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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】リフト装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/06 20060101AFI20230929BHJP
【FI】
B66F9/06 S
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019162287
(22)【出願日】2019-09-05
(65)【公開番号】P2021038089
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000126182
【氏名又は名称】株式会社をくだ屋技研
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 洋一
(72)【発明者】
【氏名】岩永 晴義
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-172784(JP,A)
【文献】実公昭50-015317(JP,Y1)
【文献】実開昭63-031088(JP,U)
【文献】実開昭61-139963(JP,U)
【文献】実公昭52-030685(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延出する脚フレームと、前記脚フレームの前端部に取り付けられる走行用前輪と、前記脚フレームの後端部に取り付けられる走行用後輪とを有する基台部と、
荷物を載置可能な荷台と、前記荷台を昇降可能に支持するマストとを有し、前記マストが前記基台部に回動可能に支持されるマスト部と
前記脚フレームに支持され、上下移動可能なロックシャフトと、
前記マストに取り付けられ、前記ロックシャフトが係合可能なロック板と、を備え、
前記マストは、前記基台部に対して回動することで、前記基台部から上方へ延出する起立姿勢と、前記基台部から後方へ延出する倒伏姿勢との間で移動可能であり、
前記マストが起立姿勢にあるときに、上方へ移動した前記ロックシャフトに前記ロック板が係合することで、前記マストの起立姿勢を保持し、
前記ロックシャフトが下方へ移動することで、前記ロックシャフトと前記ロック板との係合状態が解除されて、前記マストが起立姿勢から倒伏姿勢へ移動可能となる
ことを特徴とするリフト装置。
【請求項2】
前記マスト部は、前記マストが前記起立姿勢にあるときに、前記マストから後方へ突出する突起部を有し、
前記マストが前記倒伏姿勢にあるときに、少なくとも前記突起部が接地する
ことを特徴とする請求項1に記載のリフト装置。
【請求項3】
前記突起部は、前記マストが前記倒伏姿勢にあるときに接地可能な補助車輪を有する
ことを特徴とする請求項2に記載のリフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物を昇降可能なリフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、走行用前輪および走行用後輪を備えた基台部と、前記基台部に立設されるマストおよび前記マストに昇降可能に支持され荷物を載置可能な荷台を有するマスト部とを備えたハンドリフト等のリフト装置が知られている。
【0003】
このようなリフト装置は、荷物を車両に積み込む際に用いられることがある。また、荷物の車両への積み込みが完了したリフト装置は、荷物の搬送先で荷物を積み降ろす際に用いるために、車両の荷室内へ積み込まれることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-302409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、リフト装置を車両の荷室内に積み込む場合、リフト装置全体を持ち上げて車両の荷室内に積み込む必要があるが、リフト装置は重量が大きいため一人の作業者で積み込むことが困難な場合があった。特に、作業者が高齢者や女性であった場合、リフト装置を車両に積み込むことが困難であった。
【0006】
また、リフト装置は、基台部が前後方向に延出するとともに、マスト部が上下方向に延出しているため、リフト装置を荷室内に積み込むと荷室内の大きなスペースをリフト装置が占めてしまい、車両による荷物の搬送効率が悪化することとなっていた。
【0007】
そこで、本発明においては、車両への積み降ろしが容易であるとともに、荷室内における積み込みスペースを減少させることができるリフト装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するリフト装置は、以下の特徴を有する。
即ち、本発明のリフト装置は、前後方向に延出する脚フレームと、前記脚フレームの前端部に取り付けられる走行用前輪と、前記脚フレームの後端部に取り付けられる走行用後輪とを有する基台部と、荷物を載置可能な荷台と、前記荷台を昇降可能に支持するマストとを有し、前記マストが前記基台部に回動可能に支持されるマスト部と、前記脚フレームに支持され、上下移動可能なロックシャフトと、前記マストに取り付けられ、前記ロックシャフトが係合可能なロック板と、を備え、前記マストは、前記基台部に対して回動することで、前記基台部から上方へ延出する起立姿勢と、前記基台部から後方へ延出する倒伏姿勢との間で移動可能であり、前記マストが起立姿勢にあるときに、上方へ移動した前記ロックシャフトに前記ロック板が係合することで、前記マストの起立姿勢を保持し、前記ロックシャフトが下方へ移動することで、前記ロックシャフトと前記ロック板との係合状態が解除されて、前記マストが起立姿勢から倒伏姿勢へ移動可能となる


【0009】
これにより、マスト部が倒伏姿勢にある状態でリフト装置を車両へ積み込むことで、リフト装置の車両への積込作業が容易となる。また、車両におけるリフト装置の積み込みスペースを減少させることができる。
【0010】
また、前記マスト部は、前記マストが前記起立姿勢にあるときに、前記マストから後方へ突出する突起部を有し、前記マストが前記倒伏姿勢にあるときに、少なくとも前記突起部が接地する。
【0011】
これにより、マストが傾倒姿勢にあるマスト部を容易に接地させることができる。
【0012】
また、前記突起部は、前記突起部は、前記マストが前記倒伏姿勢にあるときに接地可能な補助車輪を有する。
【0013】
これにより、マストが倒伏姿勢にある状態のリフト装置の移動作業を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、マスト部が倒伏姿勢にある状態でリフト装置を車両へ積み込むことで、リフト装置の車両への積込作業が容易となる。また、車両におけるリフト装置の積み込みスペースを減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ポータブルリフターを示す側面図である。
図2】ポータブルリフターを示す前方斜視図である。
図3】ポータブルリフターを示す後上方斜視図である。
図4】ポータブルリフターを示す後下方斜視図である。
図5】マストが倒伏姿勢にある状態のポータブルリフターを示す側面図である。
図6】ポータブルリフターを走行用前輪側から車両に積み込む際の作業手順の前半を示す側面図である。
図7】ポータブルリフターを走行用前輪側から車両に積み込む際の作業手順の後半を示す側面図である。
図8】ポータブルリフターをハンドル側から車両に積み込む際の作業手順を示す側面図である。
図9】ハンドルに補助車輪を設けた仕様のポータブルリフター、および当該ポータブルリフターをハンドル側から車両に積み込む際の作業手順を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
【0017】
図1図4に示すポータブルリフター1は、本発明に係るリフト装置の一実施形態であり、走行可能な基台部2と、基台部2に装着されるマスト部3とを有している。
【0018】
以下の説明においては、図1における「左側」、「右側」、「紙面奥側」、および「紙面手前側」を、それぞれポータブルリフター1の「後側」、「前側」、「左側」、および「右側」と規定する。また、図1における「上側」及び「下側」を、それぞれポータブルリフター1の「上側」及び「下側」と規定する。
【0019】
基台部2は、脚フレーム21と、走行用後輪22と、走行用前輪23とを有している。脚フレーム21は、全体的に前後方向に延出するフレーム部材である。脚フレーム21は、前後方向へ向けて延出する左右一対の前部脚フレーム211と、左右方向に延出し一対の前部脚フレーム211の後端部を連結する連結フレーム212と、連結フレーム212から後方へ延出する左右一対の後部脚フレーム213とを有している。走行用前輪23は前部脚フレーム211の前端部に取り付けられており、走行用後輪22は後部脚フレーム213の後端部に取り付けられている。
【0020】
マスト部3は、荷物を載置可能な荷台の一例であるフォーク形荷台35と、フォーク形荷台35を昇降可能に支持するマスト30と、フォーク形荷台35を昇降動作させるための昇降装置5とを有している。
【0021】
マスト30は、基台部2から上方へ延出しており、上下方向に延出する左右一対の縦フレーム31と、一対の縦フレーム31の下端部を連結する下フレーム32と、一対の縦フレーム31の上端部を連結する上フレーム33と、一対の縦フレーム31の上下方向における途中部を連結する途中フレーム34とを有している。縦フレーム31は、後部脚フレーム213の左右内側に配置されている。
【0022】
マスト30は、基台部2から上方へ延出する起立姿勢(図1において実線で示す姿勢)と、基台部2から後方へ延出する倒伏姿勢(図1において二点鎖線で示す姿勢)との間で移動可能に構成されている。
【0023】
フォーク形荷台35は、縦フレーム31に昇降可能に支持される支持部351と、支持部351に回動可能に支持される左右一対の荷受部352とを有している。縦フレーム31の左右内側には上下方向に延設されるスライドレール31aが形成されており、支持部351はスライドレール31aに摺動可能に嵌合する摺動突起351aを有している。
【0024】
摺動突起351aがスライドレール31aに摺動可能に嵌合することで、支持部351が縦フレーム31よって昇降可能に支持されている。これにより、フォーク形荷台35が、マスト30に対して昇降可能となっている。
【0025】
左右一対の荷受部352はフォーク形の荷受部に構成されており、回動支点352aを中心として上下に回動可能となっている。荷受部352は、回動支点352aを中心として回動することで、支持部351から離間して荷物が載置可能な荷受位置(図1において実線で示す位置)と、支持部351に近接する折畳位置(図1において二点鎖線で示す位置)との間で移動することが可能である。
【0026】
昇降装置5は、油圧ベース51と、油圧シリンダ52と、プーリ53と、ワイヤ54と、操作ペダル55と、操作レバー56とを有している。油圧ベース51は、下フレーム32上に設けられており、油圧シリンダ52への送油方向を切り替える切替バルブおよび作動油を圧送する油圧ポンプ等を収容している。
【0027】
油圧シリンダ52は、油圧ベース51の上面に立設されており、伸縮可能なピストンロッド52aを有している。プーリ53は、ピストンロッド52aの上端部に取り付けられている。ワイヤ54は、マスト30の途中フレーム34と、フォーク形荷台35の支持部351との間に架け渡されており、プーリ53に巻回されている。操作ペダル55および操作レバー56は、油圧ベース51に支持されている。
【0028】
昇降装置5においては、操作ペダル55を上下回動操作することにより、油圧ベース51内の油圧ポンプが作動されて圧油が油圧シリンダ52に送油され、ピストンロッド52aが伸長する。ピストンロッド52aが伸長すると、プーリ53に巻回されるワイヤ54が上方へ引っ張り上げられて、ワイヤ54に接続されるフォーク形荷台35が上昇する。
【0029】
また、操作レバー56を下降側に操作して油圧ベース51内の切替バルブを切り替えると、油圧シリンダ52内の作動油が油圧シリンダ52内の作動油タンクに送油されて、ピストンロッド52aが縮小する。ピストンロッド52aが縮小すると、ワイヤ54とともにフォーク形荷台35が下降する。
【0030】
マスト部3はハンドル38を有している。ハンドル38は、マスト30における縦フレーム31の上端部に支持されており、起立姿勢にあるマスト30の縦フレーム31から後方へ突出している。ハンドル38は、マストが起立姿勢にあるときにマストから後方へ突出する突起部の一例である。また、ハンドル38は、ポータブルリフター1を走行操作するときに作業者により把持される把持部である。
【0031】
ハンドル38は、左右の縦フレーム31から後方へ突出する一対の突出部38aと、一対の突出部38aを連結し、左右方向に沿って延出する延出部38bとを有している。但し、ハンドル38は、マスト30が起立姿勢にあるときにマスト30から後方へ突出する形状であれば、この形状に限るものではない。
【0032】
マスト部3のマスト30は、基台部2に回動可能に支持されている。具体的には、マスト30における縦フレーム31の下端部が、基台部2の脚フレーム21における後部脚フレーム213に、回動軸25を介して回動可能に支持されている。
【0033】
マスト30は、脚フレーム21に対して回動軸25を中心として回動可能である。マスト30は、回動軸25を中心として回動することにより起立姿勢と倒伏姿勢との間で移動可能に構成されている。マスト30は、起立姿勢にある状態から後方へ回動させることで、倒伏姿勢に移動させることができる。
【0034】
図5に示すように、マスト30が倒伏姿勢にあるときには、マスト30の延出方向と脚フレーム21の延出方向とが略平行となっている。詳しくは、マスト30が倒伏姿勢にあるときには、前部脚フレーム211の延出方向と、マスト30の縦フレーム31の延出方向とが略平行となっている。
【0035】
また、マスト30が倒伏姿勢にあるときには、基台部2の走行用前輪23および走行用後輪22が接地した状態で、マスト部3のハンドル38が接地している。このように、マスト30が倒伏姿勢にあるときに、マスト部3のハンドル38が走行用前輪23および走行用後輪22とともに接地することで、マスト30が倒伏姿勢にあるポータブルリフター1を前後方向の広い範囲にわたって接地させて、接地面に安定して支持させることが可能となっている。
【0036】
また、倒伏姿勢にあるマスト30は、基台部2の走行用前輪23および走行用後輪22よりも上方に位置しているため、倒伏姿勢にあるマスト30から下方へ突出するハンドル38が接地するように構成することで、マスト30が傾倒姿勢にあるマスト部3を容易に接地させることが可能となる。
【0037】
また、マスト30が倒伏姿勢にあるときに接地する突起部として、ポータブルリフター1の走行操作用のハンドル38を用いることで、倒伏姿勢にあるマスト30から下方に突出する突起部を別途設ける必要がなく、ポータブルリフター1の構成部品を削減して軽量化を図ることが可能である。
【0038】
ポータブルリフター1においては、マスト30が倒伏姿勢にあるときに、リフト部3におけるハンドル38以外の部分が走行用前輪23および走行用後輪22とともに接地するように構成することもできる。例えば、マスト30が倒伏姿勢にあるときに、マスト30の上フレーム33、または縦フレーム31の上フレーム33側端部が接地するように構成した場合も、ポータブルリフター1を接地面に安定して支持させることが可能である。
【0039】
なお、本実施形態においては、マスト30が倒伏姿勢にあるときにリフト部3の少なくとも一部が走行用前輪23および走行用後輪22とともに接地するように構成しているが、マスト30が倒伏姿勢にあるときにハンドル38等のリフト部3の少なくとも一部が走行用後輪22とともに接地し、走行用前輪23は接地面から若干浮いた状態となるように構成することも可能である。
【0040】
また、マスト部3は左右一対のガード部材37を有している。ガード部材37は、マスト30の縦フレーム31におけるハンドル38よりも下方に設けられており、起立姿勢にある縦フレーム31から後方へ突出している。ガード部材37は、操作レバー56の左右に配置されており、操作レバー56がポータブルリフター1の周囲に存在する物体と接触することを抑制している。
【0041】
左右の後部脚フレーム213には、ロックシャフト61が支持されている。ロックシャフト61は、左右方向に延出するシャフト部材であり、左右の後部脚フレーム213に形成されている支持孔213aに挿入されている。支持孔213aは、前方から後方へいくにつれて下方に傾斜する長孔形状に形成されており、支持孔213a内には、ロックシャフト61が摺動可能に挿入されている。
【0042】
後部脚フレーム213とロックシャフト61との間には、ロックシャフト61を上方に付勢するスプリング63が設けられている。ロックシャフト61は、力が作用していない自然状態にあるときには、スプリング63の付勢力により上方へ摺動して、支持孔213aの上端部に位置している。
【0043】
左右の縦フレーム31の下端部には、ロック板62が取り付けられている。ロック板62は、ロックシャフト61が係合可能な係合溝62aを有している。ロック板62は、マスト30が起立姿勢にあるときに、係合溝62aが支持孔213aの上端部に位置するロックシャフト61に係合するように構成されている。
【0044】
ロック板62の係合溝62aとロックシャフト61とが係合した状態では、マスト30の脚フレーム21に対する回動動作が規制され、マスト30の起立姿勢を保持することが可能となっている。
【0045】
ロックシャフト61は、下方へ押圧操作することにより、スプリング63の付勢力に抗して支持孔213aの上端部から下方へ向けて移動させることが可能となっている。
【0046】
ロックシャフト61を支持孔213aの上端部から下端部へ移動させると、ロックシャフト61と係合溝62aとの係合状態が解除されて、マスト30が脚フレーム21に対して回動可能となる。これにより、マスト30を起立位置から倒伏位置へ移動させることが可能となる。
【0047】
ポータブルリフター1は、マスト30を倒伏姿勢に固定するロック状態と、マスト30の倒伏姿勢での固定状態を解除するロック解除状態とを切替可能なロックピン64を有している。ロックピン64は、左右一方の後部脚フレーム213に左右方向へ摺動可能に挿入されている。本実施形態においては、ロックピン64は右方の後部脚フレーム213に設けられている。
【0048】
マスト30の左右一方の縦フレーム31にはロックピン64が係合可能な係合孔31bが形成されている。係合孔31bは、左右方向において、ロックピン64が設けられた後部脚フレーム213と同じ側の縦フレーム31に設けられている。本実施形態においては、係合孔31bは右方の縦フレーム31に設けられている。
【0049】
そして、マスト30が倒伏姿勢にある状態でロックピン64を左右方向における縦フレーム31側に摺動させて後部脚フレーム213から突出させることにより、ロックピン64を係合孔31bに係合させることが可能となっている。ロックピン64が係合孔31bに係合した状態では、マスト30の脚フレーム21に対する回動動作が規制されたロック状態となり、マスト30の倒伏姿勢を保持することが可能である。
【0050】
一方、ロックピン64を左右方向における縦フレーム31とは反対側に摺動させて、ロックピン64と係合孔31bとの係合状態を解除することで、マスト30が脚フレーム21に対して回動可能なロック解除状態となる。
【0051】
次に、ポータブルリフター1を車両8に積み込む際の作業手順について説明する。まず、図6(a)に示すように、マスト30が起立姿勢にある状態のポータブルリフター1を車両8の荷室81の後方に移動させ、フォーク形荷台35の荷受部352を折畳位置に移動させるとともに、マスト30を倒伏姿勢となるように移動させる。
【0052】
マスト30を起立姿勢から倒伏姿勢に移動させるときには、支持孔213aの上端部に位置するロックシャフト61を、スプリング63の付勢力に抗して支持孔213aの下端部に移動させることにより、ロックシャフト61と係合溝62aとの係合を解除して、マスト30を起立姿勢から倒伏姿勢に移動させる。その後、ロックピン64を縦フレーム31の係合孔31bに係合させて、マスト30を倒伏姿勢に保持させる。マスト30を倒伏姿勢に保持した状態では、マスト30と脚フレーム21とが前後方向へ略一直線状に延出した状態となる。
【0053】
この場合、ポータブルリフター1に、荷受部352を折畳位置に固定するロック部材を設けて、当該ロック部材により荷受部352を折畳位置に保持させることができる。また、ポータブルリフター1に、フォーク形荷台35を昇降可能な範囲の下端部に固定するロック部材を設けて、当該ロック部材によりフォーク形荷台35を昇降可能な範囲の下端部に保持させることができる。これにより、ポータブルリフター1を車両8に積み込む際に、荷受部352およびフォーク形荷台35が不意に移動することを抑制することができる。
【0054】
次に、図6(b)に示すように、基台部2の走行用前輪23側を上方に持ち上げて、走行用前輪23を車両8における荷室81の床面81aに載せる。さらに、図7(a)に示すように、床面81aに載置した走行用前輪23を支点にしてマスト30を上方に持ち上げて、ポータブルリフター1を荷室81内に押し入れる。
【0055】
この場合、基台部2の走行用前輪23側が荷室81の床面81aに支持されているため、マスト30を上方に持ち上げる際のポータブルリフター1の重量が軽減され、容易にマスト30を持ち上げることができる。また、走行用前輪23が荷室81の床面81aに接地しているため、ポータブルリフター1を荷室81内に押し入れるときの抵抗が少なく、ポータブルリフター1を容易に荷室81内に押し入れることができる。これにより、ポータブルリフター1の車両8への積込作業が容易となる。
【0056】
図7(b)に示すように、荷室81内に押し入れたポータブルリフター1が全体的に荷室81内に侵入すると、ポータブルリフター1の車両8への積込作業が終了する。荷室81内に積み込まれたポータブルリフター1は、マスト30と脚フレーム21とが前後方向へ略一直線状に延出した状態となっているため、荷室81内における上下方向に占めるスペースが小さくて済み、荷室81内におけるポータブルリフター1の積み込みスペースを減少させることができる。
【0057】
なお、ポータブルリフター1を荷室81内から積み降ろす際には、積降作業を積込作業の場合と逆の手順で行うことで、ポータブルリフター1の車両8からの積降作業を容易に行うことが可能である。
【0058】
また、ポータブルリフター1を車両8に積み込むときには、マスト30の上フレーム33側を先に荷室81内に載せることも可能である。この場合、図8(a)に示すように、マスト30を倒伏姿勢にした後に、マスト30の上フレーム33側に配置されるハンドル38を上方に持ち上げて荷室81の床面81aに載せる。ハンドル38を持ち上げた状態では、基台部2の走行用前輪23が接地しているため、持ち上げたハンドル38を荷室81に載せる際にポータブルリフター1を移動させることが容易となっている。
【0059】
ハンドル38を上方に持ち上げて荷室81に載置した状態では、倒伏姿勢にあるマスト30から下方へ突出するハンドル38の延出部38bが床面81aに接地している。次に、図8(b)に示すように、ハンドル38の延出部38bを支点にして基台部2を上方に持ち上げ、ポータブルリフター1を荷室81内に押し入れる。
【0060】
この場合、マスト部3のハンドル38が荷室81の床面81aに支持されているため、基台部2を上方に持ち上げる際のポータブルリフター1の重量が軽減され、容易に基台部2を持ち上げることができる。
【0061】
また、基台部2を持ち上げるときには、マスト30から突出するハンドル38が床面81aに接地しているため、マスト30の縦フレーム31が直接床面81aに接地している場合のように、マスト30が床面81aに対して滑ることがなく、基台部2を持ち上げ易い。
【0062】
なお、マスト30の上フレーム33側から荷室81内に積み込んだポータブルリフター1を、荷室81内から積み降ろす際にも、積降作業を積込作業の場合と逆の手順で行うことで、ポータブルリフター1の車両8からの積降作業を容易に行うことが可能である。
【0063】
図9(a)に示すように、ポータブルリフター1においては、マスト30を倒伏姿勢としたときに接地可能な補助車輪39を設けることが可能である。補助車輪39は、例えばマスト部3のハンドル38に設けることができる。補助車輪39を設けることで、マスト30を倒伏姿勢としたときに、走行用前輪23および走行用後輪22とともに補助車輪39を接地させることが可能となり、マスト30が倒伏姿勢にある状態のポータブルリフター1の移動作業を容易にすることができる。なお、補助車輪39は、走行用後輪22とともに接地し、走行用前輪23は接地面から若干浮いた状態となるように設けることも可能である。
【0064】
また、図9(b)に示すように、マスト部3のハンドル38を荷室81の床面81aに載せた後に、基台部2を持ち上げてポータブルリフター1を荷室81内に押し入れる際には、補助車輪39を荷室81の床面81aに接地させた状態でポータブルリフター1を移動させることができるため、ポータブルリフター1の荷室81への積込作業を容易にすることが可能となる。
【0065】
なお、補助車輪39は、マスト30を倒伏姿勢としたときに接地可能であれば、マスト部3におけるハンドル38以外の部分に設けても、マスト30が倒伏姿勢にある状態のポータブルリフター1の移動作業を容易にすることができる。さらに、マスト部3に設けられる補助車輪39は、少なくともマスト30の上フレーム33側を上方に持ち上げて荷室81に載せたときに床面81aに接地可能な箇所に配置されていれば、ポータブルリフター1の荷室81への積込作業を容易にすることが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 ポータブルリフター
2 基台部
3 マスト部
21 脚フレーム
22 走行用後輪
23 走行用前輪
25 回動軸
30 マスト
35 フォーク形荷台
38 ハンドル
39 補助車輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9