(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】空調装置用廃水排出ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 1/14 20060101AFI20230929BHJP
F04D 29/42 20060101ALI20230929BHJP
F04D 29/62 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
F04D1/14
F04D29/42 A
F04D29/62 C
(21)【出願番号】P 2022004108
(22)【出願日】2022-01-14
【審査請求日】2022-01-17
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】516068929
【氏名又は名称】合利美股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】蕭裕明
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-177864(JP,A)
【文献】実開昭48-096368(JP,U)
【文献】実開昭60-130509(JP,U)
【文献】特表2014-508003(JP,A)
【文献】国際公開第2016/035556(WO,A1)
【文献】特開2020-165420(JP,A)
【文献】特開2020-165421(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108131328(CN,A)
【文献】中国実用新案第203783966(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 1/00-13/16、
17/00-19/02、
21/00-25/16、
29/00-35/00
F16B 7/00- 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルダー、ハウジングおよび蓋体を備え、
前記ホルダーは底部に形成された吸水口と、側面に形成された排水口とを有し、
前記ハウジングは円筒体であり、前記ホルダーの上方に装着されて前記ホルダーとの間が排水室になり、前記吸水口および前記排水口は内部空間が前記排水室に繋がり、
前記ハウジングは内部にモーターを有し、前記排水室は内部に排水羽根車を有し、前記排水羽根車は前記モーターの駆動軸に連結され、
前記蓋体は前記ハウジングを覆って装着され、
前記ホルダーと前記ハウジングとの接合部位は円筒状であり、
前記ハウジングは外周面に複数の係止ユニットを有し、
前記ホルダーは外周面に複数の嵌合ユニットを有し、
複数の前記係止ユニットと複数の前記嵌合ユニットとは相互に着脱可能に嵌合し、
前記ハウジングと前記ホルダーとは相対回転して複数の前記係止ユニットと複数の前記嵌合ユニットとを嵌合させ、
前記係止ユニッ
トは突起部位を有し、
前記嵌合ユニットは斜面および当接部を有し、
複数の前記突起部位は複数の前記斜面に当接し、複数の前記斜面に沿って複数の前記当接部まで移動することで複数の前記係止ユニットと複数の前記嵌合ユニットを嵌合させ、
複数の前記突起部位が前記複数の当接部に当接すると前記ホルダーを前記ハウジングに強制的に接近させる力を生じ、
複数の前記嵌合ユニットはそれぞ
れ前記斜面に一定距離を置く底部と、前記底部と前記斜面との間に形成された嵌合溝とを有し、前記当接部は前記嵌合溝の一番奥の部位に位置付けられ、
複数の前記嵌合ユニットはそれぞ
れ前記斜面と前記当接部との間に形成された突起壁
面を有し、前記突起壁面と前記底部との間の距離は前記当接部と前記底部との間の距離より小さく、
前記係止ユニットの前記突起部位の幅は
前記嵌合ユニットの前記突起壁面と前記底部との間の距離より大きく、
複数の前記嵌合ユニットはそれぞ
れ弾性アー
ムを有し、前記斜面は前記底部に相対するように前記弾性アームに配置され、前記弾性アームは一端が前記底部に連結され、他端が自由端となることを特徴とする、
空調装置用廃水排出ポンプ。
【請求項2】
前記嵌合溝の開口部は前記ハウジングまたは前記ホルダーの切線方向に向かって位置することを特徴とする請求項1に記載の空調装置用廃水排出ポンプ。
【請求項3】
前記斜面は前記底部に相対するように前記弾性アームに配置され、前記弾性アームは一端が前記底部に連結され、他端が自由端となることを特徴とする請求項1に記載の空調装置用廃水排出ポンプ。
【請求項4】
前記ホルダーは前記ハウジングとの間にO字型リングを有することを特徴とする請求項1に記載の空調装置用廃水排出ポンプ。
【請求項5】
複数の前記係止ユニッ
トはそれぞれ前記突起部位と、前記斜面に当接する向きと反対の方向に沿って前記突起部位から伸びて形成された斜面部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の空調装置用廃水排出ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置の廃水排出ポンプに関し、詳しくは組立作業が簡単な空調装置用廃水排出ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1により開示された空調装置用排水ポンプの構造は蓋体、ハウジングおよびホルダーに分けられる。蓋体、ハウジングおよびホルダーの固定方式は次のとおりである。
蓋体は外部に突出した複数の耳部を有する。ハウジングは外側面に上下に伸びて形成された複数の柱状固定部を有する。複数のボルトは蓋体の複数の耳部を貫通してハウジングの複数の柱状固定部の先端部に締結されて蓋体を固定する。ホルダーは複数の耳部を有する。複数のボルトはホルダーの複数の耳部を貫通してハウジングの複数の柱状固定部の末端部に締結されてホルダーを固定する。
このような固定方式では、組立作業が完了した後、締結したボルトに圧力が均一ではない可能性があり、ドライバーでボルトを回す際、ボルトが過度に締め付けられるか錆びたことが原因でボルトヘッドが割れる可能性がある。また水はホルダーに流入したり、ホルダーから流出したりするため、暫く時間が経つと、埃や土を含有したぬめりがホルダーに付着することが原因で排水が悪くなり、定期洗浄およびメンテナンスが必要になる。更にホルダーの着脱作業を行う際、四つのボルトを締めたり緩めたりすることが必要であるため、作業が不便である。
【0003】
特許文献2により開示された空調装置用排水ポンプにおいて、ホルダーは外部の上方に突出した複数のフックを有する。ハウジングは外側面に複数の係止部を有する。ホルダーは複数のフックがハウジングの複数の係止部に引っ掛かることによってハウジングに固定される。複数のフックおよび複数の係止部はハウジングおよびホルダーの四つの部位に別々に分布する。
ホルダーを取り外す際、複数のフック部および複数の係止部を同時に分離させなければならないため、作業が難しい。従って、作業員はまず排水ポンプの頂部の固定脚を外し、続いてホルダーとハウジングを分離させる方式を採用するため、該案にはメンテナンスが難しいという問題がある。
【0004】
言い換えれば、現在の空調装置用廃水排出ポンプのハウジングおよびホルダーにおいて、組立作業およびメンテナンスを効果的に簡単化できる構造は上述した先行技術には開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6738073号公報
【文献】特許第6738072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は組立作業が簡単な空調装置用廃水排出ポンプを提出することを主な目的とする。本発明による組立作業が簡単な空調装置用廃水排出ポンプは旋転および嵌合方式でハウジングにホルダーの着脱を行うことで着脱作業を簡単化し、メンテナンスの利便性を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するための空調装置用廃水排出ポンプは、ホルダー、ハウジングおよび蓋体を備える。ホルダーは底部に形成された吸水口と、側面に形成された排水口とを有する。ハウジングは円筒体であり、ホルダーの上方に装着されてホルダーとの間が排水室になる。吸水口および排水口は内部空間が排水室に繋がる。ハウジングは内部にモーターを有する。排水室は内部に排水羽根車を有する。排水羽根車はモーターの駆動軸に連結される。蓋体はハウジングを覆って装着される。ホルダーとハウジングとの接合部位は円筒状である。ハウジングは外周面に複数の係止ユニットを有する。ホルダーは外周面に複数の嵌合ユニットを有する。複数の係止ユニットと複数の嵌合ユニットとは相互に着脱可能に嵌合する。ハウジングとホルダーとは相対回転して複数の係止部と複数の嵌合ユニットを嵌合させる。係止部および嵌合ユニットのいずれか一つは斜面および当接部を有する。別の一つの係止部または嵌合ユニットは突起部位を有する。複数の係止ユニットと複数の嵌合ユニットを嵌合させる際、複数の突起部位を複数の斜面に当接させ、複数の斜面に沿って複数の当接部まで移動させれば嵌合作業が完了する。複数の突起部位が複数の当接部に当接するとホルダーをハウジングに強制的に接近させる力を生じる。
【0008】
上述した技術的特徴により、本発明は旋転および嵌合方式でホルダーおよびハウジングを嵌合させたり分離させたりするため、着脱作業を簡単化し、メンテナンスの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】本発明の第1実施形態において係止ユニットと嵌合ユニットが分離した状態を示す模式図である。
【
図5】本発明の第1実施形態において係止ユニットと嵌合ユニットが相互に接触した状態を示す模式図である。
【
図7】本発明の第1実施形態において係止ユニットと嵌合ユニットが嵌合した状態を示す模式図である。
【
図9】本発明の第2実施形態において係止ユニットと嵌合ユニットが分離した状態を示す模式図である。
【
図10】本発明の第2実施形態において係止ユニットと嵌合ユニットが嵌合した状態を示す模式図である。
【
図11】本発明の別の一つの実施形態を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による組立作業が簡単な空調装置用廃水排出ポンプを図面に基づいて説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1から
図8に示すように、本発明の第1実施形態による組立作業が簡単な空調装置用廃水排出ポンプ10はホルダー11、ハウジング21および蓋体31から構成される。
【0012】
ホルダー11は底部に形成された吸水口12と、側面に形成された排水口13とを有する。
【0013】
ハウジング21は円筒体であり、ホルダー11の上方に装着されてホルダー11との間が排水室15になる。吸水口12および排水口13は内部空間が排水室15に繋がる。ハウジング21は内部にモーター(図中未表示)を有する。排水室15は内部に排水羽根車16を有する。排水羽根車16はモーターの駆動軸に連結される。
ホルダー11とハウジング21との接合部位は円筒状である。モーターおよび駆動軸は周知の部品であるため、詳細な説明を省略する。ハウジング21内にモーターを装着する方法は本発明の技術的特徴ではないため、図面の記載を省略する。
【0014】
蓋体31はハウジング21を覆って装着される。
【0015】
ハウジング21は外周面に複数の係止ユニット22を有する。ホルダー11は外周面に複数の嵌合ユニット14を有する。複数の係止ユニット22と複数の嵌合ユニット14とは相互に着脱可能に嵌合する。ハウジング21とホルダー11とは相対回転して複数の係止ユニット22と複数の嵌合ユニット14とを嵌合させる。ホルダー11はハウジング21との間にO字型リング18を有する。O字型リング18は圧力を受けて変形することができる。
第1実施形態において、複数の嵌合ユニット14はそれぞれ斜面143および当接部144を有する。複数の係止ユニット22はそれぞれ突起部位222を有する。複数の係止ユニット22と複数の嵌合ユニット14を嵌合させる際、複数の突起部位222を複数の斜面143に当接させ、複数の斜面143に沿って複数の当接部144まで移動させれば係止ユニット22と複数の嵌合ユニット14の嵌合作業が完了する。複数の突起部位222が複数の当接部144に当接するとホルダー11をハウジング21に強制的に接近させる力を生じさせ、同時にO字型リング18を強制的に変形させて漏れ止め効果を生じる。
【0016】
それぞれの嵌合ユニット14はさらに弾性アーム141、底部142嵌合溝146および突起壁面145を有する。嵌合ユニット14において、斜面143は底部142に一定距離を置くように弾性アーム141に形成される。嵌合溝146は底部142と斜面143との間に形成される。当接部144は嵌合溝146の底面に位置付けられる。
嵌合溝146の開口部はハウジング21またはホルダー11の切線方向に向かって位置する。弾性アーム141は一端が底部142に連結され、別の一端が自由端となる。突起壁面145は斜面143と当接部144との間に形成される。突起壁面145と底部142との間の距離は当接部144と底部142との間の距離より小さい。突起部位222の幅は突起壁面145と底部142との間の距離より大きい。
【0017】
それぞれの突起部位222は斜面143に当接する向きと反対の方向に沿って形成された斜面部224を有する。突起部位222の斜面部224は角度が斜面143に対応する。
【0018】
以上は第1実施形態の構造についての説明である。続いて、第1実施形態の作動状態について説明を進める。
【0019】
図3および
図4に示すように、ハウジング21にホルダー11を取り付ける際、まずホルダー11の頂部をハウジング21の底部に当接させ、その間にO字型リング18を装着する。このとき複数の係止ユニット22と複数の嵌合ユニット14は相互に接触せず、分離する。
【0020】
続いて、
図5および
図6に示すように、ホルダー11を回してそれぞれの嵌合ユニット14の斜面143を突起部位222に当接させる。
【0021】
続いて、
図7および
図8に示すように、ホルダー11のそれぞれの嵌合ユニット14を突起部位222まで移動させれば、突起部位222は嵌合ユニット14の斜面143に当接したうえで弾性アーム141を持ち上げ、突起壁面145と底部142との間の距離を、突起部位222の全体が通れる距離まで増大させる。続いて、それぞれの突起部位222が嵌合溝146の一番奥に入り込んで当接部144に当接することでホルダー11をハウジング21に強制的に接近させる力を生じさせれば組立作業が完了する。
【0022】
図5および
図6に示すように、ホルダー11をハウジング21から取り外す際、ホルダー11を逆方向に回し、それぞれの嵌合ユニット14の弾性アーム141を上向きに変形させれば、係止ユニット22の突起部位222は嵌合ユニット14の嵌合溝146から逸脱し、
図3および
図4に示した状態に戻る、即ち嵌合状態を解除するため、ホルダー11をハウジング21から取り外すことができる。
【0023】
上述をまとめると、本発明はホルダー11を回転することによってホルダー11の着脱作業を行い、全体の組立作業の利便性を向上させることができる。言い換えれば、本発明は組立作業の利便性を向上させて時間を短縮することができるため、上述した先行技術の問題を解決できる。本発明は着脱作業に便利であるため、メンテナンスの利便性を向上させることができる。
【0024】
(第2実施形態)
図9および
図10は本発明の第2実施形態による組立作業が簡単な空調装置用廃水排出ポンプ10’を示す模式図である。第1実施形態との違いは下記の通りである。
【0025】
嵌合ユニット14に突起壁面145を配置する第1実施形態に対し、第2実施形態は嵌合ユニット14’において突起壁面を配置せず、斜面143’と当接部144’とを連結する。係止ユニット22’と嵌合ユニット14’を嵌合させる際、係止ユニット22’の突起部位222’が嵌合ユニット14’の斜面143’に沿って嵌合ユニット14’の当接部144’に下方から突き当たれば、係止ユニット22’と嵌合ユニット14’の嵌合作業が完了する。複数の突起部位222’がそれぞれ当接部144’に突き当たると固定効果を生じる。
【0026】
嵌合ユニット14に突起壁面145を配置する第1実施形態に対し、第2実施形態は嵌合ユニット14’に突起壁面を配置しないとしてもホルダー11を回して複数の係止ユニット22’と複数の嵌合ユニット14’を嵌合させることができるため、第1実施形態と同じ効果を達成できるだけでなく、第1実施形態より比較的操作が簡単である。
【0027】
第2実施形態のほかの技術的特徴および達成した効果は第1実施形態と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0028】
第1実施形態および第2実施形態は複数の係止ユニット22をハウジング21に配置し、複数の嵌合ユニット14をホルダー11に配置する方式を挙げて説明するが、これに限定されない。
図11に示すように、別の一つの実施形態において、複数の係止ユニット22と複数の嵌合ユニット14は配置位置が入れ替わってもよい。詳しく言えば、複数の係止ユニット22をホルダー11に配置し、複数の嵌合ユニット14をハウジング21に配置すれば、第1実施形態および第2実施形態と同じように回転方式でホルダー11をハウジング21に装着することができる。つまり、複数の係止ユニット22と複数の嵌合ユニット14の配置方式は実際のニーズに応じて決めてもよい。
【符号の説明】
【0029】
10、10’ 組立作業が簡単な空調装置用廃水排出ポンプ
11、11’ ホルダー
12 吸水口
13 排水口
14、14’ 嵌合ユニット
141、141’ 弾性アーム
142 底部
143、143’ 斜面
144、144’ 当接部
145 突起壁面
146 嵌合溝
15 排水室
16 排水羽根車
18 O字型リング
21 ハウジング
22、22’ 嵌合ユニット
222、222’ 突起部位
224 斜面部
31 蓋体