(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】フィルタ内蔵継手
(51)【国際特許分類】
F16L 55/00 20060101AFI20230929BHJP
F16L 55/24 20060101ALI20230929BHJP
B01D 35/02 20060101ALI20230929BHJP
B01D 46/24 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
F16L55/00 L
F16L55/24 A
B01D35/02 A
B01D46/24 B
(21)【出願番号】P 2019218534
(22)【出願日】2019-12-03
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】柳田 保昌
(72)【発明者】
【氏名】平松 浩司
(72)【発明者】
【氏名】毛利 友裕
(72)【発明者】
【氏名】薬師神 忠幸
(72)【発明者】
【氏名】大道 邦彦
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-066546(JP,A)
【文献】特開昭59-026690(JP,A)
【文献】特開2014-070764(JP,A)
【文献】実開昭60-058212(JP,U)
【文献】特開2017-064699(JP,A)
【文献】特開2016-155061(JP,A)
【文献】米国特許第5908044(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/00
F16L 55/24
B01D 46/24
B01D 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管と繋がる第1流出入口部及び第2流出入口部を備える継手本体であって、前記第1流出入口部及び第2流出入口部と連通する連通空間を内部に備える継手本体と、
前記連通空間内に配置され、前記継手本体を流れる流体を清浄化するフィルタエレメントであって、有底筒状のフィルタ本体と、当該フィルタ本体の開口部と前記第1流出入口部または第2流出入口部と連通する貫通孔があき、前記フィルタ本体の開口部に一端が気密的に固定されて、前記継手本体の内周に他端がねじ合わされて気密的に接合される筒状の基端部とを備えるフィルタエレメントと、を有するフィルタ内蔵継手であって、
前記基端部には、前記フィルタ本体の径よりも大きな径のフランジ部が備えられ、当該フランジ部には、前記フィルタエレメントを前記継手本体に取り付けまたは前記継手本体から取り外しをするための工具と係合する工具係合部が備えられており、
前記継手本体には、さらに、前記連通空間と連通し、前記フィルタエレメントを出し入れするための保守用開口部が備えられ、当該保守用開口部は、保守時に取り外されるキャップで非保守時には密封されており、保守時に、前記保守用開口部から工具を挿入し前記工具係合部と工具を係合させ、前記フィルタエレメントを前記継手本体に取り付けまたは前記継手本体から取り外しをすることができるように、前記保守用開口部は、所定の開口径を有し、かつ、前記継手本体の所定の位置に配置されているフィルタ内蔵継手。
【請求項2】
前記工具係合部は、工具と係合するための複数の工具係合凹部を備える請求項1に記載のフィルタ内蔵継手。
【請求項3】
前記工具係合部は、工具と係合するための複数の工具係合面を備える請求項1に記載のフィルタ内蔵継手。
【請求項4】
配管と繋がる第1流出入口部及び第2流出入口部を備える継手本体であって、前記第1流出入口部及び第2流出入口部と連通する連通空間を内部に備える継手本体と、
前記連通空間内に配置され、前記継手本体を流れる流体を清浄化するフィルタエレメントであって、筒状のフィルタ本体と、当該フィルタ本体の一の開口部と前記第1流出入口部または第2流出入口部と連通する第1貫通孔があき、前記フィルタ本体の一の開口部に一端が気密的に固定されて、前記継手本体の内周に他端がねじ合わされて気密的に接合される筒状の基端部とを備え、前記フィルタ本体の他の開口部には前記連通空間と連通する第2貫通孔があいた筒状の先端部が備えられたフィルタエレメントと、を有するフィルタ内蔵継手であって、
前記フィルタ本体の内部と前記連通空間内の前記フィルタ本体の外部とは、シール部材により封止されており、
前記基端部の前記先端部側の端部には、前記フィルタエレメントを前記継手本体に取り付けまたは前記継手本体から取り外しをするための工具と係合する工具係合部が備えられており、
前記継手本体には、さらに、前記連通空間と連通し、前記フィルタエレメントを出し入れするための保守用開口部が備えられ、当該保守用開口部は、保守時に取り外されるキャップで非保守時には密封されており、保守時に、前記保守用開口部から工具を挿入し前記第2貫通孔を通して、前記工具係合部と工具を係合させ、前記フィルタエレメントを前記継手本体に取り付けまたは前記継手本体から取り外しをすることができるように、前記保守用開口部は、所定の開口径を有し、かつ、前記継手本体の所定の位置に配置されているフィルタ内蔵継手。
【請求項5】
前記キャップは、前記第2貫通孔に嵌入する突出部を有し、前記シール部材が、前記突出部の外面と、前記第2貫通孔を形成する面との間に備えられている請求項4に記載のフィルタ内蔵継手。
【請求項6】
前記シール部材が、前記先端部の外面と、前記連通空間を形成する面との間に備えられている請求項4に記載のフィルタ内蔵継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水素等の高圧流体が流れる流路内に配置され不純物を除去するフィルタを内蔵する継手に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧水素ガスは、燃料電池車等用に利用が拡大されつつある。例えば、水素ステーション等で燃料電池用の高圧水素ガスを供給する場合には、ガス中に不純物が混入していると燃料電池に悪影響を及ぼすおそれがあるため、水素ガス内の不純物は除去されなければならない。水素ガス配管流路には、不純物を除去するためのフィルタ装置の設置が必要となる。
【0003】
水素ガスから不純物を除去する装置としては、特許文献1に記載の配管途中にフィルタを内蔵する継手が開示されている。特許文献1に開示の継手を
図9に示す。
【0004】
図9の継手においては、ボデー110は配管と接続する管接続部120を有し、キャップ111は、配管と接続する管接続部130を有する、配管途中に配置される継手となっている。ボデー110の内部には、円筒空間部122が形成され、円筒空間部122の内部に有底部140を備えるフィルタエレメント113が配置され、フィルタエレメント113は、シール機構115を介してホルダ143と接続せられ、ホルダ143には貫通孔があけられ、管接続部120と連通している。
【0005】
キャップ111には、配管と連通する流路128が形成され、キャップ111とボデー110とは螺合しており、キャップ111をねじ込んでいくと、キャップ111の右側に備えられたスプリング114を圧縮し、その圧縮力によってフィルタエレメント113が右方向に押圧され、ホルダ143とボデー110間のOリングが圧縮されて封止されるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図9に示すフィルタ内蔵継手では、2つの課題を有している。第1の課題は、フィルタエレメント113は定期的に交換しなければならないが、フィルタエレメント113を交換するためには、継手を配管から取り外さなければならず、定期的メンテナンスに手間がかかるという課題である。
【0007】
第2の課題は、キャップ111をねじ込んでいく際に、キャップ111の回転に伴ってスプリング111も回転するため、有底部140にねじりトルクが加わり、フィルタエレメント113がねじれてしまい、フィルタエレメント113が損傷するおそれがあるという課題である。
【0008】
この発明の目的は、フィルタ内蔵継手において、配管から継手を外さなくともフィルタの交換が可能であり、フィルタの取付け、取り外しにおいてフィルタに損傷を与えるようなトルクがかからないフィルタ内蔵継手を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明(1)は、配管と繋がる第1流出入口部及び第2流出入口部を備える継手本体であって、前記第1流出入口部及び第2流出入口部と連通する連通空間を内部に備える継手本体と、前記連通空間内に配置され、前記継手本体を流れる流体を清浄化するフィルタエレメントであって、有底筒状のフィルタ本体と、当該フィルタ本体の開口部と前記第1流出入口部または第2流出入口部と連通する貫通孔があき、前記フィルタ本体の開口部に一端が気密的に固定されて、前記継手本体の内周に他端がねじ合わされて気密的に接合される筒状の基端部とを備えるフィルタエレメントと、を有するフィルタ内蔵継手であって、前記基端部には、前記フィルタ本体の径よりも大きな径のフランジ部が備えられ、当該フランジ部には、前記フィルタエレメントを前記継手本体に取り付けまたは前記継手本体から取り外しをするための工具と係合する工具係合部が備えられており、前記継手本体には、さらに、前記連通空間と連通し、前記フィルタエレメントを出し入れするための保守用開口部が備えられ、当該保守用開口部は、保守時に取り外されるキャップで非保守時には密封されており、保守時に、前記保守用開口部から工具を挿入し前記工具係合部と工具を係合させ、前記フィルタエレメントを前記継手本体に取り付けまたは前記継手本体から取り外しをすることができるように、前記保守用開口部は、所定の開口径を有し、かつ、前記継手本体の所定の位置に配置されているフィルタ内蔵継手である。
【0010】
本発明(1)のフィルタ内蔵継手では、配管と繋がる2つの流出入口部(第1流出入口部と第2流出入口部)とは別に保守用開口部が設けられていることが特徴である。2つの流出入口部の内の1つの流出入口部にフィルタエレメントが取り付けられ、フィルタエレメントは、有底筒状のフィルタ本体と基端部から構成され、基端部が継手本体に接続されている。基端部には、フランジ部が設けられており、このフランジ部にフィルタエレメントの取付け取り外しの際に使用される工具係合部が形成されている。保守用開口部には、通常、封止用のキャップで密封されているが、フィルタエレメントの取付け取り外しの際は外され、保守用開口部から工具が挿入され、工具は、工具係合部と係止され、工具を回して、フィルタエレメントの取付け取り外しをすることができる。
【0011】
このように、継手本体に保守用開口部を設け、この保守用開口部から工具を挿入してフィルタエレメントの取付け取り外しができるので、フィルタエレメントの取付け取り外しの際に配管から継手を取り外す必要がなくなり、手間を省くことができる。さらに、フィルタエレメントの取付け取り外しの際に、基端部を回転させるので、フィルタ本体にトルクがかからなくなり、フィルタエレメントの損傷の危険もなくなる。
【0012】
本発明(2)は、前記工具係合部は、工具と係合するための複数の工具係合凹部を備える本発明(1)のフィルタ内蔵継手である。
【0013】
本発明(2)では、工具係合部が複数の工具係合凹部を備えているので、工具はこれらの工具係合凹部と係止することができる複数の凸部を備えていればよく、簡便な工具を使用することができる。
【0014】
本発明(3)は、前記工具係合部は、工具と係合するための複数の工具係合面を備える本発明(1)のフィルタ内蔵継手である。
【0015】
複数の工具係合面は、例えば、六角ボルトのヘッドの形状のような、複数の工具係合面を備えていればよく、工具はこれらの工具係合面と係止することができるボックスレンチのような簡便なものを使用することができる。
【0016】
本発明(4)は、配管と繋がる第1流出入口部及び第2流出入口部を備える継手本体であって、前記第1流出入口部及び第2流出入口部と連通する連通空間を内部に備える継手本体と、前記連通空間内に配置され、前記継手本体を流れる流体を清浄化するフィルタエレメントであって、筒状のフィルタ本体と、当該フィルタ本体の一の開口部と前記第1流出入口部または第2流出入口部と連通する第1貫通孔があき、前記フィルタ本体の一の開口部に一端が気密的に固定されて、前記継手本体の内周に他端がねじ合わされて気密的に接合される筒状の基端部とを備え、前記フィルタ本体の他の開口部には前記連通空間と連通する第2貫通孔があいた筒状の先端部が備えられたフィルタエレメントと、を有するフィルタ内蔵継手であって、前記フィルタ本体の内部と前記連通空間内の前記フィルタ本体の外部とは、シール部材により封止されており、前記基端部の前記先端部側の端部には、前記フィルタエレメントを前記継手本体に取り付けまたは前記継手本体から取り外しをするための工具と係合する工具係合部が備えられており、前記継手本体には、さらに、前記連通空間と連通し、前記フィルタエレメントを出し入れするための保守用開口部が備えられ、当該保守用開口部は、保守時に取り外されるキャップで非保守時には密封されており、保守時に、前記保守用開口部から工具を挿入し前記第2貫通孔を通して、前記工具係合部と工具を係合させ、前記フィルタエレメントを前記継手本体に取り付けまたは前記継手本体から取り外しをすることができるように、前記保守用開口部は、所定の開口径を有し、かつ、前記継手本体の所定の位置に配置されているフィルタ内蔵継手である。
【0017】
本発明(4)と本発明(1)の違いは、本発明(1)では、フィルタ本体が有底筒状であったのに対して、本発明(4)では、筒状である点である。基端部の構造は、本発明(4)と本発明(1)の間に相違はない。本発明(4)では、第2貫通孔を有する先端部が、基端部と反対側のフィルタ本体の端部に設けられている。そのために、フィルタ本体の内部と連通空間内のフィルタ本体の外部とは、シール部材により封止されている。
【0018】
本発明(4)において、工具係合部は、フィルタ本体内部の基端部の端部に備えられており、フィルタエレメントの取付け取り外しの際には、保守用開口部から工具を挿入し、第2貫通孔を通して、工具係合部と係止させてフィルタエレメントの取付け取り外しをすることができる。本発明(1)と比べて、連通空間を大きくすることができない場合に、小さな工具を挿入し、工具係合部と係合させてフィルタエレメントの取付け取り外しをすることができるので、継手本体を小さくすることができる。
【0019】
本発明(5)は、前記キャップは、前記第2貫通孔に嵌入する突出部を有し、前記シール部材が、前記突出部の外面と、前記第2貫通孔を形成する面との間に備えられている本発明(4)のフィルタ内蔵継手である。
【0020】
本発明(4)では、フィルタ本体の内部と連通空間内のフィルタ本体の外部とは、シール部材により封止されなければならないが、この封止の仕方において、本発明(5)では、キャップに、第2貫通孔に嵌入される突出部を有し、シール部材が、前記突出部の外面と、第2貫通孔を形成する面との間に備えられていることを特徴としている。このようなシール部材を配することによって、簡便にフィルタ本体の内部と連通空間内のフィルタ本体の外部とを封止し、遮断することができる。
【0021】
本発明(6)は、前記シール部材が、前記先端部の外面と、前記連通空間を形成する面との間に備えられている本発明(4)のフィルタ内蔵継手である。
【0022】
本発明(4)では、フィルタ本体の内部と連通空間内のフィルタ本体の外部とは、シール部材により封止されなければならないが、この封止の仕方において、本発明(6)では、シール部材が、先端部の外面と、連通空間を形成する面との間に備えられていることを特徴としている。このようなシール部材を配することによって、簡便にフィルタ本体の内部と連通空間内のフィルタ本体の外部とを封止し、遮断することができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明のフィルタ内蔵継手によると、配管から継手を外さなくともフィルタの取付け取り外しをすることができ、さらに、フィルタエレメントの取付け取り外しの際の損傷が起こりにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】この発明によるフィルタ内蔵継手の第1実施例を示す。
【
図2】この発明によるフィルタ内蔵継手の第2実施例を示す。
【
図3】この発明によるフィルタ内蔵継手に備えられた基端部の第1実施例を示す。
【
図4】この発明によるフィルタ内蔵継手に備えられた基端部の第2実施例を示す。
【
図5】この発明によるフィルタ内蔵継手に備えられた基端部の第3実施例を示す。
【
図6】この発明によるフィルタ内蔵継手の第3実施例を示す。
【
図7】この発明によるフィルタ内蔵継手に備えられた基端部の第4実施例を示す。
【
図8】この発明によるフィルタ内蔵継手の第4実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。以下の説明において、上下は、図の上下をいうものとする。この「上下」は便宜的なもので、設置に際しては、上下が逆になったり、水平になったりすることもある。
【0026】
図1は、この発明によるフィルタ内蔵継手の第1実施例を示す。フィルタ内蔵継手10の継手本体20は、第1流出入口部21、第2流出入口部22を備え、これらの流出入口部は、配管と接続される。配管との接続に、第1流出入口部雌ねじ21aと第2流出入口部雌ねじ22aが用いられる。継手本体20の内部には、連通空間24が形成され、連通空間24と第1流出入口部21及び第2流出入口部22とは、それぞれ、第1連通路21b及び第2連通路22bとで連通している。
【0027】
連通空間24の内部にフィルタエレメント40が配置されている。フィルタエレメント40は、フィルタ材で作られたフィルタ本体41と、フィルタ本体41の開口部と第2流出入口部22連通する基端部貫通孔42bがあき、フィルタ本体41の開口部に一端が気密的に固定されて、継手本体20の内周に他端がねじ合わされて気密的に接合される筒状の基端部42とが備えられている。
【0028】
継手本体20には、フィルタエレメント設置用雌ねじ25が切られており、この雌ねじ25が基端部雄ねじ42cと螺合して、フィルタエレメント40は設置される。基端部42には、フィルタ本体41の外形よりも大きな径を有するフランジ部42aが形成されている。このフランジ部42aに工具係合部43が形成されている。フランジ部42aと継手本体20との間には、シールリング42dが備えられて、気密性が保たれている。
【0029】
継手本体20には、さらに、保守用開口部23が形成されている。この保守用開口部23には、保守用開口部雌ねじ23aが切られており、非保守時にはこの保守用開口部23を封止する封止用のキャップ30の封止キャップ雄ねじ31と螺合する。キャップ30の右先端部にはシールリング30aが配されて、流体が漏れ出ないようになされている。
【0030】
保守時には、キャップ30を取り外し、保守用開口部23から工具を挿入し、工具先端を工具係合部43に係止させ、工具を回転してフィルタエレメント40の取付け取り外しをすることができる。
【0031】
このような構造とすることによって、継手本体20を配管から取り外さなくともフィルタエレメント40の取付け取り外しを行うことが可能となり手間を省くことができる。また、取付け取り外しの際に、基端部42の工具係合部43を使って回すので、フィルタ本体41に無用なトルクがかからず、このトルクによる損傷のリスクがなくなる。
【0032】
図2は、第1実施例を少し変更した第2実施例を示すが、変更した点は、フィルタ本体41が有底筒状ではなく筒状とした点である。この変更に伴って、基端部の反対側の端部に封止するための蓋である先端部44を設けている。フィルタ本体41をこのような形状にすることによって、フィルタ本体41の製造が簡便になる。
【0033】
図3及び
図4は、実施例1及び実施例2のフィルタ内蔵継手10に用いることができる基端部42を示す。
図3の基端部42の第1実施例では、フランジ部42aの継手係合部43に工具係合凹部43aが4か所形成されている。これらの工具係合部43aに係合するような複数の凸部を有する工具を用いて、フィルタエレメント40の取付け取り外しを容易に行うことができる。
【0034】
図4の基端部42の第2実施例では、フランジ部42aの継手係合部43に工具係合面43bが6か所形成されている。これらの工具係合面43bに係合するような六角のソケットレンチのような工具を用いて、フィルタエレメント40の取付け取り外しを容易に行うことができる。
【0035】
図5の基端部42の第3実施例では、フランジ部42aが第1、第2実施例と比べてその外径が小さく、継手係合部43は周面複数個所(本実施例では2箇所)に形成した切欠き溝部43cによって構成されている。そして、フィルタエレメント40の取り付けに際しては専用工具80を用いる。専用工具80は、一端側に指又は工具で掴み工具を回動させる突起挟持部81、他端側の周面に溝部43cに係合する突出係合部82が形成された、一端側が底部となる有底筒状部材である。継手本体20の内部の連通空間24を小径にすることが可能となり、フィルタ内蔵継手10の小型化を図ることが可能となる。
【0036】
図6は、フィルタ内蔵継手10の第3の実施例を示す。実施例2と異なる点は、第1に先端部44に第2貫通孔44aがあいている点である。第2に、キャップ30に小径孔32、大径孔34及び小径孔32と大径孔34をつなぐテーパー部33が形成され、この中に小径部51、大径部52及び小径部51と大径部52をつなぐテーパー部53を有するアダプター50が貫入しており、大径部52の右端部には、第1突出部54とこの突出部に連なる第2突出部55が形成されている。この第2突出部55が、第2貫通孔44aに嵌入しており、第2突出部55と第2貫通孔44aを形成している周壁との間にOリング55aが介在し気密性を保っている。このOリング55aが、フィルタ本体41の内部と連通空間24内のフィルタ本体41の外部とを遮断する封止のためのシール部材の役目を果たしている。第1突出部54の外周と連通空間24を形成している周壁との間にはOリング54aが介在し、継手本体20から流体が漏れ出ないように封止されている。
【0037】
基端部42には、第1貫通孔42bがあけられ、第2連通路22bと連通している。さらに基端部42の左端部には工具係合部43が形成され、この工具係合部43は、基底部六角穴部42eとして形成されている。このような構造にすることによって、保守時に、キャップ30を外し、保守用開口部23から工具を挿入し、第2貫通孔44aを通し、工具係合部43の基底部六角穴部42eに係止させて、フィルタエレメント40の取付け取り外しを行うことができる。
【0038】
このような構造とすることによって、継手本体20を配管から取り外さなくともフィルタエレメント40の取付け取り外しを行うことが可能となり手間を省くことができる。また、取付け取り外しの際に、基端部42の工具係合部43を使って回すので、フィルタ本体41に無用なトルクがかからず、このトルクによる損傷のリスクがなくなる。さらに、実施例1及び2と比べて、連通空間を大きくすることができない場合に、小さな工具を挿入し、工具係合部と係合させてフィルタエレメント40の取付け取り外しをすることができるので、継手本体20を小さくすることができる。
【0039】
図7は、フィルタ内蔵継手の第3実施例に用いられる基端部の第4実施例を示す。
基底部六角穴部42eの六角穴に工具を嵌め合わせ、工具を回転させてフィルタエレメント40の取付け取り外しを容易に行うことができる。
【0040】
図8は、
図6のフィルタ内蔵継手10の第3実施例を少し形状変更したものである。変更点は、突出部56が第2貫通孔44aに嵌入していない点である。その結果、先端部44の外周と連通空間24を形成している周壁との間にOリング44bが介在し気密性を保っている。このOリング44bが、フィルタ本体41の内部と連通空間24内のフィルタ本体41の外部とを遮断する封止のためのシール部材の役目を果たしている。突出部56の外周と連通空間24を形成している周壁との間にはOリング56aが介在し、継手本体20から流体が漏れ出ないように封止されている。
【0041】
フィルタ内蔵継手10の第1実施例(
図1)、第2実施例(
図2)、第3実施例(
図6)及び第4実施例(
図8)では、いずれも、第1流出入口部21と第2流出口部22とは向きが90°ずれており、継手本体20内で流路がL字状となっているが、本発明はこれに限るものではない。例えば、第1流出入口部21と第2流出口部22が、同じ面に並列に配置され、継手本体20内で流路がU字状となっても良いし、第1流出入口部21と第2流出口部22とは向きが90°未満のずれであって、継手本体20内で流路がV字状となっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0042】
この発明によるフィルタ内蔵継手に用いると、配管とこの継手を分離しなくとも、フィルタの取付け取り外しを行うことができ手間がかからず、フィルタの取付け取り外し時に、フィルタに不要なトルクがかからず、フィルタの損傷がなくなる。
【符号の説明】
【0043】
10:継手
20:継手本体
21:第1流出入口部
21a:第1流出入口部雌ねじ
21b:第1連通路
22:第2流出入口部
22a:第2流出入口部雌ねじ
22b:第2連通路
23:保守用開口部
23a:保守用開口部雌ねじ
24:連通空間
25:フィルタエレメント設置用雌ねじ
30:キャップ
30a:シールリング
31:封止キャップ雄ねじ
32:小径孔
33:テーパー部
34:大径孔
40:フィルタエレメント
41:フィルタ本体
42:基端部
42a:フランジ部
42b:基端部貫通孔、第1貫通孔
42c:基端部雄ねじ
42d:シールリング
42e:基底部六角穴部
43:工具係合部
43a:工具係合凹部
43b:工具係合面
43c:切欠き溝部
44:先端部
44a:第2貫通孔
44b:Oリング
50:アダプター
51:小径部
52:大径部
53:テーパー部
54:第1突出部
54a:Oリング
55:第2突出部
55a:Oリング
56:突出部
80:専用工具
81:突起挟持部
82:突出係合部