IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社トヨトミの特許一覧

<>
  • 特許-液体燃料燃焼器のポット式バーナ 図1
  • 特許-液体燃料燃焼器のポット式バーナ 図2
  • 特許-液体燃料燃焼器のポット式バーナ 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】液体燃料燃焼器のポット式バーナ
(51)【国際特許分類】
   F23K 5/02 20060101AFI20230929BHJP
   F23D 5/04 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
F23K5/02 Z
F23D5/04 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019237267
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021105487
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003229
【氏名又は名称】株式会社トヨトミ
(72)【発明者】
【氏名】中島 明
(72)【発明者】
【氏名】岡本 亘史
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-096710(JP,U)
【文献】実開昭59-153412(JP,U)
【文献】実開昭59-139764(JP,U)
【文献】実開平07-032313(JP,U)
【文献】実開昭55-006554(JP,U)
【文献】特開平10-332145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23K 5/02
F23D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼用空気が送られる風胴内に、多数の小径空気孔を側壁に設けた有底筒形のポットを装着し、前記ポットに燃料を供給する燃料ポンプに燃料パイプを接続し、前記燃料パイプに連なる送油ノズルは前記ポットの側壁に取り付けた案内筒内を通して先端を前記ポット内に位置させた構造の液体燃料燃焼器のポット式バーナにおいて、
前記風胴の側壁には前記送油ノズルの取付孔を設け、前記ポットの側壁には風胴内とポット内を連通する連通孔を設け、
前記送油ノズルは前記取付孔から前記風胴内に挿通されて係止部材によって前記風胴の側壁に取り付けられ、前記送油ノズルの先端は前記連通孔から前記ポット内に届いており、
前記案内筒は先端が前記連通孔に接続され、後側の開口端部が前記係止部材と所定の間隔をあけて対向する長さに設定され、
前記案内筒の前記開口端部と前記係止部材との間には、前記送油ノズルに嵌合すると共に先端部が前記案内筒の前記開口端部と密着する形状を持つ筒状の封止部材を設け、
前記封止部材には前記後端部側の内径を広げる拡径部と、前記後端部の外径を広げる鍔部とを設けると共に、
前記封止部材の先端部から前記後端部までの長さ方向の寸法が前記案内筒の前記開口端部から前記係止部材までの間隔以上に設定され、
前記封止部材は前記係止部材によって前記後端部が押圧されて前記拡径部がたわみ、前記拡径部に発生する復元力によって前記先端部を前記案内筒の前記開口端部に密接させ、前記後端部と前記鍔部とを前記係止部材に密接させることを特徴とする液体燃料燃焼器のポット式バーナ。
【請求項2】
前記封止部材は前記拡径部が変形しても前記後端部と前記鍔部とが変形することなく前記係止部材と密接されるように、前記拡径部と前記鍔部の厚さ方向の寸法が設定されていることを特徴とする請求項1記載の液体燃料燃焼器のポット式バーナ。
【請求項3】
前記封止部材の後端部の前記拡径部と連続する内周縁および、前記鍔部と連続する外周縁を湾曲面で構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の液体燃料燃焼器のポット式バーナ。
【請求項4】
前記送油ノズルが前記燃料パイプ内に係合し、前記係止部材が前記燃料パイプの外周に係合して一体に構成され、
前記燃料パイプの先端の前記係止部材との係合部が前記封止部材の前記拡径部の内側の空間内に位置することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液体燃料燃焼器のポット式バーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は液体燃料を燃焼させて暖房に利用する液体燃料燃焼器のポット式バーナの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポット式バーナは円筒形の風胴に接続された燃焼空気用送風機より燃焼用空気が送り込まれる。風胴内には有底筒形のポットを備え、ポットの側壁には小径空気孔を多数配置し、その小径空気孔の位置と大きさによって制御された燃焼用空気がポット内に供給される。
【0003】
一方、燃焼に必要な燃料は燃料ポンプにより供給される。燃料ポンプに接続した燃料パイプを通して、風胴内を貫通するようにしてポット側壁からポット内部に伸ばした送油ノズルによってポット底面に供給される。
【0004】
ポットに供給された燃料は燃焼熱で高温となっているポット底面で気化ガス化し、ポット側壁の小径空気孔から供給される燃焼用空気によって気化ガスの一部が燃焼しながら混合ガスを作り、発生した燃焼ガスと残りの混合ガスはポット上部の燃焼室で完全燃焼するものとなっている。
【0005】
ポットの側壁には送油ノズルが貫通する連通孔が設けられ、この連通孔には案内筒が取り付けられている。案内筒の開口端部と送油ノズルを風胴の側壁に固定するための係止部材との間には封止部材が配置されており、封止部材が案内筒の開口端部と密着することで、ポット内の燃焼ガスや臭気が送油ノズルの取付け部から外部に漏れ出さないようにしている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平10-332145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記構造において、案内筒の開口端部と係止部材との間の位置があっていないと、案内筒の開口端部と封止部材との間に隙間ができてしまったり、封止部材に無理な力がかかって封止部材を破損させたりする恐れがある。そのため、案内筒と係止部材との間の位置関係の寸法精度が要求されるが、案内筒は円筒形のポット側壁に取付けられるため取付け角度にばらつきが生じやすく、案内筒の開口端部の位置が安定しないため、案内筒の開口端部と係止部材との間の位置関係の寸法管理が難しくなりコストアップにつながっていた。
【0008】
また、燃料パイプと送油ノズルと係止部材との連結部分は溶接やカシメなどで固定する方法が一般的であるが、この部分の固定方法が変更されると連結部分の形状も変わる可能性があり、連結部分の形状変更にあわせて一部のみ形状の異なる封止部材を用意する必要がある。この場合、封止部材は外観形状がほとんど同じであるため、部品の手配ミスがあったときに間違いに気付きにくく、部品管理の面において課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は上記の課題を解決するもので、燃焼用空気が送られる風胴1内に、多数の小径空気孔2aを側壁に設けた有底筒形のポット2を装着し、前記ポット2に燃料を供給する燃料ポンプ3に燃料パイプ4を接続し、前記燃料パイプ4に連なる送油ノズル5は前記ポット2の側壁に取り付けた案内筒6内を通して先端を前記ポット2内に位置させた構造の液体燃料燃焼器のポット式バーナにおいて、前記風胴1の側壁には前記送油ノズル5の取付孔1aを設け、前記ポット2の側壁には風胴1内とポット2内を連通する連通孔2bを設け、前記送油ノズル5は前記取付孔1aから前記風胴1内に挿通されて係止部材7によって前記風胴1の側壁に取り付けられ、前記送油ノズル5の先端は前記連通孔2bから前記ポット2内に届いており、前記案内筒6は先端が前記連通孔2bに接続され、後側の開口端部6aが前記係止部材7と所定の間隔をあけて対向する長さに設定され、前記案内筒6の前記開口端部6aと前記係止部材7との間には、前記送油ノズル5に嵌合すると共に先端部8aが前記案内筒6の前記開口端部6aと密着する形状を持つ筒状の封止部材8を設け、前記封止部材8には前記後端部8b側の内径を広げる拡径部8cと、前記後端部8bの外径を広げる鍔部8dとを設けると共に、前記封止部材8の先端部8aから前記後端部8bまでの長さ方向の寸法が前記案内筒6の前記開口端部6bから前記係止部材7までの間隔以上に設定され、前記封止部材8は前記係止部材7によって前記後端部8bが押圧されて前記拡径部8bがたわみ、前記拡径部8cに発生する復元力によって前記先端部8aを前記案内筒6の前記開口端部6aに密接させ、前記後端部8bと前記鍔部8dとを前記係止部材7に密接させることを特徴とする液体燃料燃焼器のポット式バーナである。
【0010】
また、前記封止部材8は前記拡径部8cが変形しても前記後端部8bと前記鍔部8dとが変形することなく前記係止部材7と密接されるように、前記拡径部8cと前記鍔部8dの厚さ方向の寸法が設定されていることにより、前記封止部材8が前記係止部材7によって押圧されたときに、前記拡径部8cがたわんで変形することで前記案内筒6の後端部6aと前記係止部材7との間の寸法誤差を吸収し、前記後端部8bと前記鍔部8dは変形することなく前記係止部材7に確実に密接することができるものである。
【0011】
また、前記封止部材8の前記後端部8bの前記拡径部8bと連続する内周縁および、前記鍔部8dと連続する外周縁を湾曲面で構成したことにより、前記後端部8bと前記係止部材7との間に隙間が生じることなく確実に密接することができるものである。
【0012】
また、前記送油ノズル5が前記燃料パイプ4内に係合すると共に、前記係止部材7が前記燃料パイプ4の外周に係合して一体に構成され、前記燃料パイプ4の先端の前記係止部材7との係合部4aが前記封止部材8の前記拡径部8cの内側の空間8e内に位置することにより、前記燃料パイプ4の先端と前記係止部材7との係合部4aの形状に関係なく、封止部材8を取り付けることができるものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明の液体燃料燃焼器のポット式バーナでは、封止部材8が確実に案内筒6と送油ノズル5の係止部材7に密接することができるものとなり、ポット2内の燃焼ガスや臭気が送油ノズル5の取り付け部付近から漏れ出すことのないバーナ構造を実現できたものである。
【0014】
また、案内筒6と係止部材7の間の位置関係に多少の誤差があっても、封止部材8の破損や隙間ができることがなく確実に密接することができるものとなり、案内筒と係止部材7との間の寸法管理が容易になり、生産コストの低減が期待できるものとなった。
【0015】
また、燃料パイプ4と送油ノズル5と係止部材7との連結部分の固定方法として、溶接やカシメなどの方法があるが、固定方法の変更によって連結部分の形状が異なる場合でも封止部材8はそのまま使用することができるので、封止部材8を複数種類用意する必要がなく、部品の手配ミスが起こる心配はなくなり、部品管理が容易になるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の実施例を示す液体燃料燃焼器のポット式バーナの要部断面図である。
図2】この発明の実施例を示す送油ノズルを取付け前後の状態を示す要部断面図である。
図3】この発明の他の実施例を示す送油ノズルを取り付け後の状態を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図に示す実施例によってこの発明を説明すると、1は燃焼用空気が送られる風胴、2は風胴1内に配置した有底筒形のポット、9はポット2に燃焼用空気を供給する燃焼ファン、2aは風胴1に送られた燃焼用空気が供給できるようにポット2の側壁に設けた多数の小径空気孔である。
【0018】
10はポット2に供給される燃料を蓄える燃料タンク、11は燃料タンク10に燃料を供給するカートリッジタンクであり、燃料の入ったカートリッジタンク11を給油口キャップ11aを下向きにして燃料タンク10の開口部10aに装着すると、給油口キャップ11aに設けた開閉弁が開き、カートリッジタンク11内の燃料が燃料タンク10内に供給される。
【0019】
4は燃料タンク10とポット2に接続する燃料パイプ、5は燃料パイプ4の先端に連結された送油ノズル、3は燃料パイプ4の途中に取り付けた電磁ポンプで構成する燃料ポンプであり、燃料タンク10の燃料は燃料ポンプ3によって吸い上げられ、燃料パイプ4を通って送油ノズル5からポット2内に滴下される。
【0020】
12はポット2の側壁からポット2の底面と間隔を介して取り付けた予熱兼用の点火ヒータ、13はポット2内に配置された助燃部材、14はポット2の上方に連続して配置された燃焼室であり、液体燃料燃焼器の運転を開始すると点火ヒータ12によってポット2が加熱され、ポット2が燃焼に適する温度になると燃料ポンプ3と燃焼ファン9が駆動してポット2に燃料と燃焼用空気が供給され、高温になったポット2に送られた燃料が点火ヒータ12の熱で着火して燃焼を開始する。
【0021】
燃焼中は送油ノズル5から滴下する燃料が燃焼熱で高温となっているポット2の底面で気化して初期燃焼を開始し、小径空気孔2aから供給される燃焼用空気と助燃部材13の働きで混合し、ポット2の上方の燃焼室14内で完全燃焼する。
【0022】
7は燃料パイプ4と送油ノズル5を風胴1の側壁に固定するための係止部材であり、燃料パイプ4が係合する孔を備えた基部7aと、基部7aの両端を所定の角度に折り曲げて形成した取付片7bとで構成され、取付片7bには図示しないネジ孔が設けてある。図2に示す実施例において、燃料パイプ4は先端を少し残してフランジ4bを形成しており、燃料パイプ4の先端を係止部材7の基部7aに設けた孔に挿通し、燃料パイプ4の先端とフランジ4bとの間でカシメ加工を行なうと、係止部材7の基部7aが燃料パイプ4の先端とフランジ4bの間に圧着され一体に構成される。送油ノズル5は燃料パイプ4と係止部材7の係合部4aであるカシメ位置よりも奥まで挿入し、燃料パイプ4と送油ノズル5との間でカシメ加工を行なうことで、燃料パイプ4と送油ノズル5とが一体に構成される。
【0023】
1aは風胴1の外側方から送油ノズル5を取り付けることができるようにするために風胴1の側壁に設けた取付孔、2bは送油ノズル5の先端が貫通するようにポット2の側壁に設けた連通孔であり、風胴1の取付孔1aがポット2の連通孔2bよりも高い位置に設けられ、取付孔1aと連通孔2bとに挿通されて風胴1の側壁に取り付けられた送油ノズル5が斜め下を向くようになっている。
【0024】
6はポット2の連通孔2bに取り付けた円筒状の案内筒であり、連通孔2bの周囲のポット2の側壁に溶接によって固定されている。案内筒6は開口端部6a側が高く位置するように所定の角度をつけて傾斜して取り付けられており、開口端部6aが風胴1の取付孔1aと所定の間隔をあけて対向するように案内筒6の長さを設定している。
【0025】
8は一定の厚みのある筒状の弾性素材で構成した封止部材であり、封止部材8の先端部8aが案内筒6の開口端部6aに取り付けられる。封止部材8の先端部8aには案内筒6の開口端部6aと嵌合するためのリング状の溝が形成されており、封止部材8の先端部8aが案内筒6の開口端部6aと密接するようになっている。また、封止部材8の中心には送油ノズル5が挿通できるように孔を設けてあり、封止部材8の内径を送油ノズル5の外径と一致させ、封止部材8の内周面と送油ノズル5の外周面とが密着するようになっている。
【0026】
封止部材8の後端部8b側には内径を拡げる拡径部8cが設けてあり、拡径部8cの長さ寸法は封止部材8の全体の長さ寸法の4分の1程度に設定され、厚さ寸法は孔が形成された部分の厚さ寸法の2分の1程度に設定されている。また、封止部材8の後端部8bには外径を拡げる鍔部8dが設けてあり、鍔部8dの厚さ寸法は拡径部8cの厚さ寸法の1.5~2倍に設定され、長さ寸法は拡径部8c全体の長さ寸法の2分の1程度に設定されている。
【0027】
封止部材8の長さ方向の寸法は、案内筒6の開口端部6aと風胴1に取り付けた送油ノズル5の係止部材7との間の間隔よりも長く設定しており、封止部材8を風胴1の取付孔1aから風胴1内に挿通し、先端部8aに形成された溝を案内筒6の開口端部6aに嵌合させるようにして取り付けると、封止部材8の後端部8bが風胴1の取付孔1aから外側に突出した状態となる。
【0028】
次に、送油ノズル5を風胴1の取付孔1aから挿通し、封止部材8の孔と案内筒6を貫通して送油ノズル5の先端がポット2内に届く位置まで差し込むと、図2(a)の状態となる。この位置から係止部材7の基部7aが風胴1の取付孔1aから突出した封止部材8の後端部8bに当接する位置まで押込み、取付片7bに設けたネジ孔に固定ネジを装着するときに、封止部材8が案内筒6方向に押圧され、厚さの薄い拡径部8cがたわんで後端部8bが外方に広がる。後端部8bは外側に設けた鍔部8cによって厚みがあり、一定の強度があるため、後端部8bの形状が変形することなく係止部材7と当接することができる。
【0029】
固定ネジによって係止部材7が風胴1の側壁に固定されて送油ノズル5が風胴1の側壁に取り付けられると、図2(b)の状態となり、封止部材8は案内筒6と係止部材7とによって挟持され、封止部材8には拡径部8bが元の形状に戻ろうとする復元力が発生するので、封止部材8の先端部8aが案内筒6の開口端部6bに押し付けられ、封止部材8の先端部8aの溝が案内筒6の開口端部6aに嵌り込んだ状態で密接する。一方、封止部材8の後端部8bも係止部材7に押し付けられ、封止部材8の後端部8bは変形することなく係止部材7の基部7aと密接する。
【0030】
このようにすると、案内筒6の開口端部6aと封止部材8の先端部8aとの間に隙間が生じることなく、案内筒6の開口端部6aを密閉することができる。また、封止部材8の後端部8bと係止部材7の基部7aとの間にも隙間が生じることなく、封止部材8の後端部8bを密閉することができ、ポット2内の燃焼ガスや臭気が送油ノズル5の外周面と封止部材8の内周面との間を通過したとしても、燃焼ガスや臭気は拡径部8bの内側に形成された空間8e内にとどまるものとなる。このため、ポット2内の燃焼ガスや臭気が案内筒6の開口端部6aや送油ノズル5の周囲から外部に流出することがないものとなった。
【0031】
ところで、案内筒6は円筒のポット2の側壁に所定の角度で取り付けるため、傾きに誤差が生じやすい構造となっている。また、風胴1の側壁とポット2の側壁との間の寸法にも誤差が生じやすい構造となっている。このため、案内筒6の開口端部6aと係止部材7の基部7aとの間の位置関係の寸法管理を正確に行なうことが難しいものである。
【0032】
この発明では、封止部材8の拡径部8cのたわみ量が変化することで案内筒6の開口端部6aと係止部材7の基部7aとの間にある誤差を吸収することができるので、封止部材8の先端部8aと後端部8bに無理な力がかかって変形することがなく、案内筒6の開口端部6aと係止部材7とに密接した状態を保持できるものとなった。このため、案内筒6や係止部材7との間に隙間ができたり、封止部材8を破損させたりすることがないものである。
【0033】
この構成によって、案内筒6の開口端部6aと係止部材7との間の寸法誤差の許容範囲を広げることができるので、案内筒6の開口端部6aと係止部材7との間の位置関係の寸法管理が容易になり、生産コストの低減が期待できるものとなった。
【0034】
また、封止部材8は、後端部8bの拡径部8cと連続する内周縁と、鍔部8dと連続する外周縁とを湾曲面で構成しており、後端部8bの形状が係止部材7方向に凸となるように湾曲した形状としている。このようにすると、封止部材8が係止部材7によって押圧され、拡径部8cがたわんで後端部8bが外側に広がるときに係止部材7との接触面が変化するが、後端部8bに備えた湾曲面が係止部材7と接触することで、後端部8bが係止部材7から離れることなく密接した状態を保持できるものとなる。
【0035】
そのため、案内筒6の開口端部6aと係止部材7との位置関係に誤差があり、拡径部8cのたわみ量が大きくなって封止部材8の後端部8bが外側に大きく広がるときでも、後端部8bと係止部材7との間に隙間を生じさせることなく、密接した状態を保持できるものである。
【0036】
また、封止部材8の後端部8bは、燃料パイプ4の先端の係止部材7との係合部4aよりも外側で係止部材7の基部7aと密接しており、係合部4aが拡径部8cと係止部材7の基部7aによって囲まれた空間8e内に位置している。このようにすると、係合部4aの形状に関係なく、封止部材8が係合部4aと接触することなく係止部材7と密接させることができる。
【0037】
図3に示す実施例は、燃料パイプ4と送油ノズル5と係止部材7が溶接によって固定されたものであり、係合部4aが送油ノズル5の周囲の円錐状の溶接ビードとなっており、図2の実施例とは係合部4aの形状が異なっているが、封止部材8の後端部8bは係合部4aとなる円錐状の溶接ビードに接触することなく、係止部材7の基部7aと密接することができる。
【0038】
このため、燃料パイプ4と係止部材7の係合方法が変更されて、係合部4aの形状が異なる場合でも、封止部材8は同じ形状のものをそのまま使用することができ、形状の異なる封止部材8を複数用意する必要がなくなり、部品の共通化によるコストの低減と部品間違いの問題も起こらないものとなる。
【符号の説明】
【0039】
1 風胴
1a 取付孔
2 ポット
2a 小径空気孔
2b 連通孔
3 燃料ポンプ
4 燃料パイプ
4a 係合部
5 送油ノズル
6 案内筒
6a 開口端部
7 係止部材
8 封止部材
8a 先端部
8b 後端部
8c 拡径部
8d 鍔部
図1
図2
図3