(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】液体燃料燃焼器
(51)【国際特許分類】
F23K 5/14 20060101AFI20230929BHJP
【FI】
F23K5/14 502
(21)【出願番号】P 2019140288
(22)【出願日】2019-07-30
【審査請求日】2022-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003229
【氏名又は名称】株式会社トヨトミ
(74)【代理人】
【識別番号】110004059
【氏名又は名称】弁理士法人西浦特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】藤川 義仁
(72)【発明者】
【氏名】中島 明
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-124051(JP,A)
【文献】実開昭56-023831(JP,U)
【文献】特開2000-346340(JP,A)
【文献】実開昭62-184302(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23K 5/00 - 5/22
F24C 5/00 - 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
置き台と前記置き台の上に装着されるキャビネットからなるハウジングと、
前記キャビネット内に形成され、円筒状本体を備えた交換式の液体燃料カートリッジからなる給油タンクが、前記キャビネットの天板に形成された開口部から挿入されて収納される給油タンク収納室と、
前記給油タンク収納室内に収納された前記液体燃料カートリッジの燃料供給部が嵌合される燃料受入口を備えて、前記置き台上に配置された液体燃料タンクと、
前記キャビネット内に形成されたアセンブリ収納室内に配置されて前記液体燃料タンク内の液体燃料を燃焼させるバーナ・アセンブリと、
前記給油タンク収納室と前記アセンブリ収納室とを熱絶縁するように仕切る仕切り壁を備えてなる液体燃料燃焼器であって、
前記給油タンク収納室の前記開口部内に配置され、前記液体燃料カートリッジが前記給油タンク収納室に収納される際のガイドとなり、且つ前記給油タンク収納室に収納された前記液体燃料カートリッジの前記燃料供給部とは反対側に位置する前記円筒状本体の後端部が
該後端部の全周に亘って横方向に動くことを制限するガイド部材を備えていることを特徴とする液体燃料燃焼器。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記円筒状本体の前記後端部が嵌る円筒部と、前記円筒部の上に配置されて前記開口部側から前記円筒部に向かって収束する傾斜部と、前記傾斜部に連続して設けられて前記開口部に対して前記ガイド部材を位置決めする位置決め部からなる請求項1に記載の液体燃料燃焼器。
【請求項3】
前記仕切り壁及び前記キャビネットの前記開口部を囲む周壁部と前記ガイド部材との間には、前記ガイド部材の前記給油タンク収納室内への落下を阻止する複数の係止構造が前記開口部に沿って配置されている請求項1または2に記載の液体燃料燃焼器。
【請求項4】
前記ガイド部材の前記位置決め部と前記傾斜部の裏面部には、両者に跨がるように補強用リブが一体に形成されている請求項2に記載の液体燃料燃焼器。
【請求項5】
前記液体燃料タンクの上面と接触する接触部と、該接触部に連結されて前記置き台に向かって延びる延伸部と、該延伸部の先端に設けられて前記置き台に設けられた被係合部に係合される係合部を有し、前記係合部が前記被係合部に係合された状態で、前記接触部が前記液体燃料タンクを前記置き台に向かって押し付ける押し付け構造を備えている請求項1に記載の液体燃料燃焼器。
【請求項6】
前記燃料受入口に取り付けられ、前記液体燃料カートリッジの前記円筒状本体の前端部が嵌合される円筒形凹部と、前記円筒形凹部内に吐出された液体燃料を通す燃料排出孔を備えたアタッチメントをさらに備えている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体燃料燃焼器。
【請求項7】
前記ガイド部材の前記円筒部の内径寸法は、前記アタッチメントの前記円筒形凹部の内径寸法と同じ、または、わずかに大きい請求項6に記載の液体燃料燃焼器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体燃料タンク内の液体燃料をバーナで燃焼させる液体燃料燃焼器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の液体燃料燃焼器は、保存容器内の液体燃料を金属製のカートリッジタンク内に移し替え、カートリッジタンクから液体燃料タンクに供給した液体燃料をバーナで燃焼させるものである。
【0003】
そこで、液体燃料を保存容器からカートリッジタンクに移し替える手間を省くため、特開2018-124051号公報(特許文献1)及び特開2018-128244号公報(特許文献2)には、金属製のカートリッジタンクの代わりに、樹脂製の使い捨て可能な容器に予め液体燃料が充填された液体燃料カートリッジを使用する液体燃料燃焼器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-124051号公報
【文献】特開2018-128244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2に示された樹脂製の液体燃料カートリッジは、円筒状本体を備えている。これは、家庭用ガスボンベと同様に、多種の液体燃料燃焼器に使用可能にするためである。しかしながら、既存の液体燃料燃焼器と同様の構造をできるだけ利用して、この液体燃料カートリッジを使用できる液体燃料燃焼器を構成しようとすると、バーナ・アセンブリが収納されたアセンブリ収納室と給油タンク収納室とを熱絶縁するように両者を仕切る仕切り壁と液体燃料カートリッジの周壁部との間に比較的大きな間隙が存在することになる。このような間隙があると、液体燃料カートリッジを液体燃料タンクの燃料受入口に固定する際に、燃料受入口に液体燃料カートリッジの口金を確実に嵌めるためには、給油タンク収納室内への液体燃料カートリッジの挿入を慎重に行う必要がある。また、液体燃料燃焼器を傾けて設置したり、外部から加わる振動によって、固定された液体燃料カートリッジが傾いてしまい、仕切り壁に近づき過ぎてしまうと液体燃料カートリッジの温度が許容温度以上に上昇してしまうという課題もある。
【0006】
また、液体燃料カートリッジを給油タンク収納室から取り出す際に、液だれが生じることがあり、垂れた液体燃料が液体燃料タンクの上面に落ちてしまうことがある。これが揮発することで臭気の原因ともなる。
【0007】
樹脂製の液体燃料カートリッジを用いることで、金属製のカートリッジタンクを使用する必要がなくなることが特許文献1及び特許文献2に係る発明の利点である。しかしながら、従来の液体燃料燃焼器では、金属製のカートリッジタンクが給油タンク収納室の補強材としての役割も果たしていた。そのため、既存の液体燃料燃焼器の構造と同様の構造をそのまま採用すると、輸送時に給油タンク収納室が変形し、液体燃料燃焼器のキャビネットがゆがんでしまうおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、円筒状本体を備えた交換式の液体燃料カートリッジを給油タンク収納室に挿入しやすい液体燃料燃焼器を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、給油タンク収納室に収納した液体燃料カートリッジが傾いて仕切り壁に近づくことがない液体燃料燃焼器を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、液だれして落ちた液体燃料が液体燃料タンク上に落ちない液体燃料燃焼器を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、金属製のカートリッジタンクが無くても、輸送時にキャビネットがゆがむことがない液体燃料燃焼器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、置き台と置き台の上に装着されるキャビネットからなるハウジングと、液体燃料タンクと、バーナ・アセンブリとを備えた液体燃料燃焼器を改良の対象としている。キャビネット内には、給油タンク収納室と、アセンブリ収納室が形成されている。給油タンク収納室とアセンブリ収納室との間には、給油タンク収納室とアセンブリ収納室を熱絶縁するように仕切る仕切り壁が備えられている。給油タンク収納室には、円筒状本体を備えた交換式の液体燃料カートリッジからなる給油タンクが、キャビネットの天板に形成された開口部から挿入され、収納される。液体燃料タンクは、給油タンク収納室内に収納された液体燃料カートリッジの燃料供給部が嵌合される燃料受入口を備えて、置き台上に配置されている。バーナ・アセンブリは、アセンブリ収納室内に配置されて液体燃料タンク内の液体燃料を燃焼させる。
【0013】
本発明の液体燃料燃焼器は、給油タンク収納室の開口部内に配置され、液体燃料カートリッジが給油タンク収納室に収納される際のガイドとなり、且つ給油タンク収納室に収納された液体燃料カートリッジの燃料供給部とは反対側に位置する円筒状本体の後端部が該後端部の全周に亘って横方向に動くことを制限するガイド部材を備えている。このようなガイド部材を備えることで、給油タンク収納室に液体燃料カートリッジを収納する際に液体燃料カートリッジの横方向の位置が固定され、液体燃料カートリッジを液体燃料タンク上の所定位置に対する位置決め固定をしやすくなる。また、給油タンク収納室に液体燃料カートリッジを収納した後は、円筒状本体の後端部が該後端部の全周に亘って横方向に動かないため、液体燃料カートリッジが傾いて仕切り壁に近づくことがない。
【0014】
ガイド部材の具体的な構成は任意であるが、例えば、円筒状本体の後端部が嵌る円筒部と、円筒部の上に配置されて開口部側から円筒部に向かって収束する傾斜部と、傾斜部に連続して設けられて開口部に対してガイド部材を位置決めする位置決め部からなっていてもよい。このように構成すれば、傾斜部によって液体燃料カートリッジが円筒部にガイドされることで液体燃料カートリッジの横方向の位置が固定され、液体燃料カートリッジを液体燃料タンクに固定しやすくなる。また、主に傾斜部が液体燃料タンクを覆うことになるため、液体燃料カートリッジを取り外す際、液だれが生じても、垂れた液体燃料が液体燃料タンクの上面に落ちてしまうことがない。さらに、このようなガイド部材によって給油タンク収納室が補強されるため、金属製のカートリッジタンクが無くても、輸送時にキャビネットがゆがむことがない。
【0015】
ガイド部材は、任意の方法で給油タンク収納室の開口部内に配置することができる。例えば、仕切り壁及びキャビネットの開口部を囲む周壁部とガイド部材との間に、ガイド部材の給油タンク収納室内への落下を阻止する複数の係止構造が開口部に沿って配置されていてもよい。該係止構造によって、ガイド部材が固定される。なお、ガイド部材が位置決め部を有している場合には、位置決め部に複数の係止構造が配置されていてもよい。
【0016】
ガイド部材の位置決め部と傾斜部の裏面部には、両者に跨がるように補強用リブが一体に形成されていてもよい。このようにすれば、傾斜部を薄肉に形成しても、ガイド部材の強度を保つことができる。
【0017】
従来の液体燃料燃焼器には、金属製のカートリッジタンクが液体燃料タンクの押え部材になっているものがある。そのため、金属製のカートリッジタンクがないと、輸送時に液体燃料タンクが動いてしまい、液体燃料燃焼器のキャビネットを内側から変形させてしまう可能性がある。そこで、これを防止するため、本発明は、さらに、液体燃料タンクを置き台に向かって押し付ける押し付け構造を備えていてもよい。押え付け部材は、液体燃料タンクの上面と接触する接触部と、該接触部に連結されて置き台に向かって延びる延伸部と、該延伸部の先端に設けられて置き台に設けられた被係合部に係合される係合部を有していてもよい。係合部が被係合部に係合された状態で、接触部が液体燃料タンクを置き台に向かって押し付ける。これによって液体燃料タンクが動くことを阻止できる。
【0018】
本発明は、さらに、燃料受入口に取り付けられ、液体燃料カートリッジの円筒状本体の前端部が嵌合される円筒形凹部と、円筒形凹部内に吐出された液体燃料を通す燃料排出孔を備えたアタッチメントを備えていてもよい。このようなアタッチメントを備えていれば、横方向の位置が固定された液体燃料カートリッジを、よりスムーズに液体燃料タンクに固定することができる。
【0019】
なお、アタッチメントを備えている場合、ガイド部材の円筒部の内径寸法は、アタッチメントの円筒形凹部の内径寸法と同じ、または、わずかに大きいことが好ましい。本明細書では、「わずかに大きい」とは、内径寸法の差が10mm以内程度のことを意味している。このようにすれば、ガイド部材によってガイドされた液体燃料カートリッジの前端部がスムーズにアタッチメント内に収まる。また、上述の円筒部と傾斜部を備えたガイド部材の場合には、傾斜部を伝って、円筒部から液体燃料タンクに固定されたアタッチメントに向かって落ちることになるので、液体燃料タンクの上面に燃料が飛散することがない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施の形態の液体燃料燃焼器の一部(前面)を破断した状態で示した図である。
【
図4】本実施の形態の液体燃料燃焼器1が備えているガイド部材25の斜視図である。
【
図5】(A)は、ガイド部材25の正面図、(B)は左側面図、(C)は右側面図、(D)は平面図、(E)は底面図、(F)は背面図である。
【
図7】
図5(D)のVII-VII線断面図である。
【
図9】(A)は、押し付け部材35の正面図であり、(B)は左側面図、(C)は右側面図、(D)は平面図、(E)は底面図である。
【
図10】キャビネット11を省略した状態の液体燃料燃焼器1の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の液体燃料燃焼器の実施の形態を詳細に説明する。
【0022】
[全体構成]
図1は、本実施の形態の液体燃料燃焼器の一部(前面)を破断した状態で示した図である。
図1では、給油タンク収納室15は、液体燃料カートリッジFCも含めて断面で示してあり、アセンブリ収納室17は、キャビネット11を破断した状態で示してある。
図2は、
図1のII-II線断面図、
図3は、
図1のIII-III線断面図である。
【0023】
まず、本願明細書においては、
図1乃至
図3に示すように、液体燃料燃焼器1に対して複数の方向を定めている。すなわち、左方向L及び右方向Rからなる左右方向LR、前方方向F及び後方方向Bからなる前後方向FB、上方向U及び下方向Dからなる上下方向UDを
図1乃至
図3に示すように定義している。
【0024】
液体燃料燃焼器1は、ハウジング3と、液体燃料タンク5と、バーナ・アセンブリ7とを備えている。本実施の形態において液体燃料燃焼器1は、従来の金属製のカートリッジタンクを給油タンクとして用いる灯油ファンヒータからなる液体燃料燃焼器の構造に、大きな設計変更を施さずに、液体燃料カートリッジFCを給油タンクとして用いる液体燃料燃焼器に変更するものである。したがって、出荷時の構造は、従来あった金属製のカートリッジタンクを省いたものに後述する工夫を加えたものである。
【0025】
ハウジング3は、置き台9と、置き台9の上に装着されるキャビネット11からなる。キャビネット11は、左右方向LRに延びる前方壁部11Aと、前方壁部11Aと対向する後方壁部11Bと、前方壁部11A及び後方壁部11Bとをつなぐ一対の側壁部11C,11Dと、置き台9と対向する天板19からなる。キャビネット11は、置き台9側に開口部11Eを有しており、この開口部11Eに隣接して、置き台9に設けた図示しない複数の被当接部に当接される複数の当接部を備えている。なお後述する押し付け部材35が係合される被係合部9A及び9B[
図10参照]を構成する貫通孔の縁部の立ち上がりが、この被当接部を構成している。またキャビネット11の前方壁部11Aの下方領域には、吹き出し口11F(
図10参照)が設けられている。更に後方壁部11Bの内壁部には、送風ファンF[
図3]が装着されており、また送風ファンFによって誘引される空気が入る複数の空気孔が形成されている。天板19には、液体燃料カートリッジFCを挿入する開口部21が形成されている。開口部21の一辺には、開口部21を塞ぐ蓋体23がヒンジ機構を介して取り付けられている。
【0026】
キャビネット11内には、仕切り壁13が設けられており、キャビネット11内は仕切り壁13によって、給油タンク収納室15と、アセンブリ収納室17に仕切られている。仕切り壁13は、キャビネット11の後方壁部11Bから延び、前後方向FBに延びる第1部分13Aと、第1部分13Aと連続して斜め方向に延びる第2部分13Bと、第2部分13Bと連続して延び前後方向FBに延びる第3部分13Cと、第3部分13Cと連続して延び、左右方向LRにキャビネット11の側壁部11Dまで延びる第4部分13Dを有しており、アセンブリ収納室17から給油タンク収納室15を熱絶縁している。
図2に示すように、仕切り壁13の第1部分13Aには、後述のガイド部材25の係合部が係合する被係合部13aが形成されており、また、第4部分13Dには、後述のガイド部材25を固定するねじ孔13dが形成されている。被係合部13aは、後述する舌片状の係合部41aが挿入されて係合される細長いスリット形状を有している。またねじ孔13dは、仕切り壁13の第4部分13Dを厚み方向に貫通し、後述するガイド部材25の位置決め部41の第4部分41Dに形成されたねじ孔41d(
図4参照)と整合する。
【0027】
給油タンク収納室15には、円筒状本体FCBを備えた使い捨て式の樹脂製の液体燃料カートリッジFCからなる給油タンクが、キャビネット11の天板19に形成された開口部21から挿入されて、収納される。
図1には、蓋体23を開けて、給油タンク収納室15内に液体燃料カートリッジFCを収納した状態で示してある。本実施の形態では、給油タンク収納室15の開口部21内に、後述のガイド部材25が備えられている(
図4乃至
図7参照)。
【0028】
液体燃料タンク5は、給油タンク収納室15内に収納された液体燃料カートリッジFCの燃料供給部FSが嵌合される燃料受入口27を備えて、置き台9上に配置されている。本実施の形態では、燃料受入口27に、
図8に示す、アタッチメント29が固定されている。アタッチメント29は、液体燃料カートリッジFCの円筒状本体FCBの前端部FEが嵌合される円筒形凹部31と、円筒形凹部31内に吐出された液体燃料を通す燃料排出孔33を備えている。さらに、本実施の形態では、液体燃料タンク5を置き台9に固定する後述の押し付け部材35を備えている(
図9及び
図10参照)。
【0029】
液体燃料カートリッジFCの燃料供給部FS(
図1)には、開閉弁アセンブリVAが備えられている。液体燃料カートリッジFCを液体燃料タンク5の燃料受入口27に固定されたアタッチメント29に嵌合することで、開閉弁アセンブリVAが開き、液体燃料カートリッジFCと液体燃料タンク5が連通し、液体燃料カートリッジFCの本体FCB内に充填された液体燃料(本実施の形態では、灯油)が液体燃料タンク5内に移動する。
【0030】
なお、液体燃料カートリッジFCとアタッチメント29については、本願出願人が先に出願した特願2018-12402号(特開2018-124051号公報)に記載した液体燃料カートリッジとアタッチメントと同じものである。液体燃料カートリッジFCとアタッチメント29は、本発明の要旨とは関係しないので、上記特許出願を引用してさらなる詳細な説明を省略する。
【0031】
バーナ・アセンブリ7は、給油タンク収納室15の下方に配置された液体燃料タンク5内の液体燃料を燃焼させる。
【0032】
[ガイド部材]
図4は、本実施の形態の液体燃料燃焼器1が備えているガイド部材25の斜視図であり、
図5(A)は、ガイド部材25の正面図、(B)は左側面図、(C)は右側面図、(D)は平面図、(E)は底面図、(F)は背面図である。
図6は、
図5(D)のVI-VI線断面図、
図7は、
図5(D)のVII-VII線断面図である。
【0033】
ガイド部材25は、給油タンク収納室15の開口部21内に取り付けられるものであり、絶縁樹脂の一体成形品として形成されている。ガイド部材25は、液体燃料カートリッジFCの円筒状本体FCBの後端部REが嵌る円筒部37と、円筒部37の上に配置されて開口部21側から円筒部37に向かって収束する傾斜部39と、傾斜部39に連続して設けられて開口部21に対してガイド部材25を位置決めする位置決め部41からなる。
【0034】
位置決め部41は、仕切り壁13とキャビネット11で形成された給油タンク収納室15の周壁部の輪郭と整合する形状を有しており、仕切り壁13の第1部分13Aに沿って延びる第1部分41Aと、仕切り壁13の第2部分13Bに沿って延びる第2部分41Bと、仕切り壁13の第3部分13Cに沿って延びる第3部分41Cと、仕切り壁13の第4部分13Dに沿って延びる第4部分41Dと、キャビネット11の側壁部11Dに沿って延びる第5部分41Eと、キャビネット11の後方壁部11Bに沿って延びる第6部分41Fを有している。位置決め部41の第1部分41Aには、仕切り壁13に設けた細長いスリット状の被係合部13aと係合する舌片状の係合部41aが形成されており、第4部分41Dには、ねじ孔13dと整合する位置にねじ孔41dが形成されている。第5部分41E及び第6部分41Fには、外方向に突出し、それぞれキャビネット11の側壁部11Dに設けられた突出片11dに係止される突出部41e及び後方壁部11Bに沿って設けられて開口部21の縁部に係止される突出部41fが形成されている。係合部41a、ねじ孔41d、突出部41e及び突出部41fが、ガイド部材25が給油タンク収納室への落下を阻止するガイド部材25側の係止構造を構成している。
【0035】
突出部41eと位置決め部41の第5部分41Eの表面部、及び、突出部41fと位置決め部41の第6部分41Fの表面部には、両者に跨るように補強用リブ43,45が一体に形成されている(
図5(D)参照)。また、ガイド部材25の位置決め部41と傾斜部39の裏面部にも、両者に跨がるように補強用リブ47が一体に形成されている(
図5(E)参照)。
【0036】
ガイド部材25の円筒部37は、アタッチメント29の円筒形凹部31と同心円状に配置されるようになっている。本実施の形態では、ガイド部材25の円筒部37の内径寸法W1は、アタッチメント29の円筒形凹部31の内径寸法W2よりも6mm程大きく設計されている。また、ガイド部材25の円筒部37の内径寸法W1は、液体燃料カートリッジFCの後端部REの直径寸法よりも大きく、液体燃料カートリッジFCの円筒状本体FCBの最大直径部分W3よりも3mm程大きく設計されている。
【0037】
開口部21にガイド部材25が備えられていることで、液体燃料カートリッジFCの前端部FEは、傾斜部39によって円筒部37にガイドされ、アタッチメント29の円筒形凹部31へと導かれ、液体燃料カートリッジFCの後端部REが該後端部の全周に亘って横方向へ動くことが制限される。また、液体燃料カートリッジFCを取り外す際に液だれが生じた場合には、液体燃料は傾斜部39に落ちることになる。傾斜部39に落ちた液体燃料は、傾斜部39を伝って円筒部37に導かれ、アタッチメント29の円筒形凹部31内に落ちるため、液だれによる臭気を抑えることができる。
【0038】
[押し付け部材]
本実施の形態の液体燃料燃焼器1は、上述のように、元々は金属製のカートリッジタンクを備えているものとして設計されたものであり、金属製のカートリッジタンクが、輸送時の液体燃料タンク5の押え部材として機能していたものである。そのため、金属製のカートリッジタンクが省略されている本実施の形態では、液体燃料タンク5を押える部材として、押し付け部材35を備えている。
【0039】
図9(A)は、押し付け部材35の正面図であり、(B)は左側面図、(C)は右側面図、(D)は平面図、(E)は底面図である。背面図は、正面図と同様に現れるため、図示を省略している。
図10は、キャビネット11を省略した状態の液体燃料燃焼器1の斜視図である。
【0040】
押え付け部材35は、液体燃料タンク5の上面と接触する接触部35Aと、該接触部35Aに連結されて置き台9に向かって延びる延伸部35Bと、該延伸部35Bの先端に設けられて置き台9に設けられた被係合部9A,9Bに係合される係合部35C,35Dを有している。接触部35Aと延伸部35Bの表面部には、両者に跨るように補強用リブ49が一体に形成されている。
図10に示すように、係合部35C,35Dが被係合部9A,9Bに係合された状態で、接触部35Aが液体燃料タンク5を置き台9に向かって押し付ける。
【0041】
被係合部9A,9Bは、置き台9に対して、キャビネット11の位置決めをするための、置き台9の周囲に複数形成されているキャビネット位置決め孔のうちの2つである。
【0042】
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で変更が可能であるのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によれば、円筒状本体を備えた交換式の液体燃料カートリッジを給油タンク収納室に挿入しやすい液体燃料燃焼器を提供することができる。また、給油タンク収納室に収納した液体燃料カートリッジが傾いて仕切り壁に近づくことがない液体燃料燃焼器を提供することができる。また、液だれして落ちた液体燃料が液体燃料タンク上に落ちない液体燃料燃焼器を提供することができる。さらに、金属製のカートリッジタンクが無くても、輸送時にキャビネットがゆがむことがない液体燃料燃焼器を提供することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 液体燃料燃焼器
3 ハウジング
9 置き台
11 キャビネット
5 液体燃料タンク
27 燃料受入口
7 バーナ・アセンブリ
13 仕切り壁
15 給油タンク収納室
17 アセンブリ収納室
19 天板
21 開口部
23 蓋体
25 ガイド部材
37 円筒部
39 傾斜部
41 位置決め部
29 アタッチメント
31 円筒形凹部
33 燃料排出孔
35 押し付け部材
43,45,47,49 補強用リブ
FC 液体燃料カートリッジ
FCB 円筒状本体
FS 燃料供給部
VA 開閉弁アセンブリ
FE 前端部
RE 後端部