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特許7357376実店舗、実店舗決済支援システム、コインランドリー店、及びコインランドリー店決済支援システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】実店舗、実店舗決済支援システム、コインランドリー店、及びコインランドリー店決済支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/28 20120101AFI20230929BHJP
【FI】
G06Q20/28
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021130396
(22)【出願日】2021-08-07
(65)【公開番号】P2023016646
(43)【公開日】2023-02-02
【審査請求日】2023-01-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517126587
【氏名又は名称】NEXT Creation’s株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097548
【弁理士】
【氏名又は名称】保立 浩一
(72)【発明者】
【氏名】菅原 穣
【審査官】青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-108895(JP,A)
【文献】特開2017-097656(JP,A)
【文献】特開2021-026453(JP,A)
【文献】特開2021-009474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネット上の仮想店舗ではない実店舗であって、
チャージ額送信機と、決済許可情報受信機とが設けられており、
チャージ額送信機は、プリペイド金を当該実店舗において支払って預ける顧客を特定する顧客IDをカードによらずに当該顧客が携帯している端末である顧客端末から取得する顧客ID取得部を備えており、プリペイド金は、当該実店舗又は当該実店舗と同一の経営者が経営している他の店舗における将来の決済のために顧客が予め支払って預ける金銭であり、
チャージ額送信機は、当該実店舗において顧客が支払って預けられたプリペイド金の額であるチャージ額が入力される入力部を備えており、
チャージ額送信機は、支援サーバーに対してネットワークを介して接続されており、当該実店舗においてプリペイド金を受領する受領者の受領者IDを取得することが可能な情報、顧客ID取得部が取得した顧客ID及び入力部から入力されたチャージ額を支援サーバーに送信して、支援サーバー上の記憶部に記憶された残高情報ファイルにおいて当該顧客ID及び当該受領者IDについてチャージ額が加算されてプリペイド金の残高を更新する処理を行わせる送信機であり、受領者IDは、各実店舗の経営者を識別する情報であって複数の実店舗において経営者が同一である場合には同一のIDが与えられる識別情報であり、
決済許可情報受信機は、ディスプレイを備えているとともに、支援サーバーに対してネットワークを介して接続されており、
決済許可情報受信機は、当該実店舗に設けられた端末又は顧客端末により、当該実店舗を特定する店舗ID、顧客ID及び決済額が支援サーバーに送信され、当該実店舗においてプリペイド金を受領する受領者の受領者ID及び当該顧客IDについてのプリペイド金の残高が決済額以上である場合に支援サーバーが決済許可情報を決済許可情報受信機に送信した際、当該決済許可情報を受信してディスプレイに表示する受信機であることを特徴とする実店舗。
【請求項2】
前記チャージ額送信機及び前記決済許可情報受信機として、PC又はスマートフォンである店舗端末が設けられていることを特徴とする請求項1記載の実店舗。
【請求項3】
当該実店舗には、決済許可申請送信機が設けられており、
決済許可申請送信機は、決済額の入力が可能であり、入力された決済額と、当該実店舗を特定する店舗IDと、当該実店舗においてプリペイド金を受領する受領者の受領者IDを特定することが可能な情報と、顧客IDとをネットワークを介して前記支援サーバーに送信して前記支援サーバー上の決済許可判断プログラムを実行させる送信機であり、
前記支援サーバー上の決済許可判断プログラムは、当該実店舗を特定する店舗ID、顧客ID及び決済額が送信された際、当該実店舗においてプリペイド金を受領する受領者の受領者ID及び当該顧客IDについてのプリペイド金の残高が決済額以上である場合に決済許可情報を前記決済許可情報受信機に送信するプログラムであり、
決済許可申請送信機は、顧客IDをカードによらずに当該顧客が携帯している端末である顧客端末から取得する顧客ID取得部を備えていて、決済許可判断プログラムの実行の際、顧客ID取得部が取得した顧客IDを前記支援サーバーに送信する送信機であることを特徴とする請求項1又は2記載の実店舗。
【請求項4】
前記決済許可申請送信機として、PC又はスマートフォンである店舗端末が設けられていることを特徴とする請求項3記載の実店舗。
【請求項5】
インターネット上の仮想店舗ではない実店舗における決済を支援する実店舗決済支援システムであって、
支援サーバーと、記憶部とを備えており、
記憶部には、
各実店舗を特定する店舗IDと、各実店舗においてプリペイド金を受領する受領者を特定する受領者IDとを含む情報を記録した店舗情報ファイルと、
顧客を特定する顧客IDを含む顧客の情報を記録した顧客情報ファイルと、
各顧客が予め支払ったプリペイド金の残高を記録した残高情報ファイルと
が記録されており、
残高情報ファイルは、各顧客について、店舗情報ファイルにおける受領者IDごとにプリペイド金の残高を記録したファイルであり、
支援サーバーには、
チャージ額記録プログラムと、決済許可情報送信プログラムと、残高減額プログラムとが実装されており、
チャージ額記録プログラムは、実店舗に設置されているチャージ額送信機から、当該チャージ額送信機が設置された実店舗においてプリペイド金を受領する受領者の受領者IDを取得することが可能な情報、プリペイド金を支払った顧客を特定する顧客ID及び支払われたプリペイド金の額であるチャージ額が支援サーバーに送信された際、支援サーバー上の記憶部に記憶された残高情報ファイルにおいて当該顧客ID及び当該受領者IDについてチャージ額を加算してプリペイド金の残高を更新するプログラムであり、
決済許可情報送信プログラムは、店舗ID、顧客ID及び決済額が送信された際、当該店舗IDで特定される実店舗においてプリペイド金を受領する受領者の受領者ID及び当該顧客IDについてのプリペイド金の残高が決済額以上である場合に決済許可情報を送信するプログラムであり、
各実店舗には、決済許可情報を受信してディスプレイに表示する決済許可情報受信機が設けられており、
決済許可情報送信プログラムは、店舗IDで特定される実店舗に設けられた決済許可情報受信機に決済許可情報を送信するプログラムであり、
残高減額プログラムは、決済許可情報送信プログラムが決済許可情報を送信した際、決済額を残高から減額して残高情報ファイルを更新するプログラムであることを特徴とする実店舗決済支援システム。
【請求項6】
各実店舗には、決済額の入力が可能であり、当該実店舗を特定する店舗IDと、顧客IDと、入力された決済額とをネットワークを介して前記支援サーバーに送信することが可能な決済許可申請送信機が設けられており、
前記決済許可情報送信プログラムは、決済許可申請送信機から店舗ID、顧客ID及び決済額が送信された際に実行されるプログラムであることを特徴とする請求項5記載の実店舗決済支援システム。
【請求項7】
前記記憶部には、決済履歴情報ファイルが記録されており、
前記決済許可情報には、決済が許可された顧客の顧客IDが含まれており、
前記支援サーバーには、前記決済許可情報送信プログラムが決済許可情報を送信した際、当該決済許可情報を決済履歴情報ファイルに記録する決済履歴記録プログラムが実装されており、
前記支援サーバーには、前記受領者が操作する端末である受領者端末からアクセスがあった際、決済履歴情報ファイルに記録されている決済許可情報のうち、当該受領者に係る受領者IDについての記録されているプリペイド金について決済を許可した際の決済許可情報を受領者端末上で閲覧可させるための決済履歴閲覧ページ表示プログラムが実装されていることを特徴とする請求項5又は6記載の実店舗決済支援システム。
【請求項8】
店内に複数のランドリー機器が設置されており、来店した顧客に有料にて各ランドリー機器を使用させるコインランドリー店であって、
ランドリー機器は、顧客が持参した携帯端末である顧客端末に入力されることで当該顧客端末がネットワークを介して支援サーバーに接続された状態とするためのアクセス情報を提供するアクセス情報提供部を備えており、
アクセス情報提供部が提供するアクセス情報は、当該アクセス情報提供部が備えられたランドリー機器が設置されたコインランドリー店を特定する店舗IDと、当該アクセス情報提供部が備えられたランドリー機器を特定するための機器IDとを含んでおり、
各ランドリー機器は、支援サーバーから送信された使用許可信号が入力される信号入力部を備えており、使用許可信号は当該ランドリー機器の動作を開始させることが可能な信号であり、
使用許可信号は、アクセス情報提供部が提供したアクセス情報が携帯端末から支援サーバーに送信された際、送信されたアクセス情報に含まれる店舗IDで特定されるコインランドリー店の経営者が受領したプリペイド金の残高が当該機器IDに係るランドリー機器の使用料以上である場合に信号入力部に入力される信号であることを特徴とするコインランドリー店。
【請求項9】
店内には、前記ランドリー機器の使用料を予め支払うプリペイド金を受領するプリペイドチャージ機が設置されており、
プリペイドチャージ機は、プリペイド金を支払う顧客を特定する顧客IDを取得する顧客ID取得部と、投入されたプリペイド金の額であるチャージ額を取得するチャージ額取得部と、支援サーバーにプリペイド情報を送信するプリペイド情報送信部とを備えており
顧客ID取得部は、カードによらずに顧客が携帯している端末である顧客端末から顧客IDを取得する取得部であり、
プリペイド情報送信部は、当該プリペイドチャージ機が設置されたコインランドリー店を特定する店舗IDと、顧客ID取得部が取得した顧客IDと、チャージ額取得部が取得したチャージ額とをプリペイド情報として支援サーバーに送信する送信部であり、
前記支援サーバーから送信されて前記信号入力部に入力される前記使用許可信号は、アクセス情報提供部が提供したアクセス情報に含まれる店舗IDで特定されるコインランドリー店に設置されたプリペイドチャージ機で受領したプリペイド金の他、経営者が同一である他のコインランドリー店に設置されたプリペイドチャージ機で受領したプリペイド金であっても残高が使用料以上の場合には前記信号入力部に入力される信号であることを特徴とする請求項8記載のコインランドリー店。
【請求項10】
前記プリペイドチャージ機は、両替機としても機能する機器であることを特徴とする請求項9記載のコインランドリー店。
【請求項11】
前記アクセス情報提供部は、前記支援サーバー上のプログラムの実行コードを二次元化した二次元コードをアクセス情報として提供する提供部であり、この実行コードは前記機器ID及び前記店舗IDを引数として含んでいることを特徴とする請求項8乃至10いずれかに記載のコインランドリー店。
【請求項12】
店内に複数のランドリー機器が設置されており、来店した顧客に有料にて各ランドリー機器を使用させるコインランドリー店におけるランドリー機器の使用料の決済を支援するコインランドリー店決済支援システムであって、
支援サーバーと、記憶部とを備えており、
記憶部には、
各コインランドリー店を特定する店舗IDを含む各コインランドリー店の情報を記録した店舗情報ファイルと、
各コインランドリー店において設置されている各ランドリー機器を特定する機器IDを含む各ランドリー機器の情報を記録した機器情報ファイルと、
登録された顧客を特定する顧客IDを含む顧客の情報を記録した顧客情報ファイルと、
各顧客が予め支払ったプリペイド金の残高を記録した残高情報ファイルと
が記録されており、
店舗情報ファイルには、当該コインランドリー店における機器の使用料の受領者を特定する受領者IDが記録されており、
残高情報ファイルは、各顧客について、店舗情報ファイルにおける受領者IDごとにプリペイド金の残高を記録したファイルであり、
支援サーバーには、
チャージ額記録プログラムと、決済許可情報送信プログラムと、残高減額プログラムとが実装されており、
チャージ額記録プログラムは、顧客IDと、当該コインランドリー店の店舗ID又は当該コインランドリー店の経営者であってプリペイド金を受領する受領者の受領者IDと、チャージ額とを受信した際、当該顧客ID及び当該店舗における受領者の受領者IDについてチャージ額を加算してプロペイド金の残高を更新するプログラムであり、
決済許可情報送信プログラムは、顧客が操作する携帯端末から顧客ID、店舗ID及び機器IDを受信した際、店舗IDに従って店舗情報ファイルから受領者IDを取得し、当該顧客ID及び当該受領者IDについて残高情報ファイルに記録されているプリペイド金の残高が当該機器IDに係るランドリー機器の使用料以上である場合に決済許可情報を送信して当該機器IDに係るランドリー機器が動作するようにするプログラムであり、
残高減額プログラムは、決済許可情報送信プログラムが決済許可情報を送信した際、当該顧客ID及び当該受領者IDについて記録されているプリペイド金の残高から当該使用料を減額して残高を更新するプログラムであることを特徴とするコインランドリー店決済支援システム。
【請求項13】
チャージ額記録プログラムは、コインランドリー店に設置されているプリペイドチャージ機から、顧客IDと、当該コインランドリー店の店舗ID又は当該店舗ランドリー店の経営者であってプリペイド金を受領する受領者の受領者IDと、チャージ額とを受信した際、当該顧客ID及び当該店舗における受領者の受領者IDについてチャージ額を加算してプロペイド金の残高を更新するプログラムであることを特徴とする請求項12記載のコインランドリー店決済システム。
【請求項14】
前記記憶部には、決済履歴情報ファイルが記録されており、
前記決済許可情報には、決済が許可された顧客の顧客IDが含まれており、
前記支援サーバーには、前記決済許可情報送信プログラムが決済許可情報を送信した際、当該決済許可情報を決済履歴情報ファイルに記録する決済履歴記録プログラムが実装されており、
前記支援サーバーには、前記受領者が操作する端末である受領者端末からアクセスがあった際、決済履歴情報ファイルに記録されている決済許可情報のうち、当該受領者IDについての記録されているプリペイド金について決済を許可した際の決済許可情報を受領者端末上で閲覧させるための決済履歴閲覧ページ表示プログラムが実装されていることを特徴とする請求項12又は13に記載のコインランドリー店決済支援システム。
【請求項15】
顧客が操作する端末である顧客端末にダウンロードされ、請求項5乃至7いずれに記載の実店舗決済支援システムにおける支援サーバーにアクセスするための実店舗決済アプリケーションプログラムであって、
前記残高情報ファイルに受領者IDが記録されている各受領者に係る店舗又は店舗チェーンの名称をリストにした店舗リストページを顧客端末に表示する機能を有しており
店舗リストページにおいて選択された店舗又は店舗チェーンに係る受領者に対してプリペイド金を支払うためのコマンドボタン、及び店舗リストページにおいて選択された店舗又は店舗チェーン内のいずれかの店舗においてプリペイド金を使用するためのコマンドボタンを顧客端末に表示する機能を有していることを特徴とする実店舗決済アプリケーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願の発明は、例えばコインランドリー店のような比較的小規模の実店舗における決済技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、キャッシュレス決済の普及が加速化しており、クレジットカードや電子マネー等による決済が盛んに行われている。
これらキャッシュレス決済は、利用者にとっては便利であるが、店舗側にとっては何らかの手数料を負担せざるを得ないため、必ずしも歓迎されている訳ではない。特に、小規模の事業者や利益率の低い商品を扱っている事業者にとっては、手数料の額は無視できない額であり、キャッシュレス決済の導入を躊躇する要因である。
【0003】
キャッシュレス決済を躊躇する別の要因は、売り掛け期間が発生することである。店舗は、キャッシュレス決済サービスを提供する会社と契約をしてキャッシュレス決済を行うが、月極で精算がされるため、少なくとも一ヶ月程度は売り掛けの状態となり、クレジットカード等では数ヶ月程度の売り掛けとなる(入金が後になる)場合もある。翌日に決済額が店舗の銀行口座に振り込まれる電子マネー決済サービスも存在するが、銀行の振り込み手数料は店舗側の負担であり、毎日となるとその額は無視できない額となる。
上記のような売り掛け期間の存在は、比較的小規模の事業者にとっては運転資金の面で負担となるし、現金で仕入れを行っている事業者の場合、特に負担が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-26453号公報
【文献】特開2002-312847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の発明は、上述したキャッシュレス決済における課題を解決するために為されたものであり、比較的小規模の実店舗や現金決済を主としている実店舗において好適に導入できるキャッシュレス決済の技術を提供することを目的としている。
上記の点を解決課題としている本願の発明は、その適用対象(実店舗)の一例としてコインランドリー店を念頭においており、その特有の課題を解決することをも包含している。以下、この点について説明する。
【0006】
コインランドリーは、自宅に洗濯機がない独身者などを中心として以前から広く利用されている。最近では、毛布等も洗える大型の最新の洗濯機が設置されたコインランドリー店も多く見かけるようになってきており、家に洗濯機がある場合でも利用されることが多くなってきている。
このような状況から、コインランドリー事業は投資の対象としても徐々に注目されるようになってきており、賃貸ビルのオーナーが一階店舗に空きが出た際にコインランドリー店として転業するケースも出てきている。
【0007】
このように、コインランドリーの業界は、近年変化を遂げており、特許文献1,2に開示されたようにITを利用することの提案も一部されている。しかしながら、旧態依然とした部分も多く残っており、改善すべき重要な課題が幾つか存在している。
一つには、キャッシュレス化が図れていないことである。小売業全般にスマホやプリペイドカードを利用した決済が急速に普及しているが、コインランドリーの業界では、キャッシュレス化が図られていない。
【0008】
キャッシュレス化する場合、クレジットカードやデビットカード、電子マネーカード、プリペイドカード、プリペイド式の電子マネー等を利用することになる。しかしながら、いずれのキャッシュレス決済においても、汎用性(提携店であればどこでも使えるという意味の汎用性)のあるカードや電子マネーの場合、少なくない手数料が徴収される。手数料は、コインランドリー店を経営する事業者(以下、ランドリー店舗事業者という。)の経営主体が負担することになるが、投資回収に長期間を要するコインランドリー事業の業態を考慮すると、キャッシュレス決済の手数料は無視できない割高の費用負担となる。即ち、近年の高機能化した洗濯機や乾燥機は高額な機器となっている一方、投資の回収は一回数百円という少額の使用料が原資となる。このため、投資回収の期間はただでさえ長いのに、割高なキャッシュレス手数料を負担することになると回収期間がさらに長くなってしまう。このため、ランドリー店舗事業者は、キャッシュレス決済の導入を見送らざるを得ない状況となっている。
【0009】
汎用性のないプリペイドカードをキャッシュレス決済の手段として導入することも考えられるが、1店舗から数店舗ほどを運営している小規模のランドリー店舗事業者が圧倒的多数を占めるコインランドリーの業界にとって、専用のプリペイドカードシステムを導入することは、導入コストや維持管理のコストが経営規模に対してあまりにも高くなってしまう。顧客にとっても、種々のカードを既に保有して使っている現状において、コインランドリー店での使用のためにのみカードをさらに保有することは、煩雑であると感じるのが必定である。
【0010】
現状のコインランドリー業界が抱えている別の課題は、顧客分析ができていないことである。顧客分析とは、いつ、誰が、どのような購入行動を取っているかという分析である。
コインランドリー店は、殆どの場合、その名の通り、キャッシュ(コイン)による決済である。このため、一日の営業が終わってコインボックスから現金を回収する際に一日の売上高が判明する程度で、いつ、誰が、どのようにランドリー機器を使用したかを知ることができず、マーケティングにおける重要な要素である顧客分析が殆どできていない。
【0011】
さらに別の課題は、上記課題に起因するが、顧客の囲い込みができていないことである。顧客の囲い込みとは、一度購入した顧客が他店に行かないようにしてリピーターとなることを促進する施策である。囲い込みには、ポイント付与(次回購入時の割引特典の付与)等がしばしば採用されるが、顧客の特定ができていないためにこのようなプロモーションを導入することができず、顧客の囲い込みができていない。
また、一日の売り上げは、営業終了後に各ランドリー機器のコインボックスから現金を回収した時に判明するが、その売り上げが一日のどの時点で発生したのかは不明である。つまり、リアルタイムの売り上げ把握ができていない。
【0012】
本願発明の解決課題は、上記のような現状のコインランドリー業界の各課題を包含しており、本願発明のより具体的な目的の一つは、コインランドリー店においてキャッシュレス決済を導入しつつも可能な限り手数料を少なくできる技術構成を提供するとともに、顧客分析や顧客の囲い込み、リアルタイムの売り上げ把握等を可能にしてマーケティング戦略の観点でも有益なソリューションを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、この明細書において、まず、実店舗の発明と、実店舗決済支援システムの発明とが開示される。
開示された発明に係る実店舗は、インターネット上の仮想店舗ではない実店舗であり、この実店舗には、チャージ額送信機と、決済許可情報受信機とが設けられている。
チャージ額送信機は、プリペイド金を当該実店舗において支払って預ける顧客を特定する顧客IDをカードによらずに当該顧客が携帯している端末である顧客端末から取得する顧客ID取得部を備えており、プリペイド金は、当該実店舗又は当該実店舗と同一の経営者が経営している他の店舗における将来の決済のために顧客が予め支払って預ける金銭である。
チャージ額送信機は、当該実店舗において顧客が支払って預けられたプリペイド金の額であるチャージ額が入力される入力部を備えている。
チャージ額送信機は、支援サーバーに対してネットワークを介して接続されており、当該実店舗においてプリペイド金を受領する受領者の受領者IDを取得することが可能な情報、顧客ID取得部が取得した顧客ID及び入力部から入力されたチャージ額を支援サーバーに送信して、支援サーバー上の記憶部に記憶された残高情報ファイルにおいて当該顧客ID及び当該受領者IDについてチャージ額が加算されてプリペイド金の残高を更新する処理を行わせる送信機であり、受領者IDは、各実店舗の経営者を識別する情報であって複数の実店舗において経営者が同一である場合には同一のIDが与えられる識別情報である。
決済許可情報受信機は、ディスプレイを備えているとともに、支援サーバーに対してネットワークを介して接続されている。
決済許可情報受信機は、当該実店舗に設けられた端末又は顧客端末により、当該実店舗を特定する店舗ID、顧客ID及び決済額が支援サーバーに送信され、当該実店舗においてプリペイド金を受領する受領者の受領者ID及び当該顧客IDについてのプリペイド金の残高が決済額以上である場合に支援サーバーが決済許可情報を決済許可情報受信機に送信した際、当該決済許可情報を受信してディスプレイに表示する受信機である。
また、上記実店舗において、チャージ額送信機及び決済許可情報受信機として、PC又はスマートフォンである店舗端末が設けられ得る。
また、上記実店舗は、
当該実店舗には、決済許可申請送信機が設けられており、
決済許可申請送信機は、決済額の入力が可能であり、入力された決済額と、当該実店舗を特定する店舗IDと、当該実店舗においてプリペイド金を受領する受領者の受領者IDを特定することが可能な情報と、顧客IDとをネットワークを介して前記支援サーバーに送信して前記支援サーバー上の決済許可判断プログラムを実行させる送信機であり、
前記支援サーバー上の決済許可判断プログラムは、当該実店舗を特定する店舗ID、顧客ID及び決済額が送信された際、当該実店舗においてプリペイド金を受領する受領者の受領者ID及び当該顧客IDについてのプリペイド金の残高が決済額以上である場合に決済許可情報を前記決済許可情報受信機に送信するプログラムであり、
決済許可申請送信機は、顧客IDをカードによらずに当該顧客が携帯している端末である顧客端末から取得する顧客ID取得部を備えていて、決済許可判断プログラムの実行の際、顧客ID取得部が取得した顧客IDを前記支援サーバーに送信する送信機である
という構成を持ち得る。
また、上記実店舗において、決済許可申請送信機として、PC又はスマートフォンである店舗端末が設けられ得る。
また、開示された発明に係る実店舗決済支援システムは、インターネット上の仮想店舗ではない実店舗における決済を支援するシステムである。
このシステムは、支援サーバーと、記憶部とを備えている。
記憶部には、
各実店舗を特定する店舗IDと、各実店舗においてプリペイド金を受領する受領者を特定する受領者IDとを含む情報を記録した店舗情報ファイルと、
顧客を特定する顧客IDを含む顧客の情報を記録した顧客情報ファイルと、
各顧客が予め支払ったプリペイド金の残高を記録した残高情報ファイルと
が記録されている。
残高情報ファイルは、各顧客について、店舗情報ファイルにおける受領者IDごとにプリペイド金の残高を記録したファイルである。
支援サーバーには、チャージ額記録プログラムと、決済許可情報送信プログラムと、残高減額プログラムとが実装されている。
チャージ額記録プログラムは、実店舗に設置されているチャージ額送信機から、当該チャージ額送信機が設置された実店舗においてプリペイド金を受領する受領者の受領者IDを取得することが可能な情報、プリペイド金を支払った顧客を特定する顧客ID及び支払われたプリペイド金の額であるチャージ額が支援サーバーに送信された際、支援サーバー上の記憶部に記憶された残高情報ファイルにおいて当該顧客ID及び当該受領者IDについてチャージ額を加算してプリペイド金の残高を更新するプログラムである。
また、この実店舗決済支援システムは、
決済許可情報送信プログラムは、店舗ID、顧客ID及び決済額が送信された際、当該店舗IDで特定される実店舗においてプリペイド金を受領する受領者の受領者ID及び当該顧客IDについてのプリペイド金の残高が決済額以上である場合に決済許可情報を送信するプログラムであり、
各実店舗には、決済許可情報を受信してディスプレイに表示する決済許可情報受信機が設けられており、決済許可情報送信プログラムは、店舗IDで特定される実店舗に設けられた決済許可情報受信機に決済許可情報を送信するプログラムであり、
残高減額プログラムは、決済許可情報送信プログラムが決済許可情報を送信した際、決済額を残高から減額して残高情報ファイルを更新するプログラムである
という構成を持ち得る。
また、この実店舗決済支援システムは、
各実店舗には、決済額の入力が可能であり、当該実店舗を特定する店舗IDと、顧客IDと、入力された決済額とをネットワークを介して支援サーバーに送信することが可能な決済許可申請送信機が設けられており、
決済許可情報送信プログラムは、決済許可申請送信機から店舗ID、顧客ID及び決済額が送信された際に実行されるプログラムである
という構成を持ち得る。
また、この実店舗決済支援システムは、
記憶部には、決済履歴情報ファイルが記録されており、
決済許可情報には、決済が許可された顧客の顧客IDが含まれており、
支援サーバーには、決済許可情報送信プログラムが決済許可情報を送信した際、当該決済許可情報を決済履歴情報ファイルに記録する決済履歴記録プログラムが実装されており、
支援サーバーには、受領者が操作する端末である受領者端末からアクセスがあった際、決済履歴情報ファイルに記録されている決済許可情報のうち、当該受領者に係る受領者IDについての記録されているプリペイド金について決済を許可した際の決済許可情報を受領者端末上で閲覧させるための決済履歴閲覧ページ表示プログラムが実装されている
という構成を持ち得る。
【0014】
また、上記課題を解決するため、この明細書において、コインランドリー店の発明、コインランドリー店決済支援システムの発明が開示される。
開示された発明に係るコインランドリー店は、店内に複数のランドリー機器が設置されており、来店した顧客に有料にて各ランドリー機器を使用させるコインランドリー店である。
ランドリー機器は、顧客が持参した携帯端末である顧客端末に入力されることで当該顧客端末がネットワークを介して支援サーバーに接続された状態とするためのアクセス情報を提供するアクセス情報提供部を備えている。
アクセス情報提供部が提供するアクセス情報は、当該アクセス情報提供部が備えられたランドリー機器が設置されたコインランドリー店を特定する店舗IDと、当該アクセス情報提供部が備えられたランドリー機器を特定するための機器IDとを含んでいる。
各ランドリー機器は、支援サーバーから送信された使用許可信号が入力される信号入力部を備えており、使用許可信号は当該ランドリー機器の動作を開始させることが可能な信号である。
使用許可信号は、アクセス情報提供部が提供したアクセス情報が携帯端末から支援サーバーに送信された際、送信されたアクセス情報に含まれる店舗IDで特定されるコインランドリー店の経営者が受領したプリペイド金の残高が当該機器IDに係るランドリー機器の使用料以上である場合に信号入力部に入力される信号である。
このコインランドリー店は、
店内には、ランドリー機器の使用料を予め支払うプリペイド金を受領するプリペイドチャージ機が設置されており、
プリペイドチャージ機は、プリペイド金を支払う顧客を特定する顧客IDを取得する顧客ID取得部と、投入されたプリペイド金の額であるチャージ額を取得するチャージ額取得部と、支援サーバーにプリペイド情報を送信するプリペイド情報送信部とを備えており、
顧客ID取得部は、カードによらずに顧客が携帯している端末である顧客端末から顧客IDを取得する取得部であり、
プリペイド情報送信部は、当該プリペイドチャージ機が設置されたコインランドリー店を特定する店舗IDと、顧客ID取得部が取得した顧客IDと、チャージ額取得部が取得したチャージ額とをプリペイド情報として支援サーバーに送信する送信部であり、
支援サーバーから送信されて信号入力部に入力される使用許可信号は、アクセス情報提供部が提供したアクセス情報に含まれる店舗IDで特定されるコインランドリー店に設置されたプリペイドチャージ機で受領したプリペイド金の他、経営者が同一である他のコインランドリー店に設置されたプリペイドチャージ機で受領したプリペイド金であっても残高が使用料以上の場合には前記信号入力部に入力される信号である
という構成を持ち得る。
また、このコインランドリー店において、プリペイドチャージ機は、両替機としても機能する機器であり得る。
また、このコインランドリー店において、アクセス情報提供部は、機器ID及び店舗IDを渡して支援サーバー上のプログラムの実行コードを二次元化した二次元コードをアクセス情報として提供する提供部であり、この実行コードは機器ID及び店舗IDを引数として含んでいるという構成を持ち得る。
また、開示された発明に係るコインランドリー店決済支援システムは、店内に複数のランドリー機器が設置されており、来店した顧客に有料にて各ランドリー機器を使用させるコインランドリー店におけるランドリー機器の使用料の決済を支援するコインランドリー店決済支援システムである。
このシステムは、支援サーバーと、記憶部とを備えている。
記憶部には、
各コインランドリー店を特定する店舗IDを含む各コインランドリー店の情報を記録した店舗情報ファイルと、
各コインランドリー店において設置されている各ランドリー機器を特定する機器IDを含む各ランドリー機器の情報を記録した機器情報ファイルと、
登録された顧客を特定する顧客IDを含む顧客の情報を記録した顧客情報ファイルと、
各顧客が予め支払ったプリペイド金の残高を記録した残高情報ファイルと
が記録されている。
店舗情報ファイルには、当該コインランドリー店における機器の使用料の受領者を特定する受領者IDが記録されている。
残高情報ファイルは、各顧客について、店舗情報ファイルにおける受領者IDごとにプリペイド金の残高を記録したファイルである。
支援サーバーには、チャージ額記録プログラムと、決済許可情報送信プログラムと、残高減額プログラムとが実装されている。
チャージ額記録プログラムは、コインランドリー店に設置されているプリペイドチャージ機から、顧客IDと、当該コインランドリー店の店舗ID又は当該店舗コインランドリー店においてプリペイド金を受領する受領者の受領者IDと、チャージ額とを受信した際、当該顧客ID及び当該店舗における受領者の受領者IDについてチャージ額を加算してプロペイド金の残高を更新するプログラムである。
決済許可情報送信プログラムは、顧客が操作する携帯端末から顧客ID、店舗ID及び機器IDを受信した際、店舗IDに従って店舗情報ファイルから受領者IDを取得し、当該顧客ID及び当該受領者IDについて残高情報ファイルに記録されているプリペイド金の残高が当該機器IDに係るランドリー機器の使用料以上である場合に決済許可情報を送信して当該機器IDに係るランドリー機器が動作するようにするプログラムである。
残高減額プログラムは、決済許可情報送信プログラムが決済許可情報を送信した際、当該顧客ID及び当該受領者IDについて記録されているプリペイド金の残高から当該使用料を減額して残高を更新するプログラムである。
また、このコインランドリー店決済支援システムにおいて、 チャージ額記録プログラムは、コインランドリー店に設置されているプリペイドチャージ機から、顧客IDと、当該コインランドリー店の店舗ID又は当該店舗ランドリー店の経営者であってプリペイド金を受領する受領者の受領者IDと、チャージ額とを受信した際、当該顧客ID及び当該店舗における受領者の受領者IDについてチャージ額を加算してプロペイド金の残高を更新するプログラムであり得る。
また、このコインランドリー店決済支援システムは、
記憶部には、決済履歴情報ファイルが記録されており、
決済許可情報には、決済が許可された顧客の顧客IDが含まれており、
支援サーバーには、決済許可情報送信プログラムが決済許可情報を送信した際、当該決済許可情報を決済履歴情報ファイルに記録する決済履歴記録プログラムが実装されており、
支援サーバーには、受領者が操作する端末である受領者端末からアクセスがあった際、決済履歴情報ファイルに記録されている決済許可情報のうち、当該受領者IDについての記録されているプリペイド金について決済を許可した際の決済許可情報を受領者端末上で閲覧させるための決済履歴閲覧ページ表示プログラムが実装されている
という構成を持ち得る。
また、上記課題を解決するため、この明細書において、実店舗決済アプリケーションプログラムの発明が開示される。このアプリケーションプログラムは、顧客が操作する端末である顧客端末にダウンロードされ、上記実店舗決済支援システムにおける支援サーバーにアクセスするための実店舗決済アプリケーションプログラムである。
このアプリケーションプログラムは、残高情報ファイルに受領者IDが記録されている各受領者に係る店舗又は店舗チェーンの名称をリストにした店舗リストページを顧客端末に表示する機能を有しており、
店舗リストページにおいて選択された店舗又は店舗チェーンに係る受領者に対してプリペイド金を支払うためのボタン、及び店舗リストページにおいて選択された店舗又は店舗チェーン内のいずれかの店舗においてプリペイド金を使用するためのボタンを顧客端末に表示する機能を有している。
【発明の効果】
【0015】
以下に説明する通り、開示された実店舗、実店舗決済支援システムの各発明によれば、
カードによらない形で事前支払い手段が発行され、チャージされたプリペイド金を使用して決済することができる。チャージの際に支払われた現金は店舗の側で受領されるので、振込手数料は発生せず、プリペイドであるため売り掛け期間は発生しない。このため、経営規模の小さい各種商店等において好適に導入される。
そして、有人の実店舗の場合にはプリペイドチャージ機が不要になり、顧客端末から取得した顧客IDとチャージ額とを支援サーバーに送信するチャージ額送信機があれば良く、チャージ額送信機としてPC又はスマートフォンのような汎用端末を使用できるので、さらに導入コストが安価となる。
また、決済額を入力して、店舗ID、受領者ID取得可能情報、顧客IDとともに支援サーバーに送信する決済許可申請送信機が設けられている構成では、店舗側から決済許可申請がされるため、煩雑さがなくなる。決済許可申請送信機についても、PC又はスマートフォンを使用することができ、導入コストを安価にできる。
また、実店舗の経営者である受領者は、決済履歴情報を閲覧することで、どの顧客がどの日時にどのランドリー機器を使用したかを知ることができ、顧客分析や顧客の囲い込みも容易に行えるようになる。
また、開示された各発明に係るコインランドリー店、コインランドリー店決済支援システムによれば、キャッシュレス決済が実現されるので、顧客は、事前にチャージをしていれば硬貨をもたずに訪れてもランドリー機器が使用でき、利便性が高くなる。両替機で両替できない高額紙幣しか持ち合わせがない場合でも、ランドリー機器の利用ができる。
一方、コインランドリー店の経営者にとっては、このような利便性が顧客を呼び込む手段になる上、プリペイドサービスであるので、売り掛け期間が発生することはない。その上、プリペイドサービスであるので、逆に運転資金(キャッシュフロー)に余裕ができるというメリットもある。
この際、プリペイドカードを発行する構成ではなく、プリペイド金の管理をネットワーク上の支援サーバーによって行う構成であるので、導入コストは非常に小さくて済む。支援サーバーを運営管理するサービス提供会社は、多数の受領者即ち多数のコインランドリー店経営者と契約をしてサービスを提供するので、支援サーバーによるプリペイド金管理のコスト(一受領者あたりのコスト)は非常に安価となる。
さらに、プリペイドチャージ機はコインランドリー店に設置されているので、チャージの際に支払われた現金はそのままコインランドリー店の経営者(受領者)に渡ることになり、振込手数料は発生しない。このため、経営規模の小さいことが通常であるコインランドリー店におけるキャッシュレス決済の手法として極めて好適なものとなる。
さらに、プリペイド金は同一の受領者ごとに管理されているので、資金決済法上は、自家型前払い式支払い手段発行者ということになり、財務省への届け出と供託金支払いで済み、登録は不要となる。半期の残高が1000万円以下であれば、届け出や供託金支払いも不要になる。
また、コインランドリー店の経営者である受領者は、決済履歴情報を閲覧することで、どの顧客がどの日時にどのランドリー機器を使用したかを知ることができ、顧客分析や顧客の囲い込みも容易に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態のコインランドリー店の平面概略図、実施形態のコインランドリー店決済支援システムの概略図である。
図2】受領者情報ファイルの構造の一例を示した概略図である。
図3】店舗情報ファイルの構造の一例を示した概略図である。
図4】機器情報ファイルの構図の一例を示した概略図である。
図5】顧客情報ファイルの構造の概略を示した図である。
図6】ある顧客についての残高情報ファイルの構造の一例を示した概略図である。
図7】決済履歴情報ファイルの構造の一例について示した概略図である。
図8】両替チャージ機の正面概略図である。
図9】両替チャージ機の概略構成を示したブロック図である。
図10】両替チャージ機の動作について示した概略図である。
図11】実店舗決済アプリのダウンロードページの一例を示した概略図である。
図12】顧客登録プログラムによって実行される顧客登録ページの一例を示した概略図である。
図13】チャージ用二次元コードの表示について示した概略図である。
図14】チャージプログラムの概略を示したフローチャートである。
図15】チャージプログラムによって両替チャージ機のディスプレイに表示される各画面の概略図である。
図16図1に示すコインランドリー店に設置されたランドリー機器の一例を示した斜視概略図である。
図17】機器動作集中管理ユニットの概略構成を示したブロック図である。
図18】決済用ID送信プログラムについて示した概略図である。
図19】実店舗の発明の実施形態、実店舗決済支援システムの発明の実施形態の概略図である。
図20】実店舗の発明の実施形態、実店舗決済支援システムの発明の実施形態においてチャージ金を使用する際の顧客端末及び店舗端末の画面について示した概略図である
図21】実施形態の実店舗決済アプリにおける店舗選択のための画面遷移の一例を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、この出願の発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。
以下の説明では、実店舗の例としてコインランドリー店を採り上げる。したがって、以下の説明は、実店舗の発明の実施形態、実店舗決済支援システムの発明の実施形態の説明であるとともに、コインランドリー店の発明の実施形態、コインランドリー店決済支援システムの発明の実施形態の説明でもある。
以下に説明する技術構成は、全体として一つの具体的なソリューションの説明となっており、説明された個々の要素で実施形態のコインランドリー店が構成され、実施形態のコインランドリー店決済支援システムが構成される。
【0018】
図1は、実施形態のコインランドリー店の平面概略図、実施形態のコインランドリー店決済支援システムの概略図である。図1に示すように、実施形態のコインランドリー店は、自動扉である出入り口111を備えた建屋11と、建屋11内に設置されたランドリー機器12とを備えている。ランドリー機器12は、洗濯機や乾燥機等である。また、建屋11内には、両替機13が設けられている。
これらのランドリー機器12は、通常と同様の決済方法即ち現金決済により使用が可能である。即ち、各ランドリー機器12は、コイン投入により動作し、顧客が利用することができる。
【0019】
一方、現金決済に加え、これらのランドリー機器12は、キャッシュレス決済により使用することが可能となっている。この実施形態では、キャッシュレス決済は、予め支払いをして預けた金であるプリペイド金による決済となっている。これを支援するのが、実施形態のコインランドリー店決済支援システムとなっている。
【0020】
実施形態の支援システムの大きな特徴点は、プリペイド金の情報はインターネット上のサーバーで管理しつつ、プリペイド金はコインランドリー店(実店舗)が受領する構成が採用されている点である。現在実用化されている電子マネー型のプリペイド決済サービスは、チャージされたプリペイド金の受領者は決済サービスの提供事業者である。決済サービス提供事業者に対してプリペイド金を支払い(預け)、商品・サービスの購入の際にプリペイド金の中から支払いをしてもらう形態となっている。
一方、実施形態では、これとは異なり、プリペイド金の残高情報はサーバーで管理されるものの、プリペイド金の受領は、決済サービスの提供事業者ではなく、商品・サービスの販売者、即ちコインランドリー店の経営主体となっている。
【0021】
実施形態のコインランドリー決済支援システムは、支援サーバー2と、記憶部3とを備えている。支援サーバー2は、インターネット9上のサーバーであり、各クライアント端末からのアクセスをインターネット9経由で受けるサーバーである。したがって、ウェブサーバープログラムが実装されている。
記憶部3は、支援サーバー2が備えるハードディスクのようなストレージである場合が多いが、ストレージサーバーのように他のサーバーに設けられている場合もあり得る。
【0022】
記憶部3には、決済支援サービス提供のためのファイル群が記憶されている。具体的には、受領者情報ファイル31、店舗情報ファイル32、機器情報ファイル33、顧客情報ファイル34、残高情報ファイル35、決済履歴情報ファイル36等が記憶部3に記憶されている。
【0023】
図2は、受領者情報ファイルの構造の一例を示した概略図である。受領者は、プリペイド金の受領者であり、決済支援サービスの提供を受ける者である。図2に示すように、受領者情報ファイル31は、「受領者ID」、「パスワード」、「受領者名」、「受領者住所」、「電話番号」、「担当者名」、「店舗情報ファイル名」等のフィールドから成るレコードを記録したデータベースファイルである。
「受領者ID」は、受領者を一意に識別するIDが記録されるフィールドである。受領者は、サービス提供会社と決済支援サービスの提供について契約をしてサービスの提供が開始されるが、この際、受領者IDが決められ、受領者情報ファイル31に記録される。
「パスワード」は、受領者として支援サーバー2にログインする際に必要となる情報が記録されるフィールドである。パスワードは予め決められ、受領者IDとともに受領者に通知される。
「受領者名」は、この実施形態では、コインランドリー店を経営している事業者としての名称(会社名等)が記録されるフィールドである。
「受領者住所」は、受領者としての事業者の所在地(本社住所等)が記録されるフィールド、「電話番号」や「担当者名」などは受領者としての事業者の連絡先の情報である。
【0024】
図3は、店舗情報ファイルの構造の一例を示した概略図である。店舗情報ファイル32は、支援サーバー2において管理されている全てのコインランドリー店の情報を記録したデータベースファイルである。店舗情報を受領者ごと(受領者IDごと)のファイルとして作成、記憶することも可能であるが、この実施形態では、異なる受領者(経営者)の店舗についても一つのファイルに全て情報を記録している。
【0025】
図3に示すように、店舗情報ファイル32は、「店舗ID」、「店舗名」、「受領者ID」、「受領者名」等のフィールドから成るレコードを記録したデータベースファイルである。
「店舗ID」は、店舗情報ファイル32の各レコードを一意に識別するIDであり、店舗毎に付与されて記録される。
「店舗名」は、「○○ランドリー××町店」のようにテキストで記録されるフィールドである。
「受領者ID」や「受領者名」は、受領者情報ファイル31における情報と同様である。
【0026】
図4は、機器情報ファイルの構図の一例を示した概略図である。機器情報ファイル33は、店舗に設置されているランドリー機器12の情報を記録したデータベースファイルである。機器情報ファイル33は、店舗ごとに作成されており、店舗IDをファイル名に使用するなどして識別できるようにされている。
図4に示すように、機器情報ファイル33は、「機器ID」、「機器名称」、「機器種別」等のフィールドから成るレコードを記録したファイルである。「機器ID」は、この実施形態では、店舗情報ファイル32に記録されている全店舗を通して一意に識別できるIDが記録されている。例えば、店舗ID+通し番号のような形で機器IDが与えられる。
「機器名称」は、当該コインランドリー店において使用されている任意の名称が記録される。例えば、「洗濯機1号機」などである。「機器種別」は、洗濯機か乾燥機かの種別が記録されるフィールドである。
【0027】
図5は、顧客情報ファイルの構造の概略を示した図である。この実施形態では、プリペイド金は、支援サーバー2が提供するアプリケーションプログラム(アプリ)の機能として支払うことができるものである。以下、コインランドリー店のような実店舗における決済に利用することができるアプリケーションプログラムを、以下、実店舗決済アプリと呼ぶ。実店舗決済アプリは、支援サーバー2からダウンロードできるようになっており、実店舗決済アプリをダウンロードすると、顧客情報ファイル34に新規レコードが追加されてユーザー登録がされるようになっている。
【0028】
図5に示すように、顧客情報ファイル34は、「顧客ID」、「パスワード」、「氏名」、「性別」、「年齢」、「住所」、「メールアドレス」、「残高情報ファイル名」等のフィールドから成るレコードを記録したデータベースファイルである。
「顧客ID」は、ダウンロードした際に自動生成されるIDであるか、ダウンロードの後のユーザー登録の際に顧客が入力した(指定した)IDが記録されるフィールドである。いずれの場合も、顧客情報ファイル34のレコードを一意に識別するIDが記録される。
「パスワード」は、初期パスワードが記録されるフィールドであるが、その後に顧客が変更した場合には変更したパスワードで更新されるフィールドである。
【0029】
「残高情報ファイル名」は、当該顧客が予め支払ったプリペイド金の情報を管理している残高情報ファイル35のファイル名が記録されるフィールドである。
この実施形態では、顧客が予め支払ったプリペイド金は、コインランドリー店についての同一の経営者ごとに集計されて残高が記録されるようになっている。この記録を行っているのが、残高情報ファイル35である。残高情報ファイル35は、顧客ごとに作成される。即ち、一顧客IDごとに一つの残高情報ファイル35が作成されて記憶部3に記憶される。このため、顧客情報ファイル34に残高情報ファイル35のファイル名が記録される。
【0030】
図6は、ある顧客についての残高情報ファイルの構造の一例を示した概略図である。図6に示すように、残高情報ファイル35は、「受領者ID」、「受領者名」、「ジャンルID」、「ジャンル名」、「残高」等のフィールドから成るレコードを記録したデータベースファイルである。
「ジャンル名」は、将来の決済のためにプリペイド金を支払った実店舗のジャンル名が記録されるフィールドであり、この実施形態では、「コインランドリー」のテキストが記録される。
「受領者ID」、「受領者名」は、受領者情報ファイル31におけるものと同様である。
【0031】
「残高」は、当該受領者IDについてのプリペイド金の残高の情報が記録されるフィールドである。この実施形態では、実店舗はコインランドリー店であり、コインランドリー店にプリペイドチャージ機が設置されている。この場合、後述するように、異なるコインランドリー店に設置されたプリペイドチャージ機でチャージされたプリペイド金であっても当該コインランドリー店の経営者が同じ場合、即ち受領者IDが同じである場合、同一のレコードの「残高」の値として合算して記録される。
【0032】
図7は、決済履歴情報ファイルの構造の一例について示した概略図である。決済履歴情報ファイル36は、顧客による決済の履歴情報を記録したデータベースファイルである。図7に示すように、履歴情報ファイルは、「決済ID」、「日時」、「顧客ID」、「受領者ID」、「店舗ID」、「機器ID」、「機器名称」、「決済額」等のフィールドから成るレコードを記録している。「決済ID」は、決済履歴情報ファイル内のレコードを一意に識別するためのIDが記録されるフィールドである。この値は、後述する決済履歴記録プログラムにより自動的に生成されて記録される。
【0033】
次に、コインランドリー店における決済支援の構成についてより具体的に説明する。
まず、ランドリー機器12の使用のために顧客が行うプリペイド金のチャージについて説明する。実施形態のコインランドリー店は、プリペイドチャージ機を備えている。この実施形態では、両替機13は、プリペイドチャージ機と兼用されている。以下、両替機13を、プリペイドチャージ機と兼用されているので、両替チャージ機と言い換える。
【0034】
図8は、両替チャージ機の正面概略図である。図8に示すように、両替チャージ機13は、前面扉131を備えた筐体132を有している。前面扉131は、金銭投入口と硬貨払い出し口135を有している。金銭投入口は、硬貨投入口133と紙幣投入口134である。
また、図8に示すように、前面扉131にはディスプレイ136が設けられている。ディスプレイ136は、この例ではタッチパネルとなっている。
さらに、前面扉131には、透明な保護ガラス137が嵌め込まれた開口があり、筐体132内には、保護ガラス137を通して撮影が可能なカメラ138が設けられている。
【0035】
図9は、両替チャージ機の概略構成を示したブロック図である。図9に示すように、両替チャージ機13は、両替チャージ機13全体を制御する主制御部141と、金銭投入口133,134から投入された金銭の真正さをチェックする検証部142と、検証部142で真正さが確認された場合に両替金を払い出す両替払い出し部143と、ディスプレイ136に接続されたディスプレイ制御部144と、プリメイドメニューのための各種処理を行うプリペイド処理部145等を備えている。
【0036】
検証部142は、ビルバリやコインメックを含むものであり、通常の両替機と同様の機能を有するものである。両替払い出し部143も、通常の両替機と同様の構成である。
ディスプレイ制御部144は、ディスプレイ136に表示する情報を生成してディスプレイ136に入力して表示させたり、ディスプレイ136における押圧箇所に従って情報を出力したりする制御部である。
【0037】
プリペイド処理部145は、プリペイド顧客登録やプリペイド金のチャージのための情報処理を行う処理部である。プリペイド処理部145は、必要なプログラムやデータを記録したメモリ146と、プログラムを実行したりデータをディスプレイに表示したりするプロセッサ147等を備えている。
この他、図9に示すように、プリペイド処理部145は、カメラ138を制御するカメラ制御部148や、インターネット9を介して支援サーバー2にアクセスするためのLANインターフェース部(Eathernetボード)149等を備えている。尚、通常、コインランドリー店にはルーター(有線LANルーター又は無線LANルーター)10が設けられ、LANインターフェース部149は、ルーター10経由でインターネット9に接続される。
【0038】
図10は、両替チャージ機の動作について示した概略図である。図10(1)には、スタンバイ状態の両替チャージ機13におけるディスプレイ画面(初期画面)が示されている。
図10(1)に示すように、スタンバイ状態では、ディスプレイ136には、両替ボタン151と、プリペイドメニューボタン152とが表示されるようになっている。スタンバイ状態の表示画面は、主制御部141の機能であり、主制御部141により表示画面のデータがディスプレイ制御部144に送られて表示される。
両替ボタン151が押されると、主制御部141は、検証部142や両替払い出し制御部を動作可能状態とする制御を行う。この状態で、真正な金銭が投入されると、両替払い出し部143よりに硬貨(この例では100円硬貨)が払い出されるようになっている。この部分は、通常の両替機と同様である。尚、両替ボタン151が特に押されなくても、両替の動作は通常の動作として行われるよう構成される場合もある。
【0039】
一方、プリペイドメニューボタン152が押されると、主制御部141は、プリペイド処理部145に制御信号を送り、必要な情報処理を行わせる。
図10(2)には、プリペイドメニューボタン152が押された場合のディスプレイ136画面(以下、プリペイドメニュー画面という。)の一例が表示されている。図10(2)に示すように、プリペイドメニューボタン152が押されると、「新規登録」と表記された顧客登録ボタン153と、「チャージする」と表記されたチャージボタン154とが表示されるようになっている。
【0040】
図10(3)には、顧客登録ボタン153が押された場合のディスプレイ136の画面表示が示されている。図10(3)に示すように、顧客登録ボタン153が押されると、プリペイド決済について説明するテキストが表示され、支援サーバー2へのアクセス情報が二次元コード155の形でディスプレイ136に表示されるようになっている。ここでのアクセス情報は、支援サーバー2に実装された顧客登録ページのURLであり、顧客登録ページ表示プログラムの実行コードを二次元コード化したものとなっている。以下、この二次元コード155を登録用二次元コードと呼ぶ。
尚、チャージボタン154が押されると、プリペイド金のチャージに必要な情報がディスプレイ136に表示されるようになっている。これについては、後述する。
これらディスプレイ136の画面表示は、プリペイド処理部145のメモリに記憶されたイメージデータやプリペイド処理部145に実装された表示用のプログラムによって実現される。
【0041】
次に、プリペイド顧客登録のための処理を含む種々の情報処理を行う支援サーバー2について説明する。支援サーバー2は、コインランドリー店に対して決済サービスを提供する会社(以下、支援サービス提供会社)によって運営されている。厳密には、支援サービス提供会社が提供しているサービスは、プリペイド金の管理サービスであり、決済のための情報提供サービスである。
支援サーバー2は、インターネット9上のサーバーであり、顧客端末4からのアクセスをインターネット9経由で受けるサーバーである。したがって、ウェブサーバープログラムが実装されている。
顧客端末4は、インターネット9を介して支援サーバー2にアクセス可能な端末であり、典型的にはスマートフォンである。
【0042】
支援サーバー2の主要な機能の一つは、顧客端末4に対して実店舗における実店舗決済アプリ41を提供することである。支援サーバー2には、実店舗決済アプリ41のダウンロードページが実装されている。図11は、実店舗決済アプリ41のダウンロードページの一例を示した概略図である。
図11に示すように、ダウンロードページには、実店舗決済アプリ41の説明をしたテキストと、ダウンロードボタン42が設けられている。ダウンロードボタン42には、支援サーバー2に実装されたダウンロードプログラム21の実行ボタンである。ダウンロードボタン42は、実店舗決済アプリ41を顧客端末4にダウンロードして実行可能とし、サブルーチンとして顧客登録プログラム22を実行するようになっている。
【0043】
図12は、顧客登録プログラムによって実行される顧客登録ページの一例を示した概略図である。図10(3)に示す登録用二次元コード155が実行されると、顧客登録プログラム22が実行される。顧客登録プログラム22は、まず、アクセスがされた顧客端末4のアプリ登録状況を調べ、実店舗決済アプリ41がダウンロードされているか判断する。ダウンロードされていなければ、「アプリをダウンロードします」というメッセージとOKボタンを顧客端末4に表示し、OKボタンがタップされると、上記と同様に実店舗決済アプリ41をダウンロードし、その後、顧客登録ページを顧客端末4に表示する。
【0044】
図12に示すように、顧客登録ページには、氏名、年齢、性別、住所、メールアドレスのような個人情報の入力欄と、送信ボタン43が設けられている。各情報が入力されて送信ボタン43がタップされると、顧客登録プログラム22は、顧客情報ファイル34に新規レコードを追加し、入力された情報を記録するようプログラミングされている。この際、顧客登録プログラム22は、顧客IDと初期パスワードを自動生成して併せて記録するようプログラミングされている。その上で、顧客IDと初期パスワードを電子メールで顧客端末4に送信する登録完了報告プログラムをサブルーチンとして実行するようになっている。尚、顧客登録プログラム22は、実店舗決済アプリ41に含まれているプログラム(顧客端末4上のプログラム)であっても良い。
【0045】
このようにして顧客登録が行われた後に可能となるプリペイド金のチャージについて、以下に説明する。
プリペイド金のチャージは、両替チャージ機13に対して金銭を投入して行うが、プリペイド金の管理が支援サーバー2上で行われるため、両替チャージ機13に対して顧客IDを取得させる作業が必要となる。このため、実店舗決済アプリ41は、チャージ用二次元コード表示ページを顧客端末4に表示できるようになっている。図13は、チャージ用二次元コードについて示した概略図である。
【0046】
図13(1)には、実店舗決済アプリ41を起動してログインした際に最初に表示されるページ(以下、アプリトップページという。)の一例が示されている。実店舗決済アプリ41を起動すると、顧客ID及びパスワードを入力する画面が表示され、ここで正しく顧客ID及びパスワードが入力されると、ログインがされて図13(1)に示すアプリトップページとなる。
【0047】
図13(1)に示すように、アプリトップページには、「チャージする」と表記されたボタン(以下、アプリチャージボタン)44が設けられている。アプリチャージボタン44には、図13(2)に示すチャージ用二次元コード表示ページがリンクしている。図13(2)に示すように、チャージ用二次元コード表示ページは、チャージ用二次元コード45の形で顧客IDを表示する画面となっている。アプリチャージボタン44をタップすると、ログインの際に取得した顧客IDを二次元コード化して顧客端末4に送信して表示するようプログラミングされている。
【0048】
図13(2)に示すように、チャージ用二次元コード表示ページには、チャージの際にはコインランドリー店の両替チャージ機13に設けられているカメラに二次元コードを読み取らせて欲しい旨のメッセージが表示されるようになっている。
尚、アプリトップページやチャージ用二次元コード表示ページは、支援サーバー2によってホスト(提供)されるページであり、各ページに実装されるプログラムは、支援サーバー2上のプログラムである。但し、ダウンロードされた実店舗決済アプリ41に含まれるプログラムであって、顧客端末4上のプログラムである場合もあり得る。
【0049】
一方、図9に示すように、両替チャージ機13のプリペイド処理部145には、チャージプログラム161が実装されている。図14は、チャージプログラムの概略を示したフローチャートであり、図15は、チャージプログラム161によって両替チャージ機13のディスプレイ136に表示される各画面の概略図である。
図10(2)に示す両替チャージ機13のプリペイドメニュー画面で表示されるチャージボタン154は、チャージプログラム161の起動ボタンとなっている。図14に示すように、チャージプログラム161は、まず、顧客ID取得画面をディスプレイ136に表示する。図15(1)には、顧客ID取得画面の一例が示されている。
【0050】
図15(1)に示すように、チャージプログラム161は、まず、実店舗決済アプリ41を起動してチャージ用の二次元コードを表示してカメラで読み取らせて欲しい旨のメッセージをディスプレイ136に表示する。その上で、チャージプログラム161は、所定時間内にカメラ制御部148から二次元コードが出力されるかどうか判断し、出力されたら、二次元コードから顧客IDを取得する。所定時間内に二次元コードが出力されなければ、エラーメッセージを表示してプログラムを終了し、初期画面に戻る。
【0051】
チャージプログラム161は、二次元コードが出力されて顧客IDが取得された場合、図15(2)に示すチャージ額取得画面をディスプレイ136に表示する。図15(2)に示すように、チャージ額取得画面には金額入力欄162とOKボタン163とが設けられている。そして、金額入力欄でチャージ金額(100円単位)を入力してOKボタンを押し、入力した金額を両替チャージ機の金銭投入口で投入して欲しい旨のメッセージの表示欄が設けられている。
【0052】
チャージプログラム161は、金額入力欄162に数字が入力されてOKボタン163が押されると、検証部142からの入力待ちの状態となる。但し、金額入力欄162で入力された数値が100円単位でない場合はその旨のエラーメッセージを表示して金銭入力欄をゼロ(初期化)する。金額入力欄162自体が100円単位でしか入力できないよう画面が構成される場合もある。以下、金額入力欄162で入力された数字を入力額という。
【0053】
チャージプログラム161は、検証部142から入力があった場合、検証された投入金額が入力額以上であるかどうか判断する。入力額以上であれば、顧客IDと入力額とを引数にしてチャージ額送信サブプログラム164を実行する。その上で、検証額と入力額との差額を計算し、0より大きい値であれば、その額を釣り銭として払い出すよう両替払い出し部143に信号を出力する。これで、チャージプログラム161は終了である。
【0054】
図14に示すように、チャージプログラム161は、各段階で所定のタイムラグが経過した場合、タイムアウトとしてエラーメッセージを表示してプログラムを終了する。検証部142から入力があってその額が入力額を下回っている場合にタイムアウトをした場合、投入された金銭をそのまま払い出すよう両替払い出し部143に信号が出力される。
【0055】
図1に示すように、支援サーバー2にはチャージ額記録プログラム23が実装されている。上述した両替チャージ機13上のチャージプログラム161のサブルーチンであるチャージ額送信サブプログラム164は、支援サーバー2にアクセスしてチャージ額記録プログラム23を実行するプログラムである。
支援サーバー2上のチャージ額記録プログラム23は、店舗ID、受領者ID、顧客IDとチャージ額とを引数にして実行されるプログラムである。チャージ額送信サブプログラム164は、店舗ID、受領者ID、顧客IDとチャージ額を渡してチャージ額記録プログラム23を実行する。店舗ID及び受領者IDについては、当該両替チャージ機13においてチャージプログラム161が実装される際に予め定数として組み込まれる。また、各両替チャージ機13は、支援サーバー2に対して特別なアクセス権限(支援サーバー2上のプログラムの実行権限)が与えられており、チャージ額記録プログラム23の実行の際にはそのキーも併せて送信される。
【0056】
チャージ額記録プログラム23は、渡された顧客IDで顧客情報ファイル34を検索し、該当レコードから、残高情報ファイル35のファイル名を取得する。そしてそのファイル名の残高情報ファイル35を開き、受領者IDで検索する。一致する受領者IDがあれば、そのレコードの「プリペイド残高」の値に対して、渡されたチャージ額の値を加算して「プリペイド残高」を更新する。一致する受領者が無ければ、新たにレコードを追加し、「受領者IDと、チャージ額を記録する。これで、両替チャージ機13で投入された金銭の情報がチャージ額として残高情報ファイル35に記録されて管理された状態となる。
【0057】
次に、このようにしてチャージされるプリペイド金を使用したランドリー機器12の使用について説明する。
図16は、図1に示すコインランドリー店に設置されたランドリー機器の一例を示した斜視概略図である。図16に示す例は、洗濯機の例となっている。
図16に示すように、ランドリー機器12は、稼働させるための使用料としてキャッシュ(コイン)を投入するコイン投入口121を備えている。これとは別に、このランドリー機器12は、プリペイド金での稼働が稼働である旨の説明が印刷されたキャッシュレス表示部122を備えている。この例では、キャッシュレス表示部122は、貼り付けられたシールである。
【0058】
また、ランドリー機器12は、支援サーバー2へのアクセス情報を提供するアクセス情報提供部を備えている。この実施形態では、顧客は、顧客端末4を持参して来店することが予定されている。アクセス情報提供部は、顧客端末4にアクセス情報を提供する要素となっている。
アクセス情報提供部の構成としては、幾つかの異なるものが考えられる。シンプルな構成としては、支援サーバー2のドメイン名を含むURLを二次元コード化し、それを印刷してランドリー機器12に貼り付ける構成が採用され得る。二次元コードは、典型的にはQRコード(登録商標)である。
【0059】
別の構成としては、ランドリー機器12に小さなディスプレイ123とボタン124を取り付け、ボタン124を押すと、ディスプレイ123に二次元コードが表示される構成が採用され得る。二次元コードのイメージデータを記憶したメモリ(ROM等)を設け、ROMからイメージデータを読み出してディスプレイ123に表示する簡易な表示回路を組み込む構成が採用できる。
【0060】
いずれの構成でも良いが、二次元コードを印刷したシールを貼り付ける構成の場合、悪意のある者が別の二次元コードを上から貼り付けることが考えられ、顧客が悪意のあるサイトに誤って誘導されてしまうことが考えられる。このため、この実施形態では、ランドリー機器12は小型の液晶ディスプレイのようなディスプレイ123(以下、機器ディスプレイという。)が設けられており、機器ディスプレイ123に二次元コード125を表示する構成が採用されている。但し、コインランドリー店には、防犯カメラが通常設置されており、監視下にあることから、このような悪事は発生しにくい。コスト的には二次元コード印刷のシール貼りの方が安価なので、そちらが採用されることもある。以下、機器ディスプレイ123に表示される二次元コード125を機器二次元コードと呼ぶ。
【0061】
また、図1に示すように、コインランドリー店には、機器動作集中管理ユニット5が設けられている。図17は、ランドリー機器及び機器動作集中管理ユニットの概略構成を示したブロック図である。
図17に示すように、各ランドリー機器12は、コインメック126、動作制御回路127、動作開始スイッチ128等を備えている。これらは通常のランドリー機器12でも備えられた要素であり、コインメック126から正規の硬貨が所定額投入されたことが出力されると、動作制御回路127が動作開始信号を動作開始スイッチ128に出力することでランドリー機器12の動作が開始されるよう構成されている。
【0062】
図17に示すように、機器動作集中管理ユニット5は、各ランドリー機器12の動作開始スイッチ128に対して動作制御回路127とパラレルに結線されたユニットである。各ランドリー機器12に対して結線された各出力ポート51には、それぞれ動作信号出力回路52が設けられている。動作信号出力回路52は、各ランドリー機器12における動作制御回路127と同様の構成の回路であり、動作開始スイッチ128に対して動作開始信号を出力する回路である。例えば、あるメーカーから販売されているランドリー機器(コインランドリー店用の例えば洗濯機)では、動作制御回路127から10Vの電圧信号が動作開始スイッチ128に送られることで動作開始スイッチ128がONとなるよう構成されている。この場合、機器動作集中管理ユニット5の動作信号出力回路52も、10Vの電圧信号を出力ポート51介して出力するよう構成される。
【0063】
図17に示すように、機器動作集中管理ユニット5は、インターネット9を介して支援サーバー2に接続されており、両替チャージ機13と同様、LANインターフェース部53を備えている。そして、LANインターフェース部53からの入力された信号に従っていずれかの動作信号出力回路52に動作開始指令を出力する集中制御部54を備えている。
集中制御部54は、ラズベリーパイのようなCPUを備えた小型のコンピュータによって構成されている。集中制御部54には、集中制御プログラム55が実装されており、集中制御プログラム55はコインランドリー店の営業中は常時実行状態とされる。
【0064】
集中制御プログラム55は、両替チャージ機13と同様、支援サーバー2に対してアクセス権限が与えられており、起動後は支援サーバー2にアクセスしてログインし、ログイン状態を保つプログラムとなっている。そして、支援サーバー2からの決済許可情報の入力待ちの状態となる。
【0065】
一方、支援サーバー2は、実店舗決済アプリ41のメニューとの一つとして、決済用ID送信プログラム24を実装している。図18は、決済用ID送信プログラムについて示した概略図である。
図13(1)に示すように、ログイン後に顧客端末4に表示されるアプリトップページには、「プリペイド金を使用する」と表記された使用ボタン46が設けられている。使用ボタン46には、ジャンル選択画面がリンクしている。図18(1)はジャンル選択画面の一例を示した概略図である。
【0066】
図18(1)に示すように、ジャンル選択画面には、ジャンル名が表記された各ボタンが設けられている。各ボタンには、二次元コード取得画面がリンクしている。「コインランドリー」と表記されたランドリーボタンがタップされると、図18(2)に示すようなコインランドリー店用の二次元コード取得画面が顧客端末4に表示されるようになっている。
【0067】
図18(2)に示すように、二次元コード取得画面には、「ランドリー機器のディスプレイに表示される二次元コードを読み取って下さい。」とのメッセージが表示されるようになっており、二次元コードの撮影用のフレーム47がリンクしている。実決済用アプリは、顧客端末4に実装されている二次元コード撮影APIを利用するようプログラミングされており、APIにより機器二次元コード125が撮影されると、機器二次元コード125をURLに復元し、URLを顧客端末4に実行させるようプログラミングされている。
【0068】
機器二次元コード125は、支援サーバー2上の決済判断プログラム25の実行コードとなっている。決済判断プログラム25は、店舗ID、機器ID、受領者ID及び顧客IDを引数にして実行されるプログラムである。
機器二次元コード125には、店舗ID、機器ID受領者ID及び決済額が定数として含まれている。決済額は、当該ランドリー機器12の使用料である。決済判断プログラム25は、これらを引数として受け取って実行されるプログラムである。
【0069】
決済判断プログラム25は、ログインの際にセッション変数に保持された顧客IDを取得し、顧客IDで顧客情報ファイル34を検索し、該当レコードから残高情報ファイル35のファイル名を取得する。そして、このファイル名の残高情報ファイル35を開き、受領者IDで検索する。該当する受領者IDのレコードがあった場合、「残高」の値を取得する。この値が決済額以上であれば、サブルーチンとして決済許可情報プログラム251を実行する。さらに、サブルーチンとして残高減額プログラム252及び決済履歴記録プログラム253を実行して終了する。残高情報ファイル35で、該当する受領者IDのレコードがないか、あってもその「残高」の値が決済額未満であれば、決済判断プログラム25は、決済不許可情報送信プログラム254を実行して終了する。
【0070】
決済許可情報送信プログラム251は、使用許可を二つの端末に送信するプログラムである。一つは、ログイン中の顧客端末4であり、ランドリー機器12の使用が許可されてプリペイド金が差し引かれた旨を表示したページ(以下、決済完了確認ページ)を顧客端末4に送信して表示させるよう決済許可情報送信プログラム251はプログラミングされている。図18(3)には、決済完了確認ページの一例が示されている。
【0071】
もう一つは、機器動作集中管理ユニット5である。機器動作集中管理ユニット5は、店舗IDを利用したログインIDでログインがされている。決済許可情報送信プログラム251は、引数として渡された店舗IDに従って当該店舗に設置されている機器動作集中管理ユニット5に対し、決済許可情報を送信するようプログラミングされている。
機器動作集中管理ユニット5に対して送信される決済許可情報には、機器IDが含まれている。決済許可情報を機器動作集中管理ユニット5が受信すると、集中制御部54で実行されている集中制御プログラム55は、機器IDに従って該当するランドリー機器12の動作を開始させる動作開始指令を出力するようプログラミングされている。即ち、対応する動作開始信号出力回路52に動作開始指令を出力し、出力ポート51を介して当該ランドリー機器12に動作信号出力を出力させるようプログラミングされている。
【0072】
決済履歴記録プログラム253は、決済履歴情報ファイル36に決済履歴を記録するプログラムである。決済履歴記録プログラム253は、決済履歴情報ファイル36に新規レコードを追加し、プログラムの実行時を「日時」に記録し、店舗ID、機器ID、機器名称、受領者ID、顧客ID、決済額をそれぞれのフィールドに記録する。機器名称については、店舗IDに従って機器情報ファイル33を開き、機器IDで検索して値を取得して記録する。
【0073】
この実施形態では、支援サーバー2は、受領者用のサービスとして決済履歴情報を閲覧させるサービスを提供するものともなっている。以下、この点について説明する。
支援サーバー2は、受領者用の各ページをホストするサーバーとなっている。受領者には、受領者IDの他にパスワードも付与されており、これらでアクセスすると受領者用ページの閲覧が可能である。図1に示すように、受領者は、受領者端末6を操作して受領者ID及びパスワードを入力し、インターネット9を介して受領者用ページを受領者端末6に表示することが可能である。
【0074】
受領者用ページの一つが、決済履歴閲覧ページであり、支援サーバー2には、決済履歴閲覧ページ表示プログラムが実装されている。決済履歴閲覧ページについては図示を省略するが、決済履歴閲覧ページ表示プログラムは、ログインの際に入力された受領者IDで決済履歴情報ファイル36を検索し、一致するレコードの情報を抽出して表示するようプログラミングされている。期間を指定したり、同一受領者が複数店舗を経営している場合には店舗を指定したりすることも可能となっている。
【0075】
このような構成である実施形態のコインランドリー店を訪れた顧客が行うキャッシュレス決済について、以下に説明する。以下の説明は、コインランドリー店決済支援システムの実施形態の動作の説明でもある。
まず、コインランドリー店を訪れた顧客は、通常はキャッシュ(硬貨)での決済をしているが、店内に案内表示されているプリペイドによるキャッシュレス決済をしてみようと考え、両替チャージ機13のディスプレイ136において、プリペイドメニューボタン152を押す。そして、その後に表示される画面で、顧客登録ボタン153を押す。この結果、ディスプレイ136に登録用二次元コード155が表示され、それを顧客は顧客端末4で読み取る。これにより、顧客端末4は支援サーバー2にアクセスし、顧客登録ページ表示プログラムが実行される。
【0076】
顧客は、顧客端末4上に表示される顧客登録ページにおいて各情報を入力し、OKボタンをタップする。これにより、実店舗決済アプリ41が顧客端末4にダウンロードされるとともに、支援サーバー2上の顧客情報ファイル34に新規レコードが追加され、顧客IDやパスワード等が記録される。そして、登録完了報告が電子メールにより顧客端末4に送信される。
【0077】
その上で、顧客は、両替チャージ機13でチャージを行う。即ち、図10(2)に示すプリペイドメニュー画面でチャージボタン154を押す。これにより、両替チャージ機13上のチャージプログラム161が実行される。チャージプログラム161は、顧客ID取得画面をディスプレイ136に表示し、この表示に従って顧客は顧客端末4において実店舗決済アプリ41を起動する。そして、実店舗決済アプリ41におけるアプリチャージボタン44をタップし、顧客端末4上にチャージ用二次元コード45を表示する。その上で、チャージ用二次元コード45を両替チャージ機13のカメラ138に読み取らせる。これにより、チャージプログラム161は、この顧客の顧客IDを取得する。
【0078】
次に、チャージプログラム161は、チャージ額取得画面をディスプレイ136に表示する。チャージ額取得画面の金額入力欄162にチャージ額が入力されてOKボタン163が押されると、チャージプログラム161は、チャージ額の金銭の投入を促すメッセージをディスプレイ136にする。その後、所定時間内に検証部142からチャージ額以上の金銭が投入された旨の信号が出力されると、チャージプログラム161は、顧客IDと入力額(チャージ額)とを引数にしてチャージ額送信サブプログラム164を実行する。また、検証額と入力額との差額があれば、その額を釣り銭として払い出す。
【0079】
チャージ額送信サブプログラム164により、店舗ID、受領者ID、顧客ID及びチャージ額が引数として渡されて支援サーバー2上のチャージ額記録プログラム23が実行される。チャージ額記録プログラム23は、該当する顧客について作成された残高情報ファイル35を受領者IDで検索し、該当レコードの「残高」の値にチャージ額を加算して「残高」を更新する。
【0080】
このようにしてチャージ処理が行われた後、顧客は、プリペイド金で決済してランドリー機器12を使用する。即ち、当該店舗において空いている(使用されていない)ランドリー機器12のところに行き、ボタン124を押して機器ディスプレイ123に機器二次元コード125を表示させる。そして、顧客端末4において実店舗決済アプリ41を起動し、ジャンル選択ページにおいて「コンランドリー」のボタンを押す。これにより、コインランドリー店用の二次元コード取得画面が顧客端末4に表示される。顧客は、ランドリー機器12の機器ディスプレイ123に表示されている機器二次元コード125を顧客端末4で読み取らせる。この結果、支援サーバー2上の決済許可判断プログラム25が実行され、決済額が残高以下であると決済許可情報がインターネット9経由で当該店舗内の機器動作集中管理ユニット5に送られる。それとともに、残高情報ファイル35の当該レコードの「残高」の値から決済額が差し引かれ、「残高」が更新される。
【0081】
機器動作集中管理ユニット5は、送信された決済許可情報から機器IDを取得し、当該機器IDのランドリー機器12に対して動作開始信号を出力する。これにより、当該ランドリー機器12が動作を開始する。その後のランドリー機器12の動作は、通常(現金決済の場合)と同様である。
このようにして、各顧客はプリペイド金によるキャッシュレス決済を行って各ランドリー機器12を使用する。一方、受領者は、各ランドリー機器12や両替チャージ機13から現金を回収するとともに、受領者端末6を操作して決済履歴情報を適宜閲覧する。即ち、受領者ID及びパスワードを入力して支援サーバー2にアクセスし、決済履歴情報を閲覧する。
【0082】
上記構成及び動作において、ランドリー機器12には複数の異なる条件で動作可能な場合があり、それに応じて決済額が異なる場合がある。この場合には、顧客が選択した条件での決済額が機器二次元コード125に含まれるようにする。例えば、乾燥機の場合、乾燥時間を顧客が選択でき、乾燥時間に応じた使用料を支払うようになっている。このような場合の構成としては、例えば、使用条件に応じて異なる二次元コードが機器ディスプレイ123に表示されるようにし、顧客がいずれかを選んで携帯端末で読み込むようにする。例えば、乾燥機の場合、100円で10分、200円で20分、300円で30分とすると、100円が決済額となっている二次元コード(乾燥時間10分)と、200円が決済額となっている二次元コード(乾燥時間20分)と、300円が決済額となっている二次元コード(乾燥時間30分)とをそれぞれ表示し、いずかを選んで読み込んでもらうようにする。
【0083】
このような実施形態のコインランドリー店、実施形態のコインランドリー店決済支援システムによれば、キャッシュレス決済が実現されるので、顧客は、以前にチャージをしていれば硬貨をもたずに訪れてもランドリー機器12が使用でき、利便性が高くなる。両替機で両替できない高額紙幣しか持ち合わせがない場合でも、ランドリー機器12の利用ができる。
一方、コインランドリー店の経営者(受領者)にとっては、このような利便性が顧客を呼び込む手段になる上、プリペイドサービスであるので、売り掛け期間が発生することはない。その上、プリペイドサービスであるので、逆に運転資金(キャッシュフロー)に余裕ができるというメリットもある。
【0084】
この際、プリペイドカードを発行する構成ではなく、プリペイド金の管理をインターネット9上の支援サーバー2によって行う構成であるので、導入コストは非常に小さくて済む。支援サーバー2を運営管理するサービス提供会社は、多数の受領者即ち多数のコインランドリー店経営者と契約をしてサービスを提供するので、支援サーバー2によるプリペイド金管理のコストは非常に安価となる。
【0085】
さらに、上記実施形態の構成において重要なことは、両替チャージ機13はコインランドリー店に設置されているので、チャージの際に支払われた現金はそのままコインランドリー店の経営者(受領者)に渡ることである。現在行われている電子マネープリペイドサービスは、プリペイドされた金銭は、顧客の銀行口座(又は顧客の財布)からサービス提供会社がいったん受け取り、決済においてサービス提供会社が店舗経営者の銀行口座に振り込む仕組みとなっている。このため、サービス提供会社の手数料や振り込み手数料が発生する。
一方、実施形態のコインランドリー店や決済支援システムでは、このような手数料は発生せず、手数料としてプリペイド金の管理手数料のみである。したがって、経営規模の小さいことが通常であるコインランドリー店におけるキャッシュレス決済の手法として極めて好適なものとなっている。
【0086】
さらに、実施形態のコインランドリー店や決済支援システムでは、プリペイド金は同一の受領者ごとに管理されている。即ち、残高情報ファイル35において、チャージされたプリペイド金は同一の受領者について合算される。この点は、法律(資金決済法)による規制との関係で重要な意義を有する。
現状、資金決済法は、前払式支払い手段の発行者又は発行者と資本関係にある者からの商品・サービスの購入に限り使用できる場合には、登録制ではなく届け出制という扱いになっている。即ち、コインランドリー店の経営者(受領者)は、財務省への届け出と供託金(残高の1/2)の支払いを行えば良く、第三者型支払い手段発行者の場合のような財務省での登録は不要である。そして、毎年3月末、6月末の時点でのプリペイド金の残高の総額が1000万円以下であれば、届け出や供託金支払いも不要である。尚、残高総額が1000万円を超えた場合でも、金融機関との間で発行保証金保全契約をしてその旨を財務省に届ければ良いということになっている。
【0087】
実施形態において、残高情報ファイル35が同一の受領者(同一の経営者)ごとにプリペイド金の残高を記録している点は、資金決済法にいう自家型前払式支払い手段に該当するという結果をもたらすことになり、法規制を遵守する手間がより簡便になるメリットが得られることになる。尚、「同一の受領者」とは、資金決済法上は、資本関係がある等の密接な関係がある場合も含まれるので、そのように広く解釈される。つまり、実店舗決済サービスについての契約の際に、各コインランドリー店の経営者について資金決済法上の「密接な関係」があるかどうか判断し、あれば、同一の受領者IDを付与して管理する。
【0088】
また、上記実施形態のコインランドリー店やコインランドリー店決済支援システムの構成は、顧客分析や顧客の囲い込みを可能にするという点でも顕著な効果がある。受領者は、決済履歴情報を閲覧することで、どの顧客が(どの顧客IDが)どの日時にどのランドリー機器12を使用したかを知ることができる。さらに、各顧客の事前の承諾を得ることで、顧客の性別や年齢等を知ることもできる。このことは、コインランドリー事業においては従来不可能であった顧客分析が行えることを意味し、コインランドリー点の経営に大きく貢献することになる。
【0089】
例えば、顧客の年齢層や性別を知ることで、それらに応じて店舗を改装するといったことが可能である。比較的若い女性が多いのであれば、それら来店し易いような雰囲気作りをするといった改善である。
さらに、顧客が特定されるので、顧客に対して特典を与えることで囲い込みをすることもできる。例えば、プリペイド金のチャージをした時点又はプリペイド金による決済をした時点で額に応じてポイントを付与し、ポイントが貯まったらポイントに応じてプリペイド金の残額を加算したり、洗濯機1回分を無料にしたりといったプロモーション策を実施することができる。従来のコインランドリー店では、顧客の特定ができないので、このようなプロモーション策は実施不可能であったが、実施形態によれば可能となる。
【0090】
また、住所やメールアドレスが個人情報として登録されるので、キャンペーン情報の配信といったことも可能である。例えば、来店者数が比較的少ない平日においてポイントを多く付与するキャンペーン策を採用し、これを電子メールで各顧客に伝えるようなことも可能となる。
【0091】
上述した実施形態において、両替チャージ機13のディスプレイ136に表示された登録用二次元コード155を顧客端末4が読み取ることで顧客登録を行ったが、顧客登録については両替チャージ機13によらずに行う構成が採用され得る。即ち、サービス提供会社は、実店舗決済アプリ41について自社のウェブサイトで広告宣伝しており、このウェブサイトには実店舗決済アプリ41のダウンロードボタンが設けられている。このウェブサイトを見た顧客は、利用してみようと思いダウンロードボタンを押す。これにより、前述したのと同様に実店舗決済アプリ41がダウンロードされるとともに顧客登録が行われる。
【0092】
また、チャージの際に実行されるチャージ額送信サブプログラム164については、両替チャージ機13上のプログラムではなく、実店舗決済アプリ41に含まれるプログラムであっても良い。この場合には、両替チャージ機13から少なくとも受領者IDとチャージ額とを顧客端末4が取得する必要があるので、例えば二次元コードを両替チャージ機13が生成して顧客端末4に読み取られせることで行われる。両替チャージ機13上のチャージプログラム161は、入力額の金銭が投入されたことの信号が検証部142から出力されると、受領者ID及びチャージ額を含む二次元コードを生成し、これを顧客端末4が読み取り、受領者ID,チャージ額、顧客IDを支援サーバー2に送信して支援サーバー2にチャージ額記録プログラム23を実行させる。
但し、悪意のある顧客が実店舗決済アプリ41を改造し、実際のチャージ額以上の額を支援サーバー2に送信して記録させる不正が行われる可能性もある。これを考慮すると、両替チャージ機13からチャージ額が送信される構成の方が好ましい。
【0093】
また、ランドリー機器12が機器二次元コード125を表示することは必須ではなく、別の場所で表示される構成であっても良い。例えば、機器動作集中管理ユニット5がディスプレイと機器選択ボタンとを備える構成が採用される。機器選択ボタンは非稼働中のランドリー機器12のみを選択できるよう構成され、機器選択ボタンでランドリー機器12が選択されると、店舗IDと選択されたランドリー機器12の機器IDとを含む二次元コードがディスプレイに表示される。
【0094】
別のよりシンプルな構成として、各ランドリー機器12についての二次元コードを並べて印刷したポスターのようなものを壁に貼り付ける構成であっても良い。顧客は、非稼働中のランドリー機器12を確認してそのランドリー機器12についての二次元コードを読み取って決済を行う。但し、この場合には、稼働中のランドリー機器12についての二次元コードを誤って読み取ってしまう可能性がある。この対策としては、各ランドリー機器12の稼働状況を支援サーバー2が確認できるようにし、稼働中のランドリー機器12の機器IDが送信された場合には、エラーメッセージを顧客端末4に返信し、決済を行わないよう構成される。各ランドリー機器12の稼働状況を確認する構成としては、機器動作集中管理ユニット5が各ランドリー機器12の稼働有無の情報を取得して支援サーバー2に送信する構成が採用され得る。もしくは、各ランドリー機器12がネットワーク機能を備えていて支援サーバー2に稼働有無の情報を直接送信する構成であっても良い。
【0095】
決済許可情報については、支援サーバー2から機器動作集中管理ユニット5に送信されたが、支援サーバー2から顧客端末4に送られ、顧客端末4経由でランドリー機器12の動作を開始させる構成であっても良い。この場合、決済許可情報が例えば二次元コードの形で生成されて支援サーバー2から顧客端末4に送信され、機器動作集中管理ユニット5又はランドリー機器12が備えるカメラでこの二次元コードを読み取るようにする。この構成の場合、機器動作集中管理ユニット5又は各ランドリー機器12がカメラを備える必要があるのでコスト高となる問題がある他、同様に悪意のある顧客が決済許可情報の二次元コードを勝手に生成して読み取らせる不正があり得る。したがって、機器動作集中管理ユニット5に対して決済許可情報が送信される構成の方が好ましい。
【0096】
尚、各ランドリー機器12がネットワーク機能を備えていれば、支援サーバー2が各ランドリー機器12に対して決済許可情報を送って動作を開始させることができるので、機器動作集中管理ユニット5は不要となる。但し、コスト上の問題や耐久性上の問題があり、また無人店舗であるコインランドリー店の特性を考えると、壊されたり不正アクセスに利用されたりする問題があるので、機器動作集中管理ユニット5の方が好ましい。機器動作集中管理ユニット5については、顧客が手を触れることができない場所に配置したり、重要な部分は顧客が手を触れることできないよう筐体等を構成したりすることができる。
【0097】
上記実施形態において、両替チャージ機13と顧客端末4との間の情報のやりとり、各ランドリー機器12と顧客端末4との間の情報のやりとりについてはQRコード(登録商標)のような二次元コードの読み取りの構成が採用されたが、これは一例であり、赤外線通信やBluetooth(登録商標)等の他のNFCの構成が採用されることもある。
また、プリペイドチャージ機は両替機と兼用された両替チャージ機13であったが、両替機と別にプリペイドチャージ機が設けられていても良い。但し、プリペイドチャージ機もコインメックやビルバリが必要となり、両者で共通した機器を備えるので、共用した構成の方がコストダウンや省スペースの点で好適である。
【0098】
次に、実店舗の発明の実施形態、実店舗決済支援システムの発明の実施形態について補足して説明する。図19は、実店舗の発明の実施形態、実店舗決済支援システムの発明の実施形態の概略図である。
上記支援サーバー2及び記憶部3の構成は、そのまま実店舗の発明の実施形態、実店舗決済支援システムの発明の実施形態の構成として採用可能である。この場合、コインランドリー店は無人店舗であることが前提であったが、有人の(店員のいる)実店舗については、それに応じて適宜構成が変更され得る。
【0099】
まず、有人店舗の場合、プリペイドジャージ機を不要とすることができる。プリペイドジャージ機は、コインランドリー店のような無人店舗の場合、現金をその場で回収(受領)しつつチャージ額の情報を支援サーバー2に送信するものである。有人店舗の場合、現金の受領は店員が行えば良いので、プリペイドチャージ機は不要となる。
但し、チャージ額を支援サーバー2に送信してチャージ額記録プログラム23を実行させる必要があり、チャージ額送信機は必要になる。チャージ額送信機は、PCのような汎用端末7を兼用することが可能であり、簡便に構成できる。例えば、カメラを備えたタブレットPCを使用することができる。以下、店舗が備える端末7を店舗端末という。
タブレットPCのような店舗端末7には、支援サーバー2に対して顧客ID及びチャージ額を送信するチャージ額送信プログラム71が実装される。チャージ額送信プログラムには、店舗IDや受領者IDが定数として与えられる。
【0100】
顧客は、実店舗においてプリペイド金のチャージのための現金を支払う。店員は、店舗のキャッシュレジスターを使用してレシートを発行し、現金を受領する。この際、顧客は顧客端末4を使用して実店舗決済アプリ41を起動し、チャージ用二次元コード45を顧客端末4に表示する。店員は、店舗端末7のカメラでそれを読み取るとともに、チャージ額を入力する。チャージ額送信プログラム71は、二次元コードから顧客IDを取得し、入力されたチャージ額と、定数として与えられている店舗ID及び受領者IDとともに支援サーバー2に送信する。支援サーバー2上のチャージ額記録プログラム23が同様に実行され、当該顧客IDについての残高情報ファイル35の当該受領者IDのレコードにおいてチャージ額が加算されて更新される。
【0101】
店舗端末7は、顧客端末4のチャージ用二次元コードを読み取ることができれば、デスクトップPCでも良いし、ノートPCでも良いし、スマホでも良い。また同様に、二次元コードで顧客IDを受け取る構成の他、赤外線通信のような他のNFCを採用することもできる。
顧客登録については、顧客が予め実店舗決済アプリ41をダウンロードして行っておく構成の他、実店舗において実店舗決済アプリ41ダウンロード用の二次元コードが表示されていても良い。有人店舗の場合には二次元コードを上貼りする不正はあり得ないので、単に二次元コードを印刷したポスターを壁などに貼っておいたり、チラシとして顧客に渡したりするだけで良い。
【0102】
チャージされたプリペイド金の使用するための構成としては、実店舗には、決済が許可されたことを確認するため、支援サーバー2から決済許可情報を受信して表示する決済許可情報受信機が必要になる。決済許可情報受信機も、PCやスマホのような汎用端末を使用することが可能である。以下の説明では、チャージ額送信機としての店舗端末7を兼用する構成を例とする。以下の例では、決済許可申請の送信についても店舗端末7を兼用する構成が採用されている。
【0103】
図20は、実店舗の発明の実施形態、実店舗決済支援システムの発明の実施形態においてチャージ金を使用する際の顧客端末4及び店舗端末7の画面について示した概略図である。
コインランドリー店以外の実店舗でプリペイド金を使用する場合、顧客は店舗端末7に顧客IDを取得させ、店舗端末7から決済申請を行わせる。具体的には、顧客は同様に実店舗決済アプリ41を起動し、アプリトップページを表示する。そして、アプリトップページにおいて使用ボタン46をタップし、図20(1)に示すようにジャンル選択画面を表示する。そして、ジャンル選択画面で「その他」のジャンル(コインランドリー以外)を選択する。これにより、図20(2)に示すように、二次元コード48が顧客端末4に表示される。二次元コード48は、顧客IDとパスワードとを二次元イメージにしたものである。顧客は、二次元コード48が表示された顧客端末4を店員に示すとともに、希望の決済額を口頭で伝える。
【0104】
一方、店舗端末7には、決済申請プログラム72が実装される。決済申請プログラム72は、店舗の営業中は常時実行状態(決済スタンバイ状態)とされ、二次元コードを読み取り可能な状態とされる。この状態を、図20(3)に示す。図20(2)に示す二次元コード48を店舗端末7が読み取ると、図20(4)に示すように、決済申請プログラム72は、決済申請画面を店舗端末7に表示する。決済申請画面には、二次元コードから取得した顧客IDの表示欄に加え、決済額入力欄73と送信ボタン74とが設けられている。店員は、顧客から聞いた決済額を決済額入力欄73に入力し、送信ボタン73をタップ又はクリックする。送信ボタン73は、支援サーバー2上の決済許可判断プログラム25の実行ボタンとなっており、店舗ID、受領者ID、取得した顧客ID及びパスワード、入力された決済額とを送信して決済許可判断プログラム25を実行するコードが送信ボタン73に埋め込まれている。
【0105】
送信ボタン73のタップ又はクリックにより、決済許可判断プログラム25が実行される。決済許可判断プログラム25は、顧客ID及びパスワードが顧客情報ファイル34に記録されているものと一致し、残高情報ファイル35の該当受領者IDのレコードに記録されている残高が決済額以上であれば、決済許可情報送信サブプログラムを実行して決済許可情報を店舗端末7及び顧客端末4に送信する。それとともに、残高減額プログラム252を実行して残高から決済額を減額して残高を更新する。図20(5)には、決済許可情報が顧客端末4に送信されて表示された状態が示されており、図20(6)には、決済許可情報が店舗端末7に送信されて表示された状態が示されている。
【0106】
図20(5)(6)に示すように、この例では、決済許可情報は、店舗名、顧客ID、決済額の他、決済IDを含んでおり、決済IDが表示されるようになっている。決済IDは、プリペイド金による決済を店舗及び顧客が双方に確認するためのIDである。
店員は、店舗端末7に表示された決済許可情報に基づき、決済額の分を減額して精算をする。例えば、顧客が500円の買い物をして500円全額をプリペイド金で支払うと伝えて決済許可情報が送信された場合、現金で徴収する分はゼロにして商品を顧客に渡す。一部の金額をプリペイド金で払うと伝えられて決済許可情報が送信された場合、その分を減額した金額を顧客に伝え、顧客から徴収する。
【0107】
このような実店舗及び実店舗決済支援システムによれば、コインランドリー店の場合と同様、カードによらない形で事前支払い手段が発行され、チャージされたプリペイド金を使用して決済することができる。チャージの際に支払われた現金は店舗の側で受領されるので、振込手数料は発生せず、プリペイドであるため売り掛け期間は発生しない。このため、経営規模の小さい各種商店等において好適に導入される。
【0108】
また、上記のように有人の実店舗の場合にはプリペイドチャージ機が不要になり、顧客ID及びパスワードを二次元シンボル化した二次元コードを顧客端末4から読み取ることができて支援サーバー2にアクセス可能な端末を店舗端末7として用意するだけで良いので、さらに導入コストが安価となる。
上記実店舗、実店舗決済支援システムの構成において、プリペイド金を使用する際の二次元コードが顧客IDに加えてパスワードも含んでいるのは、他人の顧客IDを自分で二次元コード化して店舗端末7に読み込ませる不正を防ぐためである。
【0109】
また、上記実店舗、実店舗決済支援システムについて、決済許可申請の送信を顧客端末4から行わせるよう構成することも可能である。この場合は、店舗ID及び受領者IDを含む二次元コードを店舗が顧客に提示し、顧客が顧客端末4でそれを読み取り、顧客端末4に表示される決済許可申請画面で顧客が決済額を入力して送信することになる。この構成でも良いが、顧客にとっては煩雑になるし、購入の精算をしているのは店側であるので、情報のやりとりが逆方向になってこの点でも煩雑になる。したがって、店舗端末7で決済額を入力して決済許可申請する構成の方が好ましい。
【0110】
尚、決済許可情報については、顧客端末4だけに送信されてそれを(決済許可情報が送信されて表示された画面を)顧客が店員に見せる構成もあり得る。しかし、決済許可情報が送信されたかのような画面を偽造して店員に見せる不正があり得るので、決済許可情報は少なくとも店舗端末7に送信される構成が好ましい。
【0111】
次に、実店舗決済アプリの発明の実施形態について補足して説明する。
上述した各実施形態において、実店舗決済アプリは、各受領者について当該受領者が経営する店舗でしか使用できない専用プリペイドカードを仮想的に発行して使用できるようにしたサービスを提供するものであるといえる。以下に説明する実店舗決済アプリの実施形態は、この点を考慮して最適化したものである。
【0112】
現状、自社の店舗でしか使用できない専用プリペイドカードが発行されているが、異なる店舗(異なる受領者の店舗)でも専用プリペイドカードを発行してもらうと、別のプリペイドカードも携帯しなければならず、財布の中はプリペイドカードだらけとなってしまう。異なる受領者の店舗でも使える汎用のプリペイドカードは便利であるが、前述したように各受領者は何らかの手数料を負担しなければならない。
一方、実施形態における実店舗決済アプリによれば、専用プリペイドカードを仮想的に発行するものであるため、顧客における煩雑さはなく、極めて便利である。多数の異なる店舗(異なる受領者の店舗)で仮想専用プリペイドカードの発行をする(即ち、最初のチャージを行う)ことを考慮し、この実施形態では、チャージしたりプリペイド金を使用したりする際の店舗選択のためのページを設けている。この一例が、図21に示されている。図21は、実施形態の実店舗決済アプリにおける店舗選択のための画面遷移の一例を示した概略図である。
【0113】
図21(1)には、実施形態の実店舗決済アプリにおいて、ログイン後に顧客端末4に表示されるトップページが示されている。図21(1)に示すように、この実施形態の実店舗決済アプリのトップページには、「発行済みカードを見る」と表記されたカードボタン401と、「新規に作る」と表記された新規作成ボタン402と、「コインランドリーでの作成・使用」と表記されたコインランドリーボタン403とが設けられている。
【0114】
新規作成ボタン402は、図13(1)のアプリチャージボタン44と同様の機能のボタンであり、ログインの際に保持した顧客IDを埋め込んだ形で二次元コードを作成し、顧客端末4に表示するプログラムの実行ボタンである。同様に、この二次元コードを任意の店舗の店舗端末7で読み取ることで、当該顧客の残高情報ファイル35に新規レコードが追加され、この店舗の経営者を受領者としたプリペイド金の登録される。即ち、仮想専用プリペイドカードが発行される。
【0115】
図21(1)のコインランドリーボタン403は、各コインランドリー店でのチャージや決済のためのボタンであり、これをタップすると、図13(1)のようなページに遷移する。以下の動作は、前述したのと同様である。
図21(1)におけるカードボタン401には、当該顧客が過去にチャージをしたことがある店舗を表示する店舗リストページがリンクしている。図21(2)には、店舗リストページの一例が示されている。
図21(2)に示すように、店舗リストページは、過去にチャージしたことがある店舗をリスト表示するページであるが、受領者が同一である店舗は一つにまとめて表示される(例えば、最初にチャージをした際の店舗IDに係る店舗名が表示される)ので、実質的には、仮想専用プリペイドカードのリストを表示したものとなっている。
【0116】
この実施形態では、残高情報ファイル35には、チャージ額が送信した店舗端末7が設置された店舗の店舗IDが記録されるようになっている。店舗IDは、チャージ額の送信のたびに上書きされるので、直近のチャージの際の店舗IDが保持される。
図21(2)に示す店舗リストページを表示するために支援サーバー1に実装されたプログラムは、ログインの際に保持された顧客IDに従って当該顧客の残高情報ファイル35を開き、各レコードにおける店舗IDに従って店舗名又は店舗チェーン名(以下、店舗名で総称する)を取得し、図21(2)に示すように店舗リストページに組み込むようプログラミングされている。尚、この実施形態では、残高情報ファイル35の各レコードは、店舗リストページに組み込む名称を記録したフィールドを有している。一つの店舗のみを経営している受領者の場合にはこのフィールドの値は店舗名となるが、複数の店舗を経営している受領者の場合には共通の店舗チェーン名となる。
【0117】
図21(2)に示す各店舗名には、当該店舗でのチャージやプリペイド金の使用のためのページ(以下、個別カードページ)がリンクしている。図21(3)は、個別カードページの一例を示した概略図である。
図21(3)に示すように、個別カードページでは、個別チャージボタン404と個別決済ボタン405とが設けられている。個別チャージボタン405は、この店舗名に係る受領者に対してプリペイド金を支払う(チャージする)ためのボタンである。このボタンが押されると、図13(2)と同様にチャージ用二次元コードが顧客端末4に表示され、それを店舗端末7で読み取ってチャージが行われる。即ち、店員がプリペイド金を受け取り、店舗端末7からチャージ額の送信がされる。
【0118】
個別決済ボタン405は、この店舗名に係る受領者が経営する店舗においてプリペイド金を使用するためのボタンである。個別決済ボタンが押されると、図21(2)に示すのと同様に、決済用の二次元コードが顧客端末4に表示され、それを店舗端末7で読みって決済が行われる。店員は、使用額を顧客から聞き取り、店舗端末7で入力して送信することで決済が完了する。
【0119】
このような実施形態の実店舗決済アプリは、複数の又は多数の異なる専用プリペイドカードを仮想的に発行し、チャージや決済のためのサービスを提供するものとなっている。専用プリペイドカードと同等の機能、利便性でありながら、顧客は、財布の中にカードを入れて持ち歩く必要はなく、顧客端末4上で仮想専用プリペイドカードを選んでチャージしたり決済に使用したりすれば良く、シンプルでスマートな決済形態がこのアプリによって提供される。
尚、各仮想専用プリペイドカードへのチャージについては、同様に現金だけではなくクレジットカード等で行われる場合もあり得る。
【0120】
尚、上述した実店舗や実店舗決済支援システム、実店舗決済アプリにおいて、実店舗は有人店舗であるように説明したが、無人の実店舗であっても実施が可能である。無人の実店舗については、プリペイドチャージ機が設けられることが好ましく、コインランドリー店の実施形態において設けられた両替チャージ機13が好適に採用され得る。無人の実店舗の例としては、例えばゲームセンターが挙げられる。
【符号の説明】
【0121】
11 建屋
12 ランドリー機器
13 両替チャージ機
2 支援サーバー
3 記憶部
4 顧客端末
5 機器動作集中管理ユニット
6 受領者端末
7 店舗端末7
9 インターネット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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