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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】物品移載装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 57/04 20060101AFI20230929BHJP
   B65G 47/91 20060101ALI20230929BHJP
   B65G 47/52 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
B65G57/04
B65G47/91 A
B65G47/52 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019079845
(22)【出願日】2019-04-19
(65)【公開番号】P2020175993
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】入野 晃一
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-239457(JP,A)
【文献】特開2017-190163(JP,A)
【文献】特開2003-160227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 57/00-57/32
B65G 47/90-47/92
B65G 47/52
B65B 35/00-35/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側の搬送経路を移動する物品を保持し、その保持した物品を移動して下流側の搬送経路に供給する移載装置本体と、
前記物品の表面を一時的に滑りにくい状態にするための静電発生装置を備え、
前記一時的に滑りにくい状態にする処理は、前記表面を帯電することであり、
前記移載装置本体は、前記物品を、前記静電発生装置を経由して前記下流側の搬送経路に移動する機能と、前記静電発生装置を経由せずに前記下流側の搬送経路に移動する機能と、前記下流側の搬送経路に供給する際に先に供給した物品に重ねて供給する機能とを備え、
前記静電発生装置は静電気を常時発生し、前記物品の経路を変えることで前記物品に対する帯電の有無を切り換え得るように構成したこと特徴とする物品移載装置。
【請求項2】
段積される複数の物品のうち一番下になる前記物品を前記静電発生装置を経由せずに前記下流側の搬送経路に移動して帯電処理を行わないように構成したこと特徴とする請求項1に記載の物品移載装置。
【請求項3】
前記静電発生装置は、上向きに静電気を放電する機能を備え、
前記移載装置本体は、前記物品の搬送状態における下面を、前記上向きに静電気を放電する機能により放電される前記静電気により帯電されるように前記物品を移動することを特徴とする請求項1または2に記載の物品移載装置。
【請求項4】
前記静電発生装置は、前記物品の表面の異なる面を一時的に滑りにくい状態にするものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の物品移載装置。
【請求項5】
前記物品は、包袋体であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の物品移載装置。
【請求項6】
前記移載装置本体は、保持した前記物品を三次元空間内の任意の位置に移動するロボットであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の物品移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品移載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の物品を重ねた状態で包装処理を行う場合、包装機本体の上流側で当該重ねた状態の物品群を形成し、その物品群に対して包装機本体で包装処理を行う。係る物品群を形成する装置として、例えば、特許文献1に開示された物品積み替え装置がある。係る物品積み替え装置は、第1コンベアと第1コンベアの下流側に配置される第2コンベアと、それら両コンベアの間に配置されるロボットを備える。第1コンベアは、N列の物品を搬送する。第2コンベアは、M列(M>N)の物品を搬送する。ロボットは、第1コンベアにより搬送されてきた包装物を、第2コンベアに積み替える。ロボットは、第1コンベアのN列の物品が、第2コンベアにおいてM列になり、且つ、第2コンベアにおいて2以上の物品が上下に積み重なるように、第1コンベアから第2コンベアへの物品の積み替えを行うように構成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6371494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された物品積み替え装置は、2以上の物品を上下に重ねるとしているが、図示された実施例では、2個の物品を前後に一部ずらして重ねるようにしている。例えば、重ねる個数が多くなるにつれて、ロボットにて第2コンベア上にある物品・物品群の上に重ねる際に荷崩れを生じたり、一旦綺麗に積み上がっても搬送途中に荷崩れを生じたりするおそれが高くなる。特に、刺身盛りのように複数の物品を一部ずらしながら重ねた状態の物品群とした場合、そのずらし方向に物品がずれて、物品群の全体が広がりやすくなる。さらに、物品が例えば袋状の包装体の場合、その表面は包装フィルムであるので滑りやすく、また、外形状が不定形・変形可能なものの場合、上記の問題はより顕著に生じやすくなる。
【0005】
そのため、例えば重ねる段数を少なく(例えば2個)したり、包装フィルムに滑りにくい材質のものを用いたり、手作業で詰め込んだりするなど、各種の制約が生じ、自由な包装形態・包装態様をとることができず、また、高速対応のネックにもなる。
【0006】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できれば良い。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の物品移載装置は、(1)上流側の搬送経路を移動する物品を保持し、その保持した物品を移動して下流側の搬送経路に供給する移載装置本体と、前記物品の表面を一時的に滑りにくい状態にするための処理装置を備え、前記移載装置本体は、前記物品を、前記処理装置を経由して前記下流側の搬送経路に移動する機能と、前記下流側の搬送経路に供給する際に先に供給した物品に重ねて供給する機能とを備えるようにした。
【0008】
このようにすると、上流側の搬送経路を移動する物品は、移載装置本体に保持されて所定の移動経路を経由して下流側の搬送経路に移し替えられる。このとき、その下流側の搬送経路の上に先に供給された物品が存在する場合、その物品の上に重ねるように供給する。これにより、下流側の搬送経路には、複数の物品が重ねられた状態の物品群が構成される。そして本発明では、その物品の上流側の搬送経路から下流側の搬送経路への移動中に、処理装置により物品の表面が一時的に滑りにくい状態にされる。そこで、下流側の搬送経路において物品を積み重ねるに際し、その滑りにくい状態となった表面を、重ねる別の物品の表面と接触させるようにすることで、横滑りを抑制する。一時的に滑りにくい状態にすることで、例えば、その後の下流側の搬送経路を移動中の物品群は荷崩れなど生じることなく搬送できる。そして、重なった物品同士は、例えば接着剤等による固定ではなく、所定の時間が経過すると、滑りにくい状態が解消され、個々の物品同士は何ら制限なく分離・離反可能となる。よって、例えば、積み重ねる物品の段数を多くしたり、崩れやすい形態(例えば、実施形態のサシミ状など)に積み上げたり、下流側の搬送経路における搬送速度を速くしたりしても、荷崩れを防止することができる。その結果、例えば、生産性を向上したり、今まで製造できなかった物品の配列で包装処理をしたりすることができる。
【0009】
滑りにくい状態にするための処理は、例えば、一時的に物品の表面同士が接着・密着するような状態にするための処理であり、実施形態では、静電気を用いた帯電処理や、水等の液体の付着・噴霧処理に対応する。物品の上下の積み重ねは、実施形態に示すように、横ずれすることなく真上に平積みして重ねる場合や、横にずらしながら重ねる場合などがある。
【0010】
(2)前記処理装置は、静電発生装置であり、前記一時的に滑りにくい状態にする処理は、前記表面を帯電することとするとよい。このようにすると、簡単な処理で帯電させることができ、静電気により接触する物品同士を簡単に接着・吸着させ、積み重ねた物品が荷崩れすることを確実に抑止できる。静電気は、時間の経過とともに自然に消失するので良い。例えば物品の表面が、フィルム・プラスチック材など静電気が帯電しやすい材料で構成される場合により顕著に機能するのでよい。
【0011】
(3)前記静電発生装置は、上向きに静電気を放電する機能を備え、前記移載装置本体は、前記物品の搬送状態における下面を、前記上向きに静電気を放電する機能により放電される前記静電気により帯電されるように前記物品を移動するように構成すると良い。このようにすると、例えば、物品3を、上下を反転することなく上流側の搬送経路から下流側の搬送経路に移動させるとともに、その移動途中で下面を帯電させることができるので良い。
【0012】
(4)前記処理装置は、前記物品の表面の異なる面を一時的に滑りにくい状態にするものとするとよい。このようにすると、異なる面で滑りにくい状態となるので、複数の面で対応する物品同士の滑りを抑制できる。
【0013】
(5)前記物品は、包袋体とするとよい。例えば、包装体は、表面が平面でなかったり、フィルム・プラスチック材のように滑りやすい材質であったりするものがおおいが、係る場合でも処理装置による処理によって一時的に滑りにくい状態にできるので、安定した姿勢で積み重ねることができる。
【0014】
(6)前記移載装置本体は、保持した前記物品を三次元空間内の任意の位置に移動するロボットとするとよい。このようにすると、簡単な構成・制御で、物品の移し替えや積み重ねとともに、処理装置における所定の処理を行わせることができる。
【0015】
(7)保持した物品を移動中に帯電させ、搬送経路上を移動するフィルムの上に位置決めして供給する移載装置本体を備えるとよい。このようにすると、移動するフィルムの上に位置決めして物品を供給することができ、フィルムの上に置かれた物品は、帯電によりフィルムに位置決め固定される。よって、フィルムが移動しても、フィルムと共に物品は安定して移動する。移動するフィルムの上に供給とは、必ずしも移動中のフィルムに供給するものに限るものではなく、例えば一時停止中のフィルムの上に供給するものも含むとよい。つまり、物品を供給後に移動するフィルムの上に位置決めして供給するものも含むとよい。一時停止中のフィルムであっても、その後に移動するものの場合、帯電した物品を供給することで、当該物品は移動するフィルムと一体になって移動するのでよい。
【0016】
(8)上流側の搬送経路を移動する物品を保持し、その保持した物品を移動して下流側の搬送経路に供給する移載装置本体と、前記物品の表面を一時的に滑りにくい状態にするための帯電装置を備え、前記移載装置本体は、上流側の搬送経路の段積品を、前記帯電装置を経由して前記下流側の搬送経路に移動するものとするとよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、例えば物品群の姿勢を崩さずに、積み重ね、搬送したり、例えばフィルム上に安定した状態で物品を位置決め供給したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(a)は本発明に係る物品移載装置の好適な一実施形態を示す平面図であり、(b)はその要部側面図である。
図2】積み重ねられた物品群4の一例を示す図である。
図3】積み重ねられた物品群4の一例を示す図である。
図4】積み重ねられた物品群4の一例を示す図である。
図5】下流側の搬送経路の別の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0020】
図1等に示すように、本実施形態の物品移載装置10は、上流側の第一搬送コンベア装置1と、下流側の第二搬送コンベア装置2の間に配置され、第一搬送コンベア装置1で搬送される物品3を、第二搬送コンベア装置2に移し替えるものである。本実施形態では、第一搬送コンベア装置1と第二搬送コンベア装置2は、同一直線状ではなく所定距離ずらして平行に配置している。ここで第一搬送コンベア装置1並びに第二搬送コンベア装置2は、例えば、ベルトコンベア、フィンガーコンベア、プレートコンベア、バーコンベアなどの各種の搬送装置を適用できる。第一搬送コンベア装置1と第二搬送コンベア装置2は必ずしも同種の搬送装置とする必要は無く、同じでも良いし異なっても良い。
【0021】
第一搬送コンベア装置1は、物品3を1個ずつ一列で搬送する。本実施形態では、物品3は、袋状の包装体であり、例えば、ピロー包装体である。そして、搬送方向の前後にトップシール部3aが位置する姿勢で搬送する。第一搬送コンベア装置1は、連続あるいは間欠的に物品3を搬送する。
【0022】
第二搬送コンベア装置2は、所定個数(本実施形態では、3個)の物品3を上下に重ねた物品群4を搬送する。本実施形態では、第二搬送コンベア装置2は、複数の物品3を横にずらすことなく平積状態で綺麗に積み上げた状態で搬送する。第二搬送コンベア装置2は、例えば、第一搬送コンベア装置1よりも搬送速度を落として連続運転するか、または間欠駆動するようにするとよい。物品移載装置10は、その一時停止している間に物品3を積み重ねる。また、上下に重ねた物品3が荷崩れしないようにするため、搬送方向の左右両側にサイドガイド5を配置する。サイドガイド5は、例えば平板状でも良いし、回転するエンドレスベルト等でも良い。
【0023】
そして、物品移載装置10は、上述したように第一搬送コンベア装置1上の物品3を保持するとともに所定の軌跡で移動して第二搬送コンベア装置2へ供給する移載装置本体11と、移載装置本体11により移動中の物品3に対して帯電させるための静電気発生装置12を備える。移載装置本体11は、例えば、パラレルロボット、スカラーロボット、多関節ロボット等のロボットを用いると良い。移載装置本体11は、ロボットのマニピュレータ14の先端に、吸着保持具15を備える。本実施形態のマニピュレータ14は、先端に装着した吸着保持具15を、三次元空間内を任意の軌跡で移動するように動作する。このマニピュレータ14の基部は絶縁するとよい。吸着保持具15は、先端の吸着面から吸引可能となる。当該吸着面に物品3を接触した状態で吸引すると、物品3は吸着面に保持され、吸引を解除すると保持が解除される。
【0024】
静電気発生装置12は、静電気を出力する放電針12aを上向きにして配置する。放電針12aは、移載装置本体11による物品3の最短移動経路上に配置する。そして、物品3が稼働中の静電気発生装置12の放電針12aは、物品3に向けて放電し、物品3の表面が放電針12aに接近すると、物品3の表面等が帯電する。
【0025】
上述した構成の物品移載装置10は、以下のように動作する。まず移載装置本体11は、マニピュレータ14を動作させ、吸着保持具15を第一搬送コンベア装置1により搬送される先頭の物品3の上方に吸着保持具15を位置させ、その吸着保持具15の吸着面を物品3の表面に接触させる。移載装置本体11は、この接触した状態で吸引し、物品3を吸着保持具15に吸着保持する。次いで、所定の移動経路に沿って吸着保持具15、ひいては、物品3を移動する。その移動途中で静電気発生装置12の、物品3に向けて放電している放電針12aに物品3を接近させる。この接近している際に、放電針12aから静電気を放電し、物品3の接触面等の表面が帯電する。この接近に伴う帯電処理は、物品3を移動しながら行っても良いし、一時停止して行っても良い。
【0026】
移載装置本体11は、このように帯電された物品3をそのまま第二搬送コンベア装置2上に移動し、第二搬送コンベア装置2の搬送面上、或いは既に物品3が置かれている場合には、その物品3の上に置き、吸引を停止する。このとき好ましくは、吸引を停止するとともに、逆方向にエアを流し、吸着面から外に向けてエアが噴射するようにすると良い。このようにすると、エアの噴射によってより確実に物品3が吸着面から離反し、吸着保持具15による物品3の保持状態が解除される。
【0027】
既に第二搬送コンベア装置2の上に移し替えられた物品3の上に、今回の帯電された物品3を置く。すると、少なくとも今回の移し替え対象の物品3の下面は、上述したように放電針12aからの放電にともない帯電しており、その帯電された物品3の下面が、別の物品3の上面に接触した状態になる。すると、帯電された静電気により、下側の物品3の上面と、移し替えられてきた物品3の下面とが接触した状態でくっつき、それら上面/下面の面方向に物品3が相対的に移動することなく、上下に綺麗に平積みされた状態を維持する。そして、仮に3個或いはそれ以上積み重ねたとしても、静電気を利用した接着力により上下に隣接する物品3同士は、相互に接着した状態となる。
【0028】
この物品3の帯電、及び供給(積み重ね)の方法は、例えば、帯電させた物品3または物品群と、帯電していない物品3、物品群または包装フィルム22とを、接触させて位置決めするものであり、具体的な一例を示すと、以下の通りである。例えば、最初の物品を帯電させ、2個目以降の物品は帯電させない。最初の物品を帯電させることで、例えば搬送面にくっついたり、例えば物体の全体が帯電されると、上面も帯電されているのでその次に帯電させない物品を重ねた場合にも最初の物品の帯電された静電気を利用してくっついたりする。また別の態様としては、例えば最後の物品のみ帯電させるとよい。このようにすると、例えば先頭の物品が前方に崩れてしまうのを防止できる。また例えば複数の帯電させた物品群を先の物品または物品群の上に積み重ねたり、載置されている複数の帯電させた物品群の上に帯電させていない物品または物品群を積み重ねたりするとよい。また、例えば帯電させた物品群の上に帯電させない物品群を重ね、帯電させない物品群の上に帯電させた物品群を重ねるとよい。
【0029】
特に本実施形態では、移し替える移動途中の物品3の下面に、物品3に向けて放電している放電針12aを接近させ、その下面を帯電させた状態にする。そして、その下面は、第二搬送コンベア装置2上に置かれている物品3との接触面になるので、移し替えられた物品3同士が相互にしっかり接着された状態になる。
【0030】
その結果、例えば物品3が袋状の包装体で、外表面形状が箱体のように矩形ではなく不定形であり、外面が包装フィルムで滑りやすいものであっても、当該静電気による接着力により一体化し、物品3同士の相互の横ずれを防止できる。よって、例えば図1図2に示すように、上下に平積みされた状態で3段或いはさらに多段に重ねた状態であっても、重ねられた物品群4は姿勢を乱さず、荷崩れしない。そして、係る物品群4は、第二搬送コンベア装置2で搬送しても、物品群4は荷崩れすることなく搬送され、次段の包装機本体等に供給される。なお、物品3に帯電された静電気は、特別に除電処理することなく、その後自然になくなる。よって、例えばその後に物品群4を包装処理して製造された包装体がエンドユーザに渡り、当該包装体を開封して物品3を取り出す際には、個々の物品3同士は接着されていないので、個々の物品3を容易に取り出すことができる。
【0031】
上述した実施形態において、段積する複数の物品3の内、一番下、すなわち、第二搬送コンベア装置2の搬送面に置かれる物品3に対しては、帯電処理をしなくても良い。帯電処理をしない場合、好ましくは、物品3が帯電処理をする場合と異なる経路を通って第二搬送コンベア装置2に至るようにし、物品3が異なる経路をとる場合、物品3が静電気発生装置12から離れた領域を移動するようにすると良い。このようにすると、静電気発生装置12は、静電気を常時発生し続けることができるので良い。一方、移し替える全ての物品3に対して帯電させるようにすると、移載装置本体11,静電気発生装置12は、同じ動作を繰り返し行えば良いので、制御・動作が簡易で良い。さらに、一番下の物品3の下面が帯電されると、第二搬送コンベア装置2の搬送面に静電気の作用で張り付くので良い。
【0032】
上述した実施形態並びに変形例では、複数の物品3を上下に綺麗に平積みして重ねたが、本発明はこれに限ることは無く、例えば、刺身盛りのように複数の物品3を一部ずらしながら重ねたサシミ状の状態の物品群4(図3参照)を形成するようにしてもよい。このとき、物品同士の重なり具合(オーバーラップさせる長さ)を変更することで、物品群の全長を任意に変更できる。
【0033】
また、上述した実施形態並びに変形例では、放電針12aは上向きに配置したが、本発明はこれに限ることは無く、例えば、下向き、横向き、または傾斜させるなど各種の配置姿勢をとると良い。但し、実施形態のように上向きにすると、図1(b)に示すように、吸着保持した物品3を水平状態の姿勢を維持しながら移動することで、物品3の下面への放電針12aの接近並びに帯電処理を容易に行えるので良い。
【0034】
また、物品3はピロー包装体の例を挙げて説明したが、シュリンク包装体や深絞り包装体等の各種の包装体に適用でき、さらには、必ずしも袋状のものに限ることはなく、例えば、小箱などでもよい。小箱は、例えばプラスチック製のものや、表面をフィルムで包み込んだ形態のように、表面が帯電しやすい材質で構成されるものとすると良い。小箱は、袋状のものよりは定形であり、重ねやすいものの、特に小箱のように底面積が小さかったり、軽量であったりすると、第二搬送コンベア装置2における搬送時に荷崩れを起こすおそれがあるが、本発明のように移し替える際に物品である小箱の表面を帯電することで、荷崩れを防止することができる。但し、より好ましくは袋状のものであり、特にピロー包装体やシュリンク包装体のように表面形状が平坦面でなかったり、不定形であったり、変形しやすいもの等に適用すると良い。
【0035】
また、上述した実施形態並びに変形例では、移載装置本体11で移し替える物品3は、単体であるが、複数の物品3を同時に移し替えるものにも適用することができる。係る場合、例えば静電気発生装置12を複数設けたり、放電針12aを複数設けたりして、当該複数の物品3に 対して同時に帯電処理をしても良いし、移動途中に一つの静電気発生装置12に対して複数の物品3を順次帯電処理しても良い。そして、係る複数の物品3は、同時に第二搬送コンベア装置2上の所定位置(搬送面上/物品上等)に供給しても良いし、複数回に分けて供給しても良い。
【0036】
また、上述した実施形態並びに変形例では、静電気発生装置12を1個設け、積み重ねる際に接触する下面に対して帯電処理をするようにしたが、例えば、帯電方向が異なるように配置した複数の静電気発生装置12が設けられた領域を移し替え途中の物品3が通過することで、物品3に対して異なる方向から帯電させるとよい。例えば、物品3の下面と上面を帯電すると、移し替えされた物品の上に載せられる物品との静電気による接着・吸着がより強固になる。また、例えば、物品3の下面と側面を帯電すると、例えば、図4に示すように、複数の物品3を上下に重ねた状態のものを、例えば搬送方向に沿って前後或いは左右に並べるように配列した物品群4において、水平方向に隣接する物品3の側面同士も接着するので良い。そして、このように水平方向にも並べる構成の場合に、必ずしも側面を帯電する必要は無いが、上記の変形例のように対向する側面を帯電するとより好ましい。
【0037】
また、上述した実施形態並びに変形例では、静電気発生装置12は、第一搬送コンベア装置1から第二搬送コンベア装置2への最短経路上に配置するようにしたが、配置位置は任意である。但し、実施形態のように最短経路上に配置するのが、効率よく短時間で帯電処理をして移し替えることができるので良い。
【0038】
また、上述した実施形態並びに変形例では、第一搬送コンベア装置1は、物品3を1個ずつ一列で搬送する例を示したが、本発明はこれに限ることはなく複数の物品3を平積み状態、サシミ状の状態、または駒立て状態で集積された物品群を搬送してもよい。
【0039】
物品または物品群を保持した吸着保持具15を、三次元空間内の任意の軌跡で移動させて、物品または物品群の任意の箇所、または任意の複数面を帯電するようにしてもよい。このとき、静電気発生装置12は、例えば、入り切りして放電針12aから断続的に放電するようにしてもよい。
【0040】
また、上述した実施形態並びに変形例では、物品3を移し替える下流側の搬送経路として、第二搬送コンベア装置2を用い、物品3をその第二搬送コンベア装置2の搬送面に直接供給するようにしたが、このように独立した搬送装置ではなく、例えば図5に示すように包装機20のフィルムの供給搬送装置21とし、その供給搬送装置21で搬送される包装フィルム22上に移し替えるフィルム直のせタイプに適用するようにしてもよい。この包装機20は、製袋器24の上流側にフィルムの供給搬送装置21を備え、帯状の包装フィルム22を連続して製袋器24に供給する。この製袋器24を通過することで、帯地用の包装フィルム22は、筒状に製袋される。そして、筒状に製袋されることで包装フィルム22の両側端縁22aが接触され、その状態でセンターシール装置25を通過することでセンターシールされる。図示省略するが、この包装機20は、センターシール装置25の下流側にトップシール装置が配置され、筒状の包装フィルムを横方向にシールカットして、包装体を製造する。この場合、物品は積み重ねなくてもよい。すなわち、移載装置本体11で移動途中の物品3を帯電させて、帯電した物品3を供給搬送装置21の帯状の包装フィルム22上に載置するようにしてもよい。搬送中に帯状または筒状の包装フィルム22上の物品3が移動して、後工程のトップシール装置による噛み込みを防止できる。また、包装機20は、四方シール包装機や、横三方シール包装機でもよい。
【0041】
上流側の搬送経路を移動する物品を保持し、その保持した物品を移動して下流側の搬送経路を移動するフィルム上に供給する移載装置本体を備え、その移載装置本体は、前記保持した物品の移動中に前記物品を帯電させて前記フィルム上に位置決めして供給する機能を備えるとよい。
【0042】
また、上述した実施形態並びに変形例では、上流側の搬送経路と、下流側の搬送経路とは、搬送方向で一部重複して横にずらして平行に並列配置するようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、同一直線上に直列配置したり、直交配置したりするなど、各搬送経路の配置は任意である。
【0043】
さらにまた上述した実施形態並びに変形例では、静電気発生装置12を設け、物品3の表面を帯電するようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、物品3の表面を一時的に滑りにくい状態にするものであればよく、例えば、霧吹きその他の液体を噴射する噴射装置を設け、物品3の表面にアルコール、水等の液体を付着させると良い。このようにすると、下流側の搬送経路上で段積された物品は、相互の接触面の間に表面に付着した液体が介在する。そして、前回の処理で搬送経路上に置かれた物品の上に、別の物品を載せると、当該別の物品の下面に付着された液体が両物品間に挟まれて広がり、表面張力によって両物品を接着して一体化する。
【0044】
第一搬送コンベア装置1は、搬送方向、及び搬送方向に対する直交方向に対し、物品3が不規則に搬送されていてもよい。また、吸着保持具は、把持手段としてもよい。さらに、物品群4の搬送方向は任意であり、例えば上述した実施形態の搬送方向を90°向きを変更した方向に搬送するようにしてもよい。
【0045】
以上、本発明の様々な側面を実施形態を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0046】
1 :第一搬送コンベア装置
2 :第二搬送コンベア装置
3 :物品
3a :トップシール部
4 :物品群
5 :サイドガイド
10 :物品移載装置
11 :移載装置本体
12 :静電気発生装置
12a :放電針
14 :マニピュレータ
15 :吸着保持具
20 :包装機
21 :供給搬送装置
22 :包装フィルム
24 :製袋器
25 :センターシール装置
図1
図2
図3
図4
図5