようにしてもよい。この場合、第1配線部材50または第2配線部材60は、軸方向両側のコイルエンド43に設けられた第1凹部45または第2凹部46に収容されていてもよいし、軸方向上側及び下側のいずれか一方のコイルエンド43に第1凹部45または第2凹部46に収容されていてもよい。
【0060】
また、第1配線部材50は第1凹部45に収容されて径方向に延びる部分を有するとともに第2凹部46に収容されて周方向に延びる部分を有していてもよい。
【0061】
第1配線部材50をこのように構成することで、例えば、第1配線部材50をモータ1000の中性線とすることができ、また、複数の配線部材が設けられたコイル40を軸方向で低くすることができる。このことにより、モータ1000を小型化できる。
【0062】
同様に、第2配線部材60は第2凹部46に収容されて周方向に延びる部分を有するとともに第1凹部45に収容されて径方向に延びる部分を有していてもよい。
【0063】
また、図7,8の(b)図にそれぞれ示す構成において、第1配線部材50及び第2配線部材60のそれぞれの表面に絶縁被膜を設ける代わりに、第1配線部材50と第2配線部材60とが交差する箇所に図示しない絶縁スペーサを配設して、第1配線部材50と第2配線部材60とを電気的に分離するようにしてもよい。
【0064】
また、コイルエンド43の軸方向の高さAは各ターンで異なっていてもよい。ただし、その場合でも、コイル40に流れる電流密度及びコイル40の信頼性を確保するために、ティース10の軸方向端面から第1凹部45の底面までの高さBは各ターンで所定値以上であることが好ましい。
【0065】
なお、実施形態1では、円環状のヨーク20に複数のティース10が接続される構成を例に取って説明したが、特にこれに限定されず、周方向に分割された分割ヨークにそれぞれ1つずつティース10を接続し、この状態で複数の分割ヨークを周方向に接続することでステータ100を構成するようにしてもよい。
【0066】
また、コイル40の断面形状は台形でも長方形でも正方形でもよい。また、n角形(nは4以上の整数)であってもよい。また、第1配線部材50や第2配線部材60の断面形状は四角形に特に限定されず、n角形でも円形でも楕円形でもよい。また、第1配線部材50や第2配線部材60の断面形状に応じて、第1凹部45または第2凹部46の形状を変更するようにしてもよい。第1凹部45または第2凹部46に収容された第1配線部材50または第2配線部材60を安定してコイル50に配置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明のモータは、コイルエンドに配線部材の収容部を設けることで小型化が図れるため、限定された空間に配置可能なモータとして各種電気機器や車両等に適用する上で有用である。
【符号の説明】
【0068】
10 ティース
20 ヨーク
30 スロット
40 コイル
43 コイルエンド
44 軸方向延在部
45,45a,45b 第1凹部
46,46a 第2凹部
50 第1配線部材
60 第2配線部材
100 ステータ
200 ロータ
210 出力軸
220 磁石
1000 モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8